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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ガスケットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0286 20160101AFI20221215BHJP
   H01M 8/0276 20160101ALI20221215BHJP
【FI】
H01M8/0286
H01M8/0276
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022516873
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2021007724
(87)【国際公開番号】W WO2021215114
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2020074889
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】由井 元
(72)【発明者】
【氏名】富田 亮
(72)【発明者】
【氏名】西村 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 太熙
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/212775(WO,A1)
【文献】特開2003-031235(JP,A)
【文献】特開2007-134234(JP,A)
【文献】国際公開第2020/121623(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
F16J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスケット材料を吐出させる吐出装置を基体に対して相対的に移動させることによって、前記基体に設けられたビードに沿って、ガスケット材料を吐出する工程と、
前記ビード上に吐出されたガスケット材料を硬化させる工程と、
を有するガスケットの製造方法であって、
前記ビードは、短手方向の幅がそれぞれ異なる部位が複数設けられており、各部位で前記基体に対する前記吐出装置の相対的な移動速度それぞれ前記幅に応じて変えていることを特徴とするガスケットの製造方法。
【請求項2】
ガスケット材料を吐出させる吐出装置を基体に対して相対的に移動させることによって、前記基体に設けられたビードに沿って、ガスケット材料を吐出する工程と、
前記ビード上に吐出されたガスケット材料を硬化させる工程と、
を有するガスケットの製造方法であって、
前記ビードは、短手方向の幅がそれぞれ異なる部位が複数設けられており、前記吐出装置は、前記ビードの短手方向のそれぞれの幅に応じた相対的な移動速度でガスケット材料を吐出することを特徴とするガスケットの製造方法。
【請求項3】
前記ビードは、前記短手方向の幅の狭い幅狭部位における前記移動速度に比べて、前記幅狭部位よりも前記幅の広い幅広部位における前記移動速度の方が遅いことを特徴とする請求項1又は2に記載のガスケットの製造方法。
【請求項4】
前記ビードは、平面形状が直線状の部位と湾曲状の部位とを有しており、前記直線状の部位に比べて前記湾曲状の部位の方が、前記幅が広いことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のガスケットの製造方法。
【請求項5】
前記湾曲状の部位は曲率半径が異なる部位が設けられており、曲率半径の大きな第1部位における前記幅に比べて、第1部位よりも曲率半径の小さな第2部位における前記幅の方が広いことを特徴とする請求項に記載のガスケットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用のセパレータ一体ガスケットなどのガスケットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池用のセパレータにビードが設けられ、このビード上に弾性体製のガスケットが一体的に設けられる技術が知られている(特許文献1参照)。このような技術においては、ビードにより所定の反力が得られ、弾性体製のガスケットが、ガスケット密着対象面の微小な凹凸に対しても、凹凸に対して倣うように密着することで密封性を高めることができる。
【0003】
しかしながら、ビードの平面形状については、直線状の部位や湾曲状の部位が存在する。そして、ビードによる反力は、直線状の部位に比べて湾曲状の部位の方が高くなる傾向にあり、また、曲率半径が小さいほど反力が高くなる傾向にある。そこで、本願の出願人は、ビードの短手方向の幅を、直線状の部位よりも湾曲状の部位の方が広くなるように、また、曲率半径が小さい部位ほど、当該幅を広くなるようにすることで、ビードの反力を均一化させる技術を既に提案している(特許文献2参照)。
【0004】
このような技術において、従来製法によりガスケットをセパレータ本体に一体的に設ける場合、ビードの短手方向の幅が広い部位の方が、狭い部位に比べて、ガスケットの膜厚が薄くなる傾向となり、膜厚が不均一になることが分かった。ガスケットの膜厚が不均一になると、密封性が安定しないため、未だ改善の余地がある。なお、セパレータ一体ガスケットだけでなく、一般的な金属ガスケットの場合においても、同様の問題が発生し得ると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-139218号公報
【文献】特願2018-231660号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、基体に設けられたビード上に形成するガスケットの膜厚の均一化を図ることで、密封性を高めることを可能とするガスケットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0008】
すなわち、本発明のガスケットの製造方法は、
ガスケット材料を吐出させる吐出装置を基体に対して相対的に移動させることによって、前記基体に設けられたビードに沿って、ガスケット材料を吐出する工程と、
前記ビード上に吐出されたガスケット材料を硬化させる工程と、
を有するガスケットの製造方法であって、
前記ビードは、短手方向の幅がそれぞれ異なる部位が複数設けられており、各部位で前記基体に対する前記吐出装置の相対的な移動速度それぞれ前記幅に応じて変えていることを特徴とする。
また、本発明のガスケットの製造方法は、
ガスケット材料を吐出させる吐出装置を基体に対して相対的に移動させることによって、前記基体に設けられたビードに沿って、ガスケット材料を吐出する工程と、
前記ビード上に吐出されたガスケット材料を硬化させる工程と、
を有するガスケットの製造方法であって、
前記ビードは、短手方向の幅がそれぞれ異なる部位が複数設けられており、前記吐出装置は、前記ビードの短手方向のそれぞれの幅に応じた相対的な移動速度でガスケット材料を吐出することを特徴とする。
【0009】
これにより、ビードの短手方向の幅に応じた移動速度でガスケット材料が吐出されるので、ガスケットの膜厚を適宜調整することができる。
【0010】
前記ビードは、前記短手方向の幅の狭い幅狭部位における前記移動速度に比べて、前記幅狭部位よりも前記幅の広い幅広部位における前記移動速度の方が遅いとよい。
【0011】
これにより、ビードの短手方向の幅が広いほど、吐出されるガスケット材料が幅方向に拡がりガスケットの膜厚が薄くなる傾向があるものの、セパレータに対する吐出装置の相対的な移動速度が遅いことで、膜厚が薄くなることを抑制することができる。
【0012】
前記ビードは、平面形状が直線状の部位と湾曲状の部位とを有しており、前記直線状の部位に比べて前記湾曲状の部位の方が、前記幅が広いとよい。
【0013】
また、前記湾曲状の部位は曲率半径が異なる部位が設けられており、曲率半径の大きな第1部位における前記幅に比べて、第1部位よりも曲率半径の小さな第2部位における前記幅の方が広いとよい。
【0014】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、基体に設けられたビード上に形成するガスケットの膜厚の均一化を図ることで、密封性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明の実施例に係る燃料電池の一部を示す断面図である。
図2図2は本発明の実施例に係るセパレータ本体の平面図である。
図3図3は本発明の実施例に係るセパレータ一体ガスケットの断面図である。
図4図4は本発明の実施例に係るセパレータ一体ガスケットの製造工程の一つを示す図である。
図5図5はセパレータに対する吐出装置の相対的な移動速度とガスケット材料の膜厚との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0018】
(実施例)
図1図5を参照して、本発明の実施例に係るガスケットの製造方法について説明する。なお、本実施例においては、ガスケットの製造方法の一例として、セパレータ一体ガスケットの製造方法の場合を例にして説明する。
【0019】
<燃料電池>
図1を参照して、本実施例に係るセパレータ一体ガスケット100を備える燃料電池について説明する。一般的に、燃料電池は、複数の単セルからなるセルスタックとして構成される。図1においては、単セル10の断面図を示している。単セル10は、一対のセパレータ一体ガスケット100と、これら一対のセパレータ一体ガスケット100の間に設けられるMEA(Membrane Electrode Assembly)とを備えている。MEAは、電解質膜200と、電解質膜200の両面に備えられる一対のガス拡散層300とを備えている。
【0020】
<セパレータ一体ガスケット>
図1及び図2を参照して、燃料電池(単セル10)に備えられるセパレータ一体ガスケット100について、より詳細に説明する。図2は本発明の実施例に係るセパレータ本体の平面図である。図2においては、ガスケット120が設けられる前のセパレータ本体110の平面図を概略的に示している。
【0021】
セパレータ一体ガスケット100は、燃料電池用のセパレータ本体(基体)110と、セパレータ本体110に一体的に設けられる弾性体製のガスケット120とを備えている。セパレータ本体110は、金属などにより構成される板状の部材により構成される。ただし、セパレータ本体110の材料として、カーボン材料の他、樹脂材料なども採用し得る。セパレータ本体110には、複数のマニホルドやセパレータ本体110の表面に形成される流路が設けられるのが一般的であるが、各図においては省略している。なお、マニホルドは、燃料ガス,酸化剤ガス、及び冷却液などを各セルに分配するために設けられる。また、セパレータ本体110の表面に形成される流路は、燃料ガスや酸化剤ガスなどが流れる流路として用いられる。
【0022】
そして、上記の燃料ガスなどが外部などに漏れてしまうことを防止するために、マニホルドの周囲、及び流路が形成されている領域の周囲に、それぞれ、上記の弾性体製のガスケット120がセパレータ本体110に一体的に設けられている。本実施例においては、密封性を高めるために、セパレータ本体110にビード111が設けられて、このビード111の上にガスケット120が形成される。このような構成を採用することで、ビード111により所定の反力が得られ、弾性体製のガスケット120が、ガスケット密着対象面の微小な凹凸に対しても、凹凸に対して倣うように密着するため密封性を高めることができる。
【0023】
なお、セパレータ本体110には、マニホルドの周囲、及び流路が形成されている領域の周囲に、それぞれビード111が形成され、これらのビード111の上にそれぞれ弾性体製のガスケット120が形成される。従って、セパレータ本体110においては、複数個所にビードが設けられるが、図2においては、便宜上、一部のビード111のみを簡略的に示している。
【0024】
なお、ガスケット120の材料としては、シリコンゴム,フッ素ゴム,EPDM及びブチルゴムなどを好適な例として挙げることができる。このガスケット120によって、セパレータ本体110と電解質膜200との間の隙間が封止される。
【0025】
<セパレータ本体>
特に、図2及び図3を参照して、本実施例に係るセパレータ本体110について、より詳細に説明する。図3は本発明の実施例に係るセパレータ一体ガスケット100の断面図であり、図3中のセパレータ本体の断面について、(a)は図2中のAA断面図、(b)は図2中のBB断面図、(c)は図2中のCC断面図に相当する。
【0026】
本実施例に係るセパレータ本体110に設けられたビード111は、その平面形状が直線状の部位と湾曲状の部位とを有している。また、湾曲状の部位は曲率半径が異なる部位が設けられている。ここで、説明の便宜上、以下、適宜、ビード111の平面形状が直線状の部位を「直線状部位」と称し、湾曲状の部位を「湾曲状部位」と称する。また、適宜、湾曲状部位のうち、曲率半径の大きな部位を「第1部位」、「第1部位」よりも曲率半径の小さな部位を「第2部位」と称する。
【0027】
図3(a)に示すAA断面は、ビード111における直線状部位111aの断面を示している。また、同図(b)に示すBB断面は、ビード111における第1部位111bの断面を示している。更に、同図(c)に示すCC断面は、ビード111における第2部位111cの断面を示している。
【0028】
本実施例においては、ビード111は、直線状部位111aに比べて湾曲状部位(第1部位111b及び第2部位111c)の方が、ビード111の短手方向の幅が広くなるように構成されている。従って、直線状部位111aは「幅狭部位」ということができる。また、湾曲状部位においては、直線状部位111aと比べた場合には、ビード111の短手方向の幅が広いので、「幅広部位」ということができる。より具体的には、図3に示すように、直線状部位111aにおける短手方向の幅をW1、第1部位111bにおける短手方向の幅をW2、第2部位111cにおける短手方向の幅をW3とすると、W1<W2及びW1<W3を満たす。また、ビード111においては、曲率半径の大きな第1部位111bにおける短手方向の幅に比べて、第1部位111bよりも曲率半径の小さな第2部位111cにおける短手方向の幅の方が広くなるように構成されている。つまり、W2<W3を満たす。このように、第1部位111bと第2部位111cとを比較した場合には、後者の方が短手方向の幅が広いので、第1部位111bは「幅狭部位」で、第2部位111cは「幅広部位」ということができる。以上のように、「幅狭部位」と「幅広部位」については、比較する部位によって決まる。
【0029】
なお、ビード111の高さH1は全域に亘って等しくなるように構成されている。また、ビード111の上に形成されるガスケット120の厚みH2も全域に亘って等しくなるように構成されている。また、ガスケット120の厚みH2は、20μm以上300μm以下の範囲で設定すると好適である。更に、ガスケット120の短手方向の幅は1mm以上3mm以下に設定すると好適である。
【0030】
<セパレータ一体ガスケットの製造方法>
特に、図4及び図5を参照して、本実施例に係るセパレータ一体ガスケットの製造方法について説明する。図4は本発明の実施例に係るセパレータ一体ガスケットの製造工程の一つを示す図である。図5はセパレータに対する吐出装置の相対的な移動速度とガスケット材料の膜厚との関係を示すグラフである。
【0031】
本実施例に係るセパレータ一体ガスケットの製造方法においては、吐出装置500により、セパレータ本体110におけるビード111上にガスケット材料120X(液状ゴムなど)を吐出する吐出工程と、吐出されたガスケット材料120Xを硬化させる硬化工程とを有する。なお、図4においては、吐出工程の様子を簡略的に示している。図4中、セパレータ本体110については、ビード111に沿ってセパレータ本体110を切断した断面図の一部を示している。
【0032】
吐出装置500によって、セパレータ本体110におけるビード111上にガスケット材料120Xを吐出する場合には、セパレータ本体110を固定した状態で、吐出装置500を移動させる構成、吐出装置500を固定した状態で、セパレータ本体110を移動させる構成、及び、吐出装置500とセパレータ本体110の双方を移動させる構成のいずれを採用しても構わない。図4においては、セパレータ本体110に対して、吐出装置500が図中左側から右側に相対的に移動しながらガスケット材料120Xを吐出する様子を示している。なお、これらを移動させる機構、及び移動を制御する制御装置等については、公知技術であるので、その説明は省略する。また、吐出装置500は、ディスペンサーやインクジェット装置など各種公知技術を採用することができる。
【0033】
本実施例に係るガスケット材料120Xは、熱硬化性のゴム材料を適用することができる。この場合、硬化工程においては、不図示のヒーターによって、ガスケット材料120Xが塗布されたセパレータ本体110を加熱することにより、ガスケット材料120Xは硬化して、セパレータ本体110に固定される。すなわち、セパレータ本体110に、ガスケット120を一体的に形成することができる。
【0034】
上記の通り、本実施例に係るビード111は、短手方向の幅がそれぞれ異なる部位が複数設けられている。そして、吐出工程においては、ビード111における短手方向の幅が異なる各部位で、セパレータ本体110に対する吐出装置500の相対的な移動速度(以下、この相対的な速度を「相対速度」と称する)がそれぞれ異なるようにしている。図5は、ビード111の短手方向の幅が異なる場合において、それぞれ、相対速度と塗布されるガスケット材料120Xの膜厚との関係を示している。グラフW1,W2,W3は、それぞれ、ビード111の短手方向の幅がW1,W2,W3の場合に相当する。
【0035】
このグラフから分かるように、ビード111の短手方向の幅に関係なく、相対速度が速いほど、ガスケット材料120Xの膜厚は薄くなる。そして、ビード111の短手方向の幅が広いほど、ガスケット材料120Xの膜厚は薄くなることが分かる。そして、各部位において、所望の膜厚tにするためには、幅W1の部位においては相対速度をV1とし、幅W2の部位においては相対速度をV2とし、幅W3の部位においては相対速度をV3(V1>V2>V3)とすればよいことが分かる。
【0036】
以上より、本実施例においては、ビード111の短手方向の幅の狭い直線状部位111aにおける相対速度V1に比べて、直線状部位111aよりもビード111の短手方向の幅の広い幅広部位における相対速度V2,V3の方が遅くなるようにしている。また、第1部位111bにおける相対速度V2よりも、よりビード111の短手方向の幅の広い第2部位111cにおける相対速度V3の方が遅くなるようにしている。こうすることで、直線状部位111a、第1部位111b及び第2部位111cのいずれの部位においても、ガスケット材料120Xの膜厚を一定(所望の膜厚t)にすることができる。これにより、硬化後のガスケット120の膜厚を各部位において、一定にすることができる。
【0037】
<本実施例に係るセパレータ一体ガスケットの製造方法の優れた点>
本実施例に係るセパレータ一体ガスケット100においては、セパレータ本体110におけるビード111の短手方向の幅が、その平面形状が直線状であるか、湾曲状であるか、また、湾曲状の場合には曲率半径に応じて、異なる構成が採用されている。これにより、ビード111の反力を均一化するようにしている。
【0038】
そして、本実施例に係るセパレータ一体ガスケット100の製造方法においては、吐出工程において、ビード111の短手方向の幅に応じて、相対速度を変えている。これにより、ビード111の上に形成されるガスケット120の膜厚を均一化することができ、密封性を高めることができる。
【0039】
(その他)
上記実施例においては、ビード111の短手方向の幅が異なる3か所について説明したが、当該幅が2か所、または4か所以上異なる場合にも、同様に、それぞれ相対速度を設定することで、ガスケット120の膜厚を均一化できることは言うまでもない。
【0040】
なお、ビード111の短手方向の幅が連続的に変化するように構成される部位においては、相対速度を連続的に変化するようにすればよい。ただし、ビード111の短手方向の幅が連続的に変化するように構成される部位において、相対速度を段階的に変化するようにしても、ある程度、ガスケット120の膜厚を均一化することができる。
【0041】
また、上記実施例においては、セパレータ一体ガスケットの製造方法について説明した。しかしながら、本発明のガスケットの製造方法は、金属ガスケットなど、基体(金属ガスケットの場合には金属板)に設けられたビード上にガスケットを形成する各種技術に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 単セル
100 セパレータ一体ガスケット
110 セパレータ本体(基体)
111 ビード
111a 直線状部位
111b 第1部位
111c 第2部位
120 ガスケット
120X ガスケット材料
200 電解質膜
300 ガス拡散層
500 吐出装置
図1
図2
図3
図4
図5