(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ループ状のコア・ワイヤを有する管腔内機器
(51)【国際特許分類】
A61M 25/092 20060101AFI20221215BHJP
A61M 25/09 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
A61M25/092 500
A61M25/09 514
(21)【出願番号】P 2022522709
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(86)【国際出願番号】 IB2020000897
(87)【国際公開番号】W WO2021084321
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-06-09
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514102803
【氏名又は名称】ラピッド メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン、アハロン
(72)【発明者】
【氏名】ゲデュルター、マタン
(72)【発明者】
【氏名】エクハウス、ローネン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、モシェ
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-63476(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0097128(US,A1)
【文献】特開2015-159969(JP,A)
【文献】特開2017-143997(JP,A)
【文献】国際公開第2008/085167(WO,A1)
【文献】特表2019-528965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M25/092
A61M25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位セクション及び遠位セクションを有する可撓性長尺シースであって、前記シースの前記遠位セクションは、前記シースの遠位端で終端し、前記シースの前記遠位セクションは、遠位曲げセグメント、及び前記遠位曲げセグメントより近位に位置する近位支持セグメントを有し、前記遠位曲げセグメントは、前記近位支持セグメントより可撓性が高いように構成されている、可撓性長尺シースと、
長尺コア・ワイヤであって、前記長尺コア・ワイヤは、前記コア・ワイヤの近位先端と前記コア・ワイヤの遠位先端との間に延び、前記コア・ワイヤは、少なくとも部分的に前記シース内に位置付けられ、前記コア・ワイヤは、前記シース内でループに折り返された遠位端部分を有し、それにより前記コア・ワイヤの少なくとも一部分が前記コア・ワイヤの前記ループより近位に位置し
、また前記コア・ワイヤの前記ループは二重折り返し部を含み、それにより、前記シースの近位端に向かう前記コア・ワイヤの折り返し部の後で、前記コア・ワイヤが前記シースの前記遠位端に向かって戻るように折り返している、長尺コア・ワイヤと、
少なくとも部分的に前記シース内に位置付けられた運動リストリクタであって、前記運動リストリクタは、少なくとも1つの軸方向における前記コア・ワイヤの前記遠位先端の軸方向の運動を制限するように、且つ前記コア・ワイヤの前記ループが座屈することを許可するように構成され、それにより、前記コア・ワイヤに軸方向の力が及ぼされると前記シースの前記遠位セクションに曲げが生じる、運動リストリクタと
を有する、管腔内機器。
【請求項2】
前記運動リストリクタは、前記コア・ワイヤと前記シースの内壁との間の結合部を有し、前記結合部は、前記コア・ワイヤの前記遠位先端より
近位に位置付けられている、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項3】
前記結合部は、接着剤又は溶接部のうちの少なくとも1つによって形成される、請求項2に記載の管腔内機器。
【請求項4】
前記運動リストリクタは、前記シースの内部チャネル内に位置付けられたインサートを有し、前記インサートは、前記シースの前記内部チャネルの壁に接続された障害物又はリングのうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項5】
前記シースの少なくとも一部分が、複数の巻線を形成するように巻かれた1つ又は複数のワイヤを含むコイルを有し、前記コイルの前記巻線のうちの少なくともいくつかが前記シースの前記遠位セクションを形成する、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項6】
前記シースの前記遠位セクションを形成する前記巻線のうちの少なくともいくつかは、それらの間にスペースを有するように構成される、請求項
5に記載の管腔内機器。
【請求項7】
前記シースの前記近位セクションの少なくとも一部分が前記コイルの巻線から形成され、前記シースの前記近位セクションを形成する前記巻線のうちの少なくともいくつかが、それらの間
にスペースを有していない、請求項
6に記載の管腔内機器。
【請求項8】
前記シースの前記遠位セクションはコイルを含み、また
前記シースの前記近位セクションの少なくとも一部分が、コイル以外の構成物から形成されている、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項9】
前記シースの前記遠位セクション内の前記コア・ワイヤの一部分は、前記コア・ワイヤに繰り返し力を及ぼすことにより、繰り返し可能に前記コア・ワイヤの一定方向の屈曲がもたらされるように構成されている、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項10】
前記コア・ワイヤの前記遠位端部分は、前記コア・ワイヤの選択的な曲げを可能にするように構成された非円形断面を有する、請求項
9に記載の管腔内機器。
【請求項11】
前記コア・ワイヤの前記ループは、前記コア・ワイヤの前記ループと前記シースの内壁との間に間隙を形成するように構成され、前記間隙は、前記コア・ワイヤに力が加えられると前記コア・ワイヤの前記ループの一部分が前記間隙内で変形するように構成されるようなサイズになされている、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項12】
前記間隙内での前記コア・ワイヤの前記変形は、前記間隙内での前記コア・ワイヤの座屈を含む、請求項
11に記載の管腔内機器。
【請求項13】
前記コア・ワイヤの前記ループは、前記コア・ワイヤが遠位に動いたときに、前記ループの少なくとも一部分が、前記シースの前記遠位セクションに対して遠位方向
に動かないように構成されている、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項14】
前記遠位端部分の近位に位置する前記コア・ワイヤの幅広部を更に有
する、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項15】
前記シース及び前記コア・ワイヤは、真っ直ぐにされた構成に付勢されており、且つ前記コア・ワイヤへの軸方向の引っ張り力によって、前記シースの前記遠位曲げセグメントの曲げがもたらされるように構成されている、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項16】
前記シースは、ヒト脳内の脈管構造を横断するように構成されている、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項17】
前記運動リストリクタは、前記シースの
前記内部チャネル内に形成された段差部であり、また
前記コア・ワイヤの前記遠位端部分のエッジが前記段差部に当たるように位置付けられている、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項18】
前記コア・ワイヤは、前記コア・ワイヤの前記遠位先端から
近位に離間された位置で前記段差部に当たるように位置付けられている、請求項
17に記載の管腔内機器。
【請求項19】
前記コア・ワイヤは、前記コア・ワイヤの前記ループを通して連続的に延びている、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項20】
前記運動リストリクタは、前記シースの内部チャネルの狭窄部である、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項21】
前記コア・ワイヤの前記ループは、その曲げ部において2つのセグメントに分離されており、前記コア・ワイヤの前記分離したセグメントは、一緒に結合されている、請求項1に記載の管腔内機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2019年10月30日に出願した米国特許出願第16/668,248号からの優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示は、機器のステアリング(操縦性)を向上させるように構成された少なくとも1つのループ状のコア・ワイヤを有する血管内及び管腔内医療機器、並びにシステムに関する。本開示はまた、血管内及び管腔内医療機器、並びにシステムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガイド・ワイヤ及びマイクロカテーテルなどの血管内及び管腔内医療機器(intravascular and intraluminal medical device)は、機器が所望の治療部位に到達するまで、体の中を通って前進させる必要がある。蛇行した解剖学的構造を通過するために、機器は、機器の遠位先端を曲げる又は偏向させるように構成され得るプル・ワイヤなどのステアリング機構を含み得る。プル・ワイヤは、ガイド・ワイヤの近位端にあるハンドルなどのユーザ作動セグメントに固定され得、ユーザ作動セグメントは、ユーザによって制御されて機器をステアリングし得る。しかしながら、多くの機器は、ステアリング能力が不十分であり、機器に小さな曲げをもたらすためにユーザが大きな力を加えなくてはならず、又はプル・ワイヤを作動させるたびに安定しない曲げが生成される。その結果、特に解剖学的構造が小さく、蛇行性であるときは、解剖学的構造の中で機器をステアリングすることが難しいことがよくある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2019/116102(A2)号
【発明の概要】
【0005】
したがって、向上され且つ安定したステアリングを提供するとともに、十分にしなやかな遠位先端も示して、治療部位に機器が送達されるときの合併症の可能性を回避する管腔内機器の必要性が依然としてある。
【0006】
本開示の実施例は、可撓性長尺シース(elongated sheath)を有する管腔内機器を含み得る。シースは、近位部分と、遠位部分とを含み得、シースの遠位部分は、シースの遠位端で終端している。シースの遠位部分は、遠位曲げセグメントと、遠位曲げセグメントから近位に位置付けられている近位支持セグメントとを含み得、遠位曲げセグメントは、近位支持セグメントよりも可撓性が高いように構成されている。管腔内機器はまた、長尺コア・ワイヤを含み得る。長尺コア・ワイヤは、コア・ワイヤの近位先端とコア・ワイヤの遠位先端との間に延在している。コア・ワイヤは、少なくとも部分的にシース内に位置付けられ得る。コア・ワイヤは、シース内でループ状に折り返された遠位端部分を含み得、これにより、コア・ワイヤの少なくとも一部分がコア・ワイヤのループから近位に位置付けられ得る。管腔内機器はまた、少なくとも部分的にシース内に位置付けられている運動リストリクタを含み得る。運動リストリクタは、少なくとも1つの軸方向におけるコア・ワイヤの遠位先端の軸方向の運動(移動、動き)を制限するように構成され得る。運動リストリクタはまた、コア・ワイヤのループが座屈すること(buckle;曲がること)を許可するように構成され得、結果として、コア・ワイヤに軸方向の力が及ぼされると、シースの遠位セクションに曲げがもたらされる。
【0007】
運動リストリクタは、コア・ワイヤとシースの内壁との間の結合部を含み得る。結合部は、コア・ワイヤの遠位先端から遠位に位置付けられ得る。結合部は、接着剤又は溶接部のうちの少なくとも1つによって形成され得る。運動リストリクタは、シースの内部チャネルの狭窄部であり得る。運動リストリクタは、シースの内部チャネル内に位置付けられているインサートを含み得る。インサートは、シースの内部チャネルの壁に接続された障害物又はリングのうちの少なくとも1つを含み得る。シースの少なくとも一部分は、複数の巻線を形成するように巻かれた1つ又は複数のワイヤを含むコイルを含み得る。コイルの巻線のうちの少なくともいくつかは、シースの遠位部分を形成し得る。シースの遠位部分を形成する巻線のうちの少なくともいくつかは、それらの間にスペースがあるように構成され得る。シースの近位部分の少なくとも一部分は、コイルの巻線から形成され得る。シースの近位部分を形成する巻線のうちの少なくともいくつかは、それらの間にスペースが実質的にない場合がある。シースの遠位部分は、コイルを含み得る。シースの近位部分の少なくとも一部分は、コイル以外の構成物から形成され得る。シースの遠位部分内のコア・ワイヤの一部分は、コア・ワイヤに繰り返し力を及ぼすと、結果として、コア・ワイヤの、繰り返し可能に安定した(一貫した、一定の)方向の屈曲がもたらされ得るように構成され得る。コア・ワイヤの遠位端部分は、コア・ワイヤの優先的な(preferential;選択的な)曲げを可能にするように構成され得る非円形断面を有し得る。コア・ワイヤのループは、シースの近位端に向かうコア・ワイヤの折り返しに続いて、コア・ワイヤがシースの遠位端に向かって折り返して戻り得るように、二重折り返し部を含み得る。コア・ワイヤのループは、コア・ワイヤのループとシースの内壁との間に間隙を形成するように構成され得る。間隙は、加えられた力をコア・ワイヤが受けると、コア・ワイヤのループの一部分が、間隙内で変形するように構成され得るようにサイズ決めされ得る。間隙内でのコア・ワイヤの変形は、間隙内でのコア・ワイヤの座屈を含み得る。コア・ワイヤのループは、コア・ワイヤが遠位に動いたときに、ループの少なくとも一部分が、シースの遠位部分に対して遠位方向に実質的に動かないように構成され得る。管腔内機器は、コア・ワイヤの遠位端部分から延在する機械的段差部を更に含み得る。コア・ワイヤの遠位端部分は、運動リストリクタの第1の表面に係合するように構成され得、機械的段差部は、運動リストリクタの第1の表面に対して角度が付けられ得る運動リストリクタの第2の表面に係合するように構成され得る。管腔内機器は、遠位端部分の近位に位置付けられている幅広部を更に含み得る。コア・ワイヤの幅広部は、運動リストリクタに係合するように構成され得る。シース及びコア・ワイヤは、真っ直ぐな構成に付勢され得、且つコア・ワイヤへの軸方向の引っ張り力によって、シースの遠位曲げセグメントの曲げがもたらされ得るように構成され得る。シースは、ヒト脳内の脈管構造を横断する(traverse)ように構成され得る。運動リストリクタは、シースの内部チャネル内に形成されている段差部を含み得る。コア・ワイヤの遠位端部分のエッジが段差部に当たって位置決めされ得る。コア・ワイヤは、コア・ワイヤの遠位先端から遠位に離間された位置で段差部に当たって位置決めされ得る。コア・ワイヤのループは、その曲げ部において2つのセグメントに分離され得、コア・ワイヤの分離したセグメントは、一緒に結合され得る。
【0008】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、開示された実施例を示し、説明とともに、開示された実施例を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本開示の様々な実施例に合致する、例示的な管腔内機器を示す図である。
【
図1B】本開示の様々な実施例に合致する、
図1Aの管腔内機器の様々なセグメントの拡大図である。
【
図1C】本開示の様々な実施例に合致する、
図1Aの管腔内機器の様々なセグメントの拡大図である。
【
図1D】本開示の様々な実施例に合致する、
図1Aの管腔内機器の様々なセグメントの拡大図である。
【
図1E】本開示の様々な実施例に合致する、
図1Aの管腔内機器の様々なセグメントの拡大図である。
【
図1F】本開示の様々な実施例に合致する、湾曲構成にある
図1Aの管腔内機器を示す図である。
【
図2】本開示の様々な実施例に合致する、管腔内機器の例示的なコア・ワイヤを示す図である。
【
図3A】本開示の様々な実施例に合致する、
図1Aの管腔内機器の内部図である。
【
図3B】本開示の様々な実施例に合致する、
図3Aの管腔内機器の断面図である。
【
図3C】本開示の様々な実施例に合致する、
図3Aの管腔内機器の断面図である。
【
図3D】本開示の様々な実施例に合致する、
図3Aの管腔内機器の断面図である。
【
図3E】本開示の様々な実施例に合致する、
図3Aの管腔内機器の遠位部分の拡大図である。
【
図3F】本開示の様々な実施例に合致する、第1の湾曲構成にある
図3Eの管腔内機器遠位部分を示す図である。
【
図3G】本開示の様々な実施例に合致する、第2の湾曲構成にある
図3Eの管腔内機器遠位部分を示す図である。
【
図4】本開示の様々な実施例に合致する、管腔内機器の長尺コイルの例示的な製造方法を示す図である。
【
図5】本開示の様々な実施例に合致する、別の例示的な管腔内機器を示す図である。
【
図6A】本開示の様々な実施例に合致する、例示的な管腔内機器を介するマイクロカテーテルの前進を示す図である。
【
図6B】本開示の様々な実施例に合致する、例示的な管腔内機器を介するマイクロカテーテルの前進を示す図である。
【
図7A】本開示の様々な実施例に合致する、例示的な管腔内機器の遠位部分を示す図である。
【
図7B】本開示の様々な実施例に合致する、湾曲構成にある
図7Aの管腔内機器を示す図である。
【
図8】本開示の様々な実施例に合致する、別の例示的な管腔内機器の遠位部分を示す図である。
【
図9】本開示の様々な実施例に合致する、更なる例示的な管腔内機器の遠位部分を示す図である。
【
図10】本開示の様々な実施例に合致する、別の例示的な管腔内機器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照して、例示的な実施例について説明する。必ずしも縮尺どおりではない図では、参照番号の左端の数字(複数可)は、当該参照番号が最初に出現する図を特定する。便宜上、図面全体で同じ参照番号を使用して、同じ又は同様の部品を指している。本明細書では、開示された原則の実例及び特徴について説明するが、開示された実施例の趣旨及び範囲から逸脱することなく、修正、適応、及び他の実装態様が可能である。また、「有する(comprising)」、「有する(having)」、「含有する」、及び「含む」との単語、並びに他の類似の形式は、意味が同じであり、且つこれらの単語のうちのいずれかの1つに続く1つ又は複数の項目がそのような1つ又は複数の項目の網羅的なリストであることを意味しない、又は、リストされている1つ又は複数の項目のみに限定されることを意味しないという点において非限定的であることを意図している。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈が明確に示さない限り、単数形の「a」、「an」、及び「the」に複数形の参照が含まれることにも留意されたい。
【0011】
本開示の実施例は、概して、医療機器及び医療機器の製造方法に関する。より詳細には、本開示の実施例は、血管を含むがこれに限定されない中空の体臓器を航行し、体の中を通る診断及び/又は治療機器の送達を誘導するように構成された管腔内機器に関する。更に又は或いは、本開示の実施例は、中空の体臓器を航行するための管腔内機器の製造方法に関連し得る。
【0012】
本開示の実施例に従って、少なくとも部分的に管腔内機器内に延在するコア・ワイヤを含み、コア・ワイヤの遠位端は、曲げられるか又は折り返されて、管腔内機器内にループを形成する、管腔内機器が提供され得る。ループ状のコア・ワイヤは、管腔内機器のステアリングを向上させ、トルク付与性(torquability)を高め得るとともに、柔らかく、且つ非外傷性の先端を維持する。
【0013】
図1Aは、真っ直ぐにされた(straightened)構成にある例示的な管腔内機器101を示す。管腔内機器101は、長尺シャフト105を含む可撓性長尺シース102と、長尺シャフト105の遠位端に接続された可撓性長尺コイル104とを含み得る。長尺シャフト105は、コイル104から近位に位置付けられ得る。したがって、長尺シャフト105は、シース102の近位セクションを構成し、コイル104はシース102の遠位セクションを構成し得る。コイル104は、近位端108及び遠位端110を有し得、且つらせん配置に巻かれて、少なくとも1つのチャネルが中に延在している中空コイルを形成する複数のワイヤから形成され得る。コイル104のワイヤのうちのいくつか又はすべては、シース102の遠位先端を形成し得るコイル遠位端110まで延在し得る。つまり、コイル104は、長尺シース102の遠位端で終端し得る。コイル104のワイヤは、ニチノールで作られ得る。いくつかの実施例では、コイル104の1つ又は複数のワイヤは、約75μmの外径を有し得る。或いは、コイル104の1つ又は複数のワイヤは、75μmよりも大きい又は小さい外径を有していてもよい。いくつかの実施例では、コイル104は、約400~500mmの軸方向の長さを有し得る。例えば、コイル104は、約430mm~440mmの軸方向の長さを有し得る。
【0014】
長尺シャフト105は、コイル以外の構成物から形成されてもよい。例えば、長尺シャフト105は、合金若しくは金属(例えば、ニッケルチタン合金(ニチノール))、ステンレス鋼、ポリマー(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:polyether ether ketone))、合成材料(ナイロン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA:polyether block amide))、及び/又は別の適切な材料から構成される中空円筒形のハイポチューブであり得る。いくつかの実施例では、長尺シャフト105は、約0.35mm~0.40mmの外径を有し得る。例えば、長尺シャフト105は、0.35mm、0.36mm、0.37mm、0.38mm、0.39mm、又は0.40mmの外径を有し得る。いくつかの実施例では、長尺シャフト105は、約0.20mm~0.25mmの内径を有し得る。いくつかの実施例では、長尺シャフト105は、約130cm~150cmの軸方向の長さを有し得る。例えば、長尺シャフト105は、約140cm、141cm、又は142cmの軸方向の長さを有し得る。
【0015】
管腔内機器101はまた、長尺シース102の遠位端をステアリングするためにユーザが作動させ得る、長尺シャフト105の近位端に接続されたハンドル109を含み得る。いくつかの実施例では、ハンドル109は、その近位端に、長尺シャフト105に対して動くように構成されたユーザ作動セグメント122を含み得る。コア・ワイヤ(
図1Aには図示せず)は、ユーザ作動セグメント122及びコイル遠位端110に接続され得る。
図1Fに示すように、長尺シャフト105に対するユーザ作動セグメント122の運動(例えば、軸方向の運動)によって、コア・ワイヤがコイル遠位端110に力を及ぼし、コイル104を真っ直ぐにするか又は曲げ得る。いくつかの実施例では、ユーザ作動セグメント122は円筒形で、長尺シャフト105の外径と実質的に等しい外径を有し得る。ユーザ作動セグメント122は、少なくとも部分的に中空であり得、且つ合金若しくは金属(例えば、ニッケルチタン合金)、ステンレス鋼、ポリマー、及び/又は別の適切な材料から構成され得る。ハンドル109は、
図1Aでは、ユーザ作動セグメント122を含むように描写されているが、当業者は、例示的なハンドルが、ホイール、スライダ、レバー、ジョイスティック、タッチパッド、回転式カフ、又はシースの曲げ伸ばしを制御するように構成された他の任意の構造など、長尺シース102の曲げ伸ばしを制御するための任意の適切な機構を含み得ることを理解するであろう。
【0016】
いくつかの実施例では、ハンドル109はまた、少なくとも部分的にユーザ作動セグメント122内に、且つ少なくとも部分的に長尺シャフト105内に位置付けられた内部部材124を含み得る。内部部材124は、ユーザ作動セグメント122又は長尺シャフト105に接続して、長尺シャフト105に対するユーザ作動セグメント122の運動を誘導し、且つ支持し得る。いくつかの実施例では、内部部材124は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、国際公開第2019/116102(A2)号に開示されたロック内部部材として構成され得る。
【0017】
いくつかの実施例では、例示的なコイル104は、複数のワイヤから形成され得、且つ異なる程度の可撓性のために構成された2つ以上のセグメントを含み得る。例えば、
図1Aに示すように、コイル104は、近位セグメント112、第1の移行(遷移)セグメント114、第2の移行セグメント116、及び遠位セグメント118を含み得る。いくつかの実施例では、近位コイル・セグメント112は、コイル近位端108を含み得、且つコイル104の他のセグメントよりも剛性が高いように構成され得る。これにより、近位コイル・セグメント112は、コイル104の残りの部分にトルクを伝達するように構成され得る。近位コイル・セグメント112は、第1の数のワイヤから形成され得、近位コイル・セグメント112を形成するために必要な第1の数のワイヤは、特定の制約に基づいている場合がある。例えば、特定の制約には、コイルの外径、コイルの内径、又はトルク伝達に最適なコイル角度が含まれ得る。いくつかの実施例では、近位コイル・セグメント112は、コイルを形成するためにらせん状に巻かれた約6~16本のワイヤから形成され得る。例えば、近位コイル・セグメント112は、らせん状に巻かれ、且つ近位コイル・セグメント112の軸方向の長さ全体に沿って延在する10本のワイヤから形成され得る。いくつかの実施例では、近位コイル・セグメント112は、約400mm~425mmの軸方向の長さを有し得る。例えば、近位コイル・セグメント112は、約410mmの軸方向の長さを有し得る。
【0018】
図1Bは、近位コイル・セグメント112の拡大図を示す。図に示すように、近位コイル・セグメント112のワイヤは、コイル104の下部平面に対して、したがって、コイル104の長手方向軸に対して、第1のコイル角度αで巻かれ得る。いくつかの実施例では、第1のコイル角度αは、55°~65°の角度であり得る。いくつかの実施例では、近位コイル・セグメント112を形成するために使用されるワイヤの数は、所望の第1のコイル角度αを達成するために、少なくとも部分的に、ワイヤの直径と、近位コイル・セグメント112が上に形成されるマンドレルの直径とに基づいて選択され得る。例えば、75μmの外径を有する10本のワイヤを、約0.36mmの外径を有するマンドレル上に編組して、約57°の所望の第1のコイル角度αを有する近位コイル・セグメント112を形成することができる。別の例として、85μmの外径を有する9本のワイヤを、約0.36mmの外径を有するマンドレル上に編組して、約56°の所望の第1のコイル角度αを有する近位コイル・セグメント112を形成することができる。
【0019】
図1Aを再び参照すると、コイル104は、近位コイル・セグメント112に隣接した少なくとも2つの移行セグメント114、116を更に含み得る。移行セグメント114及び116は、近位コイル・セグメント112と遠位コイル・セグメント118との間で可撓性が徐々に増加されるように構成され得る。
図1Aに示す実施例では、コイル104は、2つの移行セグメント114及び116を含み得る。いくつかの代替実施例では、コイル104は、3つの移行セグメント、4つの移行セグメント、5つの移行セグメント、6つの移行セグメント、又は他の任意の適切な数の移行セグメントを含み得る。移行セグメントの数は、近位コイル・セグメント112の剛性、遠位コイル・セグメント118の可撓性、コイル104の軸方向の長さ、又はコイル104の形成に使用されるワイヤ数を含む、様々なパラメータによって異なり得る。
【0020】
第1の移行セグメント114は、近位コイル・セグメント112にすぐ隣接していてもよく、且つ近位コイル・セグメント112よりも少ないワイヤから形成され得、これにより、第1の移行セグメント114は、近位コイル・セグメント112よりも可撓性が高く構成され得る。いくつかの実施例では、第1の移行セグメント114は、4~9本のワイヤから形成され得る。例えば、第1の移行セグメント114は、らせん状に巻かれ、且つ第1の移行セグメント114の軸方向の長さ全体に沿って延在する6本のワイヤから形成され得る。いくつかの実施例では、第1の移行セグメント114は、約3.0mm~8.0mmの軸方向の長さを有し得る。例えば、第1の移行セグメント114は、約5.0mmの軸方向の長さを有し得る。
【0021】
図1Cは、第1の移行セグメント114の拡大図を示す。図に示すように、第1の移行セグメント114のワイヤは、コイル104の下部平面に対して、したがって、コイル104の長手方向軸に対して、第2のコイル角度βで巻かれ得る。いくつかの実施例では、第2のコイル角度βは、55°~65°の角度であり得、且つ第1のコイル角度αより大きくてもよい。いくつかの実施例では、第1の移行セグメント114を形成するために使用されるワイヤの数は、所望の第2のコイル角度βを達成するために、少なくとも部分的に、ワイヤの直径と、第1の移行セグメント114が上に形成されるマンドレルの直径とに基づいて選択され得る。例えば、75μmの外径を有する6本のワイヤを、約210μmの外径を有するマンドレル上に編組して、約60°の所望の第2のコイル角度βを有する第1の移行セグメント114を形成することができる。
【0022】
図1Aを再び参照すると、第2の移行セグメント116は、第1の移行セグメント114にすぐ隣接していてもよく、且つ第1の移行セグメント114よりも少ないワイヤから形成され得、これにより、第2の移行セグメント116は、第1の移行セグメント114よりも可撓性が高く構成され得る。いくつかの実施例では、第2の移行セグメント116は、3~8本のワイヤから形成され得る。例えば、第2の移行セグメント116は、らせん状に巻かれ、且つ第2の移行セグメント116の軸方向の長さ全体に沿って延在する4本のワイヤから形成され得る。いくつかの実施例では、第2の移行セグメント116は、約3.0mm~8.0mmの軸方向の長さを有し得る。例えば、第2の移行セグメント116は、約5.0mmの軸方向の長さを有し得る。いくつかの実施例では、第1の移行セグメント114及び第2の移行セグメント116は、同じ軸方向の長さを有し得る。
【0023】
図1Dは、第2の移行セグメント116の拡大図を示す。図に示すように、第2の移行セグメント116のワイヤは、コイル104の下部平面に対して、したがって、コイル104の長手方向軸に対して、第3のコイル角度γで巻かれ得る。いくつかの実施例では、第3のコイル角度γは、65°~75°の角度であり得、且つ第2のコイル角度βより大きくてもよい。いくつかの実施例では、第2の移行セグメント116を形成するために使用されるワイヤの数は、所望の第3のコイル角度γを達成するために、少なくとも部分的に、ワイヤの直径と、第2の移行セグメント116が上に形成されるマンドレルの直径とに基づいて選択され得る。例えば、75μmの外径を有する4本のワイヤを、約210μmの外径を有するマンドレル上に編組して、約70°の所望の第3のピッチ角γを有する第2の移行セグメント116を形成することができる。
【0024】
図1Aを再び参照すると、遠位コイル・セグメント118は、第2の移行セグメント116にすぐ隣接していてもよく、且つコイル遠位端110を含み得る。遠位コイル・セグメント118は、非常に可撓性があるように構成され得るので、遠位コイル・セグメント118は、体の中を通って管腔内機器101を前進させるときに非外傷性となり得る。いくつかの実施例では、遠位コイル・セグメント118は、第2の移行セグメント116を含む、コイル104の他のセグメントよりも可撓性が高くてもよい。遠位コイル・セグメント118は、約1~4本のワイヤから形成され得る。例えば、遠位コイル・セグメント118は、らせん状に巻かれてコイルになる1本のワイヤ又は2本のワイヤから形成され得る。有利には、遠位コイル・セグメント118を1~4本のワイヤ(例えば、2本のワイヤ)から形成すると、柔らかく、且つ非外傷性の遠位コイル・セグメント118を提供することができるとともに、管腔内機器101の近位端に加えられたトルクを伝達するために遠位コイル・セグメント118の能力が依然と維持される。いくつかの実施例では、遠位コイル・セグメント118は、約15mm~25mmの軸方向の長さを有し得る。例えば、遠位コイル・セグメント118は、約20mmの軸方向の長さを有し得る。コイル104の様々なセグメント間でワイヤの数が減少することにより、コイル104の可撓性は、コイル近位端108からコイル遠位端110までの長手方向に徐々に増加し得る。有利には、コイル104のワイヤ数が減少すると、遠位コイル・セグメント118に対する近位コイル・セグメント112での剛性と、近位コイル・セグメント112に対する遠位コイル・セグメント118での可撓性とを達成することができる。更に、剛性は、近位コイル・セグメント112から遠位コイル・セグメント118までの長手方向に徐々に低下し得る。
【0025】
図1Eは、遠位コイル・セグメント118の拡大図を示す。図に示すように、遠位コイル・セグメント118のワイヤは、コイル104の下部平面に対して、したがって、コイル104の長手方向軸に対して、第4のコイル角度θで巻かれ得る。いくつかの実施例では、第4のコイル角度θは、77°~83°の角度であり得、且つ第3のコイル角度γより大きくてもよい。いくつかの実施例では、遠位コイル・セグメント118を形成するために使用されるワイヤの数は、所望の第4のコイル角度θを達成するために、少なくとも部分的に、ワイヤの直径と、遠位コイル・セグメント118が上に形成されるマンドレルの直径とに基づいて選択され得る。例えば、75μmの外径を有する2本のワイヤを、約210μmの外径を有するマンドレル上に編組して、約80°の所望の第4のピッチ角θを有する遠位コイル・セグメント118を形成することができる。
【0026】
コイル104に沿ってワイヤの数を減少させることに加えて、ワイヤが巻かれるコイルの角度は、近位コイル・セグメント112から遠位コイル・セグメント118まで変化し得る。コイル角度の変化により、近位コイル・セグメント112からコイル104の残りの部分への最大トルクの伝達を可能にし得るとともに、遠位コイル・セグメント118の所望の可撓性、及び管腔内機器101全体の構造強度も維持される。いくつかの実施例では、コイル104を形成するためにワイヤが巻かれるコイル角度は、近位コイル・セグメント112から遠位コイル・セグメント118に徐々に増加し得る。例えば、第2のコイル角度βは、第1のコイル角度αより大きい場合がある。更に又は或いは、第3のコイル角度γは、第2のコイル角度βよりも大きくてもよい。更に又は或いは、第4のコイル角度θは、第3のコイル角度γよりも大きくてもよい。有利には、コイル角度が大きくなると、コイル104の対応するセクションの可撓性を増加させることができる。遠位コイル・セグメント118は、最大コイル角度を有し得、したがって、コイル104の最も可撓性のあるセグメントであり得る。いくつかの実施例では、遠位コイル・セグメント118は、コイル104の遠位曲げセグメントを構成し得る。同様に、近位コイル・セグメント112は、最小のコイル角度を有し得、したがって、コイル104の最も剛性のあるセグメントであり得る。いくつかの実施例では、近位コイル・セグメント112は、コイル104の近位支持セグメントを構成し得る。
【0027】
図1Aに示す実施例では、コイル104は、その軸方向の長さ全体に沿って一定の直径を有し得る。例えば、近位コイル・セグメント112、第1の移行セグメント114、第2の移行セグメント116、及び遠位コイル・セグメント118は、約0.35mm~0.40mmの一定の外径、例えば、0.35mm、0.36mm、0.37mm、0.38mm、0.39mm、又は0.40mmの外径を有し得る。いくつかの代替実施例では、コイル104の直径は、近位コイル・セグメント112から遠位コイル・セグメント118に徐々に減少し得る。例えば、近位コイル・セグメント112は、約0.35mm~0.40mmの外径を有し得、遠位コイル・セグメント118は、約0.32mm~0.38mmの外径を有し得る。有利には、遠位コイル・セグメント118の直径が低減することにより、遠位セグメントが、近位コイル・セグメント112の可撓性よりも高い所望の可撓性を有することを可能にすることができる。
【0028】
図1Fは、コイル104の少なくとも一部分が湾曲構成に曲げられている管腔内機器101の例示的な構成を示す。いくつかの実施例では、遠位コイル・セグメント118の一部又はすべてが湾曲構成に曲がるように構成され得る。
図1Fに示すように、長尺シャフト105に対するユーザ作動セグメント122の軸方向の運動は、真っ直ぐな構成(例えば、
図1Aに示す構成)から湾曲若しくは角度が付けられた構成へ、又は湾曲若しくは角度が付けられた構成から真っ直ぐな構成若しくは異なる湾曲若しくは角度が付けられた構成へのコイル104(遠位コイル・セグメント118の少なくとも一部分を含む)の半径方向の曲げをもたらし得る。いくつかの実施例では、コイル104の曲げセグメントは、ハンドル109の作動により、真っ直ぐな構成から単一の方向に曲がる(例えば、真っ直ぐな構成から左側に向かうが、右側に向かわない)ように構成され得る。他の実施例では、コイル104の曲げセグメントは、ハンドル109の作動により、真っ直ぐな構成から2つの反対方向(例えば、真っ直ぐな構成から左側及び右側の両方)に曲がるように構成され得る。
【0029】
図2は、管腔内機器の例示的な長尺コア・ワイヤ230を示す。コア・ワイヤ230は、近位先端231と遠位先端239との間で延在し得る。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ230は、少なくとも部分的に管腔内機器101のシース102内に位置付けられて、コイル104の曲げ伸ばしを制御し得る。制御ワイヤ230は、合金若しくは金属(例えば、ニッケルチタン合金、即ち、ニチノール)、ステンレス鋼、ポリマー、及び/又は別の適切な材料から構成され得、且つポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene)コーティングを有し得る。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ230は、異なる断面形状及び/又は寸法を有する部分を含み得る。例えば、コア・ワイヤ230は、円形断面を有する部分232及び234と、部分232及び234に対してコア・ワイヤの断面積が減少している部分233及び235とを含み得る。
図2に示すように、コア・ワイヤ部分234は、コア・ワイヤ部分232から遠位に位置付けられ得る。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ部分232及び234は、円形断面で、約0.12mm~0.18mmの外径を有し得る。例えば、コア・ワイヤ部分232及び234の一方又は両方は、約0.15mmの外径を有し得る。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ部分232は、約140cm~155cmの軸方向の長さを有し得る。更に又は或いは、コア・ワイヤ部分234は、約350mm~405mmの軸方向の長さを有していてもよい。
【0030】
いくつかの実施例では、コア・ワイヤ部分233及び235は、非円形(例えば、楕円形、長円形、長方形など)の断面を有し得、且つコア・ワイヤ部分232及び234よりも小さい断面積を有し得る。例えば、いくつかの実施例では、コア・ワイヤ部分233及び235は、コア・ワイヤ230の部分を選択的に平坦化又は変形させることによって形成され得る。いくつかの代替実施例では、非円形部分233及び235は、コア・ワイヤ230の部分に追加材料を接着して非円形形状を形成することによって形成され得る。
図2に示すように、コア・ワイヤ部分235は、コア・ワイヤ部分233から遠位に位置付けられ得る。コア・ワイヤ230は、
図2では、2つの非円形部分233及び235を含むように描写されているが、当業者は、例示的なコア・ワイヤが、ゼロの部分、1つの部分、3つの部分、4つの部分、又は5つの部分など、任意の適切な数の非円形部分を含み得ることを理解するであろう。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ部分233は、約30mm~45mmの軸方向の長さ(例えば、約40mmの軸方向の長さ)を有し得る。更に又は或いは、コア・ワイヤ部分235は、約20mm~30mmの軸方向の長さ(例えば、約26mmの軸方向の長さ)を有していてもよい。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ部分235は、コア・ワイヤ部分233よりも短い軸方向の長さを有し得、コア・ワイヤ部分235の遠位端とコア・ワイヤ部分233の遠位端との間に約400mmのコア・ワイヤ230が提供され得る。
【0031】
図2に示すように、コア・ワイヤ230は更に、遠位端部分250を含み得る。遠位端部分250は、コア・ワイヤ部分235に隣接し得、且つコア・ワイヤの遠位先端239まで且つ遠位先端239を含むように延在し得る。コア・ワイヤ遠位端部分250は、約30mm~50mmの軸方向の長さ(例えば、約40mmの軸方向の長さ)を有し得る。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ230の第1の寸法(以下、高さと呼ぶ)は、コア・ワイヤの他の任意の部分におけるよりもコア・ワイヤ遠位端部分250において小さい場合がある。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ遠位端部分250は、コア・ワイヤの残りの部分よりも小さい断面積を有し得る。
【0032】
図2では、コア・ワイヤ遠位端部分250は、曲げ部237を含むものとして描写されているが、コア・ワイヤ230(コア・ワイヤ遠位端部分250を含む)は、真っ直ぐにされた構成に付勢され得る。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ遠位端部分250は、コア・ワイヤ遠位端部分250が曲げられるか又は折り返されてコア・ワイヤ曲げ部237を形成するように可撓性があり得る。コア・ワイヤ曲げ部237において、コア・ワイヤ230は、遠位軸方向(例えば、
図2の右方)から近位軸方向(例えば、
図2の左方)に変化し得る。コア・ワイヤ遠位端部分250は、コア・ワイヤ部分235と曲げ部237との間に延在する第1のループ部分236と、曲げ部237と遠位先端239との間に延在する第2のループ部分238とを含み得る。
図2の構成では、コア・ワイヤ曲げ部237は、第1のループ部分236及び第2のループ部分238が、ほぼ等しい軸方向の長さを有するように形成され得る。例えば、第1のループ部分236及び第2のループ部分238は両方とも、約20mmの軸方向の長さを有し得る。
【0033】
図3Aは、真っ直ぐにされた構成にある管腔内機器101の内部図を示す。長尺シース102(即ち、長尺シャフト105及びコイル104)は、長尺シャフト105の近位端からコイル遠位端110まで延在する内部チャネル102aを有し得る。内部チャネル102aは、長尺シャフト105及びコイル104の内部ルーメンによって形成され得る。
図3Aに示すように、コア・ワイヤ230は、
図2に示す曲がった構成の管腔内機器101内に位置付けられ得る。コア・ワイヤ230の近位端は、ハンドル109の一部分(例えば、ユーザ作動セグメント122)に固定され得る。コア・ワイヤ230は、長尺シース102の内部チャネル102aの中を通ってコイル遠位端110の位置又はその近くまで延在し得る。その結果、コア・ワイヤ遠位端部分250は、少なくとも部分的に遠位コイル・セグメント118内に位置付けられ得る。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ230は、コア・ワイヤ曲げ部237がコイル遠位端110の位置又はその近くに位置付けられるように、管腔内機器101内に位置付けられ得る。したがって、コア・ワイヤ曲げ部237は、コア・ワイヤ230の最遠位部分を構成し得る。第2のループ部分238は、コア・ワイヤ曲げ部237から近位に延在し得、これにより、コア・ワイヤ遠位先端239が、曲げ部237及びコイル遠位端110から近位に位置付けられ得る。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ曲げ部237は、ドーム・キャップ311に包まれ得る。ドーム・キャップ311は、エポキシから構成され得、且つ組織を傷つけないように丸みが付けられ得る。ドーム・キャップ311は、コイル遠位端110の近くで、部分的にシースの内部チャネル102aをエポキシで充填することで形成され得る。これにより、エポキシがコア・ワイヤ曲げ部237を覆い、且つ内部チャネル102aの壁に接触する。したがって、ドーム・キャップ311は、コア・ワイヤ曲げ部237をコイル遠位端110に結合し得る。
【0034】
図3Aの実施例では、長尺シャフト105及びコイル104は、実質的に等しい外径を有し得、外径は、長尺シース102の近位端と遠位端との間で実質的に一定のままである。例えば、長尺シース102は、約0.30mm~0.40mmの一定の外径(例えば、約0.36mmの外径)を有し得る。いくつかの代替実施例では、長尺シース102の特定の部分が、長尺シース102の他の部分よりも小さい外径を有し得る。例えば、コイル104の外径は、近位コイル・セグメント112から遠位コイル・セグメント118に徐々に減少し得、近位コイル・セグメント112は、第1の移行セグメント114よりも大きい外径を有し、第1の移行セグメント114は、第2の移行セグメント116よりも大きい外径を有し、第2の移行セグメント116は、遠位コイル・セグメント118よりも大きい外径を有する。有利には、外径の減少により、遠位コイル・セグメント118でのより高い可撓性を提供することができるとともに、近位コイル・セグメント112は、コイルの他のセグメントよりも剛性が高いままである。
【0035】
図3Bは、長尺シャフト105が近位コイル・セグメント112に接続されている位置の近くにあるコイル近位端108における管腔内機器101の断面図を示す。コア・ワイヤ部分233の一部分が、コイル近位端108の中を通って延在し得る。
図3Bに示すように、コア・ワイヤ部分233は、非円形の断面を有し得、コア・ワイヤ部分233の高さは、高さに垂直なコア・ワイヤ部分233の第2の寸法(以下、幅と呼ぶ)よりも小さい。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ部分233は、約0.10mm~0.15mmの高さを有し得る。例えば、コア・ワイヤ部分233は、約0.12mmの高さを有し得る。更に又は或いは、コア・ワイヤ部分233は、約0.15mmの幅を有していてもよい。
【0036】
図3Bに示すように、近位コイル・セグメント112は、らせんコイルに巻かれた6本~16本のワイヤ(例えば、10本のワイヤ)を含み得、コイルの中央に、内部チャネル102aが形成されている。コア・ワイヤ部分233は、
図3Bに描写する近位コイル・セグメント112の一部分の中を通って延在し得る。任意選択で、コイル近位端108の位置又はその近くに回転防止機構を提供して、コア・ワイヤ230とシース102との間の相対的な軸方向の運動は防止することなく、コア・ワイヤ230とシース102との間の軸方向の回転を防止してもよい。
図3Bの実施例では、長尺シャフト105とコイル104との間の内部チャネル102aに沿って延在する内部コネクタ342が、コイル近位端108に提供され得る。接着剤又は結合材料343(例えば、PEEK)が、内部コネクタ342と長尺シャフト105との間のスペース及び/又は内部コネクタ342と近位コイル・セグメント112との間のスペースに提供され得る。このため、内部コネクタ342は、長尺シャフト105とコイル104とを一緒に固定し得る。
【0037】
内部コネクタ342は、合金若しくは金属(例えば、ニッケルチタン合金、即ち、ニチノール)、ステンレス鋼、ポリマー、及び/又は別の適切な材料から構成される中空チューブであり得る。いくつかの実施例では、内部コネクタ342は、約3.0mm~30mmの軸方向の長さを有し得る。例えば、内部コネクタ342は、約4.0mm~16mmの軸方向の長さを有し得る。いくつかの実施例では、内部コネクタ342は、約0.20mmの外径と、約0.16mmの内径とを有し得る。いくつかの実施例では、内部コネクタ342は、(
図3Bに示すように)楕円形又は長円形の断面を有し得、この中を通ってコア・ワイヤ部分233が延在し得る。内部コネクタ342及びコア・ワイヤ部分233は両方とも、それぞれの幅よりもそれぞれの高さが小さい非円形の断面を含み得る。更に、内部コネクタ342の内径は、コア・ワイヤ部分233の外径よりも若干大きく、これにより、内部コネクタ342とコア・ワイヤ部分233との間にスペース348が提供され得る。その結果、内部コネクタ342及びコア・ワイヤ部分233は、シース102に対するコア・ワイヤ230の軸方向の回転に抵抗し得るとともに、シース102に対するコア・ワイヤ230の軸方向の運動を許可する。更に又は或いは、コイル近位端108の位置又はその近くに異なる回転防止機構を提供して、コア・ワイヤ230とシース102との間の軸方向の回転を防止してもよい。有利には、1つ又は複数の回転防止機構を内部チャネル102a内に追加することで、コア・ワイヤ230が長尺シース102内でねじれないようにし、且つコア・ワイヤ230からコイル遠位端110への力伝達の1:1比を維持することができる。
【0038】
図3Cは、コイルの第1の移行セグメント114に沿った管腔内機器101の断面図を示す。コイルの第1の移行セグメント114は、らせんコイルに巻かれた4本~9本のワイヤ(例えば、6本のワイヤ)を含み得、コイルの中央に、内部チャネル102aが形成されている。コア・ワイヤ部分235は、
図3Cに描写する第1の移行セグメント114の一部分の中を通って延在し得る。
図3Cに示すように、コア・ワイヤ部分235は、非円形の断面を有し得、コア・ワイヤ部分235の高さは、コア・ワイヤ部分235の幅よりも小さい。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ部分235は、約0.10mm~0.15mmの高さを有し得る。例えば、コア・ワイヤ部分235は、約0.12mmの高さを有し得る。更に又は或いは、コア・ワイヤ部分235は、約0.15mmの幅を有していてもよい。
【0039】
いくつかの実施例では、コア・ワイヤ230とコイル104との間の相対的な軸方向の運動は防止することなく、コイル104に対するコア・ワイヤ230の軸方向の回転を防止するように、回転防止機構が第1の移行セグメント114内に提供され得る。例えば、運動リストリクタ344が、回転防止機構として、少なくとも部分的に第1の移行セグメント114内に提供され得る。運動リストリクタ344には、ポリマー(例えば、PEEK)、接着剤、溶接部、及び/又は他の任意の適切な材料が含まれ得る。運動リストリクタ344の材料をコイル104の中に挿入して、第1の移行セグメント114の内部ルーメンの非円形の断面を形成し得る。いくつかの実施例では、運動リストリクタ344の材料を、内部チャネル102aの壁に沿って2箇所に配置し得る。2箇所は、約180°離れて位置付けられている。
図3Cに示すように、運動リストリクタ344は、コア・ワイヤ部分235の断面の長いエッジ(即ち、
図3Cのコア・ワイヤ部分235の上部エッジ及び下部エッジ)に隣接し得る。いくつかの代替実施例では、運動リストリクタ344の材料を、内部チャネル102aの壁に沿ってより多く又は少ない位置に配置し得る。内部チャネル102a内に運動リストリクタ344を配置すると、非円形のコア・ワイヤ部分235が第1の移行セグメント114内で回転することを防止し得るとともに、コア・ワイヤ部分235と第1の移行セグメント114との間の相対的な軸方向の運動は妨げられないままにし得る。いくつかの代替実施例では、コイルの第1の移行セグメント114は、回転防止機構なしで提供され得る。このような実施例では、コア・ワイヤ230は、第1の移行セグメント114内に、コア・ワイヤの部分232及び234と同様の円形の断面形状を有し得る。
【0040】
図3Dは、遠位コイル・セグメント118に沿った管腔内機器101の断面図を示す。図に示すように、遠位コイル・セグメント118は、らせんコイルに巻かれた1本~4本のワイヤ(例えば、2本のワイヤ)を含み得、コイルの中央に、内部チャネル102aが形成されている。
図3Dの断面図は、コア・ワイヤ遠位端部分250が位置付けられ得るコイル104のセグメントを描写し得る。したがって、コア・ワイヤの第1のループ部分236及び第2のループ部分238の両方が、
図3Dに描写する遠位コイル・セグメント118の一部分の中を通って延在し得る。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ遠位端部分250(第1のループ部分236及び第2のループ部分238を含む)は、約0.030mm~0.040mmの高さを有し得る。例えば、コア・ワイヤ遠位端部分250は、約0.036mmの高さを有し得る。更に又は或いは、コア・ワイヤ遠位端部分250は、約0.05mm~0.15mmの幅を有していてもよい。例えば、コア・ワイヤ遠位端部分250は、約0.11mmの幅を有し得る。
【0041】
いくつかの実施例では、コア・ワイヤ230とコイル104との間の相対的な軸方向の運動は防止することなく、コイル104に対するコア・ワイヤ230の軸方向の回転を防止するように、運動リストリクタ346が遠位コイル・セグメント118内に提供され得る。例えば、
図3Cの運動リストリクタ344と同様の構成を有する運動リストリクタ346が、回転防止機構として、少なくとも部分的に遠位コイル・セグメント118内に提供され得る。運動リストリクタ346には、ポリマー(例えば、PEEK)、接着剤、溶接部、及び/又は他の任意の適切な材料が含まれ得る。運動リストリクタ346の材料は、コイル104の中に挿入され得、且つ少なくとも部分的に内部チャネル102a内に位置付けられ得る。したがって、運動リストリクタ346は、内部チャネル102aの狭窄部を形成し得る。
図3Dの構成では、コア・ワイヤの第1のループ部分236は、内部チャネル102aの中央に位置付けられ得、これにより、第1のループ部分236は、遠位コイル・セグメント118又は運動リストリクタ346と接触していない。第2のループ部分238は、遠位コイル・セグメント118により近接して位置付けられ得、第2のループ部分238の少なくとも1つの表面は、運動リストリクタ346に当たって且つ接触して位置決めされ得る。いくつかの実施例では、運動リストリクタ346は、内部チャネル102aの中へ突出して段差部を形成し得、第2のループ状部分238の少なくとも1つの表面が段差部に当たって位置決めされるように構成されている。運動リストリクタ346は、コア・ワイヤの第2のループ部分238を内部チャネル102aの壁に結合し、したがって、シース102と第2のループ部分238と遠位先端239との間の相対的な軸方向及び回転移動を防止し得る。したがって、運動リストリクタ346は、コア・ワイヤ230の回転防止機構としても、第2のループ部分238と遠位コイル・セグメント118との間の結合部としても構成され得る。コア・ワイヤの第2のループ部分238は、運動リストリクタ346を超えて近位に延在し得るため、コア・ワイヤとシースの内壁との間の結合部は、コア・ワイヤの遠位先端239から遠位に位置付けられ得る。
【0042】
いくつかの代替実施例では、運動リストリクタ346は、シースの内部チャネル102a内に位置付けられたインサートを含み得る。例えば、運動リストリクタ346は、内部コネクタ342又は別のリング状インサートと同様の構成を有し得、且つ内部チャネル102aの壁に接続され得る。更に又は或いは、運動リストリクタ346のインサートは、内部チャネル102aの壁に接続されたシース102内の部分的な障害物として構成されていてもよい。
【0043】
図3Eは、真っ直ぐにされた構成にある管腔内機器101の遠位部分の拡大図を示す。いくつかの実施例では、シース102は、
図3Eの真っ直ぐにされた構成に付勢され得、コイル104の少なくとも一部分(例えば、遠位コイル・セグメント118)は、コア・ワイヤ230に軸方向の引っ張り力が及ぼされると曲がるように構成され得る。コア・ワイヤ230は、ドーム・キャップ311によって及び運動リストリクタ346によってシース102に結合され得る。この2つの接続点を除き、コア・ワイヤ230は、シース102に対して動くように構成され得る。
図3Eに示すように、コア・ワイヤの第2のループ部分238は、第1のループ部分236と遠位コイル・セグメント118との間に提供され得る。しかしながら、管腔内機器101が、
図3Eに描写する真っ直ぐな構成にあるときは、第2のループ部分238は、遠位コイル・セグメント118から離間され、これにより、第2のループ部分238と内部チャネル102aの壁との間に間隙が提供され得る。運動リストリクタ346及びドーム・キャップ311の両方は、コイル104とコア・ワイヤ230との間で延在しているため、コイルとコア・ワイヤが一緒に結合され得る。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ曲げ部237は、コイルの遠位端110とともに、均等に位置付けられ得る。或いは、コア・ワイヤ曲げ部237は、コイル遠位端110から近位に位置付けられていてもよい。
【0044】
図3Eに示すように、第2のループ部分238は、運動リストリクタ346を超えて遠位に延在し得る。その結果、コア・ワイヤの遠位先端239は、運動リストリクタ346から近位に位置付けられ得る。任意選択で、運動リストリクタ346を超えて近位に拡張する第2のループ部分238の部分に、機械的段差部390を提供してもよい。段差部390には、コイル104に面している(例えば、
図3Eでは上向きに)第2のループ部分238の表面に追加された材料を含み得、これにより、コア・ワイヤは運動リストリクタ346の側面(例えば、
図3Eの運動リストリクタ346の左の垂直面)に接触し得るとともに、第2のループ部分238のより遠位なセクションは運動リストリクタ346の軸方向に向いた表面(例えば、
図3Eの運動リストリクタ346の下面)と接触し得る。したがって、機械的段差部390を含む第2のループ部分238の一部分は、機械的段差部のない第2のループ部分238の部分よりも大きな断面積を有し得る。有利には、コア・ワイヤ230が軸方向に引っ張られると、段差部390は、運動リストリクタ346の隣接する表面を押すため、運動リストリクタ346に対するコア・ワイヤの運動に抗する更なる抵抗を提供することができる。したがって、段差部390は、コア・ワイヤ230と運動リストリクタ346との間の結合力を増加させ得る。いくつかの代替実施例では、遠位先端239を運動リストリクタ346に接触させて配置し得る。
【0045】
いくつかの実施例では、コア・ワイヤ部分235とコア・ワイヤ遠位端部分250との間の移行部235tは、管腔内機器101が
図3Eに描写される真っ直ぐな構成にある間に、運動リストリクタ346の近位端と遠位端との間に位置付けられ得る。更に、内部チャネル102aの壁と第1のループ部分236及び第2のループ部分238との間に間隙355が形成され得る。つまり、運動リストリクタ346及びドーム・キャップ311によって形成されたコア・ワイヤ230とコイル104との間の接続部を除き、コア・ワイヤ遠位端部分250の残りの部分は、管腔内機器が真っ直ぐな構成にあるときに内部チャネル102aの壁から離間され得、したがって、間隙355が形成される。
【0046】
図3Fは、第1の湾曲構成にある管腔内機器101の遠位部分を示す。
図3Fの湾曲構成は、コア・ワイヤ230に(例えば、シース102に対するユーザ作動セグメント122の近位の動きによって引き起こされ得る)近位方向の力を加えることによってもたらされ得る。コア・ワイヤ遠位端部分250は、その断面積が比較的小さいため、コア・ワイヤの残りの部分と比べて低い慣性モーメントを有し得る。その結果、コア・ワイヤ230に軸方向の力を加えると、コア・ワイヤの第1のループ部分236及び第2のループ部分238に、コア・ワイヤ230の他の部分を座屈させることなく、それぞれの真っ直ぐにされた構成から湾曲構成に座屈させ得る。ドーム・キャップ311によって及び運動リストリクタ346によって形成されるコア・ワイヤ遠位端部分250とコイル104との間の結合部により、第1のループ部分236及び第2のループ部分238の座屈は、コイル104の遠位部分を、
図3Eの真っ直ぐな構成から
図3Fの湾曲構成に半径方向に曲げさせ得る。いくつかの実施例では、第2のループ部分238の回転は許可するが、第2のループ部分238の軸方向の運動を防止することによって、運動リストリクタ346をコア・ワイヤ遠位端部分250のヒンジとして構成し得る。その結果、第1のループ部分236及び第2のループ部分238は、第2のループ部分238の端が回転に抗して固定されている構成と比較して低い、加えられる軸方向の力で座屈し得る。有利には、運動リストリクタ346のヒンジは、管腔内機器101の遠位端の曲げを引き起こすために必要な力の大きさを低減することによって、遠位コイル端110のステアリング能力を向上させることができる。
【0047】
いくつかの実施例では、コア・ワイヤ230に軸方向の力を加えることによって、運動リストリクタ346から遠位のコイル104の長さ全体が曲がり得る。その結果、コア・ワイヤ230に軸方向の力を加えることによって、遠位コイル・セグメント118の一部又はすべてが曲がるように構成され得る。ドーム・キャップ311は、コイル遠位端110に対する運動に抗してコア・ワイヤ曲げ部237を固定し得る。同様に、運動リストリクタ346は、運動リストリクタ346と接触しているコイル104の一部分に対する運動に抗して運動リストリクタ346と接触している第2のループ部分238の一部分を固定し得る。しかしながら、ドーム・キャップ311と運動リストリクタ346との間の第1のループ部分236及び第2のループ部分238のセクションは、コイル104内で自由に動くことができ、且つコア・ワイヤ230に力が加えられると、コイル内で間隙355の中へ座屈するか又は他の方法で変形し得る。更に、
図3Fに示すように、コア・ワイヤ230の近位の動きは、シース102に対してコア・ワイヤ移行部235tを近位方向に引っ張り得る。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ遠位端部分250は、コア・ワイヤ230に繰り返し力を及ぼす(例えば、コア・ワイヤ230を近位方向に引っ張る)と、コア・ワイヤ230の安定した方向性の屈曲がもたらされ得るように構成され得る。これは、ドーム・キャップ311及び運動リストリクタ346によって形成されたコア・ワイヤ230とシース102との間の結合部、並びにコア・ワイヤ遠位端部分250の非円形の断面形状によるものであり得る。具体的には、コイル104内のコア・ワイヤ遠位端部分250の前述の形状及び配置により、コア・ワイヤ遠位端部分250は、コア・ワイヤ230に近位方向の力及び遠位方向の力がそれぞれ及ぼされたときに、
図3F及び
図3Gに描写されている構成に優先的に座屈し得る。
【0048】
図3Gは、
図3Fの構成とは反対の方向でコイル104が半径方向に曲がる第2の湾曲構成にある管腔内機器101の遠位部分を示す。
図3Gの湾曲構成は、コア・ワイヤ230に(例えば、シース102に対するユーザ作動セグメント122の遠位の動きによる)遠位方向の力を加えることによってもたらされ得る。コア・ワイヤ230に遠位の力を加えることにより、第1のループ部分236及び第2のループ部分238に、
図3Fの座屈方向とは反対の方向に座屈させ得る。第1のループ部分236及び第2のループ部分238の座屈により、コイル104の遠位部分を、
図3Fの曲げ方向とは反対の第2の曲げ方向(即ち、
図3Fの下向きと比較して、
図3Gでは上向き)に半径方向に曲げさせ得る。
図3Gに示すように、コア・ワイヤ230の遠位の運動は、シース102に対してコア・ワイヤ移行部235tを遠位方向に押し得る。
【0049】
有利には、ループ状のコア・ワイヤ230は、管腔内機器101の遠位端の曲げをもたらすのに必要な力の大きさを低減することができる。具体的には、コア・ワイヤ遠位端部分250の慣性モーメントが低いことは、運動リストリクタ346のヒンジ並びにコイル遠位セグメント118内のコア・ワイヤ部分236及び238の配置と組み合わさって、ループ状のコア・ワイヤが組み込まれていない当技術分野において知られている管腔内機器を曲げるために必要な力の半分未満の印加の下で、コア・ワイヤ遠位端部分250が座屈することを可能にし得る(したがって、管腔内機器101の曲げを可能にする)。その結果、管腔内機器101の遠位端を所望の湾曲構成に曲げるために必要な力が少なくて済むため、ループ状のコア・ワイヤ230は、管腔内機器101の遠位端のより正確なステアリングを提供することができる。更に、遠位コイル・セグメント118内のコイル配置と、管腔内機器101の丸みを帯びた非外傷性のエッジとしてのドーム・キャップ311の構成とにより、管腔内機器101は、柔らかい非外傷性の先端を有し得る。したがって、ループ状のコア・ワイヤ230によりステアリングが向上されることによって、周囲の解剖学的構造を傷つけることなく、体の細い蛇行した管腔(例えば、頭蓋内血管)の中を通って、管腔内機器101を容易に操作することができる。
【0050】
図4は、管腔内機器の長尺コイルの例示的な製造方法400を示す。当業者は、本明細書に開示する製造方法400は例示に過ぎず、他の方法を使用して、本明細書に開示する管腔内機器の長尺コイルを製造することができることを理解するであろう。更に、例示的な方法400を使用して、管腔内機器101のコイル104を含み、且つこれに限定されない、管腔内機器の任意の適切なコイルを製造することができる。本明細書に開示する例示的な方法400は、近位コイル・セグメント、遠位コイル・セグメント、及び近位コイル・セグメントと遠位コイル・セグメントとの間の2つの移行セグメントを有する長尺コイルの製造について説明するが、当業者は、任意の適切な数の移行セグメントを有する長尺コイルを、各コイル・セグメント間でコイルの少なくとも1つのパラメータ(例えば、ワイヤの数、ワイヤの材料(複数可)、ワイヤ・ゲージ、コイル直径、個々のワイヤ間の間隔、及び/又はワイヤのグループ間の間隔)を異ならせて、方法400に従って製造することができることを理解するであろう。例えば、方法400に従って製造される例示的なコイルは、コイルの近位セグメントと遠位セグメントとの間に、1つの移行セグメント、3つの移行セグメント、4つの移行セグメント、5つの移行セグメント、6つの移行セグメント、7つの移行セグメント、8つの移行セグメント、又は他の任意の適切な数の移行セグメントを含み得る。
【0051】
方法400のステップ402において、コイルの近位端から始めて、コイルの遠位端に向かって、6本~16本のワイヤ(例えば、10本のワイヤ)をらせん状に巻いて近位コイル・セグメントを形成し得る。10本のワイヤは、単一の一体構造として近位コイル・セグメントを形成するように、連続的に巻かれ得る。いくつかの実施例では、ワイヤは、コイルの所望の形状及びサイズを生成するために選択された形状、寸法、及び構成を有するマンドレル上に巻かれ得る。方法400のステップ404において、近位コイル・セグメントの遠位端を形成する際に、近位コイル・セグメントのワイヤのうちの所定数(例えば、4本)を切断するか、又は他の方法で取り除き得る。方法400のステップ406において、コイルの遠位端に向かって、残りのワイヤを連続的に巻くことによって、コイルの第1の移行セグメントを形成し得る。第1の移行セグメントは、4本~9本のワイヤ(例えば、6本のワイヤ)を含み得る。いくつかの実施例では、6本のワイヤがマンドレルの対応するセクションに沿って巻かれ得る。方法400のステップ408において、第1の移行セグメントの遠位端を形成する際に、第1の移行セグメントのワイヤのうちの所定数(例えば、2本)を切断するか、又は他の方法で取り除き得る。方法400のステップ410において、コイルの遠位端に向かって、残りのワイヤを連続的に巻くことによって、コイルの第2の移行セグメントを形成し得る。第2の移行セグメントは、3本~8本のワイヤ(例えば、4本のワイヤ)を含み得る。いくつかの実施例では、4本のワイヤがマンドレルの対応するセクションに沿って巻かれ得る。方法400のステップ412において、第2の移行セグメントの遠位端を形成する際に、第2の移行セグメントのワイヤのうちの所定数(例えば、2本)を切断するか、又は他の方法で取り除き得る。方法400のステップ414において、残りのワイヤを連続的に巻いて遠位コイル・セグメントを形成し得る。遠位コイル・セグメントは、1本~4本のワイヤ(例えば、2本のワイヤ)を含み得る。方法400の任意選択のステップ416において、製造方法400中にワイヤが切断された後、任意の余分なワイヤを切断したり、接着剤、エポキシ接着剤、熱収縮、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及び/又は他の任意の結合材料などの保護材料で切断されたワイヤの露出したエッジを覆ったりして、コイルは後処理され得る。
【0052】
有利には、ステップ404、408、及び414において、コイルからワイヤを切断するか、又は他の方法で取り除くことによって、コイルの近位端からコイルの遠位端まで徐々に可撓性が増加し得る。更に、コイル・セグメント間でワイヤを徐々に取り除くことによってコイルを形成することにより、コイル全体を単一の一体構造として形成し、且つ別々のセグメントを一緒に接続するために剛性接続を組み込む必要をなくすことができ、これにより、コイルの可撓性が向上される。
【0053】
図5は、真っ直ぐにされた構成にある別の例示的な管腔内機器501を示す。管腔内機器501は、長尺コイル504を含む長尺シース502と、コイル504の近位端に接続された長尺シース505とを含み得る。管腔内機器501はまた、シース505の近位端に接続されたハンドル509を含み得る。コイル504は、複数のらせん状に巻かれたワイヤから形成され得、且つ
図1Aの長尺コイル104と同様の構成を有し得る。つまり、コイル504は、近位コイル・セグメント512、第1の移行セグメント514、第2の移行セグメント516、及び遠位コイル・セグメント518を含み得る。いくつかの実施例では、ドーム・キャップ511が遠位コイル端510に形成され得る。近位コイル・セグメント512は、5~12本のニチノール・ワイヤ(例えば、8本のニチノール・ワイヤ)と、X線不透過性コア(例えば、30%タンタル・コア)を有するニチノールでできている1本~4本のワイヤ(例えば、2本のワイヤ504a)とから形成され得る。これらのワイヤは、らせん状に巻かれて近位コイル・セグメント512を形成し、ニチノール・ワイヤのうちの所定数(例えば、4本)が、近位コイル・セグメント512の遠位端で切断され得る。残りのワイヤ(例えば、3本~5本のニチノール・ワイヤ、及び1本~4本のX線不透過性コアを有するニチノール・ワイヤ)は、らせん状に巻かれて第1の移行セグメント514を形成し、少なくとも1つの追加ニチノール・ワイヤ(例えば、別の2本のニチノール・ワイヤ)が、第1の移行セグメント514の遠位端で切断され得る。残りのワイヤ(例えば、2本~4本のニチノール・ワイヤ、及び1本~4本のX線不透過性コアを有するニチノール・ワイヤ)は、らせん状に巻かれて第2の移行セグメント516を形成し、残りの、X線不透過性コアを有さないニチノール・ワイヤが、第2の移行セグメント516の遠位端で切断され得る。コイル遠位セグメント518は、X線不透過性コアを有するニチノール・ワイヤから形成され得る。したがって、コイル504の軸方向の長さ全体がX線不透過性になり得る。
【0054】
図6A及び
図6Bは、例示的な管腔内機器601を介するマイクロカテーテル660の前進を示す。管腔内機器601は、例えば、
図1Aの管腔内機器101又は
図5の管腔内機器501と同じ又は同様の構成を有し得る。いくつかの実施例では、管腔内機器601は、長尺コイル604と、コイル604の遠位端を湾曲構成に曲げるように構成されたループ状のコア・ワイヤ(図示せず)とを含み得る。管腔内機器601は、管腔内機器を介するマイクロカテーテル660の前進のための内部的支持を提供し得る。
図6Bに示すように、管腔内機器601は、マイクロカテーテル660が前進している管腔内機器601の一部分と同様の形状にマイクロカテーテル660がなり得るように、マイクロカテーテル660を成形するように構成され得る。いくつかの実施例では、管腔内機器601は、管腔内機器601の遠位端が所望の解剖学的位置に配置されるまで、体の中を通って航行され得る。例えば、頭蓋内血管内の位置に管腔内機器601を配置し得る。所望の解剖学的位置に管腔内機器を配置した後、第2の機器(例えば、例示的なマイクロカテーテル660)を、該第2の機器が解剖学的位置に到達するまで、管腔内機器601を介して前進させ得る。いくつかの実施例では、第2の機器は、解剖学的位置で治療及び/又は診断プロセスを実行するように構成され得る。
【0055】
図7Aは、真っ直ぐにされた構成にある例示的な管腔内機器701の遠位部分を示す。
図7Bは、湾曲構成にある管腔内機器701の遠位部分を示す。管腔内機器701は、長尺コイル704と、少なくとも部分的にコイル704の中に延在しているループ状のコア・ワイヤ730とを含み得る。コイル704は、可撓性遠位コイル・セグメント718と、遠位コイル・セグメント718よりも剛性があり、可撓性が低いように構成され得る移行セグメント716とを含む、可撓性の程度が異なる2つ以上のセグメントを含み得る。コア・ワイヤ730は、コア・ワイヤのより幅広の部分735から遠位に延在する第1のループ部分736を有する遠位端部分750と、コア・ワイヤ730が曲げられ得る又は折り返され得るコア・ワイヤ曲げ部737と、曲げ部737とコア・ワイヤの遠位先端739との間に延在する第2のループ部分738とを含み得る。コア・ワイヤ730は、コア・ワイヤ曲げ部737において、遠位軸方向(例えば、
図7Aの右方)から近位軸方向(例えば、
図7Aの左方)に変化し得る。いくつかの実施例では、運動リストリクタ746によって、第2のループ部分738の一部分がコイル704に固定され得る。
図7A及び
図7Bに示す実施例では、遠位先端739を運動リストリクタ746に接触させて配置し得る。或いは、第2のループ部分738は、運動リストリクタ746を超えて近位に延在していてもよく、これにより、遠位先端739は、運動リストリクタ746から近位に位置付けられ得る。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ遠位端部分750は、
図3Aに示され、且つ
図3Aを参照して前述したコア・ワイヤ遠位端部分250と同じ又は同様の形状、サイズ、及び構成を有し得る。コア・ワイヤ曲げ部737は、遠位コイル端710の位置又はその近くに位置付けられ得る。
【0056】
いくつかの実施例では、コア・ワイヤ曲げ部737は、コイル704への直接的な結合又は取り付けがなくてもよい。コア・ワイヤ730が軸方向の力(例えば、近位方向の力)を受けると、その力によって第1のループ部分736及び第2のループ部分738が、
図7Bの湾曲構成などの湾曲構成に座屈され得る。
図3E~
図3Gを参照して前述したように、運動リストリクタ746がコア・ワイヤ遠位端部分750のヒンジとして構成されていることにより、第1のループ部分736及び第2のループ部分738は、コア・ワイヤ730に軸方向の力が加えられると座屈し得る。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ730に軸方向の力を加えることによって、運動リストリクタ746から遠位のコイル704の長さ全体が曲がるように構成され得る。その結果、コア・ワイヤ730に軸方向の力を加えることによって、管腔内機器701の遠位コイル・セグメント718の一部又はすべてが曲がるように構成され得る。
【0057】
図8は、真っ直ぐにされた構成にある別の例示的な管腔内機器801の遠位部分を示す。管腔内機器801は、長尺コイル804と、コイル804の内部チャネル802aの中に延在しているループ状のコア・ワイヤ830とを含み得る。コイル804は、第1の移行セグメント814、第1の移行セグメントよりも可撓性が高いように構成された第2の移行セグメント816、及び第2の移行セグメントよりも可撓性が高いように構成された遠位コイル・セグメント818を含む、可撓性の程度が異なる2つ以上のセグメントを含み得る。コア・ワイヤ830は、
図3Aに描写されるコア・ワイヤ遠位端部分250又は
図7Aに描写されるコア・ワイヤ遠位端部分750と同じ又は同様の断面形状及びサイズを有する遠位端部分850を含み得る。
【0058】
いくつかの実施例では、コア・ワイヤ遠位端部分850は、第1のコア・ワイヤ曲げ部837aでの管腔内機器801の近位端に向かうコア・ワイヤ830の折り返しに続いて、コア・ワイヤ830が、第2のコア・ワイヤ曲げ部837bで管腔内機器801の遠位端に向かって折り返して戻ることができる二重折り返し部を含み得る。つまり、コア・ワイヤ遠位端部分850は、コア・ワイヤ830が近位軸方向から遠位軸方向に又はその逆も同様に変化し得る第1のコア・ワイヤ曲げ部837a及び第2のコア・ワイヤ曲げ部837bを含み得る。コア・ワイヤの第1のループ部分850aは、コア・ワイヤのより幅広の部分835から遠位に、遠位コイル端810の位置又はその近くに位置付けられ得る第1のコア・ワイヤ曲げ部837aまで延在し得る。コア・ワイヤの第2のループ部分850bは、第1のコア・ワイヤ曲げ部837aから近位に、第1のコア・ワイヤ曲げ部837aから近位に位置付けられ得る第2のコア・ワイヤ曲げ部837bまで延在し得る。コア・ワイヤの第3のループ部分850cは、第2のコア・ワイヤ曲げ部837bから遠位に、コア・ワイヤの遠位先端839まで延在し得る。いくつかの実施例では、遠位先端839は、第1のコア・ワイヤ曲げ部837aと同じ軸方向位置に位置付けられ得る。或いは、遠位先端839は、第1のコア・ワイヤ曲げ部837aから近位に又は遠位に位置付けられていてもよい。いくつかの実施例では、第1のループ部分850a又は第3のループ部分850cの一方又は両方は、
図2の第1のループ部分236と同じ又は同様の軸方向の長さを有し得る。更に又は或いは、第2のループ部分850bは、
図2の第2のループ部分238と同じ又は同様の軸方向の長さを有していてもよい。
【0059】
いくつかの実施例では、管腔内機器801は、第2のコア・ワイヤ曲げ部837bの位置又はその近くに位置付けられ得る運動リストリクタ846を含み得る。
図8は、内部チャネル802aの片側に沿って位置付けられた運動リストリクタ846を描写しているが、
図3Dに描写する運動リストリクタ346の構成と同様に、運動リストリクタ846は、内側チャネル802aの両側に沿って位置付けられていてもよい。運動リストリクタ846は、第3のループ部分850cの少なくとも一部分に接触し得るため、コア・ワイヤ遠位端部分850をコイル804に結合する。更に又は或いは、管腔内機器801は、コイル遠位端810にドーム・キャップ811を含み得る。ドーム・キャップ811は、エポキシから構成され得、且つ組織を傷つけないように丸みが付けられ得る。
図8に示すように、第1のコア・ワイヤ曲げ部837a及びコア・ワイヤ遠位先端839は、ドーム・キャップ811に包まれ得る。ドーム・キャップ811は、コイル遠位端810の近くで、部分的に内部チャネル802aをエポキシで充填することで形成され得る。これにより、エポキシが第1のコア・ワイヤ曲げ部837a及びコア・ワイヤ遠位先端839を覆い、且つ内部チャネル802aの壁に接触する。したがって、ドーム・キャップ811は、第1のコア・ワイヤ曲げ部837a及びコア・ワイヤ遠位先端839を互いに対して、且つコイル遠位端810に結合し得る。
【0060】
コア・ワイヤ830が軸方向の力を受けると、その力によってループ・セクション850a、850b、及び850cが座屈され得、管腔内機器801の遠位部分が湾曲構成となるように半径方向に曲げられる。
図3E~
図3Gを参照して前述したように、運動リストリクタ846がコア・ワイヤ遠位端部分850のヒンジとして構成されていることにより、ループ・セクション850a、850b、及び850cは、コア・ワイヤ830に軸方向の力が加えられると座屈し得る。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ830に軸方向の力を加えることによって、遠位コイル・セグメント818の一部又はすべてが曲がるように構成され得る。
【0061】
図9は、真っ直ぐにされた構成にある更なる例示的な管腔内機器901の遠位部分を示す。管腔内機器901は、長尺コイル904と、コイル904の内部チャネル902aの中に延在しているループ状のコア・ワイヤ930とを含み得る。コイル904は、第1の移行セグメント914、第1の移行セグメントよりも可撓性が高いように構成された第2の移行セグメント916、及び第2の移行セグメントよりも可撓性が高いように構成された遠位コイル・セグメント918を含む、可撓性の程度が異なる2つ以上のセグメントを含み得る。いくつかの実施例では、運動リストリクタ946が、回転防止機構として、コイル904内に提供され得る。運動リストリクタ946には、ポリマー(例えば、PEEK)、接着剤、溶接部、及び/又は他の任意の適切な材料が含まれ得、且つ
図3Aの運動リストリクタ346又は
図7Aの運動リストリクタ746と同じ又は同様の構成を有し得る。コア・ワイヤ930は、
図3Aのコア・ワイヤ遠位端部分250、
図7Aのコア・ワイヤ遠位端部分750、又は
図8のコア・ワイヤ遠位端部分850と同じ又は同様の断面形状及びサイズを有する遠位端部分950を含み得る。
【0062】
いくつかの実施例では、コア・ワイヤ遠位端部分950は、2つの分離したループ部分936及び938を含み得る。第1のループ部分936は、コア・ワイヤのより幅広の部分935から遠位に、遠位コイル端910の位置又はその近くに位置付けられ得る第1の遠位先端939aまで延在し得る。したがって、第1のループ部分936は、管腔内機器901の近位端まで延在するコア・ワイヤの一部の最遠位セクションを形成し得る。第2のループ部分938は、第2の遠位先端939bを形成する第1の端を有し得、且つ第2の遠位先端939bから近位に近位先端939cまで延在し得る。いくつかの実施例では、第1の遠位先端939aは、第2の遠位先端939bと同じ軸方向位置に位置付けられ得る。或いは、第1の遠位先端939aは、第2の遠位先端939bから近位又は遠位に位置付けられていてもよい。いくつかの実施例では、運動リストリクタ946(例えば、PEEKなどの結合ポリマーを含み得る)によって、第2のループ部分938の少なくとも一部分がコイル904に固定され得る。
図9に示す実施例では、近位先端939cを運動リストリクタ946に接触させて配置し得る。或いは、第2のループ部分938は、運動リストリクタ946を超えて近位に延在していてもよく、これにより、近位先端939cは、運動リストリクタ946から近位に位置付けられ得る。
【0063】
いくつかの実施例では、管腔内機器901は、コイル遠位端910にドーム・キャップ911を含み得る。ドーム・キャップ911は、エポキシから構成され得、且つ組織を傷つけないように丸みが付けられ得る。
図9に示すように、第1の遠位先端939a及び第2の遠位先端939bは、ドーム・キャップ911に包まれ得る。ドーム・キャップ911は、コイル遠位端910の近くで、部分的に内部チャネル902aをエポキシで充填することで形成され得る。これにより、エポキシが第1の遠位先端939a及び第2の遠位先端939bを覆い、且つ内部チャネル902aの壁に接触する。したがって、ドーム・キャップ911は、第1の遠位先端939a及び第2の遠位先端939bを互いに対して、且つコイル遠位端910に結合し得る。
【0064】
コア・ワイヤ930が軸方向の力を受けると、その力によって第1のループ部分936及び第2のループ部分938が座屈され得、管腔内機器901の遠位部分が湾曲構成となるように半径方向に曲げられる。
図3E~
図3Gを参照して前述したように、運動リストリクタ946がコア・ワイヤ遠位端部分950のヒンジとして構成されていることにより、第1のループ部分936及び第2のループ部分938は、コア・ワイヤ930に軸方向の力が加えられると座屈し得る。いくつかの実施例では、コア・ワイヤ930に軸方向の力を加えることによって、遠位コイル・セグメント918の一部又はすべてが曲がるように構成され得る。
【0065】
図10は、本開示の様々な実施例による、例示的な管腔内機器1001を示す。管腔内機器1001は、長尺シャフト1005を有する長尺シース1002と、長尺シャフト1005の遠位端に接続された長尺コイル1004とを含み得、コイル1004は、コイル近位端1008とコイル遠位端1010との間に延在している。管腔内機器1001はまた、長尺シャフト1005の近位端に接続されたハンドル1009を含み得る。ハンドル1009は、長尺シャフト1005及びコイル1004の中を通って延在するループ状のワイヤ・コアに接続され、且つコイル1004の少なくとも一部分の運動(例えば、曲げ伸ばし)を制御するように構成され得る。管腔内機器1001のループ状のコア・ワイヤは、第1のループ部分1036、遠位コイル端1010の位置又はその近くに位置付けられる曲げ部(
図10には図示せず)、及び第2のループ部分1038を含み得る。長尺コイル1004は、複数のらせん状に巻かれたワイヤから形成され得、そのうちの少なくともいくつかがコイル近位端1008からコイル遠位端1010まで延在する。長尺コイル1004は、近位コイル・セグメント1012、第1の移行セグメント1014、第2の移行セグメント1016、及び遠位コイル・セグメント1018を含み得る。
【0066】
いくつかの実施例では、コイル・セグメントのうちの1つ又は複数において、コイル1004の巻かれたワイヤ(即ち、巻線)の間にスペース1060が形成され得る。例えば、
図10に示すように、遠位コイル・セグメント1018の遠位部分1018aの各ワイヤ間にスペース1060が形成され得る。これにより、遠位部分1018aの可撓性が更に増加され得る。いくつかの実施例では、スペース1060は、遠位コイル・セグメント1018の軸方向の長さ全体に沿って提供され得る。更に又は或いは、第2の移行セグメント1016、第1の移行セグメント1014、及び/又は近位コイル・セグメント1012の巻線間にも同様のスペースが提供されていてもよい。いくつかの実施例では、コイル1014の少なくとも一部分(例えば、近位コイル・セグメント1012)には、コイル1004の遠位端に向けてコイルの可撓性を確実に増加させるために、その一部分内の巻線間にスペース1060がない場合がある。
【0067】
いくつかの実施例では、コイル1004の巻線間のスペース1060は、コイル1004の長手方向軸に沿って等間隔に配置され得、且つ軸方向の長さがほぼ等しい場合がある。いくつかの代替実施例では、スペース1060の軸方向の長さは、コイル1004の長手方向軸に沿って変化し得る。これにより、コイル1004の特定の部分が、コイル1004の他の部分よりも可撓性があるようにされる。いくつかの実施例では、スペース1060は、複数のワイヤを巻き付けて長尺コイル1004を形成するプロセス中に、所定の頻度でワイヤ間に間隙を追加することによって形成され得る。いくつかの代替実施例では、スペース1060は、例えば、切断するなどして、長尺コイル1004の所望の部分(複数可)から1本又は複数のワイヤを取り除くことによって形成され得る。任意選択で、スペース1060に近接するワイヤを補強してスペース1060を維持し、且つ例えば、ワイヤを熱処理して、意図したコイル角度(複数可)でワイヤを補強することによって、ワイヤを意図したコイル角度(複数可)に保持し得る。有利には、長尺コイル1004内にスペース1060を形成すると、コイルの対応するセクション(複数可)の可撓性を増加させることができる。例えば、スペース1060を、遠位コイル・セグメント1018の一部又はすべての内部に形成して、管腔内機器1001の柔らかい非外傷性の遠位先端を形成することができる。
【0068】
上記の説明は、例示のために提示されている。上記の説明は、網羅的なものではなく、また、開示された正確な形又は実施例に限定されるものではない。実施例の修正及び適応は、開示された実施例の明細事項及び実践を考慮して明らかであろう。特定の構成要素が互いに結合されているものとして説明されているが、そのような構成要素は、互いに統合されていても、適切なやり方で分散されていてもよい。
【0069】
更に、例示的な実施例を本明細書で説明したが、その範囲には、本開示に基づく、同等の要素、修正、省略、組み合わせ(例えば、様々な実施例の態様の)、適応、及び/又は変更を有するすべての実施例が含まれる。特許請求の範囲における要素は、特許請求の範囲で採用されている言語に基づいて広く解釈され、且つ本明細書又は本出願の審査中に説明される実例に限定されるものではない。該実例は、非排他的と解釈されるものとする。更に、ステップの順序変更及び/又はステップの挿入若しくは削除など、開示された方法のステップは、任意に修正してもよい。
【0070】
本開示の特徴及び利点は、詳細な明細事項から明らかであり、したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨及び範囲内にあるすべてのシステム及び方法を対象とすることを意図している。本明細書で使用される場合、「a」及び「an」の不定冠詞は、「1つ又は複数」を意味する。同様に、複数形の用語を使用しても、所与の文脈において明白な場合を除き、複数を示すとは限らない。特に指示がない限り、「及び」又は「又は」などの単語は、「及び/又は」を意味する。更に、本開示の検討から、数多くの修正及び変形が容易に想到されるため、本開示を例示及び説明された正確な構造及び動作に限定することを望むものではない。したがって、本開示の範囲内にあるすべての適切な修正及び均等物を用いることができる。
【0071】
他の実施例は、本明細書に開示された実施例の明細事項及び実践を考慮して明らかであろう。明細事項及び実例は、例としてのみ、みなされることを意図しており、開示された実施例の真の範囲及び趣旨は、次の特許請求の範囲によって示されている。