(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】チオフェン[3,2-d]ピリミジン-4-ケトン系化合物の医薬用途
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20221215BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20221215BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P1/16
A61P43/00 111
A61P43/00 105
(21)【出願番号】P 2020547088
(86)(22)【出願日】2019-03-08
(86)【国際出願番号】 CN2019077560
(87)【国際公開番号】W WO2019170157
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】201810194967.6
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513299225
【氏名又は名称】上海 インスティテュート オブ マテリア メディカ、チャイニーズ アカデミー オブ サイエンシーズ
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI INSTITUTE OF MATERIA MEDICA, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】555 Zuchongzhi Road, Zhangjiang, Pudong, Shanghai 201203 China
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ホン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジア
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジアン
(72)【発明者】
【氏名】ザン,イ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジアン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジンヤ
(72)【発明者】
【氏名】サン,ダンダン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,フアリャン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,カイシアン
【審査官】鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-500211(JP,A)
【文献】HEPATOLOGY,2011年,Vol.54,No.4,SUPPL,pp.745A-746A
【文献】HEPATOLOGY,2014年,Vol. 60,No.4,Suppl.1,Sp.Iss.SI,pp.574 A-575A
【文献】HEPATOLOGY,2015年,Vol. 62,Supp.SUPPL.1,pp.884A
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61P 1/16
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)に示されるチオフェン[3,2-d]ピリミジン-4-ケトン(Thiophene[3,2-d]pyrimidine-4-ketone)系化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、
または互変異性体
を含む医薬組成物であって、
肝線維症の治療および/または予防のための薬物の調製に使用され、
【化1】
Nは、1~3の整数であり、
R
1、R
2は、異なっており、それぞれ独立に水素またはCOOR
8であり、
R
8は、水素、またはC1~C6直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、
R
3は、3-7員の窒素含有ヘテロシクリル基であり、かつアミノ基1個で置換され、
R
4、R
5は、同一または異なっており、それぞれ独立に水素またはシアノ基である、前記
医薬組成物。
【請求項2】
Nは、1であり、
R
1、R
2は、異なっており、それぞれ独立に水素またはCOOR
8であり、
R
8は、水素またはメチル基であり、
R
3は、3-7員の窒素含有ヘテロシクリル基であり、かつアミノ基1個で置換され、
R
4、R
5は、異なっており、それぞれ独立に水素またはシアノ基である、
請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項3】
n=1であり、
R
1、R
2は、異なっており、それぞれ独立に水素またはCOOR
8であり、
R
8は、水素またはC1~C3直鎖もしくは分岐鎖アルキル基であり、
R
3は、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、またはホモピペラジニル基であり、かつアミノ基1個で置換され、
R
4、R
5は、異なっており、それぞれ独立に水素またはシアノ基である、
請求項2に記載の
医薬組成物。
【請求項4】
前記一般式(I)に示されるチオフェン[3,2-d]ピリミジン-4-ケトン系化合物は、以下の化合物から選択されることを特徴とする
請求項1に記載の
医薬組成物。
【表1】
【請求項5】
前記薬物はさらに、薬学的に許容される担体を含むことを特徴とする
請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項6】
前記薬学的に許容される担体は、希釈剤、賦形剤、充填剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、吸収促進剤、界面活性剤、吸着担体、潤滑剤からなる群から選択されることを特徴とする
請求項5に記載の
医薬組成物。
【請求項7】
前記チオフェン[3,2-d]ピリミジン-4-ケトン系化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、互変異性体または前記薬物は、錠剤、散剤、丸剤、注射剤、カプセル剤、フィルム剤、坐剤、軟膏または顆粒剤に調製されることを特徴とする
請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項8】
前記治療とは、
(1)α-SMA発現をダウンレギュレートし、
(2)Col1α1 mRNA発現をダウンレギュレートし、
(3)肝臓中のコラーゲンの沈着を減らし、
(4)ALTレベルを下げ、
(5)ASTレベルを下げ、
(6)肝臓組織中のヒドロキシプロリン(hydroxyproline)含有量を減らし、または
(7)肝星細胞(HSC)の活性化を阻害することを指すことを特徴とする
請求項1に記載の
医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チオフェン[3,2-d]ピリミジン-4-ケトン(Thiophene[3,2-d]pyrimidine-4-ketone)系化合物の薬物用途に関し、具体的に、肝線維症およびその関連疾患の治療および/または予防のための薬物の調製における用途に関する。
【背景技術】
【0002】
肝線維症(Liver fibrosis)は、ウイルス性肝炎、化学毒素または薬物性肝疾患、アルコール性/非アルコール性脂肪肝、自己免疫性肝疾患および先天性代謝疾患などを含むさまざまな病原因子が肝臓に関与した後に肝臓で発生する慢性損傷修復反応である。非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および肝線維症は、肝臓の細胞外基質の過度の異常として現れる、肝機能に影響を与える、さまざまな病原因子によって引き起こされる肝内結合組織の異常な過形成および慢性肝障害によって引き起こされる病理の変化を指し、慢性肝疾患が肝硬変に発展するのに必要な段階である。いずれの肝臓障害は、肝臓の修復や治癒の過程で肝線維症の過程があり、長期間にわたって損傷因子を取り除くことができなければ、線維化の過程は引き続き肝硬変に発展する。現在、中国にはさまざまな種類の肝疾患を持つ2億人を超える患者がいる。その中、B型肝炎ウイルスキャリアは約9300万人、C型肝炎ウイルスキャリアは約4000万人、脂肪肝患者は約1億2千万人がいる。中国の飲食構造や生活習慣の変化に伴い、脂肪肝の発生率は近年急増しており、発症は徐々に若くなっている。子供の脂肪肝の有病率は2.6%と高く、若者はわずか6歳である。疾患の長期経過を伴う慢性肝疾患患者の70%以上が肝線維症を患っており、10年以内に肝線維症の25%がさらに肝硬変に進行し、そのうち5%が肝癌に進行する可能性がある。 肝疾患は患者や家族に多大な苦痛をもたらすだけでなく、社会に非常に大きな経済的負担を引き起こす。
【0003】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と肝線維症の病因は比較的に複雑で、さまざまな酵素と受容体に関連している。現在、肝線維症は、肝臓でのコラーゲンたんぱく質などの細胞外マトリックス(ECM)の生成と分解が不均衡であり、肝臓の線維性結合組織の異常な沈着を引き起こした可逆的な病理学的プロセスであると考えられ、肝臓の修復と瘢痕形成の動的バランスを反映する。肝線維症の病因は深まりつつありますが、肝線維症を逆転させるための効果的な治療法はまだ欠如しており、抗肝線維症薬物の開発も非常に遅い。現在、FXRアゴニストのオベチコール酸(OCA)は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および肝線維症の治療に最も臨床的に使用されている。胆汁うっ滞性肝硬変の治療のために、オベチコール酸のみが2016年6月FDAによって迅速に承認された。ステロイド系化合物のオベチコール酸は、核内受容体ファミリーのファルネソール(farnesol)X受容体FXRアゴニストである。FXRは内因性胆汁酸受容体として、胆汁酸、糖、脂質代謝、炎症およびその他のプロセスの調節に広く関与している。FXRは作動された後、CYP7A1の遺伝子発現を間接的に阻害でき、胆汁酸の合成を阻害して、原発性胆汁うっ滞性肝硬変を治療し、肝門脈圧亢進症によって引き起こされる肝腹水の症状を緩和し、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に関する治療研究は、臨床第III相を完了した。
【0004】
しかし、2型糖尿病の肥満患者の70%は非アルコール性脂肪性肝疾患NAFLDを患っており、30-40%は非アルコール性脂肪性肝炎NASHを患っている。オベチコール酸は前期の動物モデルでインスリン抵抗性を低下させることが示され、2型糖尿病の臨床試験と組み合わせた非アルコール性脂肪性肝疾患のOCAの完了したフェーズII評価では、症例数と研究時間は比較的短いものの、結果は、OCAがFXRを活性化して非アルコール性脂肪肝および糖尿病患者のインスリン感受性を改善することを示した。しかし、その有効性は大規模な臨床試験によって証明される必要がある。
【0005】
ジペプチジルペプチダーゼ-4(Dipeptidyl peptidase-4、DPP-4)は、110 kDaの細胞表面セリンプロテアーゼで、T細胞表面抗原CD26とも呼ばれる。それは、細胞膜上にホモダイマーとして存在する多機能酵素で、アミノ末端の2番目のアミノ酸がアラニン(Ala)またはプロリン(Pro)であるオリゴペプチドを認識し、アミノ末端の最初の2つのアミノ酸は切り取られて削除され、切断可能な基質には、成長因子、ケモカイン、神経ペプチド、血管作動性ペプチドなどが含まれる。GLP-1を切断することができるため、糖代謝に重要な役割を果たす。2型糖尿病の治療のために、多くのDPP-4阻害剤が上市されている。現在、DPPIV阻害剤であるevogliptin(韓国)は、NASHの治療を目的として米国で第I相臨床試験を実施中である。研究では、DPP-4阻害剤が臨床使用中に非アルコール性脂肪肝疾患NAFLDおよび非アルコール性脂肪肝疾患NASHを伴う糖尿病患者に優れた治療効果があることを示す。したがって、より優れたDPP-4選択性を備えた薬物の開発は、間違いなく、非アルコール性脂肪性肝疾患NAFLD、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および肝線維症の治療のための良い市場展望を持っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、肝線維症および関連疾患の治療および/または予防のための薬物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、肝線維症およびその関連疾患の治療および/または予防のための薬物の調製に使用され、DPP-4阻害剤の調製に使用され、またはDPP-4阻害剤として使用される一般式(I)に示されるチオフェン[3,2-d]ピリミジン-4-ケトン系化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、互変異性体の用途であって、
【化1】
Nは、1~3の整数であり、
【0008】
R
1、R
2は、同一または異なっており、かつ同時に水素ではなく、それぞれ独立に水素、ハロゲン(Halogen)、CBr
2H、CCl
2H、CF
2H、シアノ基(Cyano group)、CF
3、アルデヒド基(Aldehyde group)、(CH
2)
mOR
6、(CH
2)
mNR
6R
7、
【化2】
(CH
2)
mCOOR
8、CONR
9R
10、
【化3】
であり、
R
1、R
2は、非必須に結合して、C3~C6アルキレン基(Alkylene group)を形成し、
mは、0~3の整数であり、
【0009】
R6、R7は、同一または異なっており、それぞれ独立に水素、C1~C6直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和ヒドロカルビル基(hydrocarbyl group)、C3~C7シクロヒドロカルビル基(Cyclo hydrocarbyl group)、C1~C3アルコキシ基(Alkoxy group)、4~7員のヘテロシクリル基(Heterocyclic group)、C1~C4アルキルアシル基(Alkyl acyl)RCO、C5~C7アリールアシル基(Aryl acyl)ArCO、C1~C4アルキルスルホニル基(Alkyl sulfonyl)RSO2、C5~C7アリールスルホニル基(Aryl sulfonyl)ArSO2、C5~C7アリールアシルメチレン基(Aryl acyl methylene group)、5~7員のヘテロアリールアシルメチレン基(Heteroaryl acyl methylene group)、ベンジル基(Benzyl)、ピリジンジメチレン基(Pyridine dimethylene)、C5~C7アリール基Arまたは5~7員のヘテロアリール基(Heteroaryl group)から選択され、前記C1~C6直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和ヒドロカルビル基は、任意にメタンスルホニル基(Methanesulfonyl group)、シクロプロピル基(Cyclopropyl group)、ヒドロキシル基(Hydroxyl group)、C1~C3アルコキシ基(Alkoxy group)、C1~C3アルコキシカルボニル基(Alkoxycarbonyl group)、プロピレンオキシド基(Propylene oxide group)から選択される1つまたは複数の基で置換され、前記ヘテロシクリル基は、酸素、硫黄および窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロシクリル基におけるメチレン基は、カルボニル基またはスルホニル基で置換され、または前記ヘテロシクリル基は、任意にハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基、シアノ基、ニトロ基(Nitro group)、アミノ基(Amino group)、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基(Hydroxymethyl group)、トリフルオロメチル基(Trifluoromethyl group)、トリフルオロメトキシ基(Trifluoromethoxy group)、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、C1~C4アルコキシカルボニル基、スルフヒドリル基(Sulfhydryl group)、C1~C4アシル基およびC5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換され、前記アリール基またはベンジル基は、任意にハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1~C4アシル基およびC5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換され、前記ヘテロアリール基は、酸素、硫黄および窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み、任意にフェニル基(Phenyl group)またはC5~C7ヘテロアリール基と併合され、またはハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1~C4アシル基およびC5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換され、
R8は、水素、C1~C6直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和ヒドロカルビル基、C3~C7シクロヒドロカルビル基から選択され、
【0010】
R
9、R
10は、同一または異なっており、それぞれ独立に水素、
【化4】
C1~C6直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和ヒドロカルビル基、C3~C7シクロヒドロカルビル基、C4~C7ヘテロシクリル基、C5~C7アリールアシルメチレン基、5~7員のヘテロアリールアシルメチレン基、ベンジル基、ピリジンジメチレン基、C5~C7アリール基Arまたは5~7員のヘテロアリール基から選択され、前記C1~C6直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和ヒドロカルビル基は、任意にメタンスルホニル基、シクロプロピル基、ヒドロキシル基、C1~C3アルコキシ基、C1~C3アルコキシカルボニル基、プロピレンオキシド基から選択される1つまたは複数の基で置換され、前記ヘテロシクリル基は、酸素、硫黄および窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロシクリル基におけるメチレン基は、任意にカルボニル基またはスルホニル基で取り替えられ、または任意にハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1~C4アシル基およびC5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換され、前記アリール基またはベンジル基は、任意にハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1~C4アシル基およびC5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換され、前記ヘテロアリール基は、酸素、硫黄および窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み、任意にフェニル基またはC5~C7ヘテロアリール基と併合され、またはハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1~C4アシル基およびC5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換され、
Pは、0~2の整数であり、
【0011】
R11、R12、R13は、同一または異なっており、それぞれ独立に水素、C1~C6直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和ヒドロカルビル基、C3~C7シクロヒドロカルビル基、フェニル基またはベンジル基から選択され、前記フェニル基またはベンジル基は、任意にハロゲン、C1~C3直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基から選択される1つまたは複数の基で置換され、
【0012】
【化5】
は、3-7員の窒素含有ヘテロシクリル基であり、前記ヘテロシクリル基はさらに、酸素、硫黄および窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロシクリル基におけるメチレン基は、任意にカルボニル基またはスルホニル基で取り替えられ、かつ任意に水素、C1-C6直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、アミド基(Amido group)、カルボキシレート基(Carboxylate group)、C1-C4アルコキシカルボニル基、スルフヒドリル基、C1~C4アルコキシ基およびヒドロキシルアミノ基(Hydroxylamino group)から選択される1~5個の基で置換され、
【0013】
R
3は、NR
14R
15または
【化6】
から選択され、R
14、R
15は、同一または異なっており、それぞれ独立に水素、C1~C6直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和ヒドロカルビル基およびヒドロカルビルオキシ基(Hydrocarbyloxy group)、C3~C7シクロヒドロカルビル基、C1~C6ヒドロカルビルアミノ基、C1~C6ヒドロカルビルアミノヒドロキシ基、C1~C6ヒドロカルビルアミジノ基(Hydrocarbylamidino)、C1~C6ヒドロカルビルグアニジノ基(Hydrocarbylguanidino)、ベンジル基、C5~C7アリール基Arまたは5~7員のヘテロアリール基であり、かつ前記ヘテロアリール基は、酸素、硫黄、窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み、任意にフェニル基またはC5~C7ヘテロアリール基と併合され、またはハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1~C4アシル基、C5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換され、
【0014】
【化7】
は、3-7員の窒素含有ヘテロシクリル基であり、前記ヘテロシクリル基はさらに酸素、硫黄および窒素から選択される1~4個のヘテロ原子を含み、かつ水素、C1-C6直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、アミド基、カルボキシレート基、C1-C4アルコキシカルボニル基(Alkoxycarbonyl group)、スルフヒドリル基、アミジノ基(Amidino group)、グアジニル基(Guadinyl group)およびヒドロキシルアミノ基(Hydroxyamino group)から選択される1~5個の基で置換され、
【0015】
R4、R5は、同一または異なっており、それぞれ独立に水素、ハロゲン、C1-C6直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1-C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1-C4アシル基、C1-C4スルホニル基、C1-C4スルホンアミド基(Sulfonamide group)、アミノアシル基(Aminoacyl group)またはC1-C4直鎖または分岐鎖アルキル基(Alkyl group)で置換されたスルホニル基であり、
前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であることを特徴とする、前記用途を提供する。
【0016】
別の好ましい例では、R
1、R
2は、同一または異なっており、同時に水素ではなく、R
1は、水素、CBr
2H、CCl
2H、CF
2H、シアノ基、CF
3、アルデヒド基、(CH
2)
mOR
6、(CH
2)
mNR
6R
7、
【化8】
(CH
2)
mCOOR
8、CONR
9R
10または
【化9】
であり、R
2は、水素、ハロゲン、CBr
2H、CCl
2H、CF
2H、シアノ基、CF
3、アルデヒド基、(CH
2)
mOR
6、(CH
2)
mNR
6R
7、
【化10】
(CH
2)
mCOOR
8、CONR
9R
10または
【化11】
であり、
または、R
1、R
2は、非必須に結合して、C3~C6アルキレン基を形成する。
別の好ましい例では、前記関連疾患は、非アルコール性脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎および肝線維症からなる群から選択される。
好ましくは、一般式(I)化合物において、
nは、1であり、
【0017】
R
1、R
2は、同一または異なっており、同時に水素ではなく、それぞれ独立に水素、ハロゲン、CBr
2H、CCl
2H、CF
2H、シアノ基、CF
3、アルデヒド基、(CH
2)
mOR
6、(CH
2)
mNR
6R
7、
【化12】
(CH
2)
mCOOR
8、CONR
9R
10、
【化13】
であることができ、
R
1、R
2は、非必須に結合して、C3~C6アルキレン基を形成し、
mは、0~3の整数であり、
【0018】
R6、R7は、同一または異なっており、それぞれ独立に水素、C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基、C3~C7シクロアルキル基(Cycloalkyl group)、C1~C3アルコキシ基、4~7員のヘテロシクリル基、C1~C4アルキルアシル基RCO、C5~C7アリールアシル基ArCO、C1~C4アルキルスルホニル基RSO2、C5~C7アリールスルホニル基ArSO2、C5~C7アリールアシルメチレン基、5~7員のヘテロアリールアシルメチレン基、ベンジル基、ピリジンジメチレン基、C5~C7アリール基Arまたは5~7員のヘテロアリール基から選択され、前記C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基は、任意にメタンスルホニル基、シクロプロピル基、ヒドロキシル基、C1~C3アルコキシ基、C1~C3アルコキシカルボニル基、プロピレンオキシド基から選択される1つまたは複数の基で置換され、前記ヘテロシクリル基は、酸素、硫黄および窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み、前記アリール基またはベンジル基は、任意にハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1~C4アシル基およびC5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換され、前記ヘテロアリール基は、酸素、硫黄および窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み、任意にフェニル基またはC5~C7ヘテロアリール基と併合され、またはハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1~C4アシル基およびC5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換され、
R8は、水素、C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基から選択され、
【0019】
R
9、R
10は、同一または異なっており、それぞれ独立に水素、
【化14】
C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基、C3~C7シクロアルキル基、4~7員のヘテロシクリル基、C5~C7アリールアシルメチレン基、5~7員のヘテロアリールアシルメチレン基、ベンジル基、ピリジンジメチレン基、C5~C7アリール基Arまたは5~7員のヘテロアリール基から選択され、前記C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基は、任意にメタンスルホニル基、シクロプロピル基、ヒドロキシル基、C1~C3アルコキシ基、C1~C3アルコキシカルボニル基、プロピレンオキシド基から選択される1つまたは複数の基で置換され、前記ヘテロシクリル基は、酸素、硫黄および窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み、かつ前記ヘテロシクリル基におけるメチレン基は、任意にカルボニル基またはスルホニル基で取り替えられ、または前記ヘテロシクリル基は、任意にハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1~C4アシル基およびC5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換され、前記アリール基またはベンジル基は、ハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1~C4アシル基およびC5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換んされることができ、前記ヘテロアリール基は、酸素、硫黄および窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み、任意にフェニル基またはC5~C7ヘテロアリール基と併合され、またはハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1~C4アシル基およびC5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換され、
pは、0~2の整数であり、
【0020】
R11、R12、R13は、同一または異なっており、それぞれ独立に水素、C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基、C3~C7シクロアルキル基、フェニル基またはベンジル基から選択され、前記フェニル基またはベンジル基は、任意にハロゲン、C1~C3直鎖または分岐鎖アルキル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基から選択される1つまたは複数の基で置換され、
【0021】
【化15】
は、3-7員の窒素含有ヘテロシクリル基であり、前記ヘテロシクリル基はさらに、酸素、硫黄および窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロシクリル基におけるメチレン基は、任意にカルボニル基またはスルホニル基で取り替えられ、かつ水素、C1-C6直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、アミド基、カルボキシレート基、C1-C4アルコキシカルボニル基、スルフヒドリル基、C1~C4アルコキシ基およびヒドロキシルアミノ基から選択される1~5個の基で置換され、
【0022】
R
3は、NR14R15または
【化16】
から選択され、R
14、R
15は、同一または異なっており、それぞれ独立に水素、C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基およびアルコキシ基、C3~C7シクロアルキル基、C1~C6アルキルアミノ基(Alkylamino group)、C1~C6アルキルアミノヒドロキシ基(Alkylaminohydroxy group)、C1~C6アルキルアミジノ基(Alkylamidino)、C1~C6アルキルグアジニル基(Alkylguadinyl)、ベンジル基、C5~C7アリール基Arまたは5~7員のヘテロアリール基であり、かつ前記ヘテロアリール基は、酸素、硫黄、窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み、任意にフェニル基またはC5~C7ヘテロアリール基と併合され、またはハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1~C4アシル基、C5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換され、
【0023】
【化17】
は、3-7員の窒素含有ヘテロシクリル基であり、前記ヘテロシクリル基はさらに、酸素、硫黄および窒素から選択される1~4個のヘテロ原子を含み、かつ水素、C1-C6直鎖または分岐鎖アルキル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、アミド基、カルボキシレート基、C1-C4アルコキシカルボニル基、スルフヒドリル基、アミジノ基、グアジニル基およびヒドロキシルアミノ基から選択される1~5個の基で置換され、
【0024】
R4、R5は、同一または異なっており、それぞれ独立に水素、ハロゲン、C1-C6直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1-C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1-C4アシル基、C1-C4スルホニル基、C1-C4スルホンアミド基、アミノアシル基またはC1-C4直鎖または分岐鎖アルキル基で置換されたスルホニル基であり、
前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。
より好ましくは、一般式(I)化合物において、
nは、1であり、
【0025】
R
1、R
2は、同一または異なっており、同時に水素ではなく、それぞれ独立に水素、ハロゲン、CBr
2H、CCl
2H、CF
2H、シアノ基、CF
3、アルデヒド基、(CH
2)
mOR
6、(CH
2)
mNR
6R
7、
【化18】
(CH
2)
mCOOR
8、CONR
9R
10、
【化19】
であることができ、
R
1、R
2は、非必須に結合して、C3~C6アルキレン基を形成し、
mは、0~3の整数であり、
【0026】
R6、R7は、同一または異なっており、それぞれ独立に水素、C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基、C3~C7シクロアルキル基、C1~C3アルコキシ基、4~7員のヘテロシクリル基、C1~C4アルキルアシル基RCO、C5~C7アリールアシル基ArCO、C1~C4アルキルスルホニル基RSO2、C5~C7アリールスルホニル基ArSO2、C5~C7アリールアシルメチレン基、5~7員のヘテロアリールアシルメチレン基、ベンジル基、ピリジンジメチレン基、C5~C7アリール基Arまたは5~7員のヘテロアリール基から選択され、前記C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基は、任意にメタンスルホニル基、シクロプロピル基、ヒドロキシル基、C1~C3アルコキシ基、C1~C3アルコキシカルボニル基、プロピレンオキシド基から選択される1つまたは複数の基で置換され、前記ヘテロシクリル基は、酸素、硫黄および窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み、前記アリール基またはベンジル基は、任意にハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1~C4アシル基およびC5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換され、前記ヘテロアリール基は、酸素、硫黄および窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み、任意にフェニル基またはC5~C7ヘテロアリール基と併合され、またはハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1~C4アシル基およびC5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換され、
R8は、水素、C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基から選択され、
【0027】
R
9、R
10は、同一または異なっており、それぞれ独立に水素、
【化20】
C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基、C3~C7シクロアルキル基、4~7員のヘテロシクリル基、C5~C7アリールアシルメチレン基、5~7員のヘテロアリールアシルメチレン基、ベンジル基、ピリジンジメチレン基、C5~C7アリール基Arまたは5~7員のヘテロアリール基から選択され、前記C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基は、任意にメタンスルホニル基、シクロプロピル基、ヒドロキシル基、C1~C3アルコキシ基、C1~C3アルコキシカルボニル基、プロピレンオキシド基から選択される1つまたは複数の基で置換され、前記ヘテロシクリル基は、酸素、硫黄および窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み、かつ前記ヘテロシクリル基におけるメチレン基は、任意にカルボニル基またはスルホニル基で取り替えられ、または前記ヘテロシクリル基は、任意にハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1~C4アシル基およびC5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換され、前記アリール基またはベンジル基は、ハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1~C4アシル基およびC5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換んされることができ、前記ヘテロアリール基は、酸素、硫黄および窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み、任意にフェニル基またはC5~C7ヘテロアリール基と併合され、またはハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1~C4アシル基およびC5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換され、
pは、0~2の整数であり、
【0028】
R11、R12、R13は、同一または異なっており、それぞれ独立に水素、C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基、C3~C7シクロアルキル基、フェニル基またはベンジル基から選択され、前記フェニル基またはベンジル基は、任意にハロゲン、C1~C3直鎖または分岐鎖アルキル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基から選択される1つまたは複数の基で置換され、
【0029】
【化21】
は、3-7員の窒素含有ヘテロシクリル基であり、前記ヘテロシクリル基はさらに、酸素、硫黄および窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロシクリル基におけるメチレン基は、任意にカルボニル基またはスルホニル基で取り替えられ、かつ水素、C1-C6直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、アミド基、カルボキシレート基、C1-C4アルコキシカルボニル基、スルフヒドリル基、C1~C4アルコキシ基およびヒドロキシルアミノ基から選択される1~5個の基で置換され、
【0030】
R
3は、NR14R15または
【化22】
から選択され、R14、R15は、同一または異なっており、それぞれ独立に水素、C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基およびアルコキシ基、C3~C7シクロアルキル基、C1~C6アルキルアミノ基、C1~C6アルキルアミノヒドロキシ基、C1~C6アルキルアミジノ基、C1~C6アルキルグアジニル基、ベンジル基、C5~C7アリール基Arまたは5~7員のヘテロアリール基であり、かつ前記ヘテロアリール基は、酸素、硫黄、窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み、任意にフェニル基またはC5~C7ヘテロアリール基と併合され、またはハロゲン、C1~C6直鎖または分岐鎖アルキル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1~C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1~C4アシル基、C5~C7アリール基Arから選択される1つまたは複数の基で置換され、
【0031】
【化23】
は、3-7員の窒素含有ヘテロシクリル基であり、前記ヘテロシクリル基はさらに、酸素、硫黄および窒素から選択される1~4個のヘテロ原子を含み、かつ水素、C1-C6直鎖または分岐鎖アルキル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、アミド基、カルボキシレート基、C1-C4アルコキシカルボニル基、スルフヒドリル基、アミジノ基、グアジニル基およびヒドロキシルアミノ基から選択される1~5個の基で置換され、
【0032】
R
4、R
5は、同一または異なっており、それぞれ独立に水素、ハロゲン、C1-C6直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、C1-C4アルコキシ基、スルフヒドリル基、C1-C4アシル基、C1-C4スルホニル基、C1-C4スルホンアミド基、アミノアシル基またはC1-C4直鎖または分岐鎖アルキル基で置換されたスルホニル基であり、
前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。
さらに好ましくは、一般式(I)化合物において、
n=1であり、
R
1、R
2は、同一または異なっており、同時に水素ではなく、それぞれ独立に水素、ハロゲン、(CH
2)
mCOOR
8、CONR
9R
10、
【化24】
であり、
mは、0~3の整数であり、
R
8は、水素またはC1~C3直鎖または分岐鎖アルキル基から選択され、
【0033】
R9、R10は、同一または異なっており、それぞれ独立に水素、C1~C3直鎖または分岐鎖アルキル基、C3~C6シクロアルキル基、C4~C6ヘテロシクリル基、フェニル基または5~7員のヘテロアリール基から選択され、前記C1~C3直鎖または分岐鎖アルキル基は、任意にC1~C3アルコキシカルボニル基で置換され、前記ヘテロシクリル基は、酸素、硫黄および窒素から選択される1つのヘテロ原子を含み、前記ヘテロアリール基は、酸素、硫黄および窒素から選択される1つのヘテロ原子を含み、
【0034】
【化25】
は、ピロリジニル基(Pyrrolidyl group)、ピペリジニル基(Piperidinyl group)、モルホリニル基(Morpholinyl group)、ピペラジニル基(Piperazinyl group)、ホモピペラジニル基(Homopiperazinyl group)またはチオモルホリニル基(Thiomorpholinyl group)であり、かつ任意に水素、C1-C3直鎖または分岐鎖アルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル基およびC1-C4アルコキシカルボニル基から選択される1~2個の基で置換され、
R
3は、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリニル基、ピペラジニル基、ホモピペラジニル基またはチオモルホリニル基であり、かつシアノ基、アミノ基またはヒドロキシル基で置換され、
R
4、R
5は、同一または異なっており、それぞれ独立に水素、フッ素、塩素、臭素、メチル基(Methyl group)、エチル基(Ethyl group)、シアノ基またはヒドロキシル基である。
本発明における最も好ましいチオフェン[3,2-d]ピリミジン-4-ケトン系化合物は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、互変異性体、プロドラッグを含み、以下の化合物から選択される。
【表1-1】
【表1-2】
【0035】
本発明における最も好ましい化合物は、(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノ基ベンジル基)-4-カルボニル-3,4ジヒドロチオフェン[3,2-d]ピリミジン-6カルボン酸((R)-methyl-2-(3-aminopiperidin-1-yl)-3-(2-cyanobenzyl)-4-carbonyl-3,4-dihydrothiophene[3,2-d]pyrimidine-6 carboxylic acid)(DC291407)であり、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、互変異性体を含む。
【0036】
本発明における別の好ましい化合物は、(R)-2-(3- アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノ基ベンジル基)-4-カルボニル-3,4ジヒドロチオフェン[3,2-d]ピリミジン-6カルボン酸((R)-2-(3-aminopiperidin-1-yl)-3-(2-cyanobenzyl)-4-carbonyl-3,4-dihydrothiophene[3,2-d]pyrimidine-6 carboxylic acid)(DC291410)であり、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、互変異性体を含む。
【0037】
前記薬学的に許容される塩は、本発明の化合物と無機酸または有機酸の反応による、従来の薬学的に許容される塩を含む。例えば、従来の薬学的に許容される塩は、本発明の化合物と無機酸または有機酸の反応により調製されることができ、前記無機酸は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、アミノスルホン酸およびリン酸などを含み、前記有機酸は、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、エタンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、プロピオン酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、ステアリン酸、ヘキサン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、安息香酸、サリチル酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、p-アミノベンゼンスルホン酸(p-aminobenzenesulfonic acid)、2-アセトキシ安息香酸(2-acetoxybenzoic acid)およびイセチオン酸(isethionic acid)など、または本発明の化合物と無機塩基によって形成されるナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩またはアンモニウム塩、または本発明の化合物と有機塩基によって形成されるメチルアミン塩、エチルアミン塩またはエタノールアミン塩を含む。
【0038】
本発明の別の目的は、治療有効量の一般式(Ι)に示されるチオフェン[3,2-d]ピリミジン-4-ケトン系化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、互変異性体、プロドラッグおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供することである。
【0039】
「薬学的に許容される担体」とは、ヒトへの使用に適しており、十分な純度と十分に低い毒性を持たなければならない、1つまたは複数の適合性のある固体または液体充填剤またはゲル物質を指す。ここで、「適合性」とは、組成物の各成分を、本発明の一般式Iの化合物、その薬学的に許容される塩またはその溶媒和物、およびそれらの間で、有効成分の効能を著しく低下させることなくブレンドできることを意味する。薬学的に許容される担体の例には、セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(sodium carboxymethyl cellulose)、エチルセルロースナトリウム(sodium ethyl cellulose)、酢酸セルロース(cellulose acetate)など)、ゼラチン、タルク、固体潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム(magnesium stearate))、硫酸カルシウム、植物油(例えば、大豆油、ごま油、ピーナッツオイル、オリーブオイルなど)、ポリオール(例えば、プロピレングリコール、グリセリン、マンニトール、ソルビトールなど)、乳化剤(例えば、TweenR)、湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(Sodium dodecyl sulfate))、着色剤、調味剤、安定剤、抗酸化剤、防腐剤、発熱物質を含まない水などが含まれる。
【0040】
本発明は、一般式(Ι)に示されるチオフェン[3,2-d]ピリミジン-4-ケトン系化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、互変異性体、プロドラッグおよびそれらの混合物を有効成分として調製された非アルコール性脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎および肝線維症を治療および/または予防するための薬物に関する。
【0041】
前記薬物は、注射、噴霧、注射、噴霧、滴鼻、滴眼、浸透、吸収、物理的または化学的媒介方法により筋肉、皮内、皮下、静脈、粘膜組織などの体内に導入されることができ、または他の物質と混合またはパッケージングされて体内に導入される。
【0042】
必要に応じて、1つまたは複数の薬学的に許容される担体を上記の薬物に加えることができる。前記担体には、薬学分野における従来の希釈剤、賦形剤、充填剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、吸収促進剤、界面活性剤、吸着担体、潤滑剤などが含まれる。
【0043】
一般式(Ι)に示されるチオフェン[3,2-d]ピリミジン-4-ケトン系化合物またはその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、立体異性体、互変異性体、プロドラッグを有効成分として、単独でまたは組み合わせて使用、または他の薬物、アジュバントなどと錠剤、散剤、丸剤、注射剤、カプセル剤、フィルム剤、坐剤、軟膏、顆粒剤などの様々な剤形を含むが、これに限定されない剤形に調製される。前記様々な剤形の薬物はすべて薬物分野における常法に従って調製することができる。
【0044】
本発明は、前記一般式(Ι)に示されるチオフェン[3,2-d]ピリミジン-4-ケトン系化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体または互変異性体を必要とする対象に投与することにより、肝線維症および関連疾患を治療および/または予防する方法をさらに提供する。
【0045】
本発明は、前記一般式(Ι)に示されるチオフェン[3,2-d]ピリミジン-4-ケトン系化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体または互変異性体を必要とする対象に投与することにより、DPP-4を阻害する方法をさらに提供する。
【発明の効果】
【0046】
本発明の範囲内で、本発明の上記の技術的特徴及び以下に(例えば、実施例)具体的に説明する技術的特徴を互いに組み合わせて、新規または好ましい技術的解決策を形成できることを理解されたい。本明細書に開示されている各特徴は、同じ、等しい、または同様の目的を提供する代替の特徴で任意に置き換えることができる。スペースの制限のため、ここでは繰り返さない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明の実施例3のDPP-4阻害剤が肝星細胞の活性化を阻害した結果を示した図である。
【
図2】本発明の実施例4のDPP-4阻害剤がCCl
4誘発肝線維症モデルマウスの肝障害血液生化学指標、肝線維化関連遺伝子発現およびコラーゲン特性アミノ酸指標を緩和できることを示す結果図であり、左から右へモデル対照群、DC291407(20mg/kg)、DC291407(60mg/kg)、OCA(20mg/kg)、OCA(40mg/kg)、WTである。
【
図3】本発明の実施例4のDPP-4阻害剤がCCl
4誘発肝線維症モデルマウスの肝臓病理スライスにおけるコラーゲン沈着の病理学的指標を緩和できることを示す結果図であり、左から右へモデル対照群、DC291407(20mg/kg)、DC291407(60mg/kg)、OCA(20mg/kg)、OCA(40mg/kg)、WTである。
【
図4】本発明の実施例5のDPP-4阻害剤が高脂肪により誘発されたob/obマウスの非アルコール性脂肪性肝疾患モデルの肝障害の血液生化学的指標および肝臓トリグリセリド(Triglyceride)を緩和できることを示す結果図である。
【
図5】本発明の実施例5のDPP-4阻害剤が高脂肪により誘発されたob/obマウスの非アルコール性脂肪性肝疾患モデル肝脂肪変性および炎症性病理学的指標を改善できることを示す結果図である。
【
図6】本発明の実施例6のDPP-4阻害剤がCCl
4誘発肝線維症モデルマウスの肝障害血液生化学指標および肝臓コラーゲンの特徴的なアミノ酸指標を緩和できることを示す結果図である。
【
図7】本発明の実施例6のDPP-4阻害剤がCCl
4誘発肝線維症モデルの肝臓コラーゲン沈着の病理学的指標を緩和できることを示す結果図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本出願の発明者らは、広範囲にわたる詳細な研究を経て、チオフェン[3,2-d]ピリミジン-4-ケトン系化合物が肝機能を改善し、α-SMAおよびCol1α1 mRNAの発現をダウンレギュレートし、肝臓でのコラーゲンの沈着を低減でき、肝線維症およびその関連疾患の治療および/または予防に使用できることを発見した。これに基づいて、本発明を完成した。
用語
【0049】
「アルキル基」とは、直鎖または分岐鎖を含む飽和脂肪族アルキル基を指し、例えば、「C1-8アルキル基」は、1~8個の炭素原子を含む直鎖アルキル基および分岐鎖含有アルキル基を指し、メチル基(methyl group)、エチル基(ethyl group)、n-プロピル基(N-propyl group)、イソプロピル基(isopropyl group)、n-ブチル基(N-butyl group)、イソブチル基(isobutyl group)、tert-ブチル基(Tert-butyl group)、sec-ブチル基(Sec-butyl group)、N-ペンチル基(N-pentyl group)などを含むが、これらに限定されない。
【0050】
「シクロアルキル基」とは、飽和または部分的に不飽和の単環式または多環式環状炭化水素置換基を指し、例えば、「C3-8シクロアルキル基」は、3~8個の炭素原子を含むシクロアルキル基を指し、単環式シクロアルキル基、多環式シクロアルキル基に分けられ、ここで、単環式シクロアルキル基は、シクロプロピル基(Cyclopropyl)、シクロブチル基(Cyclobutyl)、シクロペンチル基(Cyclopentyl)、シクロペンテニル基(Cyclopentenyl)、シクロヘキシル基(Cyclohexyl)、シクロヘキセニル基(Cyclohexenyl)、シクロヘキサジエニル基(Cyclohexadienyl)、シクロヘプチル基(Cycloheptyl)、シクロヘプタトリエニル基(Cycloheptatrienyl)、シクロオクチル基(Cyclooctyl)などを含むが、これらに限定されない。多環式シクロアルキル基は、スピロ、併合、および架橋シクロアルキル基を含む。
「ヘテロシクリル基」とは、飽和または部分的に不飽和の単環式または多環式環状炭化水素置換基を指し、ここで1つまたは複数の環原子は、窒素、酸素またはSから選択される。
【0051】
「アリール基」とは、全炭素単環式または併合多環式(即ち、隣接する炭素原子のペアを共有する環)基、共役π電子系を有する多環式環(即ち、隣接する炭素原子のペアを有する環)基を指し、フェニル基およびナフチル基を含むが、これらに限定されない。
【0052】
「ヘテロアリール基」とは、前記ヘテロ原子は、窒素、酸素、およびSを含む1~4個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香族システムを指し、例えば、5-7員のヘテロアリール基とは、5-7個の環原子を含むヘテロ芳香族システムを指し、5-10員のヘテロアリール基とは、5-10個の環原子を含むヘテロ芳香族システムを指し、フリル基(Furyl group)、チエニル基(Thienyl group)、ピリジル基(Pyridyl group)、ピロリル基(Pyrrolyl Group)、N-アルキルピロリル基(N-Alkylpyrrolyl group)、ピリミジニル基(Pyrimidinyl group)、ピラジニル基(Pyrazinyl group)、イミダゾリル基(Imidazolyl group)、テトラゾリル基(Tetrazolyl group)などを含むが、これらに限定されない。
【0053】
「アルコキシ基」とは、-O-(アルキル基)を指し、ここでアルキル基の定義は上記のとおりであり、例えば、「C1-8アルコキシ基」とは、1-8個の炭素を含むアルキルオキシを指し、メトキシ基(Methoxy group)、エトキシ基(Ethoxy group)、プロポキシ基(Propoxy group)、ブトキシ基(Butoxy group)などを含むが、これらに限定されない。
【0054】
本発明は、具体的な実施例に関連して以下でさらに説明される。これらの実施例は、本発明を例示するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。以下の実施例で特定の条件のない実験方法は、通常、従来の条件(Sambrookら、Molecular Cloning:Laboratory Manual(New York:Cold Spring Harbour Laboratory Press、1989)に記載されている条件など)に従うか、メーカーが推奨する条件に従う。特に明記しない限り、百分率および部は重量百分率および重量部である。
【0055】
特に定義しない限り、本明細書で使用されている専門用語および科学用語はすべて、当業者によく知られている用語と同じ意味を持っている。さらに、記載された内容と類似または同等の任意の方法および材料を本発明の方法に適用することができる。本明細書で説明されている好ましい実施形態と資料は、例示のみを目的とする。
【0056】
実施例1 DC291407の調製
合成経路:
【化26】
以上の経路を使用して、化合物11-12を合成し、化合物11-12(100mg)をDMFに溶解し、1.5等量のヨウ化メチル、2等量の炭酸セシウムを加え、室温で1時間攪拌し、酢酸エチル(ethyl acetate)で抽出し、水で洗浄し、蒸発乾固させ、100mgの38-1粗生成物を得た。
【0057】
化合物38-1を40mlのDCMに溶解し、15mlのTFAを加え、室温で4時間撹拌し、溶媒をスピン乾燥し、残留物を50mlの酢酸エチルに溶解し、飽和炭酸カリウム溶液で洗浄し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、溶媒をスピン乾燥し、カラムクロマトグラフィー(column chromatography)(DCM:CH3OH = 5:1)で化合物DC291407を得た。
【0058】
1H-NMR (CDCl3-d3): δ= 7.761(s, 1H), 7.610(d, 1H), 7.493(t, 1H), 7.320(t, 1H), 7180(d,1H), 5.500(quartet, 2H), 3.895(s,3H), 3.680(d,2H), 3.355(m,1H), 3.010(m,2H), 2.150(m, 1H), 1.894(m,2H), 1.644(m, 1H); LC-MS m/z 424.1 [M+H]+。
【0059】
実施例2 DC291410の調製
合成経路:
【化27】
化合物11-12(100mg、0.237mmol)を20mlのエチルエーテル塩酸塩(Ethyl ether hydrochloride)に溶解し、室温で1時間撹拌し、蒸発乾固させ、化合物DC291410(70mg)を得、収率は80%であり、MS:410.1[M+H]
+。
【0060】
実施例3 DPP-4阻害剤による肝線維症の治療
細胞機能実験は、ヒト肝星細胞株LX-2を使用し、肝星細胞活性化誘導TGF-βを加えて、肝星細胞を活性化し、複数の細胞外マトリックスの発現を大幅に増加させる。TGF-β群とTGF-βと試験化合物を同時に添加した細胞群の細胞外マトリックスの発現レベルを比較することにより、肝星細胞を介した肝線維症の緩和における化合物の有効性が特徴付けられた。
【0061】
細胞実験の手順は次のとおりである。ヒト肝星細胞株LX-2を選択し、7.5*104/ウェイるで処理済みの24ウェルプレートに接続した。細胞が一晩付着した後、12時間の飢餓処理(Starvation treatment)後、10ng/mLのTGF-βと対応する試験化合物を24時間処理して、タンパク質サンプルを収集した。ウエスタンブロット(Western Blot)を使用して、α型平滑筋フィブロイン(α-SMA)およびフィブロネクチン(Fibronectin)に代表される細胞外マトリックスの発現を検出した。
【0062】
図1に示したように、本発明の化合物はすべてDPP-4の高活性阻害剤であり、そのうち2つの化合物DC291407およびDC291410は、濃度が増加すると、濃度依存的に肝星細胞のHSCの活性化を阻害し、阻害活性は陽性対照のアログリプチン(Alogliptin)よりも優れている。そのような化合物は、肝線維症の治療において良好な応用の見通しがあり、したがって、良好な商業的価値がある。
【0063】
細胞機能試験では、DC291407の有効性を調査し、HSCの活性化に阻害効果(OCA(オベチコール酸)およびGW4064を陽性対照として使用)があることが分かった。続いて、DC291410代謝物DC291410の肝星細胞活性化に対する阻害効果をこの細胞系で評価した結果、HSC活性化に対するDC291410の阻害活性は、陽性対照のアログリプチン(Alogliptin)よりも優れていた。
【0064】
実施例4 インビボでの肝線維症の薬理活性の試験
この実験では、CCl4誘発肝線維症モデルマウスを使用して、モデルマウスの肝線維症に対する化合物DC291407の長期経口投与の効果を調査した。
動物実験:オスのC57BL/6jマウスに週3回、2mL/kg、10%CCl4(オリーブオイルに溶解)を腹腔内注射して、肝線維症モデルを誘発した。モデル化の2週間後、マウスの後眼静脈叢から採血し、血清ALT、AST指標を検出し、ALT、AST、体重などの指標に従って、マウスをランダムに5つのグループに分け、各グループに10匹ずつにし、それぞれモデル対照群(vehicle)、DC291407低用量群(20mg/kg)、DC291407 高用量群(60mg/kg)、陽性化合物OCA低用量群(20mg/kg)、OCA 高用量群(40mg/kg)などであり、経口投与し、投与方法はDC291407を1日2回、その他の群は1日1回である。投与期間中、動物の摂食量と体重をモニターし、3週間の投与後、マウスを眼球後部静脈叢からの採血し、血清ALT、ASTの指標を検出し、6週間の投与後、マウスを眼球後部静脈叢からの採血をしてから、脱臼して殺し、肝臓を取り出して秤量した後、肝臓の一部を4%パラホルムアルデヒドで固定し、肝臓の一部を-80℃で凍結した。実験全体を通して、正常対照群(WT)として、同じ同腹児の別の10匹のマウスに、同じ用量のオリーブオイルを腹腔内注射した。この実験は、血清中の肝機能指標ALT、ASTレベル、肝臓でのα-SMAおよびCol1α1遺伝子レベルの発現、肝臓でのヒドロキシプロリン(hydroxyproline)(コラーゲンの特徴的なアミノ酸)の含有量、および肝臓の病理学的変化(シリウススカーレット染色)などの使用を検出することにより、肝線維症を緩和する効果があるかどうかを反映した。
【0065】
研究の結果は、本発明の化合物DC291407を3週間投与した後、血清中のALT、ASTのレベルを低下させることが観察できず、6週間の投与後に血清中のALT、ASTのレベルを有意に低下させることができ、試験物DC291407は、6週間の投与後に肝臓組織におけるα-SMAおよびCol1α1mRNAの発現を有意にダウンレギュレートし、肝臓組織におけるヒドロキシプロリンの含有量を減少させ(
図2)、シリウススカーレットで染色された肝臓の病理切片の定量分析では、試験物DC291407が肝臓におけるコラーゲンを減少させるが、統計的差異はない(
図3)ことを示した。
【0066】
要約すると、試験物DC291407の長期投与は、CCl4誘発性肝線維症マウスの肝機能を有意に改善し、α-SMAおよびCol1α1mRNAの発現をダウンレギュレートし、肝臓でのコラーゲンの沈着を低減し、肝線維症に一定の緩和効果を有する。
【0067】
実施例5 インビボでの肝線維症の薬理活性の試験
この実験では、高脂肪食によって誘発されたob/obマウスのNAFLDモデルを使用して、NAFLDを治療するための化合物DC291407の長期経口投与を調査した。
動物実験:ob/ob肥満マウスを第8週齢時に、ランダム血糖、ランダム体重、空腹時血糖、およびの空腹時体重に3つのグループに分け、各グループに9匹ずつにし、それぞれモデル対照群(vehicle)、DC291407群(20mg/kg)、陽性化合物アログリプチン(Alogliptin)群(20mg/kg)であり、経口投与し、投与方法は1日2回である。同じ同腹児の別の6匹のマウスを正常対照群(WT)とし、WT群を除いて通常の飼料を給餌し、残りは高脂肪飼料を給餌した。投与は8週間継続し、投与中は動物の摂食量と体重をモニターし、最後の投与後は6時間絶食させ、体重を測定し、眼球後部静脈叢からの採血し、解剖して肝臓を取った。肝臓の一部を4%パラホルムアルデヒドに入れ、残りを-80℃の冷蔵庫に凍結した。この実験は、血清中の肝機能指標であるALT、ASTレベル、肝臓でのTC、TGの含有量、および肝臓病理学のNASスコア(HE染色)などの使用を検出することにより、合物がNAFLDの治療に効果があるかどうかを反映した。
【0068】
結果は、DC291407を8週間の投与後に血清中のALT、ASTレベルを有意に低下させ、肝組織中のTGの含有量を低下させ、その効果はアログリプチンと同等である(
図4を参照)ことを示し、HE染色された肝臓の病理切片でNASスコアが実行し、結果は、DC291407は脂肪変性を改善でき、その効果はアログリプチンよりも優れており、小葉炎症にある程度の緩和効果があり、NASスコアの全体的な改善効果は、アログリプチンの改善効果と同様であることを示した(
図5を参照)。
要約すると、DC291407の長期投与は、NAFLDモデルマウスの肝機能を大幅に改善し、脂肪肝を減少し、小葉炎症に一定の緩和効果を有する。
【0069】
実施例6 インビボでの肝線維症の薬理活性の試験
この実験では、CCl4誘発肝線維症モデルマウスを使用して、モデルマウスの肝線維症に対する化合物DC291407の複数回用量の長期経口投与の効果を調査し、同じ用量のシタグリプチンと比較した。
動物実験:雄のC57BL/6jマウスに週3回、2mL/kg、10%CCl4(オリーブオイルに溶解)を腹腔内注射して、肝線維症モデルを誘導した。モデル化の2週間後、マウスの後眼神経叢から血液を採取し、血清ALT、AST指標を検出し、ALT、AST、体重などの指標に従って、マウスをランダムに8つのグループに分け、各グループに10匹ずつにし、それぞれモデル対照群(vehicle)、DC291407低用量群(6mg/kg)、DC291407中用量群(20mg/kg)、DC291407高用量群(60mg/kg)、シタグリプチン-Sitagliptin低用量群(6mg/kg)、シタグリプチン中用量群(20mg/kg)、シタグリプチン高用量群(60mg/kg)およびシステム陽性化合物OCA群(20mg/kg)などであり、経口投与し、投与方法は、OCAグループでは1日1回、その他のグループでは1日2回である。投与期間中、動物の摂食量と体重をモニターし、3週間の投与後、マウスを眼球後部静脈叢からの採血し、血清ALT、ASTの指標を検出し、6週間の投与後、マウスを眼球後部静脈叢からの採血してから、脱臼して殺し、肝臓を取り出して秤量した後、肝臓の一部を4%パラホルムアルデヒドで固定し、肝臓の一部を-80℃で凍結した。実験全体を通して、正常対照群(WT)として、同じ同腹児の別の10匹のマウスに、同じ用量のオリーブオイルを腹腔内注射した。この実験は、血清中の肝機能指標ALT、ASTレベル、肝臓でのα-SMAおよびCol1α1遺伝子レベルの発現、肝臓でのヒドロキシプロリン(コラーゲンの特徴的なアミノ酸)の含有量、および肝臓の病理学的変化(シリウススカーレット染色)などの使用を検出することにより、肝線維症を緩和する効果があるかどうかを反映した。
【0070】
研究の結果は、本発明の化合物DC291407を6週間投与した後、DC291407低用量および中用量群は血清ALT、ASTレベルを有意に低下させることができ、高用量群は、血清ALTレベルを有意に低下させることができ、シタグリプチン低用量群は、血清ALT、ASTレベルには影響がなく、中用量群は血清ASTレベルを有意に低下させ、高用量群は血清ALT、ASTレベルを有意に低下させ、DC291407低用量群は肝組織のヒドロキシプロリンの含有量を減少させるが、統計的差異はない(
図6)ことを示し、シリウススカーレットで染色された肝臓の病理切片の定量分析では、試験物DC291407の高、中、低用量群は用量依存性なしに肝臓のコラーゲン含有量を減少することができ、シタグリプチンは低用量群でのみ肝臓のコラーゲン含有量を大幅に減少することができることを示した(
図7)。
【0071】
要約すると、各用量群における試験物DC291407の長期投与は、CCl4誘発肝線維症マウスの肝機能を改善し、肝臓でのコラーゲンの沈着を低減し、肝線維症に一定の緩和効果を有するが、この用量範囲内では用量依存性は示されていない。
【0072】
本発明において言及されるすべての文献は、あたかも各文書が参照として個別に引用されたかのように、本出願において参照として引用される。さらに、本発明の上記の教示内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの同等の形態もまた、本出願の添付の特許請求の範囲によって定義される範囲内にあることを理解されたい。