(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20221216BHJP
B65G 49/06 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G49/06 A
(21)【出願番号】P 2018143343
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 史朗
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-006518(JP,A)
【文献】実開平07-021611(JP,U)
【文献】特開平09-110170(JP,A)
【文献】特表2009-540556(JP,A)
【文献】特開2004-241705(JP,A)
【文献】国際公開第99/038207(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルを収容可能なトレイが複数段に積み重なった状態で配置されるトレイ配置部と、前記トレイが載置されるトレイステージと、前記トレイ配置部から前記トレイステージに前記トレイを1枚ずつ搬送する搬送ロボットと、前記トレイ配置部で複数段に積み重なる前記トレイのうちの最上段に配置される前記トレイである第1トレイの上端を検知するための検知機構と、前記トレイ配置部で複数段に積み重なる前記トレイのうちの上から2番目に配置される前記トレイである第2トレイと前記第1トレイとを分離するためのトレイ分離機構と、前記トレイ配置部に対して前記検知機構および前記トレイ分離機構を相対的に昇降させるための昇降機構とを備え、
前記トレイ分離機構は、前記第1トレイと前記第2トレイとの間に入り込む爪部材と、前記第1トレイと前記第2トレイとの間に前記爪部材が入り込む分離位置と前記第1トレイと前記第2トレイとの間から前記爪部材が外れる退避位置との間で前記爪部材を移動させる爪移動機構とを備え、
前記搬送ロボットが前記トレイ配置部から前記トレイステージに前記第1トレイを搬送するごとに、前記昇降機構が前記トレイ配置部に対して前記検知機構を相対的に昇降させて前記検知機構が次に搬送される前記第1トレイの上端を検知するとともに、前記検知機構による前記第1トレイの上端の検知結果に基づいて前記トレイ配置部に対して上下方向の所定の位置に配置される前記爪部材が前記退避位置から前記分離位置に移動することを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記搬送ロボットが前記トレイ配置部から前記トレイステージに前記第1トレイを搬送すると、前記検知機構が次の前記第1トレイの上端を検知する前に、前記昇降機構が前記トレイ配置部に対して次に搬送されるべき前記第1トレイが配置されている位置まで前記検知機構を相対的に昇降させて前記検知機構が次に搬送されるべき前記第1トレイの有無を検知することを特徴とする請求項1記載の搬送システム。
【請求項3】
前記トレイステージに載置された前記トレイから前記表示パネルを搬出する第2搬送ロボットを備え、
次に搬送されるべき前記第1トレイがないことを前記検知機構が検知すると、前記第2搬送ロボットが停止することを特徴とする請求項2記載の搬送システム。
【請求項4】
前記爪部材の先端部の上面には、前記爪部材の先端に向かうにしたがって下側に向かって傾斜する上側傾斜面が形成され、
前記爪部材の先端部の下面には、前記爪部材の先端に向かうにしたがって上側に向かって傾斜する下側傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネル等の表示パネルが収容可能なトレイを搬送する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小型の液晶パネルを搬送する搬送システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の搬送システムは、液晶パネルを収容可能なトレイを搬送するコンベヤと、トレイが載置されるトレイステージと、コンベヤとトレイステージとの間でトレイを搬送する第1搬送ロボットと、トレイステージに載置されたトレイから液晶パネルを搬出する第2搬送ロボットとを備えている。第1搬送ロボットは、いわゆる3軸直交ロボットであり、トレイを把持するトレイ把持部を備えている。第2搬送ロボットは、いわゆるパラレルリンクロボットであり、液晶パネルを把持するパネル把持部を備えている。
【0003】
特許文献1に記載の搬送システムは、トレイを搬送するコンベヤとして、供給側のコンベヤと排出側のコンベヤとを備えるとともに、2個のトレイステージを備えている。供給側のコンベヤと排出側のコンベヤとは左右方向で隣接配置され、2個のトレイステージは、左右方向で隣接配置されている。第1搬送ロボットは、供給側のコンベヤからトレイステージにトレイを1枚ずつ搬送するとともに、トレイステージから排出側のコンベヤにトレイを1枚ずつ搬送する。
【0004】
特許文献1に記載の搬送システムでは、コンベヤは、複数段に積み重なったトレイを前後方向へ直線的に搬送する。また、コンベヤは、前後方向で分割された複数の分割コンベヤによって構成されている。供給側のコンベヤを構成する分割コンベヤのうちの最も後ろ側に配置される分割コンベヤは、コンベヤ上のトレイの段数を検知するための段数検知機構を備えている。特許文献1に記載の搬送システムでは、段数検知機構の検知結果に基づいて第1搬送ロボットが動作して、供給側のコンベヤからトレイステージにトレイを搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の搬送システムでは、供給側のコンベヤ上で上下方向で接触する2枚のトレイのうちの一方のトレイが他方のトレイに食い込んで、供給側のコンベヤからトレイステージに、2枚以上のトレイが重なった状態で搬送されると、トレイステージに載置されたトレイから第2搬送ロボットが液晶パネルを搬出できなくなったり、トレイステージに載置されたトレイに収容される液晶パネルと第2搬送ロボットのパネル把持部とが衝突して液晶パネルが破損したりする等の様々な問題が発生するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、表示パネルを収容可能なトレイが複数段に積み重なった状態で配置されるトレイ配置部からトレイステージに、トレイを1枚ずつ搬送することが可能な搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の搬送システムは、表示パネルを収容可能なトレイが複数段に積み重なった状態で配置されるトレイ配置部と、トレイが載置されるトレイステージと、トレイ配置部からトレイステージにトレイを1枚ずつ搬送する搬送ロボットと、トレイ配置部で複数段に積み重なるトレイのうちの最上段に配置されるトレイである第1トレイの上端を検知するための検知機構と、トレイ配置部で複数段に積み重なるトレイのうちの上から2番目に配置されるトレイである第2トレイと第1トレイとを分離するためのトレイ分離機構と、トレイ配置部に対して検知機構およびトレイ分離機構を相対的に昇降させるための昇降機構とを備え、トレイ分離機構は、第1トレイと第2トレイとの間に入り込む爪部材と、第1トレイと第2トレイとの間に爪部材が入り込む分離位置と第1トレイと第2トレイとの間から爪部材が外れる退避位置との間で爪部材を移動させる爪移動機構とを備え、搬送ロボットがトレイ配置部からトレイステージに第1トレイを搬送するごとに、昇降機構がトレイ配置部に対して検知機構を相対的に昇降させて検知機構が次に搬送される第1トレイの上端を検知するとともに、検知機構による第1トレイの上端の検知結果に基づいてトレイ配置部に対して上下方向の所定の位置に配置される爪部材が退避位置から分離位置に移動することを特徴とする。
【0009】
本発明では、トレイ配置部で複数段に積み重なるトレイのうちの最上段に配置されるトレイを第1トレイとし、トレイ配置部で複数段に積み重なるトレイのうちの上から2番目に配置されるトレイを第2トレイとすると、搬送システムは、第1トレイと第2トレイとを分離するためのトレイ分離機構を備えている。そのため、本発明では、搬送ロボットによって、トレイが複数段に積み重なった状態で配置されるトレイ配置部からトレイステージにトレイを1枚ずつ搬送することが可能になる。
【0010】
また、本発明の搬送システムは、第1トレイの上端を検知するための検知機構と、トレイ配置部に対して検知機構およびトレイ分離機構を相対的に昇降させるための昇降機構とを備え、トレイ分離機構は、第1トレイと第2トレイとの間に入り込む爪部材と、分離位置と退避位置との間で爪部材を移動させる爪移動機構とを備えている。また、本発明では、搬送ロボットがトレイ配置部からトレイステージに第1トレイを搬送するごとに、昇降機構がトレイ配置部に対して検知機構を相対的に昇降させて検知機構が次に搬送される第1トレイの上端を検知するとともに、検知機構による第1トレイの上端の検知結果に基づいてトレイ配置部に対して上下方向の所定の位置に配置される爪部材が退避位置から分離位置に移動する。
【0011】
そのため、本発明では、複数段に積み重なる個々のトレイの歪み等の影響によって複数段に積み重なるトレイの上下方向のピッチが一定になっていなくても、第1トレイと第2トレイとの間により高い確率で爪部材を入れ込むことが可能になる。したがって、本発明では、トレイ分離機構を用いて第1トレイと第2トレイとをより高い確率で分離することが可能になる。その結果、本発明では、搬送ロボットによってトレイ配置部からトレイステージに確実にトレイを1枚ずつ搬送することが可能になる。
【0012】
本発明において、搬送ロボットがトレイ配置部からトレイステージに第1トレイを搬送すると、検知機構が次の第1トレイの上端を検知する前に、昇降機構がトレイ配置部に対して次に搬送されるべき第1トレイが配置されている位置まで検知機構を相対的に昇降させて検知機構が次に搬送されるべき第1トレイの有無を検知することが好ましい。このように構成すると、万が一、トレイ配置部からトレイステージに搬送ロボットによって重なった状態の2枚以上のトレイが搬送されたとしても、トレイ配置部からトレイステージに2枚以上のトレイが搬送されたことを検知することが可能になる。したがって、トレイ配置部からトレイステージに重なった状態の2枚以上のトレイが搬送されたときに、所定のエラー処理を実行することが可能になる。
【0013】
本発明において、搬送システムは、トレイステージに載置されたトレイから表示パネルを搬出する第2搬送ロボットを備え、次に搬送されるべき第1トレイがないことを検知機構が検知すると、第2搬送ロボットが停止することが好ましい。このように構成すると、万が一、トレイ配置部からトレイステージに搬送ロボットによって重なった状態の2枚以上のトレイが搬送されたとしても、トレイステージに載置されたトレイに収容される表示パネルと第2搬送ロボットとの衝突に起因する表示パネルの破損を防止することが可能になる。
【0014】
本発明において、爪部材の先端部の上面には、爪部材の先端に向かうにしたがって下側に向かって傾斜する上側傾斜面が形成され、爪部材の先端部の下面には、爪部材の先端に向かうにしたがって上側に向かって傾斜する下側傾斜面が形成されていることが好ましい。このように構成すると、第1トレイと第2トレイとの間により一層高い確率で爪部材を入れ込むことが可能になり、トレイ分離機構を用いて第1トレイと第2トレイとをより一層高い確率で分離することが可能になる。したがって、搬送ロボットによってトレイ配置部からトレイステージにより確実にトレイを1枚ずつ搬送することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の搬送システムでは、表示パネルを収容可能なトレイが複数段に積み重なった状態で配置されるトレイ配置部からトレイステージに、トレイを1枚ずつ搬送することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる搬送システムの側面図である。
【
図2】
図1のE-E方向から搬送システムを示す平面図である。
【
図4】
図3のF部の構成を説明するための平面図である。
【
図5】
図4に示す検知機構およびトレイ分離機構等の構成を説明するための概略図である。
【
図6】
図1に示す分割コンベヤからトレイステージにトレイを搬送するときのトレイ分離機構および昇降機構等の動作を説明するための図である。
【
図7】
図1に示す分割コンベヤからトレイステージにトレイを搬送するときのトレイ分離機構および昇降機構等の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(搬送システムの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる搬送システム1の側面図である。
図2は、
図1のE-E方向から搬送システム1を示す平面図である。
【0019】
本形態の搬送システム1は、携帯機器等で使用される小型の液晶ディスプレイの製造ラインに組み込まれて使用される。搬送システム1は、表示パネルである液晶パネル2を搬送して、液晶パネル2に対して所定の処理を行う処理装置15(
図2参照)に液晶パネル2を供給する。液晶パネル2は、長方形の平板状に形成されている。
【0020】
搬送システム1は、液晶パネル2を収容可能なトレイ3を搬送する2個のコンベヤ4、5を備えている。すなわち、搬送システム1は、トレイ3を搬送する。トレイ3は、略長方形の平板状に形成されている。トレイ3の上面には、液晶パネル2が収容される凹部が形成されている。また、トレイ3は、樹脂で形成されており、比較的変形しやすくなっている。コンベヤ4、5は、複数段に積み重なったトレイ3(段積みされたトレイ3)を水平方向へ直線的に搬送する。
【0021】
以下の説明では、コンベヤ4、5によるトレイ3の搬送方向(
図1等のX方向)を「前後方向」とし、上下方向(鉛直方向)と前後方向とに直交する方向(
図1等のY方向)を「左右方向」とする。また、前後方向の一方側である
図1等のX1方向側を「前」側とし、その反対側である
図1等のX2方向側を「後(後ろ)側」とし、左右方向の一方側である
図2等のY1方向側を「右」側とし、その反対側である
図2等のY2方向側を「左」側とする。本形態では、搬送システム1の後ろ側に処理装置15が配置されている。
【0022】
また、搬送システム1は、トレイ3が載置される2個のトレイステージ6、7と、コンベヤ4、5とトレイステージ6、7との間でトレイ3を搬送する搬送ロボットとしてのロボット8と、トレイステージ6、7に載置されたトレイ3から液晶パネル2を搬出する第2搬送ロボットとしてのロボット9と、ロボット9から液晶パネル2を受け取って処理装置15に供給する供給ユニット10とを備えている。トレイステージ6、7は、コンベヤ4、5よりも後ろ側に配置されている。供給ユニット10は、トレイステージ6、7よりも後ろ側に配置されている。
【0023】
また、搬送システム1は、コンベヤ4、5とトレイステージ6、7とロボット8と供給ユニット10とが設置される本体フレーム11と、ロボット9が設置される本体フレーム12とを備えている。本体フレーム11は、前後方向に細長く、かつ、高さが低い扁平な直方体状に形成されている。本体フレーム11の上面には、コンベヤ4、5とトレイステージ6、7とロボット8と供給ユニット10とが設置されている。本体フレーム12は、略門型に形成された門型フレームであり、前後方向から見たときに、本体フレーム11の後端側部分を跨ぐように設置されている。
【0024】
コンベヤ4、5は、複数のローラを備えるローラコンベヤである。コンベヤ4とコンベヤ5とは、左右方向で隣接配置されている。コンベヤ4は、段積みされたトレイ3を後ろ側へ向かって搬送し、コンベヤ5は、段積みされたトレイ3を前側に向かって搬送する。コンベヤ4で搬送されるトレイ3には、複数枚の液晶パネル2が収容されている。一方、コンベヤ5で搬送されるトレイ3には、液晶パネル2は収容されておらず、コンベヤ5で搬送されるトレイ3は空トレイとなっている。なお、コンベヤ4、5は、ベルトコンベヤ等であっても良い。
【0025】
コンベヤ4は、前後方向で分割された複数の分割コンベヤ16~20によって構成されている。たとえば、コンベヤ4は、5個の分割コンベヤ16~20によって構成されている。分割コンベヤ16~20は、前側から後ろ側に向かってこの順番で配置されている。同様に、コンベヤ5は、前後方向で分割された5個の分割コンベヤ21~25によって構成されている。分割コンベヤ21~25は、前側から後ろ側に向かってこの順番で配置されている。分割コンベヤ16~25は、個別に駆動可能となっている。
【0026】
分割コンベヤ16には、仮置き用の棚(図示省略)から作業者によって運ばれてきた段積み状態のトレイ3が載置される。分割コンベヤ16に載置された段積み状態のトレイ3は、コンベヤ4によって後ろ側へ搬送される。分割コンベヤ20まで搬送された段積み状態のトレイ3は、後述のようにロボット8によって段ばらしされる。また、分割コンベヤ25には、後述のようにロボット8によって空のトレイ3が段積みされる。所定の段数までトレイ3が段積みされると、段積み状態のトレイ3は、コンベヤ5によって前側に搬送される。分割コンベヤ21まで搬送された段積み状態のトレイ3は、作業者によって空トレイ用の棚まで運ばれる。
【0027】
分割コンベヤ20には、分割コンベヤ20で複数段に積み重なるトレイ3のうちの最上段に配置されるトレイ3の上端を検知するための検知機構28と、分割コンベヤ20で複数段に積み重なるトレイ3のうちの上から2番目に配置されるトレイ3と最上段に配置されるトレイ3とを分離するためのトレイ分離機構29と、分割コンベヤ20に対して検知機構28およびトレイ分離機構29を昇降させるための昇降機構30とが設置されている(
図3、4参照)。検知機構28、トレイ分離機構29および昇降機構30の具体的な構成については後述する。なお、本形態の分割コンベヤ20は、液晶パネル2を収容可能なトレイ3が複数段に積み重なった状態で配置されるトレイ配置部である。
【0028】
トレイステージ6、7には、1枚のトレイ3が載置される。トレイステージ6とトレイステージ7とは、左右方向において所定の間隔をあけた状態で配置されている。トレイステージ6は、左右方向においてコンベヤ4と略同じ位置に配置され、トレイステージ7は、左右方向においてコンベヤ5と略同じ位置に配置されている。また、トレイステージ6は、分割コンベヤ20のすぐ後ろに配置され、トレイステージ7は、分割コンベヤ25のすぐ後ろに配置されている。トレイステージ6、7の上面は、上下方向に直交する平面となっている。
【0029】
ロボット8は、いわゆる3軸直交ロボットである。ロボット8は、門型に形成される本体フレーム35と、本体フレーム35に対して左右方向へのスライドが可能となるように本体フレーム35に保持される可動フレーム36と、可動フレーム36に対して前後方向へスライドが可能となるように可動フレーム36に保持される可動フレーム37と、可動フレーム37に対して上下方向へのスライドが可能となるように可動フレーム37に保持される可動フレーム38と、可動フレーム38に取り付けられるトレイ把持部39とを備えている。また、ロボット8は、可動フレーム36を左右方向へスライドさせる駆動機構と、可動フレーム37を前後方向へスライドさせる駆動機構と、可動フレーム38を上下方向へスライドさせる駆動機構とを備えている。
【0030】
本体フレーム35は、左右方向において、分割コンベヤ19、24の後端側部分および分割コンベヤ20、25の前端側部分を跨ぐように設置されている。本体フレーム35は、本体フレーム11の上面から立ち上がるように本体フレーム11の上面に固定されている。可動フレーム36は、本体フレーム35の上面側に取り付けられ、可動フレーム37は、可動フレーム36の右側に取り付けられ、可動フレーム38は、可動フレーム37の後端側に取り付けられている。トレイ把持部39は、可動フレーム38の下端に取り付けられている。トレイ把持部39は、トレイ3を吸着する複数の吸着部を備えている。ロボット8がトレイ3を搬送するときには、吸着部がトレイ3の上面に接触してトレイ3を真空吸着する。
【0031】
ロボット8は、コンベヤ4からトレイステージ6、7にトレイ3を1枚ずつ搬送するとともに、トレイステージ6、7からコンベヤ5にトレイ3を1枚ずつ搬送する。具体的には、ロボット8は、分割コンベヤ20まで搬送された段積み状態のトレイ3をトレイステージ6またはトレイステージ7に1枚ずつ搬送して、分割コンベヤ20上の段積み状態のトレイ3を段ばらしする。また、ロボット8は、空になった1枚のトレイ3をトレイステージ6またはトレイステージ7から分割コンベヤ25に搬送して、分割コンベヤ25上で積み重なるトレイ3の段数が所定の段数になるまで分割コンベヤ25にトレイ3を段積みする。
【0032】
ロボット9は、いわゆるパラレルリンクロボットである。ロボット9は、本体部45と、本体部45に連結される3本のレバー46と、3本のレバー46のそれぞれに連結される3個のアーム部47と、3個のアーム部47に連結されるヘッドユニット48と、ヘッドユニット48に取り付けられるパネル把持部49とを備えている。本体部45は、本体フレーム12の上面部12aに固定されており、ロボット9は、上面部12aの下側に配置されている。すなわち、ロボット9は、上面部12aにぶら下がるように上面部12aに設置されている。また、本体部45は、トレイステージ6、7の上方に配置されるとともに、ロボット8の本体フレーム35よりも後ろ側に配置されている。
【0033】
3本のレバー46は、本体部45の外周側へ略等角度ピッチで略放射状に伸びるように本体部45に連結されている。すなわち、3本のレバー46は、本体部45の外周側へ略120°ピッチで略放射状に伸びるように本体部45に連結されている。また、3本のレバー46の基端側は、本体部45に回動可能に連結されている。本体部45とレバー46との連結部には、レバー46を回動させるモータ50が配置されている。本形態のロボット9は、3本のレバー46のそれぞれを回動させる3個のモータ50を備えている。
【0034】
アーム部47の基端側は、レバー46の先端側に回動可能に連結されている。具体的には、アーム部47は、互いに平行な直線状の2本のアーム52を備えており、2本のアーム52のそれぞれの基端側がレバー46の先端側に回動可能に連結されている。ヘッドユニット48は、3個のアーム部47の先端側に回動可能に連結されている。パネル把持部49は、ヘッドユニット48の下端に取り付けられている。パネル把持部49は、液晶パネル2を真空吸着する複数の吸着部を備えており、この吸着部によって液晶パネル2の上面を吸着することで液晶パネル2を把持する。また、ヘッドユニット48の上端には、上下方向を回転の軸方向としてパネル把持部49を回転させるモータが取り付けられている。
【0035】
ロボット9では、3個のモータ50を個別に駆動することで、所定のエリア内において、上下方向、左右方向および前後方向の任意の位置へ、かつ、ヘッドユニット48が一定の姿勢を保ったままの状態で(具体的には、パネル把持部49が下側を向いたままの状態で)、ヘッドユニット48を移動させることが可能になっている。ロボット9は、トレイステージ6に載置されたトレイ3またはトレイステージ7に載置されたトレイ3から液晶パネル2を1枚ずつ搬出する。具体的には、ロボット9は、トレイステージ6、7に載置されたトレイ3が空になるまでトレイ3から液晶パネル2を1枚ずつ搬出して、供給ユニット10に搬入する。
【0036】
供給ユニット10は、液晶パネル2の、表示領域から外れた箇所に記録される検査データ等のデータを読み取るデータ読取装置と、データ読取装置で液晶パネル2のデータが読み取られる前に液晶パネル2の位置合わせをするアライメント装置と、データ読取装置でデータが読み取られた後の液晶パネル2を処理装置15へ搬送するロボットとを備えている。供給ユニット10は、ロボット9から液晶パネル2を受け取って処理装置15に供給する。
【0037】
(検知機構、トレイ分離機構および昇降機構の構成)
図3は、
図1に示す分割コンベヤ20の斜視図である。
図4は、
図3のF部の構成を説明するための平面図である。
図5は、
図4に示す検知機構28およびトレイ分離機構29等の構成を説明するための概略図である。
【0038】
昇降機構30は、電動シリンダである。したがって、以下の説明では、昇降機構30を「電動シリンダ30」と表記する。電動シリンダ30は、左右方向における分割コンベヤ20の両端側に設置されている。分割コンベヤ20の左右方向の両端側に設置される2個の電動シリンダ30は、前後方向において同じ位置に配置されている。また、電動シリンダ30は、前後方向において、分割コンベヤ20の略中心位置に配置されている。電動シリンダ30は、電動シリンダ30のロッドが上側へ突出するように配置されている。
【0039】
電動シリンダ30のロッドの上端部には、固定板55が固定されている。固定板55には、固定板55を上下方向へ案内するためのガイド軸56が固定されている。ガイド軸56は、固定板55から下側に向かって伸びている。ガイド軸56は、分割コンベヤ20に固定されるガイドブッシュ57に挿通されている。なお、昇降機構30は、分割コンベヤ20に回転可能に支持されるネジ軸と固定板55に固定されるナットとを有するボールネジ、および、ボールネジのネジ軸を回転させるモータ等によって構成されていても良い。
【0040】
検知機構28は、発光部58と、発光部58から射出された光を受光する受光部59とを備える透過型の光学式センサである。発光部58と受光部59とは、分割コンベヤ20に載置されるトレイ3を左右方向で挟むように設置されている。また、発光部58および受光部59は、固定板55の上面側に固定されており、発光部58と受光部59とは、前後方向において同じ位置に配置されている。なお、検知機構28は、反射型の光学式センサであっても良い。
【0041】
分割コンベヤ20で複数段に積み重なるトレイ3のうちの最上段に配置されるトレイ3を「第1トレイ3A」とし、分割コンベヤ20で複数段に積み重なるトレイ3のうちの上から2番目に配置されるトレイ3を「第2トレイ3B」とすると、トレイ分離機構29は、第1トレイ3Aと第2トレイ3Bとの間に入り込む爪部材60と、爪部材60を移動させる爪移動機構61とを備えている。爪移動機構61は、エアシリンダである。したがって、以下の説明では、爪移動機構61を「エアシリンダ61」と表記する。
【0042】
エアシリンダ61は、固定板55の上面に固定されており、2個のエアシリンダ61が分割コンベヤ20に載置されるトレイ3を左右方向で挟むように設置されている。また、2個のエアシリンダ61は、エアシリンダ61のロッドが左右方向の内側へ突出するように配置されている。爪部材60は、エアシリンダ61のロッドの先端部に固定される固定部材62と一体で形成されており、2個の爪部材60が分割コンベヤ20に載置されるトレイ3を左右方向で挟むように設置されている。固定部材62は、左右方向に直交する平板状に形成されている。爪部材60は、固定部材62の下面に繋がっている。また、爪部材60は、固定部材62から左右方向の内側に向かって突出している。
【0043】
爪部材60の先端部の上面には、爪部材60の先端に向かうにしたがって下側に向かって傾斜する上側傾斜面60aが形成され、爪部材60の先端部の下面には、爪部材60の先端に向かうにしたがって上側に向かって傾斜する下側傾斜面60bが形成されている。すなわち、分割コンベヤ20に載置されるトレイ3の右側に配置される爪部材60の左端部の上面と、分割コンベヤ20に載置されるトレイ3の左側に配置される爪部材60の右端部の上面とに上側傾斜面60aが形成され、分割コンベヤ20に載置されるトレイ3の右側に配置される爪部材60の左端部の下面と、分割コンベヤ20に載置されるトレイ3の左側に配置される爪部材60の右端部の下面とに下側傾斜面60bが形成されている。
【0044】
トレイ3には、トレイ3の外周側に広がる環状(枠状)の鍔部3aが形成されており、爪部材60は、第1トレイ3Aの鍔部3aと第2トレイ3Bの鍔部3aとの間に入り込む。エアシリンダ61は、第1トレイ3Aと第2トレイ3Bとの間(具体的には、第1トレイ3Aの鍔部3aと第2トレイ3Bの鍔部3aとの間)に爪部材60が入り込む分離位置60A(
図5の二点鎖線で示す位置)と、第1トレイ3Aと第2トレイ3Bとの間から爪部材60が外れる退避位置60B(
図5の実線で示す位置)との間で爪部材60を移動させる。
【0045】
(トレイ搬送時のトレイ分離機構および昇降機構の動作)
図6、
図7は、
図1に示す分割コンベヤ20からトレイステージ6、7にトレイ3を搬送するときのトレイ分離機構29および昇降機構30等の動作を説明するための図である。
【0046】
段積み状態のトレイ3が分割コンベヤ20まで搬送されると、電動シリンダ30のロッドが上側へ突出して固定板55が所定の上限位置まで移動する(
図6(A)参照)。トレイ3の厚さ(段積みされたトレイ3の上下方向の厚さ)をtとすると(
図5参照)、固定板55は、上限位置まで移動した後、検知機構28が第1トレイ3Aを検知するまで厚さtと同じ距離ずつ下降して停止する(
図6(B)参照)。また、検知機構28が第1トレイ3Aを検知することで、分割コンベヤ20に載置されるトレイ3の段数が検知される。なお、このときには、発光部58および受光部59の光軸(すなわち、検知機構28の光軸)Lは、上下方向において、第1トレイ3Aの上端よりも下側に配置されている。また、固定板55が昇降するときには、爪部材60は、退避位置60Bに配置されている。
【0047】
その後、検知機構28が第1トレイ3Aの上端を検知するまで、固定板55が上昇して停止する(
図6(C)参照)。すなわち、電動シリンダ30が分割コンベヤ20に対して検知機構28を昇降させて検知機構28が第1トレイ3Aの上端を検知する。その後、検知機構28が検知した第1トレイ3Aの上端を基準にして、第1トレイ3Aの鍔部3aと第2トレイ3Bの鍔部3aとの間に爪部材60が入り込む位置まで、固定板55が昇降してから、退避位置60Bにある爪部材60が分離位置60Aに移動する(
図7(A)参照)。すなわち、検知機構28による第1トレイ3Aの上端の検知結果に基づいて電動シリンダ30が分割コンベヤ20に対してトレイ分離機構29を昇降させてからエアシリンダ61が退避位置60Bから分離位置60Aに爪部材60を移動させる。
【0048】
なお、上下方向において、検知機構28が第1トレイ3Aの上端を検知する位置と、第1トレイ3Aの鍔部3aと第2トレイ3Bの鍔部3aとの間に爪部材60が入り込む位置とが一致していても良い。この場合には、検知機構28が第1トレイ3Aの上端を検知するまで固定板55が上昇して停止すると、そのまま、退避位置60Bにある爪部材60が分離位置60Aに移動する。
【0049】
爪部材60が分離位置60Aまで移動すると、ロボット8のトレイ把持部39が第1トレイ3Aの上面を真空吸着して、分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に第1トレイ3Aを搬送する(
図7(A)参照)。ロボット8によって分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に第1トレイ3Aが搬送されると、分離位置60Aにある爪部材60が退避位置60Bに移動する。なお、ロボット8は、トレイ把持部39と第1トレイ3Aとの衝突を防止するため、分割コンベヤ20に載置されるトレイ3の段数の検知結果に基づいて動作する。
【0050】
また、ロボット8によって分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に第1トレイ3Aが搬送されると、上下方向において、次に搬送されるべき第1トレイ3A(すなわち、第1トレ3Aが搬送される前の第2トレイ3B)が配置される位置に検知機構28の光軸Lが配置されるまで固定板55が下降して停止する(
図7(B)参照)。すなわち、ロボット8によって分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に第1トレイ3Aが搬送されると、電動シリンダ30が分割コンベヤ20に対して次に搬送されるべき第1トレイ3Aが配置されている位置まで検知機構28を下降させて、検知機構28が次に搬送されるべき第1トレイ3Aの有無を検知する。
【0051】
ロボット8によって分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に1枚のトレイ3のみが搬送されている場合(すなわち、第1トレイ3Aのみが搬送されている場合)には、上下方向において、次に搬送されるべき第1トレイ3Aが配置される位置に検知機構28の光軸Lが配置されるまで固定板55が下降して停止したときに、
図7(B)に示すように、検知機構28は次の第1トレイ3Aを検知する。一方、ロボット8によって分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に重なった状態の2枚以上のトレイ3が搬送されている場合には、上下方向において、次に搬送されるべき第1トレイ3Aが配置される位置に検知機構28の光軸Lが配置されるまで固定板55が下降して停止したときに、検知機構28は、次の第1トレイ3Aを検知しない。
【0052】
すなわち、ロボット8によって分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に第1トレイ3Aが搬送された後、電動シリンダ30が分割コンベヤ20に対して次に搬送されるべき第1トレイ3Aが配置されている位置まで検知機構28を下降させて検知機構28が次に搬送されるべき第1トレイ3Aの有無を検知することで、ロボット8によって分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に重なった状態の2枚以上のトレイ3が搬送されたことを検知することが可能になる。
【0053】
上下方向において、次に搬送されるべき第1トレイ3Aが配置される位置に検知機構28の光軸Lが配置されるまで固定板55が下降して停止したときに、次に搬送されるべき第1トレイ3Aがないことを検知機構28が検知すると(すなわち、検知機構28が次の第1トレイ3Aを検知しないと)、ロボット8によって分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に重なった状態の2枚以上のトレイ3が搬送されたことが想定されるため、ロボット9が停止して、レイステージ6、7上のトレイ3からの液晶パネル2の搬出が停止する。また、ロボット8も停止する。
【0054】
一方、上下方向において、次に搬送されるべき第1トレイ3Aが配置される位置に検知機構28の光軸Lが配置されるまで固定板55が下降して停止したときに、次に搬送されるべき第1トレイ3Aがあることを検知機構28が検知すると(すなわち、検知機構28が次の第1トレイ3Aを検知すると)、ロボット9が動作を継続するとともに、検知機構28が第1トレイ3Aの上端を検知するまで固定板55が上昇して停止する(
図7(C)参照)。
【0055】
その後、検知機構28が検知した第1トレイ3Aの上端を基準にして、第1トレイ3Aの鍔部3aと第2トレイ3Bの鍔部3aとの間に爪部材60が入り込む位置まで、固定板55が昇降してから、退避位置60Bにある爪部材60が分離位置60Aに移動する(
図7(A)参照)。なお、上述のように、上下方向において、検知機構28が第1トレイ3Aの上端を検知する位置と、第1トレイ3Aの鍔部3aと第2トレイ3Bの鍔部3aとの間に爪部材60が入り込む位置とが一致している場合には、検知機構28が第1トレイ3Aの上端を検知するまで固定板55が上昇して停止すると、そのまま、退避位置60Bにある爪部材60が分離位置60Aに移動する。
【0056】
爪部材60が分離位置60Aまで移動すると、ロボット8のトレイ把持部39が第1トレイ3Aの上面を真空吸着して、分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に第1トレイ3Aを搬送する(
図7(A)参照)。ロボット8によって分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に第1トレイ3Aが搬送されると、分離位置60Aにある爪部材60が退避位置60Bに移動する。
【0057】
また、ロボット8によって分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に第1トレイ3Aが搬送されると、上下方向において、次に搬送されるべき第1トレイ3Aが配置される位置に検知機構28の光軸Lが配置されるまで固定板55が下降して停止するとともに(
図7(B)参照)、次に搬送されるべき第1トレイ3Aがあることを検知機構28が検知すると、検知機構28が第1トレイ3Aの上端を検知するまで固定板55が上昇して停止する(
図7(C)参照)。以降、分割コンベヤ20に載置された全てのトレイ3がトレイステージ6、7に搬出されるまで、
図7(A)~(C)に示す動作が繰り返される。
【0058】
このように本形態では、ロボット8が分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に第1トレイ3Aを搬送するごとに、電動シリンダ30が分割コンベヤ20に対して検知機構28を相対的に昇降させて検知機構28が次に搬送される第1トレイ3Aの上端を検知するとともに、検知機構28による第1トレイ3Aの上端の検知結果に基づいて分割コンベヤ20に対して上下方向の所定の位置に配置される爪部材60が退避位置60Bから分離位置60Aに移動する。
【0059】
また、本形態では、ロボット8が分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に第1トレイ3Aを搬送すると、検知機構28が次の第1トレイ3Aの上端を検知する前に、電動シリンダ30が分割コンベヤ20に対して次に搬送されるべき第1トレイ3Aが配置されている位置まで検知機構28を相対的に昇降させて検知機構28が次に搬送されるべき第1トレイ3Aの有無を検知する。
【0060】
なお、
図6(B)、
図7(B)に示す状態から、第1トレイ3Aの上端よりも検知機構28の光軸Lが上側に配置される所定の位置まで固定板55が一旦上昇した後、検知機構28が第1トレイ3Aの上端を検知するまで、固定板55が下降して停止しても良い。
【0061】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、第1トレイ3Aと第2トレイ3Bとを分離するためのトレイ分離機構29が分割コンベヤ20に設置されている。そのため、本形態では、ロボット8によって、トレイ3が複数段に積み重なった状態で配置される分割コンベヤ20からトレイステージ6、7にトレイを1枚ずつ搬送することが可能になる。
【0062】
また、本形態では、ロボット8が分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に第1トレイ3Aを搬送するごとに、電動シリンダ30が分割コンベヤ20に対して検知機構28を昇降させて検知機構28が次に搬送される第1トレイ3Aの上端を検知するとともに、検知機構28による第1トレイ3Aの上端の検知結果に基づいて分割コンベヤ20に対して上下方向の所定の位置に配置される爪部材60が退避位置60Bから分離位置60Aに移動している。
【0063】
そのため、本形態では、複数段に積み重なる個々のトレイ3の歪み等の影響によって複数段に積み重なるトレイ3の上下方向のピッチが一定になっていなくても、第1トレイ3Aの鍔部3aと第2トレイ3Bの鍔部3aとの間により高い確率で爪部材60を入れ込むことが可能になる。したがって、本形態では、トレイ分離機構29を用いて第1トレイ3Aと第2トレイ3Bとをより高い確率で分離することが可能になる。その結果、本形態では、ロボット8によって分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に確実にトレイ3を1枚ずつ搬送することが可能になる。
【0064】
また、本形態では、爪部材60の先端部の上面に上側傾斜面60aが形成され、爪部材の先端部の下面に下側傾斜面60bが形成されているため、第1トレイ3Aの鍔部3aと第2トレイ3Bの鍔部3aとの間により一層高い確率で爪部材60を入れ込むことが可能になり、トレイ分離機構29を用いて第1トレイ3Aと第2トレイ3Bとをより一層高い確率で分離することが可能になる。したがって、本形態では、ロボット8によって分割コンベヤ20からトレイステージ6、7により確実にトレイ3を1枚ずつ搬送することが可能になる。
【0065】
本形態では、ロボット8が分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に第1トレイ3Aを搬送すると、検知機構28が次の第1トレイ3Aの上端を検知する前に、電動シリンダ30が次に搬送されるべき第1トレイ3Aが配置されている位置まで検知機構28を昇降させて検知機構28が次に搬送されるべき第1トレイ3Aの有無を検知している。そのため、本形態では、万が一、分割コンベヤ20からトレイステージ6、7にロボット8によって2枚以上のトレイ3が搬送されたとしても、上述のように、分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に2枚以上のトレイ3が搬送されたことを検知することが可能になる。
【0066】
本形態では、次に搬送されるべき第1トレイ3Aが配置される位置に検知機構28の光軸Lが配置されるまで固定板55が下降したときに、次に搬送されるべき第1トレイ3Aがないことを検知機構28が検知すると、ロボット9が停止している。そのため、本形態では、万が一、分割コンベヤ20からトレイステージ6、7にロボット8によって2枚以上のトレイ3が搬送されたとしても、トレイステージ6、7に載置されたトレイ3に収容される液晶パネル2とロボット9との衝突に起因する液晶パネル2の破損を防止することが可能になる。
【0067】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0068】
上述した形態において、搬送システム1は、分割コンベヤ20に載置されるトレイ3を昇降させるための昇降機構を備えていても良い。この場合には、上下方向において検知機構28およびトレイ分離機構29は固定されており、電動シリンダ30は不要になる。また、この場合には、ロボット8が分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に第1トレイ3Aを搬送するごとに、昇降機構が分割コンベヤ20を昇降させて検知機構28が次に搬送される第1トレイ3Aの上端を検知するとともに、検知機構28による第1トレイ3Aの上端の検知結果に基づいて、昇降機構が分割コンベヤ20を昇降させたりした後、分割コンベヤ20に対して上下方向の所定の位置に配置される爪部材60が退避位置60Bから分離位置60Aに移動する。
【0069】
また、この場合には、ロボット8が分割コンベヤ20からトレイステージ6、7に第1トレイ3Aを搬送すると、検知機構28が次の第1トレイ3Aの上端を検知する前に、検知機構28が配置されている位置まで、昇降機構が次に搬送されるべき第1トレイ3Aを昇降させて、検知機構28が次に搬送されるべき第1トレイ3Aの有無を検知する。
【0070】
上述した形態において、重なった状態の2枚以上のトレイ3がトレイステージ6、7に搬入されたことを検知するための検知機構がトレイステージ6、7に設置されていても良い。この場合には、検知機構28は、次に搬送されるべき第1トレイ3Aの有無を検知しなくても良い。また、上述した形態において、分割コンベヤ20に、検知機構28を昇降させる昇降機構とトレイ分離機構29を昇降させる昇降機構とが別個に設置されていても良い。
【0071】
上述した形態では、トレイ3の搬送機能を有する分割コンベヤ20が、複数段に積み重なるトレイ3が配置されるトレイ配置部となっているが、トレイ3の搬送機能を備えていない載置台が、トレイ3が複数段に積み重なった状態で配置されるトレイ配置部となっていても良い。また、上述した形態では、コンベヤ4、5は、複数の分割コンベヤによって構成されているが、コンベヤ4、5は、一体型のコンベヤであっても良い。この場合のコンベヤ4は、液晶パネル2を収容可能なトレイ3が複数段に積み重なった状態で配置されるトレイ配置部となっている。
【0072】
上述した形態において、搬送システム1は、処理装置15から排出される液晶パネル2を搬送しても良い。この場合には、コンベヤ4で搬送されるトレイ3は空トレイとなっており、コンベヤ5で搬送されるトレイ3に、複数枚の液晶パネル2が収容されている。また、上述した形態において、搬送システム1は、液晶パネル2を搬送して処理装置15に液晶パネル2を供給するとともに、処理装置15から排出される液晶パネル2を搬送しても良い。
【0073】
上述した形態において、トレイステージ6、7に、複数のトレイ3が互いに重ならないように載置されても良い。また、上述した形態において、搬送システム1が備えるトレイステージの数は、1個であっても良いし、3個以上であっても良い。さらに、上述した形態において、搬送システム1が備えるコンベヤの数は、1個であっても良いし、3個以上であっても良い。また、上述した形態において、爪部材60の先端部の上面に上側傾斜面60aが形成されていなくても良いし、爪部材60の先端部の下面に下側傾斜面60bが形成されていなくても良い。
【0074】
上述した形態において、ロボット8およびロボット9の少なくともいずれか一方は、垂直多関節ロボットであっても良いし、水平多関節ロボットであっても良い。また、上述した形態では、搬送システム1で搬送される表示パネルは、液晶パネル2であるが、搬送システム1で搬送される表示パネルは、液晶パネル2以外の表示パネルであっても良い。たとえば、搬送システム1で搬送される表示パネルは、有機ELパネルであっても良い。
【符号の説明】
【0075】
1 搬送システム
2 液晶パネル(表示パネル)
3 トレイ
3A 第1トレイ
3B 第2トレイ
6、7 トレイステージ
8 ロボット(搬送ロボット)
9 ロボット(第2搬送ロボット)
20 分割コンベヤ(トレイ配置部)
28 検知機構
29 トレイ分離機構
30 電動シリンダ(昇降機構)
60 爪部材
60A 分離位置
60B 退避位置
60a 上側傾斜面
60b 下側傾斜面
61 エアシリンダ(爪移動機構)