(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】データ提供システム、計測装置、中継装置、データ提供サーバ、データ提供方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221216BHJP
H04L 12/28 20060101ALN20221216BHJP
【FI】
G06Q50/10
H04L12/28 500A
(21)【出願番号】P 2018185359
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】西村 英利香
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-038484(JP,A)
【文献】特開2019-101756(JP,A)
【文献】特開2013-012080(JP,A)
【文献】国際公開第2014/162540(WO,A1)
【文献】特開2015-072612(JP,A)
【文献】特開2013-172247(JP,A)
【文献】特開2017-102793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測により計測データを生成する計測装置と、前記計測装置から収集した前記計測データをデータ利用装置に提供するデータ提供サーバと、を備えるデータ提供システムであって、
前記計測装置と前記データ提供サーバとのうち少なくとも一方の装置は、
前記計測データに前記計測データの信頼性を示す信頼性情報を付与する情報付与手段を備え、
前記データ提供サーバは、
前記計測装置により生成された前記計測データを受信するデータ受信手段と、
前記データ受信手段により受信された前記計測データと、前記情報付与手段により前記計測データに付与された前記信頼性情報とを、前記データ利用装置に送信するデータ送信手段と、を備
え、
前記信頼性情報には、予め定められた周期で生成される前記計測データから、抽出位置をシフトさせながら、予め定められた間隔で前記計測データを抽出するときに、抽出される前記計測データの差が予め定められた範囲に収まる抽出位置の割合に基づく第2安定度を示す情報が含まれる、
データ提供システム。
【請求項2】
計測により計測データを生成する計測装置と、前記計測装置から収集した前記計測データをデータ利用装置に提供するデータ提供サーバと、を備えるデータ提供システムであって、
前記計測装置と前記データ提供サーバとのうち少なくとも一方の装置は、
前記計測データに前記計測データの信頼性を示す信頼性情報を付与する情報付与手段を備え、
前記データ提供サーバは、
前記計測装置により生成された前記計測データを受信するデータ受信手段と、
前記データ受信手段により受信された前記計測データと、前記情報付与手段により前記計測データに付与された前記信頼性情報とを、前記データ利用装置に送信するデータ送信手段と、を備
え、
前記計測装置として、第1計測装置と第2計測装置とを備え、
前記第1計測装置は、
前記第2計測装置により生成された第2計測データと、前記第2計測データに付与された第2信頼性情報とを受信するデータ受信手段と、
前記第1計測装置により生成された第1計測データと、前記第1計測データに付与された第1信頼性情報と、前記第2計測データと、前記第2信頼性情報と、に基づいて、前記第1計測データと前記第2計測データとのうち少なくとも一方の計測データが異常であるか否かを判別する異常判別手段と、
前記異常判別手段により前記少なくとも一方の計測データが異常であると判別された場合、異常を報知する異常報知手段と、を備える、
データ提供システム。
【請求項3】
計測により計測データを生成する計測装置と、前記計測装置から収集した前記計測データをデータ利用装置に提供するデータ提供サーバと、を備えるデータ提供システムであって、
前記計測装置と前記データ提供サーバとのうち少なくとも一方の装置は、
前記計測データに前記計測データの信頼性を示す信頼性情報を付与する情報付与手段を備え、
前記データ提供サーバは、
前記計測装置により生成された前記計測データを受信するデータ受信手段と、
前記データ受信手段により受信された前記計測データと、前記情報付与手段により前記計測データに付与された前記信頼性情報とを、前記データ利用装置に送信するデータ送信手段と、を備
え、
前記計測装置として、第1計測装置と第2計測装置とを備え、
前記第1計測装置は、前記第2計測装置により生成された第2計測データと、前記第2計測データに付与された第2信頼性情報とを受信するデータ受信手段と、
前記第1計測装置により生成された第1計測データに付与された第1信頼性情報が示す信頼性よりも前記第2信頼性情報が示す信頼性の方が高い場合、前記第1計測データに基づく制御に代えて前記第2計測データに基づく制御を実行する制御実行手段と、を備える、
データ提供システム。
【請求項4】
計測により計測データを生成する計測装置と、前記計測装置から収集した前記計測データをデータ利用装置に提供するデータ提供サーバと、
前記計測装置のユーザが利用する端末装置と、を備えるデータ提供システムであって、
前記計測装置と前記データ提供サーバとのうち少なくとも一方の装置は、
前記計測データに前記計測データの信頼性を示す信頼性情報を付与する情報付与手段を備え、
前記データ提供サーバは、
前記計測装置により生成された前記計測データを受信するデータ受信手段と、
前記データ受信手段により受信された前記計測データと、前記情報付与手段により前記計測データに付与された前記信頼性情報とを、前記データ利用装置に送信するデータ送信手段と、を備
え、
前記端末装置は、
前記計測データの信頼性の向上に寄与する行為を示す情報と、前記行為を実行することにより得られる利益を示す情報と、を対応付けて表示する表示手段を備える、
データ提供システム。
【請求項5】
前記データ提供サーバは、
前記データ受信手段により受信された前記計測データと、前記情報付与手段により前記計測データに付与された前記信頼性情報とを、対応付けて記憶するデータ記憶手段を更に備える、
請求項1
から4の何れか1項に記載のデータ提供システム。
【請求項6】
前記情報付与手段は、前記計測データの種別と前記信頼性情報の種別とが対応付けられた種別情報に基づいて、前記計測データに、前記計測データの種別に対応付けられた種別の信頼性情報を付与する、
請求項1
から5の何れか1項に記載のデータ提供システム。
【請求項7】
前記信頼性情報には、前記計測データの生成履歴に基づく情報が含まれる、
請求項1から
6のいずれか1項に記載のデータ提供システム。
【請求項8】
前記信頼性情報には、前記計測データの単位時間内における最大変動量に基づく第1安定度を示す情報が含まれる、
請求項
7に記載のデータ提供システム。
【請求項9】
計測により計測データを生成するデータ生成手段と、
前記データ生成手段により生成された前記計測データに前記計測データの信頼性を示す信頼性情報を付与する情報付与手段と、
前記データ生成手段により生成された前記計測データと、前記情報付与手段により前記計測データに付与された前記信頼性情報とを、前記計測データをデータ利用装置に提供するデータ提供サーバ又は前記データ提供サーバに接続された中継装置に送信するデータ送信手段と、を備
え、
前記信頼性情報には、予め定められた周期で生成される前記計測データから、抽出位置をシフトさせながら、予め定められた間隔で前記計測データを抽出するときに、抽出される前記計測データの差が予め定められた範囲に収まる抽出位置の割合に基づく第2安定度を示す情報が含まれる、
計測装置。
【請求項10】
計測により
第1計測データを生成するデータ生成手段と、
前記データ生成手段により生成された前記
第1計測データに前記
第1計測データの信頼性を示す
第1信頼性情報を付与する情報付与手段と、
前記データ生成手段により生成された前記
第1計測データと、前記情報付与手段により前記
第1計測データに付与された前記
第1信頼性情報とを、前記
第1計測データをデータ利用装置に提供するデータ提供サーバ又は前記データ提供サーバに接続された中継装置に送信するデータ送信手段と、
他の計測装置により生成された第2計測データと、前記第2計測データに付与された第2信頼性情報とを受信するデータ受信手段と、
前記第1計測データと、前記第1信頼性情報と、前記第2計測データと、前記第2信頼性情報と、に基づいて、前記第1計測データと前記第2計測データとのうち少なくとも一方の計測データが異常であるか否かを判別する異常判別手段と、
前記異常判別手段により前記少なくとも一方の計測データが異常であると判別された場合、異常を報知する異常報知手段と、を備える、
計測装置。
【請求項11】
計測により
第1計測データを生成するデータ生成手段と、
前記データ生成手段により生成された前記
第1計測データに前記
第1計測データの信頼性を示す
第1信頼性情報を付与する情報付与手段と、
前記データ生成手段により生成された前記
第1計測データと、前記情報付与手段により前記
第1計測データに付与された前記
第1信頼性情報とを、前記
第1計測データをデータ利用装置に提供するデータ提供サーバ又は前記データ提供サーバに接続された中継装置に送信するデータ送信手段と、
他の計測装置により生成された第2計測データと、前記第2計測データに付与された第2信頼性情報とを受信するデータ受信手段と、
前記第1信頼性情報が示す信頼性よりも前記第2信頼性情報が示す信頼性の方が高い場合、前記第1計測データに基づく制御に代えて前記第2計測データに基づく制御を実行する制御実行手段と、を備える、
計測装置。
【請求項12】
計測により計測データを生成する計測装置から前記計測データを受信するデータ受信手段と、
前記データ受信手段により受信された前記計測データに前記計測データの信頼性を示す信頼性情報を付与する情報付与手段と、
前記データ受信手段により受信された前記計測データと、前記情報付与手段により前記計測データに付与された前記信頼性情報とを、前記計測データをデータ利用装置に提供するデータ提供サーバに送信するデータ送信手段と、を備
え、
前記信頼性情報には、予め定められた周期で生成される前記計測データから、抽出位置をシフトさせながら、予め定められた間隔で前記計測データを抽出するときに、抽出される前記計測データの差が予め定められた範囲に収まる抽出位置の割合に基づく第2安定度を示す情報が含まれる、
中継装置。
【請求項13】
計測により計測データを生成する計測装置又は前記計測装置に接続された中継装置から前記計測データを受信するデータ受信手段と、
前記データ受信手段により受信された前記計測データに前記計測データの信頼性を示す信頼性情報を付与する情報付与手段と、
前記データ受信手段により受信された前記計測データと、前記情報付与手段により前記計測データに付与された前記信頼性情報とを、データ利用装置に送信するデータ送信手段と、を備
え、
前記信頼性情報には、予め定められた周期で生成される前記計測データから、抽出位置をシフトさせながら、予め定められた間隔で前記計測データを抽出するときに、抽出される前記計測データの差が予め定められた範囲に収まる抽出位置の割合に基づく第2安定度を示す情報が含まれる、
データ提供サーバ。
【請求項14】
計測装置が、計測により計測データを生成し、
前記
計測装置、前記計測装置から収集した前記計測データをデータ利用装置に提供するデータ提供サーバ、又は、前記計測装置から前記データ提供サーバへの前記計測データの送信を中継する中継装置が、前記計測データに前記計測データの信頼性を示す信頼性情報を付与し、
前記データ提供サーバが、前記計測データと前記信頼性情報とを
前記データ利用装置に送信
し、
前記信頼性情報には、予め定められた周期で生成される前記計測データから、抽出位置をシフトさせながら、予め定められた間隔で前記計測データを抽出するときに、抽出される前記計測データの差が予め定められた範囲に収まる抽出位置の割合に基づく第2安定度を示す情報が含まれる、
データ提供方法。
【請求項15】
計測装置が、計測により
第1計測データを生成し、
前記
計測装置、前記計測装置から収集した前記第1計測データをデータ利用装置に提供するデータ提供サーバ、又は、前記計測装置から前記データ提供サーバへの前記第1計測データの送信を中継する中継装置が、前記
第1計測データに前記
第1計測データの信頼性を示す
第1信頼性情報を付与し、
前記データ提供サーバが、前記
第1計測データと前記
第1信頼性情報とを
前記データ利用装置に送信
し、
前記計測装置が、他の計測装置により生成された第2計測データと、前記第2計測データに付与された第2信頼性情報とを受信し、
前記計測装置が、前記第1計測データと、前記第1信頼性情報と、前記第2計測データと、前記第2信頼性情報と、に基づいて、前記第1計測データと前記第2計測データとのうち少なくとも一方の計測データが異常であるか否かを判別し、
前記計測装置が、前記少なくとも一方の計測データが異常であると判別した場合、異常を報知する、
データ提供方法。
【請求項16】
計測装置が、計測により
第1計測データを生成し、
前記
計測装置、前記計測装置から収集した前記第1計測データをデータ利用装置に提供するデータ提供サーバ、又は、前記計測装置から前記データ提供サーバへの前記第1計測データの送信を中継する中継装置が、前記
第1計測データに前記
第1計測データの信頼性を示す
第1信頼性情報を付与し、
前記データ提供サーバが、前記
第1計測データと前記
第1信頼性情報とを
前記データ利用装置に送信
し、
前記計測装置が、他の計測装置により生成された第2計測データと、前記第2計測データに付与された第2信頼性情報とを受信し、
前記計測装置が、前記第1信頼性情報が示す信頼性よりも前記第2信頼性情報が示す信頼性の方が高い場合、前記第1計測データに基づく制御に代えて前記第2計測データに基づく制御を実行する、
データ提供方法。
【請求項17】
計測装置が、計測により計測データを生成し、
前記
計測装置、前記計測装置から収集した前記計測データをデータ利用装置に提供するデータ提供サーバ、又は、前記計測装置から前記データ提供サーバへの前記計測データの送信を中継する中継装置が、前記計測データに前記計測データの信頼性を示す信頼性情報を付与し、
前記データ提供サーバが、前記計測データと前記信頼性情報とを
前記データ利用装置に送信
し、
前記計測装置のユーザが利用する端末装置が、前記計測データの信頼性の向上に寄与する行為を示す情報と、前記行為を実行することにより得られる利益を示す情報と、を対応付けて表示する、
データ提供方法。
【請求項18】
コンピュータを、
計測装置により生成された計測データに前記計測データの信頼性を示す信頼性情報を付与する情報付与手段、
前記計測装置により生成された前記計測データと、前記情報付与手段により前記計測データに付与された前記信頼性情報とを、前記計測装置とは異なる装置に送信するデータ送信手段、として機能させる
プログラムであって、
前記信頼性情報には、予め定められた周期で生成される前記計測データから、抽出位置をシフトさせながら、予め定められた間隔で前記計測データを抽出するときに、抽出される前記計測データの差が予め定められた範囲に収まる抽出位置の割合に基づく第2安定度を示す情報が含まれる、
プログラム。
【請求項19】
計測装置が備えるコンピュータを、
計測により第1計測データを生成するデータ生成手段、
前記データ生成手段により生成された
前記第1計測データに前記
第1計測データの信頼性を示す
第1信頼性情報を付与する情報付与手段、
前記
データ生成手段により生成された前記
第1計測データと、前記情報付与手段により前記
第1計測データに付与された前記
第1信頼性情報とを、前記
第1計測データをデータ利用装置に提供するデータ提供サーバ又は前記データ提供サーバに接続された中継装置に送信するデータ送信手段、
他の計測装置により生成された第2計測データと、前記第2計測データに付与された第2信頼性情報とを受信するデータ受信手段、
前記第1計測データと、前記第1信頼性情報と、前記第2計測データと、前記第2信頼性情報と、に基づいて、前記第1計測データと前記第2計測データとのうち少なくとも一方の計測データが異常であるか否かを判別する異常判別手段、
前記異常判別手段により前記少なくとも一方の計測データが異常であると判別された場合、異常を報知する異常報知手段、として機能させる、
プログラム。
【請求項20】
計測装置が備えるコンピュータを、
計測により第1計測データを生成するデータ生成手段、
前記データ生成手段により生成された
前記第1計測データに前記
第1計測データの信頼性を示す
第1信頼性情報を付与する情報付与手段、
前記
データ生成手段により生成された前記
第1計測データと、前記情報付与手段により前記
第1計測データに付与された前記
第1信頼性情報とを、前記
第1計測データをデータ利用装置に提供するデータ提供サーバ又は前記データ提供サーバに接続された中継装置に送信するデータ送信手段、
他の計測装置により生成された第2計測データと、前記第2計測データに付与された第2信頼性情報とを受信するデータ受信手段、
前記第1信頼性情報が示す信頼性よりも前記第2信頼性情報が示す信頼性の方が高い場合、前記第1計測データに基づく制御に代えて前記第2計測データに基づく制御を実行する制御実行手段、として機能させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ提供システム、計測装置、中継装置、データ提供サーバ、データ提供方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、IOT(Internet of Things)関連技術の進展に伴って、膨大なデータの収集及び利用に関する種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、センシングデータを取得する複数のセンサ端末と、センシングデータを中継する中継サーバと、センシングデータを管理するプラットフォーム装置と、プラットフォーム装置からセンシングデータの提供を受ける利用者端末と、を備えるセンサネットワークシステムが記載されている。特許文献1に記載されたセンサネットワークシステムでは、センシングデータの検索のために、センサ端末の付帯情報がセンシングデータに関連付けられる。
【0003】
具体的には、特許文献1に記載されたプラットフォーム装置は、センサ端末の付帯情報とセンサ端末によるセンシングデータとセンサ端末の識別情報とを関連付けて記憶するデータベースを備える。そして、このプラットフォーム装置は、センサ端末の付帯情報を検索条件とする検索要求を受け付け、この検索条件に合致する付帯情報を有するセンサ端末によるセンシングデータをデータベースから検索し、検索結果を利用者端末に出力する。ところで、計測データの利用者は、計測データがどの程度信頼できるデータであるのかを知りたいという要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたセンサネットワークシステムは、このような要望に応える仕組みが構築されたシステムではない。つまり、特許文献1に記載されたセンサネットワークシステムでは、プラットフォーム装置から利用者端末に計測データの信頼性に関する情報が提供されないため、利用者端末は、センシングデータの信頼性を把握することが困難であった。このため、計測データの利用者に、計測データの信頼性を示す情報を提供する仕組みが望まれている。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、計測データの利用者に、計測データの信頼性を示す情報を提供するデータ提供システム、計測装置、中継装置、データ提供サーバ、データ提供方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るデータ提供システムは、
計測により計測データを生成する計測装置と、前記計測装置から収集した前記計測データをデータ利用装置に提供するデータ提供サーバと、を備えるデータ提供システムであって、
前記計測装置と前記データ提供サーバとのうち少なくとも一方の装置は、
前記計測データに前記計測データの信頼性を示す信頼性情報を付与する情報付与手段を備え、
前記データ提供サーバは、
前記計測装置により生成された前記計測データを受信するデータ受信手段と、
前記データ受信手段により受信された前記計測データと、前記情報付与手段により前記計測データに付与された前記信頼性情報とを、前記データ利用装置に送信するデータ送信手段と、を備え、
前記信頼性情報には、予め定められた周期で生成される前記計測データから、抽出位置をシフトさせながら、予め定められた間隔で前記計測データを抽出するときに、抽出される前記計測データの差が予め定められた範囲に収まる抽出位置の割合に基づく第2安定度を示す情報が含まれる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、計測データに計測データの信頼性を示す信頼性情報が付与され、計測データと信頼性情報とがデータ利用装置に提供される。従って、本発明によれば、計測データの利用者に、計測データの信頼性を示す情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係るデータ提供システムの概略構成図
【
図2】本発明の実施形態1に係るデータ提供システムのハードウェア構成図
【
図3】本発明の実施形態1に係るデータ提供システムの機能構成図
【
図8】本発明の実施形態1に係るデータ提供システムが実行するデータ提供処理を示すフローチャート
【
図9】本発明の実施形態2に係る計測装置及び中継装置の機能構成図
【
図12】本発明の実施形態3に係る計測装置の機能構成図
【
図13】信頼性向上寄与行為による利益を提示する第1の画面を示す図
【
図14】信頼性向上寄与行為による利益を提示する第2の画面を示す図
【
図15】本発明の実施形態4に係るデータ提供システムのハードウェア構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態1に係るデータ提供システム1000の構成について簡単に説明する。データ提供システム1000は、計測により得られたデータである計測データと、この計測データの信頼性を示す情報である信頼性情報とを、データ利用者に提供するシステムである。データ利用者は、例えば、データ提供システム1000から提供された計測データを利用して、サービス利用者にサービスを提供するサービス提供者である。
【0011】
サービス提供者は、例えば、計測データを用いたアプリケーションを提供するアプリケーションサーバ70を用いて、サービス利用者にサービスを提供する。データ利用者は、サービス提供者であるため、サービサーと呼ぶことがある。本実施形態では、データ提供システム1000は、アプリケーションサーバ70に計測データと信頼性情報とを送信することにより、データ利用者に計測データとこの計測データの信頼性とを提供する。
図1に示すように、データ提供システム1000は、末端機器20と、末端機器30と、接続機器40と、メーカサーバ50と、プラットフォームサーバ60と、を備える。なお、末端機器20,30、接続機器40、メーカサーバ50、及び、プラットフォームサーバ60の個数は、
図1に示したものに限定されないことは勿論である。
【0012】
末端機器20と末端機器30とは、データ提供システム1000の末端に位置するIOT(Internet of Things)対応機器であり、例えば、データ提供者の住宅内に配置される設備機器である。末端機器20と末端機器30とは、予め定められた物理量を計測することにより、この物理量を示す計測データを生成する。つまり、末端機器20と末端機器30とは、何らかの物理量を計測する機能を有する設備機器である。本実施形態では、末端機器20と末端機器30とは空調機であり、計測データは、室温であるものとする。
【0013】
接続機器40は、末端機器20と末端機器30とをメーカサーバ50に接続するための機器であり、例えば、データ提供者の住宅内に配置される通信機器である。接続機器40は、例えば、通信プロトコルを変換する機能を有し、末端機器20が生成した計測データと末端機器30が生成した計測データとをメーカサーバ50にアップロードする機能を有する。接続機器40は、例えば、末端機器20と末端機器30とを制御及び監視するゲートウェイ装置である。
【0014】
メーカサーバ50は、末端機器20及び末端機器30のメーカ又は設備事業者が保有するメーカクラウドに含まれるサーバである。メーカサーバ50は、末端機器20が生成した計測データと末端機器30が生成した計測データとを収集及び蓄積する機能を有する。メーカサーバ50は、プラットフォームサーバ60を介してアプリケーションサーバ70に計測データを提供してもよいし、プラットフォームサーバ60を介さずにアプリケーションサーバ70に計測データを提供してもよい。メーカサーバ50は、プラットフォームサーバ60を介さずにアプリケーションサーバ70に計測データを提供する場合、プラットフォームサーバ60が有する機能に準ずる機能を有する。つまり、この場合、メーカサーバ50は、例えば、計測データに対して、整形、選別、匿名化などの処理を実行する。
【0015】
プラットフォームサーバ60は、データ利用者に計測データを提供するサーバである。プラットフォームサーバ60は、プラットフォーマが保有するサーバである。プラットフォーマは、例えば、個人情報に基づく計測データを、匿名化されたビッグデータに加工し、データ利用者に提供するIT(Information Technology)事業者である。プラットフォームサーバ60は、メーカサーバ50から収集した計測データに対して、整形、選別、匿名化などの処理を実行する。
【0016】
アプリケーションサーバ70は、データ利用者が保有するサーバである。データ利用者は、データ提供者からビッグデータを購入し、サービス利用者に独自のサービスを提供するサービス提供者である。アプリケーションサーバ70は、例えば、メーカサーバ50又はプラットフォームサーバ60から提供された計測データに基づくアプリケーションを提供するサーバである。アプリケーションサーバ70は、後述するデータ利用装置500に対応する。
【0017】
ここで、アプリケーションサーバ70には、計測データに加え、信頼性情報が提供される。この信頼性情報は、生成された計測データがアプリケーションサーバ70に提供される過程で用いられる少なくとも装置により計測データに付与される。つまり、信頼性情報は、末端機器20と末端機器30と接続機器40とメーカサーバ50とプラットフォームサーバ60とのうち少なくとも1つの装置により計測データに付与される。
【0018】
例えば、信頼性情報は、末端機器20又は末端機器30において、自動的に、又は、メンテナンス業者又は施工業者による指示に従って付与される。例えば、末端機器20又は末端機器30は、運転情報又は内蔵センサの情報に基づいて、信頼性情報を自動的に生成する。あるいは、メンテナンス業者又は施工業者は、施工情報又は保守情報に基づいて信頼性情報を生成し、末端機器20又は末端機器30に供給してもよい。
【0019】
あるいは、信頼性情報は、接続機器40において、自動的に、又は、接続機器40の設置業者による指示に従って付与される。例えば、接続機器40は、末端機器20又は末端機器30から取得した機器情報、又は、他の機器から取得した運転情報又はセンサ情報に基づいて、信頼性情報を自動的に生成する。あるいは、設置業者は、設置情報に基づいて信頼性情報を生成し、接続機器40に供給してもよい。
【0020】
あるいは、信頼性情報は、メーカサーバ50において、自動的に、又は、第三者機関による指示に従って付与される。第三者機関は、例えば、信頼性情報を監査する専門の機関である。例えば、メーカサーバ50は、接続機器40の機器情報、データ提供者の登録情報、自社サービスによる保守情報又は検査情報に基づいて、信頼性情報を自動的に生成する。あるいは、第三者機関は、メーカサーバ50の監査情報に基づいて信頼性情報を生成し、メーカサーバ50に供給してもよい。
【0021】
あるいは、信頼性情報は、プラットフォームサーバ60において、自動的に、又は、第三者機関による指示に従って付与される。例えば、プラットフォームサーバ60は、複数のメーカサーバ50から収集した複数のメーカのメーカ情報に基づいて、信頼性情報を自動的に生成する。あるいは、第三者機関は、プラットフォームサーバ60の監査情報に基づいて信頼性情報を生成し、プラットフォームサーバ60に供給してもよい。
【0022】
ここで、本実施形態では、理解を容易にするため、
図2に示すように、データ提供システム1000は、計測装置100と、中継装置200と、中継装置300と、データ提供装置400と、を備えるものとみなす。計測装置100は、計測により計測データを生成する。計測装置100は、例えば、末端機器20又は末端機器30に対応する。中継装置200と中継装置300とは、計測データの受け渡しを中継する。中継装置200は、例えば、接続機器40に対応する。中継装置300は、例えば、メーカサーバ50に対応する。データ提供装置400は、計測装置100から収集した計測データをデータ利用装置500に供給する。データ提供装置400は、例えば、プラットフォームサーバ60に対応する。以下、
図2を参照して、データ提供システム1000が備える各装置のハードウェア構成について説明する。
【0023】
計測装置100は、プロセッサ101と、フラッシュメモリ102と、通信インターフェース103と、タッチスクリーン104と、センサ105と、負荷回路106とを備える。プロセッサ101は、計測装置100の全体の動作を制御する。プロセッサ101は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、RTC(Real Time Clock)などを内蔵したCPU(Central Processing Unit)である。なお、CPUは、例えば、ROMに格納されている基本プログラムに従って動作し、RAMをワークエリアとして使用する。フラッシュメモリ102は、各種の情報を記憶する不揮発性メモリである。フラッシュメモリ102は、例えば、プロセッサ101が実行するアプリケーションプログラムと、計測データと、を記憶する。
【0024】
通信インターフェース103は、計測装置100を通信ネットワーク610に接続するためのインターフェースである。通信ネットワーク610は、データ提供者の住宅に設置された宅内の通信ネットワークである。通信ネットワーク610は、例えば、無線LAN(Local Area Network)である。タッチスクリーン104は、計測装置100のユーザインターフェースである。つまり、タッチスクリーン104は、ユーザ操作を受け付け、また、ユーザに各種の情報を表示する。センサ105は、各種の物理量を検出し、検出した物理量を示す計測データを生成する。センサ105は、例えば、温度計である。負荷回路106は、計測装置100が備える制御機能を実現するための回路である。負荷回路106は、例えば、圧縮機、四方弁、熱交換器、膨張弁、送風機などを制御する回路である。
【0025】
中継装置200は、プロセッサ201と、フラッシュメモリ202と、第1通信インターフェース203と、第2通信インターフェース204と、タッチスクリーン205とを備える。プロセッサ201は、中継装置200の全体の動作を制御する。フラッシュメモリ202は、各種の情報を記憶する不揮発性メモリである。第1通信インターフェース203は、中継装置200を通信ネットワーク610に接続するためのインターフェースである。第2通信インターフェース204は、中継装置200を通信ネットワーク620に接続するためのインターフェースである。通信ネットワーク620は、広域ネットワークであり、例えば、インターネットである。タッチスクリーン205は、中継装置200のユーザインターフェースである。
【0026】
中継装置300は、プロセッサ301と、ハードディスク302と、通信インターフェース303と、液晶ディスプレイ304と、キーボード305とを備える。プロセッサ301は、中継装置300の全体の動作を制御する。ハードディスク302は、各種の情報を記憶する不揮発性メモリである。通信インターフェース303は、中継装置300を通信ネットワーク620に接続するためのインターフェースである。液晶ディスプレイ304とキーボード305とは、中継装置300のユーザインターフェースである。
【0027】
データ提供装置400は、プロセッサ401と、ハードディスク402と、通信インターフェース403と、液晶ディスプレイ404と、キーボード405とを備える。プロセッサ401は、データ提供装置400の全体の動作を制御する。ハードディスク402は、各種の情報を記憶する不揮発性メモリである。通信インターフェース403は、データ提供装置400を通信ネットワーク620に接続するためのインターフェースである。液晶ディスプレイ404とキーボード405とは、データ提供装置400のユーザインターフェースである。
【0028】
次に、
図3を参照して、データ提供システム1000の機能について説明する。計測装置100は、機能的には、データ生成部11と、情報付与部12と、種別情報記憶部13と、データ送信部14と、を備える。中継装置200は、機能的には、データ受信部21と、情報付与部22と、種別情報記憶部23と、データ送信部24と、を備える。中継装置300は、機能的には、データ受信部31と、情報付与部32と、種別情報記憶部33と、データ送信部34と、を備える。データ提供装置400は、機能的には、データ受信部41と、情報付与部42と、種別情報記憶部43と、データ送信部44と、データ記憶部45と、供給指示受付部46と、を備える。
【0029】
計測装置100が備えるデータ生成手段は、例えば、データ生成部11に対応する。計測装置100が備える情報付与手段は、例えば、情報付与部12に対応する。計測装置100が備えるデータ送信手段は、例えば、データ送信部14に対応する。中継装置200が備えるデータ受信手段は、例えば、データ受信部21に対応する。中継装置200が備える情報付与手段は、例えば、情報付与部22に対応する。中継装置200が備えるデータ送信手段は、例えば、データ送信部24に対応する。
【0030】
中継装置300が備えるデータ受信手段は、例えば、データ受信部31に対応する。中継装置300が備える情報付与手段は、例えば、情報付与部32に対応する。中継装置300が備えるデータ送信手段は、例えば、データ送信部34に対応する。データ提供装置400が備えるデータ受信手段は、例えば、データ受信部41に対応する。データ提供装置400が備える情報付与手段は、例えば、情報付与部42に対応する。データ提供装置400が備えるデータ送信手段は、例えば、データ送信部44に対応する。データ提供装置400が備えるデータ記憶手段は、例えば、データ記憶部45に対応する。
【0031】
データ生成部11は、計測により計測データを生成する。計測データは、例えば、室温である。データ生成部11の機能は、例えば、プロセッサ101とセンサ105とが協働することにより実現される。
【0032】
情報付与部12は、データ生成部11により生成された計測データに、信頼性情報を付与する。情報付与部12は、種別情報記憶部13に記憶された種別情報に基づいて、計測データに信頼性情報を付与する。種別情報は、計測データの種別と信頼性情報の種別とが対応付けられた情報である。つまり、種別情報は、計測データの種別に応じた信頼性情報の種別を特定するための情報である。ここで、情報付与部12は、データ生成部11により生成された計測データに、この計測データの種別に対応付けられた種別の信頼性情報を付与する。情報付与部12の機能は、例えば、プロセッサ101の機能により実現される。
【0033】
種別情報記憶部13は、種別情報を記憶する。この種別情報は、データ生成部11により生成される計測データの種別に関する情報である。種別情報記憶部13の機能は、例えば、フラッシュメモリ102の機能により実現される。データ送信部14は、データ生成部11により生成された計測データを中継装置200に送信する。情報付与部12により計測データに信頼性情報が付与されている場合、計測データに加え信頼性情報を中継装置200に送信する。データ送信部14の機能は、例えば、プロセッサ101と通信インターフェース103とが協働することにより実現される。
【0034】
データ受信部21は、計測装置100から計測データを受信する。計測データに信頼性情報が付与されている場合、データ受信部21は、計測データに加え信頼性情報を計測装置100から受信する。データ受信部21の機能は、例えば、第1通信インターフェース203の機能により実現される。
【0035】
情報付与部22は、データ受信部21により受信された計測データに、信頼性情報を付与する。情報付与部22は、種別情報記憶部23に記憶された種別情報に基づいて、計測データに信頼性情報を付与する。情報付与部22は、データ受信部21により受信された計測データに既に信頼性情報が付与されている場合においても、更に信頼性情報を付与することができる。情報付与部22の機能は、例えば、プロセッサ201の機能により実現される。
【0036】
種別情報記憶部23は、種別情報を記憶する。この種別情報は、データ受信部21により受信される計測データの種別に関する情報である。種別情報記憶部23の機能は、例えば、フラッシュメモリ202の機能により実現される。データ送信部24は、データ受信部21により受信された計測データを中継装置300に送信する。計測データに信頼性情報が付与されている場合、データ送信部24は、計測データに加え信頼性情報を中継装置300に送信する。データ送信部24の機能は、例えば、プロセッサ201と第2通信インターフェース204とが協働することにより実現される。
【0037】
データ受信部31は、中継装置200から計測データを受信する。計測データに信頼性情報が付与されている場合、データ受信部31は、計測データに加え信頼性情報を中継装置200から受信する。データ受信部31の機能は、例えば、通信インターフェース303の機能により実現される。
【0038】
情報付与部32は、データ受信部31により受信された計測データに、信頼性情報を付与する。情報付与部32は、種別情報記憶部33に記憶された種別情報に基づいて、計測データに信頼性情報を付与する。情報付与部32は、データ受信部31により受信された計測データに既に信頼性情報が付与されている場合においても、更に信頼性情報を付与することができる。情報付与部32の機能は、例えば、プロセッサ301の機能により実現される。
【0039】
種別情報記憶部33は、種別情報を記憶する。この種別情報は、データ受信部31により受信される計測データの種別に関する情報である。種別情報記憶部33の機能は、例えば、ハードディスク302の機能により実現される。データ送信部34は、データ受信部31により受信された計測データをデータ提供装置400に送信する。計測データに信頼性情報が付与されている場合、データ送信部34は、計測データに加え信頼性情報をデータ提供装置400に送信する。データ送信部34の機能は、例えば、プロセッサ301と通信インターフェース303とが協働することにより実現される。
【0040】
データ受信部41は、中継装置300から計測データを受信する。計測データに信頼性情報が付与されている場合、データ受信部41は、計測データに加え信頼性情報を中継装置300から受信する。データ受信部41の機能は、例えば、通信インターフェース403の機能により実現される。
【0041】
情報付与部42は、データ受信部41により受信された計測データに、信頼性情報を付与する。情報付与部42は、種別情報記憶部43に記憶された種別情報に基づいて、計測データに信頼性情報を付与する。情報付与部42は、データ受信部41により受信された計測データに既に信頼性情報が付与されている場合においても、更に信頼性情報を付与することができる。情報付与部42の機能は、例えば、プロセッサ401の機能により実現される。
【0042】
種別情報記憶部43は、種別情報を記憶する。この種別情報は、データ受信部41により受信される計測データの種別に関する情報である。種別情報記憶部43の機能は、例えば、ハードディスク402の機能により実現される。データ記憶部45は、データ受信部41により受信された計測データと、この計測データに付与された信頼性情報とを、対応付けて記憶する。データ記憶部45の機能は、例えば、ハードディスク402の機能により実現される。
【0043】
供給指示受付部46は、データ利用装置500から供給指示を受け付ける。供給指示は、例えば、データ利用者が利用する計測データを供給することの指示である。データ利用者が利用する計測データは、例えば、計測データの種別及び範囲により指定される。例えば、供給指示は、特定の地域で特定の期間内に取得された室温データを供給することの指示である。供給指示受付部46の機能は、例えば、通信インターフェース403の機能により実現される。
【0044】
データ送信部44は、供給指示受付部46により供給指示が受け付けられた場合、供給指示により指定された計測データとこの計測データに付与された信頼性情報とを、データ記憶部45から読み込み、データ利用装置500に送信する。データ送信部44の機能は、例えば、プロセッサ401と通信インターフェース403とが協働することにより実現される。
【0045】
なお、信頼性情報を付与する機能は、計測装置100と中継装置200と中継装置300とデータ提供装置400とのうち少なくとも1つの装置が備えていればよい。つまり、情報付与部と種別情報記憶部とは、計測装置100と中継装置200と中継装置300とデータ提供装置400とのうち少なくとも1つの装置が備えていればよい。
【0046】
次に、
図4を参照して、データ利用者に提供される情報である提供情報について説明する。提供情報は、計測データとこの計測データに対応付けられた信頼性情報とを含む情報である。提供情報は、データ記憶部45に記憶される情報であり、また、データ送信部44により送信される情報でもある。
【0047】
計測データは、計測により得られるデータであれば、どのようなデータであってもよい。つまり、計測データの種別としては、種々の種別を採用することができる。例えば、計測データの種別としては、室温、外気温、湿度、在室人数、運転時間、消費電力などがある。
図4には、計測データの種別が室温である例を示している。
図4に示すように、計測データは、例えば、データ識別子と計測値とを含む。データ識別子は、1つの計測値に固有に割り当てられた識別子である。計測値は、計測された値である。なお、計測データは、匿名化されているデータであれば、生成された地域、生成された日時などの情報を含んでいてもよい。
【0048】
信頼性情報は、計測データの信頼性を表す情報であり、計測データ自体の情報的価値を左右する要因となる情報である。信頼性情報は、計測データの信頼性を表す情報であれば、どのような情報であってもよい。つまり、信頼性情報の種別としては、種々の種別を採用することができる。例えば、信頼性情報の種別としては、精度、安定度、機器制御状態、運転時間、計測環境、故障履歴、異常履歴、メンテナンスの有無、最終メンテナンス日などがある。
【0049】
精度は、例えば、計測装置100が備える、計測データを生成するセンサ105が有する計測の精度である。精度は、例えば、計測装置100が保持する機器情報から特定される。精度が高いほど、計測データの信頼性が高いとみなすことができる。安定度は、計測データのブレ方を示す指標である。安定度が高いほど、計測データの信頼性が高いとみなすことができる。安定度としては、例えば、第1安定度と第2安定度とがある。
【0050】
第1安定度は、計測条件に変更がない前提において、計測データの単位時間内における最大変動量に基づく安定度である。計測条件は、例えば、設定温度である。単位時間は、例えば、24時間=1日である。第1安定度は、例えば、安定度/日で表現される。第1安定度は、例えば、安定度が高い順に、ランクA、ランクB、ランクC、ランクD、ランクEに分類される。ランクAは、例えば、計測データが、1日の間に、1℃未満の変動しかない場合に設定される。ランクBは、例えば、計測データが、1日の間に、5℃未満の変動しかない場合に設定される。ランクCは、例えば、計測データが、1日の間に、10℃未満の変動しかない場合に設定される。ランクDは、例えば、計測データが、1日の間に、10℃以上の変動がある場合に設定される。ランクEは、例えば、計測データが、1日の間に、計測できない時間が連続で8時間以上ある場合に設定される。なお、複数のランクに当てはまる場合、最上位のランクが適用される。第1安定度が高いほど、計測データの信頼性が高いとみなすことができる。
【0051】
第2安定度は、計測条件に変更がない前提において、予め定められた周期で生成される計測データから、抽出位置をシフトさせながら、予め定められた間隔で計測データを抽出するときに、抽出される計測データの差が予め定められた範囲に収まる抽出位置の割合に基づく安定度である。予め定められた周期は、例えば、1分、10分、30分、60分などである。予め定められた間隔は、例えば、24時間×N(ただし、Nは、自然数)=Y時間である。第2安定度は、Y時間おき、つまり、N日おきに到来する同一時刻における計測データの変動量の大きさを示す指標である。第2安定度は、例えば、Y(h)安定度で表現される。第2安定度は、例えば、安定度が高い順に、ランクA、ランクB、ランクC、ランクD、ランクEに分類される。
【0052】
ランクAは、例えば、Y時間周期で取得される複数の計測データの差が1℃以上である時間が合計1割未満である場合に設定される。ランクBは、例えば、Y時間周期で取得される複数の計測データの差が1℃以上である時間が合計3割未満である場合に設定される。ランクCは、例えば、Y時間周期で取得される複数の計測データの差が1℃以上である時間が合計5割未満である場合、又は、Y時間周期で取得される複数の計測データの差が3℃以上である時間が合計3割未満である場合に設定される。ランクDは、例えば、Y時間周期で取得される複数の計測データの差が3℃以上である時間が合計5割未満である場合に設定される。ランクEは、例えば、Y時間周期で取得される複数の計測データの差が3℃以上である時間が合計5割以上である場合に設定される。なお、複数のランクに当てはまる場合、最上位のランクが適用される。第2安定度が高いほど、計測データの信頼性が高いとみなすことができる。
【0053】
機器制御状態は、例えば、計測装置100が、計測機能に加え制御機能を有する場合における、計測装置100の制御状態である。例えば、機器制御状態は、計測装置100が空調機である場合、空調機の動作状態(冷房中、暖房中、除湿中、送風中、運転停止中)である。機器制御状態が安定した状態であるほど、計測データの信頼性が高いとみなすことができる。運転時間は、例えば、計測装置100が、計測機能に加え制御機能を有する場合における、計測装置100が運転を開始してからの経過時間である。例えば、運転時間が短い場合、制御の過渡期であり、計測データの信頼性が低いとみなすことができる。
【0054】
計測環境は、例えば、計測装置100が備える、計測データを生成するセンサ105の環境である。計測環境は、例えば、センサ105が配置された場所である計測場所、センサ105による計測時の天候などである。例えば、計測場所の温度変化が大きいほど、また、天候が荒れているほど、計測データの信頼性が低いとみなすことができる。故障履歴は、計測装置100又はセンサ105が故障した履歴である。異常履歴は、計測装置100又はセンサ105が異常となった履歴である。例えば、故障したり、異常となったりした履歴がある場合、計測データの信頼性が低いとみなすことができる。メンテナンスの有無は、計測装置100又はセンサ105のメンテナンスの有無である。最終メンテナンス日は、計測装置100又はセンサ105を最後にメンテナンスした日である。例えば、長期間に亘ってメンテナンスされていない場合、計測データの信頼性が低いとみなすことができる。
【0055】
信頼性情報の取得方法は、適宜、調整することができる。例えば、第1安定度と第2安定度とは、計測装置100により生成された計測データの履歴(以下、適宜「生成履歴」という。)から取得することができる。また、例えば、精度、機器制御状態、運転時間などは、計測装置100が備える機器情報から特定することができる。また、例えば、故障履歴、異常履歴、メンテナンスの有無、最終メンテナンス日などは、中継装置300が備えるメンテナンス情報から特定可能である。また、信頼性情報の取得元は、計測装置100、中継装置200、中継装置300、データ提供装置400などの装置であってもよいし、施工業者、メンテナンス業者、第三者機関などの人であってもよい。信頼性情報の取得元が人である場合、各種の装置を介して、信頼性情報が取得される。
【0056】
ここで、計測データに付与されるべき信頼性情報は、計測データ毎に異なることが好適である。つまり、計測データに付与されるべき信頼性情報の種別は、計測データの種別に応じた種別であることが好適である。そこで、本実施形態では、信頼性情報を付与する装置(以下、適宜「情報付与装置」という。)は、種別情報を参照して、計測データに付与する信頼性情報を特定する。以下、
図5を参照して、種別情報について説明する。
【0057】
図5に示すように、種別情報は、計測データの種別と信頼性情報の種別とを対応付ける情報である。
図5に示すように、計測データの種別に対して、少なくとも1つの信頼性情報の種別が対応付けられる。例えば、種別情報では、室温という計測データの種別に対して、精度、第1安定度、在室人数、機器制御状態、及び、計測場所が信頼性情報の種別として対応付けられる。つまり、この種別情報は、室温の信頼性が、精度、第1安定度、在室人数、機器制御状態、及び、計測場所と関連することを意味している。
【0058】
情報付与装置は、情報付与装置が取り扱う計測データに関する種別情報を保持していればよい。つまり、情報付与装置毎に、保持する種別情報が異なっていてもよい。例えば、
図1において、末端機器20は、末端機器20が生成する計測データに関する種別情報を保持していればよい。一方、末端機器30は、末端機器30が生成する計測データに関する種別情報を保持していればよい。また、接続機器40は、末端機器20が生成する計測データと末端機器30が生成する計測データとに関する種別情報を保持していればよい。情報付与装置は、種別情報により特定される信頼性情報のうち、取得可能な信頼性情報を計測データに付与すればよい。ただし、情報付与装置は、自身が取得可能ななるべく多くの信頼性情報を、計測データに付与することが好適である。
【0059】
次に、
図6を参照して、計測データと信頼性情報との提供方法について説明する。この提供方法は、基本的に、データ提供装置400がデータ利用装置500に、計測データと信頼性情報とを提供する方法である。提供方法には、例えば、データスキーマによる提供方法と、添付書類による提供方法と、オンデマンドによる提供方法との3つがある。
【0060】
データスキーマによる提供方法では、計測データは、ビッグデータのJSON(JavaScript(登録商標) Object Notation)、XML(Extensible Markup Language)などのスキーマで定義されたデータファイルのボディに記載される。一方、信頼性情報は、このデータファイルのヘッダに記載される。ヘッダとボディとは1対1であるため、データスキーマによる提供方法では、計測データと信頼性情報とは1対1で対応する。
【0061】
添付書類による提供方法では、計測データは、データファイルに記載される。一方、信頼性情報は、このデータファイルとは別のファイルに記載される。この別のファイルは、証明書形式のファイルであってもよい。計測データが記載されるデータファイルと、信頼性情報が記載される別のファイルとは、1対1でなくてもよい。例えば、それぞれに計測データが記載された複数のデータファイルと、複数の計測データに付与された複数の信頼性情報が記載された別のファイルとが用意されてもよい。
【0062】
オンデマンドによる提供方法では、計測データは、データファイルに記載される。一方、信頼性情報は、必要に応じて、オンデマンドで提供されてもよい。この場合、例えば、ダウンロード用の問い合わせアドレス又は鍵を、データ利用者に予め提供しておく。そして、データ利用者は、必要時に、必要部分だけ、問い合わせアドレス又は鍵を使用して、データ提供者に、信頼性情報の提供を要求する。
【0063】
次に、
図7を参照して、本実施形態に係るデータ提供システム1000により得られる効果について説明する。
図7に、データ利用装置500が、村Xに存在する住宅A及び住宅Bから計測データとして外気温を収集し、収集した外気温に基づいて村Xに防災無線を流すべきか否かを判別する例を示す。なお、住宅Aには、計測装置100Aが設置され、住宅Bには、計測装置100Bが設置されているものとする。また、村Xの実際の外気温は35℃であり、計測装置100Aが生成した計測データは33℃を示し、計測装置100Bが生成した計測データは38℃を示すものとする。
【0064】
図7の上部には、信頼性情報を用いない場合に、誤ったソリューションが展開される例を示す。この例では、データ利用装置500は、33℃と38℃とを村Xの外気温として取得したため、村Xに外気温が38℃の住宅が50%存在すると判別し、「警告のため村Xは防災無線を流すべき」と誤った判別をしている。
【0065】
図7の下部には、信頼性情報を用いる場合に、正しいソリューションが展開される例を示す。この例においても、データ利用装置500は、33℃と38℃とを村Xの外気温として取得する。しかしながら、この例では、33℃の外気温には、精度が1℃であることを示す信頼性情報が付与されており、38℃の外気温には、精度が10℃であることを示す信頼性情報が付与されている。このため、データ利用装置500は、38℃の外気温は低い精度で計測された計測データであると判別し、「警告は不要である」と正しい判別をしている。
【0066】
このように、本実施形態では、計測データの匿名性が維持されつつ、計測データの信頼性がデータ利用者に提供される。従って、データ利用者は、例えば、信頼性の低い計測データを排除したり、信頼性に応じて計測データを重み付けしたりすることができる。あるいは、データ利用者は、例えば、信頼性の低い計測データを抽出及び解析して、課題及び解決手段を追求することができる。
【0067】
データスキーマによる提供方法では、基本的に、全ての計測データに信頼性情報が付与されることになる。このため、この提供方法は、詳細な解析処理に適している。添付書類による提供方法では、基本的に、複数の計測データに付与された信頼性情報が、例えば、1つの証明書により提供される。このため、この提供方法では、データ利用者は、解析に用いる範囲の証明書のみを取得したり、証明書が付与された計測データのみを解析対象としたりすることができる。オンデマンドによる提供方法においても、必要に応じて信頼性情報を取得することができる。つまり、添付書類による提供方法及びオンデマンドによる提供方法は、簡易な或いは包括的な解析に適している。
【0068】
なお、このような信頼性情報を特に要するデータ利用者としては、例えば、医療機関、防災対策を講じる地方自治体に加え、金融業者、保険業者など、地域住民の動向を正確に把握することを望む民間企業又はインフラ企業などがある。
【0069】
次に、
図8に示すフローチャートを参照して、データ提供システム1000が実行するデータ提供処理について説明する。このデータ提供処理は、データ提供方法を実現するための処理である。
【0070】
まず、計測装置100は、取得された計測データがあるか否かを判別する(ステップS101)。例えば、計測装置100は、センサ105により計測データが生成されたか否かを判別する。計測装置100は、取得された計測データがないと判別すると(ステップS101:NO)、ステップS101に処理を戻す。計測装置100は、取得された計測データがあると判別すると(ステップS101:YES)、適宜、計測装置100にて計測データに信頼性情報を付加する(ステップS102)。
【0071】
ステップS102の処理が完了すると、適宜、第1中継装置にて計測データに信頼性情報を付加する(ステップS103)。ステップS103の処理が完了すると、適宜、第2中継装置にて計測データに信頼性情報を付加する(ステップS104)。なお、第1中継装置は中継装置200であり、第2中継装置は中継装置300である。ステップS104の処理が完了すると、適宜、データ提供装置400にて計測データに信頼性情報を付加する(ステップS105)。
【0072】
データ提供装置400は、ステップS105の処理が完了すると、計測データと信頼性情報とを対応付けて記憶する(ステップS106)。データ提供装置400は、ステップS106の処理が完了すると、計測データの送信要求があるか否かを判別する(ステップS107)。例えば、データ提供装置400は、データ利用装置500から、計測データの送信要求を示す情報が、通信インターフェース403により受信されたか否かを判別する。
【0073】
データ提供装置400は、計測データの送信要求がないと判別すると(ステップS107:NO)、ステップS101に処理を戻す。データ提供装置400は、計測データの送信要求があると判別すると(ステップS107:YES)、計測データと信頼性情報とをデータ利用装置500に送信する(ステップS108)。データ提供装置400は、ステップS108の処理を完了すると、ステップS101に処理を戻す。
【0074】
本実施形態では、計測データと計測データに付与された信頼性情報とが、データ利用者に提供される。この信頼性情報は、計測データの種別に応じた公平且つ明確な指標を示す情報である。従って、データ利用者は、信頼性の低い計測データを排除したり、信頼性に応じて計測データに重み付けをしたりすることができる。また、データ利用者は、信頼性の低い計測データを抽出及び解析し、課題を発見したり、対策を講じたりすることができる。このように、本実施形態によれば、計測データの有効利用が期待できる。なお、計測データの信頼性を判断するための信頼性情報には、計測データの出所を示す情報を含める必要はないため、計測データの匿名性は維持される。
【0075】
(実施形態2)
実施形態1では、信頼性情報がデータ利用装置500に提供される例について説明した。信頼性情報は、計測装置100、中継装置200、中継装置300などにフィードバックされてもよい。本実施形態では、計測装置100に信頼性情報がフィードバックされ、計測装置100が、信頼性情報に基づいて、異常報知と制御変更とを実行する例について説明する。以下、実施形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0076】
図9に示すように、計測装置100Aは、機能的には、データ生成部11と、情報付与部12と、種別情報記憶部13と、データ送信部14とに加え、データ受信部15と、異常判別部16と、異常報知部17と、制御実行部18とを更に備える。計測装置100Aが備えるデータ受信手段は、例えば、データ受信部15に対応する。計測装置100Aが備える異常判別手段は、例えば、異常判別部16に対応する。計測装置100Aが備える異常報知手段は、例えば、異常報知部17に対応する。計測装置100Aが備える制御実行手段は、例えば、制御実行部18に対応する。計測装置100Bは、機能的には、計測装置100Aと同様の構成を備える。
【0077】
なお、第1計測装置は、例えば、計測装置100Aに対応する。また、第2計測装置は、例えば、計測装置100Bに対応する。中継装置200は、機能的には、データ受信部21と、情報付与部22と、種別情報記憶部23と、データ送信部24と、に加え、データ送信部25を更に備える。
【0078】
データ受信部15は、計測装置100Bにより生成された第2計測データと、第2計測データに付与された第2信頼性情報とを、中継装置200から受信する。データ受信部15の機能は、例えば、通信インターフェース103の機能により実現される。
【0079】
異常判別部16は、計測装置100Aにより生成された第1計測データと、第1計測データに付与された第1信頼性情報と、第2計測データと、第2信頼性情報とに基づいて、計測装置100Aと計測装置100Bとの少なくとも一方の計測データが異常であるか否かを判別する。異常判別部16の機能は、例えば、プロセッサ101の機能により実現される。
【0080】
異常報知部17は、異常判別部16により上記少なくとも一方の計測データが異常であると判別された場合、異常を報知する。例えば、異常報知部17は、異常がある場合、異常があることを報知する画面を表示したり、異常があることを報知する情報を、中継装置200を介して中継装置300に送信したりする。異常報知部17の機能は、例えば、プロセッサ101とタッチスクリーン104とが協働することにより実現されてもよいし、プロセッサ101と通信インターフェース103とが協働することにより実現されてもよい。
【0081】
制御実行部18は、計測装置100Aにより生成された第1計測データと、第1計測データに付与された第1信頼性情報と、第2計測データと、第2信頼性情報と、に基づく制御を実行する。例えば、制御実行部18は、第2計測データに基づいて、制御内容を変更する。制御実行部18の機能は、例えば、プロセッサ101と負荷回路106とが協働することにより実現される。
【0082】
データ受信部21は、計測装置100Aにより生成された第1計測データを、計測装置100Aから受信する。第1計測データに第1信頼性情報が付与されている場合、データ受信部21は、第1信頼性情報を計測装置100Aから受信する。データ受信部21は、計測装置100Bにより生成された第2計測データを、計測装置100Bから受信する。第2計測データに第2信頼性情報が付与されている場合、データ受信部21は、第2信頼性情報を計測装置100Bから受信する。
【0083】
データ送信部25は、第1計測データと第2計測データとを、計測装置100Aと計測装置100Bとに送信する。第1信頼性情報と第2信頼性情報とが付与されている場合、データ送信部25は、第1信頼性情報と第2信頼性情報とを、計測装置100Aと計測装置100Bとに送信する。
【0084】
次に、
図10を参照して、信頼性情報を用いた異常報知について説明する。
図10に、計測装置100Aが、第1計測データと第2計測データと第1信頼性情報と第2信頼性情報とに基づいて、第1計測データと第2計測データとの少なくとも一方の計測データが異常であるか否かを判別する例を示す。なお、住宅Aには、計測装置100Aと計測装置100Bと中継装置200とが設置されているものとする。第1計測データは、計測装置100Aが生成した計測データである。第2計測データは、計測装置100Bが生成した計測データである。第1信頼性情報は、計測装置100Aが第1計測データに付与した信頼性情報である。第2信頼性情報は、計測装置100Bが第2計測データに付与した信頼性情報である。
【0085】
図10の上部には、第1計測データとしての外気温が20℃であり、第1信頼性情報としての精度が1℃であり、第2計測データとしての外気温が28℃であり、第2信頼性情報としての精度が5℃である例を示す。この例では、計測装置100Aは、内蔵センサ(計測装置100Aが備えるセンサ)と天井センサ(計測装置100Bが備えるセンサ)との差が大きいが、精度が5℃の情報は軽視してよいとみなし、特段の処理を実行しない。
【0086】
図10の下部には、第1計測データとしての外気温が20℃であり、第1信頼性情報としての精度が1℃であり、第2計測データとしての外気温が28.7℃であり、第2信頼性情報としての精度が0.1℃である例を示す。この例では、計測装置100Aは、内蔵センサ(計測装置100Aが備えるセンサ)に異常があるかもしれないとみなし、クラウド(例えば、中継装置300)に通報する処理を実行する。
【0087】
次に、
図11を参照して、信頼性情報を用いた制御変更について説明する。
図11に、計測装置100Aが、第1計測データと第2計測データと第1信頼性情報と第2信頼性情報とに基づいて、制御を実行する例を示す。なお、基本的な条件は、
図10と同様である。
【0088】
図11の上部には、第1計測データとしての外気温が20℃であり、第1信頼性情報としての精度が1℃であり、第2計測データとしての外気温が28℃であり、第2信頼性情報としての精度が5℃である例を示す。この例では、計測装置100Aは、内蔵センサ(計測装置100Aが備えるセンサ)と天井センサ(計測装置100Bが備えるセンサ)との差が大きいが、精度が5℃の情報は軽視してよいとみなし、実行中の制御を継続する。
【0089】
図11の下部には、第1計測データとしての外気温が20℃であり、第1信頼性情報としての精度が1℃であり、第2計測データとしての外気温が28.7℃であり、第2信頼性情報としての精度が0.1℃である例を示す。この例では、計測装置100Aは、第1計測データよりも第2計測データを重視し、部屋中央の天井センサの計測データである第2計測データを採用して、徐々に冷房を緩める処理に制御を変更する。
【0090】
本実施形態では、計測装置は、他の計測装置が生成した信頼性の高い計測データを用いて自身の制御を実行することができる。また、計測装置は、自身が生成した計測データと他の計測装置が生成した計測データとを信頼性を考慮して比較することにより、適切に、異常を報知することができる。このように、本実施形態によれば、適切な制御及び異常検知の実現が期待できる。
【0091】
(実施形態3)
実施形態1では、信頼性情報がデータ利用装置500に提供される例について説明し、実施形態2では信頼性情報に基づいて、異常報知と制御変更とを実行する例について説明した。本実施形態では、計測データに、より精度の高い信頼性情報が付与され、又は、計測データに、より多くの信頼性情報が付与される仕組みについて説明する。以下、実施形態1,2と異なる部分を中心に説明する。なお、本実施形態では、計測装置100が、計測装置100のユーザが利用する端末装置としての機能を有し、計測装置100が、信頼性向上寄与行為により得られる利益を提示する画面を表示する例について説明する。
【0092】
計測装置100は、機能的には、データ生成部11と、情報付与部12と、種別情報記憶部13と、データ送信部14とに加え、データ受信部15と、表示部19とを更に備える。端末装置が備える表示手段は、例えば、表示部19に対応する。
【0093】
データ受信部15は、例えば、計測装置100のユーザの信頼性情報付与への貢献度を示す貢献度情報を、中継装置300から受信する。貢献度情報は、例えば、計測データの提供者全体に対する、ユーザの貢献度のランクを示すランク情報、ユーザが提供する計測データに付与される信頼性情報の個数を示す個数情報、ユーザが提供する計測データに付与される信頼性情報の質を示す質情報、などである。データ受信部15の機能は、例えば、通信インターフェース103の機能により実現される。
【0094】
表示部19は、計測データの信頼性の向上に寄与する行為(以下、適宜「信頼性向上寄与行為」という。)を示す情報と、この行為を実行することにより得られる利益を示す情報とを、対応付けて表示する。表示部19の機能は、例えば、プロセッサ101とタッチスクリーン104とが協働することにより実現される。
【0095】
図13に、信頼性向上寄与行為により得られる利益を提示する第1の画面である画面710を示す。画面710は、現在のランクがランクBであり、プランA、プランB、プランCを実行することにより、各種の効果が得られることを示す画面である。プランAは、ユーザのスケジュールを示す予定表を入力するプランである。プランBは、就寝時にエアコンONのままにするプランである。プランCは、リビングにIOTセンサを設置するプランである。
【0096】
プランAによれば、先読み運転が実行可能となり、電気代が節約されることが示されている。プランBによれば、急激な温度調整が不要になり、電気代が節約されることが示されている。このように、第1の画面は、電気代の節約により、計測データの信頼性の向上を促進する画面である。
【0097】
図14に、信頼性向上寄与行為により得られる利益を提示する第2の画面である画面720を示す。画面720は、現在のランクがランクBであり、プランA、プランB、プランCを実行することにより、各種の効果が得られることを示す画面である。プランA、プランB、プランCの内容は
図13と同様である。
【0098】
プランAによれば、先読み運転が実行可能となり、計測データの信頼性が向上し、データ利用者の増加により利益が増加することが示されている。プランBによれば、急激な温度調整が不要になり、計測データの信頼性が向上し、データ提供の単価の増加により利益が増加することが示されている。このように、第2の画面は、データ提供の対価の増加により、計測データの信頼性の向上を促進する画面である。
【0099】
本実施形態では、計測データの信頼性の向上に寄与する行為を示す情報と、この行為を実行することにより得られる利益を示す情報とが、対応付けて表示される。このため、計測データの提供者によるこの行為の実行が動機付けられ、計測データの信頼性の向上、及び、計測データの有効活用が期待できる。この行為は、例えば、計測データの信頼性をより正確に示す信頼性情報が得られる行為、又は、より多くの信頼性情報が得られる行為である。
【0100】
(実施形態4)
実施形態1では、プラットフォームサーバ60が、データ利用装置500に計測データと信頼性情報とを提供するデータ提供装置400として機能する例について説明した。実施形態3では、計測装置100が、信頼性向上寄与行為により得られる利益を提示する画面を表示する例について説明した。本実施形態では、メーカサーバ50が、データ利用装置500に計測データと信頼性情報とを提供するデータ提供装置410として機能する例について説明する。また、本実施形態では、計測装置100とは別の装置である端末装置600が、信頼性向上寄与行為により得られる利益を提示する画面を表示する例について説明する。
【0101】
図15に示すように、データ提供システム1100は、計測装置100と、中継装置200と、データ提供装置410と、端末装置600と、を備える。データ提供装置410は、通信ネットワーク620により中継装置200と接続され、計測データと信頼性情報とを中継装置200から受信し、蓄積する。また、データ提供装置410は、データ利用装置500からの要求に応じて、データ利用装置500に計測データと信頼性情報とを送信する。データ提供装置410は、プロセッサ301と、ハードディスク302と、通信インターフェース303と、液晶ディスプレイ304と、キーボード305とを備える。
【0102】
端末装置600は、通信ネットワーク620により中継装置200とデータ提供装置410とに接続され、各種の情報を中継装置200とデータ提供装置410とから受信する。端末装置600は、プロセッサ601と、フラッシュメモリ602と、通信インターフェース603と、タッチスクリーン604とを備える。プロセッサ601は、端末装置600の全体の動作を制御する。フラッシュメモリ602は、各種の情報を記憶する不揮発性メモリである。通信インターフェース603は、端末装置600を通信ネットワーク620に接続するためのインターフェースである。タッチスクリーン604は、端末装置600のユーザインターフェースである。
【0103】
ここで、端末装置600は、中継装置200とデータ提供装置410とから受信した情報に基づいて、信頼性向上寄与行為により得られる利益を提示する画面である画面710又は画面720を表示する。つまり、プロセッサ601とタッチスクリーン604とが協働して、
図12に示す表示部19が備える機能を実現する。
【0104】
本実施形態によれば、プラットフォームサーバ60がなくても、メーカサーバ50により、計測データと信頼性情報とをデータ利用者に提供することができる。また、本実施形態によれば、計測装置100が表示機能を有しない場合においても、信頼性向上寄与行為により得られる利益を提示する画面をユーザに提供することができる。
【0105】
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
【0106】
本発明において、上記実施形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本発明において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。
【0107】
例えば、データ提供システム1000は、中継装置200、中継装置300などを備えていなくてもよい。例えば、中継装置200が存在しない場合、計測装置100から中継装置300に計測データと信頼性情報とが供給される。また、例えば、中継装置300が存在しない場合、中継装置200からデータ提供装置400に計測データと信頼性情報とが供給される。また、例えば、中継装置200と中継装置300とが存在しない場合、計測装置100からデータ提供装置400に計測データと信頼性情報とが供給される。
【0108】
実施形態2では、計測装置100が、フィードバックされた計測データと信頼性情報とを用いて、異常報知、制御変更などの処理を実行する例について説明した。計測装置100以外の装置、例えば、中継装置200又は中継装置300が、上流の装置からフィードバックされた計測データと信頼性情報とを用いて、各種の処理を実行してもよい。
【0109】
実施形態3では、計測装置100が画面を表示する例について説明し、実施形態4では、端末装置600が画面を表示する例について説明した。他の装置が画面を表示してもよい。例えば、中継装置200がこの画面を表示してもよい。
【0110】
本発明に係る計測装置、中継装置、又は、データ提供装置の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置に適用することで、当該パーソナルコンピュータ又は情報端末装置を本発明に係る計測装置、中継装置、又は、データ提供装置として機能させることも可能である。また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD-ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネットなどの通信ネットワークを介して配布してもよい。
【0111】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、計測データを提供するデータ提供システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0113】
11 データ生成部、12,22,32,42 情報付与部、13,23,33,43 種別情報記憶部、14,24,25,34,44 データ送信部、15,21,31,41 データ受信部、16 異常判別部、17 異常報知部、18 制御実行部、19 表示部、20,30 末端機器、40 接続機器、45 データ記憶部、46 供給指示受付部、50 メーカサーバ、60 プラットフォームサーバ、70 アプリケーションサーバ、100,100A,100B 計測装置、101,201,301,401,601 プロセッサ、102,202,602 フラッシュメモリ、103,303,403,603 通信インターフェース、104,205,604 タッチスクリーン、105 センサ、106 負荷回路、200,300 中継装置、203 第1通信インターフェース、204 第2通信インターフェース、302,402 ハードディスク、304,404 液晶ディスプレイ、305,405 キーボード、400,410 データ提供装置、500 データ利用装置、600 端末装置、610,620 通信ネットワーク、710,720 画面、1000,1100 データ提供システム