(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24D 17/00 20220101AFI20221216BHJP
F24D 3/00 20220101ALI20221216BHJP
F24D 17/02 20060101ALI20221216BHJP
F24D 3/08 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
F24D17/00 P
F24D3/00 J
F24D17/02
F24D3/08 E
(21)【出願番号】P 2019056338
(22)【出願日】2019-03-25
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深谷 篤
(72)【発明者】
【氏名】竹内 誉樹
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-129117(JP,U)
【文献】国際公開第2018/189942(WO,A1)
【文献】特開2018-071925(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0120824(US,A1)
【文献】特開2004-263912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 17/00
F24D 3/00
F24D 17/02
F24D 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が空調使用と給湯使用との何れか一方を選択可能な操作装置と、空調使用可能状態と給湯使用可能状態とで熱媒体流路を切換える流路切換装置と、該流路切換装置を制御する切換制御装置と、前記熱媒体流路の熱媒体を強制的に流動させるポンプ装置とを備える給湯装置において、
前記切換制御装置は、前記ポンプ装置の停止中に前記熱媒体流路を空調使用可能状態として待機しているとき、予め設定された空調使用待機時間が経過するまでの間に前記操作装置による空調使用の操作がされない場合は、前記流路切換装置を作動させて熱媒体流路を給湯使用可能状態に切換えることを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
使用者が空調使用と給湯使用との何れか一方を選択可能な操作装置と、空調使用可能状態と給湯使用可能状態とで熱媒体流路を切換える流路切換装置と、該流路切換装置を制御する切換制御装置と、前記熱媒体流路の熱媒体を強制的に流動させるポンプ装置とを備える給湯装置において、
使用者の不在を検出する不在検出装置を設け、
前記切換制御装置は、前記ポンプ装置の停止中に前記熱媒体流路を空調使用可能状態として待機しているとき、
前記不在検出装置によって使用者の不在が検出されず、且つ、前記空調使用待機時間が経過するまでの間に前記操作装置による空調使用の操作がされない場合は、前記流路切換装置を作動させて熱媒体流路を給湯使用可能状態に切換え、
前記不在検出装置によって使用者の不在が検出された場合は、前記空調使用待機時間が経過するまでの間に前記操作装置による空調使用の操作がされなくても前記熱媒流路を空調使用可能状態に維持することを特徴とする給湯装置。
【請求項3】
請求項2記載の給湯装置において、
前記不在検出装置は、前記切換制御装置が前記熱媒体流路を空調使用可能状態として前記空調使用待機時間が経過するまでの間に前記操作装置による給湯使用の操作がされなかったとき、使用者が不在であることを検出することを特徴とする給湯装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項記載の給湯装置において、
前記切換制御装置は、前記熱媒体流路を空調使用可能状態として前記空調使用待機時間の経過を待つ間に、前記操作装置による給湯使用の操作に応じて前記流路切換装置を作動させて熱媒体流路を給湯使用可能状態に切換えたとき、予め前記空調使用待機時間より短い時間に設定された給湯使用待機時間が経過するまで、熱媒体流路を給湯使用可能状態とすることを特徴とする給湯装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項記載の給湯装置において、
前記熱媒体流路の熱媒体を加熱する燃焼装置を備えることを特徴とする給湯装置。
【請求項6】
請求項1~4の何れか1項記載の給湯装置において、
前記熱媒体流路の熱媒体を加熱する加熱動作と熱媒体を冷却する冷却動作とを選択的に行うヒートポンプを備えることを特徴とする給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調と給湯とを使用者が切換えて使用する給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1台の加熱部を用いて給湯と暖房とがバランスよく実行される給湯装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このものは、燃焼装置で加熱された熱媒体を、暖房用熱媒体流路と給湯用熱媒体流路とで切換えて流動させる。
【0003】
暖房用熱媒体流路には、暖房端末が接続され、燃焼装置で加熱された熱媒体により暖房が行われる。給湯用熱媒体流路には、給湯用熱交換器が接続されている。給湯用熱交換器には、上流端が水道管等に接続され、下流端にカラン等の給湯栓が設けられた給湯路が設けられている。燃焼装置で加熱された熱媒体が給湯用熱媒体流路を流動すると、給湯用熱交換器により給湯路の水が加熱されて湯が生成される。
【0004】
この給湯装置における空調用熱媒体流路と給湯用熱媒体流路との切換えは、空調用熱媒体流路と給湯用熱媒体流路との分岐位置に設けられた三方弁によって行われる。
【0005】
三方弁は、使用者が暖房端末の運転を開始する操作(例えば、リモコン等の暖房スイッチのON操作)を行った際に給湯用熱媒体流路を閉じて空調用熱媒体流路を開ける。また、三方弁は、使用者が給湯を開始する操作(例えば、給湯栓の開栓操作)を行った際に空調用熱媒体流路を閉じて給湯用熱媒体流路を開ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
空調用熱媒体流路と給湯用熱媒体流路とを切換える三方弁は、暖房も給湯もされていない待機状態のときには、直前の状態に維持される。このため、三方弁が空調用熱媒体流路を開けた状態(空調使用可能状態)で待機しているときに、使用者が給湯を開始すると、三方弁が給湯用熱媒体流路を開けるまで(給湯使用可能状態となるまで)、給湯用熱交換器への熱媒体の供給が遅れてしまい、給湯使用時の立ち上がりが悪い不都合がある。
【0008】
上記の点に鑑み、本発明は、給湯使用時や空調使用時の立ち上がりを良くして使い勝手を向上させることができる給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明は、使用者が空調使用と給湯使用との何れか一方を選択可能な操作装置と、空調使用可能状態と給湯使用可能状態とで熱媒体流路を切換える流路切換装置と、該流路切換装置を制御する切換制御装置と、前記熱媒体流路の熱媒体を強制的に流動させるポンプ装置とを備える給湯装置において、前記切換制御装置は、前記ポンプ装置の停止中に前記熱媒体流路を空調使用可能状態として待機しているとき、予め設定された空調使用待機時間が経過するまでの間に前記操作装置による空調使用の操作がされない場合は、前記流路切換装置を作動させて熱媒体流路を給湯使用可能状態に切換えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、熱媒体流路が空調使用可能状態で待機しているとき、前記空調使用待機時間が経過しても使用者が空調を使用しなかった場合に、切換制御装置が熱媒体流路を給湯使用可能状態に切換える。空調使用待機時間は、空調が停止している待機状態の時間として、使用者によって空調が使用される可能性のある時間を超えた比較的長い時間(例えば20~30時間)に設定しておくことができる。比較的長い時間にわたって空調が使用されなかった場合は、これ以降空調が使用される見込みが少ないとみなすことができる。
【0011】
これにより、比較的長い時間にわたって空調が使用されなかった場合には、給湯の使用に備えて、熱媒体流路を給湯使用可能状態に切換えて待機することができ、給湯が使用された場合の立ち上がりを良くして使い勝手を向上させることができる。
【0012】
また、本発明は、使用者が空調使用と給湯使用との何れか一方を選択可能な操作装置と、空調使用可能状態と給湯使用可能状態とで熱媒体流路を切換える流路切換装置と、該流路切換装置を制御する切換制御装置と、前記熱媒体流路の熱媒体を強制的に流動させるポンプ装置とを備える給湯装置において、使用者の不在を検出する不在検出装置を設け、前記切換制御装置は、前記ポンプ装置の停止中に前記熱媒体流路を空調使用可能状態として待機しているとき、前記不在検出装置によって使用者の不在が検出されず、且つ、前記空調使用待機時間が経過するまでの間に前記操作装置による空調使用の操作がされない場合は、前記流路切換装置を作動させて熱媒体流路を給湯使用可能状態に切換え、前記不在検出装置によって使用者の不在が検出された場合は、前記空調使用待機時間が経過するまでの間に前記操作装置による空調使用の操作がされなくても前記熱媒流路を空調使用可能状態に維持することを特徴とする。
【0013】
使用者が不在のときには、空調だけでなく給湯も使用されない。そして、使用者が一時的に不在である場合には、帰宅した使用者が空調を使用する可能性が高い。そこで、比較的長い時間にわたって空調が使用されなかったとしても、不在検出装置によって不在が検出されたときには、熱媒流路を空調使用可能状態に維持する。これによれば、帰宅した使用者が空調を使用することに備えて、熱媒体流路を空調使用可能状態に切換えて待機することができ、空調が使用された場合の立ち上がりを良くして使い勝手を向上させることができる。
【0014】
前記不在検出装置は、前記切換制御装置が前記熱媒体流路を空調使用可能状態として前記空調使用待機時間が経過するまでの間に前記操作装置による給湯使用の操作がされなかったとき、使用者が不在であることを検出することが挙げられる。
【0015】
これによれば、空調使用待機時間内に空調が使用されないだけでなく給湯も使用されなかった場合には、使用者が不在であることが容易に判断できる。
【0016】
また、本発明の給湯装置において、前記切換制御装置は、前記熱媒体流路を空調使用可能状態として前記空調使用待機時間の経過を待つ間に、前記操作装置による給湯使用の操作に応じて前記流路切換装置を作動させて熱媒体流路を給湯使用可能状態に切換えたとき、予め前記空調使用待機時間より短い時間に設定された給湯使用待機時間が経過するまで、熱媒体流路を給湯使用可能状態とすることが好ましい。
【0017】
給湯が使用された場合には、比較的短時間をおいて再度給湯が使用される可能性がある。これに備えて、空調使用待機時間より短い時間(数分であることが好ましく例えば3~10分)に設定された給湯使用待機時間は熱媒体流路を給湯使用可能状態とすることにより、短時間間隔での断続的な給湯使用時に立ち上がりを良くすることができる。更に、給湯使用待機時間は空調使用待機時間より短い時間に設定されていることにより、熱媒体流路を空調使用可能状態に復帰して空調使用に備えることができる。
【0018】
また、本発明における給湯装置の一態様として、前記熱媒体流路の熱媒体を加熱するために燃焼装置を備えることが挙げられる。燃焼装置により熱媒体の加熱を比較的迅速に行うことができる。これにより、暖房や給湯使用時の立ち上がり速度を一層向上させることができる。
【0019】
また、本発明の給湯装置の他の態様として、前記熱媒体流路の熱媒体を加熱する加熱動作と熱媒体を冷却する冷却動作とを選択的に行うヒートポンプを備えることが挙げられる。これによれば、ヒートポンプで加熱した熱媒体を空調端末に供給して暖房を行うことができるだけでなく、ヒートポンプで冷却した熱媒体を空調端末に供給して冷房を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の給湯装置1は、燃焼装置2と、熱媒体生成路3と、暖房用熱媒体流路4と、給湯用熱媒体流路5とを備えている。熱媒体生成路3、暖房用熱媒体流路4、及び給湯用熱媒体流路5は、本発明の熱媒体流路を構成するものである。
【0022】
燃焼装置2は、熱媒体生成路3が接続された熱媒体熱交換器6と、熱媒体熱交換器6を加熱するバーナ7と、燃焼ファン8とを備えている。バーナ7の近傍には、バーナ7に点火するための点火電極9と、バーナ7の炎を検出するフレームロッド10とが設けられている。燃焼ファン8は、ガス供給路11から供給される燃料ガスと燃焼用空気とを混合して生成した混合ガスをバーナ7へ強制的に送る。ガス供給路11には、開度を変更して燃料ガスの供給流量を変更するガス可変弁12が設けられている。
【0023】
熱媒体生成路3は、熱媒体(水、不凍液等)を循環させる循環ポンプ13を備えている。循環ポンプ13は本発明のポンプ装置に相当する。また、熱媒体生成路3には、熱媒体熱交換器6に流入する熱媒体の温度を検出する入口温度センサ14と、熱媒体熱交換器6の入口付近の圧力を検出する圧力センサ15と、熱媒体熱交換器6から流出する熱媒体の温度を検出する出口温度センサ16とが設けられている。
【0024】
熱媒体生成路3には、暖房用熱媒体流路4と給湯用熱媒体流路5とが並列に接続されている。暖房用熱媒体流路4には暖房端末17が接続されている。給湯用熱媒体流路5には給湯熱交換器18が接続されている。また、給湯熱交換器18には、上流端が上水道(図示しない)に接続されると共に下流端がカラン等の給湯栓19に接続された給湯路20が接続されている。給湯熱交換器18は、給湯用熱媒体流路5を流れる加熱された熱媒体と給湯路20を流れる水との間で熱交換を行って、給湯路20を流れる水を加熱する。
【0025】
暖房用熱媒体流路4と給湯用熱媒体流路5との一方の接続位置(分岐位置)には、三方弁として知られる切換弁21が設けられている。切換弁21は、暖房用熱媒体流路4を開とし給湯用熱媒体流路5を閉とすることで熱媒体生成路3と暖房用熱媒体流路4を連通させ、空調使用可能状態とする。また、切換弁21は、暖房用熱媒体流路4を閉とし給湯用熱媒体流路5を開とすることで熱媒体生成路3と給湯用熱媒体流路5を連通させ、給湯使用可能状態とする。切換弁21は、本発明の流路切換装置に相当する。
【0026】
給湯路20には、給湯路20に流入する水の流量を検出する流量センサ22と、給湯路20の開度を変更して給湯路20に流入する水の流量を変更する流量可変弁23と、給湯熱交換器18により加熱された給湯路20の湯の温度を検出する出湯温度センサ24とが設けられている。
【0027】
更に、給湯装置1は、コントローラ25を備えている。コントローラ25は、バーナ7の燃焼を制御する燃焼制御部26、運転状況に応じて切換弁を制御する切換制御部27、使用者の不在を検出する不在検出部28、第1タイマ29、第2タイマ30、及びその他の図示しない制御部を機能として備えている。コントローラ25の切換制御部27は、本発明の切換制御装置に相当し、不在検出部28は、本発明の不在検出装置に相当する。
【0028】
コントローラ25には、フレームロッド10、入口温度センサ14、圧力センサ15、出口温度センサ16、流量センサ22、及び出湯温度センサ24の各検出信号が入力される。また、コントローラ25から出力される制御信号により、バーナ7、点火電極9、切換弁21、循環ポンプ13、ガス可変弁12、燃焼ファン8、及び流量可変弁23の作動が制御される。
【0029】
コントローラ25には、給湯装置1を遠隔操作するための給湯リモコン31が接続されており、使用者による給湯リモコン31の操作に応じて、操作信号(給湯設定温度等の運転条件の設定、暖房運転の開始等を指示する信号)がコントローラ25に入力される。また、コントローラ25には、暖房端末17を遠隔操作するための暖房リモコン32が接続されている。暖房リモコン32は、暖房の開始/停止指示、暖房設定温度、室温センサ33による室温の検出温度等を示す信号をコントローラ25へ送信する。
【0030】
給湯装置1は、使用者が給湯リモコン31又は暖房リモコン32により暖房の開始操作を行ったときに空調運転である暖房運転を開始し、使用者が給湯栓19が開栓したとき給湯運転を行う。本実施形態における給湯リモコン31、暖房リモコン32、及び給湯栓19は、本発明の操作装置に相当する。
【0031】
暖房運転において、コントローラ25の切換制御部27は、切換弁21を作動させて給湯用熱媒体流路5を閉とし暖房用熱媒体流路4を開とする。これにより、熱媒体生成路3と暖房用熱媒体流路4を連通させ、空調使用可能状態とする。次いで、コントローラ25は、循環ポンプ13を作動させ、熱媒体生成路3と暖房用熱媒体流路4とで構成される循環流路に熱媒体を循環させる。この状態で、コントローラ25の燃焼制御部26は、室温センサ33の検出温度が暖房設定温度付近となるようにバーナ7の燃焼を制御することにより暖房運転を行う。
【0032】
そしてコントローラ25は、使用者が給湯リモコン31又は暖房リモコン32により暖房の停止操作を行ったときに、バーナ7と循環ポンプ13の作動を停止させ、暖房運転を終了する。
【0033】
給湯運転は、コントローラ25が監視している流量センサ22の検出流量が閾値流量(給湯栓19が開栓された状態を想定して設定される)以上になっているときに実行される。
【0034】
給湯運転において、コントローラ25の切換制御部27は、切換弁21を作動させて給湯用熱媒体流路5を開とし暖房用熱媒体流路4を閉とする。これにより、熱媒体生成路3と給湯用熱媒体流路5を連通させ、給湯使用可能状態とする。次いで、コントローラ25は、循環ポンプ13を作動させ、熱媒体生成路3と給湯用熱媒体流路5とで構成される循環流路に熱媒体を循環させる。この状態で、コントローラ25の燃焼制御部26は、出湯温度センサ24の検出温度が給湯リモコン31により設定された目標給湯温度となるように、バーナ7の燃焼を制御する。
【0035】
給湯用熱媒体流路5に加熱された熱媒体が流れると、給湯熱交換器18により給湯用熱媒体流路5を流れる加熱された熱媒体と給湯路20を流れる水との間で熱交換が行われ、給湯路20を流れる水が加熱されて湯が生成される。この給湯運転により、開栓された給湯栓19から出湯する。
【0036】
そしてコントローラ25は、使用者による給湯栓19の閉操作を流量センサ22の検出流量に基づいて検出すると、バーナ7と循環ポンプ13の作動を停止させ、給湯運転を終了する。
【0037】
コントローラ25は、暖房運転が終了すると空調使用可能状態を維持する。これにより、再度暖房運転を行う際の切換弁21の切換動作等によるタイムラグをなくし、暖房効果の立ち上がりを早くすることができる。また、コントローラ25は、給湯運転が終了すると給湯使用可能状態を維持する。これにより、切換弁21の切換動作等によるタイムラグをなくし、給湯栓19からの出湯時の立ち上がりを早くすることができる。
【0038】
これに基づき、コントローラ25は、待機中(バーナ7及び循環ポンプ13が停止しているとき)の切換弁21の状態を暖房運転や給湯運転の状況に応じて選択するようになっている。このときのコントローラ25の切換制御部27の作動を、
図2に示したフローチャートに従って説明する。
【0039】
図2に示すように、切換制御部27は、STEP1で暖房運転開始と判断すると、STEP2へ進んで切換弁21を作動させ、暖房用熱媒体流路4を開とし給湯用熱媒体流路5を閉とする。これにより、熱媒体流路は空調使用可能状態となる。
【0040】
そして、切換制御部27は、STEP3で暖房運転終了と判断すると、STEP4へ進んで第1タイマ29により計時を開始する。第1タイマ29には、計時時間として24時間がセットされている。第1タイマ29の計時時間は空調使用待機時間に相当する。第1タイマ29の計時時間は、本実施形態では24時間としたが、これに限らず、暖房運転が終了した以降、使用者によって再び暖房が使用される可能性のある時間を超えた比較的長い時間を設定することができる。
【0041】
続いて、切換制御部27は、STEP5へ進んで暖房運転が開始されていなければ、STEP6で第1タイマ29がタイムアップするまで(暖房運転終了から24時間経過するまで)STEP5へ戻って暖房運転の有無の監視を行う。
【0042】
切換制御部27は、STEP5で暖房運転開始と判断すると、STEP7で第1タイマ29をリセットしてSTEP3へ戻り、これをSTEP6で第1タイマ29がタイムアップするまで繰り返す。
【0043】
以上によれば、一度暖房運転が行われると、熱媒体流路は空調使用可能状態が24時間は維持されるので、暖房を開始したときの立ち上がりが良い状態で給湯装置1を待機させておくことができる。
【0044】
STEP6で第1タイマ29がタイムアップすると(暖房運転終了から24時間経過すると)、切換制御部27はSTEP8へ進んで、使用者が不在か否か(不在検出部28により使用者の不在が検出されたか否か)を判断する。使用者が不在でなければ、切換制御部27は、STEP9へ進んで暖房用熱媒体流路4を閉とし給湯用熱媒体流路5を開としてSTEP1へ戻る。これにより、給湯装置1は給湯使用可能状態で待機状態となる。
【0045】
暖房運転終了から24時間経過しても暖房運転が行われなかった場合には、気温が上昇した(空調運転が不要な季節になった)と推測でき、これ以降に暖房運転が使われる可能性が低いと考えられる。そこで、暖房運転終了から24時間が経過した場合には、給湯使用可能状態としておき、給湯使用時の立ち上がりを向上させる。これにより、給湯使用時の使い勝手が向上する。
【0046】
しかし、暖房運転終了から24時間経過したとしても、使用者が旅行等の長期外出によって不在となっている場合には、気温が低くても暖房運転がされなかったと推測できる。そこで、切換制御部27は、STEP8で使用者が不在であると判断すると、STEP1へ戻る。この時の状態は、STEP9の処理が行われないため、暖房用熱媒体流路4が開とされ給湯用熱媒体流路5が閉とされた空調使用可能状態で待機状態となる。これにより、使用者が帰宅後に暖房運転を開始したとき、暖房効果における早い立ち上がりを得ることができる。なお、切換制御部27は、STEP8で使用者が不在であると判断した場合には、STEP4へ戻り、暖房運転の有無を監視してもよい。
【0047】
不在検出部28は、STEP4~STEP6の間(熱媒体流路が空調使用可能状態となって空調使用待機時間が経過するまでの間)に、給湯使用(給湯栓19の開栓操作)がなかった場合、使用者の不在を検出する。また、これ以外に、不在検出部28が使用者の不在を検出する方法としては、図示しないが、例えば、給湯リモコン31等に不在スイッチを設けて、長期外出の際に使用者が不在スイッチを操作するようにしてもよい。
【0048】
また、図示しないが、本実施形態のコントローラ25においては、STEP4~STEP6の間に、給湯運転が行われた場合、切換制御部27は、給湯運転の終了時に第2タイマ30により計時を開始し、第2タイマ30がタイムアップするまで熱媒体流路を給湯使用可能状態に維持する。第2タイマ30は、第1タイマ29より短い計時時間とされている。本実施形態においては、第2タイマ30の計時時間として3分がセットされているが、これに限るものではなく、給湯使用時の給湯栓19の開閉動作間隔を予測してセットすることができる。
【0049】
以上により、例えば、給湯栓19の開閉が短時間の間に複数回行われても、その間は出湯に際しての早い立ち上がりが得られ、使い勝手が向上する。
【0050】
なお、本実施形態においては、流路切換装置として所謂三方弁である切換弁21を採用したことにより構造簡単としたが、これ以外に、図示しないが、暖房用熱媒体流路4と給湯用熱媒体流路5との夫々に各別の開閉弁を設けて流路切換装置としてもよい。
【0051】
また、本実施形態の給湯装置1においては、熱媒体生成路3の熱媒体を加熱するために燃焼装置2を備え、空調運転としての暖房運転のみを行う構成を示しているが、これに限るものではなく、例えば、
図3に構成を模式的に示すように、熱媒体生成路3の熱媒体を加熱するためにヒートポンプ34を設けてもよい。
【0052】
ヒートポンプ34を採用した場合には、空調運転として冷暖房運転を行うことができる。即ち、
図3に示すように、ヒートポンプ34を熱媒体を加熱するように作動させて給湯運転及び空調端末35による暖房運転を行う。更に、
図4に示すように、熱媒体を冷却するようにヒートポンプ34を作動させることにより、冷却された熱媒体を循環ポンプ13の逆回転により空調用熱媒体流路36に送り、空調端末35による冷房運転を行う。
【0053】
冷房運転においては、冷房運転終了から24時間(空調使用待機時間)が経過しても冷房運転が行われなかった場合に、気温が低下した(空調運転が不要な季節になった)と推測でき、これ以降に冷房運転が使われる可能性が低いと考えられる。そこで、前述した暖房運転と同様に、冷房運転終了から24時間が経過した場合には、給湯使用可能状態としておき、給湯使用時の立ち上がりを向上させる。これにより、給湯使用時の使い勝手が向上する。
【符号の説明】
【0054】
1…給湯装置、2…燃焼装置、3…熱媒体生成路(熱媒体流路)、4…暖房用熱媒体流路(熱媒体流路)、5…給湯用熱媒体流路(熱媒体流路)、13…循環ポンプ(ポンプ装置)、19…給湯栓(操作装置)、21…切換弁(流路切換装置)、27…切換制御部(切換制御装置)、28…不在検出部(不在検出装置)、31…給湯リモコン(操作装置)、32…暖房リモコン(操作装置)、34…ヒートポンプ、36…空調用熱媒体流路(熱媒体流路)。