(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
H01H 47/00 20060101AFI20221216BHJP
H01H 9/54 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
H01H47/00 A
H01H9/54 F
(21)【出願番号】P 2019127592
(22)【出願日】2019-07-09
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】高村 晴久
(72)【発明者】
【氏名】飯田 亮
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-329574(JP,A)
【文献】特開平10-070839(JP,A)
【文献】実開平04-014342(JP,U)
【文献】実開昭48-045549(JP,U)
【文献】実開昭53-163533(JP,U)
【文献】特開2018-170859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/54
47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電開始時に突入電流が生じうる負荷と、前記負荷に給電する電源
との間に設けられた電源側端子と負荷側端子の間を接続するように第1給電線路と第2給電線路とが設けられ、前記第1給電線路の第1インピーダンスが前記第2給電線路の第2インピーダンスに比べて低く設定されていて、
第1励磁電流により励磁する第1励磁コイルと、前記第1励磁コイルの励磁状態に連動する第1接点とを備え、前記第1接点を用いて少なくとも前記第1給電線路と、前記第2給電線路とのうちから何れかの給電線路を選択して通電させる第1リレーと、
前記第1励磁コイルに並列に接続され、前記第1励磁電流を遮断する際の起電力によって生じる電流を前記第1励磁コイルに還流させる第1ダイオードと、
を備え、
前記第1リレーは、
前記負荷への通電開始時に前記第1励磁電流によって前記第1励磁コイルが励磁されて前記第2給電線路を選択し、
前記通電開始から所定時間の経過後に前記第1励磁コイルへの前記第1励磁電流が遮断されてから前記第1接点が応答するまでは前記第2給電線路を選択し、前記第1接点が応答してから前記第1給電線路を選択する
ことにより、前記突入電流を抑制すべく前記負荷への通電開始時に制限された電流が流れるようにする
制御装置。
【請求項2】
前記電源側端子と前記負荷側端子の間を接続するように第3給電線路がさらに設けられ、前記第1給電線路の第1インピーダンスが前記第3給電線路の第3インピーダンスに比べて低く設定されていて、
第2励磁電流により励磁する第2励磁コイルと、前記第2励磁コイルの励磁状態に連動する第2接点を備える第2リレーと、
前記第2励磁コイルに並列に接続され、前記第2励磁電流を遮断する際の起電力によって生じる電流を前記第2励磁コイルに還流させる第2ダイオードと、
を備え、
前記第2リレーは、
前記第2励磁電流が遮断されてから前記第2接点が応答するまでは前記第3給電線路を選択し、前記第2接点が応答してから前記第2給電線路を選択する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
第3励磁電流により励磁する第3励磁コイルと、前記第3励磁コイルの励磁状態に連動する第3接点を備える第3リレーと、
前記第3励磁コイルに並列に接続され、前記第3励磁電流を遮断する際の起電力によって生じる電流を前記第3励磁コイルに還流させる第3ダイオードと、
を備え、
前記第3リレーは、
前記第3励磁電流が遮断されてから前記第3接点が応答するまでは前記第3給電線路を遮断状態にして、前記第3接点が応答した後、前記第3給電線路を導通状態にする
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第3リレーは、
前記第3励磁コイルの励磁状態により、前記第3接点と連動する第3リレー補助接点
を備え、
前記第3リレー補助接点は、
前記第3励磁電流が遮断されてから前記第3接点が応答するまでは前記第2励磁コイルに前記第2励磁電流を流し、前記第3接点が応答した後、前記第2励磁電流を遮断する
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
通電開始時に突入電流が生じうる負荷と、前記負荷に給電する電源との間に設けられた電源側端子と負荷側端子の間を接続するように第1給電線路と第2給電線路とが設けられ、前記第1給電線路の第1インピーダンスが前記第2給電線路の第2インピーダンスに比べて低く設定されていて、
カスケード接続される複数のリレーを用いて、前記カスケード接続されたリレーの段数と各段の動作時間とに基づいた応答時間によって、
前記負荷に給電を開始する際に前記負荷を初期充電するための
所定時間が規定される初期充電回路
を備え、
前記複数のリレーの中の第1リレーは、
第1励磁電流により励磁する第1励磁コイルと、前記第1励磁コイルの励磁状態に連動する第1接点とを備え、前記第1接点を用いて少なくとも前記第1給電線路と、前記第2給電線路とのうちから何れかの給電線路を選択して通電させ、
前記負荷への通電開始時に前記第1励磁電流によって前記第1励磁コイルが励磁されて前記第2給電線路を選択し、
前記通電開始から前記所定時間の経過後に前記第1励磁コイルへの前記第1励磁電流が遮断されてから前記第1接点が応答するまでは前記第2給電線路を選択し、前記第1接点が応答してから前記第1給電線路を選択する
ことにより、前記突入電流を抑制すべく前記負荷への通電開始時に制限された電流が流れるようにする
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通電に先立ち、負荷を初期充電させる制御装置が知られている。簡易な構成で負荷を初期充電させることが必要とされることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、負荷を初期充電させる制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の制御装置は、第1リレーと、第1ダイオードとを備える。第1リレーは、通電開始時に突入電流が生じうる負荷と、前記負荷に給電する電源との間に設けられた電源側端子と負荷側端子の間を接続するように第1給電線路と第2給電線路とが設けられ、前記第1給電線路の第1インピーダンスが前記第2給電線路の第2インピーダンスに比べて低く設定されていて、第1励磁電流により励磁する第1励磁コイルと、前記第1励磁コイルの励磁状態に連動する第1接点とを備え、前記第1接点を用いて少なくとも前記第1給電線路と、前記第2給電線路とのうちから何れかの給電線路を選択して通電させる。第1ダイオードは、前記第1励磁コイルに並列に接続され、前記第1励磁電流を遮断する際の起電力によって生じる電流を前記第1励磁コイルに還流させる。前記第1リレーは、前記負荷への通電開始時に前記第1励磁電流によって前記第1励磁コイルが励磁されて前記第2給電線路を選択し、前記通電開始から所定時間の経過後に前記第1励磁コイルへの前記第1励磁電流が遮断されてから前記第1接点が応答するまでは前記第2給電線路を選択し、前記第1接点が応答してから前記第1給電線路を選択することにより、前記突入電流を抑制すべく前記負荷への通電開始時に制限された電流が流れるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】実施形態の負荷を始動するときのタイミングチャート。
【
図3】実施形態の負荷を始動するときの動作を説明するための図。
【
図4】実施形態の負荷を始動するときの動作を説明するための図。
【
図5】実施形態の負荷を始動するときの動作を説明するための図。
【
図6】実施形態の負荷の稼働を停止させるときの動作を示すタイミングチャート。
【
図7】実施形態の負荷の稼働を停止させるときの動作を説明するための図。
【
図8】実施形態の負荷の稼働を停止させるときの動作を説明するための図。
【
図9】実施形態の負荷の稼働を停止させるときの動作を説明するための図。
【
図11】第2の実施形態の負荷を始動するときの動作を示すタイミングチャート。
【
図12】第2の実施形態の負荷の稼働を停止させるときの動作を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の制御装置を、図面を参照して説明する。以下に説明の制御装置は、負荷を初期充電する。実施形態における接続するという記載は、電気的に接続することを含む。
【0008】
(第1の実施形態)
制御装置の構成例を
図1に示す。
図1は、実施形態における制御装置の構成図である。
図1に示す制御装置1は、電源2から供給される所望の電力を負荷3に供給する。
制御装置1は、例えば、第1リレー11と、第2リレー12と、第3リレー13と、スイッチ14と、抵抗21と、抵抗22と、ダイオード31、32、33とを含む初期充電回路を備える。
【0009】
第1リレー11は、例えば、第1リレー励磁コイル11MGと、第1リレー第1接点111と、第1リレー第2接点112とを備える。例示する第1リレー11は、2極双投型である。第1リレー第1接点111は、b接点(normal close)であり、第1リレー第2接点112は、a接点(normal open)である。第1リレー励磁コイル11MGの励磁状態によって、第1リレー第1接点111と、第1リレー第2接点112との導通状態が決まる。
【0010】
第2リレー12は、例えば、第2リレー励磁コイル12MGと、第2リレー第1接点121と、第2リレー第2接点122と、第2リレー第3接点123とを備える。例示する第2リレー12は、3極双投型である。第2リレー第1接点121は、a接点であり、第2リレー第2接点122は、b接点であり、第2リレー第3接点123は、a接点である。第2リレー励磁コイル12MGの励磁状態によって、第2リレー第1接点121と、第2リレー第2接点122と、第2リレー第3接点123との導通状態が決まる。
【0011】
第3リレー13は、例えば、第3リレー励磁コイル13MGと、第3リレー第1接点131と、第3リレー第2接点132とを備える。例示する第3リレー13は、2極双投型である。第3リレー第1接点131は、b接点であり、第3リレー第2接点132は、a接点である。第3リレー励磁コイル13MGの励磁状態によって、第3リレー第1接点131と、第3リレー第2接点132との導通状態が決まる。
【0012】
スイッチ14は、操作を受け付けて、状態を保持するb接点タイプの電源スイッチである。負荷3への電力を遮断する「電源遮断」するときには、スイッチ14を導通させる。
【0013】
抵抗21と抵抗22は、電流制限用の抵抗である。
【0014】
ダイオード31、32、33は、励磁コイルの電流を還流させる還流ダイードである。ダイオード31は、第1リレー励磁コイル11MGに並列に設けられ、第1リレー励磁コイル11MGの電流を還流させる。ダイオード32は、第2リレー励磁コイル12MGに並列に設けられ、第2リレー励磁コイル12MGの電流を還流させる。ダイオード33は、第3リレー励磁コイル13MGに並列に設けられ、第3リレー励磁コイル13MGの電流を還流させる。
【0015】
次に、制御装置1の構成例について説明する。制御装置1は、初期充電回路100と、制御部200に大別できる。まず、初期充電回路100について説明する。
【0016】
初期充電回路100は、電源側端子TBPSと負荷側端子TBLDとを備える。電源側端子TBPSは、制御装置1の外部に設けられた電源2に接続される。負荷側端子TBLDは、制御装置1の外部に設けられた負荷3に接続される。
【0017】
電源側端子TBPSと負荷側端子TBLDを繋ぐ給電線には、主給電線BL_M(第1給電線路)と、補助給電線BL_1BPLaと、補助給電線BL_1BPLbと、補助給電線BL_2BPLb(第3給電線路)とが含まれる。補助給電線BL_1BPLaと補助給電線BL_1BPLbは、第2給電線路の一例である。
【0018】
主給電線BL_Mは、負荷に電力を供給する際に利用される。補助給電線BL_1BPLと補助給電線BL_2BPLbは、通電開始時点に負荷3を初期充電するために利用される。
【0019】
電源側端子TBPSには、主給電線BL_Maの一端が接続され、主給電線BL_Maの他端には、第1リレー第2接点112の一端が接続され、第1リレー第2接点112の他端には、主給電線BL_Mbの一端が接続され、主給電線BL_Mbの他端には、負荷側端子TBLDが接続される。
【0020】
また、電源側端子TBPSには、さらに補助給電線BL_1BPLaの一端が接続され、補助給電線BL_1BPLaの他端には、第1リレー第1接点111の一端が接続され、第1リレー第1接点111の他端には、補助給電線BL_1BPLbの一端が接続され、補助給電線BL_1BPLbの他端には、負荷側端子TBLDが接続される。この補助給電線BL_1BPLbには、直列に接続された抵抗21と、第3リレー第1接点131と、第2リレー第1接点121とが設けられている。
【0021】
さらに、第1リレー第1接点111の他端には、補助給電線BL_2BPLbの一端が接続され、補助給電線BL_2BPLbの他端には、負荷側端子TBLDが接続される。この補助給電線BL_2BPLbには、直列に接続された抵抗22と、第2リレー第2接点122とが設けられている。
【0022】
次に、初期充電回路100を制御する制御部の構成について説明する。
制御部200は、制御系電源端子TCPSと制御系共通端子TCOMとを備える。制御系電源端子TCPSと制御系共通端子TCOMは、制御用直流電源(不図示)に接続されており、制御用直流電源から制御用電力の供給を受ける。
【0023】
制御部200は、例えば、制御系電源端子TCPSと制御系共通端子TCOMとを繋ぐ制御線CTL1L、CTL2L、CTL3Lを備える。制御線CTL1Lには、直列に接続された第2リレー第2接点122と第1リレー励磁コイル11MGとが設けられている。制御線CTL2Lには、直列に接続された第3リレー第2接点132と第2リレー励磁コイル12MGとが設けられている。制御線CTL3Lには、直列に接続されたスイッチ14と第3リレー励磁コイル13MGとが設けられている。
【0024】
次に、
図2から
図5を参照して、実施形態の負荷を始動するときの動作について説明する。
図2は、実施形態の負荷を始動するときの動作を示すタイミングチャートである。
図3から
図5は、実施形態の負荷を始動するときの動作を説明するための図である。
【0025】
図2に示す波形は、上段から順に、スイッチ14と、第3リレー13と、第2リレー12と、第1リレー11の状態を示すものである。
図2に示すスイッチ14の初期状態は、導通状態であり、第3リレー13と、第2リレー12と、第1リレー11の初期状態は、各々の励磁コイルに励磁電流が流れていて、夫々が励磁状態である。
【0026】
時刻t11に、ユーザがスイッチ14を操作して、スイッチ14を遮断状態にする。スイッチ14は、遮断状態を保持する。これにともない、第3リレー13と、第2リレー12と、第1リレー11の各々の状態が順に反転して励磁解除の状態になる。例えば、時刻t12になると第3リレー13が、時刻t13になると第2リレー12が、時刻t14になると第1リレー11が順に各々の状態を反転する。
【0027】
より詳しく説明する、
図1に示す状態は時刻t11になるまでの初期状態のものである。スイッチ14が導通状態にあり、第3リレー13を励磁状態に保つための励磁電流(第3励磁電流)が第3リレー励磁コイル13MGに流れている。第2リレー12と、第1リレー11も同様である。
【0028】
図3に時刻t12になった後の状態を示す。
時刻t11になるとスイッチ14が遮断状態になり、第2リレー12を励磁状態に保つための励磁電流が遮断される。このとき、第3リレー励磁コイル13MGの起電力により上記の励磁電流を続けて流す方向の電流が生じて、ダイオード33は、起電力による電流を第3リレー励磁コイル13MGに還流する。そのため、第3リレー励磁コイル13MGによる磁力が徐々に低下する。上記の第3リレー13は、第3リレー13の励磁電流が遮断されてから第3リレー第1接点131(第3接点)が応答するまでは補助給電線BL_1BPLb(第3給電線路)を遮断状態にして、第3リレー第1接点131が応答した後、補助給電線BL_1BPLbを導通状態にする。第3リレー第2接点132は、上記と逆の動作になる。これにより、第3リレー第1接点131と、第3リレー第2接点132の状態は、スイッチ14が遮断状態になった時点(時刻t11)から遅れたタイミング(時刻t12)で遷移して、第2リレー12を励磁状態に保つための励磁電流が遮断された励磁解除状態になる。
【0029】
時刻t12になると、第2リレー12においても、前述の第3リレー13と同様に、第2リレー励磁コイル12MGの起電力により上記の励磁電流を続けて流す方向の電流が生じて、ダイオード32は、起電力による電流を第2リレー励磁コイル12MGに還流する。そのため、第2リレー励磁コイル12MGによる磁力が徐々に低下するために、第2リレー第1接点121と、第2リレー第2接点122と、第2リレー第3接点123の状態は、すぐに遷移しない。
【0030】
図4に時刻t13になった後の状態を示す。
時刻t13になると、第2リレー第1接点121と、第2リレー第2接点122と、第2リレー第3接点123の状態は、時刻t12から遅れたタイミング(時刻t13)で遷移して、第1リレー11を励磁状態に保つための励磁電流が遮断された励磁解除状態になる。上記の状態の遷移により、図示する経路I2に電流が流れて、電流の経路が変わるが負荷3の初期充電が継続されている。
【0031】
図5に時刻t14になった後の状態を示す。
時刻t13になると、第1リレー11においても、前述の第2リレー12と同様に、第1リレー励磁コイル11MGの起電力により上記の励磁電流を続けて流す方向の電流が生じて、ダイオード31は、起電力による電流を第1リレー励磁コイル11MGに還流する。そのため、第1リレー励磁コイル11MGによる磁力が徐々に低下するために、第1リレー第1接点111と、第1リレー第2接点112の状態は、すぐに遷移しない。
【0032】
時刻t14になると、第1リレー第1接点111と、第1リレー第2接点112の状態は、遷移して、負荷3に給電する経路が
図5に示す経路I3に切り替わる。
【0033】
上記の通り、スイッチ14を操作した時刻t11の後の時刻t12から第1リレー11の状態が切り替わる時刻t14までの期間に、少なくとも第3リレー13と、第2リレー12と、第1リレー11の3つのリレーを用いて、負荷3の初期充電の期間を調整して、負荷3を初期充電することができる。
【0034】
なお、第3リレー13の第3リレー第2接点132は、第3リレー13の励磁電流が遮断されてから第3リレー第2接点132(第3リレー補助接点)が応答するまでは、第2リレー励磁コイル12MG(第2励磁コイル)に第2リレー12の励磁電流を流し、第3リレー第2接点132が応答した後に第2リレー12の励磁電流(第2励磁電流)を遮断する。これにより、制御装置1は、負荷3に給電を開始する際に、まず、第3リレー第1接点131が応答して補助給電線BL_1BPLbが導通状態になり、次に、第3リレー13にカスケード接続される第2リレー12によって補助給電線BL_1BPLaを導通状態にして、負荷3を段階的に初期充電(プリチャージ)する。
【0035】
次に、
図6から
図9を参照して、実施形態の負荷の稼働を停止させるときの動作を説明する。
図6は、実施形態の負荷の稼働を停止させるときの動作を示すタイミングチャートである。
図7から
図9は、実施形態の負荷の稼働を停止させるときの動作を説明するための図である。
【0036】
図6に示す波形は、
図2と同様に上段から順に、スイッチ14と、第3リレー13と、第2リレー12と、第1リレー11の各々の状態を示すものである。
図6に示すスイッチ14の初期状態は、遮断状態であり、第3リレー13と、第2リレー12と、第1リレー11の初期状態は、励磁電流が流れていない励磁解除の状態である。
【0037】
時刻t21に、ユーザがスイッチ14を操作して、スイッチ14を導通状態にする。スイッチ14は、導通状態を保持する。これにともない、第3リレー13と、第2リレー12と、第1リレー11の各々の状態が順に反転する。例えば、スイッチ14が導通状態になった後に、時刻t22になると第3リレー13が、時刻t23になると第2リレー12が、時刻t24になると第1リレー11が順に各々の状態を反転する。
【0038】
例えば、
図7に示す状態は負荷に給電している途中で、負荷3への給電を中断(電源切)するように時刻t21にスイッチ14が操作されてから時間が経過して時刻t22になった後のものである。スイッチ14が導通状態にあり、第3リレー13が第2リレー12を励磁状態に保つための励磁電流を流す励磁状態にある。第2リレー12と、第1リレー11の各々の状態は、励磁解除の状態にある。
【0039】
第3リレー第1接点131と、第3リレー第2接点132の状態は、スイッチ14が遮断状態になった時点から遅れたタイミングで遷移する。これにより、第2リレー12を励磁状態に保つための励磁電流が流れ始める。この段階では、第2リレー12と、第1リレー11は励磁解除状態が継続している。
【0040】
図8に時刻t23になった後の状態を示す。時刻t23になっても、図示する経路I3に電流が流れている。第2リレー第1接点121と、第2リレー第2接点122と、第2リレー第3接点123の状態は、時刻t22から遅れたタイミング(時刻t23)で遷移して、第1リレー11を励磁状態に保つための励磁電流が流れる。
【0041】
図9に時刻t24になった後の状態を示す。
第1リレー第1接点111と、第1リレー第2接点112の状態は、時刻t23から遅れたタイミング(時刻t24)で遷移して、負荷3に給電する経路I3の電流が遮断される。経路I3の電流が遮断されると、前述の経路I1とI2もそれぞれ遮断されているため、負荷3への給電が停止する。
【0042】
上記の通り、スイッチ14を操作した時刻t21から第1リレー11の状態が切り替わる時刻t24までの期間に、負荷3に給電することができる。
【0043】
上記の実施形態によれば、第1リレー11(第1リレー)が、第1リレー第1接点111を用いて少なくとも主給電線BL_M(第1給電線路)と、補助給電線BL_1BPLaと補助給電線BL_1BPLbと(第2給電線路)のうちから何れかの給電線路を選択する。ダイオード31(第1ダイオード)は、第1リレー励磁コイル11MGに並列に接続され、第1リレー励磁コイル11MGの励磁電流(第1励磁電流)を遮断する際の起電力によって生じる電流を第1リレー励磁コイル11MGに還流させる。第1リレー11は、第1リレー励磁コイル11MGへの励磁電流が遮断されてから第1リレー第1接点111が応答するまではインピーダンスが比較的高い第2給電線路を選択し、第1リレー第1接点111が応答してからインピーダンスが比較的低い第1給電線路を選択することにより、負荷3を初期充電する時間を確保して、その初期充電を行うことができる。
【0044】
なお、選択可能な給電線路は、3つ以上であってもよい。例えば、第1給電線路の第1インピーダンスが、第3給電線路の第3インピーダンスに比べて低く設定されていて、ダイオード32(第2ダイオード)は、第2リレー12(第2リレー)の第2リレー励磁コイル12MG(第2励磁コイル)に並列に接続され、第2リレー12の励磁電流(第2励磁電流)を遮断する際の起電力によって生じる電流を前記第2励磁コイルに還流させる。第2リレー12は、第2リレー12の励磁電流が遮断されてから第2リレー第2接点122(第2接点)が応答するまでは第3給電線路を選択し、第2リレー第2接点122が応答してから第2給電線路を選択することにより、少なくとも第1給電線路と、第2給電線路と、第3給電線路との中から給電経路を選択して、第2給電線路と、第3給電線路の何れかを用いて負荷3の初期充電に利用することができる。
【0045】
なお、初期充電回路100を用いて負荷3を初期充電する時間は、カスケード接続されたリレーの段数と各段の動作時間(リセット時間)とに基づいた応答時間によって規定されるものであってよい。
【0046】
(第2の実施形態)
図10を参照して、第2の実施形態について説明する。
図10は、第2の実施形態の制御装置の構成図である。第1の実施形態で利用したリレーの個数は、3つであった。利用するリレーの個数は、4つ以上であってもよい。本実施形態では、4つのリレーを利用する事例について説明する。
【0047】
制御装置1Aは、制御装置1に比べてさらに、第0リレー10と、抵抗23と、ダイオード30とを備え、第1リレー11に代えて第1リレー11Aを備える。
【0048】
第0リレー10は、例えば、第0リレー励磁コイル10MGと、第0リレー第1接点101と、第0リレー第2接点102とを備える。例示する第0リレー10は、第1リレー11と同じものであってよい。
【0049】
第1リレー11Aは、例えば、第1リレー励磁コイル11AMGと、第1リレー第1接点111Aと、第1リレー第2接点112Aと、第1リレー第3接点113Aとを備える。例示する第1リレー11Aは、前述の第2リレー12と同じものであってよい。
【0050】
ダイオード30は、励磁コイルの電流を還流させる還流ダイードである。ダイオード30は、第0リレー励磁コイル10MGに並列に設けられる。
【0051】
制御装置1Aは、初期充電回路100Aと、制御部200Aに大別できる。まず、初期充電回路100Aは、初期充電回路100に対して次の点が異なる。
【0052】
電源2から負荷3に流れる電流経路に設けられていた第1リレー11の第1リレー第1接点111と、第1リレー第2接点112が、第0リレー10の第0リレー第1接点101と、第0リレー第2接点102に代わる。
【0053】
電源側端子TBPSと負荷側端子TBLDを繋ぐ給電線に、補助給電線BL_3BPLbが追加されている。
【0054】
第1リレー第1接点111に代わる第0リレー第1接点101の他端に接続される補助給電線BL_2BPLbには、直列に接続された抵抗22と、第2リレー第2接点122と、第1リレー第1接点111Aとが設けられている。
【0055】
同じく第0リレー第1接点101の他端に接続される補助給電線BL_3BPLbには、直列に接続された抵抗23と、第1リレー第2接点112Aとが設けられている。
【0056】
制御部200Aは、制御部200に対して次の点が異なる。
制御部200Aは、例えば、制御系電源端子TCPSと制御系共通端子TCOMとを繋ぐ制御線CTL1L、CTL2L、CTL3Lの他に、制御線CTL0Lを備える。制御線CTL0Lには、直列に接続された第1リレー第3接点113と第0リレー励磁コイル10MGとが設けられている。
【0057】
例えば、上記の通り、ダイオード30(第3ダイオード)が第0リレー励磁コイル10MG(第3励磁コイル)に並列に接続された第0リレー10(第3リレー)をさらに用いる。これにより、ダイオード30は、第0リレー10の励磁電流(第3励磁電流)を遮断する際の起電力によって生じる電流を第0リレー励磁コイル10MGに還流させる。第0リレー10は、第0リレー10の励磁電流が遮断されてから第0リレー第1接点101(第3接点)が応答するまでは電流I3Aの電流経路(第3給電線路)を遮断状態にして、第0リレー第1接点101が応答した後電流I3Aの電流経路を導通状態にすることにより、第3リレー13と、第2リレー12と、第1リレー11、第0リレー10の4つのリレーを用いて、負荷3の初期充電の期間を調整できる。
【0058】
次に、
図11と
図12を参照して、実施形態の負荷を始動するときの動作について説明する。
【0059】
図11は、実施形態の負荷を始動するときの動作を示すタイミングチャートである。
図11に示す波形は、上段から順に、スイッチ14と、第3リレー13と、第2リレー12と、第1リレー11と、第0リレー10の状態を示すものである。
図11に示すスイッチ14の初期状態は、導通状態であり、第3リレー13と、第2リレー12と、第1リレー11と、第0リレー10の初期状態は、各々の励磁コイルに励磁電流が流れていて、夫々が励磁状態である。
【0060】
時刻t11に、ユーザがスイッチ14を操作して、スイッチ14を遮断状態にする。スイッチ14は、遮断状態を保持する。これにともない、第3リレー13と、第2リレー12と、第1リレー11と、第0リレー10の各々の状態が順に反転して励磁解除の状態になる。例えば、時刻t12になると第3リレー13が、時刻t13になると第2リレー12が、時刻t14になると第1リレー11が、時刻t15になると第0リレー10が順に各々の状態を反転する。
【0061】
なお、上記の通り第0リレー10は、時刻t15まで状態は変化しない。時刻t11から時刻t14までは、
図2などの説明を参照してよい。時刻t15になり、第0リレー第1接点101と、第0リレー第2接点102の状態は、遷移して、負荷3に給電する経路が
図10に示す経路I3Aに切り替わる。
【0062】
図12は、実施形態の負荷の稼働を停止させるときの動作を示すタイミングチャートである。
図12に示す波形は、
図11と同様に上段から順に、スイッチ14と、第3リレー13と、第2リレー12と、第1リレー11と、第0リレー10の状態を示すものである。
図11に示すスイッチ14の初期状態は、遮断状態であり、第3リレー13と、第2リレー12と、第1リレー11と、第0リレー10の初期状態は、励磁電流が流れていない励磁解除の状態である。
【0063】
時刻t21に、ユーザがスイッチ14を操作して、スイッチ14を導通状態にする。スイッチ14は、導通状態を保持する。これにともない、第3リレー13と、第2リレー12と、第1リレー11と、第0リレー10の各々の状態が順に反転する。例えば、スイッチ14が導通状態になった後に、時刻t22になると第3リレー13が、時刻t23になると第2リレー12が、時刻t24になると第1リレー11、時刻t25になると第0リレー10が順に各々の状態を反転する。
【0064】
なお、上記の通り第0リレー10は、時刻t25まで状態は変化しない。時刻t21から時刻t24までは、
図6などの説明を参照してよい。時刻t25になり、第0リレー第1接点101と、第0リレー第2接点102の状態は、遷移して、
図10に示すI3Aの電流が遮断される。
【0065】
上記の実施形態によれば、第1の実施形態よりも1段多くリレーを有することにより、スイッチ14を操作してから電流の通電状態を切り替えるまでの時間を長くすることができ、初期充電時間を確保することができる。
【0066】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、実施形態の制御装置は、第1リレーと、第1ダイオードとを備える。第1リレーは、電源と負荷の間に設けられた電源側端子と負荷側端子の間を接続するように第1給電線路と第2給電線路とが設けられ、前記第1給電線路の第1インピーダンスが前記第2給電線路の第2インピーダンスに比べて低く設定されていて、第1励磁電流により励磁する第1励磁コイルと、前記第1励磁コイルの励磁状態に連動する第1接点とを備え、前記第1接点を用いて少なくとも前記第1給電線路と、前記第2給電線路とのうちから何れかの給電線路を選択して通電させる。第1ダイオードは、前記第1励磁コイルに並列に接続され、前記第1励磁電流を遮断する際の起電力によって生じる電流を前記第1励磁コイルに還流させる。前記第1リレーは、前記第1励磁コイルへの前記第1励磁電流が遮断されてから前記第1接点が応答するまでは前記第2給電線路を選択し、前記第1接点が応答してから前記第1給電線路を選択することにより、負荷を初期充電させることができる。
【0067】
上記の制御装置は、その少なくとも一部を、CPUなどのプロセッサがプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部で実現してもよく、全てをLSI等のハードウェア機能部で実現してもよい。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0069】
なお、カスケード接続されたリレーの段数を2段にする場合には、第2リレー12を削除するとよい。この場合、第3リレー13が、第1リレー11の励磁電流を直接遮断するとよい。
【0070】
ダイオード31、32、33は、励磁時間を延長するように作用するものであるが、励磁電流を遮断する際に生じるサージ電圧を抑制する効果も併せて得ることができる。
【符号の説明】
【0071】
1…制御装置、2…電源、3…負荷、10…第0リレー、11…第1リレー、12…第2リレー、13…第3リレー、14…スイッチ、21、22…抵抗、100…初期充電回路、200…制御部