(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】避難扉
(51)【国際特許分類】
E06B 7/32 20060101AFI20221216BHJP
E06B 3/48 20060101ALI20221216BHJP
E06B 3/32 20060101ALI20221216BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20221216BHJP
E05C 9/04 20060101ALI20221216BHJP
A62C 3/00 20060101ALI20221216BHJP
A62C 2/06 20060101ALI20221216BHJP
E21F 1/10 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
E06B7/32 B
E06B3/48
E06B3/32 Z
E06B3/46
E05C9/04
A62C3/00 J
A62C2/06 501
E21F1/10
(21)【出願番号】P 2018246729
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】平垣 駿
(72)【発明者】
【氏名】香西 統太
【審査官】素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-138774(JP,A)
【文献】特開2006-009291(JP,A)
【文献】特開2016-113853(JP,A)
【文献】特開平11-303261(JP,A)
【文献】実開昭61-187892(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00 - 7/36
E06B 3/04 - 3/46
E06B 3/50 - 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
避難連絡坑と車道トンネルを連通する車両用開口部を開閉する折り扉と、前記折り扉に形成された人道用開口部を開閉する引き戸と、を備えた避難扉において、
前記折り扉は、戸先側の第1扉体と戸尻側の第2扉体とからなり、前記折り扉の閉鎖姿勢時には、前記第1扉体の戸尻側に形成された開口半部と前記第2扉体の戸先側に形成された開口半部とが連続して前記人道用開口部を形成しており、
前記引き戸の引戸枠及びスライド扉は、前記第1扉体、前記第2扉体のいずれか一方の扉体に設けてある、
避難扉。
【請求項2】
前記引き戸は、第1スライド扉と第2スライド扉とからなる片引き戸であり、
前記引き戸の閉鎖姿勢時には、前記第1スライド扉が主として一方の開口半部を閉鎖し、前記第2スライド扉が主として他方の開口半部を閉鎖する、
請求項1に記載の避難扉。
【請求項3】
前記引戸枠は、前記一方の扉体に固定された第1部分と、前記一方の扉体の戸先側部位を越えて延出する第2部分と、からなり、
前記引戸枠の第1部分は、前記一方の扉体に形成された開口半部を囲むように前記一方の扉体に固定されており、
前記引戸枠の第2部分は、前記折り扉の閉鎖姿勢時に、他方の扉体に形成された開口半部を囲むように当該他方の扉体に近接ないし当接している、
請求項1、2いずれか1項に記載の避難扉。
【請求項4】
前記第1扉体は、第1見付面と、第2見付面と、前記開口半部の上側に位置する第1戸尻側部位と、前記開口半部の戸先側に位置する下側の第2戸尻側部位と、を備え、
前記第2扉体は、第1見付面と、第2見付面と、前記開口半部の上側に位置する第1戸先側部位と、前記開口半部の戸尻側に位置する下側の第2戸先側部位と、を備え、
前記第1扉体の上側の前記第1戸尻側部位と、前記第2扉体の上側の前記第1戸先側部位が回動可能に連結されており、
前記折り扉の閉鎖姿勢時において、前記第1扉体の下側の前記第2戸尻側部位と前記第2扉体の下側の前記第2戸先側部位の間に前記人道用開口部が形成されており、
前記引戸枠は、戸先側縦枠、戸尻側縦枠、上枠、下枠からなり、前記引戸枠の前記第1部分は、前記戸尻側縦枠と、前記上枠の第1部分と、前記下枠の第1部分と、からなり、前記引戸枠の前記第2部分は、前記戸先側縦枠と、前記上枠の第2部分と、前記下枠の第2部分と、からなり、
前記引戸枠の第1部分は、前記一方の扉体に形成された開口半部を囲むように前記一方の扉体の前記第1見付面に固定されており、
前記引戸枠の第2部分は、前記折り扉の閉鎖姿勢時に、前記他方の扉体に形成された開口半部を囲むように前記他方の扉体の前記第1見付面に近接対向している、
請求項3に記載の避難扉。
【請求項5】
前記第1扉体の上側の前記第1戸尻側部位、前記第2扉体の上側の前記第1戸先側部位のいずれか一方には目板部が設けられ、
前記目板部は、閉鎖姿勢時に、前記第1扉体の前記上側の第1戸尻側部位と、前記第2扉体の前記上側の第1戸先側部位の間の隙間を覆う、
請求項4に記載の避難扉。
【請求項6】
折り扉の閉鎖姿勢時に、前記第1扉体は上端部位、下端部位において躯体に係止し、前記第2扉体は上端部位、下端部位において躯体に係止することで折り扉の閉鎖姿勢が固定される、
請求項1~5いずれか1項に記載の避難扉。
【請求項7】
折り扉の閉鎖姿勢時に、前記他方の扉体が第1扉体の場合には、前記他方の扉体の下側の前記第2戸尻側部位と、前記引戸枠の前記戸先側縦枠とが係止され、
前記他方の扉体が第2扉体の場合には、前記他方の扉体の下側の前記第2戸先側部位と、前記引戸枠の前記戸先側縦枠とが係止される、
請求項4~6いずれか1項(請求項4の従属項に限る)に記載の避難扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避難連絡坑と車道トンネルとを連通する開口部に設置される避難扉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上り道と下り道が間隔を存して並行して走る高速道路等において、上り道と下り道のトンネル同士を連結する避難連絡坑が設けられる。避難連絡坑と車道トンネルとを連通する開口部には避難扉が設けてある。
【0003】
このような避難扉として、特許文献1に開示された避難連絡トンネル用の防災ドアは、該トンネルの開口部を開閉する折り扉と、該折り扉に設けた引き戸とから構成し、該折り扉を開放することで車両用避難開口部を形成し、該引き戸を開放することで人道用避難開口部を形成することを特徴としている。特許文献1に開示された避難連絡坑ドアは、2枚のパネルからなる第1折り扉と2枚のパネルからなる第2折り扉から構成され、第1折り扉の一方のパネルに引き戸を設けるものであり、部品点数が多いものとなっていた。
【文献】特開2002-138774
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、人道用開口部の開口幅をより大きく確保しつつ、よりシンプルな構造を備えた折り扉式の避難扉を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が採用した技術手段は、
避難連絡坑と車道トンネルを連通する車両用開口部を開閉する折り扉と、前記折り扉に形成された人道用開口部を開閉する引き戸と、を備えた避難扉において、
前記折り扉は、戸先側の第1扉体と戸尻側の第2扉体とからなり、前記折り扉の閉鎖姿勢時には、前記第1扉体の戸尻側に形成された開口半部(第1開口半部)と前記第2扉体の戸先側に形成された開口半部(第2開口半部)とが連続して前記人道用開口部を形成しており、
前記引き戸の引戸枠及びスライド扉は、前記第1扉体、前記第2扉体のいずれか一方の扉体に設けてある、
避難扉、である。
1つの態様では、折り扉が折れ曲がる側に引き戸が設けてある。後述する実施形態では、避難連絡坑側に折れ曲がる折り扉において、折り扉の避難連絡坑側に引き戸が設けてある。
【0006】
1つの態様では、前記引き戸は、第1スライド扉と第2スライド扉とからなる片引き戸であり、
前記引き戸の閉鎖姿勢時には、前記第1スライド扉が主として一方の開口半部を閉鎖し、前記第2スライド扉が主として他方の開口半部を閉鎖する。
第1スライド扉が主として一方の開口半部を閉鎖し、第2スライド扉が主として他方の開口半部を閉鎖する態様には、第1スライド扉が第1開口半部を閉鎖し、第2スライド扉が第2開口半部を閉鎖する場合、第1スライド扉が第1開口半部及び第2開口半部を僅かに閉鎖し、第2スライド扉が第2開口半部の大部分を閉鎖する場合、第2スライド扉が第2開口半部及び第1開口半部を僅かに閉鎖し、第1スライド扉が第1開口半部の大部分を閉鎖する場合、がある。
【0007】
1つの態様では、前記引戸枠は、前記一方の扉体に固定された第1部分と、前記一方の扉体の戸先側部位を越えて延出する第2部分と、からなり、
前記引戸枠の第1部分は、前記一方の扉体に形成された開口半部を囲むように前記一方の扉体に固定されており、
前記引戸枠の第2部分は、前記折り扉の閉鎖姿勢時に、他方の扉体に形成された開口半部を囲むように当該他方の扉体に近接ないし当接している。
1つの態様では、前記引戸枠及び前記スライド扉は、前記第2扉体に設けてあり、
前記引戸枠は、前記第2扉体に固定された第1部分と、前記第2扉体の戸先側部位を越えて延出する第2部分と、からなり、
前記引戸枠の第1部分は、前記第2開口半部を囲むように前記第2扉体に固定されており、
前記引戸枠の第2部分は、前記折り扉の閉鎖姿勢時に、前記第1開口半部を囲むように前記第1扉体に近接ないし当接している。
なお、前記引戸枠及び前記スライド扉を、前記第1扉体に設けもよく、この場合、
前記引戸枠は、前記第1扉体に固定された第1部分と、前記第1扉体の戸先側部位を越えて延出する第2部分と、からなり、
前記引戸枠の第1部分は、前記第1開口半部を囲むように前記第1扉体に固定されており、
前記引戸枠の第2部分は、前記折り扉の閉鎖姿勢時に、前記第2開口半部を囲むように前記第2扉体に近接ないし当接している。
【0008】
1つの態様では、前記第1扉体は、第1見付面と、第2見付面と、前記開口半部の上側に位置する第1戸尻側部位と、前記開口半部の戸先側に位置する下側の第2戸尻側部位と、を備え、
前記第2扉体は、第1見付面と、第2見付面と、前記開口半部の上側に位置する第1戸先側部位と、前記開口半部の戸尻側に位置する下側の第2戸先側部位と、を備え、
前記第1扉体の上側の前記第1戸尻側部位と、前記第2扉体の上側の前記第1戸先側部位が回動可能に連結されており、
前記折り扉の閉鎖姿勢時において、前記第1扉体の下側の前記第2戸尻側部位と前記第2扉体の下側の前記第2戸先側部位の間に前記人道用開口部が形成されており、
前記引戸枠は、戸先側縦枠、戸尻側縦枠、上枠、下枠からなり、前記引戸枠の前記第1部分は、前記戸尻側縦枠と、前記上枠の第1部分と、前記下枠の第1部分と、からなり、前記引戸枠の前記第2部分は、前記戸先側縦枠と、前記上枠の第2部分と、前記下枠の第2部分と、からなり、
前記引戸枠の第1部分は、前記一方の扉体に形成された開口半部を囲むように前記一方の扉体の前記第1見付面に固定されており、
前記引戸枠の第2部分は、前記折り扉の閉鎖姿勢時に、前記他方の扉体に形成された開口半部を囲むように前記他方の扉体の前記第1見付面に近接対向している。
後述する実施形態における態様では、前記第1扉体は、避難連絡坑側に位置する第1見付面と、車道トンネル側に位置する第2見付面と、前記第1開口半部の上側に位置する第1戸尻側部位と、前記第1開口半部の戸先側に位置する下側の第2戸尻側部位と、を備え、
前記第2扉体は、避難連絡坑側に位置する第1見付面と、車道トンネル側に位置する第2見付面と、前記第2開口半部の上側に位置する第1戸先側部位と、前記第2開口半部の戸尻側に位置する下側の第2戸先側部位と、を備え、
前記第1扉体の上側の前記第1戸尻側部位と、前記第2扉体の上側の前記第1戸先側部位が回動可能に連結されており、
前記折り扉の閉鎖姿勢時において、前記第1扉体の下側の前記第2戸尻側部位と前記第2扉体の下側の前記第2戸先側部位の間に前記人道用開口部が形成されており、
前記引戸枠は、戸先側縦枠、戸尻側縦枠、上枠、下枠からなり、前記引戸枠の前記第1部分は、前記戸尻側縦枠と、前記上枠の第1部分と、前記下枠の第1部分と、からなり、前記引戸枠の前記第2部分は、前記戸先側縦枠と、前記上枠の第2部分と、前記下枠の第2部分と、からなり、
前記引戸枠の第1部分は、前記第2開口半部を囲むように前記第2扉体の前記第1見付面に固定されており、
前記引戸枠の第2部分は、前記折り扉の閉鎖姿勢時に、前記第1開口半部を囲むように前記第1扉体の前記第1見付面に近接対向している。
【0009】
1つの態様では、前記第1扉体の上側の前記第1戸尻側部位、前記第2扉体の上側の前記第1戸先側部位のいずれか一方には目板部が設けられ、
前記目板部は、閉鎖姿勢時に、前記第1扉体の前記上側の第1戸尻側部位と、前記第2扉体の前記上側の第1戸先側部位の間の隙間を覆う。
後述する実施形態における態様では、前記第1扉体の上側の前記第1戸尻側部位、前記第2扉体の上側の前記第1戸先側部位のいずれか一方には、避難連絡坑側に位置して目板部が設けられ、
前記目板部は、閉鎖姿勢時に、前記第1扉体の前記上側の第1戸尻側部位と、前記第2扉体の前記上側の第1戸先側部位の間の隙間を、避難連絡坑側から覆う。
【0010】
1つの態様では、前記折り扉は、操作部の第1操作によって、躯体(例えば、枠体や床面)に対して係止状態となって閉鎖姿勢が維持され、前記操作部の第2操作によって、躯体に対する係止状態が解除されることで開放可能となる。
1つの態様では、折り扉の閉鎖姿勢時に、前記第1扉体は上端部位、下端部位において躯体(枠体の上枠、床面)に係止し、前記第2扉体は上端部位、下端部位において躯体(枠体の上枠、床面)に係止することで折り扉の閉鎖姿勢が固定される。
1つの態様では、折り扉の閉鎖姿勢時に、前記第1扉体の戸先側部位は躯体(枠体の戸先側縦枠)に係止される。
1つの態様では、前記引戸枠及び前記スライド扉は、前記第2扉体に設けてあり、折り扉の閉鎖姿勢時に、前記第1扉体の下側の前記第2戸尻側部位と前記引戸枠の前記戸先側縦枠とを係止する。
1つの態様では、前記引戸枠及び前記スライド扉は、前記第1扉体に設けてあり、折り扉の閉鎖姿勢時に、前記第2扉体の下側の前記第2戸先側部位と前記引戸枠の前記戸先側縦枠とを係止する。
1つの態様では、前記第1扉体の前記第1見付面に前記第1扉体の閉鎖姿勢を固定するための操作部が設けてある。
1つの態様では、前記第2扉体の避難連絡坑側には、前記第2開口半部の戸尻側に位置して、前記第1見付面から離間して高さ方向に延びる縦枠が設けられ、前記縦枠と前記第1見付面の間の空間を第1スライド扉、第2スライド扉が移動するようになっており、前記縦枠の見付面には前記第2扉体の閉鎖姿勢を固定するための操作部が設けてある。
1つの態様では、折り扉の閉鎖姿勢固定手段はグレモン錠であり、前記操作部はグレモンハンドルである。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、避難扉を折り扉から構成したので、初動は扉全体で圧力を受けるものの、折り扉を開放していくと戸先側に開口ができるため、徐々に折り扉の開放操作力が軽くなり、閉鎖姿勢時に風圧が作用している場合であっても、操作性が良い。
本発明では、折り扉の戸先側の第1扉体と戸尻側の第2扉体に跨って開口部を形成したので、一方の扉体に開口部を形成する場合に比べて、人道用開口部の開口幅を大きくとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】避難連絡坑側から見た避難連絡坑ドア(閉鎖姿勢)の正面図である。
【
図2】車道トンネル側から見た避難連絡坑ドア(閉鎖姿勢)の正面図である。
【
図4】避難連絡坑ドア(閉鎖姿勢)の横断面である。
【
図5】避難連絡坑ドアの折り扉の開放途中を示す横断面である。
【
図6】避難連絡坑ドア(折り扉が開放姿勢)の横断面図である。
【
図7】避難連絡坑ドア(閉鎖姿勢)の下側部位(人道用開口部)の横断面である。
【
図8】閉鎖姿勢にある引き戸の戸先側部位の横断面図である。
【
図9】折り扉の戸先側の扉体の下端部位を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る避難連絡坑ドアは、避難連絡坑と車道トンネルとを連通する開口部1に設置される。図中、Aは車道トンネル側、Bは避難連絡坑側を表しており、避難連絡坑の壁面をWで表している。
【0014】
開口部1は躯体に設けられた四周状の枠体2に囲まれた領域に形成されており、枠体2は、左右の縦枠20、21と、上枠22と、下枠23と、からなり、開口部1は、枠体2に取り付けられた折り扉によって開閉されるようになっている。本実施形態では、折り扉は、戸先側の第1扉体3と戸尻側の第2扉体4とからなる。第1扉体3の戸尻側部位と第2扉体4の戸先側部位が回動可能に連結されており、第1扉体3の戸先側端部は開口幅方向に移動可能に支持され、第2扉体4の戸尻側端部は枠体2に対して回動可能に支持されている。第1扉体3の幅寸法と第2扉体4の幅寸法は略同じである。
【0015】
第1扉体3の第1の幅寸法、第2扉体4の第2の幅寸法は、これらの合計が、開口部1の開口幅と略同じとなるような寸法を有しており、閉鎖姿勢にある第1扉体3及び第2扉体4によって、開口部1が閉鎖される(
図1、
図2、
図4)。第1扉体3及び第2扉体4からなる折り扉は、閉鎖姿勢から避難連絡坑側Bに突出するように折れ曲がって回動することで、開口部1を開放するようになっている(
図5)。開口部1は、車両の通行が可能な車両用開口部であり、
図6に示すように、第1扉体3及び第2扉体4が折り重なるように一方の躯体Wに沿って延びることで車道有効開口幅が得られる。避難連絡坑ドアを折り扉から構成することで、両開き扉から構成する場合に比べて(開放時の親扉、子扉のそれぞれの上方部位にハツリを形成する必要がある)、片側のみにハツリを形成すればよいので、天井部分のハツリ量を軽減することができる。折り扉(第1扉体3、第2扉体4の一方あるいは両方)の下方部位に上下動可能な係止ロッド(非限定的な例示として、引戸枠の戸先側縦枠9の外側見込面に設けることができる)を設け、係止ロッドを床面の所定位置に設けた係止孔に係止させて折り扉の開放姿勢を固定してもよい。
【0016】
折り扉の閉鎖姿勢時において、第1扉体3の戸尻側半部、第2扉体4の戸先側半部に跨るように人道用開口部としての開口部5が形成されており、開口部5の一方の半部(第1開口半部50)が第1扉体3に形成されており、開口部5の他方の半部(第2開口半部51)が第2扉体4に形成されている。開口部5は、第2扉体4に設けた第1スライド扉6と第2スライド扉7からなる片引き戸によって開閉される。折り扉の閉鎖姿勢時には、第1開口半部50は主として第1スライド扉6によって閉鎖され、第2開口半部51は主として第2スライド扉7によって閉鎖される。閉鎖姿勢の第1スライド扉6が第2扉体4の戸尻側に向かってスライド移動することで、第1開口半部50を開放し、さらに、第1スライド扉6と閉鎖姿勢の第2スライド扉7が第2扉体4の戸尻側に向かってスライド移動することで、第2開口半部51を開放して、開口部5を形成する。
【0017】
第1扉体3は、第1扉体3の閉鎖姿勢時において避難連絡坑側Bに位置する第1見付面30と、第1扉体3の閉鎖姿勢時において車道トンネル側Aに位置する第2見付面31と、第1扉体3の全高に亘って延びる戸先側端面32と、上側の第1戸尻側端面33と、第1戸尻側端面33に対して戸先側に位置する下側の第2戸尻側端面34と、第1戸尻側端面33の下端と第2戸尻側端面34の上端を連結する中間水平面35と、第1扉体3の全幅に亘って延びる上端面36と、第1扉体3の戸先側の半幅の下端に位置する下端面37と、を有する。第1扉体3の第1見付面30の幅方向略中央部位の所定高さには取手H3が設けてある。
【0018】
第1扉体3の上端面36の戸先側端部にはハンガーローラHRが設けてあり、ハンガーローラHRが上枠22内に開口幅方向に亘って延びるハンガーレール220上を転動することで、第1扉体3は、戸尻側を回動支点として回動しながら、戸先側端部が開口幅方向に移動する。さらに、第1扉体3の下端面37の戸先側端部にガイドローラGRを設け、下枠23に開口幅方向に亘って延びるように形成したガイドレール230上を転動するようにしてもよい(
図9参照)。第1扉体3の戸先側端部の上下をハンガーローラHR、ガイドローラGRによって支持して案内することで、安定した開閉動作が得られる。
【0019】
第1扉体3の中間水平面35、第2戸尻側端面34が、それぞれ、開口部5の第1開口半部50の上面、戸尻側側面となっている。第1扉体3の戸尻側部位は、開口部5の第1開口半部50の戸尻側の上側に位置する上側の第1戸尻側部位(第1戸尻側端面33とその近傍部位)と、開口部5の第1開口半部50の戸先側に位置する下側の第2戸尻側部位(第2戸尻側端面34とその近傍部位)と、からなる。
【0020】
第2扉体4は、第2扉体4の閉鎖姿勢時において避難連絡坑側Bに位置する第1見付面40と、第2扉体4の閉鎖姿勢時において車道トンネル側Aに位置する第2見付面41と、第2扉体4の全高に亘って延びる戸尻側端面42と、上側の第1戸先側端面43と、第1戸先側端面43に対して戸尻側に位置する下側の第2戸先側端面44と、第1戸先側端面43の下端と第2戸先側端面44の上端を連結する中間水平面45と、第2扉体4の全幅に亘って延びる上端面46と、第2扉体4の戸尻側の半幅の下端に位置する下端面47と、を有する。第2扉体4の戸尻側部位は、枠体2の戸尻側縦枠21の上下に位置して設けた回動支持部4aに回動可能に装着されている。
【0021】
第2扉体4の中間水平面45、第2戸先側端面44が、それぞれ、開口部5の第2開口半部51の上面、戸先側側面となっている。第2扉体4の戸先側部位は、開口部5の第2開口半部51の戸先側の上側に位置する上側の第1戸先側部位(第1戸先側端面43とその近傍部位)と、開口部5の第2開口半部51の戸尻側に位置する下側の第2戸先側部位(第2戸先側端面44とその近傍部位)と、からなる。
【0022】
第1扉体3の上側の第1戸尻側部位と第2扉体4の上側の第1戸先側部位は回動可能に連結されている。第1扉体3、第2扉体4の閉鎖姿勢時には、第1扉体3の第1見付面30と第2扉体4の第1見付面40は面一であり、第1扉体3の第2見付面31と第2扉体4の第2見付面41は面一であり、第1扉体3の上側の第1戸尻側端面33と第2扉体4の上側の第1戸先側端面43は近接対向しており、第1扉体3の下側の第2戸尻側端面34と第2扉体4の下側の第2戸先側端面44の間に開口部5が形成されている。
【0023】
図8に示すように、本実施形態では、第1扉体3の上側の第1戸尻側端面33と第2扉体4の上側の第1戸先側端面43はヒンジPによって回動可能に連結されている。ヒンジPの回動支点は、第1扉体3の第2見付面31、第2扉体4の第2見付面41に対して、車道トンネル側Aに位置している。折り扉の開放時には、ヒンジPの回動軸芯が避難連絡坑側Bに突出しながら第1扉体3と第2扉体4が折れ曲がる。
【0024】
図8に示すように、本実施形態では、第2扉体4の第1見付面40には、上側の第1戸先側端面43から突出するように目板部48が設けてある。折り扉の閉鎖姿勢時において、第2扉体4の第1見付面40の上側の第1戸先側部位に設けた目板部48の気密部材480が、第1扉体3の第1見付面30の上側の第1戸尻側部位に当接しており、目板部48によって、第1扉体3の上側の第1戸尻側端面33と第2扉体4の上側の第1戸先側端面43の間の隙間を避難連絡坑側Bから塞いでいる。
【0025】
第1スライド扉6は正面視長方形状のパネルであり、上端にはハンガーローラHR1が設けてあり、下端にはガイドローラGR1が設けてある。第1スライド扉6は、戸先側端面60、戸尻側端面61、避難連絡坑側Bに位置する第1見付面62、車道トンネル側Aに位置する第2見付面63、を備えており、第1見付面62、第2見付面63の戸先側部位には取手H4が設けてある。第2スライド扉7は正面視長方形状のパネルであり、上端にはハンガーローラHR2が設けてあり、下端にはガイドローラGR2が設けてある。第2スライド扉7は、戸先側端面70、戸尻側端面71、避難連絡坑側Bに位置する第1見付面72、車道トンネル側Aに位置する第2見付面73、を備えている。
【0026】
引戸装置の第1スライド扉6、第2スライド扉7は、閉鎖姿勢時の折り扉の避難連絡坑側Bに位置して開口部5を開閉するようになっており、第2扉体4には、避難連絡坑側Bに位置して引戸枠が設けてある。引戸枠は、戸先側縦枠9と、第1見付面40に突設した戸尻側縦枠10と、第1見付面40に突設した上枠11と、第1見付面40の下端から突設した下枠12と、からなる四方枠であり、戸先側縦枠9は、上枠11の先端と下枠12の先端間に支持されている。下枠12の下面122を、下枠23の上面よりも下方に位置させることで、下枠12の上面の高さと下枠23の上面の高さを略一致させて実質的な段差を無くすようにしている。
【0027】
引戸枠の戸先側縦枠9の内側見込面が、閉鎖姿勢にある第1スライド扉6の戸先側端面60の戸当たりとなっている。引戸枠の戸尻側縦枠10の内側見込面が、開放姿勢にある第1スライド扉6の戸尻側端面61、第2スライド扉7の戸尻側端面71の戸当たりとなっている。引戸枠の上枠11の内部には、段違い状の2本のハンガーレール110、111と、自閉装置DC3が設けてあり、上枠11の下方部位には、引戸の第1スライド扉6、第2スライド扉7の上端部が受け入れられている。引戸枠の下枠12には、ハンガーレール110、111の直下に位置して凸状のガイドレール120、121が設けてある。
【0028】
第1スライド扉6は、上端のハンガーローラHR1がハンガーレール110上を転動し、下端のガイドローラGR1がガイドレール120上を転動することで、左右方向にスライド移動可能となっている。第2スライド扉7は、上端のハンガーローラHR2がハンガーレール111上を転動し、下端のガイドローラGR2がガイドレール121上を転動することで、左右方向にスライド移動可能となっている。
【0029】
折り扉の閉鎖姿勢時には、第1扉体3の下側の第2戸尻側端面34と第2扉体4の下側の第2戸先側端面44の間に開口部5が形成されており、第1開口半部50は主として第1スライド扉6によって閉鎖され、第2開口半部51は主として第2スライド扉7によって閉鎖される。引き戸の閉鎖姿勢時において、第1スライド扉6の戸尻側部位と第2スライド扉7の戸先側部位が重なっている。
【0030】
引き戸の閉鎖姿勢時において、第1スライド扉6に設けた取手H4を用いて、第1スライド扉6を開放させることで、第1スライド扉6、第2スライド扉7を開放させるようになっている。より詳しくは、第1スライド扉6の第2見付面63の戸尻側部位には第1係止片630、第2係止片631が形成されており、第2スライド扉7の第1見付面72の戸先側部位には第1係止片720が形成されており、戸尻側部位には第2係止片721が形成されており、第2見付面73の戸尻側部位には第3係止片730が形成されている。引き戸の閉鎖姿勢時には、第1スライド扉6の第2見付面63の戸尻側部位と第2スライド扉7の第1見付面72の戸先側部位が離間対向しており、第1スライド扉6の第1係止片630と第2スライド扉7の第1係止片720が係合している(
図4参照)。第2スライド扉7の第3係止片730は、第2扉体4の第1見付面40において、第2戸先側端面44に隣接して形成した係止片440に係合している。第1スライド扉6が開放方向にスライド移動すると、戸尻側に移動する第1スライド扉6の第2係止片631が第2スライド扉7の第2係止片721に係合して、第1スライド扉6と第2スライド扉7が一体で開放方向にスライド移動して開放姿勢となる。
【0031】
引戸装置は、手動で開放した第1スライド扉6を自動で閉鎖させる自動閉鎖機構を備えている。開放姿勢から自動閉鎖機構によって第1スライド扉6が閉鎖方向にスライド移動すると、戸先側に移動する第1スライド扉6の第1係止片630が第2スライド扉7の第1係止片720に係合して、第1スライド扉6と第2スライド扉7が一体で閉鎖方向にスライド移動して閉鎖姿勢となる。自動閉鎖機構は、第1スライド扉6、第2スライド扉7の移動方向に水平に延びるワイヤαと、上枠9の戸先側部位に設けてあり、ワイヤαの戸先側を巻き取る自閉装置DC3と、上枠9の戸尻側部位に設けてあり、ワイヤαの戸尻側を巻き取る巻取装置112と、を備え、ワイヤαは、自閉装置DCによって、戸先側(閉鎖方向)に付勢されている。
【0032】
第1スライド扉6の上端に固定したハンガーローラHR1は、ワイヤαを挿通させる部位を備えると共に、ワイヤαには、挿通部位の戸尻側に位置して当接体(金具)が固定されている。第1スライド扉6の戸尻側(開放方向)への移動時には、前記挿通部位がワイヤα上の当接体を押すことで、ワイヤαは戸尻側(開放方向)へ引き出され、巻取装置112に巻かれていく。ワイヤαの戸先側(閉鎖方向)への移動に伴ってワイヤαに固定した当接体がハンガーローラHR1の挿通部位に当接して、ハンガーローラHR1を戸尻側から戸先側に向かって押すことで、第1スライド扉6が戸先側(閉鎖方向)に移動するようになっている。閉鎖姿勢にある第1スライド扉6を自閉装置DC3の付勢力に抗して手動で戸尻側(開放方向)にスライド移動させると、ワイヤαが自閉装置DC3から引き出されながら戸尻側へ移動して、第1スライド扉6、第2スライド扉7が開放姿勢となる。第1スライド扉6、第2スライド扉7は、例えばタイマーによって、開放姿勢を所定時間維持した後に、自閉装置DC3の閉鎖力によって、ワイヤαが閉鎖方向へ移動することに伴って戸先側へスライド移動して、開口部5を閉鎖する。
【0033】
引戸枠(上枠11、下枠12)の戸先側部位は、第2扉体4の上側の第1戸先側端面43を越えて延びる延出部位となっており、延出部位の先端に位置して、上枠11の戸先側端部と下枠12の戸先側端部間に戸先側縦枠9が固定支持されている。すなわち、引戸枠は、第2扉体4の第1見付面40に固定された第1部分と、第2扉体4の上側の第1戸先側端面43を越えて延出する第2部分と、からなる。より詳しくは、引戸枠の第1部分は、戸尻側縦枠10と、上枠11の戸尻側の第1部分と、下枠12の戸尻側の第1部分と、からなり、引戸枠の第2部分は、戸先側縦枠9と、上枠11の戸先側の第2部分と、下枠12の戸先側の第2部分と、からなる。
【0034】
引戸枠の第1部分(戸尻側縦枠10、上枠11及び下枠12の戸尻側部位)は、第2開口半部51を囲むように第2扉体4の第1見付面40に固定されており、引戸枠の第2部分(戸先側縦枠9、上枠11及び下枠12の戸先側部位)は、折り扉の閉鎖姿勢時に、第1開口半部50を囲むように第1扉体3の第1見付面30に近接対向している。折り扉の開放時には、引戸枠の第2部分が、第2扉体4の回動にしたがって第1扉体3の第1見付面30から離間するように回動する(
図5参照)。本実施形態では、開口部5が第1扉体3と第2扉体4に跨って形成されているものでありながら、引き戸の引戸枠及び第1スライド扉6及び第2スライド扉7が第2扉体4に設けてあり、折り扉の開閉時には第2扉体4と一体で回動するようになっている。
【0035】
本実施形態では、折り扉の閉鎖姿勢時において、第1扉体3の第2見付面31の戸先側端部は縦枠20に設けた気密部材Sに圧接されており、第2見付面31の上端部は上枠22に設けた気密部材Sに圧接されており、第2扉体4の第2見付面41の戸尻側端部は縦枠21に設けた気密部材Sに圧接されており、第2見付面41の上端部は上枠22に設けた気密部材Sに圧接されている。本実施形態では、折り扉(第1扉体3、第2扉体4)の閉鎖姿勢は、グレモン錠によってロックされることで固定される。
図1に示すように、本実施形態では、第1扉体3の閉鎖姿勢固定手段は、戸先側部位を枠体2の戸先側縦枠20に固定する係止部L1、下端部位を床面FLに固定する係止部L2、下側の戸尻側部位の下方部位を引戸枠の戸先側縦枠9に固定する係止部L3、上端部位の戸先側部位を枠体2の上枠22に固定する係止部L4、上端部位の戸尻側部位を枠体2の上枠22に固定する係止部L5、下側の戸尻側部位の下方部位を引戸枠の戸先側縦枠9に固定する係止部L6、を備えている。第2扉体4の閉鎖姿勢固定手段は、下端部位を床面FLに固定する係止部L7、上端部位を上枠22に固定する係止部L8を備えている。
【0036】
第1扉体3において、係止部L1~L6は、グレモンハンドルH1の回動操作(第1操作による係止、第2操作による係止状態解除)によって、施錠姿勢(係止姿勢)と解錠姿勢を取るようになっている。グレモンハンドルH1、係止部L1~L6は、第1扉体3の第1見付面30に設けてある。グレモンハンドルH1と係止部L2は下側垂直ロッド13によって連結されており、係止部L2と係止部L3は下側水平ロッド14によって連結されており、グレモンハンドルH1と係止部L4は上側垂直ロッド15によって連結されており、係止部L4と係止部L5は上側水平ロッド16によって連結されており、上側水平ロッド16の中間部位と係止部L6は上側垂直ロッド17によって連結されている。下側垂直ロッド13、下側水平ロッド14、上側垂直ロッド15、上側水平ロッド16、上側垂直ロッド17は、グレモンハンドルH1の回動操作に連動して軸方向に移動するようになっており、グレモンハンドルH1の回動操作によって、係止部L1~L6が施錠姿勢(係止姿勢)と解錠姿勢を取るようになっている。
【0037】
第2扉体4において、係止部L7、L8は、グレモンハンドルH2の回動操作(第1操作による係止、第2操作による係止状態解除)によって、施錠姿勢(係止姿勢)と解錠姿勢を取るようになっている。第2扉体4の避難連絡坑側Bには、第2開口半部51の戸尻側に位置して、第1見付面40から離間して高さ方向に延びる柱状の縦枠8が設けられ、縦枠8と第1見付面40の間の空間を第1スライド扉6、第2スライド扉7が移動するようになっている(
図7参照)。縦枠8の見付面80の所定高さ位置には、第2扉体4の閉鎖姿勢を保持する手段の操作部であるグレモンハンドルH2が設けてある。本実施形態では、縦枠8は第2扉体4の全高に亘って延びており、縦枠8の下端は、第1見付面40から避難連絡路側Bに突出する下枠12の先端側部位(避難連絡坑側Bの端部)に固定されており、縦枠8の上端は、第1見付面40に突設した支持部材81に固定されている。係止部L7、L8は、縦枠8の見付面80の上端部位、下端部位に設けてある。グレモンハンドルH2と係止部L7は下側垂直ロッド18によって連結されており、グレモンハンドルH2と係止部L8は上側垂直ロッド19によって連結されている。下側垂直ロッド18、上側垂直ロッド19は、グレモンハンドルH2の回動操作に連動して軸方向に移動するようになっており、グレモンハンドルH2の回動操作によって、係止部L7、L8が施錠姿勢(係止姿勢)と解錠姿勢を取るようになっている。
【0038】
図3、
図9を例にとって説明すると、グレモン錠は、グレモンハンドルと、グレモンハンドルの回動操作によって軸方向に移動するロッドと、ロッドの端部に設けられ、ロッドの軸方向の移動に連動して施錠姿勢と解錠姿勢をとる係止部材(
図3に180、190で例示、
図9に130で例示)と、躯体側に設けた受孔(
図3に181、191で例示、
図9に131で例示)とを備え、グレモンハンドルを施錠方向に回動することで、軸方向に移動するロッドを介して、係止部材(180、190、130)が施錠姿勢となって受孔(181、191、131)に係止して施錠状態となり、グレモンハンドルを解錠方向に回動することで、軸方向に移動するロッドを介して、係止部材(180、190、130)が解錠姿勢となって受孔(181、191、131)から脱して解錠状態となる。
【0039】
本実施形態では、枠体2の戸先側縦枠20の高さ方向の所定高さには避難連絡坑側Bに突出する受枠200が設けてあり、受枠200に係止部L1の受孔200Aが形成されており、係止部L1において、係止部材132が受孔200Aに係止することで、第1扉体3の戸先側端部と戸先側縦枠20が固定される。引戸枠の戸先側縦枠9の外側見込面には、下側に位置して、係止部L3の受孔141が形成されており、上側に位置して、係止部L6の受孔171が形成されており、係止部材140、170がそれぞれ受孔141、171に係止することで、係止部L3、L6において、第1扉体3の下側の戸尻側部位と引戸枠の戸先側縦枠9が固定される。
【0040】
このように構成された避難連絡坑ドアにおいて、通常時には、閉鎖姿勢にある折り扉によって開口部1が閉鎖され、閉鎖姿勢にある引き戸によって開口部5が閉鎖されている。災害時等に車両用開口部を形成したい場合には、グレモンハンドルH1を回動して第1扉体3の閉鎖姿勢のロックを解除し、グレモンハンドルH2を回動して第2扉体4の閉鎖姿勢のロックを解除し、取手H3を持って第1扉体3と第2扉体4を折り畳むように避難連絡坑B側に開放することで、折り扉を開放姿勢として車両用開口部を形成する。折り扉の開放時において、初動は扉全体(第1扉体3+第2扉体4)で圧力を受けるが、折り扉を開放していくと第1扉体3の戸先側から開口が形成されていくため、徐々に開放操作力が軽くなる。第1扉体3の開放に先立って、引き戸(第1スライド扉6、あるいは、第1スライド扉6及び第2スライド扉7)を開放し、折り扉の面部に作用する圧力を軽減してから折り扉を開放してもよい。
【0041】
災害時等に人道用開口部を形成したい場合には、取手H4を掴んで第1スライド扉6、第2スライド扉7を開放することで、折り扉の閉鎖姿勢を維持したままで、人道用開口部を形成することができる。人道用開口部を形成する開口部5は、第1扉体3と第2扉体4に跨って形成されているので、一方の扉体のみに人道用開口部を形成する場合に比べて、人道用開口部の幅を大きく確保し易い。
【符号の説明】
【0042】
1 開口部(車両用開口部)
20 戸先側縦枠(躯体)
22 上枠(躯体)
3 第1扉体(折り扉)
30 第1見付面
31 第2見付面
33 上側の第1戸尻側端面
34 下側の第2戸尻側端面
4 第2扉体(折り扉)
40 第1見付面
41 第2見付面
43 上側の第1戸先側端面
44 下側の第2戸先側端面
48 目板部
5 開口部(人道用開口部)
50 第1開口半部
51 第2開口半部
6 第1スライド扉(引き戸)
7 第2スライド扉(引き戸)
9 引戸枠の戸先側縦枠
10 引戸枠の戸尻側縦枠(躯体)
11 上枠
12 下枠
A 車道トンネル側
B 避難連絡坑側
L1~L8 係止部
FL 床面(躯体)