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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】噴射ユニット、および、噴射容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/22 20060101AFI20221216BHJP
   B65D 83/20 20060101ALI20221216BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
B65D83/22
B65D83/20
B05B9/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018156575
(22)【出願日】2018-08-23
(65)【公開番号】P2020029297
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000144463
【氏名又は名称】株式会社三谷バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】弁理士法人山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 直斗
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-237679(JP,A)
【文献】実開昭57-120459(JP,U)
【文献】特開2013-247899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/20-83/22
B05B 9/04
A01M 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体の上部のバルブに取り付けられ、前記バルブのステムを操作して前記容器体の内容物を噴射させる噴射ユニットであって、
前記ステムに装着される内筒部を備え、ユーザの操作により下降することにより前記ステムを下降させて前記内容物を噴出させる噴射操作部と、
噴射ロック部とを有し、
前記噴射ロック部は、
前記噴射操作部の内筒部の下端と前記バルブとの間に挿入されて前記噴射操作部の下降を妨げてロック状態にする第1の爪部と、
前記第1の爪部に対して所定の角度を成すように連結された第2の爪部と、
前記第1および第2の爪部をその連結部において回転可能に支持する回転軸と、
ユーザの操作により、前記第1の爪部を前記回転軸を中心に回動させることにより、前記噴射操作部の内筒部の下端と前記バルブとの間から外してロック状態を解除する操作ツマミと
前記第1の爪部を、前記噴射操作部の内筒部の下端と前記バルブとの間に挿入する方向に付勢する弾性体と
を備え、
前記第1および前記第2の爪部は、その間に、前記ステムが位置するように配置され、前記第2の爪部は、上面に傾斜面を備え、
前記操作ツマミがユーザに操作されると、前記第1の爪部が前記噴射操作部の内筒部の下端と前記バルブとの間から外れてロック状態が解除され、それに伴い前記第2の爪部が、前記噴射操作部の内筒部の下端と前記バルブとの間に挿入され、この状態で、前記噴射操作部がユーザにより押し下げられると、前記第2の爪部の前記傾斜面が前記噴射操作部の内筒部の下端により下方に押されることにより、前記第2の爪部は、前記噴射操作部の内筒部の下端と前記バルブと間から遠ざかる方向へ回動し、前記噴射操作部がさらに下降して前記内容物が噴出され、前記噴射操作部からユーザが手を離すと前記ステムが上昇するのにともなって前記噴射操作部が上昇し、前記第2の爪部の前記遠ざかる方向への回動の作用によって、前記第1の爪部が、上昇後の前記噴射操作部の内筒部の下端と前記バルブとの間に挿入されて再びロック状態になることを特徴とする噴射ユニット。
【請求項2】
請求項に記載の噴射ユニットであって、
前記バルブの外周に嵌合する外筒をさらに備え、
前記回転軸は、前記外筒に固定され、前記操作ツマミは、前記外筒の外周よりも外側に突出するように配置されていることを特徴とする噴射ユニット。
【請求項3】
請求項に記載の噴射ユニットであって、
前記第1の爪部を付勢する前記弾性体は、板バネであり、前記第1の爪部と前記外筒の内壁との間に配置され、一端が前記第1の爪部の前記回転軸に支持されている部分に接続され、他端は、ロック状態では、前記外筒の内壁に接触しないが、ロック解除状態では、前記外筒の内壁に押し付けられる位置に配置されている
ことを特徴とする噴射ユニット。
【請求項4】
前記操作ツマミには、凹部が設けられ、前記外筒の外周面には、凸部が設けられ、
前記操作ツマミの前記凹部が、前記外筒の前記凸部に係合することで、前記第2の爪部が前記噴射操作部の下部に位置するロック解除状態が維持されることを特徴とする請求項に記載の噴射ユニット。
【請求項5】
前記第1の爪部の先端は、先端が折れ曲がった形状であることを特徴とする請求項1に記載の噴射ユニット。
【請求項6】
上部にバルブを備えた容器体と、前記バルブに取り付けられ、前記バルブのステムを操作して前記容器体の内容物を噴射させる噴射ユニットとを有する噴射容器であって、
前記噴射ユニットは、請求項1ないしのいずれか1項に記載の噴射ユニットであることを特徴とする噴射容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器に収容された内容物の噴射を規制する噴射ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエアゾール式の噴射容器は、内容物を収容する容器体と、容器体の上部のバルブとを備え、バルブ中央に、下方移動可能で容器体内の空間と外部空間とを連通するステムを有する。ステムには、内容物を噴射させるためにユーザが操作する噴射操作部が装着される。噴射操作部には、ステムの孔に連通する噴射口が設けられている。ユーザが噴射操作部を操作すると、ステムが下降または傾き、容器内の内容物が噴射口から噴射される。
【0003】
このようなエアゾール式の噴射容器では、鞄の中に噴射容器が入れられている場合など、噴射操作部に何かが触れて噴射操作部が操作されると、内容物が誤噴射される可能性がある。これを防ぐために、噴射操作部の作動を規制する噴射ユニットが提案されている。
【0004】
例えば特許文献1には、ユーザがノズルを有する噴射操作部(押し下げヘッド)を、エアゾール胴部に取り付けられている外筒に対して回転させることにより、ノズルが、外筒に設けられた溝内に嵌合し、押し下げヘッドが押下げ不能となる噴射ユニットが開示されている。
【0005】
また特許文献2には、ユーザが押下げヘッドまたはストッパ部材を回転させると、ノズル付きの押下げヘッドが押下げ可能な状態から、押下げ不能な状態になる噴射ユニットが開示されている。具体的には、押し下げヘッドまたはストッパ部材の回転に伴い、押下げヘッドから後方に突設された係合板の下面に、ストッパ部材の起立板の上面が挿入されて係合し、押下げヘッドが押下げ不能な状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3936144号公報
【文献】特許第3805526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2に開示される従来の噴射ユニットは、ユーザの操作によりロック状態とロック解除状態とに変位可能な構成であるため、ユーザが噴射容器をロックし忘れた場合には、内容物が誤噴射される可能性がある。一方、子どもがいたずらに内容物を連続噴射させるのを防止したいという要望もあるが、従来の噴射ユニットでは、噴射容器のロックが解除された状態では、内容物の連続噴射が可能である。
【0008】
本発明の目的は、ユーザが内容物を噴射させる噴射操作部の操作を1回行う毎に、自動的に噴射操作部の操作を規制するロックがかかる噴射ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の噴射ユニットは、容器体の上部のバルブに取り付けられ、バルブのステムを操作して容器体の内容物を噴射させる噴射ユニットであって、ステムに装着され、ユーザの操作により下降する噴射操作部と、噴射操作部の下降を規制する噴射ロック部とを備える。噴射ロック部は、噴射操作部が下降する動作によって、噴射操作部の次回の下降を規制するロック状態の配置に変位する構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザが内容物を噴射させる噴射操作部の操作を1回行う毎に、自動的に噴射操作部の操作を規制するロックをかけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の噴射ユニット10の動作例を示す(a)~(c)平面図、(d)図1(a)のA-A断面図、(e)図1(b)のB-B断面図、(f)図1(c)のC-C断面図。
図2】内容物噴射容器20の構成例を示す(a)斜視図、(b)図2(a)のD-D断面図、(c)図2(b)のE-E断面図。
図3】噴射ロック部40の斜視図。
図4】噴射ユニット10の動作例を示す(a)斜視図、(b)図4(a)のF-F断面図、(c)B-B断面図。
図5】噴射ユニット10の動作例を示す(a)斜視図、(b)図5(a)のG-G断面図、(c)C-C断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態の噴射ユニットについて説明する。
【0013】
まず、図1(a)~(f)を参照して、噴射ユニット10の主な構成について説明する。
【0014】
図1(d)に示すように、噴射ユニット10は、内容物を収納する容器体21の上部に備えられたバルブ22に取り付けられる。ユーザは、噴射ユニット10を操作することにより、噴射ユニット10を介してバルブ22のステム23を押下または傾斜させ、容器体21の内容物を噴射ユニット10から所定の方向に噴射させることができる。なお、以下の説明において、上下方向は、容器体21の底部を下側、バルブ22が取り付けられている側を上側という。
【0015】
本実施形態の噴射ユニット10の構造について説明する。図1(a)~(f)に示すように、噴射ユニット10は、噴射操作部30と噴射ロック部40とを少なくとも備えている。噴射操作部30はステム23に装着され、ユーザの操作により下降し、図1(b)、(e)の状態から図1(c)、(f)の状態に変化する。噴射操作部30の下降に伴って、ステム23も下降および/または傾斜し、容器21の内容物は、ステム23の内部を通って噴出される。このとき、噴射ロック部40は、噴射操作部30の下降する動作によって、噴射操作部30の次回の下降を規制する配置に変化する(図1(a)、(d))。すなわち、一旦ユーザが、噴射操作部30を下降させると、噴射ロック部40の配置が変化し、噴射ロック部40によって噴射操作部30の次回の下降が制限され、ステム23から内容物を噴射させることのできない噴射ロック状態となる。
【0016】
このように、本実施形態の噴射ユニット10は、ユーザが噴射操作部30を操作して容器体21の内容物を1回噴射させる毎に、自動的に噴射ロック状態にすることできる。よって、ユーザは、別途ロックのための操作をすることなく、内容物の誤噴射を防止できる。また、噴射1回ごとにロック状態となるため、子どもがいたずらして連続噴射する操作もできなくなる。
【0017】
噴射ロック部40の構造としては、例えば、図1(a)~(c)に示したように、第1の爪部41と、第1の爪部41を変位させる機構部(後述する第2の爪部42、弾性体50など)とを含む構造にすることができる。図1(d)~(f)に示したように、機構部は、噴射操作部が下降する動作を受けて、第1の爪部41を噴射操作部30とその下のバルブ22のマウンテンカップ22bとの間の空間に挿入し、ロック状態にする。これにより、ユーザが噴射操作部30を次回下降させようとしても、第1の爪部41が噴射操作部30とマウンテンカップ22bとの間に挟まれるため、噴射操作部30の下降が阻止され、ロックを実現できる。
【0018】
機構部は、例えば図1(a)~(f)に示したように、第1の爪部41に対して所定の角度を成すように第1の爪部41に連結された第2の爪部42と、第1の爪部41と第2の爪部42とを両者の連結部において回転可能に支持する回転軸43と、第1の爪部41を噴射操作部30とマウンテンカップ22bとの間に挿入する方向に付勢する弾性体50とを含む構成とする。なお、ここでは回転軸43を用いているが、第1の爪部41と第2の爪部42とを移動させることができる構造であれば回転軸以外の構造を採用することも可能である。
【0019】
ステム23は、所定の角度で連結された第1の爪部41と第2の爪部42との間に位置するように配置されている。また、第2の爪部42の上面のステム23寄りの領域は、傾斜面42bになっている。傾斜面42bは、ステム23に近い側が最も低く、ステム23から離れるにつれ高くなるように傾斜している。これにより、ステム23の上部に装着された噴射操作部30が降下すると、噴射操作部30の下端30bが傾斜面42bに接触し(図1(e))、噴射操作部30がさらに下降すると、傾斜面42bは噴射操作部30からステム23から遠ざける方向に押す力を受ける。これにより、図1(b)、(e)に矢印Y3で示したように、傾斜面42bを備える第2の爪部42は、ステム23から離れる方向に回動する。
【0020】
第2の爪部42がステム23から離れる方向に回動するにつれ、第2の爪部42に連結されている第1の爪部41は、ステム23に近づく方向に回動し、噴射操作部30とその下のマウンテンカップ22bとの間に挿入され、ロック状態となる。このとき、弾性体50は、第1の爪部41をステム23に近づける方向に付勢する力を加えているため、第1の爪部41の回動を加速することができる。
【0021】
また、回転軸43には、ユーザが操作するための操作ツマミ44が取り付けられている。ユーザは、操作ツマミ44を手動で操作して回転軸43を回転させ、第1の爪部41が、噴射操作部30の下部から離れ、第2の爪部42が噴射操作部30の下部に挿入された状態に回動させることができる。これにより、ユーザは、ロック状態(図1(a)、(d))からロック解除状態(図1(b)、(e))に変化させることができる。
【0022】
(噴射ユニット10の詳細な構成例)
以下、本実施形態の噴射ユニット10の詳細な構成について図2図3を参照して説明する。なお、図2(a)では、噴射操作部30と噴射ロック部40の位置関係を説明するために、一部の部材を省略して図示している。
【0023】
噴射ユニット10は、上述した噴射操作部30と噴射ロック部40の他に、バルブのマウンテンカップの外周に嵌合する外筒60を備えて構成される。
【0024】
図2(a)~(c)に示すように、噴射操作部30は、上面31aがユーザによって押下される外筒部33と、その内側に配置された内筒部32とを備えた構造である。内筒部32の内径は、ステム23の外径と一致したサイズに設計されており、内筒部32にはステム23の上端が挿入されて装着される。内筒部32の内部空間37は、ステム23から噴出される内容物の流路となる。外筒部33は、側面に噴出孔35を備え、内部には噴出孔35と内筒部32の内部空間37とを連結するため、径方向に沿った流路36が備えられている。
【0025】
内筒部32は、外筒部33よりも下端が下方に位置しているため、内筒部32の下端が、第2の爪部42を押下する下端30bとなっている。
【0026】
外筒部33の外周面の噴射口35側の下端は、外筒60に樹脂製板バネ34を介して連結され、外筒60によって支持されている。これにより、噴射操作部30は、ユーザにより押下された場合、板バネ34と外筒60との連結部を支点(中心)として回動するため、傾斜しながら下降してステム23を傾斜および下降させる。ユーザが噴射操作部30から押下する手を離すと、板バネ34のばね力により、噴射操作部30は上昇し、元の位置に戻る。このように、板バネ34を配置したことにより、バルブ22内のステム23を押し上げるスプリング25の負荷を軽減できる。
【0027】
図2(a)、図3に示すように、回転ロック部40の操作ツマミ44は、外筒60の外周よりも外側に突出するように設けられており、操作ツマミ44の先端は、ユーザが把持して操作しやすい形状をしている。また、操作ツマミ44の先端には、外筒60の外周面に係合するための凹部45が設けられている。一方、外筒60の外周面には、操作ツマミ44の凹部45と係合する形状を有する凸部46が設けられている。ユーザが、噴射操作部30を押下する前に、操作ツマミ44を操作して噴射ロック部40をロックを解除する方向に移動させると、操作ツマミ44の凹部45が外筒60bの凸部46と係合し、ロック解除状態(図4(a),(b))をユーザが噴射操作部30を押下するまで維持する。
【0028】
噴射ロック部40の第1および第2の爪部41、42の形状は、上述した通りであるが、さらに詳細を説明すると、図1および図2に示したように、第1および第2の爪部41、42の高さは、噴射操作部30が押下されていない状態(最上部に位置している状態)の噴射操作部30の下端30bとマウンテンカップ22bとの間の距離とほぼ等しい。また、第1の爪部41の先端は、爪部41が噴射操作部30の下端30bとバルブ22の上面に挟まれる面積が大きくなるように、爪部42側に折れ曲がった形状をしている。
【0029】
噴射ロック部40の弾性体50は、その先端が第1の爪部41の外側に張り出すように基部が回転軸43に固定された樹脂製の板バネである。弾性体50の先端は、図1(a)のように噴射ロック部40がロック状態の配置では、外筒60の内壁に接触しないが、図1(b)のようにロック解除状態の配置になると、外筒の内壁に押し付けられるように、その位置が設計されている。よって、ロック解除状態では、弾性体50は縮んだ状態であり、ユーザが噴射操作部30を押下すると、第2の爪部42が噴射操作部30により押下されて、第2の爪部42および第1の爪部41がロック状態に戻る方向に回動し、弾性体50は縮んだ状態から開放されることにより、その回動を付勢する。
【0030】
噴射操作部30、噴射ロック部40、外筒60の材質としては、ポリプロピレン、高度ポリエチレン、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレートなどの樹脂を使用することができる。
【0031】
なお、弾性体50は、基部が外筒60側に固定され、先端がロック解除状態の第1の爪部41に接触するように配置されていてもよい。また、弾性体50は板バネに限らず、コイルばねを用いることも可能であり、その場合、弾性体50を回転軸43の内部に配置してもよい。
【0032】
なお、噴射操作部30は、板バネ34を介して外筒60に連結されている構造に限られず、板バネ34を省略した構造でもよい。また例えば、噴射操作部30は、ステム23に装着される部材と、この部材を押下するためのレバーから構成され、ユーザがレバーを押下するとステム23が下降する構成であってもよい。さらに、噴射操作部30は、ステム23に装着される部材と、この部材を押下するためのトリガーから構成され、ユーザがトリガーを引くことでステム23が下降する構成であってもよい。さらに、噴射口35の位置は噴射操作部30の側面に限らず、上面などに設けられていてもよい。
【0033】
なお、噴射ユニット10にチャイルドロック機能を持たせるために、強い力で噴射操作部30を押さないと凸部46と操作ツマミ44との係合を解除できないようにしたり、弾性体50の弾性力を強くして操作ツマミ44を強い力で操作しないと凸部46側に回転できないようにしたりしてもよい。
【0034】
また、噴射ユニット10は、操作ツマミ44が凸部46に係合する度や、その係合が解除される度などに、その回数をカウントするカウンタを有し、内容物の噴射回数をユーザに示してもよい。特に内容物を定量噴射するバルブに噴射ユニット10が装着される場合、噴射回数を数えるカウンタが設けられていることにより、内容物の噴射量をユーザに提示して、最適な量の内容物を供給することができる。
【0035】
なお噴射容器20には、噴射ユニット10を覆うキャップが着脱可能に設けられてもよい。
【0036】
(噴射ユニット10の動作)
以下、本実施形態の噴射ユニット10の動作の詳細を説明する。なお、図4(a)、5(a)では、図2(a)と同様に、噴射操作部30と噴射ロック部40の位置関係を説明するために、一部の部材を省略して図示している。
【0037】
図1(a)、(d)および図2(a)~(c)に示す噴射ロック状態では、噴射操作部30とステム23は、押下されておらず、噴射ロック部40の第1の爪部41は、噴射操作部30とマウンテンカップ22bとの間で挟まれる位置に挿入されている。よって、ユーザが噴射操作部30を押下しても、第1の爪部41が噴射操作部30の下降を阻み、ステム23を押下できるほどには下降できない。このとき、第2の爪部42はステム23から最も離れた状態となっている。また、操作ツマミ44の凹部45は、凸部46から最も離れた位置にある。
【0038】
このような噴射ロック状態から、ユーザが操作ツマミ44を把持して、図1(b)、(e)、図4(a)~(c)に示すように、回転軸43を中心に凸部46側(矢印Y1)に回転させると、第1の爪部41は、その先端がステム23から遠ざかる方向に回転移動することにより、噴射操作部30の下部から外れ、ロック解除状態となる。操作ツマミ44の凹部45は、凸部46に係合する。また、操作ツマミ44の凸部46側への回転移動により、第2の爪部42は、その先端がステム23に近づく方向に回転移動し、噴射操作部30とマウンテンカップ22bとの間に挿入される。また、弾性体50は、先端が、外筒60の内壁に押し付けられ、撓んだ状態となっている。
【0039】
この状態から、図1(b)、(e)および図4(c)に示すように、ユーザが噴射操作部30を押下すると(矢印Y2)、噴射操作部30の下端30bが爪部42の傾斜面42bの上部と接し、傾斜面42bに沿いながら下降する。これにより、図5(a)~(c)に示すように、ステム23が傾斜および下降し、容器体21の内容物が噴出孔35から噴出される。このとき、第2の爪部42は、下降する噴射操作部30の下端30bによって、図1(c)のように押し退けられ、ステム23から離れる方向(矢印Y3、4)に回転移動するとともに、操作ツマミ44の凹部45と凸部46との係合が解除される。第2の爪部42の回転移動に伴い、連結されている第1の爪部41は、再びロック状態に戻る方向に回転移動し始める。
【0040】
内容物が噴射された後、ユーザが噴射操作部30から手を離すと、板バネ34およびバルブ内のスプリング25のばね力により(図2(c))、噴射操作部30とステム23が上昇して復帰する。弾性体50は、第1の爪部41をステム23に近づく方向に押圧しているため(図5(b)の矢印D1)、第1の爪部41はステム23側に押し戻され、再び、噴射操作部30とマウンテンカップ22bとの間に挿入される。これにより、噴射操作部30の下降を規制する噴射ロック状態に戻る。
【0041】
このように、噴射ユニット10は、ユーザが噴射操作部30を手で押して内容物を噴出させ、手を離すという操作を1回行う毎に噴射ロックが自動的にかかる構造である。そのため、噴射容器の保管時にユーザがロックをかけ忘れても、内容物の誤噴射を防ぐことができる。また、噴射ユニット10は、噴射ロックが解除された状態で内容物を連続噴射できない構造のため、子供がいたずらに内容物を連続噴射させるのを防ぐことができる。
【0042】
(噴射容器20の全体構成)
噴射ユニット10は、サイズや種類によらず、種々のバルブに取り付け可能である。ここで、噴射ユニット10が備えられた噴射容器20の全体構成について図2(c)を参照して補足する。
【0043】
容器体21は、中心軸を中心とした回転体である。容器体21に収納される内容物には、用途に応じた薬剤成分、溶剤、その他の添加物を必要に応じて適宜混合した液剤を含む。また内容物には、液剤に加えて、液剤を噴射させるための噴射剤として、液化ガスや液剤に可溶な圧縮ガスを含む。
【0044】
バルブ22は、容器体21の上部開口を覆うマウンテンカップ22bを備え、マウンテンカップ22bの中央(容器体21の中心軸上)に、ステム23が設けられている。ステム23は、上部の一部がバルブ22より外側に位置し、残部が容器体21内に位置しており、スプリング25により上方に付勢されている。
【0045】
噴射容器20を構成する各部品は、内容物によって侵されない材料であれば、特に断らない限り、一般的な容器に用いられるプラスチック、ゴム、金属、セラミックス等の材料から用途に合わせて任意の材料を選択して用いることができる。
【符号の説明】
【0046】
10…噴射ユニット、20…噴射容器、21…容器体、22…バルブ、22b…マウンテンカップ、23…ステム、30…噴射操作部、31…押しボタン、35…噴出口、40…噴射ロック部、41…第1の爪部、42…第2の爪部、43…回転軸、50…弾性体
図1
図2
図3
図4
図5