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特許7195185路面性状計測装置、路面性状計測システム、路面性状計測方法、および路面性状計測プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】路面性状計測装置、路面性状計測システム、路面性状計測方法、および路面性状計測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20221216BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
G01N21/88 J
G01B11/30 W
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019042872
(22)【出願日】2019-03-08
(65)【公開番号】P2020144079
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 田城
(72)【発明者】
【氏名】川畑 幸保
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-021375(JP,A)
【文献】特開2015-220623(JP,A)
【文献】特開2008-046065(JP,A)
【文献】特開2018-165726(JP,A)
【文献】特開2015-197804(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101701919(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
G06T 1/00 - G06T 1/40
G06T 3/00 - G06T 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面を走行する計測車両に搭載されたラインカメラであって、前記路面を撮像するラインカメラにより撮像されたライン画像を用いて、前記路面の画像を路面画像として成形する画像成形部と、
前記路面画像を複数の単位画像に分割する領域規定部と、
前記路面画像に基づいて、前記複数の単位画像の各単位画像における路面性状を検出し、単位画像と、前記単位画像の路面性状を表す路面性状データと、前記単位画像に撮像された路面におけるいずれかの位置と前記単位画像を撮像した計測車両の姿勢とを含む位置姿勢情報とが、前記単位画像を撮像した時刻で対応付けされた単位路面性状情報を生成する路面性状検出部と
を備えた路面性状計測装置。
【請求項2】
前記路面性状計測装置は、
入力インタフェースを介して地図情報における位置を表す地図位置データを取得し、前記地図位置データにより表される位置を含む路面の単位画像と路面性状データと位置姿勢情報とを路面表示情報として抽出し、前記路面表示情報に含まれる情報を前記地図情報に重畳して表示する地図重畳部を備えた請求項1に記載の路面性状計測装置。
【請求項3】
前記地図重畳部は、
前記地図位置データにより表される位置を含む単位画像を前記地図情報に重畳して表示する請求項2に記載の路面性状計測装置。
【請求項4】
前記地図重畳部は、
前記地図位置データにより表される位置を含む単位画像における路面性状データと位置姿勢情報とを前記地図情報に重畳して表示する請求項2または請求項3に記載の路面性状計測装置。
【請求項5】
前記地図重畳部は、
前記地図位置データと前記単位路面性状情報とに基づいて、前記地図位置データにより表される位置を含む路面の路面性状データの分布を表す路面性状トレースを生成する請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の路面性状計測装置。
【請求項6】
前記路面性状検出部は、
前記路面性状として前記路面のひび割れを検出し、前記単位画像と、前記単位画像におけるひび割れの数と、前記単位画像の前記位置姿勢情報とを含む前記単位路面性状情報を生成する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の路面性状計測装置。
【請求項7】
前記領域規定部は、
前記路面の白線を検出し、検出した白線に基づいて、前記路面画像を複数の単位画像に分割する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の路面性状計測装置。
【請求項8】
路面を走行する計測車両であって、前記路面の路面性状を計測する路面性状計測ユニットと、前記計測車両の位置と姿勢を計測する位置姿勢計測ユニットとを備えた計測車両と、
前記路面性状計測ユニットにより計測された路面性状計測データと、前記位置姿勢計測ユニットにより計測された位置姿勢計測データとを用いて、前記路面性状を解析する路面性状計測装置と
を備え、
前記路面性状計測装置は、
前記路面性状計測ユニットに含まれるラインカメラにより撮像されたライン画像を用いて、前記路面の画像を路面画像として成形する画像成形部と、
前記路面画像を複数の単位画像に分割する領域規定部と、
前記路面画像に基づいて、前記複数の単位画像の各単位画像における路面性状を検出し、単位画像と、前記単位画像の路面性状を表す路面性状データと、前記単位画像に撮像された路面におけるいずれかの位置と前記単位画像を撮像した計測車両の姿勢とを含む位置姿勢情報とが、前記単位画像を撮像した時刻で対応付けされた単位路面性状情報を生成する路面性状検出部と
を備えた路面性状計測システム。
【請求項9】
画像成形部が、路面を走行する計測車両に搭載されたラインカメラであって、前記路面を撮像するラインカメラにより撮像されたライン画像を用いて、前記路面の画像を路面画像として成形し、
領域規定部が、前記路面画像を複数の単位画像に分割し、
路面性状検出部が、前記路面画像に基づいて、前記複数の単位画像の各単位画像における路面性状を検出し、単位画像と、前記単位画像の路面性状を表す路面性状データと、前記単位画像に撮像された路面におけるいずれかの位置と前記単位画像を撮像した計測車両の姿勢とを含む位置姿勢情報とが、前記単位画像を撮像した時刻で対応付けされた単位路面性状情報を生成する路面性状計測方法。
【請求項10】
路面を走行する計測車両に搭載されたラインカメラであって、前記路面を撮像するラインカメラにより撮像されたライン画像を用いて、前記路面の画像を路面画像として成形する画像成形処理と、
前記路面画像を複数の単位画像に分割する領域規定処理と、
前記路面画像に基づいて、前記複数の単位画像の各単位画像における路面性状を検出し、単位画像と、前記単位画像の路面性状を表す路面性状データと、前記単位画像に撮像された路面におけるいずれかの位置と前記単位画像を撮像した計測車両の姿勢とを含む位置姿勢情報とが、前記単位画像を撮像した時刻で対応付けされた単位路面性状情報を生成する路面性状検出処理と
をコンピュータである路面性状計測装置に実行させる路面性状計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面性状計測データに位置情報を対応付けて管理する路面性状計測装置、路面性状計測システム、路面性状計測方法、および路面性状計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
路面の健全度を診断するためのシステムを路面性状計測システムという。路面性状計測システムでは、路面が映った路面画像が用いられ、路面のひび割れ、わだち掘れ、および平たん性が計測される。通常、路面性状計測システムは、計測を開始した地点からの移動距離と対応付けて路面性状計測データを保存する。このため、路面性状計測データと計測場所との紐づけを行う際、計測開始地点と計測ルートを別途データ管理しておく必要がある。
【0003】
特許文献1には、位置情報を取得する位置情報計測ユニットと、路面性状を計測する路面性状計測ユニットとを搭載した計測車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-147353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、路面性状計測データの管理および解析のために、計測車両で取得された路面性状計測データと位置情報を有効活用することができない。
【0006】
本発明に係る路面性状計測システムは、路面性状計測データの管理および解析を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の路面性状計測装置は、
路面を走行する計測車両に搭載されたラインカメラであって前記路面を撮像するラインカメラにより撮像されたライン画像を用いて、前記路面の画像を路面画像として成形する画像成形部と、
前記路面画像を複数の単位画像に分割する領域規定部と、
前記路面画像に基づいて、前記複数の単位画像の各単位画像における路面性状を検出し、単位画像と、前記単位画像の路面性状を表す路面性状データと、前記単位画像を撮像した時刻と前記単位画像に撮像された路面の位置と前記単位画像を撮像した計測車両の姿勢とを含む位置姿勢情報とを対応付けた単位路面性状情報を生成する路面性状検出部と
を備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る路面性状計測装置によれば、路面性状計測データを高精度な位置姿勢情報と対応付けて管理できるので、路面性状計測データの管理および解析を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る路面性状計測システムの構成図。
図2】路面性状計測ユニットの構成図。
図3】路面性状計測ユニットの構成図。
図4】実施の形態1に係る路面性状計測装置の機能構成図。
図5】実施の形態1に係る路面性状計測処理のフロー図。
図6】実施の形態1に係る路面画像を複数の単位画像に分割した図。
図7】実施の形態1に係る単位路面性状情報の例を示す模式図。
図8】実施の形態1において路面種別をユーザに入力させる機能の例。
図9】実施の形態1において路面種別をユーザに入力させる機能の例。
図10】実施の形態1に係る路面種別に応じた判定パラメータの可変機能の例。
図11】実施の形態1に係る地図重畳部により表示される路面性状画面の例。
図12】実施の形態1に係る地図重畳部により表示される路面性状画面の別例。
図13】実施の形態1に係る路面性状トレースの例。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。
【0011】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係る路面性状計測システム500の構成を示す図である。
路面性状計測システム500は、計測車両200と路面性状計測装置100とを備える。路面性状計測システム500は、路面のひび割れ、わだち掘れ、および平たん性といった項目を計測し、路面の健全度を診断する装置である。路面性状計測システム500は、路面性状を計測する計測車両200と、計測車両200で取得した路面性状計測データ301を編集し、帳票出力する路面性状計測装置100とにより構成される。
具体的には、ひび割れは、50cm四方内の路面のひびの本数をカウントする必要があるため、ラインカメラによる映像取得を行う。路面横断面の凹凸を確認するわだち掘れ、ならびに路面進行方向の平たん度合を確認する平たん性は、一般的に対象物までの距離を計測するレーザスキャナを使用する。
【0012】
計測車両200は、位置姿勢計測ユニット210と路面性状計測ユニット220とを備える。計測車両200は、計測車両取得データ300を取得する。計測車両200に搭載された位置姿勢計測ユニット210は、MMS(モービルマッピングシステム)と呼ばれる。位置姿勢計測ユニット210は、MMS計測ユニットとも呼ばれる。
位置姿勢計測ユニット210は、位置姿勢計測データ302を取得するための機器群である。位置姿勢計測データ302は道路地図の作成に必要なデータであり、MMS計測データとも呼ばれる。
路面性状計測ユニット220は、路面性状計測データ301を取得するための機器群である。路面性状計測データ301は路面性状の検査に必要なデータである。
位置姿勢計測データ302および路面性状計測データ301は計測時刻を含んでいる。計測時刻とは、データを得るための計測が行われた時刻である。
【0013】
路面性状計測装置100は、路面性状計測データ301に含まれる複数のライン画像を繋ぎ合わせて路面画像を生成する。ライン画像とは、路面を細い幅で撮影して得られた画像である。路面性状計測装置100は、計測車両200に搭載されていてもよいし、計測車両200以外のコンピュータに搭載されていてもよい。
【0014】
また、路面性状計測装置100は、位置姿勢計測データ302に対する後処理を行って後処理データ303を生成する。後処理データ303は、MMS後処理データとも呼ばれる。位置姿勢計測データ302と後処理データ303とを総称してマッピング計測データともいう。なお、後処理データ303を生成する処理は、計測車両200の位置姿勢計測ユニット210で実施されてもよい。また、後処理データ303を生成する処理は、計測車両200および路面性状計測装置100とは別のコンピュータで実施されてもよい。
路面性状計測装置100は、路面性状計測データ301と位置姿勢計測データ302と後処理データ303とを、それぞれの計測時刻を用いて互いに関連付ける。
【0015】
ここで、位置姿勢計測ユニット210の構成を説明する。
位置姿勢計測ユニット210は、受信機とレーザスキャナとラインカメラとIMU(inertial measurement unit)といった機器を備える。受信機は、測位衛星から発信される測位信号を受信する。受信機によって得られるデータを測位観測データという。レーザスキャナは、路面周辺にレーザ光を照射して路面周辺の地物に対する相対距離および相対方位を計測する。レーザスキャナによって得られるデータを地物距離方位データという。ラインカメラは路面周辺を撮影する。ラインカメラによって得られる画像を撮影画像という。IMUは慣性計測装置の略称である。IMUは、計測車両200の角速度および加速度を計測する。IMUによって得られるデータを慣性計測データという。
位置姿勢計測データ302は、測位観測データと地物距離方位データと撮影画像と慣性計測データとを含む。
【0016】
図2および図3に基づいて、路面性状計測ユニット220の構成を説明する。
路面性状計測ユニット220は、高精度レーザ331とラインカメラ332とレーザ照明333と変位計334とを備える。
高精度レーザ331は、路面の各地点に向けてレーザ光を照射して路面の各地点に対する相対距離および相対方位を計測する。高精度レーザ331によって得られるデータを路面距離方位データという。路面距離方位データにより、路面性状のうちわだち掘れの状態が取得できる。
ラインカメラ332は、路面を走行する計測車両200に搭載され、路面を撮像する。ラインカメラ332は、路面を細い幅で1ラインずつ撮影する。ラインカメラ332によって得られる画像をライン画像という。路面画像は、複数のライン画像を繋ぎ合わせることによって得られる画像である。ラインカメラ332とレーザ照明333から得られた路面画像により、路面性状のひび割れの状態が取得できる。
変位計334は路面との距離を計測する。変位計334によって得られるデータを路面距離データという。路面距離データにより、路面性状の平たん性の状態が取得できる。
路面性状計測データ301には、路面距離方位データと路面画像と路面距離データが含まれる。
【0017】
計測車両200は、MMSといった位置姿勢計測ユニット210を搭載しており、各GPS時刻における正確な位置姿勢情報を計測する。このため、路面性状計測システム500では、路面性状計測データの測定時刻から、位置姿勢情報を特定できる。すなわち、路面性状計測システム500では、MMSによる高精度な位置姿勢情報と、道路縦横断勾配、わだち堀れ量、および路面画像といった路面性状計測データとを融合できる。よって、路面性状計測システム500では、路面性状計測データとMMS計測データとの融合により、路面性状計測データと地図情報とを重畳することが可能となる。
【0018】
図4を用いて、本実施の形態に係る路面性状計測装置100の機能構成について説明する。
【0019】
路面性状計測装置100は、コンピュータである。路面性状計測装置100は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、出力インタフェース940、および通信装置950といった他のハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0020】
路面性状計測装置100は、機能要素として、画像収集部110と画像成形部120と領域規定部130と路面性状検出部140と地図重畳部150と記憶部160とを備える。記憶部160には、路面性状計測データ301、位置姿勢計測データ302、後処理データ303、地図情報161、および単位路面性状情報162が記憶される。
【0021】
画像収集部110と画像成形部120と領域規定部130と路面性状検出部140と地図重畳部150の機能は、ソフトウェアにより実現される。記憶部160は、メモリ921に備えられる。
【0022】
プロセッサ910は、路面性状計測プログラムを実行する装置である。路面性状計測プログラムは、画像収集部110と画像成形部120と領域規定部130と路面性状検出部140と地図重畳部150の機能を実現するプログラムである。
プロセッサ910は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ910の具体例は、CPU(Central Processing
Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0023】
メモリ921は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ921の具体例は、SRAM(Static Random Access Memory)、あるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
補助記憶装置922は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置922の具体例は、HDDである。また、補助記憶装置922は、SD(登録商標)メモリカード、CF、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬記録媒体であってもよい。なお、HDDは、Hard Disk Driveの略語である。SD(登録商標)は、Secure Digitalの略語である。CFは、CompactFlash(登録商標)の略語である。DVDは、Digital Versatile Diskの略語である。
【0024】
入力インタフェース930は、マウス、キーボード、あるいはタッチパネルといった入力装置と接続されるポートである。また、入力インタフェース930は、路面性状計測データを取得するための記録装置と接続されるポートとしても使用される。入力インタフェース930は、具体的には、USB(Universal Serial Bus)端子である。なお、入力インタフェース930は、LAN(Local Area Network)と接続されるポートであってもよい。
出力インタフェース940は、ディスプレイといった出力機器のケーブルが接続されるポートである。出力インタフェース940は、具体的には、ディスプレイポートまたはHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子である。ディスプレイは、具体的には、LCD(Liquid Crystal Display)である。
【0025】
通信装置950は、レシーバとトランスミッタを有する。通信装置950は、無線で、LAN、インターネット、あるいは電話回線といった通信網に接続している。通信装置950は、具体的には、通信チップまたはNIC(Network Interface Card)である。
【0026】
路面性状計測プログラムは、プロセッサ910に読み込まれ、プロセッサ910によって実行される。メモリ921には、路面性状計測プログラムだけでなく、OS(Operating System)も記憶されている。プロセッサ910は、OSを実行しながら、路面性状計測プログラムを実行する。路面性状計測プログラムおよびOSは、補助記憶装置922に記憶されていてもよい。補助記憶装置922に記憶されている路面性状計測プログラムおよびOSは、メモリ921にロードされ、プロセッサ910によって実行される。なお、路面性状計測プログラムの一部または全部がOSに組み込まれていてもよい。
【0027】
路面性状計測装置100は、プロセッサ910を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、路面性状計測プログラムの実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ910と同じように、路面性状計測プログラムを実行する装置である。
【0028】
路面性状計測プログラムにより利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値および変数値は、メモリ921、補助記憶装置922、または、プロセッサ910内のレジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
【0029】
画像収集部110と画像成形部120と領域規定部130と路面性状検出部140と地図重畳部150の各部の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えてもよい。また、画像収集処理と画像成形処理と領域規定処理と路面性状検出処理と地図重畳処理の「処理」を「プログラム」、「プログラムプロダクト」または「プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体」に読み替えてもよい。
路面性状計測プログラムは、上記の各部の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えた各処理、各手順あるいは各工程を、コンピュータに実行させる。また、路面性状計測方法は、路面性状計測装置100が路面性状計測プログラムを実行することにより行われる方法である。
路面性状計測プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に格納されて提供されてもよい。また、路面性状計測プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0030】
***動作の説明***
図5は、本実施の形態に係る路面性状計測処理S100のフロー図である。
路面性状計測装置100は、路面性状計測ユニット220により計測された路面性状計測データ301と、位置姿勢計測ユニット210により計測された位置姿勢計測データ302とを用いて、路面性状を解析する路面性状計測処理S100を実施する。
路面性状計測処理S100は、画像収集処理S110、画像成形処理S120、領域規定処理S130、路面性状検出処理S140、および地図重畳処理S150を備える。
【0031】
ステップS110において、画像収集部110は、ラインカメラ332により撮像された路面のライン画像を収集する。具体的には、路面性状計測装置100は、通信装置950あるいは入力インタフェース930を介して、路面性状計測ユニット220により計測された路面性状計測データ301を取得し、メモリ921に記憶する。路面性状計測データ301には、ラインカメラ332により撮像された路面のライン画像が含まれる。画像収集部110は、メモリ921に記憶されたライン画像を収集する。
【0032】
ステップS120において、画像成形部120は、ラインカメラ332により撮像されたライン画像を用いて、路面の画像を路面画像21として成形する。具体的には、画像成形部120は、ライン画像を束ねて、4メートル四方の路面画像21を成形する。
【0033】
ステップS130において、領域規定部130は、路面画像21を複数の単位画像22に分割する。具体的には、領域規定部130は、路面の白線211を検出し、検出した白線211に基づいて、路面画像21を複数の単位画像22に分割する。すなわち、領域規定部130は、検出した白線211を基準として、路面画像21を複数の単位画像22に分割する。領域規定部130は、白線自動抽出処理により、路面画像21から白線211を検出する。そして、領域規定部130は、路面画像21における白線211の内側のエリアを、データを取得するエリアと特定する。領域規定部130は、データを取得するエリアを複数の単位画像22に分割する。単位画像22は、具体的には、50センチメートル四方の画像である。
【0034】
図6は、本実施の形態に係る路面画像21を複数の単位画像22に分割した図の一部である。
図6の路面画像21では、路面画像21の白線211の右端を基準として、路面画像21が複数の単位画像22に分割されている。
【0035】
ステップS140において、路面性状検出部140は、路面画像21に基づいて、複数の単位画像の各単位画像22における路面性状を検出する。そして、路面性状検出部140は、単位画像22と、単位画像22の路面性状を表す路面性状データ221と、位置姿勢情報222とを対応付けた単位路面性状情報162を生成する。位置姿勢情報222には、単位画像22を撮像した時刻と単位画像に撮像された路面の位置と単位画像を撮像した計測車両の姿勢とが含まれる。具体的には、路面性状検出部140は、路面性状として路面のひび割れを検出する。そして、路面性状検出部140は、単位画像22と、単位画像22におけるひび割れの数と、単位画像22の位置姿勢情報222とを含む単位路面性状情報162を生成する。単位画像22におけるひび割れの数を検出する処理は、ひび割れ自動処理とも呼ばれる。
【0036】
図7は、本実施の形態に係る単位路面性状情報162の例を示す模式図である。
単位路面性状情報162には、単位画像22と、単位画像22の路面性状データ221と、位置姿勢情報222とが対応付けられている。なお、単位路面性状情報162における位置姿勢情報222は、単位画像22を特定することができれば単位画像22おけるどの位置を表わしていてもよい。また、単位路面性状情報162は、単位画像22と、路面性状データ221と、位置姿勢情報222とを対応付けることができればどのような形式で構成されていてもよい。
【0037】
ここで、ひび割れ自動処理の概要について説明する。
2値化によるひび割れの検出では、路面撮影の色むら、路面の粒度の粗さ、粗骨材、あるいは白線といった要因により、1つのひび割れが複数のひび割れとして過検出される場合がある。また、シミあるいは粗骨材といった要因による誤検出の発生により、ひび割れの数といった路面性状が正確に把握できない場合がある。
そこで、本実施の形態では、ひび割れ自動処理を以下のように実施する。
(1)路面画像の特徴量を算出し、アスファルトあるいはコンクリートといった路面種別、および路面の骨材粒度の大きさを判定し、ひび割れを抽出する際の判定パラメータを決定する。
(2)路面画像の2値化により抽出されたひび割れの領域に対しそれぞれの領域の面積、領域間の距離、および領域のお互いの角度(傾き)の差による領域の統合判定を行うことで途切れた領域として抽出されたひび割れの領域を1つのひび割れとして検出を行えるようにする。
(3)路面画像の2値化により抽出された背景輝度より低輝度の領域の面積とその領域に外接する円の面積の比より粗骨材の領域を抽出し、ひび割れの領域から除外する。
(4)ひび割れ抽出に用いられる各種判定パラメータについて、様々な路面状態に対する、多数の学習用画像、すなわち正解データといった情報を作成し、学習させ判定パラメータを更新することで、様々な路面の状況の変化あるいは路面の撮影条件に対応できるようにする。
【0038】
また、上記(1)において、路面画像21における路面種別をユーザに入力させる機能を有していてもよい。
図8および図9は、本実施の形態において路面種別をユーザに入力させる機能の一例を示す図である。
路面性状検出部140は、ユーザに路面種別を選択させる路面種別選択画面141をディスプレイに表示する。ユーザは、路面画像21の範囲を指定して、路面種別選択画面141を介して、路面種別を指定する。路面性状検出部140は、指定された路面種別に基づいて、ひび割れの数を検出する際の判定パラメータを決定する。また、その他が指定された場合には、路面性状検出部140は、路面種別選択画面141を介して、ユーザに排水性、透水性、および保水性といった路面情報を指定させてもよい。路面性状検出部140は、これらの路面情報から判定パラメータを決定してもよい。
また、路面性状検出部140は、路面画像21から自動的に路面種別を判定してもよい。
路面性状検出部140は、ユーザにより指定された路面種別、あるいは自動的に判定した路面種別に基づいて、判定パラメータを決定する。
【0039】
図10は、本実施の形態に係る路面種別に応じた判定パラメータの可変機能の例を示す図である。
図10に示すように、コンクリート、アスファルト混合物、およびポーラスアスファルト混合物といった路面種別ごとに、ひび誤検知および道路シミの影響の大きさが異なる。路面性状検出部140は、ひび誤検知および道路シミの影響の違いを吸収するように、判定パラメータを決定する。
【0040】
ステップS150において、地図重畳部150は、入力インタフェース930を介して地図情報161における位置を表す地図位置データ61を取得する。地図重畳部150は、地図位置データ61により表される位置を含む路面の単位画像22と路面性状データ221と位置姿勢情報222とを、単位路面性状情報162から路面表示情報23として抽出する。そして、地図重畳部150は、路面表示情報23に含まれる情報を地図情報161に重畳してディスプレイに表示する。
地図重畳部150は、地図位置データ61により表される位置を含む単位画像22を地図情報161に重畳して表示する。あるいは、地図重畳部150は、地図位置データ61により表される位置を含む単位画像22における路面性状データ221と位置姿勢情報222とを地図情報161に重畳して表示する。
具体的には、以下の通りである。
【0041】
図11は、本実施の形態に係る地図重畳部150により表示される路面性状画面62の例を示す図である。
地図重畳部150は、ディスプレイに地図情報161を表示し、ユーザに地図上の位置を表す地図位置データ61を入力させる。地図重畳部150は、地図位置データ61に基づいて、地図位置データ61により表される位置周辺の単位画像22の情報を路面表示情報23として、単位路面性状情報162から抽出する。地図位置データ61を基準として抽出する範囲は、予め設定されていてもよい。あるいは、地図重畳部150は、ユーザにより指定された範囲を地図位置データ61として取得し、ユーザにより指定された範囲の単位画像22の情報を、路面表示情報23として単位路面性状情報162から抽出してもよい。
地図重畳部150は、抽出した路面表示情報23を地図情報161に重畳し、路面性状画面62を生成する。
【0042】
図11では、地図重畳部150は、路面表示情報23に含まれる路面性状データ221を地図情報161に重畳した路面性状画面62を表示している。地図重畳部150は、ユーザにより指定された地図位置データ61を含む路面表示情報23に含まれる路面性状データ221を地図情報161に重畳する。
【0043】
図12は、本実施の形態に係る地図重畳部150により表示される路面性状画面62の別例を示す図である。
図12では、地図重畳部150は、路面表示情報23に含まれる単位画像22を地図情報161に重畳した路面性状画面62を表示している。具体例として、空港のような広範なエリアを計測車両200が走行する場合がある。ユーザにより空港の任意の位置あるいは範囲を地図位置データ61として指定された場合でも、地図重畳部150は、ユーザにより指定された位置あるいは範囲の単位画像22の情報を、路面表示情報23として単位路面性状情報162から抽出することができる。そして、地図重畳部150は、路面表示情報23に含まれる位置姿勢情報222に基づいて単位画像22を連結した路面画像21を、地図情報161に重畳して路面性状画面62を表示する。
【0044】
また、地図重畳部150は、地図位置データ61と単位路面性状情報162とに基づいて、地図位置データ61により表される位置を含む路面の路面性状データ221の分布を表す路面性状トレース63を生成してもよい。
具体的には、ユーザにより地図位置データ61と路面性状トレース63の表示要求とを取得すると、地図重畳部150は、路面性状トレース63を生成し、ディスプレイに表示する。
【0045】
図13は、本実施の形態に係る路面性状トレース63の例を示す図である。
図13では、地図重畳部150は、ひびの数の分布を表す路面性状トレース63を表示している。ユーザにより地図情報161における任意の位置あるいは範囲が指定されると、地図重畳部150は、ユーザにより指定された位置あるいは範囲の単位画像22の情報を路面表示情報23として単位路面性状情報162から抽出する。地図重畳部150は、路面表示情報23に基づいて、具体例として、ひびの数の分布を表す路面性状トレース63を表示する。
【0046】
***本実施の形態の効果の説明***
本実施の形態に係る路面性状計測システムは、MMSを搭載しているため、路面性状計測データに、高精度な位置情報を付与することができる。このため、本実施の形態に係る路面性状計測システムによれば、地図情報との親和性が非常に高く、路面性状計測データを地図情報と重畳することができる。よって、本実施の形態に係る路面性状計測システムによれば、データの管理および解析を行うことが容易となる。
【0047】
本実施の形態に係る路面性状計測システムでは、路面性状計測システムで計測する路面のひび割れ、わだち掘れ、および平たん性といった路面性状計測データに高精度な位置情報が付与されている。これにより、本実施の形態に係る路面性状計測システムでは、計測した路面性状計測データを、地図上に重畳することができる。したがって、本実施の形態に係る路面性状計測システムでは、ユーザにより指定された地図の任意地点の路面性状データ、すなわちひび割れ、わだち掘れ、および平たん性といった計測結果を瞬時に出力することが可能となる。
【0048】
本実施の形態に係る路面性状計測システムでは、路面性状計測システムに含まれるPC(パーソナルコンピュータ)あるいはナビゲーションシステムのディスプレイといった表示機器に地図が表示される。そして、表示機器に表示されている地図上において任意の地点が選択されると、当該地点の路面性状情報が地図に重畳されて出力される。あるいは、当該地点の路面性状情報が路面性状トレースとして出力される。本実施の形態に係る路面性状計測システムでは、このような路面性状データ解析ソフトウェアを有しているので、路面性状計測データの管理および解析が容易になる。
【0049】
***他の構成***
<変形例1>
本実施の形態では、路面性状データとしてひび割れの数を例として説明した。しかし、路面性状データとしてわだち掘れあるいは平たん性の計測結果を用いてもよい。すなわち、これらの路面性状のうちの複数を路面性状画面に表示してもよい。あるいは、路面性状のうちのいずれかの分布を路面性状トレースとして表示してもよい。
【0050】
<変形例2>
本実施の形態では、画像収集部110と画像成形部120と領域規定部130と路面性状検出部140と地図重畳部150の機能がソフトウェアで実現される。変形例として、画像収集部110と画像成形部120と領域規定部130と路面性状検出部140と地図重畳部150の機能がハードウェアで実現されてもよい。
【0051】
路面性状計測装置100は、プロセッサ910に替えて、電子回路を備える。
電子回路は、画像収集部110と画像成形部120と領域規定部130と路面性状検出部140と地図重畳部150の機能を実現する専用の電子回路である。
電子回路は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、または、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略語である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略語である。
画像収集部110と画像成形部120と領域規定部130と路面性状検出部140と地図重畳部150の機能は、1つの電子回路で実現されてもよいし、複数の電子回路に分散して実現されてもよい。
別の変形例として、画像収集部110と画像成形部120と領域規定部130と路面性状検出部140と地図重畳部150の一部の機能が電子回路で実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。また、画像収集部110と画像成形部120と領域規定部130と路面性状検出部140と地図重畳部150の一部またはすべての機能がファームウェアで実現されてもよい。
【0052】
プロセッサと電子回路の各々は、プロセッシングサーキットリとも呼ばれる。つまり、路面性状計測装置100において、画像収集部110と画像成形部120と領域規定部130と路面性状検出部140と地図重畳部150の機能は、プロセッシングサーキットリにより実現される。
【0053】
以上の実施の形態では、路面性状計測装置の各部を独立した機能ブロックとして説明した。しかし、路面性状計測装置の構成は、上述した実施の形態のような構成でなくてもよい。路面性状計測装置の機能ブロックは、上述した実施の形態で説明した機能を実現することができれば、どのような構成でもよい。また、路面性状計測装置は、1つの装置でなく、複数の装置から構成されたシステムでもよい。
また、実施の形態1のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、この実施の形態のうち、1つの部分を実施しても構わない。その他、この実施の形態を、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施しても構わない。
すなわち、実施の形態1の部分の自由な組み合わせ、あるいは実施の形態1の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態1において任意の構成要素の省略が可能である。
【0054】
なお、上述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明の範囲、本発明の適用物の範囲、および本発明の用途の範囲を制限することを意図するものではない。上述した実施の形態は、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0055】
21 路面画像、22 単位画像、23 路面表示情報、211 白線、221 路面性状データ、222 位置姿勢情報、61 地図位置データ、62 路面性状画面、63
路面性状トレース、100 路面性状計測装置、110 画像収集部、120 画像成形部、130 領域規定部、140 路面性状検出部、141 路面種別選択画面、150 地図重畳部、160 記憶部、161 地図情報、162 単位路面性状情報、200 計測車両、210 位置姿勢計測ユニット、220 路面性状計測ユニット、300
計測車両取得データ、301 路面性状計測データ、302 位置姿勢計測データ、303 後処理データ、331 高精度レーザ、332 ラインカメラ、333 レーザ照明、334 変位計、500 路面性状計測システム、910 プロセッサ、921 メモリ、922 補助記憶装置、930 入力インタフェース、940 出力インタフェース、950 通信装置、S100 路面性状計測処理。
図1
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図13