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特許7194887バッテリSOCの判定方法、装置、管理システム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】バッテリSOCの判定方法、装置、管理システム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/3842 20190101AFI20221216BHJP
   G01R 31/3828 20190101ALI20221216BHJP
   G01R 31/388 20190101ALI20221216BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20221216BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
G01R31/3842
G01R31/3828
G01R31/388
H01M10/48 P
H02J7/00 X
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021558706
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 CN2020096438
(87)【国際公開番号】W WO2020259355
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】201910548061.4
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】杜 明樹
(72)【発明者】
【氏名】李 世超
(72)【発明者】
【氏名】湯 慎之
(72)【発明者】
【氏名】阮 見
(72)【発明者】
【氏名】盧 艶華
(72)【発明者】
【氏名】張 偉
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-178202(JP,A)
【文献】特開2013-057537(JP,A)
【文献】特開2013-083496(JP,A)
【文献】特開平08-083628(JP,A)
【文献】特開2017-125813(JP,A)
【文献】特開2017-032294(JP,A)
【文献】特開2014-160015(JP,A)
【文献】米国特許第06388447(US,B1)
【文献】特表2021-532336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36-31/44
H01M 10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ充電状態(SOC)の判定方法であって、
バッテリの現在の開回路電圧(OCVを取得するステップと、
前記バッテリの累計持続充電容量情報を取得するステップと、
前記現在のOCV値及び前記累計持続充電容量情報に基づいて、SOC信頼可能な情報を取得するステップであって、前記SOC信頼可能な情報は上限SOC値及び下限SOC値を含むステップと、
記現在のOCV値に対応する初期SOC値を取得するステップと、
前記初期SOC値が前記上限SOC値より大きいと、前記初期SOC値を前記上限SOC値に補正するステップと、を含む、バッテリSOCの判定方法。
【請求項2】
前記初期SOC値が前記下限SOC値より小さいと、前記初期SOC値を前記下限SOC値に補正するステップ、をさらに含む、
請求項1に記載のバッテリSOCの判定方法。
【請求項3】
バッテリの現在のOCV値を取得するステップは、
前記バッテリが予め設定された静的条件に基づいて静置状態にある条件下で、前記バッテリの前記現在のOCV値を取得するステップを含み、
前記予め設定された静的条件には、前記バッテリの静置時間が予め設定された静置時間閾値に達するか又は予め設定された静置時間閾値を上回ることが含まれる、
請求項1又は2に記載のバッテリSOCの判定方法。
【請求項4】
前記バッテリの累計持続充電容量情報を取得するステップは、
前記バッテリが静置状態になる前に充電状態であった条件下で、前記累計持続充電容量を取得するステップ、を含む、
請求項3に記載のバッテリSOCの判定方法。
【請求項5】
前記バッテリの前記累計持続充電容量を記録するステップ、をさらに含む、
請求項4に記載のバッテリSOCの判定方法。
【請求項6】
前記バッテリの電流方向が充電方向から放電方向に変化した場合、変化した電流方向の持続時間が予め設定された第1の時間閾値を上回るか、又は、前記バッテリの放電容量が予め設定された第1の容量閾値を上回ると判定する条件下で、前記累計持続充電容量をゼロにクリアするステップ、をさらに含む、
請求項5に記載のバッテリSOCの判定方法。
【請求項7】
前記現在のOCV値に対応する初期SOC値を取得する前記ステップは、
予め設定されたOCVとSOCとの第1のマッピング関係情報を取得するステップと、
前記OCVとSOCとの第1のマッピング関係情報に基づいて、前記現在のOCV値に対応する前記初期SOC値を取得するステップと、を含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載のバッテリSOCの判定方法。
【請求項8】
バッテリ充電状態(SOC)の判定装置であって、
バッテリの現在の開回路電圧(OCV)値と、前記バッテリの累計持続充電容量情報とを取得するためのバッテリ情報取得モジュールと、
前記現在のOCV値及び前記累計持続充電容量情報に基づいて、SOC信頼可能な情報を取得するためのSOC信頼可能な情報判定モジュールであって、前記SOC信頼可能な情報は上限SOC値及び下限SOC値を含むSOC信頼可能な情報判定モジュールと、
前記現在のOCV値に対応する初期SOC値を取得し、前記初期SOC値が前記上限SOC値より大きいと、前記初期SOC値を前記上限SOC値に補正するためのSOC補正モジュールと、を含む、バッテリSOCの判定装置。
【請求項9】
前記初期SOC値が前記下限SOC値より小さいと、前記SOC補正モジュールは、さらに、前記初期SOC値を前記下限SOC値に補正することに用いられる、
請求項8に記載のバッテリSOCの判定装置。
【請求項10】
前記バッテリ情報取得モジュールは、
前記バッテリが予め設定された静的条件に基づいて静置状態にある条件下で、前記バッテリの前記現在のOCV値を取得することに用いられ、
前記予め設定された静的条件には、前記バッテリの静置時間が予め設定された静置時間閾値に達するか又は予め設定された静置時間閾値を上回ることが含まれる、
請求項8又は9に記載のバッテリSOCの判定装置。
【請求項11】
前記バッテリ情報取得モジュールは、
前記バッテリが静置状態になる前に充電状態であった条件下で、前記累計持続充電容量を取得することに用いられる、
請求項10に記載のバッテリSOCの判定装置。
【請求項12】
充放電容量記録モジュールをさらに含み、前記充放電容量記録モジュールは、前記バッテリの前記累計持続充電容量を記録することに用いられる、
請求項11に記載のバッテリSOCの判定装置。
【請求項13】
前記充放電容量記録モジュールは、さらに、
前記バッテリの電流方向が充電方向から放電方向に変化した場合、変化した電流方向の持続時間が予め設定された第1の時間閾値を上回るか、又は、前記バッテリの放電容量が予め設定された第1の容量閾値を上回ると判定する条件下で、前記累計持続充電容量をゼロにクリアすること、に用いられる、
請求項12に記載のバッテリSOCの判定装置。
【請求項14】
前記SOC補正モジュールは、
予め設定されたOCVとSOCとの第1のマッピング関係情報を取得すること、
前記OCVとSOCとの第1のマッピング関係情報に基づいて、前記現在のOCV値に対応する前記初期SOC値を取得すること、に用いられる、
請求項8~13のいずれか一項に記載のバッテリSOCの判定装置。
【請求項15】
請求項8~14のいずれか一項に記載のバッテリSOCの判定装置を含む、バッテリ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2019年6月24日に中国特許庁に提出された、出願番号が201910548061.4で、発明の名称が「バッテリ充電状態の判定方法、装置、管理システム及び記憶媒体」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全ては援用により本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、バッテリ技術の分野に関し、特に、バッテリSOCの判定方法、装置、バッテリ管理システム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
バッテリの充電状態(State of Charge、SOC)をリアルタイムで正確に推定することは、バッテリ管理システムの電気量指示、残りの走行距離、過充電保護、過放電保護、バッテリの均等化、充電制御及びバッテリの物理的な状態予測などの実現において重要な役割を果たす。現在、よく使用されているSOC推定方法には、開回路電圧(Open Circuit Voltage、OCV)とSOCとの対応関係(曲線)を利用して安定状態のバッテリSOCを得ることができる開回路電圧法などが含まれる。現在の開回路電圧法の限界は、セルのOCV-SOC曲線が過去の動作状態の影響を受けず、即ちOCVは、現在の温度及びSOCだけに関連し、バッテリが静置されて安定状態に達した後、比較的正確なSOCを取得することである。バッテリは、ヒステリシス特性を有する可能性があり、その充電OCV-SOC曲線が放電OCV-SOC曲線に重ならず、即ち、OCV-SOC曲線が過去の動作状態の影響を受け、OCV-SOC曲線の変化により開回路電圧法の誤差が大きくなり、SOC推定の正確性を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑みて、本開示が解決しようとする技術的問題は、バッテリSOCの判定方法、装置、バッテリ管理システム及び記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様では、バッテリSOCの判定方法を提供し、当該方法は、バッテリの現在のOCV値と、前記バッテリの累計持続充電又は放電容量情報とを取得するステップと、前記現在のOCV値及び前記累計持続充電又は放電容量情報に基づいて、SOC信頼可能な情報を取得するステップと、前記SOC信頼可能な情報にしたがって前記現在のOCV値に対応するSOC補正値を取得するステップと、を含む。
【0006】
選択可能な一態様として、予め設定された静的条件に基づいて前記バッテリが静置状態にあると判断すると、前記現在のOCV値及び前記累計持続充電又は放電容量情報を取得する。
【0007】
選択可能な一態様として、前記SOC信頼可能な情報は、第1のSOC信頼可能な範囲、第2のSOC信頼可能な範囲を含み、前記現在のOCV値及び前記累計持続充電又は放電容量情報に基づいて、SOC信頼可能な情報を取得する前記ステップは、前記現在のOCV値及び前記バッテリの累計持続充電容量に基づいて第1のSOC信頼可能な範囲を取得するか、又は、前記現在のOCV値及び前記バッテリの累計持続放電容量に基づいて第2のSOC信頼可能な範囲を取得するステップを含み、前記SOC信頼可能な情報にしたがって前記現在のOCV値に対応するSOC補正値を取得する前記ステップは、前記第1のSOC信頼可能な範囲又は前記第2のSOC信頼可能な範囲に基づいて、前記現在のOCV値に対応するSOC補正値を取得するステップを含む。
【0008】
選択可能な一態様として、前記第1のSOC信頼可能な範囲又は前記第2のSOC信頼可能な範囲に基づいて、前記現在のOCV値に対応するSOC補正値を取得する前記ステップは、前記現在のOCV値に対応する初期SOC値を取得するステップと、前記初期SOC値が前記第1のSOC信頼可能な範囲又は前記第2のSOC信頼可能な範囲内にあるか否かを判断するステップと、YESであれば、前記SOC補正値が前記初期SOC値であると判定し、NOであれば、予め設定されたSOC補正ポリシー及び前記第1のSOC信頼可能な範囲又は前記第2のSOC信頼可能な範囲に基づいて、前記初期SOC値を補正して前記SOC補正値を取得するステップと、を含む。
【0009】
選択可能な一態様として、前記現在のOCV値に対応する初期SOC値を取得する前記ステップは、予め設定されたOCVとSOCとの第1のマッピング関係情報を取得するステップと、前記OCVとSOCとの第1のマッピング関係情報に基づいて、前記現在のOCV値に対応する初期SOC値を取得するステップと、を含む。
【0010】
選択可能な一態様として、予め設定されたSOC補正ポリシー及び前記第1のSOC信頼可能な範囲又は前記第2のSOC信頼可能な範囲に基づいて、前記初期SOC値を補正するステップは、前記初期SOC値が、前記第1のSOC信頼可能な範囲又は前記第2のSOC信頼可能な範囲の上限SOC値より大きい場合、前記第1のSOC信頼可能な範囲又は前記第2のSOC信頼可能な範囲の上限SOC値を前記SOC補正値とするステップと、前記初期SOC値が前記第1のSOC信頼可能な範囲又は前記第2のSOC信頼可能な範囲の下限SOC値より小さい場合、前記第1のSOC信頼可能な範囲又は前記第2のSOC信頼可能な範囲の下限SOC値を前記SOC補正値とするステップと、を含む。
【0011】
選択可能な一態様として、前記バッテリが静置状態になる前に充電状態であった場合、前記累計持続充電容量を取得し、前記現在のOCV値及び前記累計持続充電容量に基づいて前記第1のSOC信頼可能な範囲を取得するステップと、前記バッテリが静置状態になる前に放電状態であった場合、前記累計持続放電容量を取得し、前記現在のOCV値及び前記累計持続放電容量に基づいて前記第2のSOC信頼可能な範囲を取得するステップと、を含む。
【0012】
選択可能な一態様として、前記累計持続充電容量及び前記累計持続放電容量をリアルタイムで記録し、前記バッテリの電流方向が充電方向から放電方向に変化した場合、変化した電流方向の持続時間が予め設定された第1の時間閾値を上回るか、又は、前記バッテリの放電容量が予め設定された第1の容量閾値を上回ると判定できると、前記累計持続充電容量をゼロにクリアし、前記バッテリの電流方向が放電方向から充電方向に変化した場合、変化した電流方向の持続時間が予め設定された第2の時間閾値を上回るか、又は、前記バッテリの充電容量が予め設定された第2の容量閾値を上回ると判定すると、前記累計持続放電容量をゼロにクリアする。
【0013】
選択可能な一態様として、前記静的条件には、前記バッテリの静置時間が予め設定された静置時間閾値に達するか又は予め設定された静置時間閾値を上回ることが含まれる。
【0014】
選択可能な一態様として、前記バッテリのOCVとSOCとの第2のマッピング関係情報と、前記バッテリの累計持続充電電気量及び累計持続放電容量のそれぞれと前記バッテリのSOCとの対応関係とを事前に取得し、前記OCVとSOCとの第2のマッピング関係情報及び前記対応関係にしたがって、OCVと累計持続充電電気量に対応するSOC信頼可能な情報、OCVと累計持続放電容量に対応するSOC信頼可能な情報をそれぞれ設定する。
【0015】
本開示の別の態様によれば、バッテリSOCの判定装置を提供し、当該装置は、バッテリの現在のOCV値と、前記バッテリの累計持続充電又は放電容量情報とを取得するためのバッテリ情報取得モジュールと、前記現在のOCV値及び前記累計持続充電又は放電容量情報に基づいて、SOC信頼可能な情報を取得するためのSOC信頼可能な情報判定モジュールと、前記SOC信頼可能な情報にしたがって前記現在のOCV値に対応するSOC補正値を取得するためのSOC補正モジュールと、を含む。
【0016】
本開示のまた別の態様によれば、バッテリSOCの判定装置を提供し、当該装置は、メモリと、前記メモリに結合されたプロセッサとを含み、前記プロセッサは、前記メモリに格納されている命令に基づいて、上記のような方法を実行するように構成される。
【0017】
本開示のまた別の態様によれば、上記のようなバッテリ充電状態の判定装置を含むバッテリ管理システムを提供する。
【0018】
本開示のさらなる態様によれば、コンピュータ命令が記憶されており、前記コンピュータ命令がプロセッサによって実行されると、上記のような方法が実現されるコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0019】
本開示によるバッテリSOCの判定方法、装置、バッテリ管理システム及び記憶媒体は、バッテリの現在のOCV値及びバッテリの累計持続充電又は放電容量情報にしたがってSOC信頼可能な情報を取得し、SOC信頼可能な情報にしたがって現在のOCV値に対応するSOC補正値を取得し、現在のOCVでのSOC信頼可能な情報を判定することにより、SOC補正精度を向上させることができ、バッテリ、特にヒステリシス特性を有するバッテリに対して、SOC推定の正確性を向上させ、SOC推定の誤差を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本開示の実施例又は既存技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は既存技術の説明に使用する必要のある添付図面を簡単に紹介するが、以下の説明における添付図面は、本願の一部の実施例にすぎず、当業者であれば、創造的な働きなしにこれらの添付図面に基づいて他の添付図面を取得できることは明らかである。
図1】本開示による、バッテリSOCの判定方法の一実施例の概略フローチャートである。
図2】本開示による、バッテリSOCの判定方法の一実施例におけるバッテリが静的状態になる前に充電状態であるときの第1のSOC信頼可能な範囲を判定する概略図である。
図3】本開示による、バッテリSOCの判定方法の一実施例におけるバッテリが静的状態になる前に放電状態であるときの第2のSOC信頼可能な範囲を判定する概略図である。
図4】本開示による、バッテリSOCの判定方法の一実施例におけるSOC補正値を取得する概略フローチャートである。
図5】本開示による、バッテリSOCの判定方法の別の実施例の概略フローチャートである。
図6】本開示による、バッテリSOCの判定装置の一実施例のモジュール概略図である。
図7】本開示による、バッテリSOCの判定装置の一実施例におけるSOC補正モジュールのモジュール概略図である。
図8】本開示による、バッテリSOCの判定装置の別の実施例のモジュール概略図である。
図9】本開示による、バッテリSOCの判定装置のまた別の実施例のモジュール概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本開示をより具体的に説明し、ここでは、本開示の例示的な実施例について説明する。以下、本開示の実施例における添付図面を参照しながら、本開示の実施例における技術的解決手段を明確で、完全に説明するが、説明された実施例は、本開示の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではないことは明らかである。本開示における実施例に基づいて、当業者が創造的な働きなしに得た他の実施例は、いずれも本開示の保護範囲に属すべきである。以下、各図及び実施例を参照しながら、本開示の技術的解決手段について多面的に説明する。
【0022】
以下の「第1の」、「第2の」などは、説明上での区別のためのものにすぎず、他の特別な意味はない。
【0023】
図1は、本開示による、バッテリSOCの判定方法の一実施例の概略フローチャートであり、以下が図1に示されている。
【0024】
ステップ101において、バッテリの現在のOCV値及びバッテリの累計持続充電又は放電容量情報を取得する。
【0025】
バッテリの種類から言うと、バッテリは、リン酸鉄リチウム系バッテリ又はシリコン添加系バッテリであってもよいが、これらに限定されず、リン酸鉄リチウム系バッテリは、正極活物質にリン酸鉄リチウムが含まれているリチウムイオンバッテリであり、シリコン添加系バッテリは、負極活物質にシリコンが含まれているリチウムイオンバッテリなどであり、バッテリの規模から言うと、バッテリは、ヒステリシス特性を有する単体セル、組電池、モジュール、バッテリパックなどであり得、本発明の実施例では具体的に限定しない。
【0026】
ステップ102において、現在のOCV値及び累計持続充電又は放電容量情報に基づいてSOC信頼可能な情報を取得する。SOC信頼可能な情報には、様々な情報があり得、例えばSOC信頼可能な情報はSOC信頼可能な範囲であり、SOC信頼可能な範囲には、SOC上限やSOC下限などが含まれる。
【0027】
ステップ103において、SOC信頼可能な情報にしたがって、現在のOCV値に対応するSOC補正値を取得する。
【0028】
予め設定された静的条件に基づいてバッテリが静置状態にあると判断すると、現在のOCV値及び累計持続充電又は放電容量情報を取得する。静的条件には、様々なものがあり得、例えば、静的条件には、バッテリの静置時間が予め設定された静置時間閾値に達するか又は予め設定された静置時間閾値を上回るなどが含まれる。静的条件を満たすということは、バッテリが十分に静置されたことを表し、静置時間閾値は、SOC、温度及び静置前の充放電動作状態によって判定できる。
【0029】
一実施例において、SOC信頼可能な情報には、第1のSOC信頼可能な範囲、第2のSOC信頼可能な範囲が含まれる。現在のOCV値及びバッテリの累計持続充電容量に基づいて第1のSOC信頼可能な範囲を取得するか、又は、現在のOCV値及びバッテリの累計持続放電容量に基づいて第2のSOC信頼可能な範囲を取得し、第1のSOC信頼可能な範囲又は第2のSOC信頼可能な範囲に基づいて、現在のOCV値に対応するSOC補正値を取得する。
【0030】
累計持続充電容量及び累計持続放電容量をリアルタイムで記録し、累計持続充電容量は、バッテリの電流方向が充電方向に維持されるときに持続的に充電される電気量であり、累計持続放電容量は、バッテリの電流方向が放電方向に維持されるときに持続的に放電される電気量である。
【0031】
バッテリの電流方向が充電方向から放電方向に変化した場合、変化した電流方向の持続時間が予め設定された第1の時間閾値を上回るか、又は、バッテリの放電容量が予め設定された第1の容量閾値を上回ると判定すると、累計持続充電容量をゼロにクリアする。バッテリの電流方向が放電方向から充電方向に変化した場合、変化した電流方向の持続時間が予め設定された第2の時間閾値を上回るか、又は、バッテリの充電容量が予め設定された第2の容量閾値を上回ると判定すると、累計持続放電容量をゼロにクリアする。第1の時間閾値、第2の時間閾値及び第1の容量閾値、第2の容量閾値は、試験データなどに基づいて設定できる。
【0032】
一実施例において、バッテリが静置状態になる前に充電状態であった場合、累計持続充電容量を取得し、現在のOCV値及び累計持続充電容量に基づいて第1のSOC信頼可能な範囲を取得し、バッテリが静置状態になる前に放電状態であった場合、累計持続放電容量を取得し、現在のOCV値及び累計持続放電容量に基づいて第2のSOC信頼可能な範囲を取得する。
【0033】
図2における水平点線は、バッテリが十分に静置された後の現在のOCV、SOCc,minにおけるc値は0、1、2などであり得ることを表す。図2に示すように、バッテリが静置する前に充電状態であった場合、バッテリが静置される前の累計持続充電容量がX0であると、第1のSOC信頼可能な範囲は[SOC0,min,SOC0,max]であり、バッテリが静置される前の累計持続充電容量がX1であると、第1のSOC信頼可能な範囲は[SOC1,min,SOC1,max]であり、バッテリが静置される前の累計持続充電容量がX2であると、第1のSOC信頼可能な範囲は[SOC2、min,SOC2,max]であり、……、このように類推し、バッテリの累計持続充電容量に基づいて、対応する第1のSOC信頼可能な範囲を取得できる。
【0034】
図3における水平点線は、バッテリが十分に静置された後の現在のOCV、SOC’d,minにおけるd値が0、1、2などであり得ることを表す。図3に示すように、バッテリが静置の前に放電状態であった場合、バッテリが静置する前の累計持続放電容量がX0であると、第2のSOC信頼可能な範囲は[SOC’0,min,SOC’0,max]であり、バッテリが静置する前の累計持続放電容量がX1であると、第2のSOC信頼可能な範囲は[SOC’1,min,SOC’1,max]であり、バッテリが静置する前の累計持続放電容量がX2であると、SOC信頼可能な範囲は[SOC’2,min,SOC’2,max]であり、……、このように類推し、バッテリの累計持続放電容量に基づいて、対応する第2のSOC信頼可能な範囲を取得できる。
【0035】
一実施例において、バッテリのOCVとSOCとの第2のマッピング関係情報と、バッテリの累計持続充電電気量及び累計持続放電容量のそれぞれとバッテリのSOCとの対応関係とを事前に取得する。バッテリのOCVとSOCとの第2のマッピング関係情報には、様々なものがあり得、例えば、第2のマッピング関係情報には、充電OCV-SOC曲線、放電OCV-SOC曲線などが含まれる。バッテリの累計持続充電電気量及び累計持続放電容量のそれぞれとバッテリのSOCとの対応関係は、様々なテスト機器及びテスト方法を用いて取得できる。
【0036】
OCVとSOCとの第2のマッピング関係情報、累計持続充電電気量とバッテリのSOCとの対応関係、及び累計持続放電容量とバッテリのSOCとの対応関係にしたがって、OCVと累計持続充電電気量に対応するSOC信頼可能な情報、OCVと累計持続放電容量に対応するSOC信頼可能な情報をそれぞれ設定し、SOC信頼可能な情報には、SOC信頼可能な範囲などが含まれ得る。
【0037】
ヒステリシス特性を有するバッテリは、一般的に、持続充電容量が第3の容量閾値に達すると、OCVとSOCとのマッピング関係(曲線)が充電OCV-SOC曲線に重なり、持続放電容量が第4の容量閾値に達すると、OCVとSOCとのマッピング関係(曲線)が放電OCV-SOC曲線に重なる性質を有する。持続充電又は放電容量が上記の第3の容量閾値又は第4の容量閾値に達していないと、OCV-SOC曲線は、充電OCV-SOCと放電OCV-SOC曲線との間に介在する。したがって、現在の累計持続充電や放電容量にしたがって、SOC信頼可能な範囲を短縮することができ、現在のOCVが異なる場合に累計持続充電、放電容量におけるSOC信頼可能な範囲を較正することができる。
【0038】
例えば、バッテリのOCVが[3.4V,3.6V]範囲内にあり、累計持続充電容量>=5Ahである場合、OCV-SOC曲線は充電OCV-SOC曲線に重なる。バッテリが静置される前に充電動作状態であり、バッテリの現在のOCVは3.5Vである場合、以下のような場合がある。
【0039】
累計持続充電容量=0Ahであると、持続充電動作状態を知らない状況で、現在のOCV-SOC曲線は充電OCV-SOC曲線と放電OCV-SOC曲線との間に介在する可能性があり、第1のSOC信頼可能な範囲が[S1,S2]であり、ここで、S1は、現在のOCVにしたがって充電OCV-SOC曲線を照会して取得した現在のOCVに対応するSOCであり、S2は、現在のOCVにしたがって放電OCV-SOC曲線を照会して取得した現在のOCVに対応するSOCである。
【0040】
累計持続充電容量=1Ahである場合、持続的に充電する前の動作状態に関わらず、必然的に現在のOCV-SOC曲線が放電OCV-SOC曲線から一定の程度乖離することがあり、即ち、現在のSOCは必然的にS2より小さい場合、第1のSOC信頼可能な範囲は[S1,S2’]であり、ここで、S2’は較正装置及び特別なテストフローに従って判定されるもので、S2’<S2である。
【0041】
累計持続充電容量=2Ahである場合、持続的に充電する前の動作状態に関わらず、必然的に現在のOCV-SOC曲線が放電OCV-SOC曲線からより大きく乖離することがあり、即ち、現在のSOCが必然的にS2より小さい場合、第1のSOC信頼可能な範囲は[S1,S2’’]であり、ここで、S2’’は較正装置及び特別なテストフローに従って判定されるもので、S2’’<S2’<S2である。
【0042】
累計持続充電容量>=5Ahである場合、持続的に充電する前の動作状態に関わらず、必然的に現在のOCV-SOC曲線が放電OCV-SOC曲線から最大程度乖離することがあり、充電OCV-SOC曲線に重なり、即ち、第1のSOC信頼可能な範囲は[S1,S1]である。
【0043】
上記結果を整理すると、現在のOCV=3.5Vの状況での、累計持続充電容量と、第1のSOC信頼可能な範囲のSOC上限及び下限との対応関係表或いはフィッティング関数関係を取得できる。このように類推して、バッテリのすべての現在のOCVについての、累計持続充電容量と、第1のSOC信頼可能な範囲のSOC上限及び下限との対応関係表或いはフィッティング関数関係を取得することができる。同じ方法に基づいて、バッテリのすべての現在のOCVについての、累計持続放電容量と、第2のSOC信頼可能な範囲のSOC上限及び下限との対応関係表或いはフィッティング関数関係を取得することができる。
【0044】
図4は、本開示による、バッテリSOCの判定方法の一実施例におけるSOC補正値を取得する概略フローチャートであり、以下が図4に示されている。
【0045】
ステップ401において、現在のOCV値に対応する初期SOC値を取得する。
【0046】
ステップ402において、初期SOC値が第1のSOC信頼可能な範囲又は第2のSOC信頼可能な範囲内にあるか否かを判断する。
【0047】
ステップ403において、YESであれば、SOC補正値が初期SOC値であると判定し、NOであれば、予め設定されたSOC補正ポリシー及び第1のSOC信頼可能な範囲又は第2のSOC信頼可能な範囲に基づいて、初期SOC値を補正してSOC補正値を取得する。
【0048】
現在のOCV値に対応する初期SOC値を取得するには、様々な方法があり得る。例えば、予め設定されたOCVとSOCとの第1のマッピング関係情報を取得し、第1のOCVとSOCとのマッピング関係情報は、現在のOCV-SOCマッピング関係表などであり得る。例えば、第1のOCV-SOCマッピング関係情報は、現在の、車内に格納されているOCV-SOCのマッピング関係表などである。OCVとSOCとの第1のマッピング関係情報に基づいて、現在のOCV値に対応する初期SOC値を取得する。
【0049】
予め設定されたSOC補正ポリシー及び第1のSOC信頼可能な範囲又は第2のSOC信頼可能な範囲に基づいて、初期SOC値を補正し、予め設定されたSOC補正ポリシーには様々なものがあり得る。例えば、初期SOC値が、第1のSOC信頼可能な範囲又は第2のSOC信頼可能な範囲の上限SOC値より大きい場合、第1のSOC信頼可能な範囲又は第2のSOC信頼可能な範囲の上限SOC値をSOC補正値とし、初期SOC値が第1のSOC信頼可能な範囲又は第2のSOC信頼可能な範囲の下限SOC値より小さい場合、第1のSOC信頼可能な範囲又は第2のSOC信頼可能な範囲の下限SOC値をSOC補正値とする。
【0050】
例えば、バッテリの現在のOCVが3.5Vである場合、累計持続充電容量と第1のSOC信頼可能な範囲の対照表は、下表1に示すとおりである。
【0051】
バッテリの現在のOCVが3.5Vである場合、
【表1】
【0052】
表1において、X1、X2、…、XNは、累計持続充電容量を代表し、D1、D2、…、DNは、当該累計持続充電容量での可能な真のSOC上限を代表し、E1、E2、…、ENは、当該累計持続充電容量での可能な真のSOC下限を代表する。D1、D2、…、DN及びE1、E2、…、ENは、関連するテスト、実験などにより取得できる。バッテリの異なる現在のOCV値について、表1に示すような、対応する累計持続充電容量と第1のSOC信頼可能な範囲の対照表、或いは対応する累計持続放電容量と第2のSOC信頼可能な範囲の対照表がそれぞれ設定され、各表の内容はいずれも表1に示すとおりである。
【0053】
例えば、バッテリが、静的状態になる前に充電状態であり、累計持続充電容量がX=2Ahである。表1を照会し、累計持続充電容量X=2Ahにしたがって表1を検索してSOC上限Dx=30%,下限Ex=25%を取得する。現在推定されたSOCがSOC上限より大きいと、現在のSOCをDxに補正し、現在推定されたSOCがSOC下限より小さいと、現在のSOCをExに補正する。
【0054】
図5は、本開示によるバッテリSOCの判定方法の別の実施例の概略フローチャートであり、以下が図5に示されている。
【0055】
ステップ501において、累計持続充電容量及び累計持続放電容量をリアルタイムで記録する。
【0056】
ステップ502において、予め設定された静的条件に基づいてバッテリが静置状態にあると判断すると、現在のOCV値を取得する。
【0057】
ステップ503において、バッテリが、静置状態になる前に充電状態であるか放電状態であるかを判断し、充電状態であれば、ステップ504に進み、放電状態であれば、ステップ505に進む。
【0058】
ステップ504において、累計持続充電容量を取得し、現在のOCV値及び累計持続充電容量に基づいて第1のSOC信頼可能な範囲を取得する。
【0059】
ステップ505において、累計持続放電容量を取得し、現在のOCV値及び累計持続放電容量に基づいて第2のSOC信頼可能な範囲を取得する。
【0060】
ステップ506において、第1のSOC信頼可能な範囲又は第2のSOC信頼可能な範囲に基づいて、現在のOCV値に対応するSOC補正値を取得する。
【0061】
例えば、バッテリが静的状態になる前に充電状態である場合、バッテリの現在のOCV及び累計持続充電容量Ccに基づいて、第1のSOC信頼可能な範囲[Ex,Dx]を取得する。バッテリが、静的状態になる前に放電状態である場合、バッテリの現在のOCV及び累計持続放電容量Cdに基づいて、第2のSOC信頼可能な範囲[Fx,Gx]を取得する。
【0062】
事前に特定のテストフローで表或いは関数のフィッティング関係などを較正して取得することができ、表或いは関数のフィッティング関係などに基づきかつ現在のOCV、累計持続充電容量Cc及び累計持続放電容量Cdにしたがって、第1のSOC信頼可能な範囲[Ex,Dx]や第2のSOC信頼可能な範囲[Fx,Gx]を取得する。さらに、関数のフィッティング変数(OCV及び累計持続充電容量を入力とし、SOC信頼可能な上限及び下限を出力とする)間の関係により、第1のSOC信頼可能な範囲[Ex,Dx]や第2のSOC信頼可能な範囲[Fx,Gx]を取得し、多項式フィッティング、ニューラルネットワークなどのような方法により得られる。
【0063】
現在の第1のSOC信頼可能な範囲[Ex,Dx]にしたがって、現在推定された初期SOCを補正し、現在の初期SOCがSOC信頼可能な範囲上限Dxより大きい場合、初期SOCをDxに補正し、初期のSOCがSOC信頼可能な範囲下限Exより小さい場合、初期SOCをExに補正する。初期SOCが[Ex,Dx]範囲内にあれば、補正しない。
【0064】
一実施例において、図6に示すように、本開示は、バッテリ情報取得モジュール61、SOC信頼可能な情報判定モジュール62及びSOC補正モジュール63を含むバッテリSOCの判定装置60を提供する。バッテリ情報取得モジュール61は、バッテリの現在のOCV値及びバッテリの累計持続充電又は放電容量情報を取得する。SOC信頼可能な情報判定モジュール62は、現在のOCV値及び累計持続充電又は放電容量情報に基づいてSOC信頼可能な情報を取得する。SOC補正モジュール63は、SOC信頼可能な情報にしたがって、現在のOCV値に対応するSOC補正値を取得する。
【0065】
予め設定された静的条件に基づいてバッテリが静置状態にあると判断すると、バッテリ情報取得モジュール61は、現在のOCV値及び累計持続充電又は放電容量情報を取得する。静的条件には、バッテリの静置時間が予め設定された静置時間閾値に達するか又は予め設定された静置時間閾値を上回るなどが含まれる。
【0066】
SOC信頼可能な情報には、第1のSOC信頼可能な範囲、第2のSOC信頼可能な範囲が含まれる。SOC信頼可能な情報判定モジュール62は、現在のOCV値及びバッテリの累計持続充電容量に基づいて第1のSOC信頼可能な範囲を取得するか、又は、現在のOCV値及びバッテリの累計持続放電容量に基づいて第2のSOC信頼可能な範囲を取得する。SOC補正モジュール63は、第1のSOC信頼可能な範囲又は第2のSOC信頼可能な範囲に基づいて、現在のOCV値に対応するSOC補正値を取得する。
【0067】
一実施例において、図7に示すように、SOC補正モジュール63は、初期SOC取得ユニット631及び初期SOC補正ユニット632を含む。初期SOC取得ユニット631は、現在のOCV値に対応する初期SOC値を取得する。初期SOC取得ユニット631は、予め設定されたOCVとSOCとの第1のマッピング関係情報を取得し、OCVとSOCとの第1のマッピング関係情報に基づいて、現在のOCV値に対応する初期SOC値を取得する。
【0068】
初期SOC補正ユニット632は、初期SOC値が第1のSOC信頼可能な範囲又は第2のSOC信頼可能な範囲内にあるか否かを判断し、YESであれば、初期SOC補正ユニット632は、SOC補正値が初期SOC値であると判定し、NOであれば、初期SOC補正ユニット632は、予め設定されたSOC補正ポリシー及び第1のSOC信頼可能な範囲又は第2のSOC信頼可能な範囲に基づいて、初期SOC値を補正してSOC補正値を取得する。
【0069】
初期SOC補正ユニット632は、初期SOC値が第1のSOC信頼可能な範囲又は第2のSOC信頼可能な範囲の上限SOC値より大きい場合、第1のSOC信頼可能な範囲又は第2のSOC信頼可能な範囲の上限SOC値をSOC補正値とし、初期SOC補正ユニット632は、初期SOC値が第1のSOC信頼可能な範囲又は第2のSOC信頼可能な範囲の下限SOC値より小さい場合、第1のSOC信頼可能な範囲又は第2のSOC信頼可能な範囲の下限SOC値をSOC補正値とする。
【0070】
一実施例において、バッテリが静置状態になる前に充電状態であった場合、バッテリ情報取得モジュール61は、累計持続充電容量を取得する。SOC信頼可能な情報判定モジュール62は、現在のOCV値及び累計持続充電容量に基づいて、第1のSOC信頼可能な範囲を取得する。バッテリが静置状態になる前に放電状態であった場合、バッテリ情報取得モジュール61は、累計持続放電容量を取得する。SOC信頼可能な情報判定モジュール62は、現在のOCV値及び累計持続放電容量に基づいて、第2のSOC信頼可能な範囲を取得する。
【0071】
図8に示すように、バッテリSOCの判定装置60は、充放電容量記録モジュール64を含む。充放電容量記録モジュール64は、累計持続充電容量及び累計持続放電容量をリアルタイムで記録する。バッテリの電流方向が充電方向から放電方向に変化した場合、変化した電流方向の持続時間が予め設定された第1の時間閾値を上回るか、又は、バッテリの放電容量が予め設定された第1の容量閾値を上回ると判定すると、充放電容量記録モジュール64は累計持続充電容量をゼロにクリアし、バッテリの電流方向が放電方向から充電方向に変化した場合、変化した電流方向の持続時間が予め設定された第2の時間閾値を上回るか、又は、バッテリの充電容量が予め設定された第2の容量閾値を上回ると判定すると、充放電容量記録モジュール64は累計持続放電容量をゼロにクリアする。
【0072】
図8に示すように、バッテリSOCの判定装置60は、SOC信頼可能な情報設定モジュール65を含む。SOC信頼可能な情報設定モジュール65は、バッテリのOCVとSOCとの第2のマッピング関係情報と、バッテリの累計持続充電電気量及び累計持続放電容量のそれぞれとバッテリのSOCとの対応関係とを事前に取得する。SOC信頼可能な情報設定モジュール65は、OCVとSOCとの第2のマッピング関係情報、累計持続充電電気量とバッテリのSOCとの対応関係、及び累計持続放電容量とバッテリのSOCとの対応関係にしたがって、OCVと累計持続充電電気量に対応するSOC信頼可能な情報、OCVと累計持続放電容量に対応するSOC信頼可能な情報をそれぞれ設定する。
【0073】
図9は、本開示による、バッテリSOCの判定装置の別の実施例のモジュール概略図である。図9に示すように、当該装置は、メモリ91、プロセッサ92、通信インタフェース93及びバス94を含んでもよい。メモリ91は、命令を格納するために用いられ、プロセッサ92はメモリ91に結合され、プロセッサ92は、メモリ91に格納されている命令に基づいて、上記のバッテリSOCの判定方法を実行するように構成される。
【0074】
メモリ91は、高速ランダムアクセスメモリ(Random-Access Memory、RAM)、不揮発性メモリ(non-volatile memory)などであってもよく、メモリ91は、メモリアレイであってもよい。メモリ91をさらにブロック化することもでき、ブロックを一定の規則にしたがって仮想ボリュームに組み合わせることが可能である。プロセッサ92は、中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)であっても、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)であっても、本開示のバッテリSOCの判定方法を実施するように構成された1つ以上の集積回路であってもよい。
【0075】
一実施例において、本開示は、バッテリ管理システムを提供し、上記のいずれかの実施例におけるバッテリSOCの判定装置を含む。バッテリ管理システムは、車などに搭載でき、バッテリを管理することができる。
【0076】
一実施例において、本開示は、コンピュータ可読記憶媒体を提供し、コンピュータ可読記憶媒体には、コンピュータ命令が記憶され、命令がプロセッサによって実行されると、上記のいずれかの実施例におけるバッテリSOCの判定方法が実現される。
【0077】
上記実施例におけるバッテリ充電状態の判定方法、装置、バッテリ管理システム及び記憶媒体は、バッテリの現在のOCV値及びバッテリの累計持続充電又は放電容量情報にしたがってSOC信頼可能な情報を取得し、SOC信頼可能な情報にしたがって現在のOCV値に対応するSOC補正値を取得し、現在のOCVでのSOC信頼可能な情報を判定することにより、SOCの上限と下限を縮小することができ、SOC補正精度を向上させることができ、バッテリ、特にヒステリシス特性を有するバッテリに対して、SOC推定の正確性を向上させ、SOC推定の誤差を低下させることができ、バッテリの信頼性及びユーザの使用感を向上させることができる。
【0078】
本開示の方法及びシステムは、多くの方法で実装され得る。例えば、本開示の方法及びシステムは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはソフトウェア、ハードウェア、及びファームウェアの任意の組み合わせによって実装され得る。方法のステップのための上記の順序は、説明するためのものにすぎず、本開示の方法のステップは、他の方法で特に説明しない限り、上記の具体的な説明順序に限定されるものではない。また、一部の実施例において、本開示を記録媒体に記録されているプログラムとして実施することもでき、これらのプログラムには、本開示に係る方法を実現するための機械可読命令が含まれる。したがって、本開示は、さらに、本開示に係る方法を実行するためのプログラムを格納する記録媒体もカバーする。
【0079】
本開示の説明は、例示及び説明のために提供されたもので、網羅するものでも、本開示を開示された形式に限定するものでもない。多くの修正及び変更は、当業者にとって明らかである。本開示の原理及び実際の適用をよりよく説明し、かつ、当業者が本開示を理解して、特定用途に適する、様々な修正を伴う様々な実施例を設計できるようにするために、実施例を選択して説明した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9