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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】包装袋および貼付剤包装製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20221215BHJP
   A61J 1/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B65D83/08 G
A61J1/00 370C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022538784
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 JP2022005670
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2021027234
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000160522
【氏名又は名称】久光製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【弁理士】
【氏名又は名称】木元 克輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144440
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 一之
(72)【発明者】
【氏名】鶴島 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】山外 真嗣
(72)【発明者】
【氏名】立石 哲郎
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-231629(JP,A)
【文献】特開2016-055890(JP,A)
【文献】特開平07-143940(JP,A)
【文献】特開2009-040491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A61J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳まれた複数の貼付剤と、
前記折り畳まれた複数の貼付剤を収容する包装袋と、
を備え、
前記包装袋が、
袋本体と、
前記袋本体に形成された取り出し口と、
前記取り出し口を開閉可能なように前記取り出し口を覆うフラップラベルと、
を備え、
第1方向に沿った前記取り出し口の第1長さをLaとし、前記第1方向に沿った前記折り畳まれた貼付剤の第1長さをLpとし、前記第1方向と直交する第2方向に沿うと共に前記第1長さより短い前記取り出し口の第2長さをLbとし、前記第2方向に沿った前記折り畳まれた貼付剤の第2長さをLqとした場合に、Lp/Laが1.5~2.5であり且つLq/Lbが1.8~2.8となるように前記取り出し口が形成され、
前記折り畳まれた複数の貼付剤のそれぞれが、該貼付剤の長手方向における部分領域が折り畳まれたかたちで用意され、
前記折り畳まれた複数の貼付剤のそれぞれが、該貼付剤の粘着剤層を保護する剥離ライナーを備え、
前記取り出し口から前記折り畳まれた貼付剤の端部が見えるように、前記折り畳まれた複数の貼付剤が前記包装袋に収容され、
前記折り畳まれた複数の貼付剤のそれぞれが、前記部分領域において前記剥離ライナーが前記取り出し口の方を向くように、前記包装袋に収容される、
貼付剤包装製品。
【請求項2】
前記折り畳まれた複数の貼付剤のそれぞれが、支持体と、該支持体の一方に形成された粘着剤層と、該粘着剤層を保護する剥離ライナーとを備え、
前記支持体の材質が布帛であり、且つ、前記支持体の厚みが500~1000μmであり、
前記剥離ライナーの厚みが20~40μmである、
請求項に記載の貼付剤包装製品。
【請求項3】
前記折り畳まれた複数の貼付剤の積層方向に沿って折り目が左右交互に現れるように、前記折り畳まれた複数の貼付剤が前記包装袋内で重ねられる、
請求項1または2に記載の貼付剤包装製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面は、貼付剤を封入するための包装袋と貼付剤包装製品とに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、折り畳まれたパップ剤を収納する包装袋が記載されている。この包装袋は取出口が設けられ、この取出口は粘着ラベルで被覆される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-231629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貼付剤を一枚ずつ取り出しやすい包装袋が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る包装袋は、折り畳まれた複数の貼付剤を収容するための袋本体と、袋本体に形成された取り出し口と、取り出し口を開閉可能なように取り出し口を覆うフラップラベルとを備える。第1方向に沿った取り出し口の第1長さをLaとし、第1方向に沿った折り畳まれた貼付剤の第1長さをLpとし、第1方向と直交する第2方向に沿うと共に第1長さより短い取り出し口の第2長さをLbとし、第2方向に沿った折り畳まれた貼付剤の第2長さをLqとした場合に、Lp/Laが1.5~2.5であり且つLq/Lbが1.8~2.8となるように取り出し口が形成される。
【0006】
本開示の一側面に係る貼付剤包装製品は、折り畳まれた複数の貼付剤と、折り畳まれた複数の貼付剤を収容する包装袋とを備える。包装袋は、袋本体と、袋本体に形成された取り出し口と、取り出し口を開閉可能なように取り出し口を覆うフラップラベルとを備える。第1方向に沿った取り出し口の第1長さをLaとし、第1方向に沿った折り畳まれた貼付剤の第1長さをLpとし、第1方向と直交する第2方向に沿うと共に第1長さより短い取り出し口の第2長さをLbとし、第2方向に沿った折り畳まれた貼付剤の第2長さをLqとした場合に、Lp/Laが1.5~2.5であり且つLq/Lbが1.8~2.8となるように取り出し口が形成される。
【0007】
このような側面においては、折り畳まれた貼付剤の寸法に基づいて取り出し口の寸法が上記のように設定されるので、包装袋から貼付剤を一枚ずつ取り出すことが容易になる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一側面によれば、貼付剤を一枚ずつ取り出しやすい包装袋を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】包装袋が閉じられた状態にある貼付剤包装製品の一例を示す斜視図である。
図2】包装袋が開かれた状態にある貼付剤包装製品の一例を示す斜視図である。
図3図1に対応する、貼付剤包装製品の平面図である。
図4】貼付剤の一例を示す斜視図である。
図5】貼付剤の折り畳み方の一例を示す図である。
図6】包装袋に複数の貼付剤を収容する手法の一例を示す図である。
図7】取り出し口と折り畳まれた貼付剤との間の寸法の関係を示す図である。
図8】フラップラベルの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本開示での実施形態を詳細に説明する。図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
[貼付剤包装製品の構造]
本開示に係る貼付剤包装製品は、複数の折り畳まれた貼付剤が一つの包装袋に封入された形態として取引される製品である。貼付剤は、生体に貼付されるものであればよく、例えば、パップ剤、テープ剤、含浸剤(例えば絆創膏)、フィルム製剤などとして用いられる製剤である。一つの包装袋に封入される貼付剤の枚数の下限は3、5、7、または10でもよく、その枚数の上限は30、25、または20でもよい。一例では、その枚数は、包装袋に封入される貼付剤の活性成分の安定性と貼付剤の取りだし易さとを考慮して設定される。ユーザは包装袋から必要な枚数の貼付剤を一枚ずつ取り出して、その貼付剤をユーザの所望の部位に貼ることができる。一例では、包装袋に封入される個々の貼付剤は個別に包装されず、したがって、包材の使用量が節約される。この場合、貼付剤包装製品は環境に与える負荷を低減または抑制できる製品であるといえる。貼付剤包装製品は一つの包装袋および複数の貼付剤を備える。本開示に係る包装袋および貼付剤はいずれも、それ単独で取引可能な製品であり得る。
【0012】
図1図3は実施形態に係る貼付剤包装製品1および包装袋10の一例を示す図である。図1は、包装袋10が閉じられた状態にある貼付剤包装製品1を示す斜視図である。図2は包装袋10が開かれて貼付剤20が見える状態にある貼付剤包装製品1を示す斜視図である。図3は貼付剤包装製品1および包装袋10の平面図であり、図1に対応する。
【0013】
(包装袋)
図1図3を参照しながら、実施形態に係る包装袋10の構成を説明する。包装袋10は複数の貼付剤20を封入するための物品である。一例では、包装袋10は袋本体11と、袋本体11に形成された取り出し口12と、取り出し口12の外縁を保護する補強ラベル13と、取り出し口12を閉めるための蓋として機能するフラップラベル14と、フラップラベル14に対して設けられるバージンシール15とを備える。本開示では、取り出し口12が形成された側を包装袋10の上側と定義し、その反対側を包装袋10の下側と定義する。
【0014】
袋本体11は、折り畳まれた複数の貼付剤20を収容するための柔軟な容器である。一例では、袋本体11はポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン(COC)、シクロオレフィンポリマーなどから成る最内層と、その最内層より外側に配置された、アルミニウム箔などの軟質金属箔、あるいはアルミ蒸着、シリカアルミナ二元蒸着などの蒸着層から成る酸素遮断層と、その酸素遮断層より外側に配置されたPET、PE、PP、セロハン、紙などからなる外層とを少なくとも有する積層体である。外層の厚みは10~40μmであってよく、最内層の厚みは10~40μmであってよい。袋本体11の外形は、折り畳まれた貼付剤20の形状および枚数に基づいて設計される。一例では、袋本体11は全体として平板状を呈し、袋本体11を上側または下側から見た場合には矩形状である。一例では、長手方向における袋本体11の端部は、先端に向かって窄むテーパ状を呈する。一例では、袋本体11の寸法は、折り畳まれた貼付剤20の寸法を考慮して設計される。例えば、袋本体11の短辺は6~15cmでもよく、袋本体11の長辺は10~20cmでもよい。袋本体11の厚さは5mm~80mmでもよい。袋本体11は、貼付剤20を収容するための開閉可能な線ファスナーを備えてもよい。この場合には、取り出された貼付剤20を袋本体11内に戻したり、貼付剤20を補充したりすることが可能になる。
【0015】
取り出し口12は、袋本体11の上面の略中央に形成される穴である。一例では、取り出し口12の形状は、角が丸められた矩形状である。一例では、取り出し口12の外縁に沿った切れ目が袋本体11に形成されて、その切れ目を覆うようにフラップラベル14が設けられる。フラップラベル14が最初に開けられる際に、その切れ目が入れられた部分がフラップラベル14の粘着剤層に貼り付いたまま袋本体11から分離し、この結果、取り出し口12が形成される。一例では、取り出し口12の寸法は折り畳まれた貼付剤20(言い換えると、袋本体11に収容された貼付剤20)の寸法を考慮して設計され、これについては後で詳しく説明する。
【0016】
補強ラベル13は、取り出し口12を囲むように袋本体11の上面に設けられるシート状の部材である。一例では、補強ラベル13の内縁は取り出し口12の外縁と一致するように設計され、補強ラベル13の外縁は角が丸められた矩形状である。補強ラベル13はシート状の基材と、補強ラベル13を袋本体11に固着させるためにその基材の片面に設けられる粘着剤層とを備える。一例では、基材の材質はPETなどの合成樹脂である。粘着剤層に含有される粘着基剤としては、ゴム系粘着基剤、アクリル系粘着基剤、シリコーン系粘着基剤、ウレタン系粘着基剤などが挙げられる。粘着基剤はそれらのうちの1種単独であっても2種以上の組合せであってもよい。
【0017】
フラップラベル14は、補強ラベル13上に設けられるシート状の部材である。フラップラベル14は、シート状の基材と、フラップラベル14を補強ラベル13上に固着させるためにその基材の片面に設けられる粘着剤層とを備える。基材の材質は、ユポ(登録商標)などの合成紙を有してもよい。一例では、その合成紙にポリプロピレン(PP)フィルムが積層された構造を有してもよい。合成紙の片面にPPフィルムが設けられ、もう一方の面に粘着剤層が設けられてもよく、この場合には、PPフィルムはフラップラベル14の最外層であり、フラップラベル14の表面として機能する。PPフィルムの厚みは20~50μmでもよいし、30~50μmでもよい。フラップラベル14の粘着剤層の材質は、ユーザがフラップラベル14を繰り返し開閉できるように決定される。粘着剤層に含有される粘着基剤としては、例えば、ゴム系粘着基剤、アクリル系粘着基剤、シリコーン系粘着基剤、ウレタン系粘着基剤などが挙げられる。粘着基剤はそれらのうちの1種単独であっても2種以上の組合せであってもよい。
【0018】
一例では、フラップラベル14の形状は角が丸められた略矩形状である。フラップラベル14の第1縁部の一部は外方に向かって突き出ており、この突き出し部分はつまみ14aとして機能する。一例では、つまみ14aには粘着剤層は設けられない。一例では、その第1縁部の反対側である第2縁部の内側には一対の切れ目14bが形成される。それぞれの切れ目14bは全体としてL字状(または逆L字状)を呈してもよい。第1縁部および第2縁部と直交する二つの縁部を側縁部というとして切れ目14bの構造を詳しく述べる。それぞれの切れ目14bは、フラップラベル14の側縁部から内側に進み、その後第2縁部に向かって屈曲し、最後に側縁部に向かって(すなわち外側に)小さなU字を描くように形成される。
【0019】
ユーザはつまみ14aをつまんで第2縁部に向かってフラップラベル14を剥がすことで取り出し口12を開けることができる。一対の切れ目14bによって、通常の使用においてフラップラベル14が剥がされる部分は第1縁部から切れ目14bまでの部分までに限られる。
【0020】
バージンシール15は、包装袋10の不必要な開封を防止するためのシールである。バージンシール15は基材と、該基材の片面に設けられる粘着剤層とを備える。基材の材質は例えば紙である。粘着剤層に含有される粘着基剤としては、例えば、ゴム系粘着基剤、アクリル系粘着基剤、シリコーン系粘着基剤、ウレタン系粘着基剤などが挙げられる。粘着基剤はそれらのうちの1種単独であっても2種以上の組合せであってもよい。一例では、バージンシール15の形状は角が丸められた略矩形状である。バージンシール15はフラップラベル14が閉じた状態を維持できる程度の寸法を有し、例えば、その寸法は、つまみ14a付近のフラップラベル14の一角から袋本体11の上面にわたる範囲を覆うように設計される。
【0021】
(貼付剤)
図4を参照しながら、包装袋10に収容される貼付剤20について説明する。図4は貼付剤20の一例を示す斜視図である。一例では、貼付剤20は、支持体21と、支持体21の一方の面の少なくとも一部に形成された粘着剤層22と、粘着剤層22を保護する剥離ライナー23とを備える。粘着剤層22の作用面とは、貼付剤20の使用時にユーザの皮膚に接する面をいう。一例では、貼付剤20の形状は角が丸められた矩形である。貼付剤20の面積は1~300cmでもよいし、10~200cmでもよい。貼付剤20の寸法(長さおよび幅)は、10cm×14cm、7cm×10cm、または20cm×14cmでもよい。一例では、貼付剤20の長さおよび幅の下限は活性成分の投与量を考慮して定められ、長さおよび幅の上限は皮膚への付着性を考慮して定められる。貼付剤20の厚み(支持体21、粘着剤層22、および剥離ライナー23の厚みの和)は100~2500μmであってよく、800~2200μmでもよい。
【0022】
支持体21はシート状の部材である。支持体21は伸縮性を有してもよい。一例では、支持体21の材質は、支持体21の物理的性質(厚み、伸び、引張り強さ、貼付作業性など)、貼付時の感触、皮膚の密閉性、活性成分の支持体21への移行などの諸要素を考慮して選択される。一例では、支持体21の材質は合成樹脂でもよく、例えば、PE、PP等のポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ナイロン等のポリアミド、PET、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、セルロース誘導体、ポリウレタンなどでもよい。あるいは、支持体21の材質はアルミニウム等の金属であってもよい。支持体21の材質は、例えば、フィルム、シート、シート状多孔質体、シート状発砲体、布帛(たとえば織布、編布、不織布等)、箔、およびこれらの積層体などであってもよい。支持体21の厚みは5~1500μmの範囲で設定されてもよい。支持体21の厚みを5μm以上とするのは、貼付剤20の取り扱いを容易にするためである。支持体21の厚みを1500μm以下とするのは、支持体21の硬さが付着性に及ぼす影響を防ぐためである。一例では、支持体21の厚みは500~1000μmの範囲で設定されてもよい。
【0023】
粘着剤層22は、皮膚に貼り付くことが可能な粘着性を有する層である。粘着剤層22は活性成分を含んでもよいし、含まなくてもよい。ここで、「粘着剤層が活性成分を含む」とは、粘着剤層がその中に活性成分を含有する態様と、活性成分が粘着剤層の作用面に付着した態様との双方を含む概念である。粘着剤層22が活性成分を含まず、フィルム、ガーゼなどが活性成分を含み、粘着剤層22が該フィルム、ガーゼなどの周囲を覆う構造(例えば、絆創膏のような構造)が採用されてもよい。貼付剤がパップ剤、テープ剤、含浸剤、フィルム製剤である場合、粘着剤層22に含有される粘着基剤としては、ゴム系粘着基剤、アクリル系粘着基剤、シリコーン系粘着基剤、ウレタン系粘着基剤などが挙げられる。粘着基剤はそれらのうちの1種単独であっても2種以上の組合せであってもよい。必要に応じて、添加剤が粘着剤層22に配合されてもよい。添加剤の例として、粘着付与剤、可塑剤、経皮吸収促進剤、溶解補助剤、安定化剤、保存剤、紫外線吸収剤、充填剤、安定剤、香料などが挙げられる。一例では、粘着剤層22の厚みは30~1500μm(単位面積当たりの質量が30~1500g/m)であってよく、300μm~1200μm(単位面積当たりの質量が300~1200g/m)の範囲で設定されてもよい。粘着剤層22の粘度は40℃の環境下で30000~70000mPa・sの範囲であってもよい。
【0024】
剥離ライナー23はシート状の部材であり、粘着剤層22の作用面に剥離可能に貼付される。剥離ライナー23の材質は合成樹脂でもよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ナイロン等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、セルロース誘導体、ポリウレタンなどでもよい。あるいは、剥離ライナー23の材質はアルミ箔、紙などでもよい。あるいは、剥離ライナー23の材質はこれらの積層体から成るフィルムであってもよい。剥離ライナー23を容易に剥離できるように、剥離ライナー23の表面にシリコーンコートなどの離型処理が施されてもよい。一例では、剥離ライナー23の厚みは10~100μmであってよく、20~40μmの範囲で設定されてもよい。
【0025】
(包装袋への貼付剤の封入)
図5図8を参照しながら、包装袋10への貼付剤20の封入に関連する構成を説明する。図5は貼付剤20の折り畳み方の一例を示す図である。図6は包装袋10に複数の貼付剤20を収容する手法の一例を示す図である。図7は取り出し口12と折り畳まれた貼付剤20との間の寸法の関係を示す図である。図8はフラップラベル14の構成の一例を示す図である。
【0026】
包装袋10に収容される貼付剤20は、長手方向における部分領域が折り畳まれたかたちで用意される。図5に示すように、貼付剤20は、支持体21を内側にし剥離ライナー23を外側にするように折り畳まれてもよい。この部分領域は、長手方向における1/2~1/4を占める領域でもよい。長手方向における1/3の領域が折り畳まれる場合には、貼付剤20の長手方向における第1端が該長手方向において中央に位置することになる。この第1端は、貼付剤20が包装袋10に収容された際に、ユーザがその貼付剤20を包装袋10から取り出す際につまむ取り出し端29として機能し得る。図2に示すように、一例では、貼付剤20は、上記部分領域において剥離ライナーが取り出し口12の方を向くように包装袋10に収容されてもよい。長手方向における1/3の領域が折り畳まれる場合には、取り出し端29は取り出し口12のほぼ中央に位置し得る。
【0027】
図6に示すように、一例では、折り畳まれたそれぞれの貼付剤20は、包装袋10の上方から見た場合に取り出し端29が取り出し口12を通して視認可能なように包装袋10に収容される。これは、取り出し端29が取り出し口12の外縁の内側に位置することを意味する。この例では、貼付剤20の長手方向における1/3の領域が折り畳まれている。一例では、折り畳まれた複数の貼付剤20は、折り畳まれた貼付剤20の積層方向(すなわち、包装袋10の高さ方向)に沿って折り目が左右交互に現れるように、包装袋10内で重ねられる。折り畳まれた個々の貼付剤20は、取り出し端29が取り出し口12と向き合うように(すなわち、取り出し端29が上側に位置するように)重ねられる。
【0028】
支持体21の材質によっては、その支持体21同士が静電気、摩擦などの相互作用によってくっつきやすくなり、貼付剤20を包装袋10から一枚取り出す際にその下の貼付剤20まで取り出し口12から出てしまう可能性がある。一例では、図5および図6に示す手法を採用することで、その現象を回避または抑制でき、その結果、貼付剤20を確実に一枚ずつ取り出すことができる。
【0029】
図7に示すように、一例では、取り出し口12の寸法は、包装袋10に収容される折り畳まれた貼付剤20の寸法との関係を考慮して設計される。取り出し口12は、第1方向に沿った第1長さLaと、該第1方向と直交する第2方向における第2長さLbとを有する。一例では、第2長さLbは第1長さLaより短い。包装袋10に収容される折り畳まれた貼付剤20は、第1方向に沿った第1長さLpと、第2方向における第2長さLqとを有する。一例では、Lp/Laが1.5~2.5であり且つLq/Lbが1.8~2.8となるように取り出し口12が形成される。Lp/Laは、取り出し口12の第1長さLaに対する、折り畳まれた貼付剤20の第1長さLpの比率である。Lq/Lbは、取り出し口12の第2長さLbに対する、折り畳まれた貼付剤20の第2長さLqの比率である。Lp/Laの下限は1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、または2.4でもよい。Lp/Laの上限は1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、または2.5でもよい。Lq/Lbの下限は1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、または2.7でもよい。Lq/Lbの上限は1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、または2.8でもよい。
【0030】
図8での基準線Ea,Epによって示されるように、一例では、つまみ14aが位置する側のフラップラベル14の粘着剤層の端部は、包装袋10内の折り畳まれた貼付剤20の端部よりも内側に位置する。これは、高さ方向に沿って貼付剤包装製品1を見た場合には、粘着剤層の端部が、折り畳まれた貼付剤20の上に位置することを意味する。別の例では、図8での基準線Eb,Epによって示されるように、つまみ14aの先端部が、包装袋10内の折り畳まれた貼付剤20の端部よりも内側に位置してもよい。当然ながらこの場合も、つまみ14aが位置する側のフラップラベル14の粘着剤層の端部は、包装袋10内の折り畳まれた貼付剤20の端部よりも内側に位置する。
【0031】
[貼付剤包装製品の使用方法]
貼付剤包装製品1の使用方法の一例は次の通りである。ユーザはフラップラベル14のつまみ14aをつまんでフラップラベル14を剥がし、取り出し口12を開ける。そして、ユーザは包装袋10の一番上に積まれている貼付剤20の取り出し端29をつまんで、その貼付剤20を包装袋10から取り出す。取り出し口12の内側に取り出し端29が位置するので、ユーザはいちばん上の貼付剤20を簡単に取り出すことができる。ユーザは折り畳まれていたその貼付剤を広げて、剥離ライナー23を剥がし、貼付剤20を適用部位に貼る。ユーザは同様の方法で追加の貼付剤20を包装袋10から取り出して所望の部位に貼ってもよい。ユーザはフラップラベル14を元通りに袋本体11の上面に貼って取り出し口12を閉じ、これにより残りの貼付剤20が再び包装袋10に封入される。
【0032】
[効果]
以上説明したように、本開示の一側面に係る包装袋は、折り畳まれた複数の貼付剤を収容するための袋本体と、袋本体に形成された取り出し口と、取り出し口を開閉可能なように取り出し口を覆うフラップラベルとを備える。第1方向に沿った取り出し口の第1長さをLaとし、第1方向に沿った折り畳まれた貼付剤の第1長さをLpとし、第1方向と直交する第2方向に沿うと共に第1長さより短い取り出し口の第2長さをLbとし、第2方向に沿った折り畳まれた貼付剤の第2長さをLqとした場合に、Lp/Laが1.5~2.5であり且つLq/Lbが1.8~2.8となるように取り出し口が形成される。
【0033】
本開示の一側面に係る貼付剤包装製品は、折り畳まれた複数の貼付剤と、折り畳まれた複数の貼付剤を収容する包装袋とを備える。包装袋は、袋本体と、袋本体に形成された取り出し口と、取り出し口を開閉可能なように取り出し口を覆うフラップラベルとを備える。第1方向に沿った取り出し口の第1長さをLaとし、第1方向に沿った折り畳まれた貼付剤の第1長さをLpとし、第1方向と直交する第2方向に沿うと共に第1長さより短い取り出し口の第2長さをLbとし、第2方向に沿った折り畳まれた貼付剤の第2長さをLqとした場合に、Lp/Laが1.5~2.5であり且つLq/Lbが1.8~2.8となるように取り出し口が形成される。
【0034】
このような側面においては、折り畳まれた貼付剤の寸法に基づいて取り出し口の寸法が上記のように設定されるので、包装袋から貼付剤を一枚ずつ取り出すことが容易になる。
【0035】
他の側面に係る包装袋では、フラップラベルがポリプロピレンフィルムを備えてもよい。繰り返し開閉されるフラップラベルにポリプロピレンフィルムを含めることで、フラップラベル自体の強度が増すので、フラップラベルが反る現象を回避または抑制できる。したがって、貼付剤が取り出された後においても包装袋を確実に密封することができる。その確実な密封は、貼付剤の活性成分を安定させ続けること(例えば、該活性成分の揮発を抑制すること)に貢献する。
【0036】
他の側面に係る包装袋では、ポリプロピレンフィルムがフラップラベルの最外層であってもよい。強度が高いポリプロピレンフィルムをフラップラベルの最外層に配することで、繰り返し開閉されるフラップラベルが反る現象をより確実に回避または抑制できる。
【0037】
他の側面に係る包装袋では、フラップラベルが、袋本体と向かい合うように設けられた粘着剤層と、一端に形成されたつまみとを有し、つまみが位置する側の粘着剤層の端部が、袋本体内の折り畳まれた貼付剤の端部よりも内側に位置してもよい。この場合には、袋本体内の貼付剤の上に、フラップラベルを開閉するために剥離および貼付されるつまみ側の粘着剤層が位置することになる。貼付剤の上に位置する袋本体の面(上面)は平たい状態であるので、つまみ付近の粘着剤層が安定して袋本体に貼り付く。したがって、フラップラベルが反って意図せず開く現象を回避または抑制して、貼付剤が取り出された後においても包装袋を確実に密封することができる。その確実な密封は、貼付剤の活性成分を安定させ続けることに貢献する。
【0038】
他の側面に係る包装袋では、つまみの先端が、袋本体内の折り畳まれた貼付剤の端部よりも内側に位置してもよい。この場合には、袋本体内に貼付剤の上に、フラップラベルを開閉するために操作されるつまみが位置することになる。貼付剤の上に位置する袋本体の面(上面)は平たい状態であるので、フラップラベルの粘着剤層が安定して袋本体に貼り付く。したがって、フラップラベルが反って意図せず開く現象を回避または抑制して、貼付剤が取り出された後においても包装袋を確実に密封することができる。その確実な密封は、貼付剤の活性成分を安定させ続けることに貢献する。
【0039】
他の側面に係る包装袋は、取り出し口を囲むように設けられる補強ラベルを更に備えてもよい。補強ラベルによって取り出し口の縁の強度が高まるので、貼付剤を取り出す操作が繰り返されても取り出し口の状態を維持することができる。例えば、取り出し口の縁が切れる現象を回避または抑制して、貼付剤が取り出された後においても包装袋を確実に密封することができる。その確実な密封は、貼付剤の活性成分を安定させ続けることに貢献する。
【0040】
他の側面に係る貼付剤包装製品では、折り畳まれた複数の貼付剤のそれぞれが、該貼付剤の長手方向における部分領域が折り畳まれたかたちで用意され、取り出し口から折り畳まれた貼付剤の端部が見えるように、折り畳まれた複数の貼付剤が包装袋に収容されてもよい。このような簡単な手法で貼付剤を折り畳んで、その貼付剤を包装袋に収容することで、貼付剤を包装袋から容易に取り出すことが可能になる。
【0041】
他の側面に係る貼付剤包装製品では、折り畳まれた複数の貼付剤のそれぞれが、該貼付剤の粘着剤層を保護する剥離ライナーを備え、折り畳まれた複数の貼付剤のそれぞれが、部分領域において剥離ライナーが取り出し口の方を向くように、包装袋に収容されてもよい。この場合には、包装袋内で隣接する任意の二つの折り畳まれた貼付剤を見ると、一方の貼付剤は他方の貼付剤に対して剥離ライナーのみを向けることになる。したがって、貼付剤を包装袋から一枚取り出す際にその下の貼付剤まで取り出し口から出てしまう現象を回避または抑制でき、その結果、貼付剤を確実に一枚ずつ取り出すことができる。
【0042】
他の側面に係る貼付剤包装製品では、折り畳まれた複数の貼付剤のそれぞれが、支持体と、該支持体の一方に形成された粘着剤層と、該粘着剤層を保護する剥離ライナーとを備え、支持体の材質が布帛であり、且つ、支持体の厚みが500~1000μmであり、剥離ライナーの厚みが20~40μmであってもよい。このように貼付剤を設計することで、貼付剤を折り曲げることが容易になり、且つ剥離ライナーが粘着剤から意図せず剥がれてしまう現象を回避または抑制できる。
【0043】
他の側面に係る貼付剤包装製品では、折り畳まれた複数の貼付剤の積層方向に沿って折り目が左右交互に現れるように、折り畳まれた複数の貼付剤が包装袋内で重ねられてもよい。この重ね方によって、重ねられた複数の貼付剤の厚みが抑制されるので、貼付剤包装製品を小型化できる。加えて、重ねられた複数の貼付剤の厚みが全体的に均一になるので、貼付剤の上に位置する袋本体の面(上面)をより確実に平たくすることができる。
【0044】
[変形例]
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0045】
本開示に係る包装袋は補強ラベルおよびバージンシールの少なくとも一方を備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…貼付剤包装製品、10…包装袋、11…袋本体、12…取り出し口、13…補強ラベル、14…フラップラベル、14a…つまみ、14b…切れ目、15…バージンシール、20…貼付剤、21…支持体、22…粘着剤層、23…剥離ライナー、29…取り出し端。
【要約】
一例に係る包装袋は、折り畳まれた複数の貼付剤を収容するための袋本体と、袋本体に形成された取り出し口と、取り出し口を開閉可能なように取り出し口を覆うフラップラベルとを備える。第1方向に沿った取り出し口の第1長さをLaとし、第1方向に沿った折り畳まれた貼付剤の第1長さをLpとし、第1方向と直交する第2方向に沿うと共に第1長さより短い取り出し口の第2長さをLbとし、第2方向に沿った折り畳まれた貼付剤の第2長さをLqとした場合に、Lp/Laが1.5~2.5であり且つLq/Lbが1.8~2.8となるように取り出し口が形成される。
図1
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