(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】デジタル回転患者インターフェースモジュール
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
A61B8/12
(21)【出願番号】P 2020521866
(86)(22)【出願日】2018-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2018078377
(87)【国際公開番号】W WO2019076968
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-09-06
(32)【優先日】2017-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ペレス,セザール
(72)【発明者】
【氏名】カンター,シャーウッド
(72)【発明者】
【氏名】ドランド,デール ジーン
(72)【発明者】
【氏名】ズィーゲンバイン,ランダル
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-501677(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0180072(US,A1)
【文献】完全差動アンプ(Fully-Differential Amplifiers),Application Report,2009年,pp.1-23
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔内超音波イメージングシステムであって:
処理システムと、患者の体内管腔内に配置されるように構成される管腔内超音波装置との間に通信可能に配置される患者インターフェースモジュール(PIM)を有し、前記PIMは、
送信/受信(T/R)スイッチに接続された送信器と、アナログデジタル変換器(ADC)と、通信ケーブルを有する通信装置とを有し、前記PIMは:
前記送信器で、第1の信号を前記管腔内超音波装置に送信し;
前記管腔内超音波装置からの前記第1の信号に関連する超音波エコー信号を受信し;
前記ADCで前記超音波エコー信号をデジタル化し;
デジタル化された前記超音波エコー信号を、前記通信装置を介して通信可能な第2の信号に変換し;
前記第2の信号を、前記通信装置の前記通信ケーブルを介して、前記処理システムに伝送する;
ように構成され、
前記PIMは、前記超音波エコー信号を、
前記T/Rスイッチにより前記T/Rスイッチと前記ADC
との間の前記PIMの差動信号経路に沿って伝送するように構成され、前記差動信号経路は共通モードノイズをキャンセルするように構成される、
管腔内超音波イメージングシステム。
【請求項2】
前記処理システムは、前記第2の信号に基づいて前記超音波エコー信号を表す管腔内超音波画像を生成し、前記処理システムと通信するディスプレイ装置に前記管腔内超音波画像を表示するように構成される、
請求項1に記載の管腔内超音波イメージングシステム。
【請求項3】
前記通信ケーブルは、イーサネット(登録商標)ケーブルである、又は
前記通信ケーブルは、USBケーブルである、
請求項1に記載の管腔内超音波イメージングシステム。
【請求項4】
前記PIMはさらに、前記送信器、前記ADC、及び前記通信装置と通信するコントローラを有する、
請求項1に記載の管腔内超音波イメージングシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)である、
請求項4に記載の管腔内超音波イメージングシステム。
【請求項6】
前記管腔内超音波装置は:
近位部分及び遠位部分を有する回転可能な可撓性の細長い駆動ケーブルと;
前記駆動ケーブルの前記遠位部分に配置され、回転する間に前記体内管腔のイメージングデータを取得するように構成される超音波素子と;を有する、
請求項1に記載の管腔内超音波イメージングシステム。
【請求項7】
前記管腔内超音波装置は、血管内に位置決めされるように構成される血管内超音波(IVUS)装置である、
請求項1に記載の管腔内超音波イメージングシステム。
【請求項8】
前記差動信号経路は、1つ又は複数の増幅器及びバンドパスフィルタを有する、
請求項1に記載の管腔内超音波イメージングシステム。
【請求項9】
管腔内超音波イメージングシステムの作動方法であって、前記管腔内超音波イメージングシステムは、患者の体内管腔内に配置されるように構成される管腔内超音波装置と処理システムとの間に通信可能に配置される患者インターフェースモジュール(PIM)を有し、前記PIMは、
送信/受信(T/R)スイッチに接続された送信器と、アナログデジタル変換器(ADC)と、通信ケーブルを有する通信装置とを有し、前記作動方法は:
前記送信器が、前記管腔内超音波装置に第1の信号を送信するステップと;
前記PIMが、前記管腔内超音波装置からの前記第1の信号に関連する超音波エコー信号を受信するステップと;
前記PIMが、共通モードノイズをキャンセルするように
前記T/Rスイッチにより前記PIM内の
前記T/Rスイッチと前記ADC
との間の差動信号経路に沿って前記超音波エコー信号を伝送するステップと;
前記PIM内の前記ADCが、前記超音波エコー信号をデジタル化するステップと;
前記PIMが、デジタル化された前記超音波エコー信号を、前記通信装置を介して通信可能な第2の信号に変換するステップと;
前記PIMが、前記通信装置を介して前記処理システムに前記第2の信号を伝送するステップと;
を含む、
作動方法。
【請求項10】
前記処理システムと通信するディスプレイ装置が、前記超音波エコー信号を表す管腔内超音波画像を表示するステップをさらに含む、
請求項9に記載の作動方法。
【請求項11】
前記PIMが、前記ディスプレイ装置の画像表示フォーマットに従って前記超音波エコー信号をフォーマットするステップをさらに含む、
請求項10に記載の作動方法。
【請求項12】
前記通信装置は、イーサネット(登録商標)ケーブルである、又は
前記通信装置は、USBケーブルである、
請求項9に記載の作動方法。
【請求項13】
前記PIMのコントローラは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)である、
請求項9に記載の作動方法。
【請求項14】
イーサネット(登録商標)物理層(PHY)デバイスが、前記デジタル化された超音波エコー信号を前記第2の信号に変換するステップをさらに含む、
請求項9に記載の作動方法。
【請求項15】
前記管腔内超音波装置は:
近位部分及び遠位部分を有する回転可能な可撓性の細長い駆動ケーブルと;
前記駆動ケーブルの前記遠位部分に配置され、回転する間に前記体内管腔のイメージングデータを取得するように構成される超音波素子と;
を有する、
請求項9に記載の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、管腔内イメージング(intraluminal imaging)に関し、特に、患者インターフェースモジュール(PIM)を用いてイメージング信号を受信し、変換することに関する。PIMは、差動信号ルート(differential signal route)に沿って超音波エコー信号を伝送するように構成され得る。PIMはまた、イーサネット(登録商標)通信をサポートするように構成され得る。
【背景技術】
【0002】
血管内超音波(IVUS)イメージングは、治療の必要性を決定する、介入をガイドする、及び/又はその有効性を評価するために、人体内の動脈などの罹患血管を評価するための診断ツールとして、介入心臓学において広く使用されている。1つ又は複数の超音波トランスデューサを含むIVUS装置が血管内に通され、撮像されることになる領域にガイドされる。トランスデューサは、2MHzより高い周波数を有する超音波エネルギを放射し、関心のある血管の画像を生成する。超音波は、組織構造(血管壁の様々な層など)、赤血球、及び関心のある他の特徴から生じる不連続性によって部分的に反射される。反射波からのエコーは、トランスデューサによって受信され、IVUSイメージングシステムに渡される。イメージングシステムは、受信された超音波エコーを処理して、デバイスが配置された血管の断面画像を生成する。
【0003】
IVUSカテーテルは回転装置を含むことがある。典型的な回転IVUSカテーテルでは、超音波トランスデューサ素子が、対象の血管内に挿入されるプラスチックシースの内側で回転する可撓性の駆動シャフトの先端に配置される。トランスデューサ素子は、超音波ビームが組織及び奥に伝搬するように向けられる。次に、トランスデューサは、種々の組織構造から反射される戻りエコー(returning echoes)を聞く。戻りエコーは、一般に、単一のアナログチャネルに沿ってIVUS処理システムに伝送される。これらの伝送は、伝送に関連するIVUS画像の品質を劣化させる可能性のある電気的ノイズ及び電磁結合干渉を起こしやすい。さらに、既存のIVUSシステムは、典型的には、超音波トランスデューサ素子と処理システムとの間で信号を伝送するために、高価且つ複雑なカスタムケーブルを必要とする。従って、IVUSイメージングシステムの改良の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
管腔内超音波イメージングのためのシステム、装置、及び方法が提供される。管腔内超音波イメージングシステムは、患者の体内管腔内に位置決めされる管腔内装置と通信する患者インターフェースモジュール(PIM)を含み得る。PIMは、超音波エコー信号を受信し、差動信号経路に沿って超音波エコー信号を伝送し、超音波エコー信号をデジタル化し得る。超音波エコー信号は、イーサネット(登録商標)接続を介してPIMに接続された処理システムに伝送されるように構成され得る。
【0005】
本開示の実施形態は、管腔内超音波イメージングシステムを提供し、このシステムは:処理システムと、患者の体内管腔内に配置されるように構成される管腔内超音波装置との間に通信可能に配置される患者インターフェースモジュール(PIM)を含み得、PIMは、送信器と、アナログデジタル変換器(ADC)と、通信ケーブルを有する通信装置とを有し、PIMは:送信器で、第1の信号を管腔内超音波装置に送信し;管腔内超音波装置からの第1の信号に関連する超音波エコー信号を受信し;ADCで超音波エコー信号をデジタル化し;デジタル化された超音波エコー信号を、通信装置を介して通信可能な第2の信号に変換し;第2の信号を、通信装置の通信ケーブルを介して、処理システムに伝送する;ように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、処理システムは、第2の信号に基づいて超音波エコー信号を表す管腔内超音波画像を生成し、処理システムと通信するディスプレイ装置に管腔内超音波画像を表示するように構成される。通信ケーブルは、イーサネット(登録商標)ケーブル又はUSBケーブルであり得る。PIMはさらに、送信器、ADC、及び通信装置と通信するコントローラを含み得る。コントローラは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であり得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、管腔内超音波装置は:近位部分及び遠位部分を含む回転可能な可撓性の細長い駆動ケーブルと;駆動ケーブルの遠位部分に配置され、回転する間に体内管腔のイメージングデータを取得するように構成される超音波素子と;を含む。管腔内超音波装置は、血管内に位置決めされるように構成される血管内超音波(IVUS)装置であり得る。超音波エコー信号は、PIM内のADCまで差動信号経路を伝わり得る。いくつかの実施形態では、差動信号経路は、1つ又は複数の増幅器及びバンドパスフィルタを有する。
【0008】
また、管腔内超音波イメージングの方法が提供され、これは:患者の体内管腔内に位置決めされる管腔内超音波装置で第1の信号を送信するステップと;管腔内超音波装置と処理システムとの間に通信可能に配置される患者インターフェースモジュール(PIM)で、管腔内超音波装置からの第1の信号に関連する超音波エコー信号を受信するステップと;PIM内のADCで超音波エコー信号をデジタル化するステップと;PIM内のコントローラで、デジタル化された超音波エコー信号を、通信装置を介して通信可能な第2の信号に変換するステップと;通信装置を介して処理システムに第2の信号を伝送するステップと;を含み得る。
【0009】
この方法はまた、処理システムと通信するディスプレイ装置で、超音波エコー信号を表す管腔内超音波画像を表示するステップを含み得る。この方法は、ディスプレイ装置の画像表示フォーマットに従って超音波エコー信号を、PIMによって、フォーマットするステップを含み得る。通信装置は、イーサネット(登録商標)ケーブル又はUSBケーブルであり得る。コントローラは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であり得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、本方法は、デジタル化された超音波エコー信号を第2の信号にイーサネット(登録商標)物理層(PHY)デバイスで変換するステップをさらに含む。この方法は、PIM内のADCまで差動信号経路に沿って超音波エコー信号を伝送するステップを含み得る。管腔内超音波装置は:近位部分及び遠位部分を有する回転可能な可撓性の細長い駆動ケーブルと;駆動ケーブルの遠位部分に配置され、回転する間に体内管腔のイメージングデータを取得するように構成される超音波素子と;を含み得る。管腔内超音波装置は、血管内に位置決めされるように構成される血管内超音波(IVUS)装置であり得る。
【0011】
本開示のさらなる態様、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面を参照して、本開示の例示的な実施形態を説明する。
【0013】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による管腔内超音波イメージングシステムの概略図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による管腔内超音波イメージングシステムの概略図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による回転超音波装置の概略図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による患者の解剖学的構造内のその場回転超音波装置の概略図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による患者インターフェースモジュール(PIM)の概略斜視図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による超音波イメージング方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の原理の理解を促進する目的で、図面に示された実施形態を参照し、特定の用語を用いてこれを記述する。それにもかかわらず、本開示の範囲に対する限定は意図されていないことが理解される。記載された装置、システム、及び方法に対するいかなる変更及びさらなる修正、並びに本開示の原理のいかなるさらなる適用も、完全に企図され、本開示が関係する当業者に通常生じるように、本開示に含まれる。例えば、一実施形態に関して記載された特徴、構成要素、及び/又はステップは、本開示の他の実施形態に関して記載された特徴、構成要素、及び/又はステップと組み合わせることができることが十分に考えられる。しかし、簡潔さのために、これらの組み合わせの多数回の繰り返しは、別個には記述しない。
【0015】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による超音波システム100の概略図である。超音波システム100は、患者の管腔の血管内超音波イメージングを行うために使用され得る。システム100は、超音波装置110、患者インターフェースモジュール(PIM)150、超音波処理システム160、及び/又はモニタ170を含み得る。超音波装置110は、患者の解剖学的構造102内に位置決めされるように、構造的に構成される(例えば、サイズ決定及び/又は成形される)。超音波装置110は、解剖学的構造102内から超音波イメージングデータを取得する。超音波処理システム160は、超音波イメージングの取得を制御することができ、モニタ170に表示される解剖学的構造102の画像を(PIM150を介して受信される超音波イメージングデータを使用して)生成するために使用され得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、システム100及び/又はPIM150は、“Wireless Digital patient interface module using wireless charging”と題する2017年10月19日に出願された米国特許出願第62/574655号、“INTRALUMINAL DEVICE REUSE PREVENTION WITH PATIENT INTERFACE MODULE AND ASSOCIATED DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS”と題する2017年10月19日に出願された米国特許出願第62/574687号、“INTRALUMINAL medical system with overloaded connectors”と題する2017年10月20日に出願された米国特許出願第62/574835号、及び“handheld medical interface for intraluminal device and associated devices, systems, and methods”と題する2017年10月19日に出願された米国特許出願第62/574610号に記載されたものと同様の特徴を含むことができ、これらの各々はその全体が参照により組み込まれる。
【0017】
一般に、超音波装置110は、カテーテル、ガイドカテーテル、又はガイドワイヤであることができる。超音波装置110は、可撓性の細長い部材116を含む。本明細書で使用するとき、「細長い部材」又は「可撓性の細長い部材」は、解剖学的構造102の管腔104内に位置決めされるように構造的に構成される(例えば、サイズ決定及び/又は成形される)少なくとも任意の薄い長い可撓性の構造を含む。例えば、可撓性の細長い部材116の遠位部分114は管腔104内に位置決めされ、一方、可撓性の細長い部材116の近位部分112は患者の身体の外側に位置決めされる。可撓性の細長い部材116は、長手方向軸LAを含むことができる。いくつかの例では、長手方向軸LAは、可撓性の細長い部材116の中心長手方向軸であることができる。いくつかの実施形態では、可撓性の細長い部材116は、種々のグレードのナイロン、ペバックス(Pebax)、ポリマー複合材料、ポリイミド、及び/又はテフロン(登録商標)で形成された1つ又は複数のポリマー/プラスチック層を含むことができる。いくつかの実施形態では、可撓性の細長い部材116は、編組金属(braided metallic)及び/又はポリマーストランドの1つ又は複数の層を含むことができる。編組層(複数可)は、カウントごとに(pic)任意の適切なものを含む、任意の適切な構成で、しっかりと又は緩く編み込まれることができる。一部の実施形態では、可撓性の細長い部材116は、1つ又は複数の金属及び/又はポリマーコイルを含むことができる。可撓性の細長い部材116の全て又は一部は、任意の好適な幾何学的断面プロファイル(例えば、円形、長円形、長方形、正方形、楕円形など)又は非幾何学的断面プロファイルを有し得る。例えば、可撓性の細長い部材116は、可撓性の細長い部材116の外径を画定する円形の断面プロファイルを有する略円筒形のプロファイルを有することができる。例えば、柔軟な細長い部材116の外径は、解剖学的構造102内で位置決めするための任意の適切な値であることができ、約1Fr(0.33mm)から約15Fr(5mm)の間を含み、3.5Fr(1.16mm)、5Fr(1.67mm)、7Fr(2.33mm)、8.2Fr(2.73mm)、9Fr(3mm)、及び/又は、より大きい及びより小さい両方の他の適切な値などの値を含む。
【0018】
超音波装置110は、可撓性の細長い部材116の長さの全て又は一部に沿って延在する1つ又は複数の管腔を含んでも含まなくてもよい。超音波装置110の管腔は、1つ又は複数の他の診断及び/又は治療器具を受け入れる及び/又はガイドするように、構造的に構成(例えば、サイズ決定及び/又は成形)されることができる。超音波装置110が管腔(複数可)を含む場合、管腔(複数可)は、装置110の断面プロファイルに対して中心合わせ又はオフセットされ得る。図示された実施形態では、超音波装置110は、カテーテルであり、可撓性の細長い部材116の遠位部分114に管腔を含む。ガイドワイヤ140が、可撓性の細長い部材116の入口/出口ポート142と遠位端部118の出口/入口ポートとの間で超音波装置110の管腔を通って延びる。一般に、ガイドワイヤ140は、解剖学的構造102の管腔104内に配置されるように構造的に構成される(例えば、サイズ決定及び/又は成形される)薄く、長く、可撓性の構造である。診断及び/又は治療処置の間、医療専門家は、典型的には、まず、ガイドワイヤ140を解剖学的構造102の管腔104の中に挿入し、ガイドワイヤ140を例えば閉塞106に隣接するような解剖学的構造102内の所望の位置に移動させる。ガイドワイヤ140は、解剖学的構造102内の所望の位置における、超音波装置110を含む1つ又は複数の他の診断及び/又は治療器具の導入及び位置決めを容易にする。例えば、超音波装置110は、ガイドワイヤ140に沿って解剖学的構造102の管腔104を通って移動する。いくつかの実施形態では、超音波装置110の管腔は、可撓性の細長い部材116の全長に沿って延在することができる。図示の実施形態では、出口/入口ポート142は、超音波装置110の構成要素130の近位に位置している。いくつかの実施形態では、出口/入口ポート142、遠位端部118における出口/入口ポート、及び/又は超音波装置110の管腔は、構成要素130の遠位に位置する。いくつかの実施形態では、超音波装置110は、ガイドワイヤと共に使用されず、出口/入口ポート142は、超音波装置110から省略することができる。
【0019】
解剖学的構造102は、自然及び人造の両方で、任意の流体充填構造又は周囲構造を表し得る。例えば、解剖学的構造102は、患者の体内にあってもよい。流体は、解剖学的構造102の管腔104を通って流れることができる。幾つかの例では、超音波装置110を管腔内装置として参照することができる。解剖学的構造102は、血液が管腔104を通って流れる血管などの脈管であることができる。いくつかの例では、超音波装置110を血管内装置として参照することができる。様々な実施形態では、血管は、心臓血管系、末梢血管系、神経血管系、腎血管系、及び/又は体内の任意の他の適切な解剖学的構造/管腔を含む、患者の血管系の動脈又は静脈である。解剖学的構造102は、場合によっては、曲がりくねることがある。例えば、装置110は、限定されるものではないが、肝臓、心臓、腎臓、胆嚢、膵臓、肺、食道を含む器官;管;腸;脳、硬膜嚢、脊髄及び末梢神経を含む神経系構造;尿路;並びに血液内の弁、心室又は心臓の他の部分、及び/又は身体の他の系を含むが、限定されない、任意の数の解剖学的位置及び組織型を検査するために使用され得る。自然構造に加えて、装置110は、限定されるものではないが、心臓弁、ステント、シャント、フィルタ及び他の装置などの人工構造を検査するために使用され得る。
【0020】
解剖学的構造102の閉塞106は、概して、例えば、患者の健康に有害な方法で、管腔104を通る流体の流れに対する制限をもたらす、任意の閉塞又は他の構造的構成を表す。例えば、閉塞106は、管腔104の断面積及び/又は管腔104を通って流れる流体のための利用可能な空間が減少するように管腔104を狭める。解剖学的構造102が血管である場合、閉塞106は、プラーク蓄積の結果であり得、これには、線維性、線維性脂質(繊維性脂肪)、壊死性コア、石灰化(高密度カルシウム)、血液、新鮮な血栓、及び/又は成熟した血栓などのプラーク成分が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例では、閉塞106は、血栓、狭窄、及び/又は病変として参照されることができる。概して、閉塞106の組成は、評価される解剖学的構造のタイプに依存する。解剖学的構造102のより健全な部分は、均一又は対称なプロファイル(例えば、円形断面プロファイルを有する円筒形プロファイル)を有し得る。閉塞106は、均一な又は対称なプロファイルを有していないことがある。従って、閉塞106を有する解剖学的構造102の患部は、非対称及び/又は不規則なプロファイルを有する。解剖学的構造102は、
図1に単一の閉塞106を有するものとして示されているが、本明細書に記載された装置、システム、及び方法は、複数の閉塞を有する解剖学的構造に対して同様の適用を有することが理解される。
【0021】
超音波装置110は、可撓性の細長い部材116の遠位部分114に配置される超音波イメージング構成要素130を含み得る。超音波イメージング構成要素130は、装置110が管腔104内に位置決めされている間に、超音波エネルギを解剖学的構造102内に放射するように構成され得る。いくつかの実施形態では、構成要素130は、種々の数及び構成を含み得る。例えば、構成要素130のいくつかは、超音波パルスを送信するように構成され得、一方、他のものは、超音波エコーを受信するように構成され得る。構成要素130は、イメージングされる組織のタイプ及び使用されるイメージングのタイプに応じて、解剖学的構造102に異なる周波数の超音波エネルギを放射するように構成され得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、構成要素130は、超音波トランスデューサ(複数可)を含む。例えば、構成要素130は、電気信号によって起動されることに応答して、超音波エネルギを発生し、解剖学的構造102に放射するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、構成要素130は、単一の超音波トランスデューサを含む。いくつかの実施形態では、構成要素130は、2個以上の超音波トランスデューサを含む超音波トランスデューサアレイを含む。例えば、超音波トランスデューサアレイは、2個のトランスデューサ、4個のトランスデューサ、36個のトランスデューサ、64個のトランスデューサ、128個のトランスデューサ、500個のトランスデューサ、812個のトランスデューサ、及び/又は、より大きい又はより小さいの両方の他の値などの値を含む、2個のトランスデューサと1000個のトランスデューサとの間の任意の適切な数の個々のトランスデューサを含むことができる。構成要素130を含む超音波トランスデューサアレイは、平面アレイ、湾曲アレイ、円周アレイ、環状アレイなどを含むフェーズドアレイなど、任意の適切な構成であることができる。例えば、構成要素130を含む超音波トランスデューサアレイは、一次元アレイ又は二次元アレイであることができる。
【0023】
いくつかの例では、超音波イメージング構成要素130は、回転超音波装置の一部であり得る。超音波イメージング構成要素130のアクティブ領域は、一様に又は独立して制御及びアクティブ化されることができる、1つ又は複数のトランスデューサ材料及び/又は1つ又は複数の超音波素子のセグメント(例えば、1つ又は複数の行、1つ又は複数の列、及び/又は1つ又は複数の配向)を含むことができる。構成要素130のアクティブ領域は、様々な基本的又は複雑な幾何学的形状にパターン化又は構造化することができる。構成要素130は、側視配向(side-looking orientation)(例えば、長手方向軸LAに垂直及び/又は直交して放射される超音波エネルギ)及び/又は前方視配向(例えば、長手方向軸LAに平行及び/又は長手方向軸LAに沿って放射される超音波エネルギ)に配置されることができる。いくつかの例では、構成要素130は、近位方向又は遠位方向に、長手方向軸LAに対して斜めの角度で超音波エネルギを放射及び/又は受信するように構造的に配置される。いくつかの実施形態では、超音波エネルギ放射は、アレイ内の超音波イメージング構成要素130の選択的トリガによって電子的にステアリングされる(steered)ことができる。
【0024】
構成要素130の超音波トランスデューサ(複数可)は、圧電微小機械加工超音波トランスデューサ(PMUT)、容量性微小機械加工超音波トランスデューサ(CMUT)、単結晶、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、PZT複合材料、他の適切なトランスデューサタイプ、及び/又はそれらの組み合わせであることができる。トランスデューサ材料に依存して、超音波トランスデューサ(複数可)の製造プロセスは、ダイシング、カーフィング、研削、スパッタリング、ウエハ技術(例えば、SMA、犠牲層堆積)、他の適切なプロセス、及び/又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0025】
いくつかの実施態様では、構成要素130は、閉塞106などの解剖学的構造102に関連する超音波イメージングデータを取得するように構成される。超音波イメージング構成要素130によって取得される超音波イメージングデータは、解剖学的構造102の閉塞106を評価することを含む、医療専門家によって患者を診断するために使用されることができる。イメージングのために、構成要素130は、管腔104及び/又は解剖学的構造102に超音波エネルギを放射し、管腔104及び/又は解剖学的構造102の流体及び/又は組織を表す反射超音波エコーを受信するように構成することができる。本明細書に記載されるように、構成要素130は、超音波トランスデューサ及び/又は超音波トランスデューサアレイなどの超音波イメージング素子を含むことができる。例えば、構成要素130は、電気信号の構成要素130への送信に応答して、超音波エネルギを発生し、解剖学的構造102に放射する。イメージングのために、構成要素130は、解剖学的構造102から受信される反射超音波エコーを表す電気信号を生成し、(例えば、PIM150及び/又は処理システム160に)送信し得る。様々な実施形態では、超音波イメージング構成要素130は、血管内超音波(IVUS)イメージング、前方視血管内超音波(FL-IVUS)イメージング、血管内光音響(IVPA)イメージング、心エコー(ICE)、経食道心エコー(TEE)、及び/又は他の適切なイメージングモダリティに関連するイメージングデータを取得することができる。いくつかの実施形態では、装置110は、光学的イメージング、光コヒーレンストモグラフィー(OCT)など、任意の適切なイメージングモダリティのイメージング構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、装置110は、圧力センサ、フローセンサ、温度センサ、光ファイバ、反射器、ミラー、プリズム、アブレーション要素、高周波(RF)電極、導体、及び/又はそれらの組み合わせを含む、任意の適切なセンシング構成要素を含むことができる。イメージング及び/又は感知コンポーネントは、超音波構成要素130の代わりに、又は超音波構成要素130に加えて、装置110内に実装することができる。
【0026】
診断及び/又はイメージングのために、構成要素130の中心周波数は、2MHzから75MHzの間であることができ、例えば、2MHz、5MHz、10MHz、20MHz、40MHz、45MHz、60MHz、70MHz、75MHz、及び/又はより大きい及びより小さいの両方の他の適切な値を含む。例えば、より低い周波数(例えば、2MHzから10MHzの間)は、解剖学的構造102のより多くが超音波画像内に見えるように、解剖学的構造102内にさらに有利に浸透することができる。より高い周波数(例えば、50MHz、75MHz)は、解剖学的構造102及び/又は管腔104内の流体のより詳細な超音波画像を生成するのにより良く適し得る。いくつかの実施態様では、超音波イメージング構成要素130の周波数は、調整可能である。イメージングのために、いくつかの例では、構成要素130は、中心周波数及び/又は中心周波数の1つ又は複数の高調波に関連する波長を受信するように調整されることができる。いくつかの例では、放出される超音波エネルギの周波数は、印加された電気信号の電圧及び/又は超音波イメージング構成要素130へのバイアス電圧の印加によって修正されることができる。
【0027】
いくつかの実施態様では、超音波イメージング構成要素130は、可撓性の細長い部材116の遠位部分に位置決めされる。超音波イメージング構成要素130は、可撓性の細長い部材116からの長さに沿って延在する1つ又は複数の導体(electrical conductors)を含むことができる。導体(複数可)は、遠位部分114において超音波イメージング構成要素130、及び近位部分112においてインターフェース156と連通している(in communication with)。導体は、超音波処理システム160と超音波イメージング構成要素130との間で電気信号を伝達する。例えば、アクティベーション信号及び/又は制御信号は、処理システム160から超音波イメージング構成要素130に導体を介して伝送され得る。反射される超音波エコーを表す電気信号は、超音波イメージング構成要素130から処理システム160に導体を介して伝送され得る。いくつかの実施形態では、処理システム160と超音波イメージング構成要素130との間の通信に、同じ導体を使用することができる。
【0028】
超音波装置110は、可撓性の細長い部材116の近位部分112にインターフェース156を含む。いくつかの実施形態では、インターフェース156はハンドルを含むことができる。例えば、ハンドルは、遠位部分114の曲がり(deflection)など、装置110の動きを制御するための1つ又は複数の作動機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、インターフェース156は、管腔を通る装置110の引き戻し(pullback)を可能にする伸縮(telescoping)機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、インターフェース156は、装置110の1つ又は複数の構成要素(例えば、可撓性の細長い部材116及び超音波イメージング構成要素130)を回転させる回転機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、インターフェース156は、医療専門家が超音波イメージング構成要素130を選択的に作動させるためのユーザインターフェース構成要素(例えば、1つ又は複数のボタン、スイッチなど)を含む。他の実施形態では、PIM150、処理システム160及び/又はモニタ170のユーザインターフェース構成要素は、医療専門家が超音波イメージング構成要素130を選択的にアクティブ化させることを可能にする。例えば、導体を含む導管が、インターフェース156とコネクタ108との間に延在する。コネクタ108は、装置110をPIM150に機械的及び/又は電気的に結合するように構成することができる。
【0029】
超音波処理システム160、PIM150、及び/又は血管内超音波装置110(例えば、インターフェース156、超音波イメージング構成要素130など)は、1つ又は複数のコントローラを含むことができる。コントローラは、いくつかの実施形態では、特定用途向け集積回路(ASIC)などの集積回路であってもよい。コントローラは、送信及び/又は受信に使用される特定のトランスデューサ素子を選択するように、送信器回路を起動させて、選択されたトランスデューサ素子(複数可)を励起するための電気パルスを生成するために送信トリガ信号を供給するように、及び/又は、コントローラの増幅器を介して、選択されたトランスデューサ素子(複数可)から受信される増幅されたエコー信号を受信するように構成することができる。種々の数のマスタ回路及びスレーブ回路を有する複数のASIC構成を使用して、単一の超音波又は多発性超音波デバイスを生成することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、PIM150は、コンソール又は処理システム160にデータを中継する前に、超音波エコーデータの前処理(preliminary processing)を行う。そのような実施形態の例では、PIM150は、データの増幅、フィルタリング、及び/又は集約を行う。一実施形態では、PIM150はまた、超音波トランスデューサ130に関連する回路を含む装置110の動作をサポートするために、高電圧及び低電圧DC電力を供給する。PIM150は、様々な外科的環境において、患者の安全要件が、1つ又は複数の高電圧構成要素からの患者の物理的及び電気的絶縁を義務付けられるとき、絶縁装置であり得る。
【0031】
超音波処理システム160は、PIM150によって超音波イメージング構成要素130から画像データ(例えば、超音波エコーデータを表す電気信号)を受信する。処理システム160は、プロセッサ及び/又はメモリなどの処理回路を含むことができる。超音波処理システム160は、データを処理して、解剖学的構造の画像を再構成する。処理システム160は、血管の断面IVUS画像などの解剖学的構造102の画像がモニタ170に表示されるように画像データを出力する。処理システム160及び/又はモニタ170は、医療専門家が超音波イメージング構成要素130の1つ又は複数のパラメータを含む装置110を制御することを可能にするために、1つ又は複数のユーザインターフェース要素(例えば、タッチスクリーン、キーボード、マウス、グラフィカルユーザインターフェース上の仮想ボタン、物理ボタンなど)を含むことができる。
【0032】
図2は、本開示の一実施形態による、超音波システム100の概略図である。
図3は、本開示の一実施形態による、超音波装置110の概略の部分切り取り斜視図である。
図4は、解剖学的構造102内のその場超音波装置110の概略図である。
【0033】
特に
図2を参照すると、本開示のいくつかの実施形態では、超音波システム100は、回転IVUSイメージング及び治療超音波システムである。回転超音波システム100は、超音波装置110、コンソール又は処理システム160、及びモニタ170を含むことができる。本明細書でより詳細に説明するように、超音波装置110は、イメージングのための超音波トランスデューサ130を含む。超音波装置110はまた、カテーテルの遠位先端付近に取り付けられた超音波トランスデューサ130に関連する回路、1つ、2つ、3つ、4つ又はそれより多い導体を有する電気ケーブル、及び回転インターフェースでの機械的及び/又は電気的相互接続をサポートするための近位部分112における適切なコネクタを含むことができる。超音波装置110のボディは、可撓性の細長い部材116として参照されることができる。超音波装置110の遠位部分114は、患者の解剖学的構造102内に位置決めされる。超音波装置110の近位部分112は、システム100の移動装置180に機械的及び/又は電気的に結合される。移動装置は、1つ又は複数のモータ、関連する回路、及び/又は、駆動ケーブル211などの、超音波装置110の1つ又は複数の構成要素に回転及び/又は長手方向の移動を付与するように構造的に構成される他の適切な構成要素を含む。移動装置180は、場合によっては、引き戻し装置及び/又はスレッドとして参照されることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、移動装置180及びPIM150は、単一の装置に組み合わせることができる。他の実施形態では、システム100は、移動装置180とは別のPIM150を含む。PIM150は、超音波イメージング構成要素130に関連付けられる回路の動作を制御するために送信トリガ信号及び制御波形の必要なシーケンスを生成し、電気ケーブルの導体を介して受信した増幅されたエコー信号を処理する。また、PIM150は、超音波イメージング構成要素130の動作をサポートするために、DCの高電圧及び低電圧を供給する。この点に関し、PIM150は、スリップリング及び/又は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,403,856号に記載されているアクティブスピナー技術の実装を用いて、回転インターフェースを横切って超音波装置110の回路にDC電圧を供給するように構造的に構成される。いくつかの実施形態では、PIM150は、例えば、回転トランスを使用して、AC電圧を超音波イメージング構成要素130に供給する。
【0035】
図3及び
図4は、回転超音波装置110の構造に関するさらなる詳細を示す。
図4はまた、解剖学的構造102におけるその場超音波装置110を示す。いくつかの点で、超音波装置110は、ボルカノコーポレーションから入手可能であり、米国特許第8,104,479号に記載されているRevolution(登録商標)カテーテル、又は米国特許第5,243,988号及び米国特許第5,546,948号に開示されているものなどの回転IVUSカテーテルと類似し、これらの米国特許の各々はその全体が参照により本明細書に組み込まれている。この点に関して、超音波装置110は、イメージングコア210と、外側カテーテル/シースアセンブリ212とを含む。イメージングコア210は、PIM150への電気的及び機械的結合を提供する回転インターフェース214によって近位部分112の近位端部で終端される可撓性の駆動ケーブル又はシャフトを含む。また、イメージングコア210は、超音波イメージング構成要素130と連通する1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれより多いの導体を含むことができる。イメージングコア210の可撓性の駆動シャフトの遠位部分114は、本明細書にさらに詳細に記載されるように、超音波イメージング構成要素130、及び関連する回路を含むトランスデューサハウジング216の近位部分に機械的に結合される。
【0036】
カテーテル/シースアセンブリ212は、回転インターフェース214を支持し、超音波装置110の回転要素と非回転要素との間の軸受表面(bearing surface)及び流体シールを提供するハブ218を含む。ハブ218は、ルアーロックフラッシュポート(luer lock flush port)220を含み、このポートを通して生理食塩水が注入されてシース212内の空気を洗い流し、超音波装置110の使用時にシース212の内腔を超音波適合流体で満たす。空気は容易に超音波を通さないので、生理食塩水又は他の類似のフラッシュ(flush)が典型的に必要である。生理食塩水はまた、イメージングコア210の回転駆動ケーブルのための生体適合性潤滑剤を提供する。ハブ218は、入れ子状の管状要素と、超音波装置110の遠位部分の音響的に透明なウィンドウ224内のトランスデューサハウジングの軸方向又は長手方向の移動を容易にするために、カテーテル/シースアセンブリ212を長く又は短くされることを可能にする摺動流体シールとを含む望遠鏡(telescope)222に結合されている。いくつかの実施形態では、ウィンドウ224は、最小限の減衰、反射、又は屈折でトランスデューサと血管組織との間に超音波を容易に伝導する材料(複数可)から作製された薄壁プラスチック管で構成される。カテーテル/シースアセンブリ212の近位シャフト226は、望遠鏡222とウィンドウ224との間のセグメントをブリッジし、超音波を伝導する必要がないが、潤滑性のある内部管腔及び最適な剛性を提供する材料又は複合材料から構成される。ガイドワイヤ入口/出口ポート142は、図示の実施形態では、超音波装置110の遠位部分に設けられている。
【0037】
移動装置180は、解剖学的構造102の管腔104に挿入されるポリマー/プラスチックシース212内のイメージングコア210の駆動ケーブル211を回転させる(例えば、時計回り又は反時計回り方向230)。駆動ケーブル211の回転は、駆動ケーブルに機械的に結合されるハウジング216の対応する回転を引き起こす。超音波イメージング構成要素130は、ハウジング216に固定され、それに応じて駆動ケーブル211と共に回転する。超音波イメージング構成要素130は、それぞれの超音波ビーム124が超音波装置110の長手方向軸LAに略垂直に伝播するように向けられる。流体が充填されたシース212は、超音波信号を自由に伝播させながら、回転する超音波イメージング構成要素130及び駆動ケーブル211から解剖学的構造の組織を保護する。駆動軸が(例えば、毎秒30回転で)回転するとき、超音波イメージング構成要素130は、高電圧パルスで選択的に及び/又は周期的に励起されて、超音波エネルギのバーストを放射する。超音波イメージング構成要素130は、閉塞106などの解剖学的構造102の種々の組織構造から反射される戻り超音波エコー126を聴取する。超音波イメージング構成要素130によって取得されるIVUSイメージングデータに基づいて、IVUSイメージングシステム160は、超音波イメージング構成要素130の単一の回転の間に生じる数百の超音波パルス/エコー収集シーケンスのシーケンスからの血管断面の二次元画像を組み立てる。
【0038】
超音波イメージング構成要素130は、接着剤、溶接、半田付けなどのような任意の適切な取り付け機構を使用して、ハウジング216に機械的に結合され得る。超音波イメージング構成要素130は、長手方向軸LAに沿って互いに隣接して位置決めされ得る。いくつかの例では、超音波イメージング構成要素130は、直列に整列されているものとして参照されることができる。いくつかの実施態様では、超音波イメージング構成要素130は、長手方向軸LAに垂直な軸に沿って並んで(side-by-side)列に位置決めされる。いくつかの実施態様では、超音波イメージング構成要素130は、ハウジング216の反対側(opposite sides)に配置される。例えば、
図4に示されるハウジング216の向きでは、超音波イメージング構成要素130のうちの1つは、ハウジング216の一方の側に(例えば、上を向いて)配置することができ、他方、超音波イメージング構成要素130のうちの他方は、ハウジング216の反対側に(例えば、下を向いて)配置することができる。例えば、超音波イメージング構成要素130は、反対方向に超音波エネルギを放射するように構成することができる。図示の実施形態では、超音波イメージング構成要素130は、別個の超音波素子である。他の実施形態では、超音波イメージング構成要素130は、2個以上の超音波トランスデューサを含む1次元又は2次元超音波アレイであることができる。
【0039】
図5は、PIM150の概略図である。いくつかの実施形態では、PIM150は、超音波装置110と処理システム160との間に通信可能に配置される。PIM150は、超音波装置110へコマンド及び信号を送信するため、並びに超音波装置110から超音波エコー信号を受信し、処理し、送信するために使用され得る。いくつかの実施形態では、これらの超音波エコー信号は、PIM150内の差動信号経路に沿って伝送され、超音波処理システム160へのイーサネット(登録商標)伝送のためにデジタル化及びフォーマットされる。
【0040】
PIM150は、外側ハウジング304を含み得る。ハウジング304は、滅菌環境での使用に適し得る(すなわち、耐水性)とともに、手術台での使用に適するようにサイズ決定され得る。いくつかの実施態様では、ハウジング304は、種々の構成要素を収容するための内部セクションを含む。例えば、ハウジング304は、電力システム340、信号チェーン350、コントローラ310及び関連構成要素を収容する特定のハウジングセクションを含み得る。
【0041】
PIM150のコントローラ310は、超音波装置110、処理システム160、及びモニタ170などの外部装置に加えて、PIM150の他の要素にも信号を伝送するように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ310は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)である。他の実施形態では、コントローラ310は、
図5に示されるように、コントローラ310を参照して本明細書に記載される動作を実行するように構成される中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、別のハードウェアデバイス、ファームウェアデバイス、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0042】
コントローラ310は、メモリ318に接続され得る。いくつかの実施形態では、メモリはランダムアクセスメモリ(RAM)である。他の実施形態では、メモリ318は、キャッシュメモリ(例えば、コントローラ310のキャッシュメモリ)、磁気抵抗RAM(MRAM)、リードオンリメモリ(ROM)、プログラマブルリードオンリメモリ(PROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、ソリッドステートメモリデバイス、ハードディスクドライブ、他の形態の揮発性メモリ及び不揮発性メモリ、又は異なるタイプのメモリの組み合わせである。いくつかの実施形態では、メモリ318は、非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得る。メモリ318は命令を記憶し得る。命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、本開示の実施形態に関連してコントローラ310を参照して本明細書に記載された動作を実行させる命令を含み得る。
【0043】
コントローラ310は、カテーテルモータ326、EEPROM324、送信器322、及び時間ゲイン補償(TGC)制御部320に接続され得る。いくつかの実施形態では、カテーテルモータ326は、超音波装置110を管腔内で移動させるように構成される。カテーテルモータ326は、超音波装置110の一部を回転させるための回転構成要素を含み得る。カテーテルモータ326はまた、超音波装置110を患者の体内の管腔に沿って移動させるためのモータを含み得る。
【0044】
送信器322は、超音波装置110に信号を送信するための任意の種類の送信装置であり得る。いくつかの実施形態では、コントローラ310は、送信器322を通じて信号を送信することによって超音波装置110を制御するように構成される。この方法では、コントローラ310は、超音波装置110による超音波信号の送信を駆動するように構成され得る。超音波信号の送信方向及び信号強度は、コントローラ310によって制御され得る。送信器322は、送信/受信(T/R)スイッチ328に接続され得る。いくつかの実施形態では、T/Rスイッチ328は、送信モードと受信モードとの間で変化するように構成され得る。例えば、コントローラ310は、T/Rスイッチ328が送信モードにある間に、超音波装置110に信号を送信し得る。データ(超音波エコー信号など)は、超音波装置110からPIM150に送り返され得る。このデータは、EEPROM324によって格納され得る。超音波エコー信号が超音波装置110からPIM150に送り返されるとき、T/Rスイッチ328は、正しい信号経路に沿って超音波エコー信号を受信し、方向付けるための受信モードに設定され得る。
【0045】
超音波エコー信号は、PIM150によって受信され、差動信号ルートに沿って方向付けられ得る。いくつかの実施形態では、差動信号ルートは、1つ又は複数の素子352、354、356、358、360、362を含む信号チェーン350を含み得る。差動信号ルートは、共通モードノイズ、及び特に既存の画像処理システムで発生し得る「ホワイトノイズ/フリッカ」をキャンセルするのを助け得る。差動信号ルート及び関連する信号チェーン350は、より多くのノイズフリー信号及び改善された画像品質をもたらす。信号チェーン350は、フィルタリング及びプログラマブルゲイン機能を提供し得る。いくつかの実施形態では、TGC制御部320は、PIM150と超音波装置110との間の距離が増加するにつれて信号損失を調整する時変ゲインである。ゲインは、典型的には、近反射では減少し、遠反射では徐々に増加する。距離にわたるゲインの量は、例えば、PIM150のコントローラ310によって制御され得る。いくつかの実施形態では、TGC制御部は、受信される超音波エコー信号の信号増幅を制御するように構成され得る。TGC制御部320はまた、超音波エコー信号の受信経路を信号チェーン350に沿って設定するように構成され得る。信号チェーン350は、バンドパスフィルタ352、360及び増幅器354、356、358、362を含み得る。例えば、超音波装置110からの超音波エコー信号は、第1のバンドパスフィルタ352、第1の固定増幅器354、可変ゲイン増幅器356、第1のバッファ増幅器358、第2のバンドパスフィルタ360、及び第2のバッファ増幅器362を通る順序で通過し得る。いくつかの実施形態では、バンドパスフィルタ352、360は、20から40MHzの間の信号を許容する。他の実施形態では、バンドパスフィルタは、10~50MHz、5~60MHz、及び他の範囲などの他の範囲の信号を許容する。
【0046】
信号が信号チェーン350を通過した後、それらはアナログデジタル変換器(ADC)330に伝送され得る。ADC330は、コントローラ310による処理のために超音波エコー信号をデジタル化し得る。次いで、信号は、超音波処理システム160への伝送のために準備され得る。いくつかの実施形態では、超音波装置110からの信号は、イーサネット(登録商標)接続によって超音波処理システム160に伝送され得る。この場合、(ADC330によってデジタル化された)超音波装置110からの信号は、イーサネット(登録商標)物理層(PHY)316に伝送される。イーサネット(登録商標)PHYは、イーサネット(登録商標)接続のために超音波装置110からの信号を変換するように構成され得る。次いで、変換された信号は、絶縁トランス314に送られ得る。いくつかの実施態様では、絶縁トランス314は、イーサネット(登録商標)ベースのトランスに対するIEC-60601の要件を満たす。次いで、信号は、超音波処理システム160への伝送のためのイーサネット(登録商標)接続部312に送られる。イーサネット(登録商標)接続部312は、1つ又は複数のイーサネット(登録商標)ケーブルと関連するポートを含み得る。
【0047】
他の実施形態では、PIM150は、USB(特にUSB3.0)などのイーサネット(登録商標)以外の標準を介して、超音波装置110から超音波処理システム160へデータを送信するように構成され得る。この場合、PIM150は、USBコネクタを含み得、超音波装置110からの信号は、USBと共に使用するように構成され得る。
【0048】
PIM150は、イメージングデータを収集するために管腔を通って超音波装置110を引くために使用され得るプルバックモータ332を含み得る。プルバックモータ332は、超音波装置110を一定の速度で引くように構成され得る。プルバックモータ332は、外部プルバックスレッド334に接続され得る。
【0049】
PIM150は電力システム340を含み得る。いくつかの実施形態では、PIM150は、パワーオーバーイーサネット(登録商標)(PoE)によって電力供給される。この場合、電力は、イーサネット(登録商標)接続部312を介して、又はPIM150上の別のイーサネット(登録商標)接続部を介して入力され得る。他の実施形態では、PIM150は、電力システム340内の電力入力部342によって電力供給される。電力入力部342は、AC/DC電力であり得る。電力入力部342は、電力をDC/DCに変換し得る絶縁電力モジュール344に接続され得る。次いで、電力は、電力分配器346によってPIM150全体に分配され得る。
【0050】
図6は、血管内超音波イメージングの方法600を示すフロー図を提供する。図示されるように、方法600は、いくつかの列挙されたステップを含むが、方法600の実施形態は、列挙されたステップの前、後、及び間に追加のステップを含んでもよい。いくつかの実施形態では、列挙されたステップの1つ又は複数は、省略されても、異なる順序で実行されても、又は同時に実行されてもよい。方法600は、
図1~5に参照されるシステム及び装置のいずれかを使用して実施され得る。
【0051】
ステップ602において、方法600は、患者の体腔内に超音波装置を位置決めするステップを含み得る。超音波装置は、
図1、4、及び5に示すように、超音波装置110と同様であり得る。特に、超音波装置は、回転駆動ケーブルの遠位部分に1つ又は複数のイメージング超音波トランスデューサ素子を持つ血管内回転超音波装置であり得る。ステップ602は、シース及びイメージングコア/駆動ケーブルを解剖学的構造の管腔内に配置するステップを含み得る。駆動ケーブルは、超音波装置のシース内に配置されることができる。
【0052】
ステップ604において、方法600は、超音波装置で管腔に第1の超音波信号を送信するステップを含み得る。第1の超音波信号は、超音波装置の1つ又は複数の超音波素子により送信され得る。いくつかの実施形態では、第1の超音波信号の送信は、
図1及び5に示されるPIM150などの患者インターフェースモジュール(PIM)によって制御され得る。例えば、PIMのコントローラが、超音波装置に信号を送信するために使用され得、これは超音波装置の1つ又は複数の超音波素子によって管腔内に送信され得る。ステップ604は、超音波装置及び1つ又は複数の超音波素子の駆動ケーブルが管腔内部に位置決めされたシース内で回転している間に実行され得る。この点に関して、方法600は、超音波装置及び/又は駆動ケーブルを、超音波装置を回転させる及び/又は長手方向に移動させるように構成されるプルバック装置などの移動装置に接続するステップを含むことができる。第1の超音波信号は、管腔内の解剖学的構造(例えば、組織、血管、プラークなど)から超音波エコーの形態で反射され得、その一部は、第1の超音波素子に向かって戻り得る。これらの超音波エコー信号は、1つ又は複数のトランスデューサ素子を用いてなど超音波装置によって受信され得る。
【0053】
ステップ606において、第1の超音波信号に関連付けられた超音波エコー信号がPIMに伝送され得る。いくつかの実施形態では、超音波エコー信号は、
図5に示すようなT/Rスイッチ328などの送信/受信(T/R)スイッチによって受信される。超音波エコー信号は、管腔の超音波画像を作成する際の使用に備えて、PIMによって処理され得る。
【0054】
ステップ608において、超音波エコー信号は、PIM内の差動信号経路で伝送され得る。いくつかの実施形態では、差動信号経路は、ノイズを低減するのに役立ち得る。差動信号経路は、1つ又は複数の増幅器及びバッファを有する信号チェーンを含み得る。いくつかの実施形態では、差動信号経路は、第1のバンドパスフィルタ、第1の固定増幅器、可変ゲイン増幅器、第1のバッファ増幅器、第2のバンドパスフィルタ、及び第2のバッファ増幅器の順に含む。他の実施形態では、差動信号経路は、要素の他の組み合わせを含む。
【0055】
ステップ610において、超音波エコー信号はデジタル化され得る。いくつかの実施形態では、差動信号経路に沿って通過した後、超音波エコー信号は、PIM内のADCに伝送される。ADCは、超音波エコー信号をデジタル化するために使用され得る。次いで、デジタル化された超音波エコー信号は、PIM内のコントローラに伝送され得る。
【0056】
ステップ612において、デジタル化された超音波エコー信号は、イーサネット(登録商標)接続のために構成され得る。いくつかの実施形態では、これは、デジタル化された超音波エコー信号を、PIMのコントローラでイーサネット(登録商標)物理層(PHY)に伝送することを含む。ステップ612はまた、超音波エコー信号を、絶縁トランスを通ってイーサネット(登録商標)コネクタに送るステップを含み得る。
【0057】
ステップ614において、デジタル化された超音波信号は、イーサネット(登録商標)接続部を通って処理システムに伝送され得る。処理システムは、
図1に示すような処理システム160であり得る。ステップ614は、PIMと処理システムとの間に接続された1つ又は複数のイーサネット(登録商標)ケーブルを使用することによって実行され得る。処理システムは、患者の管腔の超音波画像を生成するようにデジタル化された超音波エコー信号をさらに処理するために使用され得る。
【0058】
ステップ616において、超音波エコー信号を表す超音波画像が、オプションで、ディスプレイ装置に表示され得る。ディスプレイ装置は、
図1に示すようなモニタ170と同様であり得る。例えば、画像は、血管のIVUS画像であり得る。
【0059】
当業者であれば、上述の装置、システム、及び方法は、様々な方法で変更可能であることを理解するであろう。従って、当業者は、本開示によって包含される実施形態が、上述の特定の例示的な実施形態に限定されないことを理解するであろう。その点に関し、例示的な実施形態が示され説明されたが、広範囲の修正、変更、及び置換が、前述の開示に考えられる。このような変更は、本開示の範囲から逸脱することなく、上記に加えることができることが理解される。従って、添付の特許請求の範囲は、広く、かつ、本開示と矛盾しない方法で解釈されることが適切である。