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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 8/06 20060101AFI20221216BHJP
   B43K 1/12 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
B43K8/06
B43K1/12 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018193391
(22)【出願日】2018-10-12
(65)【公開番号】P2020059247
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000134589
【氏名又は名称】株式会社トンボ鉛筆
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(72)【発明者】
【氏名】河野 壮人
(72)【発明者】
【氏名】吉島 成美
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-253193(JP,A)
【文献】特開2018-118420(JP,A)
【文献】特開2000-052682(JP,A)
【文献】実開昭58-164783(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 8/06
B43K 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に延びる筆記具本体と、
前記筆記具本体に収容されたインクを誘導し前記筆記具本体の軸方向に延びるインク誘導部と、
前記インク誘導部の先端側に接続され前記インク誘導部に誘導されたインクを用いて筆記体を筆記可能な筆記部と、
前記筆記部を保持する保持部、及び前記筆記具本体に取り付けられる取付部を有する保持体と、を備え、
前記保持部は、先端側に突出すると共に幅方向に延びる一対の先端側リブが対向して配置されることにより先端側が開放されると共に、前記一対の先端側リブの幅方向の両端部側の側面のうちの少なくともいずれか一方の側面側には、筆記体を筆記可能に前記筆記部の先端を先端側に突出させた状態で前記筆記部の側面に沿って配置される壁部が形成され
前記壁部は、前記保持部における前記壁部が形成された前記側面側において、前記先端側リブよりも先端側に突出して形成される、
筆記具。
【請求項2】
前記筆記部は、幅方向の長さが、厚さ方向の長さよりも大きく形成され、
前記筆記部の先端は、前記幅方向の一方側が前記幅方向の他方側よりも前記筆記具本体側に位置するように前記筆記具本体の軸方向に対して傾斜して形成され、
前記壁部は、前記筆記部の幅方向の一方側に配置される、
請求項1に記載の筆記具。
【請求項3】
前記インク誘導部と前記筆記部とは、略L字形状に形成された筆記芯を構成する、
請求項1又は2に記載の筆記具。
【請求項4】
前記保持部は、先端側及び一側面側が開放された溝状の筆記部保持部を有し、
前記筆記部は、前記筆記部保持部の一側面側から前記筆記部保持部に組み付けられ、
前記筆記部保持部は、前記筆記部の移動を規制する規制機構を有する、
請求項1~3のいずれかに記載の筆記具。
【請求項5】
前記規制機構は、前記保持部の先端側の開放された部分において先端に向けて幅が狭まる溝状の幅狭保持部を有する、
請求項4に記載の筆記具。
【請求項6】
前記保持部は、前記保持体の先端側に配置され前記筆記部が設置される先端側設置面と、前記保持体の一側面側に配置され前記インク誘導部が設置される一側面側設置面と、前記先端側設置面から先端側に立設する一対の先端側リブと、前記一側面側設置面から一側面側に立設する一対の一側面側リブと、を有し、
前記インク誘導部と前記筆記部とは、略L字形状に形成された筆記芯を構成し、
前記幅狭保持部は、先端側に幅が狭くなる前記一対の先端側リブにより構成され、
前記筆記芯は、前記保持部の先端側において前記一対の先端側リブで構成された前記幅狭保持部により先端側への移動が規制された状態で前記一対の先端側リブと前記先端側設置面とにより前記筆記部が挟持されると共に、前記保持部の一側面側において前記一対の一側面側リブの間に前記インク誘導部が嵌合されることで、前記保持部に取り付けられる、
請求項5に記載の筆記具。
【請求項7】
前記規制機構は、前記保持部の他側面側に形成され前記筆記部に係合する係合規制部を有する、
請求項5又は6に記載の筆記具。
【請求項8】
前記保持体は、筆記時に筆記方向を視認可能な可視部を有する、
請求項1~7のいずれかに記載の筆記具。
【請求項9】
前記取付部は、前記筆記具本体側を向いて形成される段差面を有し、
前記筆記具本体は、前記筆記具本体の内部に形成され前記保持体側を向いて形成されると共に前記段差面が当接する当接面を有し、
前記当接面は、前記筆記具本体の先端よりも後方側に配置される、
請求項1~8のいずれかに記載の筆記具。
【請求項10】
前記筆記具本体は、筒状に形成されており、該筆記具本体の内面から径方向の中心側に突出して形成され前記インク誘導部を前記筆記具本体の径方向の中心側に案内する案内部を有する、
請求項1~9のいずれかに記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーキングペンなどの筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マーキングペンなどの筆記具において、先端に設けられインクが誘導される筆記部は、先端が露出している。そのため、定規を用いて線を引く場合に、定規と筆記部の先端とが接触して、定規における筆記部との接触部分にインクが付着し、定規を汚してしまうことがあった。更には、繰り返し定規と接触することで、筆記部が破損してしまう可能性がある。
【0003】
これに対して、定規を用いて線を引く場合に、定規への筆記部のインクの付着を防止できる筆記具が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特許文献1に記載の筆記具は、筆記部を保持する保持体に2つの貫通孔や2つの溝を設けると共に、筆記部の途中に2股に分けた部分を形成することで、筆記部の2股に分けた部分を、2つの貫通孔や2つの溝に配置して、筆記部が保持体の側面の外側に配置されないように構成されている。これにより、定規を用いて線を引く場合に、保持体の側方の端部が定規に接触するため、筆記部の露出された部分が定規に接触しないように構成されている。
特許文献2に記載の筆記具は、筆記部の外面に被覆部材を設けて、被覆部分において、定規に接触する部分を残した状態で、先端の筆記する部分を削って露出するように構成されている。被覆部材が設けられた部分が定規に接触するため、筆記部の露出された部分が定規に接触しないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-253193号公報
【文献】特開2001-18575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の筆記具は、筆記部を2股に分けた部分を、2つの貫通孔や2つの溝に配置するため、製造する際に手間が掛かり易い。
また、特許文献2に記載の筆記具は、筆記部の外面に被覆部材を設けて、被覆部材を残す部分と削る部分とを形成する場合において、製造する際に手間が掛かり易い。
【0006】
本発明は、筆記部が定規に接触しないように構成され、簡易に製造できる筆記具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、所定方向に延びる筆記具本体と、前記筆記具本体に収容されたインクを誘導し前記筆記具本体の軸方向に延びるインク誘導部と、前記インク誘導部の先端側に接続され前記インク誘導部に誘導されたインクを用いて筆記体を筆記可能な筆記部と、前記筆記部を保持する保持部、及び前記筆記具本体に取り付けられる取付部を有する保持体と、を備え、前記保持部は、先端側が開放されると共に、少なくともいずれか一方の側面側には、筆記体を筆記可能に前記筆記部の先端を先端側に突出させた状態で前記筆記部の側面に沿って配置される壁部が形成される筆記具に関する。
【0008】
(2)前記筆記部は、幅方向の長さが、厚さ方向の長さよりも大きく形成され、前記筆記部の先端は、前記幅方向の一方側が前記幅方向の他方側よりも前記筆記具本体側に位置するように前記筆記具本体の軸方向に対して傾斜して形成され、前記壁部は、前記筆記部の幅方向の一方側に配置されることが好ましい。
【0009】
(3)前記インク誘導部と前記筆記部とは、略L字形状に形成された筆記芯を構成することが好ましい。
【0010】
(4)前記保持部は、先端側及び一側面側が開放された溝状の筆記部保持部を有し、前記筆記部は、前記筆記部保持部の一側面側から前記筆記部保持部に組み付けられ、前記筆記部保持部は、前記筆記部の移動を規制する規制機構を有することが好ましい。
【0011】
(5)前記規制機構は、前記保持部の先端側の開放された部分において先端に向けて幅が狭まる溝状の幅狭保持部を有することが好ましい。
【0012】
(6)前記保持部は、前記保持体の先端側に配置され前記筆記部が設置される先端側設置面と、前記保持体の一側面側に配置され前記インク誘導部が設置される一側面側設置面と、前記先端側設置面から先端側に立設する一対の先端側リブと、前記一側面側設置面から一側面側に立設する一対の一側面側リブと、を有し、前記インク誘導部と前記筆記部とは、略L字形状に形成された筆記芯を構成し、前記幅狭保持部は、先端側に幅が狭くなる前記一対の先端側リブにより構成され、前記筆記芯は、前記保持部の先端側において前記一対の先端側リブで構成された前記幅狭保持部により先端側への移動が規制された状態で前記一対の先端側リブと前記先端側設置面とにより前記筆記部が挟持されると共に、前記保持部の一側面側において前記一対の一側面側リブの間に前記インク誘導部が嵌合されることで、前記保持部に取り付けられることが好ましい。
【0013】
(7)前記規制機構は、前記保持部の他側面側に形成され前記筆記部に係合する係合規制部を有することが好ましい。
【0014】
(8)前記保持体は、筆記時に筆記方向を視認可能な可視部を有することが好ましい。
【0015】
(9)前記取付部は、前記筆記具本体側を向いて形成される段差面を有し、前記筆記具本体は、前記筆記具本体の内部に形成され前記保持体側を向いて形成されると共に前記段差面が当接する当接面を有し、前記当接面は、前記筆記具本体の先端よりも後方側に配置されることが好ましい。
【0016】
(10)前記筆記具本体は、筒状に形成されており、該筆記具本体の内面から径方向の中心側に突出して形成され前記インク誘導部を前記筆記具本体の径方向の中心側に案内する案内部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、筆記部が定規に接触しないように構成され、簡易に製造できる筆記具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の筆記具を示す斜視図である。
図2】本発明の筆記具の分解斜視図である。
図3】筆記具の太字マーカの部分を拡大して示す斜視図である。
図4】太字側筆記芯を、太字側保持体を介して筆記具本体に組み付ける形態を示す上方側から視た斜視図である。
図5】太字側筆記芯を、太字側保持体を介して筆記具本体に組み付ける形態を示す下方側から視た斜視図である。
図6】筆記具において、太字側筆記芯を取り付けた太字側保持体を、筆記具本体に組み付ける形態を示す斜視図である。
図7A図3のA-A線断面図である。
図7B図3のB-B線断面図である。
図7C図3のC-C線断面図である。
図8A図3のD-D線断面図である。
図8B図3のE-E線断面図である。
図9】筆記具により定規を用いて線を引く場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の筆記具の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の筆記具1を示す斜視図である。図2は、本発明の筆記具1の分解斜視図である。図3は、筆記具1の太字マーカ1aの部分を拡大して示す斜視図である。図4は、太字側筆記芯6を、太字側保持体3を介して筆記具本体2に組み付ける形態を示す上方側から視た斜視図である。図5は、太字側筆記芯6を、太字側保持体3を介して筆記具本体2に組み付ける形態を示す下方側から視た斜視図である。図6は、筆記具1において、太字側筆記芯6を取り付けた太字側保持体3を、筆記具本体2に組み付ける形態を示す斜視図である。図7Aは、図3のA-A線断面図である。図7Bは、図3のB-B線断面図である。図7Cは、図3のC-C線断面図である。図8Aは、図3のD-D線断面図である。図8Bは、図3のE-E線断面図である。図9は、筆記具1により定規100を用いて線を引く場合を示す図である。
【0020】
本実施形態の筆記具1は、例えば、マーキングペンである。図1に示すように、本実施形態の筆記具1は、所定方向に延びて形成され、長手方向の一方側に太字マーカ1aを備え、長手方向の他方側に細字マーカ1bを備える。
【0021】
図1及び図2に示すように、筆記具1は、筆記具本体2と、太字側保持体3(保持体)と、太字側筆記芯6(筆記芯)と、大キャップ11と、細字側筆記芯(図示せず)と、小キャップ12と、を備える。太字側筆記芯6は、インク誘導部7及び筆記部8により略L字形状に形成される。太字側保持体3には、太字側筆記芯6が取り付けられ、太字側筆記芯6が取り付けられた太字側保持体3は、筆記具本体2に取り付けられる。
【0022】
なお、本実施形態においては、本発明の筆記具1は、太字マーカ1a側の構成が主体となる。そのため、以下の本実施形態の筆記具1の説明において、「先端」は、筆記具1の長手方向において、太字マーカ1a側の端部を意味し、「後端」や「後方」は、筆記具1の長手方向において、太字マーカ1aの「先端と反対側の端部」や「先端と反対側の端部の方向」を意味する。
【0023】
筆記具本体2について説明する。
筆記具本体2は、図1及び図2に示すように、所定方向に延びる筒状に形成される軸筒部21と、軸筒部21の内部に配置される中綿29と、を有する。
【0024】
中綿29は、軸筒部21の内部に収容され、筆記具本体2の軸方向Jに延びる。中綿29には、筆記用のインクが含浸されている。中綿29の太字マーカ1a側には、太字側筆記芯6が差し込まれ、筆記具1の太字側筆記芯6側の端部(先端)には、大キャップ11が被せられる。また、中綿29の細字マーカ1b側には、筆記細芯(図示せず)が差し込まれ、筆記具1の筆記細芯(図示せず)側の端部には、小キャップ12が被せられる。
【0025】
軸筒部21は、本体軸筒22と、太芯側軸筒23と、を有する。
【0026】
本体軸筒22は、図2に示すように、円筒状に形成される。本体軸筒22の太字マーカ1a側の端部側の内周面には、本体側ネジ溝221が形成される。本体側ネジ溝221は、太芯側軸筒23の外周面に形成される太芯側ネジ溝27に螺合される。本体軸筒22の細字マーカ1b側の端部には、小キャップ12が取り付けられる。
【0027】
太芯側軸筒23は、図2図6に示すように、円筒状に形成される筒部24と、筒部24の先端に配置される環状面部25と、フランジ部26と、太芯側ネジ溝27と、軸筒側取付部28と、を有する。
【0028】
筒部24は、図2に示すように、筆記具本体2の軸方向Jに延びる。
環状面部25は、図4図6に示すように、筒部24の先端から、筒部24の径方向の内側に所定の長さ延びる環状に形成される。環状面部25は、図7Aに示すように、軸方向Jに対して傾斜して形成されている。環状面部25の径方向の内側には、図6に示すように、軸方向Jに貫通する矩形開口251が形成されている。
【0029】
矩形開口251は、図6に示すように、環状面部25の径方向の中央を長方形状に開口して形成される。矩形開口251には、太字側筆記芯6が取り付けられた太字側保持体3の後方側の端部が挿入されて取り付けられる。矩形開口251の径方向の一方側(図6において上方側)には、太字側保持体3のインク誘導部7が挿入され、矩形開口251の径方向の他方側(図6において下方側)には、太字側保持体3の取付凸部51が挿入される。
【0030】
フランジ部26は、図2に示すように、筒部24の軸方向Jの途中において、筒部24の外周面から、筒部24の周方向の全域に亘って円環状に突出して形成される。フランジ部26の他方側の端面には、本体軸筒22の太字マーカ1a側の端面が当接する。フランジ部26の一方側の端面には、大キャップ11の筆記具本体2側の端面が当接する。
【0031】
太芯側ネジ溝27は、筒部24における本体軸筒22側の端部側の外周面に形成され、本体軸筒22の本体側ネジ溝221に螺合される。
【0032】
軸筒側取付部28には、図6図7B及び図7Cに示すように、太字側筆記芯6を取り付けた太字側保持体3(保持体)が取り付けられる。軸筒側取付部28は、一対の突出コ字状部281と、一対の第1角段部282と、一対の第2角段部283と、案内傾斜突出部284(案内部)(図7B参照)と、を有する。
【0033】
一対の突出コ字状部281は、図6に示すように、それぞれ、環状面部25の矩形開口251の縁部に配置される。一対の突出コ字状部281は、環状面部25から先端側に突出して形成され、先端側から視た形状が略コ字状に形成される。一対の突出コ字状部281は、互いのコ字形状の開放側の部分が、筒部24の径方向において対向して配置される。
【0034】
一対の突出コ字状部281は、図6図8A及び図8Bに示すように、それぞれ、一対の嵌合部281aと、複数のガイド突起281bと、を有する。
【0035】
嵌合部281aは、図6に示すように、突出コ字状部281の後端において筒部24の内部側の縁部により構成される。一対の嵌合部281aは、筒部24の径方向において対向して配置される。嵌合部281aには、太字側保持体3の後方側の端部に形成される取付部5を矩形開口251に挿入することで、図8A及び図8Bに示すように、太字側保持体3(後述)の取付部5の取付凸部51が嵌合する。
【0036】
複数のガイド突起281bは、図6に示すように、突出コ字状部281の内側面に設けられ、筒部24の径方向の中心側に円弧状に突出して形成される。複数のガイド突起281bは、筆記具本体2に対する取付部5の径方向への移動を規制して、筒部24と取付部5との間のガタツキを防止する。
【0037】
一対の第1角段部282は、図5及び図6に示すように、環状面部25の矩形開口251における筆記具本体2の内部側において、筒部24の径方向において、インク誘導部7が配置される側の入隅の角部から径方向の内側に凸状に突出する。一対の第1角段部282の間には、インク誘導部7が配置される。第1角段部282は、軸方向Jの先端側を向いて形成される第1当接面282a(当接面)を有する。
【0038】
第1当接面282aは、第1角段部282の先端側の面により構成され、第1当接面282aには、太字側保持体3の第1段部52の第1段差面521(後述)が当接する。第1当接面282aは、筆記具本体2の径方向の内部側において筆記具本体2の先端よりも後方側に配置される。
【0039】
第2角段部283は、環状面部25の矩形開口251における筆記具本体2の内部側において、インク誘導部7が配置される側と反対側の入隅の角部から径方向の内側に凸状に突出する。第2角段部283は、先端側を向いて形成される第2当接面283a(当接面)を有する。
【0040】
第2当接面283aは、第2角段部283の先端側の面により構成され、第2当接面283aには、太字側保持体3の第2段部53の第2段差面531(後述)が当接する。第2当接面283aは、筆記具本体2の径方向の内側において、筆記具本体2の先端よりも後方側に配置される。
【0041】
案内傾斜突出部284は、図7Bに示すように、環状面部25の矩形開口251のインク誘導部7が配置される側の筒部24の内面の先端側において、筒部24の内面から径方向の中心側に突出して形成される。案内傾斜突出部284は、先端から後方側に向かうに従って突出するように傾斜して形成される。案内傾斜突出部284は、インク誘導部7が矩形開口251に挿入された場合に、インク誘導部7を筒部24の径方向の中心側に押圧して、インク誘導部7を筒部24の径方向の中心側に案内する。中綿29の径方向の中心側にインク誘導部7を案内できるため、中綿29からインク誘導部7に、安定してインクを供給できる。
【0042】
太字側筆記芯6について説明する。太字側筆記芯6は、図5及び図6に示すように、太字側保持体3に取り付けられ、太字側筆記芯6が取り付けられた太字側保持体3は、筆記具本体2に取り付けられる。
【0043】
太字側筆記芯6は、図5及び図6に示すように、インク誘導部7及び筆記部8を有し、一体で略L字形状に形成される。太字側筆記芯6は、厚さ方向Tに幅を有すると共に、先端側に配置された筆記部8が幅方向Wに幅を有して形成される。太字側筆記芯6の幅方向Wは、本実施形態における図4図6の紙面の上下方向と一致する。太字側筆記芯6の厚さ方向Tは、インク誘導部7の径方向のうち、本実施形態における図4図6の紙面の水平方向と一致する。
【0044】
インク誘導部7は、図4に示すように、筆記具本体2の径方向の上方側(一方側)に配置され、筆記具本体2の軸方向Jに延びる。インク誘導部7は、筆記具本体2に収容されたインクを筆記部8側に誘導する。インク誘導部7は、太字側保持体3の保持部4の一側面側開放保持部42(後述)に配置される。インク誘導部7は、太字側保持体3の保持部4の一側面側開放保持部42において、一対の一側面側リブ482(後述)の間に嵌合される。
【0045】
筆記部8は、多孔体部材で構成され、例えば繊維芯や焼結芯、フェルトなどが用いられるが、インク誘導部に誘導されたインクを用いて筆記体を筆記できるものであれば、これに限定されるものではない。
筆記部8は、インク誘導部7の先端側に接続され、インク誘導部7における筆記具本体2の軸方向Jの一方側の先端から、筆記具本体2の径方向の下方側(他方側)に延びる。筆記部8が延びる方向を幅方向Wという。筆記部8は、太字側保持体3の保持部4の先端側開放保持部41(後述)に配置される。筆記部8は、太字側保持体3の保持部4の先端側開放保持部41において、一対の先端側リブ481により構成された幅狭保持部411により先端側への移動が規制された状態で、一対の先端側リブ481と先端側設置面471との間に挟持される。筆記部8が一対の先端側リブ481と先端側設置面471との間に挟持されることで、筆記時に、筆記部8と太字側保持体3とが、ガタツキなく保持可能となる。筆記部8は、インク誘導部7に誘導されたインクを用いて、被筆記面に文字や線などの筆記体を筆記可能である。
【0046】
筆記部8は、図4に示すように、先端側に配置される幅狭筆記部81と、幅狭筆記部81の後端に接続される後端台座部82と、幅狭筆記部81の幅方向Wの先端(下方側の端部)に形成される係合凸部83と、を有する。
【0047】
幅狭筆記部81は、図8A及び図8Bに示すように、筆記部8の軸方向Jの先端側に配置され、軸方向Jの先端に向けて厚さ方向Tの幅が狭まるように形成される。幅狭筆記部81の軸方向Jの先端は、図7Aに示すように、側方から視た場合に、インク誘導部7側の上方側(一方側)から下方側(他方側)に向かうに従って筆記具本体2側に向かうように傾斜して形成される。
【0048】
後端台座部82は、図4及び図7Bに示すように、幅狭筆記部81の軸方向Jの後端に接続される。後端台座部82は、太字側筆記芯6が太字側保持体3に取り付けられる場合に、軸方向Jの後端面が、太字側保持体3の保持部4の先端側設置面471(後述)に配置される。
【0049】
係合凸部83は、図5及び図7Cに示すように、幅狭筆記部81の幅方向Wの先端(下端)における軸方向Jの後方側の部分から、幅方向Wの下側に突出する。係合凸部83は、太字側筆記芯6が太字側保持体3に取り付けられる場合に、規制突起432と先端側設置面471との間に係合される。係合凸部83が係合規制部49(規制突起432及び先端側設置面471)(後述)に係合することにより、太字側筆記芯6の幅方向Wの先端側において、筆記部8の軸方向Jの先端側及び後方側への移動が規制される。
【0050】
太字側保持体3について説明する。太字側保持体3には、図3図5に示すように、太字側筆記芯6が取り付けられる。太字側保持体3は、板状に形成され、厚さ方向Tに幅を有すると共に、幅方向Wに幅を有して、軸方向Jに延びて形成される。
【0051】
太字側保持体3は、太字側筆記芯6を保持した状態において、筆記時に筆記方向を視認可能な可視部Vを有する。「筆記方向」は、筆記時に書き進む方向を意味する。より詳細には、可視部Vは、太字側保持体3が太字側筆記芯6を保持した状態において、筆記時に予め筆記方向に書いてある文字や線(図示せず)を視認可能である。太字側保持体3は、筆記方向に書いてある文字や線を視認可能な材料により形成される。もしくは、筆記方向を視認可能なように可視部の部分を貫通孔としてもよい。本実施形態においては、太字側保持体3は、例えば、透明の材料又は半透明の材料により形成される。太字側保持体3に可視部Vを設けることで、筆記方向に筆記されている文字や線などの筆記体が確認できるため、書き終わりや引き終わりが分かり易い。
【0052】
太字側保持体3は、先端側に配置される保持部4と、保持部4の後端に接続される取付部5と、を有する。
【0053】
保持部4は、太字側筆記芯6を保持する。保持部4は、図4に示すように、先端側が開放されることで形成され筆記部8を保持する先端側開放保持部41(筆記部保持部)と、一側面側が開放されることで形成されインク誘導部7を保持する一側面側開放保持部42と、を有し、他側面側には、他側面閉鎖部43が配置されている。
先端側開放保持部41は、幅狭保持部411(規制機構)と、係合規制部49(規制突起432及び先端側設置面471)(規制機構)と、を有する。
【0054】
また、保持部4は、図4及び図7Aに示すように、設置面47と、一対の先端側リブ481,481と、一対の一側面側リブ482,482と、を有する。
【0055】
設置面47は、図4及び図7Bに示すように、太字側保持体3の先端側に配置される先端側設置面471と、太字側保持体3の一側面側に配置される一側面側設置面472と、を有する。
先端側設置面471は、先端側開放保持部41の底面を構成し、軸方向Jの先端側を向く面であり、筆記具本体2の径方向に延びる。先端側設置面471には、筆記部8が設置される。
一側面側設置面472は、一側面側開放保持部42の底面を構成し、一方側の側方を向く面であり、筆記具本体2の軸方向Jに延びる。一側面側設置面472には、インク誘導部7が設置される。
【0056】
一対の先端側リブ481,481は、先端側設置面471から先端側に立設されると共に筆記具本体2の軸方向Jに交差する方向に対向する。一対の一側面側リブ482,482は、一側面側設置面472から一側面側に立設されると共に筆記具本体2の軸方向Jに交差する方向に対向する。
【0057】
先端側リブ481は、図8Aに示すように、先端側リブ481の先端側の部分の外面と筆記部8の幅狭筆記部81の先端側の部分の外面とを繋ぐ傾斜線Kが、筆記具本体2の軸方向Jに対して、角度θの範囲に位置されるように形成されることが好ましい。筆記具本体2の軸方向Jに対する傾斜線Kの角度θは、例えば、45°以下が好ましく、35°以下が更に好ましい。
【0058】
これにより、先端側リブ481が筆記部8の幅狭筆記部81の先端側の部分よりも後方側に位置するため、筆記部8の幅狭筆記部81の先端の部分は、露出する部分が多くなる。よって、先端側リブ481を紙面側に倒すように傾けて筆記具1を使用する場合に、先端側リブ481は、先端側リブ481を紙面側に倒すように筆記具1を傾けても、筆記具本体2の軸方向Jが紙面に対して角度θとなるまで紙面に接触しない。従って、筆記具本体2の軸方向Jに対する傾斜線Kの角度θとすることで、先端側リブ481を紙面側に倒すように傾けた状態での筆記を行い易い。
【0059】
特に、本発明の筆記具1は、筆記時に可視部Vを通して筆記方向を視認できるため、筆記具1をより倒した状態で筆記を行うことがある。このような場合でも、先端側リブ481を紙面側に倒すように傾けた状態での筆記を行い易いため、先端側リブ481を紙面側に倒した状態で、可視部Vを通して筆記方向を視認しながら、より好適に筆記を行うことができる。
【0060】
先端側開放保持部41は、図4図5図8A及び図8Bに示すように、保持部4の先端側及び一側面側が開放されることで形成され、筆記具本体2の径方向に延びる溝状に形成される。先端側開放保持部41は、幅狭保持部411を有する。幅狭保持部411は、図8A及び図8Bに示すように、一対の先端側リブ481により構成され、保持部4の先端側の開放された部分において、軸方向Jの先端に向けて厚さ方向Tの幅が狭まる溝状に形成される。
【0061】
幅狭保持部411には、図4及び図5に示すように、筆記部8の幅狭筆記部81が配置される。幅狭保持部411は、一対の先端側リブ481により筆記部8の幅狭筆記部81の先端側への移動が規制された状態で、筆記部8を保持し、筆記部8の先端側への移動を規制する規制機構を構成する。筆記部8の幅狭筆記部81は、先端側開放保持部41の一側面側から先端側開放保持部41の幅狭保持部411に組み付けられる。
【0062】
一側面側開放保持部42は、保持部4の一側面側が開放されることで形成され、筆記具本体2の軸方向Jに延びる溝状に形成される。一側面側開放保持部42は、一対の一側面側リブ482により構成される。一側面側開放保持部42は、一対の一側面側リブ482の間にインク誘導部7を挟み込んで嵌合することで、インク誘導部7を保持する。
【0063】
他側面閉鎖部43は、図4及び図5に示すように、保持部4の他側面を閉鎖する。他側面閉鎖部43は、壁部431と、規制突起432と、を有する。
【0064】
壁部431は、他側面閉鎖部43の軸方向Jの先端において、先端側に半円弧状に突出する。壁部431は、図3及び図7Bに示すように、太字側保持体3の他側面側に、筆記体を筆記可能に筆記部8の先端を先端側に突出させた状態で筆記部8の他側面に沿って配置される。壁部431は、筆記部8の他側面が露出する範囲を、筆記時に定規が筆記部8に接触しない範囲に制限するように、軸方向Jの先端側に突出する。
【0065】
本実施形態においては、保持部4の先端側においては、壁部431が、保持部4の他側面閉鎖部43から軸方向Jの先端側に突出して形成され、先端側リブ481が、筆記部8の幅狭筆記部81の先端側の部分よりも後方側に位置する。そのため、保持部4の先端側が開放されると共に、壁部431が軸方向Jの先端側に突出して形成される。これにより、保持部4の先端側においては、筆記部8の先端の部分は、露出する部分が多くなる。よって、先端側リブ481を紙面側に倒すように傾けた状態での筆記を行い易い。
【0066】
筆記部8は、幅方向Wの幅W1(長さ)(図7A参照)が、厚さ方向Tの幅T1(長さ)(図8A参照)よりも大きく形成される(W1>T1)。より詳細には、本実施形態においては、筆記部8の幅方向Wの幅W1は、図7Aに示すように、幅方向Wにおいて、筆記部8の先端に沿う筆記具本体2の軸方向Jに傾斜する方向の長さである。
筆記部8は、幅方向Wの幅W1(描線幅、紙面に接触する部分の幅)が太く形成され、好ましくは2mm以上の描線幅となる筆記部であり、更に好ましくは3mm以上の描線幅となる筆記部である。
【0067】
筆記部8の先端は、図7Aに示すように、幅方向Wの一方側(図7Aにおける下方側)が他方側(図7Aにおける上方側)よりも筆記具本体2側に位置するように筆記具本体2の軸方向Jに対して傾斜して形成される。壁部431は、筆記部8の幅方向Wの一方側に配置される。
【0068】
壁部431は、傾斜する筆記部8の先端の両側面のうち、筆記時に手前側にくる側面側に設けられることが好ましい。壁部431が筆記部8の幅方向Wの一方側に配置されることで、壁部431を筆記時に手前側にくる側面側に設けることが可能となり、自然な持ち方で、壁部431が定規に接触した状態で筆記可能となる。
【0069】
図9に示すように、壁部431が先端側に突出する長さは、壁部431の先端431aの位置が、筆記部8における幅方向Wの壁部431側の端部の先端8aの位置よりも、例えば、定規100の厚さよりも短い距離Aだけ、後方側に位置するように設定される。「定規100の厚さよりも短い距離A」は、筆記面である筆記部8の先端8aから1.5mm以下であり、好ましくは1.0mm以下であり、さらに好ましくは0.5mm以下である。これにより、定規100を用いて線を引く場合に、壁部431の側方の端部が定規に接触するため、筆記部8の露出された部分が定規に接触しない。よって、定規100を用いて線を引く場合に、定規にインクが付着することが抑制されるため、定規100が汚れることを防止でき、かつ、筆記部8と定規100が擦れることにより生じる筆記部8の破損を防止することができる。
【0070】
規制突起432は、図4及び図7Cに示すように、先端側設置面471から先端側に離間した位置において、他側面閉鎖部43の先端側の内面から径方向の内側に突出して形成される。規制突起432は、厚さ方向Tに延びると共に、厚さ方向Tの中央が円弧状に凹んで形成される。規制突起432及び先端側設置面471により構成された係合規制部49に、筆記部8の係合凸部83が係合されることで、他側面側において、筆記部8の先端側及び後方側への移動を規制する。規制突起432及び先端側設置面471は、係合規制部49を構成する。係合規制部49は、保持部4の他側面側の他側面閉鎖部43に形成されており、筆記部8の係合凸部83に係合することで、筆記部8の先端側及び後方側への移動を規制する規制機構を構成する。
【0071】
取付部5は、板状に形成され、図5及び図6に示すように、筆記具本体2の軸筒側取付部28に取り付けられる。取付部5は、一対の取付凸部51と、一対の第1段部52と、一対の第2段部53と、を有する。
【0072】
一対の取付凸部51は、太字側保持体3における筆記具本体2側の端部側において、取付部5の厚さ方向Tの両側の外面から外側に厚さ方向Tに厚くなる板状に突出する。取付凸部51は、先端側に配置される嵌合板部511と、嵌合板部511の後方に形成される傾斜導入板部512と、を有する。取付凸部51は、図8A及び図8Bに示すように、一対の突出コ字状部281の嵌合部281aに嵌合することで、取付部5を筆記具本体2に取り付けることができる。
【0073】
一対の第1段部52は、図5及び図6に示すように、太字側保持体3の軸方向Jにおける筆記具本体2側の端部側において、一対の一側面側リブ482の後端をL字状に切り欠いて形成される。第1段部52は、第1段差面521(段差面)を有する。第1段差面521は、第1段部52の先端側に形成され、後方側(筆記具本体2側)を向いて形成される。第1段差面521は、筆記具本体2の先端側において筆記具本体2の内部側に配置される第1角段部282の第1当接面282aに当接する。
【0074】
一対の第2段部53は、図5及び図6に示すように、太字側保持体3の軸方向Jにおける筆記具本体2側の端部側において、他側面閉鎖部43の後端の角部を直方体形状に切り欠いて形成される。第2段部53は、第2段差面531(段差面)を有する。第2段差面531は、第2段部53の先端側に形成され、後方側(筆記具本体2側)を向いて形成される。第2段差面531は、筆記具本体2の先端側において筆記具本体2の内部側に配置される第2角段部283の第2当接面283aに当接する。
【0075】
次に、本実施形態に係る筆記具1を組み立てる方法について説明する。
まず、図4及び図5に示すように、太字側筆記芯6を太字側保持体3に組み付ける。具体的には、太字側筆記芯6を、一側面側から太字側保持体3に組み付けることで、先端側開放保持部41において、一対の先端側リブ481で構成された幅狭保持部411により先端側への移動が規制された状態で一対の先端側リブ481と先端側設置面471とにより筆記部8が挟持されると共に、一側面側開放保持部42において、一対の一側面側リブ482の間にインク誘導部7が嵌合される。
【0076】
これにより、略L字形状の太字側筆記芯6を太字側保持体3の幅方向Wの一側面側から挿入するだけで、太字側筆記芯6を太字側保持体3に簡単に組み付けることができる。
太字側筆記芯6は、略L字形状に形成されるため、コ字形状に形成するよりも、太字側保持体3の可視部Vを大きく設けることができる。
【0077】
また、筆記部8の幅狭筆記部81が先端側開放保持部41の幅狭保持部411に配置されることで、太字側筆記芯6の軸方向Jの先端側への移動が規制される。また、規制突起432及び先端側設置面471により構成された係合規制部49に、筆記部8の係合凸部83が係合されることで、幅方向Wの他側面側において、筆記部8の先端側及び後方側への移動が規制される。これにより、太字側保持体3の軸方向Jへの太字側筆記芯6(筆記部8)の抜けを防止することができる。
【0078】
続けて、図6に示すように、太字側筆記芯6を取り付けた太字側保持体3の取付部5を、筆記具本体2の先端に取り付ける。具体的には、太字側筆記芯6を取り付けた太字側保持体3の取付部5を、先端側から、筆記具本体2の矩形開口251に挿入する。これにより、図8A及び図8Bに示すように、一対の取付凸部51を、一対の突出コ字状部281の嵌合部281aに嵌合させることで、太字側保持体3の取付部5を筆記具本体2に取り付けることができる。
【0079】
ここで、一対の取付凸部51が、一対の嵌合部281aに嵌合させることで、太字側保持体3の取付部5を筆記具本体2に取り付けるため、太字側保持体3を筆記具本体2から抜けないように取り付けることができる。
また、太字側保持体3の取付部5が板状に形成されると共に、筆記具本体2の矩形開口251が長方形状に開口するため、太字側保持体3の取付部5は、筆記具本体2に対して回転しにくい。
【0080】
また、筆記具本体2の内部において、筆記具本体2の第1当接面282aには、太字側保持体3の第1段部52の第1段差面521が当接する。また、筆記具本体2の内部において、筆記具本体2の第2当接面283aには、太字側保持体3の第2段部53の第2段差面531が当接する。本実施形態においては、第1当接面282a及び第2当接面283aが、筆記具本体2の径方向の内側において筆記具本体2の先端よりも後方側に配置される。これにより、段差面521,531と当接面282a,283aとの当接部分が、筆記具本体2の内部に位置されるため、太字側保持体3の取付部5と筆記具本体2との隙間が見えにくい。
【0081】
また、図7Bに示すように、環状面部25の矩形開口251のインク誘導部7が配置される側の筒部24の内面の軸方向Jの先端側において、先端から後方側に向かうに従って突出するように傾斜して形成される案内傾斜突出部284を設けることで、案内傾斜突出部284により、中綿29の径方向の中心側にインク誘導部7を案内できるため、中綿29からインク誘導部7に、安定してインクを供給できる。
【0082】
以上説明した本実施形態の筆記具1によれば、以下のような効果を奏する。
【0083】
(1)筆記具1を、所定方向に延びる筆記具本体2と、インク誘導部7と、筆記部8と、筆記部8を保持する保持部4と、筆記具本体2に取り付けられる取付部5と、を有する保持体3と、を含んで構成し、保持部4を、先端側が開放されると共に、少なくともいずれか一方の側面側には、筆記体を筆記可能に筆記部8の先端を先端側に突出させた状態で筆記部8の側面に沿って配置される壁部431が形成されるように構成した。
これにより、定規100を用いて線を引く場合に、壁部431の側方の端部が定規に接触するため、筆記部8の露出された部分が定規に接触しない。そのため、定規100を用いて線を引く場合に、定規にインクが付着することが抑制されるため、筆記部8が汚れることを防止でき、かつ、筆記部8と定規100が擦れることにより生じる筆記部8の破損を防止することができる。
よって、筆記部8が定規に接触しないように構成され、かつ、筆記具1を簡易に製造できる。
また、本実施形態においては、保持部4の先端側が開放されると共に、壁部431が軸方向Jの先端側に突出して形成される。これにより、保持部4の先端側においては、筆記部8の先端の部分は、露出する部分が多くなる。よって、紙面側に倒すように傾けた状態での筆記を行い易い。
【0084】
(2)筆記部8は、幅方向Wの幅W1が、厚さ方向Tの幅T1よりも大きく形成され、筆記部8の先端は、幅方向Wの一方側が他方側よりも筆記具本体2側に位置するように筆記具本体2の軸方向Jに対して傾斜して形成され、壁部431は、筆記部8の幅方向Wの一方側に配置される。これにより、壁部431を筆記部8における筆記時に手前側の側面側に設けることが可能となり、自然な持ち方で、壁部431が定規に接触した状態で筆記可能となる。
【0085】
(3)インク誘導部7と筆記部8とは、略L字形状に形成された筆記芯6を構成する。
これにより、太字側筆記芯6が略L字形状に形成されるため、略L字形状の太字側筆記芯6を太字側保持体3の一側面側から挿入するだけで、太字側筆記芯6を太字側保持体3に簡単に組み付けることができる。
【0086】
(4)保持部4を、先端側及び一側面側が開放された溝状の先端側開放保持部41を有して構成し、筆記部8を、先端側開放保持部41の一側面側から先端側開放保持部41に組み付けられるように構成し、先端側開放保持部41を、筆記部8の移動を規制する規制機構(幅狭保持部411、係合規制部49)を有して構成した。
これにより、太字側筆記芯6を太字側保持体3の一側面側から挿入するだけで、太字側筆記芯6を太字側保持体3に簡単に組み付けることができる。
また、筆記部8の幅狭筆記部81が先端側開放保持部41の幅狭保持部411に配置されることで、太字側筆記芯6の軸方向Jの先端側への移動が規制される。また、規制突起432及び先端側設置面471(係合規制部49)に、筆記部8の係合凸部83が係合されることで、幅方向Wの他側面側において、筆記部8の先端側及び後方側への移動が規制される。これにより、太字側保持体3の軸方向Jへの太字側筆記芯6(筆記部8)の抜けを防止することができる。
【0087】
(5)規制機構は、保持部4の先端側の開放された部分において先端に向けて幅が狭まる溝状の幅狭保持部411を有する。これにより、簡易な構成で、太字側筆記芯6の軸方向Jの先端側への移動を規制することができる。
【0088】
(6)保持部4は、太字側保持体3の先端側に配置され筆記部8が設置される先端側設置面471と、太字側保持体3の一側面側に配置されインク誘導部7が設置される一側面側設置面472と、先端側設置面471から先端側に立設する一対の先端側リブ481と、一側面側設置面472から一側面側に立設する一対の一側面側リブ482と、を有し、幅狭保持部411は、先端側に幅が狭くなる一対の先端側リブ481により構成され、筆記芯6は、保持部4の先端側において幅狭保持部411により先端側への移動が規制された状態で一対の先端側リブ481と先端側設置面471とにより筆記部8が挟持されると共に、保持部4の一側面側において一対の一側面側リブ482の間にインク誘導部7が嵌合されることで、保持部4に取り付けられる。
これにより、太字側筆記芯6を太字側保持体3の一側面側から挿入するだけで、太字側筆記芯6を太字側保持体3に簡単に組み付けることができると共に、太字側筆記芯6が太字側保持体3から抜けにくい構成とすることができる。
【0089】
(7)規制機構は、保持部4の他側面側に形成され筆記部8に係合する係合規制部49を有する。これにより、簡易な構成で、太字側筆記芯6の軸方向Jの先端側及び後方側への移動を規制することができる。
【0090】
(8)太字側保持体3は、筆記時に筆記方向に視認可能な可視部Vを有する。これにより、太字側保持体3に可視部Vを設けることで、筆記方向に筆記された文字や線などの筆記体が確認できるため、書き終わりや引き終わりが分かり易い。
【0091】
(9)取付部5は、筆記具本体2側を向いて形成される段差面521,531を有し、筆記具本体2は、筆記具本体2の内部に形成され太字側保持体3側を向いて形成されると共に段差面521,531が当接する当接面282a,283aを有し、当接面282a,283aは、筆記具本体2の先端よりも後方側に配置される。
これにより、段差面521,531と当接面282a,283aとの当接部分が、筆記具本体2の内部に位置されるため、太字側保持体3の取付部5と筆記具本体2との隙間が見えにくい。よって、意匠性を向上できる。
【0092】
(10)筆記具本体2は、筒状に形成されており、筆記具本体2の内面から径方向の中心側に突出して形成されインク誘導部7を筆記具本体2の径方向の中心側に案内する案内傾斜突出部284を有する。
これにより、案内傾斜突出部284により中綿29の径方向の中心側にインク誘導部7を案内できるため、中綿29からインク誘導部7に、安定してインクを供給できる。
【0093】
以上、本発明の筆記具1の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、本発明の筆記具として、インクを含有した中綿を用いたマーキングペンを例に説明したが、これに限らない。例えば、筆記具として、バルブ機構や蛇腹機構を用いた直液式にも適用可能である。
【0094】
また、前記実施形態では、略L字形状の太字側筆記芯6を、インク誘導部7及び筆記部8により一体で構成した。太字側筆記芯6を一体で構成する場合に、太字側筆記芯6を一部品で構成してもよいし、太字側筆記芯6をインク誘導部7及び筆記部8の別々の部品で構成して互いを接続してもよい。また、インク誘導部7を保持体に直接形成された穴で構成してもよい。
【0095】
また、前記実施形態の保持部4において、筆記部8またはインク誘導部7が接触する面に(先端側設置面471、一側面側設置面472、先端側リブ481、一側面側リブ482)に凹凸やシボが設けられていても良い。筆記部8またはインク誘導部7が接触する面に凹凸やシボを設けることにより、筆記部8またはインク誘導部7を、保持部4から抜けづらくすることができる。
【符号の説明】
【0096】
1 筆記具
2 筆記具本体
3 太字側保持体(保持体)
4 保持部
5 取付部
6 太字側筆記芯(筆記芯)
7 インク誘導部
8 筆記部
41 先端側開放保持部(幅狭保持部)
47 設置面
49 係合規制部(規制機構)
81 幅狭筆記部
411 幅狭保持部(規制機構)
431 壁部
471 先端側設置面
472 一側面側設置面
481 先端側リブ
482 一側面側リブ
V 可視部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9