(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】ガスコンロ用制御装置、及びガスコンロシステム
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20221216BHJP
【FI】
F24C3/12 G
F24C3/12 L
(21)【出願番号】P 2018167832
(22)【出願日】2018-09-07
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】光藤 公一
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-163537(JP,A)
【文献】特開2005-009786(JP,A)
【文献】特開2003-339195(JP,A)
【文献】特開2017-117371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスバーナを有するガスコンロにおいて物理量の計測を制御するガスコンロ用制御装置であって、
音声指示を検出する音声指示検出部と、
前記音声指示検出部で検出された音声指示が予め定められた特定指示である場合に、前記ガスコンロ内の所定部位に強制動作を行わせる制御部と、
前記制御部によって前記強制動作がなされた場合に、前記強制動作に応じて所定種類の物理量が変化し得る計測対象領域において、前記所定種類の物理量を検出する物理量検出部と、
少なくとも前記強制動作が開始された後の前記物理量検出部の検出結果に基づく情報を報知する報知部と、
を備え
、
前記制御部は、点火中のガスバーナ近傍での温度検出を要求する温度要求指示を前記特定指示とし、前記温度要求指示が前記音声指示検出部で検出された場合において前記点火中のガスバーナの火力が所定の抑制状態よりも大きい火力である場合に、前記点火中のガスバーナの火力が前記所定の抑制状態となるように前記点火中のガスバーナに前記強制動作を行わせ、
前記物理量検出部は、前記温度要求指示が前記音声指示検出部で検出されることに応じて前記制御部によって前記点火中のガスバーナに対して前記強制動作が行われた場合に、前記強制動作がなされているときの前記点火中のガスバーナ近傍の調理容器の底部を前記計測対象領域として温度を検出する構成であり、
前記報知部は、前記強制動作を行う前に前記物理量検出部によって検出される前記計測対象領域の温度と前記強制動作中に前記物理量検出部によって検出された前記計測対象領域の温度に基づく情報を報知する
ガスコンロ用制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記点火中のガスバーナの火力を最小火力とするように前記点火中のガスバーナに前記強制動作を行わせる
請求項
1に記載のガスコンロ用制御装置。
【請求項3】
ガスバーナを有するガスコンロにおいて物理量の計測を制御するガスコンロ用制御装置であって、
音声指示を検出する音声指示検出部と、
前記音声指示検出部で検出された音声指示が予め定められた特定指示である場合に、前記ガスコンロ内の所定部位に強制動作を行わせる制御部と、
前記制御部によって前記強制動作がなされた場合に、前記強制動作に応じて所定種類の物理量が変化し得る計測対象領域において、前記所定種類の物理量を検出する物理量検出部と、
少なくとも前記強制動作が開始された後の前記物理量検出部の検出結果に基づく情報を報知する報知部と、
を備え、
前記ガスコンロは電池を備え、
前記制御部は、前記音声指示検出部で検出された音声指示が前記特定指示である場合に、前記ガスコンロ内に設けられた特定負荷を強制的に駆動するように前記強制動作を行い、
前記物理量検出部は、前記特定負荷の強制的な駆動の開始前後の前記電池の出力電圧をそれぞれ検出し、
更に、前記物理量検出部によって検出された前記開始前後の前記電池の出力電圧に基づいて前記電池の内部抵抗値を検出する内部抵抗値検出部を備え、
前記報知部は、前記内部抵抗値検出部によって検出された前記電池の内部抵抗値に基づく情報を報知する
ガスコンロ用制御装置。
【請求項4】
前記報知部は、前記強制動作前又は前記強制動作中に、前記強制動作が行われること又は前記強制動作が行われていることの報知を行う
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載のガスコンロ用制御装置。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載のガスコンロ用制御装置と、
前記ガスコンロと、
前記ガスコンロと無線通信を行う情報処理端末と、
含むガスコンロシステムであって、
前記音声指示検出部が、前記情報処理端末に設けられ、
前記制御部及び前記物理量検出部が、前記ガスコンロに設けられ、
前記報知部が、前記情報処理端末又は前記ガスコンロの少なくともいずれかに設けられている
ガスコンロシステム。
【請求項6】
前記情報処理端末は、
表示装置と、
前記音声指示検出部で検出された音声指示が機器情報を要求する所定の要求指示である場合に、前記機器情報を報知可能な複数の対象部分のリストを前記表示装置に表示する表示制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記表示装置に前記リストが表示された後に前記音声指示検出部で検出された音声指示が、前記リストのうちのいずれかの前記対象部分を指定して物理量の検出を要求する前記特定指示である場合に、前記特定指示で指定された前記対象部分に対応した前記計測対象領域での前記所定種類の物理量に影響を与える前記所定部位に前記強制動作を行わせる
請求項
5に記載のガスコンロシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスコンロ用制御装置、及びガスコンロシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から提供されているガスコンロは、様々なセンサによって電圧や温度などの物理量を検出し得る構成となっている。具体的には、特許文献1で開示されるガスコンロのように、サーミスタや熱電対などによってガスバーナ近傍の温度を検出し得る構成となっているものが多く、電池電圧などを検出し得る構成のものも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、物理量(電圧や温度など)をセンサによって検出するように構成されたガスコンロでは、検出した物理量をガスコンロでなされる各種制御に利用することが多い。例えば、特許文献1の技術では、温度検出器で検出する温度を沸騰状態の判定や電磁弁の制御に用いている。
【0005】
しかし、場合によっては、ガスコンロで検出した物理量やその物理量を反映して生成された情報を、外部に報知することが望まれる場合も想定される。このような場面では、何らかの方法で物理量を検出し、検出結果に基づく情報を何らかの方法で外部に報知することが望ましいが、そのときの動作環境が物理量の検出に適さない場面や、何らかの特定動作を行っているときの物理量を把握したい場面などでは、物理量を検出するときの環境を変化させることが望まれる。
【0006】
本発明は上述した課題の少なくとも一つを解決するためになされたものであり、ユーザから要求があった場合に、特定の動作環境に強制的に切り替えた上で物理量を検出することができ、その検出結果に基づく情報を報知することができる構成を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様は、ガスバーナを有するガスコンロにおいて物理量の計測を制御するガスコンロ用制御装置であって、
音声指示を検出する音声指示検出部と、
前記音声指示検出部で検出された音声指示が予め定められた特定指示である場合に、前記ガスコンロ内の所定部位に強制動作を行わせる制御部と、
前記制御部によって前記強制動作がなされた場合に、前記強制動作に応じて所定種類の物理量が変化し得る計測対象領域において、前記所定種類の物理量を検出する物理量検出部と、
少なくとも前記強制動作が開始された後の前記物理量検出部の検出結果に基づく情報を報知する報知部と、
を備える。
【0008】
本発明の第2態様は、上記ガスコンロ用制御装置と、
前記ガスコンロと、
前記ガスコンロと無線通信を行う情報処理端末と、
含むガスコンロシステムであって、
前記音声指示検出部が、前記情報処理端末に設けられ、
前記制御部及び前記物理量検出部が、前記ガスコンロに設けられ、
前記報知部が、前記情報処理端末又は前記ガスコンロの少なくともいずれかに設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、音声によって特定指示が与えられた場合に、その特定指示を音声指示検出部によって検出し、ガスコンロ内の所定部位に強制動作を行わせることができる。そして、このような強制動作がなされる場合には、強制動作に応じて所定種類の物理量が変化し得る計測対象領域において所定種類の物理量を検出し、その検出結果に基づく情報を外部に報知することができる。
つまり、ユーザは、ガスコンロ用制御装置に対して音声で特定指示を与えることで、所定部位に強制動作を行わせるようにガスコンロを動作させることができる。そして、その強制動作によって影響を受け得る領域(計測対象領域)の物理量を検出させた上で、その検出結果に基づく情報を外部に報知させるようにガスコンロ用制御装置を動作させることができる。
よって、「ユーザから要求があった場合に、特定の動作環境に強制的に切り替えた上で物理量を検出することができ、その検出結果に基づく情報を報知することができる構成」を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1のガスコンロシステムを概略的に例示する斜視図である。
【
図2】実施例1のガスコンロシステムにおけるガスコンロでの各ガスバーナへのガス供給路等を概念的に示す説明図である。
【
図3】実施例1のガスコンロシステムの電気的構成について、主にガスコンロの電気的構成を具体的に例示するブロック図である。
【
図4】実施例1のガスコンロシステムの電気的構成について、主に情報処理端末の電気的構成を具体的に例示するブロック図である。
【
図5】実施例1のガスコンロシステムの情報処理端末で実行される音声対応制御の流れを例示するフローチャートである。
【
図6】
図5の音声対応制御における第1制御の流れを例示するフローチャートである。
【
図7】
図6の第1制御における第2の機器関連制御の流れを例示するフローチャートである。
【
図8】実施例1のガスコンロシステムの情報処理端末で実行される音声対応制御の概要を説明する説明図である。
【
図9】音声対応制御中の第1選択肢の表示状態を例示する説明図である。
【
図10】
図9で表示される第1選択肢のうちの機器情報が選択されたときの第2選択肢の表示状態を例示する説明図である。
【
図11】
図10で表示される第2選択肢のうちのコンロ右が選択されたときの第3選択肢の表示状態を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい形態を以下に例示する。但し、本発明は以下の例に限定されない。
【0012】
制御部は、点火中のガスバーナ近傍での温度検出を要求する温度要求指示を特定指示とし、温度要求指示が音声指示検出部で検出された場合において点火中のガスバーナの火力が所定の抑制状態よりも大きい火力である場合に、点火中のガスバーナの火力が所定の抑制状態となるように点火中のガスバーナに強制動作を行わせてもよい。そして、物理量検出部は、温度要求指示が音声指示検出部で検出されることに応じて制御部によって点火中のガスバーナに対して強制動作が行われた場合に、強制動作がなされているときの点火中のガスバーナ近傍を計測対象領域として温度を検出する構成であってもよい。そして、報知部は、強制動作中に物理量検出部によって検出された計測対象領域の温度に基づく情報を報知する構成であってもよい。
この構成では、ユーザによって温度要求指示(点火中のガスバーナ近傍での温度検出を要求する指示)がなされ、そのときの点火中のガスバーナの火力が所定の抑制状態よりも大きい火力である場合に、所定の抑制状態となるように点火中のガスバーナに強制動作を行わせることができる。そして、物理量検出部は、このような強制動作がなされているときの点火中のガスバーナ近傍を計測対象領域として温度を検出し、報知部は、強制動作中に物理量検出部によって検出された計測対象領域の温度に基づく情報を報知することができる。つまり、計測対象領域(温度要求がなされたガスバーナ近傍)が点火中のガスバーナに基づいて加熱される度合いを強制動作によって抑えた上で、その計測対象領域の温度を検出し、その検出結果に基づく情報を報知することができる。
【0013】
制御部は、点火中のガスバーナの火力を最小火力とするように点火中のガスバーナに強制動作を行わせる構成であってもよい。
この構成では、ユーザによって温度要求指示(点火中のガスバーナ近傍での温度検出を要求する指示)がなされたときに、その点火中のガスバーナの火力が最小火力(その点火中のガスバーナにおいて変更可能となる火力範囲における最小火力)でない場合に、そのガスバーナの火力を最小火力とするように強制動作を行わせることができる。そして、このような強制動作により、点火中のガスバーナの火力が計測対象領域に及ぼす影響をより一層抑えた上で、計測対象領域の温度を検出し、その検出結果に基づく情報を報知することができる。
【0014】
ガスコンロは、電池を備えていてもよい。そして、制御部は、音声指示検出部で検出された音声指示が特定指示である場合に、ガスコンロ内に設けられた特定負荷を強制的に駆動するように強制動作を行う構成であってもよい。そして、物理量検出部は、特定負荷の強制的な駆動の開始前後の電池の出力電圧をそれぞれ検出する構成であってもよい。そして、報知部は、物理量検出部によって検出された、開始前後の電池の出力電圧に基づく情報を報知する構成であってもよい。
このように構成されていれば、ユーザが音声によって特定指示を発した場合に、音声指示検出部がその特定指示を検出し、このような特定指示の検出に応じて、制御部は特定負荷を強制的に駆動することになる。そして、物理量検出部は、このような強制駆動の開始前後において電池の出力電圧を検出し、報知部は、その検出結果に基づく情報を報知することができる。よって、ユーザは、複雑な手操作を数多く行わなくても、簡易な音声指示によって電池の具体的な状態を正確に把握しやすくなる。
【0015】
本発明は、物理量検出部によって検出された上記「開始前後の電池の出力電圧」に基づいて電池の内部抵抗値を検出する内部抵抗値検出部を備えていてもよい。そして、報知部は、内部抵抗値検出部によって検出された電池の内部抵抗値に基づく情報を報知するように動作してもよい。このように構成されていれば、ユーザは、音声によって内部抵抗値の検出を指示することが可能となり、その時点での電池の内部抵抗値を反映した情報を報知させることが可能となる。
【0016】
報知部は、強制動作前又は強制動作中に、強制動作が行われること又は強制動作が行われていることの報知を行うようにしてもよい。このようにすれば、強制動作前と強制動作中とで状態や音が変化しても、ユーザはその変化が強制動作に起因するものであるということを推測しやすくなる。従って、強制動作中にユーザが違和感をもったり不安を感じたりしにくくなる。
【0017】
上記いずれかの構成をなすガスコンロ用制御装置と、ガスコンロと、ガスコンロと無線通信を行う情報処理端末と、含むガスコンロシステムを構成してもよい。このようなシステムでは、音声指示検出部が、情報処理端末に設けられていてもよく、制御部及び物理量検出部が、ガスコンロに設けられていてもよく、報知部が、情報処理端末又はガスコンロの少なくともいずれかに設けられていてもよい。このようにすれば、上述したガスコンロ用制御装置と同様の効果が得られるガスコンロシステムを構築することができる。
【0018】
このガスコンロシステムにおいて、情報処理端末は、表示装置と、音声指示検出部で検出された音声指示が機器情報を要求する所定の要求指示である場合に、機器情報を報知可能な複数の対象部分のリストを表示装置に表示する表示制御部と、を有していてもよい。そして、制御部は、表示装置にリストが表示された後に音声指示検出部で検出された音声指示が、リストのうちのいずれかの対象部分を指定して物理量の検出を要求する特定指示である場合に、特定指示で指定された対象部分に対応した計測対象領域での所定種類の物理量に影響を与える所定部位に強制動作を行わせるように動作してもよい。このように構成されていれば、ユーザは、所定の要求指示を音声によって発することで機器情報を報知可能な複数の対象部分のリストを把握することが可能となり、ガスコンロ内においてどの部分の機器情報が取得可能なであるかを簡単な操作で正確に認識しやすくなる。そして、リストの内容を把握した後には、物理量の検出を要求する部分を簡単な操作で正確に指定しやすくなる。
【0019】
<実施例1>
以下、実施例1について、図面を参照して説明する。
図1で示すガスコンロシステム100は、主に、ガスコンロ1と情報処理端末90とによって構成されている。以下の説明では、ガスコンロシステム100がガスコンロ用制御装置101として構成された例を代表例として説明する。
【0020】
まず、ガスコンロ1について説明する。
図1のように、ガスコンロ1は、調理鍋等の調理器具を加熱可能なビルトインコンロとして構成されている。ガスコンロ1は、コンロ本体1Aの上面を構成する天板2(トッププレート)から露出するように、右コンロ部4A、左コンロ部4B、がそれぞれ設けられ、その左右のコンロ部4A,4Bの間で後方寄りに後コンロ部4Cが設けられている。天板2の下方においてコンロ本体1Aの内部中央付近にはグリル3が設けられている。グリル3は、被調理物を収納してグリルバーナ(ガスバーナ54:
図2)で加熱調理するグリル庫を備え、このグリル庫は、グリル扉3Bによって開閉可能とされている。右コンロ部4A、左コンロ部4B、後コンロ部4C、グリル3には、
図2で示すガスバーナ51,52,53,54がそれぞれ設けられている。なお、右コンロ部4A、左コンロ部4B、後コンロ部4Cは、それぞれコンロ右、コンロ左、コンロ後ともいう。グリル3は、グリルオーブンともいう。
【0021】
図2のように、複数のガスバーナ51,52,53,54には、複数の分岐供給路61,62,63,64がそれぞれ接続され、これら分岐供給路61,62,63,64は、共通供給路60から分岐する構成をなす。共通供給路60は、ガスバーナ51,52,53,54への共通のガス経路であり、複数の分岐供給路61,62,63,64は、共通供給路60から分岐するとともに各ガスバーナ51,52,53,54に向けてガスを導くように配設された供給路である。共通供給路60には、共通供給路60を開閉する元電磁弁N1が設けられる。共通供給路60から分岐してガスバーナ51に続く分岐供給路61には、分岐供給路61を開閉可能な電磁弁(安全弁)51Gと、分岐供給路61を開閉可能な閉止弁51Fと、ガスバーナ51へのガス供給量を調整可能な火力調整弁51Eとが設けられている。共通供給路60から分岐してガスバーナ52に続く分岐供給路62には、分岐供給路62を開閉可能な電磁弁(安全弁)52Gと、分岐供給路62を開閉可能な閉止弁52Fと、ガスバーナ52へのガス供給量を調整可能な火力調整弁52Eとが設けられている。共通供給路60から分岐してガスバーナ53に続く分岐供給路63には、分岐供給路63を開閉可能な電磁弁(安全弁)53Gと、分岐供給路63を開閉可能な閉止弁53Fと、ガスバーナ53へのガス供給量を調整可能な火力調整弁53Eとが設けられている。
【0022】
安全弁51G、閉止弁51F、火力調整弁51Eは、
図3で示すステッピングモータM1によって駆動されるようになっており、ステッピングモータM1の回転角度が第1角度範囲になったときに安全弁51Gが開放し、モータM1の回転角度が第2角度範囲になったときに閉止弁51Fが開放し、ステッピングモータM1の回転角度が第1角度範囲及び第2角度範囲よりも大きい第3角度範囲のときに回転角度に応じて火力調整弁51Eの開度が設定されるようになっている。具体的には、制御回路10からの指示に応じたモータ駆動回路48Aの動作によってステッピングモータM1の回転角度が制御されることで火力調整弁51Eの開度が制御され、ガスバーナ51での火力が火力調整弁51Eの開度に応じて定まる。同様に、制御回路10からの指示に応じたモータ駆動回路48Bの動作によってステッピングモータM2の回転角度が制御されることで火力調整弁52Eの開度が制御され、ガスバーナ52での火力が火力調整弁52Eの開度に応じて定まる。同様に、制御回路10からの指示に応じたモータ駆動回路48Cの動作によってステッピングモータM3の回転角度が制御されることで火力調整弁53Eの開度が制御され、ガスバーナ53での火力が火力調整弁53Eの開度に応じて定まる。グリル3のガスバーナ54(グリルバーナ)は、グリル3内において上側に配置される上バーナ54Aと、グリル3内において上バーナ54Aよりも下側に配置される下バーナ54Bとを備える。共通供給路60から分岐してガスバーナ54にガスを導く分岐供給路64には、更に、分岐供給路64から分岐して上バーナ54Aにガスを導く第1供給路65Aと、分岐供給路64から分岐して下バーナ54Bにガスを導く第2供給路65Bとが接続されている。分岐供給路64には、分岐供給路64を開閉可能な電磁弁(安全弁)54Gと閉止弁54Fとが設けられ、第1供給路65Aには複数の電磁弁54H,54Jが設けられ、第2供給路65Bには電磁弁54Kが設けられている。電磁弁54H,54J,54Kの開閉は、制御回路10によって制御される。
【0023】
図1に示すように、右コンロ部4A、左コンロ部4B、後コンロ部4C、グリル3にそれぞれ対応するように4つの回転操作部6A,6B,6C,6Dが設けられている。回転操作部6Aは、右コンロ部4Aの点火、消火、火力調整を行うものであり、回転操作部6Bは、左コンロ部4Bの点火、消火、火力調整を行うものであり、回転操作部6Cは、後コンロ部4Cの点火、消火、火力調整を行うものであり、第4の回転操作部6Dは、グリル3の点火、消火、火力調整を行うものであり、これらはいずれも、押圧操作可能に構成され、且つ回転操作可能に構成されている。回転操作部6A,6B,6C,6Dのいずれも、使用者が押す毎に退避位置と突出位置とに切り替わるようになっている。そして、
図3の電気的構成で示すように、回転操作部6A,6B,6C,6Dにそれぞれ対応するようにスイッチ30A,30B,30C,30Dがそれぞれ設けられ、スイッチ30A,30B,30C,30Dにそれぞれ対応するように点火信号入力回路40A,40B,40C,40Dがそれぞれ設けられている。スイッチ30A,30B,30C,30Dは、いずれも点火スイッチとして機能し、回転操作部6A,6B,6C,6Dのいずれにおいても、各回転操作部が突出位置から退避位置(消火位置)へと操作されることに応じて、各回転操作部に対応するスイッチがオフ状態となり、このスイッチに対応する点火信号入力回路から制御回路10にオフ信号が与えられる。また、回転操作部6A,6B,6C,6Dのいずれにおいても、各回転操作部が退避位置から突出位置(点火位置)へと操作されることに応じて、各回転操作部に対応するスイッチがオン状態となり、このスイッチに対応する点火信号入力回路から制御回路10にオン信号が与えられる。
【0024】
更に、回転操作部6A,6B,6C,6Dにそれぞれ対応するように変位検出部32A,32B,32C,32Dがそれぞれ設けられ、変位検出部32A,32B,32C,32Dにそれぞれ対応するように火力信号入力回路42A,42B,42C,42Dがそれぞれ設けられている。回転操作部6A,6B,6C,6Dのいずれにおいても、各回転操作部の変位(回転位置)を各回転操作部に対応する変位検出部が検出し、この変位検出部に対応する火力信号入力回路から変位検出部が検出した変位(回転位置)に応じた信号が制御回路10に与えられる。
【0025】
図2のように、上バーナ54Aにガスを導く主経路として第1供給路65Aが構成され、この第1供給路65Aに設けられた電磁弁54Jを迂回するように、電磁弁54Jの経路と並列の経路であるバイパス路66Aが設けられている。電磁弁54Hが開放した状態で電磁弁54Jが閉じているときには分岐供給路64によって導かれたガスはバイパス路66Aを通って上バーナ54Aに供給される。また、電磁弁54H,54Jがいずれも開いているときには分岐供給路64によって導かれたガスは第1供給路65A又はバイパス路66Aを通って上バーナ54Aに供給される。また、下バーナ54Bにガスを導く主経路として第2供給路65Bが構成され、この第2供給路65Bに設けられた電磁弁54Kを迂回するように、電磁弁54Kの経路と並列の経路であるバイパス路66Bが設けられている。電磁弁54Kが閉じているときには分岐供給路64によって導かれたガスはバイパス路66Bを通って下バーナ54Bに供給される。また、電磁弁54Kが開いているときには分岐供給路64によって導かれたガスは第2供給路65B又はバイパス路66Bを通って下バーナ54Bに供給される。
【0026】
また、
図2、
図3のように、各ガスバーナ51,52,53のそれぞれの近くにはサーミスタ51C,52C,53Cがそれぞれ設けられている。そして、サーミスタ51C,52C,53Cのそれぞれに対応して温度信号入力回路44A,44B,44Cがそれぞれ設けられている。具体的には、サーミスタ51Cは、右コンロ部4Aに載置された調理容器の底部の温度を検出し、温度信号入力回路44Aは、サーミスタ51Cでの検出温度に応じた電圧信号を制御回路10に入力する。サーミスタ52Cは、左コンロ部4Bに載置された調理容器の底部の温度を検出し、温度信号入力回路44Bは、サーミスタ52Cでの検出温度に応じた電圧信号を制御回路10に入力する。サーミスタ53Cは、後コンロ部4Cに載置された調理容器の底部の温度を検出し、温度信号入力回路44Cは、サーミスタ53Cでの検出温度に応じた電圧信号を制御回路10に入力する。なお、
図2ではサーミスタ51C,52C,53Cを概念的に示しているが、サーミスタ51C,52C,53Cのそれぞれの配置は、右コンロ部4A、左コンロ部4B、後コンロ部4Cのそれぞれに載置された調理容器に近接し得る位置(具体的には、調理容器に対して直接的に又は他部材を介して間接的に接触し得る位置)であればよい。サーミスタ54Cは、グリル3内に配置され、グリル3の庫内の所定位置の温度を検出し、温度信号入力回路44Dは、サーミスタ54Cでの検出温度に応じた電圧信号を制御回路10に入力する。なお、
図2、
図3では図示は省略しているが、各ガスバーナ51,52,53,54A,54Bのそれぞれに隣接して熱電対がそれぞれ設けられ、各熱電対のそれぞれに対応して温度信号入力回路がそれぞれ設けられている。これら温度信号入力回路はいずれも、対応する熱電対で生じた起電力に応じた信号を制御回路10に入力する。
【0027】
各ガスバーナ51,52,53,54のそれぞれに隣接してイグナイタ26A,26B,26C,26Dがそれぞれ設けられ、イグナイタ26A,26B,26C,26Dのそれぞれに対応してイグナイタ回路46A,46B,46C,46Dがそれぞれ設けられている。例えば、ガスバーナ51に対応してイグナイタ26Aが設けられ、イグナイタ回路46Aは、スイッチ30Aの点火操作に応じてイグナイタ26Aを駆動し、イグナイタ26Aで火花を放電させてガスバーナ51に点火する。
【0028】
制御回路10は、例えばマイクロコンピュータとして構成されており、
図3のように、CPU10A、ROM10B、RAM10Cなどを備え、更に、図示しないタイマ、I/Oインタフェースなどを備える。制御回路10は、上述した各電磁弁(
図3では図示を省略)、イグナイタ26A,26B,26C,26D、複数のモータM1,M2,M3,M4、ブザー装置12、音声装置14などを制御し得る。ブザー装置12は、圧電ブザー装置などの公知のブザー装置として構成されている。音声装置14は、メロディ、メッセージなどの音声を発する装置であり、例えば、スピーカやスピーカに対して音声信号を与える駆動回路などを備え、制御回路10からの指示に対応した音声を発するように動作する。不揮発性メモリ16は、制御回路10によって書き込み及び読み出しが可能とされた公知の不揮発性メモリである。操作部18は、操作ボタンやタッチパネルなどの公知の入力インタフェースによって構成され、ユーザの操作に応じた情報を制御回路10に入力し得るものである。また、上述した電気部品を含め、様々な電気部品に電力を供給するように電源回路48が設けられている。電源回路48は電池ボックスに収容された電池49(例えば2つの乾電池)からの電力供給を受け、所定の電源電圧を生成する機能を有しており、電源回路48で生成された電源電圧は、図示しない経路を介して様々な電気部品に供給される。
【0029】
更に、電池49の出力電圧(電池49における高電位側端子の電位と低電位側端子の電位との電位差)を検出する電池電圧検出回路50が設けられており、電池電圧検出回路50は電池49の出力電圧を示すアナログ電圧値を制御回路10に入力し得るように構成されている。
【0030】
更に、ガスコンロ1には、外部装置と無線通信を行うための通信回路である無線通信部20が設けられている。無線通信部20は、無線受信部の一例に相当し、公知の無線通信方式(例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などの公知の無線通信規格に従った通信方式など)によって外部装置と無線通信を行い得る装置である。
図3には、外部装置の一例としてスマートフォンとして構成された情報処理端末90を例示している。
【0031】
次に、情報処理端末90について説明する。
図4のように、情報処理端末90は、制御回路91、記憶部92、無線通信部93、表示装置94、操作部95、入力回路96A、マイク96B、出力回路97A、スピーカ97Bなどを備える。情報処理端末90は、スマートフォンやタブレット端末などの携帯型情報処理端末として構成されており、図示しない二次電池を電源として動作し得るようになっている。情報処理端末90は、ガスコンロ用制御装置を構成する要部である。なお、
図3では、スマートフォンとして構成された情報処理端末90を例示しているが、情報処理機能を有する携帯型の端末であればスマートフォン以外の構成であってもよい。また、
図4では、ガスコンロ1については一部部品のみを例示し、他の部品の図示を省略している。
【0032】
制御回路91は、例えばマイクロコンピュータなどの公知の情報処理装置として構成され、CPUなどの公知の演算装置及び他の周辺回路などを備えてなり、様々な制御や演算を行い得る。記憶部92は、情報を記憶し得る装置であれば良く、例えば、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの公知の半導体記憶装置を複数種類備えた構成とすることができる。無線通信部93は、無線送信部の一例に相当し、公知の無線通信方式(例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などの公知の無線通信規格に従った通信方式など)で無線通信を行い得る通信装置である。無線通信部93は、ガスコンロ1の無線通信部20と無線通信を行い得る。
【0033】
表示装置94は、例えば公知のタッチパネル式表示装置の一部をなす表示部であり、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどの公知の画像表示装置として構成されている。操作部95は、例えば、表示装置94の前方を覆うように配置される公知のタッチパネルとして構成され、表示装置94の画像を外部から視認可能な透明性の構成で表示装置94を覆う構成をなす。なお、ここで示す例はあくまで一例であり、表示装置94は、ユーザが視認し得る状態で画像を表示し得る構成であればよい。操作部95は、ユーザの操作によって情報を入力し得る構成であればよく、タッチパネル以外の入力インタフェース(ボタン等)を備えていてもよい。
【0034】
入力回路96Aは、マイク96Bで集音された音声のアナログ信号をデジタル信号(集音された音声に対応する電気信号)に変換し、制御回路91に入力する公知の音声入力回路として構成されている。本構成では、マイク96B、入力回路96A、制御回路91が音声指示検出部の一例に相当し、ユーザの声によってなされる指示(音声指示)を検出するように機能する。出力回路97Aは、制御回路91からの制御信号に基づき、制御回路91から与えられた音声のデジタル信号をアナログ信号に変換してスピーカ97Bに出力する公知の音声出力回路として構成されている。
【0035】
情報処理端末90での音声認識機能の原理を簡単に説明する。音声認識は、周知の音声認識技術を用いることができる。具体的には、記憶部92(例えば不揮発性メモリ)に記憶する「音響モデルデータ」と、入力された音声信号(波形)のマッチング(照合)で行うとよい。「音響モデルデータ」とは、平均的な発音データを基に作られた音声の単語辞書を意味する。マッチングには、例えば「HMM(Hidden Markov Model)」と呼ばれる理論を用いるとよい。マッチングは通常10~20ミリ秒の単位で、単語の先頭から順次行うのがよい。なお、音声認識技術は、公知の様々な音声認識方式を採用することができ、外部からマイク96Bに入力された音声を解析して当該音声に含まれる言葉を認識し得る方式であれば、具体的な方式は特に限定されない。
【0036】
次に、音声対応処理について説明する。
図5で示す音声対応処理は情報処理端末90において制御回路91によって実行される処理である。制御回路91は、例えば、所定の開始条件の成立(例えば、電源投入、或いは電源投入後の所定のトリガ条件(例えばユーザによる操作部95に対する所定操作など)の成立)に応じて
図5で示す音声対応処理の初回の処理を実行し、初回の処理を実行した後には、
図5の処理を繰り返し実行するように制御を行う。なお、以下で説明する音声対応処理は、例えば、情報処理端末90をガスコンロ1と無線通信可能な位置(例えば、ガスコンロ1の周辺のキッチンカウンター上など)に配置した状態で実行すれば、ユーザが情報処理端末90を手に持って操作せずともハンズフリー状態で好適に行うことができる。
【0037】
制御回路91は、
図5の音声対応処理を開始した場合、まず、ステップS1において第1選択肢を表示する。本構成では、第1選択肢として複数の言葉が予め登録されており、ステップS1では、第1選択肢として登録された言葉を表示装置94の表示画面に表示する。
図8の説明図で示すように、第1選択肢として「火を消す」「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」「機器情報」の6種類の言葉(項目)が予め定められており、制御回路91は、ステップS1において、これらの言葉を情報処理端末の表示装置94に表示する。
図9には、ステップS1の処理によって第1選択肢を表示装置94に表示したときの表示例を示している。なお、以下の説明では、このように、「火を消す」「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」「機器情報」が第1選択肢として定められた例を代表例として説明する。
図9のように、ステップS1の処理によって表示装置94で表示される画像には、第1選択肢の各項目(各言葉)を示す各画像111が含まれている。各画像111は、音声によって選択可能であることを示す色(例えば、赤色)の文字とされている。
【0038】
制御回路91は、ステップS1の後、ステップS2において第1選択肢のいずれかを選択する音声指示があったか否かを判定する。即ち、ステップS2において、第1選択肢のいずれかの項目(言葉)の音声がマイク96Bに入力されたか否か(マイク96Bによって電気信号に変換されたか否か)を判定する。ステップS2において第1選択肢のいずれかを選択する音声指示が無いと判定した場合(ステップS2でNoの場合)、ステップS1に戻って第1選択肢の表示を維持する。つまり、
図5の制御では、ステップS1で第1選択肢を表示した後、第1選択肢のいずれかを選択する音声指示があるまでは、第1選択肢の表示を継続し、第1選択肢のいずれかを選択する音声指示があった後には、ステップS3以降の処理を行うことになる。なお、第1選択肢の表示を継続しているときに所定の終了条件が成立した場合(例えば、所定の終了操作があった場合や第1選択肢を表示してから一定時間経過しても第1選択肢のいずれかを選択する音声指示がない場合など)に
図5の制御を終了してもよい。
【0039】
制御回路91は、ステップS2において第1選択肢のいずれかを選択する音声指示があったと判定した場合、ステップS3において音声指示が特定指示であるか否かを判定する。本構成では、第1選択肢として定められた複数の項目(複数の言葉)のうちの一部の項目(一部の言葉)を「特定指示」としている。具体的には、第1選択肢となる音声指示(「火を消す」「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」「機器情報」)のうちの、「機器情報」を特定指示として予め定めている。制御回路91は、ステップS2において第1選択肢のいずれかを選択する音声指示があったと判定し、その音声指示が特定指示(機器情報)であると判定した場合(ステップS3でYesの場合)、ステップS4に進んで第1制御を行う。例えば、ユーザが「機器情報」という言葉を音声として発し、その言葉の音声がマイク96Bによって音声信号(電気信号)に変換された場合、入力回路96Aは、この音声信号をデジタル信号に変換して制御回路91に入力し、制御回路91は、入力回路96Aから入力されるデジタル信号を解析することで「機器情報」という言葉の音声がマイク96Bに入力されたと判定する。即ち、「機器情報」の音声を検出したと判定する。このような場合、制御回路91は、ステップS2でYes、ステップS3でYesと判定し、ステップS4に進んで第1制御を行う。
【0040】
なお、制御回路91は、ステップS2において第1選択肢のいずれかを選択する音声指示があったと判定し、その音声指示が特定指示(機器情報)でない(即ち、「火を消す」「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」のいずれかである)と判定した場合(ステップS3でNoの場合)、ステップS5に進んで第2制御を行う。なお、ステップS5で行われる第2制御は、「火を消す」「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」のうちのステップS2で認識された音声指示に対応する制御である。
図8や以下の説明では、第2制御についての詳細は省略する。
【0041】
制御回路91は、ステップS4に進む場合、
図6のような流れでステップS4の制御(第1制御)を行う。制御回路91は、ステップS4の制御を開始した場合、まず、ステップS21において第2選択肢を表示する。本構成では、特定指示(機器情報)に対応する第2選択肢として複数の項目(言葉)が予め登録されており、ステップS21では、特定指示(機器情報)に対応する第2選択肢として登録された項目(言葉)を表示装置94の表示画面に表示する。具体的には、
図8の説明図で示すように、特定指示(機器情報)に対応する第2選択肢として「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」「乾電池」「火を消す」の6種類の項目(言葉)が予め対応付けられて定められており、制御回路91は、ステップS21において、これらの項目(言葉)を文字情報として情報処理端末90の表示装置94に表示する。
図10には、このように制御回路91がステップS21の処理で第2選択肢(「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」「乾電池」「火を消す」の6種類の項目(言葉))を表示装置94に表示したときの表示例を示している。
図10で示す表示装置94の画像は、ステップS3で特定指示(機器情報)であると判定された場合にステップS21でその特定指示(機器情報)の文字情報と特定指示(機器情報)に対応する第2選択肢の文字情報とを表示したときの画像である。
図10で示す表示装置94の画像では、特定指示(機器情報)の項目(言葉)を示す文字情報の画像112Aを所定位置に所定の第1色(例えば黒色)で示し、その特定指示(機器情報)に対応する第2選択肢の各項目の各画像112Bを、画像112Aとは別位置に所定の第2色(例えば、赤色)で示している。第1色は、音声によって選択不能であることを示す色であり、第2色は、音声によって選択可能であることを示す色である。
図10の画像では、各画像112Bの文字情報が選択可能であり、各画像112Aの文字情報が選択不能であることが示されている。
【0042】
制御回路91は、ステップS21の後、ステップS22において第2選択肢のいずれかを選択する音声指示があったか否かを判定する。即ち、ステップS22において、第2選択肢のいずれかの項目(言葉)の音声がマイク96Bに入力されたか否か(マイク96Bによって電気信号に変換されたか否か)を判定する。ステップS21で第2選択肢の表示を開始した後、一定時間を経過しても第2選択肢のいずれかを選択する音声指示が無かった場合(ステップS22でNoの場合)、
図6の制御(即ち、ステップS4の第1制御)を終了する。
【0043】
制御回路91は、ステップS21で第2選択肢の表示を開始した後、一定時間を経過する前に「乾電池」の項目(言葉)が発せられた場合、即ち、ユーザによって発せられた「乾電池」の項目(言葉)の音声がマイク96Bに入力され、マイク96Bによって「乾電池」の音声が電気信号に変換された場合、ステップS22でYesと判定且つステップS23でYesと判定し、ステップS24において第1の機器関連制御を行う。制御回路91は、ステップS21の処理を開始した後、「乾電池」の音声がマイク96Bに入力されず、一定時間を経過する前に「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」のいずれかの音声がマイク96Bに入力された場合、ステップS22でYes、ステップS23でNo、ステップS25でYesと判定し、ステップS26において第2の機器関連制御を行う。制御回路91は、ステップS21で第2選択肢の表示を開始した後、「乾電池」「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」の音声がマイク96Bに入力されず、一定時間を経過する前に、これら以外の第2選択肢(例えば、「火を消す」)の音声がマイク96Bに入力された場合、ステップS22でYes、ステップS23でNo、ステップS25でNoと判定し、ステップS27において第3の機器関連制御を行う。このように、第1の機器関連制御は、第2選択肢のうちの「乾電池」の指定があった場合(「乾電池」の音声がマイク96Bに入力された場合)になされる制御であり、第2の機器関連制御は、第2選択肢のうちの「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」のいずれかの指定があった場合(「乾電池」「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」の音声がマイク96Bに入力された場合)になされる制御であり、第3の機器関連制御は、第2選択肢のうちの「乾電池」「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」以外の指定があった場合(例えば、「火を消す」の音声がマイク96Bに入力された場合)になされる制御となっている。
【0044】
ここで、ステップS24で行われる第1の機器関連制御について説明する。
制御回路91は、ステップS24において第1の機器関連制御を行う場合、制御回路10と協働し、ガスコンロ1内に設けられた特定負荷に強制動作を行わせる。具体的には、制御回路91及び無線通信部93が、第1の機器関連制御で送信するコマンドとして予め定められた指示コマンド(特定負荷の強制駆動を指示する指示コマンド)をガスコンロ1に向けて無線送信し、ガスコンロ1側では、このように無線送信された指示コマンドを無線通信部20によって受信する。そして、制御回路10は、無線通信部20がこのような指示コマンドを受信した場合に、ガスコンロ1内に設けられた特定負荷に強制動作を行わせる。このように特定負荷の強制駆動がなされる場合、物理量検出部の一例に相当する電池電圧検出回路50は、特定負荷の強制駆動前の電池49の出力電圧V1と、特定負荷の強制駆動開始後(例えば、強制駆動がなされている最中)の電池49の出力電圧V2とをそれぞれ検出する。なお、電池49の出力電圧は、例えば、電池49の正極側に電気的に接続される導電路の電位と電池49の負極側に電気的に接続される導電路の電位との電位差を検出することで求める。制御回路10は、電池電圧検出回路50によって検出された強制駆動開始前後の電池49の出力電圧V1,V2を取得し、この出力電圧V1,V2を無線通信部20によって情報処理端末90に無線送信する。情報処理端末90の無線通信部93は、無線通信部20から無線送信された情報(電池電圧検出回路50(物理量検出部)によって検出された強制駆動開始前後の電池49の出力電圧V1,V2)を受信し、内部抵抗値検出部の一例に相当する制御回路91は、この情報(出力電圧V1,V2)に基づいて電池49の内部抵抗値rを検出する。内部抵抗値rの算出方法は公知の様々な方法を用いることができる。
【0045】
例えば、特定負荷の強制駆動開始前の消費電力が0とみなせる場合、特定負荷の強制駆動開始前に電池電圧検出回路50によって検出される電池49の電圧V1は、電池49の起電力Eに相当する。そして、強制的に駆動された特定負荷の強制駆動中の抵抗値がRである場合、特定負荷の強制駆動中に電池電圧検出回路50によって検出される電池49の電圧V2は、強制駆動中に電池から流れる電流をIとしたとき、V2=V1-rI(式1)で表すことができる。そして、強制駆動中の電流Iは、I=V1/(r+R)(式2)と表すことができるため、V1、V2が検出されれば、既知の値Rと式1、式2とに基づいて電池49の内部抵抗値rを求めることができる。
【0046】
なお、ステップS24で強制的に駆動する特定負荷は、どのような負荷であってもよく、例えば、
図3で示すようなイグナイタ26A,26B,26C,26Dのいずれかであってもよく、元電磁弁を閉塞した状態でモータM1,M2,M3,M4のいずれかを特定負荷として駆動してもよい。或いは、予め抵抗値Rが定められた何らかの抵抗器を特定負荷としてもよい。
【0047】
また、ここでは、内部抵抗値を算出するために1つの特定負荷を強制駆動する例を示したが、予め抵抗値が判明している複数の特定負荷を順次強制駆動し、各特定負荷の強制駆動によって算出される内部抵抗値をそれぞれ求め、これらの内部抵抗値の平均値を電池49の内部抵抗値rとしてもよい。
【0048】
上述した例では、制御回路91が内部抵抗値rを算出したが、制御回路10が内部抵抗値rを算出し、算出した内部抵抗値rを無線通信部20によって情報処理端末90に無線送信してもよい。
【0049】
制御回路91は、内部抵抗値rが得られた場合、内部抵抗値rの値そのものを音声によって報知してもよい。或いは、内部抵抗値rに応じた寿命の予測情報を報知してもよい。具体的には、内部抵抗値rが予め定められた複数の範囲のいずれかに該当するかを特定する情報を報知するようにしてもよい。例えば、算出された内部抵抗値rが第1の範囲である場合、状態を「良好」とし、rが第1の範囲よりも大きい第2の範囲である場合に状態を「注意」とし、rが第2の範囲よりも大きい第3の範囲である場合に状態を「不可」を判定してもよい。そして、その判定結果を音声によって報知してもよい。或いは、内部抵抗値と残寿命(使用可能な残時間)とを対応付けた演算式(内部抵抗値と残寿命をそれぞれ変数とする演算式)を予め用意しておき、内部抵抗値が算出された場合に、その演算式によって残寿命を求め、その残寿命を音声によって報知してもよい。本構成では、制御回路91、出力回路97A、スピーカ97Bが報知部の一例に相当し、電池電圧検出回路50(物理量検出部)によって検出された「強制駆動の開始前後の電池の出力電圧V1,V2」に基づく情報(例えば、内部抵抗値rそのもの、内部抵抗値rによって把握される寿命など)を報知するように動作する。
【0050】
なお、製品出荷時などの所定の時期に電池49の内部抵抗値r0を予め測定しておき、この情報をガスコンロ1や情報処理端末90の記憶部に予め記憶しておいてもよい。そして、上述の方法によって内部抵抗値rを検出した場合、その測定された内部抵抗値rと初期の内部抵抗値r0との比率(r/r0)×100(%)を「電池の内部抵抗値に基づく情報」(具体的には、寿命の予測情報)として上記報知部によって報知してもよい。或いは、上記比率が予め定められた複数の範囲のいずれかに該当するかを特定する情報を「電池の内部抵抗値に基づく情報」として報知するようにしてもよい。例えば、上記比率が第1の範囲である場合、状態を「良好」とし、上記比率が第1の範囲よりも大きい第2の範囲である場合に状態を「注意」とし、上記比率が第2の範囲よりも大きい第3の範囲である場合に状態を「不可」を判定してもよい。そして、その判定結果を音声によって報知してもよい。
【0051】
制御回路91は、以上のような第1の機器関連制御を行った後、処理をステップS21に戻し、ステップS21以降の処理を行う。
【0052】
次に、ステップS26で行われる第2の機器関連制御について説明する。
制御回路91は、ステップS26において第2の機器関連制御を行う場合、制御回路10と協働し、第2選択肢の中から選択されたコンロ部又はグリルを温度検出対象として温度情報を取得する。具体的には、いずれの温度検出対象が指定された場合でも、その温度検出対象に着目して
図7のような制御を行う。つまり、
図7で示す制御を行うプログラムが、「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」のそれぞれに対応して用意されており、ステップS21において第2選択肢が表示された後に「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」のいずれかが音声によって指定された場合(第2選択肢の表示後に「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」のいずれかの言葉が音声としてマイク96Bに入力された場合)、ステップS26では、複数準備された
図7の制御のうち、その指定された言葉(音声指示)に対応する制御を実行する。例えば、ステップS21の実行によって
図10のような表示がなされているときに、「コンロ右」の言葉が音声としてマイク96Bに入力された場合、「コンロ右」(右コンロ部4A)を制御対象として、「コンロ右」(右コンロ部4A)に対応付けられた
図7の制御を実行する。なお、以下では、複数準備された
図7の制御のうち、「コンロ右」(右コンロ部4A)に対応付けられた制御を実行する場合を例示して説明する。
【0053】
「コンロ右」(右コンロ部4A)を制御対象として「コンロ右」(右コンロ部4A)に対応付けられた
図7の制御を行う場合、ステップS31では、
図11のように制御対象であるコンロ右(右コンロ部4A)に関連した第3選択肢を表示装置94に表示する。具体的には、
図10のように第2選択肢として表示されていた「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」「乾電池」「火を消す」の6種類の項目(言葉)の中から、制御対象となったコンロ右(右コンロ部4A)の項目(言葉)を残余の項目(言葉)とは異なる態様で表示する。
図11の例では、制御対象となったコンロ右(右コンロ部4A)の項目(言葉)の画像113Dと、残余の項目(言葉)である「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」「乾電池」「火を消す」の各画像113Bとを表示しているが、画像113Dの文字のフォントが各画像113Bの文字のフォントよりも大きくなっている。なお、画像113Dの文字の色と各画像113Bの文字の色を異ならせてもよい。
図11の例では、画像113Dについては、特定の領域113Cにおいて画像113Dで特定される制御対象(コンロ右(右コンロ部4A))に対応付けられた第3選択肢(「使用時間」「センサー温度」)と共に表示している。ステップS31で
図11のように示す表示装置94の画像では、第3選択肢(「使用時間」「センサー温度」)の項目(言葉)を示す文字情報の画像113Eを所定位置に所定色(例えば赤色)で示し、その他の項目の各画像113A,113B,113Dを、画像113Eとは別位置に上記所定色とは異なる色(例えば、黒色)で示す。この場合、所定色は音声によって選択可能であることを示す色であり、所定色とは異なる色は音声によって選択不能であることを示す色である。
図11の画像では、各画像113Eの文字情報が選択可能であり、各画像113A,113B,113Dの文字情報が選択不能であることが示されている。
【0054】
制御回路91は、ステップS31でこのような表示を行ってから一定時間経過しても音声による所定の応答がない場合、ステップS33において制御をキャンセルし、着目している制御対象(「コンロ右」(右コンロ部4A))についての
図7の制御(第2の機器関連制御)を終了する。また、ステップS31で
図11のような表示を行っているときに、第3選択肢の一つである「センサー温度」が音声によって選択された場合、即ち、「センサー温度」の言葉が音声としてマイク96Bに入力された場合、着目している制御対象(「コンロ右」(右コンロ部4A))についての温度の要求がなされたものとしてステップS34の処理を行う。なお、本構成では、『ステップS21での第2選択肢の表示後に「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」のいずれかの項目を音声によって選択する指示』、及び、『その選択された項目のガスバーナが点火中である場合においてその選択された項目に対応する
図7の制御でステップS31での第3選択肢の表示後に「センサー温度」の項目を音声によって選択する指示』が、「点火中のガスバーナ近傍での温度検出を要求する温度要求指示」の一例に相当する。
【0055】
一方、制御回路91は、その他の要求がなされた場合(具体的には、ステップS31で
図11のような表示を行っているときに、「センサー温度」以外の第3選択肢(
図11の例では「使用時間」)が音声によって選択された場合)、ステップS35の処理を行う。ステップS35は、「センサー温度」以外の第3選択肢が選択された場合に、その第3選択肢に対応付けられたプログラムを実行する処理である。
【0056】
制御回路91は、ステップS34の処理を行う場合、無線通信部93と協働し、ステップS34のコマンドとして予め定められた指示コマンドを無線送信する。この指示コマンドは、
図7の制御で着目している制御対象である「コンロ右」(右コンロ部4A)を温度検出対象とし、この温度検出対象の温度を要求する要求コマンドであり、温度検出対象(
図7の制御で着目している制御対象である、「コンロ右」(右コンロ部4A))を特定する情報と温度を要求する情報とを含む情報である。情報処理端末90側では、このように無線送信された要求コマンドを無線通信部20によって受信する。そして、制御回路10は、無線通信部20がこのような要求コマンドを受信した場合に、要求コマンドで特定される温度検出対象(
図7の制御で着目している制御対象である、「コンロ右」(右コンロ部4A))の温度を検出する。制御回路10は、要求コマンドの受信に応じて温度検出対象の温度を検出する場合、要求コマンドを受信した時点でその温度検出対象が既に点火中である場合には、その温度検出対象の火力を最小火力(調整可能な火力範囲の中で最小となる火力)にする。なお、既に温度検出対象の火力が最小火力である場合には、そのまま最小火力で維持する。
【0057】
例えば、
図7の制御で着目している制御対象が「コンロ右」(右コンロ部4A)であり、右コンロ部4Aのガスバーナ51が最大火力で動作している「点火中のガスバーナ」であるとき、制御回路10は、ステップS34で送信された上記要求コマンドに応じて「コンロ右」(右コンロ部4A))の温度を検出する場合には、点火中のガスバーナ51の火力を最小火力(所定の抑制状態)にするように強制動作を行う。このような強制動作がなされると、点火中のガスバーナ51付近の計測対象領域(具体的には、サーミスタ51Cに接触する調理容器の表面)の温度が抑制されるように変化する。そして、サーミスタ51C(物理量検出部)は、このように強制動作がなされた場合には、強制動作中、即ち、ガスバーナ51が最小火力(所定の抑制状態)とされているときの計測対象領域(サーミスタ51Cに接触する調理容器の表面)の温度を検出することになる。ガスコンロ1の制御回路10は、このように強制動作中にサーミスタ51Cによって検出された計測対象領域の温度を、無線通信部20と協働し、情報処理端末90に送信する。
【0058】
このように制御回路10及び無線通信部20によって強制動作中の計測対象領域の温度(強制動作中にサーミスタ51Cによって検出された温度)が無線送信された場合、情報処理端末90側では、制御回路91及び無線通信部93が協働し、この無線送信された情報を受信する。そして、報知部の一例に相当する制御回路91、出力回路97A及びスピーカ97Bは、このように得られた「計測対象領域の温度」に基づく情報を音声によって報知する。
【0059】
例えば、上述したように、ガスバーナ51が最小火力よりも大きい火力(例えば最大火力)で点火している場合に、ステップS21での第2選択肢の表示後に「コンロ右」を音声によって選択する指示がなされ、その「コンロ右」に対応する
図7の制御においてステップS31での第3選択肢の表示後に「センサー温度」の項目を音声によって選択する指示がなされた場合、これらの指示は、「最小火力よりも大きい火力で点火中のガスバーナ近傍での温度検出を要求する温度要求指示」の一例に相当し、この場合、物理量検出部の一例に相当するサーミスタ51Cは、ガスバーナ51を最小火力としたときのサーミスタ51Cの表面の温度を、「所定の抑制状態のときの計測対象領域の温度」として検出することになる。この場合、報知部は、「ガスバーナ51を最小火力とするように強制動作を行っているときにサーミスタ51Cによって検出される温度」に基づく情報を、「所定の抑制状態のときの計測対象領域の温度に基づく情報」として報知することになる。この情報は、「所定の抑制状態のときの計測対象領域の温度」そのもの(例えば、ガスバーナ51を最小火力とするように強制動作を行っているときにサーミスタ51Cによって検出される温度の値)であってもよい。或いは、「所定の抑制状態となる前の計測対象領域の温度及び所定の抑制状態となった後の計測対象領域の温度」(例えば、ガスバーナ51を最小火力とするように強制動作を行う前にサーミスタ51Cによって検出される温度の値と強制動作中にサーミスタ51Cによって検出される温度の値)であってもよく、所定の抑制状態となる前と後での温度変化量などであってもよい。或いは、これらの温度情報を利用した調理容器内の内容物の温度情報であってもよい。
【0060】
温度を報知する場合、具体的には以下のように報知してもよい。
例えば、ステップS34で検出対象となるガスバーナにおけるステップS34の実行前の火力が最小火力よりも大きく、ステップS34においてそのガスバーナの火力を最小火力(所定の抑制状態)にするように強制動作がなされる場合において、強制動作中、即ち、そのガスバーナが最小火力(所定の抑制状態)とされているときの計測対象領域の温度(そのガスバーナに対応するサーミスタによって検出される温度であり、例えば、そのガスバーナに対応するサーミスタに接触する調理容器の表面の温度)T2と、強制動作前の計測対象領域の温度T1とをそれぞれ検出した場合、温度T2の値を報知してもよく、温度T2に所定の補正値αを加算した値(T2+α)を報知してもよい。補正値αを加算した値を報知する場合、補正値αは、予め定められた固定値であってもよく、強制動作開始前と後の温度変化量ΔT(ΔT=T2-T1)に応じて補正値αを定めてもよい。例えば、α=K×ΔT(但し、Kは予め定められた係数)の式によってαを定めてもよい。
また、報知方法は上述の例に限定されず、例えば、強制動作前の温度T1と強制動作中の温度T2との平均値を報知してもよい。或いは、強制動作前の温度T1と強制動作中の温度T2との差が一定値未満である場合に温度T1又は温度T2若しくはT1とT2の平均値などを報知してもよい。或いは、強制動作前の温度T1と強制動作中の温度T2との差が一定値を超える場合に所定情報(異常である旨の情報等)を報知してもよい。
【0061】
制御回路91は、以上のような第2の機器関連制御を行った後、処理をステップS21に戻し、ステップS21以降の処理を行う。
【0062】
なお、上述した説明では、ステップS21の後に「コンロ右」が音声によって選択された場合のステップS26の処理、即ち、「コンロ右」(右コンロ部4A)を制御対象として「コンロ右」(右コンロ部4A)に対応付けられた
図7の制御を行う場合について説明したが、ステップS21の後に「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」のいずれかが音声によって指定された場合でも、指定された装置に対応付けられた
図7の制御を同様に行えばよい。
【0063】
制御回路91は、
図6のステップS27において第3の機器関連制御を行う場合、ステップS22において指定ありと判定された第2選択肢(電池、コンロ、グリル以外の選択肢)に対応する制御を行う。
図10の例では、第2選択肢の一つとして、「火を消す」が含まれており、「火を消す」の指定がなされた場合(ステップS21で第2選択肢が表示された後にマイク96Bに「火を消す」の音声が入力された場合)には、第3の機器関連制御を行う。この場合、制御回路91は、例えば、表示装置94に第3選択肢として「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」の項目を表示し、いずれかの項目が音声によって指定された場合には、その指定された項目に対応するガスバーナを消火する。具体的には、制御回路91と無線通信部93が協働し、指定された項目に対応するガスバーナの消火を指示するコマンドをガスコンロ1に無線送信し、ガスコンロ1は、そのコマンドの受信に応じて、コマンドで指定されたガスバーナの消火動作を行う。制御回路91は、このような第3の機器関連制御を行った後、処理をステップS21に戻し、ステップS21以降の処理を行う。
【0064】
ここで、本構成の効果を例示する。
ガスコンロ用制御装置101は、音声によって特定指示が与えられた場合に、その特定指示を音声指示検出部によって検出し、ガスコンロ1内の所定部位に強制動作を行わせることができる。そして、このような強制動作がなされる場合には、強制動作に応じて所定種類の物理量(温度、出力電圧等)が変化する計測対象領域において所定種類の物理量を検出し、その検出結果に基づく情報を外部に報知することができる。つまり、ユーザは、ガスコンロ用制御装置101に対して音声で特定指示を与えることで、所定部位に強制動作を行わせるようにガスコンロ1を動作させることができる。そして、その強制動作によって影響を受ける領域(計測対象領域)の物理量を検出させた上で、その検出結果に基づく情報を外部に報知させるようにガスコンロ用制御装置101を動作させることができる。
【0065】
本構成では、制御回路10及び制御回路91が制御部の一例として機能し、点火中のガスバーナ近傍での温度検出を要求する温度要求指示が「特定指示」である場合であって、点火中のガスバーナの火力が所定の抑制状態(例えば、最小火力)よりも大きい火力である場合に、その点火中のガスバーナの点火状態を維持したまま、その点火中のガスバーナの火力が所定の抑制状態となるように点火中のガスバーナに強制動作を行わせることができる。そして、サーミスタ51C,52C,53C,54Cが物理量検出部の一例として機能し、温度要求指示に応じて点火中のガスバーナに対して強制動作が行われた場合に、点火中のガスバーナ近傍を計測対象領域として温度を検出することができる。そして、報知部は、強制動作中に物理量検出部によって検出された計測対象領域の温度に基づく情報を報知することができる。
つまり、計測対象領域(温度要求がなされたガスバーナ近傍)がガスバーナによって直接的に加熱される度合いを強制動作によって抑えた上で、その計測対象領域の温度を検出し、その検出結果に基づく情報を報知することができる。なお、この例では、「ガスバーナ近傍の温度」が所定種類の物理量の一例に相当する。
【0066】
具体的には、ユーザによって点火中のガスバーナ近傍での温度検出を要求する温度要求指示がなされたときに、その点火中のガスバーナの火力が最小火力でない場合に、そのガスバーナの火力を最小火力とするように強制動作を行わせることができる。そして、このような強制動作により、点火中のガスバーナの火力が計測対象領域(点火中のガスバーナ近傍)に直接的に及ぼす影響をより一層抑えた上で、計測対象領域の温度を検出し、その検出結果に基づく情報を報知することができる。
【0067】
また、本構成では、第1の機器関連制御に基づく報知も可能となる。即ち、ユーザが音声によって特定指示を発した場合に、予め定められた特定負荷を強制的に駆動し、その強制駆動の開始前後において電池49の出力電圧V1,V2を検出した上で、その検出結果に基づく情報を報知することができる。よって、ユーザは、複雑な手操作を数多く行わなくても、簡易な音声指示によって電池49の具体的な状態を正確に把握しやすくなる。なお、この例では、「電池49の出力電圧」が所定種類の物理量の一例に相当する。
【0068】
また、本構成では、ユーザは、音声によって内部抵抗値rの検出を指示することが可能となり、その時点での電池49の内部抵抗値rを反映した情報を報知させることが可能となる。
【0069】
また、報知部の一例に相当する制御回路91、出力回路97A、スピーカ97Bは、上述した強制動作が行われる前又は強制動作中に、強制動作が行われることの報知又は強制動作が行われていることの報知を行うようにしてもよい。
例えば、ステップS24で第1の機器関連制御を行う直前に「これから計測用の動作を行います」等のメッセージを音声で報知してもよく、ステップS24で第1の機器関連制御を行っている最中(具体的には、特定負荷を強制的に駆動している最中)に「現在、計測用の動作を行っています」等のメッセージを音声で報知してもよい。これらのメッセージは、同様の趣旨のメッセージに置き換えることができる。また、メッセージ音声による報知でなくても良く、特定パターンのブザー音や表示装置94でのメッセージ表示であってもよい。
或いは、ステップS26の第2の機器関連制御を行う直前に「温度計測のために火力を最小にします」等のメッセージを音声で報知してもよく、第2の機器関連制御を行っている最中(具体的には、上述した温度検出対象となるコンロ部又はグリルのガスバーナの火力を最小火力よりも大きい火力から最小火力に抑制する強制動作を行っている最中)に「温度計測のために火力を最小にしています」等のメッセージを音声で報知してもよい。これらのメッセージは、同様の趣旨のメッセージに置き換えることができる。また、メッセージ音声による報知でなくても良く、特定パターンのブザー音や表示装置94でのメッセージ表示であってもよい。
また、このような報知は、情報処理端末90から音声で発することが望ましいが、ガスコンロ1にて上述のメッセージ音声やメッセージ表示を行うようにしてもよい。
いずれにしても、上述した強制動作が行われる前又は強制動作中に、強制動作が行われることの報知又は強制動作が行われていることの報知を行うようにすれば、強制動作前と強制動作中とでのガスコンロ1の状態や音などが変化しても、ユーザはその変化が強制動作に起因するものであるということを推測しやすくなる。従って、強制動作中にユーザが違和感をもったり不安を感じたりしにくくなる。
【0070】
上記ガスコンロシステム100では、制御回路91が表示制御部の一例に相当し、音声指示検出部で検出された音声指示(第1選択肢の表示中にマイク96Bに入力された音声による指示であり、ステップS1で「音声指示あり」と判定された音声指示)が機器情報を要求する所定の要求指示である場合に、機器情報を報知可能な複数の対象部分(
図10における「コンロ後」「コンロ左」「コンロ右」「グリルオーブン」「乾電池」)のリストを表示装置94に表示する。「機器情報を要求する所定の要求指示」とは、具体的には、ステップS1にて
図9のような画面(複数の第1選択肢を表示する画面)が表示され、このように複数の第1選択肢が表示されている状態でマイク96Bに「機器情報」の音声が入力された場合の「機器情報」の音声が、「機器情報を要求する所定の要求指示」の一例に相当する。そして、表示制御部に相当する制御回路91は、このように「機器情報を要求する所定の要求指示」が音声指示検出部で検出された場合(具体的には、S3でYesの場合)には、ステップS21において
図10のように「機器情報を報知可能な複数の対象部分のリスト」を表示装置94に表示する。
図10の例では、表示される第2選択肢のうちの、「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」「乾電池」の5種類の情報が、「機器情報を報知可能な複数の対象部分のリスト」の一例に相当し、「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」「乾電池」の各部位が、「機器情報を報知可能な複数の対象部分」の一例に相当する。
制御部として機能する制御回路91は、このようなリスト(
図10)が表示装置94に表示された後に音声指示検出部で検出された音声指示が、このリストのうちのいずれかの対象部分を指定して物理量の検出を要求する特定指示である場合に、特定指示で指定された対象部分に対応した計測対象領域での所定種類の物理量に影響を与える所定部位に強制動作を行わせるように動作する。「このリストのうちのいずれかの対象部分を指定して物理量の検出を要求する特定指示である場合」とは、『ステップS21で
図10のように第2選択肢が表示された状態で音声によって「乾電池」が指定された場合(即ち、ステップS23でYesの場合)において、ステップS24の第1の機器関連制御が行われる場合』、又は、『ステップS21で
図10のように第2選択肢が表示された状態で音声によって「コンロ右」「コンロ左」「コンロ後」「グリルオーブン」のいずれかの項目が指定された場合(即ち、ステップS25でYesの場合)において、その指定された項目に対応する
図7の制御においてステップS31で
図11のように第3選択肢が表示された状態で音声によって「センサー温度」が指定された場合(即ち、ステップS34が行われる場合)』のいずれかの場合が該当する。
例えば、
図10のようにリストが表示されているときに「乾電池」を指定する音声指示は、「電池49を指定して物理量(出力電圧)の検出を要求する特定指示」に相当し、この場合、制御回路91は、電池49に対応した計測対象領域(具体的には電池49の両電極)での所定種類の物理量(出力電圧)に影響を与える所定部位(特定負荷)に強制動作(強制駆動)を行わせるように動作する。或いは、
図10のように第2選択肢が表示されているときに音声によって「コンロ右」を指定し、この指定に応じて
図11のように第3選択肢が表示されたときに音声によって「センサー温度」を指定する音声指示は、「コンロ右(右コンロ部4A)を指定して物理量(温度)の検出を要求する特定指示」に相当する。この場合、制御回路91は、コンロ右(右コンロ部4A)に対応した計測対象領域(サーミスタ51Cの表面)での所定種類の物理量(温度)に影響を与える所定部位(ガスバーナ51)に強制動作(火力を最小火力にする動作)を行わせるように動作する。
このように構成されていれば、ユーザは、所定の要求指示を音声によって発することで機器情報を報知可能な複数の対象部分のリストを把握することが可能となり、ガスコンロ内においてどの部分の機器情報が取得可能なであるかを簡単な操作で正確に認識しやすくなる。そして、リストの内容を把握した後には、物理量の検出を要求する部分を簡単な操作で正確に指定しやすくなる。
【0071】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような例も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0072】
実施例1では、ガスコンロの例としてビルトインコンロを例示したが、テーブルコンロであってもよい。
【0073】
実施例1では、ガスバーナ51,52,53,54が設けられたガスコンロ1を例示したが、ガスバーナの数はこれよりも多くても少なくてもよい。例えば、1つのガスバーナのみが設けられ、1つのイグナイタのみが設けられるようなガスコンロなどであってもよい。
【0074】
実施例1では、制御回路91、出力回路97A、スピーカ97Bが報知部の一例に相当する例を示したが、これらとともに、或いはこれらに代えて、制御回路91及び表示装置94が報知部として機能しもよい。この場合、開始前後の電池49の出力電圧V1,V2に基づく情報(電池49の内部抵抗値rに基づく情報、内部抵抗値rの値そのもの、内部抵抗値rに応じた寿命の予測情報など)を表示装置94に表示してもよく、計測対象領域の温度に基づく情報(強制動作前の温度T1、強制動作中の温度T2、これらT1,T2に基づく情報など)を表示装置94に表示してもよい。
【0075】
実施例1では、情報処理端末90に報知部が設けられた例を示したが、ガスコンロ1に報知部が設けられていてもよく、情報処理端末90とガスコンロ1の両方に報知部が設けられていてもよい。
【0076】
実施例1では、情報処理端末90とガスコンロ1とを備えたガスコンロシステム100によってガスコンロ用制御装置101が構成されていたが、ガスコンロ用制御装置は、ガスコンロのみによって構成されていてもよい。この場合、音声指示検出部、制御部、物理量検出部、報知部、内部抵抗値検出部などが全てガスコンロに設けられていればよい。
【符号の説明】
【0077】
1…ガスコンロ
10…制御回路(制御部)
49…電池
50…電池電圧検出回路(物理量検出部)
51,51,50,54…ガスバーナ
51C,52C,53C,54C…サーミスタ(物理量検出部)
90…情報処理端末
91…制御回路(音声指示検出部、制御部、報知部、内部抵抗値検出部、表示制御部)
94…表示装置(報知部)
96A…入力回路(音声指示検出部)
96B…マイク(音声指示検出部)
97A…出力回路(報知部)
97B…スピーカ(報知部)
100…ガスコンロシステム
101…ガスコンロ用制御装置