(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/14 20060101AFI20221216BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20221216BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
H05K7/14 A
H05K9/00 C
H05K5/02 Q
(21)【出願番号】P 2019052440
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】小路 雅一
【審査官】菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-281909(JP,A)
【文献】特開2009-231472(JP,A)
【文献】特開2016-143802(JP,A)
【文献】特表2009-521123(JP,A)
【文献】特開2006-140200(JP,A)
【文献】実開平05-090989(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
H05K 9/00
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持するシャーシを、複数段に積み重ねて一体化し、前記シャーシの幅寸法を、下段に配置される程、小さくした電子機器であって、
前記シャーシは、
ベース面よりも高い位置に配置され、基板が取り付けられる段差面と、
前記段差面の幅方向側部に設けられた内側面の上端から前記シャーシの幅方向外側に向けて延びるシャーシ取付面とを有し、
前記シャーシのシャーシ取付面と、当該シャーシの直上段に配置されるシャーシの段差面とを、上段側から下段側に向けてねじ締結
し、
そのねじ締結に使用されるねじの先端部は、前記シャーシ取付面を有する前記シャーシの外部に突出する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記シャーシのシャーシ取付面と、当該シャーシの直上段に配置されるシャーシの段差面と、当該直上段のシャーシの段差面に取り付けられる基板とを、上段側から下段側に向けてねじ締結する
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記シャーシは、前記ベース面から上方に向けて突出する絞り部を有し、
前記基板と前記絞り部とを、上段側から下段側に向けてねじ締結する
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
最上段に配置されるシャーシの段差面に取り付けられる基板を、上方から覆うように配置されるカバーを備え、
前記カバーは、前記最上段のシャーシの段差面に取り付けられるカバー取付面を有し、
前記最上段のシャーシの段差面と前記カバー取付面とを、ねじ締結する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の電子機器。
【請求項5】
前記シャーシを、前方側及び後方側のうち、少なくとも一方側から覆うように配置される面板を備え、
前記シャーシは、前記内側面の前端から前記シャーシの幅方向外側に向けて延びる面板取付面を有し、
前記面板の裏面と前記面板取付面とを、ねじ締結する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の電子機器。
【請求項6】
前記シャーシの段差面に取り付けられた基板は、
当該基板を支持する前記シャーシ、及び、当該シャーシの直上段に配置されるシャーシのうち、少なくともいずれか一方のシャーシによって、他の基板とは仕切られる
ことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の電子機器。
【請求項7】
前記シャーシは、前記ベース面の反対側に位置する下面を有し、
前記基板は、前記下面にねじ締結される
ことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ねじ締結構造を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電子機器は、基板を支持する筐体を備えている。この筐体は、複数の金属部品から構成されることが多く有り、金属部品同士は、ねじ締結等を用いて接合されている。
【0003】
また、特許文献1には、基板を支持する筐体と、当該筐体を覆うカバーとを備えた電子機器が開示されている。この特許文献1に開示された電子機器は、筐体とカバーとをねじ締結を用いて接合するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ねじ締結に使用されるねじは、筐体の外部から内部に向けてねじ込まれるため、その先端部は、筐体の内部に入り込んでしまう。このため、ねじ締結時において、ねじとねじ孔との間から発生する金属屑は、筐体の内部に侵入する場合がある。この金属屑は、導電性を有しているため、基板に実装された電子部品に付着すると、当該電子部品に対して、電気的な不良を招くおそれがある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ねじの先端部をシャーシの外部に突出させることにより、ねじとねじ孔との間から発生する金属屑におけるシャーシの内部への侵入を防止して、電気的不良を抑えることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る電子機器は、基板を支持するシャーシを、複数段に積み重ねて一体化し、シャーシの幅寸法を、下段に配置される程、小さくした電子機器であって、シャーシは、ベース面よりも高い位置に配置され、基板が取り付けられる段差面と、段差面の幅方向側部に設けられた内側面の上端からシャーシの幅方向外側に向けて延びるシャーシ取付面とを有し、シャーシのシャーシ取付面と、当該シャーシの直上段に配置されるシャーシの段差面とを、上段側から下段側に向けてねじ締結し、そのねじ締結に使用されるねじの先端部は、シャーシ取付面を有するシャーシの外部に突出するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、ねじの先端部をシャーシの外部に突出させることにより、ねじとねじ孔との間から発生する金属屑におけるシャーシの内部への侵入を防止して、電気的不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る電子機器の前方斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る電子機器の後方斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係る電子機器における前面板を取り外した状態の前方斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係る電子機器における積み重ね構造を示した図である。
【
図6】積み重ね構造の前方側からの分解斜視図である。
【
図7】積み重ね構造の後方側からの分解斜視図である。
【
図8】実施の形態2に係る電子機器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1に係る電子機器について、
図1から
図7を用いて説明する。
【0012】
図1は、実施の形態1に係る電子機器の前方斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る電子機器の後方斜視図である。
図3は、実施の形態1に係る電子機器における前面板15を取り外した状態の前方斜視図である。なお、
図2及び
図3に示した2点鎖線の矢印は、めじ締結方向を示している。
【0013】
実施の形態1に係る電子機器は、複数の基板21,22,23をそれぞれ支持するシャーシ11,12,13を、複数段(ここでは、3段)に積み重ねて一体化し、シャーシ11,12,13の幅寸法を、下段に配置される程、小さくしたものである。なお、実施の形態1に係る電子機器は、4つ以上の基板をそれぞれ支持するシャーシを、4段以上に積み重ねて一体化し、4つ以上のシャーシの幅寸法を、下段に配置される程、小さくしたものでも構わない。
【0014】
電子機器は、シャーシ11,12,13、カバー14、及び、前面板15を備えている。シャーシ11,12,13、カバー14、及び、前面板15は、金属製の部材であって、例えば、板金加工によって成形された板金部材である。
【0015】
シャーシ11,12,13は、基板実装用のシャーシである。シャーシ11は、上段に配置され、当該シャーシ11には、基板21が実装されている。シャーシ12は、中段に配置され、当該シャーシ12には、基板22が実装されている。シャーシ13は、下段に配置され、当該シャーシ13には、基板23が実装されている。また、基板21,22,23の上面及び下面には、各種の電子部品が実装されている。この基板21,22,23は、例えば、プリント基板である。
【0016】
上述したように、シャーシ11,12,13は、下段に配置される程、幅寸法が小さくなっている。これにより、積み重ねられたシャーシ11,12,13における前方側及び後方側から見た外形は、階段状をなしている。これに対応して、基板21,22,23は、下段に配置される程、幅寸法が小さくなっている。
【0017】
図4は、
図1のA-A矢視断面図である。
図5は、実施の形態1に係る電子機器における積み重ね構造を示した図である。
図6は、積み重ね構造の前方側からの分解斜視図である。
図7は、積み重ね構造の後方側からの分解斜視図である。
【0018】
シャーシ11は、ベース面11a、段差面11b、及び、嵌合孔11cを有している。
【0019】
ベース面11aは、シャーシ11の底面を構成するものである。
【0020】
段差面11bは、基板実装面及びカバー当接面を構成するものである。この段差面11bは、ベース面11aの幅方向両側部に形成されており、当該ベース面11aよりも高い位置に配置されている。なお、基板21は、段差面11bに取り付けられ、カバー14は、段差面11bにおける基板21の外側部分に取り付けられる。
【0021】
嵌合孔11cは、シャーシ11を上下方向に貫通する孔である。この嵌合孔11cは、例えば、シャーシ11の後壁に形成した2つのスリット間の部分を、絞り加工等によって、当該シャーシ11の後方に向けて突出させることにより、その突出部分と後壁との間に形成されたものである。
【0022】
シャーシ12は、ベース面12a、絞り部12b、段差面12c、内側面12d、シャーシ取付面12e、面板取付面12f、嵌合突部12g、及び、嵌合孔12hを有している。
【0023】
ベース面12aは、シャーシ12の底面を構成するものである。
【0024】
絞り部12bは、ベース面12aの略中央部に配置されており、当該ベース面12aから上方に向けて突出している。この絞り部12bの上端面は、基板実装面及び段差面を構成するものである。
【0025】
段差面12cは、基板実装面を構成するものである。この段差面12cは、ベース面12aの幅方向両側部に形成されており、当該ベース面12aよりも高い位置に配置されている。段差面12cの高さと、絞り部12bの高さとは、一致している。即ち、基板22は、絞り部12bの上端面及び段差面12cに取り付けられる。
【0026】
内側面12dは、段差面12cの幅方向側部に形成されている。
【0027】
シャーシ取付面12eは、内側面12dの上端からシャーシ12の幅方向外側に向けて延びるように形成されている。具体的には、シャーシ取付面12eは、内側面12dの上部をシャーシ12の幅方向外側に向けて折り曲げることにより形成された折り曲げ部である。これにより、シャーシ取付面12eは、上下方向において、シャーシ12の直上段に配置されるシャーシ11の段差面11bと対向する。
【0028】
面板取付面12fは、前面板15を取り付けるための取付面である。この面板取付面12fは、内側面12dの前端からシャーシ12の幅方向外側に向けて延びるように形成されている。具体的には、面板取付面12fは、内側面12dの前部をシャーシ12の幅方向外側に向けて折り曲げることにより形成された折り曲げ部である。
【0029】
嵌合突部12gは、シャーシ12から上方に向けて突出している。この嵌合突部12gは、シャーシ11の嵌合孔11cと嵌合する。これにより、シャーシ11とシャーシ12とは、嵌合孔11cと嵌合突部12gとが嵌合することにより、それらの間の位置決めを行うことができる。
【0030】
嵌合孔12hは、シャーシ12を上下方向に貫通する孔である。この嵌合孔12hは、例えば、シャーシ12の後壁に形成した2つのスリット間の部分を、絞り加工等によって、当該シャーシ12の後方に向けて突出させることにより、その突出部分と後壁との間に形成されたものである。
【0031】
シャーシ13は、ベース面13a、絞り部13b、内側面13c、シャーシ取付面13d、面板取付面13e、及び、嵌合突部13fを有している。
【0032】
ベース面13aは、シャーシ13の底面を構成するものである。
【0033】
絞り部13bは、ベース面13aの略中央部及びベース面13aの四隅にそれぞれ配置されており、当該ベース面13aから上方に向けて突出している。この絞り部13bの上端面は、基板実装面及び段差面を構成するものである。即ち、基板23は、絞り部13bの上端面に取り付けられる。
【0034】
内側面13cは、ベース面13aの幅方向両側部に形成されている。
【0035】
シャーシ取付面13dは、内側面13cの上端からシャーシ13の幅方向外側に向けて延びるように形成されている。具体的には、シャーシ取付面13dは、内側面13cの上部をシャーシ13の幅方向外側に向けて折り曲げることにより形成された折り曲げ部である。これにより、シャーシ取付面13dは、上下方向において、シャーシ13の直上段に配置されるシャーシ12の段差面12cと対向する。
【0036】
面板取付面13eは、前面板15を取り付けるための取付面である。この面板取付面13eは、内側面13cの前端からシャーシ13の幅方向外側に向けて延びるように形成されている。具体的には、面板取付面13eは、内側面12dの前部をシャーシ13の幅方向外側に向けて折り曲げることにより形成された折り曲げ部である。
【0037】
嵌合突部13fは、シャーシ13から上方に向けて突出している。この嵌合突部13fは、シャーシ12の嵌合孔12hと嵌合する。これにより、シャーシ12とシャーシ13とは、嵌合孔12hと嵌合突部13fとが嵌合することにより、それらの間の位置決めを行うことができる。
【0038】
カバー14は、最上段に配置されるシャーシ11に対して、段差面11bに取り付けられた基板21を上方から覆うように、取り付けられている。このカバー14は、天井面14a、内側面14b、カバー取付面14c、面板取付面14dを有している。
【0039】
内側面14bは、天井面14aの幅方向両側部に形成されている。
【0040】
カバー取付面14cは、内側面14bの下端からカバー14の幅方向外側に向けて延びるように形成されている。具体的には、カバー取付面14cは、内側面14bの下部をカバー14の幅方向外側に向けて折り曲げることにより形成された折り曲げ部である。これにより、カバー取付面14cは、最上段に位置するシャーシ11の段差面11bに当接可能となっている。
【0041】
面板取付面14dは、前面板15を取り付けるための取付面である。この面板取付面14dは、内側面14bの前端からカバー14の幅方向外側に向けて延びるように形成されている。具体的には、面板取付面14dは、内側面14bの前部をカバー14の幅方向外側に向けて折り曲げることにより形成された折り曲げ部である。
【0042】
前面板15は、平板状に形成されている。この前面板15は、シャーシ11,12,13及びカバー14を積み重ねて一体化したユニットの前部に配置されている。具体的には、前面板15は、シャーシ11とカバー14とによって区画形成された空間、シャーシ11,12によって区画形成された空間、及び、シャーシ12,13によって区画形成された空間を塞ぐように、面板取付面12f,13e,14dに取り付けられている。上記各空間内には、基板21,22,23がそれぞれ収納されている。
【0043】
なお、実施の形態1に係る電子機器は、前面板15と、上記ユニットの後部に配置される後面板(図示省略)とのうち、前面板15のみを備えているが、上記空間を塞ぐ必要がある場合には、それらのうち、少なくとも一方の面板を備えていれば良い。
【0044】
次に、実施の形態1に係る電子機器の組み立て方法の一例について説明する。
【0045】
先ず、
図5から
図7に示すように、基板21,22,23が、シャーシ11,12,13に取り付けられる。基板21は、シャーシ11の段差面11bにねじ締結される。基板22は、シャーシ12の絞り部12b及び段差面12cにねじ締結される。基板23は、シャーシ13の絞り部13bにねじ締結される。
【0046】
これにより、上記ねじ締結に使用されるねじの先端部は、シャーシ11,12,13の外部に突出するため、当該ねじとシャーシ11,12,13のねじ孔との間から発生する金属屑は、シャーシ11,12,13の内部に侵入することはない。
【0047】
次いで、
図2から
図5に示すように、シャーシ12とシャーシ13とが、組み付けられる。
【0048】
具体的には、シャーシ12とシャーシ13とは、段差面12cとシャーシ取付面13dとが対向するように重ね合わされる。また、シャーシ13の嵌合突部13fは、シャーシ12の嵌合孔12hに嵌合する。これにより、シャーシ12とシャーシ13とは、互いに位置決めされる。
【0049】
そして、段差面12cと、この段差面12cにねじ締結された基板22と、シャーシ取付面13dとは、上段側のシャーシ12の内部から下段側のシャーシ13の外部に向けてねじ締結される。なお、基板22及びシャーシ12は、シャーシ13のねじ孔に対応したばか孔を有している。
【0050】
また、実施の形態1に係る電子機器では、基板22の幅方向両側部に、ねじが貫通可能となる通し孔(例えば、ばか孔、切り欠き)を予め形成しておき、基板22をねじ締結することなく、段差面12cとシャーシ取付面13dとだけを、ねじ締結しても構わない。
【0051】
これにより、上記ねじ締結に使用されるねじの先端部は、シャーシ13の外部に突出するため、ねじとシャーシ13のねじ孔との間から発生する金属屑は、当該シャーシ13の内部に侵入することはない。
【0052】
次いで、
図2から
図5に示すように、シャーシ11と、シャーシ13と一体化したシャーシ12とが、組み付けられる。
【0053】
具体的には、シャーシ11とシャーシ12とは、段差面11bとシャーシ取付面12eとが対向するように重ね合わされる。また、シャーシ12の嵌合突部12gは、シャーシ11の嵌合孔11cに嵌合する。これにより、シャーシ11とシャーシ12とは、互いに位置決めされる。
【0054】
そして、段差面11bと、この段差面11bにねじ締結された基板21と、シャーシ取付面12eとは、上段側のシャーシ11の外部から下段側のシャーシ12の外部に向けてねじ締結される。なお、基板21及びシャーシ11は、シャーシ12のねじ孔に対応したばか孔を有している。
【0055】
また、実施の形態1に係る電子機器では、基板21の幅方向両側部に、ねじが貫通可能となる通し孔(例えば、ばか孔、切り欠き)を予め形成しておき、基板21をねじ締結することなく、段差面11bとシャーシ取付面12eとだけを、ねじ締結しても構わない。
【0056】
これにより、上記ねじ締結に使用されるねじの先端部は、シャーシ12の外部に突出するため、ねじとシャーシ12のねじ孔との間から発生する金属屑は、当該シャーシ12の内部に侵入することはない。
【0057】
次いで、
図2から
図5に示すように、シャーシ12,13と一体化したシャーシ11と、カバー14とが組み付けられる。
【0058】
具体的には、シャーシ11とカバー14とは、段差面11bとカバー取付面14cとが当接するように重ね合わされる。そして、段差面11bとカバー取付面14cとは、上段側のカバー14の外部から下段側のシャーシ11の外部に向けてねじ締結される。なお、カバー14は、シャーシ11のねじ孔に対応したばか孔を有している。
【0059】
これにより、上記ねじ締結に使用されるねじの先端部は、シャーシ11の外部に突出するため、ねじとシャーシ11のねじ孔との間から発生する金属屑は、当該シャーシ11の内部に侵入することはない。
【0060】
次いで、
図3に示すように、シャーシ11,12,13及びカバー14が一体化したユニットと、前面板15とが組み付けられる。
【0061】
具体的には、上記ユニットと前面板15とは、面板取付面12f,13e,14dと前面板15の裏面とが当接するように重ね合わされる。そして、面板取付面12f,13e,14dと前面板15の裏面とは、前面板15の前方側から上記ユニットの外部に向けてねじ締結される。なお、前面板15は、シャーシ12,13及びカバー14のねじ孔に対応したばか孔を有している。
【0062】
これにより、上記ねじ締結に使用されるねじの先端部は、シャーシ12,13及びカバー14の外部に突出するため、ねじとシャーシ12,13及びカバー14のねじ孔との間から発生する金属屑は、当該シャーシ12,13及びカバー14の内部に侵入することはない。
【0063】
そして、電子機器の組み立てが完了すると、当該電子機器は、シャーシ11とカバー14とによって区画形成された空間に、基板21を収納し、シャーシ11,12によって区画形成された空間に、基板22を収納し、シャーシ12,13によって区画形成された空間に、基板23を収納した状態となる。これにより、基板21,22,23は、電磁ノイズを遮蔽した状態となる。
【0064】
以上、実施の形態1に係る電子機器は、基板21,22,23を支持するシャーシ11,12,13を、複数段に積み重ねて一体化し、シャーシ11,12,13の幅寸法を、下段に配置される程、小さくした電子機器であって、シャーシ12は、ベース面12aよりも高い位置に配置され、基板22が取り付けられる段差面12cと、段差面12cの幅方向側部に設けられた内側面12dの上端からシャーシ12の幅方向外側に向けて延びるシャーシ取付面12eとを有し、シャーシ12のシャーシ取付面12eと、当該シャーシ12の直上段に配置されるシャーシ11の段差面11bとは、上段側から下段側に向けてねじ締結される。これにより、電子機器は、ねじの先端部をシャーシ12の外部に突出させることにより、ねじとシャーシ12のねじ孔との間から発生する金属屑におけるシャーシ12の内部への侵入を防止して、電気的不良を防止することができる。
【0065】
電子機器は、シャーシ12のシャーシ取付面12eと、当該シャーシ12の直上段に配置されるシャーシ11の段差面11bと、当該段差面11bに取り付けられる基板21とを、上段側から下段側に向けてねじ締結する。これにより、電子機器は、ねじの先端部をシャーシ12の外部に突出させることにより、ねじとシャーシ12のねじ孔との間から発生する金属屑におけるシャーシ12の内部への侵入を防止して、電気的不良を防止することができる。
【0066】
シャーシ12,13は、ベース面12a,13aから上方に向けて突出する絞り部12b,13bを有し、基板22,23と絞り部12b,13bとを、上段側から下段側に向けてねじ締結される。これにより、電子機器は、ねじの先端部をシャーシ12,13の外部に突出させることにより、ねじとシャーシ12,13のねじ孔との間から発生する金属屑におけるシャーシ12,13の内部への侵入を防止して、電気的不良を防止することができる。
【0067】
電子機器は、最上段に配置されるシャーシ11の段差面11bに取り付けられる基板21を、上方から覆うように配置されるカバー14を備え、このカバー14は、段差面11bに取り付けられるカバー取付面14cを有し、シャーシ11の段差面11bとカバー14のカバー取付面14cとは、ねじ締結される。これにより、電子機器は、ねじの先端部をシャーシ11の外部に突出させることにより、ねじとシャーシ11のねじ孔との間から発生する金属屑におけるシャーシ11の内部への侵入を防止して、電気的不良を防止することができる。
【0068】
電子機器は、シャーシ11,12,13を前方側から覆うように配置される前面板15を備え、シャーシ12,13は、内側面12d,13cの前端からシャーシ12,13の幅方向外側に向けて延びる面板取付面12f,13eを有し、カバー14は、内側面14bの前端からカバー14の幅方向外側に向けて延びる面板取付面14dを有し、面板取付面12f,13e,14dと前面板15の裏面とは、ねじ締結される。これにより、電子機器は、ねじの先端部をシャーシ12,13及びカバー14の外部に突出させることにより、ねじとシャーシ12,13及びカバー14のねじ孔との間から発生する金属屑におけるシャーシ12,13及びカバー14の内部への侵入を防止して、電気的不良を防止することができる。
【0069】
シャーシ11の段差面11bに取り付けられた基板21は、当該シャーシ11によって、他の基板22,23とは仕切られている。また、シャーシ12の絞り部12b及び段差面12cに取り付けられた基板22は、当該シャーシ12によって、他の基板23とは仕切られ、シャーシ11によって、他の基板21とは仕切られている。更に、シャーシ13の絞り部13bに取り付けられた基板23は、シャーシ12によって、他の基板21,22とは仕切られている。これにより、電子機器は、基板21,22,23を、他の基板21,22,23からの電磁ノイズから遮蔽することができる。
【0070】
実施の形態2.
実施の形態2に係る電子機器について、
図8を用いて説明する。
図8は、実施の形態2に係る電子機器の縦断面図である。なお、
図8に示した2点鎖線の矢印は、めじ締結方向を示している。
【0071】
実施の形態2に係る電子機器は、複数の基板22,23,24をそれぞれ支持するシャーシ12,13を、複数段(ここでは、2段)に積み重ねて一体化し、シャーシ12,13の幅寸法を、下段に配置される程、小さくしたものである。この場合、カバー14は、平板状をなしている。
【0072】
また、シャーシ12は、ベース面12aの反対側に位置する下面12iを有している。基板24は、下面12iに対して、下段側から上段側に向けてねじ締結されている。この基板24は、基板22が段差面12cにねじ締結される前に、下面12iにねじ締結される。
【0073】
以上、実施の形態2に係る電子機器は、基板22,23,24を支持するシャーシ12,13を、複数段に積み重ねて一体化し、シャーシ12,13の幅寸法を、下段に配置される程、小さくした電子機器であって、シャーシ13は、ベース面13aよりも高い位置に配置され、基板23が取り付けられる絞り部13bと、絞り部13bの幅方向側部に設けられた内側面13cの上端からシャーシ13の幅方向外側に向けて延びるシャーシ取付面13dとを有し、シャーシ13のシャーシ取付面13dと、当該シャーシ13の直上段に配置されるシャーシ12の段差面12cとは、上段側から下段側に向けてねじ締結される。これにより、電子機器は、ねじの先端部をシャーシ13の外部に突出させることにより、ねじとシャーシ13のねじ孔との間から発生する金属屑におけるシャーシ13の内部への侵入を防止して、電気的不良を防止することができる。
【0074】
シャーシ12は、ベース面12aの反対側に位置する下面12iを有し、基板22は、下面12iにねじ締結される。これにより、電子機器は、支持する基盤数量を増加させることができる。
【0075】
なお、本願発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは、各実施の形態における任意の構成要素の変形、もしくは、各実施の形態における任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0076】
11 シャーシ、11a ベース面、11b 段差面、11c 嵌合孔、12 シャーシ、12a ベース面、12b 絞り部、12c 段差面、12d 内側面、12e シャーシ取付面、12f 面板取付面、12g 嵌合突部、12h 嵌合孔、12i 下面、13 シャーシ、13a ベース面、13b 絞り部、13c 内側面、13d シャーシ取付面、13e 面板取付面、13f 嵌合突部、14 カバー、14a 天井面、14b 内側面、14c カバー取付面、14d 面板取付面、15 前面板、21~24 基板。