IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

特許7195219衝突予測判定装置、及び交通弱者保護システム
<>
  • 特許-衝突予測判定装置、及び交通弱者保護システム 図1
  • 特許-衝突予測判定装置、及び交通弱者保護システム 図2A
  • 特許-衝突予測判定装置、及び交通弱者保護システム 図2B
  • 特許-衝突予測判定装置、及び交通弱者保護システム 図3
  • 特許-衝突予測判定装置、及び交通弱者保護システム 図4
  • 特許-衝突予測判定装置、及び交通弱者保護システム 図5
  • 特許-衝突予測判定装置、及び交通弱者保護システム 図6
  • 特許-衝突予測判定装置、及び交通弱者保護システム 図7
  • 特許-衝突予測判定装置、及び交通弱者保護システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】衝突予測判定装置、及び交通弱者保護システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/36 20110101AFI20221216BHJP
   B60R 21/0134 20060101ALI20221216BHJP
   B60R 21/0136 20060101ALI20221216BHJP
   B60R 21/38 20110101ALI20221216BHJP
【FI】
B60R21/36 310
B60R21/0134 312
B60R21/0134 311
B60R21/0136 320
B60R21/0136 310
B60R21/38 310
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019103289
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020196325
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 真輝
(72)【発明者】
【氏名】岡村 憲有
(72)【発明者】
【氏名】中村 英俊
(72)【発明者】
【氏名】▲裴▼ 惠珍
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-521969(JP,A)
【文献】特開2017-001466(JP,A)
【文献】国際公開第2017/065045(WO,A1)
【文献】特開2018-063606(JP,A)
【文献】特表2008-521695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00-21/13
B60R 21/34-21/38
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の進行方向前方を含む第1監視領域に存する障害物に係る外界情報を取得する外界センサと、
自車両に近接した第2監視領域に存する障害物の接触を含む近接情報を取得する近接センサと、
自車両に設けたバンパ部材に対する車両側構造物の間隙情報を取得する間隙センサと、
前記外界センサによる外界情報、前記間隙センサによる間隙情報、及び前記近接センサによる近接情報に基づいて交通弱者に対する自車両の衝突有無を含む衝突態様の予測判定を行う衝突予測判定部と、を備え、
前記衝突予測判定部は、
交通弱者に対する自車両の衝突態様に係る予測判定結果が、所定の衝突態様に合致する場合、自車両の衝突判定を行う際に用いる衝突判定閾値を下方修正すると共に、当該下方修正された衝突判定閾値を用いて、交通弱者に対する自車両の衝突態様に係る予測判定を行い、
交通弱者に対する自車両の衝突がある旨の予測判定を一旦下した後、前記第1監視領域を障害物が外れた旨の外界情報が取得された場合でも、交通弱者に対する自車両の衝突確度が高い旨の近接情報が取得された場合に、前記衝突判定閾値の下方修正状態を維持したままで交通弱者に対する自車両の衝突態様に係る予測判定を行う
ことを特徴とする衝突予測判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の衝突予測判定装置であって、
前記衝突予測判定部は、前記間隙センサによる間隙情報及び前記近接センサによる近接情報に基づいて交通弱者に対する自車両の衝突態様に加えて、自車両の進行方向前方への障害物の飛び出し有無に係る予測判定を行う
ことを特徴とする衝突予測判定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の衝突予測判定装置であって、
前記近接センサは、フロントバンパの車幅方向に延設された圧力チューブセンサである
ことを特徴とする衝突予測判定装置。
【請求項4】
請求項1に記載の衝突予測判定装置であって、
前記衝突予測判定部は、
前記衝突判定閾値の下方修正状態を維持する制御時間を、衝突余裕時間、並びに、情報通信及び情報処理に係るアイドルタイムのうち少なくとも1つ以上に基づいて設定し、
前記衝突判定閾値を下方修正した時点から前記設定された制御時間が経過するまでの間、前記衝突判定閾値の下方修正状態を維持したままで交通弱者に対する自車両の衝突態様に係る予測判定を行う
ことを特徴とする衝突予測判定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の衝突予測判定装置であって、
前記衝突予測判定部は、
前記衝突判定閾値を下方修正した時点から前記設定された制御時間が経過した後、前記衝突判定閾値の下方修正状態を元に戻して交通弱者に対する自車両の衝突態様に係る予測判定を行う
ことを特徴とする衝突予測判定装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の衝突予測判定装置を備え、自車両に衝突した交通弱者を保護するための交通弱者保護システムであって、
自車両に衝突した交通弱者を保護するように動作する保護装置と、
前記衝突予測判定部において、障害物である交通弱者が自車両に衝突する旨の予測判定が下された場合、前記保護装置に交通弱者を保護する動作を行わせる制御部と、をさらに備える
ことを特徴とする交通弱者保護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者・サイクリストを含む交通弱者に対する車両の衝突態様をきめ細かく予測判定可能な衝突予測判定装置、及び交通弱者保護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の衝突を検知する第一衝突検知センサと、車両と交通弱者との衝突の有無を判定する第一衝突予測判定部と、車両の正面部位のうち所定の衝突危険部位での衝突を検知する第二衝突検知センサと、衝突危険部位での2次衝突を検知する第二衝突予測判定部と、第一衝突予測判定部及び第二衝突予測判定部の判定結果に基づいて、重大事故の有無を判定する事故判定部と、を備える重大事故検知装置の発明が記載されている。
【0003】
特許文献1に係る重大事故検知装置において、第二衝突検知センサはマイクロフォンを有し、第二衝突予測判定部はマイクロフォンで検知された衝突音に基づいて交通弱者と衝突危険部位との2次衝突の有無を判定し、事故判定部は、第一衝突予測判定部が衝突有りと判定した後、所定時間内に第二衝突予測判定部が2次衝突有りと判定した場合に、重大事故有りと判定する。
【0004】
特許文献1に係る重大事故検知装置によれば、車両と交通弱者との間で重大事故が発生したことを適時に検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-143068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本発明者らの研究によると、歩行者・サイクリスト(交通弱者)のような比較的軽量な障害物に対する衝突と、車両やガードレールのような重量障害物に対する衝突とでは、障害物に対する衝突態様(障害物側の衝突状況、車両側の衝突部位、衝突力の大きさ、車体の変形度合いを含む)に関し、各固有の傾向があることがわかった。さらに、交通弱者のうちでも、歩行者に対する衝突と、サイクリストに対する衝突との間では、交通弱者に対する車両の前記衝突態様に関し、各固有の傾向があることがわかった。
【0007】
本発明は、前記した新規な知見に基づいてなされたものであり、歩行者・サイクリストを含む交通弱者に対する車両の衝突態様をきめ細かく予測判定可能な衝突予測判定装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、前記した衝突予測判定装置を備え、交通弱者に対する優れた保護効果が得られる交通弱者保護システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る衝突予測判定装置は、自車両の進行方向前方を含む第1監視領域に存する障害物に係る外界情報を取得する外界センサと、自車両に近接した第2監視領域に存する障害物の接触を含む近接情報を取得する近接センサと、自車両に設けたバンパ部材に対する車両側構造物の間隙情報を取得する間隙センサと、前記外界センサによる外界情報、前記間隙センサによる間隙情報、及び前記近接センサによる近接情報に基づいて交通弱者に対する自車両の衝突有無を含む衝突態様の予測判定を行う衝突予測判定部と、を備え、前記衝突予測判定部は、交通弱者に対する自車両の衝突態様に係る予測判定結果が、所定の衝突態様に合致する場合、自車両の衝突判定を行う際に用いる衝突判定閾値を下方修正すると共に、当該下方修正された衝突判定閾値を用いて、交通弱者に対する自車両の衝突態様に係る予測判定を行い、交通弱者に対する自車両の衝突がある旨の予測判定を一旦下した後、前記第1監視領域を障害物が外れた旨の外界情報が取得された場合でも、交通弱者に対する自車両の衝突確度が高い旨の近接情報が取得された場合に、前記衝突判定閾値の下方修正状態を維持したままで交通弱者に対する自車両の衝突態様に係る予測判定を行うことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、歩行者・サイクリストを含む交通弱者に対する車両の衝突態様をきめ細かく予測判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る交通弱者保護システムの概要を表すブロック構成図である。
図2A】本発明の実施形態に係る衝突予測判定装置を搭載した車両の正面図である。
図2B】車両のフロントバンパ周りの車体前部構造を概念的に表す説明図である。
図3】衝突予測判定部によって予測判定される複数の衝突態様を例示的に表す図である。
図4】チューブセンサの出力信号の例を示す図である。
図5】本実施形態に適用される複数の衝突判定閾値の説明図である。
図6】本発明の実施形態に係る衝突予測判定装置の動作説明に供する模式図である。
図7】カメラ・レーダ・ライダ判定処理のフローチャートである。
図8】ソナー反応処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る衝突予測判定装置、及び交通弱者保護システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に示す図において、共通の機能を有する部材間、又は、相互に対応する機能を有する部材間には、原則として共通の参照符号を付するものとする。また、説明の便宜のため、部材のサイズ及び形状は、変形又は誇張して模式的に表す場合がある。
【0013】
〔本発明の実施形態に係る交通弱者保護システム11の概要〕
はじめに、本発明の実施形態に係る交通弱者保護システム11の概要について、図1図2A、及び図2Bを適宜参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る交通弱者保護システム11の概要を表すブロック構成図である。図2Aは、衝突予測判定装置18を搭載した車両15の正面図である。図2Bは、自車両の前部構造を概念的に表す説明図である。
【0014】
交通弱者保護システム11は、車両(自車両と呼ぶ場合がある。)15に衝突した障害物(図示略)を保護する装置である。ここで、本発明で想定している障害物とは、例えば、歩行者・サイクリストを含む交通弱者である。サイクリストとは、自転車の搭乗者及び自転車本体の集合体を意味する。
なお、本明細書において、車両15の進行方向を「前方」、後退方向を「後方」、鉛直上方を「上方」、鉛直下方を「下方」と呼ぶ。また、前方を向いた運転者(不図示)から視た左右方向を「左方」、「右方」とそれぞれ呼ぶ。
【0015】
交通弱者保護システム11は、衝突予測判定ECU13、入力系統17、及び出力系統19を備えて構成されている。
衝突予測判定ECU13は、基本的に、交通弱者に対する自車両15の衝突有無を含む衝突態様の予測判定を行う機能を有する。
かかる予測判定機能を実現するために、車両15には、交通弱者に対する自車両の衝突予測判定を行う際に参照される各種情報を入力するための入力系統17と、交通弱者に対する自車両の衝突が予測判定された場合に、衝突による衝撃から交通弱者を保護するための出力系統19と、が搭載されている。
本発明において、衝突予測判定ECU13及び入力系統17の組み合わせに係る構成が、衝突予測判定装置18に相当する。
【0016】
ここで、衝突予測判定装置18を搭載した車両15の構成について、図2A及び図2Bを参照して説明する。
正面視の車両15には、図2Aに示すように、ボンネットフード1と、フロントフェンダ2と、バックミラー3と、ドアミラー4a,4bと、フロントグリル5と、フードエッジカバー6と、フロントバンパ7と、チンスポイラ8と、が備わっている。ボンネットフード1の下方空間(符号なし)は、一般に、エンジンルームである。
【0017】
フロントフェンダ2は、ボンネットフード1の車幅方向左右に設けられ、前輪Wの上方を覆う外板部材である。バックミラー3は、車室内の上部前端に設けられ、後方視界を確保する際に用いる車室内ミラーである。ドアミラー4a,4bは、フロントドア(不図示)の左右上部前端に設けられ、後方視界を確保する際に用いる車室外ミラーである。
【0018】
フロントグリル5は、図2A及び図2Bに示すように、自車両15の前端部付近において、自車両15の前端部から外気を取り込み、取り込んだ外気をラジエータ(不図示)に導く部材である。フロントグリル5は、例えば、車幅方向に延設された複数枚の略板状の導風板(不図示)を、適宜の間隔を置いて上下方向に並設して構成される。フロントグリル5は、本発明の「バンパ部材」の一部に相当する。
【0019】
フードエッジカバー6は、ボンネットフード1とフロントグリル5との隙間を埋めるように設けられている。フードエッジカバー6は、ボンネットフード1の先端部に沿って車幅方向に延設された鋼板部(符号なし)を備えている。フードエッジカバー6は、左右方向を軸として、回動可能に軸支されている。フードエッジカバー6の下方には、フードエアバッグ45を備える後記のフードエアバッグ装置37が設けられている。
【0020】
フードエアバッグ45が膨張展開すると、フードエッジカバー6はフードエアバッグ45に押し上げられて回動する。これにより、フードエアバッグ45を解放するように構成されている。
【0021】
フロントバンパ7は、図2A及び図2Bに示すように、自車両15の前端縁部に設けられる衝撃緩衝用の板状部材である。フロントバンパ7は、障害物の衝突時に塑性変形することで自車両15を衝突の衝撃から保護する役割を果たす。チンスポイラ8は、フロントバンパ7の下方に設けられる板状部材である。チンスポイラ8は、自車両15の空力特性を向上させる機能を有する。
【0022】
前に戻って説明を続けると、入力系統17には、カメラ21、レーダ23、ライダ25、ソナー27、圧力チューブセンサ29、Gセンサ31、及び車速センサ33が属している。
【0023】
カメラ21は、自車両15の前方斜め下方に傾いた光軸を有し、自車両15の進行方向の画像を撮像する機能を有する。カメラ21としては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラやCCD(Charge Coupled Device)カメラなどを適宜用いることができる。カメラ21は、図2Aに示すように、自車両15のウインドシールド中央上部に備わるバックミラー3の背面側等に設けられる。
カメラ21により撮像された自車両15の進行方向画像情報は、例えばNTSC(National Television Standards Committee)などのインターレース方式により生成される画像情報として衝突予測判定ECU13へ送られる。
【0024】
レーダ23は、自車両15の進行方向前方及び側方にミリ波・マイクロ波等の電波を放射すると共に、障害物によって反射された電波(反射波)を検出することによって、車両15から障害物までの距離及び方向の情報を取得する機能を有する。
図2Aに示す例では、レーダ23は、フロントフェンダ2に設けられる前部右側レーダ23a、前部左側レーダ23c、フロントグリル5に設けられる前部中央レーダ23bの都合3つが自車両15に設けられている。レーダ23による自車両15の進行方向前方及び側方に存する障害物の分布に係る情報は、衝突予測判定ECU13へ送られる。
【0025】
ライダ(LIDAR:Light Detection and Ranging)25は、自車両15の進行方向前方にレーザ光を照射すると共に、照射したレーザ光に対する散乱光を検出することによって、車両15から障害物までの距離及び方向の情報を取得する機能を有する。
図2Aに示す例では、ライダ25は、フロントバンパ7に設けられる前部右側ライダ25a、前部左側ライダ25bの都合2つが自車両15に設けられている。ライダ25による自車両15の進行方向に存する障害物の分布に係る情報は、衝突予測判定ECU13へ送られる。
【0026】
カメラ21・レーダ23・ライダ25は、自車両の進行方向前方を含む第1監視領域に存する障害物に係る外界情報を取得する外界センサに相当する。
【0027】
ソナー27は、自車両15の進行方向前方に音波を放射し、放射した音波に対する反射波を受信することによって、自車両15の進行方向前方に存する障害物の存否に係る情報、及び障害物と自車両15との相対速度に係る情報を取得する機能を有する。
また、ソナー27は、自車両15の進行方向後方(エンジンルーム)に音波を放射し、放射した音波に対する反射波を受信することによって、フロントバンパ7に対するバルクヘッド47・バンパビーム49(車両側構造物)の間隙情報(距離d1,d2:図2B参照)を取得する機能を有する。
【0028】
図2Aに示す例では、ソナー27は、フロントバンパ7の背面側において、一対の前部右側ソナー27a,27b、一対の前部左側ソナー27c,27dの都合4つが自車両15に設けられている。ソナー27による自車両15の進行方向に存する障害物の分布に係る情報、及び前記間隙情報(距離d1,d2:図2B参照)は、衝突予測判定ECU13へ送られる。
なお、ソナー27は、障害物の急な飛び出し等に対応するため、レーダ23及びライダ25と比べて、より高い応答速度を有するように設定されている。
【0029】
ソナー27は、自車両15に近接した第2監視領域に存する障害物の接触を含む近接情報を取得する近接センサ、及び自車両15に設けたバンパ部材に対する車両側構造物の間隙情報を取得する間隙センサに相当する。
【0030】
圧力チューブセンサ29は、可撓性を有する円筒状チューブの潰れ具合を通してフロントバンパ7の塑性変形を検出することによって、交通弱者に対する自車両15の衝突有無に係る情報を取得する機能を有する。
図2Aに示す例では、圧力チューブセンサ29は、フロントバンパ7等の背面側において、車幅方向にわたり延設された第1及び第2圧力チューブセンサ29a,29bの都合2系統が自車両15に設けられている。
【0031】
詳しく述べると、第1圧力チューブセンサ29aは、図2Aに示すように、フロントグリル5及びフロントバンパ7の背面側において、車幅方向にわたり延設されている。第1圧力チューブセンサ29aの路面からの取付高h1は、例えば400~600mm程度である。
【0032】
また、第1圧力チューブセンサ29aの下方には、図2Aに示すように、フロントバンパ7及びチンスポイラ8の背面側において、第2圧力チューブセンサ29bが車幅方向にわたり延設されている。第2圧力チューブセンサ29bの路面からの取付高h2は、例えば200~300mm程度である。
【0033】
仮に、自車両15が障害物に衝突することでフロントグリル5、フロントバンパ7、及びチンスポイラ8が塑性変形すると、その変形箇所において、第1・第2圧力チューブセンサ29a,29bの円筒状横断面が押し潰される。すると、第1・第2圧力チューブセンサ29a,29bは、印加された押圧力に応じた衝突検出信号を出力する。第1・第2圧力チューブセンサ29a,29bによる衝突検出信号は、衝突予測判定ECU13へ送られる。
【0034】
圧力チューブセンサ29は、自車両に近接した第2監視領域に存する障害物の接触を含む近接情報を取得する近接センサに相当する。
【0035】
Gセンサ31は、自車両15に発生している前後G(前後加減速度)及び横G(横加減速度)をそれぞれ検出する機能を有する。Gセンサ31で検出されたG情報は、衝突予測判定ECU13へ送られる。
【0036】
車速センサ33は、自車両15の車速を検出する機能を有する。車速センサ33で検出される車速情報は、衝突予測判定ECU13へ送られる。
【0037】
一方、出力系統19には、フードポップアップ装置35、フードエアバッグ装置37、及びAピラーエアバッグ装置51が属している。
【0038】
フードポップアップ装置35は、交通弱者に対する自車両15の衝突が予測判定されると、所定のタイミングでボンネットフード1の姿勢を上方へはね上げることにより、自車両15に衝突する交通弱者の頭部への衝撃を緩和する機能を有する。
フードポップアップ装置35は、略方形状のボンネットフード1を下方から伸縮自在に支持するために、ボンネットフード1における四隅付近の各々に、一対のR側アクチュエータ39a,39b、一対のL側アクチュエータ41a,41bをそれぞれ設けて構成されている。
なお、一対のR側アクチュエータ39、一対のL側アクチュエータ41の各々は、それぞれ独立して進退自在に駆動される。
【0039】
フードエアバッグ装置37は、交通弱者に対する自車両15の衝突が予測判定されると、交通弱者の頭部がボンネットフード1に接近するタイミングを見計らってフードエアバッグ45を膨張展開することにより、自車両15に衝突する交通弱者の頭部への衝撃を緩和する機能を有する。
フードエアバッグ装置37は、インフレータ43及びフードエアバッグ45を備えて構成されている。インフレータ43は、例えば、フードエアバッグ45の展開指令信号を受けて点火する不図示の点火装置、アジ化ナトリウム等のガス発生剤、及びそれらを収容する筐体を備えて構成される。
【0040】
Aピラーエアバッグ装置51は、交通弱者に対する自車両15の衝突が予測判定されると、交通弱者の頭部がAピラーに向かっている等の衝突態様に応じてAピラーエアバッグ55を膨張展開することにより、自車両15に衝突する交通弱者の頭部への衝撃を緩和する機能を有する。
【0041】
Aピラーエアバッグ装置51は、図2Aに示す例では、右側Aピラー(符号なし)に内設される右側Aピラーエアバッグ装置51a、左側Aピラー(符号なし)に内設される左側Aピラーエアバッグ装置51bの都合2つが自車両15に設けられている。Aピラーエアバッグ装置51は、インフレータ53及びAピラーエアバッグ55を備えて構成されている。インフレータ53は、例えば、Aピラーエアバッグ55の展開指令信号を受けて点火する不図示の点火装置、アジ化ナトリウム等のガス発生剤、及びそれらを収容する筐体を備えて構成される。
【0042】
出力系統19に属するフードポップアップ装置35、フードエアバッグ装置37、及びAピラーエアバッグ装置51は、自車両15に衝突した交通弱者を保護するように動作する保護装置19に相当する。
【0043】
衝突予測判定ECU(衝突予測判定装置18の一部を構成する)13は、図1に示すように、情報取得部61、衝突予測判定部63、及び制御部67を備えて構成されている。
【0044】
情報取得部61は、カメラ21で撮像された自車両進行方向の画像情報、レーダ23・ライダ25で検出された自車両15の進行方向前方を含む第1監視領域に存する障害物に係る外界情報、ソナー27・圧力チューブセンサ29で検出された自車両15に近接した第2監視領域に存する障害物の接触を含む近接情報、ソナー27で検出されたフロントバンパ7に対するバルクヘッド47・バンパビーム49(車両側構造物)の間隙情報(距離d1,d2:図2B参照)、Gセンサ31で検出されたG情報、及び車速センサ33で検出された車速情報を、それぞれ取得する機能を有する。
【0045】
衝突予測判定部63は、各種の情報を記憶する記憶部65を備えている。記憶部65は、「歩行者」及び「サイクリスト」の様々な輪郭形状、その他外観上の特徴を規定したテンプレート情報を記憶する。歩行者に対するテンプレートを「歩行者テンプレート」と呼び、サイクリストに対するテンプレートを「サイクリスト・テンプレート」と呼ぶ。これらのテンプレートは、カメラ21による画像情報に障害物が含まれるか否かを解析する際に参照される。
【0046】
衝突予測判定部63は、図1に示すように、カメラ21による自車両15の進行方向前方の画像情報、レーダ23・ライダ25(外界センサ)による外界情報、ソナー27・圧力チューブセンサ29(近接センサ)による近接情報、ソナー27(間隙センサ)による間隙情報、Gセンサ31によるG(加減速度)情報、及び、車速センサ33による車速情報に基づいて交通弱者に対する自車両15の衝突有無を含む衝突態様の予測判定を行う。
【0047】
詳しく述べると、衝突予測判定部63は、相対距離・方向予測判定機能と、障害物予測判定機能と、衝突予測判定機能と、を有する。
【0048】
衝突予測判定部63の相対距離・方向予測判定機能では、自車両15と、自車両15の進行方向前方に存する障害物(交通弱者を含む)との間の相対距離及び方向を予測判定する。相対距離及び方向の予測判定に際し、衝突予測判定部63は、例えば、レーダ23・ライダ25(外界センサ)による外界情報に基づいて得られる相対距離情報・方向情報を、相対距離情報及び方向情報としてそのまま用いてもよい。また、カメラ21による画像情報を解析することにより、方向情報を求めても構わない。
【0049】
衝突予測判定部63の障害物予測判定機能では、カメラ21による自車両15の進行方向前方の画像情報に基づいて、自車両15の進行方向前方を含む第1監視領域に障害物が存する場合に、その障害物の種別を予測判定する。本発明では、障害物として、歩行者・サイクリストを含む交通弱者を想定している。
実際には、衝突予測判定部63は、自車両15の進行方向前方の画像情報に対して輪郭抽出処理及びパターンマッチング処理を順次施すことにより、画像情報に含まれるオブジェクトの中から、記憶部65に記憶された「歩行者テンプレート」及び「サイクリスト・テンプレート」に対応するパターンを抽出することで、歩行者・サイクリストの予測判定を行う。
【0050】
ここで、「オブジェクト」とは、画像情報に含まれ、輪郭を持った画素の集合である。例えば、衝突予測判定部63は、歩行者テンプレートを参照することで、歩行者テンプレートに類似した輪郭形状のオブジェクトを歩行者であると認識する。また、衝突予測判定部63は、サイクリスト・テンプレートを参照することで、サイクリスト・テンプレートに類似した輪郭形状のオブジェクトをサイクリストであると認識する。
【0051】
衝突予測判定部63の衝突予測判定機能では、障害物の衝突態様(障害物側の衝突状況、自車両15側の衝突部位、衝突力の大きさ、車体の変形度合いを含む)の予測判定を行う。
交通弱者に対する自車両15の衝突態様に係る予測判定結果が、所定の衝突態様(ペダル上死点モード・追突モード;詳しくは後記する。)に合致する場合、衝突予測判定部63は、自車両の衝突予測判定を行う際に用いる衝突判定閾値THを下方修正すると共に、当該下方修正衝突判定閾値THを用いて、交通弱者に対する自車両15の衝突態様に係る予測判定を行う。これについて、詳しくは後記する。
【0052】
そして、衝突予測判定部63は、相対距離・方向予測判定、障害物予測判定、衝突態様予測判定に係る処理結果に基づいて、フードポップアップ装置35、フードエアバッグ装置37、及びAピラーエアバッグ装置51を含む保護装置19を動作させるか否かの判定を行う。
【0053】
前記衝突予測判定ECU13は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたマイクロコンピュータにより構成される。このマイクロコンピュータは、ROMに記憶されているプログラムやデータを読み出して実行し、衝突予測判定装置18が有する、各種情報取得機能、衝突予測判定機能、フードポップアップ装置35・フードエアバッグ装置37・Aピラーエアバッグ装置51の動作制御機能を含む各種機能に係る実行制御を行うように動作する。
【0054】
〔複数の衝突態様及びセンサ出力〕
次に、衝突予測判定部63によって予測判定される複数の衝突態様について、図3を参照して説明する。
図3は、衝突予測判定部63によって予測判定される複数の衝突態様を示す図である。
本明細書において、障害物(交通弱者)に対する自車両15の衝突態様を「衝突シーン」と呼ぶ。
【0055】
図3に示す第1衝突シーンSC1は、道路を横断するサイクリスト90に対して、自車両15が真横から衝突する場合を想定している。ここで、サイクリスト90は、搭乗者70と、被搭乗物である自転車80との集合体である。そして、自転車80の自車両15に面した側のペダル82は、上死点付近に位置している。なお、「上死点付近」とは、上死点を中心として、所定範囲(例えば±45°)のペダル82の回動範囲を指す。
【0056】
また、第2衝突シーンSC2は、道路を横断するサイクリスト92に対して、自車両15が真横から衝突した場合を想定している。ここで、サイクリスト92も、搭乗者70と、被搭乗物である自転車80との集合体である。ただし、第2衝突シーンSC2においては、自転車80の自車両15に面した側のペダル82は、下死点付近に位置している。なお、「下死点付近」とは、下死点を中心として、所定範囲(例えば±45°)のペダル82の回動範囲を指す。
【0057】
第1、第2衝突シーンSC1,SC2において、自転車80の車輪84は、例えばリム直径が26インチの物を想定している。また、第3衝突シーンSC3は、道路を直進するサイクリスト94(幼児)に対して、自車両15が後方から衝突(追突)した場合を想定している。ここで、サイクリスト94は、搭乗者70と、被搭乗物である自転車85との集合体である。
【0058】
ただし、図示の例において、自転車85は、幼児用のものであり、その車輪88のリム直径は、18インチ(18型)以下であるケースを想定している。また、幼児である搭乗者70及び幼児用である自転車85は、共に軽量である。なお、自転車85の搭乗者70が大人であっても、追突時には、センサ出力は小さくなる。
【0059】
図4は、第1圧力チューブセンサ29aの出力信号P1(図1参照)の例を示す図である。
図3に示した第2衝突シーンSC2において、出力信号P1は、例えば図4に示す出力信号P1-2のような特性を示す。出力信号P1-2は、相当に長い期間に渡って、図4に示す衝突判定閾値(以下、「閾値」と省略する場合がある。)THを超えている。そこで、出力信号P1が前記閾値THを超えると「衝突発生」の予測判定を下すものとする。
【0060】
第2衝突シーンSC2においては、この判定基準により、ほぼ確実に衝突を検出することができる。そして、「衝突発生」の予測判定を下した際に、保護装置19(図1参照)、すなわちフードポップアップ装置35、フードエアバッグ装置37、及びAピラーエアバッグ装置51を動作させることにより、障害物であるサイクリスト92を保護することができる。
【0061】
また、図3に示す第1衝突シーンSC1において、出力信号P1は、例えば図4に示す出力信号P1-1のような特性を示す。図示の例では、出力信号P1-1は閾値THを超える期間を若干有するが、状況によっては閾値THを超えず、自車両15とサイクリスト90との衝突を検出できないおそれがある。
【0062】
これは、図3の第1衝突シーンSC1のように、ペダル82が上死点付近にあり(これを「ペダル上死点モード」と呼ぶ。)、搭乗者70の足があがっていると、サイクリスト90は比較的軽い力で転倒してしまうため、フロントバンパ7のうちフェース部7a(図2B参照)の塑性変形が小さくなることに基づく。
【0063】
第1衝突シーンSC1に際して衝突を確実に予測判定するために、閾値THを図4に示すレベルよりもさらに下げたとする。ところが、閾値THを徒に下げ過ぎると、例えば「自車両15に石が衝突した」、「自車両15にロードコーンが衝突した」、「自車両15が段差に乗り上げた」等の事象が生じたケースにおいて、閾値THを超えるレベルにまで出力信号P1が上昇し、保護装置19を無駄に動作させてしまうおそれがある。
【0064】
そこで、本実施形態においては、通常の状態では閾値THを、例えば図4に示す値に初期設定し、第1衝突シーンSC1が発生する旨の予測判定が下される場合には、一時的に閾値THを下げるようにしている。
【0065】
また、図3に示した第3衝突シーンSC3において、出力信号P1は、例えば図4に示す出力信号P1-3のような特性を示す。これは、第3衝突シーンSC3のように自車両15が自転車85の後方から衝突(これを「追突モード」と呼ぶ。)すると、自転車85の車輪88が第1圧力チューブセンサ29a(図1参照)の下方に潜り込むようにしてフロントバンパ7やチンスポイラ8等を塑性変形させるため、出力信号P1の上昇幅はきわめて小さくなることに基づく。
また、サイクリスト94が幼児であると、搭乗者70の体重が軽く、自転車85も軽量であるため、出力も小さくなる。上述したように、図3の第3衝突シーンSC3に例示した自転車85はリム直径が18インチ以下の小径車である。
【0066】
しかし、幼児用ではない自転車、例えばリム直径が26インチ程度の大人用自転車であっても、自車両15に追突された場合の第1圧力チューブセンサ29aの出力信号P1は、出力信号P1-3に近い波形特性を示す。それは、リム直径が26インチの自転車であっても、車輪の中心であるハブ部(符号なし)は路面から13インチ(約330mm)程度であり、第1圧力チューブセンサ29aの取付高h1(図1参照)よりも低くなるためである。
【0067】
そこで、本実施形態においては、図2Aに示すように、第1圧力チューブセンサ29aの下方に第2圧力チューブセンサ29bを設けている。第3衝突シーンSC3においては、第1圧力チューブセンサ29aの出力信号P1は有意に上昇しなかったとしても、第2圧力チューブセンサ29bの出力信号P2は有意に上昇する(図示略)。
これにより、第3衝突シーンSC3のような衝突を確実に検知することができる。
【0068】
次に、本発明の実施形態に係る衝突予測判定装置18に適用される複数の衝突判定閾値(閾値)THについて、図5を参照して説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る衝突予測判定装置18に適用される複数の閾値の説明に供する図である。
図5において、出力信号P1-4,P1-6,P1-8は、第1圧力チューブセンサ29aの出力信号P1である。また、出力信号P2-1は、第2圧力チューブセンサ29bの出力信号P2である。
【0069】
閾値THAは、閾値TH(図4参照)の基準値である。通常のケースでは、閾値THは閾値THAに設定される。すなわち、閾値THAは、障害物が歩行者・サイクリストを含む交通弱者であって、第2衝突シーンSC2(図3参照)に係る衝突態様で障害物が自車両15に衝突すると予測判定される場合等に適用される。この場合、第1圧力チューブセンサ29aの出力信号P1は、例えば図示の出力信号P1-4のように変化するため、充分に閾値THAを超える。
【0070】
図5に示す出力信号P1-6は、自車両15にロードコーン(不図示)が衝突した場合の出力信号P1の特性例である。図示の特性例によれば、出力信号P1-6は閾値THAを超えないため、自車両15がロードコーンに衝突したとしても、保護装置19(図1参照)の無駄な動作が抑制される。図5に示す閾値THBは、第1衝突シーンSC1(図3参照)に係る衝突態様が予測判定される場合に一時的に適用される閾値THである。
【0071】
図5に示す出力信号P1-8は、第1衝突シーンSC1に係る衝突態様における第1圧力チューブセンサ29aの出力信号P1の一例である。図示のように、出力信号P1-8は充分に閾値THBを超えるため、第1衝突シーンSC1に係る衝突態様の発生を高精度に検知することができる。
【0072】
また、図5に示す閾値THCは、第3衝突シーンSC3(図3参照)に係る衝突態様が発生すると予測判定される場合に一時的に適用される閾値THである。出力信号P2-1は、第3衝突シーンSC3に係る衝突態様における第2圧力チューブセンサ29bの出力信号P2の一例である。
図2Bに示すように、第2圧力チューブセンサ29bは第1圧力チューブセンサ29aの下方に設けられているため、第3衝突シーンSC3に係る衝突態様においても出力信号P2-1は有意に上昇し閾値THCを超える。
これにより、第3衝突シーンSC3に係る衝突態様の発生を高精度に検知することができる。
【0073】
〔衝突予測判定装置18の動作〕
次に、本発明の実施形態に係る衝突予測判定装置18の動作について、図6を参照して説明する。図6は、本発明の実施形態に係る衝突予測判定装置18の動作説明に供する模式図である。
図6において横軸は時刻を表しており、縦軸は障害物100と自車両15との相対距離を表している。また、縦軸は、閾値THのレベルも表している。図6に示す例では、自車両15は速度vで直進する一方、障害物100は、自車両15の進行方向に対して直交する方向に進行している。
【0074】
時刻t2において、自車両15の衝突予測判定部63(図1参照)は、自車両15の障害物100に対する衝突態様を認識(予測判定)したとする。例えば、障害物100はサイクリストであり、図3の第1衝突シーンSC1に示したように、ペダル82が上死点付近であり、障害物100は(未来の)時刻t9に自車両15に衝突すると衝突予測判定部63が認識したとする。
【0075】
衝突予測判定部63の認識内容は、所定の制御周期(例えば100ms(ミリ秒))毎に更新される。図6における時刻t3~t9は、時刻t2を基準として、各々1回~7回の制御周期が経過したタイミングである。また、衝突予測判定部63は、時刻t2において、その後の時刻t3~t9における障害物100の位置を予測する。以下、予測された位置を、「予測位置」と呼ぶ。図6に示す「位置予測判定」とは、予測位置と、障害物100の実際の位置計測結果とが近似しているか否かを示す。
【0076】
ここで「近似」とは、障害物100の実際の位置計測結果と予測位置との差が所定の許容偏差内であることを指す。また、「非近似」とは、それ以外の場合を指す。また、図6に示す「衝突判定」とは、障害物100と自車両15との衝突が予測されるか否かを示す。図中の「衝突」とは、自車両15のブレーキやステアリング操作によっても衝突が不可避であると予測されることを指す。また、「非衝突」とは、衝突が予測されないこと、又は、自車両15のブレーキやステアリング操作によって衝突が回避できると予測されることを指す。
【0077】
時刻t2~t5の期間内に障害物100が定速で移動していたと仮定すると、時刻t3,t4,t5の各タイミングにおいて、「位置予測判定」の結果は「近似」であり、「衝突判定」の結果は「衝突」になる。ここで、時刻t5において、障害物100が自車両15の存在に気づいて急停止したとする。すると、時刻t6以降においては、「位置予測判定」は「非近似」になり、「衝突判定」は「非衝突」になる。
【0078】
このように、「衝突判定」が「非衝突」である状態が所定の制御時間TAだけ継続すると、衝突予測判定部63は、閾値THを基準値である閾値THAに戻す。図示の例では、制御時間TAは200msである。すなわち、時刻t6~t8の制御時間TAにおいて「衝突判定」が「非衝突」であったため、時刻t8に閾値THが閾値THAに戻されている。従って、時刻t8以降、ロードコーン(不図示)等が自車両15に衝突したとしても、保護装置19(図1参照)の無駄な動作を抑制することができる。
【0079】
なお、図示の例において、制御時間TAは200msであったが、制御時間TAは、例えば100ms以上~10秒以下の範囲であれば、他の値であってもよい。例えば、衝突予測判定部63は、衝突態様(第1~第3衝突シーンSC1~SC3)の種別、障害物100の移動速度、衝突余裕時間(TTC:Time-To-Collision)、障害物100に関するデータ(位置、移動速度)のばらつき具合、及び、情報通信及び情報処理に係るアイドルタイムのうち少なくとも1つ以上に基づいて、制御時間TAを設定するとよい。
【0080】
〔カメラ・レーダ(ライダを含む)判定処理〕
次に、衝突予測判定ECU13(図1参照)において実行されるカメラ・レーダ判定処理について、図7を参照して説明する。図7は、衝突予測判定ECU13において実行されるカメラ・レーダ判定処理のフローチャートである。本処理は、上述した制御周期(例えば100ms)毎に起動される。
【0081】
図7において処理がステップS10に進むと、衝突予測判定部63は、何等かの障害物を検出したか否かを判定する。ここで「No」と判定されると、本処理は終了する。一方、ステップS10において「Yes」と判定されると、処理はステップS12に進む。
【0082】
ここでは、衝突予測判定部63が検出した「障害物について予測される衝突態様」に基づいて、処理が分岐される。まず、サイクリストに対する追突モード(例えば図3に示す第3衝突シーンSC3)が予測判定された場合、処理はステップS14に進み、閾値THが閾値THCに設定され、処理の流れが終了する。
これにより、以後は、第1圧力チューブセンサ29a,29bの出力信号P1,P2(図1参照)のうち何れかが閾値THCを超えると、衝突予測判定部63は保護装置19(図1参照)を動作させる。
【0083】
また、ステップS12において、図3に示した第1衝突シーンSC1に係る衝突態様(ペダル上死点モード)が予測判定された場合、処理はステップS16に進み、閾値THが閾値THBに設定され、処理の流れが終了する。
これにより、以後は、第1圧力チューブセンサ29a,29bの出力信号P1,P2のうち何れかが閾値THBを超えると、衝突予測判定ECU13の制御部67は保護装置19を動作させる。
【0084】
また、ステップS12において、第1、第3衝突シーンSC1,SC3以外の衝突態様が予測判定された場合、例えば、第2衝突シーンSC2に係る衝突態様が予測判定された場合や、障害物が歩行者である場合等において、処理はステップS18に進む。ステップS18においては、閾値THが、基準値である閾値THAに設定され、処理の流れが終了する。
これにより、以後は、第1圧力チューブセンサ29a,29bの出力信号P1,P2のうち何れかが閾値THAを超えると、衝突予測判定ECU13の制御部67は保護装置19を動作させる。
【0085】
〔ソナー反応処理〕
次に、衝突予測判定ECU13(図1参照)において実行されるソナー反応処理について、図8を参照して説明する。図8は、衝突予測判定ECU13において実行されるソナー反応処理のフローチャートである。本処理は、衝突予測判定部63における「衝突判定」が「非衝突」であり、かつ、ソナー27が反応した時に起動される。より詳細には、衝突予測判定部63における「衝突判定」が「非衝突」である際に、自車両15の進行方向前方に何らかの障害物が存在し、それをソナー27が検出した際に起動される。
【0086】
図8において処理がステップS50に進むと、検出した障害物の高さは所定高さ以上であるか否かが判定される。ここで、「所定高さ」とは、犬猫の体高程度であり、例えば「30cm」~「50cm」程度の高さである。ステップS50において「No」と判定されると、処理はステップS58に進み、閾値THが基準値である閾値THAに初期設定され、処理の流れが終了する。
これにより、以後は、第1圧力チューブセンサ29a,29bの出力信号P1,P2のうち何れかが閾値THAを超えると、衝突予測判定ECU13の制御部67は保護装置19を動作させる。
【0087】
一方、ステップS50において「Yes」と判定されると処理はステップS52に進み、タイマ値TMが制御時間TA未満であるか否かが判定される。ここで、タイマ値TMとは、「衝突判定」(図6参照)が最後に「衝突」から「非衝突」に切り替わった時にリセットされ、その後は所定時間毎(例えば1ms毎)にカウントアップされる値である。すなわち、図6に示した例では、タイマ値TMは、時刻t6からの経過時間を示す。
【0088】
ステップS52において「Yes」と判定されると、処理はステップS54に進む。この場合、衝突が直前に回避されたことを意味する。より詳細には、衝突予測判定部63による「衝突判定」(図6参照)が「衝突」になった後、制御時間TAが経過する前に「非衝突」に切り替わった状態であり、図6の時刻t6~t8の状態に対応する。図6の時刻t6~t8の状態においても、障害物100が再び自車両15の前方に飛び出すことが起こり得る。そこで、このような場合にソナー27が何らかの障害物を検出すると、ステップS54の処理が実行されることになる。
【0089】
ステップS54においては、閾値THに対して、閾値THB又はTHCが設定される。すなわち、ステップS54が実行される直前の閾値THが閾値THB又はTHCであれば、その閾値THがそのまま維持される。一方、直前の閾値THが閾値THAであれば、ステップS54において閾値THは閾値THBに変更され、処理の流れが終了する。
これにより、以後は、第1圧力チューブセンサ29a,29bの出力信号P1,P2のうち何れかが閾値THB又はTHCを超えると、衝突予測判定ECU13の制御部67は保護装置19を動作させる。
【0090】
一方、図8のステップS52において「No」と判定されると、処理はステップS56に進む。この場合、障害物の急な飛び出し等が発生したことを意味する。「急な飛び出し」とは、例えば障害物が物陰から自車両15の前方に飛び出した場合である。また、障害物がサイクリストである場合、自車両15の前方を自車両15と同速度で走行することがある。その際、サイクリストが急ブレーキをかけると、衝突予測判定部63による「衝突判定」が「衝突」になる前にソナー27が反応する場合がある。
【0091】
ステップS56においては、閾値THは閾値THAが設定されるが、「所定条件」を満たした場合は、閾値THは閾値THCに変更される。この「所定条件」とは、「第1圧力チューブセンサ29aの出力信号P1が閾値THC以下であって第2圧力チューブセンサ29bの出力信号P2が閾値THCを超えた」という条件である。ステップS56が終了すると、処理の流れが終了する。
従って、以降は、上記「所定条件」が成立すると、その時点で衝突予測判定ECU13の制御部67は保護装置19を動作させる。一方、上記「所定条件」が成立しない場合は、出力信号P1,P2のうち何れかが閾値THAを超えると、衝突予測判定ECU13の制御部67は保護装置19を動作させる。
【0092】
〔本発明の実施形態に係る衝突予測判定装置18、及び交通弱者保護システム11の作用効果〕
次に、本発明の実施形態に係る衝突予測判定装置18、及び交通弱者保護システム11の作用効果について説明する。
【0093】
第1の観点(請求項1に相当)に基づく衝突予測判定装置18は、自車両15の進行方向前方を含む第1監視領域に存する障害物に係る外界情報を取得する外界センサ(カメラ21・レーダ23・ライダ25)と、自車両15に近接した第2監視領域に存する障害物の接触を含む近接情報を取得する近接センサ(ソナー27・圧力チューブセンサ29)と、自車両15に設けたバンパ部材(フロントバンパ7)に対する車両側構造物(バルクヘッド47・バンパビーム49)の間隙情報(距離d1,d2:図2B参照)を取得する間隙センサ(ソナー27)と、外界センサによる外界情報、間隙センサによる間隙情報、及び近接センサによる近接情報に基づいて、交通弱者に対する自車両15の衝突有無を含む衝突態様の予測判定を行う衝突予測判定部63と、を備える構成を採用することとした。
【0094】
第1の観点に基づく衝突予測判定装置18によれば、衝突予測判定部63は、外界センサによる外界情報、間隙センサによる間隙情報、及び近接センサによる近接情報に基づいて、交通弱者に対する自車両15の衝突有無を含む衝突態様の予測判定を行うため、歩行者・サイクリストを含む交通弱者に対する車両15の衝突態様を予測判定する際に参照される外界情報・間隙情報・近接情報が、全体として必要な情報を相互に補完しあう結果として、交通弱者に対する車両15の衝突態様をきめ細かく予測判定することができる。
【0095】
また、第2の観点(請求項2)に基づく衝突予測判定装置18は、第1の観点に基づく衝突予測判定装置18であって、衝突予測判定部63は、交通弱者に対する自車両15の衝突態様に係る予測判定結果が、衝突の蓋然性が高いにも関わらずセンサ出力が通常と比べて小さくなる傾向のある所定の衝突態様に合致する場合、自車両15の衝突判定を行う際に用いる衝突判定閾値THを下方修正すると共に、当該下方修正された衝突判定閾値THを用いて、交通弱者に対する自車両15の衝突態様に係る予測判定を行う構成を採用してもよい。
【0096】
第2の観点に基づく衝突予測判定装置18によれば、衝突の蓋然性が高いにも関わらずセンサ出力が通常と比べて小さくなるような衝突態様が生じた場合に、衝突判定閾値THを下方修正すると共に、当該下方修正された衝突判定閾値THを用いて交通弱者に対する自車両15の衝突態様に係る予測判定を行うため、衝突の蓋然性が高いにも関わらずセンサ出力が通常と比べて小さくなるような衝突態様が生じた場合であっても、交通弱者に対する車両15の衝突態様をきめ細かく予測判定することができる。
【0097】
また、第3の観点(請求項3)に基づく衝突予測判定装置18では、第2の観点に基づく衝突予測判定装置18であって、衝突予測判定部63は、交通弱者に対する自車両15の衝突がある旨の予測判定を一旦下した後、第1監視領域を障害物が外れた旨の外界情報が取得された場合でも、交通弱者に対する自車両15の衝突確度が高い旨の近接情報が取得された場合に、衝突予測判定閾値THの下方修正状態を維持したままで交通弱者に対する自車両15の衝突態様に係る予測判定を行う構成を採用することとした。
【0098】
第3の観点に基づく衝突予測判定装置18において、交通弱者に対する自車両15の衝突がある旨の予測判定が一旦下された結果、衝突判定閾値THの下方修正が行われたケースにおいて、第1監視領域を障害物が外れた旨の外界情報が取得された場合に、衝突判定閾値THの下方修正状態を維持すべきか否か、また、維持すべきであるとして、いつまで維持すべきか、が問題となる。
【0099】
そこで、第3の観点に基づく衝突予測判定装置18では、上記のケースにおいて、交通弱者に対する自車両15の衝突確度が高い旨の近接情報が取得された場合には、衝突予測判定部63は、衝突判定閾値THの下方修正状態を維持したままで交通弱者に対する自車両15の衝突態様に係る予測判定を行う。
【0100】
第3の観点に基づく衝突予測判定装置18によれば、上記のケースにおいて、交通弱者に対する自車両15の衝突確度が高い旨の近接情報が取得された場合には、衝突判定閾値THの下方修正状態を維持したままで交通弱者に対する自車両15の衝突態様に係る予測判定を行うため、例えば、障害物が直前で衝突を回避した場合であっても、回避した状態での衝突確度に基づいて衝突警戒モードを継続することで、交通弱者に対する自車両15の衝突態様に係る予測判定結果の信頼性を一層高めることができる。
【0101】
また、第4の観点(請求項4)に基づく衝突予測判定装置18では、第1~第3のいずれか一の観点に基づく衝突予測判定装置18であって、衝突予測判定部63は、間隙センサ(ソナー27)による間隙情報及び近接センサ(ソナー27・圧力チューブセンサ29)による近接情報に基づいて、交通弱者に対する自車両の衝突態様に加えて、自車両の進行方向前方への障害物の飛び出し有無に係る予測判定を行う構成を採用してもよい。
【0102】
第4の観点に基づく衝突予測判定装置18によれば、衝突予測判定部63は、間隙センサ(ソナー27)による間隙情報及び近接センサ(ソナー27・圧力チューブセンサ29)による近接情報に基づいて、交通弱者に対する自車両15の衝突態様に加えて、自車両15の進行方向前方への障害物の飛び出し有無に係る予測判定を行うため、仮に障害物の急な飛び出しがあった場合でも、その障害物の飛び出しを適時かつ適確に予測判定することができる。
【0103】
また、第5の観点(請求項5)に基づく衝突予測判定装置18では、第4の観点に基づく衝突予測判定装置18であって、近接センサは、フロントバンパ7の車幅方向に延設された圧力チューブセンサ29である構成を採用してもよい。
【0104】
第5の観点に基づく衝突予測判定装置18によれば、近接センサは、フロントバンパ7の車幅方向に延設された圧力チューブセンサ29であるため、例えば、ソナー27・圧力チューブセンサ29といった相互に検出原理の異なるセンサを近接センサとして2系統設けた場合に、フロントバンパ7のフェース部7a(図2B参照)が局所的に塑性変形するような自転車追突モードの衝突に対しても、交通弱者に対する自車両15の衝突予測判定を適時かつ適確に遂行する効果を期待することができる。
【0105】
また、第6の観点(請求項6)に基づく衝突予測判定装置18では、第3の観点に基づく衝突予測判定装置18であって、衝突予測判定部63は、衝突判定閾値THの下方修正状態を維持する制御時間TAを、衝突余裕時間(TTC)、並びに、情報通信及び情報処理に係るアイドルタイムのうち少なくとも1つ以上に基づいて設定し、衝突判定閾値THを下方修正した時点から前記設定された制御時間TAが経過するまでの間、衝突判定閾値THの下方修正状態を維持したままで交通弱者に対する自車両15の衝突態様に係る予測判定を行う構成を採用してもよい。
【0106】
第6の観点に基づく衝突予測判定装置18によれば、衝突判定閾値THの下方修正状態を維持する制御時間TAを、衝突余裕時間(TTC)、並びに、情報通信及び情報処理に係るアイドルタイムのうち少なくとも1つ以上に基づいて設定したため、実情を考慮した適切な長さに制御時間TAを設定可能となる結果、交通弱者に対する車両15の衝突態様をきめ細かく予測判定する効果を一層高めることができる。
【0107】
また、第7の観点(請求項7)に基づく衝突予測判定装置18では、第6の観点に基づく衝突予測判定装置18であって、衝突予測判定部63は、衝突判定閾値THを下方修正した時点から前記設定された制御時間TAが経過した後、衝突判定閾値THの下方修正状態を元に戻して交通弱者に対する自車両15の衝突態様に係る予測判定を行う構成を採用してもよい。
【0108】
第7の観点に基づく衝突予測判定装置18によれば、衝突予測判定部63は、衝突判定閾値THを下方修正した時点から前記設定された制御時間TAが経過した後、衝突判定閾値THの下方修正状態を元に戻して交通弱者に対する自車両15の衝突態様に係る予測判定を行うため、衝突判定閾値THを適時かつ適確に管理することで、交通弱者に対する車両15の衝突態様をきめ細かく予測判定する効果を一層高めることができる。
【0109】
また、第8の観点(請求項8)に基づく衝突予測判定装置18では、第1~第7のいずれか一の観点に基づく衝突予測判定装置18を備え、自車両15に衝突した交通弱者を保護するための交通弱者保護システム11であって、自車両15に衝突した交通弱者を保護するように動作する保護装置(フードポップアップ装置35、フードエアバッグ装置37、及びAピラーエアバッグ装置51)19と、衝突予測判定部63において、障害物である交通弱者が自車両15に衝突する旨の予測判定が下された場合、保護装置19に交通弱者を保護する動作を行わせる制御部67と、をさらに備える構成を採用してもよい。
【0110】
第8の観点に基づく交通弱者保護システム11によれば、制御部67は、衝突予測判定部63において、障害物である交通弱者が自車両15に衝突する旨の予測判定が下された場合、保護装置19に交通弱者を保護する動作を行わせるため、交通弱者に対する自車両15の衝突が生じた場合に、衝突の衝撃から交通弱者を適時かつ適確に保護することができる。
【0111】
〔その他の実施形態〕
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
【0112】
例えば、本発明の実施形態に係る交通弱者保護システム11の説明において、略方形状のボンネットフード1における四隅(4点)を下方から伸縮自在に支持するため、当該四隅付近の各々に、一対のR側アクチュエータ39a,39b、一対のL側アクチュエータ41a,41bをそれぞれ設けて構成される4点支持式のフードポップアップ装置35を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。
【0113】
フードポップアップ装置35の構成として、略方形状のボンネットフード1における前側中央1点及び後ろ側隅部2点の都合3点を下方から伸縮自在に支持するように、当該3点付近の各々にアクチュエータをそれぞれ設けて構成される3点支持式のフードポップアップ装置35を採用しても構わない。
【0114】
最後に、本発明の実施形態に係る衝突予測判定装置18の説明において、交通弱者に対する自車両15の衝突有無を含む衝突態様の予測判定を行う際に用いる各種センサ類として、外界センサ(カメラ21・レーダ23・ライダ25)と、近接センサ(ソナー27・圧力チューブセンサ29)と、間隙センサ(ソナー27)とを例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。
【0115】
前記各種センサ類に関し、その種類・配置位置・配置数等を、適宜設定可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0116】
5 フロントグリル(バンパ部材)
7 フロントバンパ(バンパ部材)
11 交通弱者保護システム
15 車両、自車両
18 衝突予測判定装置
21 カメラ(外界センサ)
23 レーダ(外界センサ)
25 ライダ(外界センサ)
27 ソナー(近接センサ、間隙センサ)
29 圧力チューブセンサ(近接センサ)
35 フードポップアップ装置(保護装置)
37 フードエアバッグ装置(保護装置)
47 バルクヘッド(車両側構造物)
49 バンパビーム(車両側構造物)
51 Aピラーエアバッグ装置(保護装置)
63 衝突予測判定部
67 制御部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8