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特許7194935管状部材の加工用金型、及び、部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】管状部材の加工用金型、及び、部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 39/20 20060101AFI20221216BHJP
   B21D 37/02 20060101ALI20221216BHJP
   B21D 53/88 20060101ALI20221216BHJP
   B21D 51/16 20060101ALI20221216BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
B21D39/20 C
B21D37/02 Z
B21D53/88 Z
B21D51/16 Z
B62D25/08 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018221285
(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公開番号】P2020082142
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518372903
【氏名又は名称】株式会社ヨコイ精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】新家 裕隆
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】栗田 和明
(72)【発明者】
【氏名】青木 隆行
(72)【発明者】
【氏名】小山 博幹
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-521638(JP,A)
【文献】特開昭59-220225(JP,A)
【文献】特開平10-118729(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102008064320(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 39/20
B21D 37/02
B21D 53/88
B21D 51/16
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状部材の加工用金型であって、
前記管状部材の内側に、前記管状部材の伸長方向に沿って配置されるよう構成された細長い部位であるマンドレルと、
前記管状部材の内側に配置された前記マンドレルの外周面と、前記管状部材の内壁との間に配置されるよう構成された複数の可動型と、
前記マンドレルの外周面に設けられた複数の内側突出部と、
前記複数の可動型に設けられた複数の外側突出部と、を備え、
それぞれの前記内側突出部は、前記マンドレルが前記管状部材の内側に配置された際に、前記管状部材の一端側に向かうに従い前記管状部材の内壁から離間するように傾斜するよう構成された内側傾斜部を有し、
それぞれの前記外側突出部は、外側傾斜部を有し、
それぞれの前記内側突出部は、前記複数の可動型が前記マンドレルの外周面と前記管状部材の内壁との間に配置された際に、当該内側突出部の前記内側傾斜部と、いずれかの前記外側突出部の前記外側傾斜部とが接触するよう構成されていると共に、前記マンドレルの前記一端側への移動に応じて該内側傾斜部が該外側傾斜部に対し摺動することで、前記複数の可動型を前記管状部材の内壁に向かって変位させるよう構成されており、
前記複数の可動型のうちの少なくとも1つを変位させる前記外側突出部及び前記内側突出部と、少なくとも1つの他の前記可動型を変位させる前記外側突出部及び前記内側突出部とは、突出する度合いが異なるよう構成されている
管状部材の加工用金型。
【請求項2】
請求項1に記載の管状部材の加工用金型において、
前記複数の可動型として、前記管状部材の内壁を押圧してプレス成形を行い、前記管状部材の形状を変形させるよう構成された前記可動型が含まれている
管状部材の加工用金型。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の管状部材の加工用金型において、
前記複数の可動型のうちの少なくとも1つを変位させる前記内側突出部と、少なくとも1つの他の前記可動型を変位させる前記内側突出部とは、前記マンドレルの長さ方向に直交する面に沿った突出方向が異なるよう構成されている
管状部材の加工用金型。
【請求項4】
請求項1から請求項のうちのいずれか1項に記載の管状部材の加工用金型において、
前記複数の可動型として、前記外側突出部を複数有する前記可動型が含まれている
管状部材の加工用金型。
【請求項5】
請求項1から請求項のうちのいずれか1項に記載の管状部材の加工用金型において、
前記管状部材は、自動車部品として用いられる
管状部材の加工用金型。
【請求項6】
管状部材の加工用金型を用いて前記管状部材を加工することにより行われる部材の製造方法であって、
前記加工用金型は、
前記管状部材の内側に、前記管状部材の伸長方向に沿って配置されるよう構成された細長い部位であるマンドレルと、
前記管状部材の内側に配置された前記マンドレルの外周面と、前記管状部材の内壁との間に配置されるよう構成された複数の可動型と、
前記マンドレルの外周面に設けられた複数の内側突出部と、
前記複数の可動型に設けられた複数の外側突出部と、を備え、
それぞれの前記内側突出部は、前記マンドレルが前記管状部材の内側に配置された際に、前記管状部材の一端側に向かうに従い前記管状部材の内壁から離間するように傾斜するよう構成された内側傾斜部を有し、
それぞれの前記外側突出部は、外側傾斜部を有し、
それぞれの前記内側突出部は、前記複数の可動型が前記マンドレルの外周面と前記管状部材の内壁との間に配置された際に、当該内側突出部の前記内側傾斜部と、いずれかの前記外側突出部の前記外側傾斜部とが接触するよう構成されていると共に、前記マンドレルの前記一端側への移動に応じて該内側傾斜部が該外側傾斜部に対し摺動することで、前記複数の可動型を前記管状部材の内壁に向かって変位させるよう構成されており、
前記部材の製造方法は、
前記マンドレル及び前記複数の可動型を、前記複数の可動型が前記マンドレルの外周面と前記管状部材の内壁との間に位置し、且つ、それぞれの前記内側傾斜部と前記外側傾斜部とが接触した状態で、前記管状部材の内側に配置し、
前記管状部材の内側に配置された前記マンドレルを前記一端側に移動させることで、前記複数の可動型により前記管状部材の内壁を押圧し、
前記複数の可動型のうちの少なくとも1つを変位させる前記外側突出部及び前記内側突出部と、少なくとも1つの他の前記可動型を変位させる前記外側突出部及び前記内側突出部とは、突出する度合いが異なるよう構成されている
部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管状部材の加工用金型と、該加工用金型を用いて管状部材を加工することによる部材の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
管状部材の内側に配置された金型により管状部材を加工する技術が知られている。特許文献1に記載された技術では、管状部材の内側に、テーパ状のマンドレルの先端側が挿入されると共に、マンドレルの外周面と管状部材の内壁との間に、マンドレルを囲む複数の割型が配置される。また、管状部材の外周面を挟んで複数の割型と対面する位置に、管状部材の外周面を囲む接合用部材が配置される。そして、マンドレルを管状部材の内部にさらに挿入する(以後、ストロークとも記載)ことで、各割型を管状部材の外側に変位させ、管状部材の内壁を押圧する。これにより、管状部材が拡径され、管状部材と接合用部材とが接合される。
【0003】
上記技術では、各割型の底部が傾斜面として構成されており、各割型は、底部がマンドレルのテーパ状の外周面に当接した状態で配置される。そして、マンドレルのストローク時に、各割型の底部がマンドレルの外周面を摺動することで、各割型が管状部材の外側に変位する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-51972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、管状部材の径をより広げるには、各割型が外側に変位する距離を長くする必要がある。そして、この各割型の変位距離を長くするためには、マンドレルのテーパ状の外周面の傾斜を大きくしたり、マンドレルを長くしたりする必要がある。しかし、ワークの径が小さい場合には、外周面の傾斜を大きくしても各割型の変位距離を十分に確保できず、マンドレルを長くする必要がある。その結果、ストローク時におけるマンドレルの移動距離(以後、ストローク距離)が長くなる恐れがある。
【0006】
さらに、例えば、管状部材における離間した複数の箇所に割型を配置し、1回のストロークで管状部材の複数個所を拡径させる場合には、マンドレルの外周面の傾斜を緩くする必要がある。しかし、これにより、ストローク距離が長くなる恐れがある。
【0007】
そして、ストローク距離が長くなった結果、管状部材の加工が困難となったり、管状部材を加工することで得られる部材の生産性が低下し、製造コストが上昇したりする恐れがある。
【0008】
本開示の一態様においては、管状部材を加工する際のストローク距離を抑制するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、管状部材の加工用金型であって、マンドレルと、少なくとも1つの可動型と、複数の内側突出部と、複数の外側突出部と、を備える。マンドレルは、管状部材の内側に、管状部材の伸長方向に沿って配置されるよう構成された細長い部位である。少なくとも1つの可動型は、管状部材の内側に配置されたマンドレルの外周面と、管状部材の内壁との間に配置されるよう構成される。複数の内側突出部は、マンドレルの外周面に設けられる。複数の外側突出部は、少なくとも1つの可動型に設けられる。それぞれの内側突出部は、マンドレルが管状部材の内側に配置された際に、管状部材の一端側に向かうに従い管状部材の内壁から離間するように傾斜するよう構成された内側傾斜部を有する。それぞれの外側突出部は、外側傾斜部を有する。それぞれの内側突出部は、少なくとも1つの可動型がマンドレルの外周面と管状部材の内壁との間に配置された際に、当該内側突出部の内側傾斜部と、いずれかの外側突出部の外側傾斜部とが接触するよう構成されていると共に、マンドレルの一端側への移動に応じて内側傾斜部が外側傾斜部に対し摺動することで、少なくとも1つの可動型を管状部材の内壁に向かって変位させるよう構成されている。
【0010】
ここで、少なくとも1つの可動型により管状部材の内壁を押圧するため、マンドレルを管状部材の一端側に移動させることを、ストロークと記載する。また、ストロークの際のマンドレルの移動距離を、ストローク距離と記載する。
【0011】
上記構成によれば、マンドレルの外周面に設けられた各内側突出部の内側傾斜部と、少なくとも1つの可動型に設けられた各外側突出部の外側傾斜部とを摺動させることで、少なくとも1つの可動型を変位させ、管状部材の内壁が押圧される。このため、マンドレルの外周面全体の傾斜を変えること無く、内側傾斜部の傾斜を調整することで、マンドレルの移動距離に対する少なくとも1つの可動型の変位距離の比率を変更できる。したがって、例えば管状部材の幅が狭い場合等であっても、内側傾斜部の傾斜の度合いを高めて少なくとも1つの可動型の変位距離を長くすることで、管状部材を加工する際のストローク距離を抑制できる。
【0012】
なお、本開示の一態様では、少なくとも1つの可動型として、管状部材の内壁を押圧してプレス成形を行い、管状部材の形状を変形させるよう構成された可動型が含まれていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、内側に配置された金型により管状部材のプレス成形を行う際のストローク距離を抑制できる。
また、本開示の一態様では、加工用金型は、複数の可動型を備えてもよい。
【0014】
上記構成によれば、1回のストロークで管状部材の内壁における複数個所を押圧して管状部材を加工することができる。このため、より柔軟に管状部材を加工できる。
また、本開示の一態様では、複数の可動型のうちの少なくとも1つを変位させる外側突出部及び内側突出部と、少なくとも1つの他の可動型を変位させる外側突出部及び内側突出部とは、突出する度合いが異なるよう構成されていてもよい。
【0015】
上記構成によれば、突出度合いの異なる外側突出部及び内側突出部により変位される各可動型がストロークに応じて変位する距離を、相違させることができる。これにより、これらの可動型により異なる態様で管状部材を加工できる。したがって、より柔軟に管状部材を加工できる。
【0016】
また、本開示の一態様では、複数の可動型のうちの少なくとも1つを変位させる内側突出部と、少なくとも1つの他の可動型を変位させる内側突出部とは、マンドレルの長さ方向に直交する面に沿った突出方向が異なるよう構成されていてもよい。
【0017】
ストロークの際、可動型は、当該可動型を変位させる内側突出部の突出方向に応じた方向に沿って管状部材の内壁を押圧する。これに対し、上記構成によれば、マンドレルの長さ方向に直交する面に沿った突出方向の異なる内側突出部により変位する複数の可動型が設けられる。このため、ストロークの際、これらの可動型は、管状部材の内壁を異なる方向に押圧し、異なる態様で管状部材を加工する。したがって、より柔軟に管状部材を加工できる。
【0018】
また、本開示の一態様では、少なくとも1つの可動型として、外側突出部を複数有する可動型が含まれていてもよい。
上記構成によれば、ストロークに応じて可動型を良好に変位させることができる。
【0019】
また、本開示の一態様では、管状部材は、自動車部品として用いられてもよい。
上記構成よれば、自動車部品として用いられる管状部材を加工する際のストローク距離を、抑制することができる。
【0020】
また、本開示の一態様は、管状部材の加工用金型を用いて管状部材を加工することにより行われる部材の製造方法であって、加工用金型は、マンドレルと、少なくとも1つの可動型と、複数の内側突出部と、複数の外側突出部と、を備える。マンドレルは、管状部材の内側に、管状部材の伸長方向に沿って配置されるよう構成された細長い部位である。少なくとも1つの可動型は、管状部材の内側に配置されたマンドレルの外周面と、管状部材の内壁との間に配置されるよう構成される。複数の内側突出部は、マンドレルの外周面に設けられる。複数の外側突出部は、少なくとも1つの可動型に設けられる。それぞれの内側突出部は、マンドレルが管状部材の内側に配置された際に、管状部材の一端側に向かうに従い管状部材の内壁から離間するように傾斜するよう構成された内側傾斜部を有する。それぞれの外側突出部は、外側傾斜部を有する。それぞれの内側突出部は、少なくとも1つの可動型がマンドレルの外周面と管状部材の内壁との間に配置された際に、当該内側突出部の内側傾斜部と、いずれかの外側突出部の外側傾斜部とが接触するよう構成されていると共に、マンドレルの一端側への移動に応じて内側傾斜部が外側傾斜部に対し摺動することで、少なくとも1つの可動型を管状部材の内壁に向かって変位させるよう構成されている。部材の製造方法は、マンドレル及び少なくとも1つの可動型を、少なくとも1つの可動型がマンドレルの外周面と管状部材の内壁との間に位置し、且つ、それぞれの内側傾斜部と外側傾斜部とが接触した状態で、管状部材の内側に配置する。また、部材の製造方法は、管状部材の内側に配置されたマンドレルを一端側に移動させることで、少なくとも1つの可動型により管状部材の内壁を押圧する。
【0021】
上記構成によれば、部材を製造する工程で管状部材の加工を行う際の、マンドレルのストローク距離を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】外上型及び外下型との間にワークが配置される際の様子を示す斜視図である。
図2】外上型の正面図である。
図3】外下型の正面図である。
図4】初期状態のマンドレル、第1、第2可動型、及び、固定型40が内部に配置されたワークの上面図である。
図5】初期状態のマンドレル、第1、第2可動型、及び、固定型40の上面図である。
図6】押圧面側から見た第1可動型の斜視図である。
図7】複数の外側突出部側から見た第1可動型の斜視図である。
図8】押圧面側から見た第2可動型の斜視図である。
図9】複数の外側突出部側から見た第2可動型の斜視図である。
図10】マンドレルの支持部の正面図である。
図11】マンドレルの支持部の側面図である。
図12】マンドレルのストロークさせた際の図4のXII-XII断面図である。
図13図13における第1内側突出部及び第1可動型の外側突出部の拡大図である。
図14図13における第2内側突出部及び第2可動型の外側突出部の拡大図である。
図15図4のXV-XV断面図である。
図16】ストローク後の図4のXV-XV断面図である。
図17図4のXVII-XVII断面図である。
図18】ストローク後の図4のXVII-XVII断面図である。
図19】プレス成形後のワークの斜視図である。
図20】プレス成形後のワークの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0024】
[1.加工用金型の説明]
本実施形態の管状部材の加工用金型1は、管状部材のプレス成形に用いられる。加工用金型1は、外上型50及び外下型51(図1~3参照)と、第1、第2可動型20、30と(図4~9参照)、固定型40と(図4、5参照)、マンドレル10(図10、11参照)と、6つの内型突出部11、12と、6つの外側突出部21、31とを備える。なお、加工用金型1は、一例として2つの可動型を備えるが、1つ又は3つ以上の可動型を備え得る。また、加工用金型1は、一例として6つの内側突出部及び外側突出部を備えるが、2以上の任意の数の内側突出部及び外側突出部を備え得る。
【0025】
本実施形態において加工用金型1によりプレス成形される管状部材を、ワーク6と記載する。ワーク6は、一例として円筒状であり、その伸長方向62に直交する断面が円形又は略円形となっている。しかしながら、該断面は、他の形状を有していても良い。また、ワーク6は、一例として、ハイテン鋼で構成されている。しかしながら、ワーク6は、ハイテン鋼以外の鋼材や、他の金属により構成され得る。また、ワーク6の径は、一例として50mm以下となっているが、ワーク6の径は、50mmよりも大きくても良い。
【0026】
加工用金型1によるプレス成形では、一例として、ワーク6の外周面に、平面状に広がる部分である第1、第2平面座60、61が形成される(図19、20参照)。本実施形態では、一例として、各平面座が向かう向きが異なっている。また、第1、第2平面座60、61には、例えば、ブラケット等の部品が取り付けられる。以下では、加工用金型1の各構成要素について詳しく説明する。
【0027】
[2.外上型及び外下型について]
外上型50及び外下型51は、プレス成形の際、ワーク6の外周面を押圧する。外上型50と外下型51は、それぞれ、ワーク6の外周面に当接する湾曲面50a、51aを有する。また、外上型50は、第1、第2平面座60、61を形成するための第1、第2平面部50b、50cを有する(図1~3参照)。
【0028】
プレス成形を開始する際、ワーク6は、上下方向に並ぶ外上型50と外下型51とに挟まれた状態で配置される。一方、ワーク6の内側には、マンドレル10と、第1、第2可動型20、30と、固定型40とが配置される(図4参照)。これらは、ワーク6の第2端64から挿入される。
【0029】
[3.マンドレルについて]
マンドレル10は、細長い円柱状の部位であり、その外周面に、マンドレル10の第1端10aから延びる部位であって、4つの内側突出部12、13が設けられた部位である支持部11が設けられている(図10、11参照)。各内側突出部12、13は、マンドレル10の長さ方向(換言すれば、マンドレル10の伸長方向)に沿って一定の間隔を開けて並ぶ。以後、マンドレル10における内側突出部に隣接する陥没した部分を、内側陥没部14と記載する。
【0030】
具体的には、支持部11には、3つの第1内側突出部12と、1つの第2内側突出部13とが設けられている。第1内側突出部12は、第1可動型20に設けられた外側突出部21に対応し、第2内側突出部13は、第2可動型30に設けられた外側突出部31に対応する。3つの第1内側突出部12は、支持部11における第1端10a側の端部から並んで配置されており、1つの第2内側突出部13は、支持部11における第2端10b側の端部に配置されている。
【0031】
また、各第1内側突出部12は、マンドレル10の長さ方向に沿って並ぶ内側傾斜面12a(換言すれば、内側傾斜部)と、内側頂部12bと、内側段差部12cとを有する。内側傾斜面12aは第1端10a側に位置し、内側頂部12bは第2端10b側に位置する。また、内側頂部12bは、内側傾斜面12aと内側段差部12cとの間に位置する。内側頂部12bは、マンドレル10の長さ方向に沿って平面状に広がる。また、内側傾斜面12aは、該長さ方向に対し傾斜している。また、内側段差部12cは、内側頂部12bと内側陥没部14との間の段差を形成する。なお、第2内側突出部13も、第1内側突出部12と同様の内側傾斜面13aと、内側頂部13bとを有するが、内側段差部は設けられていない。
【0032】
[4.可動型について]
第1、第2可動型20、30は、ワーク6の外周面に平面座を形成するための部位であり、細長い形状を有している(図5~9参照)。また、第1、第2可動型20、30は、平面状に広がる押圧面23、33を有する。押圧面23、33により、ワーク6の内壁が押圧される。
【0033】
また、第1可動型20における押圧面23の反対側の外面には、3つの外側突出部21が設けられており、第2可動型30における押圧面33の反対側の外面には、1つの外側突出部31が設けられている。第1可動型20では、複数の外側突出部21は、該第1可動型20の長さ方向に沿って一定の間隔を開けて並ぶ。以後、隣接する2つの外側突出部21の間に位置する部分を、外側陥没部22と記載する。また、第2可動型30では、外側突出部31は端部に設けられており、外側突出部31に隣接して、外側陥没部32が設けられている。
【0034】
第1可動型20の各外側突出部21は、第1可動型20の長さ方向(換言すれば、第1可動型20の伸長方向)に沿って並ぶ外側傾斜面21a(換言すれば、外側傾斜部)と、外側頂部21bと、外側段差部21cとを有する。外側頂部21bは、外側傾斜面21aと外側段差部21cとの間に位置する。外側頂部21bは、第1可動型20の長さ方向に沿って平面状に広がる。外側傾斜面21aは、該長さ方向に対し傾斜している。また、外側段差部21cは、外側頂部21bと外側陥没部23との間の段差、又は、第1可動型20の端部に位置する外側頂部21bの縁における段差を形成する。また、第2可動型30では、外側突出部31と外側陥没部32とが、第2可動型30の長さ方向に沿って並ぶ。また、外側突出部31は、第1可動型20の外側突出部21と同様の外側傾斜面31aと、外側頂部31bと、外側段差部31cとを有する。
【0035】
[5.固定型について]
固定型40は、細長い円筒状の部位であり、固定型40の内側の内部空間43と、固定型40の外側の空間とを連通する2つの第1、第2開口部41、42を有する(図5、12参照)。
【0036】
内部空間43は、マンドレル10が挿入される円柱状の空間である。固定型40の内壁は、内部空間43に挿入されたマンドレル10と面接触する。また、内部空間43に挿入されたマンドレル10は、固定型40の内壁によりガイドされ、固定型40の長さ方向に沿って変位可能となる。
【0037】
第1、第2開口部41、42は、固定型40の長さ方向に並ぶ。また、第1、第2開口部41、42は、それぞれ、固定型40の長さ方向に延びる。また、第1開口部41には第1可動型20を嵌入可能であり、第2開口部42には第2可動型30を嵌入可能である。各開口部に嵌入された可動型は、該開口部の縁によりガイドされ、固定型40の内側及び外側に向かって変位可能となる。
【0038】
[6.初期状態について]
ここで、プレス成形を開始する際にワーク6の内側に配置されたマンドレル10、固定型40、及び、第1、第2可動型20、30の配置態様を、初期状態とする。初期状態では、固定型40は、ワーク6の伸長方向62に沿って延び、その外周面が、ワーク6の内壁に面接触する(図4、12参照)。また、マンドレル10は、第1端10aがワーク6の第1端63側に位置し、且つ、伸長方向62に沿って延びた状態で、固定型40の内部空間43に配置される。固定型40は、伸長方向62に沿って移動するようにマンドレル10をガイドする。
【0039】
また、固定型40の第1開口部41には第1可動型20が配置され、第2開口部42には第2可動型30が配置される。この時、第1、第2可動型20、30は、それぞれ、ワーク6の伸長方向62に沿って延びる。また、第1、第2可動型20、30は、伸長方向62に沿って並ぶ。第1、第2可動型20、30は、マンドレル10の支持部11と、ワーク6の内壁との間に配置される。第1、第2開口部41、42は、それぞれ、当該開口部に配置された可動型がワーク6の内壁に向かって変位するように、該可動型20をガイドする。
【0040】
また、初期状態では、マンドレル10の第1、第2内側突出部12、13、及び、各可動型の複数の外側突出部21、31は、伸長方向62に沿って並ぶ(図12参照)。また、各第1内側突出部12では、内側傾斜面12aが内側頂部12bの第1端63側に位置し、内側段差部12cが内側頂部12bの第2端64側に位置する。なお、第2内側突出部13についても、これと同様である。また、第1可動部20の各外側突出部21では、外側傾斜面21aが外側頂部21bの第2端64側に位置し、外側段差部21cが外側頂部21bの第1端63側に位置する。なお、第2可動部30の外側突出部31についても、これと同様である。
【0041】
また、初期状態では、全ての第1内側突出部12の内側傾斜面12aは、第1可動型20のいずれかの外側突出部21の外側傾斜面21aと面接触し、第2内側突出部13の内側傾斜面13aは、第2可動型30の外側突出部31の外側傾斜面31aと面接触する(図12参照)。この時、各内側傾斜面12a、13a、及び、各外側傾斜面21a、31aは、第1端63側に向かうに従いワーク6の内壁から離間するように傾斜する。また、この時、第1可動型20の各外側陥没部22に、第1内側突出部12が配置され、第2可動型30の外側陥没部32に第2内側突出部13が配置される。また、各内側陥没部14に、第1、第2可動型20の各外側突出部21、31が配置される。
【0042】
[7.ストロークについて]
プレス成形のため、ワーク6の内部に配置された初期状態のマンドレル10が伸長方向62に沿って第1端63側に移動すると、第1、第2可動型20、30の各々は、ワーク6の内壁に向かって変位し、該内壁を押圧する(図12、15~18参照)。以後、このようなマンドレル10の移動を、ストロークと記載する。
【0043】
ストロークによる第1可動型20の変位は、マンドレル10の3つの第1内側突出部12、及び、第1可動型20の3つの外側突出部21により実現される。すなわち、ストロークに応じて、第1可動型20の各外側傾斜面21aは、面接触している第1内側傾斜面12aに対し摺動する。これにより、第1可動型20がワーク6の内壁に向かって変位し、該内壁を押圧する。その後、ストロークが進行し、マンドレル10が第1端63側に一定距離を移動すると、各外側傾斜面21aは第1内側傾斜面12aと面接触しなくなる。つまり、各外側突出部21の外側頂部21bが、各第1内側突出部12の内側頂部12bに面接触した状態となる。この時、第1可動型20は、マンドレル10の長さ方向の断面の中心を通過する中心軸から最も離間した状態となる。
【0044】
なお、ストロークによる第2可動部30の変位についても、第2可動部30に設けられた1つの外側突出部31と、マンドレル10に設けられた1つの第2内側突出部13とにより、同様にして実現される。
【0045】
[8.内側及び外側突出部について]
ストロークの際に各可動型が変位する距離は、該可動型を変位させる外側突出部及び内側突出部の高さに応じて定められる。より詳しくは、外側突出部の高さとは、外側頂部と外側陥没部との間の距離に相当し、内側突出部の突出する度合いとは、内側頂部と内側陥没部との間の距離に相当する。換言すれば、外側突出部及び内側突出部の高さとは、外側突出部及び内側突出部が突出する度合いに相当する。各可動型を変位させる外側突出部及び内側突出部の高さは、固有に定められ得る。
【0046】
本実施形態では、第1可動型20の外側突出部21及び第1内側突出部12の高さは、第2可動型30の外側突出部31及び第2内側突出部13の高さよりも大きい(図13、14参照)。このため、ストロークの際、第1可動型20が変位する距離は、第2可動部30が変位する距離よりも大きい。その結果、第1可動型20により形成される第1平面座60は、第2可動型30により形成される第2平面座61よりも外側に突出する。
【0047】
また、ストロークに応じて各可動型が変位する方向(換言すれば、ワーク6の内壁を押圧する方向)は、当該可動型を変位させる内側突出部の突出方向に応じて定められる。各可動型を変位させる内側突出部の突出方向は、固有に定められ得る。
【0048】
これに対し、本実施形態では、第1可動型20を変位させる第1内側突出部12の第1突出方向12dと、第2可動型30を変位させる第2内側突出部13の第2突出方向13dとは異なっている(図15、17参照)。なお、第1、第2突出方向12d、13dとは、第1、第2内側突出部12、13の、マンドレル10の長さ方向に直交する面に沿った突出方向を意味する。より詳しくは、マンドレル10の第2端10b側から見ると、第2突出方向13dは、第1突出方向12dに対し10°左方に傾く。
【0049】
このため、第1可動型20により形成される第1平面座60が突出する方向と、第2可動型30により形成される第2平面座61が突出する方向とは異なるものとなる。具体的には、ワーク6の第2端64側から見ると、第2平面座61が突出する方向は、第1平面座60が突出する方向に対し10°左方に傾く(図19、20参照)。
【0050】
[9.部材の製造方法の説明]
本実施形態の加工用金型1を用いたプレス成形により、部材が製造される。なお、該部材とは、自動車部品であっても良い。より詳しくは、自動車部品とは、例えば、自動車の骨格を構成する部品(例えば、インパネレインフォースメント)であっても良い。インパネレインフォースメントとは、自動車のインパネの付近に配置され、自動車の幅方向に延びる細長い部品である。インパネレインフォースメントは、例えばその平面座に、自動車のインパネに搭載される様々な装置を支持するための複数のブラケットが取り付けられる。以下では、加工用金型1を用いたプレス成形による部材の製造方法について説明する。
【0051】
まず、横方向に伸びた状態で配置されたワーク6の内側に、初期状態のマンドレル10、固定型40、及び、第1、第2可動型20、30を配置すると共に、ワーク6の外側に外上型50と外下型51とを配置する(図1、4、12参照)。この時、ワーク6は、外上型50と外下型51とにより上下に挟まれる。また、ワーク6の外周面と、外上型50及び外下型51の湾曲面50a、51aとが接触した状態となる。但し、ワーク6の外周面における第1、第2平面座が形成される部分は、外上型50の第1、第2平面部50b、50cから離間している。
【0052】
次に、マンドレル10のストロークを行う(図12参照)。これにより、第1、第2可動型20、30は、それぞれ、ワーク6の内壁に向かって変位し、該内壁を、外上型50の第1、第2平面部50b、50cに向かって押圧する。この時、外上型50及び外下型51は変位しない。これにより、第1可動型20は、外上型50の第1平面部50bに向けてワーク6を押圧し、第2可動型30は、外上型50の第2平面部50cに向けてワーク6を押圧する(図15~18参照)。そして、ワーク6では、第1可動型20と第1平面部50bとにより挟まれた部分に第1平面座60が形成され、第2可動型30と第2平面部50cとにより挟まれた部分に第2平面座61が形成される(図19、20参照)。なお、第1、第2可動型20、30は押圧方向が異なっているため、第1、第2平面座60、61は、異なる方向を向く平面として形成される。
【0053】
その後、外上型50と外下型51とをワーク6から離間させる。そして、ワーク6の内部から、マンドレル10、固定型40、及び、第1、第2可動型20、30が取り出される。
【0054】
また、本実施形態では、一例として、マンドレル10のストロークは、カム機構70とプレス機73とを用いて行われる(図12参照)。すなわち、プレス機73は、下方に押圧を行う。一方、カム機構70は、プレス機73による下方への押圧を横方向の押圧に変換するよう構成されており、第1カム71と第2カム72とを備える。
【0055】
第1カム71は、マンドレル10の第2端10bに接合されており、第1傾斜面71aを有する。一方、第2カム72は、第2傾斜面72aを有し、第2傾斜面72aが第1傾斜面71aに面接触した状態で、第1カム71の上側に配置される。この時、第1、第2傾斜面71a、72aは、上方に向かうに従いマンドレル10に接近するように傾斜する。
【0056】
そして、プレス機73は、第1カム71の上側に配置された第2カム72を、下方に押圧する。これにより、第2カム72が下方に変位すると共に、第2傾斜面72aと第1傾斜面71aとが摺動し、第1カム71がマンドレル10側への横方向に変位する。その結果、プレス機73により、マンドレル10がワーク6の第1端63側に押圧され、ストロークが行われる。
【0057】
[9.効果]
(1)従来、ワークの外周面から突出する平面座を形成する場合には、液圧プレスが用いられる場合が多かった。また、ワークの内側にマンドレル及び金型を配置し、マンドレルのストロークによりプレス成形を行うことで、平面座を形成することも考えられた。この場合、ワークは横に伸びた状態で配置され、マンドレルを横方向にストロークさせることでプレス成形を行うと考えられる。このため、例えばカム機構を用いて、既存のプレス機における下方への押圧力を横方向への押圧力に変換し、該プレス機の押圧力によりストロークを行うことが考えられる。しかし、このような既存のプレス機を用いる場合、マンドレルを移動させることが可能な距離が短くなる可能性がある。
【0058】
一方、先に述べたように、ワークの径が小さい場合等には、ストローク時におけるマンドレルの移動距離(以後、ストローク距離)が長くなる可能性がある。その結果、既存のプレス機を用いてストロークを行うのが困難となり、油圧シリンダ等によりマンドレルを押圧する装置を新たに設ける必要があった。
【0059】
これに対し、本実施形態の加工用金型1では、マンドレル10の外周面全体としての傾斜を変えること無く、内側傾斜面11a、12aの傾斜を調整することで、可動型の変位距離を長くすることができる。このため、例えばワーク6の径が小さい場合等であっても、ストローク距離を抑制できる。
【0060】
さらに、ワークの径が小さい場合には、ワークの内側に配置されるマンドレルを細くする必要があるが、これにより、マンドレルの強度や耐久性が低下する恐れがある。また、マンドレル10の外周面全体の傾斜により可動型を変位させる場合には、マンドレルの強度や耐久性を向上させるため、マンドレルを太くすると、外周面の傾斜が緩くなる。これにより、ストローク距離が増加する恐れがある。
【0061】
これに対し、本実施形態の加工用金型1では、マンドレル10の外周面に部分的に内側傾斜面11a、12aが設けられる。このため、マンドレル10の外周面全体の傾斜により可動型を変位させる場合に比べ、マンドレル10を太くすることができる。その結果、ストローク距離を抑制しつつ、マンドレルの強度や耐久性を向上させることができる。
【0062】
(2)また、初期状態では、加工用金型1の第1、第2可動型10、20は、ワーク6の伸長方向62に沿って並ぶ。このため、プレス成形の際、ワーク6における伸長方向62の位置が異なる複数個所を同時に変形させることができ、より柔軟にワーク6の形状を加工することができる。
【0063】
(3)また、第1可動部20を変位させる外側突出部21及び第1内側突出部12は、第2可動部30を変位させる外側突出部31及び第2内側突出部13よりも高い。このため、第1可動部20により形成される第1平面座60の突出度合いを、第2可動部30により形成される第2平面座61の突出度合いを大きくすることができる。
【0064】
(4)また、第1可動部20を変位させる第1内側突出部12の第1突出方向12dと、第2可動部30を変位させる第2内側突出部13の第2突出方向13dとは、異なっている。このため、第1可動部20により形成される第1平面座60と、第2可動部30により形成される第2平面座61とを異なる方向に突出させることができる。
【0065】
(5)また、第1、第2可動型20、30は、それぞれ、複数の内側突出部及び複数の外側突出部により変位される。このため、ストロークに応じてこれらの可動型を良好に変位させることができる。
【0066】
[10.他の実施形態]
(1)上記実施形態では、初期状態の各内側傾斜面及び各外側傾斜面は、第1端63側に向かうに従いワーク6の内壁から離間するように傾斜している。このため、ストロークの際には、マンドレル10を第1端63側に移動させる必要がある。しかし、これとは反対に、初期状態の各内側傾斜面及び各外側傾斜面を、第2端64側に向かうに従いワーク6の内壁から離間するように傾斜させても良い。これにより、マンドレル10を第2端64側に移動させことで、ストロークを実現できる。
【0067】
(2)上記実施形態では、加工用金型1によるプレス成形により、ワーク6の外周面に平面座が形成される。しかし、平面座に限らず、加工用金型1によるプレス成形により、ワーク6の外周面が、例えば湾曲面や屈曲面等、様々な形状に加工されても良い。また、この他にも、例えば、パンチとして構成された可動型を用い、上記実施形態と同様にして該可動型を変位させることで、ワーク6に孔部やバーリングを形成しても良い。
【0068】
(3)上記実施形態では、第1可動型20には複数の外側突出部が設けられており、第2可動型30には1つの外側突出部が設けられている。しかし、第1可動型20に1つの外側突出部を設け、第2可動型30に複数の外側突出部を設けても良い。
【0069】
(4)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…加工用金型、10…マンドレル、11…支持部、12…第1内側突出部、12a…内側傾斜面、12d…第1突出方向、13…第2内側突出部、13a…内側傾斜面、13d…第2突出方向、20…第1可動型、21…外側突出部、21a…外側傾斜面、30…第2可動型、31…外側突出部、31a…外側傾斜面、6…ワーク、62…伸長方向、63…第1端。
図1
図2
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