(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】液体微細化装置
(51)【国際特許分類】
F24F 6/16 20060101AFI20221216BHJP
【FI】
F24F6/16
(21)【出願番号】P 2018171999
(22)【出願日】2018-09-14
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】広川 雅之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 広幸
(72)【発明者】
【氏名】清本 訓央
(72)【発明者】
【氏名】樋口 智之
(72)【発明者】
【氏名】福本 将秀
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康浩
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-247128(JP,A)
【文献】特開2013-044443(JP,A)
【文献】特開2017-110858(JP,A)
【文献】特開2014-202371(JP,A)
【文献】特開2015-176762(JP,A)
【文献】特開2012-085931(JP,A)
【文献】特開2008-267759(JP,A)
【文献】特開2017-166724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と、吹出口と、
液体微細化手段と、湿度センサと、制御部と、内筒と、外筒と、を備えた液体微細化装置であって、
前記液体微細化装置は送風機に接続され、
前記外筒は、前記内筒を内包するように設けられ、
前記
液体微細化手段は、前記内筒の内側に設けられ、
前記送風機によって前記吸込口から前記液体微細化装置内部に流入した空気は、前記
液体微細化手段により加湿され、
前記
液体微細化手段により加湿された空気は、前記吹出口から吹き出され、
前記湿度センサは、前記液体微細化装置内部の湿度を検知し、
前記制御部は、前記湿度センサにより検知された湿度に応じて前記
液体微細化手段による加湿量を制御し、
前記湿度センサは、センサ格納部に格納され、
前記センサ格納部は、前記内筒と前記外筒とで仕切られる領域であって前記吸込口と前記
液体微細化手段とを連通する風路の外側の領域に設けられ
、
前記センサ格納部は、前記吹出口の一部を覆うことを特徴とする液体微細化装置。
【請求項2】
前記湿度センサで検知した湿度をH
1、前記
液体微細化手段による過加湿を示す第1の湿度をH
A、目標湿度を示す第2の湿度をH
B(ただしH
A>H
B)とすると 、
前記制御部は、「H
1<H
B」の場合は、前記
液体微細化手段による加湿量を増加し、「H
B≦H
1<H
A」の場合は、前記
液体微細化手段による加湿量を維持または減少し、「H
1≧H
A」の場合は、前記
液体微細化手段による加湿を停止することを特徴とする請求項1に記載の液体微細化装置。
【請求項3】
前記液体微細化装置内部の温度を検知する温度センサを備え、
前記制御部は、前記温度センサにより検知された温度と前記湿度センサにより検知された湿度とから前記液体微細化装置内部の絶対湿度を算出し、前記絶対湿度に基づいて前記
液体微細化手段の加湿量を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の液体微細化装置。
【請求項4】
前記
液体微細化手段は、貯水部と、吸上管と、回転板と、を有し、
前記吸上管は、前記貯水部の液体を吸い上げ、
前記回転板は、前記吸上管が吸い上げた液体を回転により微細化し、空気を加湿することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の液体微細化装置。
【請求項5】
前記液体微細化装置および前記送風機を通過する空気の流れにおいて、上流側から前記送風機、前記吸込口、前記湿度センサ、前記
液体微細化手段、前記吹出口の順に設けられることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の液体微細化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置に接続されて空気を加湿する液体微細化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、従来の送風装置に接続される液体微細化装置の構成は、以下のような構成となっていた。
【0003】
図6に示すように、従来の液体微細化装置では、吸い込み口150から吸い込まれた空気が送風ファン114によって器具本体101の上部方向へ送風され、送風された空気が貯水室108の上部から加湿空気発生手段(回転体110、多孔部113)に流入し、流入した空気が多孔部113で発生したナノミストとマイナスイオンを含んだ加湿空気として送風通路115内を上昇し、送風口102から室内へ送風されることで、ナノミストとマイナスイオンを含んだ加湿空気を室内へ供給する。送風ファン114の近傍には温度センサ126と湿度センサ127が設置され、各センサで検知された温度や相対湿度に基づいて、ミストモータ111や送風ファン114の回転数を変化させ、加熱ヒータ117のON/OFF状態を切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の液体微細化装置は、送風装置の下流側にあらかじめ加湿空気発生手段が本体内部等に組み込まれていることが必要で、本体に新たに追加して設置することが困難であるという課題があった。また、追加して設置した場合に、送風機との連動運転が困難であるため、例えば送風機が停止した場合においても加湿運転が継続され、加湿された空気が逆流していてもセンサ等により検知がしにくいという課題があった。さらに、加湿運転の制御に用いられる温度センサや湿度センサが風路内に設けられているため、空気中に含まれる塵埃等によりセンサが汚れやすく、検知精度が低下し加湿運転の制御精度が低下しやすいという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、上記課題を解決するものであり、送風装置に後付け可能で、送風機停止時の加湿空気の逆流を検知でき、加湿運転の制御のために設けられたセンサの汚れを抑制できる液体微細化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために、本発明の一態様に係る液体微細化装置は、吸込口と、吹出口と、加湿部と、湿度センサと、制御部と、内筒と、外筒と、を備えた液体微細化装置であって、液体微細化装置は送風機に接続され、外筒は、内筒を内包するように設けられ、加湿部は、内筒の内側に設けられ、送風機によって吸込口から液体微細化装置内部に流入した空気は、加湿部により加湿され、加湿部により加湿された空気は、吹出口から吹き出され、湿度センサは、液体微細化装置内部の湿度を検知し、制御部は、湿度センサにより検知された湿度に応じて加湿部による加湿量を制御し、湿度センサは、センサ格納部に格納され、センサ格納部は、内筒と外筒とで仕切られる領域であって吸込口と加湿部とを連通する風路の外側の領域に設けられるものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
この構成によって、送風装置に後付け可能で、送風停止時の加湿空気の逆流を検知でき、加湿運転の制御のために設けられたセンサの汚れを抑制できる液体微細化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る液体微細化装置の概略断面図
【
図3】同液体微細化装置のセンサ格納部を示す断面斜視図
【
図4】同液体微細化装置の加湿運転の制御を示すフローチャート
【
図5】同液体微細化装置が送風装置に接続された状態を示す概略斜視図
【
図6】同液体微細化装置が送風装置に接続された状態を示す概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様に係る液体微細化装置は、吸込口と、吹出口と、加湿部と、湿度センサと、制御部と、内筒と、外筒と、を備えた液体微細化装置であって、液体微細化装置は送風機に接続され、外筒は、内筒を内包するように設けられ、加湿部は、内筒の内側に設けられ、送風機によって吸込口から液体微細化装置内部に流入した空気は、加湿部により加湿され、加湿部により加湿された空気は、吹出口から吹き出され、湿度センサは、液体微細化装置内部の湿度を検知し、制御部は、湿度センサにより検知された湿度に応じて加湿部による加湿量を制御し、湿度センサは、センサ格納部に格納され、センサ格納部は、内筒と外筒とで仕切られる領域であって吸込口と加湿部とを連通する風路の外側の領域に設けられる。
【0011】
この構成により、湿度センサを風路外、具体的には内筒と外筒で仕切られるセンサ格納部に設けることで、湿度センサが埃等で汚れることを抑制することができる。また、湿度センサが汚れにくくなることで湿度検知の精度低下も抑制することができ、的確に湿度コントロールを行うことができる。さらに、液体微細化装置は送風装置に後付けすること、すなわち追加で設置することが可能となる。
【0012】
また、加湿される前の空気の湿度を湿度センサで検知することにより、送風空気の異常検知、すなわち送風機の停止による加湿空気の逆流を検知することが可能となる。これにより、液体微細化装置と送風機とが連動して運転していない状態で送風機の運転のみが停止し、加湿運転が継続していた場合でも、送風機の運転停止を検知し、加湿を停止できる。これにより、加湿空気の逆流による送風機の故障を抑制することができる。また、接続される送風機と液体微細化装置を連動させる必要がないため、後付けによる施工性が向上する。
【0013】
また、湿度センサで検知した湿度をH1、加湿部による過加湿を示す第1の湿度をHA、目標湿度を示す第2の湿度をHB(ただしHA>HB)として、制御部は、「H1<HB」の場合は、加湿部による加湿量を増加し、「HB≦H1<HA」の場合は、加湿部による加湿量を維持または減少し、「H1≧HA」の場合は、加湿部による加湿を停止してもよい。
【0014】
これにより、目標の湿度に到達または維持するように加湿量を制御しつつ、過加湿または送風機の停止による加湿空気の逆流が起きた場合に、加湿を停止できる。すなわち正常な目標加湿量を示す値と、過剰な加湿量を示す値の2種類の閾値をもつことで、過剰な加湿による液体微細化装置からの水漏れ等を抑制しつつ、室内を快適な湿度に保つことができる。
【0015】
また、液体微細化装置内部の温度を検知する温度センサを備え、制御部は、温度センサにより検知された温度と湿度センサにより検知された湿度とから液体微細化装置内部の絶対湿度を算出し、絶対湿度に基づいて加湿部の加湿量を制御してもよい。
【0016】
これにより、絶対湿度により加湿量を制御することで、ダクトや窓の結露を抑制できる。
【0017】
また、加湿部は、貯水部と、吸上管と、回転板と、を有し、吸上管は、貯水部の液体を吸い上げ、回転板は、吸上管が吸い上げた液体を回転により微細化することで空気を加湿してもよい。
【0018】
これにより、回転板の回転数により加湿量の制御を行うことができるため、加湿量の制御性が向上する。すなわち、液体微細化装置において、液体微細化手段による加湿量は、回転板の回転数により定まる。つまり、液体微細化装置は、回転板の回転数を制御することで、加湿量をコントロールすることができる。これにより、湿度をより適切にコントロールすることができる。
【0019】
また、液体微細化装置および送風機を通過する空気の流れにおいて、上流側から送風機、吸込口、湿度センサ、加湿部、吹出口の順に設けられていてもよい。
【0020】
これにより、加湿部により加湿された空気を効率よく室内に供給できる。
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、全図面を通して、同一の部位については同一の符号を付して説明を省略している。さらに、本発明に直接には関係しない各部の詳細については重複を避けるために、図面ごとの説明は省略している。
【0022】
(実施の形態1)
<液体微細化装置について>
まず、
図1~
図3を用いて、液体微細化装置の構成について説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態1に係る液体微細化装置の概略断面図である。
図2は、本発明の実施の形態1に係る液体微細化装置の上面側を示す斜視図である。
図3は、本発明の実施の形態1に係る液体微細化装置のセンサ格納部を示した断面斜視図である。
【0024】
図1および
図3に示すように、液体微細化装置1は、円柱状の容器として構成されている。また、液体微細化装置1は、吸込口2と、吹出口3と、内筒5と、外筒9と、加湿制御部13(
図5参照)と、を備えている。
【0025】
吸込口2は、ダクト接続可能な形状(例えば円形形状)の開口であり、液体微細化装置1の側面に設けられている。
【0026】
吹出口3は、液体微細化装置1内部を通過した空気が吹き出される開口であり、液体微細化装置1の上面に設けられている。また、
図1~
図3に示すように、吹出口3は、後述する内筒5と外筒9とで仕切られる領域に形成される。そして、例えば吹出口3は、液体微細化装置1の上面部における内筒5の周囲に設けられる。さらに、吹出口3は、吸込口2よりも上方に位置するように設けられている。また、吹出口3は、筒状のダクトが接続可能な形状である。
【0027】
図1に示すように、吸込口2から取り込まれた(吸い込まれた)空気は、吹出口3から吹き出される(流出する)。
【0028】
内筒5は、液体微細化装置1内部の中央付近に配置される。また、内筒5は、略鉛直方向下方に向けて開口した通風口7を有し、中空円筒形状に形成されている。外筒9は、円筒形状に形成され、内筒5を内包するように配置されている。
【0029】
また、液体微細化装置1の下方には、水受け部12が設けられる。水受け部12は、貯水部10に貯水しきれなかった液体を溜めることができる。これにより、仮に過剰に給水が行われたり、排水口11などに不具合が起こったりした場合でも、住宅や後述する送風装置30等に液体があふれ出ることを抑制できる。
【0030】
なお、水受け部12の形状は、貯水部10からあふれた液体を溜めることができる形状であればよく、
図1等で図示する形状に限られない。また、液体微細化装置1は水受け部12を備えていなくてもよい。
【0031】
図1に示すように、液体微細化装置1は、内筒風路4と、吸込連通風路6と、外筒風路8と、貯水部10と、液体微細化手段20(加湿部に相当)と、を有する。
【0032】
吸込連通風路6は、吸込口2と内筒5とを連通するダクト形状の風路であり、吸込口2から吸いこまれた空気は、吸込連通風路6を介して内筒5内部に至る構成となっている。
【0033】
内筒風路4は、内筒5の下端に設けられた開口(通風口7)を介して、内筒5の外側に設けられた外筒風路8(
図1の破線矢符で示す風路)と連通している。
【0034】
外筒風路8は、内筒5と外筒9との間に形成されている。外筒風路8の一部は、内筒5と外筒9とで仕切られる領域に形成される。
【0035】
貯水部10は、液体微細化装置1の下部に設けられ、液体を貯留する。また、貯水部10は、略すり鉢形状に形成されて、貯水部10の側壁は、外筒9の下端と接続されて一体化している。本実施の形態では、貯水部10に貯留する液体を水とする。また、連続的に水を微細化させるために、液体微細化装置1には、水を貯水部10へ給水する給水口15と、貯水部10より水を排出する排水口11が備えられている。給水口15は、外筒9に設けられており、水は
図3に示す水面40まで貯水される。また、排水口11は貯水部10の下部であるすり鉢形状の貯水部底面に設けられている。給水口15は給水管16と接続されており、給水管は、電磁弁等の開閉手段を介して、例えば、住宅や施設の上水道や給水ポンプなどの給水設備に接続されている。また、排水口11は、排水管14を介して、住宅や施設に設けられている排水口などの排水設備に接続されている。
【0036】
液体微細化手段20は、吸上管21と、回転板22と、モータ23と、を有する。また、液体微細化手段20は、内筒5の内側すなわち内筒5に覆われる位置に設けられている。
【0037】
吸上管21は、回転により貯水部10から水を吸い上げる。また、吸上管21は中空の円錐台形状に形成され、直径の小さい側の先端が貯水部10に貯水された水の水面以下になるように設けられている。回転板22は、中央が開口したドーナツ状の円板形状に形成され、吸上管21の直径の大きい側、言い換えれば吸上管21の上部の周囲に配置されている。吸上管21の直径の大きい側には、その側面に複数の開口が設けられており、吸上げた水が開口を通過して回転板22に供給されるようになっている。そして、回転板22は、吸上管21により吸い上げられた水を回転面方向に放出する。モータ23は、吸上管21および回転板22を回転させる。
【0038】
さらに、液体微細化装置1は、
図1~
図3に示すように、湿度センサ50と、センサ格納部51を備える。
【0039】
湿度センサ50は吸込み口から流入した空気すなわち液体微細化手段20により加湿される前の空気の湿度を検知する。そして、湿度センサ50により検知された湿度に応じて加湿制御部13は後述する液体微細化手段20による加湿量を制御する。
【0040】
センサ格納部51は、内筒5と外筒9とで仕切られる領域であって吸込連通風路6の外側の領域である。そして、センサ格納部51は、
図2に示すように吹出口3の一部を覆うように液体微細化装置1の上面に設けられる。
【0041】
センサ格納部51は吸込連通風路6と連通しており、湿度センサ50が設けられる。また、吸込口2から吸い込まれた空気の湿度を湿度センサ50で検知できるよう、センサ格納部51は吸込口2側に開口を有している。
【0042】
なお、センサ格納部51は、吸込連通風路6を通過する空気による風の影響を受けにくい位置に設けることが、空気中に含まれる塵埃等から湿度センサ50を保護する観点から望ましい。
【0043】
また、湿度センサ50は、センサカバー52によって固定されていてもよい。これにより、湿度センサ50が安定して固定され、さらに湿度センサ50が汚れることを抑制することができる。なお、空気の湿度を湿度センサ50で検知できるよう、センサカバー52は開口を有している。
【0044】
ここで、
図2で図示されるセンサ格納部51は一例であり、上述の条件を満たす位置であれば、この限りではない。例えば、
図2においては空気の吸込み方向(
図2の実線矢符の方向)に対して左側に設けられているが、右側に設けられていてもよい。
【0045】
さらに、センサ格納部51には、湿度センサ50に加えて温度センサ(図示せず)が設けられていてもよい。また、湿度センサ50は温度センサが一体となった温湿度センサであってもよい。このとき、加湿制御部13は、温度センサにより検知された温度と湿度センサ50により検知された湿度とから液体微細化装置1内部の絶対湿度を算出し、その絶対湿度に基づいて加湿部(液体微細化手段20)の加湿量を制御してもよい。これにより、絶対湿度により加湿量を制御することで、ダクトや窓の結露を抑制できる。
【0046】
<液体微細化装置の動作について>
以下、
図1を用いて液体微細化装置の動作について説明する。
【0047】
初めに、図示しない給水設備より水が給水口15から貯水部10に供給され、貯水部10に水が貯水される。そして、後述する送風装置30等によって吸込口2から液体微細化装置1内部に吸い込まれた空気は、吸込連通風路6、内筒風路4、液体微細化手段20、外筒風路8の順に通過し、吹出口3から外部例えば室内に向けて吹出される。このとき、液体微細化手段20によって発生した水滴と、内筒風路4を通過する空気とが接触し、水滴が気化することにより空気を加湿することができる。また、貯水部10に貯水された水は、所定時間が経過したのち排水口11から排出される。
【0048】
その詳細な動作を説明する。
【0049】
吸込口2から吸込連通風路6を通過して内筒風路4の内筒に取り込まれた空気は、液体微細化手段20を通過する。吸上管21および回転板22がモータ23の動作により回転すると、回転により貯水部10に貯水された水が吸上管21の内壁面を伝って上昇する。上昇した水は、回転板22の表面を伝って引き伸ばされ、回転板22の外周端から回転面方向に向かって微細な水滴として放出される。放出された水滴は内筒5の内壁面に衝突して破砕され、さらに微細な水滴となる。この回転板22から放出された水滴と、内筒5の内壁面に衝突し破砕された水滴とが内筒5を通過する空気と接触し、水滴が気化して空気の加湿が行われる。なお、発生した水滴の一部は気化しないが、液体微細化手段20を内筒5で覆われるように配置しているので、気化しなかった水滴は内筒5の内側表面に付着して貯水部10に落下する。
【0050】
そして、水滴を含んだ空気(加湿された空気)は、内筒5の下端に設けられた通風口7から下方に設けられた貯水部10に向けて吹出される。そして、内筒5と外筒9との間に形成された外筒風路8に向かって流れる。ここで、外筒風路8内を通過する空気は鉛直方向上方に向かって送風されるため、内筒風路4内を下方に流れる空気と送風方向が対向する向きに変わることとなる。
【0051】
このとき、通風口7から空気とともに吹出された水滴はその慣性により空気の流れに追従できず、貯水部10の水面もしくは外筒9の内側壁面に付着する。この作用は水滴の重量が大きいほど作用が大きく、すなわち、気化しにくい直径の大きな水滴ほど作用が大きいため、これにより大粒の水滴を流れる空気から分離することができる。
【0052】
そして、内筒風路4から通風口7を介して外筒風路8に流入した空気は、外筒風路8を通って上向きに流れる。そして、吹出口3から外部に吹き出される。このとき、水滴の一部は重力により貯水部10へ落下する、もしくは、内筒5の外壁や外筒9の内壁に付着する。そして、内筒5の外壁や外筒9の内壁に付着した水滴は、内筒5の外側壁面や外筒9の内側壁面を伝って貯水部10へ落下する。
【0053】
以上述べたようにして、本発明の液体微細化装置1は、空気を加湿することができる。
【0054】
<加湿運転の制御について>
次に、加湿運転の制御方法と閾値について、
図4を用いて説明する。
【0055】
加湿運転が開始されると(S1)、水が給水口15から貯水部10に供給されたのち(S2)、モータ23の回転によって吸上管21および回転板22が回転し(S3)、前述の動作に従って空気が加湿される。ここで、吸込連通風路6を通過する空気、すなわち加湿される前の空気の湿度H1が、センサ格納部51に設けられた湿度センサ50により検知される。湿度H1は、異常状態を判定する第1の閾値HAと比較され(S4)、「H1≧HA」の場合は(S4でNo)、空気が流れていない、または逆流していると判定し、加湿制御部13はモータ23の回転を停止する(S5)。そして、使用者に対して異常報知を行う(S6)。ここで、HAは相対湿度によって例えば70%~100%の間で任意に設定されるパラメータ(例えば相対湿度95%)である。次に、湿度H1は、目標湿度を示す第2の閾値HBと比較され、「H1<HB」の場合は(S7でNo)、加湿制御部13はモータ23の回転数を増加することで加湿量を増加させる(S8)。また、「HB<H1<HA」の場合は(S9でNo)、加湿制御部13はモータ23の回転数を減少することで、加湿量を減少させ、目標湿度に近づくように制御される。そして「HB=H1」の場合は(S9でYes)、モータ23の回転数を維持することで加湿量を維持し、目標湿度に近づくように制御される。ここで、HBは相対湿度によって例えば30%~80%の間で任意に設定されるパラメータ(例えば相対湿度50%)であるが、「HA>HB」となるように設定する必要がある。
【0056】
また、センサ格納部51に湿度センサ50に加えて温度センサ(図示せず)が設けられている場合、H1およびHBを絶対湿度によって設定してもよい。このとき、HBは例えば8g/kgなど5g/kg~9g/kgの間で設定されることが、室内や分配ダクト内の結露を抑制する観点から望ましい。
【0057】
<送風装置について>
次に、
図5および
図6を用いて、液体微細化装置に接続される送風装置について説明する。
【0058】
図5は、液体微細化装置1が送風装置30に接続された状態を示す概略斜視図である。
【0059】
送風装置30は、箱形の本体ケース31を有し、例えば床に置かれた状態で使用される。また、本体ケース31は内部に送風機37を備えている。
【0060】
本体ケース31の例えば天面には、外気吸込口(図示せず)、給気口34、室内空気吸込口35、および排気口36が設けられている。
【0061】
外気吸込口は、室内空気吸込口35および排気口36と隣り合う位置に設けられる。また、給気口34は、室内空気吸込口35および排気口36と隣り合う位置に設けられる。すなわち、室内空気吸込口35および排気口36は、外気吸込口および給気口34と隣り合う位置にそれぞれ設けられる。
【0062】
外気吸込口、給気口34、室内空気吸込口35、および排気口36には、それぞれダクトが接続できる形状となっている。外気吸込口と排気口36に接続したダクトは建物外壁面まで引き回して建物外の屋外空気と連通する。給気口34と室内空気吸込口35に接続したダクトは室内の天井面または壁面と連通されて室内空気と連通する。
【0063】
液体微細化装置1と送風装置30は例えば支持部42で固定されてもよい。
【0064】
また、吸込口2と給気口34に接続されるダクト41により、液体微細化装置1と送風装置30とが連通するという構成であってもよい。このとき、送風機37により外気吸込口から吸い込まれた空気(外気)は、本体ケース31内を通過した後、給気口34から吹き出され、吸込口2から液体微細化装置1内部に流入することとなる。すなわち、液体微細化装置1および送風装置30に流れる空気の流れにおいて上流側から順に、送風機37、吸込口2、湿度センサ50、加湿部(液体微細化手段20)、吹出口3が設けられることとなる。
【0065】
さらに、送風装置30は熱交換素子32を備えていてもよい。これにより、送風装置30で湿度回収を行うことが可能となり、より精度良く湿度コントロールを行うことができる。
【0066】
なお、液体微細化装置1の吹出口3および送風装置30の外気吸込口、給気口34、室内空気吸込口35、および排気口36は側面に設けられ、水平方向に吹き出し、吸い込みを行う構成であってもよい。これにより液体微細化装置1および送風装置30の汎用性および施工性が向上する。
【0067】
以上、本発明に係る液体微細化装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の液体微細化装置は、換気装置、空気清浄機および空気調和機等への活用が期待される。
【符号の説明】
【0069】
1 液体微細化装置
2 吸込口
3 吹出口
4 内筒風路
5 内筒
6 吸込連通風路
7 通風口
8 外筒風路
9 外筒
10 貯水部
11 排水口
12 水受け部
13 加湿制御部
14 排水管
15 給水口
16 給水管
20 液体微細化手段
21 吸上管
22 回転板
23 モータ
30 送風装置
31 本体ケース
32 熱交換素子
34 給気口
35 室内空気吸込口
36 排気口
37 送風機
40 水面
41 ダクト
42 支持部
50 湿度センサ
51 センサ格納部
52 センサカバー
101 器具本体
102 送風口
108 貯水室
110 回転体
111 ミストモータ
113 多孔部
114 送風ファン
115 送風通路
117 加熱ヒータ
126 温度センサ
127 湿度センサ
150 吸い込み口