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特許7195234ガラス板を有する冷蔵庫扉の処理方法及び処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】ガラス板を有する冷蔵庫扉の処理方法及び処理装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/35 20220101AFI20221216BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20221216BHJP
   F25D 23/08 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
B09B3/35 ZAB
F25D23/02 304E
F25D23/08 Z
F25D23/02 304A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019144157
(22)【出願日】2019-08-06
(65)【公開番号】P2021023882
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505166122
【氏名又は名称】株式会社関東エコリサイクル
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中小原 千喜憲
(72)【発明者】
【氏名】塩家 洋一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大祐
【審査官】長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-069657(JP,A)
【文献】特開2020-069454(JP,A)
【文献】特開2010-060190(JP,A)
【文献】特開2006-330205(JP,A)
【文献】特開2002-350837(JP,A)
【文献】特開2019-069428(JP,A)
【文献】特開平10-202657(JP,A)
【文献】特開平05-322436(JP,A)
【文献】特開2015-075275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 5/00
F25D 23/02
F25D 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板と、
該ガラス板の裏面側に配された断熱部材と、
前記ガラス板の側周に配された扉枠と、を有する冷蔵庫のガラス扉を、
作用部として刃を有する分離装置を用いて、断熱部材側とガラス板側とに分離する処理方法であって、
前記ガラス扉が、前記ガラス板が固定面又は可動面に対向する向きで載置される準備工程と、
前記前記扉枠を破壊する破壊工程と、
前記破壊工程を終えた前記刃がさらに前記断熱部材の方に進んで、前記刃が前記断熱部材に作用し、
前記によって分離されている前記ガラス扉のうち、前記断熱部材側が前記の一方側に運ばれ、
前記によって分離されている前記ガラス扉のうち、前記ガラス板側が前記の他方側に運ばれる分離工程と、を含み、
前記が前記ガラス扉を前記断熱部材側と前記ガラス板側とに分離している最中の一部又は略全部において、前記ガラス扉の前記断熱部材には、前記固定面又は前記可動面に近づく方向への荷重及び力を実質的に付与しない、ガラス扉の処理方法。
【請求項2】
ガラス板と、
該ガラス板の裏面側に配された断熱部材と、を有する冷蔵庫のガラス扉を、
作用部を有する分離装置を用いて、断熱部材側とガラス板側とに分離する処理方法であって、
前記分離装置は、分離補助部を有し、
前記ガラス扉が、前記ガラス板が固定面又は可動面に対向する向きで載置される準備工程と、
前記作用部が前記断熱部材に作用し、
前記作用部によって分離されている前記ガラス扉のうち、前記断熱部材側が前記作用部の一方側に運ばれ、
前記作用部によって分離されている前記ガラス扉のうち、前記ガラス板側が前記作用部の他方側に運ばれる分離工程と、を含み、
前記分離工程では、前記作用部によって分離されている前記ガラス扉のうち、前記断熱部材側が、前記分離補助部に載り上がり、
前記作用部が前記ガラス扉を前記断熱部材側と前記ガラス板側とに分離している最中の一部又は略全部において、前記ガラス扉の前記断熱部材には、前記固定面又は前記可動面に近づく方向への荷重及び力を実質的に付与しない、ガラス扉の処理方法。
【請求項3】
ガラス板と、
該ガラス板の裏面側に配された断熱部材と、を有する冷蔵庫のガラス扉を、
作用部を有する分離装置を用いて、断熱部材側とガラス板側とに分離する処理方法であって、
前記分離装置は、分離補助部を有し、
前記ガラス扉が、前記ガラス板が固定面又は可動面に対向する向きで載置される準備工程と、
前記作用部が前記断熱部材に作用し、
前記作用部によって分離されている前記ガラス扉のうち、前記断熱部材側が前記作用部の一方側に運ばれ、
前記作用部によって分離されている前記ガラス扉のうち、前記ガラス板側が前記作用部の他方側に運ばれる分離工程と、を含み、
前記分離工程では、前記作用部によって分離されている前記ガラス扉のうち、前記ガラス板側が、前記分離補助部に載り上がり、
前記作用部が前記ガラス扉を前記断熱部材側と前記ガラス板側とに分離している最中の一部又は略全部において、前記ガラス扉の前記断熱部材には、前記固定面又は前記可動面に近づく方向への荷重及び力を実質的に付与しない、ガラス扉の処理方法。
【請求項4】
前記ガラス扉は、前記ガラス板の側周に配された扉枠を有し、
前記分離装置は、押圧固定治具を有し、
前記分離工程では、前記扉枠が破壊されてから、前記作用部が前記断熱部材に進入するものであり、
前記準備工程の開始から前記作用部が前記断熱部材に進入し始める直後までの間に、前記押圧固定治具は、前記ガラス扉に対して前記固定面又は前記可動面に近づく方向の荷重又は力を付与する請求項1乃至3何れか一項に記載の処理方法。
【請求項5】
ガラス板と、
該ガラス板の裏面側に配された断熱部材と、を有する冷蔵庫のガラス扉を、
作用部を有する分離装置を用いて、断熱部材側とガラス板側とに分離する処理方法であ
って、
前記ガラス扉が、前記ガラス板が固定面又は可動面に対向する向きで載置される準備工
程と、
前記作用部が前記断熱部材に作用し、
前記作用部によって分離されている前記ガラス扉のうち、前記断熱部材側が前記作用部
の一方側に運ばれ、
前記作用部によって分離されている前記ガラス扉のうち、前記ガラス板側が前記作用部
の他方側に運ばれる分離工程と、を含み、
前記作用部は、切っ先が前記ガラス扉の複数点で接触し始める形状の刃であり、前記固定面又は前記可動面の側に傾斜を有し、
前記作用部が前記ガラス扉を前記断熱部材側と前記ガラス板側とに分離している最中の
一部又は略全部において、前記ガラス扉の前記断熱部材には、前記固定面又は前記可動面
に近づく方向への荷重及び力を実質的に付与しない、ガラス扉の処理方法。
【請求項6】
前記分離装置は、前記ガラス扉を搬送する搬送部を有し
該搬送部は、前記作用部に正対する領域を含んで配された空隙を有する請求項1乃至何れか一項に記載の処理方法。
【請求項7】
前記作用部としての刃は、切っ先からの傾斜が前記断熱部材側に形成されている請求項1乃至6の何れか一項に記載の処理方法。
【請求項8】
前記作用部としての刃は、前記分離工程において、前記断熱部材のうち前記ガラス板の近傍に入り込み、前記ガラス板の表面を追従しながら進む請求項1乃至7の何れか一項に記載の処理方法。
【請求項9】
ガラス板と、
該ガラス板の裏面側に配された断熱部材と、
前記ガラス板の側周に配された扉枠と、を有する冷蔵庫のガラス扉の処理装置であって、
前記ガラス扉を搬送する搬送部と、
前記ガラス扉に作用して前記扉枠を破壊し、該ガラス扉を断熱部材側とガラス板側とに分離する作用部である刃と、
前記ガラス扉が、前記ガラス板が固定面又は可動面に対向する向きで載置される領域と、を有し、
前記は、前記破壊を終えてさらに前記断熱部材の方に近づき、前記搬送部で搬送された前記ガラス扉のうち、前記断熱部材に作用し、前記ガラス扉から分離した前記断熱部材側を前記の一方側に運び、前記ガラス扉から分離した前記ガラス板側を前記の他方側に運び、
前記が前記ガラス扉を前記断熱部材側と前記ガラス板側とに分離している最中の一部又は略全部において、前記ガラス扉の前記断熱部材に対して、前記固定面又は前記可動面に近づく方向への荷重及び力を実質的に付与しない、処理装置。
【請求項10】
ガラス板と、
該ガラス板の裏面側に配された断熱部材と、
前記ガラス板の側周に配された扉枠と、を有する冷蔵庫のガラス扉の処理装置であって、
前記ガラス扉に作用して前記扉枠を破壊し、該ガラス扉を断熱部材側とガラス板側とに分離する作用部である刃と、
前記ガラス扉が、前記ガラス板が固定面又は可動面に対向する向きで載置される領域と、を有し、
前記は、前記破壊を終えてさらに前記断熱部材の方に近づき、前記ガラス扉のうち、前記断熱部材に作用し、前記ガラス扉から分離した前記断熱部材側を前記の一方側に運び、前記ガラス扉から分離した前記ガラス板側を前記の他方側に運ぶ、処理装置。
【請求項11】
前記刃は、切っ先からの傾斜が前記断熱部材側に形成されている請求項9又は10に記載の処理装置。
【請求項12】
前記作用部としての刃は、前記断熱部材のうち前記ガラス板の近傍に入り込み、前記ガラス板の表面を追従しながら進む請求項9乃至11の何れか一項に記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板を有する冷蔵庫扉の処理方法及び処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の扉の外観は冷蔵庫の意匠性を大きく左右する。扉の表面積の多くを占める前板(意匠面材)に鋼板が使用された「鋼板扉」も知られているが、インテリア性の高さから例えばガラス板(強化ガラス板を含む。)が使用された「ガラス扉」が採用されることが増えてきている。
【0003】
冷蔵庫部材のリサイクルに関しては、特許文献1のような箱体の分離に係る構造などが知られているものの、ガラス扉からのガラス板を効果的に分離しようとする公知例は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-201248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は関連する冷蔵庫リサイクル方法のフローである。使用済みの冷蔵庫や、産廃品となった冷蔵庫はリサイクルプラントへ搬入される(ステップS100)。冷蔵庫は、鋼板扉を備えたものと、ガラス扉を備えたものとに仕分けられる(ステップS110)。鋼板扉を備えた冷蔵庫については圧縮機などのパーツを回収してから箱体と扉ごと破砕機へと運ばれる(ステップS111)のに対し、ガラス扉を備えた冷蔵庫については、箱体からガラス扉を取り外す(ステップS120)。そして、箱体は破砕され(ステップS111)、扉はガラス板が断熱部材(例えばウレタン)に密着しているか否かによって処理される(ステップS130又はS140)。
【0006】
冷蔵庫扉の前板がガラス板であるか否かでその後の処理が変わる理由は、ガラス扉を鋼板扉同様に直接破砕機へ投入すると、装置に詰まりなどの悪影響が出ることや、無事破砕されて排出されたとしても、破砕された後の物質の分離を精度よく行うための技術が確立されていないため、他のリサイクル材の純度を低下させる要因となってしまうためである。
【0007】
さて、ガラス扉からガラス板を比較的容易に分離できるものについては、ハンマーやヘラ等の道具を用いて手作業でガラス板と他の材料(断熱部材等)とに分離する(ステップS140)。ガラス板の取り外しが困難又は不可能なものについては、例えばガラス扉ごと埋め立て処分される(ステップS130)。
【0008】
ガラス板を比較的容易に分離できるものとしては、例えばウレタン断熱材とガラス板とが直接は接着等されていないものである。具体的には、ガラス板とウレタン断熱材との間に飛散防止フィルムによる離型処理が施されているものであったり、ガラス板やその塗装上に直接離型処理が施されているものなどが挙げられる。一方で、ガラス板を分離するのが困難又は不可能なものとしては、例えばガラス板と断熱材とが直接に接着等しているものである。断熱材の一例としてのウレタン断熱材は、例えばガラス板の一面に向けてウレタンフォーム液が注入され、このフォーム液の化学反応の進行につれて膨張するとともに接触した物体に接着しながらウレタン断熱材として形成される。また、断熱材の他の一例としての真空断熱材は、両面テープやホットメルト等によって例えばガラス板に接着、粘着、又は貼付等される。
【0009】
このように、ガラス扉を備える冷蔵庫をリサイクルするにあたっては、ガラス扉をそのまま破砕するとガラスの分離回収が困難になるため、ガラス扉をガラス板側と断熱部材側とに分離する。しかし、この分離作業を手作業で行うには労力を要し、自動化が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記事情に鑑みてなされた本発明の処理方法は、
ガラス板と、
該ガラス板の裏面側に配された断熱部材と、
前記ガラス板の側周に配された扉枠と、を有する冷蔵庫のガラス扉を、
作用部として刃を有する分離装置を用いて、断熱部材側とガラス板側とに分離する処理方法であって、
前記ガラス扉が、前記ガラス板が固定面又は可動面に対向する向きで載置される準備工程と、
前記前記扉枠を破壊する破壊工程と、
前記破壊工程を終えた前記刃がさらに前記断熱部材の方に進んで、前記刃が前記断熱部材に作用し、
前記によって分離されている前記ガラス扉のうち、前記断熱部材側が前記の一方側に運ばれ、
前記によって分離されている前記ガラス扉のうち、前記ガラス板側が前記の他方側に運ばれる分離工程と、を含み、
前記が前記ガラス扉を前記断熱部材側と前記ガラス板側とに分離している最中の一部又は略全部において、前記ガラス扉の前記断熱部材には、前記固定面又は前記可動面に近づく方向への荷重及び力を実質的に付与しない。
【0011】
また、上記事情に鑑みてなされた本発明の処理装置は、
ガラス板と、
該ガラス板の裏面側に配された断熱部材と、
前記ガラス板の側周に配された扉枠と、を有する冷蔵庫のガラス扉の処理装置であって、
前記ガラス扉を搬送する搬送部と、
前記ガラス扉に作用して前記扉枠を破壊し、該ガラス扉を断熱部材側とガラス板側とに分離する作用部である刃と、
前記ガラス扉が、前記ガラス板が固定面又は可動面に対向する向きで載置される領域と、を有し、
前記は、前記破壊を終えてさらに前記断熱部材の方に近づき、前記搬送部で搬送された前記ガラス扉のうち、前記断熱部材に作用し、前記ガラス扉から分離した前記断熱部材側を前記の一方側に運び、前記ガラス扉から分離した前記ガラス板側を前記の他方側に運び、
前記が前記ガラス扉を前記断熱部材側と前記ガラス板側とに分離している最中の一部又は略全部において、前記ガラス扉の前記断熱部材に対して、前記固定面又は前記可動面に近づく方向への荷重及び力を実質的に付与しない。
また、上記事情に鑑みてなされた本発明の別の処理装置は、
ガラス板と、
該ガラス板の裏面側に配された断熱部材と、
前記ガラス板の側周に配された扉枠と、を有する冷蔵庫のガラス扉の処理装置であって、
前記ガラス扉に作用して前記扉枠を破壊し、該ガラス扉を断熱部材側とガラス板側とに分離する作用部である刃と、
前記ガラス扉が、前記ガラス板が固定面又は可動面に対向する向きで載置される領域と、を有し、
前記刃は、前記破壊を終えてさらに前記断熱部材の方に近づき、前記ガラス扉のうち、前記断熱部材に作用し、前記ガラス扉から分離した前記断熱部材側を前記刃の一方側に運び、前記ガラス扉から分離した前記ガラス板側を前記刃の他方側に運ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】関連する冷蔵庫のリサイクル方法のフロー
図2】実施形態1の冷蔵庫のガラス扉の上面断面図
図3】実施形態1のガラス扉に用いられるガラス板の分離装置の概略図
図4】実施形態1の刃の上面図
図5】実施形態1の分離装置が配された領域にガラス扉を載置して搬送開始した後の状態の図
図6】実施形態1の分離装置を作動させてガラス扉を分離している途中の図
図7】実施形態1の分離装置でR形状の扉枠を処理しようとした際の課題を示した図
図8】実施形態2の分離装置の刃近傍を示す図
図9】実施形態3の分離装置でガラス扉を処理している状態の図
図10】各実施形態の分離装置で自動分離処理している全体概略図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を添付の図面を参照しつつ説明する。
本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、例えば、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、或る構成要素が他の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、を許容する。
また、本発明の方法には複数の手順を順番に記載してあるが、その記載の順番やタイミングは複数の手順を実行する順番やタイミングを限定するものではなく、内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【0014】
<実施形態1>
[ガラス扉1]
図2は本実施形態の冷蔵庫に用いられたガラス扉1の上面断面図である。ガラス扉1は、意匠面として主面21(冷蔵庫の外観から目視可能な面)が用いられるガラス板2と、ガラス板2の裏面22側に配される断熱部材3と、ガラス板2の側周に配される例えば樹脂製の扉枠4と、断熱部材3の後側に配されるライナ材5とを有する。
断熱部材3としては、例えばウレタンフォーム液を注入して発泡することで得られる公知の発泡断熱材や、公知の真空断熱材を用いることができる。断熱部材3は、自身の粘着性によって又は接着剤若しくは接着テープ等によって、ガラス板2の裏面22に接着、密着、又は貼付等によって、ガラス板2に対して相対移動不能にされている。本実施形態では、断熱部材3としてウレタンフォーム液から発泡されたウレタン断熱材が用いられており、自身の接着性によって裏面22に接着している。
【0015】
扉枠4は、ガラス板2の側面や前面を支持して、ガラス扉1から脱離してしまうことを抑制している。このため、扉枠4は、ガラス板2が脱離するのを防ぐ程度の硬さや強度を有している。扉枠4は、そのすべてとは限らないが、ガラス板2の主面21の縁を支持する押え支持部41を有し得る。
【0016】
[分離装置10]
図3は本実施形態のガラス扉1に用いられるガラス板2の分離装置10の概略図である。図4は本実施形態の刃12の上面図である。図5は本実施形態の分離装置10が配された領域にガラス扉1を載置して搬送開始した後の状態の図である。
【0017】
分離装置10は、ガラス扉1を前方に搬送する搬送部11と、搬送されるガラス扉1に作用してガラス扉1をガラス板2側と断熱部材3側とに分離する作用部としての刃12と、刃12の上側に配された分離補助部13と、を有する。
【0018】
ガラス扉1は、例えばガラス板2側が固定面100に対向するように下側を向けられて、搬送部11と刃12との間に載置される。
【0019】
(搬送部11)
搬送部11は、水平方向、少なくとも前後方向に可動であり、ガラス扉1の側面(例えば扉枠4)に当接して、ガラス扉1を刃12が在る方向に押して搬送する(図5中、矢印A)。搬送部11は、例えばシリンダ等の直線駆動機構装置によって、固定面100上を自由に行き来することができる。
搬送部11は、刃12の高さ位置よりも高い位置でガラス扉1の側面を押す第1搬送部111と、刃12の高さ位置よりも低い位置でガラス扉1の側面を押す第2搬送部112と、第1搬送部111及び第2搬送部112の間の空隙113と、を有している。後述するように、刃12はガラス扉1に作用して、ガラス板2側と断熱部材3側とに分離する。その分離の後、刃12は空隙113に入り込むことで搬送部11と接触することを回避できる。このため、ガラス扉1を略水平方向に切り終え易いようにしている。
【0020】
搬送部11としては公知のベルトコンベアのように固定面100そのものが動いたり、同一方向に回転する複数の回転体を固定面100に配して、ガラス扉1を搬送するようにしてもよいが、この場合、搬送力の付与を容易に行うべく、本実施形態のようにガラス扉1の側面を押すものが好ましい。また、刃12を移動させてもよいが、安全面の観点からは刃12よりもガラス扉1を対地速度で動かすことが好ましい。
【0021】
(刃12)
刃12は、固定面100から或る程度離間した高さに固定(固定構造は不図示)されており、切っ先121を後端にして前後に延在している。この高さは、固定面100に載置されたガラス扉1のガラス板2の裏面22の位置よりも高く、扉枠4の上端よりも低い。また、好ましくは、刃12は、床面に配されたガラス排出口101の上方に位置する。ガラス排出口101の後端は、刃12の切っ先121より前方に在るのが好ましい。
【0022】
刃12の材料については特に限定するものではないが、例えばSKS3相当(焼入れ処理)などの硬度の高い材質を使用するのが望ましい。刃12の後端である切っ先121から後方にかけては、本実施形態においては上面側に、前方に向かうにつれて上方に向かう傾斜122が配されている。これにより、ガラス板2から分離された断熱部材3側が刃12の上面に沿って、滑るように移動しやすくしているが、刃12の下方に傾斜を配してもよい。その場合、ガラス板2側が下方を向いた傾斜に案内される形になる。本発明者らによる実験では、傾斜が下方に配されている方が上方よりも効果的な分離を行えた。この理由は定かではないが、ガラス板2を円滑に案内する方が分離を行いやすい可能性と、分離補助部13と反対側に傾斜を配するのが好ましい可能性と、が考え得る。
【0023】
刃12は、例えば、小刃123を1枚に繋ぎ合わせ、ホルダ129などの固定具にボルト128で固定されて一体化されている。小刃123の切っ先は上面視斜めにされていわゆるギザギザ形状にされており、扉枠4に複数点で当接し始める。これにより扉枠4の破壊を容易に行えるようにしている。その他、作用部としては公知のウォーターカッターやレーザ光線などを採用してもよい。
【0024】
刃12を配置する高さとしては、ガラス板2の裏面22よりも高い位置で、裏面22に極力近いことが好ましい。概ね、日本国で販売されているガラス扉1については、扉枠4のうちガラス板2より前に位置する部分の厚さが約3mm、ガラス板2の厚さが約3mm、であることが想定される。このため、固定面100から例えば6mm超の高さに固定しておくのが望ましい。尤も、刃12の高さを自由に調整できるように公知の機構を備えることができる。
【0025】
(分離補助部13)
分離補助部13は、後述するように、ガラス板2側から分離された断熱部材3側が載り上がる部材であり、高さ方向に寸法を有して断熱部材3側の荷重に耐えることができる強度の部材である。分離補助部13の高さ寸法としては、例えば固定面100と、分離中の断熱部材3側の底辺とが成す角度が5°~45°となるような寸法が好ましい。45°を超えると分離過程でガラスが大きく反ってしまい割れてしまう虞がある。
【0026】
[ガラス扉1からのガラス板2の分離処理]
本実施形態におけるガラス扉1の処理方法は、例えば便宜上、次の工程に分けて考えることができる。ガラス扉1を分離装置10で処理できるように所定の位置に載置する準備工程、ガラス扉1を搬送部11によって刃12に向けて搬送する前搬送工程、刃12を用いて扉枠4を切り込んで破壊する破壊工程、ガラス扉1をガラス板2側と断熱部材3側とに分離していく分離工程、分離されたガラス板2側と断熱部材3側とをその後の処理に向けて搬送する後搬送工程である。
【0027】
ここで、「破壊」とは、たとえば一体成形されている或る部材を2つ以上の断片、欠片、若しくは破片、又はこれらの同等物に分割することをいうことができる。本実施形態では、扉枠4を形成する樹脂部材を刃12によって2以上の破片に割ることを含むことができる。
また、「分離」とは、例えば、接着、固着、若しくは貼付等によって別体形成されている2つの部材が取り付けられることで相対移動不能にされている状態を解除して、これら2つの部材が相対移動可能な状態にすることをいうことができる。本実施形態では、断熱材3に刃12が進入することでガラス扉1をガラス板2側のパーツと断熱部材3側のパーツとに分けることを含むことができる。
【0028】
「断熱部材3側」とは、分離された冷蔵庫扉1のパーツのうち、少なくともガラス板2が含まれていないものとして定義できる。本実施形態の断熱部材3側は、断熱部材3、扉枠4、ライナ材5それぞれの少なくとも一部を含む。
また、「ガラス板2側」とは、ガラス板2の略全部を少なくとも含むものとして定義できる。ここでいう「略」とは、刃12に削り取られた例えば粒状の部分が断熱部材3側に含まれていたり、ガラス板2側にも断熱部材3側にも含まれずに散逸した場合、断熱部材3側や散逸したガラスを「ガラス板2側」とはいわないという趣旨である。
【0029】
以下、本分離処理を時系列に沿って説明する。
(準備工程)
まず、搬送部11と刃12の間の固定面100上に、ガラス扉1のガラス板2を下向きにして載置する。例えば、図3のような状態の分離装置10における搬送部11と刃12との間の固定面100に、図2のような状態のガラス扉1を、ガラス板2が固定面100に対向するように載置する。このとき、ガラス扉1の上側には、荷重を実質的に与えないのが好ましい。「実質的に与えない」とは、荷重をまったく与えないか、少なくとも刃12が断熱部材3に進入してガラス扉1を分離している最中に断熱部材3側が浮き上がることが可能な程度の小さい荷重を与える程度にすることをいう。本実施形態ではまったく与えておらず、上側から押える機械等を配することはしていない。
【0030】
(前搬送工程)
ガラス扉1の載置後、搬送部11を作動させてガラス扉1を刃12に向けて搬送する。これにより図5に例示するように、扉枠4に刃12が当接する。
【0031】
なお、搬送部11と刃12とが相対移動することで、ガラス扉1が搬送部11に押さえられつつガラス扉1に刃12が近づいていく態様であればよいが、刃12が固定されて搬送部11が移動する本実施形態の態様が好ましい。また、後述する実施形態3のように、刃12が可動の場合は、搬送部11は、刃12が作用する領域にガラス扉1を近づければ良い。
【0032】
(破壊工程)
扉枠4に刃12が当接した後、さらに搬送部11が作動して扉枠4に刃12が切り込んでいき、刃12は扉枠4を切断し、破壊する。
【0033】
(分離工程)
図6は本実施形態の分離装置10を作動させてガラス扉1を分離している途中の図である。搬送部11をさらに作動させると、ガラス板2と断熱部材3との間に、または断熱部材3のうちガラス板2の近傍に刃12が入り込む。刃12が断熱部材3に入り込むにつれて、ガラス板2と断熱部材3側とは水平方向に切り離され、すなわち上下方向に剥離させる力が働く。また、本実施形態の分離工程では、ガラス扉1の直上方は開放されて空間となっており、下向きの荷重や力がガラス扉1には実質的に付与されない(ガラス扉1の自重は除く。)。本発明者らの検討によれば、この工程において下向きの荷重や力をガラス扉1に付与すると、ガラス扉1の自重と相俟って刃12による分離が進みにくくなったり、ガラス板2が割れたりする虞が高まる。
【0034】
本実施形態のように下向きの荷重や力が実質的には付与されないことにより、刃12の進入が進んでガラス扉1がガラス板2側と断熱部材3側とに分離するにつれて、ガラス板2側は刃12の下方の領域へ搬送され、断熱部材3側は刃12の上方の領域へ搬送される。
【0035】
そして本実施形態では、刃12の上方に分離補助部13が配されているため、分離された断熱部材3側は、分離補助部13に載り上がる。このため断熱部材3側は、未だ分離されていない領域を上側に引き上げる力を作用させ、ガラス板2側は下側に引き下げる力を作用させるから、ガラス板2側と断熱部材3側とを上下に分離する力が効果的に作用する。ガラス板2側にも分離補助部をさらに配してもよいが、ガラス板2を大きく曲げると途中で割れてしまう虞が高まるため、ガラス板2の割れを抑制する観点からは、断熱部材3側のみに設けるのが好ましい。なお、分離補助部13がなくとも、刃12の傾斜122によって或る程度の効果を奏することができるため、分離補助部13が任意の部材であることは当業者に明らかである。
【0036】
また、分離されているガラス板2側は、図6に例示するように自重で上弦状に反ることができる。これにはガラス扉1の事情によるものと分離装置10の構成による事情によるものとがある。
【0037】
ガラス扉1の事情としては、一般的なガラス扉1は、ガラス板2の主面のうち、縁部分を押える押え支持部41を枠部4が有するためである。押え支持部41の存在によって、ガラス板2が固定面100に対向するように載置されたガラス扉1は、ガラス板2が固定面100に直接当接せずに空間を介して対抗することになる。このため、刃12で分離されると、ガラス板2はその空間分だけ落下し得るため、自重で曲がる余地が生まれる。
【0038】
分離装置10の構成による事情としては、刃12の下方にガラス回収口101が在るためである。これにより、刃12によって分離されたガラス板2はガラス回収口101を落下し始めるため、やはり自重で曲がる余地が生まれる。
【0039】
曲がっているガラス板2は、一端側が未破壊の扉枠4又は接着している断熱部材3に支持され、他端側が刃12の下面側に支持されていることになる。このため、刃12は、ガラス板2の表面(断熱部材3側の面)を追従しながら分離を行いやすく、ガラス板2側に残存した断熱部材3(残留物)を刃12で削ぎ落とすことができる。
【0040】
このように、刃12がガラス扉1をガラス板2側と断熱部材3側とに分離している最中、ガラス板2側も断熱部材3側も、搬送方向(前後方向)と直交する方向であって刃12から離れる方向(上下方向)に移動可能であるから、上述のように分離を効果的に行えたり、ガラス板2の割れを抑制できる。
【0041】
なお、準備工程から破壊工程にかけても下向きの荷重や力をガラス扉1に実質的に付与しないことができる。
【0042】
(後搬送工程)
分離され終えたガラス板2側と断熱部材3側は、搬送部11によってそれぞれさらに前方に搬送されていく。この詳細は後述する。
【0043】
[処理されたガラス板2]
このようにして分離されたガラス板2は、断熱部材3が比較的多く除去された状態に処理されるため、例えば土木材などとして再資源化することができる。なお、再資源化の受け入れ基準に満たないガラス板2が排出されてきた場合においては、その後の工程にてブラシングマシン等の自動洗浄機にかけて表面をきれいにすればよいし、手作業にて除去してもかまわない。
【0044】
なお、上記工程の最中にガラス板2が例えば刃12と強く接触するなどして粉々に割れてしまった場合、周辺の清掃が必要となる。そのような場合に備えて、空隙113に溜まったガラスを掃き出しやすいように第1搬送部111が上下に移動できるようにしておけば、清掃性を高めることができる。
【0045】
[その他の構成]
本実施形態では、水平方向に延在する固定面100を用いたが、この固定面100を、固定面100に配した弾性部材によって支持して可動面にしてもよい。こうすると、後述する実施形態3と同様の効果を奏することができる。
【0046】
本実施形態は、ガラス板を有する冷蔵庫扉の処理に係る思想として説明したが、ガラス板に代えて、リサイクル困難、または何らかの事情により他の部分からの分離が望まれるターゲット材料を扉板として用いているものであれば同様に本思想を適用可能である。また、冷蔵庫扉に限らず一般の扉や、ターゲット材料を有する板材と、この板材に接着された接着部材とを有する物体に適用することもできる。
【0047】
以上の処理方法の各工程における作業は、手動で行ってもよいし後述のように自動化してもよい。例えば、準備工程におけるガラス扉1の載置、前搬送工程における搬送部11や作用部の駆動、加減速、又は停止、等を作業者の手動で行ってもよいしセンサ等を用いた自動制御で行ってもよい。
【0048】
<実施形態2>
本実施形態の構成は、次の点を除き実施形態1と同様に構成できる。
扉枠4のうち、ガラス板2側が例えば押え支持部41近傍にR形状を成しているガラス扉1を処理することが想定される。このような扉枠4を備えるガラス扉1に対しては、以下の構成を付与することで効果的に処理することができる。
【0049】
図7は、実施形態1の分離装置でR形状Rを持つ扉枠4を処理しようとした際の課題を示した図である。扉枠4について、刃12が当接する高さ位置が例えばR形状Rを成している場合、刃12が滑ってしまい、扉枠4が破壊されないまま、ガラス扉1刃12に載り上がってしまうことがある。
【0050】
このため、本実施形態の分離装置10は、図8に例示するように押圧固定治具14を有する。図8は本実施形態の分離装置10の刃12近傍を示す図である。分離装置10は、刃12の切っ先121位置を含む領域、又はこの近傍の上側に配され、扉枠4を固定面100に近づける方向、本実施形態では下方に向けて、冷蔵庫扉1に荷重を付与できる押圧固定治具14を有する。押圧固定治具14は少なくとも上下に移動可能であり、次のように動作できる。
【0051】
まず、搬送部11が扉枠4が刃12の切っ先に略当接する位置まで冷蔵庫扉1を搬送する。その後、好ましくは搬送速度を低下又は停止させて、冷蔵庫扉1のうち扉枠4又はこの近傍に対して押圧固定治具14が荷重を付与する。この際の荷重は、刃12が扉枠4に進入した際にガラス扉1が刃12を滑って浮き上がらない程度には大きく、かつ、搬送部11がガラス扉1を搬送し続けられる程度には小さい、ものであればよい。この効果が得られれば、押圧固定治具14が荷重を付与する場所は問わない。また、荷重を積極的に付与するものではなく、扉枠4の上端に押圧固定治具14を略当接させて、ガラス扉1が固定面100及び押圧固定治具14の間の領域に収められるように押圧固定治具14を配置し、ガラス扉1がいわゆる浮き上がろうとしたら押圧固定治具14に接触して力を受け、この領域に収まり続けるようにしてもよい。
【0052】
その後、ガラス扉1を押圧固定治具14で押圧等した状態で搬送部11を作動させて、冷蔵庫扉1を刃12へ向けて搬送し、刃12により扉枠4に切り込みを入れ、破壊する。
【0053】
好ましくは、押圧固定治具14は、扉枠4に切り込みが入った後、かつガラス扉1の分離が始まった直後まで程度のタイミングで、ガラス扉1への押圧等を解除して(荷重や力が付与され得る状態を解除して)上方へ戻る。これによりガラス扉1が上方に実質的に自由に移動できる状態に戻す。
【0054】
そして、実施形態1同様、搬送部11を下流側へ搬送させてガラス板2と断熱部材3側とを分離する。
【0055】
<実施形態3>
図9は、本実施形態の分離装置10でガラス扉1が処理されている状態を示す図である。本実施形態は、ガラス扉1(ガラス板2)を立てた状態で処理することを想定したものである。
【0056】
ガラス扉1は、固定面100上に、扉枠4が下になるように載置される。搬送部11は、ガラス扉1を前後方向に移動させて刃12が届き得る位置にまで搬送する。刃12は固定されておらず上下に駆動される。これによりガラス板2側と断熱部材3側とを分離させる。この場合、ガラス扉1は短手方向である扉枠4が下方の固定面100に当接し、長手方向であるガラス板2等が上下方向に延在するため、姿勢の安定性に欠けることから、左右両側にそれぞれ移動可能な可動面110と押圧固定治具14とを有している。
【0057】
押圧固定治具14は左右方向に荷重を付与したり解除したりできる。押圧固定治具14や可動面110は、刃12の延在方向と直交する方向、本実施形態では水平方向に移動できる。実施形態1と同様に、作用部が扉枠4を破壊する時には比較的強い力や荷重を付してもよいが、それ以外の時はガラス扉1が転倒しないのに求められる程度の小さい荷重を付与するか、可動面110と押圧固定治具14との離間距離をガラス扉の短手寸法よりやや大きくして転倒してきたら力を付与して支持できるようにするのが好ましい。
【0058】
本実施形態によれば、ガラス扉1の自重が可動面110や押圧固定治具14の制御に与える影響を低減できるため、自重を考慮する必要性の観点からは制御が容易になる。また、実施形態1,2における固定面100も可動になったものに相当する(実施形態1,2における固定面100が、本実施形態の可動面110に相当する。)。これにより、刃12でガラス板2側と断熱部材3側とを分離する際に過度な力が加わった際にもガラス板2が割れないように余分な力を逃がしやすい。尤も、押圧固定治具14をきめ細やかに制御可能であれば、可動面110は固定でもよい。また、実施形態1と同様に、刃12の押圧固定治具14側及び/又は可動面110側に分離補助部を配してもよい。
【0059】
[自動化]
上述の処理方法は、すべて自動化して行うことができる。各々の装置が作動するタイミングについては各種センサ(赤外線、画像など)により管理できるものである。図10は各実施形態の分離装置10を用いて自動処理をする際の全体概略図である。
【0060】
例えば、準備工程においてガラス扉が載置されるべき領域に、物体の有無を検知可能なセンサを配しておく。この領域に物体があることが検知されると、搬送部11を作動させるようにする。これによって前搬送工程が開始される。
【0061】
また、前搬送工程において搬送されるガラス扉1が刃12に当接する直前に減速又は停止できるように構成する。例えば前搬送工程においてガラス扉1が通過する領域にセンサを配しておき、このセンサが物体を検知してから搬送部11を減速させると刃12に扉枠4が滑らずに当接し、切り込みを入れられるように設計する。
【0062】
切り込みが略完了するタイミング、例えば、刃12を扉枠4に5mm食い込ませたところで搬送部11の搬送速度を上げることで刃12による分離を行いやすくする。この判定は、刃12の切っ先121よりも前方5mmの位置で、刃12よりも上下にややずれた位置に赤外線センサを配することで可能である。刃12が5mm食い込むと、5mm分扉枠4が切っ先121より前方に進んでいるためである。こうしてガラス板2と断熱部材3側とに分離する。また、押圧固定治具14を用いる場合は、概ねこれと同時に押圧固定治具14による荷重及び力を解除する。
【0063】
以下は後搬送工程の一例である。刃12の下方にはガラス回収口101を設けており、分離されたガラス板2はガラス回収口101を通ってその下の搬送コンベア17上へと移動する。搬送コンベア17は途中から、複数の回転体が空隙を開けて設けられたローラーコンベア18となっている。回転体同士の間の空隙を通って、分離過程で排出された切断屑やガラス屑31はローラーコンベア18下方に配置された回収容器30内へ回収される。このとき、切断屑やガラス屑31などを満遍なく回収する必要がある場合は、例えば、ローラーコンベア18の側方からガラス板2に向かって送風してガラス31を吹き飛ばすことができる。送風する場合は周囲に粉塵が舞ってしまうため、周辺に適切な囲いを設けるのが望ましい。
【0064】
一方で、分離後の断熱部材3側については、たとえば吸引して物体を持ち上げ可能な吸盤搬送治具19によって例えば破砕機へと運搬され、破砕処理が行われる。
【0065】
本発明の実施形態について説明したが、これは一例であり、例えば、ガラス板2の表面に冷蔵庫の操作パネル用の基板ケースや真空断熱材が配置されている場合においても、同様にガラス板2側と断熱部材3側との分離を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 ガラス扉
2 ガラス板
21 主面
22 裏面
3 断熱部材
4 扉枠
41 押え支持部
5 ライナ材
10 分離装置
11 搬送部
111 第1搬送部
112 第2搬送部
113 空隙
12 刃(作用部)
121 切っ先
122 傾斜
123 小刃
128 ボルト(固定部材)
129 ホルダー
13 分離補助部
14 押圧固定治具
100 固定面
101 ガラス排出口
110 可動面
17 搬送コンベア
18 ローラーコンベア
19 吸盤搬送治具
30 回収容器
31 ガラス屑
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10