(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】加熱プレスの領域で空気を吸引するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B29C 33/02 20060101AFI20221215BHJP
B29C 33/10 20060101ALI20221215BHJP
B29C 35/02 20060101ALI20221215BHJP
B29L 30/00 20060101ALN20221215BHJP
【FI】
B29C33/02
B29C33/10
B29C35/02
B29L30:00
(21)【出願番号】P 2020542947
(86)(22)【出願日】2019-02-14
(86)【国際出願番号】 DE2019000036
(87)【国際公開番号】W WO2019158146
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-10-18
(31)【優先権主張番号】102018001333.3
(32)【優先日】2018-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513044038
【氏名又は名称】ハールブルク・フロイデンベルガー マシーネンバウ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】シュテーマン アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】エルトマン フォッコ
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-005669(JP,A)
【文献】特開平09-038996(JP,A)
【文献】特開2013-035213(JP,A)
【文献】特開2003-245923(JP,A)
【文献】特開昭59-042942(JP,A)
【文献】特開2003-053731(JP,A)
【文献】特開2008-168490(JP,A)
【文献】特開平11-320564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00-33/76
B29C 35/00-35/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱プレス(200)の領域において空気を
吸引する装置(100)であって、
多数の吸引装置(110)、少なくとも1つの
吸引ライン(120)、少なくとも1つの空気送出装置(130)、少なくとも1つの廃気処理装置(140)及び少なくとも1つの制御ユニットを有し、
吸引装置(110)は少なくとも1つの
吸引開口(111)を有する装置において、
前記制御ユニットの援助により調節可能な少なくとも1つのフラップ(150)が、少なくとも1つの
吸引ライン(120)の領域に配置され、それによりそれぞれの
吸引ライン(120)が完全に及び/又は徐々に閉じられ及び開かれ
、
前記少なくとも1つの廃気処理装置(140)が少なくとも1つの熱交換器(142)を有しており、
多数の前記吸引装置(110)はそれぞれ前記加熱プレス(200)に個々に割り当てられ、それぞれの前記加熱プレス(200)の領域に配置されている、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの廃気処理装置(140)が少なくとも1つのフィルター(141)を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記
吸引装置(110)の少なくとも1つが
吸引フードとして設計されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの
吸引装置(110)が、前記
吸引装置(110)の下側領域において外側領域に配置された少なくとも1つの
吸引開口(111)を有する、ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つの
吸引装置(110)の少なくとも1つの
吸引開口(111)が
吸引スロットとして設計されている、ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
加熱プレス(200)に割り当てられた様々な
吸引装置(110)での
吸引能力が、多数のフラップ(150)を制御することで及び/又は少なくとも1つの空気送出装置(130)の送出量を制御することで個々
に制御され及び/又は
調節されるように、少なくとも1つの制御ユニットが設計されている、ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
加熱プレス(200)に割り当てられた
吸引装置(110)の個々の
吸引能力が、前記加熱プレス(200)によって現在実行されている及び/又は次のステップとして実行される製造ステップに依存し
て制御され及び/又は
調節される、ことを特徴とする請求項1~
6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも1つの圧力センサ及び/又は少なくとも1つの温度センサを有し、
そこからの測定データが制御ユニットの援助により評価され、前記加熱プレス(200)によって現在実行されている製造ステップ及び/又は少なくとも1つの
吸引装置(110)での
吸引能力に対する現在の需要が決定される、ことを特徴とする請求項1~
7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記加熱プレス(200)は、タイヤ加熱プレスとして又はダブルタイヤ加熱プレスとして設計されている、ことを特徴とする請求項1~
8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記廃気処理装置(140)が、廃気内の揮発性有機化合物、埃、エアロゾル及び/又は有毒ガスの割合を減少させるように設計されている、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
請求項1~
10の
いずれか一項に記載の空気を
吸引する装置(100)を有する、ことを特徴とするタイヤを加硫するための加熱プレス(200)。
【請求項12】
加熱プレス(200)の領域において空気を
吸引する方法であって、
廃ガス及び空気が、少なくとも1つの加熱プレス(200)の領域において空気送出装置(
130)の援助により
吸引され、前記廃ガス及び前記空気からなる廃気が少なくとも1つ廃気処理を受ける方法において、
吸引能力が、前記加熱プレス(200)により実行されている製造ステップに依存して制御され
得、
前記廃気処理は、少なくとも1つの熱交換器(142)の使用を含み、
多数の吸引装置(110)が使用され、
多数の前記吸引装置(110)はそれぞれ、前記加熱プレス(200)に個々に割り当てられ、それぞれの前記加熱プレス(200)の領域に配置されている、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記廃気内に存在する熱エネルギーの回収が前記廃気処理の一部として実行される、ことを特徴とする請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~
10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの空気を
吸引する装置(100)が使用される、ことを特徴とする請求項
12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記廃気処理が、前記廃気内の揮発性有機化合物、埃、エアロゾル及び/又は有毒ガスの割合を減少させる、ことを特徴とする請求項12~14のいずれか一項に記載の
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱プレスの領域で空気を抽出(吸引)するための方法に関し、吸引された空気は吸引された空気に作用するための少なくとも1つの装置に供給される。
【0002】
本発明はさらに、吸引された空気に作用するための装置を具備した、加熱プレスの領域で空気を吸引するための装置に関する。
【0003】
特に本発明は、空気を吸引するための装置を装備したタイヤ加熱プレスに関する。
【背景技術】
【0004】
生タイヤ(グリーンタイヤ)を加硫するために、タイヤ加熱プレスが使用される。タイヤ加熱プレスは一般的に、加硫すべきタイヤが挿入される型を有する。生タイヤの及び加硫されたタイヤの操作によって及び加硫プロセスによって、多量のガス及び粒子が解放され、放出される。一方で、これらのガスは温かく又はそれどころか熱く、他方でそれらはさらに、環境及び/又は健康への潜在的にダメージを与える多数の成分をしばしば含む。
【0005】
特に、タイヤ加熱プレスから加硫されたタイヤを降ろすプロセスの間、ガス、粒子及び熱が解放され、これらは熱い完全に加熱されたタイヤから逃げ、廃気(exhaust air)を形成する。
【0006】
従業員保護及び環境保護に関する規則によって、この廃気を処理する必要がある。この規則の狙いは、揮発性有機化合物(VOC)、埃、エアロゾル及び有毒ガスに起因するユーザーへのストレス(負荷)を最小化することである。
【0007】
一般的な操作モードによれば、タイヤ加熱プレスは製造ショップのエリアでセットアップされ、廃気はショップの天井のエリアに上昇し、そこで排出又は吸引される。
【0008】
一方で、従来技術に従う方法及び装置は、排出又は吸引される前に環境に解放される有害物質をもたらす。他方でさらに、環境への、熱の形態の多大なエネルギー損失がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、環境友好性及び/又はエネルギー消費又はエネルギー効率への増大した要求が満たされるように、加熱プレスの領域で空気を吸引する方法を改良することである。
【0010】
本発明の別な目的は、最適化された操作条件が達成されるように、冒頭で述べたタイプの空気を吸引する装置を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、上述した目的は、特許請求項1に記載の空気を吸引する装置、特許請求項11に記載の加熱プレス及び特許請求項12に記載の空気を吸引する方法によって達成される。
【0012】
この目的のために、タイヤ加熱プレスの領域で空気を吸引する本発明に従う装置は、例えば排出管として設計されたそれぞれ少なくとも1つの吸引ラインを介して、少なくとも1つの空気送出装置に接続した少なくとも1つの吸引装置を有する。
【0013】
空気送出装置は、例えばファン/送風機として又はポンプとして具体化され、それにより真空が吸引装置の領域で創出され得る。
【0014】
吸引装置は少なくとも1つの吸引開口を有し、そこに前記少なくとも1つの吸引開口の領域における周囲空気が空気送出装置の援助により作られる真空によって吸引され得る。
【0015】
吸引装置の前記少なくとも1つの吸引開口に吸引される廃気は、前記少なくとも1つの吸引ラインを用いて少なくとも1つの廃気処理装置の領域に運ばれ得る。
【0016】
本発明によれば、前記廃気処理装置は好ましくは、少なくとも1つのフィルター及び/又は少なくとも1つの熱交換器を有する。
【0017】
本発明の1つの実施形態では、加熱プレスの領域で空気を吸引する装置は、少なくとも2つの廃気処理装置を有し、その各々が少なくとも1つのフィルター及び/又は少なくとも1つの熱交換器を有する。
熱交換器は好ましくは、フィンチューブ熱交換器又はコイル熱交換器として設計される。
【0018】
前記少なくとも1つの廃気処理装置は、廃気の流れ方向に対して前記少なくとも1つの空気送出装置の上流又は下流に配置されてもよい。
【0019】
本発明の特に好ましい実施形態では、フィルターは、廃気の流れ方向に対して、空気送出装置の上流に配置され、ゆえに廃気はフィルターを介して吸引される。
【0020】
本発明によれば、特に、複数のタイヤ加熱プレス又はダブルタイヤ加熱プレスの各々の領域に少なくとも1つの吸引装置を配置することも考慮する。当該装置はそれぞれ、少なくとも1つの吸引ラインを介して少なくとも1つの空気送出装置及び少なくとも1つの廃気処理装置に接続している。
【0021】
本発明によれば、少なくとも1つの空気送出装置の上流及び少なくとも1つの廃気処理装置を、それぞれのタイヤ加熱プレス又はダブルタイヤ加熱プレスに個々に割り当てることと、複数のタイヤ加熱プレス及び/又はダブルタイヤ加熱プレスのための少なくとも1つの中央空気送出装置及び/又は少なくとも1つの中央廃気処理装置を設置することの両方を考慮する。
【0022】
本発明によれば、少なくとも1つの空気送出装置及び/又は少なくとも1つの廃気処理装置の、少なくとも1つのタイヤ加熱プレス又はダブルタイヤ加熱プレスへの個々の割り当てを、複数のタイヤ加熱プレス及び/又はダブルタイヤ加熱プレスのための少なくとも1つの空気送出装置及び/又は1つの廃気処理装置の中央配置と組み合わせることも考慮する。
【0023】
流れ方向に少なくとも1つ空気送出装置の上流に配置されているのは、それぞれの接続したタイヤ加熱プレスのために、それぞれのタイヤ加熱プレスに割り当てられる前記少なくとも1つ吸引ライン内の少なくとも1つの制御可能なフラップである。
【0024】
フラップの援助により、それぞれの吸引ラインは完全に又は徐々に開閉することができる。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、フラップは制御ユニットに接続されており、それによりフラップの開口の程度が制御可能である。
【0026】
本発明の実施形態では、それぞれのタイヤ加熱プレスに割り当てられる少なくとも1つのフラップを制御するための制御ユニットは、それぞれのタイヤ加熱プレスに配置されている。
【0027】
本発明の特に好ましい実施形態では、フラップは、それぞれに割り当てられるタイヤ加熱プレスの援助により実行可能な製造ステップに依存して制御可能である。
【0028】
本発明の好ましい実施形態では、吸引ラインの開口が約0%、30%、50%、70%又は約100%まで実現可能であるように、フラップは作動可能である又はそれぞれの吸引ライン内のフラップの整列が調節可能である。
【0029】
加熱プレスの領域において空気を吸引する装置の本発明に従う実施形態の援助により、吸引された廃気のボリューム流れは、割り当てられるフラップの開口を制御することで、それぞれの少なくとも1つの空気送出装置の送出量(delivery rate)に依存して予め設定できる。
【0030】
本発明に従い、実行されるそれぞれのステップを考慮すると、廃気内のガス、粒子及び熱エネルギーの増加した集中がそれにより実現され、ゆえに廃気処理の効率が改善される。
【0031】
特に、熱エネルギー回復の増加した効率が実現される。
【0032】
加熱プレスの領域において空気を吸引する装置の本発明に従う1つの実施形態では、前記少なくとも1つの吸引装置が、特に好ましくは割り当てられるタイヤ加熱プレスの上方に配置される吸引フードとして設計される。
【0033】
本発明の1つの実施形態では、少なくとも1つの吸引装置が、吸引スロット(吸引隙間、吸引割れ目)として設計された少なくとも1つの吸引開口を有する。本発明の1つの好ましい実施形態では、前記吸引スロットは下方に開口している。
【0034】
本発明の1つの特に好ましい実施形態では、吸引フードとして設計された前記吸引装置は、吸引装置の下側で外側の周りに延在する吸引スロットとして設計された吸引開口を有する。
【0035】
本発明の1つの別な好ましい実施形態では、多数の吸引開口が吸引装置の下側に配置されており、特に好ましくは、これらは外側の周り延びる領域に一様に分配されて配置される。
【0036】
この目的のために、前記吸引フードは好ましくは二重壁に設計され、その結果、吸引フードの壁の間に配置された領域が吸引される空気のための案内構造として機能する。
【0037】
少なくとも1つの吸引開口を吸引装置の下側の縁で周囲領域に配置することで、強められた吸引効果がこれら領域で実現され、その結果、廃気に含まれる有毒ガスの又は高温ガスの、周囲空気又はショップ空気の領域への流出が効率的に防止され又は少なくとも著しく低減される。
【0038】
本発明の別な実施形態では、少なくとも1つの吸引装置が、タイヤ型を保持する又は取り囲むタイヤ加熱プレスの要素の領域に配置され、それにより廃気が加熱プレスの開口の領域で直接吸引できる。
【0039】
本発明の1つの好ましい実施形態では、少なくとも1つの吸引装置が、加熱プレスの開口に向いたコンテナの側に及び加熱プレスの開口に向いた型圧プレートの側にそれぞれ配置される。
【0040】
タイヤ加熱プレスに直接接続した吸引装置は好ましくは、それぞれの構成部品の外側縁の周りに延びる管であって、構成部品の周囲に沿って又は吸引装置の長手方向に分配された吸引開口を有する管として設計される。
【0041】
加熱プレスの領域にて空気を吸引する装置の本発明に従う別な実施形態では、少なくとも1つの付加的な吸引装置が備えられる。
【0042】
ここで、前記少なくとも1つの付加的な吸引装置は好ましくは、加熱プレスからちょうど取り外されたタイヤのための載置面の領域に及び/又は既に幾らか冷却されたタイヤが加熱プレスから離れて運ばれたコンベヤベルトの領域に配置される。
【0043】
本発明の1つの実施形態では、少なくとも1つのタイヤ加熱プレスに割り当てられる前記少なくとも1つの空気送出装置の送出量が制御可能である。
【0044】
本発明の好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの空気送出装置の送出量が、前記少なくとも1つの割り当てられるタイヤ加熱プレスの製造サイクルに依存して制御可能である。
【0045】
前記少なくとも1つの空気送出装置の送出量の制御は、例えば周波数制御によって実現可能である。
【0046】
本発明の1つの実施形態によれば、1つの吸引装置の吸引能力は、吸引装置に接続した吸引ラインの寸法決めによって少なくとも部分的に決定される。
【0047】
特に、加熱プレスの表面温度が確かに低下されるが、減少されすぎないように、吸引能力はまた特定される。
【0048】
本発明の1つの実施形態では、装置全体の電力消費を需要に応じて制御できる。
【0049】
本発明の1つの実施形態では、当該実施形態は、廃気システムの能力を調節及び/又は制御するための適切な制御ユニットと組み合わせて、少なくとも1つの圧力センサ及び/又は圧力スイッチ及び/又は温度センサを有する。
【0050】
システムの効率をさらに増大させるために、本発明の1つの実施形態では、廃熱が、別な工程のための、例えば加硫、温水の調製及び/又は建物の熱のためのヒートポンプによって使用できる。
【0051】
本発明に従う空気を吸引する装置は好ましくは、ショップ壁の又はショップ天井の又はショップ床の領域に配置される。
【0052】
さらに、本発明によれば、加熱プレスが少なくとも1つの構成部品として本発明に従う空気を吸引する装置を有することも考慮される。
【0053】
少なくとも1つのバリエーションでは、加熱プレスの領域で空気を吸引する本発明に従う方法は、放出される加熱ガス、粒子及び化合物の量に関する既存データを、タイヤ加熱プレスの援助により製造サイクルにおいて実行可能な全ての方法ステップの間時間の関数として使用し、廃気処理の効率及び/又は廃気からの熱回収を増加させる。
【0054】
ここで、製造サイクルは例えば、タイヤ加熱プレスの予熱/加熱、タイヤ加熱プレスの積載、タイヤ加熱プレスの閉じ、タイヤの加硫、タイヤ加熱プレスの開き及びタイヤ加熱プレスの荷下ろしの方法ステップを有する。
【0055】
製造サイクルの期間は約12分になり、ここで排ガスの主な量が製造サイクルの約25%の時間窓で生成され、解放される。
【0056】
煙及び/又は排ガスの大抵の形成は、製造サイクルの最初の2~4分においてしばしば発生する。
【0057】
加熱プレスの領域で空気を吸引する本発明に従う方法の1つの変形実施形態によれば、タイヤ加熱プレスに割り当てられるフラップ及び/又はタイヤ加熱プレスに割り当てられる空気送出装置の送出量が、排ガス量の増加につれて益々開かれ(フラップ)又は上昇され(送出量)、排ガス量の減少につれて益々閉じられ(フラップ)又は減少される(送出量)。
【0058】
1つの変形実施形態では、加熱プレスの領域で空気を吸引する本発明に従う方法は少なくとも以下のステップを含む。
【0059】
1. 空気送出装置の作動により空気流れを生成すること、
2. 加熱プレスの領域で吸引装置により空気を吸引すること、
3. タイヤ加熱プレスにより現在実行されている製造ステップ及び/又は製造サイクルにおける時間的な位置を読み取ること/認識すること、
4. タイヤ加熱プレスにより現在実行されている製造ステップに応じて及び/又は製造サイクルにおける時間的な位置に応じて必要な、フラップ位置の調節のための制御データを生成すること、
5. 吸引ラインの領域でタイヤ加熱プレスに割り当てられるフラップを制御し、ステップ3で決定されるフラップ位置に対応してフラップの領域で吸引ラインの開きの程度を調節すること、
6. フィルターを用いて少なくとも1つの吸引装置により吸い込まれる廃気をフィルタリングすること、及び/又は
7. 少なくとも1つの熱交換器を用いて廃気から熱エネルギーを回収すること。
【0060】
方法ステップ1,2,6及び7は、時間的に方法ステップ3,4及び5に依存せず、実質的に連続的に行われる。
【0061】
ステップ3及び4では、本発明によれば、フラップの制御のために、空気送出装置の制御を実行することも追加的に又はそれに代えてでき、タイヤ加熱プレスにより現在実行されている製造ステップに応じて及び/又は製造サイクルにおける時間的な位置に応じて配達ライン(delivery line)を制御することができる。
【0062】
方法ステップ3では、センサデータ、特に対応するセンサからの圧力データ及び/又は温度データが読み取られ及び評価され、及び/又は製造サイクルにおける時間的な位置及び/又は製造サイクルにおいて現在実行されている方法ステップがそれぞれのタイヤ加熱プレスの制御ユニットから読み取られる。
【0063】
特に好ましくは、加熱プレスの領域で空気を吸引する本発明に従う方法は、加熱プレスの領域で空気を吸引する本発明に従う装置を利用する。
【0064】
本発明によれば、少なくとも1つのフラップの及び/又は少なくとも1つの空気送出装置の送出量の制御及び/又は調節は、製造すべきタイヤ種類に依存して行うことも考えられる、と言うのも排ガスの量及びそれぞれの製造サイクルにおいて排ガスが発生する時間がタイヤ種類に応じて異なるからである。
【0065】
多数の加熱プレスを有するシステムにおいて個々の加熱プレスの排ガス流れの重ね合わせにより及びそれぞれの製造サイクルのオフセットにより、本発明に従う方法によって、比較的一様な全排ガス/廃気流れが生成され得る。
【0066】
加熱プレスの領域で空気を吸引する本発明に従う方法によって、廃気の量が減少し、それにより汚染物質の濃度及び廃気における排ガス(exhaust gas)からの熱エネルギーの濃度が増加される。
【0067】
本発明の1つの実施形態では、熱交換器により供給されるエネルギーは、製造ショップに供給される新鮮な空気を加熱するために使用される。ここで、1つの目的は、例えばショップ空気の領域の25℃~27℃の温度範囲である。
【0068】
熱帯性地域又は温かい気候を有する地域の領域では、熱交換器によって供給されるエネルギーは、空気調和装置を作動させるために利用される。本発明の1つの実施形態によれば、ヒートポンプの空気調和装置への直接一体化も同様に予定されている。
【0069】
本発明の実例の実施形態が図面に概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】タイヤ加熱プレスの領域における空気
吸引の実施に関連する概略図である。
【
図2】加熱プレスの領域における空気
吸引の別な設計の実施を示す図である。
【
図4】タイヤ加熱プレスにおいて直接
吸引を実施するための1つの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1において斜視図で描かれた、空気を
吸引する本発明に従う装置(100)の実施形態によれば、
吸引がタイヤ加熱プレス(200)の上で及び/又は隣接して又は後ろで行われる。タイヤ加熱プレス(200)はダブルタイヤ加熱プレスとして設計されている。
【0072】
空気を吸引する装置(100)は、吸引フードとして設計された2つの吸引装置(110)を有し、それらはそれぞれ吸引ライン(120)を介してポンプとして設計された空気送出装置(130)に接続している。
【0073】
吸引装置(110)のそれぞれの領域には、底部に、吸引開口(111)が配置されており、吸引開口は例えば、吸引装置(110)の外側縁の周りに延びる吸引スロットとして具体化されている。
【0074】
吸引ライン(120)がタイヤ加熱プレス(200)の上の中央に配置された吸引装置(110)に接続している領域では、フラップ(150)が吸引ライン(120)に配置されており、吸引ライン(120)が当該ラインの内側のフラップ位置によって徐々に開閉することができる。
【0075】
空気送出装置(130)の領域には、フィルター(141)と熱交換器(142)の両方を有する廃気処理装置(140)が配置されている。
【0076】
第2の吸引装置(110)はコンベヤベルト(240)の上方に配置されており、それによって完全に加硫された及び幾らか冷却されたタイヤがタイヤ加熱プレス(200)から離れて運搬される。
【0077】
図2における実施形態によれば、
吸引が同様に、タイヤ加熱プレス(200)の上で、隣接して又は後ろで行われる。ここでもまた、フラップ(150)の制御が、
吸引される空気の量の調節のために利用されてもよい。
【0078】
さらにまた、
図2に示された、加熱プレス(200)の領域で空気を
吸引する装置(100)の実施形態は、ヒートポンプ(143)を廃気処理装置(140)の領域に有する。
【0079】
図3に示される空気を
吸引する装置(100)の実施形態によれば、同様に、
吸引が加熱プレス(200)の上で、隣接して又は後ろでもたらされる。空気を
吸引する装置(100)は、この目的のために、5つの
吸引装置(110)を有する。
【0080】
2つの吸引装置(110)が、タイヤ加熱プレス(200)の上及びコンベヤベルト(240)の上に中央にさらに配置されている。追加の吸引装置(110)が載置面(230)の上に配置されており、その上に完全に加硫されたタイヤが、コンベヤベルト(240)上に運搬される前に冷却のために一時的に貯蔵される。2つの追加の吸引装置(110)が加熱プレス(200)に直接取り付けられ、吸引装置(110)の一方が開口の領域においてタイヤ加熱プレス(200)の下側に配置され、吸引装置(110)の他方が開口の領域においてタイヤ加熱プレス(200)の上側に配置されている。
【0081】
全ての吸引装置(110)は、吸引ライン(120)によって少なくとも1つの空気送出装置(130)に接続している。フラップ(150)が3つの吸引ライン(120)のそれぞれの領域に配置されている。
【0082】
本発明の1つの実施形態では、異なるフラップ(150)が、現在実行されている製造ステップ又は現在実行されている複数の製造ステップに従って制御され、それによりタイヤ加熱プレス(200)の対応する領域における廃ガスの局所的な発生に応じて、空気が多かれ少なかれ吸引される。
【0083】
タイヤが現在加硫されており又はそれぞれのタイヤ加熱プレス(200)がその後開かれる場合、本方法の及び本装置の本発明に従うバリエーションでは、タイヤ加熱プレス(200)の上に中央に配置された吸引装置(110)に割り当てられたフラップ(150)は、局所的な吸引能力を最大化するために広く又は最大に開かれている。
【0084】
加硫されたタイヤがその後載置面(230)に積載される場合、タイヤ加熱プレス(200)の上に中央に配置された吸引装置(110)に割り当てられたフラップ(150)は、幾らかさらに閉じられ、載置面(230)の上に配置された吸引装置(110)に割り当てられたフラップ(150)はさらに開かれる。
【0085】
加硫されたタイヤが次にコンベヤベルト(240)上に積載される場合、タイヤ加熱プレス(200)の上に中央に配置された吸引装置(110)に割り当てられたフラップ(150)は、場合によってはさらに幾らか閉じられてもよく、載置面(230)の上に配置された吸引装置(110)に割り当てられたフラップ(150)は再び閉じられ、コンベヤベルト(240)の上に配置された吸引装置(110)に割り当てられたフラップ(150)は広く開かれる。
【0086】
一旦、加硫されたタイヤがコンベヤベルト(240)の援助により搬出されると、コンベヤベルト(240)の上に配置された吸引装置(110)に割り当てられたフラップ(150)は再び閉じられる。
【0087】
フラップ位置の制御に関連して、本発明の1つの実施形態では、空気送出装置(130)の送出量の需要に依存した制御が実施されている。
【0088】
図4は、斜視の詳細図にて、それぞれがポンプとして設計された2つの空気送出装置(130)、関連するフィルター(141)及び熱交換器(142)を使用する際の、タイヤ加熱プレス(200)における
吸引を直接示す。
【0089】
タイヤ加熱プレス(200)の上部分には、リング状に周りに延びる吸引装置(110)が、コンテナ(220)の下側端部の領域に配置されている。タイヤ加熱プレス(200)の下側部分の周りには、リング状に周りに延びる吸引装置(110)が、型圧力板(210)の領域に配置されている。
【0090】
リング状に周りに延びる吸引装置(110)は、その延長に沿って多数の吸引開口(111)を有し、そこに廃気が吸い込まれる。
【符号の説明】
【0091】
100 空気を吸引する装置
110 吸引装置
111 吸引開口
120 吸引ライン
130 空気送出装置
140 廃気処理装置