(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】改善された血清アルブミン結合性免疫グロブリン可変ドメイン
(51)【国際特許分類】
C07K 16/18 20060101AFI20221216BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20221216BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20221216BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20221216BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20221216BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221216BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
C07K16/18 ZNA
C12N15/13
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
(21)【出願番号】P 2018524454
(86)(22)【出願日】2016-10-28
(86)【国際出願番号】 EP2016076088
(87)【国際公開番号】W WO2017080850
(87)【国際公開日】2017-05-18
【審査請求日】2019-10-21
(32)【優先日】2015-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505166225
【氏名又は名称】アブリンクス エン.ヴェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】バイセ,マリー-アンジュ
【審査官】鈴木 崇之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/111550(WO,A1)
【文献】特表2014-501515(JP,A)
【文献】特表2012-532620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記配列:GFTFDTSSML(配列番号:13)であるCDR1(Abmによる)並びに
下記配列:VIHQSGTPTY(配列番号:14)であるCDR2(Abmによる)並びに
下記配列:FPSSRMKFDY(配列番号:15)であるCDR3(Abmによる)を有し、
ここで、
(Kabatによる)11位におけるアミノ酸残基は、L又はVから選択され、かつ
(Kabatによる)89位におけるアミノ酸残基は、T、V又はLから選択され、かつ
(Kabatによる)110位におけるアミノ酸残基は、T、K又はQから選択され、かつ
(Kabatによる)112位におけるアミノ酸残基は、S、K又はQから選択され、
これにより、
(i)89位はTであり;又は(ii)89位はLでありかつ11位はVであり;又は(iii)89位はLでありかつ110位はKもしくはQであり;又は(iv)89位はLでありかつ112位はKもしくはQであり;又は(v)89位はLでありかつ11位はVでありかつ110位はKもしくはQであり;又は(vi)89位はLでありかつ11位はVでありかつ112位はKもしくはQであり;又は(vii)11位はVでありかつ110位はKもしくはQであり;又は(viii)11位はVでありかつ112位はKもしくはQであり、
位置は、Kabatの番号付けによる、
血清アルブミンに結合する免疫グロブリンシングル可変ドメイン。
【請求項2】
C末端伸長(X)n(nは、1~10であり、各Xは、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)又はイソロイシン(I)からなる群より独立して選択される)を有する、請求項1記載の免疫グロブリンシングル可変ドメイン。
【請求項3】
(Kabatによる)1位におけるD及び/又はE1D突然変異を有する、請求項1又は2記載の免疫グロブリンシングル可変ドメイン。
【請求項4】
-配列番号:3の配列に対して、5つ以下のアミノ酸差(Kabatによる11、89、110又は112位における変異を考慮せず、C末端伸長を考慮しない)を有する、請求項1~3のいずれか一項記載の免疫グロブリンシングル可変ドメイン。
【請求項5】
下記アミノ酸残基:
-89Lとの組み合わせでの11V又は
-110Kもしくは110Qとの組み合わせでの11V、
-112Kもしくは112Qとの組み合わせでの11V、
-89L及び110Kもしくは110Qとの組み合わせでの11V又は
-89L及び112Kもしくは112Qとの組み合わせでの11Vを含む、請求項1~4のいずれか一項記載の免疫グロブリンシングル可変ドメイン。
【請求項6】
下記アミノ酸残基:
-11Vとの組み合わせでの89L又は
-110Kもしくは110Qとの組み合わせでの89L又は
-112Kもしくは112Qとの組み合わせでの89L又は
-11V及び110Kもしくは110Qとの組み合わせでの89L又は
-11V及び112Kもしくは112Qとの組み合わせでの89Lを含む、請求項1~5のいずれか一項記載の免疫グロブリンシングル可変ドメイン。
【請求項7】
下記アミノ酸残基:
-11Vとの組み合わせでの110Kもしくは110Q又は
-89Lとの組み合わせでの110Kもしくは110Q又は
-11V及び89Lとの組み合わせでの110Kもしくは110Qを含む、請求項1~6のいずれか一項記載の免疫グロブリンシングル可変ドメイン。
【請求項8】
下記アミノ酸残基:
-11Vとの組み合わせでの112Kもしくは112Q又は
-89Lとの組み合わせでの112Kもしくは112Q又は
-11V及び89Lとの組み合わせでの112Kもしくは112Qを含む、請求項1~7のいずれか一項記載の免疫グロブリンシングル可変ドメイン。
【請求項9】
下記アミノ酸残基:
-89Tを含む、請求項1~8のいずれか一項記載の免疫グロブリンシングル可変ドメイン。
【請求項10】
配列番号:72~99のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する、免疫グロブリンシングル可変ドメイン。
【請求項11】
下記配列:配列番号:72、配列番号:73、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:76、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:81、配列番号:82、配列番号:83、配列番号:84、配列番号:85、配列番号:86、配列番号:87、配列番号:88、配列番号:89、配列番号:90、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:94、配列番号:95、配列番号:96、配列番号:97、配列番号:98又は配列番号:99のうちの1つであるアミノ酸配列を有する、免疫グロブリンシングル可変ドメイン。
【請求項12】
下記配列:配列番号:78又は配列番号:92のうちの1つであるアミノ酸配列を有する、免疫グロブリンシングル可変ドメイン。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項記載の免疫グロブリンシングル可変ドメインを一つ以上含む、タンパク質、ポリペプチド、構築物、分子又は化学成分。
【請求項14】
請求項1~
12のいずれか一項記載の免疫グロブリンシングル可変ドメイン及び/又は請求項13記載のタンパク質又はポリペプチドをコードする核酸。
【請求項15】
請求項14記載の核酸を含む、及び/又は請求項1~
12のいずれか一項記載の免疫グロブリンシングル可変ドメイン又は請求項
13記載のポリペプチドを発現するホスト又はホスト細胞であって、ただしホストはヒトではない、ホスト又はホスト細胞。
【請求項16】
請求項1~
12のいずれか一項記載の免疫グロブリンシングル可変ドメイン、及び/又は請求項
13記載のポリペプチドを調製する方法であって、ホスト細胞が免疫グロブリンシングル可変ドメイン又はポリペプチドを産生するか、又は発現するような条件下で、請求項15記載のホスト細胞を培養すること又は維持すること、及びそのように産生された免疫グロブリンシングル可変ドメイン又はポリペプチドを単離することを含む、調製方法。
【請求項17】
請求項1~
12のいずれか一項記載の免疫グロブリンシングル可変ドメイン及び/又は請求項
13記載のタンパク質、ポリペプチド、構築物、分子又は化学成分を含む、組成物又は製品。
【請求項18】
処置に使用するための、請求項1~12のいずれか一項記載の免疫グロブリンシングル可変ドメイン又は請求項
13記載のタンパク質、ポリペプチド、構築物、分子又は化学成分。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血清アルブミンに結合するアミノ酸配列に関する。
【0002】
特に、本発明は、血清アルブミンに結合する、改善された免疫グロブリンシングル可変ドメイン(本明細書において、「ISV」又は「ISVD」とも呼ばれる)及びとりわけ、改善された重鎖免疫グロブリンシングル可変ドメイン並びにこのような改善された血清アルブミンバインダーを含むタンパク質、ポリペプチド及び他の構築物、化合物、分子又は化学成分に関する。
【0003】
本発明の他の態様、実施態様、特徴、使用及び利点は、本明細書における開示に基づいて、当業者に明らかであろう。
【0004】
本発明により提供される改善された血清アルブミン結合性ISVDは、本明細書において、「本発明の血清アルブミンバインダー」、「本発明のアルブミンバインダー」又は「血清アルブミンバインダー」もしくは「アルブミンバインダー」とも呼ばれる。また、少なくとも1つの本発明の血清アルブミンバインダーを含むタンパク質、ポリペプチド及び他の構築物、化合物、分子又は化学成分は、本明細書において、「本発明の化合物」又は「本発明のポリペプチド」とも呼ばれる。
【0005】
好ましくは、本発明のポリペプチドは、融合タンパク質である。
【0006】
本願において、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン中のアミノ酸残基/位置は、Kabatに従ったナンバリングにより示されるであろう。便宜上、
図1に、本明細書において具体的に言及されるであろうアミノ酸位置の一部と、幾つかの代替的なナンバリングシステム(例えば、Aho及びIMGT。注記:特に断りない限り、本説明及び特許請求の範囲については、Kabatナンバリングが決定的であり、他のナンバリングシステムは、参考のためのみに提供される)に従ったそのナンバリングとを列記する表を提供する。
【0007】
CDRに関して、当技術分野において周知のように、VH又はVHHフラグメントのCDRを定義し、説明するための複数の慣例、例えば、Kabat定義(配列可変性に基づき、最も一般的に使用される)及びChothia定義(構造的なループ領域の位置に基づく)が存在する。例えば、ウェブサイトhttp://www.bioinf.又はg.uk/abs/が参照される。本明細書及び特許請求の範囲の目的で、Kabatに従って、CDRが言及されている場合であっても、CDRは、最も好ましくは、Abm定義に基づいて定義される(同定義は、Oxf又はd Molecular's AbM抗体モデリングソフトウェアに基づいている)。同時、これが、Kabat定義とChothia定義との間の最適な折衷案であると考えられる。再度、ウェブサイトhttp://www.bioinf.又はg.uk/abs/が参照される。
【0008】
血清アルブミンに結合することができるISVD及びその使用は、当技術分野において、例えば、WO第2004/041865号、同第2006/122787号、EP第2139918号、WO第2011/006915号、同第2012/175400号及び同第2014/111550号から周知である。これらの文献には、血清アルブミン結合性ISVD並びに、治療化合物、部分及び成分の(これらの用途において定義された)血清半減期を伸ばすためのその使用が記載されている。
【0009】
本発明は、特に、WO第2011/006915号及び同第2014/111550号に開示された血清アルブミンバインダーと比較して、改善された血清アルブミンバインダーを提供することを目的とする。これらの2つのPCT出願から公知の血清アルブミンバインダーの代表的な例は、以下の表Aにおいて、「参照A」~「参照D」それぞれとして提供される。これらの参照配列のアライメントを、
図2に提供される。これらの参照化合物のCDR(の組み合わせ)(Kabat及びAbm慣例それぞれに従った)は、表Bに列記される。
【0010】
とりわけ、本発明は、表Aに言及された血清アルブミン結合性ISVDの変異体であり、一部の健康なヒト対象及び患者からの血清に存在する場合がある干渉要因(一般的には、「既存の抗体」と呼ばれる)による結合性が低下している、改善された血清アルブミン結合性ISVDを提供することを目的とする。WO第12/175741号、同第2013/024059号が参照され、例えば、Holland et al.(J. Clin. Immunol. 2013, 33(7):1192-203)及び、譲受人により2015年5月13日付で出願され、発明の名称「改善された免疫グロブリン可変ドメイン」である同時係属中の未公開PCT出願PCT/EP第2015/060643号(WO第2015/173325号として2015年11月19日に公開)も参照される。
【0011】
【0012】
【0013】
本明細書において更に記載されたように、本発明の血清アルブミンバインダーは、好ましくは、参照A、B、C又はDのうちの1つに存在するのと同じ組み合わせのCDR(すなわち、CDR1、CDR2及びCDR3)有し、最も好ましくは、(同じCDRを有する)参照C又は参照Dに存在するのと同じ組み合わせのCDRを有する。
【0014】
表Aに列記された血清アルブミンバインダーの中でも、配列番号:4のバインダーは、C末端アラニン伸張、すなわち、通常のC末端配列VTVSS(配列番号:113、配列番号:1~3のバインダーに存在するのと同じ)と比較して、ISVD配列のC末端におけるアラニン残基(「114位」と呼ばれる場合もある)を有する。WO第12/175741号に(例えば、同第2013/024059号にも)記載されているように、このC末端アラニン伸張は、いわゆる「既存の抗体」(IgGであると推測される)がISVのC末端領域に位置する仮想のエピトープに結合するのを妨げることができる。このエピトープは、他の残基の中でも、C末端配列VTVSSの表面露出アミノ酸残基及び14位におけるアミノ酸残基(及びアミノ酸配列における同残基の次/同残基近くの、例えば、11、13及び15位におけるアミノ酸残基)を含むと推定され、83位におけるアミノ酸残基(及びアミノ酸配列における同残基の次/同残基近くの、例えば、82、82a、82b及び84位におけるアミノ酸残基)及び/又は108位におけるアミノ酸残基(及びアミノ酸配列における同残基の次/同残基近くの、例えば、107位におけるアミノ酸残基)も含む場合がある。
【0015】
一方、このようなC末端アラニン(又は一般的に、C末端伸張)の存在により、一定範囲の対象(健康な対象と患者との両方)からの血清に見出すことができる「既存の抗体」の結合性を相当低下させる(かつ、多くの場合には、本質的に完全に妨げさえする)ことができるが、一部の対象からの血清(例えば、一部の免疫性疾患、例えば、SLEを有する患者からの血清)は、ISVがこのようなC末端アラニン(又はより一般的には、このようなC末端伸張)を含有する場合がであっても、ISVのC末端領域に(このような領域が露出している場合)結合することができる既存の抗体を含有する場合があることが見出されている。再度、譲受人により2015年5月13日付で出願され、発明の名称「改善された免疫グロブリン可変ドメイン」である同時係属中の未公開PCT出願PCT/EP第2015/060643号が参照される。
【0016】
したがって、本発明の1つの具体的な目的は、表Aに列記された血清アルブミン結合性ISVDの変異体であり、いわゆる「既存の抗体」及び特に、PCT/EP第2015/060643号に記載された種類の「既存の抗体」(すなわち、C末端伸張の存在下でも、ISVの露出したC末端領域に結合することができるような既存の抗体)による結合性が低下している、血清アルブミンバインダーを提供することである。
【0017】
一般的には、本発明は、下記アミノ酸残基(すなわち、配列番号:1~4の配列と比較した変異)
-89T又は
-11Vとの組み合わせでの89L又は
-110Kもしくは110Qとの組み合わせでの89L又は
-112Kもしくは112Qとの組み合わせでの89L又は
-11V及び110Kもしくは110Qとの組み合わせでの89L又は
-11V及び112Kもしくは112Qとの組み合わせでの89L又は
-110Kもしくは110Qとの組み合わせでの11V又は
-112Kもしくは112Qとの組み合わせでの11V
を含む、配列番号:1~4の配列の変異体(及び特に、配列番号:3又は配列番号:4の配列の変異体)である血清アルブミン結合性ISVを提供することにより、この目的を達成する。
【0018】
具体的な態様では、本発明の血清アルブミンバインダーにおいて、
-11位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、L、V又はKから選択され、かつ
-89位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、T、V又はLから適切に選択され、かつ
-110位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、T、K又はQから適切に選択され、かつ
-112位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、S、K又はQから適切に選択され、
これにより、
(i)89位はTであり;又は(ii)110位はKもしくはQであり;又は(iii)112位はKもしくはQであり;又は(iv)89位はLでありかつ11位はVであり;又は(v)89位はLでありかつ110位はKもしくはQであり;又は(vi)89位はLでありかつ112位はKもしくはQであり;又は(vi)89位はLでありかつ11位はVでありかつ110位はKもしくはQであり;又は(vii)89位はLでありかつ11位はVでありかつ112位はKもしくはQであり;又は(viii)11位はVでありかつ110位はKもしくはQであり;又は(ix)11位はVでありかつ112位はKもしくはQである。
【0019】
本発明により提供されるアミノ酸配列の中でも、(場合により、110Kもしくは110Qの変異及び/又は112Kもしくは112Qの変異との適切な組み合わせ及び特に、110K又は110Qの変異との組み合わせにおいて)89位がTであり又は11位がVでありかつ89位がLであるアミノ酸配列が特に好ましい。場合により、110K又は110Qの変異と共に、11位がVでありかつ89位がLであるアミノ酸配列が更により好ましい。
【0020】
本発明のアミノ酸配列は、好ましくは、(ヒト)血清アルブミンに、100nMより良好、好ましくは、50nMより良好な親和性で結合する。例えば、参照A又は参照Bそれぞれの変異体である本発明のアルブミンバインダーは、WO第2011/006915号において参照A又は参照Bそれぞれについて記載されたのとほぼ同じ(ヒト)血清アルブミンに対する親和性を有することができ、そして同様に、参照C及び/又は参照Dそれぞれの変異体である本発明のアルブミンバインダーは、WO第2014/111550号において参照C及び/又は参照Dそれぞれについて記載されたのとほぼ同じ(ヒト)血清アルブミンに対する親和性を有することができる(ここで、親和性は、WO第2011/006915号又は同第2014/111550号それぞれに記載されたように測定される)。
【0021】
また、本発明により提供されるアルブミンバインダー並びにそれを含む化合物及びポリペプチドは、(本明細書において更に記載されたように)好ましくは、1時間超、好ましくは2時間超、より好ましくは6時間超、例えば、12時間超及び例えば、約1日、2日、1週間、2週間かつ最大、ヒトにおける血清アルブミンの半減期(約19日と推定される)である、ヒトにおける(t1/2ベータと定義される)半減期を有する。ただし、後者はより重要ではない場合がある。
【0022】
例えば、参照A又は参照Bそれぞれの変異体である本発明のアルブミンバインダーは、参照A又は参照Bそれぞれの半減期に匹敵する(及び好ましくは、これらとほぼ同じ)、ヒトにおける半減期を有することができる(再度、WO第2011/006915号を参照のこと)、そして同様に、参照C及び/又は参照Dそれぞれの変異体である本発明のアルブミンバインダーは、参照C及び/又は参照Dそれぞれの半減期に匹敵する(及び好ましくは、これらとほぼ同じ)、ヒトにおける半減期を有することができる(再度、WO第2014/111550号を参照のこと)。
【0023】
また、参照A又は参照Bそれぞれの変異体であるアルブミンバインダーを含む本発明の化合物又はポリペプチドは、本発明のアルブミンバインダーに代えて、参照A又は参照Bそれぞれを有する同じ化合物又はポリペプチドの半減期に匹敵する(及び好ましくは、これらとほぼ同じ)、ヒトにおける半減期を有することができ、そして同様に、参照C又は参照Dそれぞれの変異体であるアルブミンバインダーを含む本発明の化合物又はポリペプチドは、参照C又は参照Dそれぞれを有する同じ化合物又はポリペプチドの半減期に匹敵する(及び好ましくは、これらとほぼ同じ)、ヒトにおける半減期を有することができる。
【0024】
表Cに、本発明の血清アルブミンバインダーにおける11、89、110及び112位に存在する場合があるアミノ酸残基の幾つかの非限定的な可能性のある組み合わせを列記する。特に好ましい組み合わせは、太字で示され、最も好ましい組み合わせは、太字/下線で示される。
【0025】
【0026】
本発明の血清アルブミンバインダーは、本明細書における説明、実施例及び図面に更に記載されたとおりである。すなわち、それらは、本明細書で記載されたCDRを有し、本明細書で開示された配列番号:1~4の配列(のうちの1つ)に対する(本明細書で記載された)全体的な程度の配列同一性を有し、及び/又は、これらの参照配列(のうちの1つ)に対して(本明細書で記載された)限られた数の「アミノ酸差」を有することができる。
【0027】
本発明の血清アルブミンバインダーは、好ましくは、(Kabat慣例に従った)下記CDR:
-下記配列:TGEMA(配列番号:5)及びTSSML(配列番号:10)から選択され、好ましくは、TSSML(配列番号:10)であるCDR1(Kabatによる)並びに
-下記配列:SISSSGATTYYADSVKG(配列番号:6)及びVIHQSGTPTYYADSVKG(配列番号:11)から選択され、好ましくは、VIHQSGTPTYYADSVKG(配列番号:11)であるCDR2(Kabatによる)並びに
-下記配列:PRHPQGGVTFDY(配列番号:7)、FPSTHGKFDY(配列番号:12)及びFPSSRMKFDY(配列番号:15)から選択され、好ましくは、FPSTHGKFDY(配列番号:12)又はFPSSRMKFDY(配列番号:15)、及び最も好ましくは、FPSSRMKFDY(配列番号:15)であるCDR3(Kabatによる)
を含む。
【0028】
より好ましくは、CDRは、下記(再度、Kabat慣例に従って与えられる)のとおり:CDR1はTSSML(配列番号:10)であり;CDR2はVIHQSGTPTYYADSVKG(配列番号:11)でありかつCDR3はFPSTHGKFDY(配列番号:12)又はFPSSRMKFDY(配列番号:15)である。最も好ましくは、CDR1はTSSML(配列番号:10)であり;CDR2はVIHQSGTPTYYADSVKG(配列番号:11)でありかつCDR3はFPSSRMKFDY(配列番号:15)である。
【0029】
あるいは、CDRがAbm慣例に従って与えられる場合、本発明の血清アルブミンバインダーは、好ましくは、下記CDR:
-下記配列:GFTFSTGEMA(配列番号:8)及びGFTFDTSSML(配列番号:13)から選択され、好ましくは、GFTFDTSSML(配列番号:13)であるCDR1(Abmによる)並びに
-下記配列:SISSSGATTY(配列番号:9)及びVIHQSGTPTY(配列番号:14)から選択され、好ましくは、VIHQSGTPTY(配列番号:14)であるCDR2(Abmによる)並びに
-下記配列:PRHPQGGVTFDY(配列番号:7)、FPSTHGKFDY(配列番号:12)及びFPSSRMKFDY(配列番号:15)から選択され、好ましくは、FPSTHGKFDY(配列番号:12)又はFPSSRMKFDY(配列番号:15)であり、最も好ましくは、FPSSRMKFDY(配列番号:15)であるCDR3(Abmによる)
を含む。
【0030】
Abm慣例に従って与えられた場合、好ましくは、CDRは、下記のとおり:CDR1はGFTFDTSSML(配列番号:13)であり、CDR2はVIHQSGTPTY(配列番号:14)でありかつCDR3はFPSTHGKFDY(配列番号:12)又はFPSSRMKFDY(配列番号:15)である。最も好ましくは、CDR1はGFTFDTSSML(配列番号:13)であり、CDR2はVIHQSGTPTY(配列番号:14)でありかつCDR3はFPSSRMKFDY(配列番号:15)である。
【0031】
また、本発明の血清アルブミンバインダーは、好ましくは、
-少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%程度の、配列番号:1~4の配列のうちの1つに対する配列同一性(同配列において、存在する場合がある任意のC末端伸長及びCDRは、配列同一性の程度を決定するのに考慮されない)、及び特に、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%程度の、配列番号:3又は4の配列に対する配列同一性(再度、同配列において、存在する場合がある任意のC末端伸長及びCDRは、配列同一性の程度を決定するのに考慮されない)並びに/又は
-配列番号:1~4の配列のうちの1つに対する5つ以下、好ましくは3つ以下、例えば、3、2又は1つのみの「アミノ酸差」(本明細書において定義されたとおりであり、存在する場合がある11、89、110又は112位における上記列記された変異を何ら考慮せず、存在する場合がある任意のC末端伸長を考慮しない)(ここで、前記アミノ酸差が存在する場合、フレームワーク及び/又はCDRに存在する場合があり、ただし好ましくは、フレームワークにのみ存在し、CDRには存在しない)及び特に、配列番号:3又は配列番号:4の配列に対する5つ以下、好ましくは3つ以下、例えば、3、2又は1つのみのこのようなアミノ酸差(ここで、前記アミノ酸差が存在する場合、フレームワーク及び/又はCDRに存在する場合があり、ただし好ましくは、フレームワークにのみ存在し、CDRには存在しない)
も有する。
【0032】
本発明のアルブミンバインダーの種々の態様及び好ましい態様に関して、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び/もしくは配列番号:4それぞれのうちの1つに対する該配列同一性の程度になる場合、かつ該当する場合、並びに/又は、このような本発明のバインダーに存在する場合がある(すなわち、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び/又は配列番号:4それぞれのうちの1つと比較した)「アミノ酸差」の該数及び種類になる場合において、(i)本発明のアミノ酸配列が、該当する場合、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%程度の、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び/又は配列番号:4それぞれの配列に対する配列同一性(同配列において、CDR、存在する場合がある任意のC末端伸長並びに関連する具体的な態様に必要とされる11、89、110及び/又は112位における変異は、配列同一性の程度を決定するのに考慮されない)を有すると言われる場合、並びに/又は、(ii)本発明のアミノ酸配列が、該当する場合、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び/又は配列番号:4それぞれの配列に対する7つ以下、好ましくは5つ以下、例えば、3、2又は1つのみの「アミノ酸差」(再度、存在する場合がある任意のC末端伸長を考慮せず、関連する具体的な態様に必要とされる11、89、110及び/又は112位における変異を考慮しない)を有すると言われる場合には、本発明のアルブミンバインダーは、該当する場合、関連する具体的な態様に必要とされる11、89、110及び/又は112位の変異並びに存在する場合がある任意のC末端伸長以外の、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び/又は配列番号:4それぞれの配列に対するアミノ酸差を有さない配列も含むことに留意されたい。
【0033】
このため、本発明の1つの具体的な態様では、本発明のアルブミンバインダーは、該当する場合、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び/又は配列番号:4それぞれに対する100%の配列同一性を有する場合があり(CDRを含むが、本明細書で開示された11、89、110及び/もしくは112位における変異もしくは変異の組み合わせ並びに/又は存在する場合がある任意のC末端伸張を考慮しない)、並びに/又は、該当する場合、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び/又は配列番号:4それぞれに対するアミノ酸差を有さない場合がある(本明細書で開示された11、89、110及び/又は112位の変異又は変異の組み合わせ並びに存在する場合がある任意のC末端伸長以外のアミノ酸差)。
【0034】
任意のアミノ酸差が存在する(すなわち、任意のC末端伸長並びに関連する本発明の具体的な態様に必要とされる11、89、110及び/又は112位における変異を除く)場合、これらのアミノ酸差は、CDR及び/又はフレームワーク領域に存在する場合があるが、好ましくは、フレームワーク領域のみに存在する(Abm慣例により定義、すなわち、Abm慣例に従って定義されたCDRには存在しない)。すなわち、このため、本発明のアルブミンバインダーは、該当する場合、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び/又は配列番号:4それぞれのうちの1つに存在するのと同じ組み合わせのCDR(Abm慣例に従って定義)を有する。
【0035】
本発明の血清アルブミンバインダーは、本発明の血清アルブミンバインダーが本発明の化合物又はポリペプチドのC末端に存在し及び/又は同C末端を形成している場合(あるいは、本発明の血清アルブミンバインダーが、何らかの方法で、本発明の血清アルブミンバインダーが存在するタンパク質、ポリペプチドもしくは他の化合物又は構築物における「露出したC末端」を有する場合(このことは、一般的に、ISVのC末端が、定常ドメイン(例えば、CH1ドメイン)と会合しないか又は同定常ドメインに結合しないことを意味する;再度、WO第12/175741号及びPCT/EP第2015/06043号が参照される)、好ましくは、式(X)n[式中、nは、1~10、好ましくは、1~5、例えば、1、2、3、4又は5(及び好ましくは、1又は2、例えば、1)であり、各Xは、(好ましくは、天然の)アミノ酸残基であり、天然のアミノ酸残基(ただし、好ましい一態様によれば、システイン残基を何ら含まない)から独立して選択され、好ましくは、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)又はイソロイシン(I)からなる群より独立して選択される]で示されるC末端伸長も有する。
【0036】
このようなC末端伸長X(n)の一部の好ましいが非限定的な例によれば、X及びnは、下記のとおり:
(a)n=1及びX=Ala、
(b)n=2及び各X=Ala、
(c)n=3及び各X=Ala、
(d)n=2及び少なくとも1つのX=Ala(ここで、残りのアミノ酸残基Xは、任意の天然アミノ酸から独立して選択されるが、好ましくは、Val、Leu及び/又はIleから独立して選択される)、
(e)n=3及び少なくとも1つのX=Ala(ここで、残りのアミノ酸残基Xは、任意の天然アミノ酸から独立して選択されるが、好ましくは、Val、Leu及び/又はIleから独立して選択される)、
(f)n=3及び少なくとも2つのX=Ala(ここで、残りのアミノ酸残基Xは、任意の天然アミノ酸から独立して選択されるが、好ましくは、Val、Leu及び/又はIleから独立して選択される)、
(g)n=1及びX=Gly、
(h)n=2及び各X=Gly、
(i)n=3及び各X=Gly、
(j)n=2及び少なくとも1つのX=Gly(ここで、残りのアミノ酸残基Xは、任意の天然アミノ酸から独立して選択されるが、好ましくは、Val、Leu及び/又はIleから独立して選択される)、
(k)n=3及び少なくとも1つのX=Gly(ここで、残りのアミノ酸残基Xは、任意の天然アミノ酸から独立して選択されるが、好ましくは、Val、Leu及び/又はIleから独立して選択される)、
(l)n=3及び少なくとも2つのX=Gly(ここで、残りのアミノ酸残基Xは、任意の天然アミノ酸から独立して選択されるが、好ましくは、Val、Leu及び/又はIleから独立して選択される)、
(m)n=2及び各X=Ala又はGly、
(n)n=3及び各X=Ala又はGly、
(o)n=3及び少なくとも1つのX=Ala又はGly(ここで、残りのアミノ酸残基Xは、任意の天然アミノ酸から独立して選択されるが、好ましくは、Val、Leu及び/又はIleから独立して選択される)又は
(p)n=3及び少なくとも2つのX=Ala又はGly(ここで、残りのアミノ酸残基Xは、任意の天然アミノ酸から独立して選択されるが、好ましくは、Val、Leu及び/又はIleから独立して選択される)
であることができ、
ここで、態様(a)、(b)、(c)、(g)、(h)、(i)、(m)及び(n)が特に好ましく、n=1又は2の態様が好ましく、n=1の態様が特に好ましい。
【0037】
また、好ましくは、本発明の血清アルブミンバインダーに存在する任意のC末端伸長は、(遊離した)システイン残基を含有しない(前記システイン残基が更なる機能性、例えば、ペグ化に使用され又は同機能性を意図しない限り)ことにも留意されたい。
【0038】
有用なC末端伸長の一部の具体的で非限定的な例は、下記アミノ酸配列:A、AA、AAA、G、GG、GGG、AG、GA、AAG、AGG、AGA、GGA、GAA又はGAGである。
【0039】
本発明の血清アルブミンバインダーが、(場合により、本明細書で記載された11及び/又は89位における変異との組み合わせでの)110又は112位における変異を含有する場合、(109位から始まる)フレームワーク4のC末端アミノ酸残基は、下記のとおり:(i)C末端伸長が存在しない場合:VTVKS(配列番号:101)、VTVQS(配列番号:102)、VKVSS(配列番号:103)もしくはVQVSS(配列番号:104);又は(ii)C末端伸長が存在する場合:VTVKSX(n)(配列番号:105)、VTVQSX(n)(配列番号:106)、VKVSSX(n)(配列番号:107)もしくはVQVSSX(n)(配列番号:108)、例えば、VTVKSA(配列番号:109)、VTVQSA(配列番号:110)、VKVSSA(配列番号:111)もしくはVQVSSA(配列番号:112)であることができる。本発明の血清アルブミンバインダーが110又は112位に変異を含有しない(ただし、本明細書で記載された11及び/又は89位における変異のみを含有する)場合、(109位から始まる)フレームワーク4のC末端アミノ酸残基は、通常、いずれか:(i)C末端伸長が存在しない場合:VTVSS(配列番号:113)(配列番号:3の配列におけるのと同じ);又は(ii)C末端伸長が存在する場合:VTVSSX(n)(配列番号:114)、例えば、VTVSSA(配列番号:115)(配列番号:4の配列におけるのと同じ)であろう。これらのC末端配列において、X及びnは、C末端伸長について本明細書で定義されたとおりである。
【0040】
また、本発明の血清アルブミンバインダーが、本発明の化合物又はポリペプチドのN末端に存在し及び/又は同N末端を形成している場合には、本血清アルブミンバインダーは、好ましくは、1位にD(すなわち、配列番号:1~4及び16~99に与えられた配列と比較したE1Dの変異)を有する。
【0041】
また、一般的には、本発明の化合物又はポリペプチドが、そのC末端に重鎖ISVD(同重鎖ISVDは、本発明の血清アルブミンバインダーであることができるが、例えば、治療ターゲットに結合するISVDであることもできる)を有する場合には、前記C末端ISVD(及び拡張により、本発明の化合物又はポリペプチド)は、好ましくは、本明細書で記載されたC末端伸長X(n)を有する。同様に、本発明の化合物又はポリペプチドが、そのN末端に重鎖ISVD(同重鎖ISVDは、本発明の血清アルブミンバインダーであることができるが、例えば、治療ターゲットに結合するISVDであることもできる)を有する場合には、前記N末端ISVD(及び拡張により、本発明の化合物又はポリペプチド)は、好ましくは、1位にDを有する。
【0042】
また好ましくは、本発明の化合物又はポリペプチドが、本発明のアルブミンバインダー以外の1つ以上の他のISVD(同他のISVDは、例えば、治療ターゲットに対する1つ以上のISVDである場合がある)を含有する場合には、好ましくは、前記化合物又はポリペプチドに存在する全てのISVDは、その配列内に、既存の抗体による結合を低下させる1つ以上のフレームワーク変異を含有する。特に、これらの他のISVDがナノボディ又はVHドメインから本質的になり及び/もしくは同ドメインから得られる(シングル)ドメイン抗体である場合、これらの他のISVDは、PCT/EP第2015/060643号に記載され、並びに/又は本質的に、PCT/EP第2015/060643号に記載され及び/又は本発明のアルブミンバインダーについて本明細書で記載された、11、89、110及び/もしくは112位における(適切な組み合わせの)アミノ酸残基/変異を含有する場合がある。
【0043】
言及されたように、本発明により提供されるアミノ酸配列は、ヒト血清アルブミンに結合することができ、特に(本明細書で記載されたように)特異的に結合することができるタンパク質である。このため、本発明により提供されるアミノ酸配列は、例えば、治療化合物、部分又は成分に対する(本明細書で定義された)半減期の延長を付与するために、(ヒト)血清アルブミンに結合するための結合単位又は結合ドメインとして使用することができる。治療化合物、部分又は成分の半減期を伸ばすための血清アルブミン-結合ドメインの使用について、一般的には、WO第2004/041865号、同第2006/122787号、EP第2139918号、WO第2011/006915号、同第2012/175400号及び/又は同第2014/111550号が参照される。本発明のアルブミンバインダーは、一般的には、これらの参照に記載された血清アルブミンバインダーと同じ方法及び同じ目的で使用することができる。
【0044】
本発明のISVの一部の好ましく非限定的な例は、配列番号:16~99に与えられ、これらの配列はそれぞれ、本発明の更なる態様を構成する(同様に、これらの配列のうちの1つを含むタンパク質、ポリペプチドもしくは他の化合物又は構築物を構成する)。これらの中でも、
-配列番号:16~29は、配列番号:1の配列の変異体の例である。これらの配列は、配列番号:5の配列であるCDR1(Kabatに従って定義);配列番号:6の配列であるCDR2(Kabatに従って定義);及び配列番号:7の配列であるCDR3(Kabatに従って定義)を有する。
-配列番号:30~43は、C末端アラニンを有する配列番号:1の配列の変異体の例である(C末端伸長の好ましく非限定的な例は、本明細書で記載されたとおりである)。これらの配列は、配列番号:5の配列であるCDR1(Kabatに従って定義);配列番号:6の配列であるCDR2(Kabatに従って定義);及び配列番号:7の配列であるCDR3(Kabatに従って定義)を有する。
-配列番号:44~57は、配列番号:2の配列の変異体の例である。これらの配列は、配列番号:10の配列であるCDR1(Kabatに従って定義);配列番号:11の配列であるCDR2(Kabatに従って定義);及び配列番号:12の配列であるCDR3(Kabatに従って定義)を有する。
-配列番号:58~71は、C末端アラニンを有する配列番号:2の配列の変異体の例である(C末端伸長の好ましく非限定的な例は、本明細書で記載されたとおりである)。これらの配列は、配列番号:10の配列であるCDR1(Kabatに従って定義);配列番号:11の配列であるCDR2(Kabatに従って定義);及び配列番号:12の配列であるCDR3(Kabatに従って定義)を有する。
-配列番号:72~85は、配列番号:3の配列の変異体の例である。これらの配列は、配列番号:10の配列であるCDR1(Kabatに従って定義);配列番号:11の配列であるCDR2(Kabatに従って定義);及び配列番号:15の配列であるCDR3(Kabatに従って定義)を有する。
-配列番号:86~99~54は、(C末端アラニン伸張を有する配列番号:3である)配列番号:4の配列の変異体の例である。これらの配列は、配列番号:10の配列であるCDR1(Kabatに従って定義);配列番号:11の配列であるCDR2(Kabatに従って定義);及び配列番号:15の配列であるCDR3(Kabatに従って定義)を有する。
【0045】
これらの変異体の中でも、配列番号:72~85の配列(C末端伸長が必要とされない場合)及び配列番号:86~99の配列(C末端伸長が必要とされる場合)が最も好ましい。
【0046】
このため、第1の態様では、本発明は、
-下記配列:TGEMA(配列番号:5)及びTSSML(配列番号:10)から選択され、好ましくは、TSSML(配列番号:10)であるCDR1(Kabatによる)並びに
-下記配列:SISSSGATTYYADSVKG(配列番号:6)及びVIHQSGTPTYYADSVKG(配列番号:11)から選択され、好ましくは、VIHQSGTPTYYADSVKG(配列番号:11)であるCDR2(Kabatによる)並びに
-下記配列:PRHPQGGVTFDY(配列番号:7)、FPSTHGKFDY(配列番号:12)から選択されるCDR3(Kabatによる)
を有し、
かつ
-少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%程度の、配列番号:1のアミノ酸配列に対する配列同一性(同アミノ酸において、存在する場合がある任意のC末端伸長及びCDRは、配列同一性の程度を決定するのに考慮されない)
並びに/又は
-配列番号:1のアミノ酸配列に対する7つ以下、例えば、5つ以下、好ましくは3つ以下、例えば、3、2又は1つのみの「アミノ酸差」(本明細書で定義されたとおりであり、存在する場合がある11、89、110又は112位における上記列記された変異を何ら考慮せず、存在する場合がある任意のC末端伸長を考慮しない)(ここで、前記アミノ酸差が存在する場合、フレームワーク及び/又はCDRに存在する場合があり、ただし好ましくは、フレームワークにのみ存在し、CDRには存在しない)
を有し、
かつ場合により、(特に、ISVDが本発明の化合物又はポリペプチドのC末端に存在し及び/又は同C末端を形成している場合):
-C末端伸長(X)n[同伸長中、nは、1~10、好ましくは、1~5、例えば、1、2、3、4又は5(及び好ましくは、1又は2、例えば、1)であり、各Xは、独立して選択される(好ましくは、天然の)アミノ酸残基であり、好ましくは、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)又はイソロイシン(I)からなる群より独立して選択される]
を有し
かつ場合により、(特に、ISVDが本発明の化合物又はポリペプチドのN末端に存在し及び/又は同N末端を形成している場合)1位におけるD及び/又はE1D変異を有し、
ここで、
-11位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、L又はVから選択され、かつ
-89位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、T、V又はLから適切に選択され、かつ
-110位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、T、K又はQから適切に選択され、かつ
-112位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、S、K又はQから適切に選択され、
これにより、(i)89位がTであり;又は(ii)89位がLでありかつ11位がVであり;又は(iii)89位がLでありかつ110位がKもしくはQであり;又は(iv)89位がLでありかつ112位がKもしくはQであり;又は(v)89位がLでありかつ11位がVでありかつ110位がKもしくはQであり;又は(vi)89位がLでありかつ11位がVでありかつ112位がKもしくはQであり;又は(vii)11位がVでありかつ110位がKもしくはQであり;又は(vii)11位がVでありかつ112位がKもしくはQである、
免疫グロブリンシングル可変ドメインに関する。
【0047】
更なる態様では、本発明は、免疫グロブリンシングル可変ドメインであって、
-下記配列:TGEMA(配列番号:5)及びTSSML(配列番号:10)から選択され、好ましくは、TSSML(配列番号:10)であるCDR1(Kabatによる)並びに
-下記配列:SISSSGATTYYADSVKG(配列番号:6)及びVIHQSGTPTYYADSVKG(配列番号:11)から選択され、好ましくは、VIHQSGTPTYYADSVKG(配列番号:11)であるCDR2(Kabatによる)並びに
-下記配列:PRHPQGGVTFDY(配列番号:7)、FPSTHGKFDY(配列番号:12)及びFPSSRMKFDY(配列番号:15)から選択され、好ましくは、FPSTHGKFDY(配列番号:12)又はFPSSRMKFDY(配列番号:15)であり、最も好ましくは、FPSSRMKFDY(配列番号:15)であるCDR3(Kabatによる)
を有し、
かつ、
-少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%程度の、配列番号:1~4の配列のうちの1つに対する配列同一性(同配列において、存在する場合がある任意のC末端伸長及びCDRは、配列同一性の程度を決定するのに考慮されない)及び特に、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%程度の、配列番号:3又は4の配列に対する配列同一性(同配列において、再度、存在する場合がある任意のC末端伸長及びCDRは、配列同一性の程度を決定するのに考慮されない)
並びに/又は
-配列番号:1~4の配列のうちの1つに対する5つ以下、好ましくは3つ以下、例えば、3、2又は1つのみの「アミノ酸差」(本明細書で定義されたとおりであり、存在する場合がある11、89、110又は112位における上記列記された変異を何ら考慮せず、存在する場合がある任意のC末端伸長を考慮しない)(ここで、前記アミノ酸差が存在する場合、フレームワーク及び/又はCDRに存在する場合があり、ただし好ましくは、フレームワークにのみ存在し、CDRには存在しない)及び特に、配列番号:3又は配列番号:4の配列に対する5つ以下、好ましくは3つ以下、例えば、3、2又は1つのみのこのようなアミノ酸差(ここで、前記アミノ酸差が存在する場合、フレームワーク及び/又はCDRに存在する場合があり、ただし好ましくは、フレームワークにのみ存在し、CDRには存在しない)
を有し、
かつ場合により、(特に、ISVDが本発明の化合物又はポリペプチドのC末端に存在し及び/又は同C末端を形成している場合):
-C末端伸長(X)n[同伸長中、nは、1~10、好ましくは、1~5、例えば、1、2、3、4又は5(及び好ましくは、1又は2、例えば、1)であり、各Xは、独立して選択される(好ましくは、天然の)アミノ酸残基であり、好ましくは、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)又はイソロイシン(I)からなる群より独立して選択される]
を有し、
かつ場合により、(特に、ISVDが本発明の化合物又はポリペプチドのN末端に存在し及び/又は同N末端を形成している場合)1位におけるD及び/又はE1D変異を有し、
同免疫グロブリンシングル可変ドメインは、言及された位置(Kabatに従ったナンバリング)での下記アミノ酸残基(すなわち、配列番号:1~4の配列と比較した変異):
-89T又は
-11Vとの組み合わせでの89L又は
-110Kもしくは110Qとの組み合わせでの89L又は
-112Kもしくは112Qとの組み合わせでの89L又は
-11V及び110Kもしくは110Qとの組み合わせでの89L又は
-11V及び112Kもしくは112Qとの組み合わせでの89L又は
-110Kもしくは110Qとの組み合わせでの11V又は
-112Kもしくは112Qとの組み合わせでの11V
を含む、免疫グロブリンシングル可変ドメインに関する。
【0048】
特に、本発明の血清アルブミンバインダーは、好ましくは、配列番号:1~4の配列のうちの1つに対する5つ以下、好ましくは3つ以下、例えば、3、2又は1つのみの「アミノ酸差」(本明細書で定義されたとおりであり、存在する場合がある11、89、110又は112位における上記列記された変異を何ら考慮せず、存在する場合がある任意のC末端伸長を考慮しない)(ここで、前記アミノ酸差が存在する場合、フレームワーク及び/又はCDRに存在する場合があり、ただし好ましくは、フレームワークにのみ存在し、CDRには存在しない)及び特に、配列番号:3の配列に対する5つ以下、好ましくは3つ以下、例えば、3、2又は1つのみのこのようなアミノ酸差(ここで、前記アミノ酸差が存在する場合、フレームワーク及び/又はCDRに存在する場合があり、ただし好ましくは、フレームワークにのみ存在し、CDRには存在しない)を有する。
【0049】
存在する場合があるこのような変異/アミノ酸差(すなわち、配列番号:1~4の配列と比較)の一部の具体的で非限定的な例は、E1D、P14A、P41A、P41L、P41S又はP41T(及び特にP41A)、P42E又はT87Aである。変異の他の例は、(適切な組み合わせの)1つ以上の適切な「ラクダ化」置換である。例えば、Davies and Riechmann, Protein Engineering, vol.9, no.6, 531-537, 1996及びDavies and Riechmann, FEBS Letters 399 (1004), 285-290並びにWO第08/020079号からの表A-3~A-8が参照される。
【0050】
言及されたように、本発明では、(場合により、110Kもしくは110Qの変異及び/又は112Kもしくは112Qの変異との適切な組み合わせ、並びに特に、110Kもしくは110Qの変異との組み合わせにおいて)89位がTであり又は11位がVでありかつ89位がLであるアミノ酸配列が特に好ましい。場合により、110K又は110Qの変異と共に11位がVでありかつ89位がLであるアミノ酸配列が更により好ましい。
【0051】
このため、好ましい一態様では、本発明は、
-下記配列:TGEMA(配列番号:5)及びTSSML(配列番号:10)から選択され、好ましくは、TSSML(配列番号:10)であるCDR1(Kabatによる)並びに
-下記配列:SISSSGATTYYADSVKG(配列番号:6)及びVIHQSGTPTYYADSVKG(配列番号:11)から選択され、好ましくは、VIHQSGTPTYYADSVKG(配列番号:11)であるCDR2(Kabatによる)並びに
-下記配列:PRHPQGGVTFDY(配列番号:7)、FPSTHGKFDY(配列番号:12)及びFPSSRMKFDY(配列番号:15)から選択され、好ましくは、FPSTHGKFDY(配列番号:12)又はFPSSRMKFDY(配列番号:15)であり、最も好ましくは、FPSSRMKFDY(配列番号:15)であるCDR3(Kabatによる)
を有し、
かつ
-少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%程度の、配列番号:1のアミノ酸配列に対する配列同一性(同アミノ酸配列において、存在する場合がある任意のC末端伸長及びCDRは、配列同一性の程度を決定するのに考慮されない)
並びに/又は
-配列番号:1のアミノ酸配列に対する7つ以下、例えば、5つ以下、好ましくは3つ以下、例えば、3、2又は1つのみの「アミノ酸差」(本明細書で定義されたとおりであり、存在する場合がある11、89、110又は112位における上記列記された変異を何ら考慮せず、存在する場合がある任意のC末端伸長を考慮しない)(ここで、前記アミノ酸差が存在する場合、フレームワーク及び/又はCDRに存在する場合があり、ただし好ましくは、フレームワークにのみ存在し、CDRには存在しない)
を有し、
かつ場合により、(特に、ISVDが本発明の化合物又はポリペプチドのC末端に存在し及び/又は同C末端を形成している場合):
-C末端伸長(X)n[同伸長中、nは、1~10、好ましくは、1~5、例えば、1、2、3、4又は5(及び好ましくは、1又は2、例えば、1)であり、各Xは、独立して選択される(好ましくは、天然の)アミノ酸残基であり、好ましくは、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)又はイソロイシン(I)からなる群より独立して選択される]
を有し、
かつ場合により、(特に、ISVDが本発明の化合物又はポリペプチドのN末端に存在し及び/又は同N末端を形成している場合)1位におけるD及び/又はE1D変異を有し、
ここで、
-11位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、L又はVから選択され、かつ
-89位におけるアミノ酸残基は、Tであり、かつ
-110位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、T、K又はQから適切に選択され(及び好ましくは、Tであり)、かつ
-112位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、S、K又はQから適切に選択される(及び好ましくは、Sである)、
免疫グロブリンシングル可変ドメインに関する。
【0052】
別の好ましい態様では、本発明は、
-下記配列:TGEMA(配列番号:5)及びTSSML(配列番号:10)から選択され、好ましくは、TSSML(配列番号:10)であるCDR1(Kabatによる)並びに
-下記配列:SISSSGATTYYADSVKG(配列番号:6)及びVIHQSGTPTYYADSVKG(配列番号:11)から選択され、好ましくは、VIHQSGTPTYYADSVKG(配列番号:11)であるCDR2(Kabatによる)並びに
-下記配列:PRHPQGGVTFDY(配列番号:7)、FPSTHGKFDY(配列番号:12)及びFPSSRMKFDY(配列番号:15)から選択され、好ましくは、FPSTHGKFDY(配列番号:12)又はFPSSRMKFDY(配列番号:15)であり、最も好ましくは、FPSSRMKFDY(配列番号:15)であるCDR3(Kabatによる)
を有し、
かつ
-少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%程度の、配列番号:1のアミノ酸配列に対する配列同一性(同アミノ酸配列において、存在する場合がある任意のC末端伸長及びCDRは、配列同一性の程度を決定するのに考慮されない)
並びに/又は
-配列番号:1のアミノ酸配列に対する7つ以下、例えば、5つ以下、好ましくは3つ以下、例えば、3、2又は1つのみの「アミノ酸差」(本明細書で定義されたとおりであり、存在する場合がある11、89、110又は112位における上記列記された変異を何ら考慮せず、存在する場合がある任意のC末端伸長を考慮しない)(ここで、前記アミノ酸差が存在する場合、フレームワーク及び/又はCDRに存在する場合があり、ただし好ましくは、フレームワークにのみ存在し、CDRには存在しない)
を有し
かつ場合により、(特に、ISVDが本発明の化合物又はポリペプチドのC末端に存在し及び/又は同C末端を形成している場合):
-C末端伸長(X)n[同伸長中、nは、1~10、好ましくは、1~5、例えば、1、2、3、4又は5(及び好ましくは、1又は2、例えば、1)であり、各Xは、独立して選択される(好ましくは、天然の)アミノ酸残基であり、好ましくは、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)又はイソロイシン(I)からなる群より独立して選択される]
を有し、
かつ場合により、(特に、ISVDが本発明の化合物又はポリペプチドのN末端に存在し及び/又は同N末端を形成している場合)1位におけるD及び/又はE1D変異を有し、
ここで、
-11位におけるアミノ酸残基は、Vであり、かつ
-89位におけるアミノ酸残基は、Lであり、かつ
-110位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、T、K又はQから適切に選択され、かつ
-112位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、S、K又はQから適切に選択される、
免疫グロブリンシングル可変ドメインに関する。
【0053】
具体的で非限定的な態様では、本発明の血清アルブミンバインダーは、
-TSSML(配列番号:10)であるCDR1(Kabatによる)及び
-VIHQSGTPTYYADSVKG(配列番号:11)であるCDR2(Kabatによる)及び
-下記配列:FPSTHGKFDY(配列番号:12)又はFPSSRMKFDY(配列番号:15)から選択され、好ましくは、FPSSRMKFDY(配列番号:15)であるCDR3(Kabatによる)、
並びにとりわけ、
-TSSML(配列番号:10)であるCDR1(Kabatによる)及び
-VIHQSGTPTYYADSVKG(配列番号:11)であるCDR2(Kabatによる)及び
-FPSSRMKFDY(配列番号:15)であるCDR3(Kabatによる)
を有する。
【0054】
具体的で非限定的な一態様では、本発明の血清アルブミンバインダーは、言及された位置(Kabatに従ったナンバリング)における下記アミノ酸残基(すなわち、配列番号:1~4の配列と比較した変異):
-89Lとの組み合わせでの11V又は
-110Kもしくは110Qとの組み合わせでの11V
-112Kもしくは112Qとの組み合わせでの11V
-89L及び110Kもしくは110Qとの組み合わせでの11V又は
-89L及び112Kもしくは112Qとの組み合わせでの11V
を含み、
かつ、CDRを有し、本明細書で記載された参照配列に対する全体的な程度の配列同一性を有する。
【0055】
別の具体的で非限定的な態様では、本発明の血清アルブミンバインダーは、言及された位置(Kabatに従ったナンバリング)における下記アミノ酸残基(すなわち、配列番号:1~4の配列と比較した変異):
-11Vとの組み合わせでの89L又は
-110Kもしくは110Qとの組み合わせでの89L又は
-112Kもしくは112Qとの組み合わせでの89L又は
-11V及び110Kもしくは110Qとの組み合わせでの89L又は
-11V及び112Kもしくは112Qとの組み合わせでの89L
を含み、
かつ、CDRを有し、本明細書で記載された参照配列に対する全体的な程度の配列同一性を有する。
【0056】
別の具体的で非限定的な態様では、本発明の血清アルブミンバインダーは、言及された位置(Kabatに従ったナンバリング)における下記アミノ酸残基(すなわち、配列番号:1~4の配列と比較した変異):
-11Vとの組み合わせでの110Kもしくは110Q又は
-89Lとの組み合わせでの110Kもしくは110Q又は
-11V及び89Lとの組み合わせでの110Kもしくは110Q
を含み、
かつ、CDRを有し、本明細書で記載された参照配列に対する全体的な程度の配列同一性を有する。
【0057】
別の具体的で非限定的な態様では、本発明の血清アルブミンバインダーは、言及された位置(Kabatに従ったナンバリング)における下記アミノ酸残基(すなわち、配列番号:1~4の配列と比較した変異):
-11Vとの組み合わせでの112Kもしくは112Q又は
-89Lとの組み合わせでの112Kもしくは112Q又は
-11V及び89Lとの組み合わせでの112Kもしくは112Q
を含み、
かつ、CDRを有し、本明細書で記載された参照配列に対する全体的な程度の配列同一性を有する。
【0058】
別の具体的で非限定的な態様では、本発明の血清アルブミンバインダーは、89位におけるTを含み、かつ、CDRを有し、本明細書で記載された参照配列に対する全体的な程度の配列同一性を有する。
【0059】
別の具体的で非限定的な態様では、本発明の血清アルブミンバインダーは、11位におけるV及び89位におけるLを含み、かつ、CDRを有し、本明細書で記載された参照配列に対する全体的な程度の配列同一性を有する。
【0060】
別の態様では、本発明は、
-下記配列:GFTFSTGEMA(配列番号:8)及びGFTFDTSSML(配列番号:13)から選択され、好ましくは、GFTFDTSSML(配列番号:13)であるCDR1(Abmによる)並びに
-下記配列:SISSSGATTY(配列番号:9)及びVIHQSGTPTY(配列番号:14)から選択され、好ましくは、VIHQSGTPTY(配列番号:14)であるCDR2(Abmによる)並びに
-下記配列:PRHPQGGVTFDY(配列番号:7)、FPSTHGKFDY(配列番号:12)及びFPSSRMKFDY(配列番号:15)から選択され、好ましくは、FPSTHGKFDY(配列番号:12)又はFPSSRMKFDY(配列番号:15)であり、最も好ましくは、FPSSRMKFDY(配列番号:15)であるCDR3(Abmによる)
を有し、
かつ
-少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%程度の、配列番号:1のアミノ酸配列に対する配列同一性(同アミノ酸配列において、存在する場合がある任意のC末端伸長及びCDRは、配列同一性の程度を決定するのに考慮されない)
並びに/又は
-配列番号:1のアミノ酸配列に対する7つ以下、例えば、5つ以下、好ましくは3つ以下、例えば、3、2又は1つのみの「アミノ酸差」(本明細書で定義されたとおりであり、存在する場合がある11、89、110又は112位における上記列記された変異を何ら考慮せず、存在する場合がある任意のC末端伸長を考慮しない)(ここで、前記アミノ酸差が存在する場合、フレームワーク及び/又はCDRに存在する場合があり、ただし好ましくは、フレームワークにのみ存在し、CDRには存在しない)
を有し、
かつ場合により、(特に、ISVDが本発明の化合物又はポリペプチドのC末端に存在し及び/又は同C末端を形成している場合)
-C末端伸長(X)n[同伸長中、nは、1~10、好ましくは、1~5、例えば、1、2、3、4又は5(及び好ましくは、1又は2、例えば、1)であり、各Xは、独立して選択される(好ましくは、天然の)アミノ酸残基であり、好ましくは、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)又はイソロイシン(I)からなる群より独立して選択される]
を有し、
かつ場合により、(特に、ISVDが本発明の化合物又はポリペプチドのN末端に存在し及び/又は同N末端を形成している場合)1位におけるD及び/又はE1D変異を有し、
ここで、
-11位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、L又はVから選択され、かつ
-89位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、T、V又はLから適切に選択され、かつ
-110位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、T、K又はQから適切に選択され、かつ
-112位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、S、K又はQから適切に選択され、
これにより、(i)89位がTであり;又は(ii)89位がLでありかつ11位がVであり;又は(iii)89位がLでありかつ110位がKもしくはQであり;又は(iv)89位がLでありかつ112位がKもしくはQであり;又は(v)89位がLでありかつ11位がVでありかつ110位がKもしくはQであり;又は(vi)89位がLでありかつ11位がVでありかつ112位がKもしくはQであり;又は(vii)11位がVでありかつ110位がKもしくはQであり;又は(vii)11位がVでありかつ112位がKもしくはQである、
免疫グロブリンシングル可変ドメインに関する。
【0061】
別の態様では、本発明は、免疫グロブリンシングル可変ドメインであって、
-下記配列:GFTFSTGEMA(配列番号:8)及びGFTFDTSSML(配列番号:13)から選択され、好ましくは、GFTFDTSSML(配列番号:13)であるCDR1(Abmによる)並びに
-下記配列:SISSSGATTY(配列番号:9)及びVIHQSGTPTY(配列番号:14)から選択され、好ましくは、VIHQSGTPTY(配列番号:14)であるCDR2(Abmによる)並びに
-下記配列:PRHPQGGVTFDY(配列番号:7)、FPSTHGKFDY(配列番号:12)及びFPSSRMKFDY(配列番号:15)から選択され、好ましくは、FPSTHGKFDY(配列番号:12)又はFPSSRMKFDY(配列番号:15)であり、最も好ましくは、FPSSRMKFDY(配列番号:15)であるCDR3(Abmによる)
を有し、
かつ
-少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%程度の、配列番号:1~4の配列のうちの1つに対する配列同一性(同配列において、存在する場合がある任意のC末端伸長及びCDRは、配列同一性の程度を決定するのに考慮されない);及び特に、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%程度の、配列番号:3又は4の配列に対する配列同一性(同配列において、再度、存在する場合がある任意のC末端伸長及びCDRは、配列同一性の程度を決定するのに考慮されない)
並びに/又は
-配列番号:1~4の配列のうちの1つに対する5つ以下、好ましくは3つ以下、例えば、3、2又は1つのみの「アミノ酸差」(本明細書で定義されたとおりであり、存在する場合がある11、89、110又は112位における上記列記された変異を何ら考慮せず、存在する場合がある任意のC末端伸長を考慮しない)(ここで、前記アミノ酸差が存在する場合、フレームワーク及び/又はCDRに存在する場合があり、ただし好ましくは、フレームワークにのみ存在し、CDRには存在しない)及び特に、配列番号:3又は配列番号:4の配列に対する5つ以下、好ましくは3つ以下、例えば、3、2又は1つのみのこのようなアミノ酸差(ここで、前記アミノ酸差が存在する場合、フレームワーク及び/又はCDRに存在する場合があり、ただし好ましくは、フレームワークにのみ存在し、CDRには存在しない)
を有し、
かつ場合により、(特に、ISVDが本発明の化合物又はポリペプチドのC末端に存在し及び/又は同C末端を形成している場合):
-C末端伸長(X)n[同伸長中、nは、1~10、好ましくは、1~5、例えば、1、2、3、4又は5(及び好ましくは、1又は2、例えば、1)であり、各Xは、独立して選択される(好ましくは、天然の)アミノ酸残基であり、好ましくは、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)又はイソロイシン(I)からなる群より独立して選択される]
を有し、
かつ場合により、(特に、ISVDが本発明の化合物又はポリペプチドのN末端に存在し及び/又は同N末端を形成している場合)1位におけるD及び/又はE1D変異を有し、
同免疫グロブリンシングル可変ドメインは、言及された位置(Kabatに従ったナンバリング)における下記アミノ酸残基(すなわち、配列番号:1~4の配列と比較した変異):
-89T又は
-11Vとの組み合わせでの89L又は
-110Kもしくは110Qとの組み合わせでの89L又は
-112Kもしくは112Qとの組み合わせでの89L又は
-11V及び110Kもしくは110Qとの組み合わせでの89L又は
-11V及び112Kもしくは112Qとの組み合わせでの89L又は
-110Kもしくは110Qとの組み合わせでの11V又は
-112Kもしくは112Qとの組み合わせでの11V
を含む、免疫グロブリンシングル可変ドメインに関する。
【0062】
特に、本発明の血清アルブミンバインダーは、好ましくは、配列番号:1~4の配列のうちの1つに対する5つ以下、好ましくは3つ以下、例えば、3、2又は1つのみの「アミノ酸差」(本明細書で定義されたとおりであり、存在する場合がある11、89、110又は112位における上記列記された変異を何ら考慮せず、存在する場合がある任意のC末端伸長を考慮しない)(ここで、前記アミノ酸差が存在する場合、フレームワーク及び/又はCDRに存在する場合があり、ただし好ましくは、フレームワークにのみ存在し、CDRには存在しない)及び特に、配列番号:3の配列に対する5つ以下、好ましくは3つ以下、例えば、3、2又は1つのみのこのようなアミノ酸差(ここで、前記アミノ酸差が存在する場合、フレームワーク及び/又はCDRに存在する場合があり、ただし好ましくは、フレームワークにのみ存在し、CDRには存在しない)を有する。
【0063】
言及されたように、本発明では、(場合により、110Kもしくは110Qの変異及び/又は112Kもしくは112Qの変異との適切な組み合わせ、並びに特に、110K又は110Qの変異との組み合わせにおいて)89位がTであり又は11位がVでありかつ89位がLであるアミノ酸配列が特に好ましい、場合により110K又は110Qの変異と共に、11位がVでありかつ89位がLであるアミノ酸配列が更により好ましい。
【0064】
このため、好ましい一態様では、本発明は、
-下記配列:GFTFSTGEMA(配列番号:8)及びGFTFDTSSML(配列番号:13)から選択され、好ましくは、GFTFDTSSML(配列番号:13)であるCDR1(Abmによる)並びに
-下記配列:SISSSGATTY(配列番号:9)及びVIHQSGTPTY(配列番号:14)から選択され、好ましくは、VIHQSGTPTY(配列番号:14)であるCDR2(Abmによる)並びに
-下記配列:PRHPQGGVTFDY(配列番号:7)、FPSTHGKFDY(配列番号:12)及びFPSSRMKFDY(配列番号:15)から選択され、好ましくは、FPSTHGKFDY(配列番号:12)又はFPSSRMKFDY(配列番号:15)、最も好ましくは、FPSSRMKFDY(配列番号:15)であるCDR3(Abmによる)を有し、
かつ、
-少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%程度の、配列番号:1のアミノ酸配列に対する配列同一性(同アミノ酸配列において、存在する場合がある任意のC末端伸長及びCDRは、配列同一性の程度を決定するのに考慮されない)
並びに/又は
-配列番号:1のアミノ酸配列に対する7つ以下、例えば、5つ以下、好ましくは3つ以下、例えば、3、2又は1つのみの「アミノ酸差」(本明細書で定義されたとおりであり、存在する場合がある11、89、110又は112位における上記列記された変異を何ら考慮せず、存在する場合がある任意のC末端伸長を考慮しない)(ここで、前記アミノ酸差が存在する場合、フレームワーク及び/又はCDRに存在する場合があり、ただし好ましくは、フレームワークにのみ存在し、CDRには存在しない)
を有し、
かつ場合により、(特に、ISVDが本発明の化合物又はポリペプチドのC末端に存在し及び/又は同C末端を形成している場合):
-C末端伸長(X)n[同伸長中、nは、1~10、好ましくは、1~5、例えば、1、2、3、4又は5(及び好ましくは、1又は2、例えば、1)であり、各Xは、独立して選択される(好ましくは、天然の)アミノ酸残基であり、好ましくは、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)又はイソロイシン(I)からなる群より独立して選択される]
を有し、
かつ場合により、(特に、ISVDが本発明の化合物又はポリペプチドのN末端に存在し及び/又は同N末端を形成している場合)1位におけるD及び/又はE1D変異を有し、
ここで、
-11位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、L又はVから選択され、かつ
-89位におけるアミノ酸残基は、Tであり、かつ
-110位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、T、K又はQから適切に選択され(及び好ましくは、Tであり)、かつ
-112位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、S、K又はQから適切に選択される(及び好ましくは、Sである)、
免疫グロブリンシングル可変ドメインに関する。
【0065】
別の好ましい態様では、本発明は、
-下記配列:GFTFSTGEMA(配列番号:8)及びGFTFDTSSML(配列番号:13)から選択され、好ましくは、GFTFDTSSML(配列番号:13)であるCDR1(Abmによる)並びに
-下記配列:SISSSGATTY(配列番号:9)及びVIHQSGTPTY(配列番号:14)から選択され、好ましくは、VIHQSGTPTY(配列番号:14)であるCDR2(Abmによる)並びに
-下記配列:PRHPQGGVTFDY(配列番号:7)、FPSTHGKFDY(配列番号:12)及びFPSSRMKFDY(配列番号:15)から選択され、好ましくは、FPSTHGKFDY(配列番号:12)又はFPSSRMKFDY(配列番号:15)であり、最も好ましくは、FPSSRMKFDY(配列番号:15)であるCDR3(Abmによる)
を有し、
かつ
-少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%程度の、配列番号:1のアミノ酸配列に対する配列同一性(同アミノ酸配列において、存在する場合がある任意のC末端伸長及びCDRは、配列同一性の程度を決定するのに考慮されない)
並びに/又は
配列番号:1のアミノ酸配列に対する7つ以下、例えば、5つ以下、好ましくは3つ以下、例えば、3、2又は1つのみの「アミノ酸差」(本明細書で定義されたとおりであり、存在する場合がある11、89、110又は112位における上記列記された変異を何ら考慮せず、存在する場合がある任意のC末端伸長を考慮しない)(ここで、前記アミノ酸差が存在する場合、フレームワーク及び/又はCDRに存在する場合があり、ただし好ましくは、フレームワークにのみ存在し、CDRには存在しない)
を有し、
かつ場合により、(特に、ISVDが本発明の化合物又はポリペプチドのC末端に存在し及び/又は同C末端を形成している場合):
-C末端伸長(X)n[同伸長中、nは、1~10、好ましくは、1~5、例えば、1、2、3、4又は5(及び好ましくは、1又は2、例えば、1)であり、各Xは、独立して選択される(好ましくは、天然の)アミノ酸残基であり、好ましくは、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)又はイソロイシン(I)からなる群より独立して選択される]
を有し、
かつ場合により、(特に、ISVDが本発明の化合物又はポリペプチドのN末端に存在し及び/又は同N末端を形成している場合)1位におけるD及び/又はE1D変異を有し、
ここで、
11位におけるアミノ酸残基は、Vであり、かつ
89位におけるアミノ酸残基は、Lであり、かつ
110位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、T、K又はQから適切に選択され、かつ
112位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、S、K又はQから適切に選択される、
免疫グロブリンシングル可変ドメインに関する。
【0066】
別の具体的で非限定的な態様では、本発明の血清アルブミンバインダーは、
-GFTFDTSSML(配列番号:13)であるCDR1(Abmによる)及び
-VIHQSGTPTY(配列番号:14)であるCDR2(Abmによる)及び
-下記配列:FPSTHGKFDY(配列番号:12)又はFPSSRMKFDY(配列番号:15)から選択され、好ましくは、FPSSRMKFDY(配列番号:15)であるCDR3(Abmによる)
並びにとりわけ
-GFTFDTSSML(配列番号:13)であるCDR1(Abmによる)及び
-VIHQSGTPTY(配列番号:14)であるCDR2(Abmによる)及び
-FPSSRMKFDY(配列番号:15)であるCDR3(Abmによる)
を有する。
【0067】
具体的で非限定的な一態様では、本発明の血清アルブミンバインダーは、言及された位置(Kabatに従ったナンバリング)における下記アミノ酸残基(すなわち、配列番号:1~4の配列と比較した変異):
-89Lとの組み合わせでの11V又は
-110Kもしくは110Qとの組み合わせでの11V
-112Kもしくは112Qとの組み合わせでの11V
-89L及び110Kもしくは110Qとの組み合わせでの11V又は
-89L及び112Kもしくは112Qとの組み合わせでの11V
を含み、
かつ、CDRを有し、本明細書で記載された参照配列に対する全体的な程度の配列同一性を有する。
【0068】
別の具体的で非限定的な態様では、本発明の血清アルブミンバインダーは、言及された位置(Kabatに従ったナンバリング)における下記アミノ酸残基(すなわち、配列番号:1~4の配列と比較した変異):
-11Vとの組み合わせでの89L又は
-110Kもしくは110Qとの組み合わせでの89L又は
-112Kもしくは112Qとの組み合わせでの89L又は
-11V及び110Kもしくは110Qとの組み合わせでの89L又は
-11V及び112Kもしくは112Qとの組み合わせでの89L
を含み、
かつ、CDRを有し、本明細書で記載された参照配列に対する全体的な程度の配列同一性を有する。
【0069】
別の具体的で非限定的な態様では、本発明の血清アルブミンバインダーは、言及された位置(Kabatに従ったナンバリング)における下記アミノ酸残基(すなわち、配列番号:1~4の配列と比較した変異):
-11Vとの組み合わせでの110Kもしくは110Q又は
-89Lとの組み合わせでの110Kもしくは110Q又は
-11V及び89Lとの組み合わせでの110Kもしくは110Q
を含み、
かつ、CDRを有し、本明細書で記載された参照配列に対する全体的な程度の配列同一性を有する。
【0070】
別の具体的で非限定的な態様では、本発明の血清アルブミンバインダーは、言及された位置(Kabatに従ったナンバリング)における下記アミノ酸残基(すなわち、配列番号:1~4の配列と比較した変異):
-11Vとの組み合わせでの112Kもしくは112Q又は
-89Lとの組み合わせでの112Kもしくは112Q又は
-11V及び89Lとの組み合わせでの112Kもしくは112Q
を含み、
かつ、CDRを有し、本明細書で記載された参照配列に対する全体的な程度の配列同一性を有する。
【0071】
別の具体的で非限定的な態様では、本発明の血清アルブミンバインダーは、言及された位置(Kabatに従ったナンバリング)における下記アミノ酸残基(すなわち、配列番号:1~4の配列と比較した変異):
-89T
を含み、
かつ、CDRを有し、本明細書で記載された参照配列に対する全体的な程度の配列同一性を有する。
【0072】
別の具体的で非限定的な態様では、本発明は、配列番号:16~99のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する、免疫グロブリンシングル可変ドメインに関する。
【0073】
別の具体的で非限定的な態様では、本発明は、配列番号:44~99のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する、免疫グロブリンシングル可変ドメインに関する。
【0074】
別の具体的で非限定的な態様では、本発明は、下記配列:配列番号:72、配列番号:73、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:76、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:81、配列番号:82、配列番号:83、配列番号:84、配列番号:85、配列番号:86、配列番号:87、配列番号:88、配列番号:89、配列番号:90、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:94、配列番号:95、配列番号:96、配列番号:97、配列番号:98又は配列番号:99のうちの1つであるアミノ酸配列を有する、免疫グロブリンシングル可変ドメインに関する。
【0075】
別の具体的で非限定的な態様では、本発明は、下記配列:配列番号:50、配列番号:64、配列番号:78又は配列番号:92、及び好ましくは、配列番号:78又は配列番号:92のうちの1つであるアミノ酸配列を有する、免疫グロブリンシングル可変ドメインに関する。
【0076】
また、本発明は、(1つ以上の)本明細書で記載された本発明の血清アルブミンバインダーを含むか又は同バインダーから本質的になるタンパク質、ポリペプチド及び他の構築物、分子もしくは化学成分;本発明の改善された重鎖免疫グロブリン可変ドメインを発現させ/生成するための並びに/又はそれを含むタンパク質、ポリペプチド及び他の構築物、分子もしくは化学成分を発現させ/生成するための方法;本発明の改善された重鎖免疫グロブリン可変ドメイン及び/又はそれを含むタンパク質、ポリペプチド及び他の構築物、分子もしくは化学成分を含む組成物及び製品(例えば、医薬組成物及び製品);本発明の改善された重鎖免疫グロブリン可変ドメインをコードし及び/又はそれを含むタンパク質もしくはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列及び核酸;並びに本発明の改善された重鎖免疫グロブリン可変ドメイン並びにそれを含むタンパク質、ポリペプチド及び他の構築物、分子もしくは化学成分の使用(及び特に、治療的、予防的及び診断的使用)に関する。
【0077】
本発明の更なる態様、実施態様、利点、用途及び使用は、本明細書における更なる記載から明らかとなるであろう。
【0078】
本明細書において、
「免疫グロブリンシングル可変ドメイン」という用語(「ISV」又は「ISVD」とも呼ばれる)は、一般的には、別の可変ドメインとの相互作用なしに(例えば、従来の四本鎖モノクローナル抗体のVHとVLドメインとの間に必要とされるようなVH/VL相互作用なしに)、機能的な抗原結合部位を形成することができる、免疫グロブリン可変ドメイン(同ドメインは、VH、VHH又はVLドメインを含む重鎖又は軽鎖ドメインであることができる)を意味するのに使用される。ISVDの例は、当業者に明らかであろうし、例えば、ナノボディ(VHH、ヒト化VHH及び/又はラクダ化VH、例えば、ラクダ化ヒトVH)を含む)、VHドメインであるか又はVHドメインから得られるIgNARドメイン(シングルドメイン)抗体(例えば、dAb(商標))及びVLドメインであるか又はVLドメインから得られる(シングルドメイン)抗体(例えば、dAb(商標))を含む。特に断りない限り、重鎖可変ドメイン(例えば、VH又はVHHドメイン)に基づくか及び/又は同ドメインから得られるISVDが一般的に好ましい。最も好ましくは、特に断りない限り、ISVDは、ナノボディであろう。
【0079】
「ナノボディ」という用語は、一般的には、WO第2008/020079号又は同第2009/138519号に定義された通りであり、このため、具体的な態様では、一般的には、VHH、ヒト化VHHもしくはラクダ化VH(例えば、ラクダ化ヒトVH)又は、一般的には、配列最適化VHH(例えば、化学的安定性及び/又は可溶性の最適化、公知のヒトフレームワーク領域との最大オーバーラップ並びに最大発現等)を意味する。ナノボディ(Nanobody)又はナノボディ(Nanobodies)という用語は、Ablynx N. V.の登録商標であるため、ナノボディ(Nanobody)(登録商標)又はナノボディ(Nanobodies)(登録商標)とも呼ばれる場合があることが留意される。
【0080】
一般的には、特に断りない限り、本明細書で言及されたISVD、ナノボディ、ポリぺプチド、タンパク質並びに他の化合物及び構築物は、ヒトにおける(及び/又は、場合により、恒温動物及び特に哺乳類においても)疾患又は障害の予防又は治療における使用を意図しているであろう。このため、一般的には、本明細書で記載されたISVD、ナノボディ、ポリぺプチド、タンパク質並びに他の化合物及び構築物は、好ましくは、それらが(生物学的)薬剤又は他の薬学上もしくは治療上活性な化合物並びに/又は医薬品もしくは組成物として使用することができ、並びに/又は、適切にこれらの一部であることができるようにである。このような薬剤、化合物又は製品は、好ましくは、それらが例えば、このような予防もしくは治療を必要とする対象の予防もしくは治療に又は例えば臨床試験の一部として、ヒトへの投与に適するようにである。本明細書で更に記載されたように、この目的で、このような薬剤又は化合物は、本発明により提供されるISVD以外の他の部分、成分又は結合単位(これらは、本明細書で記載されたとおりであり、例えば、1つ以上の他の更なる治療部分及び/又はISVD系生物学的製剤又はナノボディ系生物学的製剤の薬物動態又は薬力学的特性、例えば、その半減期に影響を及ぼす1つ以上の他の部分であることができる)を含有することができる。このような更なる治療剤又は他の部分の適切な例は、当業者に明らかであろうし、例えば、一般的には、任意の治療活性タンパク質、ポリペプチド又は他の結合ドメインもしくは結合ユニット及び例えば、改変、例えば、WO第2009/138159号の第149~152頁に記載されたものを含むことができる。ISVD系生物学的製剤又はナノボディ系生物学的製剤は、好ましくは、治療剤であるか、又は、治療剤(予防及び診断を含む)としての使用が意図されており、この目的のために、好ましくは、治療関連ターゲット(例えば、RANK-L、vWF、IgE、RSV、CXCR4、IL-23又は他のインターロイキン等)に対する少なくとも1つのISVDを含有する。このようなISVD系生物学的製剤又はナノボディ系生物学的製剤の一部の具体的で、非限定的な例については、実施例8~18が参照され、また例えば、Ablynx N.V.による種々の出願(例えば、限定されず、WO第2004/062551号、同第2006/122825号、同第2008/020079号及び同第2009/068627号等)及び、例えば(及び、限定されず)、WO第2006/038027号、同第2006/059108号、同第2007/063308号、同第2007/063311号、同第2007/066016号及び同第2007/085814号等の出願も参照される。また、本明細書で更に記載されたように、更なる部分は、(ヒト)血清タンパク質、例えば、(ヒト)血清アルブミンに指向性を有する、本明細書で記載されたISVD又はナノボディであることができ、また、このようなISVD又はナノボディは、特に、本明細書で記載されたTNFバインダーの治療的使用及び/又は同バインダーの半減期を伸ばすための治療的使用を見出すことができる。例えば、WO第2004/041865号、同第2006/122787号及び同第2012/175400号が参照される。これらの文献には、一般的に、半減期を伸ばすための、血清アルブミン結合ナノボディの使用が記載されている。また、本明細書において、特に断りない限り、本明細書で言及された全ての用語は、WO第2009/138519号(又は同第2009/138519号で引用された従来技術)又は同第2008/020079号(又は同第2008/020079号で引用された従来技術)に提供された意味を有する。また、方法又は技術が、本明細書に具体的に記載されていない場合には、WO第2009/138519号(又は同第2009/138519号で引用された従来技術)又は同第2008/020079号(又は同第2008/020079号で引用された従来技術)に記載された通りに行うことができる。また、本明細書で記載されたように、本発明の任意のISVD又は化合物を含む医薬品又は組成物は、医薬品又は組成物(すなわち、意図された医薬形態に応じて)に使用するのにそれ自体公知の1つ以上の更なる成分及び/又は例えば、治療的使用が意図された(すなわち、組み合わせ製品を提供するための)1つ以上の他の化合物もしくは活性原理も含むことができる。
【0081】
また、本明細書又は特許請求の範囲で使用する時、下記用語:「アゴニスト」、「アンタゴニスト」、「逆アゴニスト」、「非極性、無電荷アミノ酸残基」、「極性の無電荷アミノ酸残基」、「極性の電荷アミノ酸残基」、「配列同一性」、「正確に同じ」及び「アミノ酸差」(2つのアミノ酸配列の配列比較に言及する場合)、「本質的に単離された(形態)(において)」、「ドメイン」、「結合ドメイン」、「抗原決定基」、「エピトープ」、「に対して」、(抗原)「に指向性を有する」、「特異性」及び「半減期」は、WO第2009/138519号の第62~75頁に提供されたのと同じ意味を有し、及び/又は、その適用可能性は、同頁に記載された様式において決定することができる。加えて、「モデュレーションすること」及び「モデュレーションするために」、「相互作用部位」、「に特異的な」、「クロスブロック」、「クロスブロックした」及び「クロスブロッキング」並びに「本質的にpHとは独立して」という用語は、Ablynx N. V.のWO第2010/130832号における第74~79頁に定義された通りである(及び/又は、同頁に記載された通りに決定することができる)。また、本発明の構築物、化合物、タンパク質又はポリペプチドに言及する場合、「一価」、「二価」(又は「多価」)、「二重特異性」(又は「多重特異性」)及び「二重抗原結合性」(又は「多重抗原結合性」)等の用語は、WO第2009/138519号、同第2010/130832号又は同第2008/020079号に提供された意味を有することができる。
【0082】
本明細書で言及されたISVD、ナノボディ、ISVD系生物学的製剤、ナノボディ系生物学的製剤又は任意の他のアミノ酸配列、化合物もしくはポリペプチドに関して、本明細書で使用する時、「半減期」という用語は、一般的には、WO第08/020079号の第57頁における段落o)に記載された通りに、及び、本明細書で言及された通りに定義することができ、例えば、配列もしくは化合物の分解及び/又は該配列もしくは化合物の本来のメカニズムによるクリアランスもしくはゼクエストレーションにより、アミノ酸配列、化合物又はポリペプチドの血清濃度が、in vivoにおいて50%に減少するのに掛かる時間を意味する。本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドのin vivo半減期は、それ自体公知の任意の様式において、例えば、薬物動態分析により決定することができる。適切な技術は、当業者に明らかであろうし、例えば、一般的には、WO第08/020079号の第57頁における段落o)に記載された通りであることができる。また、WO第08/020079号の第57頁における段落o)で言及されたように、半減期は、t1/2-アルファ、t1/2-ベータ及び曲線下面積(AUC)等のパラメータを使用して表現することができる。この観点において、本明細書で使用する時、「半減期」という用語は、特に、t1/2-ベータ又は終末半減期を意味する(ここで、t1/2-アルファ及び/もしくはAUC又は両方は考慮されなくてもよい)。例えば、以下の実験部及び、標準的な参考書、例えば、Kenneth, A et al: Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbook f又は Pharmacists及びPeters et al, Pharmacokinete analysis: A Practical Approach (1996)が参照される。また、「Pharmacokinetics」, M Gibaldi & D Perron, published by Marcel Dekker, 2nd Rev. edition (1982)も参照される。同様に、「半減期を伸ばす」又は「延長した半減期」という用語も、WO第08/020079号の第57頁における段落o)に定義された通りであり、特に、t1/2-アルファ及び/もしくはAUC又は両方の伸びに関わらず、t1/2-ベータの伸びを意味する。
【0083】
用語が、本明細書で具体的に定義されていない場合には、当業者に明らかであろう、当技術分野におけるその通常の意味を有する。例えば、標準的な参考書、例えば、Sambrook et al, 「Molecular Cloning: A Lab又はat又はy Manual」(2nd.Ed.), Vols. 1-3, Cold Spring Harb又は Lab又はat又はy Press (1989);F. Ausubel et al, eds., 「Current protocols in molecular biology」, Green Publishing and Wiley Interscience, New Y又はk (1987);Lewin, 「Genes II」, John Wiley & Sons, New Y又はk, N.Y., (1985);Old et al., 「Principles of Gene Manipulation: An Introduction to Genetic Engineering」, 2nd edition, University of Calif又はnia Press, Berkeley, CA (1981);Roitt et al., 「Immunology」 (6th. Ed.), Mosby/Elsevier, Edinburgh (2001);Roitt et al., Roitt’s Essential Immunology, 10th Ed. Blackwell Publishing, UK (2001);及びJaneway et al., 「Immunobiology」 (6th Ed.), Garland Science Publishing/Churchill Livingstone, New Y又はk (2005)並びに本明細書で引用された一般的な背景技術が参照される。
【0084】
また、本明細書で既に示されているように、ナノボディのアミノ酸残基は、Kabat et al(「Sequence of proteins of immunological interest」, US Public Health Services, NIH Bethesda, MD, Publication No. 91)により提供された、VHについての一般的なナンバリングに従ってナンバリングされる。同様に、Riechmann and Muyldermans, J. Immunol. Methods 2000 Jun 23; 240 (1-2): 185-195の文献において、ラクダ科からのVHHドメインに適用され、本明細書で言及される。このナンバリングによれば、ナノボディのFR1は、1~30位におけるアミノ酸残基を含む。ナノボディのCDR1は、31~35位におけるアミノ酸残基を含む。ナノボディのFR2は、36~49位におけるアミノ酸を含む。ナノボディのCDR2は、50~65位におけるアミノ酸残基を含む。ナノボディのFR3は、66~94位におけるアミノ酸残基を含む。ナノボディのCDR3は、95~102位におけるアミノ酸残基を含む。そして、ナノボディのFR4は、103~113位におけるアミノ酸残基を含む。[この観点において、VHドメイン及びVHHドメインについて当技術分野において周知であるように、各CDRにおけるアミノ酸残基の総数は変動する場合があり、Kabatナンバリングにより示されたアミノ酸残基の総数に対応しない場合がある(すなわち、Kabatナンバリングに従った1つ以上の位置が、実際の配列に占有されない場合があり、又は、実際の配列が、Kabatナンバリングにより認められた数より多くのアミノ酸残基を含有する場合がある)ことに留意されたい。このことは、一般的には、Kabatに従ったナンバリングは、この実際の配列中のアミノ酸残基の実際のナンバリングに対応してもよいし、又は、同ナンバリングに対応しなくてもよいことを意味する。ただし、一般的には、Kabatのナンバリングに従って、CDR中のアミノ酸残基数に関係なく、Kabatナンバリングに従った1位は、FR1の開始及びその逆に対応し、Kabatナンバリングに従った36位は、FR2の開始及びその逆に対応し、Kabatナンバリングに従った66位は、FR3の開始及びその逆に対応し、Kabatナンバリングに従った103位は、FR4の開始又はその逆に対応する]。
【0085】
また、VHドメインのアミノ酸残基をナンバリングするための代替的な方法を、ラクダ科からのVHHドメイン及びナノボディに類似する様式において適用することもでき、Chothia et al.(Nature 342, 877-883 (1989))に記載された方法、いわゆる、「AbM定義」及びいわゆる、「接触定義」である。ただし、本説明、態様、及び図面において、Riechmann及びMuyldermansによりVHHドメインに適用されるのと同様に、特に断りない限り、Kabatに従ったナンバリングに従うであろう。
【0086】
また、図面、任意の配列表、及び実験部/実施例は、本発明を更に例示するためにのみ提供され、本発明及び/又は添付の特許請求の範囲における範囲を、特に断りない限り、何ら限定すると理解され、又は、解釈されるべきでないと留意されたい。
【0087】
本明細書で更に記載されたように、本発明の血清アルブミンバインダーは、治療部分、例えば、ポリペプチド、タンパク質、化合物(小分子を含むが、これに限定されない)又は他の治療成分の半減期を伸ばすために、部分、結合単位又は融合パートナーとしての利点を伴って使用することができる。
【0088】
このため、別の態様では、本発明は、本発明の血清アルブミンバインダーと1つ以上の他のアミノ酸配列、(結合)ドメイン、結合単位又は他の部分もしくは化学成分とを含むか又はこれらから本質的になる、ポリペプチド、タンパク質、構築物、化合物又は他の化学成分を提供する。
【0089】
特に、本発明は、互いに直接又は1つ以上の適切なリンカーもしくはスペーサを介して適切に結合している本発明の血清アルブミンバインダーと1つ以上(例えば、1つ又は2つ)の治療部分(それらは、同じでも又は異なることができ、例えば、同じターゲット又は異なるターゲットに対して指向性を有することができ、それらが同じターゲットに指向性を有する場合、前記ターゲットの同じか又は異なるエピトープ、部分、ドメイン又はサブユニットに対して指向性を有することができる)とを含む、ポリペプチド、タンパク質、構築物、化合物又は他の化学成分を提供する。このようなポリペプチド、タンパク質又は構築物は、例えば、本明細書で更に記載された融合タンパク質であることができるが、これには限定されない。
【0090】
更に、本発明は、このようなポリペプチド、タンパク質、構築物又は化合物の治療的使用及びこのようなポリペプチド、タンパク質、構築物又は化合物を含む医薬組成物に関する。
【0091】
一態様において、少なくとも1つの治療部分は、治療タンパク質、ポリペプチド、化合物、因子又は他の成分を含むか又はこれらから本質的になる。好ましい実施態様では、治療部分は、所望の抗原又はターゲットに対して指向性を有し、所望の抗原に結合可能である(及び特に、所望の抗原に特異的に結合可能である)、及び/又は、所望のターゲットと相互作用可能である。別の実施態様では、少なくとも1つの治療部分は、治療タンパク質又はポリペプチドを含むか又はこれらから本質的になる。更なる実施態様では、少なくとも1つの治療部分は、結合ドメイン又は結合単位、例えば、免疫グロブリンもしくは免疫グロブリン配列(免疫グロブリンのフラグメントを含むが、これに限定されない)、例えば、抗体もしくは抗体フラグメント(ScFvフラグメントを含むが、これに限定されない)又は別の適切なタンパク質足場、例えば、プロテインAドメイン(例えば、Affibodies(商標))、テンダミスタット、フィブロネクチン、リポカリン、CTLA-4、T細胞レセプター、設計されたアンキリンリピート、avimer及びPDZドメイン(Binz et al., Nat. Biotech 2005, Vol 23:1257)並びにDNA又はRNAに基づく結合部分(DNA又はRNAアプタマーを含むが、これらに限定されない)(Ulrich et al., Comb Chem High Throughput Screen 2006 9(8):619-32)を含むか又はこれらから本質的になる。
【0092】
更に別の態様では、少なくとも1つの治療部分は、抗体可変ドメイン、例えば、重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインを含むか又はこれらから本質的になる。
【0093】
好ましい態様では、少なくとも1つの治療部分は、少なくとも1つの免疫グロブリンシングル可変ドメイン、例えば、ドメイン抗体、シングルドメイン抗体、「dAb」もしくはナノボディ(例えば、VHH、ヒト化VHH又はラクダ化VH)又はIgNARドメインを含むか又はこれらから本質的になる。
【0094】
具体的な実施態様では、少なくとも1つの治療部分は、少なくとも1つの一価のナノボディ又は二価、多価、二重特異性もしくは多重特異性ナノボディ構築物を含むか又はこれらから本質的になる。
【0095】
本発明の血清アルブミンバインダーと1つ以上治療部分とを含むポリペプチド、(融合)タンパク質、構築物又は化合物は、一般的には、上記引用された従来技術(例えば、WO第04/041865号及び同第06/122787号)に記載されたように、ただし、前記従来技術に記載された半減期延長部分に代えて、本発明の血清アルブミンバインダーを使用して(調製し、使用する)ことができる。
【0096】
本発明の血清アルブミンバインダーと1つ以上治療部分とを含むポリペプチド、(融合)タンパク質、構築物又は化合物は、一般的かつ好ましくは、1つ以上の治療部分自体と比較して延長した半減期を有する。
【0097】
一般的には、本明細書で記載された構築物又は融合タンパク質は、好ましくは、(ヒト又は適切な動物、例えば、マウスもしくはカニクイザルのいずれかにおいて測定された場合)対応する治療部分自体の半減期より、少なくとも1.5倍、好ましくは、少なくとも2倍、例えば、少なくとも5倍、例えば、少なくとも10倍又は20倍超の半減期を有する。
【0098】
また好ましくは、任意のこのような融合タンパク質又は構築物は、対応する治療部分自体の半減期と比較した、1時間超、好ましくは、2時間超、より好ましくは、6時間超、例えば、12時間超伸びた、ヒトにおける半減期を有する。
【0099】
また好ましくは、任意の融合タンパク質又は構築物は、1時間超、好ましくは、2時間超、より好ましくは、6時間超、例えば、12時間超及び例えば、約1日、2日、1週間、2週間かつ最大、ヒトにおける血清アルブミンの半減期(約19日と推定される)である、ヒトにおける(1/2ベータとして定義された)半減期を有する。ただし、後者はより重要ではない場合がある。
【0100】
半減期は、一般的には、例えば、本来のメカニズムによるリガンドの分解及び/又はリガンドのクリアランスもしくはゼクエストレーションにより、in vivoにおいてポリペプチドの血清濃度が50%まで低下するのに掛かる時間と定義することができる。特に、半減期は、WO第2009/068627号に定義されたとおりであることができる。
【0101】
薬物動態分析及び半減期の決定のための方法は、当業者に一般的である。詳細は、Kenneth, A et al: Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbook for Pharmacists and in Peters et al, Pharmacokinetic analysis: A Practical Approach (1996)に見出すことができる。また、「Pharmacokinetics」, M Gibaldi & D Perron, published by Marcel Dekker, 2nd revised edition (1982)が参照される。
【0102】
言及されたように、一態様において、本発明の血清アルブミンバインダーは、(1つ以上)免疫グロブリンシングル可変ドメイン、例えば、ドメイン抗体、シングルドメイン抗体、「dAb」、VHH又はナノボディ(例えば、VHH、ヒト化VHH又はラクダ化VH、例えば、ラクダ化ヒトVH)の半減期を伸ばすのに使用することができる。
【0103】
このため、本発明の一実施態様は、互いに直接又は場合により1つ以上の適切なリンカーもしくはスペーサを介して適切に結合している本発明の血清アルブミンバインダーと1つ以上(例えば、1つ又は2つ)の免疫グロブリンシングル可変ドメイン配列とを含む、ポリペプチド、構築物又は融合タンパク質に関する。本明細書で言及されたように、このようなポリペプチド、構築物又は融合タンパク質に存在するこのような各免疫グロブリンシングル可変ドメインは、独立して、ドメイン抗体、シングルドメイン抗体、「dAb」又はナノボディ(例えば、VHH、ヒト化VHH又はラクダ化VH、例えば、ラクダ化ヒトVH)であることができ、かつ、具体的で非限定的な一態様によれば、少なくとも1つ(及び最大で全て)のこれらの免疫グロブリンシングル可変ドメインは、2つ又は3つのジスルフィド架橋を含む。
【0104】
言及されたように、融合タンパク質のポリペプチド、構築物が重鎖ISVD(同IVSDは、本発明の血清アルブミンバインダー又は治療ターゲットに対するISVD、例えば、治療ターゲットに対するナノボディであることができる)をそのC末端に有する場合には、融合タンパク質のポリペプチド、構築物(のC末端に存在するISVD)は、好ましくは、そのC末端にC末端伸長を有する。再度、前記C末端伸長は、式(X)n[式中、nは、1~10、好ましくは、1~5、例えば、1、2、3、4又は5(及び好ましくは、1又は2、例えば、1)であり、各Xは、(好ましくは、天然の)アミノ酸残基であり、天然のアミノ酸残基(ただし、好ましい一態様によれば、任意のシステイン残基を含まない)から独立して選択され、好ましくは、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)又はイソロイシン(I)からなる群より独立して選択される]で示されるものであろう。
【0105】
言及されたように、融合タンパク質のポリペプチド、構築物が重鎖ISVD(同IVSDは、本発明の血清アルブミンバインダー又は治療ターゲットに対するISVD、例えば、治療ターゲットに対するナノボディであることができる)をそのN末端に有する場合には、融合タンパク質のポリペプチド、構築物(のC末端に存在するISVD)は、好ましくは、1位におけるD又はE1Dの変異を有する。
【0106】
このため、別の態様では、本発明は、タンパク質、ポリペプチド又は他の化合物であって、
-少なくとも1つの(及び好ましくは、1つのみの)本発明の血清アルブミンバインダーと少なくとも1つの(例えば、1つ、2つ又は3つの)治療部分又は成分(これらにおいて、前記血清アルブミンバインダーと1つ以上の治療部分又は成分とは、場合により1つ以上の適切なリンカーを介して適切に結合している)を含むか又はこれらから本質的になり、
-そのC末端に重鎖ISVDを有し、同C末端において、C末端におけるISVDが、(本明細書で更に記載された)C末端伸長(X)nを有し、
-同タンパク質、ポリペプチド又は他の化合物が、そのN末端にも重鎖ISVDを有する場合があり、その場合には、前記N末端のISVDは、1位におけるD又はE1Dを有する、
タンパク質、ポリペプチド又は他の化合物に関する。
【0107】
また、好ましい態様では、本発明の血清アルブミンバインダーを除いて、1つ以上の他のISVDが存在する場合(すなわち、存在する1つ以上の治療部分がISVDである場合)には、(1つ以上又は全ての)前記「治療」ISVDは、好ましくは、既存の抗体による結合を低下させるアミノ酸残基/変異(の組み合わせ)も有する。ISVDが重鎖ISVDであル場合には、これらの変異は、PCT/EP第2015/060643号に記載されていることができ、特に、本発明の血清アルブミンバインダーについて本明細書で記載されたのと本質的に同じ種類の変異(又は変異の組み合わせ)である場合がある、11、89、110及び112位における1つ以上変異(の適切な組み合わせ)であることができる。好ましくは、このような他のISVDがC末端に存在する場合には、少なくとも前記治療ISVDは、11、89、110及び/又は112位におけるこのような変異を(すなわち、本明細書で記載されたC末端伸長に加えて)含む。
【0108】
具体的な一態様によれば、構築物、融合タンパク質又はポリペプチドに存在する全ての治療部分は、ISVD(すなわち、治療ターゲットに対するISVD)及び特に、重鎖ISVD、及びとりわけ、ナノボディ(すなわち、治療ターゲットに対するナノボディ)である。
【0109】
例えば、非限定的に、本発明の血清アルブミンバインダーを含む構築物、融合タンパク質又はポリペプチドは、
-1つのコピーの本発明の血清アルブミンバインダー及び1つの治療ターゲットに対するISVD(及び好ましくは、ナノボディ)又は
-1つのコピーの本発明の血清アルブミンバインダー及び2つの治療ターゲットに対するISVD(及び好ましくは、2つのナノボディ)(同ISVDは、同じか又は異なることができ、異なる場合には、同じターゲット、同じターゲット上の異なるエピトープ又は異なる治療ターゲットに対する指向性を有することができる)又は
-1つのコピーの本発明の血清アルブミンバインダー及び3つの治療ターゲットに対するISVD(及び好ましくは、3つのナノボディ)(同ISVDは、同じか又は異なることができ、異なる場合には、同じターゲット、同じターゲット上の異なるエピトープ又は異なる治療ターゲットに対する指向性を有することができる)
を含むことができる。
【0110】
本発明の構築物、融合タンパク質又はポリペプチドの一部の非限定的な例は、下記のように模式的に表現することができる。ここで、「[Alb]」は、本発明の血清アルブミンバインダーを表わし、「[治療部分1]」及び「[治療部分2]」は、治療部分を表わし(同治療部分は、言及されたように、それぞれ独立して、免疫グロブリンシングル可変ドメインであることができ)、「-」は、適切なリンカーを表わし(同リンカーは任意であり、適切な例は、9GS及び35GSリンカーであり)、N末端は左側であり、C末端は右側である。
[Alb]-[治療部分1]
[治療部分1]-[Alb]-X(n)
[Alb]-[治療部分1]-[治療部分1]
[治療部分1]-[治療部分1]-[Alb]-X(n)
[治療部分1]-[Alb]-[治療部分1]
[Alb]-[治療部分1]-[治療部分2]
[治療部分1]-[治療部分2]-[Alb]-X(n)
[治療部分1]-[Alb]-[治療部分2]
【0111】
治療部分が治療ターゲットに対するISVDs(及び好ましくは、ナノボディ)である場合、好ましく非限定的な本発明の構築物、融合タンパク質又はポリペプチドは、下記のように模式的に表現することができる。ここで、「[Alb]」は、本発明の血清アルブミンバインダーを表わし、「[治療ISVD1]」及び「[治療ISVD2]」は、治療ターゲットに対するISVD(同ISVDは、同じか又は異なることができ、異なる場合には、同じターゲット、同じターゲット上の異なるエピトープ又は異なる治療ターゲットに対する指向性を有することができる)を表わし、「-」は、適切なリンカーを表わし(同リンカーは任意であり)、X(n)は、本明細書で記載されたC末端伸長を表わし、N末端は左側であり、C末端は右側である。
[Alb]-[治療ISVD1]-X(n)
[治療ISVD1]-[Alb]-X(n)
[Alb]-[治療ISVD1]-[治療ISVD1]-X(n)
[治療ISVD1]-[治療ISVD1]-[Alb]-X(n)
[治療ISVD1]-[Alb]-[治療ISVD1]-X(n)
[Alb]-[治療ISVD1]-[治療ISVD2]-X(n)
[治療ISVD1]-[治療ISVD2]-[Alb]-X(n)
[治療ISVD1]-[Alb]-[治療ISVD2]-X(n)
【0112】
このため、別の態様では、本発明は、本発明の血清アルブミンバインダーと少なくとも1つの他のナノボディ(例えば、1つ又は2つの他のナノボディ、これらは、同じでも又は異なることができる)を含む、多重特異性(及び特に、二重特異性)ナノボディ構築物に関し、これにおいて、前記少なくとも1つの他のナノボディは、好ましくは、所望のターゲット(同ターゲットは、好ましくは、治療ターゲットである)に対して指向性を有し、並びに/又は、治療、予防及び/もしくは診断目的に有用又は適切な別のナノボディである。再度、本発明の血清アルブミンバインダー及び他のナノボディは、互いに直接又は1つ以上の適切なリンカーもしくはスペーサを介して適切に結合していることができる。
【0113】
1つ以上ナノボディを含有する多価及び多重特異性ポリペプチド並びにその調製の一般的な説明については、Conrath et al., J. Biol. Chem., Vol. 276, 10. 7346-7350, 2001;Muyldermans, Reviews in Molecular Biotechnology 74 (2001), 277-302;及び例えば、WO第96/34103号、同第99/23221号、同第04/041862号、同第2006/122786号、同第2008/020079号、同第2008/142164号又は同第2009/068627号も参照される。
【0114】
一部の具体的な本発明の多重特異性及び/又は多価ポリペプチドの一部の他の例は、本明細書で言及されたAblynx N.V.による出願に見出すことができる。特に、半減期を伸ばすために、血清タンパク質に対する少なくとも1つのナノボディを含む多価及び多重特異性構築物、それをコードする核酸、それを含む組成物、前述のものの調製並びに前述のものの使用の一般的な説明については、上記言及された国際出願のWO第04/041865号及び同第06/122787号(本明細書で記載された本発明の血清アルブミンバインダーは、一般的には、そこで記載された半減期延長ナノボディ、例えば、Alb-8と同様に使用することができる)が参照される。そして、例えば、WO第04/041862号、同第2006/122786号、同第2008/020079号、同第2008/142164号又は同第2009/068627号に与えられるこのような構築物の一般的な説明及び具体例が参照される。
【0115】
一態様において、本発明は、本発明の血清アルブミンバインダーと1つ以上の更なる重鎖ISVD(例えば、VHドメインを含むか又はVHドメインから得られるナノボディ又は(シングル)ドメイン抗体)とを含む、タンパク質、ポリペプチド又は他の化合物もしくは構築物(及び好ましくは、融合タンパク質)に関し、これらにおいて、前記血清アルブミンバインダー及び前記1つ以上の更なる重鎖ISVDは全て、下記アミノ酸残基を含有する、
-11位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、L又はVから選択され、かつ
-89位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、T、V又はLから適切に選択され、かつ
-110位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、T、K又はQから適切に選択され、かつ
-112位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、S、K又はQから適切に選択され、
これにより、(i)89位がTであり;又は(ii)89位がLでありかつ11位がVであり;又は(iii)89位がLでありかつ110位がKもしくはQであり;又は(iv)89位がLでありかつ112位がKもしくはQであり;又は(v)89位がLでありかつ11位がVでありかつ110位がKもしくはQであり;又は(vi)89位がLでありかつ11位がVでありかつ112位がKもしくはQであり;又は(vii)11位がVでありかつ110位がKもしくはQであり;又は(vii)11位がVでありかつ112位がKもしくはQである。
【0116】
別の態様では、本発明は、本発明の血清アルブミンバインダーと1つ以上の更なる重鎖ISVDとを含む、タンパク質、ポリペプチド又は他の化合物もしくは構築物(及び好ましくは、融合タンパク質)に関し、これらにおいて、前記血清アルブミンバインダー及び前記1つ以上の更なる重鎖ISVDは全て、下記アミノ酸残基:
-89T又は
-11Vとの組み合わせでの89L又は
-110Kもしくは110Qとの組み合わせでの89L又は
-112Kもしくは112Qとの組み合わせでの89L又は
-11V及び110Kもしくは110Qとの組み合わせでの89L又は
-11V及び112Kもしくは112Qとの組み合わせでの89L又は
-110Kもしくは110Qとの組み合わせでの11V又は
-112Kもしくは112Qとの組み合わせでの11V
を含有する。
【0117】
別の態様では、本発明は、本発明の血清アルブミンバインダーと1つ以上の更なる重鎖ISVDとを含む、タンパク質、ポリペプチド又は他の化合物もしくは構築物(及び好ましくは、融合タンパク質)に関し、これらにおいて、前記血清アルブミンバインダー及び前記1つ以上の更なる重鎖ISVDは全て、下記アミノ酸残基を含有する、
-11位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、L又はVから選択され、かつ
-89位におけるアミノ酸残基は、Tであり、かつ
-110位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、T、K又はQから適切に選択され(及び好ましくは、Tであり)、かつ
-112位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、S、K又はQから適切に選択される(及び好ましくは、Sである)。
【0118】
別の態様では、本発明は、本発明の血清アルブミンバインダーと1つ以上の更なる重鎖ISVDとを含む、タンパク質、ポリペプチド又は他の化合物もしくは構築物(及び好ましくは、融合タンパク質)に関し、これらにおいて、前記血清アルブミンバインダー及び前記1つ以上の更なる重鎖ISVDは全て、下記アミノ酸残基を含有する、
-11位におけるアミノ酸残基は、Vであり、かつ
-89位におけるアミノ酸残基は、Lであり、かつ
-110位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、T、K又はQから適切に選択され、かつ
-112位におけるアミノ酸残基は、好ましくは、S、K又はQから適切に選択される。
【0119】
別の態様では、本発明は、本発明の血清アルブミンバインダーと1つ以上の更なる重鎖ISVDとを含む、タンパク質、ポリペプチド又は他の化合物もしくは構築物(及び好ましくは、融合タンパク質)に関し、これらにおいて、前記血清アルブミンバインダー及び前記1つ以上の更なる重鎖ISVDは全て、下記アミノ酸残基:
-89Lとの組み合わせでの11V又は
-110Kもしくは110Qとの組み合わせでの11V
-112Kもしくは112Qとの組み合わせでの11V
-89L及び110Kもしくは110Qとの組み合わせでの11V又は
-89L及び112Kもしくは112Qとの組み合わせでの11V
を含有する。
【0120】
別の態様では、本発明は、本発明の血清アルブミンバインダーと1つ以上の更なる重鎖ISVDとを含む、タンパク質、ポリペプチド又は他の化合物もしくは構築物(及び好ましくは、融合タンパク質)に関し、これらにおいて、前記血清アルブミンバインダー及び前記1つ以上の更なる重鎖ISVDは全て、下記アミノ酸残基:
-11Vとの組み合わせでの89L又は
-110Kもしくは110Qとの組み合わせでの89L又は
-112Kもしくは112Qとの組み合わせでの89L又は
-11V及び110Kもしくは110Qとの組み合わせでの89L又は
-11V及び112Kもしくは112Qとの組み合わせでの89L
を含有する。
【0121】
別の態様では、本発明は、本発明の血清アルブミンバインダーと1つ以上の更なる重鎖ISVDとを含む、タンパク質、ポリペプチド又は他の化合物もしくは構築物(及び好ましくは、融合タンパク質)に関し、これらにおいて、前記血清アルブミンバインダー及び前記1つ以上の更なる重鎖ISVDは全て、下記アミノ酸残基:
-11Vとの組み合わせでの110Kもしくは110Q又は
-89Lとの組み合わせでの110Kもしくは110Q又は
-11V及び89Lとの組み合わせでの110Kもしくは110Q
を含有する。
【0122】
別の態様では、本発明は、本発明の血清アルブミンバインダーと1つ以上の更なる重鎖ISVDとを含む、タンパク質、ポリペプチド又は他の化合物もしくは構築物(及び好ましくは、融合タンパク質)に関し、これらにおいて、前記血清アルブミンバインダー及び前記1つ以上の更なる重鎖ISVDは全て、下記アミノ酸残基:
-11Vとの組み合わせでの112Kもしくは112Q又は
-89Lとの組み合わせでの112Kもしくは112Q又は
-11V及び89Lとの組み合わせでの112Kもしくは112Q
を含有する。
【0123】
別の態様では、本発明は、本発明の血清アルブミンバインダーと1つ以上の更なる重鎖ISVDとを含む、タンパク質、ポリペプチド又は他の化合物もしくは構築物(及び好ましくは、融合タンパク質)に関し、これらにおいて、前記血清アルブミンバインダー及び前記1つ以上の更なる重鎖ISVDは全て、89位におけるTを含有する。
【0124】
別の態様では、本発明は、本発明の血清アルブミンバインダーと1つ以上の更なる重鎖ISVDとを含む、タンパク質、ポリペプチド又は他の化合物もしくは構築物(及び好ましくは、融合タンパク質)に関し、これらにおいて、前記血清アルブミンバインダー及び前記1つ以上の更なる重鎖ISVDは全て、11位におけるV及び89位におけるLを含有する。
【0125】
再度、これら全てのポリペプチドは、好ましくは、(本明細書で記載された)C末端伸長X(n)及び1位におけるDを含有し、本明細書で更に記載されたように、血清アルブミン結合性ISVDを含有することができる。また、それらは、本明細書で更に記載された半減期も有する。
【0126】
また、本発明は、本発明のアルブミンバインダー、化合物又はポリペプチドをコードする、ヌクレオチド配列又は核酸に関する。更に、本発明は、前述のヌクレオチド配列又は核酸とそれ自体公知の遺伝子構築物用の1つ以上エレメントとを含む、遺伝子構築物を含む。本遺伝子構築物は、プラスミド又はベクターの形態であることができる。再度、このような構築物は、一般的には、Ablynx N.V.の公開された特許出願、例えば、WO第04/041862号、同第2006/122786号、同第2008/020079号、同第2008/142164号又は同第2009/068627号等に記載されたとおりであることができる。
【0127】
また、本発明は、このようなヌクレオチド配列もしくは核酸を含有し、及び/又は、本発明のアルブミンバインダー、化合物もしくはポリペプチドを発現する(又は発現可能である)、ホスト又はホスト細胞に関する。再度、このようなホスト細胞は、一般的には、Ablynx N.V.の公開された特許出願、例えば、WO第04/041862号、同第2006/122786号、同第2008/020079号、同第2008/142164号又は同第2009/068627号等に記載されたとおりであることができる。
【0128】
また、本発明は、本明細書で記載されたホスト細胞を、前記ホスト細胞が本発明のアルブミンバインダー、化合物又はポリペプチドを生成し又は発現するような条件下で、培養し又は維持することを含み、場合により更に、そのようにして生成された本発明のアルブミンバインダー、化合物又はポリペプチドを単離することを含む、本発明のアルブミンバインダー、化合物又はポリペプチドを製造するための方法に関する。再度、このような方法を、一般的には、Ablynx N.V.の公開された特許出願、例えば、WO第04/041862号、同第2006/122786号、同第2008/020079号、同第2008/142164号又は同第2009/068627号等に記載されたとおりに行うことができる。
【0129】
また、本発明は、少なくとも1つの本発明の化合物又はポリペプチドと、場合より、少なくとも1つの薬学的に許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤とを含む、医薬組成物に関する。このような調製物、担体、賦形剤及び希釈剤は、一般的には、Ablynx N.V.の公開された特許出願、例えば、WO第04/041862号、同第2006/122786号、同第2008/020079号、同第2008/142164号又は同第2009/068627号等に記載されたとおりであることができる。
【0130】
ただし、本発明の化合物又はポリペプチドは、延長した半減期を有するため、それらは、好ましくは、循環に投与される。なお、それらは、本発明の化合物又はポリペプチドが循環に入るのを可能にする任意の適切な様式、例えば、静脈内、注射もしくは注入により、又は、任意の他の適切な様式(経口投与、皮下投与、筋肉内投与、皮膚からの投与、鼻内投与、肺からの投与等を含む)で投与することができる。適切な投与方法及び経路は、再度、例えば、Ablynx N.V.の公開された特許出願、例えば、WO第04/041862号、同第2006/122786号、同第2008/020079号、同第2008/142164号又は同第2009/068627号等の教示からも、当業者に明らかであろう。
【0131】
このため、別の態様では、本発明は、本発明の化合物又はポリペプチドの使用により予防し又は治療することができる、少なくとも1つの疾患又は障害を予防し及び/又は治療するための方法に関し、同方法は、それを必要とする対象に、薬学上活性な量の本発明の化合物もしくはポリペプチド及び/又はそれらを含む医薬組成物を投与することを含む。本明細書で記載された本発明の化合物又はポリペプチドの使用により予防し又は治療することができる疾患及び障害は、一般的には、本発明の化合物又はポリペプチドに存在する1つ以上の治療部分の使用により予防され又は治療されることができる疾患及び障害と同じであろう。
【0132】
本発明の文脈において、「予防及び/又は治療」という用語は、疾患を予防し及び/又は治療することを含むのみではなく、一般的には、疾患の開始を予防し、疾患の進行を遅らせもしくは反転させ、疾患に関連する1つ以上の症候の開始を予防しもしくは遅らせ、疾患に関連する1つ以上の症候を減少させ及び/もしくは軽減し、疾患及び/もしくはそれに関連する任意の症候の重症度及び/もしくは期間を低下させ、並びに/又は、疾患及び/もしくはそれに関連する任意の症候の重症度の更なる増大を予防し、疾患により生じる任意の生理学的傷害を予防し、減少させもしくは反転させ、並びに一般的には、処置される患者に有益な任意の薬理作用も含む。
【0133】
処置される態様は、任意の恒温動物であることができる、特に、哺乳類及びとりわけ、ヒトであることができる。当業者に明らかであろうように、処置される対象は、特に、本明細書で言及された疾患及び障害を患う又はこれらを患うリスクにあるヒトであろう。
【0134】
別の実施態様では、本発明は、本明細書で言及された疾患及び障害を患っている又は同疾患及び障害のリスクにある対象に、薬学上活性な量の本発明の化合物もしくはポリペプチド及び/又はそれらを含む医薬組成物を投与することを含む、免疫療法及び特に、受動免疫療法のための方法に関する。
【0135】
本発明の化合物もしくはポリペプチド及び/又はそれらを含む組成物は、予防され又は治療される疾患又は障害を予防し及び/又は治療するのに適した処置計画に従って投与される。臨床医は、一般的には、予防されもしくは治療される疾患もしくは障害、処置される疾患の重症度並びに/又はそれらの症候の重症度、使用される本発明の具体的なポリペプチド、具体的な投与経路並びに使用される医薬製剤もしくは組成物、患者の年齢、性別、体重、食事、全体的な状態等の要因並びに臨床医に周知の類似する要因に応じて、適切な処置計画を決定することができるであろう。
【0136】
一般的には、処置計画は、1つ以上の本発明の化合物もしくはポリペプチド又は1つ以上のそれらを含む組成物を、1つ以上の薬学上有効な量又は用量で投与することを含むであろう。投与される具体的な量又は用量は、再度、上記言及された要因に基づいて、臨床医により決定することができる。
【0137】
一般的には、本明細書で言及された疾患及び障害の予防及び/又は治療のために、かつ、処置される具体的な疾患又は障害、使用される本発明の化合物又はポリペプチドの活性及び/又は半減期、使用される具体的な投与経路及び具体的な医薬製剤又は組成物に応じて、本発明の化合物又はポリペプチドは、一般的には、1日当たり体重1kg当たりに1グラム~0.01マイクログラム、好ましくは、1日当たり体重1kg当たりに0.1グラム~0.1マイクログラム、例えば、1日当たり体重1kg当たりに約1、10、100又は1000マイクログラムの量で、連続的(例えば、注入により)、日量を1回又は1日の間に複数回に分割した用量のいずれかで投与されるであろう。臨床医は、一般的には、適切な日量を、本明細書で言及された要因に応じて決定することができるであろう。具体的な症例において、臨床医は、例えば、上記引用された要因及び臨床医の専門的な判断に基づいて、これらの量を逸脱して選択することができるのも、明らかであろう。一般的には、投与される量についての一部のガイダンスは、本質的に同じ経路により投与される同じターゲットに対する比較可能な従来の抗体又は抗体フラグメントについて通常投与される量から得ることができるが、親和性/結合活性、効能、生体分布、半減期及び当業者に周知の類似する要因を考慮する。
【0138】
また、本発明の化合物が本発明の半減期延長血清アルブミンバインダーを含有する場合、それらは、本質的に連続的に(例えば、注入により)投与される必要はなく、それらは、(当業者により決定される)適切な間隔で投与することができる。例えば、それらは、(適切な用量で)2日に1回、4日に1回、1週間に1回、2週間に1回及び一部の場合には、4週間に1回又は更に、例えば、注射もしくは注入によるより低頻繁で投与することができる。
【0139】
本発明の一態様は、少なくとも1つの本発明の化合物又はポリペプチドを含む、医薬組成物に関し、ここで、前記組成物は、1週間に1回~4週間に1回及び特に、7日に1回~21日に1回、例えば、7日又は14日に1回の間隔での投与が意図される。
【0140】
通常、上記方法において、本発明の1つのポリペプチドが使用されるであろう。ただし、2つ以上の本発明のポリペプチドを組み合わせで使用するのは、本発明の範囲内である。
【0141】
また、本発明のポリペプチドは、1つ以上の更なる薬学活性化合物又は原理との組み合わせで、すなわち、組み合わせられた処置計画として使用することもでき、同処置計画は、相乗効果をもたらしてもよいし又はもたらさなくてもよい。再度、臨床医は、このような更なる化合物又は原理及び適切な組み合わせ処置計画を、上記引用された要因及び臨床医の専門的な判断に基づいて選択することができるであろう。
【0142】
特に、本発明のポリペプチドは、本発明の融合タンパク質又は構築物により予防し又は治療することができる疾患及び障害の予防及び/又は治療に使用され又は使用することができる、他の薬学活性化合物又は原理との組み合わせで使用することができる。同組み合わせの結果として、相乗効果が得られてもよく又は得られてもよい。
【0143】
本発明に従って使用される処置計画の有効性は、臨床医に明らかであろうように、関連する疾患又は障害についてそれ自体公知の任意の様式で決定し及び/又は追跡することができる。また、臨床医は、該当する場合及び/又はケースバイケースで、所望の治療効果を達成し、望ましくない副作用を避け、制限しもしくは減少させ、及び/又は、一方で所望の治療効果を達成し、他方で望ましくない副作用を避け、制限しもしくは減少させる間の適切なバランスを達成するために、特定の処置計画を変更し又は改変することもできるであろう。
【0144】
一般的には、処置計画は、所望の治療効果が達成されるまで、及び/又は、所望の治療効果が維持されている限り追跡されるであろう。再度、これは、臨床医により決定することができる。
【0145】
処置される対象は、恒温動物、特に哺乳類、及びとりわけヒトであることができる。当業者に明らかであろうように、処置される対象は、特に、本明細書で言及された疾患及び障害に苦しんでいる又は同疾患及び障害のリスクにあるヒトであろう。
【0146】
本発明の他の態様、実施態様、利点及び用途は、本明細書における更なる説明から明らかとなるであろう。
【0147】
ここから、本発明は、下記の非限定的で好ましい態様、実施例及ぶ図面により更に説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【
図1】
図1は、本明細書で具体的に言及されるであろう幾つかのアミノ酸位置及び幾つかの代替的なナンバリングシステム(例えば、Aho及びIMGT)に従ったそれらのナンバリングを列記する表である。
【
図2】
図2は、本明細書で言及された参照配列のアライメントを示す。
【
図3-1】
図3は、本明細書で言及されたアミノ酸配列を列記する。
【
図3-2】
図3は、本明細書で言及されたアミノ酸配列を列記する。
【
図3-3】
図3は、本明細書で言及されたアミノ酸配列を列記する。
【
図3-4】
図3は、本明細書で言及されたアミノ酸配列を列記する。
【
図3-5】
図3は、本明細書で言及されたアミノ酸配列を列記する。
【
図3-6】
図3は、本明細書で言及されたアミノ酸配列を列記する。
【
図3-7】
図3は、本明細書で言及されたアミノ酸配列を列記する。
【
図3-8】
図3は、本明細書で言及されたアミノ酸配列を列記する。
【
図3-9】
図3は、本明細書で言及されたアミノ酸配列を列記する。
【
図3-10】
図3は、本明細書で言及されたアミノ酸配列を列記する。
【
図4】
図4は、96個の健康なヒト対象からの血清サンプルを参照A及び本発明による参照Aの2つの代表的な変異体(すなわち、それぞれ[参照A+L11V+V89L+C末端アラニン]及び[参照A+L11V+V89L+T110K+C末端アラニン])に対する結合について試験した場合の、実施例1で得られたデータ点の2つの対応するプロットを示す。各ドットは、試験された96個のサンプルのうちの1つについての結合レベルを表わす。右側パネル及び左側パネルに示されたデータ点は同じであり、右側パネルにおいて、試験された3つの化合物(すなわち、参照A;参照A+L11V+V89L+114A;及び参照A+L11V+V89L+T110K+114A)それぞれについての各個々のサンプルについて測定されたデータ点が線により接続されている(結果として、線の傾斜から、本発明の変異及びC末端アラニンが導入された場合に、既存の抗体による結合が減少する程度の指標が与えられる)。
【
図5-1】
図5は、
図4に応じたデータ点の結合データを列記する表(それぞれ、正規化されたPreAb結合レベル(700RU)を与える3つのカラム及び使用された参照化合物と比較したPreAb結合の減少割合を与える3つのカラム)である。
【
図5-2】
図5は、
図4に応じたデータ点の結合データを列記する表(それぞれ、正規化されたPreAb結合レベル(700RU)を与える3つのカラム及び使用された参照化合物と比較したPreAb結合の減少割合を与える3つのカラム)である。
【
図5-3】
図5は、
図4に応じたデータ点の結合データを列記する表(それぞれ、正規化されたPreAb結合レベル(700RU)を与える3つのカラム及び使用された参照化合物と比較したPreAb結合の減少割合を与える3つのカラム)である。
【
図6】
図6は、96個の健康なヒト対象からの血清サンプルを参照B及び本発明による参照Bの2つの代表的な変異体(すなわち、それぞれ[参照B+L11V+V89L+C末端アラニン]及び[参照B+L11V+V89L+T110K+C末端アラニン])に対する結合について試験した場合の、実施例2で得られたデータ点の2つの対応するプロットを示す。各ドットは、試験された96個のサンプルのうちの1つについての結合レベルを表わす。右側パネル及び左側パネルに示されたデータ点は同じであり、右側パネルにおいて、試験された3つの化合物(すなわち、参照B;参照B+L11V+V89L+114A;及び参照B+L11V+V89L+T110K+114A)それぞれについての各個々のサンプルについて測定されたデータ点が線により接続されている(結果として、線の傾斜から、本発明の変異及びC末端アラニンが導入された場合に、既存の抗体による結合が減少する程度の指標が与えられる)。
【
図7-1】
図7は、
図6に応じたデータ点の結合データを列記する表(それぞれ、正規化されたPreAb結合レベル(700RU)を与える3つのカラム及び使用された参照化合物と比較したPreAb結合の減少割合を与える2つのカラム)である。
【
図7-2】
図7は、
図6に応じたデータ点の結合データを列記する表(それぞれ、正規化されたPreAb結合レベル(700RU)を与える3つのカラム及び使用された参照化合物と比較したPreAb結合の減少割合を与える2つのカラム)である。
【
図7-3】
図7は、
図6に応じたデータ点の結合データを列記する表(それぞれ、正規化されたPreAb結合レベル(700RU)を与える3つのカラム及び使用された参照化合物と比較したPreAb結合の減少割合を与える2つのカラム)である。
【
図8】
図8は、96個の血清サンプル(健康なヒト対象からの66個及びC末端アラニンの存在下で結合することができる既存の抗体を含有すると推定される対象からの30個(SLE患者からの13個のサンプルを含む))を参照C、参照D及び本発明による参照Dの2つの代表的な変異体(すなわち、それぞれ[参照D+L11V+V89L]及び[参照D+L11V+V89L+T110K])に対する結合について試験した場合の、実施例3で得られたデータ点の2つの対応するプロットを示す。各ドットは、試験された96個のサンプルのうちの1つについての結合レベルを表わす。右側パネル及び左側パネルに示されたデータ点は同じであり、右側パネルにおいて、試験された4つの化合物(すなわち、参照C;参照D;参照D+L11V+V89L;及び参照D+L11V+V89L+T110K)それぞれについての各個々のサンプルについて測定されたデータ点が線により接続されている(結果として、線の傾斜から、本発明の変異及びC末端アラニンが導入された場合に、既存の抗体による結合が減少する程度の指標を与えられる)。
【
図9】
図9は、実施例3で試験された4つのSLEサンプルについて得られたデータ点のプロットを示す。個々のサンプル(すなわち、それぞれ「SLE25」、「SLE37」、「SLE39」及び「SLE41」)について測定されたデータ点が線により接続されている(結果として、各線の傾斜から、本発明の変異が導入された場合に、既存の抗体による結合が各サンプルにおいて減少する程度の指標が与えられる)。
【
図10-1】
図10は、
図8に応じたデータ点の結合データを列記する表(それぞれ、正規化されたPreAb結合レベル(700RU)を与える4つのカラム及び使用された参照化合物と比較したPreAb結合の減少割合を与える3つのカラム)である。
【
図10-2】
図10は、
図8に応じたデータ点の結合データを列記する表(それぞれ、正規化されたPreAb結合レベル(700RU)を与える4つのカラム及び使用された参照化合物と比較したPreAb結合の減少割合を与える3つのカラム)である。
【
図10-3】
図10は、
図8に応じたデータ点の結合データを列記する表(それぞれ、正規化されたPreAb結合レベル(700RU)を与える4つのカラム及び使用された参照化合物と比較したPreAb結合の減少割合を与える3つのカラム)である。
【
図10-4】
図10は、
図8に応じたデータ点の結合データを列記する表(それぞれ、正規化されたPreAb結合レベル(700RU)を与える4つのカラム及び使用された参照化合物と比較したPreAb結合の減少割合を与える3つのカラム)である。
【
図10-5】
図10は、
図8に応じたデータ点の結合データを列記する表(それぞれ、正規化されたPreAb結合レベル(700RU)を与える4つのカラム及び使用された参照化合物と比較したPreAb結合の減少割合を与える3つのカラム)である。
【0149】
実験部分
以下の実験部分で使用されたヒトサンプルを、商業的な供給元又はヒトのボランティアのいずれかから取得し(全て、必要とされる同意及び認可後に取得し)、適用され得る法律及び規制条件(医療秘密及び患者のプライバシーに関するものを含むが、これらに限定されない)に従って使用した。
【0150】
以下の実施例において、特に断りない限り、使用された(すなわち、健康なボランティア、関節リウマチ(RA)患者及びSLE患者からの)サンプルに存在する既存の抗体の試験されたナノボディへの結合性を、ProteOnを使用して以下のように決定した。
【0151】
ナノボディを、血清アルブミン又はモノクローナル抗FLAG M2を使用するFLAG3タグのいずれかにより捕捉した。
【0152】
ヒト血清アルブミン(HSA)に捕捉されたナノボディへの既存の抗体の結合の場合、ProteOn XPR36(Bio-Rad Laboratories,Inc.)を使用して評価した。PBS/Tween(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4、0.005% Tween20)をランニングバッファーとして使用し、実験を25℃で行った。ProteOn GLCセンサチップのリガンドレーンをEDC/NHS(流速30μl/分)で活性化し、HSAをProteOn酢酸バッファー pH4.5に10μg/mlで注入(流速100μl/分)して、約3200RUの固定レベルにした。固定後、表面をエタノールアミンHCl(流速30μl/分)で不活性化した。ナノボディをHSA表面上に45μl/分で2分間注入して、約200RUのナノボディ捕捉レベルにした。既存の抗体を含有するサンプルを14,000rpmで2分間遠心分離し、上清をPBS-Tween20(0.005%)で1:10希釈し、その後、45μl/分で2分間注入し、続けて、その後の400秒の解離工程を行った。各サイクル後(すなわち、新たなナノボディの捕捉及び血液サンプル注入工程前)、HSA表面を45μl/分での2分間のHCl(100mM)の注入により再生した。センサグラム処理及びデータ分析をProteOn Manager 3.1.0(Bio-Rad Laboratories, Inc.)により行った。既存の抗体の結合を示すセンサグラムを、1)ナノボディ-HSA解離及び2)参照リガンドレーンへの非特異的結合を差し引くことによる2重参照後に得た。既存の抗体の結合レベルを125秒(会合終了の5秒後)での報告点を設定することにより決定した。既存の抗体の結合の%減少を参照ナノボディの125秒での結合レベルに対して算出した。
【0153】
既存の抗体のモノクローナル抗FLAG M2(Sigma)に捕捉されたFLAGタグ付きナノボディへの結合の場合、ProteOn XPR36(Bio-Rad Laboratories, Inc.)を使用して評価した。PBS/Tween(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4、0.005% Tween20)をランニングバッファーとして使用し、実験を25℃で行った。ProteOn GLCセンサチップのリガンドレーンをEDC/NHS(流速30μl/分)で活性化し、抗FLAG M2 mAbをProteOn酢酸バッファー pH4.5に10μg/mlで注入(流速100μl/分)して、約4000RUの固定レベルにした。固定後、表面をエタノールアミンHCl(流速30μl/分)で不活性化した。ナノボディを抗FLAG M2表面上に45μl/分で2分間注入して、約100RUのナノボディ捕捉レベルにした。血液サンプルの抗FLAG M2表面への非特異的結合を減少させるために、100nM 3×FLAGペプチド(Sigma)を血液サンプルに加えた。既存の抗体を含有するサンプルを14,000rpmで2分間遠心分離し、上清をPBS-Tween20(0.005%)で1:10希釈し、その後、45μl/分で2分間注入し、続けて、その後の600秒の解離工程を行った。各サイクル後(すなわち、新たなナノボディの捕捉及び血液サンプル注入工程前)、抗FLAG M2表面を150μl/分での10秒間のグリシン pH1.5(10mM)の注入により再生した。センサグラム処理及びデータ分析をProteOn Manager 3.1.0(Bio-Rad Laboratories, Inc.)により行った。既存の抗体の結合を示すセンサグラムを、1)ナノボディ-抗FLAG M2解離及び2)参照リガンドレーンへの非特異的結合を差し引くことによる2重参照後に得た。既存の抗体の結合レベルを125秒(会合終了の5秒後)での報告点を設定することにより決定した。既存の抗体の結合の%減少を参照ナノボディの125秒での結合レベルに対して算出した。
【0154】
実施例1:参照A(配列番号:1)に本発明の変異を導入することにより既存の抗体による結合の減少がもたらされる
参照A(配列番号:1)及び本発明による変異を有する参照Aの改善された変異体の2つの代表的な例(配列番号:37及び38、両方ともアラニン伸長を有し、N末端HIS6-FLAG3タグを有して試験した。配列番号:100を参照のこと)を健康なヒトボランティアからの96個の血清サンプルからのサンプルに存在する既存の抗体による結合について試験した。化合物をFLAGタグを使用して捕捉し、結合をProteOnを使用し、この実験部分の前段部分に与えられたプロトコールに従って測定した。
【0155】
結果を
図4に示す。
図5に、
図4におけるデータ点のうちの1つを形成するサンプルそれぞれについての結果を列記する。
【0156】
試験された96個のサンプルのほとんどについて、本発明による変異を導入することにより、既存の抗体の結合の減少がもたらされることが分かる。ここで、減少の程度は、概ね、各サンプル中の既存の抗体が参照Aに結合可能であったレベルに依存した。
【0157】
実施例2:参照B(配列番号:2)に本発明の変異を導入することにより既存の抗体による結合の減少がもたらされる
参照B(配列番号:2)及び本発明による変異を有する参照Bの改善された変異体の2つの代表的な例(配列番号:65及び66、両方ともアラニン伸長を有し、N末端HIS6-FLAG3タグを有して試験した。配列番号:100を参照のこと)を健康なヒトボランティアからの96個の血清サンプルからのサンプルに存在する既存の抗体による結合について試験した。化合物をFLAGタグを使用して捕捉し、結合をProteOnを使用し、この実験部分の前段部分に与えられたプロトコールに従って測定した。
【0158】
結果を
図6に示す。
図7に、
図6におけるデータ点のうちの1つを形成するサンプルそれぞれについての結果を列記する。
【0159】
実施例1と同様に、試験された96個のサンプルのほとんどについて、本発明による変異を導入することにより、既存の抗体の結合の減少がもたらされることが分かる。ここで、減少の程度は、概ね、各サンプル中の既存の抗体が参照Bに結合可能であったレベルに依存した。
【0160】
実施例3:参照C(配列番号:3)及び参照D(配列番号:4)に本発明の変異を導入することにより既存の抗体による結合の減少がもたらされる
参照C(配列番号:3)、参照D(配列番号:4)並びに本発明による変異を有する参照C及び参照Dの改善された変異体の2つの代表的な例(配列番号:93及び94、両方とも参照Dに存在するのと同じアラニン伸長を有し、N末端HIS6-FLAG3タグを有して試験した。配列番号:100を参照のこと)を健康なヒトボランティアからの66個の血清サンプル及びC末端アラニンが存在する場合でも結合可能な既存の抗体を含有すると推定される30個のサンプル(そのうちの13個は、SLE患者からのものであった)からのサンプルに存在する既存の抗体による結合について試験した。化合物をヒト血清アルブミンに捕捉し、結合をProteOnを使用し、この実験部分の前段部分に与えられたプロトコールに従って測定した。
【0161】
結果を
図8に示す。
図9に、4つの代表的なSLEサンプルについての詳細を与える。
図10に、
図8におけるデータ点のうちの1つを形成するサンプルそれぞれについての結果を列記する。
【0162】
実施例1及び2と同様に、試験された96個のサンプルのほとんどについて、本発明による変異を導入することにより、サンプルの大部分について、既存の抗体の結合の減少がもたらされることが分かる。ここで、減少の程度は、概ね、各サンプル中の既存の抗体が参照C又は参照Dに結合可能であったレベルに依存した。
【0163】
本願全体を通して引用された全ての参考文献(論文、発効され特許、公開された特許出願及び同時係属の特許出願を含む)の内容全体は、特に、上記参照された教示のために、参照により明示的に組み入れられる。
【配列表】