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特許7194832モーションディテクタ、照明器具、対応する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】モーションディテクタ、照明器具、対応する方法
(51)【国際特許分類】
   G01V 8/20 20060101AFI20221215BHJP
   H05B 47/115 20200101ALI20221215BHJP
【FI】
G01V8/20 Z
H05B47/115
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021533303
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2019083787
(87)【国際公開番号】W WO2020120273
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】62/778,330
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18248034.3
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】カーン ショアイブ フセイン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトヒル マシュー スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】パイルマン フェッツエ
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-130085(JP,A)
【文献】特開2014-013229(JP,A)
【文献】特開2011-047779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 8/20
H05B 47/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境を静又は動として分類するように構成されるモーションディテクタであって、
モーションセンサのセンサ信号を受けるための信号入力と、
前記センサ信号を周波数領域に変換し、複数の周波数ビンを得る、
増大した大きさを有する周波数ビンを識別する、
識別された周波数ビンが環境内の動き源に対応するか、環境内のノイズ源に対応するかを推定することであって、近傍の周波数ビンが増大した大きさを有さないと判断することにより増大した大きさを有する識別された周波数ビンをノイズに起因すると推定し、周波数ビンは、近傍の周波数ビンと識別された周波数ビンとの間の周波数差が上側の周波数閾値より下であり、下側の周波数閾値より上である場合に近傍である、
動き源に対応すると推定される識別された周波数ビンから、環境が静として分類されるか、動として分類されるかを判断することであって、近傍の周波数ビンが増大した大きさを有し、ノイズに起因すると推定されないと判断することにより、及び、識別された周波数ビンが閾値を超える大きさを有すると判断することにより増大した大きさを有する識別された周波数ビンを動き源に対応すると推定する、
ように構成される、プロセッサと、
を含む、モーションディテクタ。
【請求項2】
前記環境が静として分類されるか、動として分類されるかを判断することは、動き源に対応すると推定される周波数ビンにおけるエネルギを決定することを含み、決定されたエネルギが閾値を超える場合、環境は動として分類される、請求項1に記載のモーションディテクタ。
【請求項3】
前記推定することは、周波数ビンがノイズに起因すると推定される周波数ビンに隣接する場合、識別された周波数ビンをノイズに起因すると推定することを含み、周波数ビンは、隣接する周波数ビンと識別された周波数ビンとの間の周波数差が前記下方の周波数閾値より下である場合に隣接する、請求項1に記載のモーションディテクタ。
【請求項4】
前記プロセッサは、周波数ビンがある期間にわたってノイズに起因すると一貫して推定される場合、該周波数ビンをノイズに起因するビンとしてマークするように構成される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモーションディテクタ。
【請求項5】
前記プロセッサは、周波数ビンがある期間にわたってノイズに起因しない推定される場合、該周波数ビンをノイズに起因するビンとしてのマークを解除するように構成される、請求項4に記載のモーションディテクタ。
【請求項6】
識別された周波数ビンを動きに起因すると推定することは、近傍の周波数ビンが増大した大きさを有し、ノイズに起因すると推定されず、ノイズに起因するビンとしてマークされていないと判断することを含む、請求項4に記載のモーションディテクタ。
【請求項7】
周波数フロアを下回る周波数ビンは、ノイズに起因すると推定される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のモーションディテクタ。
【請求項8】
前記プロセッサは、周波数ビンがさらなる期間の少なくとも一部にわたってノイズに起因すると推定される場合、該周波数ビンをノイズに起因するビンとしてマークするように構成される、請求項4乃至6のいずれか一項に記載のモーションディテクタ。
【請求項9】
前記モーションセンサは、ドップラーモーションセンサ、マイクロ波センサ、又は周囲光センサである、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のモーションディテクタ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のモーションディテクタを含む、照明器具であって、当該照明器具は、発光要素に接続可能であり、前記モーションディテクタによって環境が静として分類されるか、動として分類されるかに少なくとも依存して前記発光要素を制御するように構成される、照明器具。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記発光要素がオンされている場合、前記識別された周波数ビンが環境内の動き源に対応するか、環境内のノイズ源に対応するかを推定することをオフにするように構成される、請求項10に記載の照明器具。
【請求項12】
環境を静又は動として分類する動き検出方法であって、
モーションセンサのセンサ信号を受けることと、
前記センサ信号を周波数領域に変換し、複数の周波数ビンを得ることと、
増大した大きさを有する周波数ビンを識別することと、
識別された周波数ビンが環境内の動き源に対応するか、環境内のノイズ源に対応するかを推定することであって、近傍の周波数ビンが増大した大きさを有さないと判断することにより、増大した大きさを有する識別された周波数ビンをノイズに起因すると推定し、周波数ビンは、近傍の周波数ビンと識別された周波数ビンとの間の周波数差が上側の周波数閾値より下であり、下側の周波数閾値より上である場合に近傍である、ことと、
動き源に対応すると推定される識別された周波数ビンから、環境が静として分類されるか、動として分類されるかを判断することであって、近傍の周波数ビンが増大した大きさを有し、ノイズに起因すると推定されないと判断することにより、及び、識別された周波数ビンが閾値を超える大きさを有すると判断することにより、増大した大きさを有する識別された周波数ビンを動き源に対応すると推定する、ことと、
を含む、動き検出方法。
【請求項13】
プロセッサシステムによって実行される場合、前記プロセッサシステムに請求項12に記載の方法のステップを実行させる命令を表すデータを含む一時的又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーションディテクタ、照明器具、動き検出方法、コンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
信頼性の高い動き検出は、多くの分野で重要である。例えば、動き検出は、照明を制御するために照明システムで使用される。モーションディテクタを使用して、人が存在しない場合にライトがオンされることが回避されることができる。他のアプリケーションは、例えば、防犯アラームや、例えばオフィス管理のためのオフィス占有検出である。
【0003】
残念なことに、モーションセンシングは、多くの問題に悩まされる。モーションセンサの1つの問題は、ハム又はハムタイプのノイズと称されることもある、特定のタイプの狭い周波数のノイズに敏感であり得ることである。とりわけ、ドップラー効果に基づくセンサは、ハムノイズに起因するフォールスポジティブ(false positive)に弱い。
【0004】
既知のモーションセンサは、韓国特許出願KR20160141503「APPARATUS AND METHOD FOR DRIVING LIGHT」に述べられており、これは、参照により本明細書に含まれる。この韓国特許出願では、動き感知部を備える照明デバイスを駆動するための照明駆動デバイスが開示されている。このデバイスは、動きが検出されるか否かに依存して照明を自動的に制御する。
【0005】
動き検出ユニットは、マイクロ波(RF)ドップラーセンサであり、ドップラー効果を使用して、波源によって生成される波を検出することにより動きを検出する。動き感知ユニットは、物体の運動だけでなく、周囲で生じる振動も検出する。斯くして、振動だけが生じ、動きがない場合にランプがオンされる可能性があるという問題がある。
【0006】
引用特許の図1は、既知の照明駆動デバイスを示している。この既知のデバイスは、動作感知ユニットに加えて振動を感知するための振動感知ユニットを含んでいる。
【0007】
動き感知ユニットは、マイクロ波(RF)を使用するドップラー効果を使用して動きを感知し、対応するサイズの動き感知信号を出力するRFドップラーセンサである。振動感知ユニットは、加速度を測定して振動を感知し、対応する大きさの電気信号を振動感知信号として出力するマイクロ電子機械システム(MEMS:Micro Electro-Mechanical System)である。
【0008】
コントローラは、動き検出ユニットにより動きが検出されるが、振動が検出されない時にのみ照明デバイスを点灯させる。これは、照明デバイスが、振動が検出される場合にオンされることを防止する。
【0009】
US2012/016221A1は、トイレに入る、トイレを出る、便座に座る、便座から立つ等、人体の様々な動きを検出することができる便座装置を開示している。人体検出器は、周波数分析器、認識器、及びサンプルデータを格納するデータベースデバイスを含む。周波数分析器は、センサ信号を周波数領域の信号に変換し、異なる周波数帯域を持つ個々のフィルタバンクの信号を抽出する。認識器は、サンプルデータと、個々のフィルタバンクの信号に基づく信号の周波数分布を含む検出データとの比較に基づいて、少なくとも便器が設置されている空間に入る人体、及び、便座に座る人の人体を検出する機能を有する。
【0010】
KR20120056781Aは、マイクロホン、増幅器、及び広帯域抽出ユニットを備えるエアコンディショナを開示している。マイクロホンは、空調空間の音を受ける。増幅器は,マイクロホンで受けた音信号を増幅する。広帯域抽出ユニットは、増幅された音信号から特定の周波数帯域を抽出する。複数の帯域抽出ユニットは、それぞれ異なる周波数帯域を抽出する。
【0011】
WO2017/117316A1は、照明システムを部屋の一部に取り付けるように構成される取り付けアセンブリであって、照明システムが部屋の一部を照らすように構成される、取り付けアセンブリと、照明システムの照明設定を受け入れるように構成されるユーザインターフェースと、ユーザインターフェースからの照明設定に基づく少なくとも1つのコンフィギュラブルな設定を有する少なくとも1つの光源とを含む、照明システムを開示している。
【0012】
KR20160141503Aは、振動を検出して、対応する振動状態の振動検出信号を出力する振動検出ユニットと、ドップラー効果を使用して、検出された動きに対応する状態の動き検出信号を出力する動き検出ユニットと、振動検出ユニット及び動き検出ユニットに接続される動作制御ユニットと、動作制御ユニットに接続される照明デバイス駆動ユニットとを備える、照明を駆動するための装置を開示している。動作制御ユニットは、振動検出ユニットの振動検出信号の状態を使用して、動き検出ユニットの動き検出信号の状態が、振動が検出されずに動きが検出される状態である場合に照明デバイス駆動ユニットに照明デバイスをオンするための制御信号を出力する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
既知のシステムは、多くの不利な点を有する。第1に、既知のシステムは、モーションセンサに加えて、別個の振動センサを必要とする。これは、部品点数を増やし、システムの複雑さ及びコストを増加させる。第2に、振動が検出されている限り、動きは検出されることができない。ハムは断続され得、数秒しか続かないかもしれないが、本発明者らは、ハムタイプのノイズは数時間続き得ることを確認している。このような持続的な(persistent)ハムは、ハムが続く間は動きが検出されず、斯くしてライトがオンされないので、既知のシステムを動作不能にする。あるいは、振動の閾値が高いレベルに設定されなければならず、1つ以上のハムノイズ源に起因するフォールスポジティブのリスクが残る。第3に、既知のシステムは、機械的な振動しか検出しない。しかしながら、本発明者らは、ハムノイズは電気的なソース(electrical source)からも発生し得ることを確認した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの及びその他の問題に対処するために、モーションディテクタ(motion detector)が提案される。モーションディテクタは、環境を静(quiet)又は動(motion)として分類するように構成されてもよい。検出器は、モーションセンサのセンサ信号を受けるための信号入力と、プロセッサとを含んでもよい。プロセッサは、
- センサ信号を周波数領域に変換し、複数の周波数ビンを得ることと、
- 増大した大きさ(increased magnitude)を有する周波数ビンを識別することと、
- 識別された周波数ビンが環境内の動き源(motion source)に対応するか、環境内のノイズ源(noise source)に対応するかを推定することであって、近傍の周波数ビン(near frequency bin)が増大した大きさを有さないと判断することにより増大した大きさを有する識別された周波数ビンをノイズに起因すると推定し、周波数ビンは、近傍の周波数ビンと識別された周波数ビンとの間の周波数差が上側の周波数閾値より下であり、下側の周波数閾値より上である場合に近傍である、ことと、
- 動き源に対応すると推定される識別された周波数ビンから、環境が静として分類されるか、動として分類されるかを判断することであって、近傍の周波数ビンが増大した大きさを有し、ノイズに起因すると推定されないと判断することにより増大した大きさを有する識別された周波数ビンを動きに起因すると推定する、ことと、
のうちの1つ以上のために構成されてもよい。
【0015】
動き検出は、別個の振動センサが必要とされないという利点を有する。代わりに、ハムノイズは、モーションセンサの出力から直接検出されることができる。さらに、いくつかの周波数ビンがノイズに起因すると識別されるとしても、他の周波数から動きが検出されることができる。例えば、一実施形態では、判断することは、動き源に対応すると推定される周波数ビンにおけるエネルギを決定することを含んでもよい。例えば、決定されたエネルギが閾値を超える場合、環境はモーションとして分類されてもよい。周波数ビンは、周波数領域変換、例えば、FFT又はDFTによって生成される周波数として実装されてもよい。周波数ビンは、実際は狭い周波数範囲に対応する(これは、ドップラーセンサの場合、センサの周囲のエリアにおける狭い速度範囲に対応する)ため、ビンと呼ばれる。
【0016】
一実施形態では、特定のビンは、近傍の周波数ビンが増大した大きさを有さないと判断することによりノイズに起因すると推定されてもよい。近傍の周波数ビンは、近傍の周波数を有する、例えば、閾値より下である特定のビンとの周波数差を有し、例えば、閾値は、5.8GHzのセンサモダリティの場合には10Hz、等であってもよい、しかしながら、さらに小さい、例えば、4Hzより下である特定のビンとの周波数差を有する(隣接するビン(adjacent bin)と呼ばれる)非常に近いビンは、この推定から除外される。モーションディテクタは、電子デバイスである。
【0017】
本発明の一態様は、モーションディテクタを含む照明器具に関する。本発明の一態様は、動き検出方法に関する。
【0018】
方法の一実施形態は、コンピュータ実施方法(computer implemented method)としてコンピュータで、又は専用のハードウェアで、又は両方の組み合わせで実施されてもよい。本方法の一実施形態の実行可能コードは、コンピュータプログラムプロダクトに記憶されてもよい。コンピュータプログラムプロダクトの例としては、メモリデバイス、光記憶デバイス、集積回路、サーバ、オンラインソフトウェア等が挙げられる。好ましくは、コンピュータプログラムプロダクトは、プロセッサシステムによって実行される場合、プロセッサシステムに本発明による方法のステップを実行させる命令を表す一時的又は非一時的コンピュータ可読媒体を含む。
【0019】
一実施形態では、コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行される場合、本方法の実施形態のステップのすべて又は一部を実行するように構成されるコンピュータプログラムコードを含む。好ましくは、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体に具現化される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明のさらなる詳細、態様、及び実施形態が、単に例として、以下の図面を参照して説明される。これらの図中の要素は、簡潔性及び明瞭性のために示されており、必ずしも正しい縮尺で描かれてはいない。これらの図中、既に説明されている要素に対応する要素は、同じ参照番号を有し得る。
図1a】モーションディテクタの実施形態の一例を概略的に示す。
図1b】照明器具の実施形態の一例を概略的に示す。
図1c】照明システムの実施形態の一例を概略的に示す。
図2】周波数対時間図の実施形態の一例を概略的に示す。
図3a】周波数ビンの実施形態の一例を概略的に示す。
図3b】周波数ビン分類の実施形態の一例を概略的に示す。
図3c】周波数ビンの実施形態の一例を概略的に示す。
図3d】ノイズ検出方法の実施形態の一例を概略的に示す。
図4】周波数対時間図の実施形態の一例を概略的に示す。
図5】生信号図の実施形態の一例を概略的に示す。
図6】動き検出方法の実施形態の一例を概略的に示す。
図7a】一実施形態によるコンピュータプログラムを含む書き込み可能な部分を有するコンピュータ可読媒体を概略的に示す。
図7d】一実施形態によるプロセッサシステムの表現を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、多くの異なる形態での実施形態が可能であるが、本開示は本発明の原理の例示として見なされるべきであり、図示及び述べられる特定の実施形態に本発明を限定することを意図するものではないという理解の下に、1つ以上の特定の実施形態が、図面において示されており、本明細書で詳細に述べられる。
【0022】
以下では、理解のために、実施形態の諸要素は、動作時において述べられる。しかしながら、それぞれの要素は、それらによって実行されるとして述べられている機能を実行するように構成されていることが、明らかとなるであろう。
【0023】
さらに、本発明は、それらの実施形態に限定されるものではなく、本発明は、本明細書に記載の又は互いに異なる従属請求項に列挙されるあらゆる新規な特徴又は特徴の組み合わせにある。
【0024】
図1aは、モーションディテクタ100の実施形態の一例を概略的に示している。
【0025】
モーションディテクタは、様々なアプリケーションに使用されることができ、その中でもとりわけ有利なのは照明である。例えば、図1bは、照明器具170の実施形態の一例を概略的に示している。照明器具170は、モーションディテクタ100及び照明要素172を含んでもよい。例えば、照明要素は、モーションディテクタ100が動きを検出する場合光を放射するように構成されてもよい。照明要素は、1つ以上のLEDであってもよい。例えば、図1cは、照明システム171の実施形態の一例を概略的に示している。照明システム171は、照明器具170、典型的には複数の照明器具、モーションディテクタ100、典型的には複数のモーションディテクタ、及び照明コントローラ175を含む。照明コントローラ175は、モーションディテクタから動き信号、例えば、静/動分類を受け、それに基づいて、照明制御信号を決定するように構成される。照明制御信号は、1つ以上の照明器具に送られ、照明器具は、制御信号に従って照明する。モーションディテクタの1つ以上は照明器具に組み込まれていてもよいが、そうである必要はない。モーションディテクタ、照明コントローラ、及び照明器具の間の通信は、デジタル通信ネットワーク、例えば、コンピュータネットワークを介して実施してもよい。
【0026】
例えば、システム171の様々なデバイスは、コンピュータネットワーク173を介して互いに通信してもよい。コンピュータネットワークは、インターネット、イントラネット、LAN、WLAN等であってもよい。コンピュータネットワーク173は、インターネットであってもよい。コンピュータネットワークは、全体的又は部分的に有線であってもよく、及び/又は全体的又は部分的に無線であってもよい。例えば、コンピュータネットワークは、Ethernet(登録商標)接続を含んでもよい。例えば、コンピュータネットワークは、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の無線接続を含んでもよい。デバイスは、必要に応じてシステム171の他のデバイスと通信するように構成される接続インターフェースを含む。例えば、接続インターフェースは、コネクタ、例えば、有線コネクタ、例えば、イーサネット(登録商標)コネクタ、光コネクタ等、又は、無線コネクタ、例えば、アンテナ、例えば、Wi-Fi(登録商標)、4G若しくは5Gアンテナ等を含んでもよい。例えば、デバイス100、175及び170は各々、通信インターフェースを含んでもよい。コンピュータネットワーク173は、追加要素、例えば、ルータ、ハブ等を含んでもよい。
【0027】
モーションディテクタ100の実行(execution)はプロセッサ回路に実装されてもよく、その例が本明細書で示される。例えば、図1aは、モーションディテクタ、及び例えば、プロセッサ回路の機能ユニットであり得る機能ユニットを示している。例えば、図1aは、プロセッサ回路の可能な機能組織(possible functional organization)のブループリントとして使用されてもよい。プロセッサ回路は、図1aにおいてユニットと別個に示されていない。例えば、図1aに示される機能ユニットは、デバイス100、例えば、デバイス100の電子メモリに記憶され、デバイス100のマイクロプロセッサによって実行可能なコンピュータ命令に全体的又は部分的に実装されてもよい。ハイブリッドな実施形態では、機能ユニットは、部分的にハードウェアに、例えば、コプロセッサ、例えば、信号コプロセッサとして、及び、部分的にデバイス100で記憶され実行されるソフトウェアに実装される。
【0028】
モーションディテクタのアプリケーションは、照明制御以外にもある。例えば、モーションディテクタは、防犯アラームに使用されてもよい。例えば、モーションセンサは、オフィスの占有を検出するために使用されてもよく、これは、オフィスを管理するために、例えば、空いているオフィスの使用を提案する、又はオフィスの占有を経時的にレポートするために使用されてもよい。
【0029】
図1aに示されるモーションディテクタ100は、モーションセンサ110を含むが、これは必須ではない。モーションディテクタ100は、外部モーションセンサを使用してもよい。信号処理の一部は、外部モーションセンサで行われてもよく、モーションディテクタ自体で行われてもよい。一実施形態では、モーションセンサ110は、モーションディテクタ100の一体部分であってもよい。モーションセンサ110は、モーションディテクタのためのセンサ信号を生成するように構成される。
【0030】
モーションセンサには様々な選択肢がある。例えば、モーションセンサ110は、ドップラーモーションセンサ、マイクロ波センサ、又は周囲光センサ等であってもよい。動機を与える例として、以下の実施形態は、ドップラーセンサについて述べられる。しかしながら、モーションディテクタは、ノイズ、特にハムタイプのノイズが問題となる任意のモーションセンサと組み合わされてもよいことに留意されたい。
【0031】
一実施形態では、モーションセンサ110は、センサ112及び処理ユニット114を含んでもよい。処理ユニット114は、信号がモーションディテクタ100の残りの部分によってさらに処理される前に前処理を実行してもよい。処理ユニット114は任意である。
【0032】
例えば、一実施形態では、モーションセンサ110は、ドップラー式であってもよい。例えば、ドップラーセンサは、ドップラー原理によって移動物体の動き又は速さを検出するように構成されてもよい。センサ112は、信号、例えば、マイクロ波信号を送信するように構成されてもよい。例えば、送信信号は、5~20Ghzの周波数を有してもよく、より低い又はより高いことも可能である。センサ112は、戻る信号を受信するように構成されてもよい。周波数信号のシフトは、送信信号を反射した移動物体のセンサに対する速さに関連する。例えば、ドップラーセンサにおける処理の1つのやり方は、送信信号及び受信信号の積を計算し、乗算された信号にローパスフィルタを適用することである。結果としての信号が周波数シフトを含むことは幾何学的関数で示されることができる。例えば、処理ユニット114は、送信信号及び受信信号を乗算し、ローパスフィルタを適用するように構成されてもよい。
【0033】
結果としての信号は、モーションディテクタ100の信号入力120に提供される。例えば、信号入力120は、内部入力であってもよい。また、信号入力120は、入力ポート、例えば、電子入力ポート、又はデジタル入力ポート、例えば、API等であってもよい。例えば、一実施形態では、信号入力120で受けるモーションセンサ110のセンサ信号は、周波数成分がドップラーシフトに対応する、斯くしてセンサ110の周囲のエリアにおける物体の速度に対応する信号であってもよい。一実施形態では、信号は、周囲エリアにおいて物体から反射された受信信号である。後者の場合、さらなるドップラー処理が、信号入力で信号を受けた後に実行されてもよい。
【0034】
モーションディテクタ100は、周波数領域コンバータ130、ノイズ検出ユニット140、及びモーションディテクタ150を含む。周波数領域コンバータ130は、受信信号を時間領域から周波数領域に変換する。例えば、コンバータ130は、フーリエ変換を実行してもよい。例えば、コンバータ130は、離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier transform)を実行してもよい。必要に応じて、コンバータ130は、例えば周波数領域への変換を実行する前に、まず、アナログからデジタルへの変換、例えば、ADD変換を実行してもよい。
【0035】
一実施形態では、受信信号は、部分、例えば、所定の数の時間領域サンプルを有する部分に分割される(portioned)。これらの部分の各々で、周波数変換が実行されてもよい。その結果、いわゆる周波数ビンが得られる。周波数ビンは、受信信号に存在する周波数の範囲の大きさ(magnitude)である。例えば、1つの周波数ビンは、40~42Hzの周波数範囲を表し得る。周波数ビンに対応する周波数範囲は、例えば、約2Hz、又はそれ以上、又はそれ以下、例えば0.5~5Hzの範囲内であってもよい。大きさは、振幅の絶対値としてもよい。
【0036】
例えば、周波数変換は、所定の数の時間領域サンプルが得られた後に毎回実行されてもよい。例えば、24個の時間領域サンプルごとに、周波数領域変換が実行されてもよい。その結果、周波数ビンは、経時的な進化(evolution)を示し、周波数ビンの増大(increase)、例えば、特定の周波数範囲の大きさの増大は、センサの周囲のエリアにおける特定の速度の増加に対応し得る。周波数ビンの増大は、当該エリアにおける動きを示し得る。ハイパスフィルタ若しくはローパスフィルタ、又は両方が、使用に適するには高すぎる又は低すぎる周波数を除去するために、信号、又はビンに適用されてもよい。
【0037】
例えば、一実施形態では、動き検出アルゴリズムが、環境条件の現在の状態が静であるか、動であるかを判断する。この状態を判断するために、例えばドップラーモーションセンサからのサンプルが前処理され、その後、例えば、フーリエ変換、例えばFFT、DFT等を使用して、周波数エリアに変換される。例えばビンの閾値と比較して、高い大きさを有する各ビンについて、当該ビンは、動きを見たと言われてもよい。例えば、動きアルゴリズムの各実行について、動きをコールする(call)各周波数ビンは、ハム条件についてチェックされてもよい。しかしながら、ハムとして識別されない、動きをコールする他の周波数ビンは、依然として動きをコールすることに貢献し得る。斯くして、いくつかのビンにハム条件が存在する場合でも、真の動きが、動きコール(motion call)をトリガするであろう。一実施形態では、モーションディテクタは、各タイムスライスについて、動きを示す可能性がある、増大した大きさについてすべての周波数ビンをチェックしてもよい。
【0038】
時間領域から周波数領域への変換後、動きが、ノイズ検出ユニット140によって、周波数ビンから、例えば、周波数範囲の大きさから検出される。
【0039】
例えば、ノイズ検出ユニット140は、増大した大きさを有する周波数ビンを識別するように構成されてもよい。例えば、ある閾値よりも高い大きさが検出されてもよい。閾値は、予め定められてもよい。例えば、経時的に増大している大きさが検出されてもよい。周波数ビンの高い値は、対応する速度を有する大きな又は多くの物体に対応する可能性がある。しかしながら、増大した大きさを有する周波数ビンは、ノイズに起因する可能性もある。すべてのビンに対して1つ又はいくつかの閾値があってもよく、又は、各ビンに閾値があってもよく、その他であってもよい。
【0040】
例えば、ノイズ検出ユニット140は、識別された周波数ビンが、環境内の動き源に対応するか、環境内のノイズ源に対応するかを推定するように構成されてもよい。
【0041】
モーションセンサ、とりわけ、ドップラー式のモーションセンサで問題となるのは、ハムノイズと呼ばれる、ノイズのタイプである。ハムノイズ源は、ある周波数ビンにおいて上昇した信号(elevated signal)を、しばしば断続的にもたらす。ハムノイズは、例えば、照明器具内部のドライバ又は外部デバイスによってもたらされる、振動によってもたらされる可能性がある。ハムノイズは、T-LED器具に存在するラメラ光学系等の環境内の機械的構造物によってもたらされる可能性もある。ハムノイズは、例えば数ヘルツ付近の帯域幅を持つ、1つ又は2つの隣接する周波数ビンに局在する傾向があるが、ハムノイズは、場合によっては3つ以上のビンにまたがる可能性もある。
【0042】
信号の断続的な性質は、動きコールにフォールスポジティブをもたらし得る。例えば、電子ドライバ又はラメラ光学系等のハムノイズ源は、特定の周波数ビンの増大をもたらす可能性がある。これは、センサの周囲のエリアにおける動きとして解釈される可能性があるが、実際にはハムノイズに起因するに過ぎない。
【0043】
モーションディテクタ150は、環境を静又は動として分類するように構成される。例えば、モーションディテクタ150は、ノイズ源、とりわけ、ハムノイズ源に属すると推定されない周波数ビンに基づいて決定を行ってもよい。例えば、モーションディテクタ150は、動き源に属すると推定される周波数ビンに基づいて決定を行ってもよい。例えば、いくつかの周波数ビンは、動き源に対応するものと識別されてもよく、これは、増大した大きさを有し、ノイズであると推定されないビンであってもよく、又は、これは、何らかのさらなる認識ステップを伴ってもよい。
【0044】
モーションディテクタ150が分類を行うことができるやり方は様々である。例えば、アプリケーションに依存して、モーションディテクタは、小さな動きを検出するように構成されてもよく、又はそうでなくてもよい。例えば、オフィスの照明制御に使用されるモーションディテクタは、例えば、タイピング等の動きを検出するために、動きに対する低い閾値を有するように構成されてもよい。例えば、廊下の照明制御に使用されるモーションディテクタは、例えば、歩行等の大きな動きを検出するために、動きに対するより大きな閾値を有するように構成されてもよい。これは、第1のケースでは、タイピング等の小さな動きを期待して占有者が相対的に動かない場合にライトが消灯してしまうこと、第2のケースでは、廊下のライトがフォールスポジティブに起因して容易に点灯してしまうことを回避する。
【0045】
例えば、モーションディテクタ150は、動き源に対応すると推定される周波数ビンのエネルギを決定するように構成されてもよく、決定されたエネルギが閾値を超えた場合、環境は動として分類されてもよい。例えば、エネルギは、周波数ビンを二乗し、加算することによって計算されてもよい。例えば、エネルギは、重み付けされたエネルギであってもよい。例えば、歩行に対応する周波数は、そうではない周波数よりも高い重みが与えられてもよい。動きに対応する(例えば、ノイズに対応しない)ビンのエネルギ又は重み付けされたエネルギが閾値を超える場合、当該エリアは、動に分類される。そうでない場合は、当該エリアは、静として分類されてもよい。閾値及び/又は重み付けを調整する(tune)ことにより、モーションディテクタの感度は、アプリケーションに望ましいように調整されてもよい。これは、経験的に(empirically)行われることができる。
【0046】
ビンがノイズに対応することが推定されることができるやり方はさまざまである。これは、周波数対時間図(frequency versus time diagram)を用いて説明され得る。図4は、周波数対時間図の実施形態の一例を概略的に示している。最初に、例えば図5に示されるような信号が、例えば、信号入力120として受信される。図5では、すでにドップラー処理、例えば、ローパスフィルタが後に続く、受信波形及び送信波形の乗算が行われている。図5は、横軸に、時間を、受信した時間領域サンプル数の形態で示している。縦軸には、サンプル値が示されている。図4の図を得るために、時間サンプルは、例えば、24サンプル間隔に分割され、これは、タイムスライスとも呼ばれる。各間隔は、時点(time point)に対応すると言われてもよい。時点ごとに、例えば、24個の時間領域サンプルごとに、周波数変換が行われ、これは、複数の周波数ビンを生じさせる。例えば、DFT変換が行われてもよい。時点の真上の縦棒において、図4は、特定の周波数ビンの大きさをグレイの強度として示している。これらの図で色の薄いピクセルは、横軸に示される時点及び縦軸に示される周波数ビンにおいてより高い大きさに対応している。図2は、ノイズ検出ユニット140の一実施形態を説明するために、例えば図4に示されるタイプの、周波数対時間図の実施形態の一例を概略的に示している。
【0047】
概略図である図2は、周波数軸201及び時間軸202を示している。特定の時点、例えば、時点203において、増大した大きさを有する周波数ビン210が検出される。例えば、時点203において、ノイズ検出ユニット140は、周波数204において、大きさが増大している、例えば、時点203の前と比較して大きくなっている、又は、ある所定の閾値よりも大きいと判断してもよい。周波数ビン210は、図2から分かるように、ボックス210が水平方向に延びているので、しばらくの間、増大したままである。
【0048】
周波数ビン210の上昇した大きさ(elevated magnitude)は、特に上昇がしばらく続く場合には、動きを示す可能性があるが、ハムタイプのノイズに起因する可能性もある。周波数ビン210を増加したと識別した後、ノイズ検出ユニット140は、識別された周波数ビンを近傍の周波数からノイズに起因すると推定してもよい。近傍の周波数ビン(near frequency bin)は、識別されたビンに近いが、近すぎではない。例えば、周波数ビンは、近傍の周波数ビンと識別された周波数ビンとの間の周波数差が上側の周波数閾値より下であり、下側の周波数閾値より上である場合に近傍である。閾値は、とりわけ、ドップラーセンサの周波数に応じて決定され、5.8Ghzのセンサは、10Ghzのセンサとは異なる閾値を持つことになる。一例として、5.8Ghzのセンサについて、ビンは、約1~2Hzの幅としてもよい。下側の周波数閾値は、約2~4Hzとしてもよく、上側の周波数閾値は、約5~10Hzとしてもよい。例えば、4Hzの下側の閾値及び10Hzの上側の閾値が用いられてもよい。
【0049】
図2では、近傍の周波数ビンは、より高い周波数を有する232及びより低い周波数を有する234として示されている。図2は、近傍の周波数と識別された周波数210との間に、隣接する周波数、すなわち、より高い隣接する周波数222及びより低い隣接する周波数224があることを示していることに留意されたい。識別されたビン210に直に隣接する1つのビン、ビン212が別個に描かれており、以下でさらに述べられる。
【0050】
興味深いことに、識別された周波数210は、近傍の周波数232及び234が増大した大きさを示さない場合、ノイズに起因することが推定される。これは、実際の動きが、典型的には、例えば増大した速度を表す、多数の周波数ビンにおける増大した大きさをもたらすために機能する。例えば、ビン210を中心とする速度を有する実際の動きは、ビン232、222、210、224、及び234のすべて又はほとんどで増大した大きさを示す可能性がある。ハムに起因する大きさの増大は、ビン210、及び恐らくはそれに非常に近いいくつかのビンにおいてのみ増大をもたらす。ビン210における増大した大きさが、近傍のビンにおける増大した大きさを伴わないことを検出することにより、ノイズに起因するビンが検出されることができる。この分析のために隣接するビン222、224を無視することにより、ノイズに起因するビンが、その大きさが隣接するビンにリークするとしても、そのように分類されることがないことが回避される。隣接するビン222及び224のための正しい帯域幅は、特定のセンサについてハムノイズが典型的にどのくらいの幅があるかを測定することによって決定されてもよい。
【0051】
周波数ビンがノイズに起因するビンであると推定されると、他のビンもそのように分類されてもよい。例えば、ビン210がノイズに起因するビンとして識別されるとする。例えば、これは、近傍のビン232も近傍のビン234も増大した大きさを示さないために生じ得る。また、隣接するビンであるが、近傍のビンではないビン212も増大した大きさを示しているとする。この状況では、ビン212も、ノイズビンとして分類されることができる。恐らくは、ハムのエネルギの一部が、2つの隣接するビン、ビン210及び212に現れている。これらの追加の分類は、隣接するビン、例えば、範囲222及び224内のビン、例えば、ビン210との周波数差が下側の閾値よりも小さいビンに対して行われてもよい。
【0052】
しかしながら、より厳格な基準が確立されてもよく、例えば、ビン212を分類するために、さらに低い閾値、例えば、下側の閾値よりも低い閾値が使用されてもよい。これは、ビンをノイズとして推定する場合に隣接するビンは無視されるが、それらのすべてのビンが自動的にノイズとして推定されず、ビン210にさらに近いビンのみがノイズとして推定されることを意味する。また、隣接するビンは、すぐ隣接するビンである、又はビン210と隣接するビンとの間にあるいずれのビンも増大した大きさを有する場合にのみ、ビン210の分類に基づいてノイズに起因すると分類されることを必要としてもよい。これは、1つ以上の隣接するビンにリークするハムエネルギは、典型的には、いずれのビンもスキップしないために機能する。
【0053】
ビンをノイズに起因すると推定することに加えて、ビンは、動きに起因すると分類されてもよい。例えば、ビンがノイズに起因すると識別されると、ノイズに起因せず、増大した大きさを有するいずれのビンも、動きに起因すると推定されてもよい。しかしながら、これは、以下の基準を用いて改善されることができる。例えば、ビンは、増大した大きさを有し、ノイズに起因すると推定されない増大した大きさを示す近傍のビンを有する場合に動きに起因すると推定されてもよい。
【0054】
例えば、ビン210が動きに起因するか否かを考えるとする。ビン210が増大した大きさを有し、ビン232又は234の少なくとも1つのビンが増大した大きさを有し、ノイズに起因すると推定されなかった場合、ビン210は、動きに起因すると分類される。
【0055】
図3aは、周波数ビンの実施形態の一例を概略的に示している。図3aは、多数の周波数ビンを小さな正方形として示している。各周波数ビンは、モーションディテクタ100のメモリに実装されてもよい。図3aにおいて、周波数ビンは、対応する周波数帯域幅も隣接する場合、隣接する正方形として示されている。周波数ビンは、当該周波数ビンに対して得られた大きさを格納する。また、周波数ビンは、当該周波数ビンについて得られた1つ以上の過去の大きさを格納してもよい。図3bは、周波数ビン分類の実施形態の一例を概略的に示している。例えば、分類は、ノイズに起因する(noise-caused)又は動きに起因する(motion-caused)であってもよい。また、分類は、不明(unknown)であってもよく、又は増大していない(not-increased)でもよい。
【0056】
例えば、モーションディテクタ100、例えば、ノイズ検出ユニット140は、周波数ビンの各々を考慮してもよい。例えば、ビン310を考慮する場合、いくつかの隣接するビン、この場合は2つの隣接するビン、この場合はビン322及び324は無視されてもよい。ビン310が増大した大きさを有し、近傍のビン332及び334のいずれも増大した大きさを有さない場合、ビン310は、ノイズに起因すると分類されてもよい。これは、ビン310に対応する分類(classification)341に登録されてもよい。
【0057】
さらなる例が、図3cに関連して与えられている。例えば図3aに関するが、縦方向に整列されている多数の周波数ビンが示されている。増大した大きさを有する周波数ビンは、スペックルパターンで満たされ、参照文字が設けられている。このパターンを考えると、モーションディテクタ100、例えば、ノイズディテクタ140は、以下の分析を行ってもよい。図3aに示されているのと同じ閾値、例えば、2つの隣接するビン、及び3つの近接するビンが両側で使用される。ビンAは、近傍のビンが上昇していないため、ノイズに起因するとマークされてもよい。この場合、ビンBも、ビンBについて近傍のアクティブなビンCがあるが、ビンAに隣接するため、ノイズに起因するとマークされてもよい。この場合、ビンCは、動きとして分類されなくてもよい。ビンCは、上昇している近傍のビン、ビンBを有するが、ビンBは、ノイズに起因すると推定される。したがって、ビンCは、不明と分類されてもよい。これはフォールスポジティブ(false positive)とフォールスネガティブ(false negative)との間のトレードオフに影響することを理解した上で、代わりにビンCをノイズとして分類してもよい。ビンDは、近傍の増大したビン、ビンGを有するため、動きとして分類されてもよい。同様に、ビンGは、動きとして分類されてもよい。ビンE及びFは、近傍のアクティブなビンを有さないのでこのルールに従ってノイズに起因すると分類されてもよい。一実施形態では、これらのビンは、隣接し、動きに分類されたビンの間にあるため、動きとして分類されてもよい。例えば、ビンE及びFは、増大した大きさのビンのシーケンスの一部であり、そのうちの少なくとも1つが動きとして分類されることに基づいて、動きとして分類されてもよい。この場合も、このようなルールは、ディテクタの感度に影響する。ビンE及びFが動きとして分類されることは必須ではなく、たとえその可能性があっても、動きは、ビンD及びGに基づいて(少なくとも、動きの他の要件(例えば、これらのビンの十分なエネルギ)を満たすと仮定して)検出されることができることに留意されたい。
【0058】
一実施形態では、5.8Ghzのセンサが、1スライスあたり24個の時間サンプル、両側に2つの隣接するビン、続いて両側に3つの近傍のビンと組み合わされる。
【0059】
図3dは、動き検出方法の実施形態の一例を概略的に示している。図3dには、以下が示されている。
【0060】
信号を受信し、周波数領域変換を実行する(350)。
【0061】
アクティブなビン、すなわち、当該ビンに対するベースラインと比較して増大した大きさを有するすべてのビンを識別する(360)。
【0062】
アクティブなビンをノイズに起因するビンとして推定する(370)。例えば、これは、近傍のアクティブなビンを有さないアクティブなビンを見つける(372)ことを含んでもよい。隣接はカウントしないことに留意されたい。このようなビンは、ノイズに起因すると推定される。ノイズと推定されたビンに隣接するアクティブなビンもノイズに起因すると推定する(374)。ビンを当該ビンの履歴に基づいてノイズに起因するビンとして推定する(376)。以下をさらに参照。
【0063】
アクティブなビンを動きに起因するビンとして推定する(380)。例えば、これは、ノイズに起因すると推定されない近傍のアクティブなビンを有するアクティブなビンを見つける(382)ことを含んでもよい。
【0064】
動きに起因すると推定されるビンから動きを推定する(390)。例えば、動きに起因するビンのエネルギを計算することによって。これは、例えば、ある速度、例えば、歩行速度を強調するために、重み付けされた平均であってもよい。図3dに示される方法の一部は任意である、又は変更されてもよい。例えば、要素374及び/又は376は、省略等されてもよい。
【0065】
ノイズフィルタは、例えば複数日にわたり、履歴振動を追跡することができる。振動をよく受けるビンは、動き検出分析から完全に除かれることができる。斯くして、履歴を使用する2つの異なるタイプが識別される。例えば、持続的なノイズ源(persistent noise source)としてほぼ連続したハム(near continuous hum)を分類することを要することにより、短期的な履歴(Short term history)が使用されることができる。長期的な履歴(Long term history)が使用されてもよく、これは、より長いタイムフレーム、例えば、1日を使用してもよいが、より持続性が低いハム(less persistent hum)、例えば、80%、50%以上等を必要としてもよい。
【0066】
モーションディテクタ100、例えば、ノイズディテクタ140は、周波数ビンに対する推定された分類の履歴を記憶してもよい。ビンが、しばらくの間、例えば、過去1秒のうち少なくとも95%の間、一貫してノイズに起因すると分類された場合、該ビンは、ノイズに起因するとマークされてもよい。閾値95%及び1秒は変更されてもよい。ノイズに起因するとマークされたビンは、ノイズが推定されたものとして扱われてもよい。例えば、そのようなビンの増大した大きさは、他のビンを動きに起因すると分類するのに役立たなくてもよい。ビンがノイズに起因するとマークされると、該ビンは、マークを解除(unmark)されることができる。例えば、マークされたビンが一貫してノイズとして分類されず、例えば、動きとして、又は不明として分類される場合、マークされたビンは、マークを解除されてもよい。例えば、マークされたビンが、例えば、過去1秒のうち少なくとも95%の間、ノイズに起因すると推定されない場合、該ビンは、マークを解除されてもよい。また、ビンは、他の原因、例えば、システムのリセット等のためにマークを解除されてもよい。
【0067】
一貫性のある分類(consistent classification)は、短い時間間隔でもうまく機能することがわかる。このため、この規則は、短期的なメモリ(short-term memory)と呼ばれる。例えば、図1aのモーションディテクタ100は、短期的なメモリ162及び長期的なメモリ164を含む履歴ユニット160を含んでもよい。例えば、短期的なメモリは、短い過去の期間、例えば、過去1秒、又は過去5秒、又はそれ以上等の分類を記憶してもよい。長期的なメモリは、より長い過去の期間、例えば、数時間、1日等にわたる分類を記憶してもよい。例えば、周波数ビンは、当該ビンがさらなる時間期間にわたる時間のあるパーセンテージ、例えば、少なくとも1日にわたる時間の少なくとも80%でノイズに起因すると分類される場合、ノイズに起因するビンとしてマークされてもよい。短期的なメモリ及び長期的なメモリは組み合わされてもよい。ストレージ160は、電子メモリ、例えばフラッシュメモリ、揮発性メモリ、又は磁気メモリ、例えばハードディスク等として実装されてもよい。
【0068】
長期的な履歴を記憶する代わりに、センサは、ビンがノイズに起因すると分類された頻度を示す和を保持してもよい。このようにして、ビンがノイズに起因すると分類された時間の平均部分が、センサの寿命、又はセンサがリセットされてからの寿命等にわたり計算されることができる。平均が十分に高い、例えば、85%以上、50%以上等である場合、該ビンは、ノイズに起因するとマークされてもよい。このようにして、長期的な履歴がデバイスに記憶される必要はない。
【0069】
周波数ビンのはずれ(edge)、例えば、より高いビン及びより低いビンにおいて、何らかの特別な配慮が必要とされてもよい。例えば、ルールが参照する近傍の又は隣接するビンが存在しない場合がある。これらの場合、ビン又は参照されるべきビンは無視されてもよい。また、本発明者らは、周波数の下端(lower end)において、センサは信頼性が低い場合が多いことを見出した。一実施形態では、周波数フロア(frequency floor)(すなわち、下回る周波数ビンは常にノイズに起因すると推定される上限の周波数値)を下回る周波数ビンは、ノイズに起因すると推定される。例えば、5.8Ghzのセンサの場合、ノイズ周波数フロアは、9.3Hzより小さくてもよい。これらの低い周波数は、より多くのスプリアス信号を有し、それゆえ信頼性及び一貫性に欠けることがわかっている。他のセンサモダリティの場合、この値は比例して変化する。例えば、ドップラーセンサの場合、このカットオフ周波数はセンサの周波数に応じて増加する。したがって、近くの増大したビンは、これらの非常に低い周波数における増大した大きさに基づいて動きとして分類されない。
【0070】
モーションディテクタ100等のノイズフィルタリングを備えるモーションディテクタは、動き信号を無視する、例えば、真の動きをノイズに起因すると間違えるリスクがある。本明細書で指摘されるように、論じられる様々なパラメータは、このようなことが起こる可能性を増加又は減少させるように調整されることができる。本発明者らは、照明器具170又は照明システム171等の照明において、真の動きをノイズと間違えることは、人が実際に存在する場合により深刻な影響を及ぼすことを見出した。一実施形態では、これは、人が存在する場合、例えば発光要素がオンされている場合、ノイズリダクションを抑制することにより回避されることができる。ノイズリダクションは、まとめて(all together)オフにされることができる、又は、異なるトレードオフが、そのパラメータを変える、例えば、近傍のビンの数を増加させる、及び/若しくは、隣接するビンの数を減少させることによって構成(configure)されることができる。
【0071】
ライトがオンである場合、これは、検出エリアに人がいることを暗示する。ノイズフィルタが動き信号をノイズとして検出し、それを除去する場合、これは、ライトはすぐにスイッチオフしなくてもよいのですぐに深刻な影響をもたらさない可能性がある。ライトは、動きを検出した後しばらくの間オンのままであるように構成されてもよい。システムは動きを探し続け、スイッチオフする前の設定時間間隔内に少なくとも1つの動きを確認した場合、フォールスネガティブの過去の間違いは、影響が目に見えないためシステムレベルでは観察されない。しかしながら、前記設定時間間隔内に他の動きが確認されなかった場合、ライトは最終的にスイッチオフし、不快な挙動(unpleasant behavior)をもたらす。
【0072】
典型的には、モーションディテクタ100、照明器具170、171、照明コントローラ175は各々、これらのデバイスに記憶される適切なソフトウェアを実行するマイクロプロセッサを含み、例えば、当該ソフトウェアは、対応するメモリ、例えば、RAM等の揮発性メモリ又はフラッシュ等の不揮発性メモリにダウンロード及び/又は記憶されていてもよい。代替的に、デバイスは、全体的に又は部分的に、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field-programmable gate array)として、プログラマブルロジックで実装されてもよい。デバイスは、全体的に又は部分的に、いわゆる特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)、例えば、それらの特定の使用のためにカスタマイズされた集積回路(IC)として実装されてもよい。例えば、回路は、Verilog(登録商標)、VHDL等のハードウェア記述言語を使用して、CMOSで実装されてもよい。
【0073】
一実施形態では、モーションディテクタは、1つ以上の電子回路を含む。回路は、本明細書で述べられる対応するユニットを実装する。回路は、プロセッサ回路及び記憶回路であって、プロセッサ回路は、記憶回路内で電子的に表される命令を実行してもよい。プロセッサ回路は、例えば複数のサブプロセッサ回路として、分散方式で実装されてもよい。ストレージは、複数の分散型サブストレージに分散されてもよい。メモリの一部又は全ては、電子メモリ、磁気メモリ等であってもよい。例えば、ストレージは、揮発性及び不揮発性部分を有してもよい。ストレージの一部は、読み出し専用であってもよい。
【0074】
モーションセンサの課題は、フォールスポジティブを有さないこと、すなわち、ハム/振動等の非動き信号の場合に誤ったトリガを有さないことであるが、これは非常によくある。本発明者らは、動き検出のためのモーションセンサの稼働中に、突然の振動が周波数領域で見られ、これは、例えば、数ヘルツ程度の帯域幅を有する、1つ又は2つの隣接する周波数ビンにより局在する傾向があることを確認した。このような振動は、一般的に、少なくとも数秒から時には数分又は数時間一貫して存在する。このような振動は、より局在するのでハムと呼ばれる。対照的に、動き信号は、周波数スペクトルがかなり広く、したがって、この特性が、動き信号に対してハム信号の突然の始まり(sudden starting)を分離するために使用されることができる。
【0075】
上述したように、ノイズ源は、ある周波数ビンにおいて断続的な上昇した信号をもたらし得る。信号の断続的な性質は、動きコールにフォールスポジティブをもたらし得る。この問題は、ノイズ、とりわけ、ハムタイプのノイズの影響を受けている可能性のある周波数ビンを識別する、ノイズ検出ユニット140を用いて対処されてもよい。このようなビンを動き検出の検討対象から除外することは、ノイズフィルタとして機能する。ハムディテクタは、ハム条件を経験している周波数ビンを識別し、動きをコールすることに対するこれらの貢献を除去する、動きアルゴリズムのためのフィルタリング拡張(filtering enhancement)として実装されてもよい。追加の信号処理は、ハム又は振動を検出し、ハム又は振動の大半を占めることが分かった。それゆえ、これらは、動きとして分類されない。
【0076】
一実施形態では、各ターゲットビンが、ハムについて、例えば、すぐ隣接するビンではなく、近傍のビンが動き信号を示すかどうかを判断することによってチェックされる。信号が見られれば、このターゲットビンはハムではない可能性がより高く、したがって動きとして正しく分類されることになる。これら隣接するビンに信号が見られない場合、このターゲットビンは、ハムとして分類されてもよい。
【0077】
このアルゴリズムは、多くのハム信号を検出することができるが、2つ以上のハムが近くの周波数ビンで観測される場合、ハムを検出し損なう可能性がある。図4は、周波数対時間図の実施形態の一例を示している。図4は、20~40Hzの範囲内で、しばらくの後に始まる複数のハムを示している。2つのハムタイプのノイズ信号は、ハム410及び411である。複数のハムは、必ずしも同じ瞬間に始まるとは限らない。ハム411は2つの周波数ビンにリークしているが、これらは、相殺(cancel each other out)しない程度に近いまま(隣接ビン)であることに留意されたい。しかしながら、2つの近くのハムは、隣接せず、近傍の周波数ビン閾値も超えない場合に相殺し得る。例えば、周波数ビン410を考慮した場合、411におけるハムは、ハム410が動きに対応する証拠だと誤って見なされる可能性がある。しかしながら、図4ではそうではない。これは、410は411から遠く離れており、(ビン解像度(bin resolution)を踏まえると)411の近傍のビン領域にはなく、ゆえに別個に扱われ、411を相殺しない(逆もまた同様である(vice versa))からである。ビン解像度は小さいので、410と411との間にはいくつかのビンがある。
【0078】
複数のハムの問題は、動きの存在を検証するために考慮するビンの数を調整することによって対処されてもよい。例えば、現在ハムについてチェックされているターゲットビンから離れ過ぎている動き信号をチェックしないことが有利であることが分かった。これは、近くにある他のハムがターゲットビンを動きとして分類させる可能性があるからである。例えば、一実施形態では、動き信号のチェックは、ターゲットビンの上の5つのビンと、下の5つのビンで、隣接する±2つのビンを除いて行われる。5.8GHzのセンサでは、2Hzのビンを使用した場合、これらのパラメータは、5つのビンの代わりに6つのビンを使用した場合よりも性能が良いことが分かった。
【0079】
一般に、周波数fを有するセンサの場合、デバイスは、0.25m/sより小さいΔvの広がり(spread)に対応する励起された周波数領域の振幅(excited frequency domain amplitud)を無視するように構成されてもよい。関係
を使用してもよい。ここで、cは光の速さであり、fはセンサの周波数であり、Δfは無視される励起振幅(excited amplitud)の上限を表している。例えば、5.8GHzのセンサの場合、Δfは、9.7Hz付近にしてもよい。時間領域信号が240Hzでサンプリングされ、ゆえに128ポイントのFFTを用いて解析される場合、9.7Hzは5つの周波数ビンにほぼ対応することが分かるであろう。5つのビン又はそれ以下を網羅する励起振幅はノイズに起因し得、ゆえに動き計算で無視されることができる。
【0080】
ビンがノイズとして識別されると、隣接するビンは、動きとしての検討対象から除外されてもよく、ましてはそれ自体ノイズとしてマークされてもよい。例えば、これは、隣接する±2つのビンに対して行われてもよい。
【0081】
互いに非常に近い2つのハムが、互いに動き信号として認識するリスクが残っている。これには、ハム履歴を使用して対処される。以前に識別されたハムがあり、その付近で新しいハムが始まる場合、動き信号のチェックは、その履歴情報を見て、過去のハム信号を無視する。例えば、ハム履歴推定は、ハムビン状態の連続的な変化、例えば、ノイズに起因するとの連続的な変化をチェックすることによってなされてもよい。例えば、過去1秒間のノイズとしての連続的な分類である。そのような変化が決定される場合、ハム履歴フラグが、当該ビンに設定されてもよい。履歴フラグが設定されると、当該ビンは、ビンを動きとして分類するために無視される。1秒の期間は、構成可能(configurable)であってもよい。ハム履歴フラグは、構成可能な期間の後に、例えば、正又は負のハム履歴フラグ判定に向けて変更されてもよい。一実施形態では、期間は400msとする。
【0082】
履歴は、より長い期間、例えば、1時間以上の期間、又は1日以上の期間等にかけて使用されることもできる。例えば、ノイズ検出ユニットは、履歴ノイズ分類を記憶するように構成されてもよい。振動をよく受けるビンは、動き検出分析から完全に除かれることができる。
【0083】
非常に低いビン、例えば5.8Ghzのセンサでは9.3Hzより小さいビンは、より多くのスプリアス信号を有し、それゆえハム検出に向けての信頼性及び一貫性に欠けるため、例えば動き分類及び/又は動き検出のために、無視されてもよい。
【0084】
一実施形態では、ハムチェック(hum checking)は、5.8GHzのセンサの場合、9.3Hzより大きい各周波数ビンについて開始される。これは、例えば10Hzでハムチェックを開始することによって、近似されてもよい。ターゲットビンは、ハムについてチェックされているターゲットビンを中心に、隣接するビン、例えば、隣接する±2つのビンを除く、複数のビン、例えば、±5つのビンに及ぶ近傍のビンにおける信号についてチェックされる。一実施形態では、近傍のビンで増大した大きさが見られる場合、このビンがハム履歴フラグ設定を有していないこと、例えば、ハムビンとして履歴的に認識されていないことが検証される。このビンがハムビンであった場合、この動きインジケータをハムとして無視し、ターゲットビンの周りの他のビンをチェックする。
【0085】
残りの近傍のビンのいずれにおいても増大した大きさが決定されない場合、ターゲットビンは、ハム信号であると決定され、ハム履歴情報が追加されてもよい。アルゴリズムのこの実行サイクルでは、ターゲットビンはハム信号とみなされ、その出力は無視されたが、アルゴリズムの次の実行サイクルでは、何らかの他のターゲットビンに対して、このビンは近傍のビンである可能性があり、ハム履歴フラグ設定を有さないであろう。しかしながら、ある時点で、ビンが要件、例えば十分に長い時間十分に持続するハム、を満たす場合、ハム履歴フラグが設定されてもよい。例えば、一実施形態では、ターゲットビンについて連続した、例えば、少なくとも0.2秒、少なくとも0.4秒、少なくとも1秒のハムの検出がある場合、ハム履歴フラグが設定されてもよい。ハム履歴フラグがセットされない(unset)ためには、ノイズではないとの同様の期間の同様の持続する分類があってもよい。
【0086】
さらに、上記で定義されたメカニズムに基づいてターゲットビンがハムと認識される場合、アルゴリズムは、隣接するビン、例えば±2つのビンにおける増大した大きさについてチェックしてもよい。そのような信号がある場合、これらは、ハムテール(hum-tail)として動き検出の決定プロセスから無視される。
【0087】
ハムディテクタのパラメータは慎重に調整されることができるが、ハムフィルタが動きイベントを振動として識別するリスクは常にある。これは、人間がオフィスで机に向かって行う動き等の小さな動きのためにとりわけ重要である。この問題を回避するために、人が存在する場合、ハムフィルタはオフにされることができる。この態様を組み込む1つの方法は、ライトがオフである場合にハムフィルタをアクティブにし、ライトがオンである場合にハムフィルタをオフにすることである。
【0088】
振動は、T-LED器具に存在するラメラ光学系等の環境内の機械的構造物に起因することがよくある。これらの振動は、同じシグネチャ(signature)を持つことがよくある。このため、ハムディテクタは、よく似た振動に対処する必要がある。ハム検出器がこれらをフィルタリングする瞬間的な能力に頼る代わりに、ハムディテクタは、ある時点で、例えば、振動が十分な頻度で現れた場合に、振動に関連する問題を経験した周波数ビンを完全に無視してもよい。
【0089】
ハム履歴が、より高い精度でハムを識別するために使用されることができる。動き検出アルゴリズムは、あるレートで、例えば反復的に、例えば100msごとに、モーションディテクタが動き/動きなしを報告するように実行されることができる。動き信号が観察される場合、これを直ちに報告する必要はないことがよくある。一実施形態では、観測された信号を報告する前に、複数の反復、例えば、400msであってもよい4つの反復である。これは、動き信号のフォールスポジティブの可能性を減らす。ハムは、ほぼ瞬間的に始まるが、始まった後はほとんど変化しない。これは、ハムの履歴もほとんど変化しないことを意味する。数フレームの時間があるので、この時間を使ってハム履歴の変化を監視することができる。これらの変化が閾値を下回る場合、より確信的に信号を振動と認識し、動きではないと報告することができる。履歴がある閾値を超える変化を有する場合、動きを報告することができる。
【0090】
当該ノイズ検出は、時間的に変化するセンサ信号を利用するあらゆるプロダクトに使用されることができる。例えば、当該ノイズ検出は、ドップラーモーションセンサに有効であることが分かった。また、当該ノイズ検出は、異なるタイプのセンサにも使用されることができる。例えば、周囲光センサは、振動ノイズ、電気ノイズ等、同様のノイズ源に悩まされる。
【0091】
図6は、動き検出方法700の実施形態の一例を概略的に示している。動き検出方法700は、
- モーションセンサのセンサ信号を受ける(710)ことと、
- センサ信号を周波数領域に変換し、複数の周波数ビンを得る(720)ことと、
- 増大した大きさを有する周波数ビンを識別する(730)ことと、
- 識別された周波数ビンが環境内の動き源に対応するか、環境内のノイズ源に対応するかを推定する(740)ことと、
- 動き源に対応すると推定される識別された周波数ビンから、環境が静として分類されるか、動として分類されるかを判断する(750)ことと、
を含む。
【0092】
当業者には明らかとなるように、本方法を実行する多くの異なるやり方が可能である。例えば、ステップは、示された順序で実行されることができるが、ステップの順序は変更されてもよく、又は、一部のステップは並行して実行されてもよい。さらに、ステップ間に、他の方法ステップが挿入されてもよい。挿入されるステップは、本明細書で述べられるような方法の改良を表してもよく、又は、本方法とは無関係であってもよい。例えば、ステップ730、740は、少なくとも部分的に、並行して実行されてもよい。さらに、所与のステップは、次のステップが開始される前に完全に終了していなくてもよい。
【0093】
本方法の実施形態は、方法700をプロセッサシステムに実行させる命令を含む、ソフトウェアを使用して実行されてもよい。ソフトウェアは、システムの特定のサブエンティティによって実施されるステップのみを含んでもよい。ソフトウェアは、ハードディスク、フロッピー、メモリ、光ディスク等の好適な記憶媒体に記憶されてもよい。ソフトウェアは、有線若しくは無線による信号として、又は、データネットワーク、例えばインターネットを使用して送られてもよい。ソフトウェアは、ダウンロードで、及び/又は、サーバ上でのリモートの使用で、利用可能にされてもよい。本方法の実施形態は、本方法を実行するための、プログラマブルロジック、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)をコンフィギュレーションするように構成されるビットストリームを使用して実行されてもよい。
【0094】
本発明はまた、本発明を実践するように適合されている、コンピュータプログラム、とりわけ、キャリア上又はキャリア内のコンピュータプログラムにも及ぶことを理解されたい。プログラムは、ソースコード、オブジェクトコード、コード中間ソース、及び、部分コンパイル形式等のオブジェクトコードの形態、又は、本方法の実施形態の実施に用いるのに適した任意の他の形態であってもよい。コンピュータプログラムプロダクトに関連する実施形態は、述べられた方法のうちの少なくとも1つの処理ステップの各々に対応するコンピュータ実行可能命令を含む。これらの命令は、サブルーチンに細分化されてもよく、及び/又は、静的若しくは動的にリンクされ得る1つ以上のファイルに記憶されてもよい。コンピュータプログラムプロダクトに関連する他の実施形態は、述べられたシステム及び/又はプロダクトのうちの少なくとも1つの手段の各々に対応するコンピュータ実行可能命令を含む。
【0095】
図7aは、一実施形態による、コンピュータプログラム1020を含む書き込み可能な部分1010を有するコンピュータ可読媒体1000を示し、コンピュータプログラム1020は、プロセッサシステムに動き検出方法を実行させる命令を含む。コンピュータプログラム1020は、コンピュータ可読媒体1000上に、物理マークとして、又はコンピュータ可読媒体1000の磁化によって具現化されてもよい。しかしながら、任意の他の好適な実施形態も想到可能である。さらに、コンピュータ可読媒体1000は、ここでは光ディスクとして示されているが、コンピュータ可読媒体1000は、ハードディスク、固体メモリ、フラッシュメモリ等、任意の好適なコンピュータ可読媒体であってもよく、記録不可又は記録可能であってもよいことを理解されたい。コンピュータプログラム1020は、前記動き検出方法をプロセッサシステムに実行させる命令を含む。
【0096】
図7bは、一実施形態によるデバイスを実装するための例示的なハードウェア図1100を示している。図示のように、デバイス1100は、1つ以上のシステムバス1110を介して相互接続されるプロセッサ1120、メモリ1130、ユーザインターフェース1140、通信インターフェース1150、及びストレージ1160を含む。この図は、いくつかの点で抽象的概念を成し、デバイス1100の構成要素の実際の組織(organization)は、図示のものよりも複雑である可能性があることを理解されたい。
【0097】
プロセッサ1120は、メモリ1130若しくはストレージ1160に記憶された命令を実行する、又はデータを処理することができる任意のハードウェアデバイスであってもよい。斯くして、プロセッサは、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他の同様のデバイスを含んでもよい。例えば、プロセッサは、Intel Core i7プロセッサ、ARM Cortex-R8等であってもよい。一実施形態では、プロセッサは、ARM Cortex M0であってもよい。
【0098】
メモリ1130は、例えば、L1、L2、又はL3キャッシュ又はシステムメモリ等の様々なメモリを含んでもよい。斯くして、メモリ1130は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、フラッシュメモリ、リードオンリーメモリ(ROM)、又は他の同様のメモリデバイスを含んでもよい。プロセッサが、本明細書で述べられる機能の1つ以上をハードウェアで実装する1つ以上のASIC(又は他の処理デバイス)を含む実施形態では、他の実施形態でそのような機能に対応するものとして述べられるソフトウェアは省略されてもよいことは明らかであろう。
【0099】
ユーザインターフェース1140は、管理者等のユーザとの通信を可能にするための1つ以上のデバイスを含んでもよい。例えば、ユーザインターフェース1140は、ユーザコマンドを受けるためのディスプレイ、マウス、及びキーボードを含んでもよい。一部の実施形態では、ユーザインターフェース1140は、通信インターフェース1150を介してリモート端末に提示され得る、コマンドラインインターフェース又はグラフィカルユーザインターフェースを含んでもよい。
【0100】
通信インターフェース1150は、他のハードウェアデバイスとの通信を可能にするための1つ以上のデバイスを含んでもよい。例えば、通信インターフェース1150は、Ethernet(登録商標)プロトコルに従って通信するように構成されるネットワークインターフェースカード(NIC)を含んでもよい。例えば、通信インターフェース1150は、アンテナ、コネクタ又はその両方等を含んでもよい。さらに、通信インターフェース1150は、TCP/IPプロトコルに従って通信するためのTCP/IPスタックを実装してもよい。通信インターフェース1150のための様々な代替又は追加のハードウェア又はコンフィギュレーションは明らかであろう。
【0101】
ストレージ1160は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、又は同様の記憶媒体等、1つ以上の機械可読記憶媒体を含んでもよい。様々な実施形態において、ストレージ1160は、プロセッサ1120による実行のための命令、又は、プロセッサ1120が動作する際のデータを記憶してもよい。例えば、ストレージ1160は、ハードウェア1100の様々な基本動作を制御するための基本オペレーティングシステム1161を記憶してもよい。例えば、ストレージは、センサ信号を周波数領域に変換し、複数の周波数ビンを得るための命令1162と、増大した大きさを有する周波数ビンを識別し、識別された周波数ビンが環境内の動き源に対応するか、環境内のノイズ源に対応するかを推定するための命令1163と、動き源に対応すると推定される識別された周波数ビンから、環境が静として分類されるか、動として分類されるかを判断するための命令1164とを記憶してもよい。
【0102】
ストレージ1160に記憶されるように述べられる様々な情報は、追加的又は代替的にメモリ1130に記憶されてもよいことは明らかであろう。この点において、メモリ1130は「記憶デバイス」を成すとみなされてもよく、ストレージ1160は「メモリ」と見なされてもよい。さらに、メモリ1130及びストレージ1160はいずれも、「非一時的機械可読媒体」であると見なされてもよい。本明細書で用いられる場合、「非一時的(non-transitory)」という用語は、一時的な信号は排除するが、揮発性及び不揮発性メモリの両方を含む、すべての形態のストレージを含むと理解されたい。
【0103】
デバイス1100は、述べられる各構成要素を1つずつ含むものとして示されているが、様々な構成要素は、様々な実施形態で重複されてもよい。例えば、プロセッサ1120は、本明細書で述べられる方法を独立して実行するように構成される、又は複数のプロセッサが協働して本明細書で述べられる機能を実現するように、本明細書で述べられる方法のステップ又はサブルーチンを実行するように構成される、複数のマイクロプロセッサを含んでもよい。さらに、デバイス1100がクラウドコンピューティングシステムに実装される場合、様々なハードウェアコンポーネントは、別個の物理システムに属してもよい。例えば、プロセッサ1120は、第1のサーバ内の第1のプロセッサと、第2のサーバ内の第2のプロセッサとを含んでもよい。
【0104】
請求項では、括弧内のいかなる参照符号も、その請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。動詞「含む(comprise)」及びその活用形の使用は、請求項に記述されたもの以外の要素又はステップが存在することを排除するものではない。要素に先行する冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数のそのような要素が存在することを排除するものではない。要素のリストに先行する「の少なくとも1つ(at least of)」のような表現は、リストのすべての要素又は要素の任意のサブセットの選択肢を表す。例えば、「A、B及びCの少なくとも1つ」という表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、又はA、B及びCのすべてを含むと理解されたい。本発明は、いくつかの異なる要素を含むハードウェアによって、及び適切にプログラムされたコンピュータによって実施されてもよい。いくつかの手段を列挙するデバイスの請求項では、これらの手段のうちのいくつかは、同一のハードウェアのアイテムによって具現化されてもよい。
【0105】
請求項では、括弧内の参照符号は、例示的な実施形態の図面中の参照符号、又は実施形態の式を指すことにより、請求項の明瞭性を高めるものである。これらの参照符号は、請求項を制限するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0106】
図1a~1c、2、3a~3b、4、7a~7bの参照番号のリスト
100 モーションディテクタ
110 モーションセンサ
112 センサ
114 信号処理ユニット
120 信号入力
130 周波数領域コンバータ
140 ノイズ検出ユニット
150 モーションディテクタ
160 履歴ユニット
162 短期的な履歴
164 長期的な履歴
170 照明器具
171 照明システム
172 照明要素
173 コンピュータネットワーク
175 照明コントローラ
200 概略周波数対時間図
201 周波数軸
202 時間軸
203 時間
204 周波数
210 識別された周波数ビン
212 隣接するビン
222、224 隣接する周波数ビン
232、234 傍の周波数ビン
300 複数の周波数ビンユニット
310 識別された周波数ビン
322、324 隣接する周波数ビン
332、334 近傍の周波数ビン
340 遠い周波数ビン
341 周波数ビン分類
410、411 ハムタイプノイズに対応する周波数

1000 コンピュータ可読媒体
1010 書き込み可能な部分
1020 コンピュータプログラム
1100 デバイス
1110 システムバス
1120 プロセッサ
1130 メモリ
1140 ユーザインターフェース
1150 通信インターフェース
1160 ストレージ
1161 オペレーティングシステム
1162、1163、1164 命令
図1a
図1b
図1c
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4
図5
図6
図7a
図7b