(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】乾式造粒物及び該乾式造粒物を含有する固形製剤並びにそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 36/484 20060101AFI20221216BHJP
A61K 36/65 20060101ALI20221216BHJP
A61K 36/232 20060101ALI20221216BHJP
A61K 36/23 20060101ALI20221216BHJP
A61K 36/076 20060101ALI20221216BHJP
A61K 36/284 20060101ALI20221216BHJP
A61K 36/884 20060101ALI20221216BHJP
A61K 36/482 20060101ALI20221216BHJP
A61K 36/258 20060101ALI20221216BHJP
A61K 36/233 20060101ALI20221216BHJP
A61K 36/725 20060101ALI20221216BHJP
A61K 36/752 20060101ALI20221216BHJP
A61K 36/29 20060101ALI20221216BHJP
A61K 36/9068 20060101ALI20221216BHJP
A61K 36/74 20060101ALI20221216BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20221216BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20221216BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20221216BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20221216BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20221216BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
A61K36/484
A61K36/65
A61K36/232
A61K36/23
A61K36/076
A61K36/284
A61K36/884
A61K36/482
A61K36/258
A61K36/233
A61K36/725
A61K36/752
A61K36/29
A61K36/9068
A61K36/74
A61K9/20
A61K47/04
A61K47/14
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/26
(21)【出願番号】P 2021128591
(22)【出願日】2021-08-04
(62)【分割の表示】P 2017022908の分割
【原出願日】2017-02-10
【審査請求日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】P 2016025366
(32)【優先日】2016-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016163170
(32)【優先日】2016-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016166300
(32)【優先日】2016-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390031093
【氏名又は名称】テイカ製薬株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000236920
【氏名又は名称】富山県
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】島谷 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】伊東 宏子
(72)【発明者】
【氏名】永井 秀昌
(72)【発明者】
【氏名】明官 勇雄
【審査官】春田 由香
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-136526(JP,A)
【文献】特開2014-214125(JP,A)
【文献】特開2007-161706(JP,A)
【文献】特開2010-070576(JP,A)
【文献】特開2012-001474(JP,A)
【文献】特開2000-044463(JP,A)
【文献】特開2003-113099(JP,A)
【文献】岡田 尚,JRS Pharmaの口腔内速崩壊錠(ODT)用添加剤,PHARM TECH JAPAN,2015年02月05日,第31巻, 第4号(臨時増刊号),p.721-723,すべてがわかる口腔内崩壊錠ハンドブック―添加剤編―
【文献】桐生 賢,国内生産品フマル酸ステアリルナトリウム,PHARM TECH JAPAN,2015年02月05日,第31巻, 第4号(臨時増刊号),p.791-794,すべてがわかる口腔内崩壊錠ハンドブック―添加剤編―
【文献】泉 義雄,総説:漢方方剤の最新知見(11),薬理と臨床,2009年01月,第19巻, 第1号,p.69-78
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00-36/9068
A61K 35/00-35/768
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
医中誌WEB
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)芍薬甘草湯、当帰芍薬散、補中益気湯、及び抑肝散からなる群より選ばれる漢方エキ
ス、(B)ケイ酸化合物並びに(C)ジカルボン酸高級アルコールモノエステル又はその塩を含有する乾式造粒物を含み、チュアブル錠又は口腔内崩壊錠の形態である固形製剤。
【請求項2】
(A)漢方エキスが、芍薬甘草湯である請求項
1に記載の固形製剤。
【請求項3】
(A)漢方エキスが、当帰芍薬散である請求項
1に記載の固形製剤。
【請求項4】
(A)漢方エキスが、補中益気湯である請求項
1に記載の固形製剤。
【請求項5】
(A)漢方エキスが、抑肝散である請求項
1に記載の固形製剤。
【請求項6】
さらに、結合剤、及び/又は崩壊剤を含有する請求項1~
5の何れかに記載の固形製剤。
【請求項7】
結合剤がメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、及び結晶セルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項
6に記載の固形製剤。
【請求項8】
崩壊剤がクロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項
6又は
7に記載の固形製剤。
【請求項9】
(B)ケイ酸化合物が、乾式造粒物全体に対して、1質量%~90質量%である請求項1~
8の何れかに記載の固形製剤。
【請求項10】
(C)ジカルボン酸高級アルコールモノエステル又はその塩が、乾式造粒物全体に対して、0.1質量%~9質量%である請求項1~
9の何れかに記載の固形製剤。
【請求項11】
さらに、賦形剤を含む請求項1~
10の何れかに記載の固形製剤。
【請求項12】
賦形剤が糖類、糖アルコール類、及びセルロース類からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項
11に記載の固形製剤。
【請求項13】
(B)ケイ酸化合物が合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、(C)ジカルボン酸高級アルコールモノエステルの塩がフマル酸ステアリルナトリウムである請求項1~
12の何れかに記載の固形製剤。
【請求項14】
(A)請求項1に記載の乾式造粒物、又は
(B)請求項1に記載の乾式造粒物及び添加剤を含む混合物を圧縮成形する工程を含有する請求項1に記載の固形製剤の製造方法。
【請求項15】
添加剤が、結合剤、及び/又は崩壊剤である請求項
14に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物と、ケイ酸化合物と、ジカルボン酸高級アルコールモノエステル又はその塩から得られる乾式造粒物、及び、この乾式造粒物を含むチュアブル錠、口腔内崩壊錠等の固形製剤、並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固形製剤における造粒法としては、(1)粉末に、溶媒を添加して造粒する湿式造粒法(特許文献1)、(2)粉末に、熱で溶解する結合剤を添加して加熱造粒する溶融造粒法(特許文献2)、(3)粉末を圧縮して造粒する乾式造粒法(特許文献3)等が挙げられる。
【0003】
これらの造粒法を、薬物に対する影響から判断すると、湿式造粒法は、溶媒を用いることから、溶媒に不安定な薬物に適していないこと、並びに、乾燥に熱を必要とすることから、熱に不安定な薬物にも適していないというデメリットを有する。同様に、溶融造粒法は、溶媒を用いないが、溶解に熱を必要とすることから、熱に不安定な薬物に適していないというデメリットを有する。逆に、それらの造粒法とは異なり、乾式造粒法は、溶媒も熱も必要としないため、溶媒や熱に不安定な薬物に適しているというメリットを有している。
【0004】
しかしながら、乾式造粒法は、上述したように、溶媒や熱に不安定な薬物に適しているものの、その反面、粉体の圧縮成形性の他に、粉体の流動性に不具合があると、優れた乾式造粒物が得られず、最終的に固形製剤の形態まで至らないことがある。特に、薬物として、吸湿性薬物である、生薬エキス及び/又は漢方エキスを配合すると、粉体中の薬物が大気中の水分を吸着し、粉体の付着性が増加することで、粉体の流動性に不具合が引き起こされるという懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-134838号公報
【文献】特開2013-10751号公報
【文献】特開2007-332074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、薬物、特に吸湿性薬物、具体的には生薬エキス及び/又は漢方エキスを配合し、製造上問題がない、乾式造粒物、及び該乾式造粒物を含有する固形製剤(チュアブル錠又は口腔内崩壊錠等)、並びにそれらの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、かかる課題を解決するべく、鋭意研究を重ねた結果、薬物、特に吸湿性薬物、具体的には生薬エキス及び/又は漢方エキスを賦形剤と併せて乾式造粒を行う際に、賦形剤として、ケイ酸化合物と、ジカルボン酸高級アルコールモノエステル又はその塩とを添加することで、流動性及び/又は圧縮成形性を改善することができ、乾式造粒機により、優れた乾式造粒物の製造が可能となることを見出した。
更に、得られた乾式造粒物を整粒した後、添加剤を追加混合し、更に圧縮成形することで、硬度及び/又は摩損度に優れた、チュアブル錠、口腔内崩壊錠等の固形製剤の製造が可能となることを見出した。
【0008】
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の乾式造粒物、及び該乾式造粒物を含有する固形製剤、並びにそれらの製造方法を包含する。
〔1〕(A)薬物、(B)ケイ酸化合物及び(C)ジカルボン酸高級アルコールモノエステル又はその塩を含有する、乾式造粒物。
〔2〕(A)薬物が、吸湿性薬物である前記〔1〕に記載の乾式造粒物。
〔3〕(A)薬物が、生薬エキス、及び/又は漢方エキスである前記〔1〕又は〔2〕に記載の乾式造粒物。
〔4〕(B)ケイ酸化合物が、乾式造粒物全体に対して、1質量%~90質量
%である前記〔1〕~〔3〕の何れかに記載の乾式造粒物。
〔5〕(C)ジカルボン酸高級アルコールモノエステル又はその塩が、乾式造粒物全体に対して、0.1質量%~9質量%である前記〔1〕~〔4〕の何れかに記載の乾式造粒物。
〔6〕さらに、賦形剤を含む前記〔1〕~〔5〕の何れかに記載の乾式造粒物。
〔7〕賦形剤が糖類、糖アルコール類、及びセルロース類からなる群より選ばれる少なくとも1種である前記〔6〕に記載の乾式造粒物。
〔8〕固形製剤用である前記〔1〕~〔7〕の何れかに記載の乾式造粒物。
〔9〕(B)ケイ酸化合物が合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、(C)ジカルボン酸高級アルコールモノエステルの塩がフマル酸ステアリルナトリウムであり、固形製剤用である、前記〔1〕~〔8〕の何れかに記載の乾式造粒物。
〔10〕前記〔1〕~〔9〕の何れかに記載の乾式造粒物を含む固形製剤。
〔11〕さらに、結合剤、及び/又は崩壊剤を含有する前記〔10〕に記載の固形製剤。
〔12〕結合剤がメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、及び結晶セルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記〔11〕に記載の固形製剤。
〔13〕崩壊剤がクロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記〔11〕又は〔12〕に記載の固形製剤。
〔14〕チュアブル錠、又は口腔内崩壊錠の形態である前記〔10〕~〔13〕の何れかに記載の固形製剤。
〔15〕(A)前記〔1〕~〔9〕の何れかに記載の乾式造粒物、又は
(B)前記〔1〕~〔9〕の何れかに記載の乾式造粒物及び添加剤を含む混合物を圧縮成形する工程を含有する固形製剤の製造方法。
〔16〕添加剤が、結合剤、及び/又は崩壊剤である前記〔15〕に記載の製造方法。
〔17〕(A)芍薬甘草湯、当帰芍薬散、補中益気湯、及び抑肝散からなる群より選ばれる漢方エキス又はオウギ、オウゴン、カンゾウ、キキョウ、ケイガイ、サイコ、サイシン、サンソウニン、シャクヤク、ショウマ、獣胆、ショウキョウ、セッコウ、センキュウ、ソウジュツ、ダイオウ、タイソウ、チンピ、トウキ、ニンジン、ハッカ、ビャクジュツ、ブクリョウ、マオウ、及びレンギョウからなる群より選ばれる少なくとも1種の生薬エキス、(B)ケイ酸化合物並びに(C)ジカルボン酸高級アルコールモノエステル又はその塩を含有する乾式造粒物を含み、チュアブル錠又は口腔内崩壊錠の形態である固形製剤。
〔18〕(A)が、芍薬甘草湯、当帰芍薬散、補中益気湯、及び抑肝散からなる群より選ばれる漢方エキスである前記〔1〕に記載の固形製剤。
〔19〕(A)漢方エキスが、芍薬甘草湯である前記〔17〕又は〔18〕に記載の固形製剤。
〔20〕(A)漢方エキスが、当帰芍薬散である前記〔17〕又は〔18〕に記載の固形製剤。
〔21〕(A)漢方エキスが、補中益気湯である前記〔17〕又は〔18〕に記載の固形製剤。
〔22〕(A)漢方エキスが、抑肝散である前記〔17〕又は〔18〕に記載の固形製剤。
〔23〕(A)が、オウギ、オウゴン、カンゾウ、キキョウ、ケイガイ、サイコ、サイシン、サンソウニン、シャクヤク、ショウマ、獣胆、ショウキョウ、セッコウ、センキュウ、ソウジュツ、ダイオウ、タイソウ、チンピ、トウキ、ニンジン、ハッカ、ビャクジュツ、ブクリョウ、マオウ、及びレンギョウからなる群より選ばれる少なくとも1種の生薬エキスである前記〔17〕に記載の固形製剤。
〔24〕(A)生薬エキスが、オウギ、カンゾウ、サイコ、シャクヤク、ショウマ、ショウキョウ、センキュウ、ソウジュツ、タイソウ、チンピ、トウキ、ニンジン、及びブクリョウからなる群より選ばれる少なくとも1種である上記〔17〕に記載の固形製剤。
〔25〕さらに、結合剤、及び/又は崩壊剤を含有する前記〔17〕~〔24〕の何れかに記載の固形製剤。
〔26〕結合剤がメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、及び結晶セルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記〔25〕に記載の固形製剤。
〔27〕崩壊剤がクロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記〔25〕又は〔26〕に記載の固形製剤。
〔28〕(B)ケイ酸化合物が、乾式造粒物全体に対して、1質量%~90質量%である前記〔17〕~〔27〕の何れかに記載の固形製剤。
〔29〕(C)ジカルボン酸高級アルコールモノエステル又はその塩が、乾式造粒物全体に対して、0.1質量%~9質量%である前記〔17〕~〔28〕の何れかに記載の固形製剤。
〔30〕さらに、賦形剤を含む前記〔17〕~〔29〕の何れかに記載の固形製剤。
〔31〕賦形剤が糖類、糖アルコール類、及びセルロース類からなる群より選ばれる少なくとも1種である前記〔30〕に記載の固形製剤。
〔32〕(B)ケイ酸化合物が合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、(C)ジカルボン酸高級アルコールモノエステルの塩がフマル酸ステアリルナトリウムである前記〔17〕~〔31〕の何れかに記載の固形製剤。
〔33〕(A)前記〔17〕に記載の乾式造粒物、又は
(B)前記〔17〕に記載の乾式造粒物及び添加剤を含む混合物を圧縮成形する工程を含有する前記〔17〕に記載の固形製剤の製造方法。
〔34〕添加剤が、結合剤、及び/又は崩壊剤である前記〔33〕に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明による、新たな乾式造粒物の構成、又はその製造方法を適用することで、流動性及び/又は圧縮成形性が改善された乾式造粒物を良好に得ることが可能である。更に、乾式造粒物を整粒した後、添加剤を追加混合し、更に圧縮成形して得られた乾式造粒物を含むチュアブル錠、口腔内崩壊錠等の固形製剤は、適度な硬度及び/又は摩損度を有し、良好な咀嚼感又は口溶感も提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施例1~6及び比較例1~5のフレーク形成率(%)を示す。
【
図2】
図2は、実施例7~12の硬度(N)を示す。
【
図3】
図3は、実施例7~12の摩損度(%)を示す。
【
図4】
図4は、実施例13~17及び比較例6~9のフレーク形成率(%)を示す。
【
図5】
図5は、実施例18~22の硬度(N)を示す。
【
図6】
図6は、実施例18~22の摩損度(%)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)乾式造粒物
本発明の乾式造粒物は、(A)薬物、(B)ケイ酸化合物及び(C)ジカルボン酸高級アルコールモノエステル又はその塩を含有する、乾式造粒物である。なお、本発明における「乾式造粒物」とは、外部から添加される水及び/又は結合剤含有水溶液を含まない粒状物ともいう。本発明において、乾式造粒物は、フレーク及びその破砕顆粒を含有してしてもよく、フレーク及びその破砕顆粒のみからなっていてもよく、フレークのみからなっていてもよい。なお、本発明において、「フレーク」及び「成形体」は相互に言い換えることができる。本発明の乾式造粒物は、例えば(A)薬物、(B)ケイ酸化合物及び(C)ジカルボン酸高級アルコールモノエステル又はその塩を混合し、乾式造粒機を用いて圧縮成形すること等により製造され得る。当該(A)、(B)及び(C)はそれぞれ市販されているものを用いてもよく、公知の方法により製造することで得ることもできる。本発明の乾式造粒物を製造するために必要な乾式造粒機としては、ローラーコンパクター、ファーマパクタ、チルソネーターなどの形式が挙げられるが、これらのうち、ローラーコンパクターを用いるのが特に良い。また、乾式造粒物の製造時における、圧縮成形圧力としては、乾式造粒機の種類によって異なるが、その範囲は通常は1~100MPa、好ましくは2~50MPa、より好ましくは4~25MPaの範囲である。
【0012】
本発明における(A)薬物は、特に限定されないが吸湿性薬物であることが好ましく、具体的には、生薬エキス及び/又は漢方エキスであることがより好ましい。また、本発明で用いられる吸湿性薬物とは、25℃、75%RH、7日間で、3%超の空気中の水分を吸収する薬物であることを意味している。
本発明で用いられる生薬エキスは、内服投与によって使用されるものであって、医薬上、薬理学的に、又は生理学的に許容されるものであればよく、構成する生薬の組合せやその配合比率についても特に制限はなく、また、生薬エキスに用いられる生薬の種類は、植物性の生薬のみならず、動物性又は鉱物性の生薬であってもよいが、特に日本薬局方に記載されている生薬が好ましい。また、生薬エキスは、生薬原末から、水、エタノール等の有機溶媒、その混合溶媒を用いてエキスを抽出し、濃縮し、乾燥することで得られ、単独の生薬から抽出したものでも良く、その混合物、或いは複数の生薬から抽出したものであっても良い。
【0013】
生薬エキス原料として具体的には、アセンヤク、イレイセン(威霊仙)、ウイキョウ(茴香)、エンゴサク(延胡索)、オウギ(黄耆)、オウゴン(黄岑)、オウバク(黄柏)、オウヒ(桜皮)、オウレン(黄連)、オンジ(遠志)、ガジュツ、カンキョウ(乾姜)、カッコン(葛根)、カッコウ、カロニン、カノコソウ、カンゾウ(甘草)、カミツレ、キキョウ(桔梗)、キクカ(菊花)、キジツ(枳実)、キョウニン(杏仁)、キョウカツ、クジン(苦参)、ケイガイ(荊芥)、ケイヒ(桂皮)、ゲンチアナ、コウカ(紅花)、コウブシ(香附子)、コウベイ、コウボク(厚朴)、ゴオウ、ゴシツ(牛膝)、ゴシュユ(呉茱萸)、ゴボウシ(牛蒡子)、ゴミシ(五味子)、サイコ(柴胡)、サイシン(細辛)、サンシシ(山梔子)、サンシュユ(山茱萸)、サンショウ(山椒)、サンザシ(山査子)、サンズコン(山豆根)、サンソウニン(酸棗仁)、サンヤク(山薬)、サンナ(山奈)、ジオウ(地黄)、シオン、シャクヤク、ジャコウ、ショウマ(升麻)、シツリシ、シャゼンシ、シャゼンソウ、シャジン(シュクシャ(縮砂))、獣胆(ユウタンを含む)、ショウキョウ(生姜)、ジリュウ(地竜)、シンイ(辛夷)、ジコッピ(地骨皮)、シコン、セキサン(石蒜)、セッコウ(石膏)、セネガ、センコツ(川骨)、ゼンコ(前胡)、センキュウ、センブリ、ソウジュツ(蒼朮)、ソウハクヒ(桑白皮)、ソヨウ(蘇葉)、ダイオウ(大黄)、タイソウ、チクジョ、チクセツニンジン(竹節人参)、チョウジ(丁子)、チョレイ(猪苓)、チンピ(陳皮)、テンナンショウ(天南星)、トウガシ(冬瓜子)、トウキ(当帰)、トウニン(桃仁)、トコン、トチュウ、ナンテンジツ、ニンジン(人参)、ニンドウ(忍冬)、バイモ、バクモンドウ、ハッカ(薄荷)、ハンゲ(半夏)、ビャクシ、ビャクシャク、ビャクジュツ(白朮)、ビワヨウ(枇杷葉)、ビンロウジ(檳榔子)、ブクリョウ(茯苓)、ボタンピ(牡丹皮)、マオウ(麻黄)、マシニン(麻子仁)、モッコウ(木香)、ヨクイニン、リュウガンニク(竜眼肉)、リョウキョウ(良姜)、リュウコツ(竜骨)、リュウタン(竜胆)、レンニク(蓮肉)、レンギョウ(連翹)などが挙げられる。
【0014】
本発明に用いられる漢方エキスは、内服投与によって使用されるものであって、医薬上、薬理学的に、又は生理学的に許容されるものであればよく、構成する生薬の組合せやその配合比率についても特に制限はなく、「改定一般用漢方処方の手引き」(財団法人日本公定書協会監修、日本漢方生薬製剤協会編集、株式会社じほう発行)、並びに「改定一般用漢方処方の手引き平成22年4月1日通知(加減方追加)対応追補版」(財団法人日本公定書協会監修、日本漢方生薬製剤協会編集、株式会社じほう発行)に記載されている漢方処方の生薬を用いて、日本薬局方エキス剤の製法等に従って得ることが出来る。また、漢方エキスは、生薬原末(主には生薬原末の混合物)から、水、エタノール等の有機溶媒、その混合溶媒を用いてエキスを抽出し、濃縮し、乾燥することで得られ、生薬エキスの混合物でも良く、複数の生薬から抽出したものであっても良い。
【0015】
漢方エキス原料として具体的には、下記のものなどが挙げられる。
【0016】
(A)薬物の含有量は、乾式造粒物の全量に対して、下限値については約1質量%以上が好ましく、約5質量%以上がより好ましく、約10質量%以上がさらにより好ましい。
また、乾式造粒物の全量に対して、上限値については約90質量%以下が好ましく、約80質量%以下がより好ましく、約70質量%以下がさらにより好ましい。更に、(A)薬物は、1 種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0017】
本発明における(B)ケイ酸化合物は、合成ケイ酸アルミニウム、天然ケイ酸アルミニウム等のケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、二酸化ケイ素、含水二酸化ケイ素等が挙げられる。中でも、ケイ酸アルミニウム(特に合成ケイ酸アルミニウム)、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムが好ましい。
また、(B)ケイ酸化合物の含有量は、乾式造粒物の全量に対して、下限値については約1質量%以上が好ましく、約5質量%以上がより好ましく、約10質量%以上がさらにより好ましい。また、乾式造粒物の全量に対して、上限値については約90質量%以下が好ましく、約80質量%以下がより好ましく、約70質量%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、実用上十分な粉体成形性を得ることができる。
【0018】
本発明における(C)ジカルボン酸高級アルコールモノエステル又はその塩は、1分子のジカルボン酸と1分子の高級アルコールがエステル結合したものまたはその塩であれば特に限定されない。エステルを構成するジカルボン酸の炭素数は約3~25であってもよい。エステルを構成するジカルボン酸は、2つのカルボキシル基をもつ有機化合物であれば特に限定されないが、例えば、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。ジカルボン酸は、フマル酸、マレイン酸等であることが好ましく、フマル酸であることがより好ましい。エステルを構成する高級アルコールの炭素数は約8~22であってもよい。エステルを構成する高級アルコールは、例えばラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコールであってもよく、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコールであってもよい。ジカルボン酸高級アルコールモノエステルの塩を構成するイオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等のアルカリ金属イオン;カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;ホスホニウム、ピロリジニウム、イミダゾリウム等の有機イオン等が挙げられる。エステルを構成するジカルボン酸と高級アルコールとの組合わせは特に限定されないが、これらにより構成されるエステル又はその塩が医薬又は食品の製剤分野で使用され得るものであることが好ましい。ジカルボン酸高級アルコールモノエステル又はその塩は、特にフマル酸ステアリルナトリウムであることが好ましい。
また、(C)ジカルボン酸高級アルコールモノエステル又はその塩の含有量は、乾式造粒物の全量に対して、下限値については約0.1質量%以上が好ましく、約0.5質量%以上がより好ましく、約1質量%以上がさらにより好ましい。また、乾式造粒物の全量に対して、上限値については約9質量%以下が好ましく、約6質量%以下がより好ましく、約3質量%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、実用上十分な粉体流動性を得ることができる。
【0019】
質量比
質量比(A):(B)は、特に限定されないが例えば(1:10)~(100:1)であってもよく、(1:2)~(20:1)であってもよい。質量比(A):(C)は、特に限定されないが例えば(2:1)~(1000:1)であってもよく、(10:1)~(100:1)であってもよい。質量比(B):(C)は、特に限定されないが例えば(1000:1)~(1:20)であってもよく、(20:1)~(1:1)であってもよい。質量比(A):(B):(C)は、特に限定されないが例えば100:(2~90):(0.1~10)であってもよく、100:(5~90):(0.5~10)であってもよく、100:(10~90):(1~10)であってもよい。
【0020】
乾式造粒物は、上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分に加え、その他に、医薬品又は食品の分野で一般的に使用される添加剤を含むことが望ましく、これにより、乾式造粒物、並びに固形製剤の成形性及び崩壊性をさらに向上させることが可能となる。添加剤として、結合剤、崩壊剤、賦形剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、甘味剤、香料、防腐剤等が含まれる。
結合剤としては、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、プルラン、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリビニルアルコール、コポリビドン等の水溶性結合剤、並びに、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム等のケイ酸類;結晶セルロース、粉末セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類等の不溶性結合剤が挙げられる。賦形剤としては、D-マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、粉末還元麦芽糖水アメ、イソマル等の糖アルコール類;乳糖水和物、無水乳糖、白糖、精製白糖、果糖、ブドウ糖、ブドウ糖水和物、トレハロース等の糖類;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、コメデンプン等のデンプン類;グリシン、アラニンなどのアミノ酸類等が挙げられる。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。着色剤としては、食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、酸化チタン等が挙げられる。矯味剤としては、クエン酸水和物、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられる。甘味剤としては、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア、タウマチン、スクラロース等が挙げられる。香料としては、ウイキョウ油、オレンジ油、カミツレ油、スペアミント油、ケイヒ油、チョウジ油、ハッカ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ラベンダー油、レモン油、ローズ油、ローマカミツレ油、メントール等が挙げられる。防腐剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸プロピルナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸メチルナトリウム等が挙げられる。添加剤は、1 種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
【0021】
乾式造粒物の使用目的に応じて乾式造粒物の大きさを適宜調整することができる。乾式造粒物の平均粒子径は、0.05~3.0mmであってもよく、0.1~2.0mmであってもよく、0.2~1.0mmであってもよい。なお、平均粒子径は、例えば、第16改正日本薬局方の粒度測定法(第二法:ふるい分け法)に従って、適当な目開きの篩を用いて粒度分布を測定した後、累積50%平均粒子径を算出することにより求められる。篩上に残留する成形体(フレーク)の乾式造粒物全量に対する質量百分率(%)、すなわちフレーク形成率(%)は、70以上であることが好ましく、75以上であることがより好ましく、80以上であることがさらにより好ましい。
【0022】
乾式造粒物は固形製剤用であることが好ましい。本発明において、「固形製剤用」とは、チュアブル錠や口腔内崩壊錠等の固形製剤の構成材料としての用途を有するという意味である。
【0023】
(II)固形製剤及びその製造方法
本発明は、上述した乾式造粒物を含む固形製剤を包含する。上述した乾式造粒物を用いて、本発明の固形製剤として、チュアブル錠又は口腔内崩壊錠(以下、「本発明の錠剤」と略す)を製造するには、上記説明した本発明の乾式造粒物を、必要に応じて、結合剤、崩壊剤などの添加剤を追加混合し、圧縮成形すればよい。
圧縮成形には、ロータリー式打錠機、単発打錠機等を用いることができ、その際の打錠圧は、1~25kNが好ましく、2~20kNがより好ましく、4~15kNがさらにより好ましい。また、この範囲であれば、打錠時における臼杵の負担が少なく、さらに打錠時における打錠圧の維持もし易い。
【0024】
なお、上記圧縮成形に先立ち、乾式造粒物を、流動層乾燥機、棚式乾燥機等を用いた乾燥 ;スクリーンミル、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル等を用いた整粒;振動ふるいを用いた篩過等の錠剤の製造に操作に所望により、付してもよい。
【0025】
本発明の錠剤は、実質的に、上述した乾式造粒物のみで構成することもできるが、結合剤、崩壊剤などのその他の添加剤を含むこともできる。その他の添加剤を含む場合でも、本発明の錠剤における乾式造粒物の含有量は、錠剤の全量に対して、下限値については約70質量%以上が好ましく、約80質量%以上がより好ましく、約90質量%以上がさらにより好ましい。即ち、本発明の錠剤が乾式造粒物以外の成分を含む場合、乾式造粒物以外の含有量は、錠剤の全量に対して、上限値については約30質量%以下が好ましく、約20質量%以下がより好ましく、約10質量%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、実用上十分な成型性及び崩壊性を得ることができる。
【0026】
なお、本発明の錠剤は乾式造粒物をさらに圧縮成形することにより製造されるため、乾式造粒物の形状と、本発明の錠剤中の乾式造粒物の形状とは、通常、異なる。
【0027】
結合剤
本発明の錠剤は、結合剤を含むことができる。結合剤は、圧縮時に造粒物を相互に結合させる作用を有するものである。結合剤としては、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、結晶セルロース、粉末セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等の不溶性結合剤が挙げられる。中でも、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、及び結晶セルロースが好ましい。
また、結合剤の含有量は、錠剤の全量に対して、下限値については約0.01質量%以上が好ましく、約0.1質量%以上がより好ましく、約1質量%以上がさらにより好ましい。また、錠剤の全量に対して、上限値については約30質量%以下が好ましく、約20質量%以下がより好ましく、約10質量%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、実用上十分な成形性を得ることができる。結合剤は、1 種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
【0028】
崩壊剤
本発明の錠剤は、崩壊剤を含むことができる。崩壊剤は、水を含んで膨れる成分、又は水を含んで崩れる成分である。崩壊剤としては、クロスポビドン、カルメロースカルシウム、カルメロース、アルギン酸、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる 。中でも、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
また、崩壊剤の含有量は、錠剤の全量に対して、下限値については約0.01質量%以上が好ましく、約0.1質量%以上がより好ましく、約1質量%以上がさらにより好ましい。また、錠剤の全量に対して、上限値については約30質量%以下が好ましく、約20質量%以下がより好ましく、約10質量%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、実用上十分な崩壊性を得ることができる。崩壊剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
【0029】
その他の添加剤
本発明の錠剤は、結合剤、賦形剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、甘味剤、香料、防腐剤等の医薬品又食品の分野で一般的に使用される添加剤を適量含むこともできる。更に、薬物を含むこともでき、添加剤、及び薬物は、それぞれ、1種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
【0030】
本発明の錠剤は、その使用目的に応じて錠剤の大きさを適宜調整することができる。
【0031】
本発明の錠剤の硬度は、例えば、ロードセル式錠剤硬度計(例えば、岡田精工製)を用いて測定することができる。本発明の錠剤の硬度の下限値については、5N以上であってもよく、10N以上であってもよく、20N以上であってもよく、30N以上であってもよく、40N以上であってもよく、50N以上であってもよい。また、本発明の錠剤の硬度の上限値については、300N以下であってもよく、250N以下であってもよく、200N以下であってもよい。
【0032】
本発明の錠剤の摩損度は、日本薬局方参考情報の「錠剤の摩損度試験法」に従って、摩損度試験器(例えば、富山産業製)を用いて測定してもよい。本発明の錠剤の摩損度の下限値については、摩損度(%)が、-1.0以上であってもよく、-0.5以上であってもよく、-0.1以上であってもよく、-0.05以上であってもよい。本発明の錠剤の摩損度の上限値については、摩損度(%)が、1.0以下であってもよく、0.5以下であってもよく、0.1以下であってもよく、0.05以下であってもよい。
【0033】
使用方法
本発明の乾式造粒物及び錠剤は、医薬品又は食品の分野に適用され得る。特に本発明の錠剤を、医薬品又は食品の分野に適用することで、これらに良好な咀嚼感を付与することができる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0035】
(1-1)乾式造粒物の製造(漢方エキス:芍薬甘草湯エキス)
以下に示した、乾式造粒機(フロイント社製)は、型式「TF-LABO」[ロール直径:50mm、ロール幅:24mm]を用いた。
実施例1
後掲の表1に示す組成に基づき、芍薬甘草湯エキス(アルプス薬品工業製)100g、合成ケイ酸アルミニウム8.75g、結晶セルロース26.25g、粉末還元麦芽糖水アメ36.55g及びタウマチン0.075gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム5.25gを加えて全体が均一になるよう混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0036】
実施例2
後掲の表1に示す組成に基づき、芍薬甘草湯エキス(アルプス薬品工業製)100g、合成ケイ酸アルミニウム71.55g及びタウマチン0.075gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム5.25gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0037】
実施例3
後掲の表1に示す組成に基づき、芍薬甘草湯エキス(アルプス薬品工業製)100g、合成ケイ酸アルミニウム45.3g、結晶セルロース26.25g及びタウマチン0.075gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム5.25gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0038】
実施例4
後掲の表1に示す組成に基づき、芍薬甘草湯エキス(アルプス薬品工業製)100g、合成ケイ酸アルミニウム8.75g、結晶セルロース62.8g及びタウマチン0.075gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム5.25gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5Mpa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0039】
実施例5
後掲の表1に示す組成に基づき、芍薬甘草湯エキス(アルプス薬品工業製)100g、合成ケイ酸アルミニウム35g、粉末還元麦芽糖水アメ36.55g及びタウマチン0.075gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム5.25gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0040】
実施例6
後掲の表1に示す組成に基づき、芍薬甘草湯エキス(アルプス薬品工業製)100g、合成ケイ酸アルミニウム8.75g、粉末還元麦芽糖水アメ62.8g及びタウマチン0.075gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム5.25gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0041】
比較例1
後掲の表2に示す組成に基づき、芍薬甘草湯エキス(アルプス薬品工業製)100g、結晶セルロース71.55g及びタウマチン0.075gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム5.25gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0042】
比較例2
後掲の表2に示す組成に基づき、芍薬甘草湯エキス(アルプス薬品工業製)100g、粉末還元麦芽糖水アメ71.55g及びタウマチン0.075gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム5.25gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0043】
比較例3
後掲の表2に示す組成に基づき、芍薬甘草湯エキス(アルプス薬品工業製)100g、結晶セルロース26.25g、粉末還元麦芽糖水アメ45.3g及びタウマチン0.075gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム5.25gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0044】
比較例4
後掲の表2に示す組成に基づき、芍薬甘草湯エキス(アルプス薬品工業製)100g、結晶セルロース35g、粉末還元麦芽糖水アメ36.55g及びタウマチン0.075gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム5.25gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5Mpa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0045】
比較例5
後掲の表2に示す組成に基づき、芍薬甘草湯エキス(アルプス薬品工業製)100g、合成ケイ酸アルミニウム8.75g、結晶セルロース26.25g、粉末還元麦芽糖水アメ36.55g及びタウマチン0.075gを混合した後、更にステアリン酸マグネシウム5.25gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0046】
(2-1)固形製剤の製造(漢方エキス:芍薬甘草湯エキス)
実施例1~6で得た乾式造粒物を用い、本発明におけるチュアブル錠を製造した。
実施例7
後掲の表3に示す組成に基づき、実施例1で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物70.75gにカルメロースカルシウム3.5g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム1.05g及びスクラロース0.35gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.35gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が10mm、その質量が380mgのチュアブル錠を得た。
【0047】
実施例8
後掲の表3に示す組成に基づき、実施例2で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物70.75gにカルメロースカルシウム3.5g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム1.05g及びスクラロース0.35gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.35gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が10mm、その質量が380mgのチュアブル錠を得た。
【0048】
実施例9
後掲の表3に示す組成に基づき、実施例3で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物70.75gにカルメロースカルシウム3.5g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム1.05g及びスクラロース0.35gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.35gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が10mm、その質量が380mgのチュアブル錠を得た。
【0049】
実施例10
後掲の表3に示す組成に基づき、実施例4で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物70.75gにカルメロースカルシウム3.5g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム1.05g及びスクラロース0.35gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.35gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が10mm、その質量が380mgのチュアブル錠を得た。
【0050】
実施例11
後掲の表3に示す組成に基づき、実施例5で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物70gにカルメロースカルシウム3.5g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム1.05g及びスクラロース0.35gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.35gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が10mm、その質量が380mgのチュアブル錠を得た。
【0051】
実施例12
後掲の表3に示す組成に基づき、実施例6で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物70.75gにカルメロースカルシウム3.5g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム1.05g及びスクラロース0.35gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.35gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が10mm、その質量が380mgのチュアブル錠を得た。
【0052】
(3-1)物性評価
乾式造粒物
<フレーク形成率>
乾式造粒物を2分間採取した後、その全量を12メッシュの篩(目開き:1.41mm)にかけて、その篩上に残留する成形体(フレーク)の質量百分率(%)を算出することにより、フレーク形成率測定試験を行った。
固形製剤
<硬度>
ロードセル式錠剤硬度計(岡田精工製)を用い、試験数を10錠とし、その硬度の平均値を算出することにより、硬度測定試験を行った。
<摩損度>
日本薬局方参考情報の「錠剤の摩損度試験法」に従って、摩損度試験器(富山産業製)を用いて実施し、錠剤20錠を、1分間25回転で4分間回転し、その摩損度を算出することにより、摩損度測定試験を行った。
【0053】
(4-1)物性評価の試験結果
乾式造粒物
実施例1~6、及び比較例1~5の乾式造粒物の組成、並びにフレーク形成率の試験結果を下記の表1及び2に示す。
【0054】
【0055】
【0056】
表1~2から明らかなように、実施例1~6では、乾式造粒物のフレーク形成率は、86~93%と高く、8割以上を示した。また、比較例1~4では、乾式造粒物のフレーク形成率は、25~67%と、極めて低く、比較例5では、流動性が悪く、更に付着性が強いために、フレークの形成が困難[フレーク形成不可]であった。
【0057】
固形製剤
実施例7~12の固形製剤(チュアブル錠)の組成、並びに硬度及び摩損度の試験結果を下記の表3に示す。
【表3】
【0058】
表1における実施例1~6を用いた、表3における実施例7~12では、固形製剤(チュアブル錠)における、硬度は30N以上(111~233N)、更に摩損度は1.0%未満(-0.05~0.05%)と、非常に良好な値を示した。また、実施例7~12から得られた固形製剤(チュアブル錠)を実際に服用してみると、良好な咀嚼感も得ることができた。
【0059】
(1-2)乾式造粒物の製造(漢方エキス:抑肝散エキス)
以下に示した、乾式造粒機(フロイント社製)は、型式「TF-LABO」[ロール直径:50mm、ロール幅:24mm]を用いた。
実施例13
後掲の表4に示す組成に基づき、抑肝散エキス(日本粉末薬品製)114g、合成ケイ酸アルミニウム10.5g、結晶セルロース31.5g、粉末還元麦芽糖水アメ49.91g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0060】
実施例14
後掲の表4に示す組成に基づき、抑肝散エキス(日本粉末薬品製)114g、合成ケイ酸アルミニウム91.91g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0061】
実施例15
後掲の表4に示す組成に基づき、抑肝散エキス(日本粉末薬品製)114g、合成ケイ酸アルミニウム60.41g、結晶セルロース31.5g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0062】
実施例16
後掲の表4に示す組成に基づき、抑肝散エキス(日本粉末薬品製)114g、合成ケイ酸アルミニウム42g、粉末還元麦芽糖水アメ49.91g及びタウマチン0.09g を混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0063】
実施例17
後掲の表4に示す組成に基づき、抑肝散エキス(日本粉末薬品製)114g、合成ケイ酸アルミニウム10.5g、粉末還元麦芽糖水アメ81.41g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0064】
比較例6
後掲の表5に示す組成に基づき、抑肝散エキス(日本粉末薬品製)114g、結晶セルロース91.91g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0065】
比較例7
後掲の表5に示す組成に基づき、抑肝散エキス(日本粉末薬品製)114g、粉末還元麦芽糖水アメ91.91g 及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0066】
比較例8
後掲の表5に示す組成に基づき、抑肝散エキス(日本粉末薬品製)114g、結晶セルロース31.5g、粉末還元麦芽糖水アメ60.41g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0067】
比較例9
後掲の表5に示す組成に基づき、抑肝散エキス(日本粉末薬品製)114g、結晶セルロース42g、粉末還元麦芽糖水アメ49.91g及びタウマチン0.09g を混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0068】
比較例10
後掲の表5に示す組成に基づき、抑肝散エキス(日本粉末薬品製)114g、合成ケイ酸アルミニウム10.5g、結晶セルロース31.5g、粉末還元麦芽糖水アメ49.91g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にステアリン酸マグネシウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0069】
(2-2)固形製剤の製造(漢方エキス:抑肝散エキス)
実施例13~17で得た乾式造粒物を用い、本発明におけるチュアブル錠を製造した。
実施例18
後掲の表6に示す組成に基づき、実施例13で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物106.15gにカルメロースカルシウム5.25g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム1.58g及びスクラロース0.51gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.51gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が10mm、その質量が380mgのチュアブル錠を得た。
【0070】
実施例19
後掲の表6に示す組成に基づき、実施例14で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物106.15gにカルメロースカルシウム5.25g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム1.58g及びスクラロース0.51gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.51gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が10mm、その質量が380mgのチュアブル錠を得た。
【0071】
実施例20
後掲の表6に示す組成に基づき、実施例15で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物106.15gにカルメロースカルシウム5.25g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム1.58g及びスクラロース0.51gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.51gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が10mm、その質量が380mgのチュアブル錠を得た。
【0072】
実施例21
後掲の表6に示す組成に基づき、実施例16で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物106.15gにカルメロースカルシウム5.25g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム1.58g及びスクラロース0.51gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.51gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が10mm、その質量が380mgのチュアブル錠を得た。
【0073】
実施例22
後掲の表6に示す組成に基づき、実施例17で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物106.15gにカルメロースカルシウム5.25g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム1.58g及びスクラロース0.51gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.51gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が10mm、その質量が380mgのチュアブル錠を得た。
【0074】
(3-2)物性評価
乾式造粒物
<フレーク形成率>
乾式造粒物を2分間採取した後、その全量を12メッシュの篩(目開き:1.41mm)にかけて、その篩上に残留する成形体(フレーク)の質量百分率(%)を算出することによりフレーク形成率測定試験を行った。
固形製剤
<硬度>
錠剤硬度計(岡田精工製)を用い、試験数は10錠とし、その硬度の平均値を算出することにより硬度測定試験を行った。
<摩損度>
日本薬局方参考情報の「錠剤の摩損度試験法」に従って、摩損度試験器(富山産業製)を用いて、錠剤20錠を、1分間25回転で4分間回転し、その摩損度を算出することにより摩損度測定試験を行った。
【0075】
(4-2)物性評価の試験結果
乾式造粒物
実施例13~17、及び比較例6~10の乾式造粒物の組成、並びにフレーク形成率の試験結果を下記の表4及び5に示す。
【0076】
【0077】
【0078】
表4及び5から明らかなように、実施例13~17では、乾式造粒物のフレーク形成率は、84~91%と高く、8割以上を示した。また、比較例6~9では、乾式造粒物のフレーク形成率は、0.12~23%と、極めて低く、比較例10では、流動性が悪く、更に付着性が強いために、フレークの形成が困難[フレーク形成不可]であった。
【0079】
固形製剤
実施例18~22の固形製剤(チュアブル錠)の組成、並びに硬度と摩損度の試験結果を下記の表6に示す。
【表6】
【0080】
表6から明らかなように、乾式造粒物のフレーク形成率の高い製剤処方を用いた、実施例18~22では、固形製剤(チュアブル錠)における、硬度は30N以上(80~192N)、更に摩損度は1.0%以下(0.11~0.32%)と、非常に良好な値を示した。 また、実施例18~22から得られた固形製剤(チュアブル錠)を実際に服用してみると、良好な咀嚼感も得ることができた。
【0081】
(1-3)乾式造粒物の製造(漢方エキス:抑肝散エキス)
以下に示した、乾式造粒機(フロイント社製)は、型式「TF-LABO」[ロール直径:50mm、ロール幅:24mm]を用いた。
実施例23
後掲の表7に示す組成に基づき、抑肝散エキス(日本粉末薬品製)114g、合成ケイ酸アルミニウム26g、粉末還元麦芽糖水アメ77.91g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0082】
実施例24
後掲の表7に示す組成に基づき、抑肝散エキス(日本粉末薬品製)114g、軽質無水ケイ酸26g、粉末還元麦芽糖水アメ77.91g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0083】
実施例25
後掲の表7に示す組成に基づき、抑肝散エキス(日本粉末薬品製)114g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム26g、粉末還元麦芽糖水アメ77.91g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0084】
実施例26
後掲の表7に示す組成に基づき、抑肝散エキス(日本粉末薬品製)114g、合成ケイ酸アルミニウム26g、D-マンニトール77.91g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0085】
実施例27
後掲の表7に示す組成に基づき、抑肝散エキス(日本粉末薬品製)114g、合成ケイ酸アルミニウム26g、乳糖水和物77.91g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0086】
実施例28
後掲の表7に示す組成に基づき、抑肝散エキス(日本粉末薬品製)114g、合成ケイ酸アルミニウム26g、イソマル77.91g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0087】
比較例11
後掲の表8に示す組成に基づき、抑肝散エキス(日本粉末薬品製)114g、合成ケイ酸アルミニウム26g、粉末還元麦芽糖水アメ77.91g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にステアリン酸カルシウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0088】
比較例12
後掲の表8に示す組成に基づき、抑肝散エキス(日本粉末薬品製)114g、合成ケイ酸アルミニウム26g、粉末還元麦芽糖水アメ77.91g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にステアリン酸マグネシウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0089】
(2-3)固形製剤の製造(漢方エキス:抑肝散エキス)
実施例23~28で得た乾式造粒物を用い、本発明におけるチュアブル錠を製造した。
実施例29
後掲の表9に示す組成に基づき、実施例23で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物168.225gにカルメロースカルシウム7.875g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム2.37g及びスクラロース0.765gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.765gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が12mm、その質量が600mgのチュアブル錠を得た。
【0090】
実施例30
後掲の表9に示す組成に基づき、実施例24で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物168.225gにカルメロースカルシウム7.875g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム2.37g及びスクラロース0.765gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.765gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が12mm、その質量が600mgのチュアブル錠を得た。
【0091】
実施例31
後掲の表9に示す組成に基づき、実施例25で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物168.225gにカルメロースカルシウム7.875g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム2.37g及びスクラロース0.765gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.765gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が12mm、その質量が600mgのチュアブル錠を得た。
【0092】
実施例32
後掲の表9に示す組成に基づき、実施例26で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物168.225gにカルメロースカルシウム7.875g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム2.37g及びスクラロース0.765gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.765gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が12mm、その質量が600mgのチュアブル錠を得た。
【0093】
実施例33
後掲の表9に示す組成に基づき、実施例27で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物168.225gにカルメロースカルシウム7.875g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム2.37g及びスクラロース0.765gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.765gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が12mm、その質量が600mgのチュアブル錠を得た。
【0094】
実施例34
後掲の表9に示す組成に基づき、実施例28で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物168.225gにカルメロースカルシウム7.875g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム2.37g及びスクラロース0.765gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.765gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が12mm、その質量が600mgのチュアブル錠を得た。
【0095】
(3-3)物性評価
乾式造粒物
<フレーク形成率>
乾式造粒物を2分間採取した後、その全量を12メッシュの篩(目開き:1.41mm)にかけて、その篩上に残留する成形体(フレーク)の質量百分率(%)を算出することによりフレーク形成率測定試験を行った。
固形製剤
<硬度>
錠剤硬度計(岡田精工製)を用い、試験数は10錠とし、その硬度の平均値を算出することにより硬度測定試験を行った。
<摩損度>
日本薬局方参考情報の「錠剤の摩損度試験法」に従って、摩損度試験器(富山産業製)を用いて、錠剤20錠を、1分間25回転で4分間回転し、その摩損度を算出することにより摩損度測定試験を行った。
【0096】
(4-3)物性評価の試験結果
乾式造粒物
実施例23~28、及び比較例11~12の乾式造粒物の組成、並びにフレーク形成率の試験結果を下記の表7及び8に示す。
【0097】
【0098】
【0099】
表7及び8から明らかなように、実施例23~28では、乾式造粒物のフレーク形成率は、88~91%と高く、8割以上を示した。また、比較例11~12では、流動性が悪く、更に付着性が強いために、フレークの形成が困難[フレーク形成不可]であった。
【0100】
固形製剤
実施例29~34の固形製剤(チュアブル錠)の組成、並びに硬度と摩損度の試験結果を下記の表9に示す。
【表9】
【0101】
表9から明らかなように、乾式造粒物のフレーク形成率の高い製剤処方を用いた、実施例29~34では、固形製剤(チュアブル錠)における、硬度は30N以上(44~142N)、更に摩損度は1.0%以下(-0.09~0.77%)と、非常に良好な値を示した。また、実施例29~34から得られた固形製剤(チュアブル錠)を実際に服用してみると、良好な咀嚼感も得ることができた。
【0102】
(1-4)乾式造粒物の製造(漢方エキス:芍薬甘草湯エキス、補中益気湯エキス、及び当帰芍薬散エキス)
以下に示した、乾式造粒機(フロイント社製)は、型式「TF-LABO」[ロール直径:50mm、ロール幅:24mm]を用いた。
実施例35
後掲の表10に示す組成に基づき、芍薬甘草湯エキス(アルプス薬品工業製)80g、合成ケイ酸アルミニウム34.5g、粉末還元麦芽糖水アメ103.41g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0103】
実施例36
後掲の表10に示す組成に基づき、芍薬甘草湯エキス(アルプス薬品工業製)80g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム34.5g、粉末還元麦芽糖水アメ103.41g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0104】
実施例37
後掲の表10に示す組成に基づき、芍薬甘草湯エキス(アルプス薬品工業製)80g、軽質無水ケイ酸34.5g、粉末還元麦芽糖水アメ103.41g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0105】
実施例38
後掲の表10に示す組成に基づき、補中益気湯エキス(日本粉末薬品製)166.8g、合成ケイ酸アルミニウム12.9g、粉末還元麦芽糖水アメ38.21g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0106】
実施例39
後掲の表10に示す組成に基づき、補中益気湯エキス(日本粉末薬品製)166.8g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム12.9g、粉末還元麦芽糖水アメ38.21g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0107】
実施例40
後掲の表10に示す組成に基づき、補中益気湯エキス(日本粉末薬品製)166.8g、軽質無水ケイ酸12.9g、粉末還元麦芽糖水アメ38.21g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0108】
実施例41
後掲の表10に示す組成に基づき、当帰芍薬散エキス(アルプス薬品工業製)150g、合成ケイ酸アルミニウム17g、粉末還元麦芽糖水アメ50.91g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0109】
実施例42
後掲の表10に示す組成に基づき、当帰芍薬散エキス(アルプス薬品工業製)150g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム17g、粉末還元麦芽糖水アメ50.91g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0110】
実施例43
後掲の表10に示す組成に基づき、当帰芍薬散エキス(アルプス薬品工業製)150g、軽質無水ケイ酸17g、粉末還元麦芽糖水アメ50.91g及びタウマチン0.09gを混合した後、更にフマル酸ステアリルナトリウム6.3gを加えて混合し、乾式造粒機(ロール圧縮圧:5MPa、ロール回転速度:2rpm、フィードスクリュー回転速度:40rpm)(フロイント社製)で、成形体(フレーク)を含む乾式造粒物を得た。
【0111】
(2-4)固形製剤の製造(漢方エキス:芍薬甘草湯エキス、補中益気湯エキス、及び当帰芍薬散エキス)
実施例35~43で得た乾式造粒物を用い、本発明におけるチュアブル錠を製造した。
実施例44
後掲の表11に示す組成に基づき、実施例35で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物168.225gにカルメロースカルシウム7.875g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム2.37g及びスクラロース0.765gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.765gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が12mm、その質量が600mgのチュアブル錠を得た。
【0112】
実施例45
後掲の表11に示す組成に基づき、実施例36で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物168.225gにカルメロースカルシウム7.875g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム2.37g及びスクラロース0.765gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.765gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が12mm、その質量が600mgのチュアブル錠を得た。
【0113】
実施例46
後掲の表11に示す組成に基づき、実施例37で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物168.225gにカルメロースカルシウム7.875g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム2.37g及びスクラロース0.765gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.765gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が12mm、その質量が600mgのチュアブル錠を得た。
【0114】
実施例47
後掲の表11に示す組成に基づき、実施例38で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物168.225gにカルメロースカルシウム7.875g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム2.37g及びスクラロース0.765gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.765gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が12mm、その質量が600mgのチュアブル錠を得た。
【0115】
実施例48
後掲の表11に示す組成に基づき、実施例39で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物168.225gにカルメロースカルシウム7.875g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム2.37g及びスクラロース0.765gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.765gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が12mm、その質量が600mgのチュアブル錠を得た。
【0116】
実施例49
後掲の表11に示す組成に基づき、実施例40で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物168.225gにカルメロースカルシウム7.875g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム2.37g及びスクラロース0.765gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.765gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が12mm、その質量が600mgのチュアブル錠を得た。
【0117】
実施例50
後掲の表11に示す組成に基づき、実施例41で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物168.225gにカルメロースカルシウム7.875g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム2.37g及びスクラロース0.765gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.765gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が12mm、その質量が600mgのチュアブル錠を得た。
【0118】
実施例51
後掲の表11に示す組成に基づき、実施例42で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物168.225gにカルメロースカルシウム7.875g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム2.37g及びスクラロース0.765gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.765gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が12mm、その質量が600mgのチュアブル錠を得た。
【0119】
実施例52
後掲の表11に示す組成に基づき、実施例43で得た乾式造粒物を、オシレーター式整粒機(スクリーンサイズ:0.8mm)(フロイント社製)で整粒した後、その整粒物168.225gにカルメロースカルシウム7.875g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム2.37g及びスクラロース0.765gを加えて混合し、更にステアリン酸マグネシウム0.765gを加えて混合し、ロータリー式打錠機(打錠圧:10kN)(菊水製作所製)で打錠を行い、1錠の直径が12mm、その質量が600mgのチュアブル錠を得た。
【0120】
(3-4)物性評価
乾式造粒物
<フレーク形成率>
乾式造粒物を2分間採取した後、その全量を12メッシュの篩(目開き:1.41mm)にかけて、その篩上に残留する成形体(フレーク)の質量百分率(%)を算出することによりフレーク形成率測定試験を行った。
固形製剤
<硬度>
錠剤硬度計(岡田精工製)を用い、試験数は10錠とし、その硬度の平均値を算出することにより硬度測定試験を行った。
<摩損度>
日本薬局方参考情報の「錠剤の摩損度試験法」に従って、摩損度試験器(富山産業製)を用いて、錠剤20錠を、1分間25回転で4分間回転し、その摩損度を算出することにより摩損度測定試験を行った。
【0121】
(4-4)物性評価の試験結果
乾式造粒物
実施例35~43の乾式造粒物の組成、並びにフレーク形成率の試験結果を下記の表10に示す。
【0122】
【0123】
表10から明らかなように、実施例35~40では、乾式造粒物のフレーク形成率は、80%~91%と高く、8割以上を示した。
【0124】
固形製剤
実施例44~52の固形製剤(チュアブル錠)の組成、並びに硬度と摩損度の試験結果を下記の表11に示す。
【表11】
【0125】
表11から明らかなように、乾式造粒物のフレーク形成率の高い製剤処方を用いた、実施例44~52では、固形製剤(チュアブル錠)における、硬度は30N以上(37~122N)、更に摩損度は1.0%以下(-0.14~0.49%)と、非常に良好な値を示した。また、実施例44~52から得られた固形製剤(チュアブル錠)を実際に服用してみると、良好な咀嚼感も得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明による、乾式造粒法を用いた、乾式造粒物、並びにそれを核とする固形製剤の製造方法は、吸湿性薬物、具体的には生薬エキス及び/又は漢方エキスを配合したチュアブル錠、更には口腔内崩壊錠の工業的な大規模生産を可能とする。また、本技術を用いることで、医薬品のみならず、食品にも利用可能である。