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特許7194769燃料電池のエネルギー供給システム及びそれに基づくエネルギー調節方法
<図1>
  • 特許-燃料電池のエネルギー供給システム及びそれに基づくエネルギー調節方法 図1
  • 特許-燃料電池のエネルギー供給システム及びそれに基づくエネルギー調節方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】燃料電池のエネルギー供給システム及びそれに基づくエネルギー調節方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04694 20160101AFI20221215BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20221215BHJP
   H01M 8/249 20160101ALI20221215BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20221215BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20221215BHJP
【FI】
H01M8/04694
H01M8/04313
H01M8/249
H02M3/00 W
H01M8/12 101
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021069609
(22)【出願日】2021-04-16
(65)【公開番号】P2021174773
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】202010310178.1
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511268432
【氏名又は名称】台達電子企業管理(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS (SHANGHAI) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1F&7F&8F, Building 1, No.1675, Huadong Road, Pudong, Shanghai, 201209, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】沈国橋
(72)【発明者】
【氏名】艾祖華
(72)【発明者】
【氏名】章進法
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-026862(JP,A)
【文献】国際公開第2019/103059(WO,A1)
【文献】特開2020-022331(JP,A)
【文献】特表2006-524883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04694
H01M 8/04313
H01M 8/249
H02M 3/00
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池エネルギー供給システムに基づくエネルギー調節方法であって、
前記燃料電池エネルギー供給システムは、複数の燃料電池発電モジュール、複数の電力変換モジュール及び1つの通信制御モジュールを備え、
前記通信制御モジュールは、前記複数の電力変換モジュールに接続され、前記複数の燃料電池発電モジュールは、対応する前記電力変換モジュールを介して1つの直流母線に電気的に接続され、
前記エネルギー調節方法は、
前記通信制御モジュールが、前記燃料電池発電モジュールそれぞれの少なくとも1つのエネルギー状態パラメータを平均化することにより、対応するパラメータ平均値を算出し、
前記通信制御モジュールが、前記燃料電池発電モジュールそれぞれの前記エネルギー状態パラメータ及び前記パラメータ平均値に基づき、対応する補償因數を算出して対応する前記電力変換モジュールに送信し、若しくは前記電力変換モジュールが、接続された前記燃料電池発電モジュールの前記エネルギー状態パラメータ及び前記通信制御モジュールにより算出された前記パラメータ平均値に基づき、対応する補償因數を算出し、
前記電力変換モジュールが、ドループアルゴリズムを利用して前記電力変換モジュールそれぞれの制御量基準値を算出し、かつ前記制御量基準値と対応する前記補償因數を乗算することにより前記電力変換モジュールの制御量設定値を取得し、
前記電力変換モジュールが、前記制御量設定値に基づいて対応する前記燃料電池発電モジュールを調節することを含む
ことを特徴とする、燃料電池エネルギー供給システムに基づくエネルギー調節方法。
【請求項2】
前記エネルギー状態パラメータは、燃料電池発電モジュールの出力電圧値、出力電圧システム設定値、出力電流設定値、温度測定値、電力測定値、変換効率計算値、燃料電池発電モジュールの燃料供給量又は圧力測定値、及び燃料電池発電モジュールの健康レベル測定値のうち少なくとも1つである、請求項1に記載の燃料電池エネルギー供給システムに基づくエネルギー調節方法。
【請求項3】
前記補償因數は、前記燃料電池発電モジュールそれぞれの前記エネルギー状態パラメータと、前記複数の燃料電池発電モジュールの前記エネルギー状態パラメータの平均値との商である、請求項1または2に記載の燃料電池エネルギー供給システムに基づくエネルギー調節方法。
【請求項4】
前記通信制御モジュールは、前記複数の電力変換モジュールと有線又は無線方式で通信を行う、請求項1~3のいずれかに記載の燃料電池エネルギー供給システムに基づくエネルギー調節方法。
【請求項5】
前記電力変換モジュールは、直流/直流変換モジュールである、請求項1~4のいずれかに記載の燃料電池エネルギー供給システムに基づくエネルギー調節方法。
【請求項6】
前記電力変換モジュールそれぞれの前記制御量基準値を対応する前記補償因數と乗算するに先立って、さらに前記通信制御モジュール又は前記電力変換モジュールを用いて前記補償因數に対して振幅制限処理を行うことを含む、請求項1~5のいずれかに記載の燃料電池エネルギー供給システムに基づくエネルギー調節方法。
【請求項7】
複数の燃料電池発電モジュール、対応する前記燃料電池発電モジュールを1つの直流母線に電気的に接続する複数の電力変換モジュール、及び前記複数の電力変換モジュールに接続する1つの通信制御モジュールを備える燃料電池エネルギー供給システムであって、
前記通信制御モジュールは、前記燃料電池発電モジュールそれぞれの少なくとも1つのエネルギー状態パラメータを平均化することにより、対応するパラメータ平均値を算出し、
前記通信制御モジュールは、前記燃料電池発電モジュールそれぞれの前記エネルギー状態パラメータ及び前記パラメータ平均値に基づき、対応する補償因數を算出して対応する前記電力変換モジュールに送信し、若しくは前記電力変換モジュールは、接続された前記燃料電池発電モジュールの前記エネルギー状態パラメータ及び前記通信制御モジュールにより算出された前記パラメータ平均値に基づき、対応する補償因數を算出し、
前記電力変換モジュールは、ドループアルゴリズムを利用して前記電力変換モジュールそれぞれの制御量基準値を算出し、かつ前記制御量基準値を対応する前記補償因數と乗算することで前記電力変換モジュールの制御量設定値を取得し、
前記電力変換モジュールは、前記制御量設定値に基づいて対応する前記燃料電池発電モジュールを調節する
ことを特徴とする、燃料電池エネルギー供給システム。
【請求項8】
前記エネルギー状態パラメータは、燃料電池発電モジュールの出力電圧値、出力電圧システム設定値、出力電流設定値、温度測定値、電力測定値、変換効率計算値、燃料電池発電モジュールの燃料供給量又は圧力測定値、及び燃料電池発電モジュールの健康レベル測定値のうち少なくとも1つである、請求項7に記載の燃料電池エネルギー供給システム。
【請求項9】
前記補償因數は、前記燃料電池発電モジュールそれぞれの前記エネルギー状態パラメータと、前記複数の燃料電池発電モジュールの前記エネルギー状態パラメータの平均値との商である、請求項7または8に記載の燃料電池エネルギー供給システム。
【請求項10】
前記通信制御モジュールは、前記複数の電力変換モジュールと有線又は無線方式で通信を行う、請求項7~9のいずれかに記載の燃料電池エネルギー供給システム。
【請求項11】
前記電力変換モジュールは、直流/直流変換モジュールである、請求項7~10のいずれかに記載の燃料電池エネルギー供給システム。
【請求項12】
前記電力変換モジュールの制御量基準値を対応する前記補償因數と乗算するに先立って、前記通信制御モジュール又は前記電力変換モジュール用いて前記補償因數に対して振幅制限処理を行う、請求項7~11のいずれかに記載の燃料電池エネルギー供給システム。
【請求項13】
前記直流母線は、さらに1つの直流/交流変換モジュールを通じて1つの送電網と接続する、請求項11に記載の燃料電池エネルギー供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池のエネルギー供給システム及びそれに基づくエネルギー調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池のエネルギー供給システムは、効率および電力密度が大きく、モジュール化に加えて使用寿命が長いという利点があり、将来向けのエネルギー源として重要な開発方向である。例えば、従来の固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell,SOFC)では80%~90%の総合効率を実現可能である。
【0003】
従来の燃料電池は、出力電圧が低く、直流電圧の振幅が大きく、並びに低周波リップルに対する適応性が悪いといった問題が存在するため、DC/DCコンバータを利用して前端昇圧と調圧制御を行う必要がある。ところが、大出力燃料電池のエネルギー供給システムを稼働するとき、DC/DCコンバータは主に直流母線電圧(Bus voltage)を制御し、燃料電池の電流制御および調節能力において十分とは言えない。
【0004】
DC/DCコンバータは、通常、統合コミュニケーションやドループ制御などの手段を利用することにより、燃料電池のエネルギー供給システムにおける各燃料電池モジュールに出力電力を均等に割り当てる。しかしながら、統合コミュニケーションの場合に応答速度および安定性が低く、ドループ制御の場合には母線電圧精度と各燃料電池モジュール間の電流バランスをうまく調和する必要があり、母線電圧精度を高くすると各燃料電池モジュール間の電流にバラツキが生じる。
【0005】
一方、複合燃料電池のモジュール同士は、製造プロセスや使用期限、稼働状態に起因して発電効率、出力電圧や電堆温度に差が生じるため、燃料電池の特性パラメータを効果的に利用して燃料電池のエネルギー供給システムの稼働状態を最適化する必要がある。
【0006】
したがって、母線電圧・出力電流を制御すると同時に複合燃料電池の出力電力割当を最適化することが重要な技術課題になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、各燃料電池の稼働状況に応じてエネルギー・電力を好適に調節しうる燃料電池のエネルギー供給システム、及びそれに基づくエネルギー調節方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明は、燃料電池のエネルギー供給システムに基づくエネルギー調節方法を提供し、前記燃料電池エネルギー供給システムは、複数の燃料電池発電モジュール、複数の電力変換モジュール及び1つの通信制御モジュールを備え、前記通信制御モジュールは、前記複数の電力変換モジュールに接続され、前記複数の燃料電池発電モジュールは、対応する前記電力変換モジュールを介して1つの直流母線に電気的に接続され、前記エネルギー調節方法は、前記通信制御モジュールが、前記燃料電池発電モジュールそれぞれの少なくとも1つのエネルギー状態パラメータに基づき、対応するパラメータ平均値を算出し、前記通信制御モジュールが、前記燃料電池発電モジュールそれぞれの前記エネルギー状態パラメータ及び前記パラメータ平均値に基づき、対応する補償因數を算出して対応する前記電力変換モジュールに送信し、若しくは前記電力変換モジュールが、接続された前記燃料電池発電モジュールの前記エネルギー状態パラメータ及び前記通信制御モジュールにより算出された前記パラメータ平均値に基づき、対応する補償因數を算出し、前記電力変換モジュールが、ドループアルゴリズムを利用して前記電力変換モジュールそれぞれの制御量基準値を算出し、かつ前記制御量基準値を対応する前記補償因數と乗算することにより前記電力変換モジュールの制御量設定値を取得し、前記電力変換モジュールが、前記制御量設定値に基づき対応する前記燃料電池発電モジュールを調節することを含む。
【0009】
本発明の一好適な実施形態において、前記エネルギー状態パラメータは、燃料電池発電モジュールの出力電圧値、出力電圧システム設定値、出力電流設定値、温度測定値、電力測定値、変換効率計算値、燃料電池発電モジュールの燃料供給量又は圧力測定値、及び燃料電池発電モジュールの健康レベル測定値のうち少なくとも1つである。
【0010】
本発明の一好適な実施形態において、前記補償因數は、前記燃料電池発電モジュールそれぞれの前記エネルギー状態パラメータと、前記複数の燃料電池発電モジュールの前記エネルギー状態パラメータの平均値との商である。
【0011】
本発明の一好適な実施形態において、前記通信制御モジュールと前記複数の電力変換モジュールは、有線又は無線方式で通信を行う。
【0012】
本発明の一好適な実施形態において、前記電力変換モジュールは、直流/直流変換モジュールである。
【0013】
本発明の一好適な実施形態において、前記電力変換モジュールそれぞれの前記制御量基準値を対応する前記補償因數と乗算するに先立って、前記通信制御モジュール又は前記電力変換モジュールは、さらに前記補償因數に対して振幅制限処理を行う。
【0014】
上記目的を達成すべく、本発明は、更に燃料電池エネルギー供給システムを提供し、該燃料電池エネルギー供給システムは、複数の燃料電池発電モジュール、対応する前記燃料電池発電モジュールを1つの直流母線に電気的に接続する複数の電力変換モジュール、及び前記複数の電力変換モジュールに接続する1つの通信制御モジュールを備え、前記通信制御モジュールは、前記燃料電池発電モジュールそれぞれの少なくとも1つのエネルギー状態パラメータに基づいて対応するパラメータ平均値を算出し、前記通信制御モジュールは、前記燃料電池発電モジュールそれぞれの前記エネルギー状態パラメータ及び前記パラメータ平均値に基づいて対応する補償因數を算出して対応する前記電力変換モジュールに送信し、若しくは前記電力変換モジュールは、接続された前記燃料電池発電モジュールの前記エネルギー状態パラメータ及び前記通信制御モジュールにより算出された前記パラメータ平均値に基づいて対応する補償因數を算出し、前記電力変換モジュールは、ドループアルゴリズムを利用して前記電力変換モジュールそれぞれの制御量基準値を算出し、かつ前記制御量基準値と対応する前記補償因數を乗算することで前記電力変換モジュールの制御量設定値を取得し、前記電力変換モジュールは、前記制御量設定値に基づいて対応する前記燃料電池発電モジュールを調節する。
【0015】
本発明のもう1つの実施形態において、前記エネルギー状態パラメータは、燃料電池発電モジュールの出力電圧値、出力電圧システム設定値、出力電流設定値、温度測定値、電力測定値、変換効率計算値、燃料電池発電モジュールの燃料供給量又は圧力測定値、及び燃料電池発電モジュールの健康レベル測定値のうち少なくとも1つである。
【0016】
本発明のもう1つの実施形態において、前記補償因數は、前記燃料電池発電モジュールそれぞれの前記エネルギー状態パラメータと、前記複数の燃料電池発電モジュールの前記エネルギー状態パラメータの平均値との商である。
【0017】
本発明のもう1つの実施形態において、前記通信制御モジュールと前記複数の電力変換モジュールは、有線又は無線方式で通信を行う。
【0018】
本発明のもう1つの実施形態において、前記電力変換モジュールは、直流/直流変換モジュールである。
【0019】
本発明のもう1つの実施形態において、前記電力変換モジュールそれぞれの制御量基準値を対応する前記補償因數と乗算するに先立って、前記通信制御モジュール又は前記電力変換モジュールは、さらに前記補償因數に対して振幅制限処理を行う。
【0020】
本発明のもう1つの実施形態において、前記直流母線は、さらに1つの直流/交流変換モジュールを介して送電網に接続される。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、燃料電池のエネルギー状態パラメータに関連する補償因數を導入することにより燃料電池機能システムのエネルギー・電力を最適制御することに至った。つまり、本発明は、直流母線の電力制御と各燃料電池発電モジュールの出力電力のバランスを好適に維持する前提で補償因數を利用することにより、各燃料電池発電モジュールのエネルギー状態に基づくエネルギー・電力を最適制御することを実現した。
【0022】
本発明の他の側面と利点については、以下の説明からより明確になり、若しくは以下の実施形態から習得可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の燃料電池エネルギー供給システムの構成を示す概略図である。
図2】本発明の燃料電池エネルギー供給システムに基づくエネルギー調節方法の流れを示すである図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。当業者であれば、本発明の宗旨と範囲から逸脱しない前提で以下の実施形態に対して種々の変更や変更を加えることができ、これらの変更や変形も本発明の範囲内であることをよく理解できる。また、以下の図例や説明は本発明を例示したに過ぎず、本発明を制限するものではない点にも留意されたい。なお、下記図において同じ又は類似の構造に対して同じ符号を付与し、重複説明を省略する。
【0025】
以下において、「1個」、「一つ」、「該」、「前記」及び「少なくとも1つ」とは、1つ又は複数の構成要件、組成などが存在することを指すものである。「・・・を含む」、「・・・で構成される」及び「・・・を備える」とは、「・・・を含む」実態を開放式の表現などで表すものであり、文面に示された構成要件、組成以外で他の構成要件、組成も存在しうることを意味する。以下では、構成要素の相互位置関係を表すため「上」や「下」などを使うことがあるが、図示の装置を上下反転した場合、「上」側にある構成要件が「下」側の構成要件に変わることは当然である。なお、特許請求の範囲で使われる「第1」、「第2」などは標記用であり、その標記対象に対する数字上制限ではない点にも留意されたい。
【0026】
図1に示すように、本発明の燃料電池エネルギー供給システム100は、主に複数の燃料電池発電モジュール10、複数の電力変換モジュール20及び1つの通信制御モジュール30を備える。そのうち、複数の電力変換モジュール20は、対応する燃料電池発電モジュール10を1つの直流母線40に電気的に接続するものであり、例えば図1に示される3つの燃料電池発電モジュール11,12,13は、それぞれ対応する電力変換モジュール21,22,23に電気的に接続され、かつこれらの電力変換モジュール21~23は直流母線40に電気的に接続される。通信制御モジュール30は、複数の電力変換モジュール20に接続され、通信制御モジュール30は、例えば複数の電力変換モジュール20と有線又は無線方式で通信可能である。好ましくは、燃料電池発電モジュール10は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。これらの電力変換モジュール21~23は、直流/直流変換モジュールであってもよいが、直流母線40並びに1つの直流/交流変換モジュール31を利用して1つの送電網50に接続することができる。
【0027】
図1図2を参照されたく、本発明の燃料電池機能システムのエネルギー調節方法は、以下のステップを含んでなる。
【0028】
ステップ201において、通信制御モジュール30は、燃料電池発電モジュール10それぞれの少なくとも1つのエネルギー状態パラメータに基づいて対応するパラメータ平均値を算出する。
【0029】
ステップ202において、通信制御モジュール30は、燃料電池発電モジュール10それぞれのエネルギー状態パラメータおよびパラメータ平均値に基づいて、対応する補償因數を算出して対応する電力変換モジュール20に送信し、或いは電力変換モジュール20は、接続された燃料電池発電モジュール10のエネルギー状態パラメータ及び通信制御モジュール30より発送したパラメータ平均値に基づいて、対応する補償因數(補正係数)を算出する。
【0030】
ステップ203において、電力変換モジュール20は、ドループアルゴリズムを利用して電力変換モジュール20それぞれの制御量基準値を算出し、かつ制御量基準値と対応する補償因數を乗算することで電力変換モジュール20の制御量設定値を取得する。
【0031】
ステップS204において、電力変換モジュール20は、制御量設定値に基づいて対応する燃料電池発電モジュール10を調節する。
【0032】
本発明において、エネルギー状態パラメータとしては、燃料電池の正常稼動又は最適化に関連する1つ又は複数の技術要素である限り特に制限がなく、燃料電池発電モジュールの出力電圧値、出力電圧システム設定値、出力電流設定値、温度測定値、電力測定値、変換効率計算値、燃料電池発電モジュールの燃料供給量又は圧力測定値、及び燃料電池発電モジュールの健康レベル測定値のうち少なくとも1つが挙げられる。一方、補償因數としては、燃料電池発電モジュール10それぞれのエネルギー状態パラメータと、複数の燃料電池発電モジュール10のエネルギー状態パラメータの平均値との商であってもよい。
【0033】
また、図1に示される実施形態では、直流/交流変換モジュール31を1つのエネルギー貯蔵変換装置(Power Conversion System,PCS)に集積することができ、若しくは独立して設置することもできる。通信制御モジュール30についても独立して設置することができ、PCSに集積することもできる。別の実施形態では、通信制御モジュール30をそれぞれ第1通信チャンネル301及び第2通信チャンネル302によって複数の電力変換モジュール20に通信可能に接続してもよく、さらに第1通信チャンネル301、第2通信チャンネル302に信号伝送モジュール32、33を設けて信号を送受信してもよい。また、別の実施形態では、通信制御モジュール30を直接に1つの通信チャンネルを通じて複数の電力変換モジュール20に通信可能に接続することができ、これらの設定については特に制限がない。
【0034】
より好ましくは、本発明において、電力変換モジュールそれぞれの制御量基準値と対応する補償因數を乗算するに先立って、通信制御モジュール又は電力変換モジュールは、補償因數に対して振幅制限処理を行う。
【0035】
本発明では、燃料電池発電モジュールのエネルギー状態パラメータに関連する補償因數を導入して母線電圧、出力電流又は電力を制御することにより、並列する各電力変換モジュールが本来の電力バランスを保持しつつ、接続された燃料電池発電モジュールの状態に基づき電力変換モジュールの入力又は出力電圧・電流・電力をより精密に調節することができる。
【0036】
以下、実施例を挙げて本発明のエネルギー調節方法及びその利点をより詳細に説明する。
【0037】
実施例1:出力電圧の均衡化
通信制御モジュール30を用いて各燃料電池発電モジュールの出力電圧を検出し、各燃料電池発電モジュールの出力電圧を出力電圧平均値で除算して得られる商を各燃料電池発電モジュールの補償因數とした。直流母線40を複数の燃料電池発電モジュール10の複数の電力変換モジュール20に接続し、ドループ制御方法を利用して出力電流又は電力基準値を算出し、さらに補償因數と乗算することで出力電流又は電力設定値を取得した。そして、電力変換モジュール20を用いて、出力電流又は電力設定値に基づいて対応する燃料電池発電モジュール10からの出力電流又は電力を調節した。このように、出力電圧の比較的高い燃料電池発電モジュール10から出力される電流がより大きくなり、燃料電池の出力特性に基づき各燃料電池発電モジュール10の出力電圧を出力電圧平均値により接近させることができた。
【0038】
実施例2:各燃料電池発電モジュールの効率最適化
通信制御モジュール30を用いて各燃料電池発電モジュールの電堆効率を検出し、各燃料電池発電モジュールの電堆効率を電堆効率平均値で除算して得られる商を各燃料電池発電モジュールの補償因數とした。直流母線40を複数の燃料電池発電モジュール10の複数の電力変換モジュール20に接続し、ドループ制御方法を利用して出力電流又は電力基準値を算出し、さらに補償因數を乗算して出力電流又は電力設定値を取得した。そして、電力変換モジュール20を用いて、出力電流又は電力設定値に基づいて対応する燃料電池発電モジュール10からの出力電流又は電力を調節した。そのうち、出力電流又は電力基準値と乗算するに先立って、通信制御モジュール30又は電力変換モジュール20を用いて補償因數に対して振幅制限処理を行うことができる。このように、電堆効率の比較的高い燃料電池発電モジュール10からの出力電力をより大きくすることができる。
【0039】
以上で述べたように、本発明では燃料電池のエネルギー状態パラメータに関連する補償因數を導入することにより、燃料電池機能システムのエネルギー・電力に対する最適制御を実現した。本発明によれば、直流母線の電力制御と各燃料電池発電モジュールの出力電力のバラスを維持しつつ、補償因數を用いて各燃料電池発電モジュールのエネルギー状態に基づくエネルギー・電力の最適制御を実現した。
【0040】
以上では本発明の実施形態を詳細に説明したが、当業者であれば、本発明の宗旨と範囲から逸脱しない前提で上述の実施形態に対して種々の変更や変更を加えることができ、これらの変更や変形も本発明の範囲内であることをよく理解できる。
図1
図2