(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】基板処理方法及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20221216BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
H01L21/306 G
H01L21/306 R
H01L21/304 651B
H01L21/304 651K
H01L21/304 651H
H01L21/304 651J
H01L21/304 647A
H01L21/304 642B
H01L21/304 643A
(21)【出願番号】P 2018158104
(22)【出願日】2018-08-27
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】山口 侑二
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-218456(JP,A)
【文献】特開2015-088619(JP,A)
【文献】特開2016-213252(JP,A)
【文献】特開平11-067714(JP,A)
【文献】特開2015-046442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を含むパターンを有する基板を処理する基板処理方法であって、
前記基板を処理液で処理する処理工程と、
前記処理工程の後に、前記凹部に入り込んでいる前記処理液を前記基板から除去する除去工程と、
前記除去工程の後に、前記基板をエッチング液でエッチングするエッチング工程と
を含み、
前記エッチング工程では、前記凹部から前記処理液が除去された状態において、前記エッチング液の流動によって前記凹部の内部に前記エッチング液を進入させることで、エッチングを行う、基板処理方法。
【請求項2】
前記除去工程では、前記基板を乾燥して、前記凹部に入り込んでいる前記処理液を除去する、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記処理工程は、
前記基板を薬液で処理する薬液工程と、
前記処理液としてのリンス液によって前記基板から前記薬液を洗い流すリンス工程と
を含む、請求項1又は請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記薬液工程では、前記基板に形成された自然酸化膜を前記薬液によって除去する、請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記処理工程と前記除去工程と前記エッチング工程とは、複数の槽を備える基板処理装置の外部に前記基板を出すことなく、前記基板処理装置の内部で実行される一連の工程である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記除去工程では、前記複数の槽のうち前記基板が収容されている槽内に水溶性の有機溶剤の蒸気を供給して、前記槽内を減圧することによって前記基板を乾燥する、請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記処理工程と前記除去工程と前記エッチング工程とのうちの少なくとも2以上の工程が、同一槽内で実行される、請求項5又は請求項6に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記処理工程では、チャンバー内で前記基板を回転させながら、前記処理液を前記基板に供給して前記基板を処理し、
前記除去工程では、前記チャンバー内で前記基板を回転させながら、前記凹部に入り込んでいる前記処理液を除去し、
前記エッチング工程では、前記チャンバー内で前記基板を回転させながら、前記エッチング液を前記基板に供給して前記基板をエッチングする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記パターンは、積層膜を含み、
前記積層膜は、ポリシリコン膜と酸化シリコン膜とが交互に積層されることで構成され、
前記エッチング液は、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドを含む、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記パターンは、積層膜を含み、
前記積層膜は、異なる複数の材料が積層されることで構成され、
前記エッチング工程では、前記凹部から前記処理液が除去された状態において、前記凹部の側面をエッチングして、前記基板の面方向に複数のリセスを形成する、請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記エッチング工程では、前記凹部から前記処理液が除去された状態において、前記エッチング液の流動によって前記凹部の半分よりも深い位置まで前記エッチング液を進入させる、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記処理工程を実行する前において、前記凹部の幅に対する深さの比率のことである前記パターンのアスペクト比は2
よりも大きい、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記パターンは、前記処理液が入り込んでいる状態での流動による進入の限界位置よりも深い前記凹部を含む、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項14】
凹部を含むパターンを有する基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板を処理する処理部を備え、
前記処理部は、
前記基板を処理液で処理し、
前記基板を前記処理液で処理した後に、前記凹部に入り込んでいる前記処理液を前記基板から除去し、
前記凹部から前記処理液が除去された状態において、エッチング液の流動によって前記凹部の内部に前記エッチング液を進入させることで、前記基板をエッチングする、基板処理装置。
【請求項15】
前記パターンは、積層膜を含み、
前記積層膜は、異なる複数の材料が積層されることで構成され、
前記処理部は、前記凹部から前記処理液が除去された状態において、前記凹部の側面をエッチングして、前記基板の面方向に複数のリセスを形成する、請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記処理部は、前記凹部から前記処理液が除去された状態において、前記エッチング液の流動によって前記凹部の半分よりも深い位置まで前記エッチング液を進入させる、請求項14又は請求項15に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記基板を前記処理液で処理する前において、前記凹部の幅に対する深さの比率のことである前記パターンのアスペクト比は2
よりも大きい、請求項14から請求項16のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記パターンは、前記処理液が入り込んでいる状態での流動による進入の限界位置よりも深い前記凹部を含む、請求項14から請求項17のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されている基板処理装置は、ウェット処理ユニットを備える。ウェット処理ユニットはウェットエッチング処理を実行する。具体的には、ウェットエッチング処理は、ウェハ搬入工程と、回転開始工程と、自然酸化膜除去工程と、第1リンス工程と、犠牲膜プリエッチング工程と、第2リンス工程と、乾燥工程と、ウェハ搬出工程とを含む。
【0003】
ウェハ搬入工程及び回転開始工程が実行された後、自然酸化膜除去工程では、ウェハの表面にDHF(希フッ酸)を供給して、ウェハから自然酸化膜を除去する。そして、第1リンス工程では、ウェハの表面にリンス液を供給して、自然酸化膜の残留物を洗い流す。さらに、犠牲膜プリエッチング工程では、ウェハの表面にエッチング液を供給して、ウェハから犠牲膜の一部を除去する。具体的には、ウェハの表面には、凹部を含むパターンが形成されている。そして、犠牲膜プリエッチング工程では、凹部にエッチング液を進入させて、パターンとシリコン基板との間に形成された犠牲膜の一部を除去する。そして、第2リンス工程、乾燥工程、及びウェハ搬出工程が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている基板処理装置では、犠牲膜プリエッチング工程の実行時に、第1リンス工程で供給されたリンス液が、ウェハの表面に形成されたパターンの凹部に残存し得る。
【0006】
特に近年、基板に形成されるパターンの微細化が進んで、パターンのアスペクト比(凹部の幅に対する深さの比率)が高くなったり、パターンの形状が複雑になったりしている。従って、仮にパターンの凹部にリンス液が残存している状態で凹部にエッチング液を供給すると、リンス液の影響によって、凹部の深さ方向においてエッチング液に濃度勾配が発生し得る。具体的には、エッチング液の供給当初では、エッチング液の濃度が、凹部の浅い位置から深い位置に向かって低くなり得る。従って、エッチング液が凹部の深い位置に浸透するためには、リンス液中への濃度勾配によるエッチング液の拡散の時間が必要になり得る。その結果、エッチング液の拡散の時間を確保してプロセスを定めていない場合は、ウェハに対するエッチング効果が若干低下する可能性がある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板に対するエッチング効果の低下を抑制できる基板処理方法及び基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面によれば、基板処理方法では、凹部を含むパターンを有する基板が処理される。基板処理方法は、前記基板を処理液で処理する処理工程と、前記処理工程の後に、前記凹部に入り込んでいる前記処理液を前記基板から除去する除去工程と、前記除去工程の後に、前記基板をエッチング液でエッチングするエッチング工程とを含む。前記エッチング工程では、前記凹部から前記処理液が除去された状態において、前記エッチング液の流動によって前記凹部の内部に前記エッチング液を進入させることで、エッチングを行う。
【0009】
本発明の基板処理方法において、前記除去工程では、前記基板を乾燥して、前記凹部に入り込んでいる前記処理液を除去することが好ましい。
【0010】
本発明の基板処理方法において、前記処理工程は、前記基板を薬液で処理する薬液工程と、前記処理液としてのリンス液によって前記基板から前記薬液を洗い流すリンス工程とを含むことが好ましい。
【0011】
本発明の基板処理方法において、前記薬液工程では、前記基板に形成された自然酸化膜を前記薬液によって除去することが好ましい。
【0012】
本発明の基板処理方法において、前記処理工程と前記除去工程と前記エッチング工程とは、複数の槽を備える基板処理装置の外部に前記基板を出すことなく、前記基板処理装置の内部で実行される一連の工程であることが好ましい。
【0013】
本発明の基板処理方法において、前記除去工程では、前記複数の槽のうち前記基板が収容されている槽内に水溶性の有機溶剤の蒸気を供給して、前記槽内を減圧することによって前記基板を乾燥することが好ましい。
【0014】
本発明の基板処理方法において、前記処理工程と前記除去工程と前記エッチング工程とのうちの少なくとも2以上の工程が、同一槽内で実行されることが好ましい。
【0015】
本発明の基板処理方法において、前記処理工程では、チャンバー内で前記基板を回転させながら、前記処理液を前記基板に供給して前記基板を処理することが好ましい。前記除去工程では、前記チャンバー内で前記基板を回転させながら、前記凹部に入り込んでいる前記処理液を除去することが好ましい。前記エッチング工程では、前記チャンバー内で前記基板を回転させながら、前記エッチング液を前記基板に供給して前記基板をエッチングすることが好ましい。
【0016】
本発明の基板処理方法において、前記パターンは、積層膜を含むことが好ましい。前記積層膜は、ポリシリコン膜と酸化シリコン膜とが交互に積層されることで構成されることが好ましい。前記エッチング液は、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドを含むことが好ましい。
本発明の基板処理方法において、前記パターンは、積層膜を含むことが好ましい。前記積層膜は、異なる複数の材料が積層されることで構成されることが好ましい。前記エッチング工程では、前記凹部から前記処理液が除去された状態において、前記凹部の側面をエッチングして、前記基板の面方向に複数のリセスを形成することが好ましい。
本発明の基板処理方法において、前記エッチング工程では、前記凹部から前記処理液が除去された状態において、前記エッチング液の流動によって前記凹部の半分よりも深い位置まで前記エッチング液を進入させることが好ましい。
本発明の基板処理方法では、前記処理工程を実行する前において、前記凹部の幅に対する深さの比率のことである前記パターンのアスペクト比は2よりも大きいことが好ましい。
本発明の基板処理方法において、前記パターンは、前記処理液が入り込んでいる状態での流動による進入の限界位置よりも深い前記凹部を含むことが好ましい。
【0017】
本発明の他の局面によれば、基板処理装置は、凹部を含むパターンを有する基板を処理する。基板処理装置は、前記基板を処理する処理部を備える。前記処理部は、前記基板を処理液で処理する。処理部は、前記基板を前記処理液で処理した後に、前記凹部に入り込んでいる前記処理液を前記基板から除去する。処理部は、前記凹部から前記処理液が除去された状態において、エッチング液の流動によって前記凹部の内部に前記エッチング液を進入させることで、前記基板をエッチングする。
本発明の基板処理装置において、前記パターンは、積層膜を含むことが好ましい。前記積層膜は、異なる複数の材料が積層されることで構成されることが好ましい。前記処理部は、前記凹部から前記処理液が除去された状態において、前記凹部の側面をエッチングして、前記基板の面方向に複数のリセスを形成することが好ましい。
本発明の基板処理装置において、前記処理部は、前記凹部から前記処理液が除去された状態において、前記エッチング液の流動によって前記凹部の半分よりも深い位置まで前記エッチング液を進入させることが好ましい。
本発明の基板処理装置において、前記基板を前記処理液で処理する前において、前記凹部の幅に対する深さの比率のことである前記パターンのアスペクト比は2よりも大きいことが好ましい。
本発明の基板処理装置において、前記パターンは、前記処理液が入り込んでいる状態での流動による進入の限界位置よりも深い前記凹部を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、基板に対するエッチング効果の低下を抑制できる基板処理方法及び基板処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態1に係る基板処理装置を示す模式的平面図である。
【
図2】実施形態1に係る基板処理装置の槽を示す模式的断面図である。
【
図3】実施形態1に係る基板処理装置の別の槽を示す模式的断面図である。
【
図4】(a)は、実施形態1に係る基板処理装置が処理する基板の第1状態を示す模式的断面図である。(b)は、基板の第2状態を示す模式的断面図である。(c)は、基板の第3状態を示す模式的断面図である。
【
図5】実施形態1に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態2に係る基板処理装置を示す模式的断面図である。
【
図7】実施形態2に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、本発明の実施形態において、X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交し、X軸及びY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0021】
(実施形態1)
図1~
図5を参照して、本発明の実施形態1に係る基板処理装置100及び基板処理方法を説明する。実施形態1に係る基板処理装置100はバッチ式である。従って、基板処理装置100は、複数の基板Wを一括して処理する。具体的には、基板処理装置100は、複数のロットを処理する。複数のロットの各々は複数の基板Wからなる。例えば、1ロットは25枚の基板Wからなる。基板Wは、例えば、略円板状である。
【0022】
基板Wは、例えば、半導体ウェハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、又は、太陽電池用基板である。半導体ウェハは、例えば、三次元フラッシュメモリー(例えば三次元NANDフラッシュメモリー)を形成するためのパターンを有する。
【0023】
まず、
図1を参照して基板処理装置100を説明する。
図1は、基板処理装置100を示す模式的平面図である。
図1に示すように、基板処理装置100は、複数の収納部1と、投入部3と、払出部7と、受け渡し機構11と、バッファユニットBUと、搬送機構CVと、処理部SP1とを備える。処理部SP1は複数の槽TAを含む。搬送機構CVは、第1搬送機構CTCと、第2搬送機構WTRと、副搬送機構LF1と、副搬送機構LF2と、副搬送機構LF3とを含む。処理部SP1は、乾燥処理部17と、第1処理部19と、第2処理部20と、第3処理部21とを含む。乾燥処理部17は、複数の槽TAのうちの槽LPD1及び槽LPD2を含む。第1処理部19は、複数の槽TAのうちの槽ONB1及び槽CHB1を含む。第2処理部20は、複数の槽TAのうちの槽ONB2及び槽CHB2を含む。第3処理部21は、複数の槽TAのうちの槽ONB3及び槽CHB3を含む。
【0024】
複数の収納部1の各々は、複数の基板Wを収容する。各基板Wは水平姿勢で収納部1に収容される。収納部1は、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)である。
【0025】
未処理の基板Wを収納する収納部1は、投入部3に載置される。具体的には、投入部3は複数の載置台5を含む。そして、2つの収納部1が、それぞれ、2つの載置台5に載置される。投入部3は、基板処理装置100の長手方向の一方端に配置される。
【0026】
処理済みの基板Wを収納する収納部1は、払出部7に載置される。具体的には、払出部7は複数の載置台9を含む。そして、2つの収納部1が、それぞれ、2つの載置台9に載置される。払出部7は、処理済みの基板Wを収納部1に収納して収納部1ごと払い出す。払出部7は、基板処理装置100の長手方向の一方端に配置される。払出部7は、投入部3に対して、基板処理装置100の長手方向に直交する方向に対向している。
【0027】
バッファユニットBUは、投入部3及び払出部7に隣接して配置される。バッファユニットBUは、投入部3に載置された収納部1を基板Wごと内部に取り込むとともに、棚(不図示)に収納部1を載置する。また、バッファユニットBUは、処理済みの基板Wを受け取って収納部1に収納するとともに、棚に収納部1を載置する。バッファユニットBU内には、受け渡し機構11が配置されている。
【0028】
受け渡し機構11は、投入部3及び払出部7と棚との間で収納部1を受け渡す。また、受け渡し機構11は、受け渡し機構11と搬送機構CVとの間で基板Wのみの受け渡しを行う。具体的には、受け渡し機構11は、受け渡し機構11と搬送機構CVとの間でロットの受け渡しを行う。搬送機構CVは、処理部SP1に対してロットを搬入及び搬出する。具体的には、搬送機構CVは、処理部SP1の槽TAの各々に対してロットを搬入及び搬出する。処理部SP1は、ロットの各基板Wを処理する。
【0029】
具体的には、受け渡し機構11は、受け渡し機構11と搬送機構CVの第1搬送機構CTCとの間でロットの受け渡しを行う。第1搬送機構CTCは、受け渡し機構11から受け取ったロットの複数の基板Wの姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変換した後、第2搬送機構WTRにロットを受け渡す。また、第1搬送機構CTCは、第2搬送機構WTRから処理済みのロットを受け取った後、ロットの複数の基板Wの姿勢を垂直姿勢から水平姿勢へと変換して、ロットを受け渡し機構11に受け渡す。
【0030】
第2搬送機構WTRは、基板処理装置100の長手方向に沿って、処理部SP1の乾燥処理部17から第3処理部21まで移動可能である。従って、第2搬送機構WTRは、乾燥処理部17、第1処理部19、第2処理部20、及び第3処理部21に対して、ロットを搬入及び搬出する。
【0031】
乾燥処理部17はロットに対して乾燥処理を行う。具体的には、乾燥処理部17の槽LPD1及び槽LPD2の各々が、ロットを収納してロットの複数の基板Wに対して乾燥処理を行う。第2搬送機構WTRは、槽LPD1及び槽LPD2の各々に対してロットを搬入及び搬出する。
【0032】
乾燥処理部17に隣接して第1処理部19が配置されている。第1処理部19の槽ONB1は、ロットの複数の基板Wに対して薬液による前処理を行う。前処理とは、エッチング処理(具体的にはウェットエッチング処理)よりも前に行われる薬液による処理のことである。薬液は、自然酸化膜を基板Wから除去する場合は、例えば、希フッ酸(DHF:Diluted hydrofluoric acid)である。なお、基板Wに対して前処理を行うことができる限りにおいては、前処理で使用する薬液の種類は特に限定されない。
【0033】
又は、槽ONB1は、ロットの複数の基板Wに対してリンス液による洗浄処理を行う。リンス液は洗浄液の一例である。なお、洗浄処理では、リンス液に基板Wが浸漬されていると、時間の経過に伴って基板Wが洗浄されるが、ある時間になると洗浄効果は飽和状態になる。
【0034】
リンス液は、例えば、純水(DIW:Deionzied Water)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水のいずれかである。純水とは、脱イオン水のことである。なお、基板Wに対して洗浄処理を行うことができる限りにおいては、洗浄処理で使用されるリンス液の種類は特に限定されない。
【0035】
又は、槽ONB1は、ロットの複数の基板Wに対してエッチング液によるエッチング処理を行う。つまり、槽ONB1は、ロットの複数の基板Wに対してウェットエッチング処理を行う。なお、エッチング処理では、エッチング液に基板Wが浸漬されている限りは、時間が経過する程、エッチング量が多くなり、エッチング量が飽和状態にならない。
【0036】
エッチング液は、例えば、アルカリ性のエッチング液又は酸性のエッチング液である。アルカリ性のエッチング液は、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)を含む水溶液、トリメチル-2ヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMY)を含む水溶液、又は、水酸化アンモニウム(アンモニア水)である。酸性のエッチング液は、例えば、燐酸、又は、混酸である。なお、基板Wに対してエッチング処理を行うことができる限りにおいては、エッチング処理で使用されるエッチング液の種類は特に限定されない。
【0037】
槽CHB1は、槽ONB1と同様の構成を有しており、槽ONB1と同様の処理を行う。
【0038】
搬送機構CVの副搬送機構LF1は、第1処理部19内でのロットの搬送の他に、第2搬送機構WTRとの間でロットの受け渡しを行う。また、副搬送機構LF1は、ロットを槽ONB1又は槽CHB1に浸漬したり、ロットを槽ONB1又は槽CHB1から引き上げたりする。
【0039】
第1処理部19に隣接して第2処理部20が配置されている。第2処理部20の槽ONB2及び槽CHB2の各々は、槽ONB1と同様の構成を有しており、槽ONB1と同様の処理を行う。搬送機構CVの副搬送機構LF2は、第2処理部20内でのロットの搬送の他に、第2搬送機構WTRとの間でロットの受け渡しを行う。また、副搬送機構LF2は、ロットを槽ONB2又は槽CHB2に浸漬したり、ロットを槽ONB2又は槽CHB2から引き上げたりする。
【0040】
第2処理部20に隣接して第3処理部21が配置されている。第3処理部21の槽ONB3及び槽CHB3の各々は、槽ONB1と同様の構成を有しており、槽ONB1と同様の処理を行う。搬送機構CVの副搬送機構LF3は、第3処理部21内でのロットの搬送の他に、第2搬送機構WTRとの間でロットの受け渡しを行う。また、副搬送機構LF3は、ロットを槽ONB3又は槽CHB3に浸漬したり、ロットを槽ONB3又は槽CHB3から引き上げたりする。
【0041】
以上、
図1を参照して説明したように、搬送機構CVは、処理部SP1の槽TA(槽LPD1、槽LPD2、槽ONB1~槽ONB3、及び、槽CHB1~槽CHB3)の各々に対してロットを搬入及び搬出することが可能である。そして、複数の槽TAの各々はロットを処理可能である。
【0042】
本明細書において、前処理で使用する「薬液」及び洗浄処理で使用する「リンス液」の各々は「処理液」の一例に相当する。
【0043】
次に、
図2を参照して槽ONB1を説明する。
図2は、槽ONB1を示す模式的断面図である。
図2に示すように、槽ONB1は、処理槽41と、回収槽43と、複数のノズル45とを含む。副搬送機構LF1は複数の保持棒40を含む。基板処理装置100は、薬液供給源23と、バルブ24と、リンス液供給源25と、バルブ26と、エッチング液供給源27と、バルブ28と、排液ドレイン29と、配管31と、配管33とをさらに備える。
【0044】
処理槽41は、薬液、リンス液、又はエッチング液を貯留することが可能な容器である。処理槽41には、薬液、リンス液、又はエッチング液が、異なる時間帯に貯留される。処理槽41は、薬液中に基板Wを浸漬することによって基板Wに対して前処理を行う。実施形態1では、前処理を行うための薬液は、DHFである。処理槽41は、リンス液中に基板Wを浸漬することによって基板Wに対して洗浄処理を行う。実施形態1では、洗浄処理で使用するリンス液はDIWである。処理槽41は、エッチング液中に基板Wを浸漬することによって基板Wに対してエッチング処理を行う。実施形態1では、エッチング処理で使用するエッチング液は、TMAHを含む水溶液である。
【0045】
処理槽41の上部は開口している。そして、開口から、薬液、リンス液、又はエッチング液を溢れ出させることが可能となっている。処理槽41の上端周辺部には回収槽43が設けられる。そして、処理槽41の開口から溢れ出た薬液、リンス液、又はエッチング液は、回収槽43に流れ込んで収容される。回収槽43と排液ドレイン29とは配管33によって接続される。従って、回収槽43に流れ込んだ薬液、リンス液、又はエッチング液は、配管33を介して排液ドレイン29へ排出される。
【0046】
複数のノズル45は、処理槽41の内部に配置される。複数のノズル45は、配管31に接続される。配管31には、バルブ24と、バルブ26と、バルブ28とが介挿される。
【0047】
配管31は、バルブ24を介して薬液供給源23と接続される。従って、バルブ24を開け、バルブ26及びバルブ28を閉じると、薬液が、薬液供給源23から配管31を介して複数のノズル45に供給される。その結果、複数のノズル45は、薬液を処理槽41に吐出する。
【0048】
配管31は、バルブ26を介してリンス液供給源25と接続される。従って、バルブ26を開け、バルブ24及びバルブ28を閉じると、リンス液が、リンス液供給源25から配管31を介して複数のノズル45に供給される。その結果、複数のノズル45は、リンス液を処理槽41に吐出する。
【0049】
配管31は、バルブ28を介してエッチング液供給源27と接続される。従って、バルブ28を開け、バルブ24及びバルブ26を閉じると、エッチング液が、エッチング液供給源27から配管31を介して複数のノズル45に供給される。その結果、複数のノズル45は、エッチング液を処理槽41に吐出する。
【0050】
副搬送機構LF1の複数の保持棒40は、複数の基板Wを起立姿勢で保持する。そして、副搬送機構LF1は、複数の保持棒40で保持された複数の基板Wを、処理槽41内に浸漬される位置と、処理槽41から引き上げられた位置との間で移動する。なお、副搬送機構LF2及び副搬送機構LF3の構成は、副搬送機構LF1の構成と同様である。
【0051】
次に、
図3を参照して槽LPD1を説明する。
図3は、槽LPD1を示す模式的断面図である。
図3に示すように、実施形態1では、槽LPD1は、水溶性の有機溶剤の蒸気を用いた減圧引上げ式乾燥法に基づいて乾燥処理を実行する。
【0052】
具体的には、槽LPD1は、チャンバー71と、処理槽73と、回収槽75と、昇降機構77と、複数のノズル81と、複数のガスノズル83とを含む。昇降機構77は複数の保持棒79を含む。基板処理装置100は、ガス供給機構51と、減圧部53と、純水供給源55と、バルブ57と、配管59と、排気ライン61と、配管63と、排液ライン65とをさらに備える。
【0053】
チャンバー71は、処理槽73と、回収槽75と、昇降機構77と、複数のノズル81と、複数のガスノズル83とを収容する。チャンバー71はカバー71aを含む。カバー71aは、チャンバー71の上部の開口に装着されている。カバー71aは開閉可能である。
【0054】
処理槽73は、純水(DIW)を貯留することが可能な容器である。処理槽73は、純水中に基板Wを浸漬することによって基板Wを水洗する。複数のノズル81は、処理槽73の内部に配置される。複数のノズル81は、配管63に接続される。配管63には、バルブ57が介挿される。配管63は、バルブ57を介して純水供給源55と接続される。従って、バルブ57を開けると、純水が、純水供給源55から配管63を介して複数のノズル81に供給される。その結果、複数のノズル81は、純水を処理槽73に吐出する。なお、純水供給源55は、
図2に示すリンス液供給源25であってもよい。
【0055】
処理槽73の上端周辺部には回収槽75が設けられる。基板Wの水洗中は、複数のノズル81から処理槽73に純水が供給され続け、処理槽73の上端部から常に純水が溢れ出る。溢れ出た純水は回収槽75へと流れ込み、排液ライン65からチャンバー71の外部へ排出される。
【0056】
昇降機構77の複数の保持棒79は、複数の基板Wを起立姿勢で保持する。そして、昇降機構77は、複数の保持棒79で保持された複数の基板Wを、処理槽73内に浸漬される位置と、処理槽73から引き上げられた位置との間で移動する。
【0057】
複数のガスノズル83は、チャンバー71の内部であって、処理槽73の外部に配置される。具体的には、複数のガスノズル83は、チャンバー71の内部であって、処理槽73の上方に配置される。複数のガスノズル83は、配管59に接続される。配管59には、ガス供給機構51が接続される。ガス供給機構51は、不活性ガスをキャリアガスとして、水溶性の有機溶剤の蒸気を複数のガスノズル83に供給する。その結果、複数のガスノズル83は、チャンバー71の内部に有機溶剤の蒸気を吐出する。実施形態1では、水溶性の有機溶剤の蒸気は、イソプロピルアルコール(IPA)の蒸気である。
【0058】
減圧部53は、排気ライン61を介してチャンバー71と接続されている。カバー71aを閉鎖してチャンバー71の内部を密閉空間とした状態において、減圧部53は、チャンバー71内の気体を排気することによりチャンバー71内を大気圧未満に減圧する。減圧部53は、例えば、排気ポンプを含む。
【0059】
引き続き
図3を参照して槽LPD1による乾燥処理方法を説明する。乾燥処理方法は、工程1~工程6を含む。
【0060】
工程1:ノズル81が純水を吐出し、処理槽73が純水を貯留する。
【0061】
工程2:昇降機構77が、処理槽73内に収容された純水中に基板Wを浸漬させ、処理槽73が基板Wを水洗する。
【0062】
工程3:ガスノズル83が、有機溶剤の蒸気をチャンバー71内に吐出し、チャンバー71内に有機溶剤の蒸気の雰囲気を形成する。
【0063】
工程4:昇降機構77が、処理槽73内の純水中から基板Wを引き上げる(
図3の二点鎖線で示す基板W)。従って、基板Wは有機溶剤の蒸気の雰囲気中に曝される。その結果、基板Wの表面に有機溶剤の蒸気が凝縮し、有機溶剤が基板Wの表面に付着していた水滴と置換する。
【0064】
工程5:処理槽73内の純水を急速排水するとともに、ガスノズル83が、有機溶剤の蒸気の吐出を停止する。
【0065】
工程6:減圧部53が、チャンバー71内の気体を排気ライン61から排気することによりチャンバー71内を大気圧未満に減圧する。その結果、基板Wの表面に凝縮していた有機溶剤が完全に蒸発して基板Wが乾燥する。
【0066】
なお、槽LPD2の構成は槽LPD1の構成と同様である。また、槽LPD1及び槽LPD2による乾燥処理は、基板Wを乾燥できる限りにおいては、減圧引上げ式乾燥法に限定されず、例えば、所定温度の乾燥用温風を基板Wに吹き付けて基板Wを乾燥してもよいし、基板Wの雰囲気を加熱器によって昇温することで基板Wを乾燥してもよい。
【0067】
次に、基板処理装置100が処理する基板Wの一例を説明する。
図4(a)は、基板Wの第1状態を示す模式的断面図である。第1状態は、基板Wに自然酸化膜93が形成された状態を示す。
図4(b)は、基板Wの第2状態を示す模式的断面図である。第2状態は、基板Wから薬液及びリンス液が除去された状態を示す。
図4(c)は、基板Wの第3状態を示す模式的断面図である。第3状態は、基板Wがエッチング液によってエッチングされた状態を示す。
【0068】
図4(a)に示すように、基板Wは、シリコン基板90と、パターンPTとを有する。パターンPTはシリコン基板90上に形成される。パターンPTは、積層膜91と、単数又は複数の凹部92とを含む。積層膜91は、複数のポリシリコン膜P1~PN(Nは2以上の整数)と、複数の酸化シリコン膜O1~ON(Nは2以上の整数)とを含む。複数のポリシリコン膜P1~PN及び複数の酸化シリコン膜O1~ONは、ポリシリコン膜と酸化シリコン膜とが交互に入れ替わるように、基板Wの厚み方向Dtに沿って積層されている。厚み方向Dtは、シリコン基板90の表面に略直交する方向を示す。
【0069】
凹部92は、基板Wの最表面Wsからシリコン基板90に向かって基板Wの厚み方向Dtに沿って凹んでいる。凹部92は、複数のポリシリコン膜P1~PN及び複数の酸化シリコン膜O1~ONを基板Wの厚み方向Dtに貫通している。ポリシリコン膜P1~PNの側面及び酸化シリコン膜O1~ONの側面は、凹部92の側面92sで露出している。凹部92は、基板Wの最表面Wsから凹んでいる限りにおいては、トレンチであってもよいし、ホールであってもよいし、特に限定されない。
【0070】
以上、
図4(a)を参照して説明したように、基板処理装置100による処理対象の基板Wは、単数又は複数の凹部92を含むパターンPTを有する。具体的には、基板処理装置100による処理対象の基板Wは、ドライエッチング処理によって凹部92を含むパターンPTが形成されている基板である。
【0071】
また、基板処理装置100による処理が開始される前は、ポリシリコン膜P1~PNの表層及び酸化シリコン膜O1~ONの表層に自然酸化膜93が形成されている。二点鎖線は、自然酸化膜93の輪郭を示している。
【0072】
図4(a)に示すように、実施形態1では、薬液としてのDHFに基板Wを浸漬することによって、基板Wから自然酸化膜93を除去する。そして、DHFが基板Wからリンス液によって除去され、更にリンス液が基板Wから除去される。
【0073】
そして、
図4(b)に示すように、基板Wから薬液及びリンス液を除去された後に、エッチング液としてのTMAHに基板Wを浸漬することによって、
図4(c)に示すように、ポリシリコン膜P1~PNが選択的にエッチングされる。その結果、複数のリセスR1が凹部92の側面92sに形成される。複数のリセスR1の各々は、基板Wの面方向Dpに沿って凹んでいる。面方向Dpは、基板Wの厚み方向Dtに略直交する方向を示す。
【0074】
以上、
図4(a)~
図4(c)を参照して説明したように、実施形態1によれば、エッチング処理の前に、基板Wから処理液(薬液及びリンス液)が除去される。つまり、エッチング処理の前に、基板Wの凹部92から処理液が除去される。従って、エッチング液は、処理液中を濃度勾配に基づいて拡散するのではなく、処理液が入り込んでいない凹部92に直接進入する。その結果、エッチング液の濃度勾配による拡散の時間を確保したプロセスを定めていない場合でも、基板Wに対するエッチング効果の低下を抑制できる。つまり、基板Wに対して、目標のエッチング量のエッチングを目標時間内に行うことができる。
【0075】
特に、基板Wの最表面Wsに対する凹部92の深さが比較的深い場合でも、つまり、パターンPTのアスペクト比が比較的高い場合でも、エッチング液が凹部92内に速やかに進入する。その結果、パターンPTのアスペクト比が比較的高い基板Wに対しても、エッチング効果の低下を抑制できる。パターンPTのアスペクト比とは、凹部92の面方向Dpの幅に対する厚み方向Dtの深さの比率のことである。
【0076】
ここで、一般的に、パターンの凹部に処理液が入り込んでいる場合では、凹部の比較的浅い位置まではエッチング液の流動によって、エッチング液が凹部に進入する。そして、流動による凹部への進入の限界位置よりも深い位置からは、処理液中を濃度勾配に基づく拡散によって、エッチング液が凹部の深い位置に進入する。従って、本発明は、凹部に処理液が入り込んでいる状態での流動による凹部への進入の限界位置よりも深い凹部92を含むパターンPTを有する基板Wの処理に特に好適である。なお、実施形態1のようにエッチング処理の直前に凹部92から処理液が除去された状態では、エッチング液の流動によって凹部92の深い位置までエッチング液が進入する。
【0077】
また、実施形態1によれば、エッチング液の濃度勾配による拡散の時間を確保したプロセスを定めることが要求されないため、基板Wの処理のスループットを向上できる。スループットとは、単位時間あたりの基板Wの処理枚数のことである。
【0078】
次に、
図1及び
図5を参照して、実施形態1に係る基板処理方法を説明する。
図5は、基板処理方法を示すフローチャートである。
図5に示すように、基板処理方法は、工程S1~工程S5を含む。基板処理方法は、基板処理装置100によって実行され、複数の基板Wを処理する。具体的には、処理部SP1が、工程S1~工程S5を実行する。
【0079】
図1及び
図5に示すように、工程S1において、処理部SP1は、複数の基板Wを処理液で処理する。実施形態1では、搬送機構CVが複数の基板Wを処理部SP1の槽ONB1に搬入する。そして、槽ONB1が、複数の基板Wを処理液に浸漬して、複数の基板Wを処理液で処理する。工程S1は「処理工程」の一例に相当する。
【0080】
工程S1の後に、工程S2において、処理部SP1は、複数の基板Wの凹部92に入り込んでいる処理液を複数の基板Wから除去する。実施形態1では、搬送機構CVが、槽ONB1から複数の基板Wを搬出して、複数の基板Wを槽LPD1に搬入する。そして、槽LPD1が、複数の基板Wを乾燥して、複数の基板Wの凹部92に入り込んでいる処理液を除去する。従って、本実施形態によれば、乾燥によって容易に凹部92に入り込んでいる処理液を除去できる。工程S2は「除去工程」の一例に相当する。「工程S1の後に」は「基板Wを処理液で処理した後に」の一例に相当する。
【0081】
特に実施形態1では、工程S2において、複数の槽TAのうち基板Wが収容されている槽LPD1内に水溶性の有機溶剤(IPA)の蒸気を供給して、槽LPD1内を減圧することによって基板Wを乾燥する。従って、複数の基板Wを更に効果的に乾燥できて、複数の基板Wの凹部92に入り込んでいる処理液を比較的短時間で除去できる。
【0082】
工程S2の後に、工程S3において、処理部SP1は、複数の基板Wをエッチング液(TMAH)でエッチングする。実施形態1では、搬送機構CVが、槽LPD1から複数の基板Wを搬出して、複数の基板Wを槽CHB1に搬入する。そして、槽CHB1が、複数の基板Wをエッチング液に浸漬して、複数の基板Wをエッチングする。工程S3は「エッチング工程」の一例に相当する。「工程S2の後に」は「処理液を基板Wから除去した後に」の一例に相当する。
【0083】
工程S3の後に、工程S4において、処理部SP1は、リンス液によって基板Wからエッチング液を洗い流す。実施形態1では、搬送機構CVが、槽CHB1から複数の基板Wを搬出して、複数の基板Wを槽ONB1に搬入する。そして、槽ONB1が、複数の基板Wをリンス液に浸漬して、複数の基板Wからエッチング液を洗い流す。
【0084】
工程S4の後に、工程S5において、処理部SP1は、基板Wを乾燥して、基板Wからリンス液を除去する。実施形態1では、搬送機構CVが、槽ONB1から複数の基板Wを搬出して、複数の基板Wを槽LPD1に搬入する。そして、槽LPD1が、複数の基板Wを乾燥して、複数の基板Wからリンス液を除去する。
【0085】
以上、
図1及び
図5を参照して説明したように、実施形態1によれば、工程S3のエッチング処理の前に、工程S2において複数の基板Wから処理液が除去される。つまり、エッチング処理の前に基板Wの凹部92から処理液が除去される。従って、エッチング液は、処理液が入り込んでいない凹部92に直接進入する。その結果、複数の基板Wに対するエッチング効果の低下を抑制できる。
【0086】
特に、実施形態1では、工程S1~工程S5は、工程S1~工程S5の途中で払出部7が基板処理装置100の外部に処理途中の基板Wを払い出すことなく、基板処理装置100の内部で実行される一連の工程である。つまり、工程S1~工程S5は、基板処理装置100の内部の複数の槽TAによって実行される一連の工程である。従って、1台の基板処理装置100の内部で実行される一連の工程の中で、エッチング処理の前に凹部92から処理液を除去することで、複数の基板Wに対するエッチング効果の低下を抑制している。
【0087】
なお、工程S1~工程S5を1バッチ処理とすると、基板処理装置100は、複数のバッチ処理を並行して実行してもよい。この場合、第1処理部19~第3処理部21と乾燥処理部17とが適宜使用される。
【0088】
また、実施形態1では、工程S1は、工程S11と、工程S12とを含む。
【0089】
工程S11において、処理部SP1は、複数の基板Wに対して前処理を行う。具体的には、処理部SP1は、複数の基板Wを薬液(DHF)で処理する。工程S11は「薬液工程」の一例に相当する。実施形態1では、槽ONB1が、複数の基板Wを薬液に浸漬して、複数の基板Wを薬液で処理する。
【0090】
特に、工程S11では、槽ONB1が、複数の基板Wに形成された自然酸化膜93を薬液(DHF)によって除去する。その結果、工程S3での複数の基板Wに対するエッチング処理を更に効果的に実行できる。
【0091】
工程S12において、処理部SP1は、リンス液(DIW)によって複数の基板Wから薬液を洗い流す。工程S12は「リンス工程」の一例に相当する。「リンス液」は「処理液としてのリンス液」の一例に相当する。実施形態1では、槽ONB1が、工程S11で使用した薬液をリンス液に入れ替え、複数の基板Wをリンス液に浸漬して、リンス液によって複数の基板Wから薬液を洗い流す。
【0092】
そして、工程S12の後の工程S2において、処理部SP1は、複数の基板Wの凹部92に入り込んでいるリンス液を複数の基板Wから除去する。
【0093】
従って、実施形態1によれば、工程S3のエッチング処理の前に、工程S2において複数の基板Wの凹部92からリンス液が除去される。従って、エッチング液は、リンス液が入り込んでいない凹部92に直接進入する。その結果、複数の基板Wに対するエッチング効果の低下を抑制できる。
【0094】
なお、工程S1は、工程S11及び工程S12のうちのいずれか1つの工程を含んでいてもよい。例えば、工程S1が工程S11だけを含んでいる場合は、工程S2において、処理部SP1は、複数の基板Wの凹部92に入り込んでいる薬液を複数の基板Wから除去する。具体的には、槽LPD1が、複数の基板Wを乾燥して、複数の基板Wの凹部92に入り込んでいる薬液を除去する。
【0095】
また、本発明は、工程S3で使用するエッチング液がアルカリ性のエッチング液である場合に特に有効である。有効な理由は次の通りである。
【0096】
すなわち、一般的に、アルカリ性のエッチング液では、自然酸化膜を除去できないため、エッチング処理の前に、薬液(DHF)によって自然酸化膜を除去することが要求される。従って、エッチング処理の前に、薬液が凹部92に入り込んだり、薬液を除去するためのリンス液が凹部92に入り込んだりする可能性がある。そこで、エッチング効果の低下を抑制するために、エッチング処理の前に凹部92から薬液及びリンス液を除去することは特に有効である。
【0097】
また、本発明は、工程S3で使用するエッチング液が比較的粘度の高いエッチング液である場合に特に有効である。有効な理由は次の通りである。
【0098】
すなわち、仮に凹部92にリンス液等の処理液が入り込んだ状態でエッチング液を供給すると、凹部92の深い位置までエッチング液が拡散によって進入する時間は、粘度の高いエッチング液の方が、粘度の低いエッチング液よりも長くなる。そこで、粘度の高いエッチング液を使用してエッチング処理を実行する場合は、エッチング効果の低下を抑制するために、エッチング処理の前にリンス液等の処理液を除去する必要性は大きい。
【0099】
特に、エッチング液としてTMAHを含む水溶液を使用する場合は、本発明は特に有効である。なぜなら、TMAHは、アルカリ性であるとともに、比較的粘度が高いからである。
【0100】
ここで、
図5に示すように、工程3のエッチング処理の前に工程2の除去処理を実行する限りにおいては、工程S1(工程S11及び工程S12)~工程S5は、基板処理装置100の複数の槽TAのうち、任意の槽TAを使用して実行できる。
【0101】
例えば、工程S11において、槽ONB1が、複数の基板Wを薬液(DHF)で処理する。工程S12において、槽ONB1が、複数の基板Wからリンス液(DIW)によって薬液を洗い流す。工程S2において、槽LPD1が、複数の基板Wを乾燥して基板Wの凹部92からリンス液を除去する。工程S3において、槽ONB1が、複数の基板Wをエッチング液(TMAH)でエッチングする。工程S4において、槽ONB1が、複数の基板Wからリンス液によってエッチング液を洗い流す。工程S5において、槽LPD1が、複数の基板Wを乾燥して、複数の基板Wからリンス液を除去する。この例では、工程S1~工程S5が2つの槽TA(槽ONB1及び槽LPD1)で実行される。従って、工程S1~工程S5ごとに槽TAを用意する場合と比較して、基板処理装置100のコストを低減できる。また、搬送機構CVによる基板Wの搬入及び搬出の制御を簡素化できる。
【0102】
例えば、
図3に示す槽LPD1に対して、
図2に示す薬液供給源23及びエッチング液供給源27を接続することができる。この場合は、例えば、工程S11において、槽LPD1が、複数の基板Wを薬液(DHF)で処理する。工程S12において、槽LPD1が、複数の基板Wからリンス液(DIW)によって薬液を洗い流す。工程S2において、槽LPD1が、複数の基板Wを乾燥して基板Wの凹部92からリンス液を除去する。工程S3において、槽LPD1が、複数の基板Wをエッチング液(TMAH)でエッチングする。工程S4において、槽LPD1が、複数の基板Wからリンス液によってエッチング液を洗い流す。工程S5において、槽LPD1が、複数の基板Wを乾燥して、複数の基板Wからリンス液を除去する。この例では、工程S1~工程S5が1つの槽LPD1で実行される。従って、基板処理装置100のコストを更に低減できる。また、搬送機構CVによる基板Wの搬入及び搬出の制御を更に簡素化できる。
【0103】
また、
図5に示す工程S1と工程S2と工程S3とのうちの少なくとも2以上の工程が、同一槽TA内で実行されてもよい。使用されない槽TAが存在することを抑制して、基板Wの処理のスループットを向上できるからである。工程S1と工程S2と工程S3との全てを同一槽TA内で実行してもよい。基板Wの処理のスループットを更に向上できるからである。また、工程S11と工程S12とは、同一槽TA内で実行されてもよいし、異なる槽TA内で実行されてもよい。
【0104】
なお、工程S1~工程S5のうちの少なくとも2以上の工程が、同一槽TA内で実行されてもよい。また、工程S1~工程S5の全てが同一槽TA内で実行されてもよい。
【0105】
また、
図5に示す工程S2では、複数の基板Wを槽TAで乾燥させることに代えて、次のようにして、複数の基板Wを乾燥することもできる。
【0106】
すなわち、工程S1の処理を行った槽TA(例えば槽ONB1)から工程S3のエッチング処理を行う別の槽TA(例えば槽CHB1)に搬送機構CVが複数の基板Wを移動中の経路において、複数の基板Wに不活性ガス(例えば窒素ガス)を吹き付けて、複数の基板Wを乾燥し、凹部92から処理液を除去する。
【0107】
(実施形態2)
図6及び
図7を参照して、本発明の実施形態2に係る基板処理装置100A及び基板処理方法を説明する。実施形態2に係る基板処理装置100Aが枚葉式である点で、実施形態2は実施形態1と主に異なる。枚葉式とは、基板Wを1枚ずつ処理する方式のことである。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0108】
まず、
図6を参照して実施形態2に係る基板処理装置100Aを説明する。
図6は、基板処理装置100Aを示す模式的断面図である。
図6に示すように、基板処理装置100Aは、処理部SP2を備える。
【0109】
処理部SP2は、基板Wを回転しながら、基板Wに処理液を吐出して、基板Wを処理する。具体的には、処理部SP2は、チャンバー105と、スピンチャック107と、スピンモーター95と、ノズル111と、ノズル移動部113と、ノズル115と、ノズル117と、ノズル移動部119と、流体供給ユニット121と、ユニット移動部126とを含む。
【0110】
チャンバー105は略箱形状を有する。チャンバー105は、基板W、スピンチャック107、スピンモーター95、ノズル111、ノズル移動部113、ノズル115、ノズル117、ノズル移動部119、流体供給ユニット121、及びユニット移動部126を収容する。
【0111】
スピンチャック107は、基板Wを保持して回転する。具体的には、スピンチャック107は、チャンバー105内で基板Wを水平に保持しながら、回転軸線AX1の回りに基板Wを回転させる。
【0112】
スピンチャック107は、複数のチャック部材170と、スピンベース171とを含む。複数のチャック部材170はスピンベース171に設けられる。複数のチャック部材170は基板Wを水平な姿勢で保持する。スピンベース171は、略円板状であり、水平な姿勢で複数のチャック部材170を支持する。スピンモーター95は、スピンベース171を回転軸線AX1の回りに回転させる。従って、スピンベース171は回転軸線AX1の回りに回転する。その結果、スピンベース171に設けられた複数のチャック部材170に保持された基板Wが回転軸線AX1の回りに回転する。
【0113】
ノズル111は、基板Wの回転中に基板Wに向けて薬液を吐出する。薬液は、
図2を参照して説明した実施形態1に係る薬液と同様である。実施形態2では、薬液はDHFである。ノズル移動部113は、回動軸線AX2の回りに回動して、ノズル111の処理位置と待機位置との間で、ノズル111を水平に移動させる。
【0114】
ノズル115は、基板Wの回転中に基板Wに向けてリンス液を吐出する。リンス液は、
図2を参照して説明した実施形態1に係るリンス液と同様である。実施形態2では、リンス液は純水(DIW)である。
【0115】
ノズル117は、基板Wに向けてエッチング液を吐出する。エッチング液は、
図2を参照して説明した実施形態1に係るエッチング液と同様である。実施形態2では、エッチング液はTMAHを含む水溶液である。ノズル移動部119は、回動軸線AX3の回りに回動して、ノズル117の処理位置と待機位置との間で、ノズル117を水平に移動させる。
【0116】
流体供給ユニット121は、スピンチャック107の上方に位置する。流体供給ユニット121は、吐出口122aから窒素ガス(N
2)を基板Wに向けて吐出する。流体供給ユニット121は、吐出口123aからリンス液を基板Wに向けて吐出する。リンス液は、
図2を参照して説明した実施形態1に係るリンス液と同様である。実施形態2では、リンス液は純水(DIW)である。流体供給ユニット121は、吐出口124aから水溶性の有機溶剤の蒸気を基板Wに向けて吐出する。実施形態2では、
図3を参照して説明した実施形態1と同様に、水溶性の有機溶剤の蒸気は、IPAの蒸気である。
【0117】
ユニット移動部126は、流体供給ユニット121を鉛直方向に沿って上昇又は下降させる。流体供給ユニット121が、窒素ガス、リンス液、及びIPAを基板Wに吐出する際には、ユニット移動部126は、流体供給ユニット121を下降させている。
【0118】
次に、
図4(a)、
図6、及び
図7を参照して、実施形態2に係る基板処理方法を説明する。
図7は、基板処理方法を示すフローチャートである。
図7に示すように、基板処理方法は、工程S21~工程S29を含む。基板処理方法は、基板処理装置100Aによって実行され、基板Wを処理する。具体的には、処理部SP2が、工程S21~工程S29を実行する。
【0119】
図6及び
図7に示すように、工程S21において、搬送機構(不図示)が、1枚の基板Wを処理部SP2に搬入する。
【0120】
工程S22において、処理部SP2が基板Wの回転を開始する。実施形態2では、スピンチャック107が基板Wの回転を開始する。
【0121】
工程S23において、処理部SP2は、チャンバー105内で基板Wを回転させながら、処理液を基板Wに供給して基板Wを処理液で処理する。工程S23は「処理工程」の一例に相当する。
【0122】
工程S23の後に、工程S24において、処理部SP2は、チャンバー105内で基板Wを回転させながら、基板Wの凹部92に入り込んでいる処理液を基板Wから除去する。実施形態2では、処理部SP2は、チャンバー105内で基板Wを回転させながら、基板Wを乾燥して、基板Wの凹部92に入り込んでいる処理液を除去する。工程S24は「除去工程」の一例に相当する。
【0123】
工程S24の後に、工程S25において、処理部SP2は、チャンバー105内で基板Wを回転させながら、エッチング液(TMAH)を基板Wに供給して基板Wをエッチング液でエッチングする。実施形態2では、ノズル117が、基板Wにエッチング液を吐出して、基板Wをエッチングする。工程S25は「エッチング工程」の一例に相当する。
【0124】
工程S25の後に、工程S26において、処理部SP2は、チャンバー105内で基板Wを回転させながら、リンス液(DIW)を基板Wに供給してリンス液によって基板Wからエッチング液を洗い流す。実施形態2では、ノズル115が、基板Wにリンス液を吐出して、基板Wからエッチング液を洗い流す。
【0125】
工程S26の後に、工程S27において、処理部SP2は、チャンバー105内で基板Wを回転させながら、基板Wを乾燥する。
【0126】
工程S27の後に、工程S28において、処理部SP2が基板Wの回転を停止する。
【0127】
工程S28の後に、工程S29において、搬送機構(不図示)が、1枚の基板Wを処理部SP2から搬出する。
【0128】
以上、
図6及び
図7を参照して説明したように、実施形態2によれば、工程S25のエッチング処理の前に、工程S24において基板Wから処理液が除去される。つまり、エッチング処理の前に凹部92から処理液が除去される。従って、エッチング液は、処理液が入り込んでいない凹部92に直接進入する。その結果、基板Wに対するエッチング効果の低下を抑制できる。
【0129】
また、実施形態2では、工程S23は、工程S231と、工程S232とを含む。
【0130】
工程S231において、処理部SP2は、基板Wを回転させながら、基板Wに対して前処理を行う。具体的には、処理部SP2は、基板Wを回転させながら、薬液(DHF)を基板Wに供給して基板Wを薬液で処理する。工程S231は「薬液工程」の一例に相当する。実施形態2では、ノズル111が、基板Wに薬液を吐出して、基板Wを薬液で処理する。
【0131】
特に、工程S231では、ノズル111が、基板Wに形成された自然酸化膜93を薬液(DHF)によって除去する。
【0132】
工程S232において、処理部SP2は、基板Wを回転させながら、リンス液(DIW)を基板Wに供給してリンス液によって基板Wから薬液を洗い流す。工程S232は「リンス工程」の一例に相当する。実施形態2では、流体供給ユニット121が、吐出口123aから基板Wにリンス液を吐出して、リンス液によって基板Wから薬液を洗い流す。
【0133】
そして、工程S232の後の工程S24において、処理部SP2は、基板Wを回転させながら基板Wを乾燥して、基板Wの凹部92に入り込んでいるリンス液を基板Wから除去する。実施形態2では、工程S24において、流体供給ユニット121は、吐出口122aから基板Wにキャリアガスとしての窒素ガスを吐出する。さらに、流体供給ユニット121は、吐出口124aから基板Wに、水溶性の有機溶剤(IPA)の蒸気を吐出して、基板Wを回転させながら基板Wを乾燥する。
【0134】
従って、実施形態2によれば、工程S25のエッチング処理の前に、工程S24において基板Wの凹部92からリンス液が除去される。従って、エッチング液は、リンス液が入り込んでいない凹部92に直接進入する。その結果、基板Wに対するエッチング効果の低下を抑制できる。
【0135】
なお、工程S23は、工程S231及び工程S232のうちのいずれか1つの工程を含んでいてもよい。例えば、工程S23が工程S231だけを含んでいる場合は、工程S24において、処理部SP2は、基板Wの凹部92に入り込んでいる薬液を基板Wから除去する。具体的には、処理部SP2が、基板Wを乾燥して、基板Wの凹部92に入り込んでいる薬液を除去する。
【0136】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0137】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、基板処理方法及び基板処理装置に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0139】
100、100A 基板処理装置
SP1、SP2 処理部
W 基板