特許 7194995 ダブルエンドテノーナ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2022-12-15

(45)【発行日】2022-12-23

(54)【発明の名称】ダブルエンドテノーナ

(51)【国際特許分類】

   B27F 1/06 20060101AFI20221216BHJP

   B27F 1/00 20060101ALI20221216BHJP

【ＦＩ】

B27F1/06

B27F1/00 B

【請求項の数】 2

(21)【出願番号】P 2019044059

(22)【出願日】2019-03-11

(65)【公開番号】P2020146858

(43)【公開日】2020-09-17

【審査請求日】2022-02-25

【新規性喪失の例外の表示】特許法第３０条第２項適用 平成３１年１月３１日に張家港愛朋家居科技股フン（にんべんに分）有限公司に販売した。

(73)【特許権者】

【識別番号】392009951

【氏名又は名称】株式会社ヤスダコーポレーション

(74)【代理人】

【識別番号】100078721

【弁理士】

【氏名又は名称】石田 喜樹

(74)【代理人】

【識別番号】100121142

【弁理士】

【氏名又は名称】上田 恭一

(72)【発明者】

【氏名】山田 猛

【審査官】石田 宏之

(56)【参考文献】

【文献】実公平３－２４３２５（ＪＰ，Ｙ２）

【文献】実開昭６３－６６２０１（ＪＰ，Ｕ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ２７Ｆ １／０６

Ｂ２７Ｆ １／００

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

ベース本体と、平行して設けられる左右２つのコラムとを少なくとも備え、前記コラムは、被削物を前方へ搬送するキャタピラチェンと、搬送される前記被削物を加工するための複数の加工主軸と、キャタピラチェン駆動モータとを備えるダブルエンドテノーナであって、
２つの前記コラムの何れかが、前記ベース本体に対して前後方向に移動し、任意の位置に保持可能であることを特徴とするダブルエンドテノーナ。

【請求項2】

２つの前記コラムに備えられた各前記キャタピラチェンは、それぞれ独立した２つの前記キャタピラチェン駆動モータを１つずつ備え、
２つの独立した前記キャタピラチェン駆動モータが、同期運転することを特徴とする請求項１に記載のダブルエンドテノーナ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、材料を効率良く精度に優れる平行四辺形にサイジング加工すると同時に嵌合用の実加工が可能なダブルエンドテノーナに関する。

【背景技術】

【0002】

一般的に、店舗及び住宅用フローリング（床材）として用いられる板材は、当該板材の四隅が９０°の平面視長方形型にサイジング加工され、四辺の各々が嵌合できるように凹凸上の実加工が施されている。また、フローリングは、複数枚を並べて施工することから、各々のサイジング寸法、実寸法及び角度について高い精度が要求されると同時に、量産性能の優れた加工装置が必要とされる。そこで、ワークを一回通過させることにより、サイジング加工と実加工が可能なダブルエンドテノーナ（例えば、特許文献１）が広く使用されている。そのような中、近年、デザイン性の観点から、四隅が９０°の平面視長方形型ではない、平面視平行四辺形型のフローリング用の板材への需要が高まっている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開平７－２７６３０１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかし、従来のダブルエンドテノーナは、９０°以外の角度での加工ができない。そのため、優れた加工精度で平面視平行四辺形型にサイジング加工可能であると共に、量産性能に優れた加工装置が望まれている。

【0005】

そこで、本発明の目的は、被削物を加工主軸に一回通過させることにより、高い精度でサイジング加工すると共に、実加工が可能であり、平面視平行四辺形型の板材を効率良く得ることができるダブルエンドテノーナを提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

上記目的を達成するために、請求項１に記載の発明は、ベース本体と、平行して設けられる左右２つのコラムとを少なくとも備え、コラムは、被削物を前方へ搬送するキャタピラチェンと、搬送される被削物を加工するための複数の加工主軸と、キャタピラチェン駆動モータとを備えるダブルエンドテノーナであって、２つのコラムの何れかが、ベース本体に対して前後方向に移動し、任意の位置に保持可能であることを特徴とする。
請求項２に記載の発明は、請求項１の構成において、２つのコラムに備えられた各キャタピラチェンは、それぞれ独立した２つのキャタピラチェン駆動モータを１つずつ備え、２つの独立したキャタピラチェン駆動モータが、同期運転することを特徴とする。

【発明の効果】

【0007】

請求項１に記載の発明によれば、２つのコラムを任意の間隔及び位相差に保持することで、任意の製品長さと四隅の角度とを設定できるため、被削物を全ての加工主軸に一回通過させることにより、精度良くサイジング加工すると共に、嵌合用の実加工を施せることから、効率よく平面視平行四辺形型の板材を得られる。
請求項２に記載の発明によれば、２つのコラムの位相差を保持した状態でキャタピラチェンを駆動させることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】本発明におけるダブルエンドテノーナの一部を示す斜視図である。

【図2】本発明におけるダブルエンドテノーナの一部を示す平面図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図１に示すように、ダブルエンドテノーナ１は、Ｔ字状のベース本体２と、ベース本体２上にそれぞれが平行して設けられる左右２つのコラム３，４とを備える。なお、本発明のダブルエンドテノーナ１は、被削物の押さえ機構等、実際の稼働に必要な設備を備えるが、本発明の説明において必要な部分を抽出し、図示している。
各コラム３，４はそれぞれ、キャタピラチェン５，６と、搬送される被削物Ｘをサイジング加工及び実加工するための複数の加工主軸Ｓ１～Ｓ５（以下、主軸群Ｓ）と、キャタピラチェン駆動モータ７，８とを備える。キャタピラチェン５，６には、所定の間隔で、キャタピラチェン５，６上に載置された被削物を進行方向へ推し進めるドッグ９，９・・・が設けられている。なお、キャタピラチェン駆動モータ７，８は、図示しない制御手段に接続され、当該制御手段により、キャタピラチェン駆動モータ７，８の回転速度、つまり、キャタピラチェン５，６の移動速度が制御される。

【0010】

左コラム３は、ボールねじ３ａを介して、ベース本体２に備えられたコラム幅移動駆動モータ３ｂに、左右方向へ移動可能に連結されている。そのため、制御手段を操作し、コラム幅移動駆動モータ３ｂを駆動させることで、ボールねじ３ａの回転に伴って左コラム３は左右方向へ移動する。任意の位置に左コラム３が移動した時点でコラム幅移動駆動モータ３ｂを停止させると、その位置に左コラム３を保持することができる。
右コラム４は、ボールねじ４ａを介して、ベース本体２に備えられたコラム前後移動駆動モータ４ｂに、前後方向へ移動可能に連結されている。そのため、コラム前後移動駆動モータ４ｂを駆動させることで、右コラム４は前後方向へ移動し、任意の位置に右コラム４が移動した時点でコラム前後移動駆動モータ４ｂを停止させると、その位置に右コラム４を保持することができる。
コラム幅移動駆動モータ３ｂ及びコラム前後移動駆動モータ４ｂは、図示しない制御手段に接続されており、当該制御手段により、左コラム３の左右方向への移動及び右コラム４の前後方向への移動を、任意の移動幅かつ精密に制御することができる。

【0011】

続いて、図２を用いて、ダブルエンドテノーナ１を用いて、被削物Ｘを平面視平行四辺形型にサイジング加工及び実加工する手順を説明する。
まず、制御手段を操作し、コラム幅移動駆動モータ３ｂを作動して左コラム３を左右方向へ移動させ、左コラム３と右コラム４との間隔が、所望の製品長さＷ１が得られる間隔Ｗとなる位置に左コラム３が至った時点で、コラム幅移動駆動モータ３ｂを停止させる。上述の通り、左コラム３は、左右方向へ任意の距離で精密に移動可能なため、加工後の板材Ｐは、所望の製品長さＷ１を精度良く得ることができる。
引き続き、制御手段を操作し、コラム前後移動駆動モータ４ｂを作動して右コラム４を前後方向へ移動させ、左コラム３と右コラム４との位相差が、所望の角度θ１が得られる位相差Ｄとなる位置に右コラム４が至った時点で、コラム前後移動駆動モータ４ｂを停止させる。上述の通り、右コラム４は、前後方向へ任意の距離で精密に移動可能なため、加工後の板材Ｐは、所望の角度θ１を精度良く得ることができる。

【0012】

前述のように、制御手段を操作し、所望の製品長さＷ１及び角度θ１が得られる位置に左右のコラム３，４を移動した後、予め概ね所望の製品長さＷ１及び角度θ１に近似する長さＷ２及び角度θ２に切り出された被削物Ｘを、被削物Ｘの後方端縁Ｘ１をドッグ９，９に合わせた状態でキャタピラチェン５，６上に載置し、図示しない被削物Ｘの押さえ機構により、被削物Ｘをキャタピラチェン５，６上に固定する。
続いて、キャタピラチェン駆動モータ７，８を作動させると、被削物Ｘは、キャタピラチェン５，６の動きに合わせて、その後方端縁Ｘ１をドッグ９，９に押され、コラム３，４上を前方へ移動する。この時、制御手段により左右のコラム３，４のキャタピラチェン駆動モータ７，８を同期運転させることで、左右のコラム３，４の位相差Ｄを保持したまま被削物Ｘを搬送することができる。コラム３，４上を移動しながら被削物Ｘは、主軸群Ｓによってサイジング加工及び実加工が施される。
このように、被削物Ｘが主軸群Ｓを一回通過することで、精度良く製品長さＷ１及び四隅の角度θ１のサイジング加工と、嵌合用の実加工を施せるため、平面視平行四辺形型のフローリング用の板材Ｐが効率良く得られる。

【0013】

上記形態のダブルエンドテノーナ１は、ベース本体２と、平行して設けられる左右２つのコラム３，４とを少なくとも備え、コラム３，４は、被削物Ｘを前方へ搬送するキャタピラチェン５，６と、搬送される被削物Ｘを加工するための複数の加工主軸Ｓ１～Ｓ５と、キャタピラチェン駆動モータ７，８とを備え、２つのコラム３，４の何れかが、ベース本体２に対して前後方向に移動し、任意の位置に保持可能である。
このような構成のダブルエンドテノーナ１によれば、コラム３，４を任意の間隔Ｗ及び位相差Ｄに保持することで、任意の製品長さＷ１と角度θ１とを設定できるため、被削物Ｘを全ての加工主軸Ｓ１～Ｓ５に一回通過させることにより、精度良くサイジング加工すると共に、嵌合用の実加工を施せることから、効率よく平面視平行四辺形型の板材Ｐを得られる。

【0014】

また、２つのコラム３，４に備えられた各キャタピラチェン５，６は、それぞれ独立した２つのキャタピラチェン駆動モータ７，８を１つずつ備え、２つの独立したキャタピラチェン駆動モータ７，８が、同期運転する。
よって、コラム３，４の位相差Ｄを保持した状態でキャタピラチェン５，６を駆動させることが可能となる。

【0015】

以上は、本発明を図示例に基づいて説明したものであり、その技術範囲はこれに限定されるものではない。例えば、左右のコラムは、左コラムが前後方向へ移動し、右コラムが左右方向へ移動しても、左右のコラムが共に前後左右に移動可能でも、一方がベース本体上に固定され、他方が前後左右に移動可能であってもよい。また、コラムの移動手段は、コラムが任意の位置へ移動可能であれば、ボールねじと各移動駆動モータとの組み合わせでなくてもよい。また、加工主軸は、望みの加工が可能であれば、数や種類は任意に選択可能である。さらに、四隅の角度を９０°とすることで、従来のダブルエンドテノーナと同様に、被削物の平面視長方形型へのサイジング加工及び実加工ができる。加えて、被削物は、板材でも角材でもよい。

【符号の説明】

【0016】

１・・ダブルエンドテノーナ、２・・ベース本体、３・・左コラム、３ｂ・・コラム左右移動駆動モータ、４・・右コラム、４ｂ・・コラム前後移動駆動モータ、５，６・・キャタピラチェン、７，８・・キャタピラチェン駆動モータ。

【図1】

【図2】