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7194803パーソナライズ化装飾を備える計時器を製造するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】パーソナライズ化装飾を備える計時器を製造するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G04B 45/00 20060101AFI20221215BHJP
   G04B 19/06 20060101ALI20221215BHJP
   G04D 3/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
G04B45/00 Z
G04B19/06 Z
G04D3/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021503201
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2019057452
(87)【国際公開番号】W WO2019201562
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-10-07
(31)【優先権主張番号】18167900.2
(32)【優先日】2018-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】シュタルク,シュテファン
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-194728(JP,A)
【文献】特開平11-305650(JP,A)
【文献】特開2002-183408(JP,A)
【文献】特開2016-083206(JP,A)
【文献】特開2002-269411(JP,A)
【文献】特開2001-319035(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0023165(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/06
G04B 45/00
G04D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナライズ化装飾(18)を備える計時器(100)を製造する方法であって、
前記パーソナライズ化装飾(18)は、前記計時器(100)が着用されているときに視認可能であり、
当該方法は、
計時器を構築する構築ステップ(20)と、及び
前記計時器を構築する構築ステップ(20)の後に、前記計時器(100)の本体の全部又は一部上に前記パーソナライズ化装飾(18)を作成する作成ステップ(22)とを備え、
前記作成ステップ(22)は、
電子デバイス(2)の人間機械インタフェース(HMI)から、各々が1回のみ選択可能な限定数のユニーク部分によって構成する、基準デジタルグラフィック表現(12)におけるユニーク部分(17)を選択する選択サブステップ(29)と、及び
選択された前記ユニーク部分(17)の説明特徴(15)に応じて、前記計時器(100)の前記本体の全部又は一部上に装飾材料の被覆を施工する施工サブステップ(32)と、
前記電子デバイス(2)の前記人間機械インタフェース(HMI)から、サーバー(3)のデータベース(4)にアーカイブされた限定数の選択可能なユニーク部分をそれぞれ含む複数のデジタルグラフィック表現(10、12)からの前記基準デジタルグラフィック表現(12)を選択する選択サブステップ(27)
とを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記作成ステップ(22)は、前記選択サブステップ(29)における前記ユニーク部分(17)の選択の後に、前記基準デジタルグラフィック表現(12)に関連づけられた情報データ(11)を更新して、前記基準デジタルグラフィック表現(12)に対応する残りの一又は複数のユニーク部分に関する前記データ(11)に含まれる情報を変更することを目的とする更新サブステップ(28)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択サブステップ(29)は、前記計時器(100)の前記本体の外面に形成された前記パーソナライズ化装飾(18)の施工の領域(19)に関連する説明データ(14)に応じて、前記ユニーク部分(17)の選択を定める段階(30)を備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記施工サブステップ(32)は、前記サーバー(3)によって、選択された前記ユニーク部分(17)の説明特徴(15)に応じて、装飾材料被覆施工デバイス(6)の少なくとも1つの制御命令を生成する段階(34)を備える
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記施工サブステップ(32)は、前記計時器(100)の前記本体の外面における前記パーソナライズ化装飾(18)を施工する定められた領域(19)上に少なくとも1つの材料層を堆積させる堆積段階(35)を備える
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記堆積段階(35)は、前記少なくとも1つの制御命令に応じて実行される
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記構築ステップ(20)は、前記計時器(100)を構成するコンポーネントを組み付けるサブステップ(21)を備える
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ユニーク部分は、過渡的な基準デジタルグラフィック表現である
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナライズ化装飾を備える計時器を製造するための方法及びこの種の方法を用いるシステムに関する。
【0002】
本発明は、さらに、この種の方法を用いて作成することができるパーソナライズ化装飾を備える計時器に関する。
【0003】
本発明は、さらに、前記方法のいくつかのステップを実行するためのプログラムコード命令を含むコンピュータープログラムに関する。
【背景技術】
【0004】
パーソナライズ化装飾を備える計時器を製造するための従来技術の方法においては、伝統的に、計時器をパーソナライズすることを目的として、計時器の各コンポーネント(例えば、腕時計のブレスレットリンク、表盤)に装飾材料被覆を施工して、その後に、このようにしてパーソナライズされたコンポーネントどうしを組み付けて、計時器を製造している。
【0005】
しかし、この種の方法ではコストが高くなることが多く、使用が複雑となってしまう。
【0006】
また、これらの様々な方法は、取り扱い者による取り扱いを多く必要とし、このことによって、操作される部品の大きさを考えると、時間や労力を浪費してしまうことがわかっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の1つは、パーソナライズ化装飾を備える計時器を製造するための方法及びシステムであって、手動操作を少なくすることによって、迅速かつ単純な方法で低コストかつ迅速にこのようなパーソナライズ化装飾を作成することを可能にするものを提供することによって、上述の課題の一部又は全部を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような状況で、本発明は、パーソナライズ化装飾を備える計時器を製造する方法に関し、前記パーソナライズ化装飾は、前記計時器が着用されているときに特に視認可能であり、当該方法は、計時器を構築する構築ステップと、及び前記計時器の本体の全部又は一部上に前記パーソナライズ化装飾を作成する作成ステップとを備える。前記作成ステップは、電子デバイスの人間機械インタフェースから、各々が1回のみ選択可能な限定数のユニーク部分によって構成する、基準グラフィック表現におけるユニーク部分を選択する選択サブステップと、及び選択された前記ユニーク部分の説明特徴に応じて、前記計時器の前記本体の全部又は一部上に装飾材料の被覆を施工する施工サブステップとを備える。
【0009】
これらの特徴のおかげで、パーソナライズ化装飾が独特なものとなり、携行型時計の着用者によって直接選ばれる。また、この装飾は、計時器のコンポーネントどうしの組み付けの後に、したがって、計時器を構築した後に、施工され、このことは、パーソナライズ化装飾を備えるこの種の計時器の製造を促進しコストを抑えることに貢献する。
【0010】
他の実施形態においては、以下の特徴を有する。
- 前記作成ステップは、前記電子デバイスの前記人間機械インタフェースから、サーバーのデータベースにアーカイブされた限定数の選択可能なユニーク部分をそれぞれ含む複数のデジタルグラフィック表現からの基準デジタルグラフィック表現を選択する選択サブステップを備える。
- 前記作成ステップは、前記選択サブステップにおける前記ユニーク部分の選択の後に、前記基準デジタルグラフィック表現に関連づけられた情報データを更新して、前記基準デジタルグラフィック表現に対応する残りの一又は複数のユニーク部分に関する前記データに含まれる情報を変更することを目的とする更新サブステップを備える。
- 前記選択サブステップは、前記計時器の前記本体の外面に形成された前記パーソナライズ化装飾の施工の領域に関連する説明データに応じて、前記ユニーク部分の選択を定める段階を備える。
- 前記施工サブステップは、前記サーバーによって、選択された前記ユニーク部分の説明特徴に応じて、前記装飾材料被覆施工デバイスの少なくとも1つの制御命令を生成する段階を備える。
- 前記施工サブステップは、前記計時器の前記本体の前記外面、特に、前記計時器の前記裏部にある前記外面、における前記パーソナライズ化装飾を施工する定められた前記領域上に少なくとも1つの材料層を堆積させる堆積段階を備える。
- 前記堆積段階は、前記少なくとも1つの制御命令に応じて実行される。
- 前記構築ステップは、前記計時器を構成するコンポーネント、特に、全部又は一部が透明/半透明であるコンポーネント、を組み付けるサブステップを備える。
【0011】
本発明は、さらに、前記の形態のいずれかに記載の方法を用いる、パーソナライズ化装飾を備える計時器を製造するためのシステムに関し、前記パーソナライズ化装飾は、特に前記計時器が着用されているときに、視認可能であり、当該システムは、人間機械インタフェースを備える電子デバイスと、複数のデジタルグラフィック表現を含むデータベースを備えるサーバーと、及び装飾材料被覆を施工するためのデバイスとを備え、前記電子デバイス及び前記装飾材料の被覆を施工するためのデバイスは、前記サーバーに接続される。
【0012】
本発明は、さらに、前記方法を用いて製造された、パーソナライズ化装飾を備える計時器に関する。
【0013】
具体的には、当該計時器には、前記計時器の本体の外面に、特に、前記計時器の裏部にある外面に、定められたパーソナライズ化装飾を施工するための施工領域がある。
【0014】
当該計時器は、好ましいことに、本体、特に、半透明及び/又は透明である本体、を備え、この本体を介して、前記計時器の前記施工領域に定められた前記パーソナライズ化装飾の全部又は一部を視認することができる。
【0015】
本発明は、さらに、前記方法の各ステップを実行するためのプログラムコード命令を含むコンピュータープログラムに関し、このプログラムがサーバーの制御ユニット及び電子デバイスの処理ユニットによって実行される。
【0016】
添付の図面を参照しながら例として与えられる以下の説明を読むことによって、他の特定の特徴及び利点が明らかになるであろう。なお、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る、パーソナライズ化装飾を備える計時器を製造するためのシステムを示している。
図2】本発明の一実施形態に係る、パーソナライズ化装飾を備える計時器を製造するための方法に関する流れ図である。
図3】パーソナライズ化装飾を備える計時器を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び3を参照すると、パーソナライズ化装飾18を備える計時器100を製造するためのシステム1は、特にこの計時器100が着用されているときに、例えば、この計時器100の着用者の手首に着用されているときに、視認可能であり、このシステム1は、以下を備える。
- 人間機械インタフェース(HMI)を備える電子デバイス
- 複数のグラフィック表現10、12を含むデータベース4を備えるサーバー
- 装飾材料被覆を施工するためのデバイス6
- 電子デバイスとサーバーを互いに接続し前記サーバーを装飾材料被覆施工デバイス6に接続する無線及び/又は有線ネットワークアーキテクチャー
【0019】
したがって、このサーバーは、データベース4、制御ユニット9、及び通信ユニットを備える。上述したように、このサーバーは、デジタルデータファイルの形態でデータベース4にアーカイブされる複数のデジタルグラフィック表現10、12及び情報データ11を備える。この情報データ11は、これらの表現10、12のそれぞれに関連づけられ、これらの表現のそれぞれにおいて選択可能な一又は複数のユニーク部分に関する情報を含み、この情報には、特に、選択可能なユニーク部分の数に関する情報が含まれる。各デジタルグラフィック表現は、一度だけ選択可能な限定数の単一のデジタルグラフィック部分によって構成しており、これを、以下、「ユニーク部分」とも呼ぶ。したがって、このような条件では、この種のデジタルグラフィック表現を「過渡的なデジタルグラフィック表現」とも呼ぶことがある。なぜなら、これらの選択可能なユニーク部分がすべて選択されると、前記デジタルグラフィック表現を選択できなくなり、この条件下では、データベース4から排除されることがあるからである。また、「デジタルグラフィック表現10、12のユニーク部分」とは、このデジタルグラフィック表現において選択される可能性が高いこのデジタルグラフィック表現の他のすべての構成部分とは異なるデジタルグラフィック表現の部分を意味する。すなわち、この種のユニーク部分17は、このグラフィック表現を構成する他のユニーク部分とは異なる。それにもかかわらず、この種のユニーク部分17は、当該表現を構成する一又は複数の他のユニーク部分の少なくとも1つの小部分に共通な/類似する少なくとも1つの小部分(しかし明らかにすべての小部分ではない)を含むことができる。したがって、各グラフィック表現が限定数のユニーク部分を含むことは明らかである。
【0020】
このサーバーにおいて、制御ユニット9は、ハードウェア及びソフトウェア資源、特に、メモリ要素と連係する少なくとも1つのプロセッサー、を備える。この制御ユニット9は、コンピュータープログラムの実装のための命令を実行することができ、このコンピュータープログラムは、例えば、サーバーのデータベース4の管理、材料被覆施工デバイス6の制御、及び/又は電子デバイス、特に、その処理ユニット5、から到来する/へと送られる要求/命令/データの処理を行うことを目的とする。
【0021】
なお、制御ユニット9は、通信ユニットを介して材料被覆施工デバイス6と電子デバイスに接続される。この種の通信ユニットは、このシステム1のネットワークアーキテクチャー内でセキュアな通信プロトコルを実装することができる。
【0022】
このシステム1において、電子デバイスは、例えば、コンピューター、フランス語でオーディフォン(ordiphone)としても知られているスマートフォン、タブレット又は電子端末であることができる。この種の電子デバイスは、以下を備えるが、これらに限定されず、これらがすべてを網羅するものではない。
- ハードウェア及びソフトウェア資源、特に、メモリ要素と連係する少なくとも1つのプロセッサー、を備える処理ユニット5
- ユニーク部分17が選択されている基準デジタルグラフィック表現12を含む、下において説明するビジュアル表現13、を表示する図1に示しているスクリーンタイプの表示モジュール7
- オーディオ情報を再現するための、スピーカーのようなインタフェース
- 処理ユニット5と、サーバーの制御ユニット9との間に通信リンクを確立し、その処理ユニット5とデータを交換することを可能にする通信インタフェース
- キーボードや、表示モジュール7などに備えられるタッチ感受性インタフェースのような選択インタフェース8
- 上述の人間機械インタフェース(HMI)
【0023】
この電子デバイスにおいて、処理ユニット5は、とりわけ、表示モジュール7、出力インタフェース、通信インタフェース、選択インタフェース8、及び人間機械インタフェース(HMI)に接続される。この処理ユニット5は、特に、
- サーバーから/へ、特に、制御ユニット9から/へ、及び/又は
- 人間機械インタフェース(HMI)から/へ
到来する/送られる要求/命令/データを処理することなどを目的とするコンピュータープログラムの実装のための命令を実行することができる。
【0024】
この電子デバイスの人間機械インタフェース(HMI)は、表示モジュール7上に表示することを念頭に、サーバーのデータベース4にてアーカイブされたデジタルグラフィック表現10、12に関する情報を含むビジュアル表現13の生成から、電子デバイスの選択インタフェース8を介しての、まず、それらのデジタルグラフィック表現10、12のうちの1つの選択、そして、その後における、その選択されたデジタルグラフィック表現12におけるユニーク部分17の選択までにわたって介在するすべての技術的及び認知的手段に関するものである。そして、このために、この種のインタフェースHMIは、特にサーバーから到来する情報データの表現を生成することができる、電子デバイスの処理ユニット5と、情報データの表現を表示するように意図されている表示モジュール7と、及び電子デバイスのユーザーに対して相互作用することができる選択インタフェース8とを備える。なお、本発明のこの実施形態において、情報データの表現は、特に、サーバーから到来する内容データ及びウェブアプリケーションデータのストリームの結果として発生する。ここで、内容データは、サーバーのデータベース4にアーカイブされるデジタルグラフィック表現10、12のようにマルチメディアデジタルファイルに収容される。この場合、ウェブアプリケーションデータは、特に、ここではウェブブラウザ及び人間機械インタフェース(HMI)であるウェブブラウザツールを用いる内容データの操作への関与を可能にする。ここで、内容データとウェブアプリケーションデータがサーバーのデータベース4にアーカイブされることは明らかである。
【0025】
上述したように、サーバーのデータベース4は、複数のデジタルグラフィック表現10、12のような内容データをアーカイブし、そのデジタルグラフィック表現10、12のうちの前に選択されたユニーク部分17を、計時器100の本体上に、特に、その本体の外面上に、再現しなければならない。各デジタルグラフィック表現10、12は、既知又は未知の絵ないし写真の表現に対応することができる。このデジタルグラフィック表現は、2次元/3次元的なデジタル化デバイスを備えることができる、サーバーの制御ユニット9に接続されるシステム1の設計モジュールによって、写真、画像又はオブジェクトに基づく仮想モデリングを可能にする制御ユニット9によって実行されるソフトウェアによって、又は仮想デジタルオブジェクトを設計することを可能にすることによって(例えば、コンピューター支援設計(CAD)ソフトウェア)、生成される2次元的な2Dグラフィック表現又は3次元的な3Dグラフィック表現であることができる。
【0026】
図1に示しているこの種の材料被覆施工デバイス6は、印刷用メンバーと、定着用メンバーと、駆動メンバーとを備える。印刷用メンバーは、複数の印刷用要素、特に、インクジェット印刷カートリッジを備え、各カートリッジは、プリントヘッド及び少なくとも1つのタンクを備える。本実施形態において、各カートリッジは、少なくとも1つのプリントヘッド及び少なくとも1つのインクジェットタンクを備える。これらのカートリッジにおいて、インクは、少なくとも1つの粒子を含有する。この粒子は、流体中に収容されることができる。この種の流体は、印刷用要素から放出されるときに、当該少なくとも1つの粒子を堆積すべき媒体上に運搬するために用いられる。ここでは、この媒体は、計時器100の本体の外面である。この種の流体は、この運搬を提供することができる、かつ/又は計時器100の本体の外面に対する少なくとも1つの粒子の結合に関与することができる、任意のものであることができる。この流体は、溶媒、粘弾性ポリマー、油、水及び水溶液から選択することができる。なお、これらに限定されず、これらがすべてを網羅しているわけではない。なお、代替形態の1つにおいて、前記少なくとも1つの粒子を、それを運搬するためにこの種の流体を必要とせずに、この外面上に堆積させることができる。この印刷用メンバーにおいて、カートリッジは、以下を備えることができる。
- 顔料又は色付けされた粒子を含有する色付けされたインク、又は
- クリア又は透明又は半透明の粒子を含有する、ラッカーのようなクリア又は透明又は半透明のインク、又は
- 機能性粒子を含有し、エレクトロルミネセンスインク、リン光性インク、フォトルミネッセンスインク、フォトクロミックインク、エレクトロクロミックインク、サーモクロミックインク、イオノクロミックインク及びメカノクロミックインクからなる群から選択される機能的インク
【0027】
なお、この種の機能的インクは、例えば以下にリンクされる、物理的及び/又は化学的な機能的特徴を有する計時器100の外面上においてパーソナライズ化装飾18を得ることを可能にする。
- エレクトロルミネセンス
- 光ルミネセンス(例、紫外線放射に対する反応)
- りん光
- 「X-クロミズム」(フォトクロミック、エレクトロクロミック、サーモクロミック、イオノクロミック、メカノクロミックなど)
- その他
【0028】
これに関連して、少なくとも1つの機能性粒子、及び/又は少なくとも1つの色付けされた又は顔料を含有する粒子、及び/又は少なくとも1つのクリア又は透明又は半透明な粒子によって構成する層は、シアンと呼ばれる青緑色、マゼンタと呼ばれる赤色、及びイエローの3つの基本色、そして、これらに加えられるブラックの色によって広い範囲の色の再現を可能にする、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック(いわゆる「CMYK」システム)のような基本色を用いる4色プロセスのおかげで、色が広い範囲にわたるという特徴を有することができる。なお、これに限定されず、これがすべてを網羅しているわけではない。
【0029】
この材料被覆施工デバイス6において、駆動メンバーは、計時器100の外面に対して、特にこの外面上にて定められたパーソナライズ化装飾18を施工するための施工領域19から、印刷用メンバーを異なる方向に動かすことができる。定着用メンバーの場合、少なくとも1つの粒子の層又は粒子を、この外面の施工領域19上に又はこの領域19に既に存在する最初の層又は初期層上に、定着させる。この定着メンバーは、紫外線(UV)及び/又は赤外線の放射、及び/又は空気の流れ、特に、熱風の流れ、を発することができるモジュールを備える。このモジュールは、施工領域19の全部又は一部にわたって放射又は空気の流れを発生させることができる。
【0030】
また、システム1は、この種のパーソナライズ化装飾18をその本体に施工するために準備された計時器100を受けるように構成する支持要素16を備える。
【0031】
図2を参照すると、このシステム1は、パーソナライズ化装飾18を備える計時器100を製造する方法を採用する。
【0032】
この種の方法は、計時器を構築する構築ステップ20を備える。この種のステップ20は、前記計時器100を構成するすべてのコンポーネントを組み付けるサブステップ21を備える。この計時器100のいくつかのコンポーネントは、好ましくは、全体的に又は部分的に透明/半透明であり、特に、このコンポーネントを通して施工領域19において定められたパーソナライズ化装飾18を全体的又は部分的に見ることができるものである。これらの条件下では、これらのコンポーネントは、以下を含む。なお、これらに限定されず、これらがすべてを網羅しているわけではない。
- 計時器100の携行型時計ブレスレット、そして特に、これを構成するリンク
- ケースミドル部
- この計時器のケーシングの裏部
- 表盤
- ベゼル
- この計時器の計時器用ムーブメント
【0033】
代替形態の1つにおいて、計時器100のすべてのコンポーネントは、全体的又は部分的に透明/半透明である。
【0034】
したがって、この種のステップ20は、当該本体の全体又は一部が透明/半透明であり、施工領域19における定められたパーソナライズ化装飾18の全部又は一部を透明/半透明であることによって見ることができるようにするような、計時器100の本体を得ることを可能にする。
【0035】
そして、当該方法は、前記計時器100の本体の全部又は一部上において、特に、この計時器100の施工領域19上において、パーソナライズ化装飾18を作成するステップ22を備える。このステップ22は、この計時器100の本体に、特に、この計時器100の施工領域19に、パーソナライズ化装飾18が施工される予定の構築された計時器100をシステム1の支持要素16上に配置するサブステップ23を備える。
【0036】
その後に、この作成ステップ22は、計時器100の本体の外面上にパーソナライズ化装飾18を施工するための施工領域19に関する説明データ14を生成するサブステップ24を備える。このサブステップ22は、この施工領域19を特徴づけこの施工領域19の形状、面積、深さ及び/又は周囲に関連するパラメーターを定める段階25を備える。なお、これらに限定されず、これらがすべてを網羅しているわけではない。これらのパラメーターは、電子デバイスの人間機械インタフェース(HMI)から入力され、そして、サーバーの制御ユニット9に送られ、この制御ユニット9が、当該施工領域19に適した説明データ14を生成し、この説明データ14をデータベース4にアーカイブすることができる。なお、このようなパラメーターは、このサーバーのデータベース4にすでにアーカイブされていることができる。
【0037】
このステップ22は、サーバーのデータベース4に含まれるデジタルグラフィック表現10、12を電子デバイスによって拡散させるサブステップ26を備える。このサブステップ26の間に、電子デバイスとサーバーの間に、特に、電子デバイスの処理ユニット5とサーバーの制御ユニット9の間に、通信モジュールとインタフェースを介して、セキュアな通信リンクが確立される。このような条件下で、サーバーの制御ユニット9は、電子デバイスの処理ユニット5に対して、特にサーバーのデータベース4にアーカイブされた複数のデジタルグラフィック表現10、12及びウェブアプリケーションデータを含む、内容データを送る。この種のデータから、電子デバイスの処理ユニット5は、電子デバイスの表示モジュール7上に表示することを念頭に、デジタルグラフィック表現10、12に関する情報を含むビジュアル表現13を生成する。このビジュアル的表現13に含まれる各デジタルグラフィック表現10、12が必然的に少なくとも1つの選択可能なユニーク部分を含むことは非常に明白である。言い換えると、このサブステップ26の間にビジュアル表現13が生成される際に、制御ユニット9は、データベース4において、それぞれが少なくとも1つの選択可能なユニーク部分を含むことを指定する情報を、関連づけられた情報データ11に含まれるデジタルグラフィック表現10、12を選択する。なお、この制御ユニット9による選択は、施工領域19に関する説明データ14に応じて実行されてもよく、すなわち、各グラフィック表現は、この施工領域19を特徴づける説明データ14と互換性のある特徴を有する少なくとも1つの選択可能なユニーク部分を含まなければならない。
【0038】
その後に、この作成ステップ22は、人間機械インタフェース(HMI)を介して、ビジュアル表現13に含まれる複数のデジタルグラフィック表現10、12から基準デジタルグラフィック表現12を選択するサブステップ27を備える。ここで、選択されたグラフィック表現は、基準表現として適格である。なぜなら、それは、その後で、計時器100上のパーソナライズ化装飾18の作成の基礎を提供するからである。そして、このサブステップ27の間に、選択インタフェース8は、電子デバイスのユーザーによって操作されて、この電子デバイスの表示モジュール7に表示されたビジュアル表現13に含まれるデジタルグラフィック表現10、12から当該基準デジタルグラフィック表現12を選択する。その後に、サーバーの制御ユニット9は、電子デバイスの処理ユニット5に対して、基準デジタルグラフィック表現12を含む内容データと、サーバーのデータベースにアーカイブされたウェブアプリケーションデータを送る。そして、電子デバイスの処理ユニット5は、この種のデータに基づいて、電子デバイスの表示モジュール7上に表示することを念頭に、この基準デジタルグラフィック表現12に関連する情報を含むビジュアル的表現13を生成する。なお、ビジュアル表現13のこの基準デジタルグラフィック表現12は、このグラフィック表現を構成するすべての選択可能なユニーク部分のみを含む。これに関連して、選択可能なユニーク部分にはそれぞれ、計時器100の本体の外面上に定められたパーソナライズ化装飾18を施工するための施工領域19を特徴づける説明データ14と互換性のある特徴がある。
【0039】
また、ユニーク部分17が選択されると、作成ステップ22は、次に、前記基準デジタルグラフィック表現12に関連づけられた情報データ11を更新するサブステップ28を実行する。これは、選択サブステップ29におけるユニーク部分17の選択の後に、前記基準デジタルグラフィック表現12における残りの1つ又は複数のユニーク部分に含まれるデータに含まれる情報を変更することを目的とする。
【0040】
この種のサブステップ28は、特に同じ説明データ14を含む施工領域がある計時器において、同じユニーク部分の他の可能性のある選択を防ぐことを可能にする。
【0041】
また、作成ステップ22は、それぞれが電子デバイスの人間機械インタフェース(HMI)を介して1回だけ選択可能な限定数のユニーク部分によって構成する基準デジタルグラフィック表現12におけるユニーク部分17を選択するサブステップ29を実行する。すなわち、作成ステップ22は、電子デバイスの人間機械インタフェース(HMI)から一度だけ選択することができる限定数の少なくとも1つのユニーク部分によって構成する基準デジタルグラフィック表現12におけるユニーク部分17を選択するサブステップ29を実行する。
【0042】
この基準グラフィック表現12は、サーバーのデータベース4においてアーカイブされる。
【0043】
このサブステップ29は、計時器100の本体の外面上にパーソナライズ化装飾18を施工するための施工領域19に関する説明データ14に応じてユニーク部分17の選択を定める段階30を備える。この定める段階30は、基準グラフィック表現12において選択されることになるユニーク部分17を定めることに、特に、前記計時器100の本体に施工されたパーソナライズ化装飾18が施工領域19を実質的に完全にカバーすることに、寄与する。
【0044】
そして、この選択サブステップ29は、選択インタフェース8をアクチュエートする段階31を備え、この選択インタフェースは、電子デバイスのユーザーによって操作されて、表示モジュール7に表示されたビジュアル表現13に含まれるこの基準デジタルグラフィック表現12を構成する複数の選択可能なユニーク部分からこのユニーク部分17を選択する。
【0045】
その後に、作成ステップ22は、選択された前記ユニーク部分17の説明特徴15に応じて計時器100の本体の全部又は一部上に装飾材料被覆を施工するサブステップ32を備える。制御ユニット9によって実行されるこのサブステップ32は、以下に説明する生成段階34の間に、計時器100の本体上にパーソナライズ化装飾18を作るために必要な一又は複数のインクのタイプを評価すること、そして、印刷用メンバーの運動方向を評価することのために寄与するこれらの説明特徴15を決める段階33を備える。この段階33の間に、決められた説明特徴15は、例えば、以下のものを含む。
- ユニーク部分17の少なくとも1つの寸法構成、例えば、厚み、長さ、幅、面積、体積
- ユニーク部分17のビジュアル的/審美的/構造的な態様、すなわち、ビジュアル的及び/又は審美的及び/又は構造的な態様、例えば、色及び/又はテクスチャー
- パーソナライズ装飾18が備えなければならない物理的及び/又は化学的な機能的特徴、例えば、以下のもの
・エレクトロルミネセンス、
・光ルミネセンス(例、紫外線に対する反応)
・りん光
・「X-クロミック」(フォトクロミック、エレクトロクロミック、サーモクロミック、イオノクロミック、メカノクロミックなど)
・その他
【0046】
このようにして決められた説明特徴15は、次に、サーバーのデータベース4にアーカイブされる。
【0047】
施工サブステップ32は、さらに、選択された前記ユニーク部分17の説明特徴15に応じて、サーバーによって、装飾材料被覆施工デバイス6の少なくとも1つの制御命令を生成する段階34を備える。前記少なくとも1つの命令は、計時器100の本体の施工領域19上におけるユニーク部分17の再現のための作成基準、特に、装飾材料被覆施工デバイス6、具体的には、印刷用メンバーと定着用メンバー、のための制御基準を含む。これらの作成基準は、以下に関連するデータを含む。なお、これらに限定されず、これらがすべてを網羅しているわけではない。
- 特に、ユニーク部分17のビジュアル的/審美的/構造的及び/又は機能的な態様に関連する特徴の再現に必要な、カートリッジが収容するインクに応じた、施工領域19上におけるユニーク部分17の再現に必要なプリントヘッドを備えるカートリッジの選択
- ユニーク部分17の少なくとも1つの寸法構成のビジュアル的/審美的/構造的及び/又は機能的な態様の特徴を再現するための、計時器100の本体上にパーソナライズ化装飾18を施工するための施工領域19に対する各カートリッジのプリントヘッドの運動
- ユニーク部分17の少なくとも1つの寸法構成のビジュアル的/審美的/構造的及び/又は機能的な態様の特徴を再現するための、計時器100の本体上にパーソナライズ化装飾18を施工するための施工領域19に対する各カートリッジのプリントヘッドの距離及び/又は位置
- ユニーク部分17の少なくとも1つの寸法構成のビジュアル的/審美的/構造的及び/又は機能的な態様の特徴を作成するための、計時器100の本体上にパーソナライズ化装飾18を施工するための施工領域19に対して各カートリッジのプリントヘッドを配置する持続時間
- プリントヘッドから放出されるインクの流量、特に、ユニーク部分17の少なくとも1つの寸法構成のビジュアル的/審美的/構造的及び/又は機能的な態様の特徴を再現するために放出される液滴の数
【0048】
その後に、施工サブステップ32は、材料被覆施工デバイス6によって、計時器100の本体上に、特に、計時器100の本体の外面の施工領域19上に、少なくとも1つの材料層を堆積させる堆積段階35を備える。この段階35は、特に、制御ユニット9によって計時器100の本体の施工領域19上におけるユニーク部分17の再現のための作成基準を含む前記少なくとも1つの制御命令を実行することを特徴とする。この層の施工に関連して、前記少なくとも1つの命令を実行することによって、この施工領域19上に又はこの領域19内に既に存在する材料の層上に、少なくとも1つのインクを堆積させる制御が可能になる。
【0049】
そして、このサブステップ32は、材料の層を施工領域19上に又は施工領域19内に既に存在する材料の層上に、定着させる段階36を備える。そして、この段階36の間に、制御ユニット9は、定着用メンバーを施工領域19に対して制御する。この定着用メンバーは、例えば、紫外線(UV)及び/又は赤外線放射及び/又は空気の流れ、特に、熱風の流れ、を発するように構成するモジュールを備えることができる。
【0050】
そして、この方法は、パッケージ化される前に、システム1の支持要素16から、パーソナライズ化装飾18を備える計時器100を取り外すステップ37を備える。
【0051】
なお、本発明の一実施形態において、パーソナライズ化装飾18を施工するための施工領域19は、計時器の裏部にある計時器100の外面上にある。そして、計時器100が腕時計である場合、この計時器100の裏部は、着用者の身体、ここでは例として手首、に接触する、この腕時計の本体の外面の部分に対応することができる。そして、これらの条件下では、この施工領域19は、ブレスレットの裏部に定められた外面の部分、したがって、ブレスレットを構成するリンクの部分、そして、この計時器のケーシングの底部を構成するリンクの部分、を備える。したがって、本体の全部又は一部が透明/半透明である計時器100の場合、ユーザーが手首などに装着したときに、施工領域19において定められたパーソナライズ化装飾18を透明性/半透明性によって見ることができる。
【0052】
本発明は、さらに、サーバーの制御ユニット9、及び電子デバイスの処理ユニット5によって実行される、上記方法の各ステップを実行するためのプログラムコード命令を含むコンピュータープログラムに関する。
図1
図2
図3