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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】速結端子ユニットおよび回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/20 20060101AFI20221216BHJP
【FI】
H01H73/20 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019158162
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021036511
(43)【公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】石田 佑紀
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-237821(JP,A)
【文献】特開2008-41610(JP,A)
【文献】特開2019-103317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 73/20
H02B 1/40
H01R 4/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路遮断器の本体部の負荷側に着脱可能に取り付けられる速結端子ユニットであって、
負荷装置に接続される給電用電線に接続される速結端子を有する第1の速結端子部と、
前記負荷装置に接続される複数の接地用電線のうちの1つに接続される速結端子と、前記接地用電線に接続される速結端子に電気的に接続され、接地用導体に係合可能に形成された導電性の接地用接続部材を有する第2の速結端子部と、を備え、
前記第2の速結端子部は、
前記接地用接続部材を配置可能な空間を複数有し、前記接地用接続部材は前記複数の空間のうち1つに配置されることで前記負荷装置に応じて前記複数の接地用電線のうちの1つを選択可能とした
ことを特徴とする速結端子ユニット。
【請求項2】
回路遮断器の本体部の負荷側に着脱可能に取り付けられる速結端子ユニットであって、
前記本体部の負荷側の端部に沿って並んで配置され、負荷装置に接続される給電用電線に接続される第1速結端子および第3速結端子を夫々有する第1の速結端子部および第3の速結端子部と、
前記負荷装置に接続される接地用電線に接続される第2速結端子と、前記第2速結端子に電気的に接続され、接地用導体に係合可能に形成された導電性の接地用接続部材を有し、前記第1の速結端子部を挟んで前記本体部と反対側に配置されている第2の速結端子部と、を備え、
前記第3の速結端子部を挟んで前記本体部と反対側は空間となっており、
前記第1速結端子および前記第3速結端子には、上側から前記給電用電線が挿入され、前記第2速結端子には、上側から前記接地用電線が挿入され、
前記第2の速結端子部は、前記接地用導体が水平に挿入される上下少なくとも2段の溝である第1溝および第2溝を有し、前記第1溝および前記第2溝の少なくとも一方に前記接地用接続部材が収容され、前記第1溝および前記第2溝のうち前記接地用接続部材が収容されている少なくとも一方に前記接地用導体が挿入される
ことを特徴とする速結端子ユニット。
【請求項3】
第2の速結端子部の上面が、第1の速結端子部の上面より低くなる段差が形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の速結端子ユニット。
【請求項4】
前記本体部と第2の速結端子部と前記第1の速結端子部の下面との間に、前記本体部から配線を外部へ引き出すための空間が形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の速結端子ユニット。
【請求項5】
前記第1溝に、前記接地用接続部材としての第1接地用接続部材が収容され、前記第2溝に、前記接地用接続部材としての第2接地用接続部材が収容され、前記第1溝に、前記接地用導体としての第1接地用導体が挿入され、前記第2溝に、前記接地用導体としての第2接地用導体が挿入される
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一つに記載の速結端子ユニット。
【請求項6】
前記第1溝に前記接地用接続部材が収容され、前記第2溝に前記接地用接続部材が収容されず、前記第1溝に前記接地用導体が挿入され、前記第2溝に前記接地用導体が挿入されない
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一つに記載の速結端子ユニット。
【請求項7】
前記第2速結端子は、
負荷装置に接続される前記接地用電線が挿入される挿入孔と、
前記挿入孔から挿入された前記接地用電線に電気的に接続される導電部材と、
前記接地用電線が前記導電部材に電気的に接続された状態で前記接地用電線を保持する保持部と、
前記接地用電線が前記保持部によって保持されている状態を解除する解除部と、を備える
ことを特徴とする請求項2から6のいずれか一つに記載の速結端子ユニット。
【請求項8】
前記導電部材は、
前記挿入孔から挿入された前記接地用電線に接触する電線接触面を有し、
前記保持部は、
前記電線接触面に対向し、前記挿入孔から挿入された前記接地用電線を押圧する第1のばね部と、前記電線接触面に対向し、前記接地用電線の抜去方向への移動を規制する第2のばね部と、を有する弾性部材と、
前記挿入孔から挿入された前記接地用電線を受ける電線受部と、前記電線受部が前記接地用電線を受けた場合に移動し、前記電線受部が前記接地用電線を受けなくなった場合に移動前の位置に戻るラッチ部とを有するラッチと、を備え、
前記解除部は、
操作部と、前記操作部が機械的に操作された場合に、前記第1のばね部を押し込む押込部と、前記ラッチ部の位置が移動後の位置になった場合に前記ラッチ部と係合し、前記ラッチ部の位置が移動前の位置に戻った場合に前記ラッチ部との係合を解除するラッチ係合部と、を有する
ことを特徴とする請求項に記載の速結端子ユニット。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一つに記載の速結端子ユニットと、
前記本体部と、を備え、
前記本体部のうち前記回路遮断器の長手方向における一端部には、電源に接続される電源端子が設けられ、
前記本体部のうち前記長手方向における他端部には、前記速結端子ユニットを着脱可能に取り付けるための取付部が設けられる
ことを特徴とする回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路遮断器の本体部に着脱可能に取り付けられる速結端子ユニットおよび回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路遮断器に取り付けられる負荷機器は、接地線を有していることが多い。また、負荷機器の接地線は、他の線とともに束ねられて被覆されていることが多い。接地線が他の線とともに束ねられて被覆されている場合、接地線のみを回路遮断器から離れた場所に引き延ばして接続するには手間がかかる。そこで、特許文献1には、負荷機器の接地線が接続される速結端子を有し、負荷機器の接地線が配電盤に設けられた接地端子に速結端子を介して接続される回路遮断器が提案されている。これにより、回路遮断器を介して接地線を接地することができる。また、速結端子に負荷機器の接地線が接続されるため、接地線の回路遮断器への接続が容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-127791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の回路遮断器では、速結端子が配電盤の接地端子に接続される構成であるため、接地先が配電盤の接地端子に限られ、選択の余地がない。配電盤に複数の種類の回路遮断器が配置される場合、接地系統を分けることが要求される場合がある。例えば、一般財団法人日本電気協会発行の内線規程1350-13「接地線及び接地極の共用の制限」には、「漏電遮断器で保護されている電路と保護されていない電路に施設される機器などの接地線及び接地極は共用しないこと。ただし、2Ω以下の低抵抗の接地極を使用する場合は、この限りではない。」と規定されている。そのため、例えば、漏電遮断器と配線用遮断器とが配電盤内に混在した状態で2Ωより大きい低抵抗の接地極を使用する場合、漏電遮断器の接地と配線用遮断器の接地とを互いに別系統にすることが必要である。
【0005】
上記特許文献1に記載の技術では、接地先が配電盤の接地端子に限られるため、配電盤内に例えば配線用遮断器と漏電遮断器とが混在する場合、配線用遮断器と漏電遮断器との接地系統を分けることができない。そのため、2Ω以下の低抵抗の接地極を使用する場合、配線用遮断器と漏電遮断器とが同一接地系統であることに起因して負荷装置に異常動作などが発生する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、接地線に接続される速結端子を有しつつ、接地の自由度を高めることができる速結端子ユニットを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の速結端子ユニットは、回路遮断器の本体部の負荷側に着脱可能に取り付けられる速結端子ユニットであって、第1の速結端子部と、第2の速結端子部と、を備える。第1の速結端子部は、負荷装置に接続される複数の給電用電線のうちの1つに接続される速結端子を有する。第2の速結端子部は、負荷装置に接続される接地用電線に接続される速結端子と、接地用電線に接続される速結端子に電気的に接続され、接地用導体に係合可能に形成された導電性の接地用接続部材を有する。第2の速結端子部は、接地用接続部材を配置可能な空間を複数有し、接地用接続部材は複数の空間のうち1つに配置されることで負荷装置に応じて複数の接地用電線のうちの1つを選択可能とした
【0008】
本発明によれば、接地線に接続される速結端子を有しつつ、接地の自由度を高めることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1にかかる本体部に速結端子ユニットが取り付けられた状態の回路遮断器の外観を示す斜視図
図2】実施の形態1にかかる回路遮断器の一部を断面で示す側面図
図3】実施の形態1にかかる回路遮断器の平面図
図4】実施の形態1にかかる本体部から速結端子ユニットを取り外した状態の回路遮断器の外観を示す斜視図
図5】実施の形態1にかかる速結端子ユニットに電線と接地用導体とを挿入した状態の回路遮断器における図3に示すV-V線に沿った断面図
図6】実施の形態1にかかる速結端子ユニットが備える導電部材の外観斜視図
図7】実施の形態1にかかる速結端子ユニットが備える弾性部材の外観を示す斜視図
図8】実施の形態1にかかる速結端子ユニットが備えるラッチの外観を示す斜視図
図9】実施の形態1にかかる速結端子ユニットの筐体を構成する部材の外観を示す分解斜視図
図10】実施の形態1にかかる速結端子ユニットが備える接続表示ボタンの外観を示す斜視図
図11】実施の形態1にかかる回路遮断器として配線用遮断器と漏電遮断器とを並列設置した状態の外観を示す斜視図
図12】実施の形態1にかかる漏電遮断器の一部を断面で示す側面図
図13】実施の形態1にかかる配線用遮断器の一部を断面で示す側面図
図14図12に示す漏電遮断器と図13に示す配線用遮断器とを並列設置した状態の外観を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態にかかる速結端子ユニットおよび回路遮断器を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる本体部に速結端子ユニットが取り付けられた状態の回路遮断器の外観を示す斜視図である。図2は、実施の形態1にかかる回路遮断器の一部を断面で示す側面図である。
【0012】
図1に示す回路遮断器100は、不図示の電源と不図示の負荷装置との間の電路に接続される。回路遮断器100は、接続される電路に過電流または短絡電流が流れたときに電路を閉状態から開状態にする配線用遮断器、または接続される電路に過電流、短絡電流、または漏洩電流が流れたときに電路を閉状態から開状態にする漏電遮断器である。ここでは、回路遮断器100が、2極の回路遮断器であるものとして説明するが、回路遮断器100は、1極の回路遮断器であってもよく、3極の回路遮断器であってもよい。また、回路遮断器100は、配線用遮断器および漏電遮断器といった装置に限定されず、単に電路の開閉を行う開閉器と称されるものであってもよい。
【0013】
回路遮断器100は、ハンドル9を有する箱状の本体部1と、本体部1へ着脱可能に取り付けられる速結端子ユニット2とを備える。本体部1は、電路の開状態と閉状態との切り替えを行う開閉機構、電路に過電流または短絡電流が流れたときに開閉機構に作用し、開閉機構に電路を閉状態から開状態にさせる引き外し機構、および電路に接続される電極などを備える。
【0014】
回路遮断器100は、開閉機構に連動するハンドル9が突出する操作面15と、操作面15の反対側の背面16とを有している。回路遮断器100は、背面16が設置面として不図示の配電盤内の垂直面へ設置される。配電盤内の垂直面は、鉛直方向に平行な面であるため、回路遮断器100が配電盤内の垂直面に設置された場合、回路遮断器100の長手方向が鉛直方向になる。以下においては、操作面15に沿った方向であって本体部1と速結端子ユニット2との対向方向を「長手方向」と称する。また、操作面15に沿った方向であって長手方向に垂直な方向を「幅方向」と称し、操作面15に垂直な方向を「厚み方向」と称する。また、図1および図2を含む複数の図面では、長手方向をZ軸方向とし、幅方向をX軸方向とし、厚み方向をY軸方向としたXYZ軸座標を示している。また、本体部1における長手方向の一方の端部10aは電源に接続され、他方の端部10bは速結端子ユニット2を介して負荷装置に接続される。以下、本体部1の端部10aを電源側の端部10aと記載し、本体部1の端部10bを負荷側の端部10bと記載する場合がある。
【0015】
本体部1は、導電部材で各々形成される3つの電源端子6を備える。これら3つの電源端子6は、本体部1における電源側の端部10aに厚み方向に並んで配置される。各電源端子6には、不図示の金属バーが長手方向であるZ軸方向にスライドされて嵌め込まれる。各電源端子6は、金属バーが嵌め込まれる形式の接続端子に限定されず、ねじ止めによって電線が接続される構成の接続端子であってもよい。なお、電源端子6に接続される金属バーまたは電線は、電源に電気的に接続される電源側の導体である。
【0016】
速結端子ユニット2は、負荷側電線に各々接続される速結端子30を備える複数の速結端子部3A,3B,3Cを備える。負荷側電線は、不図示の負荷装置に接続される電線である。速結端子部3A,3Bは、第1の速結端子部の一例であり、速結端子部3Cは、第2の速結端子部の一例である。以下、複数の速結端子部3A,3B,3Cの各々を個別に区別せずに示す場合、速結端子部3と記載する場合がある。速結端子ユニット2には、3つの負荷側電線が接続される。これら3つの負荷側電線のうち2つの負荷側電線は、給電用の負荷側電線である給電線であり、1つの残りの負荷側電線は、接地用の負荷側電線である接地線である。
【0017】
速結端子部3A,3Bの速結端子30は、2つ給電線のうち対応する給電線に電気的に接続される負荷側電圧端子として機能を有する。速結端子部3Cの速結端子30は、接地線に電気的に接続される負荷側接地端子として機能する。
【0018】
2つの速結端子部3A,3Bは、図1に示すように、幅方向に並んで形成され、速結端子ユニット2が本体部1に取り付けられた状態で本体部1における負荷側の端部10bと対向する。また、速結端子部3Cは、回路遮断器100の長手方向において速結端子部3Aから張り出した位置に形成されており、速結端子ユニット2が本体部1に取り付けられた状態において、長手方向において速結端子部3A,3Bよりも本体部1から遠い位置に形成される。
【0019】
速結端子部3の速結端子30は、図2に示すように、不図示の電線が挿入される挿入孔31と、挿入孔31から挿入された電線に電気的に接続される導電部材32と、導電部材32に電気的に接続された状態の電線を保持する保持部33とを備える。また、速結端子30は、機械的に操作された場合に、電線が保持部33によって保持されている状態を解除する解除部34を備える。速結端子30では、電線が挿入孔31から挿入されることで電線が導電部材32に電気的に接続され、導電部材32に電気的に接続された状態の電線が保持部33によって保持される。
【0020】
速結端子部3A,3Bの導電部材32は、速結端子ユニット2が本体部1に取り付けられた場合、本体部1の電極に電気的に接続される。そのため、速結端子ユニット2が本体部1に取り付けられた状態で、給電線が速結端子部3A,3Bに取り付けられた場合、給電線が導電部材32を介して本体部1の電極に電気的に接続される。
【0021】
また、速結端子部3Cは、不図示の接地用導体と係合可能に形成される複数の接続部材35と、複数の接続部材35に一端が接続され、導電部材32に他端が接続される導電性の接続部材71とを有する。速結端子部3Cは、接続部材35を配置可能な複数の空間42を有しており、複数の接続部材35の各々は、複数の空間42のうち対応する1つの空間42に配置される。接続部材35は、導電部材によって形成される。複数の接続部材35は、厚み方向に並べて配置されており、接続部材71によって、導電部材32に電気的に接続される。速結端子部3Cに接続された接地用電線は、導電部材32、接続部材71、および接続部材35を介して接続部材35に挿入された接地用導体に接続される。
【0022】
このように、速結端子ユニット2の速結端子部3Cは、接地線に接続される速結端子30と、接地用導体に電気的に接続される接続部材35とを有している。そのため、速結端子ユニット2を用いると、接地用導体を接続部材35へ挿入するだけで負荷装置を接地することができるため、接地作業の作業効率を高めることができる。
【0023】
また、速結端子ユニット2は、接地用導体と係合可能に形成された複数の接続部材35を有することから、異なる系統の複数の接地用導体があった場合であっても、系統の接地用導体を選択して接地することができる。したがって、速結端子ユニット2は、例えば、配線用遮断器と漏電遮断器とが配電盤内に混在する場合でも、配線用遮断器と漏電遮断器との接地系統を分けて接地することができる。
【0024】
以下、回路遮断器100の構成についてさらに具体的に説明する。図3は、実施の形態1にかかる回路遮断器の平面図である。図4は、実施の形態1にかかる本体部から速結端子ユニットを取り外した状態の回路遮断器の外観を示す斜視図である。図5は、実施の形態1にかかる速結端子ユニットに電線と接地用導体とを挿入した状態の回路遮断器における図3に示すV-V線に沿った断面図である。
【0025】
図4に示すように、本体部1は、ベース11およびカバー12,13を有する筐体10を備える。ベース11およびカバー12,13は、絶縁樹脂で各々形成され、互いに回路遮断器100の幅方向に分離可能である。筐体10の内部には、上述した開閉機構部、引き外し機構、および電極などが配置される。筐体10の内部に配置される電極は、例えば、電源側の電線が電気的に接続される電源側の電極と、負荷側の電線が電気的に接続される負荷側の電極とを含む。
【0026】
本体部1のハンドル9は、上述したように操作面15側に配置され、操作面15に形成された開口15aから突出している。ハンドル9への機械的な操作によって開閉機構が動作し、電路の開状態と閉状態との切り替えが行われる。また、本体部1における負荷側の端部10bには、負荷側排気口14が形成されており、負荷側排気口14から本体部1の内部で発生したガスが外部へ排出される。
【0027】
また、本体部1は、速結端子ユニット2を本体部1に機械的に固定し、且つ速結端子ユニット2における速結端子部3A,3Bの速結端子30に電気的に接続される締結部材7,8を備える。締結部材7,8は、本体部1における負荷側の端部10bに幅方向に沿って並んで配置される。締結部材7,8は、速結端子ユニット2を着脱可能に本体部1に取り付けるための取付部の一例である。締結部材7は、ねじ端子7aとねじ7bとを含む。同様に、締結部材8は、ねじ端子8aとねじ8bとを含む。速結端子部3Aの導電部材32は、ねじ7bによってねじ端子7aに締結され、速結端子部3Bの導電部材32は、ねじ8bによってねじ端子8aに締結される。
【0028】
また、図4に示すように、本体部1における負荷側の端部10bから接点信号出力用リード線5が引き出されている。接点信号出力用リード線5は、本体部1から配電盤内の他の機器にかけて配線される。本体部1における負荷側の端部10bは、接点信号出力用リード線5との干渉を避けるため、図2における幅方向の中央部に段差を有しており、締結部材8が締結部材7よりも操作面15に近い位置に配置される。
【0029】
図4に示すように、速結端子ユニット2は、締結部材7,8を操作面15側から覆うカバー部4を備える。カバー部4は、厚み方向に延伸する貫通孔4a,4bを有しており、貫通孔4a,4bにドライバなどの工具を挿入して回転することで、ねじ7b,8bの取り付けと取り外しとを行うことができる。
【0030】
速結端子ユニット2は、3つの速結端子部3A,3B,3Cの速結端子30を区分けして収納する筐体20を備える。筐体20は、ベース21およびカバー22,23を有する。ベース21およびカバー22,23は、絶縁樹脂で各々形成されており、互いに回路遮断器100の幅方向に分離可能である。
【0031】
図5に示すように、筐体20は、3つの速結端子部3A,3B,3Cの速結端子30のうち互いに異なる速結端子30を各々収納する複数の収納空間24を有している。なお、図5に示す例では、速結端子部3Bの速結端子30を収納する収納空間24は、速結端子部3Aに隠れて見えない位置にある。
【0032】
筐体20には、給電線80または接地線81が挿入される上述の挿入孔31と、解除部34の後述する接続表示ボタン40がスライド可能な表示孔65とが収納空間24毎に形成される。各収納空間24には、上述した導電部材32、保持部33、および解除部34が配置される。保持部33は、弾性部材36、ラッチ37、およびラッチばね38を備える。解除部34は、接続表示ボタン40および接続表示ばね41を備える。挿入孔31は、図1および図2に示す例では、円孔であるが、給電線80または接地線81が挿入可能であればよく、角孔またはその他の形状の孔であってもよい。
【0033】
ここで、導電部材32の構成について説明する。図6は、実施の形態1にかかる速結端子ユニットが備える導電部材の外観斜視図である。図6に示すように、導電部材32は、保持部33の弾性部材36を支持する支持部32aと、支持部32aの一端に連続し、締結部材7または締結部材8によって本体部1に締結される端子部32bとを備える。端子部32bは、先端部がU字状に切り欠かれており、切り欠かれた部分にねじ7bまたはねじ8bが挿入される。端子部32bは、図5に示すように、筐体20から先端部が外部へ突出した状態で収納空間24に配置される。
【0034】
また、導電部材32は、図6に示すように、挿入孔31から挿入される電線に接触する接触部32cを備える。接触部32cは、電線接触面51と電線案内面52とを有する。電線接触面51は、図5に示すように、挿入孔31から挿入された給電線80の先端部80aまたは接地線81の先端部81aが接触する。電線案内面52は、曲面状に形成され、挿入された給電線80の先端部80aまたは接地線81の先端部81aを電線接触面51へ向けて案内する。
【0035】
図6に示す形状の導電部材32は、速結端子部3Aの速結端子30に用いられる。速結端子部3Bの速結端子30に用いられる導電部材32は、締結部材8の高さに合わせ、端子部32bの位置が厚み方向における操作面15側に位置する点で、図6に示す導電部材32と形状が異なる。また、速結端子部3Cの速結端子30は、本体部1との電気的な接続がされないため、図6に示すようなU字状の切り欠きは必要ないが、部品の種類を低減するため、速結端子部3Bの速結端子30と同じ形状の導電部材32が用いられる。なお、速結端子部3Cの導電部材32における接触部32cは、U字状の切り欠きを有しない構成であってもよい。
【0036】
次に、保持部33を構成する弾性部材36の構成について説明する。図7は、実施の形態1にかかる速結端子ユニットが備える弾性部材の外観を示す斜視図である。図7に示すように、弾性部材36は、導電部材32の支持部32aに支持される被支持部36aと、被支持部36aの一端に連続する接圧ばね部36bと、被支持部36aの他端に連続する鎖錠ばね部36cとを有する。
【0037】
接圧ばね部36bは、先端が図6に示す導電部材32の電線接触面51に対向し、挿入孔31から挿入された給電線80または接地線81を押圧する。鎖錠ばね部36cは、先端が図6に示す導電部材32の電線接触面51に対向し、給電線80の先端部80aまたは接地線81の先端部81aに先端が係合することで給電線80の抜去方向への移動を規制する。接圧ばね部36bは、第1のばね部の一例であり、鎖錠ばね部36cは、第2のばね部の一例である。
【0038】
次に、保持部33を構成するラッチ37の構成について説明する。図8は、実施の形態1にかかる速結端子ユニットが備えるラッチの外観を示す斜視図である。図9は、実施の形態1にかかる速結端子ユニットの筐体を構成する部材の外観を示す分解斜視図である。図8に示すように、保持部33のラッチ37は、延伸方向の中途部に形成され、筐体20に回転可能に支持される被支持部37aと、延伸方向の一端部に形成され、挿入孔31から挿入された給電線80の先端部80aまたは接地線81の先端部81aを受ける電線受部37bとを有する。また、ラッチ37は、延伸方向の他端部に形成され、接続表示ボタン40と係合するラッチ部37cを有する。
【0039】
被支持部37aは、図9に示すベース21またはカバー23に形成されたピン62に回転可能に取り付けられる。ラッチ37は、電線受部37bが給電線80の先端部80aまたは接地線81の先端部81aを受けた場合に図5における時計回りに回転し、ラッチ部37cが図5における時計回りに回転する。
【0040】
図5に示すように、保持部33は、ラッチばね38を有している。ラッチばね38は、図9に示すベース21またはカバー23に形成されたピン63に回転可能に取り付けられる。ラッチばね38によって、ラッチ37は、ラッチ部37cが接続表示ボタン40と係合する方向へ付勢される。
【0041】
次に、解除部34を構成する接続表示ボタン40の構成について説明する。図10は、実施の形態1にかかる速結端子ユニットが備える接続表示ボタンの外観を示す斜視図である。図10に示すように、接続表示ボタン40は、操作部40aと、操作部40aが機械的に操作された場合に弾性部材36の接圧ばね部36bを押し込む押込部40bと、ラッチ37のラッチ部37cと係合するラッチ係合部40cとを有する。接続表示ボタン40は、図5に示すように、表示孔65に挿入されており、表示孔65から外部へ向かう方向に接続表示ばね41によって付勢される。
【0042】
次に、回路遮断器100における速結端子ユニット2の動作について、図5を用いて説明する。まず、接地用導体90を接続部材35に挿入した場合の動作を説明し、その後、給電線80に挿入した場合の動作について説明する。以下においては、速結端子30に給電線80を挿入した場合の動作を説明するが、接地線81を速結端子30に挿入した場合も速結端子30に給電線80を挿入した場合の動作と同じである。
【0043】
速結端子ユニット2は、接地用導体91,92のうち対応する接地用導体に係合して電気的に接続される2つの接続部材35を有しており、2つの接続部材35は、図5に示すように、厚み方向に配列されている。図5に示す例では、2つの接続部材35のうち一方の接続部材35に接地用導体91が接続され、残りの接続部材35に接地用導体92が接続される。以下においては、接地用導体91,92の各々を個別に区別せずに示す場合、接地用導体90と記載する。なお、図5では、2つの接続部材35の各々に接地用導体90が接続されているが、2つの接続部材35の一方に接地用導体90を選択的に接続することができる。
【0044】
また、回路遮断器100は、2つの空間42のうち1つの空間42のみに接続部材35が配置される構成であってもよい。この場合、接続部材35が配置される空間42は、回路遮断器100の種類毎に異なる。例えば、回路遮断器100が配線用遮断器である場合は、回路遮断器100において、2つの接続部材35のうち一方のみが2つの空間42のうち一方に配置される。回路遮断器100が漏電遮断器である場合、回路遮断器100において、2つの接続部材35のうち他方のみが2つの空間42のうち他方に配置される。これにより、配線用遮断器と漏電遮断器とで異なる接地用導体90を容易に接続することができる。
【0045】
各接続部材35は、平坦に形成された基部35aと、基部35aの一端と他端とから同一方向に延伸し互いに対向する一対のばね部35bとを備える。一対のばね部35bは、先端に向けて互いに近づく方向に延伸した後折り返して先端に向けて互いに離れる方向に延伸しており、折り返し部分に接地用導体90に接触する接触部35cが形成される。接地用導体90は、弾性部材39によって、一対のばね部35bの接触部35cが互いに近づく方向に付勢される。
【0046】
接地用導体90を接続部材35に挿入すると、接地用導体90は接続部材35の基部35aに当たるまで挿入される。このように、基部35aはストッパとして機能する。接地用導体90が基部35aに当たるまで挿入されたとき、接続部材35と弾性部材39との組み合わせにより、弾性部材39によって互いに近づく方向に付勢された一対の接触部35cによって接地用導体90が挟持される。接続部材35が接地用導体90を挟持することによって、接地用導体90が接続部材35から抜去されることが防止される。また、接続部材35は、接触部35cが接地用導体90に食い込むように構成されることで、接地用導体90の接続部材35からの抜去をより防止することができる。
【0047】
接続部材35は、接続部材71の一端に電気的に接続されており、接続部材71の他端は、速結端子部3Cにおける速結端子30の導電部材32に電気的に接続されている。そのため、接地用導体90は、速結端子部3Cにおける速結端子30の導電部材32に電気的に接続される。
【0048】
また、先端部分の被覆が剥がされて先端部80aが剥き出しにされた給電線80が挿入孔31から挿入される際、給電線80の先端部80aは、筐体20のベース21またはカバー23に形成された電線止め部61に接触するまで挿入される。給電線80の先端部80aが電線止め部61に接触するまで挿入されると、図7に示す鎖錠ばね部36cの先端部分が給電線80の先端部80aに食い込む。そのため、給電線80の先端部80aが速結端子30に係止され、給電線80が速結端子30から抜去されることが防止される。
【0049】
また、給電線80の先端部80aが電線止め部61に接触するまで挿入された状態では、給電線80の先端部80aは、接圧ばね部36bのばね力によって接圧ばね部36bと対向位置にある導電部材32の電線接触面51に押圧されている。このように、給電線80の先端部80aが挿入孔31へ挿入されることによって、給電線80の先端部80aが導電部材32に電気的に接続されるとともに、給電線80の先端部80aが導電部材32に電気的に接続される状態で保持される。
【0050】
給電線80の先端部80aが接圧ばね部36bに押圧される際に、給電線80の先端部80aによってラッチ37の電線受部37bが押圧されるため、ラッチ軸として機能する図9に示すピン62を中心にラッチ37が図5における時計方向に回転する。ラッチ37が図5における時計方向に回転すると、ラッチ37の図8に示すラッチ部37cと接続表示ボタン40の図10に示すラッチ係合部40cとの係合が解除される。これにより、接続表示ボタン40の操作部40aは、接続表示ばね41の付勢力により、筐体20に形成された係止部64まで移動する。厚み方向における操作部40aの位置により、給電線80の先端部80aが速結端子30に接続された状態になったこと、すなわち給電線80の先端部80aが結線状態になったことを表示できる。
【0051】
給電線80の先端部80aが結線状態である場合において、接続表示ボタン40が工具などにより押し込まれることで、接続表示ボタン40の押込部40bが鎖錠ばね部36cを給電線80の先端部80aから離れる方向へ押し込む。これにより、鎖錠ばね部36cが給電線80から離れるため、速結端子30からの給電線80の抜去が可能になる。給電線80が速結端子30から抜去されると、ラッチ37の電線受部37bは給電線80の先端部80aから押圧されなくなる。そのため、ラッチばね38のラッチ37への付勢力によってラッチ37が図5における反時計方向へ回転し、ラッチ37の電線受部37bが電線接続前の位置に戻る。そのため、接続表示ボタン40への押し込みを取り除くと、接続表示ボタン40のラッチ係合部40cがラッチ37のラッチ部37cと係合し、元の電線接続前の位置に戻る。
【0052】
このように、速結端子30において、保持部33は弾性部材36とラッチ37の組み合せによって、給電線80または接地線81が導電部材32に電気的に接続された状態で給電線80または接地線81を保持する保持機構を構成する。また、速結端子30において、解除部34は、接続表示ボタン40への機械的な操作によって、ラッチ37による給電線80または接地線81の保持の解除を行う解除機構を構成する。
【0053】
速結端子部3A,3B,3Cにおける収納空間24は、速結端子30が配置される空間に加え、給電線80または接地線81を挿入するための空間が必要である。そのため、速結端子部3A,3B,3Cの収納空間24を小さくすることには限界がある。配電盤内には、複数の回路遮断器100が配置され、これら複数の回路遮断器100は、幅方向に密着して配置されることが想定される。そのため、回路遮断器100の面のうち隣接する回路遮断器100と対向する面である側面の側から給電線80および接地線81の配線作業を行うことが難しい。
【0054】
そこで、速結端子部3A,3B,3Cは、幅方向の長さに対して厚み方向の長さと長手方向の長さとが長く形成された箱状になっている。また、速結端子部3A,3B,3Cは、回路遮断器100を操作面15側から見た場合、すなわち平面視において、図3に示すように、互いに重ならないように構成される。そして、速結端子部3A,3B,3Cは、操作面15を含む平面85と厚み方向で対向する領域が、アクセスおよび表示のために利用できるように構成されている。具体的には、速結端子部3A,3B,3Cは、本体部1に近い側の面から接続表示ボタン40の操作部40aが厚み方向に露出し、本体部1から遠い側の面の厚み方向の中間部分に挿入孔31が位置する。なお、アクセスとは、給電線80または接地線81を速結端子30へ挿入する作業または接続表示ボタン40の操作などを意味し、表示は、給電線80が結線状態になったことを示すための接続表示ボタン40による表示である。接続表示ボタン40による表示は、厚み方向における操作部40aの位置で示される。
【0055】
また、速結端子部3Cは、図2に示す操作面15を含む平面85から厚み方向において速結端子部3Aよりも遠い位置に配置される。これにより、厚み方向において、速結端子部3Cの挿入孔31を速結端子部3Aの挿入孔31よりも、操作面15を含む平面85から遠い位置にすることができる。また、挿入孔31は、図5に示すように、長手方向に対して傾斜して開口される。そのため、図5に示すように、接地線81を厚み方向に対して角度を持って速結端子部3Cへ挿入することができる。したがって、給電線80の速結端子部3Aへの挿入時および速結端子部3Aの接続表示ボタン40への操作時における作業者の動線への接地線81の干渉を避けることができる。これにより、給電線80の速結端子部3Aへの挿入および速結端子部3Aの接続表示ボタン40への操作を容易に行うことができる。
【0056】
また、速結端子部3Cにおける厚み方向の位置は、速結端子部3Cの接地線81への挿入時および速結端子部3Cの接続表示ボタン40への操作時における作業者の動線への給電線80の干渉を避けることができるように設定される。これにより、速結端子部3Cの接地線81への挿入および速結端子部3Cの接続表示ボタン40への操作を容易に行うことができる。
【0057】
また、給電線80が挿入される速結端子部3A,3Bは、誤配線などを防止するため、他の回路遮断器と同様に、幅方向に並べて配置される。また、上述したように配電盤内には回路遮断器100が複数並べて配置されることが想定されることから、配電盤内に多くの回路遮断器100を配置することができるように、回路遮断器100の幅は狭い方が望ましい。そのため、速結端子ユニット2において、速結端子部3Cは、速結端子部3A,3Bと幅方向に並べて配置されず、速結端子部3Aと長手方向に並べて設けられる。これにより、速結端子ユニット2は、接地線81を挿入する速結端子部3Cを設けつつも、回路遮断器100の幅が広くなることを抑制することができる。
【0058】
また、速結端子部3Cは、操作面15を含む平面85から厚み方向において速結端子部3Aよりも遠い位置に配置される。そのため、本体部1が速結端子ユニット2に取り付けられた状態において、図2に示すように、本体部1における負荷側の端部10bと速結端子部3Cとの間に空間70が形成される。回路遮断器100は、本体部1と速結端子ユニット2とによって、空間70を跨ぐようにアーチ状に形成されているとも言える。したがって、かかる空間70から接点信号出力用リード線5を、回路遮断器100外に容易に引き出すことができる。
【0059】
また、本体部1における負荷側の端部10bと速結端子部3Cとの間に空間70が形成されることで、本体部1に形成された負荷側排気口14を塞ぐことなく、速結端子ユニット2を本体部1に取り付けることができる。また、速結端子ユニット2を本体部1に取り付けるために速結端子ユニット2に形成される不図示の取付爪が速結端子部3A,3Bの背面16側に配置されている場合、取付爪へのアクセスを容易に行うことができる。回路遮断器100では、取付爪へのアクセスを容易に行うことができ、速結端子部3の長手方向の位置を自由に設定できるため、設計の自由度を向上させることができる。例えば、各速結端子部3の位置をさらに長手方向へ延伸することで、本体部1側のスペースが確保できるため、超限流ユニットまたは2点切りなどのスペースを要する構造を有することもできる。
【0060】
また、速結端子部3Cは、回路遮断器100の長手方向において速結端子部3Aよりも本体部1から遠い位置であって速結端子部3Aから突出した位置に形成される。すなわち、速結端子部3Aと速結端子部3Cとは長手方向において並べて配置され、速結端子部3Bの外方のうち長手方向の空間は、フリースペースである。また、接点信号出力用リード線5は、図4に示すように、本体部1のうち回路遮断器100の幅方向における速結端子部3B寄りの位置から引き出される。そのため、接点信号出力用リード線5が本体部1のうち回路遮断器100の幅方向における速結端子部3A,3C寄りの位置から引き出される場合に比べ、接点信号出力用リード線5を配電盤内の他の機器に容易に導くことができる。
【0061】
なお、図5に示す速結端子部3Cでは、接続部材35と電気的に接続された導電部材32の端子部32bは、速結端子ユニット2の側面17から引き出されるが、回路遮断器100は、端子部32bを筐体20内に配置した構成であってもよい。
【0062】
図11は、実施の形態1にかかる回路遮断器として配線用遮断器と漏電遮断器とを並列設置した状態の外観を示す斜視図である。図11に示す例では、3台の漏電遮断器100Aと1台の配線用遮断器100Bが幅方向に密接して配列されている。漏電遮断器100Aは、接続される電路に過電流、短絡電流、または漏洩電流が流れたときに電路を閉状態から開状態にする。配線用遮断器100Bは、接続される電路に過電流または短絡電流が流れたときに電路を閉状態から開状態にする。漏電遮断器100Aと配線用遮断器100Bは、本体部1の内部構成が互いに異なる以外は、上述した回路遮断器100と同じ構成である。
【0063】
図11に示すように、漏電遮断器100Aの接続部材35は、接地用導体91に、配線用遮断器100Bの接続部材35は、接地用導体91と異なる系統の接地用導体92に接続される。これにより、漏電遮断器100Aと配線用遮断器100Bとが互いに別の接地系統に接続される。なお、図11に示す例では、接地用導体91,92は、金属バーであるが、金属バー以外の導電部材であってもよい。この場合、接続部材35は、接地用導体91,92と係合できる構成であればよく、上述した構成に限定されない。
【0064】
また、漏電遮断器100Aまたは配線用遮断器100Bを配電盤に取り付ける際、接続部材35に所望の系統の接地用導体90を差し込んでおくことができる。そのため、その後、負荷機器の接地線81を速結端子部3Cの速結端子30に接続するだけで、配電盤に設けられた接地端子への接続を完了させることができる。
【0065】
なお、速結端子ユニット2の接続部材35を配置可能な空間42は、厚み方向に沿って2つ設けられる例を説明したが、空間42は、厚み方向に沿って3つ以上設けられてよい。また、速結端子部3Cの各接続部材35は、回路遮断器100の長手方向であって本体部1から遠ざかる方向に向くように配置されているが、速結端子部3Cの各接続部材35の向きは、上述した向きに限定されない。例えば、速結端子部3Cの各接続部材35は、回路遮断器100を配電盤の垂直面に取り付けた場合に配電盤の垂直面と速結端子部3Cとの間に接地用導体90を差し込むスペースが確保できる場合、配電盤の垂直面に向くように配置されてもよい。
【0066】
また、速結端子ユニット2において、複数の接続部材35のうち一部の接続部材35は、回路遮断器100の長手方向であって本体部1から遠ざかる方向に向くように配置され、残りの接続部材35は、配電盤の垂直面に向くように配置されてもよい。また、速結端子ユニット2において、複数の接続部材35の一部または全部は、回路遮断器100の長手方向に対して配電盤の垂直面側に傾いた方向を向くように配置されてもよい。
【0067】
また、回路遮断器100は、図2に示すように、本体部1と速結端子部3Cとの間に空間70が形成される。空間70は、幅方向で速結端子部3Aの幅と同じ長さであり、また、厚み方向において速結端子部3Aの厚みの半分の長さを有することから、複数の配線およびハーネスを余裕を持って通すことができる。なお、空間70は、厚み方向において速結端子部3Aの厚みの0.4倍から0.6倍の範囲で設定されるが、この範囲に限定されない。
【0068】
図11に示す例では、4つの速結端子ユニット2が幅方向に密接して並べられており、4つの速結端子ユニット2における空間70によって幅方向に4つの速結端子ユニット2を連ねた長さの配線ダクト72が形成される。そのため、例えば、漏電遮断器100Aおよび配線用遮断器100Bから引き出された複数の接点信号出力用リード線5を配線ダクト72に通すことができる。しかも、速結端子部3Bからは他の速結端子部3が張り出さないため、幅方向に隣接する速結端子部3C間に空間が形成される。そのため、幅方向に隣接する速結端子部3C間に形成された空間から漏電遮断器100Aおよび配線用遮断器100Bの各々の配線を引き出すこともでき、配線の自由度を高めることができる。
【0069】
また、漏電遮断器100Aと配線用遮断器100Bとは、各々1つの接続部材35を互いに異なる空間42に配置する構成であってもよい。図12は、実施の形態1にかかる漏電遮断器の一部を断面で示す側面図である。図13は、実施の形態1にかかる配線用遮断器の一部を断面で示す側面図である。図14は、図12に示す漏電遮断器と図13に示す配線用遮断器とを並列設置した状態の外観を示す斜視図である。
【0070】
図12に示す漏電遮断器100Aでは、2つの空間42のうち図12における下方に位置する空間42に接続部材35が配置され、図12における上方に位置する空間42には接続部材35が配置されていない。また、図13に示す配線用遮断器100Bでは、2つの空間42のうち図13における上方に位置する空間42に接続部材35が配置され、図13における下方に位置する空間42には接続部材35が配置されていない。
【0071】
したがって、図14に示すように、接地用導体91,92を各々漏電遮断器100Aと配線用遮断器100Bとに跨って配置した場合であっても、接地用導体91は、漏電遮断器100Aの接続部材35には接続されるが配線用遮断器100Bの接続部材35には接続されない。また、接地用導体92は、配線用遮断器100Bの接続部材35には接続されるが漏電遮断器100Aの接続部材35には接続されない。そのため、配線用遮断器100Bと漏電遮断器100Aとで異なる接地用導体91,92を容易に接続することができる。
【0072】
以上のように、実施の形態1にかかる速結端子ユニット2は、回路遮断器100の本体部1に着脱可能に取り付けられる速結端子ユニットであって、速結端子部3A,3B,3Cを備える。速結端子部3A,3Bは、第1の速結端子部の一例であり、速結端子部3Cは、第2の速結端子部の一例である。速結端子部3A,3Bは、負荷装置に接続される給電用電線である給電線80に接続される速結端子30を有する。速結端子部3Cは、負荷装置に接続される接地用電線である接地線81に接続される速結端子30と、接地線81に接続される速結端子30に電気的に接続され、接地用導体90に係合可能に形成された導電性の接続部材35を有する。速結端子部3Cは、接続部材35を配置可能な空間42を複数有し、接続部材35は複数の空間42のうち1つに配置される。これにより、速結端子ユニット2において、接地線81に接続される速結端子30を有しつつ、接地の自由度を高めることができる。例えば、速結端子部3Cは、接地用導体90と係合可能に形成された接続部材35を有することから、異なる系統の複数の接地用導体90があった場合であっても、系統の接地用導体90を選択して接地することができる。
【0073】
また、接続部材35は、速結端子ユニット2と本体部1との対向方向である長手方向にから接地用導体90が挿入可能に形成され、接地用導体90が挿入された場合に接地用導体90を挟持する。これにより、速結端子ユニット2は、長手方向から接地用導体90を挿入することができ、例えば、速結端子部3Cの速結端子30への接地線81の接続作業の際に接地用導体90と干渉することを避けることができる。
【0074】
また、速結端子部3A,3Bは、本体部1における負荷側の端部10bに取り付けられる。速結端子部3Cは、長手方向において速結端子部3A,3Bよりも本体部1から遠い位置であって速結端子部3Aから突出した位置に形成される。これにより、回路遮断器100が幅方向に長くなることを抑制することができる。
【0075】
また、速結端子部3Cは、回路遮断器100の操作面15を含む平面85に対して速結端子部3A,3Bよりも遠い位置に設けられる。そして、本体部1が速結端子ユニット2に取り付けられた状態において、本体部1と速結端子部3Cとの間に本体部1から配線を外部へ引き出すための空間70が形成される。これにより、配線を容易に行うことができる。
【0076】
また、速結端子部3A,3Bは、本体部1における負荷側の端部10bに沿って並んで配置される。これにより、給電線80が接続される速結端子30が幅方向に並べて配置されることになるため、誤配線などを防止することができる。
【0077】
また、接続部材35は、回路遮断器100の操作面15を含む平面85に対して、速結端子30よりも遠い位置に配置される。これにより、回路遮断器100が幅方向に長くなることを抑制することができる。
【0078】
また、複数の空間42は、平面85と直交する方向である厚み方向に並べて配置される。これにより、例えば、漏電遮断器100Aと配線用遮断器100Bとが並べて幅方向に配置されている状態において、異なる系統の複数の接地用導体90があった場合であっても、系統の接地用導体90を容易に選択して接地することができる。
【0079】
また、回路遮断器100は、接続部材35を複数備える。複数の接続部材35の各々は、複数の空間42のうち対応する1つの空間42に配置される。これにより、例えば、漏電遮断器100Aと配線用遮断器100Bとで速結端子ユニット2を同じ構成にすることができる。
【0080】
また、複数の速結端子部3の各々は、負荷装置に接続される電線が挿入される挿入孔31と、挿入孔31から挿入された電線に電気的に接続される導電部材32と、電線が導電部材32に電気的に接続された状態で電線を保持する保持部33と、保持部33による電線が保持されている状態を解除する解除部34とを備える。これにより、電線が接続されている状態を保持したり、電線が保持されている状態を解除したりすることができる。
【0081】
また、導電部材32は、弾性部材36と、ラッチ37とを備える。弾性部材36は、挿入孔31から挿入された電線に接触する電線接触面51を有する。保持部33は、電線接触面51に対向し、挿入孔31から挿入された電線を押圧する接圧ばね部36bと、電線接触面51に対向し、電線の抜去方向への移動を規制する鎖錠ばね部36cとを有する。接圧ばね部36bは、第1のばね部の一例であり、鎖錠ばね部36cは、第2のばね部の一例である。ラッチ37は、挿入孔31から挿入された電線を受ける電線受部37bと、電線受部37bが電線を受けた場合に移動し、電線受部37bが電線を受けなくなった場合に移動前の位置に戻るラッチ部37cとを有する。解除部34は、操作部40aと、操作部40aが機械的に操作された場合に、接圧ばね部36bを押し込む押込部40bと、ラッチ部37cの位置が移動後の位置になった場合にラッチ部37cと係合し、ラッチ部37cの位置が移動前の位置に戻った場合にラッチ部37cとの係合を解除するラッチ係合部40cとを有する。これにより、電線が接続されている状態を保持したり、電線が保持されている状態を解除したりすることができる。
【0082】
また、実施の形態1にかかる回路遮断器100は、速結端子ユニット2と、本体部1とを備える。本体部1のうち回路遮断器100の長手方向における一端部である電源側の端部10aには、電源に接続される電源端子6が設けられる。本体部1のうち長手方向における他端部である負荷側の端部10bには、速結端子ユニット2を着脱可能に取り付けるための締結部材7,8が設けられる。締結部材7,8は、取付部の一例である。これにより、回路遮断器100において、接地線81に接続される速結端子30を有しつつ、接地の自由度を高めることができる。
【0083】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 本体部、2 速結端子ユニット、3,3A,3B,3C 速結端子部、4 カバー部、4a,4b 貫通孔、5 接点信号出力用リード線、6 電源端子、7,8 締結部材、7a,8a ねじ端子、7b,8b ねじ、9 ハンドル、10,20 筐体、10a,10b 端部、11,21 ベース、12,22,13,23 カバー、14 負荷側排気口、15 操作面、15a 開口、16 背面、17 側面、24 収納空間、30 速結端子、31 挿入孔、32 導電部材、32a 支持部、32b 端子部、32c,35c 接触部、33 保持部、34 解除部、35,71 接続部材、35a 基部、35b ばね部、36,39 弾性部材、36a,37a 被支持部、36b 接圧ばね部、36c 鎖錠ばね部、37 ラッチ、37b 電線受部、37c ラッチ部、38 ラッチばね、40 接続表示ボタン、40a 操作部、40b 押込部、40c ラッチ係合部、41 接続表示ばね、42,70 空間、51 電線接触面、52 電線案内面、61 電線止め部、62,63 ピン、64 係止部、65 表示孔、72 配線ダクト、80 給電線、80a,81a 先端部、81 接地線、85 平面、90,91,92 接地用導体、100 回路遮断器、100A 漏電遮断器、100B 配線用遮断器。
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