(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20221215BHJP
C23C 18/31 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H01L21/304 651M
H01L21/304 651B
H01L21/304 651L
C23C18/31 E
(21)【出願番号】P 2020549330
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 JP2019037766
(87)【国際公開番号】W WO2020067246
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】P 2018182834
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019063373
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】守田 聡
(72)【発明者】
【氏名】飽本 正巳
(72)【発明者】
【氏名】森川 勝洋
(72)【発明者】
【氏名】水永 耕市
(72)【発明者】
【氏名】岩下 光秋
(72)【発明者】
【氏名】金子 聡
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-154063(JP,A)
【文献】特開2016-156038(JP,A)
【文献】特開2013-211377(JP,A)
【文献】特開2017-118064(JP,A)
【文献】特開2002-302773(JP,A)
【文献】特開2004-128102(JP,A)
【文献】特開2007-335709(JP,A)
【文献】特開2003-266028(JP,A)
【文献】特開2010-123858(JP,A)
【文献】特開2016-021597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
C23C 18/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平姿勢で保持する回転テーブルと、
前記回転テーブルを鉛直軸線周りに回転させる回転駆動機構と、
前記回転テーブルと一緒に回転するように前記回転テーブルに設けられ、前記回転テーブル上に載置された前記基板を加熱する電気ヒーターと、
前記回転テーブルと一緒に回転するように前記回転テーブルに設けられ、前記電気ヒーターに電気的に接続された受電電極と、
前記受電電極と接触して、前記受電電極を介して前記電気ヒーターに駆動電力を供給する給電電極と、
前記給電電極と前記受電電極とを相対的に接離させる電極移動機構と、
前記給電電極に前記駆動電力を供給する給電部と、
前記回転テーブルの周囲を囲み、排気配管および排液配管に接続された処理カップと、
前記基板に処理液を供給する少なくとも1つの処理液ノズルと、
前記処理液ノズルに、前記処理液として少なくとも無電解メッキ液を供給する処理液供給機構と、
前記電極移動機構、前記給電部、前記回転駆動機構および前記処理液供給機構を制御する制御部と、
を備
え、
前記受電電極と前記給電電極を接触させたまま、前記回転テーブルを所定の角度範囲内で回転させることができるように構成されている、基板処理装置。
【請求項2】
前記回転テーブルは吸着プレートを有し、前記基板は、前記吸着プレートの上面に吸着されることにより、前記回転テーブルにより保持され、前記電気ヒーターは、前記吸着プレートの下面側から、前記吸着プレートを介して、前記吸着プレートの上面に吸着された前記基板を加熱する、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記鉛直軸線の方向から見た前記回転テーブルの面積は、前記基板の面積と等しいかまたは大きい、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記回転テーブルの回転軸内を通って延びる吸引配管をさらに備え、前記回転テーブルはベースプレートを有し、前記ベースプレートの上面に、前記吸引配管に連通する吸引口が設けられ、前記吸着プレートを前記ベースプレートの上面に載置した状態で、前記吸引口を介して吸引力を作用させることにより、前記吸着プレートが前記ベースプレートに吸着され、かつ、前記吸着プレートを貫通する貫通孔を介して前記吸引力が前記基板にも作用して、前記基板が前記吸着プレートに吸着される、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記回転テーブルは前記基板の周縁部を囲む堰を有し、前記回転テーブル上に前記基板が保持されているときに前記基板に前記無電解メッキ液を供給することにより、前記無電解メッキ液が前記堰により堰き止められ、前記基板の上面の全体を浸漬することができる前記無電解メッキ液のパドルを前記回転テーブル上に形成することが可能であり、前記堰は、前記回転テーブルの半径方向内側にゆくに従って低くなるように傾斜付けされている、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記無電解メッキ液を前記処理液ノズルから前記基板に供給する前に、前記無電解メッキ液を温調する処理液温調機構をさらに備えた、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記電気ヒーターは、各々が前記基板の異なる領域の加熱を受け持つ複数の加熱素子を有し、前記制御部は、前記給電部を介して、前記複数の加熱素子の発熱量を個別に制御することができる、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記処理液供給機構は、前記少なくとも1つの処理液ノズルに、プリクリーン液、ポストクリーン液およびリンス液を供給することができる、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記回転テーブルおよび前記処理カップを収容するハウジングと、前記ハウジング内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部をさらに備えた、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記回転テーブルに保持された基板を覆うトッププレートをさらに備えた、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記トッププレートはヒーターを有し、前記ヒーターにより少なくとも前記トッププレートの下面が加熱される、請求項
10記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記回転テーブルに保持された基板と前記トッププレートとの間の空間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部をさらに備えた、請求項
10記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記電気ヒーターに電力を供給するための第1電力伝送機構および第2電力伝送機構を備え、
前記第1電力伝送機構は、前記電極移動機構により接離可能な前記受電電極および前記給電電極を含み、
前記第2電力伝送機構は、相対回転可能な固定部および回転部を有し、
前記第2電力伝送機構は前記固定部に対して前記回転部が連続的に回転しているときにも前記固定部から前記回転部への電力伝送が可能なように構成されており、前記回転部は前記電気ヒーターに電気的に接続されるとともに前記回転テーブルまたは前記回転テーブルと連動して回転する部材に固定されており、
前記給電部は、前記第2電力伝送機構の前記固定部にも電力を供給するように設けられ、
前記制御部は、少なくとも前記受電電極が前記給電電極から離れている離間期間内の少なくとも一部の期間に、前記給電部から前記第2電力伝送機構を介して前記電気ヒーターに電力を供給させる、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項14】
基板を水平姿勢で保持する回転テーブルと、前記回転テーブルを鉛直軸線周りに回転させる回転駆動機構と、前記回転テーブルと一緒に回転するように前記回転テーブルに設けられ、前記回転テーブル上に載置された前記基板を加熱する電気ヒーターと、前記回転テーブルと一緒に回転するように前記回転テーブルに設けられ、前記電気ヒーターに電気的に接続された受電電極と、前記受電電極と接触して、前記受電電極を介して前記電気ヒーターに駆動電力を供給する給電電極と、前記給電電極と前記受電電極とを相対的に接離させる電極移動機構と、前記給電電極に前記駆動電力を供給する給電部と、前記回転テーブルの周囲を囲み、排気配管および排液配管に接続された処理カップと、前記基板に処理液を供給する処理液ノズルと、前記処理液ノズルに前記処理液として少なくとも無電解メッキ液を供給する処理液供給機構と、を備えた基板処理装置を用いて前記基板を処理する基板処理方法であって、
前記基板を水平姿勢で回転テーブルに保持させる保持工程と、
前記基板の上面に無電解メッキ液を供給して、前記基板の上面の全体を覆う前記無電解メッキ液のパドルを形成するパドル形成工程と、
前記受電電極と前記給電電極とを接触させた状態で、前記給電部から前記電気ヒーターに給電して、前記基板および前記基板上の前記無電解メッキ液を加熱し、これにより前記基板を前記無電解メッキ液により処理する無電解メッキ処理工程と、
を備
え、
前記無電解メッキ処理工程は、前記受電電極と前記給電電極とを接触させて前記電気ヒーターに給電した状態で、前記回転テーブルを所定の角度範囲内で正転および逆転させることにより前記基板上の前記無電解メッキ液を撹拌する撹拌工程を含む、基板処理方法。
【請求項15】
前記無電解メッキ処理工程の後に、前記受電電極と前記給電電極とを離間させた状態で前記回転テーブルを回転させながら前記基板の上面にポストクリーン液を供給し、これにより前記基板上の表面を洗浄するポストクリーン工程と、
前記受電電極と前記給電電極とを離間させた状態で前記回転テーブルを回転させながら前記基板の上面にリンス液を供給し、これにより前記基板上の前記ポストクリーン液を前記リンス液により除去するリンス工程と、
前記リンス工程の後に、前記リンス液の供給を停止して、前記回転テーブルを回転させることにより、前記基板上の前記リンス液を除去する振り切り乾燥工程と、
をさらに備えた、請求項
14記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記振り切り乾燥工程の後に、前記回転テーブルの回転を停止させて、前記受電電極と前記給電電極とを接触させた状態で、前記給電部から前記電気ヒーターに給電して、前記基板を加熱することにより、前記基板に残留しているリンス液を除去する加熱乾燥工程をさらに備えた、請求項
15記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記回転テーブルは吸着プレートを有し、前記保持工程は、前記吸着プレートにより基板を吸着することにより行われ、前記無電解メッキ処理工程における前記基板の加熱は、前記電気ヒーターにより、前記吸着プレートの下面側から、前記吸着プレートを介して、前記吸着プレートの上面に吸着された前記基板を加熱することにより行われる、請求項
14から16のうちのいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記振り切り乾燥工程または前記加熱乾燥工程が終了した後に、前記吸着を解除して前記基板を前記回転テーブルから取り外す基板取り外し工程をさらに備え、前記基板取り外し工程において、前記吸着プレートに設けられた吸引ラインに、パージガスを流すことにより前記基板の取り外しを促進する、請求項
16に従属する請求項
17に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記基板処理装置は、前記回転テーブルおよび前記処理カップを収容するハウジングをさらに備え、前記基板処理方法は、前記パドル形成工程の前に前記ハウジング内に不活性ガスを供給することを含む、請求項
14記載の基板処理方法。
【請求項20】
前記無電解メッキ処理工程は、前記回転テーブルに保持された基板を、少なくともその下面が加熱されたトッププレートで覆いながら実行される、請求項
14記載の基板処理方法。
【請求項21】
前記無電解メッキ処理工程は、前記回転テーブルに保持された基板を、トッププレートで覆い、かつ、前記トッププレートに設けられたノズルから、前記トッププレートと前記基板との間の空間に不活性ガスを供給しながら、実行される、請求項
14記載の基板処理方法。
【請求項22】
前記保持工程の後に、前記受電電極と前記給電電極とを離間させた状態で前記回転テーブルを回転させながら前記基板にプリクリーン液を供給して前記基板の表面を洗浄するプリクリーン工程と、
前記プリクリーン工程の後に、前記基板上の前記プリクリーン液をリンス液により除去するリンス工程と、
をさらに備え、
前記リンス工程の後に前記パドル形成工程が実行される、請求項
14記載の基板処理方法。
【請求項23】
前記ポストクリーン工程の前に、前記回転テーブルを冷却する冷却工程をさらに備え、
前記回転テーブルは吸着プレートを有し、前記基板は、前記吸着プレートの上面に吸着されることにより、前記回転テーブルにより保持されるようになっており、
前記冷却工程は、前記吸着プレートへの前記基板の吸着を解除して前記基板をリフトピンで持ち上げ、この状態で、前記吸着プレートの表面に設けられ
た吸引口から前記吸着プレートの周囲の雰囲気を吸引することにより行われる、
請求項
15に記載の基板処理方法。
【請求項24】
前記無電解メッキ処理工程は、前記受電電極と前記給電電極とを離間させた状態で前記回転テーブルを所定の角度範囲内で正転および逆転させて前記基板上の無電解メッキ液を撹拌することと、その後に、前記受電電極と前記給電電極とを接触させて前記基板上の無電解メッキ液を加熱することと、を含む、請求項
14に記載の基板処理方法。
【請求項25】
前記基板処理装置は、前記回転テーブルと一緒に回転するように前記回転テーブルに設けられた補助ヒーターをさらに備え、前記補助ヒーターには、前記回転テーブルが連続的に一方向に回転している場合にも給電可能であり、
前記基板処理方法は、前記回転テーブルを保温するために、前記受電電極と前記給電電極とが離間している期間のうちの少なくとも一部の期間に、前記補助ヒーターに給電する工程をさらに備えている、請求項
14に記載の基板処理方法。
【請求項26】
基板を水平姿勢で保持する回転テーブルと、前記回転テーブルを鉛直軸線周りに回転させる回転駆動機構と、前記回転テーブルと一緒に回転するように前記回転テーブルに設けられ、前記回転テーブル上に載置された前記基板を加熱する電気ヒーターと、前記回転テーブルと一緒に回転するように前記回転テーブルに設けられ、前記電気ヒーターに電気的に接続された受電電極と、前記受電電極と接触して、前記受電電極を介して前記電気ヒーターに駆動電力を供給する給電電極と、前記給電電極と前記受電電極とを相対的に接離させる電極移動機構と、前記給電電極に前記駆動電力を供給する給電部と、前記回転テーブルの周囲を囲み、排気配管および排液配管に接続された処理カップと、前記基板に処理液を供給する処理液ノズルと、前記処理液ノズルに前記処理液として少なくとも無電解メッキ液を供給する処理液供給機構と、を備えた基板処理装置を用いて前記基板を処理する基板処理方法であって、
前記基板を水平姿勢で回転テーブルに保持させる保持工程と、
前記基板の上面に無電解メッキ液を供給して、前記基板の上面の全体を覆う前記無電解メッキ液のパドルを形成するパドル形成工程と、
前記受電電極と前記給電電極とを接触させた状態で、前記給電部から前記電気ヒーターに給電して、前記基板および前記基板上の前記無電解メッキ液を加熱し、これにより前記基板を前記無電解メッキ液により処理する無電解メッキ処理工程と、
前記無電解メッキ処理工程の後に、前記受電電極と前記給電電極とを離間させた状態で前記回転テーブルを回転させながら前記基板の上面にポストクリーン液を供給し、これにより前記基板上の表面を洗浄するポストクリーン工程と、
前記受電電極と前記給電電極とを離間させた状態で前記回転テーブルを回転させながら前記基板の上面にリンス液を供給し、これにより前記基板上の前記ポストクリーン液を前記リンス液により除去するリンス工程と、
前記リンス工程の後に、前記リンス液の供給を停止して、前記回転テーブルを回転させることにより、前記基板上の前記リンス液を除去する振り切り乾燥工程と、
を備えた基板処理方法において、
前記ポストクリーン工程の前に、前記回転テーブルを冷却する冷却工程をさらに備え、
前記回転テーブルは吸着プレートを有し、前記基板は、前記吸着プレートの上面に吸着されることにより、前記回転テーブルにより保持されるようになっており、
前記冷却工程は、前記吸着プレートへの前記基板の吸着を解除して前記基板をリフトピンで持ち上げ、この状態で、前記吸着プレートの表面に設けられた吸引口から前記吸着プレートの周囲の雰囲気を吸引することにより行われる、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、半導体ウエハ等の基板に対して、薬液洗浄処理、メッキ処理、現像処理等の様々な液処理が施される。このような液処理を行う装置として、枚葉式の液処理装置があり、その一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1の基板処理装置は、基板を水平姿勢で保持して鉛直軸線周りに回転させることができるスピンチャックを有している。スピンチャックの周縁部に円周方向に間隔を空けて設けられた複数の保持部材が基板を保持する。スピンチャックに保持される基板の上方および下方には、ヒーターが内蔵された円板状の上面移動部材および下面移動部材がそれぞれ設けられている。特許文献1の基板処理装置では、以下の手順で処理が行われる。
【0004】
まず、スピンチャックにより基板を保持させ、下面移動部材を上昇させて基板の下面(裏面)と下面移動部材の上面との間に小さな第1の隙間を形成する。次に、下面移動部材の上面の中心部に開口する下面供給路から、第1の隙間に、温調された薬液が供給され、第1の隙間が表面処理用の薬液で満たされる。薬液は、下面移動部材のヒーターにより所定の温度に温調される。一方、基板の上面(表面)の上方に上面供給ノズルが位置して表面処理用の薬液を供給し、基板の上面に薬液のパドルを形成する。次に、上面供給ノズルが基板の上方から退避し、上面移動部材が下降し、上面移動部材の下面と薬液のパドルの表面(上面)との間に小さな第2の隙間を形成する。薬液のパドルは、上面移動部材に内蔵されたヒーターにより所定の温度に温調される。この状態で、基板を低速で回転させるか、あるいは基板を回転させずに、基板の表裏面の薬液処理工程が行われる。薬液処理工程の間、必要に応じて、上面移動部材の中心部に開口する薬液供給路、及び前述した下面供給路から、基板の表面及び裏面に薬液が補充される。
【0005】
特許文献1の基板処理装置では、基板は、基板とヒーターとの間に介在する流体(処理液及び/又はガス)を介して加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、回転テーブルに基板を保持した状態で基板のメッキ処理を行う基板処理において、基板温度の制御精度を向上させることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様による基板処理装置は、基板を水平姿勢で保持する回転テーブルと、前記回転テーブルを鉛直軸線周りに回転させる回転駆動機構と、前記回転テーブルと一緒に回転するように前記回転テーブルに設けられ、前記回転テーブル上に載置された前記基板を加熱する電気ヒーターと、前記回転テーブルと一緒に回転するように前記回転テーブルに設けられ、前記電気ヒーターに電気的に接続された受電電極と、前記受電電極と接触して、前記受電電極を介して前記電気ヒーターに駆動電力を供給する給電電極と、前記給電電極と前記受電電極とを相対的に接離させる電極移動機構と、前記給電電極に前記駆動電力を供給する給電部と、前記回転テーブルの周囲を囲み、排気配管および排液配管に接続された処理カップと、前記基板に処理液を供給する少なくとも1つの処理液ノズルと、前記処理液ノズルに、前記処理液として少なくとも無電解メッキ液を供給する処理液供給機構と、前記電極移動機構、前記給電部、前記回転駆動機構および前記処理液供給機構を制御する制御部と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、回転テーブルに基板を保持した状態で基板のメッキ処理を行う基板処理において、基板温度制御精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す概略平面図である。
【
図2】
図1の基板処理装置に含まれる処理ユニットの構成の一例を示す概略断面図である。
【
図3】上記処理ユニットに設けられたホットプレートのヒーターの配置の一例を説明するための概略平面図である。
【
図4】上記ホットプレートの上面を示す概略平面図である。
【
図5】上記処理ユニットに設けられた吸着プレートの下面の構成の一例を示す概略平面図である。
【
図6】上記吸着プレートの上面の構成の一例を示す概略平面図である。
【
図7】上記処理ユニットに設けられた第1電極部の構成の一例を示す概略平面図である。
【
図8】上記処理ユニットの各種構成部品の動作の一例を説明するタイムチャートである。
【
図9】
図5及び
図6に示した吸着プレートの概略断面図である。
【
図10】
図9とは別の切断面における吸着プレートの概略断面図である。
【
図11】湾曲した吸着プレートについて説明する概略図である。
【
図12】吸着プレートの変形例を示す概略平面図である。
【
図13】基板処理装置に含まれる処理ユニットの他の構成例を示す概略断面図である。
【
図14A】
図13に示す処理ユニットに設けられた補助ヒーターへの給電に用いられる電力伝送機構の第1構成例の原理を説明するための概略図である。
【
図14B】第2液処理部に示す処理ユニットに設けられた補助ヒーターへの給電に用いられる電力伝送機構の第1構成例の概略軸方向断面図である。
【
図14C】第2液処理部に示す処理ユニットに設けられた補助ヒーターへの給電に用いられる電力伝送機構の第2構成例の概略軸方向断面図である。
【
図15】ヒーターの温度制御に関与する要素間の関係の一例を示したブロック図である。
【
図16】ヒーターの温度制御に関与する要素間の関係の他の例を示したブロック図である。
【
図17】トッププレートをさらに設けた実施形態を示す概略図である。
【
図18】処理ユニットを用いたメッキ処理について説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して基板処理装置(基板処理システム)の一実施形態について説明する。
【0012】
図1は、一実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0013】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0014】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の基板、本実施形態では半導体ウエハ(以下ウエハW)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0015】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウエハWを保持するウエハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウエハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウエハWの搬送を行う。
【0016】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
【0017】
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウエハWを保持するウエハ保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウエハ保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウエハWの搬送を行う。
【0018】
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウエハWに対して所定の基板処理を行う。
【0019】
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0020】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0021】
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウエハWを取り出し、取り出したウエハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウエハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
【0022】
処理ユニット16へ搬入されたウエハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウエハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0023】
次に、処理ユニット16の一実施形態の構成について説明する。処理ユニット16は、枚葉式のディップ液処理ユニットとして構成されている。
【0024】
図2に示すように、処理ユニット16は、回転テーブル100と、ウエハWに処理液を供給する処理液供給部700と、回転した基板から飛散した処理液を回収する液受けカップ(処理カップ)800と、を備えている。回転テーブル100は、ウエハW等の円形の基板を水平姿勢で保持して回転させることができる。回転テーブル100、処理液供給部700、液受けカップ800等の処理ユニット16の構成部品は、ハウジング1601(処理チャンバとも呼ばれる)内に収容されている。
図2は、処理ユニット16の左半部のみを示している。
【0025】
回転テーブル100は、吸着プレート120と、ホットプレート140と、支持プレート170と、周縁カバー体180と、中空の回転軸200と、を有している。吸着プレート120は、その上に載置されたウエハWを水平姿勢で吸着する。ホットプレート140は、吸着プレート120を支持するとともに加熱する、吸着プレート120にとってのベースプレートである。支持プレート170は、吸着プレート120及びホットプレート140を支持する。回転軸200は、支持プレート170から下方に延びている。回転テーブル100は、回転軸200の周囲に配設された電動駆動部(回転駆動機構)102により、鉛直方向に延びる回転軸線Ax周りに回転させられ、これにより、保持したウエハWを回転軸線Ax周りに回転させることができる。電動駆動部102(詳細は図示せず)は、電動モータで発生した動力を動力伝達機構(例えばベルト及びプーリー)を介して回転軸200に伝達して回転軸200を回転駆動するものとすることができる。電動駆動部102は、電動モータにより回転軸200を直接回転駆動するものであってもよい。
【0026】
吸着プレート120は、ウエハWの直径よりやや大きい直径(構成次第では、同じ直径であってもよい)、つまりウエハWの面積より大きいかあるいは等しい面積、を有する円板状の部材である。吸着プレート120は、ウエハWの下面(処理対象ではない面)を吸着する上面(表面)120Aと、ホットプレート140の上面に接触する下面(裏面)120Bとを有している。吸着プレート120は、熱伝導性セラミックス等の高熱伝導率材料、例えばSiCにより形成することができる。吸着プレート120を構成する材料の熱伝導率は、150W/m・k以上であることが好ましい。
【0027】
ホットプレート140は、吸着プレート120の直径と概ね等しい直径を有する円板状の部材である。ホットプレート140は、プレート本体141と、プレート本体141に設けられた電気式のヒーター(電気ヒーター)142とを有している。プレート本体141は、熱伝導性セラミックス等の高熱伝導率材料、例えばSiCにより形成されている。プレート本体141を構成する材料の熱伝導率は、150W/m・k以上であることが好ましい。
【0028】
ヒーター142は、プレート本体141の下面(裏面)に設けられた面状ヒーター、例えば、ポリイミドヒーターにより構成することができる。好ましくは、ホットプレート140には、
図3に示すような複数(例えば10個)の加熱ゾーン143-1~143-10が設定される。ヒーター142は、各加熱ゾーン143-1~143-10にそれぞれ割り当てられた複数のヒーター要素142Eから構成されている。各ヒーター要素142Eは、各加熱ゾーン143-1~143-10内を蛇行して延びる導電体から形成されている。
図3では、加熱ゾーン143-1内にあるヒーター要素142Eのみを示した。
【0029】
これらの複数のヒーター要素142Eに、後述する給電部300により、互いに独立して給電することができる。従って、ウエハWの異なる加熱ゾーンを異なる条件で加熱することができ、ウエハWの温度分布を制御することができる。
【0030】
図4に示すように、プレート本体141の上面(表面)には、1つ以上(図示例では2つ)のプレート用吸引口144Pと、1つ以上の(図示例では中心部の1つ)基板用吸引口144Wと、1つ以上(図示例では外側の2つ)のパージガス供給口144Gと、を有している。プレート用吸引口144Pは、吸着プレート120をホットプレート140に吸着させるための吸引力を伝達するために用いられる。基板用吸引口144Wは、ウエハWを吸着プレート120に吸着させるための吸引力を伝達するために用いられる。
【0031】
さらにプレート本体141には、後述するリフトピン211が通過する複数(図示例では3つ)のリフトピン穴145Lと、回転テーブル100の組み立て用のネジにアクセスするための複数(図示例では6つ)のサービスホール145Sが形成されている。通常運転時には、サービスホール145Sはキャップ145Cで塞がれている。
【0032】
上述したヒーター要素142Eは、上記のプレート用吸引口144P、基板用吸引口144W、パージガス供給口144G、リフトピン穴145L及びサービスホール145Sを避けて配置されている。また、回転軸200との連結を電磁石により行うことでサービスホールを無くすこともできる。
【0033】
図5に示すように、吸着プレート120の下面120Bには、プレート用の下面吸引流路溝121Pと、基板用の下面吸引流路溝121Wと、下面パージ流路溝121Gとが形成されている。吸着プレート120がホットプレート140上に適切な位置関係で載置されているときに、プレート用の下面吸引流路溝121Pの少なくとも一部がプレート用吸引口144Pに連通する。同様に、基板用の下面吸引流路溝121Wの少なくとも一部が基板用吸引口144Wに連通し、下面パージ流路溝121Gの少なくとも一部がパージガス供給口144Gに連通する。プレート用の下面吸引流路溝121Pと、基板用の下面吸引流路溝122Wと、下面パージ流路溝121Gとは互いに分離されている(連通していない)。
【0034】
図10には、ホットプレート140の吸引口144P(あるいは144W,144G)と吸着プレート120の流路溝121P(あるいは121W,121G)とが重なりあい、互いに連通している状態が概略的に示されている。
【0035】
図6及び
図9に示すように、吸着プレート120の上面120Aには、複数の(図示例では5個の)太い環状の仕切壁124が形成されている。太い仕切壁124は、上面120Aに、互いに分離した複数の凹領域125W、125G(外側の4つの円環状領域と最も内側の円形領域)を画定する。
【0036】
基板用の下面吸引流路溝121Wの複数の箇所に、吸着プレート120を厚さ方向に貫通する複数の貫通穴129Gが形成されており、各貫通穴は、基板用の下面吸引流路溝121Wと複数(図示例では4つ)の凹領域125Wのいずれか1つとを連通させている。
【0037】
また、下面パージ流路溝121Gの複数の箇所に、吸着プレート120を厚さ方向に貫通する貫通穴129Gが形成されており、各貫通穴は、下面パージ流路溝121Gと最も外側の凹領域125Gとを連通させている。最も外側の凹領域125Gは、単一の円環状の上面パージ流路溝となる。
【0038】
内側の4つの凹領域125W内の各々には、複数の細い概ね環状の分離壁127が同心円状に設けられている。細い分離壁127は、各凹領域125W内に、当該凹領域内を蛇行して延びる少なくとも1つの上面吸引流路溝125WGを形成する。つまり、細い分離壁127は、各凹領域125W内に吸引力を均等に分散させる。
【0039】
吸着プレート120の上面120Aは全体として平坦であってよい。吸着プレート120の上面120Aを、
図11に概略的に示すように、全体として湾曲させてもよい。ウエハWの表面に形成されるデバイスの構造、配列等に応じて、ウエハWが特定の方向に湾曲することが知られている。処理対象のウエハWの湾曲に合わせて上面120Aを湾曲させた吸着プレート120を用いることにより、確実にウエハWの吸着を行うことができる。
【0040】
図6に示した実施形態では、仕切壁124により互いに隔離された複数の凹領域125Wが形成されていたが、これには限定されない。例えば
図12に模式的に示されるように、仕切壁124に連通路124Aを設け、
図6の凹領域125Wに相当する凹領域同士を連通させてもよい。この場合、唯一つの貫通穴129Wを、例えば吸着プレート120の中央部に設けてもよい。また、太い仕切壁124を設けずに、
図6の分離壁127に相当する複数の細い分離壁だけを、
図12の仕切壁124と同様の形態で設けてもよい。
【0041】
図2に示すように、回転軸線Axの付近には、吸引/パージ部150が設けられている。吸引/パージ部150は、中空の回転軸200の内部に設けられたロータリージョイント151を有する。ロータリージョイント151の上ピース151Aには、ホットプレート140のプレート用吸引口144P及び基板用吸引口144Wに連通する吸引配管152Wと、パージガス供給口144Gに連通するパージガス供給配管152Gが接続されている。
【0042】
図示はしていないが、吸引配管152Wを分岐させて、分岐吸引配管を、プレート用吸引口144P及び基板用吸引口144Wの真下においてホットプレート140のプレート本体141に接続してもよい。この場合、プレート本体141に、プレート本体141を貫通して上下方向に延びる貫通穴を形成し、各貫通穴に分岐吸引配管を接続してもよい。同様に、パージガス供給配管152Gを分岐させて、分岐パージガス供給配管を、パージガス供給口144Gの真下においてホットプレート140のプレート本体141に接続してもよい。この場合、プレート本体141に、プレート本体141を貫通して上下方向に延びる貫通穴を形成し、各貫通穴にパージガス供給配管を接続してもよい。上述した分岐吸引配管または分岐パージガス配管が、
図10に概略的に示されている(参照符号152WB、152GBが付けられている)
【0043】
上記に代えて、吸引配管152W及びパージガス供給配管152Gをホットプレート140のプレート本体141の中央部に接続してもよい。この場合、プレート本体141の内部に、吸引配管152Wとプレート用吸引口144P及び基板用吸引口144Wとをそれぞれ連通させる流路と、パージガス供給配管152Gとパージガス供給口144Gとを連通させる流路と、が設けられる。
【0044】
ロータリージョイント151の下ピース151Bには、吸引配管152Wに連通する吸引配管153Wと、パージガス供給配管151Gに連通するパージガス供給配管153Gと、が接続されている。ロータリージョイント151は、吸引配管152W,153W同士の連通、並びにパージガス供給配管152G,153G同士の連通を維持したまま、上ピース151A及び下ピース151Bが相対回転可能であるように構成されている。このような機能を有するロータリージョイント151それ自体は、公知である。
【0045】
吸引配管153Wは、真空ポンプ等の吸引装置154に接続されている。パージガス供給配管153Gは、パージガス供給装置155に接続されている。吸引配管153Wは、パージガス供給装置155にも接続されている。また、吸引配管153Wの接続先を吸引装置154とパージガス供給装置155との間で切り替える切替装置156(例えば三方弁)が設けられている。
【0046】
ホットプレート140には、ホットプレート140のプレート本体141の温度を検出するための複数の温度センサ146が埋設されている。温度センサ146は、例えば、10個の加熱ゾーン143-1~143-10に一つずつ設けることができる。また、ホットプレート140のヒーター142に近接した位置に、ヒーター142の過熱を検出するための少なくとも1つのサーモスイッチ147が設けられている。
【0047】
ホットプレート140と支持プレート170との間の空間Sには、上記温度センサ146及びサーモスイッチ147に加えて、温度センサ146及びサーモスイッチ147の検出信号を送信するための制御信号配線148A,148Bと、ヒーター142の各ヒーター要素142Eに給電するための給電配線149と、が設けられている。
【0048】
図2に示すように、ロータリージョイント151の周囲には、スイッチ機構160が設けられている。スイッチ機構160は、回転軸線Axの方向に関して固定された第1電極部161Aと、回転軸線Axの方向に可動の第2電極部161Bと、第2電極部161Bを回転軸線Axの方向に移動(昇降)させる電極移動機構162(昇降機構)と、を有している。
【0049】
図7に示すように、第1電極部161Aは、第1電極担持体163Aと、第1電極担持体163Aに担持された複数の第1電極164Aとを有している。複数の第1電極164Aには、制御信号配線148A,148Bに接続された制御信号通信用の第1電極164AC(
図7では小さな「○」で示す。)と、給電配線149に接続されたヒーター給電用の第1電極164AP(
図7では大きな「○」で示す。)と、が含まれる。大電流(ヒータ電流)が流れる第1電極164APは、小電流(制御信号電流)が流れる第1電極164ACよりも大面積の電極とすることが好ましい。
【0050】
第1電極担持体163Aは、全体として円板状の部材である。第1電極担持体163Aの中心部には、ロータリージョイント151の上ピース151Aが挿入される円形の穴167が形成されている。ロータリージョイント151の上ピース151Aは、第1電極担持体163Aに固定されていてもよい。第1電極担持体163Aの周縁部は、ネジ穴171を用いて支持プレート170にねじ止めすることができる。
【0051】
図2に概略的に示されるように、第2電極部161Bは、第2電極担持体163Bと、第2電極担持体163Bに担持された複数の第2電極164Bとを有している。第2電極担持体163Bは、
図7に示した第1電極担持体163Aと概ね同じ直径の全体として円板状の部材である。第2電極担持体163Bの中心部には、ロータリージョイント151の下ピース151Bが通過しうるサイズの円形の穴が形成されている。
【0052】
第1電極164Aに対して昇降することにより第1電極164Aに対して接離する第2電極164Bは、第1電極164Aと同じ平面的配置を有している。なお、以下、ヒーター給電用の第1電極164AP(受電電極)と接触する第2電極164B(給電電極)を「第2電極164BP」とも呼ぶ。また、制御信号通信用の第1電極164ACと接触する第2電極164Bを「第2電極164BC」とも呼ぶ。第2電極164BPは、給電装置(給電部)300の電力出力端子に接続されている。第2電極164BCは給電部300の制御用入出力端子に接続されている。
【0053】
各第2電極164Bと給電部300の電力出力端子及び制御用入出力端子とを接続する導電路(導電ライン)168A,168B,169(
図2を参照)は、少なくとも部分的にフレキシブルな電線により形成されている。フレキシブルな電線により、第2電極164Bと給電部300との導通が維持されたまま、第2電極部161B全体が回転軸線Ax周りに中立位置から正転方向及び逆転方向にそれぞれ所定角度だけ回転することが可能となる。所定角度は例えば180度であるが、この角度に限定されるものではない。このことは、第1電極164Aと第2電極164Bとの接続を維持したまま、回転テーブル100を概ね±180度回転させることができることを意味する。
【0054】
対を成す第1電極164A及び第2電極164Bの一方をポゴピンとして構成してもよい。
図2では、第2電極164Bの全てがポゴピンとして形成されている。なお、「ポゴピン」は、バネが内蔵された伸縮可能な棒状電極を意味する用語として広く用いられている。電極として、ポゴピンに代えて、コンセント、マグネット電極、誘導電極等を用いることもできる。
【0055】
対を成す第1電極164A及び第2電極164B同士が適切に接触しているときに第1電極担持体163Aと第2電極担持体163Bとを相対回転不能にロックするロック機構165を設けることが好ましい。ロック機構165は、例えば
図2に示すように、第1電極担持体163Aに設けられた孔165Aと、第2電極担持体に設けられるとともに孔に嵌合するピン165Bとから構成することができる。
【0056】
対を成す第1電極164A及び第2電極164B同士が適切に接触していることを検出するデバイス172(
図2に概略的に示した)を設けることも好ましい。このようなデバイスとして、第1電極担持体163Aと第2電極担持体163Bとの角度位置関係が適切な状態にあることを検出する角度位置センサ(図示せず)を設けてもよい。また、このようなデバイスとして、第1電極担持体163Aと第2電極担持体163Bとの回転軸線Ax方向の距離が適切な状態にあることを検出する距離センサ(図示せず)を設けてもよい。さらには上記ロック機構165の孔165Aにピン165Bが適切に嵌合していることを検出する接触式のセンサ(図示せず)を設けてもよい。
【0057】
図2において概略的に示された電極移動機構162は、図示はしないが、第2電極担持体163Bを押し上げるプッシュロッドと、プッシュロッドを昇降させる昇降機構(エアシリンダ、ボールねじ等)を備えて構成することができる(構成例1)。この構成を採用する場合には、例えば、永久磁石を第1電極担持体163Aに設けるとともに電磁石を第2電極担持体163Bに設けることができる。これにより、必要に応じて、第1電極部161Aと第2電極部161Bとを上下方向に相対移動不能に結合すること、並びに、第1電極部161Aと第2電極部161Bとを分離することができる。
【0058】
第1構成例を採用した場合、第1電極部161Aと第2電極部161Bとの結合及び切り離しが、回転テーブル100の同じ角度位置で行われるのならば、第2電極部161Bが回転軸線Ax周りに回転可能に支持されていなくてもよい。すなわち、第1電極部161Aと第2電極部161Bとが分離されたときに、第2電極部161Bを支持する部材(例えば上記のプッシュロッド、あるいは別の支持テーブル)があればよい。
【0059】
上記の第1構成例に代えて、他の構成例2を採用することもできる。詳細に図示はしないが、電極移動機構162の第2構成例は、回転軸線Axを中心とする円環の形状を有する第1リング状部材と、第1リング状部材を支持する第2リング状部材と、第1リング状部材と第2リング状部材の間に介設されて両者の相対回転を可能とするベアリングと、第2リング状部材を昇降させる昇降機構(エアシリンダ、ボールねじ等)と、を備える。
【0060】
上記構成例1、2のいずれを採用した場合も、対を成す第1電極164A及び第2電極164Bを適切に接触させたまま、第1電極部161Aと第2電極部161Bとをある限られた範囲内で連動して回転させることが可能である。
【0061】
回転テーブル100の電動駆動部102は、回転テーブル100を任意の回転角度位置で停止させる位置決め機能を有している。位置決め機能は、回転テーブル100(または回転テーブル100により回転させられる部材)に付設されたロータリーエンコーダーの検出値に基づいて電動駆動部102のモータを回転させることにより実現することができる。回転テーブル100を予め定められた回転角度位置に停止させた状態で、第2電極部161Bを電極移動機構162により上昇させることにより、第1及び第2電極部161A,161Bの対応する電極同士を適切に接触させることができる。第2電極部161Bを第1電極部161Aから分離するときも、回転テーブル100を上記の予め定められた回転角度位置に停止させた状態で分離を行うことが好ましい。
【0062】
上述したように、吸着プレート120と支持プレート170との間の空間S内及び空間Sに面する位置に、複数の電装部品(ヒーター、配線、センサ類)が配置されている。周縁カバー体180は、ウエハWに供給される処理液、特に腐食性の薬液が空間S内に侵入することを防止し、電装部品を保護する。空間Sに、パージガス供給配管152Gから分岐させた配管(図示せず)を介してパージガス(N2ガス)を供給してもよい。そうすることにより、空間Sの外部から空間S内に薬液由来の腐食性のガスが侵入することが防止され、空間S内を非腐食性の雰囲気に維持することができる。
【0063】
図2に示すように、周縁カバー体180は、上部181、側周部182及び下部183を有する。上部181は、吸着プレート120の上方に張り出し、吸着プレート120に接続されている。周縁カバー体180の下部183は、支持プレート170に連結されている。
【0064】
周縁カバー体180の上部181の内周縁は、吸着プレート120の外周縁よりも半径方向内側に位置している。上部181は、吸着プレート120の上面に接する円環状の下面184と、下面184の内周縁から立ち上がる傾斜した円環状の内周面185と、内周面185の外周縁から半径方向外側に概ね水平に延びる円環状の外周面186とを有している。内周面185は吸着プレート120の中心部に近づくに従って低くなるように傾斜している。
【0065】
図9に示すように、吸着プレート120の上面120Aと周縁カバー体180の上部181の下面184との間には、液の浸入を防止するためにシールが施されていることが好ましい。シールは、上面120Aと下面184との間に配置されたOリング192とすることができる。
【0066】
図5に示すように、プレート用の下面吸引流路溝121Pの一部が、吸着プレート120の最外周部分において円周方向に延びている。また、
図6に示すように、吸着プレート120の上面120Aの最外周部分に、凹溝193が円周方向に連続的に延びている。
図9に示すように、最外周の下面吸引流路溝121Pと凹溝193とは、吸着プレート120を厚さ方向に貫通する円周方向に間隔を空けて設けられた複数の貫通穴129Pを介して連通している。凹溝193の上には、周縁カバー体180の上部181の下面184が載置される。従って、プレート用の下面吸引流路溝121Pに作用する負圧により、周縁カバー体180の上部181の下面184は、吸着プレート120の上面120Aに吸着される。この吸着により、Oリング192が潰れるため、確実なシールが実現される。
【0067】
図2に示すように、外周面186すなわち周縁カバー体180の頂部の高さは、吸着プレート120に保持されたウエハWの上面の高さより高い。従って、ウエハWが吸着プレート120に保持された状態で、ウエハWの上面に処理液を供給すると、ウエハWの上面が液面LSよりも下に位置するようにウエハWを浸漬しうる液溜まり(パドル)を形成することができる。すなわち、周縁カバー体180の上部181は、吸着プレート120に保持されたウエハWの周囲を囲む堰を形成する。この堰及び吸着プレート120により処理液を貯留することができる凹所が画定される。
【0068】
周縁カバー体180の上部181の内周面185の傾斜は、回転テーブル100を高速回転させたときに、上記の槽内にある処理液を、外方にスムースに飛散させることを容易とする。つまりこの傾斜があることにより、回転テーブル100を高速回転させたときに、周縁カバー体180の上部181の内周面に液が留まることを防止することができる。
【0069】
周縁カバー体180の半径方向外側には、周縁カバー体180と一緒に回転する回転カップ188(回転液受け部材)が設けられている。回転カップ188は、円周方向に間隔を空けて設けられた複数の連結部材189を介して、回転テーブル100の構成部品、図示例では周縁カバー体180に連結されている。回転カップ188の上端は、ウエハWから飛散する処理液を受け止め得る高さに位置している。周縁カバー体180の側周部182の外周面と回転カップ188の内周面との間に、ウエハWから飛散する処理液が流下する通路190が形成されている。
【0070】
液受けカップ800は、回転テーブル100の周囲を囲み、ウエハWから飛散した処理液を回収する。図示された実施形態においては、液受けカップ800は、固定外側カップ要素801と、固定内側カップ要素804と、昇降可能な第1可動カップ要素802及び第2可動カップ要素803と、固定内側カップ要素804とを有している。互いに隣接する2つのカップ要素の間(801と802の間、802と803の間、803と804の間)にそれぞれ第1排出通路806、第2排出通路807、第3排出通路808が形成される。第1及び第2可動カップ要素802、803の位置を変更することにより、3つの排出通路806、807,808のうちのいずれか選択された1つに、周縁カバー体180と回転カップ188との間の通路190から流出する処理液を導くことができる。第1排出通路806、第2排出通路807及び第3排出通路808は、それぞれ、半導体製造工場に設置された酸系排液通路、アルカリ系排液通路及び有機系排液通路(いずれも図示せず)のいずれか一つに接続される。第1排出通路806、第2排出通路807及び第3排出通路808内には、図示しない気液分離構造が設けられている。第1排出通路806、第2排出通路807及び第3排出通路808は、エゼクタ等の排気装置(図示せず)を介して工場排気系に接続され、吸引されている。このような液受けカップ800は、本件出願人による特許出願に関連する日本国特許公開公報、特開2012-129462号、特開2014-123713号等により公知であり、詳細についてはこれらの公開公報を参照されたい。
【0071】
回転軸線Axの方向に関してホットプレート140の3つのリフトピン穴145Lと整列するように、吸着プレート120及び支持プレート170にもそれぞれ3つのリフトピン穴128L、171Lが形成されている。
【0072】
回転テーブル100には、リフトピン穴145L,128L,171Lを貫通して、複数(図示例では3つ)のリフトピン211が設けられている。各リフトピン211は、リフトピン211の上端が吸着プレート120の上面120Aから上方に突出する受け渡し位置(上昇位置)と、リフトピン211の上端が吸着プレート120の上面120Aの下方に位置する処理位置(下降位置)との間で、移動可能である。
【0073】
各リフトピン211の下方にはプッシュロッド212が設けられている。プッシュロッド212は、昇降機構213例えばエアシリンダにより昇降させることができる。プッシュロッド212によりリフトピン211の下端を押し上げることにより、リフトピン211を受け渡し位置に上昇させることができる。複数のプッシュロッド212を回転軸線Axを中心とするリング状支持体(図示せず)に設け、共通の昇降機構によりリング状支持体を昇降させることにより複数のプッシュロッド212を昇降させてもよい。
【0074】
受け渡し位置にあるリフトピン211の上に載っているウエハWは、固定外側カップ要素801の上端809よりも高い高さ位置に位置し、処理ユニット16の内部に侵入してきた基板搬送装置17のアーム(
図1参照)との間でウエハWの受け渡しを行うことができる。
【0075】
リフトピン211がプッシュロッド212から離れると、リターンスプリング214の弾性力により、リフトピン211は処理位置に下降し、当該処理位置に保持される。
図2において、符号215はリフトピン211の昇降をガイドするガイド部材、符号216はリターンスプリング214を受けるスプリング受けである。なお、固定内側カップ要素804には、回転軸線Ax周りのスプリング受け216の回転を可能とするための円環状の凹所810が形成されている。
【0076】
処理液供給部700は、複数のノズルを備える。複数のノズルには、薬液ノズル701、リンスノズル702、乾燥促進液ノズル703が含まれる。薬液ノズル701に、薬液供給源701Aから、薬液供給ライン(配管)701Cに介設された開閉弁、流量制御弁等の流れ制御機器(図示せず)を含む薬液供給機構701Bを介して薬液が供給される。リンス液供給源702Aから、リンス液供給ライン(配管)702Cに介設された開閉弁、流量制御弁等の流れ制御機器(図示せず)を含むリンス液供給機構702Bを介してリンス液が供給される。乾燥促進液供給源703Aから、乾燥促進液供給ライン(配管)703Cに介設された開閉弁、流量制御弁等の流れ制御機器(図示せず)を含む乾燥促進液供給機構703Bを介して乾燥促進液、例えばIPA(イソプロピルアルコール)が供給される。
【0077】
薬液供給ライン701Cに、薬液を温調するための温調機構として、ヒーター701Dを設けることができる。さらに、薬液供給ライン701Cを構成する配管に、薬液を温調するためのテープヒーター(図示せず)を設けてもよい。リンス液供給ライン702Cにもこのようなヒーター類を設けてもよい。
【0078】
薬液ノズル701、リンスノズル702及び乾燥促進液ノズル703はノズルアーム704の先端により支持されている。ノズルアーム704の基端は、ノズルアーム704を昇降及び旋回させるノズルアーム駆動機構705により支持されている。ノズルアーム駆動機構705により、薬液ノズル701、リンスノズル702及び乾燥促進液ノズル703をウエハWの上方の任意の半径方向位置(ウエハWの半径方向に関する位置)に位置させることが可能である。
【0079】
ハウジング1601の天井部に、回転テーブル100上にウエハWが存在しているか否かを検出するウエハセンサ860と、ウエハWの温度(あるいはウエハW上にある処理液の温度)を検出する1つまたは複数の赤外線温度計870(1つだけ図示した)が設けられている。複数の赤外線温度計870が設けられる場合、各赤外線温度計870は、各加熱ゾーン143-1~143-10にそれぞれ対応するウエハWの領域の温度を検出することが好ましい。
【0080】
次に、処理ユニット16の動作について、処理ユニット16で薬液洗浄処理を行う場合について、
図8のタイムチャートも参照して説明する。以下に説明する動作は、
図1に示した制御装置4(制御部18)により、処理ユニット16の各種構成部品の動作を制御することにより行うことができる。
【0081】
図8のタイムチャートにおいて、横軸は時間経過を示す。項目は上から順に以下の通りである。
PIN:リフトピン211の高さ位置を表しており、UPが受け渡し位置、DOWNが処理位置にあることを表している。
EL2:第2電極部161Bの高さ位置を表しており、UPが第1電極部161Aと接触する位置、DOWNが第1電極部161Aから離れた位置にあることを表している。
POWER:給電部300からヒーター142への給電状態を表しており、ONが給電状態、OFFが給電停止状態であることを表している。
VAC:吸引装置154から吸着プレート120の下面吸引流路溝121Wへの吸引力印加状態を表しており、ONが吸引中、OFFが吸引停止中を表している。
N
2-1:パージガス供給装置155から吸着プレート120の下面吸引流路溝121Wへのパージガス供給状態を表しており、ONが供給中、OFFが供給停止中を表している。
N
2-2:パージガス供給装置155から吸着プレート120の下面パージ流路溝121Gへのパージガス供給状態を表しており、ONが供給中、OFFが供給停止中を表している。
WSC:ウエハセンサ860の動作状態を表しており、ONが吸着プレート120上のウエハWの有無を検出している状態、OFFが検出を行っていない状態を示す。「On Wafer Check」はウエハWが吸着プレート120上にウエハWが存在していることを確認するための検出動作である。「Off Wafer Check」はウエハWが吸着プレート120k上から確実に取り去られたことを確認するための検出動作である。
【0082】
[ウエハW搬入工程(保持工程)]
基板搬送装置17のアーム(
図1参照)が、処理ユニット16内に侵入し、吸着プレート120の真上に位置する。また、リフトピン211が受け渡し位置に位置する(以上時点t0~t1)。この状態で、基板搬送装置17のアームが下降し、これによりウエハWがリフトピン211の上端の上に載り、ウエハWがアームから離れる。次いで、基板搬送装置17のアームが処理ユニット16から退出する。リフトピン211が処理位置まで下降し、その過程で、ウエハWが吸着プレート120の上面120Aに載る(時点t1)。
【0083】
次いで、吸引装置154が作動し、吸着プレート120がホットプレート140に吸着され、また、ウエハWが吸着プレート120に吸着される(時点t1)。その後、ウエハセンサ860によりウエハWが吸着プレート120に適切に吸着されているかの検査が開始される(時点t2)。
【0084】
パージガス供給装置155から吸着プレート120の上面の最も外側の凹領域125Gに常時パージガス(例えばN2ガス)が供給されている。これにより、ウエハWの下面の周縁部と吸着プレート120の周縁部の接触面に隙間があっても、その隙間からウエハWの周縁部と吸着プレート120の周縁部との間に処理液が浸入することはない。
【0085】
ウエハWの搬入が開始される前の時点(時点t0よりも前)から、第2電極部161Bは上昇位置にあり、第1電極部161Aの複数の第1電極164Aと、第2電極部161Bの複数の第2電極164Bが互いに接触している。給電部300からホットプレート140のヒーター142に給電され、ホットプレート140のヒーター142が予備加熱状態となっている。
【0086】
[ウエハ加熱工程]
ウエハWが吸着プレート120に吸着されたら、ホットプレート140の温度が予め定められた温度(吸着プレート120上のウエハWがその後の処理に適した温度に加熱されるような温度)まで昇温するように、ホットプレート140のヒーター142への供給電力を調節する(時点t1~t3)。
【0087】
[薬液処理工程(パドル形成工程及び撹拌工程を含む)]
次いで、処理液供給部700のノズルアームにより、薬液ノズル701が、ウエハWの中心部の真上に位置する。この状態で、薬液ノズル701から温調された薬液がウエハWの表面(上面)に供給される(時点t3~t4)。薬液の供給は、薬液の液面LSがウエハWの上面よりも上に位置するまで続けられる。このとき、周縁カバー体180の上部181が堰として作用し、薬液が回転テーブル100の外側にこぼれ落ちることを防止する。
【0088】
薬液の供給中、あるいは薬液の供給後に、回転テーブル100が低速で交互に正転及び逆転(例えば180度程度ずつ)させられる。これにより、薬液が撹拌され、ウエハW面内におけるウエハW表面と薬液との反応を均一化することができる。
【0089】
一般に、液受けカップ内に引き込まれる気流の影響により、ウエハWの周縁部の温度が低くなる傾向にある。ヒーター142の複数のヒーター要素142Eのうち、ウエハWの周縁部領域(
図3の加熱ゾーン143-1~143-4)の加熱を受け持つヒーター要素142Eへの供給電力を増大させてもよい。これにより、ウエハW面内におけるウエハWの温度が均一化され、ウエハW面内におけるウエハW表面と薬液との反応を均一化することができる。
【0090】
この薬液処理中において、ヒーター142への供給電力の制御を、ホットプレート140に設けられた温度センサ146の検出値により行うことができる。これに代えて、ヒーター142への供給電力の制御を、ウエハWの表面温度を検出する赤外線温度計870の検出値に基づいて行ってもよい。赤外線温度計870の検出値を用いた方が、より精確にウエハWの温度を制御することができる。ヒーター142への供給電力の制御を、薬液処理の前期に温度センサ146の検出値に基づいて行い、後期に赤外線温度計870の検出値に基づいて行ってもよい。
【0091】
[薬液振り切り工程(薬液除去工程)]
薬液処理が終了したら、まず、給電部300からのヒーター142への給電を停止し(時点t4)、次いで、第2電極部161Bを下降位置に下降させる(時点t5)。先に給電を停止することにより、第2電極部161Bの下降時に電極間にスパークが生じることを防止することができる。
【0092】
次いで、回転テーブル100を高速回転させ、ウエハW上の薬液を遠心力により外方に飛散させる(時点t5~t6)。周縁カバー体180の上部181の内周面185が傾斜しているため、上部181よりも半径方向内側の領域に存在する全ての薬液(ウエハW上の薬液も含む)が、スムースに除去される。飛散した薬液は、回転カップ188と周縁カバー体180との間の通路190を通って流下し、液受けカップ800に回収される。なお、このとき、薬液の種類に適した排出通路(第1排出通路806、第2排出通路807、第3排出通路808のいずれか1つ)に飛散した薬液が導かれるように、第1及び第2可動カップ要素802、803が適切な位置に位置している。
【0093】
[リンス工程]
次に、回転テーブル100を低速回転とし、リンスノズル702をウエハWの中心部の真上に位置させ、リンスノズル702からリンス液を供給する(時点t6~t7)。これにより、上部181よりも半径方向内側の領域に残留している全ての薬液(ウエハW上に残留している薬液も含む)が、リンス液により洗い流される。
【0094】
リンスノズル702から供給されるリンス液は常温のリンス液でも加熱されたリンス液でもよい。加熱されたリンス液を供給した場合には、吸着プレート120及びホットプレート140の温度低下を防止することができる。加熱されたリンス液は、工場用力系から供給を受けることができる。これに代えて、常温のリンス液を加熱するために、リンス液供給源702Aとリンスノズル702とを接続するリンス液供給ラインに、ヒーター(図示せず)を設けてもよい。
【0095】
[振り切り乾燥工程]
次に、回転テーブル100を高速回転にし、リンスノズル702からのリンス液の吐出を停止し、上部181よりも半径方向内側の領域に残留している全てのリンス液(ウエハW上に残留しているリンス液も含む)を、遠心力により外方に飛散させる(時点t7~t8)。これにより、ウエハWが乾燥する。
【0096】
リンス処理と乾燥処理の間に、ウエハWに乾燥促進液を供給し、上部181よりも半径方向内側の領域に残留している全てのリンス液(ウエハW上に残留しているリンス液も含む)を乾燥促進液に置換してもよい。乾燥促進液は、リンス液より揮発性が高く、表面張力が低いことが好ましい。乾燥促進液は、例えばIPA(イソプロピルアルコール)とすることができる。
【0097】
振り切り乾燥工程の後に、ウエハWを加熱する加熱乾燥を行ってもよい。この場合には、まず、回転テーブル100の回転を停止させる。次に、第2電極部161Bを上昇位置に上昇させ(時点t8)、次いで、給電部300からヒーター142への給電を行い(時点t9)、ウエハWを昇温させ(高速昇温が好ましい)、ウエハの周縁部およびその近傍に僅かに残留しているリンス液(または乾燥促進液)を蒸発させることにより、除去する。上述したIPAを用いた振り切り乾燥工程を行うことにより、ウエハWの表面は十分に乾燥するため、ヒーター142による加熱乾燥は行わなくてもよい。つまり、
図8のタイムチャートにおいて、時点t7とt8の間の時点から時点t10とt11との間の時点までの動作を省略してもよい。
【0098】
[ウエハ搬出工程]
次に、切替装置(三方弁)156を切り替えて、吸引配管155Wの接続先を吸引装置157Wからパージガス供給装置159に変更する。これにより、プレート用の下面吸引流路溝121Pにパージガスを供給するとともに、基板用の下面吸引流路溝122Wを介して吸着プレート120の上面120Aの凹領域125Wにパージガスを供給する。これにより、吸着プレート120に対するウエハWの吸着が解除される(時点t10)。
【0099】
上記の操作に伴い、ホットプレート140に対する吸着プレート120の吸着も解除される。1枚のウエハWの処理が終了する毎にホットプレート140に対する吸着プレート120の吸着を解除しなくてもよいため、この吸着解除が行われないような配管系統に変更しても構わない。
【0100】
次いで、リフトピン211を受け渡し位置まで上昇させる(時点t11)。上記のパージにより吸着プレート120に対するウエハWの吸着が解除されているため、ウエハWを吸着プレート120から容易に離すことができる。このため、ウエハWの傷付きを防止することができる。
【0101】
次いで、リフトピン211上に載っているウエハWを、基板搬送装置17のアーム(
図1参照)で持ち上げて、処理ユニット16の外部に搬出する(時点t12)。その後、ウエハセンサ860により、吸着プレート120上にウエハWが存在しないことの確認が行われる。以上により、1枚のウエハWに対する一連の処理が終了する。
【0102】
薬液洗浄処理で用いられる薬液としては、SC1、SPM(硫酸過水)、H3PO4(リン酸水溶液)などが例示される。一例として、SC1の温度は常温~70℃、SPMの温度は100~120℃、H3PO4の温度は100~165℃である。このように、常温より高い温度で薬液が供給される場合、上記実施形態は有益である。
【0103】
上記実施形態によれば、固体内の熱伝導により薬液が加熱されるため、ウエハW上に存在する薬液の温度を高精度に制御することができる。また、リンス処理及び振り切り乾燥時には、ヒーター142の給電系統を分離することにより、回転テーブル100を高速回転させることができるため、リンス処理及び振り切り乾燥を効率良く行うことができる。
【0104】
また、上記実施形態によれば、ヒーター142の給電系統を分離せずに回転テーブル100をある程度の範囲だけ回転させることができるため、処理液のパドルを加熱した状態で撹拌が可能である。このため、ウエハW面内での処理の均一性を向上させることができる。
【0105】
上記の処理ユニット16を用いて、液処理として、メッキ処理(特に無電解メッキ処理)を行うこともできる。無電解メッキ処理を行う場合、プリクリーン工程(薬液洗浄工程)、メッキ工程、ポストクリーン工程(薬液洗浄工程)、IPA置換工程、振り切り乾燥工程(場合によっては続いて加熱乾燥工程)が順次行われる。このうち、メッキ工程において、処理液として例えば50~70℃のアルカリ性薬液(無電解メッキ液)が用いられる。プリクリーン工程、ポストクリーン工程、IPA置換工程で用いられる処理液(薬液またはリンス液)は常温である。従って、メッキ工程時に、上述したウエハ加熱工程及び薬液処理工程と同様の工程を行えばよい。プリクリーン工程、リンス工程、ポストクリーン工程、IPA置換工程においては、第1電極164Aと第2電極164Bとを離間させた状態で、回転テーブルを回転させながら、必要な処理液を、吸着プレート120に吸着されたウエハWの上面に供給すればよい。勿論、処理液供給部700には、必要な処理液を供給するのに十分なノズル及び処理液供給源が設けられる。
【0106】
次に
図13を参照して処理ユニットの他の構成例について説明する。
図13の構成例では、ヒーター142の下面に、ヒーター142と概ね同じ平面形状を有する補助ヒーター900が設けられている。ヒーター142と同様に、補助ヒーター900も、面状ヒーター、例えば、ポリイミドヒーターにより構成することができる。ともにポリイミドヒーターにより構成することができるヒーター142と補助ヒーター900との間には、ポリイミド膜からなる絶縁膜を介設させることが好ましい。
【0107】
ヒーター142と同様に、補助ヒーター900にも複数の加熱ゾーンを設定して、各加熱ゾーンを個別に制御してもよい。ヒーター142に単一の加熱ゾーンを設定して、ヒーター142の全体を均等に発熱させてもよい。
【0108】
次に、補助ヒーター900の給電装置について説明する。給電装置は、接触式の電力伝送機構を有する。電力伝送機構は、回転テーブル100が一方向に連続的に回転しているとき(このときスイッチ機構160を介したヒーター142への給電は不可能である)にも補助ヒーター900への通電が可能となるように構成されている。電力伝送機構は、ロータリージョイント151と同軸に設けられ、好ましくはロータリージョイント151に組み込まれるかあるいは一体化されている。
【0109】
第1構成例に係る電力伝送機構910について、
図14Aの動作原理図と、
図14Bの軸方向断面図を参照して説明する。
図14Aに示すように、電力伝送機構910は、転動軸受け(ボールまたはローラーベアリング)に類似した構成を有しており、アウターレース911と、インナーレース912と、複数の転動体(例えばボール)913とを有する。アウターレース911、インナーレース912および転動体913は、導電性材料(導電体)から形成される。好ましくは電力伝送機構910の構成要素(911,912,913)間に適度な予圧が印加される。そうすることにより、転動体913を介してアウターレース911とインナーレース912との間により安定した導通を確保することができる。
【0110】
上記動作原理による電力伝送機構910が組み込まれたロータリージョイント151の具体例が
図14Bに示されている。ロータリージョイント151は、ハウジング1601内に設けられたフレームまたはこれに固定されたブラケット(いずれも図示せず)に固定された下ピース151Bと、回転テーブル100またはこれと連動して回転する部材(図示せず)に固定された上ピース151Aとを有する。
【0111】
図14Bに示されたロータリージョイント151の構成自体は公知であるが、簡単に説明しておく。すなわち、上ピース151Aの円筒形の中心孔152Aに、下ピース151Bの円柱形の中心突起152Bが挿入されている。中心突起152Bは一対のベアリング153を介して上ピース151Aに支承されている。中心孔152Aの内周面に扱うガスの種類に応じた数(
図14BではGAS1およびGAS2の2つであるがこれには限定されない)の円周溝154Aが形成されている。各円周溝154Aの両脇にガスのリークを防止するためのシールリング155Sが設けられている。上ピース151A内には、複数の円周溝154Aにそれぞれ連通するガス通路156Aが形成されている。各ガス通路156Aの端部がガス出口ポート157Aとなっている。中心突起152Bの外周面には、複数の円周溝154Aにそれぞれ対応する軸方向位置に複数の円周溝154Bが設けられている。下ピース151B内には、複数の円周溝154Bにそれぞれ連通するガス通路156Bが形成されている。各ガス通路156Bの端部がガス入口ポート157Bとなっている。
【0112】
図14Bに示した構成によれば、上ピース151Aと下ピース151Bとが回転しているときにも、実質的にガスリーク無しに、ガス入口ポート157Bおよびガス出口ポート157Aとの間でガスを流すことができる。勿論、ガス入口ポート157Bおよびガス出口ポート157Aとの間で吸引力を伝達することもできる。
【0113】
ロータリージョイント151の上ピース151Aと下ピース151Bとの間に、電力伝送機構910が組み込まれている。
図14Bの例では、アウターレース911が下ピース151Bの円筒形の凹所に嵌め込まれ(例えば圧入され)、上ピース151Aの円柱形の外周面がインナーレース912に嵌め込まれている(例えば圧入され)。アウターレース911と下ピース151Bとの間、並びに上ピース151Aとインナーレース912との間は、適当な電気的絶縁処理が施されている。アウターレース911は電線916を介して電源(あるいは給電制御部)915に電気的に接続され、インナーレース912は電線914を介して補助ヒーター900に電気的に接続されている。なお、
図14Bの例では、インナーレース912が回転テーブル100と一体的に回転する回転部材であり、アウターレース911は非回転部材である。電源915は、
図13に示す給電部300の一部であってもよい。
【0114】
なお、
図14Bに示した構成において、電力伝送機構910の転動軸受けを軸方向に多段に設けることにより、多チャンネルの給電を行うことも可能である。この場合、補助ヒーター900に複数の加熱ゾーンを設けて、各加熱ゾーンに独立した給電を行うことも可能である。
【0115】
次に、第2構成例に係る電力伝送機構920について
図14Cを参照して説明する。
図14Cに示す電力伝送機構920は、それ自体公知のスリップリングからなり、多チャンネル給電が可能なように構成されている。スリップリングは、導電体である回転リングおよびブラシから構成されている。スリップリングは固定部921および回転部922から構成される。固定部921は、ハウジング1601内に設けられたフレームまたはこれに固定されたブラケット(いずれも図示せず)に固定されている。回転部922は、回転テーブル100またはこれと連動して回転する部材(図示せず)に固定されている。固定部921の側周面には、電源あるいは給電制御部(図示せず)に電気的に接続された複数の電線923が接続される複数の端子が設けられている。回転部922の軸方向端面から、前記複数の端子とそれぞれ導通している複数の電線924が延出し、補助ヒーター900に電気的に接続されている。
【0116】
図14Cの構成例では、ロータリージョイント151の下ピース151Bが、その中心に貫通孔158を有する中空部材として構成されている。貫通孔の内部にスリップリングとして構成された電力伝送機構920が格納されている。
図14Bの構成例と同様に、ロータリージョイント151の下ピース151Bは、ハウジング1601内に設けられたフレームまたはこれに固定されたブラケット(いずれも図示せず)に固定されている。また、ロータリージョイント151の上ピース151Aは、回転テーブル100またはこれと連動して回転する部材(図示せず)に固定されている。
【0117】
なお、ホットプレート140と支持プレート170との間の空間S内の適当な部位に、電力伝送機構を介して送られてきた電力を多チャンネルに分配する分配器および個々の加熱ゾーンへの給電を制御する制御モジュール(いずれも図示せず)を設置してもよい。そうすることにより、電力伝送機構が単チャンネルに対応するものであったとしても、補助ヒーター900に複数の加熱ゾーンを設けて、各加熱ゾーンに独立した給電を行うことが可能となる。
【0118】
補助ヒーター900に給電する給電装置は上記のものには限定されず、所望のレベルの電力の伝送を行いつつ相対回転が許容される送電部と受電部とを有する任意の公知の電力伝送機構を用いたものを採用することができる。
【0119】
電力伝送機構が多チャンネルの電力伝送が可能であるように構成されている場合には、1つまたは複数の伝送チャンネルを制御信号または検出信号を伝送するために用いてもよい。
【0120】
なお、
図13および
図14A~
図14Cに示した電力伝送機構が、先に
図2および
図11を参照して説明したスイッチ機構160を介した主ヒーター142への給電機能および制御/検出信号の伝送機能の全部または一部を受け持ってもよい。この場合、スイッチ機構160を完全に廃止してもよいし、スイッチ機構160の構成を一部省略することもできる。
【0121】
図13に示す処理ユニット16の動作は、補助ヒーター900への通電以外の点については、先に説明した
図2の処理ユニット16の動作と同じとすることができる。
【0122】
一実施形態において、補助ヒーター900には常時通電される。一実施形態においては、スイッチ機構160を介してヒーター(主ヒーター)142に供給される電力の方が、
図14A~
図14Cに示した電力伝送機構910,920および
図13に示した電力伝送機構(902,903)を介して補助ヒーター900に供給される電力よりも大きい。つまり、補助ヒーター900の主たる役割は、ヒーター142による加熱が不可能な状況下において、ホットプレート140の温度低下を防止することである。しかしながら、補助ヒーター900の発熱量がヒーター142の発熱量と概ね同レベルであってもよい。
【0123】
なお、一実施形態において、処理ユニット16(基板処理システム1)の稼働中は、補助ヒーター900への供給電力は一定に維持され、ウエハWの温度制御はヒーター142への供給電力を調節することにより行われる。しかしながら、補助ヒーター900への供給電力を調節することにより、補助ヒーター900をウエハWの温度制御に関与させてもよい。
【0124】
なお、上記実施形態では、独立した給電系統によりそれぞれ給電されるヒーター(主ヒーター)142すなわち第1ヒーター要素、および補助ヒーター900すなわち第2ヒーター要素を設けたが、これには限定されない。例えば、補助ヒーター900を設けずに、主ヒーター142に対して上述したスイッチ機構160を含む第1の給電系統と、上述した電力伝送機構910,920および電力伝送機構(902,903)を含む第2の給電系統により電力供給ができるように構成してもよい。
【0125】
以下に
図15および
図16を参照してヒーターの温度制御に関与する要素間の関係の例について説明する。
【0126】
まず、
図15の例について説明する。
図15の例では、前述した接離動作をするスイッチ機構160および常時電力伝送可能な電力伝送機構910(920でもよい)を用いて電力および制御信号(あるいは検出信号)が伝送される。
【0127】
スイッチ機構160の制御信号通信用の第1電極164ACおよび第2電極164BCを介して、給電部300(
図13も参照)に内蔵された温度制御部TR1にN個(例えば加熱ゾーンの数と同数の10個)の温度センサ146(例えば熱電対TC1)の検出信号が送られる。なおこの場合、給電部300は前述した電源915を包含する。
【0128】
温度制御部(レギュレータ)TR1は、受信した温度センサTC1の検出信号に基づいて、ヒーター142の各ヒーター要素142Eに供給すべき電力を算出する。温度制御部TR1は、算出した電力に相当する電力を、スイッチ機構160のヒーター給電用の第1電極164APおよび第2電極164BCを介して、ヒーター要素142Eに供給する。
【0129】
M個(例えば3個の)サーモスイッチ147のいずれかによりホットプレート140の異常昇温が検出されたら、その検出結果が電力伝送機構910の1つ以上の伝送チャンネルを用いてインターロック制御部(I/L)に伝送される。インターロック制御部(I/L)は、温度制御部TR1にヒーター142への給電を停止させる。
【0130】
ホットプレート140に設けられた熱電対等の温度センサTC2(これは
図15以外には図示されていない)の検出信号が、電力伝送機構910の1つ以上の伝送チャンネルを用いて給電部300に内蔵された温度制御部(レギュレータ)TR2に送られる。温度制御部TR2は受信した温度センサTC2の検出信号に基づいて、補助ヒーター900に供給すべき電力を算出する。温度制御部TR2は、算出した電力に相当する電力を電力伝送機構910を介して補助ヒーター900に供給する。なお、前述したように、補助ヒーター900に一定の電力を供給してもよい。
【0131】
次に、
図16の例について説明する。
図16の例では、前述した接離動作をするスイッチ機構160および非接触式の電力伝送機構(902,903)を用いて電力供給および制御信号(あるいは検出信号)が伝送される。以下、
図15の例との相違点のみ述べる。
【0132】
図16の例では、サーモスイッチ147からの異常昇温の検出信号は、スイッチ機構160の制御信号通信用の第1電極164ACおよび第2電極164BCを介して、給電部300に内蔵された温度制御部TR1に送られる。また、
図16の例では、ホットプレート140に設けられた熱電対等の温度センサTC2に代えて、赤外線温度計870により、ウエハWまたは吸着プレート120(ウエハWが無い場合)の表面の温度が検出される。そして、この検出結果に基づいて温度制御部TR2が電力伝送機構910を介して補助ヒーター900に電力を供給する。
【0133】
なお、
図15および
図16には図示していないが、アースを取ることが必要な場合は、スイッチ機構160または電力伝送機構910(920でもよい)の1つの伝送チャンネルを用いることができる。
【0134】
図17に概略的に示されるように、処理ユニット16内にさらにウエハWと概ね同じ直径を有する円板形状のトッププレート950を設けてもよい。トッププレート950にはヒーター952が内蔵されていてもよい。トッププレート950は、プレート移動機構960により、回転テーブル100に保持されたウエハに近接するカバー位置(
図17に示す位置)と、ウエハWから十分に離れた待機位置(例えばノズルアーム704をウエハWの上方に位置させることを可能とする位置)との間を移動することができる。待機位置は、回転テーブル100の真上の位置であってもよいし、平面視で液受けカップ800の外側の位置であってもよい。
【0135】
トッププレート950を設けた場合には、前述した薬液処理工程を実行しているときに、トッププレート950がカバー位置に位置する。つまり、ウエハWを覆う薬液(CHM)のパドルの液面の近傍にトッププレート950が配置される。この場合、トッププレート950により薬液成分の飛散による処理ユニット16内の汚染を抑制することができる。
【0136】
トッププレート950がヒーター952を有している場合には、トッププレート950は、ウエハWおよびウエハW上の薬液を保温する役割も果たす。また、ヒーター952によりトッププレート950の下面が加熱されているため、ウエハW上で加熱され薬液から生じた蒸気(水蒸気)がトッププレート950の下面上で結露しない。このため、薬液の液膜の表面とトッププレート950の下面との間の空間(隙間)の蒸気圧が維持されるため、薬液の蒸発が抑制され、薬液の濃度を所望の範囲内に維持することができる。また、薬液の消費量の増大を防止することができる。さらに、トッププレート950の下面が汚れることを防止することもできる。なお、トッププレート950のヒーター952の設定温度は、回転チャックの設定温度ほど高くなくてもよく、トッププレート950の下面で結露が生じない程度の温度でよい。この効果は、薬液がウエットエッチング用薬液または洗浄用薬液である場合にも、メッキ(無電解メッキ)用の薬液(メッキ液)である場合にも得られる。
【0137】
トッププレート950に、トッププレート950の下方の空間に不活性ガス例えば窒素ガス(N2ガス)を供給するガスノズル980を設けてもよい。ガスノズル980から供給される不活性ガスにより、ウエハWの上面とトッププレート950の下面との間の空間の酸素濃度を低下させることができるため、酸化性雰囲気を嫌う様々な処理に有益である。例えば、無電解メッキ処理の場合、メッキ液の酸化を防止することはメッキ膜の品質向上のため有益である。
【0138】
トッププレート950の下面外周縁から下方に突出する円周壁を設けてもよい。このような円周壁によりウエハWの上面とトッププレート950の下面との間の空間が囲まれることにより、ノズル980から供給される不活性ガスによる雰囲気制御を効率良く行うことができる。
【0139】
先にも簡単に述べたが、上述した処理ユニット16(
図2または
図13に示したもの)を用いて、液処理として、メッキ処理(特に無電解メッキ処理)を行うことができる。これについて以下に詳細に説明する。
【0140】
まず、処理ユニット16でメッキ処理を行う場合には、先に
図17を参照して説明したトッププレート950が処理ユニット16に設置される。また、ノズルアーム704には、先に説明したノズル701~703と同様な構成を有する4つのノズルが設けられる。4つのノズルには、先に説明した供給源701A~703Aと同様の液供給源から、先に説明した流れ制御機器を含む液供給機構701B~703Bと同様の構成を有する液供給機構が設けられた配管を介して、4種類の処理液がそれぞれ供給される。一実施形態において、4種類の処理液は、プリクリーン液、メッキ液(無電解メッキ用のメッキ液)、ポストクリーン液およびリンス液である。
【0141】
以下、メッキ処理の各工程について説明する。以下の説明にあたっては
図18の模式図も参照する。
図18の模式図においてLは処理液(上記の4種類の処理液のいずれか)であり、Nは上記の4つのノズルのいずれかを意味している。
【0142】
[ウエハW搬入工程(保持工程)]
まず、ウエハW搬入工程(保持工程)が行われる。この工程は、薬液洗浄処理におけるウエハW搬入工程(保持工程)と同一であり、重複説明は省略する。このとき、
図18(A)の模式図に示すように、第1電極部161Bと第2電極部161Bとが離れており、給電部300からヒーター142への給電は停止されている。
【0143】
[プリクリーン工程]
次に、ウエハWを保持した回転テーブル100を回転させながら、プリクリーン液供給用のノズルからウエハWの表面の中央部にプリクリーン液を供給することにより行われる。ウエハW上に供給されたプリクリーン液は、遠心力によりウエハWの周縁部に向けて広がりながら流れてゆき、ウエハWの周縁から外方に流出する。このとき、ウエハWの表面はプリクリーン液の薄い液膜に覆われる。プリクリーン工程により、ウエハWの表面がメッキ処理に適した状態になる。このとき、引き続き、第1電極部161Bと第2電極部161Bとが離れており、給電部300からヒーター142への給電は停止されている。このときの状態が
図18(B)の模式図に示されている。ウエハWの周縁から外方に流出した処理液L(プリクリーン液)は、周縁カバー体180の上部181の傾斜した内周面185に沿って回転テーブル100の外方に飛散する。
【0144】
[第1リンス工程]
次に、回転テーブル100を回転させたままで、プリクリーン液の供給を停止するとともにリンス液供給用のノズルから回転テーブルに保持されたウエハWの表面の中央部にリンス液(例えばDIW)を供給する。ウエハW上に供給されたリンス液により、ウエハW上に残留していたプリクリーン液および反応副生成物が洗い流される。このときも、引き続き、第1電極部161Bと第2電極部161Bとが離れており、給電部300からヒーター142への給電は停止されている。このときの状態も、
図18(B)と同じである(但し、処理液Lはリンス液である)。
【0145】
[メッキ液置換工程]
次に、回転テーブル100を回転させたままで、リンス液の供給を停止するとともにメッキ液供給用のノズルから回転テーブルに保持されたウエハWの表面の中央部にメッキ液を供給する。これによりウエハW上に残留していたリンス液がメッキ液により置換される。このときの状態も、
図18(B)と同じである(但し、処理液Lはメッキ液である)。
【0146】
なお、ウエハWの表面へのメッキ液の供給が開始されるまでに、ハウジング1601内に不活性ガス(例えば窒素ガス)を供給して、ハウジング1601内の酸素濃度を低下させておくことが好ましい。ハウジング1601の天井部に設けられたFFU(ファンフィルタユニット)に、ハウジング1601内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部としての機能を持たせることができる。この場合、FFUには、クリーンエアを供給する機能と不活性ガスを供給する機能が設けられる。これに代えて、FFUとは別に、ハウジング1601内に不活性ガス供給を供給するノズル等からなる不活性ガス供給部を設けてもよい。メッキ液の酸化を抑制することにより、メッキ膜の品質を向上させることができる。
【0147】
[ウエハ加熱工程]
リンス液がメッキ液に置換されたら、メッキ液の供給を継続したまま、ウエハWの回転を停止する。次に、第2電極部161Bを上昇位置に移動させ、第1電極部161Aの複数の第1電極164Aと、第2電極部161Bの複数の第2電極164Bとを互いに接触させ、次いで、ホットプレート140のヒーター142への電力供給を開始する。このとき、ホットプレート140の温度が予め定められた温度(吸着プレート120上のウエハWがその後のメッキ処理に適した温度に加熱されるような温度)まで昇温するように、ホットプレート140のヒーター142への供給電力を調節する。
【0148】
[メッキ処理工程(パドル形成工程及び撹拌工程を含む)]
ウエハ加熱工程の後に、あるいはウエハ加熱工程と並行して、ウエハWの表面にメッキ液のパドル(液溜まり)が形成される。リンス液がメッキ液に置換された後に、メッキ液の供給を継続したまま、ウエハWの回転を停止させると、ウエハWの表面に形成されたメッキ液の液膜が厚くなってゆく。このときの状態が、
図18(C)に示されている(但し、処理液Lはメッキ液である)。メッキ液の供給は、例えば、メッキ液の液膜表面の高さが周縁カバー体180の上部181の高さよりやや低い高さ位置になるまで続けられ、その後、メッキ液の供給が停止される。周縁カバー体180の上部181は堰として作用し、メッキ液が回転テーブル100の外側にこぼれ落ちることを防止する。
【0149】
所望の厚さのメッキ液のパドルが形成されたら、メッキ液供給用のノズルおよび当該ノズルを保持しているノズルアーム(例えば
図2、
図13に示すノズルアーム704)をウエハWの上方から退避させる。次いで、
図17および
図18(D)に示すように、トッププレート950をカバー位置に位置させる。すなわち、トッププレート950をウエハWの表面に形成されたメッキ液の液膜の表面に近接させる。また、トッププレート950に内蔵されたヒーター952に通電し、少なくともトッププレート950の下面を加熱する。
【0150】
このときトッププレート950は、先に述べたように、ウエハWおよびウエハW上のメッキ液の保温、ウエハW上のメッキ液の周囲の雰囲気制御、およびウエハW上のメッキ液の濃度維持等の役割などを果たす。
【0151】
好ましくは、トッププレート950がカバー位置に位置している間、トッププレート950に設けられたガスノズル980から、不活性ガス例えば窒素ガスを、ウエハW上のメッキ液の液膜の表面とトッププレート950の下面との間の空間に供給し、当該空間を低酸素濃度雰囲気とする。これにより、メッキ液の酸化による劣化が防止され、メッキ膜の品質が向上する。
【0152】
メッキ液の供給中、あるいはメッキ液の供給後に、回転テーブル100が低速で交互に正転及び逆転(例えば180度程度ずつ)させることが好ましい。これにより、メッキ液が撹拌され、ウエハW面内におけるウエハW表面とメッキ液との反応を均一化することができる。前述したように、第1電極部161Bと第2電極部161Bとを接触させたまま、回転テーブル100を概ね±180度回転させることができる。
【0153】
メッキ処理工程中、第1電極部161Aと第2電極部161Bとは互いに接触し続ける。先に説明した薬液処理工程と同様に、メッキ処理工程中においても、ヒーター142への供給電力の制御を、ホットプレート140に設けられた温度センサ146の検出値に基づいて行うことができる。これに代えて、ヒーター142への供給電力の制御を、ウエハWの表面温度を検出する赤外線温度計870の検出値に基づいて行ってもよい。赤外線温度計870の検出値を用いた方が、より精確にウエハWの温度を制御することができる。ヒーター142への供給電力の制御を、メッキ処理工程の前期に温度センサ146の検出値に基づいて行い、後期に赤外線温度計870の検出値に基づいて行ってもよい。
【0154】
先に説明した薬液処理工程と同様に、メッキ処理工程においても、ウエハWの周縁部領域(
図3の加熱ゾーン143-1~143-4)の加熱を受け持つヒーター要素142Eへの供給電力を増大させてもよい。これにより、ウエハW面内におけるウエハWの温度が均一化され、ウエハW面内におけるウエハW表面とメッキ液との反応を均一化することができる。
【0155】
所望のメッキ膜が形成されたら、トッププレート950を退避位置に移動させ、また、給電部300からヒーター142への電力供給を停止する。次いで、第2電極部161Bを下降位置に移動させ、第1電極164Aと第2電極164Bとを互いに分離する。
【0156】
[第2リンス工程]
次に、ウエハWを保持した回転テーブル100を回転させ、リンス液供給用のノズルから、回転テーブルに保持されたウエハWの表面の中央部にリンス液(例えばDIW)を供給する。ウエハW上に供給されたリンス液により、ウエハW上に残留していたメッキ液および反応副生成物が洗い流される。このとき、引き続き第1電極部161Bと第2電極部161Bとが離れており、給電部300からヒーター142への給電は引き続き停止されている。このときの状態は、
図18(B)と同じである(但し、処理液Lはリンス液である)。
【0157】
[ポストクリーン工程]
次に、引き続き回転テーブル100を回転させながら、ポストクリーン液供給用のノズルからウエハWの表面の中央部にポストクリーン液を供給する。ウエハW上に供給されたポストクリーン液により、ウエハW上に残留していた反応副生成物がさらに洗い流される。このとき、給電部300からヒーター142への給電は引き続き停止されている。ヒーター142への給電を停止していることにより、低濃度アルカリ液であるポストクリーン液の温度が上昇した場合に生じ得るメッキ膜のエッチングを防止することができる。このときの状態は、
図18(B)と同じである(但し、処理液Lはポストクリーン液である)。
【0158】
[第3リンス工程]
次に、引き続き回転テーブル100を回転させながら、リンス液供給用のノズルから、回転テーブルに保持されたウエハWの表面の中央部にリンス液(例えばDIW)を供給する。ウエハW上に供給されたリンス液により、ウエハW上に残留していたポストクリーン液および反応副生成物が洗い流される。このとき、給電部300からヒーター142への給電は引き続き停止されている。このときの状態は、
図18(B)と同じである(但し、処理液Lはリンス液である)。
【0159】
[振り切り乾燥工程]
次に、回転テーブル100を高速回転にし、リンス液供給用のノズルからのリンス液の吐出を停止し、上部181よりも半径方向内側の領域に存在する全てのリンス液(ウエハW上に残留しているリンス液も含む)を、遠心力により外方に飛散させる。これにより、ウエハWが乾燥する。このとき、給電部300からヒーター142への給電は引き続き停止されている。
【0160】
薬液洗浄処理と同様に、振り切り乾燥工程の後に、ウエハWを加熱する加熱乾燥を行ってもよい。
【0161】
[ウエハ搬出工程]
次に、薬液洗浄処理におけるウエハ搬出工程と同様の手順に従いウエハ搬出工程が実行される。このとき、給電部300からヒーター142への給電は引き続き停止されている。
【0162】
以上により1枚のウエハWに対するメッキ処理の一連の工程が終了する。
【0163】
上記のメッキ処理を行う場合も、先に説明した薬液処理を行う場合と同様の利点が得られる。
【0164】
第1リンス工程の後、メッキ液置換工程の前に、ウエハWにメッキ膜の析出の触媒となるパラジウムを付与するパラジウム付与工程を実行してもよい。このパラジウム付与工程を行うために、パラジウム触媒液をウエハWに供給するためのノズルと、当該ノズルにパラジウム触媒液の供給源からパラジウム触媒液を供給するための流れ制御機器を含む液供給機構が設けられる(いずれも図示せず)。パラジウム付与工程の後、メッキ液置換工程の前に、別のリンスを行うことができる。
【0165】
ポストクリーン工程を開始する前に、回転テーブル100を冷却する冷却工程を実施してもよい。回転テーブル100の冷却は、例えば以下の手順により実施することができる。まず、回転テーブル100の吸着プレート120によるウエハWの吸着を解除する。次に、リフトピン211によりウエハWを持ち上げ、ウエハWを吸着プレート120から離す。次に、基板用吸引口144Wに吸引力を作用させ、吸着プレート120の上面近傍の雰囲気を吸引する。なおこのとき、工場用力としての吸引ライン(工場排気系)を用いないで、エゼクタを用いて吸引を行い、排気を有機排気ラインに排気することが好ましい。
【0166】
概ね常温の気体(クリーンエアまたは窒素ガス)が基板用吸引口144Wに流入する際に、その気体により熱を奪われることにより、吸着プレート120およびこれに接するプレート(例えばホットプレート140)が冷却される。吸着プレート120が所望の温度まで冷却されたら、ウエハWを持ち上げているリフトピン211を下降させ、ウエハWを吸着プレート120上に載置する。次いで、基板用吸引口144Wに吸引力を作用させ、ウエハWを吸着プレート120に吸着する。
【0167】
上記の冷却工程により吸着プレート120が冷却される。また、冷却工程中に吸着プレート120から離れているウエハWの温度も低下する。ポストクリーン液が高温のウエハW(つまりメッキ膜)に接触すると、メッキ膜が問題となる程度にエッチングされてしまうおそれがある。しかしながら、上記冷却工程を実施することにより、メッキ膜のエッチングの問題を防止することができる。
【0168】
図13に示した処理ユニットを使用する場合、前述した全ての工程、すなわちウエハW搬入工程(保持工程)、ウエハ加熱工程、薬液処理工程(パドル形成工程及び撹拌工程を含む)、薬液振り切り工程(薬液除去工程)、リンス工程、振り切り乾燥工程、およびウエハ搬出工程が実行されている間に、補助ヒーター900に連続的に電力を供給することができる。この場合、スイッチ機構160の第1電極部161Aの第1電極164Aと第2電極部161Bの第2電極164Bとが接触しヒーター(主ヒーター)142に通電されている期間(接触期間)内と、第1電極164Aと第2電極164Bとが離れている期間(離間期間)内とで異なる制御を行ってもよい。
【0169】
具体的には例えば、接触期間内には、回転テーブル100のホットプレート140の温度制御をヒーター142への供給電力を制御することにより行い、補助ヒーター900には一定の電力を供給し続けてもよい。なお、離間期間内は、ホットプレート140の温度制御は、補助ヒーター900への供給電力を制御することにより行われる。
【0170】
接触期間内には、回転テーブル100のホットプレート140の温度制御をヒーター142への供給電力の制御および補助ヒーター900への供給電力の制御の両方により行ってもよい。
【0171】
別の実施形態において、接触期間内には、補助ヒーター900に電力を供給せずに、ホットプレート140の温度制御をヒーター142への供給電力を制御することのみにより行ってもよい。
【0172】
離間期間内におけるホットプレート140の温度は、薬液処理工程時(これは接触期間内の一部である)のホットプレート140の温度と異なっていてもよく、例えば低くてもよい。
【0173】
離間期間内には、自然放熱により、あるいは常温の処理液により冷却されることにより、ホットプレート140(およびその上の吸着プレート120)の温度が低下してゆく。メッキ処理工程を行うときに、温度低下したホットプレート140および吸着プレート120を再度所望の温度まで昇温させるためにある程度長い時間が必要となる。このことは処理のスループットを低下させる要因となる。離間期間内に補助ヒーター900に電力を供給してホットプレート140を保温しておくことにより、ホットプレート140および吸着プレート120を再度所望の温度まで昇温させるために必要な時間を短縮することができる。
【0174】
なお、前述したように、ポストクリーン工程を実施するときにホットプレート140および吸着プレート120の温度が高いことは好ましくないため、ポストクリーン工程の終了後に補助ヒーター900への電力供給を開始することも好ましい。
【0175】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0176】
処理対象の基板は半導体ウエハに限定されるものでなく、ガラス基板、セラミック基板等の半導体装置の製造に用いられる他の種類の基板であってもよい。
【符号の説明】
【0177】
W 基板
100 回転テーブル
102回転駆動機構
142 電気ヒーター
164AP(164A) 受電電極
164BP(164B) 給電電極
162 電極移動機構
300 給電部
800 処理カップ
701,702,703 処理液ノズル
701B,702B,703B 処理液供給機構
4,18 制御部