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特許7195011超疎水性コーティング及びその調製方法と応用、超疎水性発泡コンクリート及びその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】超疎水性コーティング及びその調製方法と応用、超疎水性発泡コンクリート及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 183/04 20060101AFI20221216BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20221216BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20221216BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20221216BHJP
   C09K 3/18 20060101ALI20221216BHJP
   C04B 41/64 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
C09D183/04
C09D7/61
C09D7/63
C09D5/02
C09K3/18 104
C04B41/64
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020084167
(22)【出願日】2020-05-13
(65)【公開番号】P2021109953
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2020-05-13
(31)【優先権主張番号】201911391839.1
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518229179
【氏名又は名称】青▲島▼理工大学
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO UNIVERSITY OF TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100140006
【弁理士】
【氏名又は名称】渕上 宏二
(72)【発明者】
【氏名】耿永娟
(72)【発明者】
【氏名】李紹純
(72)【発明者】
【氏名】侯東帥
(72)【発明者】
【氏名】金祖權
(72)【発明者】
【氏名】陳旭
(72)【発明者】
【氏名】肖啓龍
(72)【発明者】
【氏名】張偉鋒
(72)【発明者】
【氏名】雷東移
(72)【発明者】
【氏名】高菁
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-179402(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110818449(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110484134(CN,A)
【文献】特開2002-363442(JP,A)
【文献】特開2002-97431(JP,A)
【文献】特開2021-75679(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103275616(CN,A)
【文献】特開2017-196597(JP,A)
【文献】特開2002-179480(JP,A)
【文献】特開平4-249588(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103436165(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00- 10/00
C09D101/00-201/10
C09K 3/18
C04B 41/00- 41/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合前の有機シラン(ビニルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン及びN-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシランのうち一つまたは複数種を含む。)40~70部、無機ナノ材料10~40部、乳化剤5~15部、水10~50部という質量部の成分を含むことを特徴とする、超疎水性コーティング。
【請求項2】
前記無機ナノ材料はシリカ、アルミナ、γ-アルミナ、酸化チタン、グラフェン、酸化グラフェン、シリカゾル、アルミナゾル及びチタンゾルのうち一つまたは複数種を含み、前記無機ナノ材料の粒度が20~300nmであることを特徴とする、請求項1に記載の超疎水性コーティング。
【請求項3】
請求項1または2に記載の超疎水性コーティングを調製する方法であって、
前記有機シラン、乳化剤と水に対して第一混合を行い、シラン-水のエマルジョンを得るステップと、
前記無機ナノ材料と前記ステップにより得られたシラン-水のエマルジョンに対して第二混合を行い、超疎水性コーティングを得るステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
前記第一混合及び第二混合の温度がそれぞれ40~70℃であり、前記第一混合の時間が110~330minであり、前記第二混合の時間が20~60minであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第一混合及び第二混合がそれぞれ撹拌下で行われ、前記撹拌速度がそれぞれ3000~8000r/minであることを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
請求項1または2に記載の超疎水性コーティング又は請求項3乃至5の何れかに記載の調製方法で調製して得られた超疎水性コーティングが施されていることを特徴とする、超疎水性発泡コンクリート。
【請求項7】
前記超疎水性発泡コンクリートが発泡コンクリート及び超疎水性コーティングを含み、
前記超疎水性コーティングは請求項1または2に記載の超疎水性コーティング又は請求項3乃至5の何れかに記載の調製方法で調製して得られた超疎水性コーティングであり、
前記超疎水性コーティングの塗布量が600~1500g/m2であることを特徴とする、超疎水性発泡コンクリート。
【請求項8】
請求項7に記載の超疎水性発泡コンクリートを調製する方法であって、
前記超疎水性コーティングを前記発泡コンクリートの表面に塗布した後、静置して、前記超疎水性発泡コンクリートを得るというステップを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超疎水性材料の技術分野に関し、具体的には超疎水性コーティング及びその調製方法と応用、超疎水性発泡コンクリート及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡コンクリートは普通のコンクリートに一定量の気泡を導入して作成されるもので、多くの気孔があり、軽量であり、同時に、これらの気孔は熱と音の伝達を減らすことができるので、発泡コンクリートには軽量、保温、断熱、耐火性、衝撃吸収、吸音などの利点がある。上記利点に鑑み、発泡コンクリートは建築物の省エネルギー、建築重量の削減などに広く応用されている。しかしながら、発泡コンクリートの密な気孔分布、大きな気孔サイズのため、水分を吸収しやすく、発泡コンクリートの性能と構造の耐久性に影響を与える。したがって、発泡コンクリートの防水性能をさらに向上させることができれば、建築構造の耐久性を効果的に向上させることができ、環境にやさしく、省エネルギー、建物の耐用年数延長の効果が得られる。
【0003】
発泡コンクリートの表面に防水コーティングを塗布することは発泡コンクリートの防水性能を向上させる効果的な方法の一つである。シランはよく使用されている透水性防水材料の一種であり、コンクリート表面の特定の深さまで浸透し、コンクリートと反応して防水層を形成し、防水性と不浸透性に優れた役割を果たす。同時に、シランは発泡コンクリート内部の気孔を塞がないため、発泡コンクリートの密度や熱伝導率などの性能パラメーターにはほとんど影響しない。しかしながら、現在の研究と実用化の結果から見ると、シランの防水効果はまだ理想的な状態に達しておらず、シランで処理された発泡コンクリートは依然として高い吸水率を持っている。
【0004】
公開番号CN105366985A(特許文献1)の中国特許は発泡コンクリートのナノ補強剤を開示し、それはシリカゾル、アルミニウムゾル及びシランカップリング剤を混合することにより調製されてなるもので、該発明で調製された補強剤を使用して発泡コンクリートを浸漬した後、発泡コンクリートの疎水性能は改善されるが、その効果は依然として理想的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国特許出願公開第105366985号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術の問題を克服するために、本発明は超疎水性コーティングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決手段を提供する。
本発明は超疎水性コーティングを提供し、当該超疎水性コーティングは有機シラン40~70部、無機ナノ材料10~40部、乳化剤5~15部、水10~50部という質量部の成分を含む。
【0008】
好ましくは、前記有機シランはビニルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン及びN-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシランのうち一つ又は複数種を含む。
【0009】
好ましくは、前記無機ナノ材料はシリカ、アルミナ、γ-アルミナ、酸化チタン、グラフェン、酸化グラフェン、シリカゾル、アルミナゾル及びチタンゾルのうち一つ又は複数種を含み、
【0010】
前記無機ナノ材料の粒度は20~300nmである。
【0011】
好ましくは、前記乳化剤はアルコールエトキシレートO、スパン80、スパン60、トゥイーン60及びトゥイーン80のうち一つ又は複数種を含む。
【0012】
本発明はさらに前記技術的解決手段に記載の超疎水性コーティングの調製方法を提供し、当該方法は、
前記有機シラン、乳化剤及び水に対して第一混合を行い、シラン-水エマルジョンを得るステップと、
前記無機ナノ材料及び前記シラン-水エマルジョンに対して第二混合を行い、前記超疎水性コーティングを得るステップと
を含む。
【0013】
好ましくは、前記第一混合及び第二混合の温度は独立して40~70℃であり、前記第一混合の時間は110~330min、前記第二混合の時間は20~60minである。
【0014】
好ましくは、前記第一混合及び第二混合は独立して撹拌下で行い、前記撹拌速度は独立して3000~8000r/minである。
【0015】
本発明は前記技術的解決手段に記載の超疎水性コーティング又は前記技術的解決手段に記載の調製方法により調製して得られた超疎水性コーティングの、超疎水性発泡コンクリートの調製における応用を提供する。
【0016】
本発明は超疎水性発泡コンクリートを提供し、前記超疎水性発泡コンクリートは発泡コンクリート及び超疎水性コーティングを含み、
前記超疎水性コーティングは前記技術的解決手段に記載の超疎水性コーティング又は前記技術的解決手段に記載の調製方法で調製して得られた超疎水性コーティングであり、
前記超疎水性コーティングの塗布量が600~1500g/m2である。
【0017】
本発明は前記技術的解決手段に記載の超疎水性発泡コンクリートの調製方法を提供し、当該方法は、
前記超疎水性コーティングを前記発泡コンクリートの表面に塗布した後、静置して、前記超疎水性発泡コンクリートを得るというステップを含む。
【発明の効果】
【0018】
前記目的を達成するために、本発明の提供する超疎水性コーティングは、有機シラン40~70部、無機ナノ材料10~40部、乳化剤5~15部、水10~50部という質量部の成分を含む。従来の技術と比べて、本発明の提供する超疎水性コーティングは、有機シラン、無機ナノ材料及び乳化剤が添加され、各成分の質量配合比を制御することにより、高度に分散され、均質化された有機シラン-無機ナノ材料複合乳化システムが得られ、超疎水性コーティングは、発泡コンクリート内部にマイクロナノ混合微細構造を形成した。乳化した有機シランは先ず発泡コンクリートの表面及び内部気孔に緻密な疎水性表面層を形成し、疎水性表面層の疎水性能が安定で、揮発しにくい。同時に、シランで形成された疎水層の表面において、無機ナノ材料が均一に分布するナノ突起を形成し、この2種類の微細構造の組み合わせは発泡コンクリートの超疎水性が効果的に向上し、実施例の結果により、本発明の提供する超疎水性コーティングで調製された発泡コンクリートの表面は、静的接触角が158°から175°の間、回転角が5°から10°の間、吸水率が6%未満となり、超疎水性コーティングで処理されていない発泡コンクリートより吸水率が65.6%以上減少し、超疎水性能において非常に優れることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は超疎水性コーティングを提供し、これは有機シラン40~70部、無機ナノ材料10~40部、乳化剤5~15部、水10~50部という質量部の成分を含む。
【0020】
本発明に記載の超疎水性コーティングは、質量部において40~70部の有機シランを含み、好ましくは45~60部である。本発明において、前記有機シランは、好ましくはビニルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン及びN-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシランのうち一つ又は複数種を含む。本発明において、前記有機シランが好ましくは前記具体的な選択における2種類以上である場合、本発明は前記具体的な物質の割合に特別な制限がなく、如何なる割合で混合しても十分である。前記有機シランの供給源に特別な要件がなく、当業者が熟知している市販の製品を使用すれば十分である。
【0021】
本発明において、前記有機シランが乳化剤で乳化された後に、発泡コンクリートと接触すると、発泡コンクリートの表面及び内部気孔に均一で緻密な疎水表面層が形成され、疎水表面層の疎水性能が安定し、揮発しにくく、発泡コンクリートの疎水性能が向上する。
【0022】
有機シランの質量部を標準に、本発明に記載の超疎水性コーティングが10~40部の無機ナノ材料を含み、好ましくは10~30部である。本発明において、前記無機ナノ材料の粒径は好ましくは20~300nmであり、より好ましくは30~200nmである。本発明において、前記無機ナノ材料は好ましくはシリカ、アルミナ、γ-アルミナ、酸化チタン、グラフェン、酸化グラフェン、シリカゾル、アルミナゾル及びチタンゾルのうち一つ又は複数種を含む。本発明において、前記無機ナノ材料が好ましくはシリカゾル、アルミナゾル及びチタンゾルのうち一つ又は複数種である場合、前記シリカゾル、アルミナゾル及びチタンゾルの固形分含有量が好ましくは10~50%であり、より好ましくは20~45%である。本発明において、前記無機ナノ材料が好ましくは前記具体的な選択範囲における2種類以上である場合、本発明は前記具体的な物質の割合に特別な制限がなく、如何なる割合で混合しても十分である。本発明は前記無機ナノ材料の供給源に特別な要件がなく、当業者が熟知している市販の製品を使用すれば十分である。
【0023】
本発明において、前記無機ナノ材料は、有機シランで形成した緻密な疎水表面層に均一に分布するナノ突起を形成することができ、疎水性表面層の疎水性能力を向上させ、発泡コンクリートの疎水性能を向上させる。
【0024】
有機シランの質量部を標準に、本発明に記載の超疎水性コーティングが5~15部の乳化剤を含み、好ましくは5~10部である。本発明において、前記乳化剤が好ましくはアルコールエトキシレートO、スパン80、スパン60、トゥイーン60及びトゥイーン80の一つ又は複数種を含み、前記乳化剤が前記具体的な選択範囲における2種類以上である場合、本発明は前記具体的な物質の割合に対して如何なる特別な制限もなく、如何なる割合で混合しても十分である。本発明の実施例において、前記乳化剤は具体的に好ましくはアルコールエトキシレートO及びスパン80を含み、前記アルコールエトキシレートO及びスパン80の質量比が好ましくは3:1~1:3であり、より好ましくは2:1~1:2である。本発明は前記乳化剤の供給源に特別な要件がなく、当業者が熟知している市販の製品を使用すれば十分である。
【0025】
本発明において、前記乳化剤は、有機シランに、水中に均一に分散した「水中油(O/L)」システムを形成させ、超疎水性コーティングの分散性と安定性を向上させることができる。
【0026】
有機シランの質量部を標準に、本発明に記載の超疎水性コーティングが10~50部の水を含み、前記水が好ましくは脱イオン水である。本発明は前記水の供給源に特別な要件がなく、当業者が熟知している市販の製品を使用すれば十分である。
【0027】
本発明はさらに前記技術的解決手段に記載の超疎水性コーティングの調製方法を提供し、当該方法は、
前記有機シラン、乳化剤と水に対して第一混合を行い、シラン-水のエマルジョンを得るステップと、
前記無機ナノ材料と前記ステップにより得られたシラン-水のエマルジョンに対して第二混合を行い、超疎水性コーティングを得るステップと、
を含む。
【0028】
本発明は、前記有機シラン、乳化剤及び水に対して第一混合を行い、シラン-水エマルジョンを得る。
【0029】
本発明において、前記第一混合が好ましくは、
前記有機シランと一部の乳化剤を予め混合し、シランエマルジョンを得るステップと、
前記水と残った乳化剤を予備混合し、水エマルジョンを得るステップと、
前記予め混合したエマルジョンと予備混合したエマルジョンを最後に混合し、シラン-水エマルジョンを得るステップと、
を含む。
【0030】
本発明において、前記予め混合の温度が好ましくは40~70℃であり、より好ましくは50℃である。前記予め混合の時間が好ましくは60~240minであり、より好ましくは80~200minである。本発明において、前記事前混合が好ましくは撹拌下で行い、前記撹拌速度が好ましくは3000~8000r/minであり、より好ましくは3500~7500r/minである。前記撹拌が好ましくは機械的撹拌である。
【0031】
本発明において、前記有機シランと前記一部の乳化剤の質量比が好ましくは30:1~5:1であり、より好ましくは15:1~6:1である。
【0032】
本発明において、前記一部の乳化剤と残った乳化剤の質量比が好ましくは2:1~1:2である。
【0033】
本発明において、前記予備混合の温度が好ましくは40~70℃であり、より好ましくは50℃である。前記予備混合の時間が好ましくは20~60minであり、より好ましくは30~50minである。本発明において、前記予備混合が好ましくは撹拌下で行い、前記撹拌速度が好ましくは3000~8000r/minであり、より好ましくは3500~7500r/minである。前記撹拌が好ましくは機械的撹拌である。
【0034】
本発明において、前記水と前記残った乳化剤の質量比が好ましくは10:1~1:1であり、より好ましくは8:1~2:1である。
【0035】
本発明において、前記最後混合のプロセスが好ましくは前記予め混合のエマルジョンを前記予備混合のエマルジョンに滴加して混合し、前記滴加の速度が2~5mL/minであり、より好ましくは3~4mL/minである。
【0036】
本発明において、前記最後混合の温度が好ましくは40~70℃であり、より好ましくは50~60℃である。前記最後混合は、好ましくは前記滴加が完成した後の時間を開始時間とし、前記最後混合の時間が好ましくは20~60minであり、より好ましくは30minである。本発明において、前記最後混合が好ましくは撹拌下で行い、前記撹拌速度が好ましくは3000~8000r/minであり、より好ましくは3500~7500r/minである。前記撹拌が好ましくは機械的撹拌である。
【0037】
本発明は第一混合プロセスにより、前記乳化剤と有機シランを十分に接触させ、有機シランを乳化し、乳化後の有機シランは、水中で高度に分散されたシステムシラン-水のエマルジョンを形成する。
シラン-水のエマルジョンを得た後、本発明は前記無機ナノ材料と前記シラン-水エマルジョンに対して第二混合を行い、超疎水性コーティングを得る。
【0038】
本発明において、前記無機ナノ材料がシリカ、アルミナ、ナノアルミナ、γ-アルミナ、ナノ酸化チタン、グラフェン、酸化グラフェンのうち一つ又は複数種である場合、前記無機ナノ材料が好ましくは分散液の形態で前記シラン-水のエマルジョンと第二混合を行い、前記分散液の分散媒質が好ましくは水であり、前記分散液の固形分含有量が好ましくは20~50%であり、より好ましくは30~40%である。前記無機ナノ材料がシリカゾル、アルミナゾル及びチタンゾルのうち一つ又は複数種である場合、前記シリカゾル、アルミナゾル及びチタンゾルの固形分含有量が好ましくは10~50%であり、より好ましくは20~45%である。
【0039】
本発明において、前記第二混合プロセスが好ましくは、前記無機ナノ材料を前記シラン-水のエマルジョンに滴加して混合する。即ち、前記無機ナノ材料はシリカ、ナノアルミナ、γ-アルミナ、ナノ酸化チタン、グラフェン及び酸化グラフェンのうち一つ又は複数種である場合、前記第二混合プロセスが好ましくは前記無機ナノ材料の分散液を前記シラン-水のエマルジョンに滴加し、前記無機ナノ材料はシリカゾル、アルミナゾル及びチタンゾルのうち一つ又は複数種である場合、前記第二混合プロセスが好ましくは前記無機ナノ材料を前記シラン-水のエマルジョンに滴加する。前記滴加の速度が好ましくは5~10mL/minであり、より好ましくは6~9mL/minである。
【0040】
本発明において、前記第二混合の温度が好ましくは40~70℃であり、より好ましくは50~60℃である。前記第二混合の時間が好ましくは前記滴加が完成した後20~60minであり、より好ましくは30~50minである。本発明において、前記第二混合が好ましくは撹拌下で行い、前記撹拌の速度が好ましくは3000~8000r/minであり、より好ましくは3500~7500r/minである。前記撹拌が好ましくは機械的撹拌である。
【0041】
本発明は前記技術的解決手段に記載の超疎水性コーティングが超疎水性発泡コンクリートの調製における応用を提供する。
【0042】
本発明は超疎水性発泡コンクリートを提供し、前記超疎水性発泡コンクリートは発泡コンクリート基材及び前記技術的解決手段に記載の超疎水性コーティングを含む。
【0043】
本発明において、前記超疎水性発泡コンクリートについて、そのうち超疎水性材料の塗布量が好ましくは600~1500g/m2である。前記発泡コンクリートが好ましくはポルトランドセメント発泡コンクリート又はスルホアルミネートセメント発泡コンクリートである。
【0044】
本発明は超疎水性発泡コンクリートの調製方法を提供し、当該方法は、
前記超疎水性コーティングを前記発泡コンクリートの表面に塗布した後、静置して、前記超疎水性発泡コンクリートを得るというステップを含む。
【0045】
本発明において、前記コーティング方式が好ましくはローラー塗り、吹付塗り、ロール塗り及び浸漬のうち何れか一つであり、本発明は前記ローラー塗り、吹付塗り、ロール塗り及び浸漬の具体的なプロセスに特別な制限はなく、当業者が熟知しているプロセスを使用すれば十分である。本発明において、前記静置時間が好ましくは24~72hである。
【0046】
次に、本発明のさらなる理解に供するために、実施例を参照しながらさらに本発明の内容を説明する。なお、本発明の技術的範囲は実施例の内容に限定されない。
【実施例1】
【0047】
〔超疎水性コーティングの調製〕
60gのイソブチルトリエトキシシランと5gのアルコールエトキシレートOを50℃で3時間混合し、撹拌速度を5000r/minに制御し、シランエマルジョンが得られる。
10gの脱イオン水と5gのスパン80を50℃で30分間混合させ、撹拌の速度を6000r/minに制御し、水エマルジョンが得られる。
予め混合エマルジョンを2mL/minの滴加速度で徐々に予備混合エマルジョンに滴加し、温度を50℃に制御し、撹拌速度を5000r/minに制御し、すべての滴加が完了した後、続けて30分間混合撹拌し、シラン-水のエマルジョンが得られる。
20gのシリカゾル(100nm、40%の固形分含有量)を8mL/minの滴加速度で徐々にシラン-水のエマルジョンに滴加し、温度を60℃に制御し、撹拌速度を6000r/minに制御し、すべての滴加が完了した後、続けて50分間撹拌し、超疎水性コーティングが得られる。
【0048】
〔超疎水性発泡コンクリートの調製〕
浸漬によって超疎水性コーティングを発泡コンクリートの表面に塗布し、24時間静置した後、超疎水性発泡コンクリートが得られる。
該発泡コンクリートの表面は、静的接触角が165°、回転角が6°、体積吸水率が4.2%である。超疎水性コーティングが塗布されていない場合、該発泡コンクリートの体積吸水率が15.1%であり、超疎水性コーティングで処理されていない発泡コンクリートより吸水率が72.2%下がり、超疎水性発泡コンクリートを3~7日間養生し、超疎水性能は大きく変化しない。
【実施例2】
【0049】
〔超疎水性コーティングの調製〕
50gのオクチルトリエトキシシランと5gのアルコールエトキシレートOを50℃で2時間混合させ、撹拌速度を6000r/minに制御し、シランエマルジョンが得られる。
20gの脱イオン水と5gのスパン80を50℃で50分間混合させ、撹拌速度を5000r/minに制御し、水エマルジョンが得られる。
予め混合エマルジョンを2mL/minの滴加速度で徐々に予備混合エマルジョンに滴加し、温度を60℃に制御し、撹拌速度を6000r/minに制御し、すべての滴加が完了した後、続けて30分間混合撹拌し、シラン-水エマルジョンが得られる。
20gの酸化グラフェン分散液(80nm、30質量%)を5mL/minの滴加速度で徐々にシラン-水のエマルジョンに滴加し、温度を70℃に制御し、撹拌速度を7000r/minに制御し、すべての滴加が完了した後、続けて60分間撹拌し、超疎水性コーティングが得られる。
【0050】
〔超疎水性発泡コンクリートの調製〕
ローラー塗りで超疎水性コーティングを発泡コンクリートの表面に塗布し、24時間静置した後、超疎水性発泡コンクリートが得られる。該発泡コンクリートの表面は、静的接触角が170°、回転角が5°、体積吸水率が4.0%である。超疎水性コーティングが塗布されていない場合、該発泡コンクリートの体積吸水率が15.2%で、超疎水性コーティングで処理されていない発泡コンクリートより吸水率が73.7%下がり、超疎水性発泡コンクリートを3~7日間養生し、超疎水性能は大きく変化しない。
【実施例3】
【0051】
〔超疎水性コーティングの調製〕
55gのビニルトリエトキシシランと4gのアルコールエトキシレートOを50℃で3時間混合させ、撹拌速度を7000r/minに制御し、シランエマルジョンが得られる。
14gの脱イオン水と2gのスパン80を50℃で60分間混合させ、撹拌速度を4000r/minに制御し、水エマルジョンが得られる。
予め混合エマルジョンを4mL/minの滴加速度で徐々に予備混合エマルジョンに滴加し、温度を40℃に制御し、撹拌速度を7000r/minに制御し、すべての滴加が完了した後、続けて30分間混合撹拌し、シラン-水のエマルジョンが得られる。
25gのアルミナゾル(150nm、35%の固形分含有量)を6mL/minの滴加速度で徐々にシラン-水のエマルジョンに滴加し、温度を60℃に制御し、撹拌速度を4000r/minに制御し、すべての滴加が完了した後、続けて50分間撹拌し、超疎水性コーティングが得られる。
【0052】
〔超疎水性発泡コンクリートの調製〕
浸漬によって超疎水性コーティングを発泡コンクリートの表面に塗布し、24時間静置した後、超疎水性発泡コンクリートが得られる。該発泡コンクリートの表面は、静的接触角が155°、回転角が8°、体積吸水率が5.4%である。超疎水性コーティングが塗布されていない場合、該発泡コンクリートの体積吸水率が15.7%で、超疎水性コーティングで処理されていない発泡コンクリートより吸水率が65.6%下がり、超疎水性発泡コンクリートを3~7日間養生し、超疎水性能は大きく変化しない。
【実施例4】
【0053】
〔超疎水性コーティングの調製〕
45gのγ-アミノプロピルトリエトキシシランと4gのアルコールエトキシレートOを50℃で4時間混合し、撹拌速度を5500r/minに制御し、シランエマルジョンが得られる。
17gの脱イオン水と4gのスパン80を50℃で30分間混合させ、撹拌速度を4000r/minに制御し、水エマルジョンが得られる。
予め混合エマルジョンを5mL/minの滴加速度で徐々に予備混合エマルジョンに滴加し、温度を55℃に制御し、撹拌速度を6500r/minに制御し、すべての滴加が完了した後、続けて30分間混合撹拌し、シラン-水エマルジョンが得られる。
39gのシリカ(100nm、40質量%)を8mL/minの滴加速度で徐々にシラン-水のエマルジョンに滴加し、温度を55℃に制御し、撹拌速度を7000r/minに制御し、すべての滴加が完了した後、続けて40分間撹拌し、超疎水性コーティングが得られる。
【0054】
〔超疎水性発泡コンクリートの調製〕
ロール塗りで超疎水性コーティングを発泡コンクリートの表面に塗布し、24時間静置した後、超疎水性発泡コンクリートが得られる。該発泡コンクリートの表面は、静的接触角が165°、回転角が6°、体積吸水率が4.5%である。超疎水性コーティングが塗布されていない場合、該発泡コンクリートの体積吸水率が16.1%である。超疎水性コーティングで処理されていない発泡コンクリートより吸水率が72.0%下がり、超疎水性発泡コンクリートを3~7日間養生し、超疎水性能は大きく変化しない。
【0055】
以上の説明は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明に対する如何なる形式での制限ではない。当業者であれば、本発明の原理から逸脱することなく、いくつかの改良および変更を行うことができ、これらの改良および変更も本発明の保護範囲と見なされるべきである点に留意すべきである。