(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】外ケース付き二重容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20221216BHJP
【FI】
B65D1/02 221
B65D1/02 111
(21)【出願番号】P 2017071960
(22)【出願日】2017-03-31
【審査請求日】2019-10-01
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光夫
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】石田 智樹
【審判官】藤原 直欣
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-73770(JP,A)
【文献】特開2011-157101(JP,A)
【文献】実開昭62-13867(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
B65D83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する減容変形可能な内層体と、該内層体を内側に収めるとともに可撓性を有する胴部を有する外層体と、該内層体に収容した内容物を注出する注出口を有し該外層体の口部に装着される注出キャップとを備える二重容器において、
前記外層体を収容する外ケースを備え、該外ケースは、前記胴部を押圧可能なボタン部と、該ボタン部を該外ケースに対して弾性的に支持する連結部とを備え、
前記外ケースは、有底筒状をなし上部開口から前記外層体を収容するとともに前記ボタン部を現出させる窓孔を有する本体カバーと、前記注出キャップを露出させる露出開口を有し該上部開口に装着されて該本体カバーとの間で該外層体を取り囲む上部カバーとを備え、
前記外ケースは、前記本体カバーに収容される有底筒状の基部と、一端部が該基部に連結するとともに他端部が前記ボタン部に連結して前記連結部とした板状部とを有する操作部材を含
み、
前記外層体は、前記胴部の下端部を閉鎖し下面全体が水平方向に延在していて、前記本体カバーに収容された際に前記基部に収容される底部を有し、
前記基部は、収容した前記底部の下方に位置し水平方向に延在していて該底部が載置される基部下壁を有し、
前記本体カバーは、収容した前記基部における前記基部下壁の下方に位置し水平方向に延在していて該基部下壁が載置される本体カバー下壁を有する、外ケース付き二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収容する内層体と、内層体を内側に収める外層体と、外層体の口部に装着される注出キャップとを備える二重容器において、更に外層体を収容する外ケースを備える、外ケース付き二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物を注出可能な容器としては、例えば特許文献1に示されているような、内容物を収容する減容変形可能な内層体と可撓性を有する外層体とを備える二重容器(デラミ容器、積層剥離容器ともいう)が使用されている。このような二重容器は、外層体の胴部を押圧することによって外層体と内層体との間の内部空間が加圧され、これによって内層体の圧力が高まって内容物を注出させることができる。つまり、容器の姿勢にかかわらず、外層体を押圧すれば内層体の圧力が高まるため、使用者の使いやすい角度に容器を傾けて内容物を注出させることができる。また外層体への押圧を解除すれば、可撓性を有する外層体のみが復元して内層体は減容変形したままであるため、内層体への外気の侵入を防止することができる。すなわち、収容した内容物と外気との接触が極力避けられるため、内容物の品質劣化を抑えることができる。このような優れた利点を持つ二重容器は、調味料や化粧料をはじめとして各種の内容物を収容するのに好適であり、近年急速に普及が進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、収容する内容物が高価な場合など、内容物の種類や使用される環境によっては、高級感を持つ容器を使いたいとの要望がある。ここで容器の質感を高めるには、例えば容器の外側を着色したり金属成分を蒸着させたりする加飾を施すことが考えられるものの、前述の二重容器は外層体を押圧して内容物を注出するものであるため、押圧に伴う外層体の変形に対して影響を及ぼさないようにしなければならず、選択できる加飾が限定的になるという問題を抱えている。また、外層体に可撓性を持たせるには、外層体を比較的軟質の合成樹脂で形成したり、肉厚を薄くしたりしなければならないため、容器を持ったときにも変形しやすく、この点でも高級感が得られにくいという問題を抱えている。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決することを課題とするものであって、従来の二重容器の利点は残しつつ高い質感を得ることができる、外ケース付き二重容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内容物を収容する減容変形可能な内層体と、該内層体を内側に収めるとともに可撓性を有する胴部を有する外層体と、該内層体に収容した内容物を注出する注出口を有し該外層体の口部に装着される注出キャップとを備える二重容器において、
前記外層体を収容する外ケースを備え、該外ケースは、前記胴部を押圧可能なボタン部と、該ボタン部を該外ケースに対して弾性的に支持する連結部とを備え、
前記外ケースは、有底筒状をなし上部開口から前記外層体を収容するとともに前記ボタン部を現出させる窓孔を有する本体カバーと、前記注出キャップを露出させる露出開口を有し該上部開口に装着されて該本体カバーとの間で該外層体を取り囲む上部カバーとを備え、
前記外ケースは、前記本体カバーに収容される有底筒状の基部と、一端部が該基部に連結するとともに他端部が前記ボタン部に連結して前記連結部とした板状部とを有する操作部材を含み、
前記外層体は、前記胴部の下端部を閉鎖し下面全体が水平方向に延在していて、前記本体カバーに収容された際に前記基部に収容される底部を有し、
前記基部は、収容した前記底部の下方に位置し水平方向に延在していて該底部が載置される基部下壁を有し、
前記本体カバーは、収容した前記基部における前記基部下壁の下方に位置し水平方向に延在していて該基部下壁が載置される本体カバー下壁を有する、外ケース付き二重容器である。
【発明の効果】
【0013】
本発明にあっては、外層体を収容する外ケースを備えていて、この外ケースは、外層体の胴部を押圧可能なボタン部と、このボタン部を外ケースに対して弾性的に支持する連結部とを備えている。このような構成によれば、ボタン部を介して外層体への押圧及び押圧解除を行うことができるため、従来の二重容器のように使いやすい角度で内容物を注出することができ、また内層体への外気の侵入が抑えられるため、内容物の品質劣化を抑制することができる。更に、ボタン部を押圧しても連結部のみが撓むだけなので、外ケースには様々な加飾を施すことが可能となり、高い質感を得ることができる。
【0014】
また、外ケースに胴部を押圧可能な窓孔を設ける場合や、胴部から外側に向けて突出する凸部を設けるとともに、外ケースに凸部を現出させる窓孔を設ける場合は、上述したボタン部を省略することができるので、より安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に従う外ケース付き二重容器の第一実施形態を示す、側面視での半断面図である。
【
図2】
図1に示した外ケース付き二重容器の部分拡大図である。
【
図3】
図1に示すA-Aに沿う半断面図である(オーバーキャップは省略)。
【
図4】
図1に示す外ケース付き二重容器の組立方法を説明する図である。
【
図5】第一実施形態の変形例を示す、側面視での半断面図である。
【
図6】
図5に示すB-Bに沿う半断面図である(オーバーキャップは省略)。
【
図7】
図5に示す外ケース付き二重容器の組立方法を説明する図である。
【
図8】本発明に従う外ケース付き二重容器の第二実施形態を示す、側面視での半断面図である。
【
図9】
図8に示した外ケース付き二重容器の部分拡大図である。
【
図10】
図8に示すC-Cに沿う半断面図である(オーバーキャップは省略)。
【
図11】
図8に示す外ケース付き二重容器の組立方法を説明する図である。
【
図12】第二実施形態の変形例を示す、側面視での半断面図である。
【
図13】
図12に示すD-Dに沿う半断面図である(オーバーキャップは省略)。
【
図14】
図12に示す外ケース付き二重容器の組立方法を説明する図である。
【
図15】本発明に従う外ケース付き二重容器の第三実施形態を、
図6に対応させて示した図である。
【
図16】本発明に従う外ケース付き二重容器の第四実施形態を、
図6に対応させて示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明に従う外ケース付き二重容器の第一実施形態について説明する。なお、本明細書等における「上」、「下」は、
図1に示すように本体カバー(符号11)が下方に位置し、オーバーキャップ(符号3)が上方に位置する状態での向きをいう。
【0017】
本実施形態の外ケース付き二重容器は、二重容器1、外ケース2、及びオーバーキャップ3を備えている。
【0018】
まず二重容器1について説明する。本実施形態の二重容器1は、内層体4、外層体5、及び注出キャップ6で構成されている。また注出キャップ6は、中栓7、逆止弁8、注出キャップ本体9、ノズル10で構成されている。
【0019】
内層体4は、その内側に内容物を収容可能な充填空間Sを備えている。本実施形態の内層体4は、薄肉の合成樹脂製であって、減容変形可能に設けられている。
【0020】
外層体5は、円筒状をなす口部5aを備えている。口部5aの下方には、下側に向かって丸みをもって拡径する肩部5bが連結していて、更に肩部5bの下方には、円筒状をなす胴部5cと、胴部5cの下端部を閉鎖する底部5dとが設けられている。ここで口部5aは、
図2に示すように口部5aを貫く通気口5eを備えていて、内層体4と外層体5との相互間に形成される内部空間は、通気口5eに通じている。また口部5aの外周面には、雄ねじ部5fが設けられている。なお、本実施形態の外層体5は合成樹脂製であって、胴部5cは可撓性を有している。
【0021】
本実施形態における内層体4と外層体5は、相互に相溶性が低い合成樹脂を剥離可能に積層させたものである。内層体4を構成する合成樹脂としては、ナイロン樹脂(PA)、エチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、変性ポリオレフィン樹脂(例えば三井化学株式会社製「アドマー」(登録商標)等)を採用することができる。また外層体5を構成する合成樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)をはじめとするポリエチレン樹脂(PE)の他、ポリプロピレン(PP)を採用することができる。このような内層体4と外層体5は、内層体4を形成する合成樹脂素材と外層体5を形成する合成樹脂素材とが積層されたパリソンを、ブロー成形することによって得ることができるが、他にも、内層体4の合成樹脂素材と外層体5の合成樹脂素材とを積層させた試験管状のプリフォームを準備し、このプリフォームを2軸延伸ブロー成形して形成することや、内層体及び外層体を個別に形成し、その後、内層体を外層体の内側に配置したものも用いることができる。また、図示は省略するが、内層体4と外層体5との間に、縦方向に延在して内層体4と外層体5とを部分的に接合する、1本或いは複数本の接着帯を設けてもよい。
【0022】
中栓7は、
図2に示すように口部5aの上方に位置して充填空間Sを閉鎖する天壁7aを備えている。天壁7aの中央部分には、下端部に内向き鍔部を有する円筒状の筒状壁7bが設けられている。また天壁7aの下面には、外層体5との間で内層体4を挟持する環状のシール壁7cが設けられている。そして天壁7aの上面には、天壁7aの外縁から起立する環状壁7dが設けられていて、天壁7aと環状壁7dとの連結部には、外層体5の通気口5eに通じる連通口7eが設けられている。
【0023】
逆止弁8は、中栓7に保持される基部8aを備えている。本実施形態の基部8aは、筒状壁7bの径方向内側と外側に位置する2つの筒状部分が、筒状壁7bの上部に位置するドーナツ板状部分に一体に連結した形態をなすものである。そして基部8aの径方向内側には、基部8aに弾性的に連結するとともに、筒状壁7bの内向き鍔部に着座して充填空間Sを閉鎖する円板状の注出弁8bが設けられている。また基部8aの径方向外側には、ドーナツ板状をなし、その外縁が注出キャップ本体9に着座して連通口7eからの空気の流れを規制する空気弁8cが設けられている。
【0024】
注出キャップ本体9は、
図2に示すように中栓7及び逆止弁8を取り囲んで外層体5の口部5aに装着される筒状の外周壁9aを備えている。外周壁9aの内面には、雄ねじ部5fに適合する雌ねじ部9bが設けられている。また外周壁9aの内面は、図示したように空気弁8cが着座する部位でもある。そして注出キャップ本体9の上部内側には、基部8aの上面に当接して逆止弁8を抜け止め保持する内部壁9cが設けられている。本実施形態の内部壁9cは、基部8aに当接するドーナツ板状部分と、ドーナツ板状部分の外縁から起立して外周壁9aに連結する外側筒状部分と、ドーナツ板状部分の内縁から起立する内側筒状部分とを一体に連結した形態をなすものである。更に基部8aには、その外側筒状部分において溝部9dが設けられている。
【0025】
ノズル10は、注出キャップ本体9の上方に位置する頂壁10aを備えている。頂壁10aの下面には、筒状をなし基部8aに嵌合保持される嵌合壁10bが設けられている。また頂壁10aの上面には、筒状をなし、上端部に注出口10cを有する注出筒10dが設けられている。
【0026】
なお、上述した中栓7、逆止弁8、注出キャップ本体9、ノズル10によって構成される注出キャップ6は、注出キャップ本体9に対して中栓7、逆止弁8、及びノズル10を保持しておくことができるため、これらを予め組み付けておくことによって1つの部材のようにして取り扱うことができる。
【0027】
次に外ケース2について説明する。
図1に示すように外ケース2は、本体カバー11と、操作部材12と、上部カバー13で構成されている。
【0028】
本体カバー11は、外層体5よりも一回り大きな有底筒状をなすものであって、上部開口11aから二重容器1を収容することができる。ここで上部開口11aの内面には、雌ねじ部11bが設けられている。また本体カバー11には、外層体5の胴部5cに面する部位において、本体カバー11の表裏を貫くとともに図示の例では縦長楕円状になる窓孔11cが設けられている。本実施形態の窓孔11cは、
図3に示すように1つ設けられているが、数に限定はなく、複数設けてもよい。
【0029】
操作部材12は、外層体5の底部5d近傍に位置し、外層体5を取り囲むとともに本体カバー11の内側に収容される有底筒状の基部12aを備えている。また基部12aの上部には、一端部が基部12aに一体に連結する板状部12bが設けられている。更に板状部12bの他端部には、窓孔11cよりも一回り小さく形成されるとともに、
図3に示す如き、外面が窓孔11cから外側に向けて膨出していて内面が外層体5の胴部5cに接する形態をなすボタン部12cが設けられている。このように、ボタン部12cは板状部12bによって片持ち支持されているため、ボタン部12cを外側から内側に向けて押圧すると、ボタン部12cの内面で胴部5cを押圧しつつ、板状部12bを弾性的に撓ませることができる。なお、本実施形態のボタン部12cは、
図3に示すように1つ設けられているが、数に限定はなく、例えば
図3に仮想線で示すように反対側に更に1つ設けてもよい。
【0030】
上部カバー13は、概略筒状をなしていて、外層体5の肩部5bに沿って延在する形態となるものである。上部カバー13の上部には、注出キャップ本体9を露出させる露出開口13aが設けられている。また露出開口13aの縁部には、上方に向けて立ち上がる上部カバー筒状壁13bが設けられている。また上部カバー13の下端部においてその外面には、雌ねじ部11bに適合する雄ねじ部13cが設けられている。
【0031】
そしてオーバーキャップ3は、有蓋筒状をなすものであって、本実施形態では、上部が下部よりも大径になる形態としている。オーバーキャップ3は、上部カバー筒状壁13bに対して着脱自在に保持されるものである。またオーバーキャップ3の下面には、
図2に示すように注出筒10dの内面に当接する環状のシール部3aが設けられている。
【0032】
そして、外ケース2に二重容器1を収容するにあたっては、
図4に示すように、ボタン部12cが窓孔11cから現出するようにして操作部材12を本体カバー11に収容しておく。そして上部開口11aから本体カバー11内に二重容器1を収容し、更に上部カバー13を二重容器1に被せて、上部カバー13を本体カバー11に対して回転させる。これにより、雌ねじ部11bに雄ねじ部13cがねじ込まれて、上部カバー13を本体カバー11に装着することができる。
【0033】
このようにして外ケース2に収容した二重容器1から内容物を注出させるには、
図3に示すようにオーバーキャップ3を取り外した後、注出させる対象物に対してノズル10を指向させる。そして、ボタン部12cを押圧すると、それに伴い胴部5cも押圧されるため、外層体5と内層体4との相互間に形成される内部空間が加圧されて充填空間Sの圧力も高まることになる。これにより充填空間Sの内容物は、
図2に示す注出弁8bを持ち上げつつ、注出キャップ本体9の内側を通って注出筒10dの注出口10cから注出される。このように、充填空間Sの内容物は内部空間の加圧によって注出されるため、二重容器1を何れの姿勢に変位させても内容物を注出させることができる。また、ボタン部12cは板状部12bに連結しているため、これを押圧した際の変位量はある程度の範囲に限られることになる。これにより、注出される内容物の量を所定の範囲に収めることができるため、内容物が意図せず過剰な量で注出される不具合を防止することができる。なお、上述した内部空間は通気口5eと通じていて、更に通気口5eは、連通口7e、及び溝部9dを介して外界と通じているが、連通口7eと溝部9dの間には、注出キャップ本体9の外周壁9aに着座する空気弁8cが設けられているため、ボタン部12cを押圧した際に内部空間の空気が外界に漏れ出すことはない。
【0034】
内容物を注出した後、ボタン部12cへの押圧を解除すると、撓んでいた板状部12bが復元するため、ボタン部12cは元の位置へ復帰する。また、ボタン部12cによって押圧されていた外層体5も、それ自身の可撓性によって復元しようとするため、上述した内部空間は減圧されることになる。ここで空気弁8cは、外周壁9aに着座して内部空間から外界へ向かう空気の流れは遮断する一方、外周壁9aから離反することによって、外界から内部空間へ向かう空気の流れは許容するものである。このため外界からの空気は、溝部9d、連通口7e、及び通気口5eを介して減圧下の内部空間に導入される。これにより、内層体4を減容変形させたまま、外層体5を復元させることができる。すなわち、内層体4においては、空気置換を行うことなく内容物を注出させることができるため、充填空間Sに収容した内容物の品質劣化を抑制することができる。
【0035】
ところで内容物を使い切った後は、二重容器1を本体カバー11から取り外すことができるため、内容物が充填されている新たな二重容器1に付け替えることができる。すなわち、内容物を使い切った後でも本体カバー11、操作部材12、上部カバー13、及びオーバーキャップ3を再利用することができる。
【0036】
更に、内容物を注出させるにあたってボタン部12cを押圧しても、板状部12bのみが撓み変形するだけで、外側から視認しうる本体カバー11、操作部材12のボタン部12c、及び上部カバー13は変形しないため、オーバーキャップ3も含めて所望する加飾を施すことができる。また、これらの部材を形成するものとして硬質の材料を使用することも可能であるし、厚みを持たせることも可能である。このため、見映えのみならず、手にしたときの感触としても高い質感を奏することができる。
【0037】
なお、上述した第一実施形態の外ケース付き二重容器にあっては、例えば
図5~
図7に示すような構成を採用することも可能である。
図5~
図7に示した第一実施形態の変形例にあっては、操作部材12を廃止する一方、本体カバー11に、前述のボタン部12cと同様の形態になるボタン部11dと、本体カバー11よりも薄肉であって、一端部が窓孔11cの縁部に一体に連結するとともに他端部がボタン部11dの縁部に一体に連結する連結部11eとを設けている。すなわち、ボタン部11dは、本体カバー11に対して弾性的に片持ち支持されている。
【0038】
このような構成になる外ケース付き二重容器において、外ケース2に二重容器1を収容するにあたっては、
図7に示すように、上部開口11aから本体カバー11内に二重容器1を収容し、更に上部カバー13を二重容器1に被せて、上部カバー13を本体カバー11に対して回転させればよい。
【0039】
また、内容物を注出させるにあたっては、ボタン部11dを押圧すればよく、本実施形態の外ケース付き二重容器でも先に説明した実施形態と同様にして使用することができる。
【0040】
次に、
図8~
図11を参照しながら本発明に従う外ケース付き二重容器の第二実施形態について説明する。本実施形態の外ケース付き二重容器は、二重容器21、外ケース22、及びオーバーキャップ23を備えている。
【0041】
二重容器21は、内層体24、外層体25、及び注出キャップ26で構成されている。また注出キャップ26は、中栓27、逆止弁28、注出キャップ本体29で構成されている。そして外ケース22は、本体カバー31と、操作部材32と、下部カバー33で構成されている。なお、内層体24は、前述の内層体4と同様の構成になるものであるので、説明を省略する。
【0042】
外層体25は、先に説明した口部5a、肩部5b、胴部5c、底部5d、通気口5e、雄ねじ部5fと同様の構成になる口部25a、肩部25b、胴部25c、底部25d、通気口25e、雄ねじ部25fを備えている(
図9参照)。なお胴部25cは、
図8及び
図10に示すように、底部25dの近傍における外径に対して上部の外径が小さくなるように形成されている。
【0043】
そして
図9に示すように中栓27は、先に説明した天壁7a、筒状壁7b、シール壁7c、環状壁7d、連通口7eと同様の構成になる天壁27a、筒状壁27b、シール壁27c、環状壁27d、連通口27eを備えている。
【0044】
また逆止弁28は、先に説明した基部8a、注出弁8b、空気弁8cと同様の構成になる基部28a、注出弁28b、空気弁28cを備えている。
【0045】
そして注出キャップ本体29は、
図9に示すように、中栓27及び逆止弁28を取り囲んで口部25aに装着される筒状の外周壁29aを備えていて、外周壁29aの内面には、雄ねじ部25fに適合する雌ねじ部29bが設けられている。なお外周壁29aは、空気弁28cが着座して空気の流れを規制する機能の他、基部28aに当接して逆止弁28を抜け止め保持する機能も備えている。また外周壁29aは、空気弁28cが着座する部位よりも上方において、外周壁29aを貫く開口29cを備えている。更に外周壁29aの中央部には、筒状をなし、上部を開口させて注出口29dを形成する注出筒29eが設けられている。更に外周壁29aの外面には、周方向に沿って延在する突起29fが設けられている。
【0046】
本体カバー31は、外層体25よりも一回り大きな有蓋筒状をなすものであって、下部開口31aから二重容器21を収容することができる。なお、
図9に示すように本体カバー31の上部中央には、収容した二重容器21の注出筒29eを露出させる露出開口31bが設けられている。更に本体カバー31の上部外周面には、オーバーキャップ23を保持するための雄ねじ部31cが設けられていて、更に雄ねじ部31cの下方には、
図10に示すように弾性片31dが設けられている。なお、
図9に示すように弾性片31dの裏面には、突起29fに係合する爪部31eが設けられている。また、
図8に示すように下部開口31aの外面には、雄ねじ部31fが設けられている。更に本体カバー31には、外層体25の胴部25cに面する部位において、縦長楕円状になる窓孔31gが設けられている。
【0047】
操作部材32は、外層体25の底部25d近傍に位置し、外層体25を取り囲むとともに本体カバー31の内側に収容される環状の基部32aを備えている。また基部32aの上部には、一端部が基部32aに一体に連結する板状部32bが設けられている。更に板状部32bの他端部には、窓孔31gよりも一回り小さく形成されるとともに、
図10に示す如き、外面が窓孔31gから外側に向けて膨出していて内面が胴部25cに接する形態をなすボタン部32cが設けられている。
【0048】
下部カバー33は、有底筒状をなしていて、その内周面には、雄ねじ部31fに適合する雌ねじ部33aが設けられている。
【0049】
またオーバーキャップ23は、有蓋筒状をなすものであって、その外周面は全域に亘って略同径になるように形成されている。またオーバーキャップ23の下面には、
図9に示すように注出筒29eの内面に当接する円柱状のシール部23aが設けられていて、その内周面には、雄ねじ部31cに適合する雌ねじ部23bが設けられている。
【0050】
本実施形態において、外ケース22に二重容器21を収容するにあたっては、
図11に示すように、ボタン部32cが窓孔31gから現出するようにして操作部材32を本体カバー31に収容しておき、下部開口31aから本体カバー31内に二重容器21を収容する。この時、
図9に示すように注出キャップ本体29の突起29fは、本体カバー31の爪部31eに係合するため、二重容器21を外ケース22に保持することができる。このため、二重容器21から手を離しても、外ケース22から二重容器21が脱落してしまうことはない。その後は、本体カバー31の下方から下部カバー33を当てがい、本体カバー31に対して下部カバー33を回転させれば、雄ねじ部31fに雌ねじ部33aがねじ込まれて、下部カバー33を本体カバー31に装着することができる。
【0051】
このようにして外ケース22に収容した二重容器21から内容物を注出させるには、これまでに述べた実施形態と同様に、ボタン部32cを押圧すればよい。またボタン部32cへの押圧を解除すると、外界の空気は、弾性片31dや窓孔31gの周囲の隙間等から本体カバー31内に取り込まれ、更に空気弁28cを外周壁29aから離反させつつ、開口29c、連通口27eを通って、通気口25eから内層体24と外層体25の間の内部空間に導入される。従って、本実施形態にあっても、内層体24を減容変形させたまま、外層体25を復元させることができる。また本実施形態の本体カバー31は、
図8、
図10に示すように下部に対して上部を小径にして握りやすくしているため、安定的に保持することができる。
【0052】
また、内容物を使い切った後は、下部カバー33を本体カバー31から取り外すことができるため、内容物が充填されている新たな二重容器21に付け替えることができる。なお二重容器21は、弾性片31dの爪部31eに突起29fが係合していて外ケース22に保持されているが、やや強めに外ケース22から引き抜けば、弾性片31dは外側に逃げるため、使用済みの二重容器21を外ケース22から取り外すことができる。
【0053】
なお、上述した第二実施形態の外ケース付き二重容器にあっては、例えば
図12~
図14に示すような構成を採用することも可能である。
図12~
図14に示した第二実施形態の変形例にあっては、操作部材32を廃止する一方、本体カバー31に、前述のボタン部32cと同様の形態になるボタン部31hと、本体カバー31よりも薄肉であって、一端部が窓孔31gの縁部に一体に連結するとともに他端部がボタン部31hの縁部に一体に連結する連結部31jとを設けている。
【0054】
このような構成になる外ケース付き二重容器において、外ケース22に二重容器21を収容するにあたっては、
図14に示すように、下部開口31aから本体カバー31内に二重容器21を収容し、更に本体カバー31の下方から下部カバー33を当てがって、本体カバー31に対して下部カバー33を回転させればよい。
【0055】
また、内容物を注出させるにあたっては、ボタン部31hを押圧すればよく、本実施形態の外ケース付き二重容器でもこれまでに説明した実施形態と同様にして使用することができる。
【0056】
本発明に従う外ケース付き二重容器は、これまでに説明した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に従う範疇で種々の変更を加えたものも含まれる。例えば、上述した実施形態にあっては、本体カバーに窓孔を設けるとともに操作部材や本体カバーにボタン部を設けていたが、
図15に示すようにこのボタン部を省略して、窓孔11cから外層体5の胴部5cを直接押圧できるように構成してもよい。また、
図16に示すように、胴部5cから外側に向けて突出し上述したボタン部と同様の形態になる凸部5gを設け、この凸部5gが窓孔11cから現出するように構成してもよい。なお、
図15、
図16の実施形態では、
図6に示すような、外ケースを本体カバーと上部カバーとで構成する例で示したが、
図13に示すような、外ケースを本体カバーと、下部カバーとで構成するようにしてもよい。また、注出キャップはこれまでに説明したものに限られず、注出弁の形態を球状にしたものなど、種々なタイプの注出キャップが採用可能である。また、外層体の口部に設けた通気口は、外層体の底部に設けてもよいし、胴部に設けてもよい。更に、本体カバーと上部カバー(下部カバー)との連結は、ねじによるものに限られず、例えばアンダーカットによって連結するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1:二重容器
2:外ケース
3:オーバーキャップ
3a:シール部
4:内層体
5:外層体
5a:口部
5b:肩部
5c:胴部
5d:底部
5e:通気口
5f:雄ねじ部
5g:凸部
6:注出キャップ
7:中栓
7a:天壁
7b:筒状壁
7c:シール壁
7d:環状壁
7e:連通口
8:逆止弁
8a:基部
8b:注出弁
8c:空気弁
9:注出キャップ本体
9a:外周壁
9b:雌ねじ部
9c:内部壁
9d:溝部
10:ノズル
10a:頂壁
10b:嵌合壁
10c:注出口
10d:注出筒
11:本体カバー
11a:上部開口
11b:雌ねじ部
11c:窓孔
11d:ボタン部
11e:連結部
12:操作部材
12a:基部
12b:板状部(連結部)
12c:ボタン部
13:上部カバー
13a:露出開口
13b:上部カバー筒状壁
13c:雄ねじ部
21:二重容器
22:外ケース
23:オーバーキャップ
23a:シール部
23b:雌ねじ部
24:内層体
25:外層体
25a:口部
25b:肩部
25c:胴部
25d:底部
25e:通気口
25f:雄ねじ部
26:注出キャップ
27:中栓
27a:天壁
27b:筒状壁
27c:シール壁
27d:環状壁
27e:連通口
28:逆止弁
28a:基部
28b:注出弁
28c:空気弁
29:注出キャップ本体
29a:外周壁
29b:雌ねじ部
29c:開口
29d:注出口
29e:注出筒
29f:突起
31:本体カバー
31a:下部開口
31b:露出開口
31c:雄ねじ部
31d:弾性片
31e:爪部
31f:雄ねじ部
31g:窓孔
31h:ボタン部
31j:連結部
32:操作部材
32a:基部
32b:板状部(連結部)
32c:ボタン部
33:下部カバー
33a:雌ねじ部
S:充填空間