(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G11C 11/417 20060101AFI20221216BHJP
G11C 11/418 20060101ALI20221216BHJP
G11C 11/419 20060101ALI20221216BHJP
G11C 5/14 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
G11C11/417 120
G11C11/418 110
G11C11/419
G11C5/14 420
(21)【出願番号】P 2018237192
(22)【出願日】2018-12-19
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藪内 誠
(72)【発明者】
【氏名】田中 信二
【審査官】堀田 和義
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-115891(JP,A)
【文献】特開2008-103047(JP,A)
【文献】特開2012-234593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/417
G11C 11/418
G11C 11/419
G11C 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SOTB(Silicon on Thin Buried Oxide)トランジスタで形成されるメモリ回路と、
前記メモリ回路の動作速度を指定するモード指定回路とを備え、
前記メモリ回路は、
行列状に配置されたメモリアレイと、
前記SOTBトランジスタに基板バイアス電圧を供給することが可能な基板バイアス回路と、
前記メモリアレイの読出/書込動作に用いるタイミング信号を生成するタイミング信号生成回路とを含み、
前記基板バイアス回路は、
前記モード指定回路により前記メモリ回路を第1速度で動作させる第1動作モードが指定される場合、前記SOTBトランジスタに前記基板バイアス電圧を供給し、
前記モード指定回路により前記メモリ回路を前記第1速度よりも高速な第2速度で動作させる第2動作モードが指定される場合、前記SOTBトランジスタに前記基板バイアス電圧を供給せず、
前記タイミング信号生成回路は、
前記第1動作モードが指定される場合には、第1の遅延段による第1タイミング信号を生成し、
前記第2動作モードが指定される場合には、第2の遅延段による第2タイミング信号を生成し、
前記メモリ回路は、前記メモリアレイの書込動作をアシストすることが可能なアシスト回路を含み、
前記アシスト回路は、前記第1動作モードの場合には動作し、前記第2動作モードの場合には動作しない、半導体装置。
【請求項2】
前記SOTBトランジスタの閾値電圧は、前記基板バイアス電圧を供給する場合は前記基板バイアス電圧を供給しない場合よりも高い、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記タイミング信号生成回路は、前記第1動作モードあるいは前記第2動作モードの指定に従って前記第1の遅延段あるいは前記第2の遅延段とによる前記第1タイミング信号あるいは前記第2タイミング信号を切り替えて出力するセレクタ回路を含む、請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記アシスト回路は、前記書込動作時において、ビット線の電圧を第1の電圧から第2の電圧に変更する、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記メモリ回路は、前記第1動作モードの指定に従って前記アシスト回路を活性化させる活性化回路をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記アシスト回路は、前記書込動作時において、ワード線の電圧を第1の電圧から第2の電圧に変更する、請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
SOTB(Silicon on Thin Buried Oxide)トランジスタで形成されるメモリ回路と、
前記メモリ回路の動作速度を指定するモード指定回路とを備え、
前記メモリ回路は、
行列状に配置されたメモリアレイと、
前記SOTBトランジスタに基板バイアス電圧を供給することが可能な基板バイアス回路と、
前記メモリアレイの読出/書込動作に用いるタイミング信号を生成するタイミング信号生成回路とを含み、
前記基板バイアス回路は、
前記モード指定回路により前記メモリ回路を第1速度で動作させる第1動作モードが指定される場合、前記SOTBトランジスタに前記基板バイアス電圧を供給し、
前記モード指定回路により前記メモリ回路を前記第1速度よりも高速な第2速度で動作させる第2動作モードが指定される場合、前記SOTBトランジスタに前記基板バイアス電圧を供給せず、
前記タイミング信号生成回路は、
前記第1動作モードが指定される場合には、第1の遅延段による第1タイミング信号を生成し、
前記第2動作モードが指定される場合には、第2の遅延段による第2タイミング信号を生成し、
前記メモリ回路は、前記メモリアレイのバイアス電圧を調整することが可能な調整回路を含み、
前記調整回路は、前記第2動作モードの場合には動作し、前記第1動作モードの場合には動作しない、半導体装置。
【請求項8】
前記調整回路は、接地線とメモリセルとの間に設けられたスイッチ回路を含み、
前記スイッチ回路は、第2動作モードの場合にはオフし、前記第1動作モードの場合にはオンする、請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1および第2タイミング信号は、レジュームスタンバイ信号である、請求項1~8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
SOTB(Silicon on Thin Buried Oxide)トランジスタで形成されるメモリ回路と、
前記メモリ回路の動作速度を指定するモード指定回路とを備え、
前記メモリ回路は、
行列状に配置されたメモリアレイと、
前記SOTBトランジスタに基板バイアス電圧を供給することが可能な基板バイアス回路と、
前記メモリアレイの書込動作をアシストすることが可能なアシスト回路とを含み、
前記基板バイアス回路は、
前記モード指定回路により前記メモリ回路を第1速度で動作させる第1動作モードが指定される場合、前記SOTBトランジスタに前記基板バイアス電圧を供給し、
前記モード指定回路により前記メモリ回路を前記第1速度よりも高速な第2速度で動作させる第2動作モードが指定される場合、前記SOTBトランジスタに前記基板バイアス電圧を供給せず、
前記アシスト回路は、
前記第1動作モードが指定される場合には動作し、
前記第2動作モードが指定される場合には動作しない、半導体装置。
【請求項11】
SOTB(Silicon on Thin Buried Oxide)トランジスタで形成されるメモリ回路と、
前記メモリ回路の動作速度を指定するモード指定回路とを備え、
前記メモリ回路は、
行列状に配置されたメモリアレイと、
前記SOTBトランジスタに基板バイアス電圧を供給することが可能な基板バイアス回路と、
前記メモリアレイのバイアス電圧を調整することが可能な調整回路とを含み、
前記基板バイア
ス回路は、
前記モード指定回路により前記メモリ回路を第1速度で動作させる第1動作モードが指定される場合、前記SOTBトランジスタに前記基板バイアス電圧を供給し、
前記モード指定回路により前記メモリ回路を前記第1速度よりも高速な第2速度で動作させる第2動作モードが指定される場合、前記SOTBトランジスタに前記基板バイアス電圧を供給せず、
前記調整回路は、
前記第2動作モードが指定される場合には動作し、
前記第1動作モードが指定される場合には動作しない、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の微細化とともに、MOSトランジスタのばらつきが顕著に現れるようになってきている。これにより、例えば半導体装置に含まれるメモリユニット(代表的にはSRAM(Static Random Access Memory)モジュール)では、SRAMセルのばらつきを考慮したタイミング設計を行うことが重要となる。
【0003】
一方で、半導体装置の消費電力を低減する技術として、半導体装置の基板に基板バイアス電圧を印加する方式がある。基板バイアス電圧の印加によりSRAMセルの閾値電圧が高くなるためリーク電流を低減することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、SRAMセルのばらつきを考慮したタイミング設計をした場合であっても、基板バイアス電圧を印加した際には閾値電圧が変化するため動作タイミングも通常時と異なるタイミングに調整する必要がある。
【0006】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであって、動作マージンを改善することが可能な半導体装置を提供する。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある局面に従う半導体装置は、SOTB(Silicon on Thin Buried Oxide)トランジスタで形成されるメモリ回路と、メモリ回路の動作速度を指定するモード指定回路とを備える。メモリ回路は、行列状に配置されたメモリアレイと、SOTBトランジスタに基板バイアス電圧を供給することが可能な基板バイアス生成回路と、メモリアレイの読出/書込動作に用いるタイミング信号を生成するタイミング信号生成回路とを含む。基板バイアス生成回路は、モード指定回路によりメモリ回路を第1速度で動作させる第1動作モードが指定される場合、基板バイアス電圧をSOTBトランジスタに供給する。モード指定回路によりメモリ回路を第1速度よりも高速な第2速度で動作させる第2動作モードが指定される場合、基板バイアス電圧をSOTBトランジスタに供給しない。タイミング信号生成回路は、第1動作モードが指定される場合には、第1の遅延段による第1タイミング信号を生成し、第2動作モードが指定される場合には、第2の遅延段による第2タイミング信号を生成する。
【発明の効果】
【0009】
一実施例によれば、本開示の半導体装置は、動作マージンを改善することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に従う半導体装置1について説明する図である。
【
図2】実施形態1に従うメモリセルMCの構成を説明する図である。
【
図3】実施形態1に従うNチャネルMOSトランジスタおよびPチャネルMOSトランジスタの構造について説明する図である。
【
図4】実施形態1に従うメモリユニット2のデータ読出時の動作について説明する図である。
【
図5】実施形態1に従う基板バイアス電圧を印加した場合、基板バイアス電圧を印加しない場合のMOSトランジスタの特性の変化について説明する図である。
【
図6】実施形態1に従うタイミング調整回路16の回路構成について説明する図である。
【
図7】実施形態2に従うアシスト回路を説明する図である。
【
図8】実施形態2に従うワードドライバ調整回路140の回路構成について説明する図である。
【
図9】実施形態2に従う書込アシスト回路220の回路構成について説明する図である。
【
図10】実施形態3に従うバイアス調整回路について説明する図である。
【
図11】バイアス調整回路300の回路構成図である。
【
図12】実施形態4に従うタイミング調整回路の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0012】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に従う半導体装置1について説明する図である。
【0013】
図1を参照して、実施形態1による半導体装置1は、メモリユニット2と、周辺回路4と、メインコントローラ6と、基板バイアス生成回路8とを含む。半導体装置1は、2つの動作速度モードを有している。半導体装置1は、低速で動作する低速モード(第1動作モード)と、低速モードよりも高速で動作する通常モード(第2動作モード)とを有している。
【0014】
メインコントローラ6は、半導体装置1全体を制御する。
周辺回路4は、ロジック回路等である。
【0015】
基板バイアス生成回路8は、メモリユニット2に対して基板バイアスを生成して出力する。本例においては、基板バイアス電圧VBP,VBNをメモリユニット2に出力する。
【0016】
メインコントローラ6は、メモリユニット2を制御するための種々の制御信号を出力する。メインコントローラ6は、メモリユニット2の動作速度として通常モードと、通常モードよりも低速な速度で動作する低速モードとを選択して指定することが可能である。
【0017】
メインコントローラ6は、低速モードの場合に基板バイアス生成回路8に指示し、基板バイアス生成回路8は、PチャネルMOSトランジスタ用の基板バイアス電圧VBPおよびNチャネルMOSトランジスタ用の基板バイアス電圧VBNをメモリユニット2に供給する。一方 、通常モードの場合には、基板バイアス電圧VBPおよび基板バイアス電圧VBNを供給しない。上述の基板バイアス電圧VBPおよびVBNを供給しないとは、各々のPチャネルMOSおよびNチャネルMOSのソースと基板(ウエル領域)の電位を実質的に同じにさせる(ゼロバイアス電圧を供給する)ことを意味している。一例として、基板バイアス電圧VBPを電圧VDDおよび基板バイアス電圧VBNを0Vとする。
【0018】
メモリユニット2は、アドレス制御回路12と、ワード線駆動回路14、タイミング調整回路16と、メモリアレイ20と、列選択回路18と、コントローラ10と、書込ドライバ22と、センスアンプ回路24と、入出力バッファ回路26とを含む。
【0019】
メモリアレイ20は、第1方向に延伸する(m+1)本のワード線WL0~WLmと、第1方向と交差する第2方向に延伸する(n+1)個のビット線対(BL0,ZBL0)~(BLn,ZBLn)と、(m+1)本のワード線と(n+1)個のビット線対の交点に配置された複数のメモリセルMCを含む。各ビット線対は、相補信号を伝送する2本のビット線(例えばBL0とZBL0)で構成される。
【0020】
アドレス制御回路12は、制御信号TDECをトリガとしてメモリユニット2の外部アドレス端子からのアドレス信号A0~Ajをデコード(あるいはプリデコード)し、行選択信号X0~Xkと、列選択信号Y0~Yiを出力する。
【0021】
ワード線駆動回路14は、行選択信号X0~Xkに応じて(m+1)本のワード線のいずれか1本を選択(活性化)する。
【0022】
列選択回路18は、列選択信号Y0~Yiに応じて(n+1)個のビット線対のいずれか1個を選択する。
【0023】
タイミング調整回路16は、実施形態の主要な特徴の一つであり、詳細は後述するが制御信号TDECを入力として、制御信号SDBLを出力する。
【0024】
コントローラ10は、メモリユニット2の外部制御端子からの各種制御信号(WEN,CLK,CEN,RS)ならびに制御信号SDBLに応じて、制御信号TDEC、内部ライトイネーブル信号WE、センスアンプイネーブル信号SEを生成する。
【0025】
制御信号WENは、読出命令と書込命令とを識別するライトイネーブル信号である。
クロックCLKは、読出/書込動作の基準となるクロック信号である。
【0026】
制御信号CENは、クロック信号の有効・無効を制御するクロックイネーブル信号である。
【0027】
制御信号RSは、メモリユニット2に対して低消費電力モード(レジュームスタンバイモード)に入るように指示する信号である。
【0028】
制御信号BBSは、メモリユニット2に対して基板バイアス電圧を印加する際の信号である。
【0029】
入出力バッファ回路26は、メモリユニット2の外部データ端子からのデータ入力信号Diを取り込んで書込ドライバ22に伝送し、また、センスアンプ回路24からの出力信号を取り込んでデータ出力信号Doとして外部データ端子に出力する。
【0030】
書込ドライバ22は、内部ライトイネーブル信号WEに応じて入出力バッファ回路26からのデータを差動増幅し、前述した列選択回路18を介して所定のビット線対に伝送する。
【0031】
センスアンプ回路24は、センスアンプイネーブル信号SEをトリガとして、所定のビット線対からYSWを介して伝送された信号対を差動増幅し、入出力バッファ回路26に向けて出力を行う。
【0032】
図2は、実施形態1に従うメモリセルMCの構成を説明する図である。
図2を参照して、ここでは、4個のNMOSトランジスタMN1~MN4と、2個のPMOSトランジスタMP1,MP2を備えたSRAMメモリセルとなっている。
【0033】
NチャネルMOSトランジスタMN3は、ゲートがワード線WLに接続され、ソース・ドレインの一方が正極側のビット線BLに接続される。NチャネルMOSトランジスタMN4は、ゲートがWLに接続され、ソース・ドレインの一方が負極側のビット線ZBLに接続される。NチャネルMOSトランジスタMN1およびPチャネルMOSトランジスタMP1とNチャネルMOSトランジスタMN2およびPチャネルMOSトランジスタMP2は、それぞれ、電源電圧VCCと接地電源電圧VSSの間でCMOSインバータ回路を構成する。この2個のCMOSインバータ回路は、一方の入力が他方の出力に接続されることでラッチ回路を構成する。NチャネルMOSトランジスタMN4のソース・ドレインの他方は、CMOSインバータ回路(MN1,MP1)の入力(CMOSインバータ回路(MN2,MP2)の出力)に接続され、NチャネルMOSトランジスタMN3のソース・ドレインの他方には、CMOSインバータ回路(MN2,MP2)の入力(CMOSインバータ回路(MN1,MP1)の出力)に接続される。また、基板バイアス電圧VBNは、NチャネルMOSトランジスタMN1、MN2、MN3およびMN4へ供給され、基板バイアス電圧VBPは、PチャネルMOSトランジスタMP1およびMP2へ供給される。
【0034】
図3は、実施形態1に従うNチャネルMOSトランジスタおよびPチャネルMOSトランジスタの構造について説明する図である。
【0035】
図3に示されるように、実施形態1に従うMOSトランジスタは、SOI基板に形成される。具体的には、SOTB(Silicon on Thin Buried Oxide)トランジスタである。
【0036】
SOI基板は、シリコンからなる半導体基板(支持基板、基板)51と絶縁層BOXとその上部の半導体層(素子形成領域)SMとを有する。この半導体層(素子形成領域)SMは、素子分離領域STIで分離される。
【0037】
活性領域AcP1、AcN1は、素子分離領域STIで区画(分離)されている。絶縁層BOXは、例えば、10nm程度の膜厚を有する酸化シリコン膜からなり、半導体層SMを半導体基板51またはp型ウエル領域PWおよびn型ウエル領域NWから絶縁分離している。半導体層SMは、例えば、10~15nm程度の膜厚を有するシリコン膜によって形成されている。素子分離領域STIには、酸化シリコン膜(SiO)または窒化シリコン膜(SiN)と酸化シリコン膜(SiO)との積層膜等の素子分離膜が設けられている。
【0038】
活性領域(半導体層SM)AcN1の下部には絶縁層BOXが配置され、絶縁層BOXの下部にp型ウエル領域PWが配置されている。活性領域(半導体層SM)AcP1の下部には絶縁層BOXが配置され、絶縁層BOXの下部にn型ウエル領域NWが配置されている。p型ウエル領域PWおよびn型ウエル領域NWの下部には、半導体基板51との間に、n型の埋め込みウエル領域DNWが配置されている。また、半導体基板51の内部であって、半導体基板51の主面にp型ウエル領域PWならびにn型ウエル領域NWが形成されており、半導体層SMは、半導体基板51の主面上に絶縁膜BOXを介して形成されている。そして、素子分離領域STIで囲まれた半導体層SMまたは半導体基板51主面が活性領域を構成している。また、基板バイアス電圧VBNは、p型ウエル領域PWへ供給され、基板バイアス電圧VBPはn型ウエル領域NWへ供給される。
【0039】
NチャネルMOSトランジスタMN1とPチャネルMOSトランジスタMP1の構造を示している。なお、NチャネルMOSトランジスタMN2は、NチャネルMOSトランジスタMN1と同様の構造である。PチャネルMOSトランジスタMP1は、PチャネルMOSトランジスタMP2と同様の構造である。
【0040】
活性領域AcN1内の半導体層SM上には、ゲート絶縁膜52を介して、NチャネルMOSトランジスタMN1のn型のゲート電極GD1が形成されている。ゲート絶縁膜52は、例えば、膜厚2nmの酸窒化シリコン膜からなるが、酸化シリコン膜またはhigh-k膜と呼ばれる高誘電率膜等で構成することもできる。ゲート電極GD1は、n型不純物が導入された多結晶シリコン膜(ポリシリコン膜)からなる。ゲート絶縁膜52は、非常に薄い膜であり、例えば、絶縁膜BOXまたは素子分離膜の膜厚よりも薄い。
【0041】
NチャネルMOSトランジスタMN1のチャネル長方向(
図3の横方向)に、ゲート電極GD1は、対向する側壁を有しており、側壁上には、窒化シリコン膜からなるオフセットスペーサOSが形成され、ゲート電極GD1の側壁全体を覆っている。そして、オフセットスペーサOS上には、酸化シリコン膜からなる絶縁膜53および窒化シリコン膜からなる側壁絶縁膜SWが形成されている。絶縁膜53および側壁絶縁膜SWは、オフセットスペーサOSを介してゲート電極GD1の側壁全体を覆っている。
【0042】
チャネル長方向において、ゲート電極GD1を挟むように、ゲート電極GD1の両側に、それぞれ、n型低濃度半導体領域NMおよびn型高濃度半導体領域NHが形成されており、n型低濃度半導体領域NMおよびn型高濃度半導体領域NHは、NチャネルMOSトランジスタMN1のソース領域Sまたはドレイン領域Dとなっている。n型高濃度半導体領域NHのn型不純物濃度は、n型低濃度半導体領域NMのn型不純物濃度よりも高濃度であり、n型高濃度半導体領域NHは、n型低濃度半導体領域NMよりもゲート電極GN1から離れて配置されている。n型低濃度半導体領域NMおよびn型高濃度半導体領域NHは、絶縁層BOXに接している。なお、n型高濃度半導体領域NHは、半導体層SMと、半導体層SM上にシリコンを選択成長させたエピ層EPとに跨って形成されている。
【0043】
ゲート電極GD1およびn型高濃度半導体領域NHの表面(上面)にはシリサイド層SILが形成され、NチャネルMOSトランジスタMN1のソース領域S、ドレイン領域Dおよびゲート電極GD1の低抵抗化が図られている。NチャネルMOSトランジスタMN1のソース領域Sは、導電体であるプラグ導体層P1cを介して導電体である第1層配線M1に接続されている。プラグ導体層P1cは、NチャネルMOSトランジスタMN1を覆う層間絶縁膜54内に設けられている。第1層配線M1は、絶縁膜55に設けられた配線溝内に形成されている。
【0044】
活性領域AcP1内の半導体層SM上には、ゲート絶縁膜52を介して、PチャネルMOSトランジスタMP1のp型のゲート電極GL1が形成されている。ゲート絶縁膜52は、例えば、膜厚2nmの酸窒化シリコン膜からなるが、酸化シリコン膜またはhigh-k膜と呼ばれる高誘電率膜等で構成することもできる。ゲート電極GL1は、p型不純物が導入された多結晶シリコン膜(ポリシリコン膜)からなる。
【0045】
PチャネルMOSトランジスタMP1のチャネル長方向(
図3の横方向)に、ゲート電極GL1は、対向する側壁を有しており、側壁上には、窒化シリコン膜からなるオフセットスペーサOSが形成され、ゲート電極GL1の側壁全体を覆っている。そして、オフセットスペーサOS上には、酸化シリコン膜からなる絶縁膜53および窒化シリコン膜からなる側壁絶縁膜SWが形成されている。絶縁膜53および側壁絶縁膜SWは、オフセットスペーサOSを介してゲート電極GL1の側壁全体を覆っている。
【0046】
チャネル長方向において、ゲート電極GL1を挟むように、ゲート電極GL1の両側に、それぞれ、p型低濃度半導体領域PMおよびp型高濃度半導体領域PHが形成されており、p型低濃度半導体領域PMおよびp型高濃度半導体領域PHは、PチャネルMOSトランジスタMP1のソース領域Sまたはドレイン領域Dとなっている。p型高濃度半導体領域PHのp型不純物濃度は、p型低濃度半導体領域PMのp型不純物濃度よりも高濃度であり、p型高濃度半導体領域PHは、p型低濃度半導体領域PMよりもゲート電極GL1から離れて配置されている。p型低濃度半導体領域PMおよびp型高濃度半導体領域PHは、絶縁層BOXに接している。なお、p型高濃度半導体領域PHは、半導体層SMと、半導体層SM上にシリコンを選択成長させたエピ層EPとに跨って形成されている。
【0047】
ゲート電極GL1およびp型高濃度半導体領域PHの表面(上面)にはシリサイド層SILが形成され、PチャネルMOSトランジスタMP1のソース領域S、ドレイン領域Dおよびゲート電極GL1の低抵抗化が図られている。PチャネルMOSトランジスタMP1のソース領域Sは、導電体であるプラグ導体層P1aを介して導電体である第1層配線M1に接続されている。プラグ導体層P1aは、PチャネルMOSトランジスタMP1を覆う層間絶縁膜54内に設けられている。第1層配線M1は、絶縁膜55に設けられた配線溝内に形成されている。PチャネルMOSトランジスタMP1のソース領域Sに接続された第1層配線M1は、第2層配線M2からなる電源電位線VCCに接続されている。
【0048】
ここで、シリサイド層SILは、例えば、コバルトシリサイド(CoSi)層、チタンシリサイド(TiSi)層、ニッケルシリサイド(NiSi)層、プラチナ(Pt)含有ニッケルシリサイド(NiSi)層等で構成される。
【0049】
また、プラグ導体層P1cおよびP1aは、窒化タングステン(TiW)膜又は窒化チタン(TiN)膜等のバリア導体膜と、タングステン(W)の主導体膜との積層構造となっている。他のプラグ導体層P1b、P1d、P1e、P1f、P1g、P1h、P1i、P1jおよびシェアードコント導体層SCもプラグ導体層P1cおよびP1aと同様の構造である。
【0050】
また、第1層配線M1は、銅配線であり、バリア導体膜と、その上層の銅を主体とする主導体膜の積層構造で構成されている。バリア導体膜は、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、マンガン(Mn)およびこれらの窒化物や窒化珪化物、または、これらの積層膜から構成されている。銅を主体とする主導体膜は、銅(Cu)または銅合金(銅(Cu)とアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、In(インジウム)、ランタノイド系金属、または、アクチノイド系金属などの合金)から形成される。
【0051】
また、層間絶縁膜54は、酸化シリコン膜(SiO)からなり、絶縁膜55は、酸化シリコン膜(SiO)からなるが、炭素を含む酸化シリコン膜(SiOC膜)、窒素と炭素を含む酸化シリコン膜(SiCON膜)、フッ素を含む酸化シリコン膜(SiOF膜)の単層膜または積層膜で構成しても良い。
【0052】
図4は、実施形態1に従うメモリユニット2のデータ読出時の動作について説明する図である。
【0053】
図4を参照して、時刻T0において、ワード線WLが活性化されてデータ読出動作が実行される。
【0054】
メモリセルMCのデータに従ってビット線BL,ZBLの一方の電圧が低下する。
ここで、通常時においては、所定の期間経過後に制御信号SAEが活性化されてセンスアンプ回路24が動作し、読出データが出力される。
【0055】
一方で、基板バイアス生成回路8からメモリユニット2に対して基板バイアス電圧VBP,VBNを印加した場合には、メモリユニット2のトランジスタの閾値電圧が上昇する。
【0056】
図5は、実施形態1に従う基板バイアス電圧を印加した場合、基板バイアス電圧を印加しない場合のMOSトランジスタの特性の変化について説明する図である。
【0057】
図5に示されるように、電源電圧VCCは0.8Vで、閾値ばらつきの標準偏差δVtは0.02Vである場合について説明する。
【0058】
MOSトランジスタの閾値電圧Vthは、基板バイアス電圧が印加されていない場合には0.4Vと仮定する。一方、MOSトランジスタの閾値電圧Vthは、基板バイアス電圧が印加された場合には、0.6Vと仮定する。
【0059】
例えばメモリ設計において5.5σのばらつきを許容すると仮定する。その際に、MOSトランジスタのばらつきに従って、最も閾値が高いMOSトランジスタのMOSトランジスタのworstVthは、基板バイアス電圧が印加されていない場合には0.4+5.5*0.02=0.51Vに設定される。一方、最も閾値が高いMOSトランジスタのworstVthは、基板バイアス電圧が印加された場合には0.71Vに設定される。
【0060】
上述のworstVthの値に従ってメモリセル電流Idsの比は、基板バイアス電圧が印加されない場合を1倍とすると、基板バイアス電圧を印加した場合には0.173倍に減少する。
【0061】
一方、遅延段に流れる電流Ids_delayの比は、基板バイアス電圧が印加されない場合を1倍とすると、基板バイアス電圧を印加した場合には、0.354倍に減少する。
【0062】
したがって、基板バイアス電圧を印加した場合と、基板バイアス電圧を印加しない場合で電流量に差が生じる。
【0063】
すなわち、基板バイアス電圧を印加する場合には、メモリセル電流が遅延段に対して半分の電流量になるため2倍の遅延量が必要となる。
【0064】
図6は、実施形態1に従うタイミング調整回路16の回路構成について説明する図である。
【0065】
図6を参照して、タイミング調整回路16は、2種類の遅延段102,104と、セレクタ100とを含む。
【0066】
第1の遅延段102と、第2の遅延段104とは、制御信号TDECの入力を受けて所定期間信号を遅延させてセレクタ100に出力する。
【0067】
セレクタ100は、制御信号BBCに従って第1の遅延段102あるいは第2の遅延段104の出力を切り替える。
【0068】
一例として、第2の遅延段104は、第1の遅延段102の2倍の遅延量を有する。具体的には、タイミング調整回路16は、基板バイアス電圧を印加しない場合には、制御信号BBC(「L」レベル)に従って第1の遅延段102からの信号を制御信号SDBLとして出力する。一方、タイミング調整回路16は、基板バイアス電圧を印加する場合には、制御信号BBC(「H」レベル)に従って第2の遅延段104からの信号を制御信号SDBLとして出力する。
【0069】
これにより、タイミング調整回路16は、基板バイアス電圧を印加する場合において、メモリユニット2のトランジスタの閾値電圧が増加することによるMOSトランジスタの動作遅延に合わせた制御信号SDBLを出力する。コントローラ10は、当該制御信号SDBLに従って内部ライトイネーブル信号WE、センスアンプイネーブル信号SEを生成するため精度の高いタイミング調整を実行することが可能となる。
【0070】
(実施形態2)
図7は、実施形態2に従うアシスト回路を説明する図である。
【0071】
図7を参照して、本例においては、書込動作時に用いるアシスト回路が設けられている。
【0072】
具体的には、ワード線駆動回路14に対して設けられるワードドライバ調整回路140と、書込ドライバ22に対応して設けられる書込アシスト回路220とが設けられる。
【0073】
図8は、実施形態2に従うワードドライバ調整回路140の回路構成について説明する図である。
【0074】
図8を参照して、ワードドライバ調整回路140は、基板バイアス電圧を印加する場合と、基板バイアス電圧を印加しない場合で電源電圧を切り替える。
【0075】
具体的には、ワードドライバ調整回路140は、制御信号BBCの入力に従って電源電圧VCCから電源電圧VWLに切り替える。
【0076】
ワードドライバ調整回路140は、スイッチSW1,SW2と、インバータIVとを含む。スイッチSW1は、電源電圧VCCとワード線駆動回路14の電源ノードと接続され、そのゲートは制御信号BBCの入力を受ける。スイッチSW1,SW2は、PチャネルMOSトランジスタである。
【0077】
スイッチSW2は、電源電圧VWLとワード線駆動回路14の電源ノードと接続され、そのゲートはインバータIVを介する制御信号BBCの反転信号の入力を受ける。
【0078】
電源電圧VWLは、電源電圧VCCよりも電圧が高い。
制御信号BBC(「L」レベル)の入力に従ってスイッチSW1がオンする。この場合、スイッチSW2はオフしている。
【0079】
したがって、通常時には、電源電圧VCCがワード線駆動回路14の電源ノードに供給される。
【0080】
一方、基板バイアス電圧を印加する場合には、制御信号BBC(「H」レベル)が入力される。スイッチSW1はオフし、スイッチSW2はオンする。
【0081】
したがって、基板バイアス電圧を印加する場合には、電源電圧VWLがワード線駆動回路14の電源ノードに供給される。
【0082】
これにより、基板バイアス電圧の印加によりMOSトランジスタの閾値電圧が上昇するため書込動作マージンが低下する恐れがある場合に電源電圧VCCを電源電圧VWLに変更することにより書込動作マージンを改善することが可能となる。
【0083】
すなわち、基板バイアス電圧を印加する場合であってもメモリユニット2にデータを書き込むことが可能となる。
【0084】
図9は、実施形態2に従う書込アシスト回路220の回路構成について説明する図である。
【0085】
図9を参照して、書込アシスト回路220は、AND回路ADと、インバータIV2と、ドライバ221と、NチャネルMOSトランジスタ222と、容量素子223とを含む。
【0086】
AND回路ADは、制御信号BSTEと、制御信号BBCとの入力に基づいてAND論理演算結果を出力する。
【0087】
インバータIV2は、AND回路ADの出力を反転して、ドライバ221に出力する。
NチャネルMOSトランジスタ222は、書込ドライバ22の接地ノードN0と接地電圧GNDとの間に設けられ、インバータIV2の出力をゲートに受ける。
【0088】
容量素子223は、ドライバ221と接地ノードN0との間に設けられる。
動作について説明する。
【0089】
通常時は、AND回路ADは、「L」レベルを出力する。従って、インバータIV2は「H」レベルを出力する。NチャネルMOSトランジスタ222は、オンしており、接地ノードN0は接地電圧GNDと接続される。
【0090】
基板バイアス電圧を印加する場合には、制御信号BBCおよび制御信号BSTEは「H」レベルに設定される。これより、AND回路ADは「H」レベルを出力する。インバータIV2は「L」レベルを出力する。したがって、NチャネルMOSトランジスタ222はオフする。そして、ドライバ222は「L」レベルで信号線を駆動するため容量素子223を介してノードN0は負電圧に設定される。
【0091】
通常時の書込動作時に書込ドライバ22は、プリチャージされたビット線BL,ZBLの一方を接地電圧GND側に設定する。この場合、接地ノードは接地電圧GNDと接続されている。
【0092】
一方、基板バイアス電圧を印加する場合には、制御信号BBC(「H」レベル)および制御信号BSTE(「H」レベル)が入力される。NチャネルMOSトランジスタ222はオフする。そして、ノードN0は、負電圧に設定される。
【0093】
したがって、基板バイアス電圧を印加する場合には、負電圧が接地ノードに供給される。
【0094】
これにより、基板バイアス電圧の印加によりMOSトランジスタの閾値電圧が上昇するため書込動作マージンが低下する恐れがある場合に接地ノードN0を負電圧に設定することにより書込動作マージンを改善することが可能となる。
【0095】
すなわち、基板バイアス電圧を印加する場合であってもメモリユニット2にデータを書き込むことが可能となる。
【0096】
(実施形態3)
図10は、実施形態3に従うバイアス調整回路について説明する図である。
【0097】
図10を参照して、本例においては、低消費電力モード(レジュームスタンバイモード)時に用いる電源スイッチ304と、バイアス調整回路300とが設けられている。
【0098】
具体的には、電源スイッチ304は、周辺回路4と接続され、制御信号RSに従って電源の供給を停止する。これにより周辺回路4の消費電力を低減することが可能である。
【0099】
バイアス調整回路300は、メモリアレイ20に対して設けられ、メモリアレイ20の消費電力を低減する。具体的には、メモリアレイ20のメモリセルMCに流れる貫通電流を抑制することにより消費電力を低減する。
【0100】
図11は、バイアス調整回路300の回路構成図である。
図11を参照して、バイアス調整回路300は、AND回路306と、PチャネルMOSトランジスタ308と、NチャネルMOSトランジスタ310,312とを含む。
【0101】
NチャネルMOSトランジスタ312は、メモリセルMCの接地ノードN1と接地電圧GNDとの間に設けられる。NチャネルMOSトランジスタ310は、接地ノードN1とNチャネルMOSトランジスタ312のゲートと接続され、そのゲートはAND回路306の出力を受ける。
【0102】
PチャネルMOSトランジスタ308は、電源電圧VCCとNチャネルMOSトランジスタ312のゲートと接続され、そのゲートはAND回路306の出力を受ける。
【0103】
AND回路306は、制御信号RSと、制御信号BBCの反転信号との入力を受けてそのAND論理演算結果をPチャネルMOSトランジスタ308およびNチャネルMOSトランジスタ310のゲートに出力する。
【0104】
通常時は、制御信号RSは「L」レベルに設定される。したがって、AND回路306は「L」レベルを出力する。したがって、PチャネルMOSトランジスタ308がオンし、NチャネルMOSトランジスタ310はオフしている。
【0105】
PチャネルMOSトランジスタ308がオンするため電圧RSSWは「H」レベルに設定される。従って、NチャネルMOSトランジスタ312がオンする。電圧ARVSSは、接地電圧GNDレベルに設定される。
【0106】
低消費電力モード(レジュームスタンバイモード)時は、制御信号RSは「H」レベルに設定される。この場合、基板バイアス電圧は印加されていないものとする。すなわち、制御信号BBCは「L」レベルである。AND回路306は「H」レベルに設定される。
【0107】
したがって、PチャネルMOSトランジスタ308はオフする。NチャネルMOSトランジスタ310はオンする。これにより、ノードN1とNチャネルMOSトランジスタ312のゲートが電気的に接続される。すなわち、NチャネルMOSトランジスタ312はダイオード接続された状態となる。これにより、電圧ARVSSは、接地電圧GNDレベルからダイオード接続分上昇する。これによりメモリセルMCの接地ノードN1が高くなるためメモリセルMCに流れる貫通電流量を低減することが可能となる。
【0108】
一方、低消費電力モード(レジュームスタンバイモード)時に基板バイアス電圧を印加する場合には、メモリセルMCの閾値電圧が上昇する。これより、メモリセルMCの接地ノードN1の電圧が高いとリテンションマージンが小さくなり、データ破壊が生じる可能性がある。
【0109】
したがって、低消費電力モード(レジュームスタンバイモード)時は、基板バイアス電圧を印加する場合には、アシスト機能をオフする。すなわち、制御信号RSが「H」レベル、制御信号BBCが「H」レベルの場合にはAND回路306は「L」レベルを出力する。
【0110】
これにより、NチャネルMOSトランジスタ312がオンし、電圧ARVSSが接地電圧GNDに設定される。
【0111】
これにより、基板バイアス電圧の印加によりMOSトランジスタの閾値電圧が上昇するためデータ保持(リテンション)マージンが低下する恐れがある場合に、アシスト機能をオフする。すなわち、バイアス調整回路300を働かせないようにすることによりデータ保持マージンを改善することが可能となる。
【0112】
すなわち、基板バイアス電圧を印加する場合であってもメモリユニット2のデータ保持特性を維持することが可能となる。
【0113】
(実施形態4)
実施形態4においては、制御信号RSのタイミング調整について説明する。
【0114】
図12は、実施形態4に従うタイミング調整回路の回路構成図である。
図12を参照して、本例においては、制御信号RSのタイミング調整について説明する。
【0115】
インバータ群402,404,406と、セレクタ400とを含む。
セレクタ400は、制御信号RSのインバータ群402,404を介する遅延信号と、インバータ群402を介する遅延信号を選択する。
【0116】
セレクタ400により選択された遅延信号は、インバータ群406を介して制御信号RSOとして出力される。
【0117】
セレクタ400は、制御信号BBCによって遅延信号を切り替える。
一例として、セレクタ400は、基板バイアス電圧を印加しない場合には、制御信号BBC(「L」レベル)に従ってインバータ群402,404を介する遅延信号を選択して、インバータ群406を介して制御信号RSOとして出力する。
【0118】
一方、セレクタ400は、基板バイアス電圧を印加する場合には、制御信号BBC(「H」レベル)に従ってインバータ群402を介する遅延信号を選択して、インバータ群406を介して制御信号RSOとして出力する。
【0119】
これにより、タイミング調整回路は、低消費電力モード(レジュームスタンバイモード)に入ることを指示する制御信号RSを所定の遅延量を付加して遅延した制御信号RSOを出力することが可能である。
【0120】
一方で、基板バイアス電圧を印加する場合において、トランジスタの閾値電圧が増加することによるMOSトランジスタの動作遅延が生じる。したがって、制御信号RSOは、基板バイアス電圧を印加しない場合よりもさらに出力が遅くなる。
【0121】
この場合、低消費電力モード(レジュームスタンバイモード)を解除する場合でもすぐに解除されず、期間が長くかかる可能性がある。
【0122】
したがって、基板バイアス電圧を印加する場合において、トランジスタの閾値電圧が増加することによるMOSトランジスタの動作遅延を考慮して、インバータ群404を通過しない経路を設ける。そして、当該経路の信号を用いて制御信号RSOを出力する。
【0123】
これにより、低消費電力モード(レジュームスタンバイモード)を解除する場合でも、遅延量を変更することによりタイミングを調整することが可能である。これにより不要な動作遅延を抑制して、精度の高いタイミング調整を実行することが可能である。
【0124】
以上、本開示を実施形態に基づき具体的に説明したが、本開示は、実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0125】
1 半導体装置、2 メモリユニット、4 周辺回路、6 メインコントローラ、8 基板バイアス生成回路、10 コントローラ、12 アドレス制御回路、14 ワード線駆動回路、16 タイミング調整回路、18 列選択回路、20 メモリアレイ、22 書込ドライバ、24 センスアンプ回路、26 入出力バッファ回路。