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特許7195162防音壁付き静止誘導機器の搬送構造および防音壁付き静止誘導機器の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】防音壁付き静止誘導機器の搬送構造および防音壁付き静止誘導機器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/00 20060101AFI20221216BHJP
   H01F 27/33 20060101ALI20221216BHJP
   H01F 27/02 20060101ALI20221216BHJP
   H01F 27/04 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
H01F27/00 120
H01F27/33
H01F27/02 D
H01F27/04 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019008670
(22)【出願日】2019-01-22
(65)【公開番号】P2020119959
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】外池 恵大
(72)【発明者】
【氏名】山本 悠
(72)【発明者】
【氏名】杉本 正文
(72)【発明者】
【氏名】中島 陽一
【審査官】古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-021421(JP,U)
【文献】実開昭63-095216(JP,U)
【文献】実開昭54-134216(JP,U)
【文献】実公昭51-006646(JP,Y1)
【文献】特開2020-119960(JP,A)
【文献】実開昭57-117630(JP,U)
【文献】実開昭51-099120(JP,U)
【文献】実開昭60-151111(JP,U)
【文献】特開平07-161549(JP,A)
【文献】特開昭50-001320(JP,A)
【文献】特開昭51-012625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/00-27/06
H01F 27/33-27/42
H01F 30/00-38/12
H01F 38/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止誘導機器と、
前記静止誘導機器が設置された土台と、
前記静止誘導機器に固定された第1搬送用支持部材と、
前記第1搬送用支持部材との間に前記静止誘導機器が位置するように前記静止誘導機器に固定された第2搬送用支持部材と、
前記静止誘導機器の周囲および上方を覆う防音壁とを備え、
前記静止誘導機器は、静止誘導機器本体を収容するタンクを含み、
前記タンクには、前記タンクの外側に突出した1対の第1吊手、および、該1対の第1吊手とは前記タンクの反対側の位置にて前記1対の第1吊手とは反対側に突出した1対の第2吊手が設けられており、
前記第1搬送用支持部材は、前記1対の第1吊手の各々の下面に接した状態で前記1対の第1吊手の各々に固定されており、
前記第2搬送用支持部材は、前記1対の第2吊手の各々の下面に接した状態で前記1対の第2吊手の各々に固定されており、
前記防音壁の1対の側壁部の各々には、補強部材、第1孔部および第2孔部が設けられており、
前記補強部材は、前記第1孔部から前記防音壁の外側に突出した前記第1搬送用支持部材の上面に接した状態で前記第1搬送用支持部材と固定されているとともに、前記第2孔部から前記防音壁の外側に突出した前記第2搬送用支持部材の上面に接した状態で前記第2搬送用支持部材と固定されている、防音壁付き静止誘導機器の搬送構造。
【請求項2】
前記防音壁の下側端面が、前記土台の下面より上方に位置している、請求項1に記載の防音壁付き静止誘導機器の搬送構造。
【請求項3】
前記タンクの上面から、前記静止誘導機器本体と電気的に接続されたブッシングが斜め上方に突出しており、
前記防音壁の天井部には、前記ブッシングが挿通される開口部が設けられており、
前記開口部と前記ブッシングとの間には、隙間が形成されており、
前記隙間は、前記防音壁の前記ブッシングに対する変位に対応して設けられている、請求項1または請求項2に記載の防音壁付き静止誘導機器の搬送構造。
【請求項4】
前記タンクおよび前記防音壁の各々に着脱可能に取り付けられ、前記タンクと前記防音壁とを互いに固定する固定部材をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の防音壁付き静止誘導機器の搬送構造。
【請求項5】
前記補強部材は、C形鋼またはL形鋼で構成されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の防音壁付き静止誘導機器の搬送構造。
【請求項6】
静止誘導機器を土台に設置する工程と、
前記静止誘導機器に第1搬送用支持部材および第2搬送用支持部材を固定する工程と、
前記第1搬送用支持部材および前記第2搬送用支持部材の各々に支持されるように、前記静止誘導機器の周囲および上方を覆う防音壁を組み立てる工程と、
前記土台に設置された状態の前記静止誘導機器、および、前記第1搬送用支持部材および前記第2搬送用支持部材の各々に支持された状態の前記防音壁を、一体で搬送する工程と、
前記第1搬送用支持部材および前記第2搬送用支持部材を前記静止誘導機器から取り外す工程と、
前記第1搬送用支持部材および前記第2搬送用支持部材の各々による前記防音壁の支持を解除する工程とを備え、
前記防音壁を組み立てる工程においては、前記防音壁に設けられた第1孔部および第2孔部からそれぞれ前記第1搬送用支持部材および前記第2搬送用支持部材が前記防音壁の外側に突出するように、前記防音壁を組み立てる、防音壁付き静止誘導機器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防音壁付き静止誘導機器の搬送構造、防音壁付き静止誘導機器およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防音壁付き静止誘導機器の搬送構造を開示した先行文献として、実開昭54-134216号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された防音壁付き静止誘導機器の搬送構造は、変圧器本体と、ベースと、支持金具と、ガイド片と、防音壁とを備えている。変圧器本体は、ベース上に装着されている。ベースは、変圧器本体の互いに平行する両側壁から外方に延びている。支持金具は、上下に平行な2片を有している。支持金具は、ベースの少なくとも4個所の端部に、支持金具の一方端下片を着脱可能にそれぞれ添設されている。支持金具の他方端は、ベースと平行に外方に延出されている。ガイド片は、支持金具の他方端上片に直立して一体に設けられている。ガイド片は、変圧器本体の側壁に向かって側縁が円弧状に傾斜している。防音壁は、下方を開口した函状であり、変圧器本体の外周を覆っている。防音壁がガイド片により支持金具上に案内されて、載置された状態の変圧器本体が、搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭54-134216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の防音壁付き静止誘導機器の搬送構造においては、変圧器本体の下方に配置されたベースに支持金具が設けられているため、支持金具の下方の空間に、防音壁付き静止誘導機器を一体として支持するための器具を配置することができず、クレーンを用いて防音壁付き静止誘導機器を支持しなければならなかった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、搬送用支持部材の下方に、防音壁付き静止誘導機器を一体として下方から支持するための器具を配置可能な空間を確保することができる、防音壁付き静止誘導機器の搬送構造、防音壁付き静止誘導機器およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく防音壁付き静止誘導機器の搬送構造は、静止誘導機器と、土台と、第1搬送用支持部材と、第2搬送用支持部材と、防音壁とを備えている。土台には、静止誘導機器が設置されている。第1搬送用支持部材は、静止誘導機器に固定されている。第2搬送用支持部材は、第1搬送用支持部材との間に静止誘導機器が位置するように静止誘導機器に固定されている。防音壁は、静止誘導機器の周囲および上方を覆っている。静止誘導機器は、静止誘導機器本体を収容するタンクを含んでいる。タンクには、1対の第1吊手、および、1対の第2吊手が設けられている。1対の第1吊手は、タンクの外側に突出している。1対の第2吊手は、1対の第1吊手とはタンクの反対側の位置にて1対の第1吊手とは反対側に突出している。第1搬送用支持部材は、1対の第1吊手の各々の下面に接した状態で1対の第1吊手の各々に固定されている。第2搬送用支持部材は、1対の第2吊手の各々の下面に接した状態で1対の第2吊手の各々に固定されている。防音壁の1対の側壁部の各々には、補強部材、第1孔部および第2孔部が設けられている。補強部材は、第1孔部から防音壁の外側に突出した第1搬送用支持部材の上面に接した状態で第1搬送用支持部材と固定されている。補強部材は、第2孔部から防音壁の外側に突出した第2搬送用支持部材の上面に接した状態で第2搬送用支持部材と固定されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送用支持部材が静止誘導機器のタンクに設けられた吊手に固定されていることにより、搬送用支持部材の下方において、防音壁付き静止誘導機器を一体として下方から支持するための器具を配置可能な空間を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造の構成を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造の構成の一部を示す斜視図である。
図3図1に示す防音壁付き静止誘導機器の搬送構造を矢印III方向から見た正面図である。
図4図3に示す防音壁付き静止誘導機器の搬送構造を矢印IV方向から見た左側面図である。
図5】本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造を右側面から見たときの、第1吊手および第1搬送用支持部材の各々を拡大して示す図である。
図6図5に示す第1吊手および第1搬送用支持部材の各々を矢印VI方向から見た図である。
図7】本発明の一実施の形態の第1変形例に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造を右側面から見たときの、第1吊手および第1搬送用支持部材の各々を拡大して示す図である。
図8図7に示す第1吊手および第1搬送用支持部材の各々を矢印VIII方向から見た図である。
図9】本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造を右側面から見たときの、第1搬送用支持部材、防音壁および補強部材の各々の一部を拡大して示す図である。
図10図9に示す第1搬送用支持部材、防音壁および補強部材の各々の一部をX-X線矢印方向から見た断面図である。
図11】本発明の一実施の形態の第2変形例に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造を右側面から見たときの、第1搬送用支持部材、防音壁および補強部材の各々の一部を拡大して示す図である。
図12図11に示す搬送用支持部材、防音壁および補強部材の各々の一部をXII-XII線矢印方向から見た図である。
図13図4に示す防音壁付き静止誘導機器の搬送構造をXIII-XIII線矢印方向から見た断面図である。
図14図13に示す防音壁付き静止誘導機器の搬送構造の第2ブッシングおよび防音壁の各々の一部をXIV-XIV線矢印方向から見た断面図である。
図15】本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造において、防音壁の構成の詳細および固定部材を示した側面図である。
図16図15に示す防音壁付き静止誘導機器の搬送構造を、XVI-XVI線矢印方向から見た断面図である。
図17】本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器を示す正面図である。
図18】本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送路を示す平面図である。
図19】本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の製造方法において、組立ハウス内で土台が組み付けられた状態の静止誘導機器を示す正面図である。
図20】本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の製造方法において、組立ハウスから搬出された静止誘導機器に搬送用支持部材が取り付けられた状態を示す正面図である。
図21】本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の製造方法において、防音壁組付場所で静止誘導機器にブッシングが設けられた状態を示す図である。
図22】本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の製造方法において、設置場所にて、防音壁付き静止誘導機器の搬送構造の、搬送用支持部材と静止誘導機器との接続を解除した状態を示す図である。
図23】本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の製造方法において、防音壁を地面に載置させた後の状態の静止誘導機器および防音壁の各々を上方から見た断面図である。
図24図23に示す静止誘導機器および防音壁の各々について、第2ブッシングおよび防音壁の各々の一部をXXIV-XXIV線矢印方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造について図面を参照して説明する。以下の実施の形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。また、以下の実施の形態においては、静止誘導機器として変圧器について説明するが、静止誘導機器は、変圧器に限られず、リアクトルなどでもよい。
【0010】
図1は、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造の構成を示す斜視図である。図2は、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造の構成の一部を示す斜視図である。図3は、図1に示す防音壁付き静止誘導機器の搬送構造を矢印III方向から見た正面図である。図4は、図3に示す防音壁付き静止誘導機器の搬送構造を矢印IV方向から見た左側面図である。なお、図2においては、後述する防音壁を図示しておらず、図1および図2においては、静止誘導機器が有する、後述する第1係合部を図示していない。また、図1図3および図4においては、防音壁の一部の構成を簡略化して図示している。
【0011】
図1から図4に示すように、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100は、静止誘導機器110と、土台120と、第1搬送用支持部材130と、第2搬送用支持部材140と、防音壁150とを備えている。
【0012】
静止誘導機器110は、図示しない静止誘導機器本体を収容するタンク111を含んでいる。タンク111は、上部タンク111aと、上部タンク111aの下側に配置された下部タンク111bとを有している。上部タンク111aは、下方が開口した略直方体状の外形を有している。下部タンク111bは、上方が開口した略直方体状の外形を有している。下部タンク111bの上部に、図示しないフランジが設けられている。上部タンク111aは、下部タンク111bのフランジ上に載置されて固定されている。
【0013】
図1から図4に示すように、タンク111には、1対の第1吊手112、および、1対の第2吊手113が設けられている。1対の第1吊手112は、タンク111の外側に突出している。1対の第2吊手113は、1対の第1吊手112とはタンク111の反対側の位置にて1対の第1吊手112とは反対側に突出している。本実施の形態においては、1対の第1吊手112および1対の第2吊手113の各々は、下部タンク111bの側面およびフランジの下面に沿って延在している。
【0014】
図2に示すように、本実施の形態において、1対の第1吊手112の各々には貫通孔112aが設けられており、1対の第2吊手113の各々には、貫通孔113aが設けられている。貫通孔112a,113aにワイヤまたはフックを引っかけることにより、防音壁150が組み付けられていない状態の静止誘導機器110を、クレーンで吊り上げることが可能となる。
【0015】
図1から図4に示すように、本実施の形態において、1対の第1吊手112のうち一方側に位置する第1吊手112と、1対の第2吊手113のうち一方側に位置する第2吊手113とは、一体の部材で構成されている。1対の第1吊手112のうち他方側に位置する第1吊手112と、1対の第2吊手113のうち他方側に位置する第2吊手113とは、一体の部材で構成されている。なお、第1吊手112および第2吊手113の各々は、互いに異なる部材で構成されていてもよい。すなわち、4つの部材から、1対の第1吊手112および1対の第2吊手113が構成されていてもよい。
【0016】
図1から図4に示すように、静止誘導機器110においては、タンク111の上面114から、タンク111内において静止誘導機器本体と電気的に接続されたブッシング115が斜め上方に突出している。
【0017】
本実施の形態において、複数のブッシング115は、第1ブッシング115aと第2ブッシング115bとを有している。第1ブッシング115aは、タンク111の上面114から、斜め上方かつ静止誘導機器110の前方側に突出している。第2ブッシング115bは、タンク111の上面114から、斜め上方かつ静止誘導機器110の後方側に突出している。
【0018】
土台120には、静止誘導機器110が設置されている。土台120の下面は、静止誘導機器110を設置個所に設置した際に、地面に接している。土台120は、上下方向から見たときに、防音壁150と離間しつつ防音壁150の内側に位置している。
【0019】
図3に示すように、本実施の形態において、土台120は、前後方向から見て、上部タンク111aの両側面より内側に位置している。図4に示すように、本実施の形態において、土台120は、横方向から見て、タンク111の前方面および後方面の各々より、外側まで延在している。
【0020】
図1から図4に示すように、第1搬送用支持部材130は、静止誘導機器110に固定されている。図2に示すように、第1搬送用支持部材130は、1対の第1吊手112の各々の下面116に接した状態で1対の第1吊手112の各々に固定されている。
【0021】
本実施の形態において、第1搬送用支持部材130は、水平方向に延在している。第1搬送用支持部材130は、1対の第1吊手112の各々の突出方向と直交する方向に延在している。本実施の形態において、第1搬送用支持部材130は、形鋼であり、具体的にはH形鋼である。
【0022】
ここで、第1搬送用支持部材130と1対の第1吊手112の各々との接続構造について説明する。
【0023】
図5は、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造を右側面から見たときの、第1吊手および第1搬送用支持部材の各々を拡大して示す図である。図6は、図5に示す第1吊手および第1搬送用支持部材の各々を矢印VI方向から見た図である。
【0024】
図5および図6に示すように、本実施の形態においては、1対の第1吊手112の各々と第1搬送用支持部材130とは、2つの固定具132を介して互いに固定されている。図6に示すように、本実施の形態において、固定具132は、静止誘導機器110を正面側から見たときに、L字型の外形を有している。
【0025】
本実施の形態において、固定具132は、第1搬送用支持部材130の上面131と接するように、締結部材133によって第1搬送用支持部材130と着脱可能に互いに固定されている。締結部材133は、具体的には、第1搬送用支持部材130と固定具132とを貫通するボルト、および、このボルトの両端に取り付けられるナットで構成されている。
【0026】
本実施の形態において、固定具132は、第1吊手112の両側に配置されており、固定具132および第1吊手112は、締結部材134により互いに固定される。締結部材134は、具体的には、固定具132および第1吊手112の各々を貫通するボルト、および、このボルトの両端に取り付けられるナットで構成されている。
【0027】
固定具132および第1搬送用支持部材130の各々に、締結部材133,134のボルトを貫通させるための孔が複数設けられていてもよい。若しくは、固定具132および第1搬送用支持部材130の各々に、締結部材133,134のボルトを貫通させるための長孔が設けられていてもよい。これらの場合、第1吊手112と第1搬送用支持部材130との相対的な位置関係を容易に調整することができる。
【0028】
なお、第1搬送用支持部材130と1対の第1吊手112の各々との接続構造は、上記に限定されない。たとえば、固定具132と第1搬送用支持部材130とが溶接によって互いに接続されていてもよい。
【0029】
図7は、本発明の一実施の形態の第1変形例に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造を右側面から見たときの、第1吊手および第1搬送用支持部材の各々を拡大して示す図である。図8は、図7に示す第1吊手および第1搬送用支持部材の各々を矢印VIII方向から見た図である。
【0030】
図7および図8に示すように、本発明の一実施の形態の第1変形例に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造においては、固定具132の下面と第1搬送用支持部材130の上面131とが溶接部133mによって互いに接続されている。固定具132が第1搬送用支持部材130に予め溶接されて固定されていることにより、防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100の組立時間を短縮することができる。
【0031】
図1から図4に示すように、第2搬送用支持部材140は、第1搬送用支持部材130との間に静止誘導機器110が位置するように静止誘導機器110に固定されている。第2搬送用支持部材140は、1対の第2吊手113の各々の下面に接した状態で1対の第2吊手113の各々に固定されている。
【0032】
本実施の形態において、第2搬送用支持部材140は、水平方向に延在している。第2搬送用支持部材140は、1対の第2吊手113の各々の突出方向と直交する方向に延在している。本実施の形態において、第2搬送用支持部材140は、形鋼であり、具体的にはH型鋼である。
【0033】
本実施の形態においては、第2搬送用支持部材140と1対の第2吊手113の各々との接続構造は、第1搬送用支持部材130と1対の第1吊手112の各々との接続構造と同一である。
【0034】
図1図3および図4に示すように、防音壁150は、静止誘導機器110の周囲および上方を覆っている。防音壁150は、下方が開口した略直方体状の外形を有している。
【0035】
図3および図4に示すように、防音壁150の下側端面155は、土台120の下面121より上方に位置している。防音壁150の下側端面155は、土台120の上面より下方に位置している。
【0036】
図1および図4に示すように、防音壁150の1対の側壁部151の各々には、補強部材152、第1孔部153および第2孔部154が設けられている。本実施の形態において、第1孔部153および第2孔部154の各々は、水平方向に並ぶように配置されている。
【0037】
補強部材152は、第1孔部153および第2孔部154の各々の上端部と補強部材152の下面とが高さ方向において略同一となるように、配置されている。本実施の形態において、補強部材152は、静止誘導機器110の前後方向に延在するように配置されている。
【0038】
図1図3および図4に示すように、本実施の形態において、補強部材152は形鋼で構成されている。本実施の形態において、補強部材152は、C形鋼で構成されている。補強部材152は、L形鋼で構成されていてもよい。なお、補強部材152は、形鋼とは異なる部材で構成されていてもよい。
【0039】
補強部材152は、防音壁150の側壁部151に接した状態で、側壁部151に固定されている。本実施の形態において、補強部材152と側壁部151とは、溶接されることで互いに固定されている。ただし、補強部材152と側壁部151とは、締結部材により締結されることで互いに固定されていてもよい。
【0040】
図1図3および図4に示すように、補強部材152は、第1孔部153から防音壁150の外側に突出した第1搬送用支持部材130の上面131に接した状態で第1搬送用支持部材130と固定されている。
【0041】
図9は、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造を右側面から見たときの、第1搬送用支持部材、防音壁および補強部材の各々の一部を拡大して示す図である。図10は、図9に示す第1搬送用支持部材、防音壁および補強部材の各々の一部をX-X線矢印方向から見た断面図である。
【0042】
図9および図10に示すように、本実施の形態においては、第1搬送用支持部材130と防音壁150の側壁部151とは、補強部材152を介して互いに固定されている。補強部材152は、締結部材135によって第1搬送用支持部材130と着脱可能に互いに固定されている。締結部材135は、具体的には、第1搬送用支持部材130と補強部材152とを貫通するボルト、および、このボルトの両端に取り付けられるナットで構成されている。
【0043】
なお、補強部材152は、第1孔部153と第2孔部154の各々に対応するように互いに分離した2つの補強部材で構成されていてもよい。
【0044】
図11は、本発明の一実施の形態の第2変形例に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造を右側面から見たときの、第1搬送用支持部材、防音壁および補強部材の各々の一部を拡大して示す図である。図12は、図11に示す搬送用支持部材、防音壁および補強部材の各々の一部をXII-XII線矢印方向から見た図である。
【0045】
図11に示すように、本発明の一実施の形態の第2変形例においては、補強部材152mは、第1搬送用支持部材130のみに固定されている。補強部材152とは別の補強部材が、第2搬送用支持部材140に固定されている。図12に示すように、側壁部151の表面に沿う方向から見たときに、補強部材152mがL字型の外形を有している。上記の構成により、補強部材152mの重量を低減することができ、防音壁150を軽量化することができる。
【0046】
図1図3および図4に示すように、本実施の形態においては、補強部材152は、第2孔部154から防音壁150の外側に突出した第2搬送用支持部材140の上面141に接した状態で第2搬送用支持部材140と固定されている。
【0047】
本実施の形態においては、第2搬送用支持部材140と防音壁150の側壁部151との接続構造は、補強部材152を介した第1搬送用支持部材130と防音壁150の側壁部151との接続構造と同一である。
【0048】
次に、防音壁150の天井部について説明する。図13は、図4に示す防音壁付き静止誘導機器の搬送構造をXIII-XIII線矢印方向から見た断面図である。図14は、図13に示す防音壁付き静止誘導機器の搬送構造の第2ブッシングおよび防音壁の各々の一部をXIV-XIV線矢印方向から見た断面図である。
【0049】
図13および図14に示すように、防音壁150の天井部156には、ブッシング115が挿通される開口部157が設けられている。開口部157とブッシング115との間には、隙間158が形成されている。隙間158は、防音壁150のブッシング115に対する変位に対応して設けられている。
【0050】
防音壁150の天井部156には、第1ブッシング115aおよび第2ブッシング115bがそれぞれ挿通される第1開口部157aおよび第2開口部157bが設けられている。第1開口部157aと第1ブッシング115aとの間には、第1の隙間158aが形成されており、第2開口部157bと第2ブッシング115bとの間には、第2の隙間158bが設けられている。第1の隙間158aは、防音壁150の第1ブッシング115aに対する変位に対応して設けられており、第2の隙間158bは、防音壁150の第2ブッシング115bに対する変位に対応して設けられている。
【0051】
次に、防音壁150の構成の詳細について説明する。図15は、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造において、防音壁の構成の詳細および固定部材を示した側面図である。図16は、図15に示す防音壁付き静止誘導機器の搬送構造を、XVI-XVI線矢印方向から見た断面図である。
【0052】
図15および図16に示すように、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100においては、防音壁150は複数のパネル150pで構成されている。防音壁150の側壁部151においては、防音壁150に直交する方向から見たときに、複数のパネル150pの各々は、略正方形状の外形を有している。
【0053】
図15および図16に示すように、本実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100は、固定部材160をさらに備えている。固定部材160は、タンク111および防音壁150の各々に着脱可能に取り付けられ、タンク111と防音壁150とを互いに固定している。
【0054】
本実施の形態においては、タンク111の上面114の横方向両端部に、第1係合部161が設けられている。また、1対の側壁部151の各々を構成する複数のパネル150pのうち任意のパネル150pの下端部に、第2係合部162が設けられている。固定部材160の一方の端部は、第1係合部161と着脱可能に係合しており、固定部材160の他方の端部は、第2係合部162と着脱可能に係合している。本実施の形態においては、固定部材160はロープで構成されている。
【0055】
以下、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器について説明する。本実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器は、本実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100が、搬送後に搬送構造を解除されたものである。
【0056】
本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器においては、搬送用支持部材を備えておらず、かつ、静止誘導機器および土台の各々と、防音壁との相対的な位置が異なる点で、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100と異なる。このため、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0057】
図17は、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器を示す正面図である。図17に示すように、防音壁付き静止誘導機器200は、静止誘導機器110と、土台120と、防音壁150とを備えている。
【0058】
防音壁150の1対の側壁部151の各々には、1対の第1吊手112および1対の第2吊手113の各々の突出方向に平行に延在する補強部材152が設けられている。1対の第1吊手112および1対の第2吊手113の各々の下面116は、補強部材152の下面159より上方に位置している。補強部材152の長さは、第1吊手112と第2吊手113との間の最短間隔より長い。
【0059】
防音壁150の下側端面155は、土台120の下面121と同一平面上に位置している。すなわち、防音壁150の下側端面155は、地面に接している。防音壁150の側壁部151には、孔部は設けられていない。すなわち、第1孔部153および第2孔部154の各々は、パネル150pによって塞がれている。
【0060】
ここで、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器200の製造方法について説明する。本実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器200は、静止誘導機器110に土台120、防音壁150、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140を取り付けて防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100を組立て、これを搬送した後、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140を取りはずし、かつ、防音壁150を地面に載置することにより製造される。
【0061】
図18は、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送路を示す平面図である。図18に示すように、本実施の形態における搬送路10には、組立ハウス11と、防音壁組付場所12と、設置場所13とが設けられている。組立ハウス11の内部から防音壁組付場所12に向かって、1対の第1スライドレール14が延在するように設置されている。1対の第1スライドレール14は、互いに平行に配置されている。設置場所13の内側から防音壁組付場所12に向かって、1対の第2スライドレール15が延在するように配置されている。1対の第2スライドレール15は、互いに平行に配置されている。防音壁組付場所12は、組立ハウス11と設置場所13との間の中間位置に配置されている。
【0062】
図19は、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の製造方法において、組立ハウス内で土台が組み付けられた状態の静止誘導機器を示す正面図である。図19に示すように、本実施の形態においては、組立ハウス11内で、静止誘導機器110を組み立てるとともに、静止誘導機器110を土台120に設置する。ただし、本実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器200の製造方法においては、組立ハウス11内では、ブッシング115を静止誘導機器110に取り付けない。
【0063】
次に、組立ハウス11内で組み立てられた静止誘導機器110を、土台120に据え付けた状態で、ジャッキなどを用いて、図18に示した第1スライドレール14上に配置する。そして、第1スライドレール14上に配置された静止誘導機器110および土台120を、第1スライドレール14上にて移動させることにより、組立ハウス11の内部から外部へ搬出する。
【0064】
図20は、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の製造方法において、組立ハウスから搬出された静止誘導機器に搬送用支持部材が取り付けられた状態を示す正面図である。図20に示すように、本実施の形態においては、組立ハウス11の外部へ搬出されて第1スライドレール14上に位置する静止誘導機器110に、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140を固定する。
【0065】
次に、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140が取り付けられた静止誘導機器110および土台120を、第1スライドレール14上から、図18に示す予め準備されたコロ16上に配置する。本実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器200の製造方法においては、コロ16と土台120との間に腰下木材が配置される。
【0066】
このとき、第1スライドレール14上の静止誘導機器110を、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々の下に配置したジャッキによって上昇させる。ジャッキで上昇させた静止誘導機器110の下方に、コロ16および腰下木材の各々が配置される。ジャッキで上昇させた静止誘導機器110を下降させることにより、静止誘導機器110を腰下木材上に載置する。
【0067】
次に、コロ16上の腰下木材に載置された静止誘導機器110を、ウィンチ車などで牽引することによりコロ16上で搬送する。図18に示した防音壁組付場所12まで搬送した静止誘導機器110を、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々の下に配置したジャッキで上昇させる。防音壁組付場所12で上昇させた静止誘導機器110の下方から、コロ16および腰下木材を引き抜く。コロ16および腰下木材を引き抜いた後、静止誘導機器110を下降させる。これにより、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々が設けられた静止誘導機器110が、防音壁組付場所12に配置される。
【0068】
図21は、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の製造方法において、防音壁組付場所で静止誘導機器にブッシングが設けられた状態を示す図である。図21に示すように、本実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器200の製造方法においては、防音壁組付場所12で、静止誘導機器110にブッシング115を取り付ける。
【0069】
防音壁組付場所12において、ブッシング115が設けられた静止誘導機器110に、防音壁150をさらに取り付ける。このとき、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々に支持されるように、静止誘導機器110の周囲および上方を覆う防音壁150を組み立てる。
【0070】
上記の工程により、図1図3および図4に示す防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100が製造される。
【0071】
そして、防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100を、図18に示した防音壁組付場所12から、設置場所13まで搬送する。このとき、本実施の形態における製造方法においては、土台120に設置された状態の静止誘導機器110、および、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々に支持された状態の防音壁150を、一体で搬送する。
【0072】
このとき、防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100を、防音壁組付場所12において、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々の下に配置したジャッキによって上昇させる。上昇させた土台120の下方に、図18に示すコロ17およびコロ17上に位置する図示しない腰下木材を配置する。上昇させた防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100を下降させることにより、防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100を、腰下木材上に載置する。
【0073】
コロ17上の腰下木材に載置された防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100を、コロ17上においてウィンチ車などで牽引することによりコロ上で搬送する。図18に示した第2スライドレール15まで搬送した防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100を、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々の下に配置したジャッキで上昇させる。第2スライドレール15で上昇させた静止誘導機器110の下方から、コロ17および腰下木材を引き抜く。コロ17および腰下木材を引き抜いた後、防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100を下降させる。これにより、防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100が、第2スライドレール15に配置される。
【0074】
図18に示した第2スライドレール15上に配置された防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100を、第2スライドレール15にて移動させて、設置場所13に搬入する。設置場所13において、防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100が解除される。
【0075】
図22は、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の製造方法において、設置場所にて、防音壁付き静止誘導機器の搬送構造の、搬送用支持部材と静止誘導機器との接続を解除した状態を示す図である。
【0076】
図22に示すように、本実施の形態における製造方法においては、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140を静止誘導機器110から取り外す。防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100において、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々と静止誘導機器110との接続を解除した場合、第1搬送用支持部材130、第2搬送用支持部材140、および、これらの各々と接続された防音壁150が、静止誘導機器110に対して下方に移動する。その結果、防音壁150の下側端面155の位置は、土台120の下面121の位置と水平方向において略同一となる。
【0077】
上記接続を解除する際には、まず、防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100を、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々の下側に配置されたジャッキで上昇させる。次に、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々と、静止誘導機器110との接続を解除する。そして、上昇させていた第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140を下降させることにより、静止誘導機器110が設置された土台120を地面に載置する。そして、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々をさらに下降させることにより、第1搬送用支持部材130と1対の第1吊手112の各々とを離間させるとともに、第2搬送用支持部材140と1対の第2吊手113の各々とを離間させ、防音壁150を地面に載置する。
【0078】
図23は、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の製造方法において、防音壁を地面に載置させた後の状態の静止誘導機器および防音壁の各々を上方から見た断面図である。図24は、図23に示す静止誘導機器および防音壁の各々について、第2ブッシングおよび防音壁の各々の一部をXXIV-XXIV線矢印方向から見た断面図である。なお、図24に示す静止誘導機器110および防音壁150の各々の断面図、すなわち、第2ブッシング115bおよび防音壁150の各々の断面図は、図14に示す第2ブッシング115bおよび防音壁150の各々の断面図と同一の断面視にて図示している。なお、図24においては、防音壁150がブッシング115に対して変位する前の位置を点線で示している。
【0079】
図23および図24に示すように、土台120を地面に載置させてから、防音壁150を地面に載置させるまでの間において、ブッシング115が防音壁150の天井部156と干渉しないように、隙間158が設けられている。このように、隙間158は、防音壁150のブッシング115に対する変位に対応して設けられている。
【0080】
次に、地面に載置された防音壁150と、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々との接続を解除する。すなわち、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々による防音壁150の支持を解除する。
【0081】
また、固定部材160を、取り除くことで、タンク111と防音壁150との固定を解除する。第1孔部153および第2孔部154の各々をパネル150pによって塞ぐことにより、防音壁150の側壁部151に孔部が形成されていないようにする。上記の工程により、防音壁付き静止誘導機器200が製造される。
【0082】
上記のように、本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100においては、第1搬送用支持部材130は、静止誘導機器110に固定されている。第2搬送用支持部材140は、第1搬送用支持部材130との間に静止誘導機器110が位置するように静止誘導機器110に固定されている。静止誘導機器110は、静止誘導機器本体を収容するタンク111を含んでいる。タンク111には、1対の第1吊手112、および、1対の第2吊手113が設けられている。1対の第1吊手112は、タンク111の外側に突出している。1対の第2吊手113は、1対の第1吊手112とはタンク111の反対側の位置にて1対の第1吊手112とは反対側に突出している。第1搬送用支持部材130は、1対の第1吊手112の各々の下面に接した状態で1対の第1吊手112の各々に固定されている。第2搬送用支持部材140は、1対の第2吊手113の各々の下面に接した状態で1対の第2吊手113の各々に固定されている。防音壁150の1対の側壁部151の各々には、補強部材152、第1孔部153および第2孔部154が設けられている。補強部材152は、第1孔部153から防音壁150の外側に突出した第1搬送用支持部材130の上面131に接した状態で第1搬送用支持部材130と固定されている。補強部材152は、第2孔部154から防音壁150の外側に突出した第2搬送用支持部材140の上面141に接した状態で第2搬送用支持部材140と固定されている。
【0083】
これにより、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々の下方において、防音壁150と静止誘導機器110とを一体として下方から支持するための器具を配置可能な空間を確保することができる。
【0084】
本実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100においては、防音壁150の下側端面155が、土台120の下面121より上方に位置している。
【0085】
これにより、防音壁150と静止誘導機器110とを一体として下方から上昇させた後、下降させる際に、防音壁150が地面に接触する前に土台120を地面に載置させることとができる。ひいては、防音壁150の損傷を抑制することができる。
【0086】
本実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100においては、防音壁150の天井部156には、ブッシング115が挿通される開口部157が設けられている。開口部157とブッシング115との間には、隙間158が形成されている。隙間158は、防音壁150のブッシング115に対する変位に対応して設けられている。
【0087】
これにより、防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100において、防音壁150と静止誘導機器110と接続を解除して、静止誘導機器110に対して防音壁150を下方に変位した際、ブッシング115と防音壁150とが互いに接触することを抑制することができる。
【0088】
本実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100は、固定部材160をさらに備えている。固定部材160は、タンク111および防音壁150の各々に着脱可能に取り付けられ、タンク111と防音壁150とを互いに固定している。
【0089】
これにより、搬送時において静止誘導機器110に対する防音壁150の変位を抑制することができ、ひいては、搬送時においてブッシング115と防音壁150とが互いに接触することを抑制することができる。
【0090】
本実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100においては、補強部材152は、C形鋼またはL形鋼で構成されている。
【0091】
これにより、補強部材152と防音壁150とが互いに面で接触した状態で固定されるため、補強部材152によって第1孔部153および第2孔部154の各々の周辺部分の剛性を高めることができる。このため、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々から補強部材152を介して上記周辺部分に作用する応力によって、上記周辺部分が変形することを抑制することができる。
【0092】
本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器200は、静止誘導機器110と、土台120と、防音壁150とを備えている。土台120には、静止誘導機器110が設置されている。防音壁150は、静止誘導機器110および土台120の各々の周囲並びに静止誘導機器110の上方を覆っている。静止誘導機器110は、静止誘導機器本体を収容するタンク111を含んでいる。タンク111には、1対の第1吊手112および1対の第2吊手113が設けられている。1対の第1吊手112は、タンク111の外側に突出している。1対の第2吊手113は、1対の第1吊手112とはタンク111の反対側の位置にて1対の第1吊手112とは反対側に突出している。防音壁150の1対の側壁部151の各々には、1対の第1吊手112および1対の第2吊手113の各々の突出方向に平行に延在する補強部材152が設けられている。1対の第1吊手112および1対の第2吊手113の各々の下面116は、補強部材152の下面159より上方に位置している。補強部材152の長さは、第1吊手112と第2吊手113との間の最短間隔より長い。
【0093】
これにより、防音壁付き静止誘導機器200を搬送および設置する際においては、第1吊手112および第2吊手113の各々の下面116および補強部材152の下面159の各々と接する状態で、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々を固定することができる。ひいては、防音壁付き静止誘導機器200を一体として搬送するための、防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100を構成することができる。
【0094】
本実施の形態に係る補強部材152は、C形鋼またはL形鋼で構成されている。
これにより、補強部材152と防音壁150とが互いに面で接触した状態で固定されるため、防音壁150において補強部材152の周辺部分の剛性を高めることができる。このため、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々を補強部材152に固定した場合においても、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々から補強部材152を介して作用する応力によって、防音壁150が変形することを抑制することができる。
【0095】
本発明の一実施の形態に係る防音壁付き静止誘導機器200の製造方法は、静止誘導機器110を土台120に設置する工程と、静止誘導機器110に第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140を固定する工程と、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々に支持されるように、静止誘導機器110の周囲および上方を覆う防音壁150を組み立てる工程と、土台120に設置された状態の静止誘導機器110、および、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々に支持された状態の防音壁150を、一体で搬送する工程と、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140を静止誘導機器110から取り外す工程と、第1搬送用支持部材130および第2搬送用支持部材140の各々による防音壁150の支持を解除する工程とを備えている。
【0096】
これにより、静止誘導機器110と防音壁150とを備える防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100が形成される。当該搬送構造により、クレーンによって吊り上げることなく、防音壁150と静止誘導機器110とを一体として搬送することができる。さらには、防音壁付き静止誘導機器の搬送構造100を設置した後、上記搬送構造を容易に解除して、防音壁付き静止誘導機器200を設置場所に据え付けることができる。
【0097】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0098】
10 搬送路、11 組立ハウス、12 防音壁組付場所、13 設置場所、14 第1スライドレール、15 第2スライドレール、16,17 コロ、100 搬送構造、110 静止誘導機器、111 タンク、111a 上部タンク、111b 下部タンク、112 第1吊手、112a,113a 貫通孔、113 第2吊手、114,131,141 上面、115 ブッシング、115a 第1ブッシング、115b 第2ブッシング、116,121,159 下面、120 土台、130 第1搬送用支持部材、132 固定具、133,134,135 締結部材、133m 溶接部、140 第2搬送用支持部材、150 防音壁、150p パネル、151 側壁部、152,152m 補強部材、153 第1孔部、154 第2孔部、155 下側端面、156 天井部、157 開口部、157a 第1開口部、157b 第2開口部、158 隙間、158a 第1の隙間、158b 第2の隙間、160 固定部材、161 第1係合部、162 第2係合部、200 防音壁付き静止誘導機器。
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