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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】管内面補強装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/34 20060101AFI20221215BHJP
   F16L 58/02 20060101ALN20221215BHJP
【FI】
B29C63/34
F16L58/02
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021019183
(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公開番号】P2022122099
(43)【公開日】2022-08-22
【審査請求日】2022-09-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597022975
【氏名又は名称】エスジーシー下水道センター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】日沼 史人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正俊
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-286882(JP,A)
【文献】特開2020-023122(JP,A)
【文献】特開2009-083251(JP,A)
【文献】特開2017-132269(JP,A)
【文献】特開2010-052276(JP,A)
【文献】特開2020-196153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 63/00-63/48
F16L 58/00-58/18
F16L 1/00
F16L 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に互いに離間して設けた一対の本体端蓋(1)に気密に固定され、半径方向に膨張収縮可能な光透過性ゴム材よりなるフレキシブルな筒状加圧体(2)と、筒状加圧体(2)に内装されると共に、一方の面(3a)がその筒状加圧体(2)の内面に対向した金属板(3)と、
金属板(3)の前記一方の面(3a)に分散して配置した多数の光エネルギー放出用のLED(4)と、
金属板(3)の他方の面(3b)および又は、一方の面(3a)に固定した冷却配管(5)と、
前記筒状加圧体(2)内の空気を攪拌するファン(6)または空気攪拌装置と、を具備し、
前記LED(4)の発熱を、前記金属板(3)を介して前記冷却配管(5)に供給された流体により外部に放出する管内面補強装置であって、
前記筒状加圧体(2)の軸線方向の中間に、支管挿入体(7)が半径方向に出入自在に配置され、前記軸線に対して、前記支管挿入体(7)側である上側とその反対側である下側とのそれぞれに、第1および第2の前記金属板(3)として、上側金属板(3A)、下側金属板(3B)が配置され、
上側金属板(3A)は、支管挿入体(7)を挟んで、その軸線方向の両側に分割して、一対配置された管内面補強装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管内面補強装置において、
前記上側金属板(3A)、下側金属板(3B)の外面には、その平面方向に離間して配置された複数の基板(4a)および、多数のLED(4)が配置され、内面には冷却配管(5)が接合された管内面補強装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性樹脂を含浸させた補強材により、既設管の内面を補強する管内面補強装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から既設管の補強として、補強材を既設管の内面に導入し、施工機により配管に密着させた状態で、内面から紫外線ランプにより光照射を行い、補強材を硬化させることが行われていた。
この光硬化内面補強で使用される補強材は、ガラス繊維に光硬化性樹脂を含浸させたものを用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4964015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
UV-LEDのジャンクション(電極)は、熱による温度が一定以上になると破損する。そのため、ジャンクション付近の熱を効率よく放出する必要がある。
本発明は、UV-LEDのジャンクションの熱を効率よく放出するためのヒートシンク構造を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、両端に互いに離間して設けた一対の本体端蓋1に気密に固定され、半径方向に膨張収縮可能な光透過性ゴム材よりなるフレキシブルな筒状加圧体2と、筒状加圧体2に内装されると共に、一方の面3aがその筒状加圧体2の内面に対向した金属板3と、
金属板3の前記一方の面3aに分散して配置した多数の光エネルギー放出用のLED4と、
金属板3の他方の面3bおよび又は、一方の面3aに固定した冷却配管5と、
前記筒状加圧体2内の空気を攪拌するファン6または空気攪拌装置と、を具備し、
前記LED4の発熱を、前記金属板3を介して前記冷却配管5に供給された流体により外部に放出する管内面補強装置であって、
前記筒状加圧体2の軸線方向の中間に、支管挿入体7が半径方向に出入自在に配置され、前記軸線に対して、前記支管挿入体7側である上側とその反対側である下側とのそれぞれに、第1および第2の前記金属板3として、上側金属板3A、下側金属板3Bが配置され、
上側金属板3Aは、支管挿入体7を挟んで、その軸線方向の両側に分割して、一対配置された管内面補強装置である。
【0007】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の管内面補強装置において、
前記上側金属板3A、下側金属板3Bの外面には、その平面方向に離間して配置された複数の基板4aおよび、多数のLED4が配置され、内面には冷却配管5が接合された管内面補強装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明は、筒状加圧体2に対向した金属板3の一方の面3aに、多数の光エネルギー放出用のLED4を設けると共に、他方の面3bに冷却用の冷却配管5が固定され且つ、内部空気を攪拌するファン6または攪拌装置を有する。
そしてLED4、基板4aの発熱を、金属板3を介して冷却配管5の流体により外部に効率よく放出するものである。
このとき、ファン6等により筒状加圧体2内の空気が攪拌されるので内部温度をムラなく維持して、多数のLED4の発熱を、金属板3を介して、効果的に外部に放出して、装置内部の温度を制御することができる。
また、上記構成に加えて、支管挿入体7が配置され、その軸線に対して支管挿入体7側に上側金属板3Aが設けられ、その上側金属板3Aは、支管挿入体7を挟んで、その軸線方向の両側に分割して、一対配置されたたものである。
これにより、支管挿入体7の近傍をLED4で照射し、支管補修部をも加熱することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、上側金属板3A、下側金属板3Bの外面には、その平面方向に離間して配置された複数の基板4aおよび、多数のLED4が配置され、内面には冷却配管5が接合されたものである。
これにより、組立て容易で、温度制御のし易い装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の管内面補強装置の縦断面図(A)及び横断面図(B)。
図2】同装置に用いられる上側金属板3Aの平面図(A)、正面図(B)、底面図(C)、同図(A)の左側面図(D)、同図(A)の右側面図(E)。
図3】同装置に用いられる下側金属板3Bの正面図(A)、同図(A)のB-B矢視図(B)、同図(D)のC-C矢視図(C)、同図(A)の右側面図(D)。
図4】本発明の管内面補強装置の筒状加圧体2を除く全体的斜視図。
図5】同装置の上側金属板3A,下側金属板3Bに供給される冷却配管5とマニホルド9の接続状態を示す説明図(A)及び基板4a及びそれに設けたLED4の平面図(B)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
図1は発明の管内面補強装置の縦断面図(A)及び横断面図(B)である。
この補強装置は、左右両端に離間して一対の本体端蓋1が配置され、それらが一対の側板11と下板12とで連結されている。そして、その側板11の長手方向の中央位置に架橋板13が設けられ、そこに座8が固定されている。そして、その座8に支管挿入体7が接離自在に着座する。
次に、一対の本体端蓋1の外周には、光透過性の筒状の筒状加圧体2が被覆され、その中央位置が蛇腹部2aを介して支管挿入体7に上下動自在に取付られている(図1(A)参照)。
【0013】
次に、側板11の上面には支管挿入体7を挟んで、その両側に一対の上側金属板3Aが配置され、側板11の下面には下板12を挟んで、筒状加圧体2の半径方向の両側に一対の下側金属板3Bが配置されている。なお、本発明の金属板3は、この上側金属板3Aと下側金属板3Bとの両者を指す。
このような金属板3の外面側(一方の面3a側)には、多数のLED4を分散配置した多数の基板4aが配置されている。
また、上側金属板3A、下側金属板3Bの内面側(他方の面3b側)には冷却配管5が配置されている。また、下板12の長手方向の中央にはファン6が設けられている。
【0014】
上側金属板3Aは、図2に示す如く外周に取付孔16が設けられ、図示しないビス等を介して側板11に固定されている。上側金属板3Aの外面側には、この例では、四つの基板4aがハの字状及び平行に一対づつ配置され、各基板4aに多数のLED4が設けられている。そして、上側金属板3Aの内面側には、図2(A)及び(C)に示す冷却配管5が配置されている。
【0015】
また、下側金属板3Bは、図1(B)に示す如く、側板11の半径方向の両側に一対配置され、その下側金属板3Bに、この例では三つの基板4a(図3(A))が分散配置されている。各基板4aには多数のLED4が分散して配置されている。さらに下側金属板3Bの内面側には、一対の平行な冷却配管5が配置され、その端部が図1(A)に示す如くU字部5aによって連結されている。U字部5aは樹脂等のフレキシブル管でも、銅管でもよい。
なお、この例では、図示しないスイッチング電源、紫外線LEDドライバー、電流及び電圧調整装置、スイッチングパワーサプライ、各種リレーが、側板11と下板12とで囲まれた内側に取付けられている。
【0016】
〔発明の特徴〕
本発明の特徴とするところは、一対の本体端蓋1間に筒状加圧体2が設けられ、その内部に一対の上側金属板3Aと一対の下側金属板3Bとが配置され、上側金属板3A,下側金属板3Bの外面側に複数のLED4及び基板4aが分散して配置され、内面側に冷却配管5が配置される。それと共に、筒状加圧体2内にファン6が設けられ、それによって筒状加圧体2の内部の空気を攪拌する。
このファン6に変えて、筒状加圧体2内に別の攪拌装置を設けて、筒状加圧体2内の空気を攪拌しても良い。
【0017】
〔作用〕
図4において、本体端蓋1の平面に設けた吸気管5Aから給気14が供給され、それがマニホルド9を介して上側金属板3A,下側金属板3Bの冷却配管5に供給される。このとき、基板4aの各LED4が点灯され、そこから放射された紫外線が図示しない光硬化性ライニング材に照射される。
なお、補強される配管に支管が連結されている場合には、筒状加圧体2の中央に設けた支管挿入体7が軸線に直行する方向に移動し、それが支管に挿入される。この場合、上側金属板3Aの先端部には、ハの字状の基板4aが配置され、そこに多数のLED4が設けられているので、支管挿入体7の近傍を効率よく紫外線照射する。
【0018】
これに加えて本発明は、ファン6によって筒状加圧体2内の空気が攪拌されるので、これにより筒状加圧体2の内部は均一に昇温する。なお、内部温度は図示しないセンサーを介して検出され、紫外線LEDドライバーにより自動的に制御される。
この例では、図1及び図4の吸気管5Aから供給された給気14は、マニホルド9を介して、その上側金属板3A,下側金属板3Bの冷却配管5に供給され、それが図5の如く、U字部5aを介して排気管5Bに戻される。そして、基板4aのLED4から紫外線が放出されると、それに基づく発熱は上側金属板3A,下側金属板3Bに伝熱し、吸気管5A,排気管5Bを流通する給気14,排気15によって効率よく放熱される。
【0019】
それと同時に、ファン6により筒状加圧体2の内部の空気の各部を均一に攪拌する。その内部温度は、センサーにより感知され、紫外線LEDドライバーによって温度制御される。この実施例では、上側金属板3A,下側金属板3Bに設けた基板4aおよびLED4が金属板3の外面側に配置され、それが筒状加圧体2に対向される。なお、この例では紫外線LED用の直流電源が装置内に配置されて、そこに直接商用電源が接続されることにより、電線ケーブルの長さと無関係に直流電流が装置に供給される。また、支管挿入体7には図示しないカメラや各種回転装置が設けられる。
【符号の説明】
【0020】
1 本体端蓋
2 筒状加圧体
2a 蛇腹部
3 金属板
3a 一方の面
3b 他方の面
3A 上側金属板
3B 下側金属板
4 LED
4a 基板
5 冷却配管
5a U字部
5A 吸気管
5B 排気管
【0021】
6 ファン
7 支管挿入体
8 座
9 マニホルド
11 側板
12 下板
13 架橋板
14 給気
15 排気
16 取付孔
図1
図2
図3
図4
図5