(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】車両用運転支援装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20221216BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 F
(21)【出願番号】P 2019067704
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉橋 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】木下 佳紀
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘喜
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 将隆
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 宏
(72)【発明者】
【氏名】小林 実
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-146053(JP,A)
【文献】特開2001-215129(JP,A)
【文献】国際公開第2015/072030(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点に設置された信号機の灯色の遷移および灯色の点灯時間を少なくとも含む信号情報を車外から受信する受信部と、
自車位置から交差点の停止線までの残距離を算出する残距離算出部と、
信号情報と残距離とに基づいて、交差点を信号機の灯色に従って通過できる速度範囲を算出する通過速度範囲算出部と、を有し、
運転支援情報として通過速度範囲を出力する車両用運転支援装置において、
運転支援の対象となる交差点
を横切る道路の幅員が所定値以上の場合は、
交差点入口と交差点出口との間の所定位置を仮想停止線の位置とし、
自車位置から前記仮想停止線までの残距離に基づいて運転支援情報を出力する
ことを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用運転支援装置おいて、
地図情報に基づき、交差点
を横切る道路の幅員を検出する
ことを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用運転支援装置において、
運転支援が減速支援の場合には、実際の停止線を目標停止位置とする
ことを特徴とする車両用運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者に信号交差点の運行支援情報を通知する車両用運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、信号情報活用運転支援システム(TSPS:Traffic Signal Prediction Systems)と称される、車両の運転者への運転支援情報の出力機能を備えた車両あるいは車載装置が普及しつつある。詳しくは、TSPSは、車両が信号機の設置された交差点を通過する際に、交差点の上流地点で、信号機の現在の灯色、各灯色の点灯時間、および次の灯色に変化するまでの残秒数(残り時間、待ち時間)等を含む信号情報を車外から受信し、受信した信号情報と自車両の位置・車速とから自車両の交差点への到達時間を算出し、赤信号減速支援や信号通過支援等の運転者が交差点を円滑に通行する支援情報を通知するサービスを提供する。
【0003】
例えば、特許文献1には、走行中の車両が交差点で車外から信号機の情報を受信し、受信した信号情報を利用して交差点を通行する車両用運転支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術には、信号機までの到達時間から余裕時間αを減算して、青から黄または赤に変化するまでの時間(変化時間)と比較し、余裕時間αが減算された到達時間が、変化時間以下であれば、車両は、交差点を通過することが開示されている。
しかし、特許文献1に開示されている技術では、横切る道路の幅員が大きい交差点においては、交差点の通過途中で、信号機が青から黄または赤になる場合がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、交差点を通過中に、信号機が青色から黄色または赤色に切り替わることを低減し、運転支援情報への不安感を生じさせない運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、交差点に設置された信号機の灯色の遷移および灯色の点灯時間を少なくとも含む信号情報を車外から受信する受信部と、自車位置から交差点の停止線までの残距離を算出する残距離算出部と、信号情報と残距離とに基づいて、交差点を信号機の灯色に従って通過できる速度範囲を算出する通過速度範囲算出部と、を有し、運転支援情報として通過速度範囲を出力する車両用運転支援装置が、運転支援の対象となる交差点を横切る道路の幅員が所定値以上の場合は、交差点入口と交差点出口との間の所定位置を仮想停止線の位置とし、自車位置から前記仮想停止線までの残距離に基づいて運転支援情報を出力するようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車両用運転支援装置によれば、交差点を通過中に、信号機が青色から黄色または赤色に切り替わることを低減し、運転支援情報への不安感を生じさせない運転支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】安全運転支援システムの概要を示す図である。
【
図3】通過速度範囲の算出方法の概要を説明する図である。
【
図4】運転支援情報の出力動作を説明するフロー図である。
【
図5】他の通過速度範囲の算出処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、実施形態の車両用運転支援装置1が動作する前提となる路側インフラを
図1により説明する。
図1は、安全運転支援システム(DSSS:Driving Safety Support Systems)の概要を示す図である。
ここで、車両用運転支援装置1を搭載する車両100は、交差点Aと交差点Bが設けられている道路90を、紙面の左から右に走行するものとする。
【0011】
交差点Aには、信号制御装置61により点灯タイミングが制御されている信号機60a、60b、60c、60dが設けられ、交差点Bには、信号制御装置63により点灯タイミングが制御されている信号機62a、62b、62c、62dが設けられている。
信号制御装置61、62は、交通管制センタ64に接続されており、交通管制センタ64から設定された信号機60a、60b、60c、60d、62a、62b、62c、62dの信号灯(本明細書では、信号機の赤、青、黄色の発光部のそれぞれを信号灯と記す)の点灯時間の制御情報に基づいて、信号灯の点灯・消灯を制御する。
この各信号機の点灯時間の制御情報は、路線信号情報として、交通管制センタ64から光ビーコン制御機65に通知される。
【0012】
光ビーコン66は、信号機60a、62aの上流側の道路90に設けられ、光ビーコン制御機65により制御されて信号機60a、62aが設けられた交差点を通行する車両100と情報を授受する無線通信装置である。
光ビーコン66は、走行する道路90の複数の交差点に設置された信号機における、それぞれの信号灯の点灯時間を示す制御情報を含む路線信号情報の他に、各交差点の形状や停止線の位置情報を含む道路線形情報を車両100に通知する。
【0013】
実施形態の車両用運転支援装置1は、路線信号情報および道路線形情報を、近赤外光通信の光ビーコン66を介して取得するが、これに替えて、5.8GHz帯の狭域通信であるDSRC(Dedicated Short Range Communication)により、路線信号情報および道路線形情報を取得してもよい。
また、車両用運転支援装置1は、「700MHz帯高度道路交通システム」(ARIB STD-T109)に既定される無線通信方式による路車間通信により、路側機(無線基地局)を介して、交通管制センタ64から路線信号情報および道路線形情報を取得するようにしてもよい。
【0014】
さらに、車両用運転支援装置1は、携帯無線通信によって、車両100の位置情報、交差点番号あるいは交差点の位置情報(緯度・経度情報)を交通管制センタ64に通知し、対応する路線信号情報および道路線形情報を取得してもよい。
【0015】
車両用運転支援装置1は、上記の路線信号情報(信号機の点灯時間情報)と道路線形情報(交差点形状や停止線の位置情報)、および、車両100の測位情報と速度情報とから、運転者に運転支援情報を提供する信号情報活用運転システムを構築する。
【0016】
図2は、車両用運転支援装置1の構成図である。
光ビーコン送受信部21は、光ビーコン66(
図1参照)のダウンリンクにより路線信号情報および道路線形情報を取得するとともに、アップリンクとして車両IDとトリップタイムを光ビーコン66に通知する近赤外光の通信部である。
路車間通信部22は、交差点Aと交差点Bに設置された路側機(図示せず)と、700MHz帯無線により、路線信号情報および道路線形情報を受信する通信部である。
【0017】
位置情報取得部31は、GPS(Global Positioning System)等の車両100の位置情報を取得する処理部である。
道路情報記憶部32は、道路地図情報、交差点形状、停止線の位置情報等を蓄積する記憶部である。例えば、ナビゲーション装置の地図情報を取得して蓄積してもよいし、光ビーコン送受信部21や路車間通信部22で取得した情報を蓄積してもよい。
【0018】
車速センサ41は、車両100の走行速度を検出する速度センサである。
【0019】
表示部51は、前方の交差点を青信号で通過できる車両100の速度範囲を、運転者に通知するか、または、車両100の不要な加減速を行うことなく、赤信号の交差点の停止線に停止するための、アクセルワークを通知する表示部である。
音出力部52は、運転者が信号通過支援や赤信号減速支援等の運転支援情報に目が向くように、警告音や音声を出力する出力部である。
【0020】
運転支援制御部10は、マイクロコンピュータや入出力部を含む情報処理部であり、内蔵するメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、以後に詳細を説明する信号情報取得部(受信部)11、交差点情報取得部12、点灯時刻算出部13、残距離算出部14、通過速度範囲算出部15、信号通過支援情報出力部16、赤信号減速支援情報出力部17が処理部として機能する。
【0021】
図2においては、実施形態の車両用運転支援装置1が、光ビーコン送受信部21と路車間通信部22の両方を備える構成を記載しているが、いずれか一方を備えて、路線信号情報および道路線形情報を取得できればよい。
また、車両用運転支援装置1が、光ビーコン送受信部21または路車間通信部22に替えて、DSRC送受信器を備えるようにしてもよい。
より具体的には、実施形態の車両用運転支援装置1は、車両100の運転支援ECU(Electronic Control Unit)やカーナビゲーションの一部機能として実現することができる。
【0022】
つぎに、
図3により、車両用運転支援装置1が運転支援情報として通知する、車両が交差点を通過する際の、通過速度範囲の算出方法について説明する。
図3は、車両100の交差点の通過状況を示す図であり、縦軸は時間経過を示し、横軸は走行距離を示している。
図3の直線または点線の傾きが、車両100の車速を示している。
図3では、傾きがゆるいほど高速である。
【0023】
図3の原点は、車両100の現在時刻における走行位置を示している。
時間軸のTbは信号機の青点灯時刻、Tyは黄点灯時刻、Trは赤点灯時刻を示している。信号機の点灯時刻は、路線信号情報における各色の点灯時間と路線信号情報通知時の点灯色とその点灯残り時間、および、路線信号情報の取得時刻から求めることができる。
図3では、現在時刻からTbでは信号機は赤点灯し、TbからTyでは青点灯し、TyからTrでは黄点灯し、Tr以後は赤点灯している。
【0024】
現在時刻の走行位置から停止線までの距離は、道路線形情報として取得した停止線位置と、車両100の位置情報との差分から算出する。また、道路線形情報を取得した時刻から現在時刻までの車速を積分して走行距離を求め、道路線形情報の停止線距離から減じて、停止線までの距離を求めてもよい。
現在時刻の走行位置から交差点入口と交差点出口までの距離は、停止線の位置を基準に、道路線形情報として取得した交差点形状の情報から求めることができる。
【0025】
まず、車両100が最速で交差点を通過する場合について説明する。
車両100は、信号機が赤点灯している場合には、停止線を超えて交差点内に進入することができない。このため、通過点3aが、車両100が交差点に進入する最速の通過点となる。この時の車両100の車速は、現在時刻の走行位置から停止線までの距離を、現在時刻からTbまでの時間で除算することで算出する。この算出した車速を、通過速度範囲の上限速度とする。
【0026】
車両100は、信号機が黄点灯している場合にも、停止線を超えて交差点内に進入することができないが、停止線の手前で安全に停止することができない場合には、そのまま進入することができる。このため、通過点3bが、車両100が交差点に進入する最遅の通過点となる。この場合には、車両100の交差点の通過途中で、信号機は黄点灯に変わり、横切る道路の幅員が大きい交差点では、赤点灯に変わる場合もある。交差点の通過中に信号機が赤点灯することは、運転者にとって違和感があるため、通過点3bを通過する通過速度範囲を運転支援情報とすることは好ましくない。
【0027】
車両100が交差点に進入する最遅の通過点を、通過点3cとすることで、交差点の通過途中で、信号機が変わることがないが、交差点の通過速度範囲が狭い問題がある。
このため、実施形態の車両用運転支援装置1では、信号機が黄点灯から赤点灯に変わる時に交差点出口に位置する通過点3d、あるいは、信号機が青点灯から黄点灯に変わる時に交差点中央に位置する通過点3eを、車両100が交差点に進入する最遅の通過点とし、通過速度範囲の下限速度を算出する。
【0028】
通過点3dを下限速度の通過点とした場合には、信号機が黄点灯から赤点灯に変わる時に、交差点出口を通過するので、交差点の通過途中に信号機が赤点灯することがないので、運転者が運転支援情報へ不安感を抱く恐れがない。
【0029】
通過点3dまでの距離は、道路線形情報の交差点形状に基づいて算出できるが、交差点の形状情報を取得できないことがある。道路中心線データは、汎用性が高く、情報取得が容易である。このため、道路中心である交差点中央(通過点3e)を通過点とすることにより、運転支援情報の提供が欠落することを防止できる。通過点3eを下限速度の通過点とした場合にも、交差点の通過途中に信号機が赤点灯することがないので、運転者が運転支援情報へ不安感を抱く恐れがない。
【0030】
なお、下限速度を算出する通過点は、通過点3dあるいは通過点3eに限定されず、信号機が青点灯から黄点灯に変わる時刻(Ty)における交差点入口から交差点出口までの任意の地点であってもよい。下限速度を算出する通過点3aと、上限速度を算出する停止線位置よりも所定距離だけ交差点内側に設定した通過点(仮想停止線)とを、別に設けることにより、交差点の通過途中で信号機が赤点灯することがない通過速度範囲を設定することができる。
【0031】
さらに、交差点の幅員が所定値以上の場合に、停止線位置により下限速度を算出し、停止線位置より所定距離だけ交差点内側の通過点により上限速度を算出するようにし、交差点の幅員が所定値より小の場合には、停止線位置により下限速度と上限速度を算出するようにしてもよい。
この場合には、下限速度の算出するための通過点の算出を容易に行うことができるので、処理負荷を低減することができる。
【0032】
つぎに、
図4と
図5により、運転支援制御部10の機能を詳細に説明する。
まず、
図4により、車両用運転支援装置1の運転支援情報の出力動作を説明する。
【0033】
ステップS41で、運転支援制御部10の信号情報取得部11は、光ビーコン送受信部21または路車間通信部22により、信号機60a等の信号機の点灯時間情報を含む路線信号情報を取得する。また、運転支援制御部10の交差点情報取得部12は、光ビーコン送受信部21または路車間通信部22により、交差点の形状や停止線の位置情報を含む道路線形情報を取得するか、または、道路情報記憶部32から道路線形情報を取得する。
運転支援制御部10は、信号情報取得部11と交差点情報取得部12による、路線信号情報と道路線形情報の取得を待機し(S41のNo)、路線信号情報と道路線形情報を取得すると、ステップS42に進む(S41のYes)。
【0034】
ステップS42で、運転支援制御部10の点灯時刻算出部13は、信号情報取得部11で取得した路線信号情報における、信号灯の各点灯パターンの点灯時間(点灯時間情報)から信号機の点灯サイクル時間(各点灯パターンの点灯時間の合算値)を求め、路線信号情報の取得時刻と、その時点の点灯色と点灯残り時間と、から、運転支援情報を出力する前方交差点の各信号灯の点灯時刻(
図3のTb、Ty、Tr)を算出する。
【0035】
ステップS43で、運転支援制御部10は、ステップS42で算出した各信号灯の点灯時刻から、直近の青点灯の点灯時刻から消灯時刻までを通過可能時間帯とする。
【0036】
そして、運転支援制御部10の残距離算出部14は、位置情報取得部31により、車両100の現在位置情報(例えば、緯度・経度情報)を取得し、光ビーコン送受信部21または路車間通信部22より取得した道路線形情報の停止線の位置情報または交差点位置情報との差分を求めて、前方交差点までの残距離を算出する。
運転支援制御部10の残距離算出部14は、道路情報記憶部32を参照し、予め記憶されている地図情報に基づいて、支援情報を提供する交差点の位置情報と、位置情報取得部31により取得した車両100の現在位置情報との差分から前方交差点までの残距離を算出してもよい。
【0037】
ステップS44で、運転支援制御部10の通過速度範囲算出部15は、ステップS43で算出した残距離を、現在時刻から前方交差点における直近の通過可能時間帯の開始時刻までの走行時間で除した値を、前方交差点の通過速度範囲の上限速度として算出する。そして、通過可能時間帯の終了時刻までの走行時間で除した値を、通過速度範囲の下限速度と算出して、車両100の前方交差点の通過速度範囲を求める。
詳しくは、
図3で説明したように、下限速度は、通過可能時間帯の終了時刻における通過点の設定により異なる。
図5により、より詳細に通過可能速度範囲の算出フローを説明する。
【0038】
ステップS45で、運転支援制御部10は、ステップS44で算出した前方交差点の通過速度範囲の下限速度が、道路90の制限速度(法定の最高速度)以下であるかを判定する。
下限速度が、制限速度より早い場合には(S45のNo)、車両100は、交差点を通過することができないので、ステップS47に進む。
【0039】
ステップS47で、運転支援制御部10は、赤信号減速支援情報出力部17により、表示部51および音出力部52を制御して、交差点の停止線で停止するように案内する運転支援情報を、赤信号減速支援情報として出力する。例えば、赤信号減速支援情報出力部17は、赤信号減速支援情報として、メータパネル等の表示部に、加速を抑止する表示やアクセルオフを勧める表示を行うか、または、案内音声を音出力部52に出力する。
そして、ステップS42に戻り、前方交差点の停止線で停止するまで、所定の周期でステップS42からステップS47の処理を繰り返す。
【0040】
ステップS45で、下限速度が制限速度以下の場合には(S45のYes)、車両100は、通過速度範囲が制限速度以下の範囲であれば、道路90を走行して、交差点を通過することができるので、ステップS46に進む。
ステップS46では、運転支援制御部10は、信号通過支援情報出力部16により、交差点を通過するための速度範囲を信号通過支援情報として出力する。例えば、信号通過支援情報出力部16は、信号通過支援情報として、メータパネル等の表示部に、下限速度から上限速度(上限速度が制限速度を超える場合には、制限速度)の車両100の推奨速度範囲を表示するか、または、案内音声を音出力部52に出力する。
【0041】
運転支援制御部10は、ステップS46の処理を終了すると、ステップS42に戻り、前方交差点の停止線で停止するまで、所定の周期でステップS42からステップS46の処理を繰り返す。
【0042】
運転支援制御部10は、交差点を通過すると、ステップS41で取得した情報の範囲で、以後の交差点について、運転支援情報の出力処理を周期的に繰り返す。
【0043】
交差点が混雑や渋滞している場合には、推奨速度範囲で走行できないため、運転支援制御部10は、
図5の処理フローにおいて、車両100が、ステップS46で出力した推奨速度範囲で走行しているか否かを、車速センサ41により測定した車速により判定し、所定期間、推奨速度範囲で走行していない場合には、信号通過支援情報の出力を中止するようにしてもよい。これにより、信号通過支援情報の確度の印象を向上することができる。
【0044】
また、運転支援制御部10は、光ビーコン送受信部21または路車間通信部22を介して、路線信号情報を取得する道路の渋滞情報を取得し、渋滞している交差点では、路線信号情報に基づく運転支援情報を出力しないようにしてもよい。
【0045】
つぎに、
図5により、
図4のステップS44の詳細を説明する。
図5は、信号機が青点灯から黄点灯に変わる時に交差点中央に位置する通過点3e(
図3参照)を車両100が交差点に通過する最遅の通過点とし、通過速度範囲の下限速度を算出する場合の処理フローである。
【0046】
ステップS51で、通過速度範囲算出部15は、現在位置から交差点の停止線に対応する通過点3aまでの走行距離を求める。そして、通過点3aまでの到達時間として、青点灯時刻Tbまでの経過時間を設定する。
ステップS52で、通過速度範囲算出部15は、ステップS51で求めた走行距離を到達時間で除して、通過速度範囲の上限速度を算出する。
【0047】
ステップS53で、通過速度範囲算出部15は、交差点形状情報に基づいて、信号通過支援情報あるいは赤信号減速支援情報を出力する交差点の幅員が、所定幅以上であるか否かを判定し、幅員が所定値以上であれば(S53のYes)、ステップS54に進み、幅員が所定値より小であれば(S53のNo)、ステップS56に進む。
【0048】
ステップS54で、通過速度範囲算出部15は、現在位置から交差点中央に位置する通過点3e(仮想停止線)までの走行距離を求める。そして、通過点3eまでの到達時間として、黄点灯時刻Tyまでの経過時間を設定する。
ステップS55で、通過速度範囲算出部15は、ステップS54で求めた走行距離を到達時間で除して、通過速度範囲の下限速度を算出する。
【0049】
ステップS56で、通過速度範囲算出部15は、現在位置から停止線に対応する通過点3bまでの走行距離を求める。そして、通過点3bまでの到達時間として、黄点灯時刻Tyまでの経過時間を設定する。
ステップS57で、ステップS56で求めた走行距離を到達時間で除して、通過速度範囲の下限速度を算出する。
【0050】
図3で説明した下限速度を通過点3dにより算出する場合には、ステップS54において、通過速度範囲算出部15が、現在位置から交差点出口に位置する通過点3dまでの走行距離を求め、通過点3dまでの到達時間として、赤点灯時刻Trまでの経過時間を設定すればよい。
【0051】
また、交差点中央(通過点3e)あるいは交差点出口(通過点3d)に限定せずに、交差点内の認定の地点を黄点灯時刻Tyにおける通過点(仮想停止線)として下限速度を算出する場合には、ステップS54において、通過速度範囲算出部15が、現在位置から仮想停止線までの走行距離を求め、仮想停止線までの到達時間として、黄点灯時刻Tyまでの経過時間を設定すればよい。
さらに、仮想停止線の位置を、交差点の幅員に応じて、交差点出口側に設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 車両用運転支援装置
10 運転支援制御部
11 信号情報取得部
12 交差点情報取得部
13 点灯時刻算出部
14 残距離算出部
15 通過速度範囲算出部
16 信号通過支援情報出力部
17 赤信号減速支援情報出力部
21 光ビーコン送受信部
22 路車間通信部
31 位置情報取得部
32 道路情報記憶部
41 車速センサ
51 表示部
52 音出力部