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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】飛距離を伸ばす練習具
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/00 20060101AFI20221216BHJP
   A63B 69/36 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
A63B69/00 504C
A63B69/36 501
A63B69/00 505A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018147203
(22)【出願日】2018-07-19
(65)【公開番号】P2020011014
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】399043417
【氏名又は名称】有限会社内田販売システム
(73)【特許権者】
【識別番号】592047663
【氏名又は名称】斎藤 辰夫
(73)【特許権者】
【識別番号】597030637
【氏名又は名称】内田 広子
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 辰夫
(72)【発明者】
【氏名】内田 広子
【審査官】石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-100172(JP,A)
【文献】特開平08-033744(JP,A)
【文献】登録実用新案第3198188(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0178986(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0072041(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0129991(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B69/36
A63B69/00
A63B60/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本のシャフトの先端に係着させた略円筒状の被打撃部材と、前記シャフトの基端に冠着させた両手で握ることができる長さの略円筒状の把持部と、前記被打撃部材と前記把持部の間には前記シャフトの軸方向を移動可能な略円筒状の3つの打撃部材を有する練習具であり、
前記3つの打撃部材は、前記把持部から直線で最長距離に位置する打撃部材を第1打撃部材、また前記把持部から直線で中間の距離に位置する打撃部材を第2打撃部材、前記把持部から直線で最短距離に位置する打撃部材を第3打撃部材といい、前記3つの打撃部材は前記シャフトの軸方向に嵌合され、前記練習具を手に持ち構えたときは前記3つの打撃部材は、前記把持部の上側の前記シャフトの軸方向に縦列するように位置し、前記把持部を握り素振り練習を行うことで前記3つの打撃部材が遠心力と慣性により前記シャフトの軸方向に沿って先端側に移動し、インパクトの位置で前記被打撃部材に前記第1打撃部材が衝突し、次いで前記第1打撃部材に前記第2打撃部材が衝突し、最後に前記第2打撃部材に前記第3打撃部材がそれぞれ順番に衝突し、前記被打撃部材と前記3つの打撃部材が衝突した際の衝突音は時間差で発生することを特徴とする飛距離を伸ばす練習具。
【請求項6】
前記3つの打撃部材は素振り練習のインパクトにおいてそれぞれが衝突した際に、前記3つの打撃部材と打撃部材の間にそれぞれ隙間ができるように前記3つの打撃部材の小口の周縁部を高低2段に形成し、前記小口の内周側の段を高く形成することを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の飛距離を伸ばす練習具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球、ゴルフなどの素振り練習をする際に、インパクトからの押し込みやフォロースルーを強くするトレーニングができる練習具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インパクトで音がする素振り練習器で素振り練習をしていた(例えば特許文献1並びに特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-24386号広報
【文献】特開平8-33744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の器具は、素振りをした際にインパクトで音が鳴り、振動、衝撃など実際に打撃した時のような感触を味わうことができた。また、特許文献2に記載の器具は、スイングの軌道とヘッドスピードの速さを確認できる素振り調整機だった。
特許文献1に関しては、インパクトに力を集中することでインパクトの瞬間に肩や腕に力が入り大きなフォロースルーが実現できなかった。また、特許文献2に関しては、ボールの衝突音が1回鳴るか2回鳴るかで、スイング軌道の正確性とヘッドスピードの速度を調整するものだった。
【0005】
本発明は、前述した特許文献の器具を改良し、野球、ゴルフなどにおいて、構えた時からフォロースルーまで肩から力を抜いた軽い握りで一定にスイングができるようにすることで、ヘッドがブレない強い押し込み、強いフォロースルーを会得できる練習具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明の飛距離を伸ばす練習具は、1本のシャフトの先端に係着させた略円筒状の被打撃部材と、シャフトの基端に冠着させた両手で握ることができる長さの略円筒状の把持部と、被打撃部材と把持部の間にはシャフトの軸方向を移動可能な略円筒状の3つの打撃部材を有する練習具であり、3つの打撃部材は、把持部から直線で最長距離に位置する打撃部材を第1打撃部材、また把持部から直線で中間の距離に位置する打撃部材を第2打撃部材、把持部から直線で最短距離に位置する打撃部材を第3打撃部材といい、3つの打撃部材はシャフトの軸方向に嵌合され、練習具を手に持ち構えた時は3つの打撃部材は、把持部の上側のシャフトの軸方向に縦列するように位置し、把持部を握り素振り練習を行うことで3つの打撃部材が遠心力と慣性によりシャフトの軸方向に沿って先端側に移動し、インパクトの位置で被打撃部材に第1打撃部材が衝突し、次いで第1打撃部材に第2打撃部材が衝突し、最後に第2打撃部材に第3打撃部材がそれぞれ順番に衝突し、被打撃部材と3つの打撃部材が衝突した際の衝突音は時間差で発生することを特徴とする。
【0007】
3つの打撃部材の重量、長さ、形状はそれぞれに異なることを特徴とする。
【0008】
第1打撃部材は、3つの打撃部材のうちで最も重量が軽いことを特徴とする。
【0009】
第3打撃部材は、3つの打撃部材のうちで最も重量が重いことを特徴とする。
【0010】
把持部上側に対向する略円筒状の第3打撃部材の軸方向把持部側となる下部は、第1打撃部材並びに第2打撃部材それぞれ2つの打撃部材の把持部側となる下部より直径が小さくなることを特徴とする。
【0011】
3つの打撃部材は素振り練習のインパクトにおいてそれぞれが衝突した際に、3つの打撃部材と打撃部材の間にそれぞれ隙間ができるように打撃部材の小口の周縁部を高低2段に形成し、小口の内周側の段を高く形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の本発明の飛距離を伸ばす練習具は、素振り練習をした際に、インパクトで第1打撃部材が被打撃部材に衝突し、その後第1打撃部材に第2打撃部材が衝突し、最後に第2打撃部材に第3打撃部材が衝突することで、被打撃部材へ打撃部材が衝突した際の衝撃力=荷重を抑制させることができるという優れた効果を発揮する。
【0013】
請求項2に記載の本発明の飛距離を伸ばす練習具は、3つの打撃部材それぞれの長さ、重量、形状を変えることにより、目的によって重心の位置を随意に変えることができるという優れた効果を発揮する。
【0014】
請求項3に記載の本発明の飛距離を伸ばす練習具は、第1打撃部材は、3つの打撃部材のうちで最も重量を軽くすることにより、被打撃部材へ第1打撃部材が衝突した際の衝撃力を少なくすることができるという優れた効果を発揮する。
【0015】
請求項4に記載の本発明の飛距離を伸ばす練習具は、第3打撃部材は、3つの打撃部材のうちで最も重量を重くすることにより、素振り練習において第3打撃部材が第2打撃部材に衝突した際の荷重を付加することができ、強い押し込みを実現するために非常に有効であるという優れた効果を発揮する。
【0016】
請求項5に記載の本発明の飛距離を伸ばす練習具は、把持部上側に対向する第3打撃部材の軸方向下部を第1打撃部材並びに第2打撃部材下部の直径より小さくすることで、遠心力が働きづらい位置にありながら遠心力を効率よく働かせることができるという優れた効果を発揮する。
【0017】
請求項6に記載の本発明の飛距離を伸ばす練習具は、3つの打撃部材と打撃部材の間にそれぞれ隙間を形成することにより空気抵抗を抑えることができ振り抜きが良くなるという効果を奏する。また、打撃部材の小口周縁部を高低2段に形成し、小口内周側の段を高く形成することにより、打撃部材と打撃部材が衝突する範囲が狭くなり強く前の打撃部材を圧力で押し込めるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】 本発明の飛距離を伸ばす練習具の斜視図である。
図2】 本発明の飛距離を伸ばす練習具の正面図である。
図3】 本発明の飛距離を伸ばす練習具の背面図である。
図4】 本発明の飛距離を伸ばす練習具の右側面図である。
図5】 本発明の飛距離を伸ばす練習具の左側面図である。
図6】 本発明の飛距離を伸ばす練習具の平面図である。
図7】 本発明の飛距離を伸ばす練習具の底面図である。
図8】 本発明の飛距離を伸ばす練習具を手に持ち、構えた時の打撃部材の位置である。
図9】 本発明の飛距離を伸ばす練習具の打撃部材である。
図10】 本発明の飛距離を伸ばす練習具の振り始めの打撃部材の位置である。
図11】 本発明の飛距離を伸ばす練習具のインパクト時の打撃部材の位置である。
図12】 本発明の飛距離を伸ばす練習具の押し込み時の打撃部材の位置である。
図13】 本発明の飛距離を伸ばす練習具の素振り時のインパクトから押し込みまでの打撃部材の位置と軌道である。
図14】 本発明の飛距離を伸ばす練習具と特許文献1並びに特許文献2の素振り時の軌道の比較である。
図15】 本発明の飛距離を伸ばす練習具の中心となる把持部からそれぞれの打撃部材の距離である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を図面に示す実施形態図1~15に基づき説明をする。ただし、以下の実施するための形態は、本発明の飛距離を伸ばす練習具についての一例として説明するものであり、この説明の図の項に限定されるものではない。
【0020】
図1は、本発明の飛距離を伸ばす練習具の斜視図である。飛距離を伸ばす練習具1、被打撃部材2、第1打撃部材3、第2打撃部材4、第3打撃部材5、第3の打撃部材5の下部5′、シャフト6、把持部7から構成される。
【0021】
本発明の飛距離を伸ばす練習具1は、把持部7を手で握り野球あるいはゴルフのボールを打つようなイメージで素振りをすることで被打撃部材2に第1打撃部材3が衝突し、その後第1打撃部材3に第2打撃部材4が衝突し、最後に第2打撃部材4に第3打撃部材5が衝突し、時間差でパン、パン、パンと3回音が鳴るように形成している。衝突を3回に分けることで衝突時の衝撃力=荷重を分散することができ、振り出しからフォロースルーまで肩や腕に力が入らず軽く把持部を握ることができる。また、第2打撃部材4が第1打撃部材3を押し、さらに第3打撃部材5が第2打撃部材4に衝突することで、それぞれの打撃部材が前の打撃部材に力を加えることができ、インパクトゾーンの長い強い押し込みを助け、ヘッドスピードを上げ、打球を速くする練習を可能にする。
【0022】
図2は、本発明の飛距離を伸ばす練習具1の正面図である。被打撃部材2から構成される。
【0023】
図3は、本発明の飛距離を伸ばす練習具1の背面図である。第3打撃部材5、第3打撃部材の下部5′、把持部7から構成される。
【0024】
図4は、本発明の飛距離を伸ばす練習具1の右側面図である。被打撃部材2、第1打撃部材3、第2打撃部材4、第3打撃部材5、第3打撃部材の下部5′、シャフト6、把持部7、第1打撃部材の小口内周側の高い段a、第2打撃部材の小口内周側の高い段a′、第3打撃部材の小口内周側の高い段a″から構成される。a、a′a″それぞれの段は、先端方向側のそれぞれの打撃部材の小口に形成するが、それぞれの打撃部材の両側の小口に形成することも可能である。
【0025】
図5は、本発明の飛距離を伸ばす練習具1の左側面図である。被打撃部材2、第1打撃部材3、第2打撃部材4、第3打撃部材5、第3打撃部材の下部5′、シャフト6、把持部7、第1打撃部材の小口内周側の高い段a、第2打撃部材の小口内周側の高い段a′、第3打撃部材の小口内周側の高い段a″から構成される。
【0026】
図6は、本発明の飛距離を伸ばす練習具1の平面図である。被打撃部材2、第1打撃部材3、第2打撃部材4、第3打撃部材5、第3打撃部材の下部5′、シャフト6、把持部7、第1打撃部材の小口内周側の高い段a、第2打撃部材の小口内周側の高い段a′、第3打撃部材の小口内周側の高い段a″から構成される。
【0027】
図7は、本発明の飛距離を伸ばす練習具1の底面図である。被打撃部材2、第1打撃部材3、第2打撃部材4、第3打撃部材5、第3打撃部材の下部5′、シャフト6、把持部7、第1打撃部材の小口内周側の高い段a、第2打撃部材の小口内周側の高い段a′、第3打撃部材の小口内周側の高い段a″から構成される。
【0028】
図8は、本発明の飛距離を伸ばす練習具1の把持部7を手に持ち被打撃部材2を上にして構えた時のそれぞれの打撃部材の位置である。被打撃部材2、第1打撃部材3、第2打撃部材4、第3打撃部材5、第3打撃部材の下部5′、シャフト6、把持部7、第1打撃部材3の小口内周側の高い段a、第2打撃部材4の小口内周側の高い段a′、第3打撃部材5の小口内周側の高い段a″から構成される。
素振りをするために把持部7を持ち、被打撃部材2を上に向けて構えた時は、3つの打撃部材は把持部7側のシャフト6の軸方向に縦列に並び、手元側に重心が位置する構造となる。重心が手元側にあることで、重心が先端部側にある場合と比較して腕や肩が力まず軽く握ることができ、筋肉が緊張せず操作性が向上する構造となっている。
【0029】
図9は、本発明の飛距離を伸ばす練習具1の第1打撃部材3である。第1打撃部材3の小口内周側の高い段a、外周側の低い段bから構成される。これは、第2打撃部材4、第3打撃部材5にもそれぞれ形成される。高い段aの素材は木、樹脂、弾力部材等が考えられる。また、各打撃部材の高い段aのそれぞれの素材を変えることで、各打撃部材が各衝突する位置でそれぞれの衝突する音に違いを出すこともでき、音によってフォームの確認ができるという方法も考えられる。
また、高い段aの役割は、衝撃力と空気の抵抗を抑制するためのものである。さらに、衝突する際の圧力を高くし、素振り練習の際のインパクトでの押しを強くすることができる。
【0030】
図10は、本発明の飛距離を伸ばす練習具1の振り始めの打撃部材の位置である。被打撃部材2、第1打撃部材3、第2打撃部材4、第3打撃部材5、第3打撃部材の下部5′、シャフト6、把持部7、第1打撃部材3の小口内周側の高い段a、第2打撃部材4の小口内周側の高い段a′、第3打撃部材5の小口内周側の高い段a″から構成される。
振り始めは、第1打撃部材3が3つの打撃部材のうちで最も軽いことと、把持部7からの距離が最長であることから、遠心力が働きやすく遠心力が働く方向へ素直に飛び出し被打撃部材2側に移動をする構造になっている。
【0031】
図11は、本発明の飛距離を伸ばす練習具1のインパクト時の打撃部材の位置である。打撃部材2、第1打撃部材3、第2打撃部材4、第3打撃部材5、第3打撃部材の下部5′、シャフト6、把持部7、第1打撃部材の小口内周側の高い段a、第2打撃部材の小口内周側の高い段a′、第3打撃部材の小口内周側の高い段a″から構成される。
前述のとおり、第1打撃部材3が最も軽いことと把持部7から最長距離にあるため遠心力が働きやすく、3つの打撃部材のなかで最初に被打撃部材2側へ移動を始め、被打撃部材2に衝突をする。その後、2番目に遠心力が働きやすい第2打撃部材4が移動を始め、第1打撃部材3へ衝突する構造となっている。
第2打撃部材4は、第1打撃部材3と比較して重量が重くなっているために、遠心力が働き始めると速度が増し、第1打撃部材3へ衝突しインパクトから打球方向へ押し込む力が働くようになる。
【0032】
図12は、本発明の飛距離を伸ばす練習具1の素振り時に第3打撃部材5が第2打撃部材4に衝突した最後の押し込み時のそれぞれの打撃部材の位置である。被打撃部材2、第1打撃部材3、第2打撃部材4、第3打撃部材5、第3打撃部材の下部5′、シャフト6、把持部7、第1打撃部材の小口内周側の高い段a、第2打撃部材の小口内周側の高い段a′、第3打撃部材の小口内周側の高い段a″から構成される。
例えば、図12の各打撃部材3、4、5が分かれておらず一体の打撃部材であるならば、重量、長さともに大きくなることで被打撃部材2に相当な衝撃で衝突することになる。衝突する力が強くなると、腕、肩に力が入り把持部7を軽く握ることができなくなる。さらに腕や肩の上半身に力が入り筋肉が硬くなるために下半身も柔軟性がなくなり軸足に体重を乗せた力強い素振りをするということができなくなる。
よって、打撃部材を3つに分ける構造にすることで、衝撃の力を分散させることができ、荷重を軽減することで腕、肩が力まずに軽い握りを可能にすることができる。握りが軽いことによりフォロースルーは自然に大きくなり、また、腕や肩が力まないことで、軸足に体重を乗せた、力強く打球方向への押し込む素振り練習ができるようになる。
押し込む練習をすることで、飛距離を伸ばすことができ、さらに強くて速い打球を打つことが可能になる。
【0033】
さらに、それぞれの打撃部材の先端側の小口が細くなり、打撃部材同士の間に隙間a、a′、a″を形成することで、空気抵抗が少なく素振りをした際の振り抜きがスムーズである。空気抵抗が少ない分、手や腕に負担がかからず体感重量も軽く感じることができ、最後のフォロースルーまで軽い握りでフィニッシュすることができる。
【0034】
図13は、本発明の飛距離を伸ばす練習具1の素振り時のインパクトから押し込みまでの打撃部材の位置と軌道である。被打撃部材2、第1打撃部材3、第2打撃部材4、第3打撃部材5、把持部7、第1のインパクトポイント▲1▼、第2のインパクトポイント▲2▼、第3のインパクトポイント▲3▼、振り始めの軌道A、インパクト時から押し込むまでの軌道B、B′、フォロースルーの軌道Cから構成される。
▲1▼は第1打撃部材3が被打撃部材2に衝突する第1のインパクトポイントである。3つのおもりの中で最も重量が軽い第1打撃部材3は、遠心力が働きやすく被打撃部材2に衝突をして1つ目の衝突音が鳴る。このインパクトポイント▲1▼から、体は軸足に体重を乗せる準備を始める。
▲2▼は第2打撃部材4が第1打撃部材3に衝突をする第2のインパクトポイントである。ここで2つ目の打撃音が鳴る。第2打撃部材4は第1打撃部材3より重量を重く形成することで、遠心力が働き始めると速度が速くなり第1打撃部材3に衝突し、第1打撃部材3に衝突、圧力を加え押し込む役割を果たす。第1打撃部材3を押し込むことで、把持部7を握った腕が前へ伸び、第2のインパクトポイント▲2▼で軸足に体重を加えながら腕が前へ押し込む動作をすることができる。
▲3▼は、3つの打撃部材のなかで最も重量のある第3打撃部材5が第2打撃部材4に衝突し、3つ目の衝突音がする。ここが第3のインパクトポイント▲3▼である。軌道Bから軸足に重心を置く準備を始め、B′まで下半身で踏ん張り腕を伸ばしながら前へ押し込む動作をすることで、B-B′線の長い軌道ができる。インパクトポイントが点ではなく、B-B′のように長い線になることによりチェンジアップなどでバッターが崩された場合でも、B-B′の距離を押し込む練習をすることでヒットにつながるフォームを作ることができる。
【0035】
また、3回鳴る衝突音の時間差が縮まれば縮まるほどヘッドスピードが向上している証拠となるため、ヘッドスピードの確認をするためにも3回の衝突音を確認することは素振り練習には効果的である。
【0036】
図14は、本発明の飛距離を伸ばす練習具1と特許文献1並びに特許文献2の軌道の比較である。振り始めA、本発明の飛距離を伸ばす練習具1の第1のインパクトポイントB、第3のインパクトポイントB′、軌道F、フォロースルーCである。特許文献1の振り始めA、軌道D、フォロースルーC″、特許文献2の振り始めA、軌道E、フォロースルーC′である。いずれも当社比較であるが、打撃部材が1個の特許文献1は、インパクトに集中をするトレーニングをする器具であるため、インパクトで腕や肩に力が入りフォロースルーC″が思ったほど伸びない。また、特許文献2は打撃部材が2個あるために、特許文献1と比較して押し込みは強くなるが打撃部材の小口が平らになっているために衝撃の力を分散する効果が低く、腕や肩に力が入り本発明の飛距離を伸ばす練習具1の軌道Fよりインパクトゾーンが小さくなり、前への押し込みが弱くなる。
本発明の飛距離を伸ばす練習具1の軌道Fは、特許文献1、特許文献2と比較してインパクトポイントB-B′が長く、フォロースルーCも大きくなっている。
【0037】
図15は、本発明の飛距離を伸ばす練習具1の把持部7と3つの打撃部材のそれぞれの距離である。被打撃部材2、第1打撃部材3、第2打撃部材4、第3打撃部材5、把持部7、構えた時の打撃部材の位置▲10▼、第1のインパクトポイント▲1▼、第2のインパクトポイント▲2▼、第3のインパクトポイント▲3▼、中心の把持部7と第1打撃部材3までの距離3r、中心の把持部7と第2打撃部材4までの距離4r、中心の把持部7と第3打撃部材5までの距離5r、構えた時の打撃部材の位置▲10▼では、中心の把持部7と第1打撃部材3までの距離3r′、把持部7から第2打撃部材までの距離4r′、把持部7から第3打撃部材までの距離5r′のから構成される。
【0038】
遠心力は、回転の半径が長いほど大きくなることから、第1打撃部材3は、中心となる把持部7から最長の距離3r、3r′に位置し、被打撃部材2側へ早く移動する構造になっている。次に移動するのは第2打撃部材4、であり、把持部7からの距離は4r、4r′である。最後に移動する第3打撃部材5は、把持部からの距離5r、5r′と最短距離になる。遠心力が一番弱いと想定される第3打撃部材5は、3つの打撃部材のなかで重量を最も重くすることと下部5′の直径を小さくする形状にして移動を円滑にした。移動が円滑になることで、遠心力が働きやすくなり、第2打撃部材4へ衝突する際の荷重が大きくなる。これによりインパクトゾーンが大きく広がる強い押し込みを体得することが可能になる。
【0039】
本発明の飛距離を伸ばす練習具1は、打撃部材を3つにすることで、打撃部材が被打撃部材に衝突する衝撃力=荷重を軽減できるという構造が最大の特徴である。重さを軽減し、腕から力を抜くことで前への押し込みを強くする画期的な練習ができる。
また、把持部7から各打撃部材までの距離、さらに重量、形状によって遠心力の強弱を決めることができ、各打撃部材の移動に時間差を作ることができる。時間差を作ることで、第2打撃部材、さらに第3打撃部材がそれぞれ前方へ力を加えることができ、素振り時に打球方向へ深く押し込む有益な練習ができるようになる。
また、被打撃部材2側を立てた素振りをすることで(俗にいうヘッドを残したフォーム)、下半身に体重が乗った力強い素振りができ、第3のインパクト後に自然と外側へ引っ張られ強いフォロースルーで飛距離を伸ばすという技術を体得することができる。
【0040】
さらに、各打撃部材の長さ、重量、形状を違えて位置を入れ替えることも可能である。これにより、インパクト時の重心のバランスを随意変更することができる。例えばヘッド側に重心を置いたヘッドバランスで長距離ヒッター用、真ん中に重心を置いたミドルバランスで中距離ヒッター用、重心を手元側に置いた手元バランス等、目的や嗜好によってさまざまな用途での製造が可能となる。これらは、把持部7から最長距離の第1打撃部材打撃部材3を最も重くする、把持部から中間の距離にある第2打撃部材4を最も重くするなどの方法、第1打撃部材3、第2打撃部材4を同等の重量にするなど、組み合わせは多岐に渡る。
【産業上の利用可能性】
【0041】
野球やゴルフの打撃の技術を向上させることによって、それぞれに関わるスポーツ人口の底上げを促しスポーツへの関心を高める。
【符号の説明】
【0042】
1 飛距離を伸ばす練習具
2 被打撃部材
3 第1打撃部材
4 第2打撃部材
5 第3打撃部材
6 シャフト
7 把持部
▲1▼ 第1のインパクトポイント
▲2▼ 第2のインパクトポイント
▲3▼ 第3のインパクトポイント
▲10▼ 構えた時の打撃部材の位置
a、a′、a″ 打撃部材の小口内周側の高い段
b 内周側の段
A、B、B′C 飛距離を伸ばす練習具の軌道
3r、4r、5r 把持部7からの距離
図1
図2
図3
図4
図5
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図15