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特許7195149体内伸縮式仮骨延長装置、体外力発生装置、骨伸長および骨伸長装置のための方法
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  • 特許-体内伸縮式仮骨延長装置、体外力発生装置、骨伸長および骨伸長装置のための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】体内伸縮式仮骨延長装置、体外力発生装置、骨伸長および骨伸長装置のための方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/66 20060101AFI20221216BHJP
   A61B 17/72 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
A61B17/66
A61B17/72
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018560959
(86)(22)【出願日】2017-05-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 FI2017050344
(87)【国際公開番号】W WO2017203097
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-04-03
(31)【優先権主張番号】20165445
(32)【優先日】2016-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】515227419
【氏名又は名称】シュノステ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ハーヤ,ユハ
(72)【発明者】
【氏名】ハッリラ,ハリ
(72)【発明者】
【氏名】リトヴァネン,アンッティ
(72)【発明者】
【氏名】リヴィングストン,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】カリ,タネリ
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-526544(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0296234(US,A1)
【文献】特表2012-507340(JP,A)
【文献】特表2002-500063(JP,A)
【文献】特表2002-519136(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0275984(US,A1)
【文献】特表2011-512883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/58-17/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨を安定化させるシステムであって、体内伸縮式仮骨延長装置及び体外装置を備え、
前記体内伸縮式仮骨延長装置は、
近位端と遠位端とを有し、
前記近位端と前記遠位端との間の距離を制御された方法で増加させることができる方法のための骨への固定ネジによる取り付けのための固定点を、前記近位端と前記遠位端との各々において含む体内伸縮式仮骨延長装置であって、前記体内伸縮式仮骨延長装置は、前記固定点間の距離を増加させる方向の一方向移動を提供し、戻り方向への移動を防止し、前記体内伸縮式仮骨延長装置および前記骨のねじれを防止し、前記仮骨延長装置は、前記骨の一方向の伸長移動で伸長させるように構成され、
その伸長量を示すように構成され、
前記体外装置は、
体内装置および骨の伸長を引き起こす伸長のための力を生成し、
の特徴部に取り付けられるよう適合し、前記体外装置を伸長するためのネジを少なくとも2つ含み、前記体外装置を伸長するために前記ネジが手動で調整される、
システム。
【請求項2】
可聴信号が、前記体内伸縮式仮骨延長装置の伸長量を示すために出力される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
RF信号が、前記体内伸縮式仮骨延長装置の伸長量を示すために出力される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記体内伸縮式仮骨延長装置は、前記骨の中にインプラント可能である、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記骨の前記伸長移動を伴う前記体内伸縮式仮骨延長装置の伸長の結果として生じる伸長位置は、保持および/または固定される、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
骨伸長のためのシステムであって、
骨を伸長し、骨の長さを固定し、軸方向、ねじれおよび曲げ安定性を提供する、伸長可能な体内装置であって、近位端と遠位端とを有し、前記近位端と前記遠位端との各々において固定点を含む体内装置と、
前記体内装置および前記骨の伸長を引き起こす伸長のための力を生成する体外装置と、
を有する、システムであって:
前記システムは、
前記体内装置が、前記体内装置の前記伸長に関する情報を検出するとともに前記体外装置に伝達し、
前記体外装置が、前記伸長に関する前記情報を受信するとともに前記体外装置の伸長を制御し、
前記体外装置は、
の特徴部に取り付けられるよう適合し、前記体外装置を伸長するために調整される、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨伸長(bone lengthening)および漸進的な骨格変形の矯正に関する。特に、これは、便利且つ低コストの方法での骨の伸長に関する。
【背景技術】
【0002】
骨の伸長および漸進的な骨格変形の矯正技術は、少なくとも次の治療:大腿骨および脛骨の両側および片側の伸長、大腿骨、脛骨、上腕骨および指の断端(stump)伸長、距骨および踵骨骨切り術による足首の漸進的な矯正、進行性の先天性、神経筋性、特発性または症候性脊柱側弯症のための適応釘装着(adaptive rodding)、中足骨および中手骨の伸長、頭蓋顎顔面変形の漸進的矯正、並びにくさび開き骨切り術(例えば、高位脛骨骨切り術)による下肢変形の漸進的矯正、において日常的に適用されている。
【0003】
従来技術から骨伸長のための外部固定具が知られている。それらの利点は、低コストとアクセシビリティである。しかし、この治療は、典型的には、患者にとって痛みを伴い且つ不便である。
【0004】
言及すべき外部固定具のさらなる問題は、少なくとも、感染率、リハビリの期間、患者に取り付けられる非常に目立つ不便な装置、患者の睡眠を妨げること、創傷およびその管理、傷ついたまたは感染したピンの可能性およびそれらを取り換えること、劣った審美的な結果、特別な衣服の必要性、ならびに理学療法を妨げることである。
【0005】
手足の伸長のための従来のリングフレームは、典型的にはその発明者にちなんでイリザロフフレーム(Ilizarov Frame)と呼ばれている。
【0006】
さらに、骨伸長のための髄内インプラントが知られている。それらはより便利であり、患者の合併症を少なくする。しかし、それらは通常非常に高価であり、アクセシビリティ(accessibility)が低い。
【0007】
言及すべき髄内インプラントの更なる問題は、少なくとも、特定の市場においてのみ利用可能であること、部分的な体重のみを支えて完全な範囲の理学療法を許容しないこと、きつい手術、全ての患者群に利用可能ではなく、伸長の間接的な測定、詰まり(jamming)、破損、制御不能の場合の多量の技術的問題とインプラントのメンテナンスの可能性がないこと、磁気共鳴イメージング(MRI)に不適合であること、製品が高度に規制されていることである。
【0008】
先行技術の欠点を見ると、より便利であり、患者に合併症を少なくすると同時に、アクセスしやすくかつ安価である、ハイブリッド型解決法の明らかな必要性がある。
【0009】
さらに、従来技術は、インプラント可能な髄内釘および外部固定具を備えた1つのハイブリッド型の解決策である。このいわゆるように呼ばれる釘の上に延びる(Lengthening Over Nail)(LON)アプローチは、2回の手術(髄内釘の埋め込みと伸長の後の遠位のロックネジを固定するための別個の手術)を必要とするため、重度の感染の高いリスクがある。この解決法のインプラント可能な部分は、ねじれ安定性または伸長における軸方向安定性をもたらさない。
【0010】
伸長が完了したときに遠位ネジを挿入するために手術室で追加の手術を必要とするLONに加えて、意図された伸長距離および遠位ネジ固定のための最小距離の長さだけ髄管をリーマ加工することも必要であり、伸長後の骨の遠位断片における低い生体力学的安定性をもたらす。
【0011】
いくつかのさらなるハイブリッド型の解決法が従来技術において知られている。これらは、伸長とその後の釘固定(Lengthening And Then Nailing)(LATN)、プレート上で伸長させること(Lengthening Over Plate)(LOP)、および、伸長とその後のプレーティング(Lengthening And Then Plating)(LATP)と呼ばれている。
【0012】
LATNは、伸長が完了した後に髄内釘を挿入するために侵襲的かつ感染しやすい挿入手術を必要とし、通常汚染されているピン路(usually infected pin tracts)が挿入されることになる髄内釘の周囲組織を汚染するのを防ぐためのいくつかの余分な安全対策を必要とする。さらに、LATNにおいては、将来挿入されることになる髄内釘は、参照としておよびナビゲーションのために定位置の釘なしで考慮される必要があるため、外部フレームの配置は非常に厳しい。
【0013】
LOPは、プレートを安定させるために遠位ネジを挿入するために手術室での第2の手術を必要とする。不安定骨折は、髄内釘よりもプレートで固定される場合、常に生体力学的に不安定である。
【0014】
特許文献1乃至5から体内伸縮式仮骨延長装置および体外力発生装置が以前から知られている。
【0015】
LATPは、伸長が完了した後にプレートを挿入するために侵襲的且つ感染しやすい挿入手術を必要とし、通常汚染されているピン路が挿入されることになるプレートを汚染するのを防ぐためのいくつかの余分な安全対策を必要とする。上記のように、仮骨延長法(distraction osteogenesis)の場合である不安定骨折は、髄内釘よりもプレートで固定される場合、常に生体力学的に不安定である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】欧州特許出願公開第0 639 352号
【文献】国際公開第01/24697号
【文献】米国特許出願公開第2009/275984号
【文献】独国特許出願公開第198 29 523号
【文献】欧州特許出願公開第2 151 208号
【発明の概要】
【0017】
本発明の目的は、治療がより便利で患者の合併症を少なくすることができるが、同時にアクセスしやすく、安価である、骨伸長のための解決法を提供することである。さらに、本発明の目的は、1回の手術のみが必要であり、ねじれ安定性および伸長における軸方向の安定性がある解決法を提供することである。さらに、本発明の目的は、髄内インプラントよりも優れた制御性を提供し、治療中の伸長力発生手段または装置のメンテナンス(maintenance)を可能にすることである。
【0018】
本発明の目的は、請求項1に記載の体内伸縮式仮骨延長装置(intra-corporal telescopic osteodistraction device)、請求項8に記載の体外力発生装置(extra-corporal force producing device)、請求項10に記載の骨伸長方法、および請求項12に記載の骨伸長装置によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、さらなる請求項で紹介される。
【0019】
本発明の体内伸縮式仮骨延長装置は、固定点間の距離を制御された方法で増加させることができる方法で骨に取り付けるための2つの固定点を含み、また、固定点間の距離を増加させる方向の一方向移動を可能にし、戻り方向への移動を防止し、装置および骨のねじれを防止する手段を有する。本発明の装置は、骨の伸長移動が、伸長されることになる骨に関連する体外力発生装置によって調整され(arranged)、仮骨延長装置は、一方向の方法の骨の伸長移動により伸長させるように構成される。
【0020】
骨への装置接続は、ピン、ワイヤーネジ、皮質外クランプまたは同様のものによる骨への直接取り付けによって実現され得る。代替的に、接続は、さらに骨に接続される物理的または解剖学的特徴への取り付けによって、または骨の移動および伸長を引き起こす他の方法によって実現され得る。
【0021】
一方向移動を可能にし、戻り方向への移動を防止し、装置の望ましくないねじれおよび曲げを防止する手段は、全く同一の単一のエンティティ(one and the same single entity)内に一体に設けられ得る。代替的には、手段は、より多くの物理的エンティティを構成し得る。典型的な実施形態では、ねじれを防止するためのエンティティは、固定点の間の距離を増加させ、戻り方向への移動を防止する方向に一方向移動を可能にするエンティティとは別個の物理的エンティティを構成し得る。
【0022】
これに関連して、望ましくないねじれは、ロッド、伸縮式チューブ、骨、骨片又は同様のもののそれらの長手方向軸上の意図しない非自由回転を意味する。
【0023】
本発明の実施形態によれば、体内伸縮式仮骨延長装置は、その伸長量を指示する手段を有し得る。さらに、指示する手段は可聴信号を生成し得る、または指示する手段はRF信号を生成する手段を有し得る。
【0024】
代替的には、指示する手段は、感知可能な静磁場または永久磁場の変化を生じさせる手段を有し得る。
【0025】
本発明の別の実施形態によれば、体内伸縮式仮骨延長装置は、骨の中または骨の上にインプラント可能である。
【0026】
体内伸縮式仮骨延長装置において、固定点間の距離を増加させることができる前記方法は、前記距離を減少させること、すなわち収縮、もできる。
【0027】
所望の収縮(retraction)および距離の減少は、例えば、スロット付きネジ穴、固定点のダイナミゼーション(dynamization)、二機能性(bi-functional)または他のバネを使用すること、磁石による内部ロックの解放、または他の外部エネルギ手段、スクリューの取り外し、意図された伸長ステップよりも長い歯の長さの離散(discrete)ラチェット機構、固定点および/またはインプラントの別個の収縮部分の周りのネジ形状の変化によって、達成され得る。
【0028】
本発明によれば、骨の伸長移動を伴う装置の伸長に続く伸長(extended)位置は、インプラントラチェット機構または一方向移動を可能にする他の手段によって、保持および/または固定され得る。
【0029】
本発明の体外力発生装置は、骨の中または骨の上にインプラントされた体内伸縮式仮骨延長装置を有する骨の伸長を調整する。
【0030】
体外力発生装置が体内伸縮式仮骨延長装置の伸長量の指示を受け取る手段を有し得るものは本発明のさらに別の実施形態である。さらに、体内伸縮式仮骨延長装置の伸長量の表示の情報は、骨の伸長を制御するために使用され得る。
【0031】
さらに、体外力発生装置は、ワイヤ、ピン、ハーフピンまたは外皮質クランプを用いて骨片に固定され得る。代替的には、体外力発生装置は、経皮的な部分を全く伴わずに体外に完全にあり得る。
【0032】
本発明による骨を伸長する方法では、伸縮式仮骨延長装置が骨の中または上にインプラントされ、以下のステップが繰り返し実行される:
・体外力発生装置が、伸長されることになる骨に接続される。
・体内伸縮式仮骨延長装置の固定点間の距離が、体外力発生装置によって増加される。
・体外力発生装置が骨から分離される。
【0033】
この方法は、各繰り返しのステップの間に、体内伸縮式仮骨延長装置の手段が、体内伸縮式仮骨延長装置および骨の長さを固定することを特徴とする。
【0034】
骨伸長の同じ結果は、固定点間の距離を増加させるステップの間に外部装置を分離せずに接続することによって達成され得る。しかし、取り外されない場合、外部装置が常に運ばれなければならないので、患者の最大限の快適性が達成されないことがある。
【0035】
さらに、本発明の骨伸長方法では、骨の所望の伸長に達すると、体内伸縮式仮骨延長装置が取り外される。
【0036】
本発明の骨伸長装置は、骨の長さを固定し、軸方向、ねじれおよび曲げ安定性を提供する体内装置と、体内装置および骨の伸長を引き起こす伸長のための力を生成する体外装置と、体内装置の伸長に関する情報を検出するとともに伝達する手段と、伸長に関する情報を受信するとともに体外装置の伸張を制御する手段とを有する。
【0037】
さらに、本発明の構成では、前記体内装置は骨の中または上にインプラントされ、前記体外装置は、伸長の必要があるときのみ骨または骨の肢(limb)に接続される。
【0038】
本発明の方法では、従来の釘の上に延びる処置が、固定長さのインプラント可能な釘を伸縮機構を持つ伸長インプラントに置き換えることにより、改善される。新興市場向けのより安価なソリューションを実現するために、既知の伸縮式髄内インプラントのスマートロック機構だけが、無線エネルギ伝達および力またはトルクを発生させるインプラント可能要素の必要なしに使用される。力の発生のために、伸長を達成するために、外部装置が使用される。外力の生成およびロック機構に加えて、伸長のさらなる制御のためにインプラント伸長に関する情報をシステムに伝達することが有利である。
【0039】
頑丈なインプラント(robust implant)の使用は、外部装置の固定にいて必要なピンの数を最小にする。加えて、現代的な電気通信若しくはオーディオベースの情報伝達または静磁場の変化の検知の使用ために、伸長のための力発生への情報伝達は、装置間の物理的接続を必要としない。結果として、本寄与は、患者の快適性を最大にする、より少ないピンまたはピンなしのより柔軟な固定を可能にすることによって、外部装置の侵襲性を最小限に抑えることをあらゆる面で助ける。
【0040】
伸長を制御するために、本発明の構成のインプラント可能な部分は、伸長情報を含む信号を送信し得る。この情報に基づいて、外部部分の伸長が制御され、その結果、骨伸長が制御される。
【0041】
伸長検出および制御を実現するためのいくつかの方法がある。信号生成は、機構の機械的ロックまたは別個のラチェットによって生じる可聴信号の生成に単に基づき得る。別の可能性は、例えば、伸縮式の釘の両方の部分に含まれ、それによってタグ間の距離を検出するRFIDタグであり得る。同様の構造が、インテリジェント材料で構築されることができる。伸長情報はさらに、外部装置に、例えば、無線または可聴信号の形式で、送信され得る。さらに、静磁場の変化が測定され得る。代替的には、歪みゲージ、或いは抵抗性、容量性もしくは誘導性の位置センサまたは変位センサのような任意のインプラント可能な電子部品が利用され得る。
【0042】
本発明の1つの好ましい実施形態では、髄内釘は、楔手段のロック機能を備えた刊行物WO 2011/148047 A1に記載された伸縮機構を有する。本発明のこの種のハイブリッド手法では、ねじれおよび軸方向の安定性が釘によって達成される。したがって、外部固定具はもはや安定性のために役立つ必要はない。したがって、固定具の外部部分は、より少ないピンまたはワイヤを使用するか、または使用しないことによって、侵襲性が低くなるように単純化されることができる。一実施形態は、骨に固定され、必要に応じて固定具の外部部分から取り外される2つのピンのみを有する。さらに、骨または髄内伸縮釘に経皮的な接続なしに骨を外部から伸長するウェアラブル装置を構成することが可能であり得る。
【0043】
さらに、外部装置は、髄内テレスコープ(intramedullary telescope)からの伸長についてのデータを受信するための手段を含み得る。代替的には、データは、別個の装置によって収集され得る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【0045】
図1】伸縮式インプラント可能装置および外部装置を含む、本発明の第1の実施形態を示す。
図2】伸縮式インプラント可能装置および外部装置を含む、本発明の第2の実施形態を示す。
図3a】本発明によるインプラント可能装置の実施形態を示す。
図3b図3aの実施形態の断面図を示す。
図4図3bの細部Cを示す。
図5】本発明の構成における伸長情報伝達を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、本発明の好ましい実施形態を示す。伸縮式インプラント可能装置1は、骨3に固定されている。骨3は、骨切り術によって少なくとも2つの部分に切断されている。固定点において、装置1は、各端部において少なくとも1つの固定ネジ2a、2bを用いて骨3に固定される。典型的には、1から3つのネジが近位および遠位に使用される。外部装置4aは、ピン5、ハーフピンまたは皮質外クランプによって骨片に固定される。外部装置4aは、外部装置4aを伸ばす手段6aを有する。
【0047】
外部装置4aまたは4bを伸長するための手段6aまたは6bは、複数のネジを含み得る。複数のネジは、例えば、手動で調整されて外部装置4aまたは4bを長くし得る。代替的には、手段6aまたは6bは、電気モータまたは伸長用の他の形式のリニアアクチュエータを含み得る。
【0048】
本発明の伸縮式釘または伸縮式インプラント可能装置は、2つの固定点が引っ張り(pulling)または引き出し(drawing)によって引き離されるにつれて長くなる。
【0049】
外部装置4aまたは4bを伸長するための手段6aまたは6bは、ネジを含み得る。ネジは、例えば、手動で調整されて外部装置4aまたは4bを長くし得る。代替的には、手段6aまたは6bは、電気モータまたは伸長用の他の形式のリニアアクチュエータを含み得る。
【0050】
図3aおよび3bは、2つのセクション11および12を含むインプラント1の構造を示している。外部装置4aおよび4Bの伸長は、セクション11および12を互いに対してスライドさせる。インプラント1の新たな伸長位置は、インプラント構造14の特徴部(features)に係合するインプラントラチェット機構13、またはボール、ローラ若しくはスプラグを有するリニアワンウェイクラッチのような一方向移動を可能にする他の手段によって保持および/またはロックされる。これらの特徴部は、例えば、ライフリング(rifling)に適合させることによってインプラントの外側構造12に直接実現されることができる。特徴部はまた、インプラントの外側構造12に取り付けられる別個のインサートとして実現されることもできる。これは、例えばレーザ切断または放電加工によって作られる、例えばスロット付きチューブとして与えられ得る。
【0051】
図4は、ラチェット機構13を示している。6:1で拡大した図3bのマーク部分Cは、機構の好ましい実施形態の詳細を明確にしている。代替メカニズムおよび詳細は、例えば、刊行物国際公開第2011/148047号に開示されている。
【0052】
歯131が、インプラント構造内のスロット141に係合する。伸長力は、外部装置4a、4bの伸長によってラチェット機構13のアーム132に加えられる。ラチェット歯131は、スロット141と係合解除し、新しいスロット141内に移動することができる。これにより、インプラントの伸長が達成される。ラチェット機構13およびラチェット歯131の量は、適用領域および装置の大きさによって変更することができる。ラチェット機構13およびラチェット歯131の数が多くなればなるほど、装置の耐荷重能力は向上する。ラチェット機構13は、規定された間隔で離散的な(discrete)方法でスロット付きチューブに係合する。間隔またはステップサイズは、スロット特徴部141の分割(resolution)を変えることによって変更されることができる。ラチェット歯131のすべては、同時に係合する必要はない。歯131またはスロット141は、異なる歯131が連続する伸長の中で特徴部にロックするときに、より高い分割またはより小さいステップサイズが実現されることを可能にするオフセットパターンで製造されることができる。
【0053】
ラチェット歯131およびラチェットアーム132はまた、スロット141に係合すると可聴信号が発生するように設計されることもできる。この可聴信号は、例えば高精度マイクロホンにより、外部装置4a、4bによって感知および/または検出されることができる。可聴信号の情報は、伸長速度を制御するために利用されることができる。
【0054】
加えて、テンションストリング(tension string)がインプラントの内部に配置されることができる。インプラントが伸長されているとき、テンションストリングは摺動して長くなることを可能にされる。外部装置が、スピーカを介して音声信号のスペクトルをインプラントに送ると、ストリングは、別個の周波数で可聴信号を生成する共振振動に置かれる。外部装置は、精密マイクロホンを用いて周波数を検出することができ、したがって、ストリングおよびインプラントの長さを検出することができる。
【0055】
代替的に、可聴信号は、典型的な聴診器によって検出されることができ、外部装置は、この情報に基づいて手動で調整されることができる。
【0056】
インプラント構造14と組み合わせたラチェット機構13は、治療される骨3に軸方向、ねじれおよび曲げ安定性を提供するように設計されることができる。伸長処置中の望ましくないねじれを防止するインプラントのねじれ安定性は、伸縮するインプラント部分11の溝111に係合するキーロックリング15を使用することによってさらに改良されることができる。固定安定性がインプラントによって提供されるので、外部装置4a、4bは、連続する伸長セッションの間でさえも取り外されることができる。これは、外部装置のフレームが限られた時間のみ骨および/または肢に取り付けられる必要があるので、患者に向上した快適性を提供する。
【0057】
図5は、体内装置から体外装置に伸長情報を伝達するための一実施形態を示す。体内装置1の伸長部分上の手段7は、可聴または無線信号として伸長情報を検出して伝達し、体外装置(4a、4b)の調整部分上の手段8は情報を受信する。
【0058】
外部装置の意味は、骨および内部装置を長くすることである。骨および/または片を支持することは想定されていないので、伸長処置中にも固定具を取り外すことが可能である。
【0059】
本発明の解決法により、新規な骨延長処置が達成される。身体の外側にある接続ピンの数が減少するかまたはなくなるので、感染率および患者の痛みが軽減される。外側フレームの連続的な必要性がないので、リハビリが改善されるとともに加速される。取り外し可能なピンを使用すると、必要な装置が目立たなくなり、これは特別な衣服の必要性を排除し、患者の睡眠は不必要に妨げられない。ピン数が少ないと、創傷管理の必要性が少なくなり、ピンサイト感染が少なくなり、ピン破損が少なくなり、審美的な結果が向上する。インプラント内の力発生要素は必要ないので、機構のためのより大きいスペースがあり、より大きな材料の厚さを使用することができる。理学療法または患者の通常の日常活動に支障をきたさずに、完全な体重支えを提供することが可能であり得る。単純化された伸縮式髄内釘では、治療はコストとサイズと形状という意味でより利用可能である。また、より大きな材料厚さにより、より費用効果の高い材料が選択され得る。伸長の直接測定は、制御性の点で有利である。外力発生部品を容易にメンテナンスする(maintain)ことが可能なことにより、詰まりや破損が起こることが少ない。磁石や他の不適合な構造または材料の必要がないので、MRIも適用可能である。インプラント可能な部品は、十分に確立された単一の生体適合性材料から完全に製造されることができ、インプラント内部の有害な能動要素は不要であるため、必要な製品は規制がより少ない。取り付けは1回の手術しか必要としないが、骨の伸長と強化(consolidation)は依然として安定しており、重度の感染症のリスクはより低くなる。
【0060】
本発明によれば、伸長装置は、挿入手術の後に、近位および遠位の両方のネジを設置し、外部固定具の取り外しは、LON、LOP、LATNまたはLATPでのようにインプラントまたはネジを挿入するより低いコストおよび感染率のかなり小さい手術である。手術室での1回の手術のみを必要とし、経皮的外部固定具が使用される場合、著しく小さい外部固定具取り外し手術を必要とする。遠位ネジ固定の距離のみのリーマ加工が必要とされ、これは、処置および手術をLON技術と比較して著しく侵襲性を低くする。これは、他のハイブリッド型解決法と比較して、骨および釘のより長いオーバーラップ長さのために、伸長後に著しく高い安定性を提供する。髄内釘を挿入した後に外部固定具の配置が行われるので、挿入は既知の技術よりも安全且つ容易である。髄内釘は、より良好な安定性を提供し、デバイス破損のより低いリスクおよびより高い耐荷重能力をもたらす。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5