IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

特許7194933バッテリ管理システム及びバッテリ管理方法
<>
  • 特許-バッテリ管理システム及びバッテリ管理方法 図1
  • 特許-バッテリ管理システム及びバッテリ管理方法 図2
  • 特許-バッテリ管理システム及びバッテリ管理方法 図3
  • 特許-バッテリ管理システム及びバッテリ管理方法 図4
  • 特許-バッテリ管理システム及びバッテリ管理方法 図5
  • 特許-バッテリ管理システム及びバッテリ管理方法 図6
  • 特許-バッテリ管理システム及びバッテリ管理方法 図7
  • 特許-バッテリ管理システム及びバッテリ管理方法 図8
  • 特許-バッテリ管理システム及びバッテリ管理方法 図9
  • 特許-バッテリ管理システム及びバッテリ管理方法 図10
  • 特許-バッテリ管理システム及びバッテリ管理方法 図11
  • 特許-バッテリ管理システム及びバッテリ管理方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】バッテリ管理システム及びバッテリ管理方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/42 20060101AFI20221216BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221216BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20221216BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20221216BHJP
【FI】
H01M10/42 P
H01M10/42 A
H02J7/00 P
H02J7/02 F
G06Q50/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018207717
(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公開番号】P2020072069
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】惠比須 博充
(72)【発明者】
【氏名】財津 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】篠原 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】竹村 将志
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】青砥 宏治
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-134451(JP,A)
【文献】登録実用新案第3200433(JP,U)
【文献】特表2015-507235(JP,A)
【文献】特表2015-524142(JP,A)
【文献】特開平09-153376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/42-10/48
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
G06Q50/10
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
B60R16/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ交換サービスに供用される複数のバッテリ装置と、
バッテリステーションに配置され、ユーザから返却された前記バッテリ装置を収容して充電すると共に、返却された前記バッテリ装置と交換で充電済みの前記バッテリ装置をユーザに貸し出す複数のバッテリ交換装置と、
この複数のバッテリ交換装置とネットワークを介して接続されて、前記バッテリ交換装置でのバッテリ交換を管理するサーバ装置と、
を有するバッテリ管理システムであって、
前記バッテリ交換装置は、
前記バッテリ装置を保持した来訪者を撮影する少なくとも1つのカメラを有し、来訪者の顔画像情報および前記バッテリ装置の識別画像情報を取得して、これら顔画像情報および前記識別画像情報を一括して前記サーバ装置へ送信し、
前記サーバ装置は、
前記顔画像情報に基づいて、来訪者が正規のユーザが否かを判定する顔照合を行うと共に、前記識別画像情報に基づいて、来訪者が持ち込んだ前記バッテリ装置が交換可能なものか否かを判定するバッテリ照合を行い、
前記顔照合の結果および前記バッテリ照合の結果に基づいて、バッテリ交換の可否を判定して、その判定結果を前記バッテリ交換装置に通知することを特徴とするバッテリ管理システム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、
ユーザの前記顔画像情報から抽出された顔特徴情報と、そのユーザに貸出中の前記バッテリ装置の前記識別画像情報から読み取られた識別情報とを対応付けて管理することを特徴とする請求項1に記載のバッテリ管理システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、
前記バッテリ照合として、来訪者が正規のユーザである場合に、そのユーザが持ち込んだ前記バッテリ装置が当該ユーザに貸出中の前記バッテリ装置であるが否かを判定し、
ユーザが持ち込んだ前記バッテリ装置が当該ユーザに貸出中の前記バッテリ装置でない場合には、バッテリ交換を許可しない判定結果を通知することを特徴とする請求項1に記載のバッテリ管理システム。
【請求項4】
前記バッテリ装置は、
前記識別画像情報として、2次元コード画像が外面に設けられ、
前記サーバ装置は、
前記カメラの撮影画像から取得した前記2次元コード画像の読み取りにより、来訪者が保持する前記バッテリ装置の識別情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のバッテリ管理システム。
【請求項5】
前記バッテリ交換装置は、
来訪者の顔を撮影する第1のカメラと、来訪者が保持する前記バッテリ装置を撮影する第2のカメラとを有することを特徴とする請求項1に記載のバッテリ管理システム。
【請求項6】
前記バッテリ交換装置は、
前記バッテリ装置の出し入れ口にシャッターを有し、
前記サーバ装置によるバッテリ交換の可否に関する判定結果に応じて、前記シャッターの開閉を制御することを特徴とする請求項1に記載のバッテリ管理システム。
【請求項7】
前記バッテリ交換装置は、
来訪者が接近すると、前記シャッターを開いて来訪者が持ち込んだ前記バッテリ装置を収容し、
前記サーバ装置がバッテリ交換を許可しない場合には、収容した前記バッテリ装置を来訪者に戻すために前記シャッターを開くことを特徴とする請求項6に記載のバッテリ管理システム。
【請求項8】
前記バッテリ交換装置は、
前記サーバ装置によりバッテリ交換が許可された場合には、前記シャッターを開いて来訪者が持ち込んだ前記バッテリ装置を収容し、
前記サーバ装置がバッテリ交換を許可しない場合には、前記シャッターを開かずに、バッテリ交換ができないことを来訪者に通知することを特徴とする請求項6に記載のバッテリ管理システム。
【請求項9】
バッテリ交換サービスで供用中の複数のバッテリ装置のバッテリ交換装置でのバッテリ交換をサーバ装置により管理するバッテリ管理方法であって、
バッテリステーションに配置され、ユーザから返却された前記バッテリ装置を収容して充電すると共に、返却された前記バッテリ装置と交換で充電済みの前記バッテリ装置をユーザに貸し出す前記バッテリ交換装置において、
前記バッテリ装置を保持した来訪者を少なくとも1つのカメラで撮影し、来訪者の顔画像情報および前記バッテリ装置の識別画像情報を取得して、これら顔画像情報および前記識別画像情報を一括してネットワークを介して前記サーバ装置へ送信し、
前記サーバ装置において、
前記顔画像情報に基づいて、来訪者が正規のユーザが否かを判定する顔照合を行うと共に、前記識別画像情報に基づいて、来訪者が持ち込んだ前記バッテリ装置が交換可能なものか否かを判定するバッテリ照合を行い、
前記顔照合の結果および前記バッテリ照合の結果に基づいて、バッテリ交換の可否を判定して、その判定結果を前記バッテリ交換装置に通知することを特徴とするバッテリ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両などのユーザがバッテリステーションでバッテリ装置を交換するバッテリ交換サービスにおいて、供用中のバッテリ装置を管理するバッテリ管理システム及びバッテリ管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、排気ガスによる大気汚染や燃料コストの問題を解消する観点から、電動バイクなどの電動車両が注目されている。このような電動車両では、バッテリ装置の性能向上により航続距離が伸びているが、バッテリ装置の充電が支障となって、長時間の連続走行ができないという不便がある。
【0003】
そこで、このような不便を解消するため、電動車両に、着脱可能なバッテリ装置を搭載して、バッテリステーションにおいて、残量が少なくなったバッテリ装置と充電済みのバッテリ装置とを交換できるようにして、長時間の連続走行を実現するバッテリ交換サービスが普及しつつある。
【0004】
このようなバッテリ交換サービスでは、従来、バッテリ交換を予め登録された人物に限定されるように、バッテリ交換を行う際にユーザ認証を実施する技術が知られている(特許文献1参照)。この技術では、ユーザ登録時に、ユーザが使用する電動車両の識別情報を登録しておき、バッテリ装置を電動車両に装着した際に、電動車両の識別情報(特定情報)をバッテリに記憶させ、バッテリ交換装置(管理装置)において、返却されたバッテリ装置から電動車両の識別情報を取得して、その電動車両の識別情報に基づいて、バッテリ装置を返却した人物が正規のユーザか否かを判定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許6322744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、例えば、2つのバッテリ装置を搭載した電動車両の場合には、2つのバッテリ装置を交換するため、電動車両から取り外した2つのバッテリ装置をユーザが両手に保持してバッテリ交換装置に持ち込むが、このとき、ユーザの両手が塞がっているため、ユーザが特別な操作を行わずにユーザ認証が行われることが望まれる。
【0007】
このような要望に対して、従来の技術では、バッテリ装置をバッテリ交換装置に返却するだけでユーザ認証が行われるため、ユーザが特別な操作を行わずに済むため、バッテリ交換時のユーザの手間を軽減することができる。
【0008】
しかしながら、従来の技術では、電動車両の識別情報でユーザ認証を行うため、電動車両が登録されたものであればよく、正規のユーザでなくてもバッテリ交換を行うことができることから、セキュリティの観点から十分なものではないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、バッテリ交換時のユーザの手間を軽減すると共に、ユーザ認証に係るセキュリティを十分に確保することができるバッテリ管理システム及びバッテリ管理方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のバッテリ管理システムは、バッテリ交換サービスに供用される複数のバッテリ装置と、バッテリステーションに配置され、ユーザから返却された前記バッテリ装置を収容して充電すると共に、返却された前記バッテリ装置と交換で充電済みの前記バッテリ装置をユーザに貸し出す複数のバッテリ交換装置と、この複数のバッテリ交換装置とネットワークを介して接続されて、前記バッテリ交換装置でのバッテリ交換を管理するサーバ装置と、を有するバッテリ管理システムであって、前記バッテリ交換装置は、前記バッテリ装置を保持した来訪者を撮影する少なくとも1つのカメラを有し、来訪者の顔画像情報および前記バッテリ装置の識別画像情報を取得して、これら顔画像情報および前記識別画像情報を一括して前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置は、前記顔画像情報に基づいて、来訪者が正規のユーザが否かを判定する顔照合を行うと共に、前記識別画像情報に基づいて、来訪者が持ち込んだ前記バッテリ装置が交換可能なものか否かを判定するバッテリ照合を行い、前記顔照合の結果および前記バッテリ照合の結果に基づいて、バッテリ交換の可否を判定して、その判定結果を前記バッテリ交換装置に通知する構成とする。
【0011】
また、本発明のバッテリ管理方法は、バッテリ交換サービスで供用中の複数のバッテリ装置のバッテリ交換装置でのバッテリ交換をサーバ装置により管理するバッテリ管理方法であって、バッテリステーションに配置され、ユーザから返却された前記バッテリ装置を収容して充電すると共に、返却された前記バッテリ装置と交換で充電済みの前記バッテリ装置をユーザに貸し出す前記バッテリ交換装置において、前記バッテリ装置を保持した来訪者を少なくとも1つのカメラで撮影し、来訪者の顔画像情報および前記バッテリ装置の識別画像情報を取得して、これら顔画像情報および前記識別画像情報を一括してネットワークを介して前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置において、前記顔画像情報に基づいて、来訪者が正規のユーザが否かを判定する顔照合を行うと共に、前記識別画像情報に基づいて、来訪者が持ち込んだ前記バッテリ装置が交換可能なものか否かを判定するバッテリ照合を行い、前記顔照合の結果および前記バッテリ照合の結果に基づいて、バッテリ交換の可否を判定して、その判定結果を前記バッテリ交換装置に通知する構成とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バッテリ交換の可否判定に必要な顔画像情報および識別画像情報が一括してサーバ装置へ送信されるため、ユーザが特別な操作を行わずに済み、バッテリ交換時のユーザの手間を軽減すると共に、ユーザ認証に係るセキュリティを十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係るバッテリ共用システムの全体構成図
図2】第1実施形態に係るバッテリ交換機3、管理サーバ4および登録端末5の概略構成を示すブロック図
図3】第1実施形態に係る登録端末5および管理サーバ4においてユーザ登録時に行われる処理の概要を示す説明図
図4】第1実施形態に係る登録端末5および管理サーバ4におけるユーザ登録時の動作手順を示すフロー図
図5】第1実施形態に係るバッテリ交換機3および管理サーバ4においてバッテリ交換時に行われる処理の概要を示す説明図
図6】第1実施形態に係るバッテリ交換機3および管理サーバ4におけるバッテリ交換時の動作手順を示すフロー図
図7】第1実施形態の変形例に係るバッテリ交換機3および管理サーバ4におけるバッテリ交換時の動作手順を示すフロー図
図8】第2実施形態に係るバッテリパック2、バッテリ交換機3および管理サーバ4の概略構成を示すブロック図
図9】第2実施形態に係る登録端末5および管理サーバ4においてユーザ登録時に行われる処理の概要を示す説明図
図10】第2実施形態に係る登録端末5および管理サーバ4におけるユーザ登録時の動作手順を示すフロー図
図11】第2実施形態に係るバッテリ交換機3および管理サーバ4においてバッテリ交換時に行われる処理の概要を示す説明図
図12】第2実施形態に係るバッテリ交換機3および管理サーバ4におけるバッテリ交換時の動作手順を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0014】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、バッテリ交換サービスに供用される複数のバッテリ装置と、バッテリステーションに配置され、ユーザから返却された前記バッテリ装置を収容して充電すると共に、返却された前記バッテリ装置と交換で充電済みの前記バッテリ装置をユーザに貸し出す複数のバッテリ交換装置と、この複数のバッテリ交換装置とネットワークを介して接続されて、前記バッテリ交換装置でのバッテリ交換を管理するサーバ装置と、を有するバッテリ管理システムであって、前記バッテリ交換装置は、前記バッテリ装置を保持した来訪者を撮影する少なくとも1つのカメラを有し、来訪者の顔画像情報および前記バッテリ装置の識別画像情報を取得して、これら顔画像情報および前記識別画像情報を一括して前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置は、前記顔画像情報に基づいて、来訪者が正規のユーザが否かを判定する顔照合を行うと共に、前記識別画像情報に基づいて、来訪者が持ち込んだ前記バッテリ装置が交換可能なものか否かを判定するバッテリ照合を行い、前記顔照合の結果および前記バッテリ照合の結果に基づいて、バッテリ交換の可否を判定して、その判定結果を前記バッテリ交換装置に通知する構成とする。
【0015】
これによると、バッテリ交換の可否判定に必要な顔画像情報および識別画像情報が一括してサーバ装置へ送信されるため、ユーザが特別な操作を行わずに済み、バッテリ交換時のユーザの手間を軽減すると共に、ユーザ認証に係るセキュリティを十分に確保することができる。
【0018】
また、第2の発明は、前記サーバ装置は、ユーザの前記顔画像情報から抽出された顔特徴情報と、そのユーザに貸出中の前記バッテリ装置の前記識別画像情報から読み取られた識別情報とを対応付けて管理する構成とする。
【0019】
これによると、ユーザが不正なバッテリ交換を行ったことを把握することができる。
【0020】
また、第3の発明は、前記サーバ装置は、前記バッテリ照合として、来訪者が正規のユーザである場合に、そのユーザが持ち込んだ前記バッテリ装置が当該ユーザに貸出中の前記バッテリ装置であるか否かを判定し、ユーザが持ち込んだ前記バッテリ装置が当該ユーザに貸出中の前記バッテリ装置でない場合には、バッテリ交換を許可しない判定結果を通知する構成とする。
【0021】
これによると、ユーザが不正なバッテリ交換を行った場合にバッテリ交換を許可しないため、不正なバッテリ交換を防止することができる。
【0022】
また、第4の発明は、前記バッテリ装置は、前記識別画像情報として、2次元コード画像が外面に設けられ、前記サーバ装置は、前記カメラの撮影画像から取得した前記2次元コード画像の読み取りにより、来訪者が保持する前記バッテリ装置の識別情報を取得する構成とする。
【0023】
これによると、来訪者がバッテリ装置をバッテリ交換装置に返却する前に、来訪者が持ち込んだバッテリ装置を識別して、バッテリ交換の可否を判定することができる。
【0024】
また、第5の発明は、前記バッテリ交換装置は、来訪者の顔を撮影する第1のカメラと、来訪者が保持する前記バッテリ装置を撮影する第2のカメラとを有する構成とする。
【0025】
これによると、来訪者の顔と、その来訪者が保持するバッテリ装置との両方を、適切に撮影することができる。
【0026】
また、第6の発明は、前記バッテリ交換装置は、前記バッテリ装置の出し入れ口にシャッターを有し、前記サーバ装置によるバッテリ交換の可否に関する判定結果に応じて、前記シャッターの開閉を制御する構成とする。
【0027】
これによると、来訪者が持ち込んだバッテリ装置の返却や、充電済みのバッテリ装置の貸出を拒否することができる。
【0028】
また、第7の発明は、前記バッテリ交換装置は、来訪者が接近すると、前記シャッターを開いて来訪者が持ち込んだ前記バッテリ装置を収容し、前記サーバ装置がバッテリ交換を許可しない場合には、収容した前記バッテリ装置を来訪者に戻すために前記シャッターを開く構成とする。
【0029】
これによると、バッテリ交換を許可しない場合に、来訪者の対応を円滑に行うことができる。
【0030】
また、第8の発明は、前記バッテリ交換装置は、前記サーバ装置によりバッテリ交換が許可された場合には、前記シャッターを開いて来訪者が持ち込んだ前記バッテリ装置を収容し、前記サーバ装置がバッテリ交換を許可しない場合には、前記シャッターを開かずに、バッテリ交換ができないことを来訪者に通知する構成とする。
【0031】
これによると、バッテリ交換を許可しない場合に、来訪者の対応を円滑に行うことができる。
【0032】
また、第9の発明は、バッテリ交換サービスで供用中の複数のバッテリ装置のバッテリ交換装置でのバッテリ交換をサーバ装置により管理するバッテリ管理方法であって、バッテリステーションに配置され、ユーザから返却された前記バッテリ装置を収容して充電すると共に、返却された前記バッテリ装置と交換で充電済みの前記バッテリ装置をユーザに貸し出す前記バッテリ交換装置において、前記バッテリ装置を保持した来訪者を少なくとも1つのカメラで撮影し、来訪者の顔画像情報および前記バッテリ装置の識別画像情報を取得して、これら顔画像情報および前記識別画像情報を一括してネットワークを介して前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置において、前記顔画像情報に基づいて、来訪者が正規のユーザが否かを判定する顔照合を行うと共に、前記識別画像情報に基づいて、来訪者が持ち込んだ前記バッテリ装置が交換可能なものか否かを判定するバッテリ照合を行い、前記顔照合の結果および前記バッテリ照合の結果に基づいて、バッテリ交換の可否を判定して、その判定結果を前記バッテリ交換装置に通知する構成とする。
【0033】
これによると、第1の発明と同様に、バッテリ交換時のユーザの手間を軽減すると共に、ユーザ認証に係るセキュリティを十分に確保することができる。
【0034】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0035】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るバッテリ共用システムの全体構成図である。
【0036】
このバッテリ共用システムは、電動バイクなどの電動車両1に搭載するバッテリパック2(バッテリ装置)を複数のユーザで共用するサービス(バッテリ交換サービス)を提供するものであり、バッテリ交換機3(バッテリ交換装置)と、管理サーバ4(サーバ装置)と、登録端末5(端末装置)と、を備えている。
【0037】
バッテリ交換機3、管理サーバ4、および登録端末5はインターネットなどのネットワークを介して接続されている。なお、バッテリ交換機3は、移動体通信ネットワークや無線LANなどの無線通信でネットワーク接続される。
【0038】
電動車両1は、バッテリパック2を搭載し、バッテリパック2の電力により走行する。図1に示す例では、電動車両を電動バイクとしたが、4輪の自動車でもよい。また、車道走行が前提となっていないモビリティ装置である電動車椅子、電動カート、テーマパークやゴルフ場等での乗用カートであってもよい。
【0039】
バッテリ交換機3は、ユーザから返却されたバッテリパック2を収容して充電すると共に、返却されたバッテリパック2と交換で充電済みのバッテリパック2をユーザに貸し出す。このバッテリ交換機3は、コンビニやガソリンスタンドなどの施設(店舗)に併設されたバッテリステーションに配置される。また、1箇所のバッテリステーションに複数のバッテリ交換機3が設置される。
【0040】
管理サーバ4は、バッテリ交換サービスに加入してバッテリパック2を使用する人物をユーザ(会員)として登録し、バッテリパック2とその貸出先のユーザとを紐付けて管理する。
【0041】
登録端末5は、ユーザに接客する施設に設置され、担当者がユーザ登録の操作を行う。
【0042】
なお、本実施形態では、電動車両1に搭載されるバッテリパック2を例にして説明するが、バッテリパック2が搭載されるバッテリ搭載装置は電動車両に限定されず、例えば可搬型の給電装置などでもよい。
【0043】
次に、第1実施形態に係るバッテリ交換機3、管理サーバ4および登録端末5の概略構成について説明する。図2は、バッテリ交換機3、管理サーバ4および登録端末5の概略構成を示すブロック図である。
【0044】
バッテリ交換機3は、カメラ11と、人感センサ12と、駆動部13と、充電部14と、入出力部15と、通信部16と、表示部17と、記憶部18と、制御部19と、を備えている。
【0045】
カメラ11は、バッテリ交換に訪れた人物(来訪者)を撮影する。なお、来訪者の顔画像を確実に取得するため、上下方向に複数のカメラ11を設置し、来訪者の身長に対応させて、顔画像を取得するようにしてもよい。
【0046】
人感センサ12は、人物がバッテリ交換機3に接近したことを検知する。
【0047】
駆動部13は、制御部19からの指示に応じて、バッテリパック2の返却および貸出のタイミングで、バッテリパック2の出し入れ口に設けられたシャッター21(開閉扉)の開閉機構を駆動し、また、返却されたバッテリパック2を格納すると共に、ユーザに貸し出すバッテリパック2を排出する格納排出機構を駆動する。
【0048】
充電部14は、スロット22(トレイ)を介してバッテリパック2を充電する。
【0049】
入出力部15は、バッテリパック2との間で情報の入出力を行い、例えば、バッテリパック2の識別番号やアラートや劣化情報などがバッテリパック2から入力される。
【0050】
通信部16は、ネットワークを介して管理サーバ4と通信を行う。
【0051】
表示部17は、バッテリパック2の交換に関する案内画面を表示する。
【0052】
記憶部18は、制御部19を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
【0053】
制御部19は、プロセッサで構成され、バッテリ交換機3の各部を制御する。例えば、人感センサ12で人物の接近を検知すると、駆動部13を制御して、空き状態のスロット22を出し入れ口に移動させてシャッター21を開き、ユーザがバッテリパック2を返却できるようにする。また、管理サーバ4から交換許可通知を受信すると、ユーザに貸し出す充電済みのバッテリパック2が装着されたスロット22を出し入れ口に移動させてシャッター21を開き、ユーザに貸し出すバッテリパック2をユーザが受け取ることができるようにする。
【0054】
また、制御部19は、カメラ11の撮影画像から来訪者の顔を検知して顔画像を取得し、また、返却されたバッテリパック2から入出力部15を介して識別番号を取得して、来訪者の顔画像およびバッテリパック2の識別番号を通信部16から管理サーバ4に送信する。
【0055】
登録端末5は、カメラ31と、クレードル32と、通信部33と、記憶部34と、制御部35と、を備えている。
【0056】
カメラ31は、ユーザ登録の際に対象者の顔を撮影する。
【0057】
クレードル32は、ユーザ登録の際に、ユーザに最初に貸し出すバッテリパック2が装着されて、そのバッテリパック2の識別番号を読み取る。
【0058】
通信部33は、ネットワークを介して管理サーバ4と通信を行う。
【0059】
記憶部34は、制御部35を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
【0060】
制御部35は、プロセッサで構成され、ユーザ登録に係る処理を行う。すなわち、カメラ31の撮影画像から対象者の顔画像を切り出し、また、クレードル32を介してバッテリパック2の識別番号を取得して、対象者の顔画像およびバッテリパック2の識別番号を通信部33から管理サーバ4に送信する。
【0061】
管理サーバ4は、通信部41と、記憶部42と、制御部43と、を備えている。
【0062】
通信部41は、ネットワークを介してバッテリ交換機3および登録端末5と通信を行う。
【0063】
記憶部42は、ユーザ管理テーブルの登録情報(ユーザ管理情報)や、制御部43を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
【0064】
制御部43は、顔特徴抽出部51と、情報管理部52と、顔照合部53と、バッテリ照合部54と、バッテリ交換指示部55と、を備えている。この制御部43は、プロセッサで構成され、制御部43の各部は、記憶部42に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。
【0065】
顔特徴抽出部51は、ユーザ登録の際に、登録端末5から取得したユーザ登録の対象者の顔画像から顔特徴情報を抽出する。また、顔特徴抽出部51は、バッテリ交換の際に、バッテリ交換機3から取得した来訪者の顔画像から顔特徴情報を抽出する。
【0066】
情報管理部52は、ユーザ登録の際に、顔特徴抽出部51で取得した対象者の顔特徴情報と、登録端末5から取得したバッテリパック2の識別番号をユーザ管理テーブルに登録する。このユーザ管理テーブルにより、バッテリパック2とその貸出先のユーザとが紐付けられる。
【0067】
顔照合部53は、バッテリ交換の際に、顔特徴抽出部51で取得した来訪者の顔特徴情報と、ユーザ管理テーブルに登録された顔特徴情報とを比較して、来訪者が正規のユーザであるか否かを判定する顔照合を行う。なお、バッテリ交換の度に、ユーザの顔画像を取得するため、この顔画像から抽出された顔特徴情報を用いて、ユーザ管理テーブルに登録されたユーザの顔特徴情報を更新するようにしてもよい。
【0068】
バッテリ照合部54は、ユーザがバッテリ交換機3に返却したバッテリパック2が、ユーザに貸出中のバッテリパック2と同じものか否かを判定するバッテリ照合を行う。
【0069】
バッテリ交換指示部55は、バッテリ交換の可否を判定して、その判定結果、すなわち、バッテリ交換を許可するか否かをバッテリ交換機3に通知する。具体的には、顔照合部53において、来訪者が正規のユーザであると判定され、かつ、バッテリ照合部54において、ユーザが返却したバッテリパック2が、ユーザに貸出中のバッテリパック2と同じものと判定されると、バッテリ交換を許可する交換許可通知を通信部41からバッテリ交換機3に送信する。また、来訪者が正規のユーザでないと判定された場合や、ユーザが返却したバッテリパック2が、ユーザに貸出中のバッテリパック2と異なるものと判定された場合には、バッテリ交換を許可しない交換不許可通知を通信部41からバッテリ交換機3に送信する。
【0070】
なお、本実施形態では、管理サーバ4に顔特徴抽出部51を設けたが、登録端末5に顔特徴抽出部を設けるようにしてもよい。また、バッテリ交換機3に顔特徴抽出部51を設け、来訪者の顔画像から抽出した顔特徴情報のみをネットワークを介して管理サーバ4へ送信するようにしてもよい。
【0071】
次に、第1実施形態に係る登録端末5および管理サーバ4においてユーザ登録時に行われる処理について説明する。図3は、登録端末5および管理サーバ4においてユーザ登録時に行われる処理の概要を示す説明図である。
【0072】
本実施形態では、バッテリ交換サービスに加入してバッテリパック2の使用を開始する際に、登録端末5において、担当者がユーザ登録の操作を行う。このとき、登録端末5では、対象者の顔をカメラ31で撮影して、対象者の顔画像を取得する。また、ユーザに最初に貸し出すバッテリパック2をクレードル32に装着して、バッテリパック2の識別番号を読み取る。そして、対象者の顔画像およびバッテリパック2の識別番号を管理サーバ4に送信する。
【0073】
管理サーバ4では、顔特徴抽出部51において、対象者の顔画像から顔特徴情報を抽出し、その対象者の顔特徴情報と、受信したバッテリパック2の識別番号とを対応付けてユーザ管理テーブルに登録する。
【0074】
次に、第1実施形態に係る登録端末5および管理サーバ4におけるユーザ登録時の動作手順について説明する。図4は、登録端末5および管理サーバ4におけるユーザ登録時の動作手順を示すフロー図である。
【0075】
登録端末5では、まず、ユーザ登録の対象者の顔をカメラ31で撮影して、対象者の顔画像を取得する(ST101)。また、貸し出すバッテリパック2の識別番号を、クレードル32を介して読み取る(ST102)。次に、対象者の顔画像およびバッテリパック2の識別番号を管理サーバ4に送信する(ST103)。
【0076】
管理サーバ4では、登録端末5から送信される対象者の顔画像およびバッテリパック2の識別番号を受信すると(ST201)、顔特徴抽出部51において、受信した顔画像から対象者の顔特徴情報を抽出する(ST202)。そして、情報管理部52において、顔特徴抽出部51で取得した対象者の顔特徴情報と、登録端末5から受信したバッテリパック2の識別番号とを、ユーザ管理テーブルに登録する(ST203)。
【0077】
次に、第1実施形態に係るバッテリ交換機3および管理サーバ4においてバッテリ交換時に行われる処理について説明する。図5は、バッテリ交換機3および管理サーバ4においてバッテリ交換時に行われる処理の概要を示す説明図である。
【0078】
バッテリ交換機3では、バッテリステーションに訪れた人物(来訪者)の顔をカメラ11で撮影して、来訪者の顔画像を取得する。また、バッテリ交換機3では、来訪者が持ち込んだバッテリパック2を、シャッター21を開いて収容し、バッテリパック2が装着されるスロット22を介してバッテリパック2の識別番号を読み取る。そして、来訪者の顔画像およびバッテリパック2の識別番号を管理サーバ4に送信する。
【0079】
管理サーバ4では、顔特徴抽出部51において、来訪者の顔画像から顔特徴情報を抽出する。そして、顔照合部53において、来訪者の顔特徴情報と、ユーザ管理テーブルに登録された顔特徴情報とを比較して、来訪者が正規のユーザであるか否かを判定する。このとき、来訪者の顔特徴情報と類似するものが、ユーザ管理テーブルに登録されている顔特徴情報の中にある場合に、来訪者が正規のユーザであると判定する。
【0080】
ここで、来訪者が正規のユーザであると判定されると、次に、バッテリ照合部54において、ユーザがバッテリ交換機3に返却したバッテリパック2が、ユーザに貸出中のバッテリパック2と同じものか否かを判定する。このとき、ユーザ管理テーブルに登録されているユーザに貸出中のバッテリパック2の識別番号が、受信したバッテリパック2の識別番号と一致する場合に、ユーザが返却したバッテリパック2が、ユーザに貸出中のバッテリパック2と同じものと判定する。
【0081】
ここで、ユーザが返却したバッテリパック2が、ユーザに貸出中のバッテリパック2と同じと判定されると、バッテリ交換を許可する。
【0082】
なお、ユーザがバッテリ交換機3や店舗を介さずにバッテリ交換を行った場合、例えば、ユーザ同士でバッテリパック2を直接交換した場合に、ユーザが返却したバッテリパック2が、ユーザに貸出中のバッテリパック2と異なる状態となり、バッテリ交換は許可されない。このような場合、管理サーバ4は、バッテリ交換機3の表示部17へ不正なバッテリ交換に関するエラー画面を表示すると共に、バッテリ交換の回復に関する問合せ先等の表示を行う。
【0083】
次に、第1実施形態に係るバッテリ交換機3および管理サーバ4におけるバッテリ交換時の動作手順について説明する。図6は、バッテリ交換機3および管理サーバ4におけるバッテリ交換時の動作手順を示すフロー図である。
【0084】
バッテリ交換機3では、まず、来訪者をカメラ11で撮影し、来訪者の顔画像を取得する(ST301)。次に、人感センサ12で来訪者を検知するのに応じてシャッター21を開く(ST302)。これにより、来訪者はバッテリパック2をバッテリ交換機3に返却することができる。
【0085】
次に、バッテリパック2が返却されたことを検知するのに応じてシャッター21を閉じる(ST303)。次に、バッテリパック2の識別番号を読み取る(ST304)。次に、来訪者の顔画像およびバッテリパック2の識別番号を通信部16から管理サーバ4に送信する(ST305)。
【0086】
管理サーバ4では、バッテリ交換機3から送信される来訪者の顔画像およびバッテリパック2の識別番号を通信部41で受信すると(ST401)、まず、顔特徴抽出部51において、受信した顔画像から来訪者の顔特徴情報を抽出する(ST402)。
【0087】
次に、顔照合部53において、来訪者の顔特徴情報と、ユーザ管理テーブルに登録された顔特徴情報とを比較して、来訪者が正規のユーザであるか否かを判定する(ST403)。
【0088】
ここで、来訪者が正規のユーザでない場合には(ST403でNo)、交換不許可通知を通信部41からバッテリ交換機3に送信する(ST404)。このとき、顔照合が失敗したこと、すなわち、来訪者が正規のユーザでない旨の情報を交換不許可通知に付加する。
【0089】
一方、来訪者が正規のユーザである場合には(ST403でYes)、次に、バッテリ照合部54において、ユーザがバッテリ交換機3に返却したバッテリパック2が、ユーザに貸出中のバッテリパック2と同じものか否かを判定する(ST405)。
【0090】
ここで、ユーザが返却したバッテリパック2が、ユーザに貸出中のバッテリパック2と異なる場合には(ST405でNo)、交換不許可通知を通信部41からバッテリ交換機3に送信する(ST406)。このとき、バッテリ照合が失敗したこと、すなわち、ユーザが不正なバッテリ交換を行った旨の情報を交換不許可通知に付加する。
【0091】
一方、ユーザが返却したバッテリパック2が、ユーザに貸出中のバッテリパック2と同じ場合には(ST405でYes)、交換許可通知を通信部41からバッテリ交換機3に送信する(ST407)。
【0092】
バッテリ交換機3では、交換不許可通知を管理サーバ4から受信すると(ST306でYes)、バッテリ交換ができないことをユーザに通知するエラー画面を表示部17に表示して、来訪者が持ち込んだバッテリパック2を来訪者に戻すためにシャッター21を開く(ST307)。
【0093】
また、交換許可通知を管理サーバ4から受信すると(ST308でYes)、充電済みのバッテリパック2をユーザに貸し出すためにシャッター21を開く(ST309)。
【0094】
なお、バッテリ交換機3では、充電済みのバッテリパック2をユーザに貸し出すと、その新たにユーザに貸し出したバッテリパック2の識別番号を管理サーバ4に送信し、管理サーバ4では、受信したバッテリパック2の識別番号を用いてユーザ管理テーブルを更新する。
【0095】
(第1実施形態の変形例)
次に、第1実施形態の変形例について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
【0096】
第1実施形態では、バッテリ照合が失敗した場合、すなわち、ユーザが返却したバッテリパック2が、ユーザに貸出中のバッテリパック2と異なると判定された場合には、バッテリ交換を許可しないようにしたが、本変形例では、バッテリ照合が失敗した場合でも、ユーザが返却したバッテリパック2が、正規品、すなわち、バッテリ交換サービスの対象として予め登録されたバッテリパック2である場合には、バッテリ交換を許可した上で、不正なバッテリ交換を行わないようにユーザに催促するようにする。
【0097】
なお、バッテリパック2の供用を開始する際に、バッテリパック2の識別番号をバッテリ管理リストに登録すれば、このバッテリ管理リストに基づいて、返却されたバッテリパック2が正規品か否かを判定することができる。
【0098】
次に、第1実施形態の変形例に係るバッテリ交換機3および管理サーバ4におけるバッテリ交換時の動作手順について説明する。図7は、バッテリ交換機3および管理サーバ4におけるバッテリ交換時の動作手順を示すフロー図である。
【0099】
管理サーバ4では、バッテリ照合部54で行われるバッテリ照合(ST405)において、ユーザが返却したバッテリパック2が、ユーザに貸出中のバッテリパック2と異なると判定されると(ST405でNo)、次に、ユーザが返却したバッテリパック2が、正規品(バッテリ交換サービスの対象となるバッテリパック2)か否かを判定する(ST411)。
【0100】
ここで、ユーザが返却したバッテリパック2が正規品である場合には(ST411でYes)、交換許可通知を通信部41からバッテリ交換機3に送信する(ST412)。このとき、バッテリ照合が失敗したこと、すなわち、ユーザが不正なバッテリ交換を行った旨の情報を交換許可通知に付加する。
【0101】
バッテリ交換機3では、交換許可通知を管理サーバ4から受信すると(ST308でYes)、充電済みのバッテリパック2をユーザに貸し出すためにシャッター21を開く(ST309)。このとき、ユーザが不正なバッテリ交換を行った旨の情報が交換許可通知に付加されていると、不正なバッテリ交換を行わないように催促する警告画面を表示部17に表示する。
【0102】
ところで、バッテリ交換サービスでは、ユーザに貸し出すバッテリパック2を適切に管理するために、会員規約により、バッテリ交換機3や店舗を介さずにバッテリ交換を行うこと、すなわち、ユーザ同士でバッテリパック2を直接交換することを禁止するようにしている。
【0103】
一方、本変形例のように、ユーザが不正なバッテリ交換を行った場合でも、返却したバッテリパック2が正規品である場合には、バッテリ交換を許可するようにすると、会員規約を遵守しないユーザが、会員規約を遵守するユーザと同等に扱われることになり、会員規約の遵守に対するユーザの動機付けが低くなる。
【0104】
そこで、会員規約の遵守に対するユーザの動機付けを高めるポイントプログラムをバッテリ交換サービスに適用するとよい。具体的には、バッテリ交換機3や店舗を利用した適正なバッテリ交換を行った場合には、ユーザにポイント(特典)を付与し、不正なバッテリ交換を行った場合には、ユーザにポイントを付与しないようにする。
【0105】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
【0106】
前記の実施形態では、バッテリ交換の際に、ユーザがバッテリパック2をバッテリ交換機3に返却した後に、バッテリパック2の識別番号を取得するようにしたが、本実施形態では、バッテリパック2の識別番号が格納された2次元コードを、バッテリパック2の外面に貼付し、ユーザがバッテリパック2をバッテリ交換機3に返却する前に、ユーザが保持するバッテリパック2の2次元コードを撮影して、その撮影画像から2次元コードを読み取ることで、バッテリパック2の識別番号を取得する。なお、2次元コードは、例えばQRコード(登録商標)である。
【0107】
また、前記の実施形態では、登録端末5において、ユーザ登録の際に、ユーザに貸し出すバッテリパック2をクレードル32に装着してバッテリパック2の識別番号を取得するようにしたが、本実施形態では、貸し出すバッテリパック2の2次元コードを撮影して、その撮影画像から2次元コードを読み取ることで、バッテリパック2の識別番号を取得する。
【0108】
なお、本実施形態では、バッテリパック2に2次元コードを貼付して、その2次元コードを読み取ることで、バッテリパック2の識別番号を取得するようにしたが、バッテリパック2にRFID(radio frequency identifier)のタグを取り付けるなどして、無線通信によりバッテリパック2の識別番号を取得するようにしてもよい。
【0109】
次に、第2実施形態に係るバッテリパック2、バッテリ交換機3および管理サーバ4の概略構成について説明する。図8は、バッテリパック2、バッテリ交換機3および管理サーバ4の概略構成を示すブロック図である。
【0110】
バッテリ交換機3は、第1のカメラ25と、第2のカメラ26とを備えている。その他の構成は第1実施形態(図2参照)と同様である。
【0111】
第1のカメラ25は、第1実施形態のカメラ11と同様に、バッテリ交換に訪れた人物(来訪者)の顔を撮影する。第2のカメラ26は、来訪者が手に保持したバッテリパック2の2次元コードを撮影する。
【0112】
登録端末5は、第1のカメラ36と、第2のカメラ37とを備えている。その他の構成は第1実施形態(図2参照)と同様である。
【0113】
第1のカメラ25は、第1実施形態のカメラ31と同様に、ユーザ登録の対象者の顔を撮影する。第2のカメラ37は、ユーザに最初に貸し出すバッテリパック2の2次元コードを撮影する。なお、対象者の顔およびバッテリパック2の2次元コードを1つのカメラで撮影するようにしてもよい。
【0114】
管理サーバ4の制御部43は、2次元コード読取部56を備えている。その他の構成は第1実施形態(図2参照)と同様である。
【0115】
2次元コード読取部56は、バッテリ交換機3から受信した2次元コード画像を読み取ってバッテリパック2の識別番号を取得する。
【0116】
なお、本実施形態では、管理サーバ4に顔特徴抽出部51および2次元コード読取部56を設けたが、登録端末5に顔特徴抽出部および2次元コード読取部を設けるようにしてもよい。
【0117】
次に、第2実施形態に係る登録端末5および管理サーバ4においてユーザ登録時に行われる処理について説明する。図9は、登録端末5および管理サーバ4においてユーザ登録時に行われる処理の概要を示す説明図である。
【0118】
ユーザ登録の際には、まず、登録端末5において、第1のカメラ36により、対象者の顔を撮影して、対象者の顔画像を取得する。また、第2のカメラ37により、貸し出すバッテリパック2に貼付された2次元コードを撮影して、2次元コード画像を取得する。そして、対象者の顔画像およびバッテリパック2の2次元コード画像を、管理サーバ4に送信する。
【0119】
管理サーバ4では、顔特徴抽出部51において、対象者の顔画像から顔特徴情報を抽出し、また、2次元コード読取部56において、2次元コード画像を読み取ることでバッテリパック2の識別番号を取得して、顔特徴情報とバッテリパック2の識別番号とを対応付けてユーザ管理テーブルに登録する。
【0120】
次に、第2実施形態に係る登録端末5および管理サーバ4におけるユーザ登録時の動作手順について説明する。図10は、登録端末5および管理サーバ4におけるユーザ登録時の動作手順を示すフロー図である。
【0121】
登録端末5では、まず、ユーザ登録の対象者の顔を第1のカメラ36で撮影して、対象者の顔画像を取得する(ST111)。また、貸し出すバッテリパック2に貼付された2次元コードを第2のカメラ37で撮影して、バッテリパック2の2次元コード画像を取得する(ST112)。次に、対象者の顔画像およびバッテリパック2の2次元コード画像を通信部33から管理サーバ4に送信する(ST113)。
【0122】
管理サーバ4では、登録端末5から送信される対象者の顔画像およびバッテリパック2の2次元コード画像を通信部41で受信すると(ST211)、顔特徴抽出部51において、受信した顔画像から対象者の顔特徴情報を抽出する(ST202)。また、2次元コード読取部56において、受信した2次元コード画像を読み取ってバッテリパック2の識別番号を取得する(ST212)。そして、対象者の顔特徴情報とバッテリパック2の識別番号とをユーザ管理テーブルに登録する(ST203)。
【0123】
次に、第2実施形態に係るバッテリ交換機3および管理サーバ4においてバッテリ交換時に行われる処理について説明する。図11は、バッテリ交換機3および管理サーバ4においてバッテリ交換時に行われる処理の概要を示す説明図である。
【0124】
バッテリ交換の際には、まず、バッテリ交換機3において、バッテリステーションに訪れた人物(来訪者)の顔を第1のカメラ25により撮影して、来訪者の顔画像を取得する。また、来訪者が手に保持したバッテリパック2に貼付された2次元コードを第2のカメラ26により撮影して、2次元コード画像を取得する。そして、来訪者の顔画像およびバッテリパック2の2次元コード画像を、管理サーバ4に送信する。
【0125】
なお、この第1のカメラ25および第2のカメラ26は、撮影エリアを異なる高さに設定することで、各々が来訪者の顔およびバッテリパック2の2次元コードを主に撮影することができる。また、高解像度のカメラを用いることで、来訪者の顔およびバッテリパック2の2次元コードを1つのカメラで撮影するようにしてもよい。
【0126】
管理サーバ4では、顔特徴抽出部51において、来訪者の顔画像から顔特徴情報を抽出する。そして、顔照合部53において、来訪者の顔特徴情報と、ユーザ管理テーブルに登録された顔特徴情報とを比較して、来訪者が正規のユーザであるか否かを判定する。
【0127】
ここで、来訪者が正規のユーザであると判定されると、次に、2次元コード読取部56において、2次元コード画像を読み取ってバッテリパック2の識別番号を取得する。そして、バッテリ照合部54において、ユーザがバッテリ交換機3に返却したバッテリパック2が、ユーザに貸出中のバッテリパック2と同じものか否かを判定する。
【0128】
ここで、ユーザが返却したバッテリパック2が、ユーザに貸出中のバッテリパック2と同じものであると判定されると、バッテリ交換を許可する。
【0129】
次に、第2実施形態に係るバッテリ交換機3および管理サーバ4におけるバッテリ交換時の動作手順について説明する。図12は、バッテリ交換機3および管理サーバ4におけるバッテリ交換時の動作手順を示すフロー図である。
【0130】
バッテリ交換機3では、まず、来訪者を第1のカメラ25で撮影し、来訪者の顔画像を取得する(ST311)。また、来訪者が手に保持しているバッテリパック2に貼付された2次元コードを第2のカメラ26で撮影して、バッテリパック2の2次元コード画像を取得する(ST312)。そして、来訪者の顔画像およびバッテリパック2の2次元コード画像を通信部33から管理サーバ4に送信する(ST313)。
【0131】
管理サーバ4では、バッテリ交換機3から送信される来訪者の顔画像およびバッテリパック2の2次元コード画像を通信部41で受信すると(ST411)、まず、顔特徴抽出部51において、受信した顔画像から来訪者の顔特徴情報を抽出する(ST402)。また、2次元コード読取部56において、受信した2次元コード画像を読み取ってからバッテリパック2の識別番号を取得する(ST412)。
【0132】
次に、顔照合部53において、来訪者の顔特徴情報と、ユーザ管理テーブルに登録された顔特徴情報とを比較して、来訪者が正規のユーザであるか否かを判定する(ST403)。
【0133】
ここで、来訪者が正規のユーザでない場合には(ST403でNo)、交換不許可通知を通信部41からバッテリ交換機3に送信する(ST404)。このとき、顔照合が失敗したこと、すなわち、来訪者が正規のユーザでない旨の情報を交換不許可通知に付加する。
【0134】
一方、来訪者が正規のユーザである場合には(ST403でYes)、次に、バッテリ照合部54において、ユーザがバッテリ交換機3に返却したバッテリパック2が、ユーザに貸出中のバッテリパック2と同じものか否かを判定する(ST405)。
【0135】
ここで、ユーザが返却したバッテリパック2が、ユーザに貸出中のバッテリパック2と異なる場合には(ST405でNo)、交換不許可通知を通信部41からバッテリ交換機3に送信する(ST406)。このとき、バッテリ照合が失敗したこと、すなわち、ユーザが不正なバッテリ交換を行った旨の情報を交換不許可通知に付加する。
【0136】
一方、ユーザが返却したバッテリパック2が、ユーザに貸出中のバッテリパック2と同じ場合には(ST405でYes)、交換許可通知を通信部41からバッテリ交換機3に送信する(ST407)。
【0137】
バッテリ交換機3では、交換不許可通知を管理サーバ4から受信すると(ST306でYes)、バッテリ交換ができないことをユーザに通知するエラー画面を表示部17に表示する(ST314)。
【0138】
また、交換許可通知を管理サーバ4から受信すると(ST308Yes)、人感センサ12で人物の接近を検知するのに応じてシャッター21を開く(ST315)。これにより、ユーザはバッテリパック2をバッテリ交換機3に返却することができる。次に、バッテリパック2が返却されたことを検知するのに応じてシャッター21を閉じる(ST316)。次に、充電済みのバッテリパック2をユーザに貸し出すためにシャッター21を開く(ST309)。
【0139】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明に係るバッテリ管理システム及びバッテリ管理方法は、バッテリ交換時のユーザの手間を軽減すると共に、ユーザ認証にかかるセキュリティを十分に確保することができる効果を有し、電動車両などのユーザがバッテリステーションでバッテリ装置を交換するバッテリ交換サービスにおいて、供用中のバッテリ装置を管理するバッテリ管理システム及びバッテリ管理方法などとして有用である。
【符号の説明】
【0141】
1 電動車両
2 バッテリパック(バッテリ装置)
3 バッテリ交換機(バッテリ交換装置)
4 管理サーバ(サーバ装置)
5 登録端末(端末装置)
11 カメラ
12 人感センサ
13 駆動部
14 充電部
15 入出力部
16 通信部
17 表示部
18 記憶部
19 制御部
21 シャッター
25 第1のカメラ
26 第2のカメラ
31 カメラ
32 クレードル
33 通信部
34 記憶部
35 制御部
36 第1のカメラ
37 第2のカメラ
41 通信部
42 記憶部
43 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12