(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】割出装置および工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 16/10 20060101AFI20221216BHJP
B23Q 1/54 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
B23Q16/10 A
B23Q1/54
(21)【出願番号】P 2019005269
(22)【出願日】2019-01-16
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】596037194
【氏名又は名称】パスカルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北浦 太一郎
(72)【発明者】
【氏名】二宮 隆司
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-175135(JP,U)
【文献】実公昭49-008537(JP,Y1)
【文献】特開平08-150542(JP,A)
【文献】特開昭51-119579(JP,A)
【文献】実開昭57-136636(JP,U)
【文献】特開平11-333715(JP,A)
【文献】実公昭56-044558(JP,Y2)
【文献】特開昭58-211847(JP,A)
【文献】特開平06-238536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 16/10
B23Q 1/25 - 1/68
B23Q 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の主軸の動作によってワークを任意の角度に回転させることが可能な割出装置であって、
流体圧の第1ポートを有する本体と、
流体圧の第2ポートを有し、前記本体に対して回転可能な回転部分と、
前記本体に収納され、前記第1ポートと前記第2ポートとを接続する流体圧流路を有し、前記本体と前記回転部分とを相互回転可能に接合するロータリジョイント
と、
前記本体に対する前記回転部分の回転位置を検知可能な回転位置検知機構とを備え、
前記回転位置検知機構は、加圧エアが供給される複数の検知穴と、前記複数の検知穴を大気圧に連通させる排気口と、前記回転部分とともに回転し、回転部分が所定の回転位置にあるときに前記複数の検知穴のいずれかを塞ぐことが可能な閉塞部材とを含む、割出装置。
【請求項2】
工作機械の主軸の動作によってワークを任意の角度に回転させることが可能な割出装置であって、
エア通路を有する本体と、
前記本体に対して回転可能な回転部分と、
前記本体の内部に形成され、前記本体に対する前記回転部分の回転をロックすることが可能なロック機構と、
前記回転部分が前記ロック機構により制限されない第1状態と、前記回転部分の回転が前記ロック機構によりロックされた第2状態と、前記ロック機構は作動しているが前記回転部分の回転が完全にはロックされていない第3状態とを検知可能なロック状態検知機構
と、
前記本体に対する前記回転部分の回転位置を検知可能な回転位置検知機構とを備え、
前記回転位置検知機構は、加圧エアが供給される複数の検知穴と、前記複数の検知穴を大気圧に連通させる排気口と、前記回転部分とともに回転し、回転部分が所定の回転位置にあるときに前記複数の検知穴のいずれかを塞ぐことが可能な閉塞部材とを含む、割出装置。
【請求項3】
前記回転部分に固定され前記ワークを保持可能な保持部
をさらに備え、
前記保持部は、前記主軸に取付けられたツールと係合可能な係合部を含む
、請求項1または請求項2に記載の割出装置。
【請求項4】
工作機械の主軸の動作によってワークを任意の角度に回転させることが可能な割出装置であって、
本体と、
前記本体に対して回転可能な回転部分と、
前記本体に対する前記回転部分の回転の位置決めを行なう位置決め機構
と、
前記本体に対する前記回転部分の回転位置を検知可能な回転位置検知機構とを備え、
前記位置決め機構は、前記本体に固定される第1部分と、前記回転部分に固定される第2部分と、前記第1部分および前記第2部分に対して係合可能な第3部分と、前記第3部分を前記第1部分および前記第2部分に対して進退させる動作機構とを含み、
前記回転位置検知機構は、加圧エアが供給される複数の検知穴と、前記複数の検知穴を大気圧に連通させる排気口と、前記回転部分とともに回転し、回転部分が所定の回転位置にあるときに前記複数の検知穴のいずれかを塞ぐことが可能な閉塞部材とを含む、割出装置。
【請求項5】
工作機械の主軸の動作によってワークを任意の角度に回転させることが可能な割出装置であって、
エア通路を有する本体と、
前記本体に対して回転可能な回転部分と
、
前記本体の内部に形成され、前記本体に対する前記回転部分の回転をロックすることが可能なロック機構と、
前記回転部分が前記ロック機構により制限されない第1状態と、前記回転部分の回転が前記ロック機構によりロックされた第2状態と、前記ロック機構は作動しているが前記回転部分の回転が完全にはロックされていない第3状態とを検知可能なロック状態検知機構とを備え、
前記ロック状態検知機構は、第1のエア通路および前記第1のエア通路を開閉可能な第1の弁体と、第2のエア通路および前記第2のエア通路を開閉可能な第2の弁体とを含み、
前記第1の弁体による前記第1のエア通路の開閉状態と、前記第2の弁体による前記第2のエア通路の開閉状態との組み合わせにより、前記第1状態、前記第2状態、および前記第3状態のいずれにあるかが検知される、割出装置。
【請求項6】
工作機械の主軸の動作によってワークを任意の角度に回転させることが可能な割出装置であって、
流体圧の第1ポートおよびエア通路を有する本体と、
流体圧の第2ポートを有し、前記本体に対して回転可能な回転部分と、
前記本体に収納され、前記第1ポートと前記第2ポートとを接続する流体圧流路を有し、前記本体と前記回転部分とを相互回転可能に接合するロータリジョイントと、
前記本体の内部に形成され、前記本体に対する前記回転部分の回転をロックすることが可能なロック機構と、
前記回転部分が前記ロック機構により制限されない第1状態と、前記回転部分の回転が前記ロック機構によりロックされた第2状態と、前記ロック機構は作動しているが前記回転部分の回転が完全にはロックされていない第3状態とを検知可能なロック状態検知機構と、
前記回転部分に固定され前記ワークを保持可能な保持部とを備え、
前記保持部は、前記主軸に取付けられたツールと係合可能な係合部を含み、前記割出装置はさらに、
前記本体に対する前記回転部分の回転の位置決めを行なう位置決め機構を備え、
前記位置決め機構は、前記本体に固定される第1部分と、前記回転部分に固定される第2部分と、前記第1部分および前記第2部分に対して係合可能な第3部分と、前記第3部分を前記第1部分および前記第2部分に対して進退させる動作機構とを含み、前記割出装置はさらに、
前記本体に対する前記回転部分の回転位置を検知可能な回転位置検知機構を備え、
前記回転位置検知機構は、加圧エアが供給される複数の検知穴と、前記複数の検知穴を大気圧に連通させる排気口と、前記回転部分とともに回転し、回転部分が所定の回転位置にあるときに前記複数の検知穴のいずれかを塞ぐことが可能な閉塞部材とを含む、割出装置。
【請求項7】
工作機械の主軸の動作によってワークを任意の角度に回転させることが可能な割出装置であって、
流体圧の第1ポートおよびエア通路を有する本体と、
流体圧の第2ポートを有し、前記本体に対して回転可能な回転部分と、
前記本体に収納され、前記第1ポートと前記第2ポートとを接続する流体圧流路を有し、前記本体と前記回転部分とを相互回転可能に接合するロータリジョイントと、
前記本体の内部に形成され、前記本体に対する前記回転部分の回転をロックすることが可能なロック機構と、
前記回転部分が前記ロック機構により制限されない第1状態と、前記回転部分の回転が前記ロック機構によりロックされた第2状態と、前記ロック機構は作動しているが前記回転部分の回転が完全にはロックされていない第3状態とを検知可能なロック状態検知機構と、
前記回転部分に固定され前記ワークを保持可能な保持部とを備え、
前記保持部は、前記主軸に取付けられたツールと係合可能な係合部を含み、前記割出装置はさらに、
前記本体に対する前記回転部分の回転位置を検知可能な回転位置検知機構を備え、
前記回転位置検知機構は、加圧エアが供給される複数の検知穴と、前記複数の検知穴を大気圧に連通させる排気口と、前記回転部分とともに回転し、回転部分が所定の回転位置にあるときに前記複数の検知穴のいずれかを塞ぐことが可能な閉塞部材とを含む、割出装置。
【請求項8】
前記本体は、第1軸まわりに回転するテーブル上に固定され、
前記回転部分は、前記本体に対して、前記第1軸に直交する第2軸まわりに回転可能である、請求項1から請求項7のいずれかに記載の割出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の割出装置と、
前記テーブルを前記第1軸まわりに回転可能に指示する回転支持装置と、
前記主軸を含む切削加工部とを備えた、工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、割出装置および工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークが固定された治具をゆりかご状に回転可能に支持する回転支持装置が従来から知られている。このような回転支持装置として、たとえば、特開2001-25925号公報(特許文献1)、特開2014-46380号公報(特許文献2)、特開2005-22014号公報(特許文献3)に記載のものが挙げられる。
【0003】
特許文献1ないし特許文献3に記載の装置においては、治具がゆりかご状に回転するとともに、治具上においてワークが回転可能に支持されている。これにより、治具に支持されたワークの5面加工が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-25925号公報
【文献】特開2014-46380号公報
【文献】特開2005-22014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生産性の更なる向上が求められる。1つの観点では、各工程の自動化により生産性を向上させることが考えられる。他の観点では、工作機械をコンパクトにして、限られたスペースにおいて設置台数を増大させることにより生産性を向上させることが考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る割出装置は、工作機械の主軸の動作によってワークを任意の角度に回転させることが可能なものである。
【0007】
1つの態様では、割出装置は、流体圧の第1ポートを有する本体と、流体圧の第2ポートを有し、上記本体に対して回転可能な回転部分と、上記本体に収納され、上記第1ポートと上記第2ポートとを接続する流体圧流路を有し、上記本体と上記回転部分とを相互回転可能に接合するロータリジョイントとを備える。
【0008】
1つの態様では、割出装置は、エア通路を有する本体と、上記本体に対して回転可能な回転部分と、上記本体の内部に形成され、上記本体に対する上記回転部分の回転をロックすることが可能なロック機構と、上記回転部分が上記ロック機構により制限されない第1状態と、上記回転部分の回転が上記ロック機構によりロックされた第2状態と、上記ロック機構は作動しているが上記回転部分の回転が完全にはロックされていない第3状態とを検知可能なロック状態検知機構とを備える。
【0009】
1つの態様では、割出装置は、本体と、上記本体に対して回転可能な回転部分と、上記回転部分に固定され上記ワークを保持可能な保持部とを備え、上記保持部は、上記主軸に取付けられたツールと係合可能な係合部を含む。
【0010】
1つの態様では、割出装置は、本体と、上記本体に対して回転可能な回転部分と、上記本体に対する上記回転部分の回転の位置決めを行なう位置決め機構とを備え、上記位置決め機構は、上記本体に固定される第1部分と、上記回転部分に固定される第2部分と、上記第1部分および上記第2部分に対して係合可能な第3部分と、上記第3部分を上記第1部分および上記第2部分に対して進退させる動作機構とを含む。
【0011】
1つの態様では、割出装置は、本体と、上記本体に対して回転可能な回転部分と、上記本体に対する上記回転部分の回転位置を検知可能な回転位置検知機構とを備え、上記回転位置検知機構は、加圧エアが供給される複数の検知穴と、上記複数の検知穴を大気圧に連通させる排気口と、上記回転部分とともに回転し、回転部分が所定の回転位置にあるときに上記複数の検知穴のいずれかを塞ぐことが可能な閉塞部材とを含む。
【0012】
1つの態様では、割出装置は、流体圧の第1ポートおよびエア通路を有する本体と、流体圧の第2ポートを有し、上記本体に対して回転可能な回転部分と、上記本体に収納され、上記第1ポートと上記第2ポートとを接続する流体圧流路を有し、上記本体と上記回転部分とを相互回転可能に接合するロータリジョイントと、上記本体の内部に形成され、上記本体に対する上記回転部分の回転をロックすることが可能なロック機構と、上記回転部分が上記ロック機構により制限されない第1状態と、上記回転部分の回転が上記ロック機構によりロックされた第2状態と、上記ロック機構は作動しているが上記回転部分の回転が完全にはロックされていない第3状態とを検知可能なロック状態検知機構と、上記回転部分に固定され上記ワークを保持可能な保持部とを備え、上記保持部は、上記主軸に取付けられたツールと係合可能な係合部を含み、上記割出装置はさらに、上記本体に対する上記回転部分の回転の位置決めを行なう位置決め機構を備え、上記位置決め機構は、上記本体に固定される第1部分と、上記回転部分に固定される第2部分と、上記第1部分および上記第2部分に対して係合可能な第3部分と、上記第3部分を上記第1部分および上記第2部分に対して進退させる動作機構とを含み、上記割出装置はさらに、上記本体に対する上記回転部分の回転位置を検知可能な回転位置検知機構を備え、上記回転位置検知機構は、加圧エアが供給される複数の検知穴と、上記複数の検知穴を大気圧に連通させる排気口と、上記回転部分とともに回転し、回転部分が所定の回転位置にあるときに上記複数の検知穴のいずれかを塞ぐことが可能な閉塞部材とを含む。
【0013】
1つの態様では、割出装置は、流体圧の第1ポートおよびエア通路を有する本体と、流体圧の第2ポートを有し、上記本体に対して回転可能な回転部分と、上記本体に収納され、上記第1ポートと上記第2ポートとを接続する流体圧流路を有し、上記本体と上記回転部分とを相互回転可能に接合するロータリジョイントと、上記本体の内部に形成され、上記本体に対する上記回転部分の回転をロックすることが可能なロック機構と、上記回転部分が上記ロック機構により制限されない第1状態と、上記回転部分の回転が上記ロック機構によりロックされた第2状態と、上記ロック機構は作動しているが上記回転部分の回転が完全にはロックされていない第3状態とを検知可能なロック状態検知機構と、上記回転部分に固定され上記ワークを保持可能な保持部とを備え、上記保持部は、上記主軸に取付けられたツールと係合可能な係合部を含み、上記割出装置はさらに、上記本体に対する上記回転部分の回転位置を検知可能な回転位置検知機構を備え、上記回転位置検知機構は、加圧エアが供給される複数の検知穴と、上記複数の検知穴を大気圧に連通させる排気口と、上記回転部分とともに回転し、回転部分が所定の回転位置にあるときに上記複数の検知穴のいずれかを塞ぐことが可能な閉塞部材とを含む。
【0014】
1つの態様では、割出装置において、上記本体は、第1軸まわりに回転するテーブル上に固定され、上記回転部分は、上記本体に対して、上記第1軸に直交する第2軸まわりに回転可能である。
【0015】
本開示に係る工作機械は、上述の割出装置と、上記テーブルを上記第1軸まわりに回転可能に指示する回転支持装置と、上記主軸を含む切削加工部とを備える。
【発明の効果】
【0016】
本開示に係る割出装置によれば、1つの効果として各工程を自動化することができ、他の効果として、装置をコンパクトにすることで限られたスペースにおける工作機械の設置台数を増加させることが可能となる。上述の効果のうち、少なくとも1つが実現されることにより、生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の1つの態様に係る割出装置を含む工作機械を示す図である。
【
図2】
図1に示す工作機械に含まれる回転支持装置および主軸を示す図である。
【
図3】
図1に示す工作機械によりワークを機械加工する一連の工程を示す図である。
【
図4】
図1に示す工作機械に含まれる回転支持装置の構成をより詳細に示す図である。
【
図5】
図4に示す回転支持装置に固定される割出装置の構成をより詳細に示す図である。
【
図6】
図5に示す割出装置におけるアンロック状態(第1状態)を示す図である。
【
図7】
図6の第1状態におけるロック状態検知装置を示す図である。
【
図8】
図6の第1状態におけるアンロック状態検知装置を示す図である。
【
図9】
図5に示す割出装置におけるロック状態(第2状態)を示す図である。
【
図10】
図9の第2状態におけるロック状態検知装置を示す図である。
【
図11】
図9の第2状態におけるアンロック状態検知装置を示す図である。
【
図12】
図5に示す割出装置におけるロックミス状態(第3状態)を示す図である。
【
図13】
図12の第3状態におけるロック状態検知装置を示す図である。
【
図14】
図12の第3状態におけるアンロック状態検知装置を示す図である。
【
図15】
図5に示す割出装置における回転位置検知機構の構成を示す図である。
【
図16】
図15に示す回転位置検知機構の構成をより詳細に示す断面図である。
【
図17】
図15に示す回転位置検知機構の構成をより詳細に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本開示の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0019】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本開示にとって必ずしも必須のものではない。
【0020】
図1は、1つの態様に係るマシニングセンタ1(工作機械)の構成を示す図である。
図1に示すように、マシニングセンタ1は、主軸2と、マガジン3と、切削用ツール4と、回転用ツール5とを含む。マシニングセンタ1は、ワークW(被加工物)を支持するインデクサ装置100(回転支持装置)をさらに含む。
【0021】
主軸2は、切削用ツール4および回転用ツール5を保持可能である。マガジン3は、切削用ツール4および回転用ツール5のうち使用されていないものを収納する。
図1に示す例では、回転用ツール5がマガジン3に収納されている。切削用ツール4は、インデクサ装置100に支持されたワークWに切削加工を施すための工具である。回転用ツール5は、インデクサ装置100に支持されたワークWを回転させるための治具である。
【0022】
図2は、インデクサ装置100および主軸2を示す図である。
図2に示すように、インデクサ装置100は、インデックステーブル110と、サポートテーブル120と、割出装置130と、治具140と、ベース150と、チャック160と、保持部170と、ホース群180とを含む。
【0023】
インデックステーブル110とサポートテーブル120は、ベース150上に設けられる。割出装置130は、ゆりかご状の治具140に支持される。治具140は、インデックステーブル110およびサポートテーブル120によって回転(後述の「A軸回転」)可能に支持される。チャック160はワークWを固定する。チャック160は、保持部170を介して割出装置130に接続されている。割出装置130は、チャック160および保持部170を所定の角度に回転させることが可能である。これにより、治具140上に固定されたワークWを回転(後述の「C軸回転」)させることができる。
【0024】
次に、
図3を用いて、マシニングセンタ1によりワークWを切削加工(機械加工)する一連の工程について説明する。
図3は、治具140に支持された割出装置130を
図2中の矢印IIIの方向から見た状態を示す。
【0025】
図3(a)に示す工程では、チャック160に固定されたワークWに対して、切削用ツール4を用いて切削加工を施す。
【0026】
次に、
図3(b)に示す工程では、インデックステーブル110およびサポートテーブル120によって割出装置130を回転(本明細書では、この回転を「A軸回転」と称する場合がある。)させた後、切削用ツール4を用いてワークWの他の面に切削加工を施す。
【0027】
次に、
図3(c)に示す工程では、割出装置130が元の方向に戻され、主軸2に回転用ツール5が取り付けられ、回転用ツール5がチャック160を保持する保持部170に係合させられる。この状態で、
図3(d)に示すように、保持部170が、チャック160およびワークWとともに所定角度(
図3の例では90°だが必ずしも90°に限定されない。)回転させられる(本明細書では、この回転を「C軸回転」と称する場合がある。)。
【0028】
次に、
図3(e)に示す工程では、インデックステーブル110およびサポートテーブル120によって割出装置130をA軸回転させた後、切削用ツール4を用いてワークWのさらに他の面に切削加工を施す。
【0029】
上述の工程を繰り返すことによって、ワークWの任意の面(チャックに固定される面を除く)に切削加工を施すことが可能である。
【0030】
図4を用いて、インデクサ装置100の構成についてより詳細に説明する。インデクサ装置100に含まれるインデックステーブル110は、ロータリジョイント111およびベアリング112を含む。インデックステーブル110は、ロータリジョイント111およびベアリング112を介して治具140をA軸回転可能に支持する。サポートテーブル120の内部にもロータリジョイント121およびベアリング122が設けられている。サポートテーブル120も、ロータリジョイント121およびベアリング122を介して治具140をA軸回転可能に支持する。インデックステーブル110の内部に設けられたサーボモータ113の動力により治具140がA軸回転させられる。なお、インテックステーブル110として、摩擦ブレーキを用いずにサーボモータ113のみで回転支持することが可能なローラギアインデックステーブルを用いることにより、ブレーキ時間を削減して生産性の向上に寄与し得る。
【0031】
治具140上に固定された割出装置130は、チャック160および保持部170を回転可能に支持する。保持部170には回転用ツール5が係合可能な係合部170Aが設けられている。回転用ツール5の先端に設けられたカムフォロワ5Aが係合部170Aに係合する。カムフォロワ5Aが係合部170Aに係合した状態で主軸2を所定方向移動させることで、保持部170がチャック160とともに回転する。
【0032】
インデックステーブル110およびサポートテーブル120には、チャック160がワークを固定するための油圧が供給される。上記油圧は、インデックステーブル110およびサポートテーブル120内のロータリジョイントから、治具140内に設けられた油路、およびホース群180内の流路を経由して、割出装置130内に供給される。割出装置130内にもロータリジョイントが設けられており(詳細は後述する。)、このロータリジョイントを経由した油圧は、保持部170内の油路を経由してチャック160に供給される。
【0033】
また、後述するアンロック状態(第1状態)、ロック状態(第2状態)、ロックミス状態(第3状態)の検知に用いるための加圧エアもホース群180内の流路を経由して割出装置130に供給される。
【0034】
回転用ツール5には、他の部分よりも径が小さい細径部分5Bが設けられている。細径部分5Bは応力集中部として機能し、主軸2を動かしているにも拘わらず、何らかの理由でチャック160および保持部170が回転しないときに、細径部分5Bが先に損傷することで、主軸2が損傷することを抑制することができる。
【0035】
回転用ツール5には、その軸方向に延びるエア通路5Cが設けられている。エア通路5Cから加圧エアを噴出させることで、係合部170Aなどに堆積した切粉を吹き飛ばすことができる。
【0036】
図5を用いて、割出装置130の構成をより詳細に説明する。割出装置130は、本体130A,130B,130Cと、本体130A,130B,130Cに対して回転可能な回転軸131(回転部分)と、内輪132A、転動体132B、および外輪132Cを含むベアリング132と、回転軸131に固定されるカバー133と、ハウジング134A、軸部分134B、および油路134Cを含むロータリジョイント134と、外輪凸部135A(第1部分)、内輪凸部135B(第2部分)、および凹部135C(第3部分)を含むハースカップリング135(ロック機構/位置決め機構)と、ピストン136(ロック機構/動作機構)と、ロック状態検知装置137と、アンロック状態検知装置138と、回転位置検知機構139とを含む。
【0037】
本体130Cには、チャック160を駆動するための油圧(流体圧)を供給する油圧供給路130αに接続される第1ポート130Dが形成される。回転軸131には、ロータリジョイント134内の油路134Cを介して第1ポート130Dと接続される第2ポート130Eが形成される。
【0038】
ベアリング132の内輪132Aは、回転軸131に固定される。外輪132Cは本体130Aに固定される。カバー133は回転軸131に固定される。ロータリジョイント134のハウジング134Aは、回転軸131を介してベアリング132の内輪132Aに固定される。回転軸131と、内輪132Aと、カバー133と、ロータリジョイント134のハウジング134Aとが一体的に回転する。ロータリジョイント131の軸部分134Bは、本体130Cに固定される。すなわち、ロータリジョイント134は、本体130A,130B,130Cに収納され、本体130A,130B,130Cと回転軸131とを相互回転可能に接合する。
【0039】
ハースカップリング135は、本体130A,130B,130Cの内部に形成され、本体130A,130B,130Cに対する回転軸131の回転をロックするとともに、本体130A,130B,130Cに対する回転軸131の回転の位置決めを行なうことが可能なものである。
【0040】
ハースカップリング135の外輪凸部135Aは、ベアリング132の外輪132Cに形成されているため、本体130Aに固定される。ハースカップリング135の内輪凸部135Bは、ベアリング132の内輪132Aに形成されているため、回転軸131に固定される。ハースカップリング135の凹部135Cは、外輪凸部135Aおよび内輪凸部135Bに同時に係合可能である。ピストン136は、割出装置130に供給された油圧(流体圧)により駆動され、ハースカップリング135の凹部135Cを外輪凸部135Aおよび内輪凸部135Bに対して進退させる。
【0041】
ロック状態検知装置137およびアンロック状態検知装置138(ロック状態検知機構)は、回転軸131の回転がハースカップリング135により制限されないアンロック状態(第1状態)と、回転軸131の回転がハースカップリング135によりロックされたロック状態(第2状態)と、ハースカップリング135を動作させるピストン136は作動しているが回転軸131の回転が完全にはロックされていないロックミス状態(第3状態)とを検知するために設けられる。
図6~
図14を用いてロック状態検知装置137およびアンロック状態検知装置138の動作について説明する。
【0042】
図6は、アンロック状態(第1状態)を示す図である。
図7は、
図6の状態におけるロック状態検知装置137を示す図であり、
図8は、
図6の状態におけるアンロック状態検知装置138を示す図である。
【0043】
図6に示すように、アンロック油室136Aに油圧が供給されることにより、ピストン136は
図6中の下方に駆動され、ハースカップリング135の凹部135Cは、外輪凸部135Aおよび内輪凸部135Bから離間する。この結果、ベアリング132の内輪132Aと外輪132Cとの間の相互回転は阻害されないため、回転軸131の回転がハースカップリング135により制限されないアンロック状態が実現される。
【0044】
図7に示すように、ロック状態検知装置137は、弁体137Aと、エア通路137B1,137B2と、流体通路137Cと、背圧室137Dと、キャップ部材137Eと、環状部材137Fとを含む。
【0045】
エア通路137B1は、本体130Bに形成される。エア通路137B1には加圧エアが供給される。エア通路137B2は、キャップ部材137Eに形成され、外気(大気圧)に連通する。環状部材137Fには、エア通路137B1とエア通路137B2とを連通させるエア通路137B3が形成される。
【0046】
流体通路137Cは弁体137Aの軸方向に延びるように形成される。背圧室137Dは弁体137Aの背面側とキャップ部材137Eとの間に形成される。流体通路137Cは、ピストン136を上方に駆動するためのロック油室136B(
図9参照)と背圧室137Dとを連通させる。これにより、ロック油室136Bに供給された油圧が背圧室137Dにも供給され、弁体137Aを上方へ付勢する。なお、流体通路137C及び背圧室137Dに代えて、弁体137Aを上方に付勢する弾性部材(コイルばね等)を設けてもよい。また、流体通路137C及び背圧室137Dに加えて、弁体137Aを上方に付勢する弾性部材を設けてもよい。背圧室137Dの油圧と弾性部材の弾性力とを組み合わせることにより、より確実に弁体137Aを付勢することが可能となる。
【0047】
アンロック状態においては、弁体137Aがピストン136の下面によってキャップ部材137E側に押し込まれる。この結果、弁体137Aが環状部材137Fから離れ、エア通路137B1とエア通路137B2とが連通する状態となる。すなわち、ロック状態検知装置137の弁機構は、開弁状態にある。
【0048】
図8に示すように、アンロック状態検知装置138は、弁体138Aと、エア通路138B1,138B2と、流体通路138Cと、背圧室138Dと、キャップ部材138Eと、環状部材138Fとを含む。
【0049】
エア通路138B1は、本体130Bに形成される。エア通路138B1には加圧エアが供給される。エア通路138B2は、キャップ部材138Eに形成され、外気(大気圧)に連通する。環状部材138Fには、エア通路138B1とエア通路138B2とを連通させるエア通路138B3が形成される。
【0050】
流体通路138Cは弁体138Aの軸方向に延びるように形成される。背圧室138Dは弁体138Aの背面側とキャップ部材138Eとの間に形成される。流体通路138Cは、ピストン136を上方に駆動するためのロック油室136B(
図9参照)と背圧室138Dとを連通させる。これにより、ロック油室136Bに供給された油圧が背圧室138Dにも供給され、弁体138Aを上方へ付勢する。なお、流体通路138C及び背圧室138Dに代えて、弁体138Aを上方に付勢する弾性部材(コイルばね等)を設けてもよい。また、流体通路138C及び背圧室138Dに加えて、弁体138Aを上方に付勢する弾性部材を設けてもよい。背圧室138Dの油圧と弾性部材の弾性力とを組み合わせることにより、より確実に弁体138Aを付勢することが可能となる。
【0051】
アンロック状態においては、弁体138Aがピストン136の下面によってキャップ部材138E側に押し込まれる。この結果、弁体138Aがキャップ部材138Eに形成されたエア通路138B2を塞ぎ、エア通路138B1とエア通路138B2との連通が遮断される。すなわち、アンロック状態検知装置138の弁機構は、閉弁状態にある。
【0052】
このとき、加圧エアが供給されるエア通路137B1,138B1のエア圧を測定すると、ロック状態検知装置137のエア通路137B1は、エア通路137B2と連通して大気圧のままであるのに対し、アンロック状態検知装置138のエア通路138B1は、エア通路138B2との連通が遮断されるため、エア圧が上昇した状態となる。エア圧測定の結果、アンロック状態検知装置138の弁機構が閉弁状態にあることが検知され、これに基づいて、回転軸131の回転がハースカップリング135により制限されないアンロック状態(第1状態)にあることが検知される。
【0053】
図9は、ロック状態(第2状態)を示す図である。
図10は、
図9の状態におけるロック状態検知装置137を示す図であり、
図11は、
図9の状態におけるアンロック状態検知装置138を示す図である。
【0054】
図9に示すように、ロック油室136Bに油圧が供給されることにより、ピストン136は
図9中の上方に駆動され、ハースカップリング135の凹部135Cは、外輪凸部135Aおよび内輪凸部135Bに係合する。この結果、ベアリング132の内輪132Aと外輪132Cとの間の相互回転が阻害され、回転軸131の回転がハースカップリング135によりロックされたロック状態が実現される。
【0055】
ロック状態においては、ロック油室136Bの油圧が、ロック状態検知装置137およびアンロック状態検知装置138の背圧室137D,138Dに供給されることにより、弁体137A,138Aが上方側に突出する。この結果、ロック状態検知装置137の弁体137Aが環状部材137Fに当接し、エア通路137B1とエア通路137B2との連通が遮断される。すなわち、ロック状態検知装置137の弁機構は、閉弁状態にある。他方、アンロック状態検知装置138の弁体138Aはキャップ部材138Eから離れ、エア通路138B1とエア通路138B2とが連通する状態となる。すなわち、アンロック状態検知装置138の弁機構は、開弁状態にある。
【0056】
このとき、加圧エアが供給されるエア通路137B1,138B1のエア圧を測定すると、ロック状態検知装置137のエア通路137B1は、エア通路137B2との連通が遮断されるため、エア圧が上昇した状態となるのに対し、アンロック状態検知装置138のエア通路138B1は、エア通路138B2と連通して大気圧のままである。エア圧測定の結果、ロック状態検知装置137の弁機構が閉弁状態にあることが検知され、これに基づいて、回転軸131の回転がハースカップリング135によりロックされたロック状態(第2状態)にあることが検知される。
【0057】
図12は、ロックミス状態(第3状態)を示す図である。
図13は、
図12の状態におけるロック状態検知装置137を示す図であり、
図14は、
図12の状態におけるアンロック状態検知装置138を示す図である。
【0058】
図12に示すように、ロック油室136Bに油圧が供給されることにより、ピストン136は
図12中の上方に駆動され、ハースカップリング135の凹部135Cは、外輪凸部135Aおよび内輪凸部135Bに係合しようとするが、回転方向の若干の位置ずれ等に起因して、完全に係合していない。この結果、ベアリング132の内輪132Aと外輪132Cとの間の相互回転が阻害されるが完全なロック状態とはならない。すなわち、ハースカップリング135を動作させるピストン136は作動しているが回転軸131の回転が完全にはロックされていないロックミス状態となる。
【0059】
ロックミス状態においては、ロック油室136Bの油圧が、ロック状態検知装置137およびアンロック状態検知装置138の背圧室137D,138Dに供給されることにより、弁体137A,138Aが上方側に突出する。しかし、ロック状態検知装置137の弁体137Aの突出量が十分でないため、弁体137Aが環状部材137Fに当接せず、エア通路137B1とエア通路137B2との連通が遮断されるまでには至らない。すなわち、ロック状態検知装置137の弁機構は、開弁状態にある。他方、アンロック状態検知装置138の弁体138Aはキャップ部材138Eから離れ、エア通路138B1とエア通路138B2とが連通する状態となる。すなわち、アンロック状態検知装置138の弁機構も開弁状態にある。
【0060】
このとき、加圧エアが供給されるエア通路137B1,138B1のエア圧を測定すると、いずれも大気圧のままである。エア圧測定の結果、ロック状態検知装置137およびアンロック状態検知装置138の弁機構がいずれも開弁状態にあることが検知され、これに基づいて、ハースカップリング135を動作させるピストン136は作動しているが回転軸131の回転が完全にはロックされていないロックミス状態(第3状態)にあることが検知される。
【0061】
次に、
図15~
図17を用いて回転位置検知機構139について説明する。
図15は、回転位置検知機構139の構成を示す図であり、
図16、
図17は、各々、当該構成をより詳細に示す断面図、上面図である。
【0062】
回転位置検知機構139は、本体130A,130B,130Cに対する回転軸131の回転位置を検知するためのものである。回転位置検知機構139は、Oリング139Aと、位置決めピン139Bと、リング状の検知部材139C(閉塞部材)と、複数(
図17の例では90°間隔で4つ設けられているが間隔、設置数はこれに限定されない。)の検知穴139D1~D4と、検知穴139D1~D4を大気圧に連通させる排気口139βとを含む。
【0063】
Oリング139Aは、ロータリジョイント134のハウジング134Aの外周に設けられ、検知部材139Cをロータリジョイント134の軸部分134Bに向けて押し付ける。位置決めピン139Bは、検知部材139Cの回転方向の位置決めを行なう。ハウジング134Aと、Oリング139Aと、位置決めピン139Bと、検知部材139Cとが回転軸131とともに一体的に回転する。
【0064】
検知部材139Cの一部には、径方向内方に突出する突出部分139C1が形成されている。突出部分139C1は、回転軸131が所定の回転位置にあるときに検知穴139D1~D4のいずれか(
図17の例では検知穴139D1)を塞ぐように形成されている。
【0065】
検知穴139D1~D4には、各々加圧エアが供給される。たとえば検知穴139D1には、
図15に示す検知エア供給部139αより加圧エアが供給される。検知穴139D1が閉塞されていないときは、検知エア供給部139αに供給された加圧エアは、
図15に示す検知エア排出部139βより外気に排出されるため、検知エア供給部139αのエア圧は上昇しない。しかし、検知穴139D1が検知部材139Cにより閉塞されたときは、検知エア供給部139αのエア圧が上昇する。これを検知することにより、回転軸131が所定の回転角度にあること、すなわち検知部材139Cが検知穴139D1を塞ぐような位置にあることを検知することができる。
【0066】
次に、本態様に係る割出装置130およびそれを備えたマシニングセンタ1の主な利点について説明する。まず、マシニングセンタ1において、C軸回転を主軸2の動作により行なっているため、C軸回転用の駆動機構(モータ等)や動力伝達機構(減速機等)を設ける必要がなく、装置全体が小型化(コンパクト化)される。
【0067】
さらに、割出装置130においては、本体130A,130B,130Cの内部に収納されたロータリジョイント134により回転軸131をC軸回転可能に支持しているため、ロータリジョイント134を介してチャック160に油圧を供給することができる。このため、インデックステーブル110およびサポートテーブル120とチャック160とを直接繋ぐホース類を設ける必要がなく、治具140の回転方向および回転角度がホース類によって制限されることがなく、同一方向の連続回転も可能となる。
【0068】
次に、割出装置130においては、ロック状態検知装置137およびアンロック状態検知装置138によって、アンロック状態、ロック状態、ロックミス状態を容易に検知することができるので、工程を自動化によるサイクルタイムの短縮に寄与するとともに、C軸回転時の誤動作によるマシニングセンタ1の主軸2の損傷を抑制することが可能となる。
【0069】
さらに、保持部170に回転用ツール5と係合可能な係合部170Aを設けるとともに、回転用ツール5の先端にカムフォロワ5Aを設けているため、回転用ツール5を用いたC軸回転を容易に行なうことが可能である。
【0070】
さらに、回転軸131のロックおよび位置決めにハースカップリングを用いることにより、高剛性、高精度のロックないし位置決めを行なうことが可能である。なお、ハースカップリングに代えてカービックカップリングを用いてもよい。
【0071】
さらに、
図4に示すように、ホース群180を治具140の下方に集約することも、装置全体の小型化(コンパクト化)に寄与する。
【0072】
このように、本態様に係る割出装置130およびそれを備えたマシニングセンタ1によれば、各工程を自動化した上で装置を確実に動作させ、さらに、装置全体をコンパクトにすることで単位面積あたりの設置台数を増加させることもできるので、生産性が向上し得る。
【0073】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
1 マシニングセンタ、2 主軸、3 マガジン、4 切削用ツール、5 回転用ツール、5A カムフォロア、5B 細径部分、5C エア通路、100 インデクサ装置、110 インテックステーブル、111 ロータリジョイント、112 ベアリング、113 サーボモータ、120 サポートテーブル、121 ロータリジョイント、122 ベアリング、130 割出装置、131 回転軸、132 ベアリング、132A 内輪、132B 転動体、132C 外輪、133 カバー、134 ロータリジョイント、134A ハウジング、134B 軸部分、135 ハースカップリング、135A 外輪凸部、135B 内輪凸部、135C 凹部、136 ピストン、137 ロック状態検知装置、137A 弁体、137B1,137B2 エア通路、137C 流体通路、137D 背圧室、137E キャップ部材、137F 環状部材、 138 アンロック状態検知装置、138A 弁体、138B1,138B2 エア通路、138C 流体通路、138D 背圧室、138E キャップ部材、138F 環状部材、139 回転位置検知装置、139A Oリング、139B 位置決めピン、139C 検知部材、139D1,139D2,139D3,139D4 検知穴、139α 検知エア供給部、139β 検知エア排出部、140 治具、150 ベース、160 チャック、170 保持部、180 ホース群。