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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】光照射装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20221216BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018137077
(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公開番号】P2020013073
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 貴夫
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-266508(JP,A)
【文献】国際公開第2008/032485(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/104510(WO,A1)
【文献】特開2011-221213(JP,A)
【文献】特開2013-109359(JP,A)
【文献】特開2016-001275(JP,A)
【文献】特開2017-083657(JP,A)
【文献】特開2003-057577(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0181109(US,A1)
【文献】特開昭62-047789(JP,A)
【文献】特開2009-258559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/08,26/10
H01L 31/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光を射出する第1光源と、
前記第1光源から射出された前記第1光を反射する光偏向ミラーと、前記光偏向ミラーを支持し、第1軸線周りに回動可能な支持部と、前記光偏向ミラーを前記第1軸線に直交する第2軸線周りに回動させる回動部とを有し、前記支持部を回動して前記光偏向ミラーを前記第1軸線周りに回動させ、且つ、前記回動部により前記光偏向ミラーを前記第2軸線周りに回動させて、前記光偏向ミラーによる前記第1光の反射方向を変更することにより、前記第1光を走査する光偏向器と、
第2光を射出する第2光源と、
前記第2光源から射出され、前記光偏向器の前記支持部で反射された前記第2光を受光する受光器と、
前記受光器で受光した前記第2光に基づいて、前記光偏向ミラーの前記第1軸線周りの回動角度を検出する角度検出部と、
を備え、
前記支持部は、前記第1軸線に直交して配置された圧電カンチレバーによって回動されているものであり、
前記第1光源は、前記第2光よりも短波長の前記第1光を射出し、
前記第2光源は、前記第1光を受光可能に設けられ、受光した前記第1光に基づいて前記第1光源の光強度を検出することを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光照射装置において、
前記受光器は、複数の受光素子が配列されたアレイ状に形成されて、前記複数の受光素子のいずれによって前記第2光を受光したかに基づいて、前記第2光の反射角度を検出し、
前記角度検出部は、前記受光器で検出された前記第2光の反射角度に基づいて、前記光偏向ミラーの回動角度を検出することを特徴とする光照射装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光照射装置において、
前記受光器は、受光した前記第2光の光強度分布を検出し、
前記角度検出部は、前記受光器で検出された前記第2光の光強度分布に基づいて、前記光偏向ミラーの回動角度を検出することを特徴とする光照射装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の光照射装置において、
前記角度検出部で検出された前記光偏向ミラーの回動角度に基づいて、前記光偏向ミラーの回動角度を補正する補正部を備えることを特徴とする光照射装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光照射装置において、
前記第1光源は、前記第2光源で検出された前記第1光源の光強度に基づいて前記第1光源の光強度を補正することを特徴とする光照射装置。
【請求項6】
第1光を射出する第1光源と、
前記第1光源から射出された前記第1光を反射する光偏向ミラーと、前記光偏向ミラーを支持し、第1軸線周りに回動可能な支持部と、前記光偏向ミラーを前記第1軸線に直交する第2軸線周りに回動させる回動部とを有し、前記支持部を回動して前記光偏向ミラーを前記第1軸線周りに回動させ、且つ、前記回動部により前記光偏向ミラーを前記第2軸線周りに回動させて、前記光偏向ミラーによる前記第1光の反射方向を変更することにより、前記第1光を走査する光偏向器と、
第2光を射出する第2光源と、
前記第2光源から射出され、前記光偏向器の前記支持部で反射された前記第2光を受光する受光器と、
前記受光器で受光した前記第2光に基づいて、前記光偏向ミラーの前記第1軸線周りの回動角度を検出する角度検出部と、
を備え、
前記第1光源は、前記第2光よりも短波長の前記第1光を射出し、
前記第2光源は、前記第1光を受光可能に設けられ、受光した前記第1光に基づいて前記第1光源の光強度を検出することを特徴とする光照射装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光照射装置において、
前記第1光源は、前記第2光源で検出された前記第1光源の光強度に基づいて前記第1光源の光強度を補正することを特徴とする光照射装置。
【請求項8】
第1光を射出する第1光源と、
前記第1光源から射出された前記第1光を反射する光偏向ミラーと、前記光偏向ミラーを支持し、第1軸線周りに回動可能な支持部と、前記光偏向ミラーを前記第1軸線に直交する第2軸線周りに回動させる回動部とを有し、前記支持部を回動して前記光偏向ミラーを前記第1軸線周りに回動させ、且つ、前記回動部により前記光偏向ミラーを前記第2軸線周りに回動させて、前記光偏向ミラーによる前記第1光の反射方向を変更することにより、前記第1光を走査する光偏向器と、
第2光を射出する第2光源と、
前記第2光源から射出され、前記光偏向器の前記支持部で反射された前記第2光を受光する受光器と、
前記受光器で受光した前記第2光に基づいて、前記光偏向ミラーの前記第1軸線周りの回動角度を検出する角度検出部と、
前記角度検出部で検出された前記光偏向ミラーの回動角度に基づいて、前記光偏向ミラーの回動角度を補正する補正部と、
を備え、
前記補正部は、ある時点における制御上の前記光偏向ミラーの回動角度と、前記角度検出部にて検出された前記光偏向ミラーの回動角度とに基づいて、前記光偏向ミラーの回動角度を補正することを特徴とする光照射装置。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか1項に記載の光照射装置において、
前記第2光は、前記支持部の前記第2軸線上で反射されることを特徴とする光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光偏向ミラーを備えた光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、レーザ等の光源からの光を反射する光偏向ミラーを回動させて光の反射方向を変更することにより、光を走査するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等の光偏向器を備える光照射装置が知られている。さらに、光偏向ミラーの回動角度を検出する角度検出装置が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の角度検出装置(プレーナ型アクチュエータ)は、検出光を射出する発光部と、検出光を受光する受光部(光検出手段)とを備え、光偏向ミラー(可動板)の回動状態を、受光部での受光強度変化に基づいて検出している。
【0004】
また、特許文献2に記載の角度検出装置(共振型光スキャナ)では、光偏向ミラー(反射面)に貫通孔を形成し、貫通孔を通過した光を受光素子で受光し、この受光状態に基づいて、光偏向ミラーの回動角度を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4647240号公報
【文献】特許第4419255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の角度検出装置では、光偏向ミラーが連続的に回動した場合には、検出光が光偏向ミラーにより遮断されるため、光偏向ミラーが回動していることは検出することができるが、光偏向ミラーが傾斜して静止した場合は、回動角度を検出することができないという問題があった。
【0007】
特許文献2に記載の角度検出装置では、光偏向ミラーに形成された貫通孔の部分では光を反射することができないため、暗くなる。さらに、貫通孔を形成するための加工が必要となり、コストが高くなる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、光偏向ミラーの回動角度を確実に検出することができ、低コストの光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光照射装置は、第1光を射出する第1光源と、前記第1光源から射出された前記第1光を反射する光偏向ミラーと、前記光偏向ミラーを支持し、第1軸線周りに回動可能な支持部と、前記光偏向ミラーを前記第1軸線に直交する第2軸線周りに回動させる回動部とを有し、前記支持部を回動して前記光偏向ミラーを前記第1軸線周りに回動させ、且つ、前記回動部により前記光偏向ミラーを前記第2軸線周りに回動させて、前記光偏向ミラーによる前記第1光の反射方向を変更することにより、前記第1光を走査する光偏向器と、第2光を射出する第2光源と、前記第2光源から射出され、前記光偏向器の前記支持部で反射された前記第2光を受光する受光器と、前記受光器で受光した前記第2光に基づいて、前記光偏向ミラーの前記第1軸線周りの回動角度を検出する角度検出部と、を備え、前記支持部は、前記第1軸線に直交して配置された圧電カンチレバーによって回動されているものであり、前記第1光源は、前記第2光よりも短波長の前記第1光を射出し、前記第2光源は、前記第1光を受光可能に設けられ、受光した前記第1光に基づいて前記第1光源の光強度を検出することを特徴とする。
【0010】
支持部が回動し、光偏向ミラーを回動させた場合には、支持部で反射された第2光の反射方向が変わる。すなわち、第2光の反射方向は、光偏向ミラーの回動角度に連動して変化する。
【0011】
本発明によれば、光偏向ミラーを回動させた場合に反射方向が変わる第2光に基づいて、光偏向ミラーの回動角度を検出するので、光偏向ミラーが途中で静止した場合にも確実に回動角度を検出することができる。また、2方向に回動可能な光偏向ミラーの第1軸線周りの回動角度を検出することができる。
【0012】
前記受光器は、複数の受光素子が配列されたアレイ状に形成されて、前記複数の受光素子のいずれによって前記第2光を受光したかに基づいて、前記第2光の反射角度を検出し、前記角度検出部は、前記受光器で検出された前記第2光の反射角度に基づいて、前記光偏向ミラーの回動角度を検出することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、検出した第2光の反射角度に基づいて、光偏向ミラーの回動角度を検出するので、簡単な構成で容易に光偏向ミラーの回動角度を検出することができる。
【0014】
前記受光器は、受光した前記第2光の光強度分布を検出し、前記角度検出部は、前記受光器で検出された前記第2光の光強度分布に基づいて、前記光偏向ミラーの回動角度を検出することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、検出した第2光の光強度分布に基づいて、光偏向ミラーの回動角度を検出するので、簡単な構成で容易に光偏向ミラーの回動角度を検出することができる。
【0016】
前記角度検出部で検出された前記光偏向ミラーの回動角度に基づいて、前記光偏向ミラーの回動角度を補正する補正部を備えることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、検出した光偏向ミラーの回動角度に基づいて、光偏向ミラーの回動角度を補正することができるので、光偏向ミラーの回動角度が制御上での回動角度に対してずれている場合に発生する照射範囲のずれを抑制することができる。
【0018】
前記第1光源は、前記第2光よりも短波長の前記第1光を射出し、前記第2光源は、前記第1光を受光可能に設けられ、受光した前記第1光に基づいて前記第1光源の光強度を検出することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、光偏向ミラーの回動角度を検出するために用いられる第2光源で、第1光源の光強度を検出することができるので、新たな部材を追加することなく、容易に第1光源の光強度を検出することができる。
【0020】
前記第1光源は、前記第2光源で検出された前記第1光源の光強度に基づいて前記第1光源の光強度を補正することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、第1光源の光強度を検出し、その検出した光強度に基づいて第1光源の光強度を補正することができるので、第1光源の光強度が、設定した光強度範囲よりも弱い又は強い場合には、設定した光強度範囲内に補正することができ、光強度不良による照射不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】MEMSプロジェクタを示す概略図。
図2】光偏向器を示す斜視図。
図3】MEMSプロジェクタの内部構成を示すブロック図。
図4】角度検出制御の流れを示すフローチャート。
図5】光強度を検出する第2実施形態のMEMSプロジェクタを示す概略図。
図6】第2実施形態の光強度検出制御の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
図1に示すように、MEMSプロジェクタ10(光照射装置)は、照射光源11(第1光源)と、照射光源11からの光を二次元的(水平方向及び垂直方向)に走査する光偏向器12とを備える。照射光源11は、例えば、RGBのレーザ光を各々射出する各レーザダイオードを含有し、光学部品などを用いてそれらの合波光を射出するよう構成されている。
【0024】
また、MEMSプロジェクタ10は、詳しくは後述する光偏向器12の第1支持部22に向けてレーザ光(検査光)を射出する検査光源13(第2光源)と、第1支持部22で反射した検査光を受光する受光器14とを備える。
【0025】
本実施形態では、検査光源13は、検査光として例えば赤外線(例えば、発光波長が0.7~2.5μmの近赤外線)を射出する。赤外線は人が視認することができない光であるため、検査光がMEMSプロジェクタ10から外部に射出された場合にも、問題になることはない。
【0026】
照射光源11、検査光源13、及び受光器14は、回路基板15に実装されている。
【0027】
MEMSプロジェクタ10は、光偏向器12により走査された光の歪み(詳しくは後述する)を補正する補正ミラー17と、補正ミラー17で補正された光が入射する投影レンズ18とを備える。
【0028】
照射光源11は、詳しくは後述する光偏向器12の光偏向ミラー20の回転中心に向けてレーザ光を射出する。
【0029】
光偏向器12により走査された光は、補正ミラー17に入射する。光偏向器12により走査された光は、光の光偏向ミラー20への入射角と、光偏向ミラー20の回転軸との影響により歪んでいる。
【0030】
補正ミラー17は、光偏向器12により走査された光の歪みを補正して反射するものであり、反射面が湾曲されている。
【0031】
図2に示すように、光偏向ミラー20を備える光偏向器12は、反射面を有する光偏向ミラー20を一対のトーションバー21a,21bにより支持する第1支持部22(支持部)を備える。
【0032】
また、光偏向器12は、光偏向ミラー20を第1支持部22に対して一対のトーションバー21a,21b、すなわち、主走査方向(Y軸周り)(第2軸線周り)に回動させる第1のアクチュエータ24,26(回動部)を備える。
【0033】
光偏向器12は、第1支持部22を支持する第2支持部28と、第1支持部22を第2支持部28に対して副走査方向(X軸周り)(第1軸線周り)に回動させる第2のアクチュエータ30,32とを備える。このように、光偏向器12は、2次元走査が可能な2軸型光偏向器である。
【0034】
光偏向器12のアクチュエータとしては、圧電方式、静電方式、電磁形式のアクチュエータを用いることができる。本実施形態では、第1のアクチュエータ24,26として、圧電アクチュエータを採用している。また、第2のアクチュエータ30,32はそれぞれ、5つの圧電カンチレバーが連結されて構成されている。圧電カンチレバー30a~30e,32a~32eは、支持体と、下部電極と、圧電体と、上部電極とから構成された積層体を含む。
【0035】
映像信号に基づく映像の投射は、水平方向の高速走査、垂直方向の低速走査によって実行される。そのため、光偏向ミラー20は、高速動作に対応した第1のアクチュエータ24,26の共振駆動により主走査方向(Y軸周り)に回動し、低速動作に対応した第2のアクチュエータ30,32の非共振駆動により副走査方向(X軸周り)に回動する。なお、本実施形態における「映像」とは、RGB各色発光の光強度分布で表現されるものや、白色発光の光強度分布のみで表現されるものを含む。
【0036】
光偏向ミラー20の回動状態を検出するために、第1のアクチュエータ24,26には、トーションバー21a,21bと隣接する位置に第1のアクチュエータ24,26の動きを検知する第1のセンサ34が、また、第2のアクチュエータ30,32には、第2支持部28側の近傍に第2のアクチュエータ30,32の動きを検知する第2のセンサ36が設けられている。位置センサとしては、圧電効果を用いたセンサやピエゾ抵抗効果を用いたセンサを採用することができる。圧電効果を用いたセンサは、光偏向ミラー20の振れ角の変位量に対して微分値を返す速度センサとして動作する。また、ピエゾ抵抗効果を用いたセンサは、光偏向ミラー20の振れ角の変位量に比例した値を返す位置センサとして動作する。
【0037】
なお、同一の製造プロセスでアクチュエータ及びセンサの積層構造を形成できるという点では、圧電効果を用いたアクチュエータ及びセンサを用いることが好ましい。
【0038】
また、各センサ34,36はそれぞれ、少なくとも1つ設ける必要があるが、光偏向ミラー20の主走査方向(Y軸周り)及び副走査方向(X軸周り)の回動安定性及び差動信号のノイズキャンセリング効果の向上のために、図2に示されるように、Y軸及びX軸を中心として線対称に2つ設けることが好ましい。
【0039】
検査光源13(図1参照)は、検査光を光偏向器12の第1支持部22の反射位置RPに向けて射出する。本実施形態では、反射位置RPは、光偏向ミラー20のY軸線上で、光偏向ミラー20のX軸線より上側の位置である。なお、反射位置RPは、光偏向ミラー20のX軸線上ではない位置であれば適宜変更可能である。
【0040】
図1に示すように、受光器14は、光偏向器12の第1支持部22の反射位置RP(図2参照)で反射された検査光を受光する。受光器14は、第1支持部22(光偏向ミラー20)がX軸線周りに最大量回動した場合にも、検査光を受光可能となるように図1における奥行き方向に延びる形状で形成されている。本実施形態では、受光器14は、検査光を受光した位置を検出するために、例えば、複数の受光素子38が図1における奥行き方向に配列された1次元アレイ状のフォトダイオードから構成されている。
【0041】
光偏向器12の第1支持部22がX軸線周りに回動すると、受光器14において検査光を受光する位置が変化する。受光器14は、複数の受光素子38のうち、いずれの受光素子38で受光したかに基づいて、検査光を受光した位置を検出する。なお、受光素子38の数は適宜変更可能である。
【0042】
図3に示すように、MEMSプロジェクタ10は、パーソナルコンピュータ、カメラシステム等の映像ソースから出力された映像信号が入力される映像信号入力部102と、受信した映像信号を処理するために所定ビット毎に書き込み・読み出しが行われる映像信号蓄積部104と、光偏向器12に対して駆動信号を出力する光偏向器駆動部106とを備える。
【0043】
また、MEMSプロジェクタ10は、照射光源11に対して画素データを出力する照射光源駆動部108と、映像信号を処理してMEMSプロジェクタ10の制御を行う映像信号処理部110とを備える。
【0044】
MEMSプロジェクタ10は、検査光源13を駆動する検査光源駆動部112と、検査光源駆動部112に向けて駆動信号を送信する検査信号処理部114(角度検出部)とを備える。
【0045】
映像信号入力部102は、映像信号を処理するために、入力された映像信号を映像信号処理部110に出力する。映像信号入力部102としては、VGA(アナログRGB)、DVI、HDMI(登録商標)、Display Port等の映像信号レシーバを用いることができる。
【0046】
映像信号蓄積部104では、映像信号入力部102から出力された映像信号を処理するために信号の書き込み、読み出しが行われる。映像信号蓄積部104としては、SDRAM等を用いることができる。
【0047】
光偏向器駆動部106は、光偏向器12に対する駆動信号を出力するために、映像信号処理部110からのデジタル信号をアナログ信号に変換するD/Aコンバーターと、その出力信号を光偏向器12の駆動電圧レベルまで増幅するオペアンプ(いずれも図示せず)とを備える。
【0048】
照射光源駆動部108は、映像信号処理部110から出力されたデジタル信号をアナログ信号に変換する高速D/Aコンバーターと、RGB各色の照射光源11を駆動できるだけの電流容量を持つドライバトランジスタ等(いずれも図示せず)とを備える。
【0049】
映像信号処理部110は、映像信号を処理してMEMSプロジェクタ10の制御を行う。映像信号処理部110は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、マイクロプロセッサ、又はこれらのハイブリッドデバイス(EPP(Extensible Processing Platform)やSoC(System on Chip))等を用いることができる。なお、映像信号処理部110としては、例えば、特開2018-049217号公報に詳しく記載されたものを用いることができる。
【0050】
[スキャン]
映像信号入力部102に外部から映像信号が入力されると、映像信号蓄積部104で映像信号の所定ビット毎に書き込み・読み出しが行われ、映像信号処理部110は、光偏向器駆動部106に光偏向器12を駆動するための駆動信号を送り、照射光源駆動部108に照射光源11を駆動するための駆動信号を送る。
【0051】
光偏向器駆動部106は、受信した駆動信号に基づいて、光偏向器12を駆動する(光偏向ミラー20を回動する)。
【0052】
照射光源駆動部108は、受信した駆動信号に基づいて、照射光源11を駆動し、照射光源11から光を射出させる。
【0053】
図1に示すように、照射光源11から射出され、光偏向器12で反射された光は、補正ミラー17で歪みが補正されて反射され、投影レンズ18を通って映像投射範囲に映像(走査軌跡)を描画する。映像の描画に関して、副走査方向(X軸周り)に回動する光偏向ミラー20により、図1の映像投射範囲において垂直方向の走査が実行される。さらに、主走査方向(Y軸周り)に回動する光偏向ミラー20により、図1の映像投射範囲において水平方向の走査が実行される。
【0054】
副走査方向に回動する光偏向ミラー20は低速駆動されるので、共振駆動のアクチュエータと非共振駆動のアクチュエータの何れも用いることができるが、本実施形態では、非共振駆動のアクチュエータが用いられる。この場合、特開2018-049217号公報に詳しく記載されているように、非共振駆動のアクチュエータに好適な鋸波形状の駆動信号を用いて有効描画時間を長く確保することにより、映像投射範囲の明るさの向上を図ることができる。
【0055】
[光偏向ミラーの角度検出・補正]
光偏向器12の光偏向ミラー20の回動角度を検出して補正する場合の制御を、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0056】
先ず、映像信号処理部110は、映像投射範囲に映像(走査軌跡)を描画する通常動作を行っている(STEP1)。この状態では、映像信号処理部110は、所定時間(例えば、10秒)毎に、検査信号処理部114に向けて検査信号を出力する(STEP2)。なお、検査信号には、その時点での制御上における光偏向ミラー20のX軸線周りの回動角度情報が含まれる。
【0057】
検査信号処理部114は、検査信号が入力されると、検査光源駆動部112に向けて発光指示信号を出力する(STEP3)。検査光源駆動部112は、発光指示信号が入力されると、検査光源13に向けて発光信号を出力し(STEP4)、検査光源13は、光偏向器12の第1支持部22の反射位置RPに向けて検査光を射出する(STEP5)。
【0058】
第1支持部22の反射位置RPに向けて射出された検査光は、第1支持部22の反射位置RPで反射される。
【0059】
光偏向器12の第1支持部22の反射位置RPで反射された検査光が、受光器14で受光される(STEP6)と、受光器14は、検査光を受光した受光位置に応じた受光信号を検査信号処理部114に向けて出力する(STEP7)。
【0060】
検査光を受光した受光位置の検出方法としては、受光器14は、複数の受光素子38が1次元的に配列されており、複数の受光素子38のうち、いずれの受光素子で受光したかに基づいて、検査光を受光した受光位置を検出する。なお、複数の受光素子38のそれぞれは、受光した光の強度を検出可能であり、複数の受光素子38で光を受光した場合には、最大強度の検査光を受光した受光素子38で受光したと判断する。
【0061】
本実施形態では、第1支持部22が回動し、光偏向ミラー20を副走査方向(X軸周り)に回動させた場合には、第1支持部22の反射位置RPで反射された検査光の反射方向が変わる。このため、検査光を受光した位置に基づいて、検査光の反射方向(反射角度)を検出することができる。また、検査光の反射方向は、光偏向ミラー20のX軸周りの回動角度に連動して変化するので、受光した検査光に基づいて、光偏向ミラー20のX軸周りの回動角度を検出することができる。
【0062】
検査信号処理部114は、入力された受光信号に基づいて、光偏向器12の光偏向ミラー20のX軸線周りの回動角度を検出し、さらに、光偏向器12の光偏向ミラー20のX軸線周りのずれ量(角度)を、所定の演算処理により算出する。そして、検査信号処理部114は、算出したずれ量に応じた補正信号を、光偏向器駆動部106に向けて出力する(STEP8)。
【0063】
ずれ量の算出方法としては、例えば、圧電アクチュエータに電圧を印加しない状態(素材の持つ弾性力で機械的原点に保持されている)でX軸線周りのずれがない光偏向ミラー20を用いた場合の受光器14での受光位置を閾値として予め測定し、この閾値と実際の受光位置との差により算出する。なお、上記閾値は、光偏向ミラー20の複数の回動位置(例えば、0.1°毎)で予め測定されている。検査信号処理部114は、検査信号に含まれる検査時の光偏向ミラー20のX軸線周りの回動角度に基づいて、ずれ量を算出する。
【0064】
例えば、制御上では、光偏向ミラー20のX軸線周りの回動角度が1°であるのに対し、実際の光偏向ミラー20のX軸線周りの回動角度が3°である場合、STEP8で算出されるずれ量は2°となる。
【0065】
光偏向器駆動部106は、入力された補正信号に基づいて、光偏向器12の光偏向ミラー20のX軸周りの回動角度を補正する(STEP9)。例えば、上記した2°のずれ量に応じた補正信号が入力された場合、光偏向器駆動部106は、光偏向器12の光偏向ミラー20のX軸周りの回動角度を2°補正する。なお、STEP2からSTEP9までは、例えば30μsec程度の期間で行われる。
【0066】
光偏向器12の光偏向ミラー20が、X軸周りにおいてずれている場合、照射光源11から射出されたレーザ光を、所望する範囲で走査させることができないことがある。
【0067】
本実施形態では、上記STEP9を行うので、光偏向器12の光偏向ミラー20のX軸周りのずれが補正され、照射光源11から射出されたレーザ光を、所望する範囲で走査させることができる。
【0068】
検査信号処理部114は、補正信号を光偏向器駆動部106に向けて出力した(STEP8)後、終了信号を映像信号処理部110に向けて出力する(STEP10)。
【0069】
映像信号処理部110は、終了信号が入力されると、検査信号の出力を停止し、通常動作に戻る(STEP11)。
【0070】
第1実施形態では、光偏向器12の第1支持部22の反射位置RPで反射されて、受光器14で受光した検査光の受光位置に基づいて、検査光の反射方向(反射角度)を検出して、光偏向ミラー20のX軸周りの回動角度を検出する。そして、光偏向ミラー20のX軸線周りのずれ量(角度)を算出して、算出したずれ量に基づいて、光偏向ミラー20のX軸周りの回動角度を補正するので、光偏向ミラー20の回動角度が制御上での回動角度に対してずれている場合に発生する照射範囲のずれを抑制することができる。
【0071】
[第2実施形態]
図5及び図6に示す第2実施形態のMEMSプロジェクタ200は、照射光源11A,11B、光偏向器12A,12B、受光器14A,14B、補正ミラー17A,17B及び光偏向ミラー20A,20Bを備える。照射光源11A,11B、光偏向器12A,12B、受光器14A,14B、補正ミラー17A,17B及び光偏向ミラー20A,20Bは、第1実施形態の照射光源11、光偏向器12、受光器14、補正ミラー17及び光偏向ミラー20と同様に構成され、左右対称に配置されている。なお、上記第1実施形態と同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0072】
MEMSプロジェクタ200では、光偏向ミラー20Aは、光偏向器12Aの第2のアクチュエータ30,32の非共振駆動により副走査方向(XA軸周り)に回動し、光偏向ミラー20Bは、光偏向器12Bの第2のアクチュエータ30,32の非共振駆動により副走査方向(XB軸周り)に回動する。
【0073】
MEMSプロジェクタ200は、入射した光を分光するプリズム202を備える。本実施形態では、検査光源13(第2光源)は、プリズム202に向けてレーザ光(検査光)を射出する。プリズム202は、検査光源13から射出された検査光を、左側の光偏向器12Aの第1支持部22の反射位置RP(図2参照)と、右側の光偏向器12Bの第1支持部22の反射位置RPとに向けて分光する。
【0074】
[スキャン]
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、映像信号入力部102に外部から映像信号が入力されると、映像信号蓄積部104で映像信号の所定ビット毎に書き込み・読み出しが行われ、映像信号処理部110は、光偏向器駆動部106に光偏向器12A,12Bそれぞれを駆動するための駆動信号を送り、照射光源駆動部108に照射光源11A,11Bそれぞれを駆動するための駆動信号を送る。なお、本実施形態における「映像」とは、RGB各色発光の光強度分布で表現されるものや、白色発光の光強度分布のみで表現されるものを含む。
【0075】
光偏向器駆動部106は、受信した駆動信号に基づいて、光偏向器12A,12Bそれぞれを駆動する(光偏向ミラー20A,20Bを回動する)。
【0076】
照射光源駆動部108は、受信した駆動信号に基づいて、照射光源11A,11Bそれぞれを駆動し、照射光源11A,11Bから光を射出させる。
【0077】
図5に示すように、照射光源11Aから射出され、光偏向器12Aの光偏向ミラー20Aで反射された光は、補正ミラー17Aで歪みが補正されて反射され、投影レンズ18を通って第1映像投射範囲PR1に第1の映像(第1の走査軌跡)を描画する。
【0078】
照射光源11Bから射出され、光偏向器12Bの光偏向ミラー20Bで反射された光は、補正ミラー17Bで歪みが補正されて反射され、投影レンズ18を通って第2映像投射範囲PR2に第2の映像(第2の走査軌跡)を描画する。
【0079】
第2実施形態では、光偏向器12Aによる第1映像投射範囲PR1と、光偏向器12Bによる第2映像投射範囲PR2とが重なる。また、第2映像投射範囲PR2は、第1映像投射範囲PR1より大きく、第1映像投射範囲PR1と、第2映像投射範囲PR2とは、第2映像投射範囲PR2の中央部で横長に重なり、その重なった部分は、他の部分よりも輝度が高くなる。なお、第1映像投射範囲PR1及び第2映像投射範囲PR2のそれぞれのサイズは適宜変更可能であり、重なる範囲も適宜変更可能である。例えば、第2映像投射範囲PR2を、第1映像投射範囲PR1より小さくしてもよく、第1映像投射範囲PR1の一部と、第2映像投射範囲PR2の一部とを重ねるようにしてもよい。
【0080】
[光強度検出・補正]
MEMSプロジェクタ10で、照射光源11A,11Bそれぞれの光強度を検出して補正する場合の制御を、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0081】
先ず、映像信号処理部110は、映像投射範囲に映像(走査軌跡)を描画する通常動作を行っている(STEP21)。この状態では、映像信号処理部110は、所定時間(例えば、2時間)毎に、照射光源駆動部108に向けて検出信号を出力する(STEP22)。このとき、検査光源13は消灯している。
【0082】
照射光源駆動部108は、検出信号が入力されると、照射光源11A,11Bのうちの非検出対象である例えば照射光源11Bに向けて消灯信号を出力する(STEP23)。非検出対象の照射光源11Bは、消灯信号が入力されると消灯する(STEP24)。
【0083】
照射光源駆動部108は、消灯信号の出力と同時に、検出対象である照射光源11Aに向けて発光信号を出力する(STEP25)。検出対象の照射光源11Aは、発光信号が入力されると発光(光を射出)する(STEP26)。この状態では、検出対象の照射光源11Aのみ発光している。なお、検出対象の照射光源11Aは、発光している状態で発光信号が入力されたときには、発光を継続する。
【0084】
本実施形態では、照射光源駆動部108は、第1映像投射範囲PR1及び第2映像投射範囲PR2の上部を走査するときに、照射光源11A,11Bのうちの検出対象の1つに向けて前記発光信号を出力する(STEP25)。このため、第1映像投射範囲PR1及び第2映像投射範囲PR2のいずれか一方の上部を走査するときに、照射光源11A,11Bのうちの非検出対象の1つが消灯する。この消灯される部分は、第1映像投射範囲PR1及び第2映像投射範囲PR2において、消灯した場合でも影響の少ない部分である。
【0085】
MEMSプロジェクタ200では、照射光源11A,11Bから射出された光は、MEMSプロジェクタ200内で反射と散乱を繰り返して散乱光となり、検査光源13に入射する。なお、必要に応じ、補正ミラー17A,17Bと投影レンズ18との間に、拡散板(図示せず)を配置し、照射光源11A,11Bから射出された光をより効率よく検査光源13に入射させるようにしてもよい。
【0086】
検査光源13は、赤外線(0.7~2.5μmの近赤外線)を射出するものであり、自身が射出する赤外線よりも短波長である照射光源11A,11Bから射出された光(RGB、例えば、700.0nmの赤色光、550nmの緑色光、450nmの青色光などの各放射光)を受光する性能を有する。詳しくは、検査光源13は、赤色、緑色、青色の光が入射すると光電流が流れ、この光電流により光を受光した状態となる。
【0087】
検査光源13は、検出対象の照射光源11Aから射出された光を受光する(STEP27)と、受光した光強度情報を含む受光信号を照射光源駆動部108に向けて出力する(STEP28)。
【0088】
照射光源駆動部108は、受光信号が入力されると、受光信号に含まれる光強度情報が、所定の光強度範囲外であるか否か(補正を行う必要があるか否か)を判定し(STEP29)、所定の光強度範囲外であると判定された場合(STEP29で「YES」)、検出対象の照射光源11Aに補正信号を出力する(STEP30)。
【0089】
検出対象の照射光源11Aは、補正信号が入力されると、光強度を補正して発光する(STEP31)。
【0090】
照射光源駆動部108は、受光信号に含まれる光強度情報が、所定の光強度範囲外ではないと判定された場合(STEP29で「NO」)、及び、検出対象の照射光源11Aに補正信号を出力した(STEP30)後に、終了信号を映像信号処理部110に向けて出力する(STEP32)。
【0091】
映像信号処理部110は、終了信号が入力されると、発光指示信号を照射光源駆動部108に向けて出力する(STEP33)。
【0092】
照射光源駆動部108は、発光指示信号が入力されると、非検出対象である照射光源11Bに向けて発光信号を出力する(STEP34)。
【0093】
非検出対象である照射光源11Bは、発光信号が入力されると発光する(STEP35)。これにより、照射光源11A,11Bの全てが発光する。
【0094】
映像信号処理部110は、発光指示信号を照射光源駆動部108に向けて出力した(STEP33)後、検出信号の出力を停止し、通常動作に戻る(STEP36)。
【0095】
上記STEP21~36は、検出対象を照射光源11A,11Bのそれぞれに代えて繰り返し行われる。これにより、照射光源11A,11Bの光強度を検出し、光強度補正を行うことができる。なお、第2実施形態の光強度検出・補正制御を、第1実施形態の構成で実施するようにしてもよい。
【0096】
また、第2実施形態のMEMSプロジェクタ200においても、上記第1実施形態と同様に、光偏向器12の光偏向ミラー20の回動角度を検出して補正する制御を行う。
【0097】
MEMSプロジェクタ200では、光偏向器12A,12Bが設けられており、順番に光偏向ミラー20A,20Bの回動角度を検出して補正する制御を行う。この場合、光偏向器12A,12Bのうちの制御対象となる一方に向けて光を射出し、非制御対象となる他方に向けて光を射出しないように、照射光源11A,11Bの発光・消灯を制御する。そして、光偏向器12A,12Bのうちの制御対象となる一方に対して、上記第1実施形態と同様の光偏向ミラーの角度検出・補正制御を行う。
【0098】
そして、制御対象を光偏向器12A,12Bのそれぞれに変えて、上記第1実施形態と同様の光偏向ミラーの角度検出・補正制御を行う。なお、第2実施形態では、照射光源11A,11B、光偏向器12A,12B、受光器14A,14B、補正ミラー17A,17B及び光偏向ミラー20A,20Bを備えているが、これらの数は適宜変更可能であり、1個でもよく、さらに、3個以上の場合には、順番に光偏向ミラーの角度検出・補正制御を行う。
【0099】
なお、上記第1実施形態では、光偏向ミラー20の回動角度検出及び補正を行っているが、光偏向ミラー20の回動角度補正は行わないようにしてもよい。
【0100】
上記第1実施形態では、受光器14の複数の受光素子38のいずれで検査光を受光したかに基づいて、光偏向ミラー20の回動角度を検出しているが、受光器14の複数の受光素子38で受光した検査光の光強度分布を検出し、検出された検査光の光強度分布に基づいて、光偏向ミラー20の回動角度を検出するようにしてもよい。
【0101】
また、上記第2実施形態では、照射光源11A,11Bの光強度検出及び光強度補正を行っているが、光強度補正は行わないようにしてもよい。
【0102】
上記第2実施形態では、プリズム202を設け、プリズム202で分光された検査光を第1支持部22の反射位置RPに向かうようにしているが、プリズム202を設けずに、検査光源13から直接、光偏向器12Aと光偏向器12Bとの各々の第1支持部22の反射位置RPに向けて光を射出するようにしてもよい。
【0103】
上記第1,第2実施形態では、照射光源11(照射光源11A,11B)は、RGBのレーザ光を各々射出する各レーザダイオードを含有し、光学部品などを用いてそれらの合波光を射出するよう構成されているが、これに限定されることなく、例えば、青色域(例えば、発光波長が450nm)のレーザ光を放出するレーザダイオード(LD)から構成するようにしてもよい。この場合、補正ミラー17(補正ミラー17A,17B)と投影レンズ18との間に、補正ミラー17(補正ミラー17A,17B)で反射された青色域のレーザ光が入射する蛍光体部材を設ける。蛍光体部材は、補正ミラー17(補正ミラー17A,17B)により補正された青色域のレーザ光を受けて、当該レーザ光の少なくとも一部を異なる波長の光に変換するものであり、例えば、青色域のレーザ光によって励起されて黄色光を発光するものが用いられる。これにより、蛍光体部材は、これを透過(通過)する青色域のレーザ光と青色域のレーザ光による発光(黄色光)との混色による白色光(疑似白色光)を放出する。なお、上記蛍光体部材を設ける場合、当該蛍光体部材を、第2実施形態の光強度検出・補正制御を行う場合の拡散板として使用してもよい。
【0104】
また、照射光源11(照射光源11A,11B)として、例えば、近紫外域のレーザ光を放出するLDを用いるようにしてもよい。この場合、蛍光体としては、近紫外域のレーザ光によって励起されて赤、緑、青の3色の光を発光するものが用いられる。
【0105】
上記第1,第2実施形態では、補正ミラー17(補正ミラー17A,17B)と投影レンズ18とを設けているが、必須の構成要件ではなく、各部材の配置によっては、補正ミラー17(補正ミラー17A,17B)及び/又は投影レンズ18は不要である。
【0106】
上記第1,第2実施形態では、本発明をMEMSプロジェクタに実施しているが、これに限定されることなく、例えば、車両のヘッドライトとして用いられる車両用灯具に実施してもよい。車両用灯具の場合、詳しくは特開2015-184591号公報に記載されているように、車両から配光パターンデータが入力され、この配光パターンデータに基づいて照射光源11の点灯制御、及び光偏向器12の駆動制御を行う。
【符号の説明】
【0107】
10,200…MEMSプロジェクタ(光照射装置)、11,11A,11B…照射光源(第1光源)、12,12A,12B…光偏向器、13…検査光源(第2光源)、14,14A,14b…受光器、20,20A,20B…光偏向ミラー、22…第1支持部(支持部)、24,26…第1のアクチュエータ(回動部)、38…受光素子、106…光偏向器駆動部(補正部)、114…検査信号処理部(角度検出部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6