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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/06 20060101AFI20221216BHJP
   F25D 25/00 20060101ALI20221216BHJP
   F25D 25/02 20060101ALI20221216BHJP
   F25D 11/02 20060101ALI20221216BHJP
   F16L 59/02 20060101ALI20221216BHJP
   F25C 1/25 20180101ALI20221216BHJP
【FI】
F25D23/06 U
F25D25/00 E
F25D25/02 L
F25D23/06 N
F25D11/02 C
F25D11/02 J
F16L59/02
F25C1/25 305Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019000858
(22)【出願日】2019-01-07
(65)【公開番号】P2020109341
(43)【公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100129115
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(72)【発明者】
【氏名】元井 啓順
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 浩一
(72)【発明者】
【氏名】松永 健吾
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-340420(JP,A)
【文献】特開2006-183897(JP,A)
【文献】特開2015-102320(JP,A)
【文献】特開2001-174140(JP,A)
【文献】特開2018-044743(JP,A)
【文献】特開2012-220116(JP,A)
【文献】特開2016-056964(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0107292(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/02
F25D 23/06
F25D 25/00,25/02
F16L 59/02
F25C 1/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1貯蔵室と、前記第1貯蔵室よりも低い温度帯に冷却される第3貯蔵室と、を含む筐体と、
前記第1貯蔵室内に配置され、前記第1貯蔵室の内部を、第1貯蔵部と、前記第1貯蔵部よりも低い温度帯に冷却される第2貯蔵部とに少なくとも仕切る第1仕切り部と、
前記第1貯蔵室に配置され、水が貯蔵される貯水容器と、
前記第3貯蔵室に配置された製氷機ユニットと、
前記貯水容器に貯蔵された水を前記製氷機ユニットに向けて導く給水管部と、
前記貯水容器と前記製氷機ユニットとの間に位置した断熱部材と、
を備え、
前記第1仕切り部の少なくとも一部は、エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む断熱材で形成されており、
前記断熱部材は、前記断熱材で形成されるとともに、前記給水管部が通される穴部または切欠き部が設けられている、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記第2貯蔵部は、前記第1貯蔵部の少なくとも一部の下方に設けられ、
前記第1仕切り部は、前記第1貯蔵部と前記第2貯蔵部との間に位置し、前記第2貯蔵部の天井部を形成した天井板部を含み、
前記天井板部は、前記天井板部の全厚に亘って前記断熱材で形成されている、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記第2貯蔵部は、前記第1貯蔵部の少なくとも一部の下方に設けられ、
前記第1仕切り部は、前記第1貯蔵部と前記第2貯蔵部との間に位置し、前記第2貯蔵部の天井部を形成した天井板部と、前記第2貯蔵部の前側に位置し、前記第2貯蔵部を開閉可能に閉じる蓋とを有し、
前記蓋の少なくとも一部は、前記断熱材で形成されている、
請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記第2貯蔵部に配置された複数のトレイであって、第1トレイと、前記第1トレイの上方に配置された第2トレイとを含む複数のトレイをさらに備え、
前記第2トレイの底部の少なくとも一部は、前記断熱材で形成されている、
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記第2貯蔵部の側方に配置され、製氷用の水が貯蔵される貯水容器をさらに備え、
前記第1仕切り部は、前記貯水容器と前記第2貯蔵部との間に配置された側板を含み、
前記側板の少なくとも一部は、前記断熱材で形成されている、
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記第2貯蔵部は、前記第1貯蔵部の少なくとも一部の下方に設けられ、
前記筐体は、前記第2貯蔵部の下方に設けられた第2貯蔵室を含み、
前記冷蔵庫は、前記第1貯蔵室と前記第2貯蔵室との間に配置された仕切り部であって、前記第2貯蔵部の下方に位置した第1領域と、前記第1領域よりも前側に位置した第2領域とを含む第2仕切り部を有し、
前記第2仕切り部の前記第1領域の少なくとも一部は、前記断熱材で形成されている、
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記第2仕切り部の前記第2領域の少なくとも一部は、前記断熱材よりも断熱性が小さい材料で形成されている、
請求項6に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記断熱部材は、前記穴部と前記断熱部材の外縁とを繋ぐスリットを有し、前記スリットに前記給水管部を通すことで、前記貯水容器と前記製氷機ユニットとの間に配置可能である、
請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
少なくとも一部が前記筐体の外部に露出した表面部品と、
前記表面部品の背後に設けられた防露部品と、
前記防露部品に対して前記表面部品とは反対側に設けられた断熱部と、
をさらに備え、
前記断熱部は、前記断熱材で形成されて弾性を有した第1部分と、前記断熱材とは異なる材料で形成された第2部分とを有し、
前記第1部分は、前記防露部品と前記第2部分との間に挟まれて弾性力により前記防露部品を前記表面部品の裏面に向けて押圧する、
請求項1から請求項8のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記第1部分は、前記断熱材で形成された本体部と、前記本体部のなかで前記防露部品に面する表面に設けられた金属部とを有し、前記第2部分と前記防露部品との間に挟まれて前記金属部を前記防露部品および前記表面部品の裏面に向けて押圧する、
請求項9に記載の冷蔵庫。
【請求項11】
第1貯蔵室と、第2貯蔵室とを含む筐体と、
前記第1貯蔵室に配置され、水が貯蔵される貯水容器と、
前記第2貯蔵室に配置された製氷機ユニットと、
前記貯水容器に貯蔵された水を前記製氷機ユニットに向けて導く給水管部と、
前記貯水容器と前記製氷機ユニットとの間に設けられた断熱部材と、
を備え、
前記断熱部材は、エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む断熱材で形成されるとともに、前記給水管部が通される穴部または切欠き部が設けられている、
冷蔵庫。
【請求項12】
筐体と、
少なくとも一部が前記筐体の外部に露出した表面部品と、
前記表面部品の背後に設けられた防露部品と、
前記防露部品に対して前記表面部品とは反対側に設けられた断熱部と、
をさらに備え、
前記断熱部は、エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む断熱材で形成されて弾性を有した第1部分と、前記断熱材とは異なる材料で形成された第2部分とを有し、
前記第1部分は、前記防露部品と前記第2部分との間に挟まれて弾性力により前記防露部品を前記表面部品の裏面に向けて押圧する、
冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
貯蔵室を温度が互いに異なる複数の貯蔵部に仕切る仕切り部を有した冷蔵庫が知られている。ところで冷蔵庫は、さらなる断熱性の向上が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-340420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、断熱性の向上を図ることができる冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、実施形態の冷蔵庫は、筐体と、第1仕切り部と、貯水容器と、製氷機ユニットと、給水管部と、断熱部材と、を持つ。前記筐体は、第1貯蔵室と前記第1貯蔵室よりも低い温度帯に冷却される第3貯蔵室とを含む。前記第1仕切り部は、前記第1貯蔵室内に配置され、前記第1貯蔵室の内部を、第1貯蔵部と、前記第1貯蔵部よりも低い温度帯に冷却される第2貯蔵部とに少なくとも仕切る。前記第1仕切り部の少なくとも一部は、エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む断熱材で形成されている。貯水容器は、前記第1貯蔵室に配置され、水が貯蔵される。製氷機ユニットは、前記第3貯蔵室に配置される。給水管部は、前記貯水容器に貯蔵された水を前記製氷機ユニットに向けて導く。断熱部材は、前記貯水容器と前記製氷機ユニットとの間に位置する。前記断熱部材は、前記断熱材で形成されるとともに、前記給水管部が通される穴部または切欠き部が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態の冷蔵庫を示す正面図。
図2図1中に示された冷蔵庫のF2-F2線に沿う断面図。
図3】第1の実施形態の冷蔵庫の概略構成を示す斜視図。
図4】第1の実施形態の冷蔵庫を示す断面図。
図5】第1の実施形態の仕切壁の仕切壁上部部材を下方から見た下面図。
図6】第1の実施形態の変形例の冷蔵庫を示す断面図。
図7】第2の実施形態の冷蔵庫を示す断面図。
図8】第3の実施形態の冷蔵庫を示す断面図。
図9】第4の実施形態の冷蔵庫を示す断面図。
図10】第5の実施形態の冷蔵庫を示す断面図。
図11】第6の実施形態の冷蔵庫を示す断面図(図1のF11-F11に対応する断面)。
図12】第6の実施形態の冷蔵庫の第2仕切壁の上面図。
図13】第7の実施形態の冷蔵庫の小冷凍室扉と第2仕切壁を示す断面図。
図14】第7の実施形態の冷蔵庫の前面部材を冷蔵庫の正面から見た図。
図15】第7の実施形態の第1の変形例の冷蔵庫の第1断熱部材を示す断面図。
図16】第7の実施形態の第1の変形例の冷蔵庫の小冷凍室扉と第2仕切壁を示す断面図。
図17】第7の実施形態の第2の変形例の冷蔵庫の小冷凍室扉と第2仕切壁を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書では、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「横幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「奥行方向」とは、上記定義における前後方向を意味する。本明細書において「XXとYYとの間にZZが挟まれる」とは、ZZがXXおよびYYに接する場合に限定されず、ZZとXXとの間と、ZZとYYとの間の少なくとも一方に別の部材が介在する場合も含む。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の冷蔵庫1を示す正面図である。図2は、図1中に示された冷蔵庫1のF2-F2線に沿う断面図である。図3は、第1の実施形態の冷蔵庫1の概略構成を示す斜視図である。なお図2では、説明の便宜上、後述する仕切壁断熱シート301の図示を省略している。
【0009】
冷蔵庫1は、例えば、筐体10、複数の扉20(21~26)、複数の棚30(31~33)、複数の容器40(41~47)、圧縮機50、第1冷却機構60、および第2冷却機構70を有する。
【0010】
筐体10は、例えば、外箱と、内箱と、外箱と内箱との間に充填された断熱材とを有し、断熱性を持つ。断熱材は、例えば発泡ウレタンのような発泡断熱材である。筐体10は、天井壁11、底壁12、後壁13、左側壁14、および右側壁15を有する。
【0011】
筐体10の内部には、複数の貯蔵室80が設けられている。複数の貯蔵室80は、例えば、冷蔵室81、野菜室82、製氷室83(図3参照)、小冷凍室84、および主冷凍室85を含む。第1の実施形態では、最上部に冷蔵室81が配置され、冷蔵室81の下方に野菜室82が配置され、野菜室82の下方に製氷室83および小冷凍室84が配置され、製氷室83および小冷凍室84の下方に主冷凍室85が配置されている。ただし、貯蔵室80の配置は、上記例に限定されず、例えば野菜室82と主冷凍室85の配置が逆でもよい。筐体10は、各貯蔵室80の前面側に、各貯蔵室80に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。冷蔵室81は、「第1貯蔵室」の一例である。野菜室82は、「第2貯蔵室」の一例である。製氷室83は、「第3貯蔵室」の一例である。
【0012】
複数の扉20(21~26)は、冷蔵室81を開閉可能に閉じる左冷蔵室扉21、右冷蔵室扉22と、野菜室82を開閉可能に閉じる野菜室扉23、製氷室83を開閉可能に閉じる製氷室扉24、小冷凍室84を開閉可能に閉じる小冷凍室扉25、および主冷凍室85を開閉可能に閉じる主冷凍室扉26を含む。
【0013】
筐体10は、仕切壁91と、仕切壁95とを有する。仕切壁91は、略水平方向に沿って設けられた仕切壁である。仕切壁91は、冷蔵室81と野菜室82との間に設けられ、冷蔵室81と野菜室82との間を仕切っている。例えば、仕切壁91は、冷蔵室81の底壁(後述する製氷用給水タンク室81bおよびチルド室81cの底壁を含む)を形成するとともに、野菜室82の天井壁を形成している。一方で、仕切壁95は、略水平方向に沿って設けられた断熱仕切壁である。仕切壁95は、野菜室82と、製氷室83および小冷凍室84との間に設けられ、野菜室82と、製氷室83および小冷凍室84との間を仕切っている。例えば、仕切壁95は、野菜室82の底壁を形成するとともに、製氷室83および小冷凍室84の天井壁を形成している。仕切壁91は、「第2仕切り部」の一例である。
【0014】
仕切壁91は、奥行方向の手前側に1つ以上の前側通気口94cを有する。前側通気口94cは、仕切壁91を貫通する貫通穴であり、前側通気口94cによって、冷蔵室81と野菜室82とが連通する。また、仕切壁91は、奥行方向の奥側の1つ以上の角部が、切欠状に形成されて後側通気口94bを構成する。後側通気口94bは、仕切壁91を貫通する貫通穴であり、後側通気口94bによって、冷蔵室81と野菜室82とが連通する。仕切壁91は、前側通気口94cと後側通気口94bのうち、少なくともどちらか一方を備えればよい。
【0015】
冷蔵室81には、通常冷蔵室81aと、製氷用給水タンク室81bと、チルド室81cとが設けられている。製氷用給水タンク室81bとチルド室81cとは、冷蔵室81内における最下部(仕切壁91の上部)に設けられている。例えば、ユーザから見て、左側に製氷用給水タンク室81bが位置し、右側にチルド室81cが位置する。
【0016】
通常冷蔵室81aと、チルド室81cとの間、および、通常冷蔵室81aと、製氷用給水タンク室81bとの間は、略水平方向に沿って設けられたチルド室上面仕切部96によって互いに仕切られている。製氷用給水タンク室81bとチルド室81cとは、略垂直方向に沿って設けられた給水タンク室仕切壁97(図3および図9参照)によって互いに仕切られている。チルド室81cは、通常冷蔵室81aの少なくとも一部の下方に設けられる。通常冷蔵室81aは、「第1貯蔵部」の一例である。チルド室81cは、「第2貯蔵部」の一例である。チルド室上面仕切部96は、「第1仕切り部」を構成する要素の一例である。製氷用給水タンク室仕切壁97は、「第1仕切り部」を構成する要素の一例である。
【0017】
通常冷蔵室81a、製氷用給水タンク室81b、および野菜室82は、いずれも冷蔵温度帯(例えば、1~5℃)に保たれる。冷蔵温度帯(例えば、1~5℃)は、例えば、第1貯蔵部の温度の一例である。一方で、チルド室81cは、チルド温度帯(例えば、0~1℃)に保たれる。チルド温度帯(例えば、0~1℃)は、例えば、第1貯蔵部よりも低い温度帯に冷却される第2貯蔵部の温度の一例である。つまり、第2貯蔵部(チルド室81c)は、第1貯蔵部(通常冷蔵室81a、製氷用給水タンク室81b、および野菜室82)よりも低い温度帯に冷却される。
【0018】
複数の棚30は、冷蔵室81に設けられている。複数の容器40は、冷蔵室81のチルド室81cに設けられたチルドケース41、野菜室82に設けられた第1および第2の野菜室容器42,43、製氷室83に設けられた製氷室容器44(図3参照)、小冷凍室84に設けられた小冷凍室容器45、主冷凍室85に設けられた第1および第2の主冷凍室容器46,47を有する。
【0019】
圧縮機50は、例えば、冷蔵庫1の底部の機械室に設けられている。圧縮機50は、貯蔵室80の冷却に用いられる冷媒ガスを圧縮する。圧縮機50により圧縮された冷媒ガスは、不図示の放熱パイプなどを経由して、冷却器62,72に送られる。
【0020】
第1冷却機構60(冷蔵温度帯の冷却機構)は、例えば、送風ダクト37、冷気供給ダクト38、冷蔵用冷却器室61、冷蔵用冷却器62、冷蔵用送風ファン64、およびチルド用冷気供給口65を含む。野菜室82の後方には、冷蔵用送風ファン64が配設されているとともに、冷蔵室吸込口36および送風ダクト37が設けられている。冷蔵用送風ファン64は、冷蔵用冷却器62に風を送る。なお本明細書において「冷却器に風を送る」とは、空気の流れ方向で冷却器の上流側にファンが配置され、冷却器に向けて風を送る場合に限定されず、空気の流れ方向で冷却器の下流側にファンが配置され、周囲の空気をさらに下流側に送ることで、前記冷却器の上流側に位置する空気を前記冷却器に向けて移動させる場合も含む。送風ダクト37は、冷蔵用冷却器室61に連通している。冷蔵室吸込口36は、例えば野菜室4に開口している。
【0021】
この構成において、冷蔵用送風ファン64が駆動されると、野菜室82内の空気が冷蔵室吸込口36から冷蔵用送風ファン64側に吸い込まれ、その吸い込まれた空気は、送風ダクト37側へ吹き出される。送風ダクト37側へ吹き出された空気は、冷蔵用冷却器62に接触して熱交換が行われ、冷却される。冷却された空気(冷気)は、冷気供給ダクト38を通り、複数の冷蔵用冷気供給口38aから通常冷蔵室81aに吹き出され、また、チルド用冷気供給口65からチルド室81cに吹き出される。通常冷蔵室81aとチルド室81cに流入した冷気は、前側通気口94cと後側通気口94bを通じて、野菜室82に流れ、最終的に冷蔵用送風ファン64に吸い込まれるという循環が行われる。
【0022】
この過程で、冷蔵用冷却器室61内を通る空気が冷蔵用冷却器62によって冷却されて冷気となり、冷気が通常冷蔵室81aに供給されることによって、通常冷蔵室81aが冷蔵温度帯の温度に冷却され、冷気がチルド室81cに供給されることによって、チルド室81cがチルド温度帯の温度に冷却される。尚、チルド室81cは、通常冷蔵室81aや野菜室82よりも、冷蔵用冷却器62に近い位置にあるため、チルド室81cは、冷蔵温度帯(例えば、1~5℃)よりも低温であるチルド温度帯(例えば、0~1℃)に保たれる。
【0023】
第2冷却機構70(冷凍温度帯の冷却機構)は、例えば、冷凍用冷却器室71、冷凍用冷却器72、および冷凍用送風ファン76を含む。冷蔵庫1の冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室83、小冷凍室84、主冷凍室85)の背壁部には、冷凍用冷却器室71が設けられている。冷凍用冷却器室71には、冷凍用冷却器72や除霜用ヒータ(図示せず)などが配設されている。また、冷凍用冷却器72の下方には、冷凍用送風ファン76が配設されている。冷凍用冷却器室71の前面の上端部には、冷気吹出口77が設けられ、下端部には、冷凍室吸込口78が設けられている。
【0024】
この構成において、冷凍用送風ファン76が駆動されると、冷凍用冷却器72により生成された冷気が、冷気吹出口77から製氷室83、小冷凍室84、主冷凍室85内に供給された後、冷凍室吸込口78から冷凍用冷却器室71内に戻されるといった循環が行われる。これにより、それら製氷室83、小冷凍室84、主冷凍室85が冷却される。
【0025】
次に、第1の実施形態の断熱構造について詳しく説明する。
図4は、第1の実施形態の冷蔵庫1を示す断面図である。図5は、第1の実施形態の仕切壁91の仕切壁上部部材91aを下方から見た下面図である。図示されるように、仕切壁91は、例えば、仕切壁上部部材91aと、仕切壁下部部材91bと、仕切壁断熱シート301とを含む。仕切壁91は、「仕切り部」および「第2仕切り部」のそれぞれ一例である。
【0026】
仕切壁上部部材91aは、後述する仕切壁断熱シート301よりも断熱性が小さい(熱伝導率が大きい)材料(例えば一般的な合成樹脂)で形成されている。仕切壁上部部材91aは、板部92aと、リブ92bと、1つ以上の冷気案内部92cとを有する。板部92aは、水平に延びており、通常冷蔵室81aとチルド室81cとの間の仕切壁を形成している。例えば、板部92aは、冷蔵室81の底壁(製氷用給水タンク室81bおよびチルド室81cの底壁を含む)を形成している。
【0027】
板部92aは、チルド室81cの下方に位置した第1領域92a1と、チルド室81cの下方を外れた(例えばチルド室81cよりも前側に位置した)第2領域92a2とを有する。つまり、第2領域92a2は、冷蔵庫1の奥行方向において、第1領域92a1に対して前側に位置している。第1領域92a1は、チルド室81cの底壁を形成している。一方で、第2領域92a2は、例えばチルド室81cの前側で、通常冷蔵室81aの底壁を形成している。
【0028】
リブ92bは、例えば冷蔵庫1の横幅方向に延在する板状の突出部であり、板部92aの下面から下方に向けて突出している。例えば、リブ92bの下端部は、仕切壁下部部材91bの上面に当接している。本実施形態では、リブ92bは、板部92aの第1領域92a1に設けられている。
【0029】
冷気案内部92cは、例えば、板部92aから下方に突出し、仕切壁下部部材91bの上面に当接している。冷気案内部92cは、冷気が流れる貫通穴を有している。図示されるように、第1の実施形態では、冷気案内部92cは、冷蔵庫1の側部との間に冷気が流れる貫通穴が構成される切欠部である。
【0030】
仕切壁下部部材91bは、後述する仕切壁断熱シート301よりも断熱性が小さい材料(例えば一般的な合成樹脂)で形成されている。仕切壁下部部材91bは、板部93aと、1つ以上の冷気案内部93cとを有する。板部93aは、水平に延びており、野菜室82の天井壁を形成している。板部93aは、仕切壁上部部材91aの下方に位置し、仕切壁上部部材91aとの間には空間が存在する。
【0031】
冷気案内部93cは、冷気案内部92cに対応する位置に設けられている。冷気案内部93cは、冷気が流れる貫通穴を有している。図示されるように、第1の実施形態では、冷気案内部93cは、冷蔵庫1の側部との間に冷気が流れる貫通穴が構成される切欠部である。
【0032】
仕切壁上部部材91aと、仕切壁下部部材91bとのそれぞれは、例えば、図示されるように、合成樹脂等の部材で形成される薄板状の部材である。
【0033】
仕切壁断熱シート301は、例えば、後述する断熱材210(以下では、説明の便宜上、「特定断熱材210」と称する)で形成されており、接着剤や両面テープで、仕切壁上部部材91aの板部92aの第1領域92a1の下面に接着されている。本実施形態では、仕切壁断熱シート301は、仕切壁上部部材91aの板部92aの第2領域92a2には設けられていない。仕切壁上部部材91aの板部92aの第1領域92a1と、仕切壁断熱シート301と、仕切壁下部部材91bの第1領域92a1に対応する部分は、「第2貯蔵部の下方に位置した第1領域」の一例を構成する。仕切壁上部部材91aの板部92aの第2領域92a2は、「第1領域よりも前側に位置した第2領域」の一例を構成する。
【0034】
特定断熱材210は、エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む断熱材である。なお「エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む」とは、「エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルのうち1つ以上を含む」の意味で用いている。エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、それぞれ、低密度構造体(乾燥ゲル)である。「エアロゲル」とは、例えば、ゲル中に含まれる溶媒を超臨界乾燥により気体に置換した多孔性物質である。「キセロゲル」とは、ゲル中に含まれる溶媒を蒸発乾燥により気体に置換した多孔性物質である。「クライオゲル」とは、ゲル中に含まれる溶媒を凍結乾燥により気体に置換した多孔性物質である。
【0035】
なお、エアロゲルのなかには、例えば特定の元素を導入することで、超臨界乾燥を使わずに乾燥させることができるものも存在する。本明細書でいう「エアロゲル」とは、そのようなエアロゲルも含む。すなわち本明細書でいう「エアロゲル」とは、超臨界乾燥を用いて製造されたものに限定されず、「エアロゲル」として流通する各種素材を広く意味する。超臨界乾燥が不要なエアロゲルとしては、例えば、二酸化ケイ素の分子ネットワークにメチル基などの有機鎖が導入された有機-無機ハイブリッドエアロゲルが知られており、PMSQ(CHSiO1.5)エアロゲルなどがある。ただし、これらはあくまで例示である。
【0036】
エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、微細な空孔(空隙)を多数持ち、極めて高い空隙率(90%以上、好ましくは95%以上の空隙率)を持つ超低密度の乾燥多孔体である。上記乾燥多孔体の密度は、例えば150mg/cm以下である。エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、例えば、二酸化ケイ素などが数珠状に結合された構造を持ち、ナノメータレベル(例えば100nm以下、好ましくは2nm~50nm)の空隙を多数持つ。このようにナノメータレベルの細孔と格子状構造を持つため、気体分子の平均自由行程を縮小することができ、常圧でも気体分子同士の熱伝導が非常に少なく、熱伝導率が非常に小さいものである。例えば、エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、空気の平均自由行程より小さな微細な空隙を持つ。
【0037】
エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルとしては、ケイ素、アルミニウム、鉄、銅、ジルコニウム、ハフニウム、マグネシウム、イットリウムなどの金属酸化物からなる無機エアロゲル、無機キセロゲル、または無機クライオゲルでもよく、例えば二酸化ケイ素を含むシリカエアロゲル、シリカキセロゲル、またはシリカクライオゲルなどでもよい。これらは、直径10nm~20nmのシリカ(SiO2)微粒子が連なった構造で、数10nmの幅の細孔を持つ。低密度のため固体部分の熱伝導が極めて小さいことに加え、細孔内部の空気の運動が制限されることから、非常に低い熱伝導率(0.012~0.02W(m・K)を示す。さらに、シリカ微粒子や細孔が可視光の波長よりも小さく、可視光を散乱しないため、光透過性が高い。特定断熱材210のエアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルの素材としては光透過性を持つ素材(例えば透明な素材)が採用されてもよいし、光透過性を持たない素材が採用されてもよい。また、エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルを構成する素材は、カーボンなどでもよい。
【0038】
エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、素材を選択することで、任意の性質(例えば弾性や柔軟性)を持たせることができる。例えば、ポリプロピレンを素材とすることで、高い弾性または柔軟性を持たせることができる。
【0039】
エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、それぞれ単体で特定断熱材210を形成してもよい。これに代えて、エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、それぞれ前駆体の状態で別の素材(例えば繊維構造物)が浸漬されることで複合体断熱材である特定断熱材210を形成してもよい。このような繊維構造物は、乾燥ゲルを補強し、また支持するための補強材ないし支持体として作用するものであり、フレキシブルな複合体断熱材を得るためにフレキシブルな織布、編布、不織布などが用いられ、より好ましくはフェルトまたはブランケット状のものが用いられる。繊維構造物の材質としては、ポリエステル繊維等の有機繊維の他、ガラス繊維などの無機繊維を用いることもできる。
【0040】
上記繊維構造物は、例えば、天然高分子のキトサンである。特定断熱材210は、疎水化された微細なキトサン繊維の三次元網目構造を含み、超高空隙率(体積の96~97%が空隙)を持つ。疎水化によって、親水性キトサンエアロゲルの均質なナノ構造を維持しつつ、多糖類のナノ繊維からなる材料の課題である耐湿性が高められ、撥水性を持つ。
【0041】
特定断熱材210は、例えば、ポリプロピレン発泡体と、シリカエアロゲル、キセロゲル、クライオゲルから選択される1つとを複合化した断熱材であってもよい。
【0042】
特定断熱材210の熱伝導率は、真空断熱材の熱伝導率よりも高いが、発泡ウレタンなどの発泡断熱材の熱伝導率よりも低い。すなわち、特定断熱材210の断熱性は、真空断熱材の断熱性には及ばないが、発泡断熱材の断熱性よりも優れている。特定断熱材210の熱伝導率は、例えば、0.010W/m・K~0.015W/m・Kである。真空断熱材の熱伝導率は、例えば、0.003W/m・K~0.005W/m・Kである。発泡断熱材の熱伝導率は、例えば、0.020W/m・K~0.022W/m・Kである。なお、これら数値はあくまで例示である。
【0043】
特定断熱材210が柔軟性を有する場合、特定断熱材210の柔軟性(曲げやすさ)は、例えば、前記真空断熱材の柔軟性よりも高く、前記発泡断熱材の柔軟性よりも高い。また、特定断熱材210が弾性を有する場合、特定断熱材210の弾性は、例えば、前記真空断熱材の弾性(実質的にゼロに近い)よりも高く、前記発泡断熱材の弾性(実質的にゼロに近い)よりも高い。
【0044】
仕切壁断熱シート301は、シート状に形成され、例えば柔軟性(可撓性)を有する。仕切壁断熱シート301は、仕切壁上部部材91aの下面の形状に応じて変形させられて仕切壁上部部材91aの下面に取り付けられている。また仕切壁断熱シート301は、例えば、図5に示されるように、リブ92bに対応する、横幅方向に細長い穴部301aを備える。仕切壁断熱シート301が、仕切壁上部部材91aの下面に接着された状態で、リブ92bは、穴部301aを下方に貫通する。仕切壁断熱シート301が下面に張り付けられた仕切壁上部部材91aは、仕切壁下部部材91bの上に重ねられて、図示しない係合手段により互いに係合されることにより、仕切壁91を構成する。
【0045】
上記述べたように、1対の冷気案内部92cと冷気案内部93cとによって、前側通気口94cが構成される。前側通気口94cは、仕切壁上部部材91aと仕切壁下部部材91bとを貫通する切欠き部であり、前側通気口94cによって、冷蔵室81と野菜室82とが連通する。また、仕切壁91は、同様に、奥行方向の奥側の1つ以上の角部が、切欠状に形成されて後側通気口94bを構成する。後側通気口94bは、仕切壁上部部材91aと仕切壁下部部材91bとを貫通する切欠き部であり、後側通気口94bによって、冷蔵室81と野菜室82とが連通する。仕切壁91は、前側通気口94cと後側通気口94dのうち、少なくともいずれか1つ以上を備えればよい。
【0046】
第1の実施形態の冷蔵庫1によれば、仕切壁断熱シート301が、チルド室81cの真下にだけ(板部92aの第1領域92a1)に設けられているので、冷蔵温度帯(例えば、1~5℃)よりも低温であるチルド温度帯(例えば、0~1℃)に保たれるチルド室81cの温度が、野菜室82に伝わることを抑制することができる。つまり、第1の実施形態の冷蔵庫1によれば、チルド室81cの温度によって、野菜室82のなかで局所的に冷え過ぎる部分が生じるのを抑制することができる。また、チルド室81cの温度が野菜室82に伝わりにくくなると、野菜室82の天井壁に結露が生じにくくなる。
【0047】
一方、板部92aの第2領域92a2には、仕切壁断熱シート301が設けられていない。このため、通常冷蔵室81aの温度によって、野菜室82が効率的に冷やされることができるので、冷蔵庫1の省エネ性を向上させることができる。
【0048】
尚、仕切壁断熱シート301は、仕切壁上部部材91aの下面に取り付けられることに代えて、仕切壁上部部材91aの上面に取り付けられてもよく、仕切壁下部部材91bの上面に取り付けられてもよく、仕切壁下部部材91bの下面に取り付けられてもよい。
【0049】
(第1の実施形態の変形例)
図6は、第1の実施形態の変形例の冷蔵庫1Aを示す断面図である。第1の実施形態の第1の変形例の冷蔵庫1Aは、第1の実施形態の冷蔵庫1と同様の構成を有するが、仕切壁91の代わりに、仕切壁91Aを備える点が、第1の実施形態の冷蔵庫1と異なる。
【0050】
仕切壁91Aは、チルド室81cの下方に位置した第1領域91A1と、チルド室81cの下方を外れた(例えば、チルド室81cよりも前側に位置した)第2領域91A2とを有する。つまり、第2領域91A2は、冷蔵庫1Aの奥行方向において、第1領域91A1に対して前側に位置している。第1の実施形態の第1の変形例では、第1領域91A1と第2領域91A2との両方が特定断熱材210で形成されている。
【0051】
したがって、仕切壁91Aは、仕切壁断熱シート301が張り付けられなくとも、仕切壁91Aは断熱性を有する。仕切壁91Aは、「仕切り部」の一例である。
【0052】
第1の実施形態の変形例の冷蔵庫1Aによれば、上述した第1の実施形態の冷蔵庫1と同様の効果(チルド室81cからの断熱や結露抑制)を得ることができることに加え、仕切壁91Aの構造を簡易にすることができ、製造工程を簡略化することができる。
【0053】
尚、仕切壁91Aにおいて、第1領域91A1だけが特定断熱材210で形成され、第2領域91A2は合成樹脂等で形成されてもよい。この場合、通常冷蔵室81aの温度によって、第2領域91A2を通じて、野菜室82が効率的に冷やされることができるので、冷蔵庫1Aの省エネ性を向上させることができる。
【0054】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態の冷蔵庫1Bを示す断面図である。第2の実施形態の冷蔵庫1Bは、第1の実施形態の冷蔵庫1と同様に構成されるが、第2の実施形態の冷蔵庫1Bにおいては、チルド室上面仕切部96の代わりに、チルド室上面仕切部96aを備える点と、チルド室蓋98を備える点が第1の実施形態の冷蔵庫1と異なる。本実施形態では、チルド室上面仕切部96a、チルド室蓋98、およびそれらに取り付けられた断熱シート303,304によって、冷蔵室81の内部を、通常冷蔵室81aとチルド室81cとに少なくとも仕切る「第1仕切り部」の一例が構成される。
【0055】
第2の実施形態の冷蔵庫1Bにおいては、チルドケース41と、チルド室上面仕切部96aと、チルド室蓋98と、仕切壁断熱シート303と、仕切壁断熱シート304とが備えられる。
【0056】
チルド室上面仕切部96aは、通常冷蔵室81aとチルド室81cとの間において、略水平に延び、チルド室81cの天井壁(天井部)を形成する。チルド室蓋98は、チルド室81cの前側に位置しており、例えば、チルド室上面仕切部96aの前側上端部に開閉可能に連結されることにより、チルド室81cを開閉可能に閉じる。
【0057】
チルド室81cは、チルド室上面仕切部96aと、チルド室蓋98とによって、通常冷蔵室81aから仕切られている。チルド室81cの内部には、出し入れ可能に設けられたチルドケース41が設けられている。
【0058】
チルド室上面仕切部96aと、チルド室蓋98とは、例えば、合成樹脂等の部材で形成されている。仕切壁断熱シート303は、例えば、特定断熱材210で形成されており、接着剤や両面テープで、チルド室上面仕切部96aの下面に接着されている。
【0059】
同様に、仕切壁断熱シート304は、例えば、特定断熱材210で形成されており、接着剤や両面テープで、チルド室蓋98の内側の面(チルド室81cの内部に露出する面)に接着されている。
【0060】
本実施形態では、チルド室上面仕切部96aと、チルド室蓋98と、仕切壁断熱シート303と、仕切壁断熱シート304とによって、冷蔵室81の内部を、通常冷蔵室81aとチルド室81cとに少なくとも仕切る「第1仕切り部」の一例が構成される。仕切壁断熱シート303とチルド室上面仕切部96aとによって、「前記第1貯蔵部と前記第2貯蔵部との間に位置し、前記第2貯蔵部の天井部を形成した天井板部」の一例が構成される。仕切壁断熱シート304とチルド室蓋98とは、「前記第2貯蔵部の前側に位置し、前記第2貯蔵部を開閉可能に閉じる蓋」の一例が構成される。
【0061】
尚、チルド室上面仕切部96aとチルド室蓋98は、特定断熱材210で形成されていてもよい。この場合、チルド室上面仕切部96aは「天井板部」の一例であり、「天井板部」の全厚が特定断熱材210により形成されることになる。これにより、仕切壁断熱シート303と仕切壁断熱シート304を張り付けなくとも、チルド室上面仕切部96aとチルド室蓋98は断熱性を有する。これにより、上述した効果を得ることができることに加え、チルド室上面仕切部96aとチルド室蓋98の構造を簡易にすることができ、製造工程を簡略化することができる。
【0062】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態の冷蔵庫1Cを示す断面図である。第3の実施形態の冷蔵庫1Cにおいては、チルド室81cに2段式のトレイ(チルドケース)が備えられる点と、チルド用冷気供給口65が冷蔵用冷却器室61の前壁部63(チルド室81cの後壁部)に設けられている点が、第2の実施形態の冷蔵庫1Bと異なる。
【0063】
第3の実施形態の冷蔵庫1Cにおいては、上段チルドケース41aと、下段チルドケース41bと、チルド室上面仕切部96aと、チルド室蓋98と、仕切壁断熱シート305と、仕切壁断熱シート306と、仕切壁断熱シート307とが備えられている。チルド室81cは、チルド室上面仕切部96aと、チルド室蓋98とによって、通常冷蔵室81aから仕切られている。
【0064】
チルド室81cの内部には、出し入れ可能に設けられた上段チルドケース41aと、下段チルドケース41bとが設けられている。上段チルドケース41aは、下段チルドケース41bの上方に配置されている。少なくとも、チルド室上面仕切部96aと、チルド室蓋98と、上段チルドケース41aとは、例えば、合成樹脂等の部材で形成されている。下段チルドケース41bも、例えば、合成樹脂等の部材で形成されている。
【0065】
仕切壁断熱シート305と、仕切壁断熱シート306と、仕切壁断熱シート307は、例えば、特定断熱材210で形成されている。仕切壁断熱シート305、仕切壁断熱シート306、および仕切壁断熱シート307の各々は、シート状に形成され、柔軟性を有する。接着剤や両面テープで、仕切壁断熱シート305は、チルド室上面仕切部96aの下面に接着され、仕切壁断熱シート306は、チルド室蓋98の裏面に接着され、仕切壁断熱シート307は、上段チルドケース41aの底部の下面に接着される。例えば、仕切壁断熱シート307の少なくとも一部は、上段チルドケース41aの底部の曲面部に応じて変形されて、上段チルドケース41aの底部の曲面部に取り付けられている。
【0066】
本実施形態では、下段チルドケース41bにより、「第1トレイ」の一例が構成される。上段チルドケース41aと仕切壁断熱シート307とにより、「第2トレイ」の一例が構成される。上段チルドケース41aの底部41aaと、仕切壁断熱シート307のなかで上記底部41aaに取り付けられた部分は、第2トレイの底部の一例を構成する。
【0067】
詳しく述べると、上段チルドケース41aは、例えば、底部41aa、後壁41ab、前壁41ac、左右の側壁(左側壁41adのみ図示)を有し、上方が開放された椀状に形成されている。底部41aaは、水平に延びて、上段チルドケース41aの内部(収容空間)と、下段チルドケース41bの内部(収容空間)との間に位置する。後壁41abは、底部41aaの後端部から起立している。後壁41abは、底部41aa、前壁41ac、および左右の側壁と比べて、チルド用冷気供給口65に近い壁部である。前壁41acは、底部41aaの前端部から起立している。左右の側壁は、底部41aaの左右の端部から起立している。
【0068】
チルド用冷気供給口65は、冷蔵用冷却器室61の前壁部63(チルド室81cの後壁部)に設けられている。本実施形態では、チルド用冷気供給口65は、上段チルドケース41aの後方に設けられている。例えば、チルド用冷気供給口65は、冷蔵庫1の上下方向において、上段チルドケース41aの底部41aaに対して、下段チルドケース41bとは反対側に位置する。
【0069】
仕切壁断熱シート307は、例えば、底部41aaの下面に接着され、底部41aaの略全域を覆う。一方で、後壁41abの一部(例えばチルド用冷気供給口65に近い領域を含む半分以上)は、仕切壁断熱シート307には覆われていない。このため、チルド用冷気供給口65からチルド室81cに供給された冷気は、上段チルドケース41aの内部を効率的に冷却することができる。
【0070】
ただし、仕切壁断熱シート307は、後壁41abに取り付けられ、後壁41abの略全域を覆ってもよい。この場合、チルド用冷気供給口65の冷気が上段チルドケース41aの内部に過度に伝わりやすくなく、上段チルドケース41aにおいて後壁41abの近くが局所的に冷えすぎることを抑制することができる。
【0071】
図示されるように、冷蔵用送風ファン64から取り込まれて冷蔵用冷却器62で冷却された冷気は、チルド用冷気供給口65から、第1温度でチルド室81cの上段チルドケース41aの近くに吹き出す。上段チルドケース41aを冷却した冷気の一部は、上段チルドケース41aの食品などの貯蔵物を冷却し、貯蔵物との熱交換により温度が上昇する。その後、冷気は、チルド室蓋98に沿って流れ、第1温度より高い第2温度で下段チルドケース41bに流入し、下段チルドケース41bの貯蔵物を冷却する。その後、冷気は、冷蔵用送風ファン64に吸引されて、野菜室82の背後を通って、冷蔵室吸込口36から冷蔵用冷却器62に戻る。
【0072】
第3の実施形態の冷蔵庫1Cによれば、上述した第2の実施形態の冷蔵庫1Bと同様の効果を得ることができることに加え、上段チルドケース41aの断熱性を高めることにより、上段チルドケース41aと下段チルドケース41bとに温度差をつけることができる。つまり、上段チルドケース41aを下段チルドケース41bよりも低温に保つことがでる。これにより、肉や魚介類などの解凍状態で保存すると傷みやすい食品を上段チルドケース41aに保存し、凍らせずに保存しておきたい生鮮食品は、下段チルドケース41bに保存するといったように、食品の種類によって、上段チルドケース41aと下段チルドケース41bとを使い分けることができる。
【0073】
尚、上述した各変形例と同様に、仕切壁断熱シート305と、仕切壁断熱シート306と、仕切壁断熱シート307を張り付けるかわりに、チルド室上面仕切部96aと、チルド室蓋98と、上段チルドケース41aとを特定断熱材210によって形成してもよい。この場合、第3の実施形態の冷蔵庫1Hの効果に加え、上述した各変形例の冷蔵庫と同様の効果を得ることができる。
【0074】
また、チルド用冷気供給口65は、上段チルドケース41aの後方に設けられることに代えて、下段チルドケース41bの後方に設けられてもよい。この場合、チルド用冷気供給口65は、冷蔵庫1の上下方向において、上段チルドケース41aの底部41aaに対して、上段チルドケース41aとは反対側に位置する。この場合、下段チルドケース41bを上段チルドケース41aよりも低温に保つことができる。
【0075】
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態の冷蔵庫1Dを示す断面図である。第4の実施形態の冷蔵庫1Dは、第1の実施形態の冷蔵庫1と同様に構成されるが、冷蔵庫1Dにおいては、製氷用給水タンク室81bおよびチルド室81cとの間の製氷用給水タンク室仕切壁97が合成樹脂等の部材で形成されており、製氷用給水タンク室仕切壁97の製氷用給水タンク室81b側に、仕切壁断熱シート308が備えられている点が第1の実施形態の冷蔵庫1と異なる。製氷用給水タンク室仕切壁97と、仕切壁断熱シート308とによって、製氷用給水タンク510とチルド室81cとの間に配置された「側板」の一例が構成される。製氷用給水タンク510により、製氷用の水が貯蔵される「貯水容器」の一例が構成される。
【0076】
また、製氷用給水タンク室仕切壁97(小冷凍室84の左側の壁)と、筐体10の右側壁15の内面(チルド室81cの右側の壁)には、チルドケース41の前後方向の移動をガイドするレールであるチルド室突起部131、132がそれぞれ備えられている。
【0077】
仕切壁断熱シート308は、例えば、特定断熱材210で形成されており、接着剤や両面テープで、製氷用給水タンク室仕切壁97の製氷用給水タンク室81b側に接着される。仕切壁断熱シート308は、製氷用給水タンク室仕切壁97の略全高に亘る高さを持ち、製氷用給水タンク室仕切壁97の略全長に亘る長さを持つ。
【0078】
第4の実施形態の冷蔵庫1Dによれば、チルド室81cの冷気によって、製氷用給水タンク室81bの製氷用給水タンク510内の水の凍結を抑制することができるので、製氷用給水タンク510の下にヒータなどを設ける必要が無くなり、冷蔵庫1Dの低コスト化を図ることができる。
【0079】
尚、仕切壁断熱シート308は、製氷用給水タンク室仕切壁97の製氷用給水タンク室81bとは反対側(つまり、製氷用給水タンク室仕切壁97の、チルド室81cに対向する面)に備えられていてもよい。また、仕切壁断熱シート308は、製氷用給水タンク室仕切壁97の製氷用給水タンク室81b側と、製氷用給水タンク室仕切壁97の製氷用給水タンク室81bとは反対側の両方に備えられていてもよい。
【0080】
尚、製氷用給水タンク室仕切壁97は、特定断熱材210で形成されていてもよく、この場合、仕切壁断熱シート308を張り付けなくとも、製氷用給水タンク室仕切壁97は断熱性を有する。これにより、上述した効果を得ることができることに加え、製氷用給水タンク室仕切壁97の構造を簡易にすることができ、製造工程を簡略化することができる。
【0081】
(第5の実施形態)
図10は、第5の実施形態の冷蔵庫1Eを示す断面図である。第5の実施形態の冷蔵庫1Eは、第1の実施形態の冷蔵庫1と同様に構成されるが、冷蔵庫1Eにおいては、冷気が強く当たる容器の奥側の部分に、断熱シート309,310,311が備えられている点が第1の実施形態の冷蔵庫1と異なる。
【0082】
断熱シート309と、断熱シート310と、断熱シート311とは、特定断熱材210で形成されている。断熱シート309、断熱シート310、および断熱シート311は、シート状に形成され、柔軟性を有する。第1野菜室容器42と、第2野菜室容器43と、小冷凍室容器45とのそれぞれは、例えば合成樹脂等の部材で形成されている。
【0083】
第1野菜室容器42と、第2野菜室容器43と、小冷凍室容器45とのそれぞれは、底壁部、前壁部、左壁部、右壁部、後壁部を有しており、断熱シート309と、断熱シート310と、断熱シート311とが、図示されるように、第1野菜室容器42と、第2野菜室容器43と、小冷凍室容器45とのそれぞれの容器において、後壁部と、底壁部の中心よりも後側とに、接着剤や両面テープで接着されている。断熱シート309と、断熱シート310と、断熱シート311とが張り付けられる場所は特に限定されず、冷気が強くあたる箇所に、張り付けられることが好ましい。
【0084】
上記説明したように、野菜室82には、冷蔵室81から仕切壁91の後側通気口94bを介して冷気が流入する。そのため、第1野菜室容器42の背面部と、第2野菜室容器43の背面部とに低温の冷気が流れ、これらの背面部においては、第1野菜室容器42と第2野菜室容器43における背面部以外の位置と比較して、食品がより低温に晒されやすい。また、上記説明したように、冷凍用冷却器72により生成された冷気が、冷気吹出口77から小冷凍室84内に供給されるので、小冷凍室容器45の背面部に低温の冷気が流れ、この背面部においては、小冷凍室容器45における背面部以外の位置と比較して、食品がより低温に晒されやすい。
【0085】
したがって、第5の実施形態の冷蔵庫1Eにおいては、第1野菜室容器42と、第2野菜室容器43と、小冷凍室容器45とのそれぞれにおいて、背面部および底壁部の中心よりも後側に、断熱シート309と、断熱シート310と、断熱シート311をそれぞれ接着することにより、これらの背面部の食品を吹き出された冷気による低温に晒されることを抑制することができる。
【0086】
第5の実施形態の冷蔵庫1Eによれば、冷気が強く当たる容器の背面部および底壁部の中心よりも後側に仕切壁断熱シート309,310,311が貼られているので、野菜室82や小冷凍室84において、奥側の食品だけ過度に冷却されてしまうということを抑制することができる。
【0087】
(第6の実施形態)
図11は、第6の実施形態の冷蔵庫1Fを示す断面図(図1のF11-F11に対応する断面)である。第6の実施形態の冷蔵庫1Fは、第1の実施形態の冷蔵庫1と同様に構成されるが、仕切壁95の代わりに仕切壁95Fを備える点と、仕切壁95Fにおける給水パイプ522のまわりにおいて、仕切壁95Fに断熱シート312が張り付けられている点が、第1の実施形態の冷蔵庫1と異なる。
【0088】
以下、製氷用給水タンクモジュール500から自動製氷モジュール530への給水パイプ522を介した給水について説明する。冷蔵室81の製氷用給水タンク室81bには、製氷用給水タンクモジュール500が備えられている。製氷用給水タンクモジュール500は、製氷用給水タンク510、水受け容器512、給水機構514、汲上パイプ520、給水パイプ522を備える。製氷用給水タンク室81bの後方には、図示されるように、水受け容器512が設置されている。
【0089】
製氷用給水タンク室81bと水受け容器512との間には、製氷用給水タンク室81bの製氷用給水タンク510の水を水受け容器512へ供給するための給水機構514が設けられている。給水機構514は、例えばポンプ用モータ516によって駆動されるポンプ518の動作によって製氷用給水タンク510内の水を汲み上げ、汲み上げた水を汲上パイプ520により水受け容器512に供給する。水受け容器512に供給された水は、給水パイプ522を介して、製氷室83の自動製氷モジュール530の製氷皿534へ供給される。自動製氷モジュール530は、「製氷機ユニット」の一例である。給水パイプ522は、製氷用給水タンク510(貯水容器)に貯蔵された水を、自動製氷モジュール530(製氷機ユニット)に向けて導く「給水管部」の一例である。尚、「給水管部」は、給水パイプに代えて、ホース等でもよい。
【0090】
給水パイプ522は、給水パイプ垂直部522a、給水パイプ傾斜部522b、および給水パイプ出口部522cを備える。給水パイプ垂直部522aは、その上流端が水受け容器512に接続し、略鉛直方向に延在するパイプ部分である。給水パイプ傾斜部522bは、その上流端が、給水パイプ垂直部522aの下流端に接続し、冷蔵庫1の奥行方向手前側に向かって徐々に下がるように傾斜したパイプ部分である。給水パイプ出口部522cは、その上流端が、給水パイプ傾斜部522bの下流端に接続する。給水パイプ出口部522cは、略垂直方向に仕切壁95Fを貫通している。給水パイプ出口部522cの下流端は、自動製氷モジュール530の製氷皿534の上方に位置し、給水パイプ522を通じて供給された水が製氷皿534に注がれるように構成されている。
【0091】
図12は、第6の実施形態の冷蔵庫1Fの仕切壁95Fの上面図である。図示されるように、製氷用給水タンクモジュール500から供給された水は、給水パイプ522の給水パイプ垂直部522aと給水パイプ傾斜部522bとを通って、給水パイプ出口部522cから、自動製氷モジュール530の製氷皿534の上に供給される。この時、仕切壁95Fに対して上側は、冷蔵温度帯の野菜室82であり、仕切壁95Fに対して下側は、冷凍温度帯の製氷室83である。自動製氷モジュール530は、製氷室83に設けられている。このため、製氷室83の冷気によって、製氷用給水タンクモジュール500から自動製氷モジュール530への給水パイプ522を介した給水が凍結する恐れがある。
【0092】
製氷室83、小冷凍室84、並びに主冷凍室85は、いずれも冷凍温度帯(例えば、-10~-20℃のマイナス温度帯)の貯蔵室であり、野菜室82と、製氷室83及び小冷凍室84との間は、仕切壁95Fにより上下に仕切られている。図1に示すように、製氷室83の前面部には、引出し式の製氷室扉24が設けられており、その製氷室扉24の背面部に製氷室容器44(図3参照)が連結されている。小冷凍室84の前面部にも、小冷凍室容器45が連結された引出し式の小冷凍室扉25が設けられている。つまり、製氷室83(第3貯蔵室)は、冷蔵室81(第1貯蔵室)の冷蔵温度帯よりも低い冷凍温度帯に冷却される。
【0093】
第6の実施形態の冷蔵庫1Fにおいては、仕切壁95Fの上面に、断熱シート312が張り付けられている。すなわち、断熱シート312は、製氷用給水タンク510と、自動製氷モジュール530との間に設けられている。
【0094】
断熱シート312は、特定断熱材210により形成されている。断熱シート312は、シート状に形成され、柔軟性を有する。仕切壁断熱シート312には、給水パイプ挿通穴部312bが設けられており、更に、スリット312aが給水パイプ挿通穴部312bにつながるように設けられている。スリット312aは、給水パイプ挿通穴部312bと、断熱シート312の外縁312cとをつなぐ。これにより、給水パイプ522が設置された後であっても、スリット312aに給水パイプ522を押し込むことにより、給水パイプ522の給水パイプ出口部522cを給水パイプ挿通穴部312bに通して、断熱シート312に給水パイプ522を通すように設置することができる。
【0095】
つまり、断熱シート312は、スリット312aに給水パイプ522を通すことで、製氷用給水タンク510と自動製氷モジュール530との間に配置可能である。断熱シート312は、製氷用給水タンク510(貯水容器)と自動製氷モジュール530(製氷機ユニット)との間に位置した「断熱部材の一例」である。
【0096】
断熱シート312の給水パイプ挿通穴部312bに給水パイプ522を通した後、仕切壁95Fの上面に、接着剤や両面テープで、断熱シート312が張り付けることができる。給水パイプ挿通穴部312bは、穴部の一例である。なお、断熱シート312は、給水パイプ522が通される穴部に代えて、給水パイプ522が通される切欠き部を有してもよい。
【0097】
断熱シート312の大きさは、好ましくは、仕切壁95Fの略全体を覆う程度の大きさである。断熱シート312の大きさは、仕切壁95Fの一部を覆う大きさであってもよい。
【0098】
断熱シート312は、仕切壁95Fの上面に取り付けられることに代えて、仕切壁95Fの下面に設けられていてもよい。断熱シート312は、仕切壁95Fの上面と下面のいずれか1つ以上の面に設けられていてもよい。
【0099】
第6の実施形態の冷蔵庫1Fにおいては、仕切壁95Fの上面に、断熱シート312が張り付けられているので、製氷室83の冷気によって、製氷用給水タンクモジュール500から自動製氷モジュール530への給水パイプ522を介した給水を凍結させることを抑制することができる。このため、給水パイプ522などの近くに配置されるヒータを省略または小型化することができ、冷蔵庫1Fの低コスト化を図ることができる。
【0100】
(第7の実施形態)
図13は、第7の実施形態の冷蔵庫1Gの小冷凍室扉25Gと仕切壁95Gを示す断面図である。第7の実施形態の冷蔵庫1Gは、第1の実施形態の冷蔵庫1と同様に構成されるが、仕切壁95の代わりに仕切壁95Gを備える点とが、第1の実施形態の冷蔵庫1と異なる。
【0101】
小冷凍室84の前面開口部84aは、引き戸式の小冷凍室扉25Gによって開閉可能に閉じられる。小冷凍室扉25Gは、サッシ612、外板610、内板614、ガスケット650、および断熱材670を備える。サッシ612は、小冷凍室扉25Gの外枠を構成する。外板610は、小冷凍室扉25Gの前面側を構成する。内板614は、小冷凍室扉25Gの背面側を構成する。ガスケット650は、小冷凍室扉25Gの背面部周縁に備えられている。
【0102】
小冷凍室扉25Gの閉扉時には、ガスケット650は、小冷凍室扉25Gの背面部と小冷凍室84の前面開口部84aの周縁との間を気密に密閉する。小冷凍室扉25Gは、図示しないレールによって擦動可能に冷蔵庫1Gの筐体10に支持されている。
【0103】
内板614は、小冷凍室84に露出する。外板610と内板614との間には、断熱材670が設けられている。断熱材670は、例えば、発泡ウレタンのような発泡断熱材を含む。内板614の周縁部には、取付凹溝648が設けられ、この取付凹溝648にガスケット650が装着される。ガスケット650はマグネット部652を有している。小冷凍室扉25Gの閉扉時には、マグネット部652が、小冷凍室84の前面開口部84aの周縁の前面部材700に吸着することで、小冷凍室扉25Gの背面部と小冷凍室84の前面開口部84aの周縁との間を気密に密閉する。
【0104】
野菜室82と小冷凍室84とを仕切る仕切壁95Gは、内箱690、第1断熱部材694、第2断熱部材696、防露パイプ698、および前面部材700を備える。仕切壁95Gは、野菜室82の底壁を形成し、小冷凍室84の天井壁を形成する。内箱690は、仕切壁95Gの外形を構成する合成樹脂性等の部材である。
【0105】
前面部材700は、少なくとも一部が筐体10の外部に露出する。防露パイプ698は、前面部材700の背後に設けられている。防露パイプ698は、圧縮機50により圧縮された冷媒の一部が供給され、前面部材700を温める。第1断熱部材694と第2断熱部材696とは、防露パイプ698に対して前面部材700とは反対側に設けられている。
【0106】
仕切壁95Gの前端部に設けられている第1断熱部材694と、前面部材700との間には、小冷凍室84の前面開口部84aに対してガスケット650の吸着部より離れた位置に、防露パイプ698が仕切壁95を幅方向に横断するように配設されている。防露パイプ698は、前面部材700に熱を伝導することで、小冷凍室84の前面開口部84aの周縁が結露するのを抑制している。
【0107】
内箱690の中には、冷蔵庫1Gの奥行方向の手前側に第1断熱部材694が設けられている。第1断熱部材694は、特定断熱材210で形成されており、弾性を有する。このような構成によれば、小冷凍室84の温度が前面部材700に伝わりにくくなり、前面部材700の表面に結露が生じることを抑制することができる。前面部材700は、「表面部品」の一例である。防露パイプ698は、「防露部品」の一例である。
【0108】
内箱690の中には、冷蔵庫1Gの奥行方向の奥側に第2断熱部材696が備えられる。第2断熱部材696は、特定断熱材210とは異なる材料で形成されており、例えば、発泡ウレタンのような発泡断熱材で形成されている。
【0109】
第1断熱部材694は、弾力性を持っている。第1断熱部材694は、防露パイプ698に対して前面部材700とは反対側に位置する。言い換えると、第1断熱部材694は、防露パイプ698と第2断熱部材696との間に位置する。第1断熱部材694は、防露パイプ698と第2断熱部材696との間に挟まれて、防露パイプ698と第2断熱部材696との間で圧縮されている。第1断熱部材694は、例えば発泡断熱材である2断熱部材696が発泡することで、防露パイプ698と第2断熱部材696との間に挟まれて圧縮されている。第1断熱部材694は、圧縮による弾性力を防露パイプ698に作用させ、防露パイプ698を前面部材700の背面に向けて押圧する。これにより、防露パイプ698が前面部材700の背面に当接し、防露パイプ698と前面部材700との熱接続性が向上する。その結果、防露パイプ698の熱が前面部材700の裏面に伝わりやすくなる。これにより、前面部材700の表面に結露が生じることをさらに高いレベルで抑制することができる。第1断熱部材694と第2断熱部材696とによって、「断熱部」の一例が構成される。第1断熱部材694は、「第1部分」の一例である。第2断熱部材696は、「第2部分」の一例である。
【0110】
第2断熱部材696は、弾性を有してもよい。この場合、第1断熱部材694は、第2断熱部材696よりも高い弾力性を持っていてもよい。この場合、より高い弾力性を持つ第1断熱部材694が防露パイプ698に直接接触することにより、防露パイプ698と前面部材700との間の熱伝導性が更に高まる。
【0111】
図14は、前面部材700を冷蔵庫1Gの正面から見た図である。前面部材700は、金属等の熱伝導率の高い材質の平板状の部材をコの字型に折り曲げて作られた部材である。前面部材700は、第1折曲部700a、平面部700b、および第2折曲部700cを備える。前面部材700が、仕切壁95Gの内箱690に取り付けられる時、第1折曲部700aは、内箱690の上面部の内側に接触し、第2折曲部700cは、内箱690の下面部の内側に接触する。
【0112】
図示されるように、前面部材700は、複数の穴部702を備える。複数の穴部702は、冷蔵庫1Gの高さ方向の略中央において、冷蔵庫1Gの横幅方向に略等間隔に配設される。複数の穴部702の位置に対応して、第2断熱部材696に埋め込まれた金属製の受け部材に穴部(ねじ穴)696aが設けられており、ネジやボルトなどの締結部材によって、前面部材700と第2断熱部材696とが固定される。第1断熱部材694は、複数の穴部702の位置に対応して、上記締結部材が通される挿通穴694aを有する。
【0113】
仕切壁95Gにおいては、防露パイプ698と前面部材700とに、特定断熱材210で形成される第2断熱部材696が接触するため、小冷凍室84に熱を伝えることがない。これにより、冷蔵庫1Gの省エネ性能を向上させることもできる。
【0114】
(第7の実施形態の第1の変形例)
図15は、第7の実施形態の第1の変形例の冷蔵庫1Hの第1断熱部材720を示す断面図である。第1変形例の冷蔵庫1Hは、第7の実施形態の冷蔵庫1Gと同様に構成されるが、第1断熱部材694の代わりに第1断熱部材720を備える点が、第7の実施形態の冷蔵庫1Gと異なる。
【0115】
第1断熱部材720は、本体部720aと、金属部720bとを備える。本体部720aは、第1断熱部材694と同様に、特定断熱材210で形成され、弾性を有する。金属部720bは、前面部材700と同様に、金属等の熱伝導率の高い部材で形成されている。金属部720bは、本体部720aの少なくとも一部の表面に設けられている。本実施形態では、金属部720bは、本体部720aのなかで防露パイプ698および前面部材700に面する表面に設けられている。言い換えると、金属部720bは、本体部720aと、防露パイプ698および前面部材700との間に位置する。金属部720bは、薄い金属層(例えば金属箔)であり柔軟性を有する。金属部720bは、本体部720aの弾性変形に追従して変形可能である。
【0116】
図16は、第7の実施形態の第1の変形例の冷蔵庫1Hの小冷凍室扉25Hと仕切壁95Hを示す断面図である。金属部720bは、第1部分720baと、第2部分720bbとを有する。第1部分720baは、冷蔵庫1Hの前後方向で、防露パイプ698に面する。第2部分720bbは、冷蔵庫1Hの前後方向で、防露パイプ698を外れて位置し、前面部材700の裏面に面する。本体部720aは、金属部720bの第1部分720baおよび第2部分720bbと、第2断熱部材696との間に挟まれて圧縮されている。
【0117】
第1断熱部材720は、本体部720aの圧縮による弾性力を金属部720bの第1部分720baに作用させ、金属部720bの第1部分720baを防露パイプ698に向けて押圧する。例えば、金属部720bの第1部分720baは、防露パイプ698の外周面の一部を包み込むように変形し、防露パイプ698の外周面に当接する。これにより、金属部720bと防露パイプ698との熱接続性が向上する。
【0118】
同様に、第1断熱部材720は、本体部720aの圧縮による弾性力を金属部720bの第2部分720bbに作用させ、金属部720bの第2部分720bbを前面部材700の裏面に向けて押圧する。これにより、金属部720bが前面部材700の裏面に当接し、金属部720bと前面部材700の裏面との熱接続性が向上する。その結果、金属部720bを介して、防露パイプ698と前面部材700の裏面とがより強固に熱的に接続され、防露パイプ698の熱の一部が金属部720bを経由して前面部材700の裏面に伝わる。これにより、前面部材700の表面に結露が生じることをさらい高いレベルで抑制することができる。なお、防露パイプ698と前面部材700の裏面、金属部720bの第1部分720baと防露パイプ698、および金属部720bの第2部分720bbと前面部材700の裏面は、互い直接に接することに代えて、熱伝導性が良好な部材を間に介在させて間接的に接してもよい。
【0119】
このような構成によれば、仕切壁95Hにおいては、防露パイプ698と前面部材700とに、第1断熱部材720の金属部720bが接触する。これにより、防露パイプ698の前面部材700側の熱は、直接、前面部材700に伝導し、防露パイプ698の金属部720b側の熱は、金属部720bを介して、前面部材700に伝導する。これによって、防露パイプ698の全周の熱を効率よく前面部材700に伝導させることができる。
【0120】
また、金属部720bの奥側には、本体部720aがあるため、防露パイプ698の熱が小冷凍室84に伝わることがない。これにより、防露パイプ698から前面部材700への熱伝導の効率を向上させつつ、冷蔵庫1Hの省エネ性能を向上させることができる。
【0121】
(第7の実施形態の第2の変形例)
【0122】
図17は、第7の実施形態の第2の変形例の冷蔵庫1Iの小冷凍室扉25Iと仕切壁95Iを示す断面図である。第2変形例の冷蔵庫1Iは、第7の実施形態の冷蔵庫1Gと同様に構成されるが、仕切壁95Gの代わりに仕切壁95Iを備える点が、第7の実施形態の冷蔵庫1Gと異なる。
【0123】
野菜室82と小冷凍室84とを仕切る仕切壁95Iは、内箱690、断熱部材696I、および前面部材700を備える。断熱部材696Iは、例えば発泡断熱材である。仕切壁95Iは、第1断熱部材694、および防露パイプ698を備えない。本変形例では、前面部材700は、特定断熱材210で形成されており、断熱性能が高いため、防露パイプ698を備えなくとも結露を抑制することができる。
【0124】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、少なくとも一部がエアロゲルまたはキセロゲルを含む断熱材で形成されている第1断熱部が、冷蔵庫の第1貯蔵室の内部を、第1貯蔵部と、前記第1貯蔵部よりも低い温度帯に冷却される第2貯蔵部とに仕切るので、断熱性の向上を図ることができる。
【0125】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0126】
1、1A~1I…冷蔵庫、10…筐体、20(21~26)…扉、40(41~47)…容器、80(81~85)…貯蔵室、91、91a…仕切壁、94c…前側通気口、94d…後側通気口、95、95F~95I…仕切壁、96、96a…チルド室上面仕切部、97…製氷用給水タンク室仕切壁、98…チルド室蓋、210…特定断熱材、301~312…第1~第12断熱シート、312a…スリット、312b…給水パイプ挿通穴部、312c…外縁、500…製氷用給水タンクモジュール、522…給水パイプ、530…自動製氷モジュール、694…第1断熱部材、696…第2断熱部材、698…防露パイプ、700…前面部材、720a…本体部、720b…金属部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17