(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】バッテリパック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/213 20210101AFI20221216BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20221216BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20221216BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20221216BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20221216BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20221216BHJP
【FI】
H01M50/213
H01M50/284
H01M50/503
H01M50/569
H01M50/588
H01M50/593
(21)【出願番号】P 2018225404
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田賀 秀行
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-249251(JP,A)
【文献】特開2005-056721(JP,A)
【文献】特開2013-114780(JP,A)
【文献】特開2005-317460(JP,A)
【文献】特開2005-317456(JP,A)
【文献】特開2012-022914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/213
H01M 50/284
H01M 50/503
H01M 50/569
H01M 50/588
H01M 50/593
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行な第1面と第2面との間で、互いに平行
かつ並置された状態で支持された複数のバッテリセルと、
前記複数のバッテリセルを電気的に接続する複数のリード板と、
前記複数のバッテリセルに隣接して配置され、前記複数のリード板の各々が接続された回路基板と、
を備え、
前記複数のバッテリセルの各々は、
円筒形のバッテリセルであって、前記第1面に対向する第1端と、前
記第2面に対向する第2端とを有し、
前記複数のリード板は、前記第1面に沿って配列された複数の第1リード板と、前記第2面に沿って配列された複数の第2リード板とを有し、
前記複数の第1リード板の各々は、前記第1面に沿って位置する第1メイン部分と、前記回路基板に接続された第1ターミナル部分とを有し、前記第1メイン部分において前記複数のバッテリセルの少なくとも一つの前記第1端に接続されており、
前記複数の第2リード板の各々は、前記第2面に沿って位置する第2メイン部分と、前記回路基板に接続された第2ターミナル部分とを有し、前記第2メイン部分において前記複数のバッテリセルの少なくとも一つの前記第2端に接続されており、
前記回路基板は、第1側縁からその反対側に位置する第2側縁まで、前記第1面及び前記第2面と交差して延びており、
前記複数の第1リード板の各々はさらに、前記第1メイン部分と前記第1ターミナル部分との間に、前記第1面と角度を成す方向に延びる第1延伸部分を有し、
前記第1ターミナル部分は、前記回路基板において、前記第1側縁と前記第1面との間に位置
し、
前記第1延伸部分は、前記回路基板に沿って延びており、前記第1延伸部分と前記回路基板との間には、絶縁性を有する断熱部材が設けられている、
バッテリパック。
【請求項2】
前記第1延伸部分は、前記第1メイン部分に対して90±10度の角度を成す、請求項
1に記載のバッテリパック。
【請求項3】
互いに平行な第1面と第2面との間で、互いに平行かつ並置された状態で支持された複数のバッテリセルと、
前記複数のバッテリセルを電気的に接続する複数のリード板と、
前記複数のバッテリセルに隣接して配置され、前記複数のリード板の各々が接続された回路基板と、
を備え、
前記複数のバッテリセルの各々は、円筒形のバッテリセルであって、前記第1面に対向する第1端と、前記第2面に対向する第2端とを有し、
前記複数のリード板は、前記第1面に沿って配列された複数の第1リード板と、前記第2面に沿って配列された複数の第2リード板とを有し、
前記複数の第1リード板の各々は、前記第1面に沿って位置する第1メイン部分と、前記回路基板に接続された第1ターミナル部分とを有し、前記第1メイン部分において前記複数のバッテリセルの少なくとも一つの前記第1端に接続されており、
前記複数の第2リード板の各々は、前記第2面に沿って位置する第2メイン部分と、前記回路基板に接続された第2ターミナル部分とを有し、前記第2メイン部分において前記複数のバッテリセルの少なくとも一つの前記第2端に接続されており、
前記回路基板は、第1側縁からその反対側に位置する第2側縁まで、前記第1面及び前記第2面と交差して延びており、
前記複数の第1リード板の各々はさらに、前記第1メイン部分と前記第1ターミナル部分との間に、前記第1面と角度を成す方向に延びる第1延伸部分を有し、
前記第1ターミナル部分は、前記回路基板において、前記第1側縁と前記第1面との間に位置し、
前記回路基板の前記第1側縁には、複数の切欠きが設けられており、
前記複数の切欠きの各々は、隣接する二つの前記第1ターミナル部分の間へ延びている、
バッテリパック。
【請求項4】
互いに平行な第1面と第2面との間で、互いに平行かつ並置された状態で支持された複数のバッテリセルと、
前記複数のバッテリセルを電気的に接続する複数のリード板と、
前記複数のバッテリセルに隣接して配置され、前記複数のリード板の各々が接続された回路基板と、
を備え、
前記複数のバッテリセルの各々は、円筒形のバッテリセルであって、前記第1面に対向する第1端と、前記第2面に対向する第2端とを有し、
前記複数のリード板は、前記第1面に沿って配列された複数の第1リード板と、前記第2面に沿って配列された複数の第2リード板とを有し、
前記複数の第1リード板の各々は、前記第1面に沿って位置する第1メイン部分と、前記回路基板に接続された第1ターミナル部分とを有し、前記第1メイン部分において前記複数のバッテリセルの少なくとも一つの前記第1端に接続されており、
前記複数の第2リード板の各々は、前記第2面に沿って位置する第2メイン部分と、前記回路基板に接続された第2ターミナル部分とを有し、前記第2メイン部分において前記複数のバッテリセルの少なくとも一つの前記第2端に接続されており、
前記回路基板は、第1側縁からその反対側に位置する第2側縁まで、前記第1面及び前記第2面と交差して延びており、
前記複数の第1リード板の各々はさらに、前記第1メイン部分と前記第1ターミナル部分との間に、前記第1面と角度を成す方向に延びる第1延伸部分を有し、
前記第1ターミナル部分は、前記回路基板において、前記第1側縁と前記第1面との間に位置し、
前記複数の第2リード板の各々はさらに、前記第2メイン部分と前記第2ターミナル部分との間に、前記第2面から離れて延びる第2延伸部分を有し、
前記第2ターミナル部分は、前記回路基板において、前記第2側縁と前記第2面との間に位置する、
バッテリパック。
【請求項5】
前記第2延伸部分は、前記回路基板に沿って延びている、請求項
4に記載のバッテリパック。
【請求項6】
前記第2延伸部分と前記回路基板との間には、絶縁性を有する断熱部材が設けられている、請求項
5に記載のバッテリパック。
【請求項7】
前記第2メイン部分と前記第2延伸部分は、90±10度の角度を成す、請求項
4から6のいずれか一項記載のバッテリパック。
【請求項8】
互いに平行な第1面と第2面との間で、互いに平行かつ並置された状態で支持された複数のバッテリセルと、
前記複数のバッテリセルを電気的に接続する複数のリード板と、
前記複数のバッテリセルに隣接して配置され、前記複数のリード板の各々が接続された回路基板と、
を備え、
前記複数のバッテリセルの各々は、円筒形のバッテリセルであって、前記第1面に対向する第1端と、前記第2面に対向する第2端とを有し、
前記複数のリード板は、前記第1面に沿って配列された複数の第1リード板と、前記第2面に沿って配列された複数の第2リード板とを有し、
前記複数の第1リード板の各々は、前記第1面に沿って位置する第1メイン部分と、前記回路基板に接続された第1ターミナル部分とを有し、前記第1メイン部分において前記複数のバッテリセルの少なくとも一つの前記第1端に接続されており、
前記複数の第2リード板の各々は、前記第2面に沿って位置する第2メイン部分と、前記回路基板に接続された第2ターミナル部分とを有し、前記第2メイン部分において前記複数のバッテリセルの少なくとも一つの前記第2端に接続されており、
前記回路基板は、第1側縁からその反対側に位置する第2側縁まで、前記第1面及び前記第2面と交差して延びており、
前記複数の第1リード板の各々はさらに、前記第1メイン部分と前記第1ターミナル部分との間に、前記第1面と角度を成す方向に延びる第1延伸部分を有し、
前記第1ターミナル部分は、前記回路基板において、前記第1側縁と前記第1面との間に位置し、
前記回路基板の前記第2側縁には、複数の切欠きが設けられており、
前記複数の切欠きの各々は、隣接する二つの前記第2ターミナル部分の間へ延びている、
バッテリパック。
【請求項9】
前記回路基板は、前記複数のリード板の各々の電圧を検出するように構成されている、請求項1から
8のいずれか一項に記載のバッテリパック。
【請求項10】
前記回路基板には、前記複数のバッテリセルの放電電力を出力する一対の電力端子が設けられている、請求項1から
9のいずれか一項に記載のバッテリパック。
【請求項11】
前記複数のバッテリセル、前記複数のリード板及び前記回路基板を互いに固定するバッテリホルダをさらに備える、請求項1から
10のいずれか一項に記載のバッテリパック。
【請求項12】
前記バッテリホルダを収容するハウジングをさらに備える、請求項
11に記載のバッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具といった電気機器に用いられるバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、バッテリパックが開示されている。このバッテリパックは、互いに平行に支持された複数のバッテリセルと、複数のバッテリセルを電気的に接続する複数のリード板と、複数のバッテリセルに隣接して配置され、複数のリード板の各々が接続された回路基板とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したバッテリパックでは、複数のバッテリセルに隣接して、回路基板が配置されている。そのことから、充電や放電に伴ってバッテリセルが発熱したときに、回路基板の温度も高温となりやすい。特に、回路基板には複数のリード板が接続されており、各々のリード板は、少なくとも一つのバッテリセルに接続されている。これにより、バッテリセルの熱が、リード板を介して回路基板に伝達され、回路基板の温度をさらに上昇させてしまう。本明細書は、リード板による熱伝達を抑制して、回路基板の温度上昇を低減し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示するバッテリパックは、互いに平行に支持された複数のバッテリセルと、複数のバッテリセルを電気的に接続する複数のリード板と、複数のバッテリセルに隣接して配置され、複数のリード板の各々が接続された回路基板とを備える。複数のバッテリセルの各々は、第1面に対向する第1端と、前記第1面に平行な第2面に対向する第2端とを有する。複数のリード板は、第1面に沿って配列された複数の第1リード板と、第2面に沿って配列された複数の第2リード板とを有する。複数の第1リード板の各々は、第1面に沿って位置する第1メイン部分と、回路基板に接続された第1ターミナル部分とを有し、第1メイン部分において複数のバッテリセルの少なくとも一つの第1端に接続されている。複数の第2リード板の各々は、第2面に沿って位置する第2メイン部分と、回路基板に接続された第2ターミナル部分とを有し、第2メイン部分において複数のバッテリセルの少なくとも一つの第2端に接続されている。回路基板は、第1側縁からその反対側に位置する第2側縁まで、第1面及び第2面と交差して延びている。複数の第1リード板の各々はさらに、第1メイン部分と第1ターミナル部分との間に、第1面と角度を成す方向に延びる第1延伸部分を有している。そして、第1ターミナル部分は、回路基板において、第1側縁と第1面との間に位置している。
【0006】
上記したバッテリパックでは、複数の第1リード板の各々に、第1延伸部分が設けられている。第1延伸部分は、第1メイン部分と第1ターミナル部分との間に位置するとともに、第1面と角度を成す方向に延びている。第1延伸部分が設けられていることで、第1メイン部分と第1ターミナル部分との間の距離は大きくなる。ここで、第1メイン部分は、バッテリセルに接続された部分であり、第1ターミナル部分は、回路基板に接続された部分である。そのことから、第1メイン部分と第1ターミナル部分との間に第1延伸部分を設け、それらの間の距離を大きくすることで、バッテリセルから第1リード板を介して回路基板に至る熱伝達を抑制することができる。加えて、第1ターミナル部分は、回路基板において、第1面と第2面との間ではなく、第1側縁と第1面との間に位置している。即ち、第1ターミナル部分は、複数のバッテリセルに対向する回路基板の中央部分ではなく、その外側に位置する回路基板の縁部に接続されている。このような構成によると、第1リード板を介して回路基板に伝達された熱が、回路基板の縁部において放熱されやすく、回路基板の温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例のバッテリパック10の外観を示す斜視図。
【
図4】複数のバッテリセル12、複数のリード板20、22及び回路基板16の位置関係を示す正面図。
図4から
図8において、バッテリホルダ14の図示は省略されている。
【
図5】複数のバッテリセル12、複数のリード板20、22及び回路基板16の位置関係を示す左側面図。
【
図6】複数のバッテリセル12、複数のリード板20、22及び回路基板16の位置関係を示す右側面図。
【
図7】複数のバッテリセル12、複数のリード板20、22及び回路基板16の位置関係を示す平面図。
【
図8】第1リード板20の第1延伸部分20cを示す図。
【
図9】第1延伸部分20cと回路基板16との間に介在するバッテリホルダ14の一部14a(断熱部材)を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本技術の一実施形態において、第1延伸部分は、回路基板に沿って(例えば、回路基板と平行に)延びていてもよい。このような構成によると、複数のバッテリセルと回路基板との間の距離を維持しながら、第1延伸部分を設けることができる。
【0009】
上記した実施形態において、第1延伸部分と回路基板との間には、絶縁性を有する断熱部材が設けられていてもよい。このような構成によると、第1延伸部分から回路基板への伝熱を抑制するとともに、第1延伸部分と回路基板との間の絶縁性を高めることもできる。
【0010】
加えて、第1延伸部分は、第1メイン部分に対して略直角(90±10度)の角度を成してもよい。但し、他の実施形態として、第1延伸部分と第1メイン部分とが成す角度は、略直角でなくてもよい。
【0011】
本技術の一実施形態において、回路基板の第1側縁には、複数の切欠きが設けられていてもよい。この場合、複数の切欠きの各々は、隣接する二つの第1ターミナル部分の間へ延びていてもよい。このような構成によると、回路基板上における第1ターミナル部分間の絶縁性を高めることができる。また、回路基板の端部における放熱性が高まることもある。
【0012】
特に限定されないが、上述した第1リード板の構成は、第2リード板にも採用することができる。即ち、本技術の一実施例では、複数の第2リード板の各々がさらに、第2メイン部分と第2ターミナル部分との間に、第2面から離れて延びる第2延伸部分を有してもよい。そして、第2ターミナル部分は、回路基板において、第2側縁と第2面との間に位置してもよい。このような構成によると、バッテリセルから第2リード板を介して回路基板に至る熱伝達を抑制して、回路基板の温度上昇を低減することができる。
【0013】
上記した実施形態において、第2延伸部分は、回路基板に沿って(例えば、回路基板と平行に)延びていてもよい。このような構成によると、第2延伸部分から回路基板への伝熱を抑制するとともに、第2延伸部分と回路基板との間の絶縁性を高めることもできる。
【0014】
上記した実施形態において、第2延伸部分と回路基板との間には、絶縁性を有する断熱部材が設けられていてもよい。このような構成によると、第2延伸部分から回路基板への伝熱を抑制するとともに、第2延伸部分と回路基板との間の絶縁性を高めることもできる。
【0015】
加えて、第2延伸部分は、第2メイン部分に対して略直角(90±10度)の角度を成してもよい。但し、他の実施形態として、第1延伸部分と第1メイン部分とが成す角度は、略直角でなくてもよい。
【0016】
本技術の一実施形態において、回路基板の第2側縁には、複数の切欠きが設けられていてもよい。この場合、複数の切欠きの各々は、隣接する二つの第2ターミナル部分の間へ延びていてもよい。このような構成によると、回路基板上における第2ターミナル部分間の絶縁性を高めることができる。また、回路基板の端部における放熱性が高まることもある。
【0017】
本技術の一実施形態において、回路基板は、複数のリード板の各々の電圧を検出するように構成されてもよい。このような構成によると、回路基板によって検出された電圧のデータを、例えばバッテリパックの充放電に係る制御に用いることができる。
【0018】
本技術の一実施形態において、回路基板には、複数のバッテリセルの放電電力を出力する一対の電力端子が設けられていてもよい。即ち、バッテリパックは、複数のバッテリセルの放電電力が、回路基板を通じて外部へ出力されるように構成されていてもよい。
【実施例】
【0019】
(実施例)図面を参照して、実施例のバッテリパック10について説明する。本実施例のバッテリパック10は、再充電可能な蓄電装置であり、電動工具といった電気機器(図示省略)に電力を供給する電源として、電気機器に着脱可能に取り付けられる。
図1、
図2に示すように、バッテリパック10は、複数のバッテリセル12、複数のバッテリセル12を保持するバッテリホルダ14、及び、バッテリホルダ14に固定されているととともに、複数のバッテリセル12と電気的に接続された回路基板16を備える。また、バッテリパック10は、複数のバッテリセル12、バッテリホルダ14及び回路基板16を収容しているハウジング18を備える。
【0020】
複数のバッテリセル12は、バッテリホルダ14によって、互いに平行に保持されている。各々のバッテリセル12は、再充電可能なバッテリセルである。一例ではあるが、本実施例における各々のバッテリセル12は、リチウムイオンバッテリセルであり、略4ボルトの公称電圧を有する。また、複数のバッテリセル12の合計数は32本であり、互いに並列に接続された2本のバッテリセル12を一組として、16組のバッテリセル12が直列に接続されている。これにより、バッテリパック10は、略64ボルトの公称電圧を有している。
【0021】
バッテリホルダ14は、絶縁材料(例えば、樹脂材料)で構成されている。詳しくは後述するが、バッテリホルダ14には、複数の第1リード板20及び複数の第2リード板22が組み込まれている。複数の第1リード板20は、バッテリホルダ14の一方の側壁に配置されており、複数の第2リード板22は、バッテリホルダ14の他方の側壁に配置されている。複数のバッテリセル12は、複数の第1リード板20及び複数の第2リード板22を介して、互いに電気的に接続されている。また、各々の第1リード板20及び各々の第2リード板22は、回路基板16に電気的に接続されている。
【0022】
回路基板16は、複数の第1リード板20及び複数の第2リード板22を介して、複数のバッテリセル12に電気的に接続されている。回路基板16は、各々の第1リード板20及び各々の第2リード板22の電圧を検出可能であり、それによって、各々のバッテリセル12の電圧を把握することができる。加えて、回路基板16には、電気機器と接続するための複数の外部接続端子24が設けられている。複数の外部接続端子24には、一対の電力端子と、いくつかの通信端子とが含まれている。一対の電力端子は、複数のバッテリセル12と電気的に接続されており、複数のバッテリセル12からの放電電力を電気機器へ出力する。また、一対の電力端子は、充電器(図示省略)と電気的に接続し、充電器から複数のバッテリセル12への充電電力を受け入れる。通信端子は、回路基板16に設けられたプロセッサ(図示省略)に接続されている。
【0023】
ハウジング18は、略直方体の外形を有しており、樹脂材料で構成されている。ハウジング18の上面には、電気機器と係合するための係合構造18aや、電気機器の接続端子を受け入れる複数の開口部18b(例えばスリット)が形成されている。複数の開口部18bの内部には、回路基板16上の複数の外部接続端子24がそれぞれ配置されている。なお、ここで説明するハウジング18の構成は一例であり、ハウジング18の具体的な構成については適宜変更することができる。
【0024】
次に、
図3を参照して、バッテリホルダ14の構造について説明する。バッテリホルダ14は、第1ホルダ本体26と第2ホルダ本体28とを備える。第1ホルダ本体26と第2ホルダ本体28は、複数のバッテリセル12を挟んで互いに固定されており、複数のバッテリセル12を平行に保持している。バッテリホルダ14はさらに、第1ホルダカバー30と第2ホルダカバー32とを備える。第1ホルダカバー30は、複数の第1リード板20を挟んで、第1ホルダ本体26に取り付けられており、複数の第1リード板20を第1ホルダ本体26に対して(即ち、複数のバッテリセル12に対して)固定している。第2ホルダカバー32は、複数の第2リード板22を挟んで、第2ホルダ本体28に取り付けられており、複数の第2リード板22を第2ホルダ本体28に対して(即ち、複数のバッテリセル12に対して)固定している。
【0025】
第1ホルダカバー30と複数の第1リード板20との間には、第1外側防水シート34が設けられており、複数の第1リード板20と第1ホルダ本体26との間には、第1内側防水シート36が設けられている。第1外側防水シート34及び第1内側防水シート36は、シリコーンゴムで構成されており、水分や微細な異物の侵入を禁止する。なお、複数の第1リード板20は、ラミネート加工により、一対のフィルム間で一体的に保持されている。同様に、第2ホルダカバー32と複数の第2リード板22との間には、第2外側防水シート38が設けられており、複数の第2リード板22と第2ホルダ本体28との間には、第2内側防水シート40が設けられている。第2外側防水シート38及び第2内側防水シート40もまた、シリコーンゴムで構成されており、水分や微細な異物の侵入を禁止する。複数の第2リード板22についても、ラミネート加工により、一対のフィルム間で一体的に保持されている。なお、各々の防水シート34、36、38、40は、シリコーンゴムに限定されず、例えばエラストマーといった他の高分子材料のように、その他の遮水性を有する柔軟な材料で構成されてもよい。
【0026】
次に、複数の第1リード板20及び複数の第2リード板22について詳細に説明する。なお、
図4-
図6では、バッテリホルダ14の図示が省略されている。
図4-
図6に示すように、複数の第1リード板20は、第1面P1に沿って配列されており、複数の第2リード板22は、第2面P2に沿って配列されている。そして、複数のバッテリセル12の各々は、第1面P1に対向する第1端12aと、第1面P1に平行な第2面P2に対向する第2端12bとを有する。なお、複数のバッテリセル12の向きは同一ではない。即ち、一部のバッテリセル12は、第1端12aに正極を有するとともに第2端12bに負極を有し、他のバッテリセル12は、第1端12aに負極を有するとともに、第2端12bに正極を有する。
【0027】
各々の第1リード板20は、第1面P1に沿って位置する第1メイン部分20aと、回路基板16に接続された第1ターミナル部分20bとを有する。第1メイン部分20aは、複数のバッテリセル12の少なくとも一つの第1端12a(即ち、正極又は負極)に接続されている。特に限定されないが、本実施例では、第1メイン部分20aが、少なくとも一つのバッテリセル12の第1端12aにスポット溶接(抵抗溶接)によって接合されている。一方、第1ターミナル部分20bは、回路基板16にはんだ付けによって接合されている。
【0028】
同様に、各々の第2リード板22は、第2面P2に沿って位置する第2メイン部分22aと、回路基板16に接続された第2ターミナル部分22bとを有する。第2メイン部分22aは、複数のバッテリセル12の少なくとも一つの第2端12b(即ち、正極又は負極)に接続されている。特に限定されないが、本実施例では、第2メイン部分22aが、少なくとも一つのバッテリセル12の第2端12bにスポット溶接(抵抗溶接)によって接合されている。一方、第2ターミナル部分22bは、回路基板16にはんだ付けによって接合されている。
【0029】
図4、
図7に示すように、回路基板16は、第1側縁16aからその反対側に位置する第2側縁16bまで、第1面P1及び第2面P2と交差して延びている。即ち、本実施例における回路基板16は比較的に大型であり、第1側縁16aから第2側縁16bまでの幅が、バッテリセル12の長さよりも大きい。そのことから、
図4、
図8に示すように、各々の第1リード板20はさらに、第1メイン部分20aと第1ターミナル部分20bとの間に、第1延伸部分20cを有する。第1延伸部分20cは、第1面P1と角度を成す方向に延びており、第1メイン部分20aと第1ターミナル部分20bとの間の距離を大きくする。第1延伸部分20cは、第1メイン部分20aから見て、回路基板16の第1側縁16aに向けて延びている。これにより、
図4、
図7に示すように、第1リード板20の第1ターミナル部分20bは、第1側縁16aに近接しており、第1側縁16aと第1面P1との間に位置している。
【0030】
上記したバッテリパック10では、複数のバッテリセル12に隣接して、回路基板16が配置されている。そのことから、充電や放電に伴ってバッテリセル12が発熱したときに、回路基板16の温度も高温となりやすい。特に、回路基板16には複数のリード板20、22が接続されており、各々のリード板20、22は、少なくとも一つのバッテリセル12に接続されている。従って、バッテリセル12の熱が、リード板20、22を介して回路基板16に伝達されやすく、回路基板16の温度をさらに上昇させるおそれがある。
【0031】
上記の点に関して、本実施例のバッテリパック10では、複数の第1リード板20の各々に、第1延伸部分20cが設けられている。第1延伸部分20cは、第1メイン部分20aと第1ターミナル部分20bとの間に位置するとともに、第1面P1と角度を成す方向に延びている。第1延伸部分20cが設けられていることで、バッテリセル12に接続された第1メイン部分20aと、回路基板16に接続された第1ターミナル部分20bとの間の距離は大きくなる。これにより、バッテリセル12から第1リード板20を介して回路基板16に至る熱伝達を抑制することができる。
【0032】
加えて、第1ターミナル部分20bは、回路基板16において、第1面P1と第2面P2との間ではなく、第1側縁16aと第1面P1との間に位置している。即ち、第1ターミナル部分20bは、複数のバッテリセル12に対向する回路基板16の中央部分ではなく、その外側に位置する回路基板16の縁部に接続されている。このような構成によると、第1リード板20を介して回路基板16に伝達された熱が、回路基板16の縁部において放熱されやすく、回路基板16の温度上昇をさらに抑制することができる。加えて、複数の第1ターミナル部分20bが、回路基板16の第1側縁16aに近接して配置されることで、回路基板16の有効面積を大きくすることができる。
【0033】
一例ではあるが、本実施例における第1延伸部分20cは、回路基板16に沿って(例えば、回路基板16と平行に)延びている。ここで、回路基板16は、第1面P1及び第2面P2に対して略垂直(90±10度)である。従って、第1延伸部分20cは、第1メイン部分20aに対して略直角(90±10度)の角度を成している。但し、第1延伸部分20cは、回路基板16から離れた位置に設けられてもよい。第1延伸部分20cは、第1メイン部分20aと第1ターミナル部分20bとの間の距離を大きくする限りにおいて、その具体的な位置や形状は特に限定されない。この場合、第1延伸部分20cは、回路基板16と平行でなくてもよく、例えば45度や60度といった角度を成してもよい。
【0034】
図9に示すように、本実施例のバッテリパック10では、第1リード板20の第1延伸部分20cと回路基板16との間に、バッテリホルダ14の一部14aが介在している。このバッテリホルダ14の一部14aは、第1延伸部分20cから回路基板16への伝熱を抑制する断熱部材として機能する。なお、他の実施形態として、第1延伸部分20cと回路基板16との間には、バッテリホルダ14とは独立した断熱部材が設けられてもよい。その断熱部材は、バッテリホルダ14と同様に、絶縁材料で構成することができる。
【0035】
図7に示すように、本実施例のバッテリパック10では、回路基板16の第1側縁16aに、複数の第1切欠き42が設けられている。各々の第1切欠き42は、隣接する二つの第1ターミナル部分20bの間へ延びている。このような構成によると、回路基板16上における第1ターミナル部分20b間の絶縁性を高めることができる。また、第1ターミナル部分20bから回路基板16の中央部分への伝熱が抑制され、回路基板16の端部における放熱性を高めることもできる。
【0036】
本実施例のバッテリパック10では、上述した第1リード板20の構成が、第2リード板22にも採用されている。即ち、各々の第2リード板22にも、第2延伸部分22cが設けられている。第2延伸部分22cは、第2メイン部分22aと第2ターミナル部分22bとの間に位置するとともに、第2面P2と角度を成す方向に延びている。そして、第2ターミナル部分22bは、回路基板16において、第1面P1と第2面P2との間ではなく、第2側縁16bと第2面P2との間に位置している。第1リード板20と同様に、第2リード板22に第2延伸部分22cが設けられていることで、回路基板16の温度上昇を効果的に抑制することができる。また、回路基板16の有効面積を大きくすることができる。
【0037】
一例ではあるが、第2リード板22の第2延伸部分22cは、回路基板16に沿って(例えば、回路基板16と平行に)延びている。このような構成によると、第2延伸部分22cから回路基板16への伝熱が抑制されるとともに、第2延伸部分22cと回路基板16との間の絶縁性を高めることもできる。なお、第2延伸部分22cは、第2メイン部分22aに対して略直角(90±10度)の角度を成している。但し、第2延伸部分22cについても、回路基板16から離れた位置に設けられてもよく、回路基板16に対して例えば45度や60度といった角度を成してもよい。また、第2延伸部分22cと回路基板16との間には、バッテリホルダ14の一部が介在しており、それが断熱部材として機能する。
【0038】
本実施例のバッテリパック10では、回路基板16の第2側縁16bにも、複数の第2切欠き44が設けられている。各々の第2切欠き44は、隣接する二つの第2ターミナル部分22bの間へ延びている。このような構成によると、回路基板16上における第2ターミナル部分22b間の絶縁性を高めることができる。また、第2ターミナル部分22bから回路基板16の中央部分への伝熱が抑制され、回路基板16の端部における放熱性を高めることもできる。
【0039】
本実施例のバッテリパック10では、複数のバッテリセル12、複数のリード板20、22及び回路基板16が、バッテリホルダ14によって互いに固定されている。しかしながら、他の実施形態として、バッテリパック10はバッテリホルダ14を備えなくてもよい。複数のバッテリセル12、複数のリード板20、22及び回路基板16は、ハウジング18又はその他の一又は複数の部材によって、互いに固定されてもよい
【0040】
以上、いくつかの具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものである。
【符号の説明】
【0041】
10:バッテリパック
12:バッテリセル
14:バッテリホルダ
16:回路基板
18:ハウジング
20:第1リード板
22:第2リード板
24:外部接続端子
26:第1ホルダ本体
28:第2ホルダ本体
30:第1ホルダカバー
32:第2ホルダカバー
34:第1外側防水シート
36:第1内側防水シート
38:第2外側防水シート
40:第2内側防水シート
42:第1切欠き
44:第2切欠き