(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】便座装置
(51)【国際特許分類】
A47K 13/26 20060101AFI20221216BHJP
A47K 13/12 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
A47K13/26
A47K13/12
(21)【出願番号】P 2018059759
(22)【出願日】2018-03-27
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】平澤 勇人
(72)【発明者】
【氏名】市原 さおり
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-166813(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0112552(KR,A)
【文献】特開2004-113656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00-17/02
B65D 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の後方上部に設置される本体部と、
前記本体部に取り付けられる便座と、
前記便座の上部を開閉する便蓋と、を有する便座装置において、
前記便蓋は、前記便座の上部を閉塞する便蓋本体と、
前記便蓋本体の幅方向の端部に取り付けられて前記本体部に設けられた軸部に着脱可能な軸係合部と、を有し、
前記便蓋本体は、幅方向の端部に位置し、前記軸係合部が取り付けられる取り付け部を有し、
前記取り付け部は、前記便蓋本体の幅方向の中央に対する端部側となる外側端部と、
前記便蓋本体の幅方向の端部に対する中央側となる
内側端部と、を有し、
前記本体部は、前記便蓋が開いた状態において
前記取り付け部の前記内側端部側に後側から当接する便蓋支持部を有し、
前記便蓋が開いた状態において
前記取り付け部の前記内側端部側が前記便蓋支持部と当接し、
前記取り付け部の前記外側端部側が
前記内側端部側よりも後側に位置するように撓むと、前記軸係合部が前記軸部から外れることを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記軸係合部は、前記軸部に係合した係合状態と、前記軸部との係合が解除された非係合状態とを切り替え可能に構成され、
下側に開口し下側から前記軸部を出し入れするとともに前記軸部を収容可能な凹部と、
移動可能に構成され、可動方向の一方側に移動すると前記凹部の下側を塞いで前記係合状態となり、前記可動方向の他方側に移動すると前記凹部の下側を開口して前記非係合状態となる可動部と、を有し、
前記可動部は、前記凹部に収容された前記軸部が接触可能な接触部を有し、
前記便蓋が開いた状態において
前記取り付け部の前記内側端部側が前記便蓋支持部と当接し、
前記取り付け部の前記外側端部側が
前記内側端部側よりも後側に位置するように撓むと、前記接触部に前記可動方向の一方側から前記軸部が接触するように構成されている請求項1に記載の便座装置。
【請求項3】
前記軸係合部は、前記便蓋支持部よりも幅方向の外側に配置されている請求項1又は2に記載の便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便器に設けられ、便座の上方を開閉する便蓋を有する便座装置が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。便蓋は、便器の後方上部に設置された本体部に支持され、本体部に対して着脱可能に構成されている。
一般に、便蓋は便座に着座した使用者が背もたれとして使用するように想定されていないが、使用者が背もたれのように便蓋にもたれてしまい、便蓋に負荷がかかることがある。
このため、便蓋を使用者がもたれても壊れないような強度にしたり、使用者がもたれることができないように便蓋を後方に配置したりする対策が取られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-124116号公報
【文献】特開2007-111189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、便蓋の材料や便蓋の形状を優先すると便蓋を使用者がもたれても壊れないような強度にすることができないことがある。また、便蓋を本体部から外れやすい構造とすると、掃除など、使用者がもたれる場合以外であっても負荷がかかると便蓋が本体部から外れてしまう虞がある。また、便蓋の位置を後方に設けることは、デザインや形状的に不可能な場合もある。
【0005】
そこで、本発明は、デザインや材料に左右されず、使用者がもたれたとしても便蓋が壊れることを防止できる便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る便座装置は、便器の後方上部に設置される本体部と、前記本体部に取り付けられる便座と、前記便座の上部を開閉する便蓋と、を有する便座装置において、前記便蓋は、前記便座の上部を閉塞する便蓋本体と、前記便蓋本体の幅方向の端部に取り付けられて前記本体部に設けられた軸部に着脱可能な軸係合部と、を有し、前記便蓋本体は、幅方向の端部に位置し、前記軸係合部が取り付けられる取り付け部を有し、前記取り付け部は、前記便蓋本体の幅方向の中央に対する端部側となる外側端部と、前記便蓋本体の幅方向の端部に対する中央側となる内側端部と、を有し、前記本体部は、前記便蓋が開いた状態において前記取り付け部の前記内側端部側に後側から当接する便蓋支持部を有し、前記便蓋が開いた状態において前記取り付け部の前記内側端部側が前記便蓋支持部と当接し、前記取り付け部の前記外側端部側が前記内側端部側よりも後側に位置するように撓むと、前記軸係合部が前記軸部から外れることを特徴とする。
【0007】
開いた状態の便蓋に便座に着座した使用者がもたれると、便蓋が便蓋支持部と当接して、幅方向の端部側が幅方向の中間部(便蓋支持部と当接している部分)よりも後側に位置するように撓むことになる。本発明では、便蓋が上記のように撓むと軸係合部が軸部から外れるため、便蓋を本体部から外れた状態とすることができる。このように、本発明では、使用者がもたれて便蓋に負荷がかかっても便蓋が壊れることを防止できる。また、便蓋は撓むことで本体部から外れるため、デザインや材料に左右されず、使用者がもたれた場合に本体部から外れる構成とすることができる。
また、便蓋は、幅方向の端部側が幅方向の中間部よりも後側に位置するように撓むことで軸係合部が軸部から外れるため、例えば、便蓋をその面に沿って拭くなどの掃除をする場合には、便蓋が上記のように撓むことがないため、便蓋が本体部から外れる虞がない。
【0008】
また、本発明に係る便座装置では、前記軸係合部は、前記軸部に係合した係合状態と、前記軸部との係合が解除された非係合状態とを切り替え可能に構成され、下側に開口し下側から前記軸部を出し入れするとともに前記軸部を収容可能な凹部と、移動可能に構成され、可動方向の一方側に移動すると前記凹部の下側を塞いで前記係合状態となり、前記可動方向の他方側に移動すると前記凹部の下側を開口して前記非係合状態となる可動部と、を有し、前記可動部は、前記凹部に収容された前記軸部が接触可能な接触部を有し、前記便蓋が開いた状態において前記取り付け部の前記内側端部側が前記便蓋支持部と当接し、前記取り付け部の前記外側端部側が前記内側端部側よりも後側に位置するように撓むと、前記接触部に前記可動方向の一方側から前記軸部が接触するように構成されていてもよい。
【0009】
このように、開いた状態の便蓋が幅方向の中間部が便蓋支持部と当接し、幅方向の端部が幅方向の中間部よりも後側に位置するように撓むと、接触部に可動方向の一方側から軸部が当接することにより、可動部が可動方向の他方側に押されて非係合状態となる。これにより、凹部が開口されるため、軸部が凹部から外れ、便蓋を本体部から外れた状態とすることができる。
【0010】
また、本発明に係る便座装置では、前記軸係合部は、前記便蓋支持部よりも幅方向の外側に配置されていてもよい。
このような構成とすることにより、便蓋における軸係合部が設けられている部分が確実に後側に位置するように便蓋を撓ませることができる。これにより、便蓋に使用者がもたれかかり上記のように便蓋が撓んだ場合に、便蓋が本体部から外れやすい構造とすることができる。
便蓋における幅方向の外側とは、便蓋の幅方向の中央部に対する端部側を示している。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、デザインや材料に左右されず、使用者がもたれた場合に便蓋が壊れることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態による便座装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】便蓋を外した状態の便座装置の一部を示す平面図である。
【
図12】可動部を幅方向の一方側から見た斜視図である。
【
図13】非係合状態の第1軸係合部を示す図である。
【
図15】第1軸係合部に第1軸部を係合させる様子を説明する図である。
【
図16】
図15に続く第1軸係合部に第1軸部を係合させる様子を説明する図である。
【
図17】便蓋に使用者がもたれた場合の第1軸係合部を説明する図であ
る。
【
図18】便蓋が外れる様子を説明するための便座装置の図で
図1のC-C線断面に対応する図である。
【
図20】
図18に続く便蓋が外れる様子を説明するための便座装置の図で
図1のC-C線断面に対応する図である。
【
図22】
図20に続く便蓋が外れる様子を説明するための便座装置の図で
図1のC-C線断面に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態による便座装置1について、
図1-
図23に基づいて説明する。
図1に示すように、実施形態による便座装置1は、便器11の便器本体12の上に設置されている。便座装置1は、便器本体12の後方上部に設置された本体部2と、本体部2に回動可能に取り付けられた便座3と、本体部2に回動可能に取り付けられて便座3の上部を開閉する便蓋4と、を有している。
【0014】
以下では、便器11に対して便器11を使用する使用者がいる側を前後方向の前側、使用者に対して便器11がある側を前後方向の後側とし、前後方向に直交する水平方向を幅方向として説明する。幅方向について、幅方向の中央に対する幅方向の両端部それぞれが位置する側を幅方向の外側とし、幅方向の両端部それぞれに対する幅方向の中央が位置する側を幅方向の内側とする。
また、便蓋4が立ち上がり便座3から離間した状態を便蓋4が開いた状態とし、便蓋4が横臥し便座3と重なった状態を便蓋4が閉じた状態とする。
【0015】
図1-
図4に示すように、本体部2は、各種機能を有する機能部21と、機能部21を収容するケース22と、を有している。
機能部21とは、便座を回動させるための便座回動ユニット、便蓋を回動させるための便蓋回動ユニット、局部洗浄装置、脱臭装置などの各種機能装置および各種機能部品、これらの各種機能装置および各種機能部品を制御する制御部、これらの各種機能装置および各種機能部品に電源を供給する電源部などを示している。
【0016】
ケース22は、機能部21の上下左右、幅方向の両側を覆っている。ケース22の前側部分における幅方向の両側には、幅方向の互いに近接する方向にへこんだケース凹部23A,23Bが形成されている。
2つのケース凹部23A,23Bのうちの幅方向の一方側の第1ケース凹部23Aには、ケース22から幅方向の一方側に突出する第1軸部24が配置され、幅方向の他方側の第2ケース凹部23Bには、ケース22から幅方向の他方側に突出する第2軸部25が配置されている。
第1軸部24および第2軸部25は、便座3および便蓋4が取り付けられるように構成されている。第1軸部24および第2軸部25が回動することにより便座3および便蓋4(
図1参照)が回動するように構成されている。
【0017】
ケース22は、便器本体12の上部に載置され上部に機能部21が載置されるケース下板部221と、機能部21の上部に配置されるケース上板部222と、機能部21の前側に配置されるケース前板部223と、機能部21の後側に配置されるケース後板部224(
図1参照)と、機能部21の幅方向の両側に配置される一対のケース側板部225と、を有している。
【0018】
図2-4に示すように、ケース上板部222には、前側部分における幅方向の一方側に第1ケース凹部23Aに対応する第1切り欠き部26が形成され、幅方向の他方側に第2ケース凹部23Bに対応する第2切り欠き部27が形成されている。
第1切り欠き部26は、前側および幅方向の一方側に開口し、第2切り欠き部27は、前側および幅方向の他方側に開口している。
ケース上板部222の第1切り欠き部26を形成する縁部のうち、第1切り欠き部26の幅方向の他方側に位置する部分を第1ケース縁部261、第1切り欠き部26の後側に位置する部分を第2ケース縁部(便蓋支持部)262とする。第1ケース縁部261は、上方から見て前後方向に延びている。第2ケース縁部262は、上方から見て幅方向の一方側から他方に向かって漸次前側に向かって斜めに延びている。第2ケース縁部262の幅方向の一方側で後側に位置する端部を外側端部262aとし、幅方向の他方側で前側に位置する端部を内側端部262bとする。
【0019】
ケース上板部222の第2切り欠き部27を形成する縁部のうち、第2切り欠き部27の幅方向の一方側に位置する部分を第3ケース縁部271、第2切り欠き部27の後側に位置する部分を第4ケース縁部(便蓋支持部)272とする。第3ケース縁部271は、上方から見て前後方向に延びている。第4ケース縁部272は、上方から見て幅方向の他方側から一方側に向かって漸次前側に向かって斜めに延びている。第4ケース縁部272の幅方向の他方側で後側に位置する端部を外側端部272aとし、幅方向の一方側で前側に位置する端部を内側端部272bとする。
【0020】
一対のケース側板部225は、前側部分に第1ケース凹部23Aおよび第2ケース凹部23Bに対応して屈曲したケース凹部側板部225aをそれぞれ有している。第1ケース凹部23Aに対応するケース凹部側板部225aは、ケース上板部222の第1ケース縁部261および第2ケース縁部262から下側に延びている。第2ケース凹部23Bに対応するケース凹部側板部225aは、ケース上板部222の第3ケース縁部271および第4ケース縁部272から下側に延びている。
【0021】
図5に示すように、便蓋4は、便座3の上部を開閉する便蓋本体41と、便蓋本体41に取り付けられて第1軸部24(
図2参照)に係合する第1軸係合部42と、便蓋本体41に取り付けられて第2軸部25(
図2参照)に係合する第2軸係合部43と、を有している。便蓋4は、第1軸部24が第1軸係合部42と係合し、第2軸部25が第2軸係合部43と係合することで、本体部2(
図2参照)に係止されるように構成されている。
便蓋本体41は、閉じた状態となると便座3(
図1参照)の上部を覆う便蓋上板部411と、閉じた状態となると便座3の幅方向の側方および前方を覆う便蓋側板部412と、を有している。
便蓋上板部411は、便蓋4が閉じた状態となると便座3の着座部31(使用者が着座する部分)の上部を追う開閉上板部413と、開閉上板部413の幅方向の一方側の端部近傍から後側に延びて第1軸係合部42が取り付けられる第1取り付け上板部414と、開閉上板部413の幅方向の他方側の端部近傍から後側に延びて第2軸係合部43が取り付けられる第2取り付け上板部415と、を有している。
【0022】
開閉上板部413は、便蓋4が閉じた状態となると、本体部2よりも前に配置され、便蓋4が開いた状態となると本体部の上に配置される。
図6に示すように、開閉上板部413は、便蓋4が開いた状態において、幅方向の中央部がその両側よりも後側に位置するように湾曲している。
【0023】
第1取り付け上板部414は、便蓋4が閉じた状態となると本体部2の第1ケース凹部23Aの上部に配置され、便蓋4が開いた状態となると第1ケース凹部23Aの内部に配置される。便蓋4が開いた状態における第1取り付け上板部414は、幅方向の一方側から他方側に向かって漸次後側に向かうように傾斜していて、ケース上板部222の第2ケース縁部262の前側に配置されている。
第1取り付け上板部414のうち、幅方向の一方側の端部を外側端部414aとし、幅方向の他方側の端部を内側端部414bとする。平面視において第1取り付け上板部414の外側端部414aは、第2ケース縁部262の外側端部262aよりも幅方向一方側に突出した位置に配置され、第1取り付け上板部414の内側端部414bは、第2ケース縁部262の内側端部262bの前側に配置されている。
【0024】
便蓋4が開いた状態となると、第1取り付け上板部414は、内側端部414bが第2ケース縁部262の内側端部262bと当接し、内側端部414bよりも外側端部414a側が第2ケース縁部262と離間して第2ケース縁部262との間に隙間が生じている。第2ケース縁部262の内側端部262bは、本発明の便蓋支持部に相当している。
便蓋4が開いた状態における第1取り付け上板部414と第2ケース縁部262との隙間は、内側端部414b側(幅方向の他方側)から外側端部414a側(幅方向の一方側)に向かって漸次大きくなるように設計されている。
【0025】
第2取り付け上板部415は、便蓋4が閉じた状態となると本体部2の第2ケース凹部23Bの上部に配置され、便蓋4が開いた状態となると第2ケース凹部23Bの内部に配置される。便蓋4が開いた状態における第2取り付け上板部415は、幅方向の他方側から一方側に向かって漸次後側に向かうように傾斜していて、ケース上板部222の第4ケース縁部272の前側に配置されている。
第2取り付け上板部415のうち、幅方向の他方側の端部を外側端部415aとし、幅方向の一方側の端部を内側端部415bとする。平面視において第2取り付け上板部415の外側端部415aは、第4ケース縁部272の外側端部272aよりも幅方向の他方側に突出した位置に配置され、第2取り付け上板部415の内側端部415bは、第4ケース縁部272の内側端部272bに近傍に配置されている。
【0026】
便蓋4が開いた状態となると、第2取り付け上板部415は、内側端部415bが第4ケース縁部272の内側端部272bと当接し、内側端部415bよりも外側端部415a側が第4ケース縁部272と離間して第4ケース縁部272との間に隙間が生じている。第4ケース縁部272の外側端部272aは、本発明の便蓋支持部に相当している。
便蓋4が開いた状態における第2取り付け上板部415と第4ケース縁部272との隙間は、内側端部415b側(幅方向の一方側)から外側端部415a側(幅方向の他方側)に向かって漸次大きくなるように設計されている。
【0027】
図5に示すように、便蓋側板部412は、便蓋4が閉じた状態において開閉上板部413の前縁部および側縁部から下側に延びる開閉側板部416と、便蓋4が閉じた状態において第1取り付け上板部414の幅方向の一方側の縁部から下側に延びる第1取り付け側板部417と、便蓋4が閉じた状態において第2取り付け上板部415の幅方向の他方側の縁部から下側に延びる第2取り付け側板部418と、を有している。
【0028】
図7および
図8に示すように、第1軸係合部42は、第1取り付け上板部414と第1取り付け側板部417とがなす角部の内側に配置されている。第1軸係合部42は、第1取り付け側板部417に固定される固定部5と、固定部5の幅方向の他方側に重なって配置され固定部5に対して回動可能に設けられる可動部6と、可動部6を所定の方向に付勢するばね部(付勢部)421と、を有している。
以下の第1軸係合部42の説明では、便蓋4が開いた状態であるものとする。
【0029】
図9および
図10に示すように、固定部5は、第1取り付け側板部417に沿って配置される第1固定部51と、第1固定部51の後側の縁部と連続し第1取り付け上板部414に沿って配置される平板状の第2固定部52と、を有している。
第1固定部51は、所定の厚さの部材で、厚さ方向が幅方向となる向きに配置されている。第1固定部51は、幅方向から見て周縁部分53の内側となる内側部分54が、幅方向の他方側に突出していて周縁部分53よりも厚く形成されている。
以下では、第1固定板部のうち、幅方向から見た周縁部分53を薄板部53とし、周縁部分53の内側部分54を厚板部54とする。固定部5を幅方向から見ると、薄板部53が厚板部54の周り全体に配置されている。
【0030】
第1固定部51は、可動部6を回動可能に支持する回動軸部55と、可動部6の回動をガイドするためのガイド孔部56と、第1固定部51を第1取り付け側板部417に固定するための固定具が挿通される第1固定孔部57および第2固定孔部58と、第1軸部24(
図3参照)を収容可能な第1軸部収容凹部(凹部)59と、を有している。
【0031】
回動軸部55は、第1固定部51の前方上部から幅方向の他方側に突出している。回動軸部55は、薄板部53からから幅方向の他方側に突出している。回動軸部55の先端部は、厚板部54の幅方向の他方側の面と幅方向の位置がほぼ同じ位置となっている。
ガイド孔部56は、回動軸部55の下側に位置し、厚板部54に形成されている。ガイド孔部56は、厚板部54を幅方向に貫通している。ガイド孔部56は、回動軸部55と同軸となる円弧状に形成されている。
【0032】
第1固定孔部57は、ガイド孔部56の上側に位置し、薄板部53に形成されている。第1固定孔部57は、薄板部53を幅方向に貫通している。
第2固定孔部58は、ガイド孔部56の下側に位置し、厚板部54に形成されている。第2固定孔部58は、厚板部54を幅方向に貫通している。
第1固定部51は、第1固定孔部57および第2固定孔部58に挿通されたネジなどの固定具によって第1取り付け側板部417に固定されている。第1取り付け側板部417には、第1固定孔部57および第2固定孔部58に挿通されたネジなどの固定具が挿入される孔部が形成されている。
【0033】
第1軸部収容凹部59は、第2固定孔部58の下側に位置し、厚板部54の下縁部54aに形成されている。第1軸部収容凹部59は、下側および幅方向の他方側に開口している。第1軸部収容凹部59は、幅方向から見て上部側が上側に湾曲した半円状に形成されている。第1軸部収容凹部59は、下側から第1軸部24の先端部分を出し入れ可能で、内部に第1軸部24を収容可能に構成されている。第1軸部収容凹部59の上下方向の寸法は、第1軸部24の外径とほぼ同じ寸法に設定されている。
第1軸部収容凹部59は、回動軸部55よりも下側かつ後側に配置されている。
【0034】
図7、
図8、
図11および
図12に示すように、可動部6は、板面が幅方向を向く板状に形成された第1可動板部61と、板面が幅方向を向く板状に形成され第1可動板部61よりも幅方向の一方に配置される第2可動板部62と、第1可動板部61と第2可動板部62とを連結する連結板部63と、第1可動板部61の上縁部から幅方向の一方側に延びる可動上板部64と、第1可動板部61の前縁部から幅方向の外側に突出する可動側板部65と、を有している。可動上板部64の前縁部と可動側板部65の上縁部とは連続している。
【0035】
第1可動板部61は、板面が幅方向よりも上下方向に長い形状に形成されている。第1可動板部61には、第1可動板部61の下縁部から上側に延びる第1可動板溝部611と、第1可動板溝部611の上側に連続して形成され下側に開口する第1可動板凹部612と、が形成されている。第1可動板溝部611と第1可動板凹部612とは、内部が連通していて、いずれも第1可動板部61の下部側に形成されている。
【0036】
第1可動板溝部611の前側の縁部(以下、前縁部611aとする)は、第1可動板部61の下縁部から上側に延びている。第1可動板溝部611の後側の縁部(以下、後縁部611bとする)は、第1可動板部61の下縁部から上側に向かって漸次前側となる斜め方向に延びる下側後縁部611cと、下側後縁部611cの上端部から上側に延びる上側後縁部611dと、を有している。
【0037】
第1可動板凹部612は、第1可動板溝部611の溝幅(前後方向の寸法)よりも前後方向に大きく形成され、第1可動板溝部611の前縁部611aの上端部よりも前側に突出するとともに、第1可動板溝部611の後縁部611b(上側後縁部611d)の上端部よりも後側に突出するように配置されている。
第1可動板凹部612を形成する縁部は、第1可動板溝部611の前縁部611aの上端部から前側に向かって漸次下側に向かう斜め方向に延びる第1縁部612aと、第1縁部612aの前側の端部から上側に延びてさらに後方に延びてさらに下側に延びるU字形状の第2縁部612bと、第2縁部612bの後側の下端部から前側に向かって漸次下側に向かう斜め方向に延びて第1可動板溝部611の後縁部611bの上端部と連続する第3縁部612cと、を有している。
第3縁部612cは、第1縁部612aよりも前後方向に長く形成されている。
【0038】
第2可動板部62は、第1可動板部61の第1可動板溝部611の幅方向の一方側に重なる位置に配置されている。第2可動板部62は、その上縁部が第1可動板溝部611の上縁部と同じ高さに配置されている。
【0039】
連結板部63は、第1可動板部61の第1可動板溝部611の前縁部611aから第2可動板部62まで幅方向の一方側に延びる第1連結板部631と、第1可動板部61の第1可動板溝部611の下側後縁部611cから第2可動板部62まで幅方向の一方側に延びる第2連結板部(当接部)632と、第1可動板部61の第1可動板溝部611の上側後縁部611dから第2可動板部62まで幅方向の一方側に延びる第3連結板部633と、第1可動板部61の第1可動板凹部612の第1縁部612aから第2可動板部62まで幅方向の一方側に延びる第4連結板部634と、第1可動板部61の第1可動板凹部612の第3縁部612cから第2可動板部62まで幅方向の一方側に延びる第5連結板部635と、を有している。
【0040】
第1連結板部631と、第4連結板部634とは、連続して設けられている。第2連結板部632と、第3連結板部633と、第5連結板部635とは、連続して設けられている。
第1連結板部631は、板面が前後方向を向く平板状に形成され、後側の面が第1可動板溝部611に面している。
第2連結板部632は、板面が下側から上側に向かって漸次前側に傾く傾斜面に形成され、前側かつ下側を向く面が第1可動板溝部611に面している。
第3連結板部633は、板面が前後方向を向く平板状に形成され、前側の面が第1可動板溝部611に面している。
可動部6において、第1連結板部631と、第2連結板部632および第3連結板部633と、の間で上下方向に延びる空間を可動溝部66とする。
【0041】
第4連結板部634は、板面が後側から前側に向かって漸次下側に向かう傾斜面に形成され、上側の面が第1可動板凹部612に面している。
第5連結板部635は、板面が後側から前側に向かって漸次下側に向かう傾斜面に形成され、上側の面が第1可動板凹部612に面している。
可動部6において、可動溝部66、第4連結板部634および第5連結板部635よりも上側で幅方向から見て第1可動板凹部612の内側となる空間を可動凹部67とする。
【0042】
図12に示すように、可動部6には、第1可動板部61の幅方向の一方側の面から突出し固定部5の回動軸部55が挿入される筒状の軸挿入筒部68と、第1可動板部61の幅方向の一方側の面から突出し固定部5のガイド孔部56に挿入されるガイド部69と、を有している。
軸挿入筒部68は、同軸に挿入された回動軸部55が軸線回りに回動可能な形状に形成されている。
ガイド部69は、ガイド孔部56よりも小さく形成され、可動部6が回動軸部55の軸線回りに回動した際に、ガイド孔部56の内部で移動可能な形状に形成されている。ガイド部69には、ガイド孔部56に挿入された際にガイド孔部56の縁部と係合する爪部691が形成されている。爪部691は、弾性変形させることでガイド孔部56の縁部に係合するように構成されている。
【0043】
このような可動部6は、固定部5に対して幅方向の他方側から重なり、軸挿入筒部68に固定部5の回動軸部55が挿入され、ガイド部69が固定部5のガイド孔部56に挿入されるようにして固定部5に取り付けられている。可動部6の可動凹部67は、固定部5の第1軸部収容凹部59に幅方向の一方側から重なる位置に配置されている。可動凹部67は、固定部5の第1軸部収容凹部59よりも前後方向に大きく形成されている。
固定部5に取り付けられた可動部6は、固定部5に対して回動軸部55を中心に回動可能に構成されている。
【0044】
図7に示すように、回動軸部55は、可動部6における前側上方に配置されている。このため、可動部6は、回動軸部55回りに所定角度回動することで、回動軸部55(軸挿入筒部68)よりも下側の部分が前後方向に移動するように構成されている。
上述したように、可動凹部67は、第1軸部収容凹部59よりも前後方向に大きく形成されている。そして、可動凹部67は、可動部6が回動した際に常に固定部5の第1軸部収容凹部59と幅方向に重なるように構成されている。このため、第1軸部収容凹部59は、可動部6が回動しても塞がれないように構成されている。
【0045】
ばね部421は、可動部6をその回動軸部55(軸挿入筒部68)よりも下側の部分を前側に向かって付勢するように構成されている。ばね部421には、例えば、固定部5に支持された板ばねなどが用いられている。
可動部6は、前後方向にばね部421の付勢力以外の力が作用していない場合は、前側に位置し、前後方向にばね部421の付勢力以上の力が作用すると回動して後側に位置するように構成されている。
本実施形態では、可動部6の可動側板部65に使用者が可動部6を押すための押圧部651が設けられていて、使用者が押圧部651を前側から後側に押すことで可動部6が回動して後側に移動するように構成されている。押圧部651には、例えばリブなどが設けられていて、使用者に対して押圧部651の位置をわかりやすくしたり、使用者が押圧部651を押しやすくしたりするようにしてもよい。
【0046】
図7に示すように、可動部6が回動可能な範囲の前側に位置している状態では、可動凹部67のうちの後側の領域に第1軸部収容凹部59が配置され、第1軸部収容凹部59の下側に第5連結板部635が配置されて、第5連結板部635によって第1軸部収容凹部59の下側が塞がれている。
図13に示すように、可動部6が回動可能な範囲の後側に位置している状態では、可動凹部67のうちの前側の領域に第1軸部収容凹部59が配置され、第1軸部収容凹部59の下側に可動溝部66が配置されて、第1軸部収容凹部59の下側が開放されている。
図7に示すような可動部6が前側(可動方向の一方側)に位置し、第1軸部収容凹部59の下側が第5連結板部635に塞がれた状態を係合状態とし、
図13に示すような可動部6が後側(可動方向の他方側)に位置し、第1軸部収容凹部59の下側に可動溝部66が配置された状態を非係合状態とする。
上述したばね部421は、可動部6を係合状態とする方向に付勢している。
【0047】
図7に示すように、第1軸部24が第1軸部収容凹部59に収容された状態で、可動部6が係合状態となると、第1軸部24の上下方向および前後方向の移動が拘束され、第1軸部24と第1軸係合部42とが係合した状態となる。
これに対し、
図14に示すように、第1軸部24が第1軸部収容凹部59に収容されていても、可動部6が非係合状態となると、第1軸部24の上下方向の移動が許容され、第1軸部24と第1軸係合部42との係合が解除した状態となる。
なお、可動部6が非係合状態となると、第1軸部24は、可動溝部66を介して可動凹部67と可動部6の下方とに移動することができ、可動凹部67に出し入れできるように構成されている。
【0048】
図14に示すように、第2軸係合部43は、第2軸部25(
図2参照)が収容される第2軸部収容凹部431が形成されている。第2軸部収容凹部431は、幅方向の一方側に開口していて、下側は塞がれている。第2軸部25は、幅方向の他方側から第2軸部収容凹部431に挿入されるように構成されている。
【0049】
次に、本体部2に係止されている便蓋4を本体部2から取り外す方法について説明する。
まず、
図1に示すように、便蓋4を便座3から離間させて開いた状態とする。
便蓋4の第1軸係合部42が設けられている下部側を前後からつかみ、第1軸係合部42の可動部6の押圧部651を本体部2に向かって後側に押して、可動部6を係合状態から
図14に示すような非係合状態とする。このように、開いた状態の便蓋4が、本体部2に向かって押されることで、可動部6が係合状態から非係合状態に切り替えられる。
【0050】
第1軸係合部42が非係合状態となったら、押圧部651を押圧したまま第1軸係合部42を第1軸部24から離間させるように便蓋4の幅方向の一方側を上部に持ち上げ、第1軸部収容凹部59を第1軸部24から外す。このとき、第2軸部25が第2軸係合部43に挿入された状態であるため、便蓋4は鉛直方向上側には移動せず、幅方向の一方側(第1軸係合部42がある側)が、幅方向の他方側(第2軸係合部43がある側)よりも上側となる斜めの姿勢となる。
第1軸部24が第1軸係合部42から外れたら、便蓋4を幅方向の他方側に移動させて、第2軸部25を第2軸係合部43から外す。これにより、便蓋4が本体部2から取り外される。
【0051】
次に、本体部2に便蓋4を取り付ける方法について説明する。
まず、便蓋4を開いた状態の姿勢としつつ、便蓋4の幅方向の他方側を幅方向の一方側よりも低い姿勢とし、第2軸係合部43を第2軸部25の幅方向の他方側にから一方側に移動させて第2軸部収容凹部431に第2軸部25を挿入する。
【0052】
続いて、第1軸部24の上方に第1軸係合部42を配置し、便蓋4を下側に移動させる。このとき、
図15に示すように、第1軸部24を可動溝部66に挿入させて、第1軸部24を第2連結板部632に下側から当接させる。
第2連結板部632は、下側から上側に向かって漸次前側に向かう傾斜面に形成されているため、第2連結板部632に第1軸部24が当接した状態で便蓋4をさらに下側に移動させると、第2連結板部632が第1軸部24からの後側に向かう反力を受ける。これにより、
図16に示すように、可動部6が後側に回動し非係合状態となる。
【0053】
可動部6が非係合状態となると、第1軸部24が配置されている可動溝部66の上方に第1軸部収容凹部59が位置する。このため、便蓋4をさらに下側に移動させると、第1軸部24は第2連結板部632から離間して、第1軸部収容凹部59の内部に収容される。
第1軸部24が第2連結板部632と離間して第1軸部収容凹部59に収容されると、可動部6を後側に押す力がなくなる。これにより、
図7に示すように、ばね部421の復元力によって可動部6が係合状態となって、第1軸部収容凹部59に収容された第1軸部24の下側に第5連結板部635が配置され、第1軸部24が第1軸部収容凹部59に収容された状態に拘束される。
このようにして、便蓋4が本体部2に取り付けられる。
なお、便蓋4を本体部2に取り付ける際に、第1軸部24を第2連結板部632に当接させることで可動部6を非係合状態にしているが、使用者が可動部6の押圧部651を押圧して可動部6を非係合状態としてもよい。
【0054】
本実施形態による便座装置1では、便座3に着座した使用者が開いた状態の便蓋4に対して背もたれのように前側から後側に向かってもたれた場合に、便蓋4が本体部2から外れるように構成されている。以下の説明では、便蓋4は開いた状態であるものとする。
図18および
図19に、使用者がもたれていない場合の便蓋4を示す。
図18には、便蓋上板部411の周縁部(便蓋側板部412が接続されている部分)411aを破線で示している。
図20および
図22についても
図18と同様に便蓋上板部411の周縁部(便蓋側板部412が接続されている部分)411aを破線で示している。
【0055】
上述しているが、第1取り付け上板部414は、ケース上板部222の第2ケース縁部262の前側に配置され、内側端部414bが第2ケース縁部262の内側端部262bと当接し、内側端部414bよりも外側端部414a側となる部分が第2ケース縁部262との間に隙間をあけるように離間している。
第1取り付け上板部414と第2ケース縁部262との隙間は、幅方向の他方側(内側端部414b側)から一方側(外側端部414a側)に向かって漸次大きくなっている。
第1取り付け上板部414の外側端部414aは、第2ケース縁部262の外側端部262aよりも幅方向の一方側に突出している。
【0056】
第2取り付け上板部415は、ケース上板部222の第4ケース縁部272の前側に配置され、内側端部415bが第4ケース縁部272の内側端部272bと当接し、内側端部415bよりも外側端部415a側となる部分が第4ケース縁部272との間に隙間をあけるように離間している。
第2取り付け上板部415と第4ケース縁部272との隙間は、幅方向の一方側(内側端部414b側)から他方側(外側端部415a側)に向かって漸次大きくなっている。
第2取り付け上板部415の外側端部415aは、第4ケース縁部272の外側端部272aよりも幅方向の他方側に突出している。
【0057】
便蓋4に使用者が前側から後側に向かってもたれると、
図20および
図21に示すように、便蓋4が後側に移動する。第1取り付け上板部414の内側端部414bが第2ケース縁部262と当接し、第2取り付け上板部415の内側端部415bが第4ケース縁部272と当接していることにより、便蓋4はその形状をたわませるようにして後側に移動する。
これにより、第1取り付け上板部414と第2ケース縁部262とが隙間なく当接し、第2取り付け上板部415と第4ケース縁部272とが隙間なく当接する。このとき、第1取り付け上板部414は、第2ケース縁部262に沿って外側端部414a側が内側端部414b側よりも後側となり、第2取り付け上板部415は、第4ケース縁部272に沿って外側端部415a側が内側端部415b側よりも後側となる。
また、便蓋4のケース上板部222よりも上側となる部分が後側に移動し、下側となる部分が前側に移動する。
【0058】
さらに、便蓋4に使用者が前側から後側に向かってもたれると、
図22および
図23に示すように、便蓋4におけるケース上板部222よりも上側となる部分がさらに後側に移動する。
このとき、便蓋4におけるケース上板部222の高さとなる部分では、第1取り付け上板部414と第2ケース縁部262とが隙間なく当接し、第2取り付け上板部415と第4ケース縁部272とが隙間なく当接している。
【0059】
ここで、上述したように、第1取り付け上板部414の外側端部414aは、第2ケース縁部262の外側端部262aよりも幅方向の一方側に突出し、第2取り付け上板部415の外側端部415aは、第4ケース縁部272の外側端部272aよりも幅方向の他方側に突出している。このため、第1取り付け上板部414の外側端部414aの近傍および第1取り付け側板部417が第2ケース縁部262の後側に引っ張られるとともに、第2ケース縁部262の外側端部262aの近傍および第2取り付け側板部418が第4ケース縁部272の後側に引っ張られる。これにより、便蓋4におけるケース上板部222の高さとなる部分では、幅方向の中央部よりも、幅方向の両端部が後側となるようにたわむことになる。
そして、幅方向の両端部の第1取り付け側板部417および第2取り付け側板部418が幅方向の外側に引っ張られることにより、第1取り付け側板部417に取り付けられた第1軸係合部42が第1軸部24から外れ、第2取り付け側板部418に取り付けられた第2軸係合部43が第2軸部25から外れて、便蓋4が本体部2から外れる。
【0060】
また、第1取り付け上板部414は、第2ケース縁部262に沿って外側端部414a側が内側端部414b側よりも後側となることにより、第1軸係合部42が第1軸部24よりも後側に移動する。これにより、可動部6の第3連結板部633が第1軸部24対してずれた位置に移動し、第3連結板部633に第1軸部24が前側から当接する。
図17に示すように、可動部6の第3連結板部633が前側から第1軸部24が当接して押されることにより、可動部6が後側に押されて、非係合状態となる。可動部6が非係合状態となると、第1軸部収容凹部59の下方が開放されるため、第1軸係合部42が第1軸部24から容易に外れる。
【0061】
次に、上述した実施形態による便座装置の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した実施形態による便座装置1では、開いた状態の便蓋4に便座3に着座した使用者がもたれると、便蓋4の第1取り付け上板部414の内側端部414bが第2ケース縁部262の内側端部262bと当接して、第1取り付け上板部414の外側端部414aが内側端部414bよりも後側に位置し、便蓋4の第2取り付け上板部415の内側端部454bが第4ケース縁部272の内側端部272bと当接して、第2取り付け上板部415の外側端部415aが内側端部415bよりも後側に位置するように撓むことになる。
本実施形態では、便蓋が上記のように撓むと第1軸係合部42が第1軸部24から外れ、第2軸係合部43が第2軸部25から外れるため、便蓋4を本体部2から外れた状態とすることができる。このように、本実施形態では、使用者がもたれて便蓋4に負荷がかかっても便蓋4が壊れることを防止できる。また、便蓋4は撓むことで本体部2から外れるため、デザインや材料に左右されず、使用者がもたれた場合に本体部2から外れる構成とすることができる。
また、便蓋4は、幅方向の端部側が幅方向の中間部よりも後側に位置するように撓むことで第1軸係合部42が第1軸部24から外れるため、例えば、便蓋4をその面に沿って拭くなどの掃除をする場合には、便蓋4が上記のように撓むことがないため、便蓋4が本体部2から外れる虞がない。
【0062】
また、第1軸係合部42は、下側に開口し下側から第1軸部24を出し入れするとともに第1軸部24を収容可能な第1軸部収容凹部59と、移動可能に構成され、前側に位置すると第1軸部収容凹部59の下側を塞いで係合状態となり、後側に位置すると第1軸部収容凹部59の下側を開口して非係合状態となる可動部6と、を有している。可動部6は、第1軸部収容凹部59に収容された第1軸部24が接触可能な第3連結板部633を有し、開いた状態の便蓋4の第1取り付け上板部414の内側端部414bが第2ケース縁部262の内側端部262bと当接し、第1取り付け上板部414の外側端部414aが内側端部414bよりも後側に位置するように便蓋4が撓むと、第3連結板部633に前側から第1軸部24が接触するように構成されている。
【0063】
このように、開いた状態の便蓋4の第1取り付け上板部414の内側端部414bが第2ケース縁部262の内側端部262bと当接し、第1取り付け上板部414の外側端部414aが内側端部414bよりも後側に位置するように便蓋4が撓むと、第3連結板部633に前側から第1軸部24が当接することにより、可動部6が後側に押されて非係合状態となる。これにより、第1軸部収容凹部59が開口されるため、第1軸部24が第1軸部収容凹部59から外れ、便蓋4を本体部2から外れた状態とすることができる。
【0064】
また、本実施形態では、第1軸係合部42は、第2ケース縁部262の内側端部262bよりも幅方向の外側に配置されていることにより、便蓋4における第1軸係合部42が設けられている部分が確実に後側に位置するように便蓋4を撓ませることができる。これにより、便蓋4に使用者がもたれかかり上記のように便蓋4が撓んだ場合に、便蓋4が本体部2から外れやすい構造とすることができる。
【0065】
以上、本発明による便座装置1の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、第1軸係合部42は、非係合状態の姿勢から係合状態の姿勢となるように付勢するばね部421を有しているが、ばね部421を有しておらず、非係合状態の姿勢から係合状態の姿勢に手動で切り替える手段などが設けられていてもよい。また、第1軸係合部42にばね部421のような付勢部が設けられている場合は、付勢部の形態は上記の以外の形態であってもよい。
【0066】
また、上記の実施形態では、可動部6は、第1軸部収容凹部59よりも下側に位置する第1軸部24が下側から当接可能な第2連結板部632を有し、第2連結板部632は、下側から上側に向かって漸次後側から前側に向かう傾斜面に形成されて、便蓋4を本体部
2に取り付ける際に、第2連結板部632を上側から第1軸部24に当接させながら自重によって便蓋4を下側に移動させているが、第1軸部24が下側から当接する部位が設けられていなくてもよい。
【0067】
また、上記の実施形態では、第1軸係合部42の可動部6は、固定部5に対して回動して変位して係合状態と非係合状態とを切り替えるように構成されているが、前後方向や上下方向に変位して係合状態と非係合状態とを切り替えるように構成されていてもよい。
【0068】
また、上記の実施形態では、開いた状態の便蓋4の第1取り付け上板部414の内側端部414bが第2ケース縁部262の内側端部262bと当接し、第1取り付け上板部414の外側端部414aが内側端部414bよりも後側に位置するように便蓋4が撓むと、第3連結板部633に前側から第1軸部24が当接することにより、可動部6が後側に押されて非係合状態となって便蓋4が本体部2から外れるように構成されている。これに対し、便蓋4が撓んだ際に本体部2から外れる構成は上記以外であってもよい。
また、開いた状態の便蓋4に便座3に着座した使用者がもたれた際に、便蓋4が本体部2と当接する部位の位置や形状は適宜設定されてよい。例えば、本体部2の幅方向の中央に前側に突出する突起部が設けられ、この突起部に便蓋4が当接して撓むように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 便座装置
2 本体部
3 便座
4 便蓋
6 可動部
11 便器
24 第1軸部(軸部)
41 便蓋本体
42,42B 第1軸係合部(軸係合部)
59 第1軸部収容凹部(凹部)
262 第2ケース縁部
262a 内側端部(便蓋支持部)
414 第1取り付け上板部
414b 内側端部(幅方向の中間部)
633 第3連結板部(接触部)