(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】イソホロンジイソシアネートを調製する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 263/10 20060101AFI20221215BHJP
C07C 265/14 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
C07C263/10
C07C265/14
(21)【出願番号】P 2021520120
(86)(22)【出願日】2018-12-25
(86)【国際出願番号】 CN2018123444
(87)【国際公開番号】W WO2020124622
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-04-07
(31)【優先権主張番号】201811567103.0
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521147204
【氏名又は名称】万華化学集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WANHUA CHEMICAL GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 17, Tianshan Rd, YEDA, Yantai 264000 Shandong, China
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】▲ユ▼勇
(72)【発明者】
【氏名】尚永華
(72)【発明者】
【氏名】趙磊
(72)【発明者】
【氏名】李文濱
(72)【発明者】
【氏名】孫▲イェ▼
(72)【発明者】
【氏名】何偉
(72)【発明者】
【氏名】崔学磊
(72)【発明者】
【氏名】王京旭
(72)【発明者】
【氏名】劉徳剛
(72)【発明者】
【氏名】黎源
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-169706(JP,A)
【文献】特表2012-532160(JP,A)
【文献】特開平06-128214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソホロンジイソシアネートを調製する方法であって、
触媒の存在下で、イソホロンとシアン化水素とを反応させてイソホロンニトリルを得るステップ(1)
であって、ステップ(1)におけるシアン化水素中のオレフィンの含有量≦0.3wt%であるステップ(1)と、
ステップ(1)で得られたイソホロンニトリル、アンモニアガス及び水素ガスを触媒の存在の条件下で反応させてイソホロンジアミンを得るステップ(2)
であって、ステップ(2)におけるアンモニアガス中のメチルアミンの含有量≦0.5wt%であるステップ(2)と、
前記イソホロンジアミンをホスゲン化反応してイソホロンジイソシアネートを得るステップ(3)であって、
ステップ(3)でホスゲン化反応したイソホロンジアミンに二級アミン基を含む不純物の含有量≦0.5wt%、好ましくは≦0.3wt%、さらに好ましくは≦0.1wt%であるステップ(3)とを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップ(2)におけるアンモニアガス中のメチルアミンの含有
量≦0.3wt%
、好ましくは≦0.1wt%である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(1)におけるシアン化水素中のオレフィンの含有
量≦0.1wt%である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記オレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン又はイソブテンのうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(1)において、シアン化水素、イソホロンと触媒の材料モル比は1:1~3:0.005~0.03である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(1)における触媒は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、シアン化物、アルキルアルコラート又は炭酸塩、三級アミン、四級ホスホニウム塩又は四級アンモニウム塩である、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(2)において、前記触媒は活性成分がコバルト又はニッケルの触媒、好ましくはラネーコバルト触媒である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(3)における前記ホスゲン化反応は、気相ホスゲン化反応、冷・熱ホスゲン化反応、塩形成ホスゲン化反応のいずれか1種であってもよい、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(3)における前記ホスゲン化反応は、イソホロンジアミンとホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、フッ化ホスゲン又は臭化ホスゲンのうちの1種又は複数種との反応である、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪族イソシアネートの調製方法に関し、具体的には、イソホロンジイソシアネートの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イソホロンジイソシアネート(IPDIと略称する)は、室温で無色又は淡黄色の液体であり、脂肪族イソシアネートであり、脂環式イソシアネートでもあり、芳香族イソシアネートよりも反応活性が低く、蒸気圧も低く、イソシアネートよりも毒性が相対的に低い。その構造にベンゼン環を持たないため、耐候性に優れ、エラストマー、水性ポリウレタン分散体、UV樹脂などの、光安定性、耐候性、優れた機械的性能を有する高級ポリウレタン材料の調製に使用できる。IPDIは、自己重合して多官能のポリイソシアネートを生成することもでき、それで調製されたコーティングの表面は急速に乾燥し、自動車の塗料補修に優れた使用がある。上記の使用では、IPDIモノマー中の加水分解塩素含有量と色数に対する要求は比較的厳しい。
【0003】
IPDIモノマーに加水分解塩素含有量が高く、色が高いことを引き出す原因はたくさんあり、異なる方法で回避する必要がある。US5364958は、ホスゲンを除去した反応液を熱いHClガスで熱処理することで、産品の色数を減らす目的を達成するイソシアネートの調製方法を紹介する。EP0581100は、ホスゲン化後、溶媒を除去する前に化学還元剤を添加して淡色の産品を得る淡色のイソシアネートを調製する方法も提供する。CN00809301.6は、ホスゲン中の臭化物とヨウ化物の含有量を制御することで、淡色のイソシアネートの調製を実現する方法を提供する。EP0561225は、対応するアミンをホスゲン化して得られたイソシアネートを1~150barの圧力及び100~180℃の温度で水素化処理して淡色のイソシアネート産品を得る淡色のイソシアネートを調製する方法も記載する。EP0546398及びEP0446781は、原料のアミンを前処理することで、ホスゲン化反応により調製されたイソシアネートの色数を減らす目的を達成する。前者の方法は、アミンをホスゲン化する前に酸性化する方法であり、後者の方法は、アミンをホスゲン化する前に水素ガスで前処理し、酸性化又は水素ガス前処理したアミンをホスゲンと反応させ、最終的に淡色のイソシアネートを得る方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑み、本発明はイソホロンジイソシアネートの調製方法を提供しており、該方法は、イソホロンジイソシアネート産品中の加水分解塩素の含有量を効果的に低減し、産品の耐黄変性能を効果的に改善し、産品中の加水分解塩素の存在による下流側製品が不合格である危害をさらに低減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的を実現するために、本発明は以下の技術案を講じた。
【0006】
(1)触媒の存在下で、イソホロンとシアン化水素とを反応させてイソホロンニトリルを得る。
【0007】
(2)ステップ(1)で得られたイソホロンニトリル、アンモニアガス及び水素ガスを触媒の存在下で反応させてイソホロンジアミンを得る。
【0008】
(3)イソホロンジアミンをホスゲン化反応してイソホロンジイソシアネートを得る。
【0009】
ただし、ステップ(3)でホスゲン化反応したイソホロンジアミンに二級アミン基を含む不純物の含有量≦0.5wt%、好ましくは≦0.3wt%、さらに好ましくは≦0.1wt%である。
【0010】
本発明の方法では、イソホロンジアミン中の二級アミン基を含む不純物の含有量≦0.5wt%に制御し、且つ低い二級アミン基不純物の含有量を有するイソホロンジアミン(IPDA)をホスゲン化し、加水分解塩素の含有量が0.005%以下のイソホロンジイソシアネート産品を得て、さらに産品の耐黄変性能を向上させると同時に、ソースから下流側製品の不合格率も低下する。
【0011】
本発明の各ステップにおいて、各工程における溶媒、モノマーなどの小分子を当技術分野で周知の技術的手段により除去することができ、いくつかの具体的な実施形態において、精留、蒸留、結晶などの方法で純化することができる。
【0012】
イソシアネートの調製については、最終産品に少量の加水分解塩素が存在することは回避できず、残った加水分解塩素は、イソシアネートモノマー自体が黄色になることを引き起こし、一方では、これらの加水分解塩素の存在のため、下流側の使用プロセスに反応が大幅に変動し、さらに下流側の製品の不合格につながる可能性もあり、このため、イソシアネート産品中の加水分解塩素の含有量を制御する必要がある。
【0013】
一級アミンとホスゲンとを反応させてイソシアネートを調製する過程の反応原理は次の通りである。
【0014】
【0015】
反応過程から、アミンとホスゲンは、まずカルバミルクロリドを形成し、次に塩化水素の1分子を除去して対応するイソシアネートを得て、この過程では、ホスゲンがカルボニル基を提供し、すべての加水分解塩素が一級アミンの水素と結合して加水分解塩化水素を形成して排出され、理論的には、加水分解塩素が残留することはないことがわかった。
【0016】
しかし、原料のアミンに二級アミン基不純物が存在する場合、ホスゲン化反応過程に次の式Iの反応が発生する。
【0017】
【0018】
上記の反応過程から、二級アミン基を含む不純物は、まずホスゲンとカルバミルクロリドを形成するが、形成されたカルバミルクロリドの窒素に水素がないため、塩化水素をさらに除去してイソシアネートを得ることができず、カルバミルクロリド含有量の増加は、イソシアネート産品中の加水分解塩素の含有量の増加を引き起こし、これにより産品の耐黄変性能に影響を与えることがわかった。
【0019】
イソホロン二級アミンの供給源に関して、本発明者らは、研究を通じて3つの主要な態様を発見した。
【0020】
第1の態様は、イソホロンジアミンの分子のアミンからアンモニアガスの1分子を除去して得られた二級アミンであり、具体的な反応過程は次の通りである。
【0021】
【0022】
この過程で得られた二級アミンは分子量が大きいため、ホスゲン化反応段階に入ってカルバミルクロリドを形成しても、イソシアネートモノマー産品から分離しやすく、最終的にイソシアネートモノマー産品に残ることができない。
【0023】
第2の態様は、イソホロンジアミンの調製過程に由来し、本発明のステップ(2)において、イソホロンニトリル、アンモニアガス及び水素ガスは、アミノ化と水素化反応してイソホロンジアミン(IPDAと略称する)を調製する過程に生じる。
【0024】
本発明者らは、研究を通じて、この過程で使用されるアンモニアガスに少量のメチルアミン不純物が同伴される可能性があることを発見した。窒素ガスと水素ガスからアンモニアガスを合成する技術は当技術分野でよく知られており、窒素ガスは一般に空気分離から得られ、その純度は高レベルに達することができるが、水素ガスの調製プロセスは比較的多様であり、エネルギー・物資消費及び工業団地統合などの要因を考慮すると、アルカン分解又は蒸気改質を用いて水素ガスを調製することが多く、さらに精錬所で水素含有排ガスを精製することで水素ガスを得ることがあり、このような方法で得られた水素ガスに、多かれ少なかれ少量の不純物が同伴され、アンモニアガスの合成過程に反応してメチルアミンを生成する。
【0025】
本発明のステップ(2)において、使用されるアンモニアガスにメチルアミンが存在する場合、次の式IIの反応が発生する。
【0026】
【0027】
式IIで得られた二級アミン基を含む不純物は、上記式Iの反応を続け、さらにカルバミルクロリドを生成し、その結果、産品の耐黄変性能が低下する。この過程で得られた二級アミン基を含む不純物は、その分子量がイソホロンジアミン(IPDAと略称する)に比較的近いため、イソホロンジアミン(IPDAと略称する)からの分離を実現するために高いコストがかかることが多い。同時に、式IIの過程で得られた二級アミンをホスゲン化して得られたカルバミルクロリドを対応するイソシアネートから分離するコストも比較的高い。
【0028】
これにより、式IIの過程で得られた二級アミンの含有量を減らし、さらに最終的なイソシアネート中のカルバミルクロリドの加水分解塩素の含有量を減らすために、イソホロンジアミン(IPDAと略称する)の合成・調製過程に使用されるアンモニアガス中のメチルアミンの含有量を制御する必要がある。本発明の1つの好ましい実施形態において、ステップ(2)におけるアンモニアガス中のメチルアミンの含有量≦0.5wt%、好ましくは≦0.3wt%、さらに好ましくは≦0.1wt%、例えば、0.02wt%、0.05wt%に制御する。
【0029】
第3の態様は、HCNの生産過程に多かれ少なかれ少量のオレフィンが同伴されることに由来し、これにより、本発明のステップ(1)において、イソホロンとシアン化水素とを反応させてイソホロンニトリル(IPNと略称する)を得る過程に生じる。
【0030】
本発明者らは、研究を通じて、この過程で使用されるHCNの工業化生産方法は、主にアンドルソフ法(Andrussow method)、BMA法、アクリロニトリル副生成物法、軽油分解法などがあるが、HCNを生産する主流のプロセスに基づいて、これらのプロセスを通じて得られたHCNは、多かれ少なかれ少量のオレフィンが同伴されることを発見した。
【0031】
本発明のステップ(1)において、シアン化水素にオレフィンが存在する場合、次の式IIIの反応が発生する。
【0032】
【0033】
ただし、RはH、CxHyであり、xは1~2、yは3、5である。
【0034】
式IIIで得られたイソニトリル類不純物は、本発明の前記のステップ(1)の条件下で、イソホロン(IPと略称する)と次の式IVの反応が発生する。
【0035】
【0036】
ただし、RはH、CxHyであり、xは1~2、yは3、5である。
【0037】
上記式IVで得られたイソニトリル類不純物は、ステップ(2)でアミノ化と水素化反応を続け、最終的に以下に示される二級アミノを含む不純物を得る。
【0038】
【0039】
ただし、RはH、CxHyであり、xは1~2、yは3、5である。
【0040】
上記の二級アミノを含む不純物中のRがH又はx≦2の場合、その自体がイソホロンジアミン(IPDAと略称する)から分離しにくく、同時にホスゲン化して得られた塩素を含む不純物もイソホロンジイソシアネート(IPDIと略称する)から分離しにくい。
【0041】
したがって、イソニトリル類不純物から得られた二級アミンの含有量を減らし、さらに最終的なイソシアネート中の加水分解塩素の含有量を減らすために、イソホロンニトリル(IPNと略称する)の合成・調製過程に使用されるHCN中のオレフィンの含有量を制御する必要がある。本発明の1つの好ましい実施形態において、ステップ(1)で使用されるシアン化水素中のオレフィンの含有量≦0.3wt%、さらに好ましくは≦0.1wt%、例えば、0.01wt%、0.05wt%である。具体的には、前記オレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン又はイソブテンのうちの1種又は複数種である。
【0042】
本発明のステップ(1)において、触媒の存在の条件下でのイソホロンとシアン化水素の反応方法は、参照により本願に含まれる中国特許CN103301799Bに参照可能である。具体的には、シアン化水素、イソホロン及び触媒を設定された材料配合比で、1~10ml/minの総流速で反応器に連続的に注入し(反応器の具体的な構造は、特許CN103301799Bを参照可能)、設定された反応温度、圧力、滞留時間の条件で、反応液を連続的に抽出して粗製イソホロンニトリルを得て、次に分離によって純粋なイソホロンニトリルを得る。いくつかの具体的な実施形態において、ステップ(1)の反応温度は50~200℃、さらに好ましくは80~160℃、例えば、100℃、120℃であり、反応圧力は0~1.5Mpaの絶対圧、例えば、0.5Mpaの絶対圧、1Mpaの絶対圧であり、反応材料の滞留時間は1~60min、さらに好ましくは1~40min、例えば、5min、30minである。
【0043】
本発明の調製過程において、ステップ(1)におけるシアン化水素、イソホロンと触媒の材料のモル比は1:1~3:0.005~0.03であり、さらに好ましくは、上記比例は1:1~1.5:0.006~0.015、例えば、1:1.2:0.01である。いくつかの具体的な実施形態において、ステップ(1)における触媒は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、シアン化物、アルキルアルコラート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩、三級アミン、四級ホスホニウム塩又は四級アンモニウム塩であり、さらに好ましくは、水酸化ナトリウム、シアン化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、トリエチルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムクロリド又はテトラメチルアンモニウムブロミドのうちのの1種又は複数種である。
【0044】
本発明のステップ(2)において、イソホロンニトリルがアンモニアガス水素化の触媒作用下でイソホロンジアミンを生成する方法は、参照により本願に含まれる中国特許CN102924291Bに参照可能である。具体的には、a)3-シアノ-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノン(すなわち、イソホロンニトリル)をNH3と反応させて、3-シアノ-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイミンを含む生成物を生成し、b)水素ガス、NH3及び第1の水素化触媒の存在下で、工程a)で得られた生成物をアルカリ性化合物と混合して、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン及び3-シアノ-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミンを含む生成物を得て、前記第1の水素化触媒の空間速度は0.5~10gの3-シアノ-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノン/(ml触媒・時間)であり、c)工程b)で得られた生成物を酸性化合物と混合して、水素ガス、NH3及び第2の水素化触媒の存在下で、工程b)で得られた生成物中の3-シアノ-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミンを3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミンに変換し、ただし、前記工程b)で得られた生成物中の3-シアノ-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミンの含有量は5~20wt%であり、工程c)における前記酸性化合物は有機酸である。
【0045】
本発明ステップ(2)の調製過程において、工程a)の反応温度は20~100℃、さらに好ましくは20~70℃、例えば、40℃、60℃であり、圧力は0.5~30MPa、さらに好ましくは1~20MPa、例えば、10MPa、15MPaである。
【0046】
本発明のステップ(2)の調製過程において、工程a)に触媒を使用しても、使用しなくてもよい。触媒を使用すると、触媒は、酸性金属酸化物、無機イオン交換樹脂、又は有機イオン交換樹脂、例えば、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ、ゼオライトなどであってもよい。
【0047】
上記の工程a)の調製過程は、水素ガス雰囲気下でも水素ガスなしで行われてもよく、好ましくは水素ガス雰囲気下で行われ、水素ガスとイソホロンニトリル(IPNと略称する)のモル比は3:1~1000:1、好ましくは4:1~500:1、より好ましくは10:1~500:1、さらに好ましくは15:1~300:1、特に好ましくは20:1~100:1である。
【0048】
上記工程a)の調製過程は、溶媒を添加せずに行われることが好ましく、エタノール、ブタノール、テトラヒドロフランなどのアルコール類、エーテル類溶媒の存在下で行われてもよい。
【0049】
上記の工程a)の調製過程は、連続的に行われることが好ましく、通常は圧力容器内で、好ましくは管状反応器を使用して行われ、管状反応器内にイミン反応を形成するための触媒は固定床の形態で存在する。この反応において3-シアノ-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノン(IPNと略称する)から3-シアノ-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイミン(IPNIと略称する)への変換率は通常に80%以上、さらに90%以上、最高95%以上に達することができる。
【0050】
本発明のステップ(2)の調製過程において、工程b)の反応温度は50~130℃、さらに好ましくは60~100℃、例えば、70℃、80℃であり、圧力は10~30MPa、さらに好ましくは15~20MPa、例えば、17MPa、19MPaである。
【0051】
上記工程b)におけるアルカリ性化合物は、アルカリ性金属化合物であり、前記アルカリ性金属化合物は、アルカリ金属の酸化物、水酸化物又は炭酸塩、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物及び炭酸塩、希土類金属の酸化物、水酸化物又は炭酸塩を含む。好ましくは、アルカリ金属の酸化物、水酸化物又は炭酸塩、或いはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物又は炭酸塩であり、より好ましくは、LiOH、NaOH又はKOHである。前記アルカリ性化合物は溶液の形で使用され、溶媒は、水、アルコール又はエーテルなど、好ましくはアルカリ性化合物のアルコール溶液、より好ましくはアルカリ性化合物のメタノール又はエタノール溶液であり、溶液の濃度は0.1~10wt%、好ましくは1~5wt%、例えば、2wt%、4wt%である。工程b)におけるアルカリ性化合物と工程a)における3-シアノ-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノン(IPと略称する)の質量比は1:100~1000、さらに好ましくは1:200~750、例えば、1:500、1:250である。
【0052】
工程b)は50~130℃の温度と10~30MPaの絶対圧の条件下で行われ、好ましくは、60~100℃の温度と15~20MPaの絶対圧の条件下で行われる。NH3とイソホロンニトリル(IPNと略称する)のモル比は5:1~200:1、好ましくは10:1~100:1、より好ましくは20:1~80:1、例えば、50:1である。水素ガスとIPNのモル比は3:1~1000:1、好ましくは4:1~500:1、より好ましくは10:1~500:1、さらに好ましくは15:1~300:1、特に好ましくは20:1~100:1である。水素ガスは、イミド化反応後、水素化反応前にIPNI材料と混合してもよく、最初にIPN、NH3と混合してもよい。
【0053】
本発明のステップ(2)の調製過程において、工程b)の前記第1の水素化触媒と工程c)の前記第2の水素化触媒とは同じでも異なってもよく、活性成分はコバルト又はニッケルの水素化触媒である。例えば、担持型コバルト/ニッケル触媒又は骨格型コバルト/ニッケル触媒、好ましくは担持型/骨格型コバルト触媒、より好ましくはラネーコバルトである。
【0054】
本発明の工程c)における水素化反応は、圧力容器内、例えば、水素化反応器内、好ましくは管状反応器内、より好ましくはトリクルベッド反応器内で連続的に行われる。水素化反応器は、恒温反応器、又は断熱反応器などの可変温度反応器であってもよい。
【0055】
いくつかの具体的な実施形態において、工程c)の前記酸性化合物は有機酸である。前記有機酸は、C1~C40の有機一塩基酸、C1~C40有機二塩基酸、又はC1~C40の有機多塩基酸、好ましくはC1~C16の有機一塩基酸、C1~C16の有機二塩基酸、又はC1~C16の有機多塩基酸、より好ましくは、ギ酸又は酢酸であってもよい。酸性化合物と工程b)で得られたIPNの質量比は1:100~1:1000である。酸性化合物は溶液の形で使用可能であり、溶媒は水、アルコール又はエーテルなど、好ましくは酸性化合物のアルコール溶液、より好ましくは酸性化合物のメタノール溶液或又はエタノール溶液であり、溶液濃度は0.1~10wt%、好ましくは1~5wt%である。
【0056】
工程c)は50~130℃の温度と10~30MPaの絶対圧の条件下で行われ、好ましくは、100~130℃の温度と15~20MPaの絶対圧の条件下で行われる。水素ガスと工程b)で得られたIPNのモル比は3:1~1000:1、好ましくは4:1~500:1、より好ましくは10:1~500:1、さらに好ましくは15:1~300:1、特に好ましくは20:1~100:1である。
【0057】
本発明のいくつかの具体的な実施形態において、ステップ(3)におけるホスゲン化反応は、気相ホスゲン化反応、冷・熱ホスゲン化反応、塩形成ホスゲン化反応のいずれか1種であってもよい。そのうち、ホスゲン化反応は、イソホロンジアミンとホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、フッ化ホスゲン又は臭化ホスゲンのうちの1種又は複数と反応して行われる。
【0058】
上記のホスゲン化反応は気相で行われてもよく、具体的な方法は参照により本願に含まれる中国特許CN105214568Aに参照可能である。具体的には、a)アミンを気化させてアミン液滴を含むアミンガス流を形成し、b)前記アミンガス流に含まれるアミン液滴を除去して、アミン液滴を基本的に含まないアミンガス流を得て、c)アミン液滴を基本的に含まない前記アミンガス流とホスゲンを気相ホスゲン化反応してイソシアネートを得ると同時に、ヒータを使用してアミンガス流に含まれるアミン液滴を除去する。上記のヒータの具体的な構造は特許CN105214568Aに参照可能である。
【0059】
上記反応温度は200~550℃、好ましくは250~400℃、例えば、300℃、320℃であり、反応圧力は0.01~1MPa、好ましくは0.03~0.3MPa、例えば、0.08MPa、0.2MPaである。いくつかの具体的な形態において、ホスゲンとイソホロンジアミン(IPDAと略称する)を反応させた混合ガスは、液体不活性媒体又は/及び不活性媒体とイソシアネートの混合物で吸収及び冷却する必要がある。不活性ガスは、好ましくは、窒素ガス又はアルゴン、又はトルエン、キシレン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼンの蒸気である。液体不活性媒体は、イソシアネートの調製に適したすべての不活性液体から選択され、好ましくは、不活性液体は、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、トルエン、クロロトルエン、キシレン、及び/又はそれらの混合物である。
【0060】
上記のホスゲン化反応は液相で行われてもよく、具体的な方法は参照により本願に含まれる中国特許CN103319372Bに参照可能である。具体的には、a)冷反応であり、温度は0~130℃、好ましくは40~70℃であり、圧力は0.1~1MPaの絶対圧であり、トルエン、クロロベンゼン、ベンゼン、ジクロロベンゼン、シクロヘキサン、キシレン又はそれらの混合物を溶媒とし、特に好ましくは、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンを溶媒とし、化学論量を超えるホスゲンと反応し、反応滞留時間は2~120min、好ましくは5~45minであり、b)熱反応であり、温度は60~190℃、好ましくは110~165℃であり、圧力は0.1~1MPaの絶対圧であり、トルエン、クロロベンゼン、ベンゼン、ジクロロベンゼン、シクロヘキサン、キシレン又はそれらの混合物を溶媒とし、特に好ましくは、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンを溶媒とし、化学論量を超えるホスゲンと反応し、反応滞留時間は0.5~5h、好ましくは、1~4hである。
【0061】
上記のホスゲン化反応は、塩化水素及び/又は二酸化炭素から塩を形成するホスゲン化反応で行われてもよく、具体的な方法は、参照により本願に含まれる中国特許CN105218422B及びCN107337615Aに参照可能である。具体的には、a)塩化水素及び/又は二酸化炭素とアミンは不活性溶媒で反応して塩を形成し、前記塩化水素と前記アミンのアミノのモル当量比は1~2.5:1、好ましくは1.2~2:1であり、前記二酸化炭素と前記アミンのアミノのモル当量比は0.5~5:1、好ましくは0.6~3:1であり、溶媒とアミンの質量比は25~5:1、好ましくは20~5:1であり、塩形成反応の温度は0~50℃、好ましくは5~30℃であり、圧力は0.1~1MPaの絶対圧、好ましくは0.2~0.5MPaの絶対圧であり、反応滞留時間は1~15min、好ましくは5~10minであり、反応圧力は0.1~1MPaの絶対圧、好ましくは、0.2~0.5MPaの絶対圧である。a)工程の塩形成反応で得られた塩酸塩又は炭酸塩の反応液は、b)に移行してホスゲン化反応し、温度は100~170℃、好ましくは110~165℃であり、圧力は0.1~1MPaの絶対圧、好ましくは0.2~0.5MPaの絶対圧であり、化学論量を超えるホスゲンと反応し、反応滞留時間は1~5h、好ましくは1.5~4hである。ただし、不活性溶媒は、トルエン、クロロベンゼン、ベンゼン、ジクロロベンゼン、シクロヘキサン、キシレン又はそれらの混合物、より好ましくはクロロベンゼン、ジクロロベンゼンである。
【0062】
いくつかの具体的な実施形態において、上記ホスゲン化反応におけるホスゲンは過剰であり、ホスゲン化反応した過剰なホスゲンは、好ましくは約50~180℃、0.05~0.1MPaの絶対圧で除去される。
【0063】
従来の技術に比べて、本発明は以下の利点を有する。
【0064】
本発明の方法は、イソホロンジアミン(IPDA)の調製過程における二級アミン基不純物の生成を効果的に制御し、また、低含有量の二級アミン基不純物を有するイソホロンジアミン(IPDA)でホスゲン化することにより、加水分解塩素含有量が0.005%のイソホロンジイソシアネート産品を得て、産品の耐黄変性能が向上すると同時に、ソースから下流側製品の不合格率も低下する。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、具体的な実施例を通じて本発明の技術案及びその効果をさらに説明する。以下の実施例は、本発明の内容を説明するものに過ぎず、本発明の保護範囲を制限するためのものではないことを理解すべきである。本発明の構想を適用することによって本発明に加えられた簡単な変更は、すべて本発明の保護の範囲内にある。
【0066】
本発明の実施例は、以下のテスト方法を使用した。
【0067】
(1)アンモニアガス中のメチルアミンの定量分析は、気相クロマトグラフィーで行われ、気相クロマトグラフィー分析条件は次の通りであった。
【0068】
クロマトグラフィーカラム:PLOT GDX-203(仕様は30m*0.53mm*5.00μm)、サンプル供給口温度:50℃、カラム流量:1.5ml/min、カラム温度:50℃で1分間保持してから、5℃/minで135℃に上昇し、8分間保持、検出器温度:140℃、H2流量:60ml/min、空気流量:350ml/min。
【0069】
(2)IPDA中の二級アミン基を含む不純物の定量分析は、気相クロマトグラフィーで行われ、気相クロマトグラフィー分析条件は次の通りであった。
【0070】
クロマトグラフィーカラム:アジレントHP-5(仕様は30m*0.32mm*0.25mm)、サンプル供給口温度:280℃、分流比:30:1、カラム流量:1.5ml/min、カラム温度:100℃で0.5分間保持してから、15℃/minで260℃に上昇し、8分間保持、検出器温度:280℃、H2流量:35ml/min。
【0071】
(3)IPDI中の加水分解塩素含有量の分析は、中国国家標準GB/T12009.2-1989に記載される方法を使用した。
【0072】
(4)IPDIの色度指標の分析は、中国国家標準GB/T605-2006に記載される方法を使用した。
【0073】
(5)シアン化水素中のオレフィンの含有量の定量分析は、気相クロマトグラフィーで行われ、気相クロマトグラフィー分析条件は次の通りであった。
【0074】
クロマトグラフィーカラム:アジレントHP-5(仕様は30m*0.53mm*5.00μm)、サンプル供給口温度:50℃、カラム流量:1.5ml/min、カラム温度:50℃で1分間保持してから、5℃/minで135℃に上昇し、8分間保持、検出器温度:140℃、H2流量:60ml/min、空気流量:350ml/min。
【0075】
〔実施例1〕
(1)イソホロンを200kg/hの速度で予熱器に送り、120℃の反応温度に予熱した後、HCNとアルカリ性触媒のナトリウムメトキシドを2:1:0.003のモル比でCN103301799Bの実施例1に開示された反応器にそれぞれ送り、その運転条件で反応させ、反応の圧力は1MPaの絶対圧であり、25分間反応させた後にイソホロンニトリル(IPNと略称する)を得た。
【0076】
上記ステップ(1)で使用されたHCN中のオレフィン類不純物の含有量は0.01wt%であった。
【0077】
(2)上記に得られたイソホロンニトリル、アンモニアガス及び水素ガスを触媒の存在下で反応させ、具体的には次の通りであった。
【0078】
a)ステップ(1)で得られたイソホロンニトリルを管状反応器でアンモニアガスと反応させ、反応は60℃の温度及び15MPaの絶対圧の条件下で行われ、アンモニアガスとイソホロンニトリルのモル比は50:1であり、3-シアノ-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイミンを得た。
【0079】
b)水素化触媒のラネーコバルトの存在下で、触媒の空間速度が1.5gの3-シアノ-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノン/(ml触媒・時間)で、水素ガス、NH3及び工程a)で得られた3-シアノ-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイミンを3%のKOHエタノール溶液に混合して反応させ、反応は80℃の温度及び18MPaの絶対圧の条件下で行われ、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(IPDAと略称する)及び3-シアノ-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミンを含む生成物を得た。
【0080】
工程b)において、KOHエタノール溶液と加えたイソホロンニトリルの質量比は1:600であり、NH3とイソホロンニトリルのモル比は50:1であり、水素ガスとイソホロンニトリルのモル比は80:1であった。
【0081】
c)水素化触媒のラネーコバルトの存在下で、触媒の空間速度は1.8gの3-シアノ-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノン/(ml触媒・時間)で、水素ガス、NH3及び工程b)で得られた3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(IPDAと略称する)及び3-シアノ-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミンを含む生成物を3%の酢酸-エタノール溶液に混合して反応させ、反応は120℃の温度及び18MPaの絶対圧の条件下で行われ、3-シアノ-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミンを3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(IPDAと略称する)に変換し、検出によると、得られたIPDA中の二級アミン基を含む不純物の含有量は0.4wt%であった。
【0082】
工程c)において、酢酸-エタノール溶液とステップ1)で得られたIPNの質量比は1:500であり、水素ガスとステップ1)で得られたIPNのモル比は30:1であり、アンモニアガスと工程a)で得られたIPNのモル比は50:1であった。
【0083】
上記ステップ(2)における各工程で使用されたアンモニアガス中のメチルアミン含有量は0.45wt%であった。
【0084】
(3)中国特許CN105214568Aの実施例1に係るヒータを用いて、得られたIPDAを気化させて355℃に加熱し、窒素ガスの保護下で、355℃に加熱した気体ホスゲンとそれぞれの供給管から反応器に連続的に加えて反応し、反応圧力は0.05MPaの絶対圧であり、温度は360℃であり、ただし、IPDAの供給量は800Kg/h、ホスゲン供給量は3000Kg/hであり、反応させた混合カズをo-ジクロロベンゼン溶液でガス噴射・吸収装置により100℃に急速に冷却し、生成物IPDIを含む光化学溶液を得て、過剰なホスゲンを180℃、0.1MPaの絶対圧で除去し、ホスゲンを含まないIPDI粗生成物を得て、その後、精留塔を介して粗生成物を精留し、0.5KPa、150~160℃の蒸留範囲で得られたIPDI産品を取り、収率は95%、産品の純度は99.5%であった。
【0085】
〔実施例2〕
本実施例と実施例1との区別は、ステップ(3)は中国特許CN103319372Bに係る反応釜で行われることであった。
【0086】
a)冷反応:ステップ(2)で得られたIPDAを、クロロベンゼンを溶媒として質量含有量が15%の溶液に調製し、40℃に予熱し、-5℃の液体ホスゲンと同時にクロロベンゼンを含む反応釜に導入して液相ホスゲン化反応し、ただし、IPDAの供給量は400Kg/h、冷反応ホスゲンの供給量は1500kg/hであり、冷反応温度を60℃に制御し、滞留時間は5minであった。
【0087】
b)熱反応:温度を140℃に制御し、滞留時間は2hであり、生成物IPDIを含む光化学液を得て、過剰なホスゲンを180℃、0.1MPaの絶対圧で除去し、ホスゲンを含まないIPDI粗生成物を得て、その後、精留塔を介して粗生成物を精留し、0.5KPa、150~160℃の蒸留範囲で得られたIPDI産品を取り、収率は96%であり、産品の純度は99.5%であった。
【0088】
〔実施例3〕
本実施例と実施例1との区別は次の通りであった。
【0089】
1、ステップ(1)におけるシアン化水素中のオレフィンの含有量は0.25wt%であった。
【0090】
2、ステップ(2)の後に得られたIPDA中の二級アミン基を含む不純物の含有量は0.45wt%であった。
【0091】
3、ステップ(3)は、中国特許CN105218422Bの実施例1に係る釜式反応器で、下記の方法により調製された。
【0092】
a)塩形成反応釜に1000Kgのo-ジクロロベンゼンを反応溶媒として予め添加し、循環ポンプをオンにして攪拌し、塩化水素の圧縮ガスをプレミキサーによって50mol/minの速度で反応器に導入し、15分間攪拌した後、IPDAとo-ジクロロベンゼンの混合液(アミン導入濃度は20wt%)を原料予熱器で30℃に昇温し、335Kg/hの流速で塩化水素ガスと十分に接触させた後に塩形成反応釜内で塩を形成し、外部循環冷却水を使用して冷却し、反応熱の一部を除去し、循環液体流量は約5m3/hであり、反応液の温度を30~45℃に維持し、3時間のサンプル供給後、IPDAとo-ジクロロベンゼンの混合液の供給を停止しHClガスを30分間導入し続けた。
【0093】
b)得られたIPDA塩酸塩スラリーを、光化学反応釜に移し、この光化学反応釜はホスゲン吸気管、気相凝縮還流及び攪拌装置を有し、光化学反応釜を加熱しながら攪拌をオンにし、温度が60℃に達した後にホスゲンを導入し、ホスゲン供給速度は50mol/min、反応温度は130℃であり、光化学溶液が清澄化された後に、ホスゲン供給を停止し、塩形成した光化学反応溶液を得た。過剰なホスゲンを180℃、0.1MPaの絶対圧で除去し、ホスゲンを含まないIPDI粗生成物を得て、その後、精留塔を介して粗生成物を精留し、0.5KPa、150~160℃の蒸留範囲で得られたIPDI産品を取り、収率は95%、産品の純度は99.5%であった。
【0094】
〔実施例4〕
本実施例と実施例3の区別は、ステップ(2)における各工程で使用されたアンモニアガス中のメチルアミン含有量は0.25wt%、得られたIPDA中の二級アミン基を含む不純物の含有量は0.35wt%であった。
【0095】
〔比較例1〕
本比較例と実施例1の区別は、ステップ(2)における各工程で使用されたアンモニアガス中のメチルアミン含有量は0.75wt%、得られたIPDA中の二級アミン基を含む不純物の含有量は0.75wt%、収率は95%、産品の純度は99.5%であった。
【0096】
〔比較例2〕
本比較例と実施例1の区別は、ステップ(1)で使用されたHCN中のオレフィン類不純物の含有量は0.75wt%であり、ステップ(2)における各工程で使用されたアンモニアガス中のメチルアミン含有量は0.75wt%、得られたIPDA中の二級アミン基を含む不純物の含有量は0.95wt%、収率は95%、産品の純度は99.5%であった。
【0097】
〔比較例3〕
本比較例と実施例3の区別は、ステップ(2)における各工程で使用されたアンモニアガス中のメチルアミン含有量は0.75wt%、得られたIPDA中の二級アミン基を含む不純物の含有量は0.75wt%、収率は96%、産品の純度は99.5%であった。
【0098】
〔比較例4〕
本比較例と実施例1の区別は、ステップ(2)における各工程で使用されたアンモニアガス中のメチルアミン含有量は0.75wt%、得られたIPDA中の二級アミン基を含む不純物の含有量は0.75wt%、収率は95%、産品の純度は99.5%であった。
【0099】
〔比較例5〕
本比較例と実施例1の区別は、ステップ(1)で使用されたHCN中のオレフィン類不純物の含有量は0.75wt%、ステップ(2)で得られたIPDA中の二級アミン基を含む不純物の含有量は0.85wt%、収率は95%、産品の純度は99.5%であった。
【0100】
検出によると、上記実施例及び比較例の各パラメータと産品中の加水分解塩素の含有量、色度のテスト結果を下記の表1に示した。
【0101】
【0102】
上記の表のデータから分かるように、本発明は、IPDA調製過程における原料HCN中のオレフィン類の含有量、アンモニアガス中のメチルアミンの含有量を制御することにより、IPDA中の二級アミン基類不純物を0.5wt%以下に制御することを実現し、ホスゲン化して得られたIPDIの色度及び加水分解塩素を非常に低いレベルにし、ソースから下流側製品の不合格率を低下させる。