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特許7195161案内システム、案内方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】案内システム、案内方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20221216BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20221216BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20221216BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G08G1/13
G08G1/0969
G01C21/34
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019008251
(22)【出願日】2019-01-22
(65)【公開番号】P2020119120
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】田 雷
(72)【発明者】
【氏名】多田 昌弘
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-100936(JP,A)
【文献】特開平09-035183(JP,A)
【文献】特開2009-264934(JP,A)
【文献】国際公開第2017/179285(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/051478(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0184409(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0026545(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
B60W 10/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1移動体に設けられ、前記第1移動体の室内に情報を出力する出力部と、
移動体の乗員の感情に少なくとも起因して発生した所定の事象の発生位置を示す位置情報を取得する第1取得部と、
前記第1移動体の位置を示す位置情報を取得する第2取得部と、
前記第1取得部によって取得された前記位置情報と、前記第2取得部によって取得された前記位置情報とに基づいて、前記第1移動体に前記所定の事象が発生する可能性があることを前記第1移動体の乗員に案内する案内情報を、前記出力部に出力させる出力制御部と、
を備える案内システム。
【請求項2】
前記第1移動体の乗員の感情を推定する推定部を更に備え、
前記出力制御部は、前記第1取得部によって取得された前記位置情報と、前記第2取得部によって取得された前記位置情報と、前記推定部によって推定された前記乗員の感情とに基づいて、前記案内情報を前記出力部に出力させる、
請求項1に記載の案内システム。
【請求項3】
前記出力部は、画像を表示する表示部を含み、
前記出力制御部は、前記第1取得部によって取得された前記位置情報を重畳させた地図を、前記案内情報として前記表示部に表示させる、
請求項2に記載の案内システム。
【請求項4】
前記第1移動体に将来走行させる予定の第1経路を示す経路情報を取得する第3取得部を更に備え、
前記出力制御部は、前記第3取得部によって取得された前記経路情報が示す前記第1経路と、前記第1取得部によって取得された前記位置情報と、前記推定部によって推定された前記乗員の感情とに基づいて、前記第1経路から、前記第1経路に比して前記所定の事象が発生しない第2経路へと変更することを前記第1移動体の乗員に促す情報を、前記案内情報として前記出力部に出力させる、
請求項2に記載の案内システム。
【請求項5】
前記第1移動体に将来走行させる予定の第1経路を決定する経路決定部を更に備え、
前記経路決定部は、前記経路決定部によって決定された前記第1経路と、前記第1取得部によって取得された前記位置情報と、前記推定部によって推定された前記乗員の感情とに基づいて、前記第1経路を、前記第1経路に比して前記所定の事象が発生しない第2経路へと変更する、
請求項2に記載の案内システム。
【請求項6】
前記第1移動体の速度および操舵を制御する運転制御部と、
前記第1移動体に将来走行させる予定の第1経路を示す経路情報を取得する第3取得部と、を更に備え、
前記運転制御部は、前記第3取得部によって取得された前記経路情報が示す前記第1経路と、前記第1取得部によって取得された前記位置情報と、前記推定部によって推定された前記乗員の感情とに基づいて、前記第1移動体を、前記第1経路から、前記第1経路に比して前記所定の事象が発生しない第2経路へと移動させる、
請求項2に記載の案内システム。
【請求項7】
前記出力制御部は、前記第2取得部によって取得された前記位置情報が示す前記第1移動体の位置が、前記所定の事象を発生させた地点に至るまでに前記移動体が走行した経路上に存在し、且つ前記推定部によって推定された前記乗員の感情が、前記所定の事象を発生させた地点に至るまでの前記移動体の乗員の感情の履歴に含まれる場合、前記案内情報を前記出力部に出力させる、
請求項2から6のうちいずれか一項に記載の案内システム。
【請求項8】
前記第1移動体の速度を示す速度情報を取得する第4取得部を更に備え、
前記出力制御部は、前記第2取得部によって取得された前記位置情報が示す前記第1移動体の位置が、前記所定の事象を発生させた地点に至るまでに前記移動体が走行した経路上に存在し、且つ前記推定部によって推定された前記乗員の感情が、前記所定の事象を発生させた地点に至るまでの前記移動体の乗員の感情の履歴に含まれ、更に、前記第4取得部によって取得された前記速度情報が示す前記第1移動体の速度が、前記所定の事象を発生させた地点に至るまでの前記移動体の速度の履歴に含まれる場合、前記案内情報を前記出力部に出力させる、
請求項2から7のうちいずれか一項に記載の案内システム。
【請求項9】
前記出力制御部は、前記第2取得部によって取得された前記位置情報が示す前記第1移動体の位置が、前記所定の事象を発生させた地点に至るまでに前記移動体が走行した経路上に存在し、且つ前記推定部によって推定された前記乗員の感情が、前記所定の事象を発生させた地点に至るまでの前記移動体の乗員の感情の履歴に含まれ、更に、前記推定部によって前記乗員の感情が推定された時点の天候が、前記所定の事象が発生したときの天候と同じ場合、前記案内情報を前記出力部に出力させる、
請求項2から8のうちいずれか一項に記載の案内システム。
【請求項10】
前記出力制御部は、前記第2取得部によって取得された前記位置情報が示す前記第1移動体の位置が、前記所定の事象を発生させた地点に至るまでに前記移動体が走行した経路上に存在し、且つ前記推定部によって推定された前記乗員の感情が、前記所定の事象を発生させた地点に至るまでの前記移動体の乗員の感情の履歴に含まれ、更に、前記推定部によって前記乗員の感情が推定された時刻が、前記所定の事象が発生した時刻と同じ場合、前記案内情報を前記出力部に出力させる、
請求項2から9のうちいずれか一項に記載の案内システム。
【請求項11】
前記出力制御部は、前記所定の事象を発生させた複数の前記移動体の乗員の感情に所定の傾向がある所定地域に前記第1移動体が存在し、且つ前記推定部によって推定された前記第1移動体の乗員の感情が前記所定の傾向にある場合、前記案内情報を前記出力部に出力させる、
請求項2から10のうちいずれか一項に記載の案内システム。
【請求項12】
前記案内情報には、前記第1移動体の乗員に対して、前記第1移動体の経路を変更することを案内する情報、または感情の転換を促す情報が含まれる、
請求項1から11のうちいずれか一項に記載の案内システム。
【請求項13】
第1移動体に設けられ、前記第1移動体の室内に情報を出力する出力部と、
前記第1移動体の位置を示す位置情報を取得する取得部と、
前記第1移動体の乗員の感情を推定する推定部と、
移動体の位置と移動体の乗員の感情とを含む情報が入力されると、所定の事象が発生することを予測するように学習されたモデルであって、前記取得部によって取得された前記位置情報が示す前記第1移動体の位置と、前記推定部によって推定された前記第1移動体の乗員の感情とを含む情報が入力された前記モデルの出力結果に基づいて、前記第1移動体に前記所定の事象が発生する可能性があることを前記第1移動体の乗員に案内する案内情報を、前記出力部に出力させる出力制御部と、
を備える案内システム。
【請求項14】
情報を出力する出力部を備える第1移動体に搭載されたコンピュータが、
移動体の乗員の感情に少なくとも起因して発生した所定の事象の発生位置を示す位置情報を取得し、
前記第1移動体の位置を示す位置情報を取得し、
前記所定の事象の発生位置を示す位置情報と、前記第1移動体の位置を示す位置情報とに基づいて、前記第1移動体に前記所定の事象が発生する可能性があることを前記第1移動体の乗員に案内する案内情報を、前記出力部に出力させる、
案内方法。
【請求項15】
情報を出力する出力部を備える第1移動体に搭載されたコンピュータに、
移動体の乗員の感情に少なくとも起因して発生した所定の事象の発生位置を示す位置情報を取得する処理と、
前記第1移動体の位置を示す位置情報を取得する処理と、
前記所定の事象の発生位置を示す位置情報と、前記第1移動体の位置を示す位置情報とに基づいて、前記第1移動体に前記所定の事象が発生する可能性があることを前記第1移動体の乗員に案内する案内情報を、前記出力部に出力させる処理と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内システム、案内方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の乗員の感情に関する情報と、その車両の位置情報とを対応付けたマップを生成し、生成したマップを用いて、不特定多数の車両が通行した複数の経路の中から、案内対象の乗員と感情や趣向が類似している他の乗員を乗せていた車両が過去に通行した経路を選択し、選択した経路を、案内対象の乗員に案内する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-100936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、車両のような移動体に搭乗した乗員に案内された経路上で、予期せぬ不測の事態が発生する場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、不測の事態が発生し得ることを移動体の乗員に案内することで、乗員に不測の事態に備えさせることができる案内システム、案内方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る案内システム、案内方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1)本発明の一態様は、第1移動体に設けられ、前記第1移動体の室内に情報を出力する出力部と、移動体の乗員の感情に少なくとも起因して発生した所定の事象の発生位置を示す位置情報を取得する第1取得部と、前記第1移動体の位置を示す位置情報を取得する第2取得部と、前記第1取得部によって取得された前記位置情報と、前記第2取得部によって取得された前記位置情報とに基づいて、前記第1移動体に前記所定の事象が発生する可能性があることを前記第1移動体の乗員に案内する案内情報を、前記出力部に出力させる出力制御部と、を備える案内システムである。
【0007】
(2)の態様は、上記(1)の態様の案内システムにおいて、前記第1移動体の乗員の感情を推定する推定部を更に備え、前記出力制御部が、前記第1取得部によって取得された前記位置情報と、前記第2取得部によって取得された前記位置情報と、前記推定部によって推定された前記乗員の感情とに基づいて、前記案内情報を前記出力部に出力させるものである。
【0008】
(3)の態様は、上記(2)の態様の案内システムにおいて、前記出力部が、画像を表示する表示部を含み、前記出力制御部が、前記第1取得部によって取得された前記位置情報を重畳させた地図を、前記案内情報として前記表示部に表示させるものである。
【0009】
(4)の態様は、上記(2)の態様の案内システムにおいて、前記第1移動体に将来走行させる予定の第1経路を示す経路情報を取得する第3取得部を更に備え、前記出力制御部が、前記第3取得部によって取得された前記経路情報が示す前記第1経路と、前記第1取得部によって取得された前記位置情報と、前記推定部によって推定された前記乗員の感情とに基づいて、前記第1経路から、前記第1経路に比して前記所定の事象が発生しない第2経路へと変更することを前記第1移動体の乗員に促す情報を、前記案内情報として前記出力部に出力させるものである。
【0010】
(5)の態様は、上記(2)の態様の案内システムにおいて、前記第1移動体に将来走行させる予定の第1経路を決定する経路決定部を更に備え、前記経路決定部が、前記経路決定部によって決定された前記第1経路と、前記第1取得部によって取得された前記位置情報と、前記推定部によって推定された前記乗員の感情とに基づいて、前記第1経路を、前記第1経路に比して前記所定の事象が発生しない第2経路へと変更するものである。
【0011】
(6)の態様は、上記(2)の態様の案内システムにおいて、前記第1移動体の速度および操舵を制御する運転制御部と、前記第1移動体に将来走行させる予定の第1経路を示す経路情報を取得する第3取得部と、を更に備え、前記運転制御部が、前記第3取得部によって取得された前記経路情報が示す前記第1経路と、前記第1取得部によって取得された前記位置情報と、前記推定部によって推定された前記乗員の感情とに基づいて、前記第1移動体を、前記第1経路から、前記第1経路に比して前記所定の事象が発生しない第2経路へと移動させるものである。
【0012】
(7)の態様は、上記(2)から(6)のうちいずれか一つの態様の案内システムにおいて、前記出力制御部が、前記第2取得部によって取得された前記位置情報が示す前記第1移動体の位置が、前記所定の事象を発生させた地点に至るまでに前記移動体が走行した経路上に存在し、且つ前記推定部によって推定された前記乗員の感情が、前記所定の事象を発生させた地点に至るまでの前記移動体の乗員の感情の履歴に含まれる場合、前記案内情報を前記出力部に出力させるものである。
【0013】
(8)の態様は、上記(2)から(7)のうちいずれか一つの態様の案内システムにおいて、前記第1移動体の速度を示す速度情報を取得する第4取得部を更に備え、前記出力制御部が、前記第2取得部によって取得された前記位置情報が示す前記第1移動体の位置が、前記所定の事象を発生させた地点に至るまでに前記移動体が走行した経路上に存在し、且つ前記推定部によって推定された前記乗員の感情が、前記所定の事象を発生させた地点に至るまでの前記移動体の乗員の感情の履歴に含まれ、更に、前記第4取得部によって取得された前記速度情報が示す前記第1移動体の速度が、前記所定の事象を発生させた地点に至るまでの前記移動体の速度の履歴に含まれる場合、前記案内情報を前記出力部に出力させるものである。
【0014】
(9)の態様は、上記(2)から(8)のうちいずれか一つの態様の案内システムにおいて、前記出力制御部が、前記第2取得部によって取得された前記位置情報が示す前記第1移動体の位置が、前記所定の事象を発生させた地点に至るまでに前記移動体が走行した経路上に存在し、且つ前記推定部によって推定された前記乗員の感情が、前記所定の事象を発生させた地点に至るまでの前記移動体の乗員の感情の履歴に含まれ、更に、前記推定部によって前記乗員の感情が推定された時点の天候が、前記所定の事象が発生したときの天候と同じ場合、前記案内情報を前記出力部に出力させるものである。
【0015】
(10)の態様は、上記(2)から(9)のうちいずれか一つの態様の案内システムにおいて、前記出力制御部が、前記第2取得部によって取得された前記位置情報が示す前記第1移動体の位置が、前記所定の事象を発生させた地点に至るまでに前記移動体が走行した経路上に存在し、且つ前記推定部によって推定された前記乗員の感情が、前記所定の事象を発生させた地点に至るまでの前記移動体の乗員の感情の履歴に含まれ、更に、前記推定部によって前記乗員の感情が推定された時刻が、前記所定の事象が発生した時刻と同じ場合、前記案内情報を前記出力部に出力させるものである。
【0016】
(11)の態様は、上記(2)から(10)のうちいずれか一つの態様の案内システムにおいて、前記出力制御部が、前記所定の事象を発生させた複数の前記移動体の乗員の感情に所定の傾向がある所定地域に前記第1移動体が存在し、且つ前記推定部によって推定された前記第1移動体の乗員の感情が前記所定の傾向にある場合、前記案内情報を前記出力部に出力させるものである。
【0017】
(12)の態様は、上記(1)から(11)のうちいずれか一つの態様の案内システムにおいて、前記案内情報には、前記第1移動体の乗員に対して、前記第1移動体の経路を変更することを案内する情報、または感情の転換を促す情報が含まれるものである。
【0018】
(13)本発明の他の態様は、第1移動体に設けられ、前記第1移動体の室内に情報を出力する出力部と、前記第1移動体の位置を示す位置情報を取得する取得部と、前記第1移動体の乗員の感情を推定する推定部と、移動体の位置と移動体の乗員の感情とを含む情報が入力されると、所定の事象が発生することを予測するように学習されたモデルであって、前記取得部によって取得された前記位置情報が示す前記第1移動体の位置と、前記推定部によって推定された前記第1移動体の乗員の感情とを含む情報が入力された前記モデルの出力結果に基づいて、前記第1移動体に前記所定の事象が発生する可能性があることを前記第1移動体の乗員に案内する案内情報を、前記出力部に出力させる出力制御部と、を備える案内システムである。
【0019】
(14)本発明の他の態様は、情報を出力する出力部を備える第1移動体に搭載されたコンピュータが、移動体の乗員の感情に少なくとも起因して発生した所定の事象の発生位置を示す位置情報を取得し、前記第1移動体の位置を示す位置情報を取得し、前記所定の事象の発生位置を示す位置情報と、前記第1移動体の位置を示す位置情報とに基づいて、前記第1移動体に前記所定の事象が発生する可能性があることを前記第1移動体の乗員に案内する案内情報を、前記出力部に出力させる、案内方法である。
【0020】
(15)本発明の他の態様は、情報を出力する出力部を備える第1移動体に搭載されたコンピュータに、移動体の乗員の感情に少なくとも起因して発生した所定の事象の発生位置を示す位置情報を取得する処理と、前記第1移動体の位置を示す位置情報を取得する処理と、前記所定の事象の発生位置を示す位置情報と、前記第1移動体の位置を示す位置情報とに基づいて、前記第1移動体に前記所定の事象が発生する可能性があることを前記第1移動体の乗員に案内する案内情報を、前記出力部に出力させる処理と、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
(1)~(15)のいずれかの態様によれば、不測の事態が発生し得ることを移動体の乗員に案内することで、乗員に不測の事態に備えさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態に係る案内システム1の構成の一例を示す図である。
図2】第1実施形態に係る案内システム1の一連の処理の流れを示すシーケンス図である。
図3】第1実施形態に係る案内装置100の構成の一例を示す図である。
図4】第1実施形態に係る案内装置100の一連の処理の流れを示すフローチャートである。
図5】第1実施形態に係るサーバ装置200の構成の一例を示す図である。
図6】予測モデルデータ212の一例を示す図である。
図7】所定の事象の発生予測を説明するための図である。
図8】第1実施形態に係るサーバ装置200の一連の処理の流れを示すフローチャートである。
図9】予測モデルMDLの選択処理を説明するための図である。
図10】案内情報の一例を模式的に示す図である。
図11】案内情報の他の例を模式的に示す図である。
図12】案内情報の他の例を模式的に示す図である。
図13】第1実施形態に係るサーバ装置200の一連の学習処理の流れを示すフローチャートである。
図14】第1実施形態に係るサーバ装置200の学習処理の一例を模式的に示す図である。
図15】所定の事象が複数の地点で発生したときの様子を模式的に示す図である。
図16】第1実施形態に係る案内装置100の他の例を示す図である。
図17】第3実施形態に係る案内装置100を含む車両システム2の構成図である。
図18】第3実施形態に係る車両システム2の一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の案内システム、案内方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0024】
<第1実施形態>
[システム構成]
図1は、第1実施形態に係る案内システム1の構成の一例を示す図である。第1実施形態に係る案内システム1は、例えば、複数の案内装置100と、サーバ装置200とを備える。図示の例のように、各案内装置100は、車両Mに搭載される。車両Mは、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両である。これらの車両の駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせであってよい。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0025】
案内装置100とサーバ装置200とは、ネットワークNWを介して通信可能に接続される。ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などが含まれる。ネットワークNWには、例えば、Wi-FiやBluetooth(登録商標、以下省略)など無線通信を利用したネットワークが含まれてよい。
【0026】
案内装置100は、車両Mの乗員に、車両Mが進行する予定の経路上、或いは経路の周辺に所定の事象が発生しやすい、または発生する蓋然性が高い地点が存在することを注意喚起として案内したり、所定の事象がより発生しにくい経路へと案内したりする機能を有する装置である。所定の事象とは、例えば、交通事故や交通渋滞といった車両Mの進行を妨げるような事象(出来事)である。所定の事象として扱われる交通事故には、例えば、右折または左折時に歩行者と接触すること、赤信号を見落として交差点に進入すること、先行車と接触することなどが含まれる。
【0027】
サーバ装置200は、各車両Mに搭載された案内装置100と通信し、案内装置100から各種データを収集する。サーバ装置200は、収集したデータを解析することで、各車両が所定の事象が発生しやすい地点を通過するか否かを予測し、車両が所定の事象が発生しやすい地点を通過することを予測した場合、その車両に搭載された案内装置100に、注意喚起を促すための情報を送信したり、所定の事象が発生しにくい他の経路への経路変更を促すための情報を送信したりする。以下、注意喚起や経路変更などを促す情報を総括して「案内情報」と称して説明する。
【0028】
なお、案内装置100が搭載される移動体は、車両Mに限られず、例えば、旅客機や飛行船、ヘリコプターなどの航空機や、旅客船などの船舶といった他の移動体であってもよい。以下、一例として、移動体が車両Mであるものとして説明する。
【0029】
[案内システムのシーケンス]
図2は、第1実施形態に係る案内システム1の一連の処理の流れを示すシーケンス図である。まず、案内装置100は、車両Mの乗員の運転データや乗員のプロファイルデータを収集する(ステップS100)。運転データとは、乗員が車両Mを運転する際の車内の状況や車両Mの状態などを含むデータであり、より具体的には、車両Mの車種や、走行時の天候、走行時の時刻、車両Mの速度、同乗者の人数、車両Mの現在位置、目的地の所在地、現在位置から目的地までの走行経路、乗員の運転の継続時間、車両Mの車内での会話の有無、乗員の感情などが含まれる。プロファイルデータとは、乗員の運転特性に関するデータであり、具体的には、乗員の性別、年齢、運転経歴、自宅の所在地、生活圏、運転傾向などが含まれる。運転傾向は、例えば、運転の継続時間が長い場合、ブレーキが遅いといった傾向や、怒っているときには急発進をしやすいといった傾向、他の乗員と会話している場合、サイドミラーの確認を怠りやすいといった傾向などである。案内装置100は、車両Mのアクセサリー電源やイグニッション電源がオン状態となると、それら電源から電力の供給を受けて起動し、運転データを収集することを所定の周期で繰り返す。
【0030】
次に、案内装置100は、収集した運転データとプロファイルデータとをサーバ装置200に送信する(ステップS102)。
【0031】
サーバ装置200は、案内装置100から運転データおよびプロファイルデータを受信すると、受信した運転データおよびプロファイルデータに基づいて、運転データおよびプロファイルデータを送信した車両が所定の事象が発生しやすい地点を通過するか否かを予測する(ステップS104)。
【0032】
サーバ装置200は、車両が所定の事象が発生しやすい地点を通過することを予測した場合、その車両に搭載された案内装置100に案内情報を送信する(ステップS106)。
【0033】
案内装置100は、サーバ装置200から案内情報を受信すると、その案内情報に従って、車両Mの乗員に注意喚起を促したり、経路変更を促したりする(ステップS108)。なお、このシーケンスではS102でサーバ装置200に送信する案内装置100及びそれが搭載される車両とS106でサーバ装置200から受信する案内装置100及びそれが搭載される車両は同じものとして記載したが、送信と受信は別の装置であってもよい。また、送信のみ行う案内装置100や受信のみ行う案内装置100があってもよい。
【0034】
[案内装置の構成]
図3は、第1実施形態に係る案内装置100の構成の一例を示す図である。第1実施形態に係る案内装置100は、例えば、車内カメラ102と、マイクロフォン104と、車両センサ106と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機108と、HMI(Human Machine Interface)110と、通信部112と、記憶部120と、制御部130とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続されてよい。図3に示す案内装置100の構成はあくまでも一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0035】
車内カメラ102は、例えば、案内装置100が搭載された車両M(以下、自車両Mと称する)の車室内に設置され、車室内のシートに着座する各乗員の顔などを撮像する。車内カメラ102は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。車内カメラ102は、例えば、所定のタイミングで各乗員を繰り返し撮像する。車内カメラ102は、乗員を撮像した画像データを生成し、生成した画像データを制御部130に出力する。
【0036】
マイクロフォン104は、自車両Mの車室内の音声を収音する音声入力装置である。マイクロフォン104は、収音した音声データを制御部130に出力する。
【0037】
車両センサ106は、自車両Mの向きを検出する方位センサや、自車両Mの速度を検出する車速センサ、自車両Mの加速度を検出する加速度センサ、自車両Mの鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、ステアリングホイールの回転軸に与えられた操舵トルクを検出するトルクセンサなどを含む。車両センサ106は、検出した方位や速度、加速度などを含むデータ(以下、車両状態データと称する)を制御部130に出力する。
【0038】
GNSS受信機108は、GPS(Global Positioning System)などの人工衛星から信号(電波)を受信し、受信した信号に基づいて自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ106によって出力された車両状態データを利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。GNSS受信機108は、特定した自車両の位置を示す位置データを制御部130に出力する。
【0039】
HMI110は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI110は、ディスプレイ、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。HMI110は、「出力部」の一例である。
【0040】
通信部112は、例えば、アンテナやNIC(Network Interface Card)などの通信インターフェースを含む。通信部112は、ネットワークNWを介してサーバ装置200などと通信する。
【0041】
記憶部120は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により実現される。記憶部120には、例えば、後述するプロセッサによって参照されるプログラムのほかに、地図データ122などが格納される。また、地図データ122は、外部装置(例えばサーバ装置200)から一時的に取得されて記憶部120に格納されたものであってもよい。
【0042】
地図データ122は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現されたデータである。地図データ122には、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報などが含まれてよい。
【0043】
制御部130は、例えば、取得部132と、経路決定部134と、プロファイル生成部136と、感情推定部138と、出力制御部140と、通信制御部142とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め記憶部120に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶部120にインストールされてもよい。
【0044】
取得部132は、車内カメラ102から画像データを取得したり、マイクロフォン104から音声データを取得したり、車両センサ106から車両状態データを取得したり、GNSS受信機108から位置データを取得したりする。また、取得部132は、乗員がHMI110に対して入力した入力データを、HMI110から取得してもよい。入力データには、例えば、目的地の位置データなどが含まれる。GNSS受信機108から位置データを取得する取得部132は、「第2取得部」の一例である。また、車両センサ106から車両状態データを取得する取得部132は、「第4取得部」の一例である。
【0045】
経路決定部134は、例えば、地図データ122を参照して、GNSS受信機108により特定された自車両Mの位置、あるいは乗員がHMI110に対して入力した任意の位置から、乗員がHMI110に対して入力した目的地に至るまでの経路を決定する。経路決定部134によって決定される経路は、「第1経路」の一例である。また、経路決定部134は、「第3取得部」の一例である。
【0046】
プロファイル生成部136は、取得部132によって取得された各種データに基づいて、プロファイルデータを生成する。プロファイルデータは、自車両Mの所有者や、その所有者の家族といった、自車両Mを運転し得る人間の運転特性に関するデータである。
【0047】
例えば、乗員がHMI110に対して性別や年齢、運転経歴、自宅所在地、生活圏、運転傾向などを入力した場合、プロファイル生成部136は、HMI110に対して入力された入力データに基づいて、プロファイルデータを生成してよい。また、プロファイル生成部136は、位置データに基づいて自宅所在地や生活圏を導き出したり、画像データや音声データに基づいて性別を導き出したり、車両状態データに基づいて普段の運転傾向を導き出したりすることで、プロファイルデータを生成してもよい。プロファイル生成部136は、プロファイルデータを生成すると、それを記憶部120に記憶させる。
【0048】
なお、プロファイルデータは、プロファイル生成部136によって生成されなくてもよい。例えば、乗員が保有するスマートフォンなどの端末装置に対して、乗員の性別や年齢、運転経歴、自宅所在地、生活圏、運転傾向などを含むプロファイルデータが入力された場合、取得部132は、通信部112をその端末装置と通信させ、端末装置から通信部112にプロファイルデータを受信させてもよい。すなわち、取得部132は、通信部112を介して端末装置からプロファイルデータを取得してもよいし、アカウントに紐づくプロファイルデータが記録された外部装置からアカウント認証の後にプロファイルデータを取得してもよい。
【0049】
感情推定部138は、取得部132によって取得された音声データおよび画像データの少なくとも一方または双方に基づいて、自車両Mに搭乗した乗員(特に運転者)の感情を推定する。
【0050】
例えば、感情推定部138は、取得部132によって取得された音声データから、乗員が発話している期間(以下、発話期間と称する)を抽出し、抽出した発話期間ごとの音声をテキスト化することで、発話内容を表すテキストデータを生成する。そして、感情推定部138は、生成したテキストデータに基づいて、乗員の感情を推定する。
【0051】
具体的には、感情推定部138は、抽出した各発話期間の音声信号を、BiLSTM(Bi-directional Long short-term memory)やアテンション機構などを含むリカレントニューラルネットワークに入力することで、音声信号が低周波数や高周波数などの複数の周波数帯に分離され、その各周波数帯の音声信号がフーリエ変換されたスペクトログラム(メルスペクトログラム)を得る。リカレントニューラルネットワークは、例えば、学習用の音声から生成されたスペクトログラムに対して、その学習用の音声信号が教師ラベルとして対応付けられた教師データを利用することで、予め学習されていてよい。
【0052】
感情推定部138は、音声信号をスペクトログラムに変換すると、そのスペクトログラムを、複数の隠れ層を含む畳み込みニューラルネットワークに入力することで、スペクトログラムから文字列を得る。畳み込みニューラルネットワークは、例えば、学習用のスペクトログラムに対して、その学習用のスペクトログラムを生成するのに使われた音声信号に対応する文字列が教師ラベルとして対応付けられた教師データを利用することで、予め学習されていてよい。感情推定部138は、畳み込みニューラルネットワークから得た文字列のデータを、テキストデータとして生成する。
【0053】
感情推定部138は、テキストデータを生成すると、その生成したテキストデータを、乗員の感情を分析するように予め学習されたディープニューラルネットワークに入力することで、乗員の感情を数値化した指数(以下、感情指数と称する)を導出する。感情指数は、例えば、怒り、不愉快、恐怖、幸福、悲しみ、驚き、といった各種感情のパラメータごとに、その感情の尤もらしさを表すスコアが対応付けられている。そして、感情推定部138は、導出した感情指数に基づいて、乗員の感情を推定する。
【0054】
また、感情推定部138は、取得部132によって取得された画像データから乗員の顔の特徴(例えば、目、口、鼻、眉など)を抽出し、抽出した顔の特徴に基づいて乗員の感情を推定してもよいし、画像データから乗員の身振り手振りを認識し、その認識した身振り手振りに基づいて、乗員の感情を推定してもよい。
【0055】
また、感情推定部138は、音声データを用いた乗員の感情の推定結果と、画像データを用いた乗員の感情の推定結果とを統合し、その統合した感情の推定結果に基づいて、乗員の感情を推定してもよい。
【0056】
出力制御部140は、地図データ122が示す地図の上で、経路決定部134によって決定された経路をHMI110のディスプレイに表示させることで、自車両Mの乗員に対して、現在位置から目的地までの経路を案内する。また、出力制御部140は、通信部112がサーバ装置200から案内情報を受信した場合、その案内情報に従って、HMI110に、乗員に注意喚起を促す情報や経路変更を促す情報を画像や音声として出力させる。
【0057】
通信制御部142は、通信部112を制御して、取得部132によって取得された画像データ、音声データ、車両状態データ、位置データ、および入力データの一部または全部と、感情推定部138によって推定された乗員の感情を示すデータ(以下、感情推定データと称する)とを合わせたものを、運転データとしてサーバ装置200に送信する。また、通信制御部142は、通信部112を制御して、プロファイル生成部136によって生成されたプロファイルデータ、または取得部132によって取得されたプロファイルデータをサーバ装置200に送信する。
【0058】
[案内装置の処理フロー]
以下、第1実施形態に係る案内装置100の処理についてフローチャートを用いて説明する。図4は、第1実施形態に係る案内装置100の一連の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、自車両Mのアクセサリー電源やイグニッション電源がオン状態となり、案内装置100がそれら電源から電力の供給を受けている間、所定の周期で繰り返し行われてよい。
【0059】
まず、取得部132は、画像データ、音声データ、車両状態データ、位置データ、入力データといった各種データを取得する(ステップS200)。
【0060】
次に、感情推定部138は、取得部132によって取得された画像データおよび音声データの少なくとも一方に基づいて、自車両Mの乗員の感情を推定する(ステップS202)。
【0061】
次に、プロファイル生成部136は、別のタイミングで生成しておいたプロファイルデータを記憶部120から取得する(ステップS204)。例えば、プロファイル生成部136は、本フローチャートの処理周期とは別の周期でプロファイルデータを生成し、それを記憶部120に記憶させておき、本フローチャートのS204の処理周期に合わせて、記憶部120からプロファイルデータを取得する。なお、プロファイル生成部136は、記憶部120から予め生成しておいたプロファイルデータを取得する代わりに、S204の処理のタイミングでプロファイルデータを生成してもよい。
【0062】
次に、通信制御部142は、S200の処理で取得部132によって取得されたデータ、およびS202の処理で感情推定部138によって推定された乗員の感情を示す感情推定データを含む運転データと、S204の処理でプロファイル生成部136によって取得または生成されたプロファイルデータとを、通信部112を介してサーバ装置200に送信する(ステップS206)。
【0063】
次に、通信制御部142は、運転データとプロファイルデータとをサーバ装置200に送信してから、所定時間が経過するまで、或いは所定距離を走行するまでの間に、通信部112がサーバ装置200から案内情報を受信したか否かを判定する(ステップS208)。
【0064】
通信制御部142は、通信部112がサーバ装置200から案内情報を受信した場合、HMI110に案内情報を出力させる(ステップS210)。これによって本フローチャートの処理が終了する。
【0065】
[サーバ装置の構成]
図5は、第1実施形態に係るサーバ装置200の構成の一例を示す図である。第1実施形態に係るサーバ装置200は、例えば、通信部202と、記憶部210と、制御部230とを備える。図5に示すサーバ装置200の構成はあくまでも一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0066】
通信部202は、例えば、アンテナやNICなどの通信インターフェースを含む。通信部202は、ネットワークNWを介して案内装置100などと通信する。
【0067】
記憶部210は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM、またはRAM等により実現される。記憶部210には、例えば、プロセッサによって参照されるプログラムのほかに、予測モデルデータ212などが格納される。
【0068】
予測モデルデータ212は、車両Mなどの移動体に所定の事象が発生することを予測するための一つまたは複数の予測モデルMDLを定義した情報(プログラムまたはデータ構造)である。予測モデルMDLは、例えば、あるユーザAの運転特性に関する特徴量が入力されると、そのユーザAが運転する車両Mに所定の事象が発生する確率(以下、生起確率と称する)を出力するように学習されたモデルである。
【0069】
予測モデルMDLは、例えば、ディープニューラルネットワークを利用して実現されてよい。また、予測モデルMDLは、ディープニューラルネットワークに限られず、ロジスティック回帰やSVM(Support Vector Machine)、k-NN(k-Nearest Neighbor algorithm)、決定木、単純ベイズ分類器、ランダムフォレストといった他のモデルによって実現されてもよい。
【0070】
図6は、予測モデルデータ212の一例を示す図である。図示の例のように、予測モデルデータ212は、過去に所定の事象が一度でも発生した地点SP、または過去に所定の事象が頻繁に発生した地点SPに対して、予測モデルMDLが対応付けられたデータであってよい。これらの各地点SPに対応付けられた予測モデルMDLは、後述する学習部242によって学習される。なお、予測モデルMDLが対応付けられる地点SPは、地図上において、座標のように「点」として扱われてもよいし、道路のように「線」として扱われてもよいし、市町村区のように「面」として扱われてもよい。
【0071】
制御部230は、例えば、取得部232と、特徴量抽出部234と、予測部236と、案内情報生成部238と、通信制御部240と、学習部242とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPUやGPU等のプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め記憶部210に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶部210にインストールされてもよい。
【0072】
取得部232は、通信部202を介して案内装置100から、運転データとプロファイルデータとを取得する。
【0073】
特徴量抽出部234は、取得部232によって取得された運転データとプロファイルデータとのそれぞれから、乗員の運転特性に関する特徴量を抽出する。
【0074】
予測部236は、特徴量抽出部234によって抽出された特徴量に基づいて、運転データおよびプロファイルデータの取得先である車両M(以下、「予測対象の車両M」の称する)に、所定の事象が発生することを予測する。例えば、予測部236は、特徴量抽出部234によって抽出された特徴量を、予測モデルデータ212に含まれる予測モデルMDLに入力し、その予測モデルMDLによって出力された生起確率に基づいて、所定の事象の発生有無を予測する。予測対象の車両Mは、「第1移動体」の一例である。
【0075】
図7は、所定の事象の発生予測を説明するための図である。図示の例のように、特徴量抽出部234によって抽出される特徴量には、運転データから抽出される第1特徴量と、プロファイルデータから抽出される第2特徴量とが含まれる。
【0076】
第1特徴量には、例えば、現在位置、目的地、走行経路、時刻、天候、同乗者の人数、乗員の運転継続時間、あるタイミングでの車両の速度、ある期間の車両の速度の履歴、車内での会話の有無、あるタイミングでの乗員の感情、ある期間の乗員の感情の履歴、車種などが含まれる。第2特徴量には、性別、年齢、運転経歴、自宅所在地、生活圏、運転傾向などが含まれる。
【0077】
このような特徴量が予測モデルMDLに入力されるため、予測モデルMDLは、例えば、雨天のときに、予測対象の車両Mの速度が大きく、その車両Mが普段の生活圏で運転している経路と異なる経路を走行しており、予測対象の車両Mを運転する運転者が高齢者であり、苛立って運転していることから急発進する傾向にあり、更に、車内で他の乗員と会話していることからサイドミラーの確認を怠りやすい傾向にある、といった状況を基にして、所定の事象の生起確率を導出する。
【0078】
例えば、予測モデルMDLは、上述したような第1特徴量と第2特徴量とが入力されると、所定の事象として予め想定された複数の事象のそれぞれの生起確率を出力してよい。具体的には、予め想定された所定の事象に、右折または左折時に歩行者と接触するという第1事象と、赤信号を見落として交差点に進入するという第2事象と、先行車と接触するという第3事象とが含まれていた場合、予測モデルMDLは、第1事象と、第2事象と、第3事象とをそれぞれ要素とし、第1事象の要素に対応した要素値を第1事象の生起確率P1とし、第2事象の要素に対応した要素値を第2事象の生起確率P2とし、第3事象の要素に対応した要素値を第3事象の生起確率P3としたベクトルV(例えば、V=[P1,P2,P3])を出力してよい。
【0079】
予測部236は、予測モデルMDLによって各事象の生起確率を表すベクトルが出力されると、そのベクトルに含まれる各要素の要素値、すなわち各事象の生起確率の値に基づいて、所定の事象の発生有無を予測する。例えば、予測部236は、最も大きい生起確率P1であり、その生起確率P1が、ある閾値TH以上である場合、その生起確率P1に対応付けられた第1事象が発生すると予測する。また、予測部236は、閾値TH以上の生起確率が複数存在する場合、複数の事象が略同時に発生すると予測してよい。また、予測部236は、ベクトルに含まれるいずれの生起確率も閾値TH未満である場合、所定の事象が発生しないと予測してよい。
【0080】
案内情報生成部238は、予測部236によって所定の事象が発生すると予測された場合、発生すると予測された事象の種類に応じた案内情報を生成する。例えば、案内情報生成部238は、第1事象の生起確率P1が閾値TH以上であり、予測対象の車両Mに第1事象が発生すると予測された場合、予測対象の車両Mの乗員に対して、第1事象が発生することについて注意喚起を促したり、或いは第1事象が発生しにくい他の経路(第2経路の一例)へと経路変更を促したりする案内情報を生成する。
【0081】
通信制御部240は、案内情報生成部238によって案内情報が生成されると、通信部202を介して予測対象の車両Mに搭載された案内装置100に案内情報を送信する。
【0082】
学習部242は、予測モデルMDLを学習する。予測モデルMDLの学習方法について後述する。
【0083】
[サーバ装置の処理フロー]
以下、第1実施形態に係るサーバ装置200の処理についてフローチャートを用いて説明する。図8は、第1実施形態に係るサーバ装置200の一連の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、所定の周期で繰り返し行われてよい。
【0084】
まず、取得部232は、通信部202を介して案内装置100から、運転データとプロファイルデータとを取得する(ステップS300)。
【0085】
次に、特徴量抽出部234は、取得部232によって取得された運転データから第1特徴量を抽出し、プロファイルデータから第2特徴量を抽出する(ステップS302)。
【0086】
次に、予測部236は、記憶部210から予測モデルデータ212を読み出し(取得し)、読み出した予測モデルデータ212に含まれる一以上の予測モデルMDLの中から、運転データに含まれる走行経路、すなわち、予測対象の車両Mが目的地に到着するまでに走行する予定の経路上、またはその経路の近傍(例えば数十メートル以内)の地点に対応付けられた予測モデルMDLを選択する(ステップS304)。
【0087】
図9は、予測モデルMDLの選択処理を説明するための図である。図示のように、例えば、第1地点SP1、第2地点SP2、第3地点SP3、第4地点SP4、第5地点SP5、第6地点SP6のそれぞれで過去に所定の事象が発生した場合、それらの各地点SPには予測モデルMDLが対応付けられる。このような場合、予測部236は、6つの予測モデルMDLの中から、予測対象の車両Mの走行予定の経路R1上、またはその経路R1の近傍の地点に対応付けられた予測モデルMDLを選択する。図示の例では、現在位置Sから目的地Gまでの経路R1上に、第1地点SP1および第2地点SP2が存在している。従って、予測部236は、6つの予測モデルMDLの中から、第1地点SP1に対応付けられた予測モデルMDL1と、第2地点SP2に対応付けられた予測モデルMDL2とを選択する。
【0088】
図8のフローチャートの説明に戻る。次に、予測部236は、予測モデルMDLを選択すると、選択したそれぞれの予測モデルMDLに、特徴量抽出部234によって抽出された特徴量を入力する(ステップS306)。
【0089】
次に、予測部236は、特徴量を入力したそれぞれの予測モデルMDLの出力結果、すなわち各地点における所定の事象の生起確率の導出結果を取得する(ステップS308)。
【0090】
次に、予測部236は、各地点における所定の事象の生起確率が閾値TH以上であるか否かを判定する(ステップS310)。例えば、予測部236は、第1地点SP1に対応付けられた予測モデルMDL1が出力した生起確率と、第2地点SP2に対応付けられた予測モデルMDL2が出力した生起確率とが、ともに閾値TH未満である場合、走行予定の経路R1を走行しても予測対象の車両Mには所定の事象が発生しないと予測して、本フローチャートの処理を終了する。
【0091】
一方、予測部236は、いずれか一つまたは複数の地点における所定の事象の生起確率が閾値TH以上である場合、目的地に到着するまでの間に、予測対象の車両Mに所定の事象が発生すると予測する(ステップS312)。所定の事象の生起確率が閾値TH以上である地点は、「所定の事象の発生位置」の一例であり、予測部236は、「第1取得部」の一例である。
【0092】
例えば、予測部236は、第1地点SP1に対応付けられた予測モデルMDL1が出力した生起確率と、第2地点SP2に対応付けられた予測モデルMDL2が出力した生起確率とのうちいずれか一方または双方が閾値TH以上である場合、走行予定の経路R1を走行すると予測対象の車両Mに所定の事象が発生すると予測する。
【0093】
次に、案内情報生成部238は、予測部236によって発生が予測された事象の種類に応じた案内情報を生成する(ステップS314)。
【0094】
図10は、案内情報の一例を模式的に示す図である。例えば、予測対象の車両が走行する予定の経路R1上に、過去に所定の事象が発生した第1地点SP1および第2地点SP2が存在しており、予測部236が、予測対象の車両Mが経路R1を走行した場合、第1地点SP1および第2地点SP2のそれぞれで所定の事象が発生すると予測したとする。
【0095】
この場合、案内情報生成部238は、第1地点SP1において発生すると予測された事象の種類と、第2地点SP2において発生すると予測された事象の種類とのそれぞれに応じて、生成する案内情報を変更する。
【0096】
例えば、図示のように、第1地点SP1において「事象X」が発生すると予測された場合、案内情報生成部238は、現在の感情を維持しながら第1地点SP1に到達した場合や、第1地点SP1の3つ手間の交差点で第1の感情にあり、2つ手前の交差点で第2の感情にあり、1つ手前の交差点で第3の感情にある、といったような、ある特定の感情の推移で第1地点SP1に到達した場合、その第1地点SP1に対して「事象X」が発生する可能性があるということを表す文字や画像が重畳された地図を、案内情報として生成してよい。
【0097】
同様に、例えば、図示のように、第2地点SP2において「事象Y」が発生すると予測された場合、案内情報生成部238は、現在の感情を維持しながら第2地点SP2に到達した場合や、ある特定の感情の推移で第2地点SP2に到達した場合、その第2地点SP2で「事象Y」が発生する可能性があるということを表す文字や画像が重畳された地図を、案内情報として生成してよい。
【0098】
このように、案内情報生成部238は、現在の感情のまま運転を継続した場合に所定の事象が発生しやすくなる地点を地図上で表示することで、予測対象の車両Mの乗員に対して、所定の事象の発生要因(特徴量)の一つである「感情」を転換するように促すことができる。この結果、所定の事象が発生することを抑制することができる。
【0099】
また、案内情報生成部238は、所定の事象の発生要因の一つである「感情」に代えて、或いは加えて、他の要因である「車速」を変更するように促したり、他の同乗者との「会話」を止めるように促したり、「運転継続時間」を短くするために休憩を促したり、「経路」や「目的地」を変更するように促したりする案内情報を生成してもよい。
【0100】
図11は、案内情報の他の例を模式的に示す図である。図示の例のように、予測対象の車両Mが進行予定の経路R1上に、所定の事象が発生すると予測された第1地点SP1および第2地点SP2が存在する場合、案内情報生成部238は、他の経路へと経路変更するように促す案内情報を生成する。例えば、案内情報生成部238は、現在位置Sから目的地Gに至る複数の他の経路の中から、現在の経路に比して、所定の事象が発生すると予測された地点SPの数が少なかったり、経路全体の所定の事象の生起確率の平均や合計が小さかったりする経路を選択する。この場合、予測部236は、変更先の候補となる各経路について所定の事象が発生するか否かを予測しておくものとする。例えば、案内情報生成部238は、現在位置Sから目的地Gに至る複数の他の経路の中から、所定の事象の発生地点が少ない、或いは所定の事象の生起確率が小さい経路として経路R2を選択すると、進行予定であった経路R1から、選択した経路R2へと経路変更するように促す案内情報を生成してよい。
【0101】
また、案内情報生成部238は、第1地点SP1において発生すると予測された事象の生起確率と、第2地点SP2において発生すると予測された事象の生起確率とのそれぞれに応じて、生成する案内情報を変更してもよい。
【0102】
図12は、案内情報の他の例を模式的に示す図である。例えば、上述した他の例と同様に、第1地点SP1において「事象X」が発生することが予測され、第2地点SP2において「事象Y」が発生することが予測されたとする。この場合、案内情報生成部238は、例えば、各事象の生起確率が大きくなるほど、赤色や黄色といった人間の注意を惹きやすい色で事象の発生地点をカラーリングしたヒートマップを案内情報として生成してよい。例えば、第1地点SP1において発生することが予測された「事象X」の生起確率に比して、第2地点SP2において発生することが予測された「事象Y」の生起確率の方が大きい場合、図示の例のように、案内情報生成部238は、ヒートマップにおいて、第1地点SP1に比べて、第2地点SP2の色をより濃くしたり、赤色や黄色でカラーリングされた領域をより広くしたりしてよい。
【0103】
図8のフローチャートの説明に戻る。次に、通信制御部240は、通信部202を介して予測対象の車両Mに搭載された案内装置100に、案内情報生成部238によって生成された案内情報を送信する(ステップS316)。これによって、本フローチャートの処理が終了する。
【0104】
案内装置100の出力制御部140は、通信部112がサーバ装置200から案内情報を受信すると、HMI110に案内情報を出力させる。具体的には、出力制御部140は、HMI110のディスプレイに、図10や、図11図12に例示するようなヒートマップを表示させることで、自車両Mの乗員に、注意喚起を行ったり、感情の転換を促したり、経路変更を促したりする。また、案内装置100の経路決定部134は、案内情報に従って、所定の事象の発生地点が少ない、或いは所定の事象の生起確率が小さい経路へと経路変更してもよい。
【0105】
また、出力制御部140は、所定の事象が発生した地点に自車両Mが到達したタイミングで、HMI110に案内情報を出力させてもよいし、所定の事象が発生した地点よりも所定距離手前の地点に自車両Mが到達したタイミングで、HMI110に案内情報を出力させてもよい。
【0106】
[学習処理フロー]
以下、第1実施形態に係るサーバ装置200の学習処理についてフローチャートと模式図を用いて説明する。図13は、第1実施形態に係るサーバ装置200の一連の学習処理の流れを示すフローチャートである。また、図14は、第1実施形態に係るサーバ装置200の学習処理の一例を模式的に示す図である。本フローチャートの処理は、所定の周期で繰り返し行われてよい。
【0107】
まず、取得部232は、通信部202を介して、所定の事象が発生した不特定多数の車両Mの案内装置100から、運転データおよびプロファイルデータを取得する(ステップS400)。
【0108】
次に、学習部242は、S400の処理で取得部232によって取得された複数の運転データおよびプロファイルデータを、所定の事象が発生した要因が外的要因に依るデータ群と、所定の事象が発生した要因が人的要因に依るデータ群とに分類する(ステップS402)。
【0109】
例えば、学習部242は、直線道路のように道路の見通しが良く、天候が快晴のような好天であり、運転継続時間が著しく長いような状況下で所定の事象を発生させた車両Mの運転データおよびプロファイルデータについては、人的要因に依るデータ群に分類し、カーブ路のように道路の見通しが悪く、天候が雨や雪、濃霧のような悪天候であり、運転継続時間が短いような状況下で所定の事象を発生させた車両Mの運転データおよびプロファイルデータについては、外的要因に依るデータ群に分類してよい。なお、学習部242は、外的要因か人的要因かに明確に分類できないデータについては、いずれのデータ群にも分類しなくてよい。
【0110】
次に、特徴量抽出部234は、分類した2つのデータ群のうち、人間の感情などの人的要因に依るデータ群に分類された運転データおよびプロファイルデータから特徴量を抽出する(ステップS404)。特徴量には、上述したように運転データから抽出される第1特徴量と、プロファイルデータから抽出される第2特徴量とが含まれる。
【0111】
次に、学習部242は、S404の処理で特徴量抽出部234により抽出された特徴量を用いて、所定の事象が発生した地点に対応付ける予測モデルMDLの学習するための学習データを生成する(ステップS406)。
【0112】
例えば、学習部242は、特徴量抽出部234により人的要因に依るデータ群から抽出された特徴量に対して、生起確率が教師ラベルとして対応付けられた教師データを生成してよい。例えば、学習部242は、所定の事象が発生したという事実を踏まえて生起確率を1にしてよい。
【0113】
次に、学習部242は、生成した教師データに基づいて、予測モデルMDLを学習し、その学習した予測モデルMDLを所定の事象の発生地点SPに対応付けた予測モデルデータ212を生成する(ステップS408)。
【0114】
例えば、学習部242は、教師データに含まれる特徴量を予測モデルMDLに入力し、その予測モデルによって出力された生起確率と、予測モデルMDLに入力した特徴量に対して教師ラベルとして対応付けられた生起確率との差分を導出する。そして、学習部242は、導出した差分が小さくなるように、確率的勾配法などを利用して、予測モデルMDLの重み係数やバイアス成分などのパラメータを決定する。
【0115】
このように学習によってパラメータが決定された予測モデルMDLは、学習時に入力された特徴量により類似した特徴量が入力されると、所定の事象の生起確率として、より1に近い値を出力するようになる。例えば、ある車両Aに所定の事象の一つである事象Xが発生したときに、その車両Aの乗員が焦りや苛立ちを感じていたとする。このような状況下で得られた運転データおよびプロファイルデータを用いて予測モデルMDLが学習された場合に、その事象Xが発生した地点に、同じように焦りや苛立ちを感じた乗員が運転する他車両Bが通りかかったとき、学習された予測モデルMDLは、他車両Bにも、車両Aに発生した同種の事象Xが発生する蓋然性が高いことを示す生起確率を出力するようになる。
【0116】
また、予測モデルMDLの学習に利用される教師データの特徴量には、所定の事象を発生させた地点に至るまでに車両Mが走行した走行経路や、所定の事象を発生させた地点に至るまでの車両Mの乗員の感情の履歴が含まれることから、例えば、以下の条件(I)および(II)を満たしている場合、予測モデルMDLは、所定の事象の生起確率として、閾値TH以上の確率を出力しやすくなる。これによって、案内装置100のHMI110に案内情報が出力されやすくなる。
【0117】
条件(I):過去に所定の事象が発生した地点に予測対象の車両Mが近づいた際に、予測対象の車両Mが所定の事象を発生させた車両Mの走行経路と同じ経路を走行している。すなわち、所定の事象を発生させた車両Mの走行経路上に、予測対象の車両Mが位置している。
【0118】
条件(II):過去に所定の事象が発生した地点に予測対象の車両Mが近づいた際に、予測対象の車両Mの乗員の感情の推移が、所定の事象を発生させた車両Mの乗員の感情の推移と同じ傾向である。すなわち、所定の事象を発生させた車両Mの乗員の感情の履歴に、予測対象の車両Mの乗員の感情が含まれる。
【0119】
また、予測モデルMDLの学習に利用される教師データの特徴量には、更に、所定の事象を発生させた地点に至るまでの車両Mの速度の履歴が含まれることから、例えば、上述した条件(I)および(II)の一方または双方に加えて、更に条件(III)を満たしている場合、予測モデルMDLは、所定の事象の生起確率として、さらに閾値TH以上の確率を出力しやすくなる。これによって、案内装置100のHMI110に案内情報が出力されやすくなる。
【0120】
条件(III):過去に所定の事象が発生した地点に予測対象の車両Mが近づいた際に、予測対象の車両Mの速度の推移が、所定の事象を発生させた車両Mの速度の推移と同じ傾向である。すなわち、所定の事象を発生させた車両Mの速度の履歴に、予測対象の車両Mの速度が含まれる。
【0121】
また、予測モデルMDLの学習に利用される教師データの特徴量には、更に、天候が含まれることから、例えば、上述した条件(I)から(III)の一部または全部に加えて、更に条件(IV)を満たしている場合、予測モデルMDLは、所定の事象の生起確率として、さらに閾値TH以上の確率を出力しやすくなる。これによって、案内装置100のHMI110に案内情報が出力されやすくなる。
【0122】
条件(IV):過去に所定の事象が発生した地点に予測対象の車両Mが近づいた際の天候が、所定の事象が発生したときの天候と同じである。
【0123】
また、予測モデルMDLの学習に利用される教師データの特徴量には、更に、時刻が含まれることから、例えば、上述した条件(I)から(IV)の一部または全部に加えて、更に条件(V)を満たしている場合、予測モデルMDLは、所定の事象の生起確率として、さらに閾値TH以上の確率を出力しやすくなる。これによって、案内装置100のHMI110に案内情報が出力されやすくなる。
【0124】
条件(V):過去に所定の事象が発生した地点に予測対象の車両Mが近づいた際の時刻が、所定の事象が発生したときの時刻と同じである。
【0125】
また、学習部242は、互いに異なる地点SPで発生した複数の所定の事象のそれぞれの発生要因が、車両Mを運転する乗員が「焦り」や「苛立ち」を感じていたことが含まれる場合、すなわち、複数の所定の事象の発生要因に、運転者の感情が「焦り」や「苛立ち」といった所定の傾向が含まれる場合、それらの複数の所定の事象の発生地点SPに同じ予測モデルMDLを対応付けてよい。
【0126】
図15は、所定の事象が複数の地点で発生したときの様子を模式的に示す図である。図示の例では、SP1からSP6の計6地点で所定の事象が発生していることを表している。例えば、SP1、SP4、SP5の3地点で、所定の事象の発生要因である運転者の感情が同様の傾向であり、SP2、SP3、SP6の3地点で、所定の事象の発生要因である運転者の感情が同様の傾向であったとする。この場合、学習部242は、SP1、SP4、SP5の3地点を、一つの大域的な地域SP#1として扱い、SP1、SP4、SP5のいずれかの予測モデルMDLを地域SP#1に対応付けた予測モデルデータ212を生成する。また、学習部242は、SP2、SP3、SP6の3地点を、一つの大域的な地域SP#2として扱い、SP2、SP3、SP6のいずれかの予測モデルMDLを地域SP#2に対応付けた予測モデルデータ212を生成する。
【0127】
これによって、所定の事象を発生させた複数の車両Mの乗員の感情に所定の傾向があった大域的な地域SP#(点ではなく面として扱われる領域)内に予測対象の車両Mが存在し、且つ予測対象の車両Mの乗員の感情が所定の傾向にある場合、大域的な地域SP#に対応付けられた予測モデルMDLは、所定の事象の生起確率として、さらに閾値TH以上の確率を出力しやすくなる。これによって、案内装置100のHMI110に案内情報が出力されやすくなる。
【0128】
なお、学習部242は、更に、外的要因に依るデータ群から抽出された特徴量を用いて教師データを生成し、その生成した教師データに基づいて、予測モデルMDLを学習してもよい。これによって、人間の感情などの人的要因に起因して所定の事象が発生するか否かを予測することができるとともに、道路の形状や天候といった外的要因に起因して所定の事象が発生するか否かを予測することができる。
【0129】
以上説明した第1実施形態によれば、車両の乗員の感情に少なくとも起因して発生した所定の事象の発生位置と、ある予測対象の車両Mの位置とに基づいて、予測対象の車両Mに所定の事象が発生する可能性があることを予測対象の車両Mの乗員に案内する案内情報を、HMI110に出力させるため、車両Mの乗員に予期せぬ不測の事態が発生し得ることを案内することができ、車両Mの乗員に不測の事態に備えさせることができる。
【0130】
また、上述した第1実施形態によれば、HMI110に感情の転換を促す案内情報を出力させるため、人間の感情が要因で発生し得る不測の事態が発生することを抑制することができる。
【0131】
また、上述した第1実施形態によれば、HMI110に、所定の事象がより発生しにくい経路へと経路変更するように促す案内情報を出力させるため、人間の感情が要因で発生し得る不測の事態が発生することを抑制することができる。
【0132】
<第1実施形態の変形例>
以下、第1実施形態の変形例について説明する。上述した第1実施形態では、各車両Mに搭載された案内装置100と、サーバ装置200とが互いに異なる装置であるものとして説明したがこれに限られず、案内装置100の構成要素の一部または全部が、サーバ装置200に含まれていてもよいし、サーバ装置200の構成要素の一部または全部が案内装置100に含まれていてもよい。例えば、サーバ装置200は、案内装置100の制御部130の構成要素であってよい。すなわち、サーバ装置200は、案内装置100の制御部130によって仮想的に実現される仮想マシンであってもよい。
【0133】
図16は、第1実施形態に係る案内装置100の他の例を示す図である。図16に示すように、案内装置100の制御部130は、上述した取得部132、経路決定部134、プロファイル生成部136、感情推定部138、出力制御部140、および通信制御部142に加えて、更に、特徴量抽出部234と、予測部236と、案内情報生成部238と、学習部242とを備えてよい。
【0134】
また、案内装置100の記憶部120には、地図データ122に加えて、更に予測モデルデータ212が格納されてよい。
【0135】
このような構成によって、案内装置100単体で、所定の事象が発生するか否かを予測できるため、車両Mの乗員に予期せぬ出来事が発生し得ることを案内することができる。
【0136】
また、上述した第1実施形態では、予測モデルMDLによって出力された所定の事象の生起確率が閾値TH以上である場合に、乗員に注意喚起を促したり、経路変更を促したりする案内情報を出力するものとして説明したがこれに限られない。例えば、サーバ装置200は、予測モデルMDLによって出力された所定の事象の生起確率が閾値TH未満であっても、案内情報を案内装置100に送信してもよい。これによって、例えば、多くの乗員が焦りや苛立ちを感じやすく、車間距離が詰められやすいような傾向を有する経路を自車両Mが走行しているときに、自車両Mの乗員が冷静沈着に運転している状況下であっても、周囲の他車両の乗員によって所定の事象が引き起こされる蓋然性が高いことを、自車両Mの乗員に知らせることができる。
【0137】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態では、ディープニューラルネットワークや、ロジスティック回帰、SVMといった学習された予測モデルMDLを利用して、所定の事象の発生有無を予測するものとして説明した。これに対して、第2実施形態では、所定の事象を発生させた車両Mの運転データおよびプロファイルデータから抽出された特徴量と、過去に所定の事象が発生した地点を通過する予定の車両Mの運転データおよびプロファイルデータから抽出された特徴量との類似度を計算し、その計算した類似度に応じて、所定の事象の発生有無を予測する点で上述した第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と共通する点については説明を省略する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同じ部分については同一符号を付して説明する。
【0138】
第2実施形態に係るサーバ装置200の予測部236は、所定の事象を発生させた車両Mの運転データおよびプロファイルデータから抽出された特徴量と、過去に所定の事象が発生した地点を通過する予定の車両Mの運転データおよびプロファイルデータから抽出された特徴量との類似度を計算する。
【0139】
例えば、予測部236は、2つの特徴量をベクトルと見做し、あるベクトル空間において、それら2つのベクトルの内積に基づいて類似度を算出する。具体的には、予測部236は、2つの特徴量のベクトルのコサイン類似度を求め、そのコサイン類似度が大きいほど生起確率を大きくし、コサイン類似度が小さいほど生起確率を小さくしてよい。このような類似度計算によって、ディープニューラルネットワークや、ロジスティック回帰、SVMといったモデルの学習を省略することができ、より簡素な構成で所定の事象の発生有無を予測することができる。
【0140】
<第3実施形態>
以下、第3実施形態について説明する。上述した第1実施形態または第2実施形態では、所定の事象が発生することを予測すると、乗員に注意喚起を行ったり、感情の転換を促したり、経路変更を促したり、或いは、自車両Mが進行予定の目的地までの経路を、所定の事象の発生地点が少ない、或いは所定の事象の生起確率が小さい経路へと経路変更したりするものとして説明した。これに対して、第3実施形態では、所定の事象が発生することを予測すると、車両Mを自動運転して、所定の事象の発生地点が少ない、或いは所定の事象の生起確率が小さい経路へと移動させる点で上述した第1実施形態および第2実施形態と相違する。以下、第1実施形態または第2実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態または第2実施形態と共通する点については説明を省略する。なお、第3実施形態の説明において、第1実施形態および第2実施形態と同じ部分については同一符号を付して説明する。
【0141】
図17は、第3実施形態に係る案内装置100を含む車両システム2の構成図である。車両システム2は、例えば、案内装置100と、カメラ310と、レーダ装置312と、ファインダ314と、物体認識装置316と、MPU(Map Positioning Unit)360と、運転操作子380と、自動運転制御装置400と、走行駆動力出力装置500と、ブレーキ装置510と、ステアリング装置520とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、図17に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0142】
カメラ310は、例えば、CCDやCMOS等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ310は、車両システム2が搭載される自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ310は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ310は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ310は、ステレオカメラであってもよい。
【0143】
レーダ装置312は、自車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置312は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置312は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
【0144】
ファインダ314は、LIDAR(Light Detection and Ranging)である。ファインダ314は、自車両Mの周辺に光を照射し、散乱光を測定する。ファインダ314は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。ファインダ314は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。
【0145】
物体認識装置316は、カメラ310、レーダ装置312、およびファインダ314のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置316は、認識結果を自動運転制御装置400に出力する。物体認識装置316は、カメラ310、レーダ装置312、およびファインダ314の検出結果をそのまま自動運転制御装置400に出力してよい。車両システム2から物体認識装置316が省略されてもよい。
【0146】
MPU360は、例えば、推奨車線決定部361を含み、HDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に高精度地図データ362を保持している。推奨車線決定部361は、案内装置100によって決定された目的地までの経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、高精度地図データ362を参照してブロックごとに、車両Mが走行すべき推奨車線を決定する。推奨車線決定部361は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。
【0147】
高精度地図データ362は、地図データ122よりも高精度な地図データである。高精度地図データ362は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。また、高精度地図データ362には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報などが含まれてよい。高精度地図データ362は、通信装置20が他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。
【0148】
運転操作子380は、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイール、異形ステア、ジョイスティックその他の操作子を含む。運転操作子380には、操作子に対する操作の有無を検出したり、操作子がどの程度操作されたのかを操作量として検出したりするセンサが設けられる。センサは、操作の有無や操作量を検出すると、その検出結果を示すデータを、自動運転制御装置400に出力したり、走行駆動力出力装置500、ブレーキ装置510、およびステアリング装置520に出力したりする。
【0149】
自動運転制御装置400は、例えば、第1制御部420と、第2制御部460と、記憶部480とを備える。第1制御部420および第2制御部460のそれぞれは、例えば、CPUやGPUなどのプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGAなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め記憶部480のHDDやフラッシュメモリなどに格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、その記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶部480にインストールされてもよい。自動運転制御装置400は、「運転制御部」の一例である。
【0150】
記憶部480は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM、またはRAMなどにより実現される。記憶部480は、例えば、プロセッサによって読み出されて実行されるプログラムなどを格納する。
【0151】
第1制御部420は、例えば、認識部430と、行動計画生成部440とを備える。第1制御部420は、例えば、AI(Artificial Intelligence)による機能と、予め与えられたモデルによる機能とを並行して実現する。例えば、「交差点を認識する」機能は、ディープラーニング等による交差点の認識と、予め与えられた条件(パターンマッチング可能な信号、道路標示などがある)に基づく認識とが並行して実行され、双方に対してスコア付けして総合的に評価することで実現されてよい。これによって、自動運転の信頼性が担保される。
【0152】
認識部430は、カメラ310、レーダ装置312、およびファインダ314から物体認識装置316を介して入力された情報、すなわち、センサフュージョンされた検出結果に基づいて、自車両Mの周辺状況を認識する。例えば、認識部430は、周辺状況として、自車両Mの周辺に存在する物体の位置や、速度、加速度などの状態を認識する。周辺状況として認識される物体には、例えば、歩行者や他車両といった移動体や、工事用具などの静止体が含まれる。物体の位置は、例えば、自車両Mの代表点(重心や駆動軸中心など)を原点とした座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、空間的な広がりをもった領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、物体の加速度やジャーク、あるいは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。
【0153】
また、例えば、認識部430は、周辺状況として、自車両Mが走行している車線(以下、自車線と称する)や、自車線に隣接した隣接車線などを認識する。例えば、認識部430は、高精度地図データ362から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ310によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、自車線や隣接車線を認識する。なお、認識部430は、道路区画線に限らず、道路区画線や路肩、縁石、中央分離帯、ガードレールなどを含む走路境界(道路境界)を認識することで、自車線や隣接車線を認識してもよい。この認識において、案内装置100のGNSS受信機108によって特定された自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。また、認識部430は、歩道、停止線(一時停止線を含む)、障害物、赤信号、料金所、道路構造その他の道路事象を認識してもよい。
【0154】
認識部430は、自車線を認識する際に、自車線に対する自車両Mの相対的な位置や姿勢を認識する。認識部430は、例えば、車線中央に対する自車両Mの基準点の乖離、および自車両Mの進行方向を示すベクトルと車線中央を連ねた線とのなす角度を、自車線に対する自車両Mの相対位置および姿勢として認識してもよい。これに代えて、認識部430は、自車線のいずれかの側端部(道路区画線または道路境界)に対する自車両Mの基準点の位置などを、自車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。
【0155】
行動計画生成部440は、推奨車線が決定された経路において自動運転のイベントを決定する。自動運転とは、自車両Mの乗員による運転操作子380の操作に依らずに、自車両Mの操舵または速度のうち一方または双方を制御して自車両Mを走行させることである。これに対して、手動運転は、運転操作子380に対する乗員の操作に応じて自車両Mの操舵および速度が制御されることである。自動運転のイベントとは、上述した自動運転下において自車両Mがとるべき挙動の様、すなわち走行態様を規定した情報である。
【0156】
イベントには、例えば、自車両Mを一定の速度で同じ車線を走行させる定速走行イベント、自車両Mの前方の所定距離以内(例えば100[m]以内)に存在し、自車両Mに最も近い他車両(以下、前走車両と称する)に自車両Mを追従させる追従走行イベント、自車両Mを自車線から隣接車線へと車線変更させる車線変更イベント、道路の分岐地点で自車両Mを目的側の車線に分岐させる分岐イベント、合流地点で自車両Mを本線に合流させる合流イベント、自車両Mを一旦隣接車線に車線変更させて前走車両を隣接車線において追い越してから再び元の車線へと車線変更させる追い越しイベント、自車両Mの前方に存在する障害物を回避するために自車両Mに制動および操舵の少なくとも一方を行わせる回避イベント、自動運転を終了して手動運転に切り替えるためのテイクオーバーイベントなどが含まれてよい。「追従」とは、例えば、自車両Mと前走車両との相対距離(車間距離)を一定に維持させる走行態様であってもよいし、自車両Mと前走車両との相対距離を一定に維持させることに加えて、自車両Mを自車線の中央で走行させる走行態様であってもよい。
【0157】
行動計画生成部440は、自車両Mの走行時に認識部430により認識された周辺状況に応じて、現在の区間或いは次の区間に対して既に決定したイベントを他のイベントに変更したり、現在の区間或いは次の区間に対して新たなイベントを決定したりしてよい。
【0158】
行動計画生成部440は、原則的には推奨車線決定部361により決定された推奨車線を自車両Mが走行し、更に、自車両Mが推奨車線を走行する際に周辺状況に対応するため、イベントにより規定された走行態様で自車両Mを自動的に(運転者の操作に依らずに)走行させる将来の目標軌道を生成する。目標軌道には、例えば、将来の自車両Mの位置を定めた位置要素と、将来の自車両Mの速度や加速度等を定めた速度要素とが含まれる。
【0159】
例えば、行動計画生成部440は、自車両Mが順に到達すべき複数の地点(軌道点)を、目標軌道の位置要素として決定する。軌道点は、所定の走行距離(例えば数[m]程度)ごとの自車両Mの到達すべき地点である。所定の走行距離は、例えば、経路に沿って進んだときの道なり距離によって計算されてよい。
【0160】
また、行動計画生成部440は、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数秒程度)ごとの目標速度や目標加速度を、目標軌道の速度要素として決定する。また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における自車両Mの到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度は、サンプリング時間および軌道点の間隔によって決定される。行動計画生成部440は、生成した目標軌道を示す情報を、第2制御部460に出力する。
【0161】
第2制御部460は、行動計画生成部440によって生成された目標軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置500、ブレーキ装置510、およびステアリング装置520のうち一部または全部を制御する。すなわち、第2制御部460は、行動計画生成部440によって生成された目標軌道に基づいて自車両Mを自動運転させる。
【0162】
第2制御部460は、例えば、取得部462と、速度制御部464と、操舵制御部466とを備える。
【0163】
取得部462は、行動計画生成部440により生成された目標軌道(軌道点)の情報を取得し、記憶部480のメモリに記憶させる。
【0164】
速度制御部464は、メモリに記憶された目標軌道に含まれる速度要素(例えば目標速度や目標加速度等)に基づいて、走行駆動力出力装置500およびブレーキ装置510の一方または双方を制御する。
【0165】
操舵制御部466は、メモリに記憶された目標軌道に含まれる位置要素(例えば目標軌道の曲り具合を表す曲率等)に応じて、ステアリング装置520を制御する。
【0166】
速度制御部464および操舵制御部466の処理は、例えば、フィードフォワード制御とフィードバック制御との組み合わせにより実現される。一例として、操舵制御部466は、自車両Mの前方の道路の曲率に応じたフィードフォワード制御と、目標軌道に対する自車両Mの乖離に基づくフィードバック制御とを組み合わせて実行する。
【0167】
走行駆動力出力装置500は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置500は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するパワーECU(Electronic Control Unit)とを備える。パワーECUは、第2制御部460から入力される情報、或いは運転操作子380から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0168】
ブレーキ装置510は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、第2制御部460から入力される情報、或いは運転操作子380から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置510は、運転操作子380に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置510は、上記説明した構成に限らず、第2制御部460から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0169】
ステアリング装置520は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、第2制御部460から入力される情報、或いは運転操作子380から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0170】
[案内情報に基づく自動運転]
以下、案内情報に基づく自動運転についてフローチャートを用いて説明する。図18は、第3実施形態に係る車両システム2の一連の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、所定の周期で繰り返し行われてよい。
【0171】
まず、案内装置100は、サーバ装置200から経路変更を促す案内情報を受信するまで待機し(ステップS500)、サーバ装置200から経路変更を促す案内情報を受信すると、その案内情報に従って目的地までの経路を、所定の事象の発生地点が少ない、或いは所定の事象の生起確率が小さい経路へと変更する(ステップS502)。
【0172】
次に、MPU360は、案内装置100によって変更された経路に含まれる一以上の車線の中から、推奨車線を決定する(ステップS504)。
【0173】
次に、行動計画生成部440は、推奨車線が決定された変更後の経路において自動運転のイベントを決定し(ステップS506)、決定したイベントに応じて目標軌道を生成する(ステップS508)。
【0174】
次に、第2制御部460は、S508の処理で行動計画生成部440によって生成された目標軌道に基づいて、走行駆動力出力装置500、ブレーキ装置510、およびステアリング装置520を制御することで、現在の経路から、所定の事象の発生地点が少ない、或いは所定の事象の生起確率が小さい経路に自車両Mを移動させる(ステップS510)。これによって、本フローチャートの処理が終了する。
【0175】
以上説明した第3実施形態によれば、サーバ装置200によって経路変更を促す案内情報が生成されると、自動運転制御装置400が、変更を促された経路へと自車両Mを自動運転によって移動させるため、不測の事態が発生しにくい、より適切な経路へと車両Mを誘導することができる。
【0176】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
第1移動体に設けられ、前記第1移動体の室内に情報を出力する出力装置と、
プログラムを記憶したストレージと、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサが前記プログラムを実行することにより、
移動体の乗員の感情に少なくとも起因して発生した所定の事象の発生位置を示す位置情報を取得し、
前記第1移動体の位置を示す位置情報を取得し、
前記所定の事象の発生位置を示す位置情報と、前記第1移動体の位置を示す位置情報とに基づいて、前記第1移動体に前記所定の事象が発生する可能性があることを前記第1移動体の乗員に案内する案内情報を、前記出力部に出力させる、
ように構成されている、車両制御装置。
【0177】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0178】
1…案内システム、2…車両システム、100…案内装置、102…車内カメラ、104…マイクロフォン、106…車両センサ、108…GNSS受信機、110…HMI、112…通信部、120…記憶部、122…地図データ、130…制御部、132…取得部、134…経路決定部、136…プロファイル生成部、138…感情推定部、140…出力制御部、142…通信制御部、200…サーバ装置、202…通信部、210…記憶部、212…予測モデルデータ、230…制御部、232…取得部、234…特徴量抽出部、236…予測部、238…案内情報生成部、240…通信制御部、242…学習部、310…カメラ、312…レーダ装置、314…ファインダ、316…物体認識装置、360…MPU、380…運転操作子、400…自動運転制御装置、420…第1制御部、430…認識部、440…行動計画生成部、460…第2制御部、462…取得部、464…速度制御部、466…操舵制御部、480…記憶部、500…走行駆動力出力装置、510…ブレーキ装置、520…ステアリング装置
図1
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図18