(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】自動洗浄装置の改装方法、および該方法に用いられる電磁弁、工具連結治具、アダプタ、主流路組込み器具
(51)【国際特許分類】
E03D 13/00 20060101AFI20221216BHJP
【FI】
E03D13/00
(21)【出願番号】P 2019033209
(22)【出願日】2019-02-26
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】396017796
【氏名又は名称】株式会社ミナミサワ
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】南澤 宏一
(72)【発明者】
【氏名】南澤 俊文
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-012919(JP,A)
【文献】特開2018-091136(JP,A)
【文献】特開2019-070274(JP,A)
【文献】特開昭62-160335(JP,A)
【文献】特開2020-070889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00-7/00;11/00-13/00
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取水口から送水口へ連通して洗浄水を通流させる主流路および前記主流路の開閉を行う開閉機構を有する本体部と、便器の本体もしくは上蓋に配設されて使用者の感知を行うセンサおよび前記センサの感知信号により前記開閉機構の駆動制御を行う駆動制御部を有する内部型ユニットと、を備え、前記開閉機構が開き状態とされて前記主流路が開通することにより前記洗浄水が通流して便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置の改装方法であって、
前記開閉機構は、前記主流路の流路途中に設けられる取付け用開口部に主電磁弁が取付けられて構成されており、
前記内部型ユニットに接続された配線を切離して機能停止する工程、または、前記配線を切離したうえで前記内部型ユニットの全部もしくは一部を取外す工程、のいずれかの工程と、
前記取付け用開口部から、前記主電磁弁を取外す工程と、
前記取付け用開口部に止水蓋を固定して、前記取付け用開口部の封止を行う工程と、
前記取付け用開口部よりも下流側における前記主流路の所定部分を取外す工程と、
前記主流路において前記所定部分を取外した位置に、流路を復旧させると共に流路の開閉を行う電磁弁を装着させる主流路組込み器具を取付ける工程と、
前記電磁弁を直接もしくはアダプタを介在させて前記主流路組込み器具に取付ける工程と、
使用者の感知を行う第2センサと、前記第2センサの感知信号により前記電磁弁の駆動制御を行う第2駆動制御部とを有する外部型ユニットを、前記上蓋の上に配置されるように固定する工程と、を備えること
を特徴とする自動洗浄装置の改装方法。
【請求項2】
取水口から送水口へ連通して洗浄水を通流させる主流路および前記主流路の開閉を行う開閉機構を有する本体部と、便器の本体もしくは上蓋に配設されて使用者の感知を行うセンサおよび前記センサの感知信号により前記開閉機構の駆動制御を行う駆動制御部を有する内部型ユニットと、を備え、前記開閉機構が開き状態とされて前記主流路が開通することにより前記洗浄水が通流して便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置の改装方法であって、
前記開閉機構は、前記本体部のシリンダ室内に配置される差圧移動式のピストンバルブと、一端が前記シリンダ室の壁部に開口形成された第1開口孔を介して前記シリンダ室と連通すると共に他端が前記主流路の前記ピストンバルブが配設される位置よりも下流側となる位置に開口形成された第2開口孔を介して前記主流路と連通する副流路と、前記副流路を開閉する副電磁弁と、を有して構成されており、
前記内部型ユニットに接続された配線を切離して機能停止する工程、または、前記配線を切離したうえで前記内部型ユニットの全部もしくは一部を取外す工程、のいずれかの工程と、
前記本体部から前記シリンダ室の開口端部を密閉している密閉蓋を取外した後、前記シリンダ室から前記ピストンバルブを取外す工程と、
前記主流路の開閉を行う電磁弁を直接もしくはアダプタを介在させて前記シリンダ室に挿入して、前記電磁弁を前記本体部に取付けると共に、前記シリンダ室の開口端部の封止を行う工程と、
使用者の感知を行う第2センサと、前記第2センサの感知信号により前記電磁弁の駆動制御を行う第2駆動制御部とを有する外部型ユニットを、前記上蓋の上に配置されるように固定する工程と、を備えること
を特徴とする自動洗浄装置の改装方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の自動洗浄装置の改装方法に用いられる前記電磁弁であって、
金属材料を用いて形成され、雄ネジ部を外周部に有する円筒状のベース部と、
前記ベース部の第1端部に固定キャップを介して固定されるソレノイド部と、
前記ベース部の内部に保持されると共に第2端部から突出させて設けられる弁部と、を備え、
前記弁部は、流入口から流出口へ連通して前記洗浄水を通流させる通流路と、前記通流路の開閉を行う差圧移動式のダイヤフラム弁と、一端が前記ダイヤフラム弁の移動空間となる弁箱に連通すると共に他端が前記ダイヤフラム弁の配設される位置よりも下流側となる位置で前記通流路に連通する排圧ドレン流路と、前記ソレノイド部の可動鉄芯に弁体が連結されて前記排圧ドレン流路を開閉するパイロット弁と、を有し、且つ、先端部において、外周に流入口、径方向中心に流出口がそれぞれ開口形成される共に、外周部において、取付け対象の内周部との間でシールを行う部材として前記ベース部から近い側に第1シール部、前記ベース部から遠い側に第2シール部がそれぞれ嵌設されており、
前記排圧ドレン流路は、前記弁部における前記第1シール部と前記第2シール部との間の外周部に形成された外周流路を有し、
前記外周流路は、前記パイロット弁を間に介在させて前記弁箱に連通し、且つ、前記ダイヤフラム弁の配設される位置よりも下流側となる位置で前記通流路に連通していること
を特徴とする電磁弁。
【請求項4】
前記固定キャップは、回動工具を連結させる工具連結治具を、前記ソレノイド部を中心として挟み込む配置で着脱可能に取付ける治具取付け部を有すること
を特徴とする請求項3記載の電磁弁。
【請求項5】
前記治具取付け部は、前記ソレノイド部を前記固定キャップに固定する固定溝部と兼用で設けられていること
を特徴とする請求項4記載の電磁弁。
【請求項6】
前記固定溝部に周方向の両端において軸方向に形成される壁部が、前記回動工具によって回動される前記工具連結治具の回動力を受ける回動力作用部となること
を特徴とする請求項5記載の電磁弁。
【請求項7】
前記固定キャップは、樹脂材料を用いて形成されていること
を特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載の電磁弁。
【請求項8】
請求項4~7のいずれか一項に記載の電磁弁の前記治具取付け部に着脱可能に取付けられる前記工具連結治具であって、
前記電磁弁のソレノイド部を中心として挟み込む配置で前記電磁弁の固定キャップに設けられた治具取付け部に着脱可能に取付ける脚部を有すると共に、前記脚部を前記固定キャップに取付けた状態で前記電磁弁の軸心と前記回動工具の軸心とが一致する配置で前記回動工具を連結させる連結部を有すること
を特徴とする工具連結治具。
【請求項9】
請求項1記載の自動洗浄装置の改装方法に用いられる前記主流路組込み器具であって、
前記主流路において取外された前記所定部分に代わる流路となる流路部と、
前記流路部の流路途中に設けられて前記電磁弁が取付けられる電磁弁取付け部と、を有すること
を特徴とする主流路組込み器具。
【請求項10】
前記電磁弁取付け部は、前記電磁弁が挿入可能な有底円筒状に形成されており、前記電磁弁の外周部に設けられた雄ネジ部に対して螺合可能な雌ネジ部を内周部に有し、
前記内周部において、前記電磁弁を所定位置に固定させた状態となったときに前記電磁弁の外周部に嵌設された第1シール部と第2シール部との両方を密着させてシールを行う第1シール面、および、前記第1シール面よりも底面部寄りに貫通形成されて前記流路部の上流側に連通する上流側開口部が設けられており、
前記底面部において、径方向の中心に、貫通形成されて前記流路部の下流側に連通する下流側開口部、および、前記下流側開口部の周囲に、前記電磁弁を所定位置に固定させた状態となったときに前記電磁弁の先端部に設けられる先端シール部を密着させる第2シール面が設けられていること
を特徴とする請求項9記載の主流路組込み器具。
【請求項11】
請求項1または請求項2記載の自動洗浄装置の改装方法に用いられる前記アダプタであって、
取付け対象に設けられた雌ネジ部に対して螺合可能な雄ネジ部を外周部に有し、且つ、前記電磁弁の外壁に設けられた雄ネジ部に対して螺合可能な雌ネジ部を内周部に有し、
外周部において、前記取付け対象との間でシールを行う部材としてシール部が嵌設されており、
内周部において、前記電磁弁を所定位置に固定させた状態となったときに、前記電磁弁に設けられた第1シール部および第2シール部の両方を密着させてシールを行うシール面が設けられていること
を特徴とするアダプタ。
【請求項12】
取水口から送水口へ連通して洗浄水を通流させる主流路および前記主流路の開閉を行う開閉機構を有する本体部と、便器の本体もしくは上蓋に配設されて使用者の感知を行うセンサおよび前記センサの感知信号により前記開閉機構の駆動制御を行う駆動制御部を有する内部型ユニットと、を備え、前記開閉機構が開き状態とされて前記主流路が開通することにより前記洗浄水が通流して便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置の改装方法であって、
前記内部型ユニットに接続された配線を切離して機能停止する工程、または、前記配線を切離したうえで前記内部型ユニットの全部もしくは一部を取外す工程、のいずれかの工程と、
使用者の感知を行う第2センサと、前記第2センサの感知信号により前記開閉機構の駆動制御を行う第2駆動制御部と、を有する外部型ユニットを、前記上蓋の上に配置されるように固定する工程と、を備えること
を特徴とする自動洗浄装置の改装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者を感知して便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置の改装方法、および該方法に用いられる電磁弁、工具連結治具、アダプタ、主流路組込み器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、
図1、
図9に例示されるような、主流路および当該主流路の開閉を行う開閉機構を有する本体部と、便器の本体もしくは上蓋に配設されて使用者の感知を行うセンサおよび当該センサの感知信号により前記開閉機構の駆動制御を行う駆動制御部を有する内部型ユニットとを備えて、便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置が実用化されている(特許文献1:特開2009-084791号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、
図1、
図9に例示される従来の自動洗浄装置においては、経年によって、特にセンサの故障が少なからず発生するようになってきた一方で、センサの製造・提供が終了するという問題に直面している。すなわち、センサの故障時に、現状復帰が不可能(もしくは困難)となるために、自動洗浄機能を維持することができず、便器全体を交換しなければならない等、大掛かりな作業と多大な経費が発生する課題が生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、便器の自動洗浄装置のセンサ等が故障した際に、便器全体の交換を行うことなく、当該自動洗浄装置の一部を活用しつつ自動洗浄機能を復帰させる改装方法を提供することを目的とし、併せて、当該方法に用いられる電磁弁、工具連結治具、アダプタ、主流路組込み器具を提供することを目的とする。
【0006】
一実施形態として、以下に開示するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0007】
開示の改装方法は、取水口から送水口へ連通して洗浄水を通流させる主流路および前記主流路の開閉を行う開閉機構を有する本体部と、便器の本体もしくは上蓋に配設されて使用者の感知を行うセンサおよび前記センサの感知信号により前記開閉機構の駆動制御を行う駆動制御部を有する内部型ユニットと、を備え、前記開閉機構が開き状態とされて前記主流路が開通することにより前記洗浄水が通流して便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置の改装方法であって、前記開閉機構は、前記主流路の流路途中に設けられる取付け用開口部に主電磁弁が取付けられて構成されており、前記内部型ユニットに接続された配線を切離して機能停止する工程、または、前記配線を切離したうえで前記内部型ユニットの全部もしくは一部を取外す工程、のいずれかの工程と、前記取付け用開口部から、前記主電磁弁を取外す工程と、前記取付け用開口部に止水蓋を固定して、前記取付け用開口部の封止を行う工程と、前記取付け用開口部よりも下流側における前記主流路の所定部分を取外す工程と、前記主流路において前記所定部分を取外した位置に、流路を復旧させると共に流路の開閉を行う電磁弁を装着させる主流路組込み器具を取付ける工程と、前記電磁弁を直接もしくはアダプタを介在させて前記主流路組込み器具に取付ける工程と、使用者の感知を行う第2センサと、前記第2センサの感知信号により前記電磁弁の駆動制御を行う第2駆動制御部とを有する外部型ユニットを、前記上蓋の上に配置されるように固定する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
開示の改装方法によれば、便器の本体もしくは上蓋に使用者を感知するセンサを備えてその感知信号により主流路の開閉を行う自動洗浄装置において、センサ等が故障した際に、当該自動洗浄装置の一部を活用しつつ、自動洗浄機能を復帰させる改装を実現することができる。したがって、センサ等の故障時において便器全体を交換しなければならないような大掛かりな作業と多大な経費の発生を抑制することが可能となり、簡易に、且つ、低コストでの改装が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】従来の実施形態に係る自動洗浄装置を備える便器の例を示す概略図である。
【
図2】
図1の便器に設けられる自動洗浄装置の例を説明する概略図(正面上方からの斜視図)である。
【
図3】本発明の第一の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(正面上方からの斜視図)である。
【
図4】本発明の第一の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(正面上方からの斜視図)である。
【
図5】本発明の第一の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(正面上方からの斜視図)である。
【
図6】本発明の第一の実施形態に係る改装方法を適用した自動洗浄装置を備える便器の例を示す概略図である。
【
図7】本発明の第一の実施形態に係る改装方法に用いられる主流路組込み器具の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図8】本発明の第一の実施形態に係る改装方法に用いられる主流路組込み器具の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図9】従来の実施形態に係る自動洗浄装置を備える便器の他の例を示す概略図である。
【
図10】
図9の便器に設けられる自動洗浄装置の例を説明する概略図(正面上方からの斜視図)である。
【
図11】本発明の第二の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(正面上方からの斜視図)である。
【
図12】本発明の第二の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(正面上方からの斜視図)である。
【
図13】本発明の第二の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(正面上方からの斜視図)である。
【
図14】本発明の第二の実施形態に係る改装方法を適用した自動洗浄装置を備える便器の例を示す概略図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる電磁弁の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図19】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる工具連結治具の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図20】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる電磁弁、工具連結治具、回動工具を連結させる構成の説明図である。
【
図21】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられるアダプタの例を示す概略図(斜視図)である。
【
図22】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられるアダプタの例を示す概略図(斜視図)である。
【
図23】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられるアダプタの例を示す概略図(正面断面図)である。
【
図24】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる止水蓋の例を示す概略図(斜視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第一の実施形態]
(改装方法)
以下、図面を参照して、本発明の第一の実施形態について詳しく説明する。
図1は、従来の実施形態に係る自動洗浄装置を備える便器1の例を示す概略図であって、一例として便器1は本体1Aと当該本体1Aの上部に嵌設される上蓋1Bを備えて構成されている。また、
図2は、上蓋1Bを取外した状態の本体1Aの上部の構成である。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0011】
先ず、従来の実施形態に係る自動洗浄装置4は、一例として、取水口14Aから送水口16Aへ連通して洗浄水を通流させる主流路18A、および当該主流路18Aの開閉を行う開閉機構20Aを有する本体部10Aが、便器1の本体1Aの上部に配設されている。また、使用者の感知を行うセンサ12A、および当該センサ12Aの感知信号により開閉機構20Aの駆動制御を行う駆動制御部12Bを有する内部型ユニット12が便器1の上蓋1Bに配設されている。これによれば、センサ12Aが使用者(使用状態)を感知して、駆動制御部12Bへ感知信号を送り、次いで、駆動制御部12Bが開閉機構20Aへ開きとする指令信号を送ることによって、開閉機構20Aが開いて主流路18Aが開通し、洗浄水が通流して便器1の自動洗浄を行う作用が得られる。
【0012】
一例として、主流路18Aは、給水管30Aに連結された取水口14Aから取水し、本体部10A内を通り、送水口16Aが連結された便器1の本体1Aに送水する作用をなす流路として構成されている。ここで、自動洗浄装置4は、上記の開閉機構20Aとして、主流路18Aの流路途中に設けられる取付け用開口部22に主電磁弁24が取付けられて構成されている。したがって、上記の「駆動制御部12Bが開閉機構20Aへ開きとする指令信号を送ることによって開閉機構20Aが開いて主流路18Aが開通する作用」をより具体的に説明すると、駆動制御部12Bが主電磁弁24へ開きとする指令信号を送ることによって、主流路18Aの流路に組込まれている主電磁弁24(すなわち、主電磁弁24内の流路が主流路18Aの一部をなす構成である)が、当該指令信号によって駆動されて、主電磁弁24内の流路が閉じ位置から開き位置となり、主流路18Aが開通する作用が得られる。
【0013】
そのため、内部型ユニット12すなわちセンサ12Aや駆動制御部12B等が故障した場合には、便器の自動洗浄機能が得られない状態となってしまう。このとき、故障したセンサ12Aや駆動制御部12B等の交換部品を入手できれば現状復帰も可能である。しかし、前述の通り、年数の経過によって交換部品の製造・提供が終了してしまった場合には、自動洗浄機能を復帰させることができず、便器全体を交換しなければならないという問題が生じ得る。
【0014】
そこで、センサ12A等の故障時に、既設の自動洗浄装置4の一部を活用しつつ、自動洗浄機能を復帰させるために、本実施形態に係る改装方法は以下の工程を備えることを特徴とする。
【0015】
先ず、便器1の本体1Aから上蓋1Bを取外した状態で、内部型ユニット12に接続された配線26を切離して、内部型ユニット12の機能を停止させる工程SA1を実施する(なお、
図2は、内部型ユニット12から配線26が切離された状態の図となっている)。このとき、当該配線26を切離したうえで、さらに内部型ユニット12の全部もしくは一部を取外す工程を追加してもよい(この追加工程は必須ではない)。ただし、例えば、上蓋1Bからセンサ12Aを取外すと、その部分が開口状態となるため、外観の美観を損ねないように、別途、封止部材(不図示)を取付けることが好ましい。
【0016】
次に、工程SA1よりも後に、
図3に示すように、主流路18Aに通流させる水の止水を行う止水栓28を閉めて噴水防止措置を取った後、主流路18Aの流路途中に設けられた取付け用開口部22から主電磁弁24を取外す工程(工程SA2)、および主流路18Aにおける取付け用開口部22よりも下流側における主流路18Aの所定部分18aを取外す工程(工程SA3)を実施する。ここで、工程SA2と工程SA3とは、どちらを先に実施してもよい。実際の現場においては、工程SA3を先に実施した方が、工程SA2における取外し作業が容易となる場合が多い。なお、噴水防止措置は、工程SA1よりも前に実施してもよく、あるいは、取水口よりも上流に設けられる元水栓(不図示)を閉める方法により実施してもよい。
【0017】
次に、工程SA2、工程SA3よりも後に、
図4に示すように、取付け用開口部22に止水蓋240を固定して、当該取付け用開口部22の封止(すなわち、主電磁弁24を取外すことによって生じた開口部分の封止)を行う工程を実施する(工程SA4)。なお、止水蓋240の詳細な構成については後述する。
【0018】
次に、工程SA4よりも後に、
図5に示すように、主流路18Aにおいて所定部分18aを取外した位置に、流路を復旧させると共に流路の開閉を行う電磁弁120を装着させる主流路組込み器具200を取付ける工程(工程SA5)、および、電磁弁120を直接、主流路組込み器具200に取付ける工程(工程SA6)を実施する。ここで、工程SA5と工程SA6とは、どちらを先に実施してもよい。すなわち、先に、所定部分18aを取外した位置に主流路組込み器具200(電磁弁120を取付けていない状態)を取付け、次いで、主流路組込み器具200に電磁弁120を取付けてもよく、あるいは、先に、主流路組込み器具200に電磁弁120を取付け、次いで、所定部分18aを取外した位置に主流路組込み器具200(電磁弁120を取付けた状態)を取付けてもよい。なお、主流路組込み器具200の詳細な構成については後述するが、本実施形態における電磁弁120を取付ける対象(「取付け対象」)は、主流路組込み器具200の電磁弁取付け部204となる。
【0019】
上記の構成によれば、主流路18Aにおいて所定部分18aを取外した位置に主流路組込み器具200が取付けられて、取水口14Aから送水口16Aへ至る流路が復旧し、便器1への送水が可能となる。さらに、流路途中に電磁弁120が取付けられて、当該流路(主流路18A)の開閉を行うことが可能となる。すなわち、当該電磁弁120は、使用者の感知信号に基づくオン・オフ信号を受けて、ソレノイド部の励磁によって流路を開き、消磁によって流路を閉じる作用をなす(構成・作用の詳細については後述)。したがって、主流路18Aから取外した主電磁弁24に代えて、主流路18Aの開閉を行うことが可能となる。
【0020】
ここで、上記の電磁弁120を主流路組込み器具200に取付ける工程は、回動工具の回動力を電磁弁120に伝達する着脱可能な工具連結治具110を電磁弁120に取付けた後、回動工具を工具連結治具110に連結して回動することにより電磁弁120を回動させて、電磁弁120の外周部に設けられる雄ネジ部128を、取付け対象(主流路組込み器具200の電磁弁取付け部204)の所定位置に設けられる雌ネジ部に螺合させることにより固定する工程として実施してもよい(工具連結治具110の詳細な構成については後述する)。あるいは、回動工具を電磁弁120に直接連結して回動することにより電磁弁120を回動させて、電磁弁120の外周部に設けられる雄ネジ部128を、取付け対象(主流路組込み器具200の電磁弁取付け部204)の所定位置に設けられる雌ネジ部に螺合させることにより固定する工程として実施してもよい。
【0021】
次に、工程SA5、工程SA6よりも後に、
図6に示すように、使用者の感知を行う第2センサ32A、および当該第2センサ32Aの感知信号により電磁弁120の駆動制御を行う第2駆動制御部32Bを有する外部型ユニット32を便器1の上蓋1Bの上に配置されるようにして、当該上蓋1Bに対して固定する工程を実施する(工程SA7)。このとき、外部型ユニット32からの制御配線を電磁弁120に接続したうえで、当該上蓋1Bを本体1A上の所定位置に嵌設すればよい。なお、外部型ユニット32は電池により駆動される構成としているが、これに限定されるものではなく、適宜ACアダプタ等を介してAC100[V]の商用電源により駆動される構成としてもよい(不図示)。また、外部型ユニット32を上蓋1Bの上に固定するための固定具の取付け先は、本体1Aもしくは壁面等であってもよい。
【0022】
以上説明した通り、既設の自動洗浄装置の本体部10Aが、本体1Aの上部に配設され、使用者の感知および通水の制御を行う内部型ユニット12が上蓋1Bに配設されている便器1において、例えば内部型ユニット12(センサ12A等)が故障した場合において、当該自動洗浄装置の一部を活用して、主流路18Aの開閉を行う機構を、主電磁弁24を用いる構成から電磁弁120を用いる構成に切替えを行いつつ、自動洗浄機能を復帰させる改装方法を実現することが可能となる。したがって、便器自体の交換や、壁を取壊しての機器・配管類の交換・新設が必要ないため、改装のための作業を簡素にすることができ、部品コストおよび作業コストを大幅に低減することが可能となる。また、この改装方法は、内部型ユニット12(センサ12A等)が故障した場合のみならず、例えば、主電磁弁24等が故障した場合にも有効に適用することができる。
【0023】
なお、本実施形態においては、既設の自動洗浄装置として本体部10Aが本体1Aの上部に配設された構成を例に挙げて説明を行ったが、これに限定されるものではなく、本体部が壁内もしくは壁近傍部に配設された構成(不図示)に対しても本改装方法を同様に適用することができる。
【0024】
(電磁弁)
続いて、本実施形態に係る改装方法に用いる電磁弁120について詳しく説明する。
【0025】
本実施形態に係る電磁弁120の斜視図(概略図)を
図16に、平面図(概略図)を
図17に、正面断面図(概略図)を
図18にそれぞれ示す。電磁弁120の概略構成として、中央に配置されるベース部122と、ベース部122の第1端部122aに固定キャップ132を介して固定されるソレノイド部124と、ベース部122の内部に保持されると共に第2端部122bから突出させて設けられる弁部126と、を備えて構成されている。
【0026】
先ず、ベース部122は、金属材料(一例として、黄銅)を用いて形成されている。具体的な構成として、取付け対象(第一の実施形態においては、主流路組込み器具200の電磁弁取付け部204)の内周部204aに設けられる雌ネジ部206に対して螺合可能な雄ネジ部128を外周に有する円筒状に形成されており、第1端部122aにおいて径方向外方に突設される鍔状部130を備えている。
【0027】
この構成によれば、ベース部122の雄ネジ部128を取付け対象(主流路組込み器具200の電磁弁取付け部204)の内周部204aの雌ネジ部206に螺合させて固定することにより、電磁弁120を取付け対象(主流路組込み器具200の電磁弁取付け部204)に固定することが可能となる。特に、この部分に金属材料を用いることで、漏水を防止した確実な固定が可能となる。
【0028】
次に、固定キャップ132は、樹脂材料(一例として、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂等)を用いて形成されている。ここで、電磁弁120を取付け対象に取付ける際には、回動により螺合させる動作が必要となる。そのため、本実施形態においては、回動工具Tを連結するための工具連結治具110(後述)を着脱可能に取付ける治具取付け部136が、ソレノイド部124を中心として挟み込む配置で複数個所設けられている。一例として、治具取付け部136は、ソレノイド部124を挟み込んで対向する二つの位置に設けられている。なお、本実施形態に係る治具取付け部136は、ソレノイド部124(具体的にはステー140が固定される固定板142)を固定キャップ132に固定する固定溝部134と兼用で設けられている。
【0029】
治具取付け部136すなわち固定溝部134は、周方向の両端において軸方向に沿って形成される壁部134aが、回動工具Tによって回動される工具連結治具110の回動力を受ける回動力作用部となる。
【0030】
次に、弁部126は、コイルスプリング150等の金属部分を除いて基本的に樹脂材料(一例として、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂等であり、シール部はエラストマ材料)を用いて形成されている。弁部126の概略構成として、ベース部122の第2端部122bから遠い側の先端部126aにおいて、外周に流入口152、径方向中心に流出口154がそれぞれ開口形成されている。さらに、流入口152から流出口154へ連通して洗浄水を通流させる通流路156と、通流路156の開閉を行う差圧移動式のダイヤフラム弁158(弁体158a、弁座158b)と、一端がダイヤフラム弁158の移動空間となる弁箱158cに連通すると共に他端がダイヤフラム弁158の配設される位置よりも下流側となる位置で通流路156に連通する排圧ドレン流路160と、ソレノイド部124の可動鉄芯148に弁体162aが連結されて排圧ドレン流路160を開閉するパイロット弁162(弁体162a、弁座162b)とが設けられている。また、先端部126aにおける流出口154の周囲に、取付け対象(主流路組込み器具200の電磁弁取付け部204)の奥側となる底面部204bに形成される第2シール面210に密着させる先端シール部174(一例として、エラストマ材料を用いた環状に形成されている)が設けられている。
【0031】
これによれば、以下の作用が得られる。具体的には、第2センサ32Aが使用者を感知すると、その感知信号により第2駆動制御部32Bが電磁弁120のソレノイド部124(コイル144)に通電を行い、固定鉄芯146等が励磁されることによって、可動鉄芯148が固定鉄芯146に吸引される方向に動作し、パイロット弁162の弁体162aが弁座162bから離れるため、排圧ドレン流路160が開かれた状態となる(一例として、数秒程度に設定される)。このとき、排圧ドレン流路160は、ダイヤフラム弁158の配設される位置よりも下流側となる位置で通流路156に連通しているため、排圧ドレン流路160内の圧力が大気解放された状態となる。したがって、排圧ドレン流路160と連通しているダイヤフラム弁158の弁箱158cの部分(弁体158aに対して弁座158bが設けられる側と逆側の部分)の圧力が減圧されるため、弁体158aが弁箱158c内において弁座158bが設けられる側から弁座158bが設けられる側と逆側へと移動する。これによって、通流路156が開いた状態となるため、流入口152から流出口154へ洗浄水が流れることとなる。一方、その後の動作としては、電磁弁120が消磁すると、可動鉄芯148が固定鉄芯146に吸引された状態が解消し、リターンスプリング(コイルスプリング)172の作用によって、パイロット弁162の弁体162aが弁座162bに密着して排圧ドレン流路160が閉じられた状態となる。ここで、ダイヤフラム弁158の弁体158aは、弁座158bが設けられる側と弁座158bが設けられる側と逆側とを連通する小孔158dを備えているため、ダイヤフラム弁158の弁箱158c内は、流入口152側から当該小孔158dを通じて徐々に弁体158aの裏側(弁座158bが設けられる側と逆側)へと洗浄水が満ちてくる。さらに弁体158aの裏側にはリターンスプリング(コイルスプリング)150が設けられており、それらの作用によって、弁体158aが弁座158bに当接する状態となるため、通流路156が閉じられて、洗浄水の通水が停止する。
【0032】
ここで、本実施形態に特徴的な構成として、弁部126は、外周部において、取付け対象(主流路組込み器具200の電磁弁取付け部204)の内周部204aとの間でシールを行う部材として、ベース部122(第2端部122b)に対して近い位置に第1シール部164が嵌設されており、ベース部122(第2端部122b)に対して遠い位置に第2シール部166が嵌設されている。一例として、第1シール部164には、エラストマ材料を用いたOリングが使用されている。また、第2シール部166には、エラストマ材料を用いたセルフシール型のUパッキンが使用されており、流入口152から流入する洗浄水の流体圧力によって密閉性が確保される作用が得られる。
【0033】
さらに、排圧ドレン流路160は、弁部126における第1シール部164と第2シール部166との間の外周部に形成された外周流路168を有している。この外周流路168は、パイロット弁162を間に介在させて、ダイヤフラム弁158の弁箱158c内の所定位置(弁体158aに対して弁座158bが設けられる側と逆側の位置)に連通し、且つ、ダイヤフラム弁158が配設される位置よりも下流側となる位置で通流路156に連通する構成となっている。
【0034】
上記の構成によれば、所望の作用をなす排圧ドレン流路160を備える弁部126を金属材料ではなく樹脂材料で形成することが可能となる。その結果、電磁弁120の軽量化、材料費の低減、製造工程の簡素化・容易化、信頼性の向上を図ることが可能となる。特に、排圧ドレン流路160が金型を用いた成形によって全てもしくはほとんどが形成できるため、機械加工が不要となるもしくは極めて簡素となる。より具体的には、仮に、弁部126を金属材料で形成した場合には機械加工上の制約から、例えば排圧ドレン流路160をなす流路の一部を外周部から穿設した後に球状金属材料で穴埋めする必要が生じる等、製造工程の複雑化や流路(穴埋め部分)の信頼性低下(漏水リスク)といった課題が生じ得るが、上記の構成によればその解決を図ることが可能となる。
【0035】
(工具連結治具)
続いて、本実施形態に係る改装方法に用いる工具連結治具110について詳しく説明する。
【0036】
本実施形態に係る工具連結治具110の斜視図(概略図)を
図19に示す。工具連結治具110は、電磁弁120のソレノイド部124を中心として挟み込む配置で電磁弁120の固定キャップ132に設けられた治具取付け部136に着脱可能に取付ける脚部112を備えると共に、当該脚部112を固定キャップ132(治具取付け部136)に取付けた状態で電磁弁120の軸心と回動工具Tの軸心とが一致するように回動工具Tを連結させることができる連結部116を備えて構成されている。一例として、連結部116は、中心(軸心)が電磁弁120の軸心と一致する位置に設けられている。
【0037】
本実施形態に係る工具連結治具110は、
図19に示すように、金属材料(一例として、鉄)を用いた板状部材を曲折させたコ字状(U字状)すなわち基部110aの両端から同一方向に延設された二つの側壁部110b、110cを有する形状に形成されている。ここで、二つの側壁部110b、110cの先端部に脚部112が設けられている。これによって、電磁弁120のソレノイド部124を挟み込む、すなわちソレノイド部124を跨ぐように被嵌させる配置で(ソレノイド部124に当接する必要はない)、当該脚部112を、治具取付け部136(すなわち、固定溝部134と兼用される溝)に着脱可能に取付ける(係合させる)ことが可能となる。そのため、脚部112の幅寸法(側壁部110b、110cの先端部の幅寸法)は、治具取付け部136(固定溝部134)の周方向寸法と係合可能な同一寸法に形成されている。
【0038】
また、本実施形態に係る工具連結治具110に特徴的な構成として、側壁部(一例として、それぞれの側壁部110b、110c)において、連結部116を中心として点対称となる位置)から径方向内方に向かって突設される傾斜防止ストッパ114が設けられている。なお、変形例として、一つの側壁部110b(もしくは110c)において、または二つの側壁部110b、110cにおいて、幅方向の両端に傾斜防止ストッパ114を設ける構成としてもよい(不図示)。
【0039】
特に、傾斜防止ストッパ114は、連結部116が電磁弁120の軸心に一致している際に当接せず、連結部116が電磁弁120の軸心から所定量ずれるように傾いた際に当接可能となるように構成されている。したがって、連結部116に回動工具Tを連結して、工具連結治具110を介して電磁弁120を回動させる際に、万一、工具連結治具110が所定の係合位置(連結部116の軸心が電磁弁120の軸心と一致する位置)から、それぞれの軸心が相互にずれて傾いた場合であっても、所定量の傾きが生じた時点で、傾斜防止ストッパ114が、電磁弁120のステー140と当接して、それ以上の傾きが生じることが防止できる。したがって、電磁弁120をシリンダ室21に取付ける作業を確実且つ容易に行うことが可能となる。ここで、前述の通り、工具連結治具110を治具取付け部136の所定位置に取付けた状態において、傾斜防止ストッパ114がソレノイド部124(ステー140)と当接しない構成としている。これは、電磁弁120のステー140は、回動力を受ける回動力作用部として用いられることが想定されていないため、傾斜防止ストッパ114が当接することによって作用力が伝達してしまうことを回避する目的である。
【0040】
なお、工具連結治具110を回動させる回動工具Tの例として、汎用の六角レンチが用いられる。したがって、連結部116は、回動工具T(ここでは、六角レンチ)が連結可能な六角形状の連結孔(もしくは連結溝であってもよい)を備えて構成されている。ただし、回動工具Tは、六角レンチに限定されるものではなく、ソケットレンチ、ドライバー等を用いてもよく、その場合には、連結部を当該工具形状に対して連結可能な形状として構成すればよい。
図20に、電磁弁120、工具連結治具110、回動工具Tを連結させる際の概略図を示す。
【0041】
(主流路組込み器具)
続いて、本実施形態に係る改装方法に用いる主流路組込み器具200について詳しく説明する。
【0042】
本実施形態に係る主流路組込み器具200の斜視図(概略図)を
図7に示す。主流路組込み器具200は、主流路18Aにおいて取外された所定部分18aに代わる流路となる流路部202と、当該流路部202の流路途中に設けられて電磁弁120が取付けられる電磁弁取付け部204とを備えて構成されている。ここで、電磁弁120を電磁弁取付け部204に挿入・螺合して所定位置に固定させた状態を
図8に示す。なお、諸般の事情によって、電磁弁120の外径が、電磁弁取付け部204の内径よりも小さく設定される場合には、変形例として、電磁弁取付け部204と電磁弁120との間にアダプタ180(詳細な構成については後述)を介在させて、電磁弁120を電磁弁取付け部204に取付ける工程としてもよい。
【0043】
本実施形態に係る電磁弁取付け部204は、金属材料(一例として、黄銅)を用いて電磁弁120が挿入可能な有底円筒状に形成されており、電磁弁120の外周部に設けられた雄ネジ部128に対して螺合可能な雌ネジ部206を内周部204aに有する構成となっている。また、内周部204aにおいて、電磁弁120を挿入・螺合して所定位置に固定させた状態となったときに、電磁弁120の外周部に嵌設された第1シール部164と第2シール部166との両方を密着させてシールを行う第1シール面208、および、当該第1シール面208よりも底面部204b寄りに貫通形成されて流路部202の上流側に連通する上流側開口部212が設けられている。
【0044】
また、底面部204bにおいて、径方向の中心に、貫通形成されて流路部202の下流側に連通する下流側開口部214が設けられている。さらに、底面部204bの内側の面には、当該下流側開口部214の周囲において、電磁弁120を挿入・螺合して所定位置に固定させた状態となったときに、電磁弁120の先端部126aに設けられる先端シール部174を密着させる第2シール面210が設けられている。
【0045】
一方、本実施形態に係る流路部202は、電磁弁取付け部204の上流側開口部212に接続される金属材料からなる蛇腹配管を用いた上流流路202aと、電磁弁取付け部204の下流側開口部214に接続される金属材料からなる回動式L字配管を用いた下流流路202bとを有して構成されている。なお、上流流路202aの上流側端部には管継手216が設けられており、下流流路202bの下流側端部には管継手218が設けられている。このように、流路部202が蛇腹配管および回動式L字配管を備えて構成されていることによって、現物合わせとならざるを得ない改装作業において、主流路組込み器具200の取付けを容易且つ確実に行うことが可能となる。
【0046】
(アダプタ)
続いて、本実施形態に係る改装方法に用いるアダプタ180について詳しく説明する。
【0047】
本実施形態に係るアダプタ180の概略図として、第1端部180a側の斜視図を
図21に、第2端部180b側の斜視図を
図22に、正面断面図を
図23にそれぞれ示す。
【0048】
このアダプタ180は、金属材料(一例として、黄銅)を用いて異径円筒状に形成されている。具体的な構成として、取付け対象(主流路組込み器具200の電磁弁取付け部204)の内周部204aの雌ネジ部206に対して螺合可能な雄ネジ部182を外周部に有し、且つ、電磁弁120の外周部の雄ネジ部128に対して螺合可能な雌ネジ部184を内周部に有している。また、第1端部180aにおいて径方向外方に突設される鍔状部186を有している。なお、鍔状部186の外周部は、汎用の回動工具(スパナ等)を係止して回動させる工具係止部として構成されている。また、第2端部180bにおいて、径方向に貫通する通水口188が開口形成されている。ここで、第2端部180bの径方向中心に設けられる開口部194は、電磁弁120の弁部126の先端部126aを挿通させて突出した状態で配設させるための開口である。
【0049】
また、アダプタ180は、外周部において、取付け対象(主流路組込み器具200の電磁弁取付け部204)の内周部204aとの間でシールを行う部材として、シール部190が嵌設されている。一例として、シール部190には、エラストマ材料を用いたOリングが使用されている。ここで、シール部190は、アダプタ180が取付け対象(主流路組込み器具200の電磁弁取付け部204)の所定位置に固定された状態となったときに、取付け対象(主流路組込み器具200の電磁弁取付け部204)の第1シール面208と密着する位置に配置されている。
【0050】
また、アダプタ180は、内周部において、電磁弁120が当該アダプタ180の所定位置に固定された状態となったときに、電磁弁120に設けられた第1シール部164および第2シール部166の両方を密着させてシールを行うシール面192が設けられている。また、その状態において、アダプタ180の通水口188の軸方向位置と、電磁弁120の流入口152の軸方向位置とが、一致するように構成されている。したがって、流路部202(上流流路202a)から、通水口188を介して、流入口152へ洗浄水が通水される。
【0051】
上記の構成を備えるアダプタ180によれば、諸般の事情(例えば、電磁弁120や電磁弁取付け部204等に汎用品を用いること等)によって、電磁弁120の外径が、取付け対象(電磁弁取付け部204)の内径よりも小さく設定される場合であっても、電磁弁取付け部204と電磁弁120との間に当該アダプタ180を介在させることで、電磁弁120を電磁弁取付け部204に取付けることが可能となる。
【0052】
(止水蓋)
続いて、上記の改装方法に用いる止水蓋240について詳しく説明する。
【0053】
本実施形態に係る止水蓋240の概略図(取付け用開口部22に対向する側から視た斜視図)を
図24に示す。この止水蓋240は、金属材料(一例として、黄銅)を用いて形成されており、平板状の平板部242と、当該平板部242から取付け用開口部22に対向する側に突設された円筒部244とを有して構成されている。
【0054】
ここで、円筒部244の外周部において、取付け用開口部22の内周部との間でシールを行う部材として、シール部246が嵌設されている。一例として、シール部246には、エラストマ材料を用いたOリングが使用されている。
【0055】
この構成によれば、主電磁弁24が取外された状態の取付け用開口部22に、当該止水蓋240の円筒部244を挿入して、平板部242を本体部10Aにネジ留めすることによって、取付け用開口部22の封止を行うことができる。
【0056】
[第二の実施形態]
続いて、本発明の第二の実施形態について説明する。本実施形態に関しては、前述の第一の実施形態と基本的な構成は同様であるが、幾つかの構成において相違点を有する。以下、当該相違点を中心に図を用いて本実施形態について説明する。
【0057】
(改装方法)
以下、図面を参照して、本発明の第二の実施形態について詳しく説明する。
図9は、従来の実施形態に係る自動洗浄装置を備える便器の他の例を示す概略図であって、一例として便器2は本体2Aと当該本体2Aの上部に嵌設される上蓋2Bを備えて構成されている。また、
図10は、上蓋2Bを取外した状態の本体2Aの上部の構成である。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0058】
先ず、従来の実施形態に係る自動洗浄装置5は、一例として、取水口14Bから送水口16Bへ連通して洗浄水を通流させる主流路18B、および当該主流路18Bの開閉を行う開閉機構20Bを有する本体部10Bが、便器2の本体2Aの上部に配設されている。また、使用者の感知を行うセンサ13A、および当該センサ13Aの感知信号により開閉機構20Bの駆動制御を行う駆動制御部13Bを有する内部型ユニット13が便器2の本体2Aに配設されている。これによれば、センサ13Aが使用者(使用状態)を感知して、駆動制御部13Bへ感知信号を送り、次いで、駆動制御部13Bが開閉機構20Bへ開きとする指令信号を送ることによって、開閉機構20Bが開いて主流路18Bが開通し、洗浄水が通流して便器2の自動洗浄を行う作用が得られる。
【0059】
一例として、主流路18Bは、給水管30Bに連結された取水口14Bから取水し、本体部10B内を通り、送水口16Bが連結された便器2の本体2Aに送水する作用をなす流路として構成されている。ここで、自動洗浄装置5は、上記の開閉機構20Bとして、本体部10Bのシリンダ室21内に配置される差圧移動式のピストンバルブ23と、一端がシリンダ室21の壁部に開口形成された第1開口孔25を介してシリンダ室21と連通すると共に他端が主流路18Bのピストンバルブ23が配設される位置よりも下流側となる位置に開口形成された第2開口孔27を介して主流路18Bと連通する副流路29と、副流路29を開閉する副電磁弁31と、を有して構成されて。したがって、上記の「駆動制御部13Bが開閉機構20Bへ開きとする指令信号を送ることによって開閉機構20Bが開いて主流路18Bが開通する作用」をより具体的に説明すると、駆動制御部13Bが副電磁弁31へ開きとする指令信号を送ることによって、副電磁弁31が駆動されて、副流路29が開かれた状態となる。このとき、副流路29は第2開口孔27を介して下流側の主流路18Bに連通しているため、副流路29内の圧力が大気解放された状態となる。したがって、第1開口孔25を介してピストンバルブ23の後端部23a側(第1開口孔25側)の圧力が減圧されるため、当該ピストンバルブ23がシリンダ室21内において奥側(底面部21b側)から開口端部21a側へと移動する。これによって、主流路18Bが開通する作用が得られる。
【0060】
そのため、内部型ユニット13すなわちセンサ13Aや駆動制御部13B等が故障した場合には、便器の自動洗浄機能が得られない状態となってしまう。このとき、故障したセンサ13Aや駆動制御部13B等の交換部品を入手できれば現状復帰も可能である。しかし、前述の通り、年数の経過によって交換部品の製造・提供が終了してしまった場合には、自動洗浄機能を復帰させることができず、便器全体を交換しなければならないという問題が生じ得る。
【0061】
そこで、センサ13A等の故障時に、既設の自動洗浄装置5の一部を活用しつつ、自動洗浄機能を復帰させるために、本実施形態に係る改装方法は以下の工程を備えることを特徴とする。
【0062】
先ず、便器2の本体2Aから上蓋2Bを取外した状態で、内部型ユニット13に接続された配線(不図示)を切離して、内部型ユニット13の機能を停止させる工程SB1を実施する(なお、
図10は、内部型ユニット13から当該配線が切離された状態の図となっている)。このとき、当該配線を切離したうえで、さらに内部型ユニット13の全部もしくは一部を取外す工程を追加してもよい(この追加工程は必須ではない)。ただし、例えば、本体2Aからセンサ13Aを取外すと、その部分が開口状態となるため、外観の美観を損ねないように、別途、封止部材(不図示)を取付けることが好ましい。
【0063】
次に、工程SB1よりも後に、
図11に示すように、主流路18Bに通流させる水の止水を行う止水栓19を閉めて噴水防止措置を取った後、本体部10Bからシリンダ室21の開口端部21aを密閉している密閉蓋33を取外し、次いで、シリンダ室21内を移動して主流路18Bの通水・止水を行う差圧移動式のピストンバルブ23を当該シリンダ室21から取外す工程を実施する(工程SB2)。なお、噴水防止措置は、工程SB1よりも前に実施してもよく、あるいは、止水栓19よりもさらに上流に設けられる元水栓(不図示)を閉める方法により実施してもよい。
【0064】
次に、工程SB2よりも後に、
図12(取付け方法の説明図)、
図13(取付け後の状態図)に示すように、主流路18Bの開閉を行うための電磁弁120をシリンダ室21に挿入・螺合して本体部10Bに取付けると共に、当該電磁弁120によってシリンダ室21の開口端部21aの封止を行う工程を実施する(工程SB3)。すなわち、本実施形態における電磁弁120を取付ける対象(「取付け対象」)は、本体部10Bのシリンダ室21となる。ここで、シリンダ室21の拡大図を
図15に示す。
【0065】
なお、上記工程SB3は、次のように実施される。具体的には、回動工具Tの回動力を電磁弁120に伝達する着脱可能な工具連結治具110を電磁弁120に取付けた後、回動工具Tを工具連結治具110に連結して回動することにより電磁弁120を回動させて、電磁弁120の外周部に設けられる雄ネジ部128を、シリンダ室21の内壁に設けられる雌ネジ部21cに直接、螺合させることにより取付ける。このとき、電磁弁120の先端部126aに設けられる先端シール部174がシリンダ室21の奥側の底面部21b(第2シール面21f)に密着した状態となる。なお、変形例として、電磁弁120(雄ネジ部128)の外径が、シリンダ室21(雌ネジ部21c)の内径よりも小さく設定される場合には、間にアダプタ180を介在させて、電磁弁120をシリンダ室21に挿入しつつ螺合させて取付ける工程としてもよい。なお、
図12、
図13においては、取付け構造を説明するためにアダプタ180も表示しているが、当該アダプタ180は必須構成ではない。
【0066】
上記の構成によれば、主流路18Bの流路途中(すなわちシリンダ室21)に電磁弁120が取付けられて、当該主流路18Bの開閉を行うことが可能となる。したがって、主流路18B(シリンダ室21)から取外した差圧移動式のピストンバルブ23を用いる構成に代えて、主流路18Bの開閉を行うことが可能となる。
【0067】
次に、工程SB3よりも後に、
図14に示すように、使用者の感知を行う第2センサ32A、および当該第2センサ32Aの感知信号により電磁弁120の駆動制御を行う第2駆動制御部32Bを有する外部型ユニット32を便器2の上蓋2Bの上に配置されるようにして、当該上蓋2Bに対して固定する工程を実施する(工程SB4)。このとき、外部型ユニット32からの制御配線を電磁弁120に接続したうえで、当該上蓋2Bを本体2A上の所定位置に嵌設すればよい。なお、外部型ユニット32は電池により駆動される構成としているが、これに限定されるものではなく、適宜ACアダプタ等を介してAC100[V]の商用電源により駆動される構成としてもよい(不図示)。また、外部型ユニット32を上蓋2Bの上に固定するための固定具の取付け先は、本体2Aもしくは壁面等であってもよい。
【0068】
以上説明した通り、既設の自動洗浄装置の本体部10Bが、本体2Aの上部に配設され、使用者の感知および通水の制御を行う内部型ユニット13が本体2Aに配設されている便器2において、例えば内部型ユニット13(センサ13A等)が故障した場合において、当該自動洗浄装置の一部を活用して、主流路18Bの開閉を行う機構を、差圧移動式のピストンバルブ23を用いる構成から電磁弁120を用いる構成に切替えを行いつつ、自動洗浄機能を復帰させる改装方法を実現することが可能となる。したがって、便器自体の交換や、壁を取壊しての機器・配管類の交換・新設が必要ないため、改装のための作業を簡素にすることができ、部品コストおよび作業コストを大幅に低減することが可能となる。また、この改装方法は、内部型ユニット13(センサ13A等)が故障した場合のみならず、例えば、副電磁弁31等が故障した場合にも有効に適用することができる。
【0069】
なお、本実施形態においては、既設の自動洗浄装置として本体部10Bが本体2Aの上部に配設された構成を例に挙げて説明を行ったが、これに限定されるものではなく、本体部が壁内もしくは壁近傍部に配設された構成(不図示)に対しても本改装方法を同様に適用することができる。
【0070】
(電磁弁)
本実施形態に係る電磁弁120自体の構成は前述の第一の実施形態において説明した通りである。ここでは、電磁弁120を本発明の第二の実施形態に係る改装方法に用いる場合において、前述の第一の実施形態に係る改装方法に用いる場合との相違点を中心に説明する。
【0071】
本実施形態において、電磁弁120の取付け対象は、本体部10Bのシリンダ室21となる。したがって、ベース部122の雄ネジ部128は、本体部10Bのシリンダ室21の雌ネジ部21cに対して螺合される構成である。これによれば、ベース部122の雄ネジ部128を取付け対象(本体部10Bのシリンダ室21)の雌ネジ部21cに螺合させて固定することにより、電磁弁120を取付け対象(本体部10Bのシリンダ室21)に固定することが可能となる。なお、符号120a側を第1端部、符号120b側を第2端部と称する。
【0072】
また、電磁弁120がシリンダ室21の所定位置に取付けられた状態のときに、弁部126の先端部126aに設けられる先端シール部174は、シリンダ室21の底面部21bの径方向中心に開口する流出口21eの周囲に形成される第2シール面21fに密着する構成となる。このとき、先端シール部174によってシールされた状態で、電磁弁120の流入口152がシリンダ室の流入口21dと連通し、電磁弁120の流出口154がシリンダ室の流出口21eと連通した状態となる。
【0073】
さらに、その状態のときに、弁部126の外周部に嵌設された第1シール部164および第2シール部166の両方が、取付け対象(本体部10Bのシリンダ室21)の内周部に設けられた第1シール面21gに密着する構成となる。
【0074】
ここで、第1シール部164は、電磁弁120が取付け対象(本体部10Bのシリンダ室21)の所定位置に固定された状態となったときに、本体部10Bの第1開口孔25の位置に対して、シリンダ室21の奥側となる位置すなわち電磁弁120の第2端部120b寄り(弁部126の先端部126a寄り)となる位置に配置されている。当該構成および前述の外周流路168の構成を備えることによって、所望の作用をなす排圧ドレン流路160を備える弁部126を金属材料ではなく樹脂材料で形成することが可能となる。その結果、電磁弁120の軽量化、材料費の低減、製造工程の簡素化・容易化、信頼性の向上を図ることが可能となる。特に、排圧ドレン流路160が金型を用いた成形によって全てもしくはほとんどが形成できるため、機械加工が不要となるもしくは極めて簡素となる。より具体的には、仮に、弁部126を金属材料で形成した場合には機械加工上の制約から、例えば排圧ドレン流路160をなす流路の一部を外周部から穿設した後に球状金属材料で穴埋めする必要が生じる等、製造工程の複雑化や流路(穴埋め部分)の信頼性低下(漏水リスク)といった課題が生じ得るが、上記の構成によればその解決を図ることが可能となる。
【0075】
(アダプタ)
本実施形態に係るアダプタ180自体の構成は前述の第一の実施形態において説明した通りである。ここでは、アダプタ180を本発明の第二の実施形態に係る改装方法に用いる場合において、前述の第一の実施形態に係る改装方法に用いる場合との相違点を中心に説明する。
【0076】
本実施形態において、アダプタ180の取付け対象は、本体部10Bのシリンダ室21となる。したがって、外周部の雄ネジ部182は、本体部10Bのシリンダ室21の雌ネジ部21cに対して螺合される構成である。これによれば、外周部の雄ネジ部182を取付け対象(本体部10Bのシリンダ室21)の雌ネジ部21cに螺合させて固定することにより、アダプタ180を取付け対象(本体部10Bのシリンダ室21)に固定することが可能となる。
【0077】
また、外周部のシール部190は、取付け対象(本体部10Bのシリンダ室21)の内周部(第1シール面21g)との間でシールを行う構成となる。ここで、シール部190は、アダプタ180がシリンダ室21の所定位置に固定された状態となったときに、シリンダ室21の第1開口孔25の位置に対して、取付け対象(本体部10Bのシリンダ室21)の底面部21b寄りとなる位置すなわちアダプタ180の第2端部180b寄りとなる位置に配置されている。
【0078】
また、アダプタ180は、内周部において、電磁弁120が当該アダプタ180の所定位置に固定された状態となったときに、電磁弁120に設けられた第1シール部164および第2シール部166の両方を密着させてシールを行うシール面192が設けられている。また、その状態において、アダプタ180の通水口188の軸方向位置と、電磁弁120の流入口152の軸方向位置とが、一致するように構成されている。したがって、シリンダ室21の流入口21dから、通水口188を介して、流入口152へ洗浄水が通水される。
【0079】
上記の構成を備えるアダプタ180によれば、諸般の事情(例えば、電磁弁120等に汎用品を用いること等)によって、電磁弁120の外径が、取付け対象(本体部10Bのシリンダ室21)の内径よりも小さく設定される場合であっても、シリンダ室21と電磁弁120との間に当該アダプタ180を介在させることで、電磁弁120をシリンダ室21に取付けることが可能となる。
【0080】
以上説明した通り、開示の改装方法、および当該改装方法に用いられる電磁弁、工具連結治具、アダプタ、主流路組込み器具によれば、前述の課題解決が可能となり、便器の本体もしくは上蓋に使用者を感知するセンサを備えてその感知信号により主流路の開閉を行う自動洗浄装置において、センサ等が故障した際に、当該自動洗浄装置の一部を活用しつつ、自動洗浄機能を復帰させる改装を実現することができる。したがって、センサ等の故障時において便器全体を交換しなければならないような大掛かりな作業と多大な経費の発生を抑制することが可能となり、簡易に、且つ、低コストでの改装が実現可能となる。
【0081】
また、本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、以上の実施形態においては、センサおよび駆動制御部を有するユニットが便器の本体の上部もしくは便器の本体の上部に嵌設される上蓋に設けられる構成に対する適用例を主に説明を行った。しかし、本発明は、当該センサおよび駆動制御部を有するユニットが壁内や壁近傍部(例えば、便器の上方であって、壁面の前方となる位置等)に設けられる構成に対しても適用し得る。
【0082】
なお、以上説明した電磁弁、工具連結治具、アダプタ、主流路組込み器具を適宜組み合わせて、「本改装方法に用いられる改装器具」として構成してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1、2 便器
1A、2A 本体
1B、2B 上蓋
4、5 自動洗浄装置
10A、10B 本体部
12、13 内部型ユニット
18A、18B 主流路
20A、20B 開閉機構
21 シリンダ室
22 取付け用開口部
23 ピストンバルブ
24 主電磁弁
25 第1開口孔
27 第2開口孔
29 副流路
30A、30B 給水管
31 副電磁弁
32 外部型ユニット
33 密閉蓋
110 工具連結治具
112 脚部
114 傾斜防止ストッパ
116 連結部
120 電磁弁
122 ベース部
124 ソレノイド部
126 弁部
128 雄ネジ部
132 固定キャップ
134 固定溝部
136 治具取付け部
140 ステー
152 流入口
154 流出口
156 通流路
158 ダイヤフラム弁
160 排圧ドレン流路
162 パイロット弁
164 第1シール部
166 第2シール部
168 外周流路
174 先端シール部
180 アダプタ
200 主流路組込み器具
202 流路部
204 電磁弁取付け部
240 止水蓋
P 配管
T 回動工具
WL 壁面