IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シスメックス株式会社の特許一覧

特許7195128検体分析装置の状態報知方法および検体分析システム
<>
  • 特許-検体分析装置の状態報知方法および検体分析システム 図1
  • 特許-検体分析装置の状態報知方法および検体分析システム 図2
  • 特許-検体分析装置の状態報知方法および検体分析システム 図3
  • 特許-検体分析装置の状態報知方法および検体分析システム 図4
  • 特許-検体分析装置の状態報知方法および検体分析システム 図5
  • 特許-検体分析装置の状態報知方法および検体分析システム 図6
  • 特許-検体分析装置の状態報知方法および検体分析システム 図7
  • 特許-検体分析装置の状態報知方法および検体分析システム 図8
  • 特許-検体分析装置の状態報知方法および検体分析システム 図9
  • 特許-検体分析装置の状態報知方法および検体分析システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】検体分析装置の状態報知方法および検体分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20221216BHJP
【FI】
G01N35/00 F
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018231227
(22)【出願日】2018-12-10
(65)【公開番号】P2020094844
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中野 洸輝
(72)【発明者】
【氏名】八尾 俊佑
(72)【発明者】
【氏名】梶野 祥平
(72)【発明者】
【氏名】才野 崇広
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 知弘
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-015313(JP,A)
【文献】特開2012-073203(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157516(WO,A1)
【文献】特開2008-070115(JP,A)
【文献】実開平05-070501(JP,U)
【文献】特開2011-209219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を分析する検体分析装置の状態を検知する検知工程と、
前記検知工程に応じて、上方へ光を照射する照射工程と、を含み、
光の照射と非照射を切り替える切り替え工程をさらに含み、
前記検知工程において、前記検体分析装置の異常状態を検知しなかった場合、
前記切り替え工程において、光の非照射に切り替え、
側方から光を発光する発光工程をさらに含み、
前記切り替え工程において、光の非照射に切り替えた場合、
前記発光工程において、側方から光を発光する、
検体分析装置の状態報知方法。
【請求項2】
前記検知工程において、前記検体分析装置の異常状態を検知した場合、
前記照射工程において、上方へ光を照射する、請求項1に記載の検体分析装置の状態報知方法。
【請求項3】
前記異常状態は、前記検体分析装置が正常に動作していない状態である、請求項2に記載の検体分析装置の状態報知方法。
【請求項4】
前記検体分析装置の異常状態として、検体の分析に使用する試薬が所定の残量以下になったことを検知した場合、
前記照射工程において、上方へ光を照射する、請求項2または3に記載の検体分析装置の状態報知方法。
【請求項5】
前記照射工程において、照射する光の色を変更する、請求項1からのいずれか1項に記載の検体分析装置の状態報知方法。
【請求項6】
前記発光工程において、光の発光色を変更する、請求項1から5のいずれか1項に記載の検体分析装置の状態
報知方法。
【請求項7】
検体を分析する検体分析装置と、
上方へ光を照射する照射部と、前記検体分析装置の状態に応じて光の照射状態を切り替えるように前記照射部を制御する制御部とを含み、前記検体分析装置に設置される報知装置と、を備え
前記照射部は、光を上方へ照射するための光学系を有し、
前記報知装置は、前記光学系を収容する筐体を含み、
前記筐体は、光を上方へ照射するための照射窓を上面に有し、
前記報知装置は、前記筐体の側面に設けられた発光部を含み、
前記制御部は、前記検体分析装置の状態に応じて、光の発光状態を切り替えるように前記発光部を制御し、
前記制御部は、前記検体分析装置が正常状態の場合、光を照射させないように前記照射部を制御し、光を発光させるように前記発光部を制御する、検体分析システム。
【請求項8】
前記筐体は、前記照射窓から照射される光の色を変更するカラーフィルタを交換可能に保持する、請求項に記載の検体分析システム。
【請求項9】
前記制御部は、光の照射と非照射を切り替えるように前記照射部を制御する、請求項7または8に記載の検体分析システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記検体分析装置が異常状態の場合、光を照射させるように前記照射部を制御する、請求項からのいずれか1項に記載の検体分析システム。
【請求項11】
前記検体分析装置は、検体の分析に使用する試薬の残量を検知するセンサを含み、
前記異常状態は、前記試薬が所定の残量以下になったことを前記センサによって検知した場合である、請求項10に記載の検体分析システム。
【請求項12】
前記正常状態は、前記検体分析装置が正常に動作している状態である、請求項7から11のいずれか1項に記載の検体分析システム。
【請求項13】
前記制御部は、光の発光色を変更するように前記発光部を制御する、請求項7から12のいずれか1項に記載の検体分析システム。
【請求項14】
前記検体分析装置の状態に応じて、制御信号を生成する情報処理装置をさらに備え、
前記制御部は、前記情報処理装置が生成した前記制御信号を受信し、前記制御信号に基づいて、前記照射部および前記発光部を制御する、請求項から13のいずれか1項に記載の検体分析システム。
【請求項15】
前記報知装置は、前記検体分析装置と分離して設置可能である、請求項から14のいずれか1項に記載の検体分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体分析装置の状態に応じた光を出力する検体分析装置の状態報知方法および検体分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体を分析する検体分析装置では、分析に使用する試薬がなくなった場合や通信異常が発生した場合のエラーや試薬の注入口等を含めた装置のクリーニングを推奨する警告といった、種々のイベントが発生し得る。このような検体分析装置について、発生したイベントに応じた光を出力することによって周囲のユーザに対して報知を行い、対応を促す技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、検体分析装置の上部に設置された警告灯が、検体分析装置の状態に基づいて発光する技術が開示されている。この技術によれば、ユーザは警告灯を確認することで検体分析装置の状態を把握し、把握した内容に応じて必要な対応を実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-61747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1に記載の技術を適用した検体分析装置では、装置の上部に設置された警告灯から出力される光をユーザが確認することによって、検体分析装置の状態を把握することができる。そして、ユーザは自身が把握した検体分析装置の状態に基づいて、例えば試薬の補充といった必要な対応を行うことができる。
【0006】
しかしながら、警告灯の出力する光を確認できるような位置に、必ずしもユーザがいるとは限らない。例えば、検体分析装置において緊急で対応する必要があるエラーが発生し、警告灯がエラーを示す光を出力した場合であっても、ユーザが検体分析装置の近傍にいない場合、ユーザはエラーを把握し、必要な対応を行うことができない。
【0007】
ここで、図10を参照して、従来技術における問題点について説明する。図10は従来技術における問題点の概要を示す模式図である。
【0008】
図示の例では、特許文献1に記載の検体分析装置と同様の、上部に警告灯600が設置された検体分析装置500が複数台、所定の空間に設置されている。ここで、個々の警告灯600は、接続先である個々の検体分析装置500の状態に応じた光で発光している。また、個々の検体分析装置500の大きさは異なっており、検体分析装置500以外の機器類も同一の空間内に設置されているものとする。さらに、ユーザは個々の検体分析装置500のそれぞれから離れた位置にいるものとする。
【0009】
例えば、ユーザと特定の検体分析装置500との間に、図示の例では半透明の直方体として示されているような、検体分析装置500より大きな別の装置等が配置されているものとする。このとき、この装置等を挟んでユーザの反対側に位置する特定の検体分析装置500に設置された警告灯600の光を、ユーザは視認することができない。ユーザは特定の検体分析装置500の状態を現在の位置からは把握できないので、特定の検体分析装置500の近傍まで移動する必要がある。
【0010】
複数台の検体分析装置500の状態について、装置の近傍に移動することなくユーザが把握する別の手段として、例えば監視室等に設置されたディスプレイに、個々の検体分析装置500から通信等の手段によって取得した情報を一覧形式で表示する技術も知られている。特定の検体分析装置500においてエラー等が検出されると、ディスプレイに表示されている特定の検体分析装置500を示す文字列を点滅させる等の技術を用いれば、ユーザは検体分析装置500の近傍に移動することなく、その状態を把握することができる。
【0011】
しかしながら、検体分析装置500において試薬切れ等のエラーが発生した場合、エラーを解消するためにはユーザが検体分析装置500の近傍まで移動し、試薬の補充等の作業を行う必要がある。ディスプレイに一覧形式で表示させる従来技術では、エラーが発生した検体分析装置500の実際の位置をユーザが把握することができない。ユーザは、例えばディスプレイからエラーが発生した検体分析装置500を把握した後、検体分析装置500の実際の配置位置について、空間の見取り図等の別の情報を参照してはじめて、検体分析装置500の近傍まで移動することができる。
【0012】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、検体分析装置から離れた位置からでも検体分析装置の状態を光によって報知し、かつ検体分析装置にユーザを誘導できる検体分析装置の状態報知方法、検体分析システムおよび検体分析装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る状態報知方法は、検体を分析する検体分析装置(100)の状態を検知する検知工程と、検知工程に応じて、上方へ光を照射する照射工程と、を含む。
【0014】
前記の構成によれば、状態報知方法によって、検体分析装置(100)の状態に応じて上方へ光を照射することができる。これにより、ユーザは上方に位置する天井等を照らし出す光を視認するだけで検体分析装置(100)の状態を把握することができる。また、天井等を照らし出す光に向かってユーザを移動させることにより、ユーザを検体分析装置(100)に誘導することができる。したがって、検体分析装置(100)から離れた位置からでも検体分析装置(100)の状態を光によって報知し、かつ検体分析装置(100)にユーザを誘導できる状態報知方法を実現することができる。
【0015】
本発明の別の態様に係る状態報知方法では、検知工程において、検体分析装置(100)の異常状態を検知した場合、照射工程において、上方へ光を照射する。
【0016】
前記の構成によれば、状態報知方法によって、検体分析装置(100)が異常状態であった場合に上方へ光を照射することができる。これにより、例えばユーザは検体分析装置(100)の異常状態が発生していることを、天井を照らし出す光から把握することができる。
【0017】
本発明の別の態様に係る状態報知方法では、異常状態は、検体分析装置(100)が正常に動作していない状態である。
【0018】
前記の構成によれば、状態報知方法によって、検体分析装置(100)が正常に動作していない場合に上方へ光を照射することができる。これにより、検体分析装置(100)が正常に動作していないことを確実に報知することができる。
【0019】
本発明の別の態様に係る状態報知方法では、検体分析装置(100)の異常状態として、検体の分析に使用する試薬が所定の残量以下になったことを検知した場合、照射工程において、上方へ光を照射する。
【0020】
前記の構成によれば、状態報知方法によって、検体分析装置(100)が検体の分析に使用する試薬が少ない場合に上方へ光を照射することができる。これにより、例えば試薬が完全になくなる前に、ユーザに試薬の補充を促すことができる。
【0021】
本発明の別の態様に係る状態報知方法では、光の照射と非照射を切り替える切り替え工程をさらに含み、検知工程において、検体分析装置(100)の異常状態を検知しなかった場合、切り替え工程において、光の非照射に切り替える。
【0022】
前記の構成によれば、状態報知方法によって、検体分析装置(100)の異常状態を検知しなかった場合は上方へ向けた光を非照射とすることができる。これにより、例えばユーザは天井に光が照射されていない位置に配置されている検体分析装置(100)が正常に動作しているとみなすことができる。
【0023】
本発明の別の態様に係る状態報知方法では、側方から光を発光する発光工程をさらに含み、切り替え工程において、光の非照射に切り替えた場合、発光工程において、側方から光を発光する。
【0024】
前記の構成によれば、状態報知方法によって、検体分析装置(100)の異常状態を検知しなかった場合は上方へ向けた光を非照射とするとともに、側方から光を発光することができる。これにより、例えばユーザは上方への光の照射および側方における発光の有無を確認するだけで、検体分析装置(100)が正常に動作しているか否かを把握することができる。
【0025】
本発明の別の態様に係る状態報知方法では、照射工程において、照射する光の色を変更する。
【0026】
前記の構成によれば、状態報知方法において、検体分析装置(100)の状態に応じて上方に照射する光の色を変更することができる。これにより、例えば検体分析装置(100)の重要度に応じて異なる色の光を照射するように設定し、天井を確認したときに重要度の高い色の光が照射されている位置の近傍に配置されている検体分析装置(100)をユーザに優先的に確認させることができる。
【0027】
本発明の別の態様に係る状態報知方法では、発光工程において、光の発光色を変更する。
【0028】
前記の構成によれば、状態報知方法において、側方から発光する光の色を変更することができる。これにより、例えば側方から発光する光の色を検体分析装置(100)の状態に応じて異ならせて、検体分析装置(100)の近傍に位置するユーザが側方の発光色に応じた対応を実施することができる。
【0029】
前記の課題を解決するために、本発明のさらに別の態様に係る検体分析システム(1)では、検体を分析する検体分析装置(100)と、上方へ光を照射する照射部(330)と、検体分析装置(100)の状態に応じて光の照射状態を切り替えるように照射部(330)を制御する制御部(320)とを含み、検体分析装置(100)に設置される報知装置(300)と、を備える。
【0030】
前記の構成によれば、検体分析システム(1)は検体分析装置(100)の状態に応じて報知装置(300)の照射部(330)が上方へ照射する光の照射状態を制御することができる。したがって、検体分析装置(100)から離れた位置からでも検体分析装置(100)の状態を報知装置(300)に光によって報知させ、かつ検体分析装置(100)にユーザを誘導させることができる検体分析システム(1)を実現することができる。
【0031】
本発明の別の態様に係る検体分析システム(1)では、照射部(330)は、光を上方へ照射するための光学系(315)を有する。
【0032】
前記の構成によれば、報知装置(300)は光学系(315)が上方へ照射した光によって検体分析装置(100)の状態を報知することができる。これにより、上方へ照射した光を他の方向に出力された光よりも明るくすることができるので、より確実に報知を行うことができる。
【0033】
本発明の別の態様に係る検体分析システム(1)では、報知装置(300)は、光学系(315)を収容する筐体(303)を含み、筐体(303)は、光を上方へ照射するための照射窓(301)を上面に有する。
【0034】
前記の構成によれば、報知装置(300)は筐体の上面に設けられた照射窓(301)から光を上方へ照射することができる。
【0035】
本発明の別の態様に係る検体分析システム(1)では、筐体(303)は、照射窓(301)から照射される光の色を変更するカラーフィルタ(310)を交換可能に保持する。
【0036】
前記の構成によれば、ユーザは報知装置(300)が上方へ照射する光の色を交換可能なカラーフィルタ(310)によって選択することができる。これにより、例えば検体分析装置(100)の重要度に応じて異なる色のカラーフィルタ(310)を選択し、天井を確認したときに重要度の高い色の光を照射している報知装置(300)に対応する検体分析装置(100)をユーザに優先的に確認させることができる。
【0037】
本発明の別の態様に係る検体分析システム(1)では、制御部(320)は、光の照射と非照射を切り替えるように照射部(330)を制御する。
【0038】
前記の構成によれば、報知装置(300)は上方に照射する光について、照射と非照射とを切り替えることができる。これにより、報知装置(300)は例えば、緊急で対応が必要なエラーのみ上方へ光を照射するようにし、ユーザが光をより確認しやすくすることができる。
【0039】
本発明の別の態様に係る検体分析システム(1)では、制御部(320)は、検体分析装置(100)が異常状態の場合、光を照射させるように照射部(330)を制御する。
【0040】
前記の構成によれば、報知装置(300)は検体分析装置(100)が異常状態であった場合に上方へ光を照射することができる。これにより、検体分析装置(100)の異常状態を確実に報知することができる。
【0041】
本発明の別の態様に係る検体分析システム(1)では、検体分析装置(100)は、検体の分析に使用する試薬の残量を検知するセンサ(115)を含み、異常状態は、試薬が所定の残量以下になったことをセンサ(115)によって検知した場合である。
【0042】
前記の構成によれば、検体分析装置(100)においてセンサ(115)が検知した試薬の残量が所定の残量以下となった場合に報知装置(300)は上方へ光を照射することができる。これにより、例えばユーザは天井を照らし出す光に基づいて、試薬の残量が少なくなっている検体分析装置(300)の近傍まで移動し、試薬の補充等を行うことができる。
【0043】
本発明の別の態様に係る検体分析システム(1)では、報知装置(300)は、筐体(303)の側面に設けられた発光部(340)を含み、制御部(320)は、検体分析装置の状態に応じて、光の発光状態を切り替えるように発光部(330)を制御する。
【0044】
前記の構成によれば、検体分析装置(100)の状態に応じて側面の発光部(340)を発光させることができる。これにより、例えばユーザは上方への光の照射および側方における発光の有無を確認するだけで、検体分析装置(100)が正常に動作しているか否かを把握することができる。
【0045】
本発明の別の態様に係る検体分析システム(1)では、制御部(320)は、検体分析装置(100)が正常状態の場合、光を照射させないように照射部(330)を制御し、光を発光させるように発光部(340)を制御する。
【0046】
前記の構成によれば、状態報知方法によって、報知装置(300)は、検体分析装置(100)の正常状態である場合、上方へ向けた光を非照射とするとともに、側方から光を発光することができる。
【0047】
本発明の別の態様に係る検体分析システム(1)では、正常状態は、検体分析装置(100)が正常に動作している状態である。
【0048】
前記の構成によれば、ユーザは上方への光の照射および側方における発光の有無を確認するだけで、検体分析装置(100)が正常に動作しているか否かを把握することができる。
【0049】
本発明の別の態様に係る検体分析システム(1)では、制御部(320)は、光の発光色を変更するように発光部(340)を制御する。
【0050】
前記の構成によれば、報知装置(300)は側方から出力する光の色を変更することができる。これにより、例えば検体分析装置(100)の状態等に応じて側方からの発光色を異ならせることができる。
【0051】
本発明の別の態様に係る検体分析システム(1)では、検体分析装置(100)の状態に応じて、制御信号を生成する情報処理装置(200)をさらに備え、制御部(320)は、情報処理装置(200)が生成した制御信号を受信し、制御信号に基づいて、照射部(330)および発光部(340)を制御する。
【0052】
前記の構成によれば、報知装置(300)は情報処理装置(200)が生成した制御信号に基づいて照射部(330)および発光部(340)を制御することができる。
【0053】
本発明の別の態様に係る検体分析システム(1)では、報知装置(300)は、検体分析装置(100)と分離して設置可能である。
【0054】
前記の構成によれば、報知装置(300)は検体分析装置(100)から離して設置することができるので、例えば検体分析装置(100)が別の機器等によって隠れた位置にある場合であっても天井のうち、ユーザが視認しやすい位置を照らし出すことができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、検体分析装置から離れた位置からでも検体分析装置の状態を光によって報知し、かつ検体分析装置にユーザを誘導できる検体分析装置の状態報知方法および検体分析システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】本発明の実施形態に係る検体分析システムの概要を示す斜視図である。
図2】検体分析システムの構成を示す図である。
図3】検体分析システムにおける報知装置の外観を示す投影図である。
図4】報知装置のハードウェア構成を示す分解図、および制御部の上面図である。
図5】報知装置の照射部および発光部の断面図である。
図6】検体分析システムにおいて検体分析装置が検出可能なエラーの一覧を示すエラーリストの一部である。
図7】検体分析システムにおいて情報処理装置が参照する、発光パターンと制御信号との対応を示す表の一例である。
図8】検体分析システムにおいて、(a)情報処理装置が実行する処理、(b)検体分析装置が実行する処理、および(c)報知装置が実行する処理、の一例を示すフローチャートである。
図9】検体分析システムによって、ユーザが離れた位置から検体分析装置の異常を把握する概要を示す模式図である。
図10】従来技術における問題点の概要を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
(検体分析システムの概要)
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る検体分析システム1の概要について説明する。図1は、本実施形態に係る検体分析システム1の概要を示す斜視図である。
【0058】
図1に示すように、検体分析システム1は、検体分析装置100、情報処理装置200、および報知装置300を備えている。検体分析システム1は、ワゴンや机等の上に設置された検体分析装置100が分析の対象である検体について分析を行い、分析した結果等を情報処理装置200にて出力するシステムである。なお、検体分析装置100は、分析の状況や装置の状態等に応じて、前面に配置されたインジケータ111を種々の発光パターンで発光させることができる。以下の説明において、検体分析システム1は種々の血液を検体として、その成分等を分析する検体分析装置100を一例として説明するが、血液以外の気体等を検体として分析する装置であってもよい。
【0059】
検体分析システム1は、検体分析装置100の状態に応じて情報処理装置200から送信された制御信号にしたがって、装置300の上部から上方へ光を照射する動作、および側方から光を出力させる動作を実行することができる。検体分析装置100の状態には、検体分析装置100が正常に動作していない状態である異常状態や、正常に動作している状態である正常状態が含まれる。図示の例では、報知装置300は、ワゴンの上、かつ検体分析装置100の上部に設置されており、検体分析システム1が天井を有する室内に設置されている場合、報知装置300は検体分析装置100の上部から上方へ照射した光によって天井の一定領域を照らし出すことで報知を行うことができる。
【0060】
(検体分析システムの構成)
次に、図2を参照して、本発明の実施形態に係る検体分析システム1の構成について説明する。図2は、本実施形態に係る検体分析システム1の構成を示す図である。図示の例において、実線の矢印は情報の流れを示しており、点線の矢印は電力の流れを示す。なお、図2に示すように、複数の検体分析システム1が設けられ、個々の検体分析システム1は、複数の検体分析システム1を統括して制御するホストコントローラ2によって制御されている。ホストコントローラ2はディスプレイ21を備え、個々の検体分析システム1の動作状況等について、ディスプレイ21に出力している。
【0061】
検体分析システム1は、検体分析装置100、情報処理装置200、および報知装置300を備えており、検体分析装置100は、2つの検体分析ユニット110を備えており、個々の検体分析ユニット110ごとに制御部113、インジケータ111、センサ115、および電源部119が設けられている。情報処理装置200は、ディスプレイ210、制御部220、記憶部230、および通信部240を備えている。報知装置300には、制御部320が設けられている。本実施形態では、検体分析装置100と報知装置300が別の装置である場合について例示しているが、例えば検体分析装置100が報知装置300を備える構成であってもよく、報知装置300が情報処理装置200と直接通信可能であってもよい。
【0062】
検体分析装置100は、外部電源400から供給された電力で動作する2つの検体分析ユニット110を備えている。検体分析装置100は、2つの検体分析ユニット110による検体の分析結果や、検体分析装置100が検出した個々の検体分析ユニット110を含めた各部の状態を通知する通知情報を情報処理装置200に送信している。なお、図2において、検体分析装置100は2つの検体分析ユニット110を備える構成であるが、検体分析装置100が1つまたは3つ以上の検体分析ユニット110を備える構成であってもよいし、2つの検体分析ユニット110は互いに異なるユニットであってもよい。検体分析装置100と情報処理装置200との間の通信は、例えばLAN(Local Area Network)ケーブルを用いた有線通信によって行われており、無線LANによる無線通信によって行われてもよい。
【0063】
検体分析装置100は、情報処理装置200から受信した制御信号について、報知装置300に送信している。ここで、制御信号は、報知装置300の上方へ光を照射する動作、および側方から光を発光させる動作を制御するための信号であり、検体分析装置100から情報処理装置200へ送信した通知情報に基づいて情報処理装置200が生成したものである。
【0064】
検体分析ユニット110は、検体に対する分析を行う。例えば、検体分析ユニット110は、検体である血液に対して所定のレーザーを照射した場合に得られた蛍光や散乱光に基づいて、血液中の各種成分の分類やカウント等を行っている。検体分析ユニット110による分析結果は、別の検体分析ユニット110に送信されてもよく、情報処理装置200に送信されてもよい。例えば、第1の検体分析ユニット110による分析結果を第2の検体分析ユニット110が引き継いで、さらなる分析を行ってもよい。
【0065】
個々の検体分析ユニット110は、制御部113、インジケータ111、センサ115、および電源部119を備えており、制御部113は集積回路(ICチップ)等によって形成されたCPU(Central Processing Unit)等の論理回路である。制御部113は、検体分析装置100や別の検体分析ユニット110等から取得した情報に基づいてインジケータ111やセンサ115を動作させることができる。インジケータ111は、個々の検体分析ユニット110および2つの検体分析ユニット110を含む検体分析装置100の動作状態等に応じた色やパターンで発光している。インジケータ111は、例えば複数の色の光を組み合わせて出力するLED(Light Emitting Diode)ライトである。センサ115は、検体分析ユニット110の状態、すなわち検体分析ユニット110を備える検体分析ユニットの状態を検知するセンサであり、例えば環境温度を検知する温度センサや検体の分析に使用する試薬の残量を重量によって検知する重量センサである。電源部119は外部電源400から取得した電力を制御部113に供給する、外部電源400と接続可能なコネクタを備えた電源回路である。
【0066】
情報処理装置200は、検体分析装置100から各種情報を受信し、受信した情報を処理することができる。情報処理装置200は、例えば、コンピュータ(Computer)である。ディスプレイ210は、情報処理装置200が検体分析装置100から受信した情報や、情報に対する制御部220の処理結果等を、音や映像等によって出力することができる。ディスプレイ210は、例えば、液晶ディスプレイである。
【0067】
制御部220は、情報処理装置200の各部を統括して制御する、例えば、集積回路(ICチップ)等によって形成されたCPU等の論理回路である。制御部220は、検体分析装置100から通信部240を用いて情報処理装置200が受信した情報について、記憶部230に記憶されているプログラムを実行することによって処理を行っている。そして、情報処理装置200が受信した情報や処理の結果について、制御部220はディスプレイ210に出力させている。
【0068】
制御部220は、検体分析装置100から情報処理装置200が通信部240を用いて受信した情報が検体分析装置100におけるエラーの発生等を通知する通知情報であった場合、記憶部230に記憶されている情報を参照して、通知情報の内容に対応する、報知装置300の発光パターンを決定することができる。そして、決定した発光パターンにしたがって報知装置300を発光させるための制御信号を生成し、通信部240から検体分析装置100を介して報知装置300へ送信している。
【0069】
記憶部230は、情報処理装置200にて扱う各種情報を記憶している。記憶部230は、例えば、制御部220にて実行可能なプログラムを記憶した、コンピュータで読み取り可能な記録媒体である。記憶部230は、制御部220によって参照される情報を記憶してもよく、例えば、検体分析装置100から情報処理装置200に送信された通知情報の内容と、報知装置300の発光パターンとを組み合わせた表を記憶してもよい。
【0070】
報知装置300は、情報処理装置200から検体分析装置100を介して受信した制御信号にしたがって、検体分析装置100の上部から上方へ光を照射する動作、および側方から光を発光させる動作を実行する。すなわち、報知装置300の制御部320は、制御信号にしたがって上方への光の照射および側方からの発光のそれぞれを制御することができる。制御部320は、例えば制御に必要なプログラムが書き込まれたPIC(Peripheral Interface Controller)である。図2に示すように、報知装置300は、例えば、検体分析ユニット110から電力の供給を受けて動作する構成であり、例えば、検体分析ユニット110とUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等のケーブルによって接続されることにより、制御信号と電力とを1本のケーブルで受信する構成である。報知装置300は、検体分析装置100の上方へ照射した光等によって、検体分析装置100の状態を報知する。
【0071】
報知装置300は、上方へ光を照射するための光源と、側方から光を発光させるための光源とが別の構成である。個々の光源は、例えば、LEDライトであり、上方へ照射する光と側方から発光させる光とが別の色となるよう、光源ごとに異なる色の光を出力している。また、個々の光源は、検体分析ユニット110が備えるインジケータ111と同様の色で光を出力してもよいし、互いに異なる色の光を出力してもよい。報知装置300は、上方へ照射した光が天井の一定領域を照らし出すよう、光を集光するレンズを内蔵している。なお、報知装置300は、上方へ照射した光が天井を照らし出すように配置されればよく、その配置場所は限定されない。例えば、報知装置300は、ケーブルの届く範囲で検体分析装置100から分離して設置可能である。
【0072】
(報知装置の外観)
図3を用いて、本発明の実施形態に係る報知装置300の外観を説明する。図3は、検体分析システム1における報知装置300の外観を示す投影図である。
【0073】
図示の例において、報知装置300は、筐体303に収容された円柱状の外観を備えており、筐体下部から1本のケーブル322が伸びている構成である。報知装置300は、筐体303の上面の中央部分に、光源からの光を上方へ照射するための照射窓301を備えている。
【0074】
報知装置300の筐体は、上半分、下半分、および底面がそれぞれ別部材となっており、筐体の上半分を構成する第1外装302は、半透明の材料で構成されている。そのため、報知装置300は、光源から出力された光を散乱させることにより、第1外装302の内側面を照らし出すことができる。
【0075】
第2外装321は、報知装置300の筐体の下半分を構成する。第2外装321は、制御部320を収容可能、かつケーブル322が側面を貫通可能なように形成されている。また、第2外装321は第1外装302を固定するフック構造等の構成を備えている。
【0076】
ケーブル322は、一方の端部が報知装置300の制御部320に接続されており、他端が検体分析装置100と接続可能なコネクタを備えたケーブルである。ケーブル322は、コネクタによって接続された検体分析装置100から受信した電力および制御信号を制御部320に供給することができる。
【0077】
(報知装置の内部構成)
図4を用いて、本発明の実施形態に係る報知装置300の内部構成を説明する。図4は、報知装置300のハードウェア構成を示す分解図、および制御部320の上面図である。
【0078】
図4の(a)に、報知装置300の分解図を示す。なお、図では上方への光の照射および側方からの光の発光に関する構成のみ例示しており、他の構成をさらに備えてもよく、一部の構成が別の部材によって代替されてもよい。報知装置300は、上面側から底面側に向かう順に、第1外装302、カラーフィルタ310、天面レンズ311、天面LED315、リフレクタ319、および制御部320を備えている。また、照射部330は、第1外装302、カラーフィルタ310、天面レンズ311、天面LED315、およびリフレクタ319を備える。照射部330は、報知装置300の筐体の上方へ光を照射するための構成である。また、上述した照射窓301は、第1外装302に形成されるので、照射窓301も照射部330に含まれる。同様に、発光部340は、リフレクタ319および制御部320を備える。発光部340は、報知装置300の筺体の側面に設けられ、側方から光を出力させるための構成である。リフレクタ319は、照射部330において、天面LED315からの光を上方に導き、かつ発光部340において、側面LED324からの光を側方に反射させる。
【0079】
カラーフィルタ310は、第1外装302の照射窓301を内側から覆うように配置され、天面LED315が出力した、照射窓301から上方に照射する光の色を限定するカラーフィルタである。カラーフィルタ310の色に制限はなく、ユーザは、例えば、赤、ピンク、青、緑、黄、透明といった様々な色のカラーフィルタ310を、必要に応じて交換することができる。カラーフィルタ310は照射窓301の内部に交換可能に保持されており、ユーザは上方へ照射する光の色を任意に変更することができる。
【0080】
天面レンズ311は、天面LED315が出力した光を集光する凸レンズである。天面レンズ311は、照射窓301から上方に出力された光が平行光となるように集光する。
【0081】
天面LED315は、制御部320から受信した電力によって発光し、光を報知装置300の上方へ照射するための光学系として機能する。報知装置300の上方に向けて光を照射することができる光源であれば、天面LED315は、例えば、LEDライトであり、レーザー等の他の光源であってもよい。なお、天面LEDがレーザー光源である場合、天面レンズ311は省略してもよい。
【0082】
制御部320は、ケーブル322を通して外部から受信した電力によって動作し、同じくケーブル322を通して外部から受信した制御信号にしたがって各部を動作させることができる。図4において、制御部320は内部基板と内部基板の上に配置されたPICの両方を含む。制御部320は、検体分析装置100の状態に応じて、情報処理装置200から送信された制御信号にしたがって、照射部330の光の照射状態を制御する。
【0083】
また、制御部320は、天面LED315に供給する電力の有無を制御することにより、照射部330における光の照射と非照射を切り替えることができる。制御部320は、例えば、検体分析装置100が異常状態の場合、情報処理装置200から送信された制御信号を検体分析装置100の制御部113を介して受信し、天面LED315に電力を供給することで照射部330に光を照射させる。一方、検体分析装置100が正常状態の場合、すなわち検体分析ユニット110のセンサ115が検体分析装置100の異常状態を検知しなかった場合、情報処理装置200から送信された制御信号を受信し、天面LED315に電力を供給しないことで天面LED315が光を非照射とするよう制御する。
【0084】
図4の(b)に制御部320の上面図を示す。制御部320は、上面の周縁部に沿って4つの側面LED324を備えており、その内側にディップスイッチ325を備えている。
【0085】
制御部320の内部基板上には、上面側の周縁部に沿って4つの側面LED324が設けられており、その内側にはディップスイッチ325が設けられている。そして、制御部320は、検体分析装置100の状態に応じて、情報処理装置200から送信された制御信号を検体分析装置100の制御部113を介して受信し、側面LED324を発光させる。
【0086】
側面LED324は、報知装置300が第1外装302の側方から光を出力させるための光を生成および出力する光源である。側面LED324は、制御信号に基づいた制御部320の制御にしたがって出力する光の色が変更可能な光源であり、複数の色の光源の組み合わせである。ディップスイッチ325は、側面LED324が特定の制御信号に応じて、出力する光の色を切り替えることができる切替スイッチである。すなわち、報知装置300は、ディップスイッチ325を切り替えることによって、第1外装302の側面から出力する光の色を変更している。
【0087】
(報知装置の動作例)
図5を参照して、報知装置300が上方に光を出射し、かつ側方から光を発光させる動作を説明する。図5は、報知装置300の照射部330および発光部340の断面図である。
【0088】
図示の例において、天面LED315は筒状に形成されたリフレクタ319の内側に配置されており、側面LED324はリフレクタ319の外側に配置されている。天面LED315が出力した光は、リフレクタ319の内側面で反射した後、または直接に天面レンズ311に入射する。天面レンズ311に入射した光は、境界面から上方へ照射され、カラーフィルタ310によって発光色が制限された後、照射窓301から出射される。このとき、天面レンズ311の作用によって、上方へ照射される光は拡散が抑制された、ほぼ平行な光線となる。
【0089】
一方、側面LED324が出力した光は、リフレクタ319の外側面で散乱した後、または直接に第1外装302に入射し、第1外装302の内側面を照らし出す。このとき、側面LED324が出力した光のうち、上方へ向かった光はリフレクタ319で反射されるため、天面レンズ311に入射することはない。リフレクタの作用によって、側面LED324が出力した光は第1外装302の内側面全体を照らし出すことができる。制御部320は、天面LED315が光を非照射とするよう制御するとともに、側面LED324に電力を供給することで報知装置300の側方から光を発光させてもよい。
【0090】
(エラーと発光パターンの組合せ例)
図6を参照して、検体分析装置100において発生し得るエラー、およびエラーに応じて報知装置300に発光させる発光パターンの組み合わせの具体例について説明する。図6は、検体分析システム1において、検体分析装置100が検出可能なエラーの一覧を示すエラーリスト231の一部である。すなわち、検体分析装置100は、図示の例を含めた種々のエラーを検出することが可能である。
【0091】
図示の例において、「No」は、エラーメッセージを一意に識別する識別子(ID)である。「エラーメッセージ」は、検体分析装置100にて検知されたエラーの内容を通知するメッセージであり、例えば、情報処理装置200のディスプレイ210から映像や音声等によって出力される。「本体LED」は、検体分析装置100の検体分析ユニット110が備えるインジケータ111の状態を示している。「報知装置」の「側面」は、報知装置300が側面から出力する光の色を示しており、「上方」は、報知装置300の上面に設けられた照射窓301から照射される光の色を示している。「発光パターン」は、「報知装置」の「側面」および「上方」の値の組み合わせを報知装置300の発光パターンとして設定したものである。
【0092】
例えば、「No」が「1」であるレコードは、「エラーメッセージ」が「環境温度が高い」であることを示している。このエラーは、例えば、検体分析装置100の周囲の環境温度が分析に大きな影響を与えるほど高いことを検体分析ユニット110のセンサ115が検出した場合に設定される。このとき、「本体LED」および「報知装置」の「側面」は、ともに「赤点灯」であり、「報知装置」の「上方」は「赤点滅」である。すなわち、検体分析装置100の検体分析ユニット110が備えるインジケータ111は、赤色に点灯し、報知装置300の側面からは赤色の光が出力される。そして、報知装置300の上方からは、赤色の光が断続的に出力される。
【0093】
「No」が「5」であるレコードは、「エラーメッセージ」が「スルホライザがなくなりました」であることを示している。このエラーは、例えば検体分析装置100が検体として血液の分析を実行するときに、分析に使用する試薬である「スルホライザ」が所定の残量以下になったことをセンサ115が検知した場合に設定される。このとき、「本体LED」は「橙点灯」であり、「報知装置」の「側面」は「緑点灯」であり、「上方」は「消灯(選択可)」である。ここで、「消灯(選択可)」は、照射部330における光の照射と非照射を選択的に変更できることを示している。すなわち、検体分析装置100の検体分析ユニット110が備えるインジケータ111は橙色に点灯し、報知装置300の側面からは緑色の光が出力される。そして、報知装置300の上部からは、ユーザの選択に基づいて光の照射が制御される。すなわち、光の発光の有無や発光色について、制御部320はユーザの選択に基づいて制御することができる。
【0094】
このように、検体分析装置100において検出されたエラーに応じて、報知装置300の発光パターンがユーザによって予め設定される。エラーリスト231は、例えば情報処理装置200の記憶部230に格納され、情報処理装置200を操作することによって、「報知装置」の「上方」の「消灯(選択可)」であるレコードの値を変更可能である。
【0095】
(制御信号の具体例)
図7を参照して、情報処理装置200から報知装置300に対して送信される、報知装置300の発光パターンを制御する制御信号について説明する。図7は、検体分析システム1において情報処理装置200が参照する、検体分析装置100において発生し得る各状態と、報知装置300に対する制御内容を示す制御信号とを対応付けた制御情報232の一例である。
【0096】
図示の例において、「発光パターン」は、報知装置300の天面LED315および側面LED324の発光動作の組み合わせを識別する識別子である。「制御信号」は、情報処理装置200から送信される制御信号の具体的な値を示しており、「1bit目」は制御信号の1bit目のバイナリ値であり、「2bit目」は制御信号の2bit目のバイナリ値を示している。すなわち、図示の例において、制御信号は、2bitの信号として示されている。「報知装置」の「上方」は、報知装置300の天面LED315の動作状態を示しており、「側面」は、側面LED324の動作状態を示している。「備考」は、「発光パターン」で指定された制御信号が、検体分析装置100のどのような場合に報知装置300に対して送信されるかを示している。なお、「発光パターン」は、図6の同名の項目に対応する。
【0097】
例えば、「発光パターン」が「1」である場合、情報処理装置200は、報知装置300に対して、1bit目および2bit目がともに「0」である、「00」の値を有する制御信号を送信する。報知装置300は、制御信号として「00」を受信すると、天面LED315および側面LED324をともに消灯させる。
【0098】
「発光パターン」が「2」である場合、情報処理装置200は、「01」の値を有する制御信号を送信する。報知装置300は、制御信号として「01」を受信すると、天面LED315については予め選択された内容に基づいて光の出力を制御させるとともに、側面LED324には緑の光を出力させる。
【0099】
このようにして、検体分析システム1において報知装置300は、情報処理装置200から送信された制御信号に基づいて発光を制御することができる。
【0100】
(処理の流れ)
図8を参照して、本発明の実施形態に係る検体分析システム1における動作の流れを説明する。図8は、検体分析システム1において、(a)情報処理装置200が実行する処理、(b)検体分析装置100が実行する処理、および(c)報知装置300が実行する処理、の一例を示すフローチャートである。
【0101】
まず、検体分析装置100において、動作中にエラーが検出された等の理由によって、検体分析装置100の状態(ステータス)が更新された場合(S11でYES)、検体分析装置100は、エラーリスト231等を用いて更新内容に対応する発光パターンを指定した通知信号を生成し、情報処理装置200に対して送信する(S12)。
【0102】
次に、情報処理装置200は、S12の処理によって検体分析装置100から送信された通知信号を受信すると(S1でYES)、制御情報232等を用いて通知内容に応じた制御信号を決定する(S2)。その後、情報処理装置200は、報知装置300を制御するための制御信号を検体分析装置100に対して送信する(S3)。以上で情報処理装置200の動作は終了する。
【0103】
検体分析装置100は、S3の処理によって情報処理装置200から送信された制御信号を受信すると(S13でYES)、受信した制御信号を報知装置300に転送する(S14)。以上で検体分析装置100の動作は終了する。
【0104】
報知装置300は、S14の処理によって検体分析装置100から転送された制御信号を受信すると(S21でYES)、受信した制御信号に基づいて天面LED315および側面LED324を用いた発光動作を行う(S22)。以上で報知装置300の動作は終了する。
【0105】
このようにして、本発明の実施形態に係る検体分析システム1では、検体分析装置100のステータスに応じて報知装置300の発光動作を制御することができる。
【0106】
(検体分析システムの利点)
図9を参照して、本発明の実施形態に係る検体分析システム1の利点について説明する。図9は、検体分析システム1によって、ユーザが離れた位置から検体分析装置100の異常を把握する概要を示す模式図である。
【0107】
図示の例では、複数の検体分析装置100が対応する報知装置300とともに天井を有する屋内に設置されており、ユーザは、個々の検体分析装置100から離れた位置にいる。本発明に係る検体分析システム1では、検体分析装置100のステータスに応じて報知装置300の発光動作が制御される。例えば、報知装置300は、検体分析装置100が正常に動作している場合は上方への光の照射は行わず、側方からの発光のみを行う。そして、検体分析装置100に対応が必要なエラーが発生した場合は、上方に光を照射し、天井の一定領域を照らし出す。これにより、ユーザは、天井を見渡したときに光が当たっている位置の下方に設置されている報知装置300に接続されている検体分析装置100において、対応が必要なエラーが発生していることを容易に把握することができる。そして、光に向かって移動することによって、対応が必要なエラーが発生している検体分析装置100の近傍に移動することができる。
【符号の説明】
【0108】
1 検体分析システム
100 検体分析装置
110 検体分析ユニット
111 インジケータ
115 センサ
200 情報処理装置
210 ディスプレイ
220 制御部
230 記憶部
232 制御情報
300 報知装置
301 照射窓
303 筐体
310 カラーフィルタ
315 天面LED(光学系)
320 制御部
330 照射部
340 発光部
2 ホストコントローラ
21 ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10