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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】デバイス起動による衝突/衝撃の低減
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20221216BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20221216BHJP
   A61M 5/48 20060101ALI20221216BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
A61M5/20 510
A61M5/315 500
A61M5/48 510
A61M5/142 522
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2019561802
(86)(22)【出願日】2018-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 US2018037037
(87)【国際公開番号】W WO2018236619
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】62/523,326
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘリング,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ブレンダン
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/012849(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/032411(WO,A2)
【文献】国際公開第2015/171777(WO,A1)
【文献】特表2012-506745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/315
A61M 5/48
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイスであって、
長手方向軸線を有する、薬物を保管するための容器と、
前記容器の前記長手方向軸線と位置合わせされ、第1端部、第2端部、及びボアを有し、前記第2端部は前記容器内に配置されているプランジャロッドと、
前記容器内に配置され、前記薬物を排出するために前記容器に対して移動可能なストッパと、
前記プランジャロッドに摺動可能に結合されており、前記プランジャロッドと前記ストッパとの間に配置されたスペーサであって、前記プランジャロッドのボアに少なくとも部分的に配置されたシャフトを含む、スペーサと、
前記プランジャロッドの前記第1端部に動作的に結合された駆動機構であって、前記プランジャロッドを前記長手方向軸線に沿って且つ前記容器内において移動させるための駆動力Fを与えるように構成されている、駆動機構と、
前記プランジャロッドと前記ストッパとの間に配置されたチャンバと、
を含み、
前記チャンバは、前記駆動機構の前記駆動力Fに抵抗するように適合されている、
薬物送達デバイス。
【請求項2】
前記チャンバは、前記容器及び前記ストッパによって少なくとも部分的に画定される、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項3】
前記チャンバは、前記プランジャロッド内に形成された前記ボアによって少なくとも部分的に画定される、請求項1又は2に記載の薬物送達デバイス。
【請求項4】
前記プランジャロッドの前記ボアは前記プランジャロッドの前記第1端部から前記第2端部まで延び、前記スペーサを摺動可能に受け入れるような大きさにされており、前記チャンバは前記スペーサによって部分的に画定される、請求項3に記載の薬物送達デバイス。
【請求項5】
前記スペーサは、第1端部と、第2端部と、前記第2端部に配置されたフランジとを有する前記シャフトを含み、
前記プランジャロッドの前記ボアは、前記シャフトの前記第1端部を受け入れるような大きさにされている、請求項4に記載の薬物送達デバイス。
【請求項6】
前記チャンバは、前記スペーサの前記シャフトの前記第1端部及び前記プランジャロッドの前記ボアによって画定され、前記スペーサは、前記プランジャロッドの運動に抵抗するための減衰力Fを与えるように構成されている、請求項5に記載の薬物送達デバイス。
【請求項7】
内部容器壁と前記プランジャロッドの前記第2端部との間に配置された、前記チャンバを少なくとも部分的に封止するためのシールを含む、請求項2に記載の薬物送達デバイス。
【請求項8】
前記チャンバは流体を収容し、前記流体は起動後に加圧される、請求項1~7のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項9】
前記流体は圧縮性流体である、請求項8に記載の薬物送達デバイス。
【請求項10】
前記チャンバは付勢部材を収容する、請求項1~9のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項11】
前記チャンバに流体接続されたベントを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項12】
前記プランジャロッド内に形成された、前記チャンバと前記ベントとを流体的に接続するためのボアを含む、請求項11に記載の薬物送達デバイス。
【請求項13】
前記チャンバ内に配置されたインサートを含み、前記インサートは、起動後に前記プランジャロッドの衝撃を吸収するための少なくとも1つの材料を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項14】
前記インサートは、前記少なくとも1つの材料に隣接する第2の低圧縮材料を有する、請求項13に記載の薬物送達デバイス。
【請求項15】
前記駆動機構を収容するハウジングと、
前記駆動機構に動作的に結合された起動部材と、
を更に含み、
前記プランジャロッドは前記ハウジングに係合し、前記ハウジングと前記プランジャロッドとの間の前記係合は、前記プランジャロッドの直線運動に反対の力を与えるように構成されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項16】
前記プランジャロッドは、起動後に前記プランジャロッドが前記長手方向軸線を中心に回転するように、前記ハウジングの内部ねじ山にねじ式に結合されている、請求項15に記載の薬物送達デバイス。
【請求項17】
前記ハウジングは、起動前に前記プランジャロッドの前記第1端部を少なくとも部分的に包囲する内部環状壁を含み、前記環状壁は、前記プランジャロッドの前記第1端部を締まり嵌めによって受け入れるような大きさにされている、請求項15又は16に記載の薬物送達デバイス。
【請求項18】
前記プランジャロッドに結合されており、前記プランジャロッドの外部表面から外側に延びる突出部材を更に含み、前記突出部材は、前記ハウジングの内部部分に係合するように適合されている、請求項15~17のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項19】
薬物送達デバイスであって、
長手方向軸線を有する、薬物を保管するための容器と、
前記容器の前記長手方向軸線と位置合わせされ、第1端部及び第2端部を有し、前記第2端部は前記容器内に配置されているプランジャロッドと、
前記容器内に配置され、前記薬物を排出するために前記容器に対して移動可能なストッパと、
前記プランジャロッドに摺動可能に結合され、前記プランジャロッドと前記ストッパとの間に配置されたスペーサであって、前記スペーサは、前記プランジャロッドのボアに少なくとも部分的に配置されたシャフトと、前記プランジャロッドの前記第2端部から間隔をあけて配置され、前記ストッパに接触するように構成されたフランジを有する端部とを含み、
前記プランジャロッドと前記ストッパとの間に配置されたチャンバと、
前記プランジャロッドの前記第1端部に動作的に結合された駆動機構であって、前記プランジャロッドを前記長手方向軸線に沿って且つ前記容器内において移動させるための駆動力Fを与えるように構成されている、駆動機構と、
前記駆動機構を収容するハウジングと、
前記駆動機構に動作的に結合された起動部材と、
を含み、
前記プランジャロッドは前記ハウジングに係合し、前記ハウジングと前記プランジャロッドとの間の前記係合は、起動後に前記プランジャロッドの直線運動に反対の力Fを与えるように構成されており、
前記チャンバは、前記駆動機構の前記駆動力FDに抵抗するように適合されている、薬物送達デバイス。
【請求項20】
前記プランジャロッドに結合されており、前記プランジャロッドの外部表面から外側に延びる突出部材を更に含み、前記突出部材は、前記プランジャロッドの前記直線運動に抵抗するために、前記ハウジングの内部部分に係合するように適合されている、請求項19に記載の薬物送達デバイス。
【請求項21】
前記突出部材は、前記プランジャロッドの第1端部に形成された溝内に配置されたOリングを含む、請求項20に記載の薬物送達デバイス。
【請求項22】
前記ハウジングは、起動前に前記プランジャロッドの前記第1端部を少なくとも部分的に包囲する内部環状壁を含み、前記環状壁は、前記プランジャロッドの前記第1端部を締まり嵌めによって受け入れるような大きさにされている、請求項19~21のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項23】
前記プランジャロッドは、起動後に前記プランジャロッドが前記長手方向軸線を中心に回転するように、前記ハウジングの内部ねじ山にねじ式に結合されている、請求項19~22のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項24】
前記チャンバは、前記容器によって部分的に画定される容器チャンバ、及び前記プランジャロッド内に形成されたボアによって部分的に画定されるプランジャロッドチャンバのうちの少なくとも1つである、請求項19に記載の薬物送達デバイス。
【請求項25】
内部容器壁と前記プランジャロッドの前記第2端部との間に配置された、前記チャンバを少なくとも部分的に封止するためのシールを含む、請求項19又は24に記載の薬物送達デバイス。
【請求項26】
前記チャンバは圧縮性流体を収容する、請求項19、24~25のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項27】
前記チャンバは付勢部材を収容する、請求項19、25~26のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項28】
前記プランジャロッドの前記ボアは前記プランジャロッドの前記第1端部から前記第2端部まで延び、前記スペーサを摺動可能に受け入れるような大きさにされている、請求項24~27のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項29】
前記プランジャロッドチャンバは、前記スペーサと前記プランジャロッドの前記第1端部との間に配置されている、請求項28に記載の薬物送達デバイス。
【請求項30】
前記スペーサは、第1端部と、第2端部と、前記第2端部に配置されたフランジとを有するシャフトを含み、
前記プランジャロッドの前記ボアは、前記シャフトの前記第1端部を受け入れるような大きさにされている、請求項19又は29に記載の薬物送達デバイス。
【請求項31】
前記プランジャロッドチャンバは、前記スペーサの前記シャフトの前記第1端部及び前記プランジャロッドの前記ボアによって少なくとも部分的に画定され、前記スペーサは、前記プランジャロッドの運動に抵抗するための減衰力Fを与えるように構成されている、請求項30に記載の薬物送達デバイス。
【請求項32】
前記チャンバに流体接続されたベントを含む、請求項24~31のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項33】
前記プランジャロッド内に形成された、前記チャンバと前記ベントとを流体的に接続するためのボアを含む、請求項32に記載の薬物送達デバイス。
【請求項34】
前記チャンバ内に配置されたインサートを含み、前記インサートは、起動後に前記プランジャロッドの衝撃を吸収するための少なくとも1つの材料を含む、請求項24~33のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項35】
前記インサートは、前記少なくとも1つの材料に隣接する第2の低圧縮材料を含む、請求項34に記載の薬物送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2017年6月22日に出願の米国仮特許出願第62/523,326号明細書に対する優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本開示は、薬物送達デバイスに関し、より具体的には、薬物送達デバイスの動作中に衝撃を低減するための減衰機構を含む薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
オートインジェクタ、オンボディ型インジェクタ、及びハンドヘルド型インジェクタなどの薬物送達デバイスは一般に、患者による薬剤の自己投与のために処方される。このようなデバイスは、患者がデバイス上のボタンを押すなどのトリガーイベントに応答してプレフィルドシリンジに対し作用する駆動機構(例えば、ばね)を典型的に含む。駆動機構は患者内に針を駆動するための力を生成し、更に、針を通して薬剤を皮下送達するようにプランジャロッドに対し作用する。これら薬物送達デバイスは単回使用デバイス又は再利用可能デバイスとして構築されてもよい。オートインジェクタ及びオンボディ型インジェクタは従来のシリンジに比べ、使用の簡単さなどの薬物送達におけるいくつかの利点を提供する。
【0004】
薬物送達を開始する際、プランジャ行程の最後に薬物送達に十分なエネルギーを供給するために、過剰量のエネルギーがシステムに付与される場合がある。オートインジェクタ及びオンボディ型インジェクタは高粘度の薬物を送達するためには有利であるが、薬物を注入するために必要な駆動力は薬物の粘度が増加するにつれて増加する。例えば、駆動力はばねによって与えられる場合があり、ばね定数が高いばねほどより大きな力を薬物製品及び容器に伝える。運動エネルギーは速度の2乗に比例するため、ばね定数の少しずつの増加であっても薬物及び容器に加えられる正味運動エネルギーの大きな変化に至る可能性がある。
【0005】
ばね駆動式プランジャロッドは薬物を保管する容器のストッパに衝突するため、患者は、この過剰なエネルギーを「叩きつけ(slap)」又は同様の物理的な「ぶつかり(bump)」と感じる場合がある。このような機械的なぶつかりはまた、インジェクタのユーザを当惑又は不安にさせる場合があり、適切な投与の完了を妨げる可能性がある。過剰エネルギーによって生じた「叩きつけ」及び「ぶつかり」が場合によっては、せん断荷重に起因する一次容器の破壊及び薬物製品の損傷などの破滅的な結果を引き起こす可能性がある。大きな駆動力はデバイス内における内圧の蓄積を生じさせ、デバイス起動中にプレフィルドシリンジが破損する原因となる場合がある。更に、高力ばねは、薬物製品に対して高いせん断速度を生成する場合がある。場合によっては、この高いせん断速度は望ましくない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、薬物送達デバイスの構成要素の破損のリスクを最小限に抑え、起動及び注入中の1つ以上の衝撃イベントに耐える。具体的には、本開示は、ばね荷重式薬物送達デバイスの容器に与えられる衝撃力に対処する。本明細書中に記載される1つ以上の例示的な態様によれば、薬物送達デバイスは、薬物送達を妥協することなく、起動及び/又は注入イベントによる内圧を低減してもよい。
【0007】
第1の例示的な態様によれば、薬物送達デバイスは、長手方向軸線を有する、薬物を保管するための容器を含んでもよい。薬物送達デバイスのプランジャロッドは、容器の長手方向軸線と位置合わせされ、第1端部及び第2端部を有してもよく、第2端部は容器内に配置されている。ストッパは容器内に配置され、薬物を排出するために容器に対して移動可能であってもよい。薬物送達デバイスは、プランジャロッドの第1端部に動作的に結合された駆動機構であって、プランジャロッドを長手方向軸線に沿って且つ容器内において移動させるための軸方向駆動力Fを与えるように構成されている、駆動機構を含んでもよい。更に、チャンバがプランジャロッドとストッパとの間に配置されてもよく、チャンバは、駆動機構の駆動力Fに抵抗するように適合されている。
【0008】
第2の例示的な態様によれば、薬物送達デバイスは、長手方向軸線を有する、薬物を保管するための容器を含んでもよい。プランジャロッドは、容器の長手方向軸線と位置合わせされ、第1端部及び第2端部を有してもよく、第2端部は容器内に配置されている。ストッパは容器内に配置され、薬物を排出するために容器に対して移動可能であってもよい。薬物送達デバイスは、プランジャロッドの第1端部に動作的に結合された駆動機構であって、プランジャロッドを長手方向軸線に沿って且つ容器内において移動させるための駆動力Fを与えるように構成されている、駆動機構を含んでもよい。ハウジングは駆動機構を収容してもよく、起動部材は駆動機構に動作的に結合されていてもよい。プランジャロッドがハウジングに係合すると、ハウジングとプランジャロッドとの間の係合は、起動後にプランジャロッドの直線運動に反対の力Fを与えるように構成されていてもよい。
【0009】
更に、前述の第1及び第2の例示的な態様のいずれか1つ以上によれば、薬物送達デバイスは、以下の形態のいずれか1つ以上を含んでもよい。
【0010】
薬物送達デバイスの1つの形態では、チャンバは、容器及びストッパによって少なくとも部分的に画定されてもよい。
【0011】
薬物送達デバイスの1つの形態では、チャンバは、プランジャロッド内に形成されたボアによって少なくとも部分的に画定されてもよい。
【0012】
1つの形態では、薬物送達デバイスは、プランジャロッドに摺動可能に結合されており、プランジャロッドとストッパとの間に配置されたスペーサを含んでもよい。ランジャロッドのボアはプランジャロッドの第1端部から第2端部まで延びてもよく、スペーサを摺動可能に受け入れるような大きさにされていてもよい。チャンバはスペーサによって部分的に画定されてもよい。
【0013】
薬物送達デバイスの1つの形態では、スペーサは、第1端部と、第2端部と、第2端部に配置されたフランジとを有するシャフトを含んでもよい。プランジャロッドのボアは、シャフトの第1端部を受け入れるような大きさにされていてもよい。
【0014】
薬物送達デバイスの1つの形態では、チャンバは、スペーサのシャフトの第1端部及びプランジャロッドのボアによって画定されてもよい。スペーサは、プランジャロッドの運動に抵抗するための減衰力Fを与えるように構成されていてもよい。
【0015】
1つの形態では、薬物送達デバイスは、内部容器壁とプランジャロッドの第2端部との間に配置された、チャンバを少なくとも部分的に封止するためのシールを含んでもよい。
【0016】
薬物送達デバイスの1つの形態では、チャンバは流体を収容してもよく、流体は起動後に加圧される。
【0017】
薬物送達デバイスの1つの形態では、流体は圧縮性流体であってもよい。
【0018】
薬物送達デバイスの1つの形態では、チャンバは付勢部材を収容してもよい。
【0019】
1つの形態では、薬物送達デバイスは、チャンバに流体接続されたベントを含んでもよい。
【0020】
1つの形態では、薬物送達デバイスは、プランジャロッド内に形成された、チャンバとベントとを流体的に接続するためのボアを含んでもよい。
【0021】
1つの形態では、薬物送達デバイスは、チャンバ内に配置されたインサートを含んでもよく、インサートは、起動後にプランジャロッドの衝撃を吸収するための少なくとも1つの材料を含む。
【0022】
薬物送達デバイスの1つの形態では、インサートは、少なくとも1つの材料に隣接する低圧縮材料を含んでもよい。
【0023】
1つの形態では、薬物送達デバイスは、駆動機構を収容するハウジングと、駆動機構に動作的に結合された起動部材と、を含んでもよい。プランジャロッドはハウジングに係合してもよく、ハウジングとプランジャロッドとの間の係合は、プランジャロッドの直線運動に反対の力を与えるように構成されていてもよい。
【0024】
薬物送達デバイスの1つの形態では、プランジャロッドは、起動後にプランジャロッドが長手方向軸線を中心に回転するように、ハウジングの内部ねじ山にねじ式に結合されていてもよい。
【0025】
薬物送達デバイスの1つの形態では、ハウジングは、起動前にプランジャロッドの第1端部を少なくとも部分的に包囲する内部環状壁を含んでもよい。環状壁は、プランジャロッドの第1端部を締まり嵌めによって受け入れるような大きさにされていてもよい。
【0026】
1つの形態では、薬物送達デバイスは、プランジャロッドに結合されており、プランジャロッドの外部表面から外側に延びる突出部材を含んでもよい。突出部材は、起動後にハウジングの内部部分に係合するように適合されていてもよい。
【0027】
薬物送達デバイスの1つの形態では、突出部材は、プランジャロッドの第1端部に形成された溝内に配置されたOリングを含んでもよい。
【0028】
1つの形態では、薬物送達デバイスは、プランジャロッドとストッパとの間に配置されたチャンバを含んでもよい。チャンバは、駆動機構の駆動力Fに抵抗するように適合されていてもよい。
【0029】
薬物送達デバイスの1つの形態では、チャンバは、容器によって少なくとも部分的に画定される容器チャンバ、及びプランジャロッド内に形成されたボアによって少なくとも部分的に画定されるプランジャロッドチャンバのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0030】
1つの形態では、薬物送達デバイスは、内部容器壁とプランジャロッドの第2端部との間に配置された、容器チャンバを少なくとも部分的に封止するためのシールを含んでもよい。
【0031】
薬物送達デバイスの1つの形態では、プランジャロッドチャンバは、スペーサとプランジャロッドの第1端部との間に配置されていてもよい。
【0032】
本開示は、以下の説明を付属の図面と併せて解釈することで、より完全に理解されるものと考えられる。一部の図面は、他の要素をより明らかに示すため、選択された要素を省略することで簡略化されている場合がある。一部の図面におけるこうした要素の省略は、対応する書面による明細書の中で明確に記述されている場合を除き、例示的実施形態のいずれかにおける特定要素の有無を必ずしも示すものではない。また、いずれの図面も必ずしも一律の縮尺に従っていない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本開示の原理による薬物送達デバイスの第1の実施形態の第1の例示的な衝撃吸収機構を示す。
図2】本開示の原理による図1の薬物送達デバイスの第2の例示的な衝撃吸収機構を示す。
図3】本開示の原理による図1の薬物送達デバイスの第3の例示的な衝撃吸収機構を示す。
図4】本開示の原理による図1の薬物送達デバイスの駆動アセンブリの第1の例示的な制動機構を示す。
図5】本開示の原理による図1の駆動アセンブリの第2の例示的な制動機構を示す。
図6】本開示の原理による図1の駆動アセンブリの第3の例示的な制動機構を示す。
図7】薬物送達デバイスの第2の実施形態の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示によれば、減衰機構を有する薬物送達デバイスは、起動及び注入イベントによる衝撃を低減しつつ、駆動機構の所期の駆動力を維持することができる。薬物送達デバイスは薬物を保管するための容器又はリザーバを含み、容器は、薬物を排出するために容器内に移動可能に配置されたストッパと、ストッパに作用するためのプランジャロッドを含む注入駆動機構と、を含む。プランジャロッドに駆動力を作用させるためのエネルギー源によって、プランジャロッドが、容器内の薬物を排出するようにストッパに作用する。ストッパに作用する前にプランジャロッドをある速度まで加速させる駆動力は減衰機構によって減衰されてもよく、これによりプランジャロッドの衝撃を吸収し、プランジャロッドがストッパに係合する前にプランジャロッドの速度を低減する。
【0035】
開示する減衰機構は、図1図6に示されるようなオートインジェクタ又はオートインジェクタシステム、及び図7に示されるオンボディ型インジェクタなどの任意の薬物送達デバイスにおいて使用されてもよい。薬物送達デバイスは、例えば、図1図3の衝撃吸収機構及び図4図6の制動機構のいずれかなどの、図示される減衰機構の1つ以上を含んでもよい。図1図6の各減衰機構は単独で図示され、他の実施形態のいずれとも組み合わされていない。しかしながら、減衰機構は、単一薬物送達デバイスで使用するための図示される他の減衰機構の1つ以上と協働するように構成されていてもよい。用語「減衰機構(damping mechanism)」は、本明細書で使用する場合、一般に「衝撃吸収機構(shock absorbing mechanism)」及び「制動機構(braking mechanism)」と呼ばれる図示実施形態を説明するために使用される。用語「衝撃吸収機構」及び「制動機構」は排他的に使用されるものではなく、「衝撃吸収機構」の1つ以上は制動性能を有してもよく、「制動機構」の1つ以上は衝撃吸収性能を有してもよい。
【0036】
本開示の原理により構築された減衰機構の様々な実施形態を説明する前に、以下で説明する減衰機構実施形態を実装することができる薬物送達デバイスの図1を参照しながら全般的な概要を提供する。
【0037】
図1は、患者に薬物を皮下送達するように動作され得る薬物送達デバイス100の一実施形態を示す。図示される実施形態においては、薬物送達デバイス100は、オートインジェクタ又はオートインジェクタシステムとして構成されており、注入の間患者の組織(例えば、患者の皮膚)に対して一時的に保持される外ハウジングなしで示されている。図7の実施形態などの他の実施形態では、薬物送達デバイス10は、患者に取り外し可能に取り付けられるオンボディ型インジェクタ又は携帯型輸液ポンプなどのウェアラブル薬物送達デバイスとして構成されてもよい。更に、薬物送達デバイス100は患者による自己投与用であってもよく、又は正式に訓練された医療関係者若しくは注入を行う他の介護者によって操作されてもよい。
【0038】
引き続き図1を参照すると、一部の文脈では一次容器と呼ばれることのある容器114は、薬物132を収容する内容積130又は空間を画定する壁138を含んでもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイス100に容器114を取り付ける前に、内容積130に薬物製造業者によって薬物132が予め充填されてもよい。いくつかの実施形態では、容器114をハウジングに対して動かすことができないように容器114はハウジングに強固に接続されてもよく、その一方で、他の実施形態では、薬物送達デバイス100の動作中に容器114をハウジングに対して動かすことができるように容器114はハウジングに摺動可能に接続されてもよい。容器114は、長手方向軸線Bに沿って延びる細長いバレル状の又は円筒状の形状を有してもよい。まず、ストッパ134又は他のピストン部材は、内容積130内の容器114の基端部136に配置されてもよい。ストッパ134は、容器114の壁138の内側表面143に密封的に且つ摺動可能に係合してもよく、容器114の壁138に対して移動可能であってもよい。
【0039】
薬物送達デバイス100の動作中、駆動機構124は、容器114から薬物132を排出するためにストッパ134をプランジャロッド139により長手方向軸線Bに沿って容器114の基端部136から容器114の先端部137まで押してもよい。いくつかの実施形態では、駆動機構124は、初めに付勢された状態に保持され、アクチュエータを押すと解放される1つ以上のばね157(例えば、コイルばね、ねじりばね等)を含んでもよい。ばね157はその解放後に伸張し、プランジャロッド139、したがってストッパ134を内容積130内において長手方向軸線Bに沿って容器114の基端部136から先端部137まで移動させてもよい。他の実施形態では、駆動機構124は、例えば1つ以上のスプロケットギアを含むギア機構を回転させて内容積130内におけるプランジャロッド139及びストッパ134の軸方向運動を生じさせる電気モータ(図示しない)を含んでもよい。更に別の実施形態では、駆動機構124は電気モータ及びばねの両方を含んでもよく、電気モータは、ばねの伸張をテザー又はプーリシステムを介して調整する。更に別の実施形態では、駆動機構124は、加圧ガス又は加圧液体を放出して作動エネルギーを提供するキャニスタを含んでもよい。
【0040】
プランジャロッド139は容器114の長手方向軸線Bと位置合わせされ、第1端部140及び第2端部144を有し、第2端部144は容器114の壁で囲まれたバレル138内に配置されている。ストッパ134は容器114内に配置され、容器114に対して移動可能である。駆動機構124はプランジャロッド139の第1端部140に動作的に結合されており、プランジャロッド139を長手方向軸線Bに沿って容器114の基端部136から容器114の先端部137に向かって移動させるための駆動力Fを与えるように構成されている。第2端部144は「プランジャ」とみなされてもよく、第1端部140を含むロッド部分は「プランジャロッド」とみなされてもよい。本明細書中に記載されるように、「プランジャロッド」139は、ロッド部分、プランジャ部分(即ち第2端部144)、又はロッド部分とプランジャ部分の両方、のいずれかを指すために使用される。プランジャロッド139の第1端部140及び第2端部144は一体部品として一体形成されてもよい、又は第1端部140と第2端部144は別々に製造され、その後組み立てられてもよい。
【0041】
駆動機構124はパワーパックハウジング148内に収容され、プランジャロッド139の第1端部140に動作的に結合されている。駆動機構124はエネルギー源を提供し、エネルギー源としては、1つ以上の圧縮コイルばね157などの、初めに付勢された状態に保持される1つ以上のばね(例えば、コイルばね、ねじりばね等)が挙げられ得る。ばね157がパワーパックハウジング148の基端部208とプランジャロッド139の第2端部144との間で圧縮されるように、プランジャロッド139はコイルばね157内に延びる。駆動機構124は、プランジャロッド139を、プランジャロッド139がストッパ134から離れている予荷重がかけられた位置から、プランジャロッド139がストッパ134に接触する第2の位置を越えて移動させるための、本明細書では駆動力Fとも呼ばれる初期力を与えるように構成されている。作動デバイスの起動部材150は、駆動機構124に動作的に結合されている。図示される例では、起動部材150はパワーパックハウジング148の外に配置されており、プランジャロッド139の第1端部140に解放可能に接続されている。起動部材150が引かれる、押される、ねじられる、又は他の手法で起動されると、起動部材150はプランジャロッド139の第1端部140を解放することによって駆動機構124を起動し、それにより圧縮コイルばね157を遠位に伸張させ、プランジャロッド139を容器114内の更に奥に推進させる。駆動機構124の起動時、薬物送達デバイス100は、ストッパ134を容器114内において移動させる前に、駆動力Fによって、まず、プランジャロッド139がストッパ134に衝撃力を与える衝撃イベントを発生させることができる。ストッパ134は壁138の内側表面143に密封的に係合し、プランジャロッド139が容器114内においてストッパ134を駆動すると、容器の全内容物を排出する。
【0042】
薬物132及びエネルギー源によって発生する力Fの要件(即ち、高粘度薬物は、容器114内においてストッパ134を移動させるためにより高い駆動力Fを必要とし得る)に基づき、プランジャロッド139は、プランジャロッド139がストッパ134に衝突するとき、容器114のバレル138に衝撃力を間接的に又は直接的に与えてもよい。大きな力はバレル138を破壊し得る。例えば、衝撃イベントによる荷重は、薬物132中に、ガラスバレル138内に伝播する圧力波を発生させる可能性がある。ガラスシリンジに典型的な材料と幾何学的形状の組み合わせにおいて、圧力波は軸方向に伝播する際に容器114のガラスバレル138に「結合する」。結合された波は振動してバレル138を通り、バレル138の破損を引き起こす場合がある。
【0043】
この種の衝撃イベントの効果を低減するために、薬物送達デバイス100は図1図6に示す図示減衰機構の1つ以上を組み込む。図1図6の各減衰機構は、プランジャロッド139の速度を低下させ、衝撃低減要素として動作する。このように構成されることで、各減衰機構は、薬物送達システム(即ち、ストッパ134及び容器114)に与えられる圧力が容器の破壊又は「叩きつけ」の効果を引き起こさないようにするために、プランジャロッド139の速度を低下させるように適合されてもよい。まず図1を参照すると、第1の減衰機構160はストッパ134とプランジャロッド139との間に一列に並んで配置されている。減衰機構160は部分的に密閉されたチャンバ162を含み、チャンバ162は、薬物送達デバイス100が起動された後、プランジャロッド139の衝撃を吸収し、ストッパ134に対するプランジャロッド139の衝撃を低減する作動流体165を収容する。チャンバ162は、容器114の基端部136に、プランジャロッド139とストッパ134との間に配置されている。より具体的には、本明細書中では容器チャンバとも呼ばれるチャンバ162は、容器114と、ストッパ134と、プランジャロッド139の第2端部144とによって包囲されている。この例では、チャンバ162からの作動流体165の漏れを制限するために、シール164がチャンバ162の内壁166とプランジャロッド139の第2端部144との間に配置されている。図示される例では、シール164は、プランジャロッド139の第2のフランジ状端部144の外周部161又は表面に形成された溝内に配置されたOリングであってもよい。他の実施形態では、シール162は、プランジャロッド139が遠位方向に移動する際にチャンバ162の内壁166に密封的に係合するために、溝内に配置されるよりもむしろプランジャロッド139の端部144に隣接して配置されてもよい。作動流体165は、油、シリコーン材料、水、空気であってもよい。好適な実施形態では、作動流体165は圧縮性流体である。
【0044】
チャンバ162は、薬物送達デバイス100が起動された後、駆動機構124の駆動力Fに抵抗し、プランジャロッド139の衝撃を吸収するために、少なくとも部分的に潰され、加圧されてもよい。チャンバ162には、プランジャロッド139がストッパ134に向かって移動し、チャンバ162の体積が減少するにつれて圧縮する圧縮性流体などの作動流体165が予め充填されてもよい。起動機構128が圧縮ばね157を解放した後、ばね157は伸張してプランジャロッド139を遠位方向に駆動し、プランジャロッド139の第2端部144はチャンバ162内の流体を圧縮することにより、チャンバ162を少なくとも部分的に潰す。流体が圧縮するにつれて、減衰機構160はチャンバ162内の作動流体165の加圧によりプランジャロッド139の第2端部144に反対の力Fを与える。薬物送達デバイス100は、プランジャロッド139の第1端部140に配置されたベント168を含んでもよく、ベント168は、プランジャロッド139の中央に延びるボア167によってチャンバ162に流体接続されている。圧縮性流体はボア167を通り、制御された速度でベント168から出てもよい。チャンバ162の体積が減少するにつれて、プランジャロッド139は、プランジャロッド139がストッパ134に係合するまでストッパ134に向かって移動する。図示される例では、ベント168はボア167によってチャンバ162に流体接続されており、他の例では、ベント168は、直接的に容器壁138に、又はプランジャロッド139の別の部分に、のいずれかで形成され、容器114の基端部136により近接して配置されてもよい。流体が圧縮性流体である他の実施形態では、薬物送達デバイス100はベント168を含まなくてもよい。
【0045】
図2において、薬物送達デバイス100と適合する第2の減衰機構170は、プランジャロッド139がストッパ134に係合する前にプランジャロッド139の速度を低下させるための減衰力Fを提供する。この例では、減衰機構170はダッシュポットであり、駆動機構124の力Fを維持しながら減衰を実施する。第2の減衰機構170は、作動流体(又は付勢要素)が充填された第2のチャンバ172と、スペーサ174とを含む。第2のチャンバ172とスペーサ174の両方は、プランジャロッド139とストッパ134との間に配置されている。より具体的には、本明細書中ではプランジャロッドチャンバとも呼ばれる第2のチャンバ172は、プランジャロッド139内に形成されたボア176とスペーサ174の第1端部178とによって少なくとも部分的に画定される。ボア176は、長手方向軸線Bに沿って、プランジャロッド139の第1端部140から第2端部144まで延び、スペーサ174の第1端部178を受け入れるような大きさにされている。スペーサ174は、プランジャロッド139に摺動可能に結合されており、プランジャロッド139が遠位方向に移動する際にプランジャロッド139とともに容器114の長手方向軸線Bに沿って移動する。スペーサ174は、第1端部178と、第2端部182と、フランジ183とを有するシャフト180を有し、フランジ183は、第2端部182に配置され、シャフト180の外部表面又は周囲171から径方向外側に延びる。第2のチャンバ172は更に、ボア176とシャフト180の第1端部178とによって画定される。
【0046】
発射前構成において、スペーサ174の第2端部182のフランジ183はストッパ134から距離X離れており、プランジャロッドの第2端部144の最遠点はストッパ134から距離Y離れており、スペーサ174のフランジ183はプランジャロッド139の第2端部144の最遠点から距離Z離れている。この態様では、距離Xは距離Zよりも小さく、距離Zは距離Yよりも小さい。起動後に、プランジャロッド139及びスペーサ174は、まず、プランジャロッド139の第2端部144とスペーサ174のフランジ183との間の距離Zを実質的に維持し、容器114に対して遠位方向に共に移動する。距離Xがゼロに近い値に近づくと、スペーサ174の第2端部182は距離Yがゼロに達する前にストッパ134に接触する。スペーサ174がストッパ134に接触すると、プランジャロッド139はその遠位方向の直線移動を継続し、プランジャチャンバ172内の作動流体の圧縮により提供された反対の力Fによって減衰される。スペーサ174の第1端部178によって部分的に画定されるプランジャロッドチャンバ172は、プランジャロッド139が遠位方向に進むとほぼゼロに減少する。
【0047】
プランジャロッド139のボア176内に配置されたシャフト180の一部分はボア176の内壁188に密封的に係合し、プランジャロッドチャンバ172を容器114の残部から実質的に封止する。プランジャロッド139の衝撃を吸収するためにダッシュポット170によって与えられる反対の力Fは、第2のチャンバ172内に配置された圧縮性流体及び/又は付勢部材によって提供されてもよい。第2のチャンバ172は、スペーサ174の第1端部178がボア176内の更に奥に移動し、チャンバ172の体積が減少し、流体を圧縮する際に、プランジャロッド139の衝撃を吸収するように構成された圧縮性流体を収容してもよい。図示される例では、流体は第2のチャンバ172からベント168を通って制御された速度で出てもよい。他の実施形態は、ベント168を含まなくてもよい。別の例では、付勢部材がスペーサ174の第1端部178とプランジャロッドボア176の基端部175との間に配置されるように、第2のチャンバ172は付勢部材を収容してもよい。このように構成されることで、付勢部材は、スペーサ174がボア176の更に奥に、プランジャロッド139の第2の第1端部140に向かって摺動するにつれて圧縮するように適合されてもよい。スペーサ174の第1端部178が付勢部材を圧縮し、プランジャロッド139の第2端部144とスペーサ174のフランジ183との間の距離Zが減少すると、付勢部材はプランジャロッド139の遠位運動に対し反対の力Fを与える。付勢部材は、ばね、発泡体、ゴム、又は同様の材料であってもよい。容器チャンバ162は、システムの減衰ニーズに応じて付加的な減衰機構を提供するために、図1のような圧縮性流体を収容しても収容しなくてもよい。別の例では、図1の減衰機構160は、上述の及び図2に示されるスペーサなどのスペーサを含んでもよい。減衰機構160の容器162は、プランジャロッド139のボア176によって画定される体積を含んでもよい。
【0048】
図1及び図2の各減衰機構160及び170の減衰特性は、駆動機構124の衝撃を適切に減衰するように調整されてもよい。例えば、チャンバ162及びチャンバ172内に収容される作動流体の種類、プランジャロッド139及び/又はハウジング148に形成されるベント168の大きさ及び数、プランジャチャンバ172内の付勢部材の種類、及び駆動力Fを与えるエネルギー源の種類はそれぞれ、望ましい減衰特性を達成するように調整されてもよい。
【0049】
図3は、プランジャロッド139とストッパ134との間のチャンバ162内に配置されたインサート192を含む第3の減衰機構190を示す。インサート192は、異なる材料特性及び様々な厚さを有する1つ以上の材料を含んでもよい。一例では、インサート192は、プランジャロッド139の衝撃を吸収し、容器114内におけるプランジャロッド139の速度を低下させる第1のエネルギー吸収又は減衰材料194を含む。プランジャロッド139がストッパ134に係合すると、材料194は圧縮し、付勢部材157によってプランジャロッド139に供給される駆動力Fを吸収し、それによりプランジャロッド139を制動する。インサート192の材料は変形可能であり、発泡体、ゲル、又は他の柔軟材料などの材料の1つ又は組み合わせであってもよい。インサートの材料は、減衰材料の単層を含んでもよい、又は減衰材料の2つ以上の層によって形成された積層体であってもよい。いくつかの実施形態では、減衰材料の2つ以上の層は互いに結合され得る。他の実施形態では、減衰材料の2つ以上の層は互いに結合されない。減衰材料の1つ以上の層は粘弾性材料又は合成多孔質材料(例えば、エーロゲル)から作製され得る。積層体減衰材料の層は、駆動機構124の衝撃特性を適切に減衰するように減衰機構190の減衰特性を調整するために、同じ又は異なる減衰特性を有することができる。様々な実施形態では、減衰材料の1つ以上の層は、商標ISODAMP(登録商標)で販売され、Aearo E-A-R Specialty Compositesにより製造されている熱可塑性粘性エラストマー(thermoplastic visco-elastomeric)材料から作製され得る。
【0050】
別の例では、インサート192は、衝撃吸収材料194に隣接して配置された、小さい力での圧縮/クリープを可能にする第2の低圧縮材料196又は材料のブレンドを含んでもよい。第2の材料196は第1の材料194とともにチャンバ162の空気間隙又は使用されない空間を埋め、小さなプランジャの運動を可能にし、起動時のプランジャの衝撃を吸収する。第2の材料196は、薬物送達デバイス100の輸送又は配送の影響及び製造時のばらつきを補償してもよい。例えば、第2の圧縮材料196は、環境変化、例えば、高度若しくは圧力変化、及び/又は容器114内におけるストッパ位置のばらつきを補償するのに適し得る。図3の図示例では、第1の衝撃吸収材料194はプランジャロッド139の第2端部144及び第2の材料196に隣接している。しかしながら、別の実施形態では、インサート192の材料の層194及び層196の構成は、例えば、衝撃吸収材料194がストッパ134に隣接し、第2の材料196がプランジャロッド139の第2端部144に隣接するなど、異なるように配置されてもよい。インサート192は、インサート192が薬物送達デバイス100内に配置されるとチャンバ162の形状に拡張する、変形可能な材料であってもよい。この拡張性の材料特性により、プランジャロッド139とストッパ134との間の使用されない空間を排除し、薬物送達デバイス100が起動される前及び後のプランジャロッド139とストッパ134との適切なアライメントを確実とする。インサート192の長さ及び直径構成により、ストッパ134が裏返る又は容器114の長手方向軸線Bに対して角度を成した位置に移動する可能性を制限してもよい。例えば、インサート192の直径寸法に対する長さ寸法の比率(L/D)によって裏返りのリスクを低減し得る。
【0051】
ここで図4図6を参照すると、パワーパックハウジング148と、駆動機構124と、薬物送達デバイス100のプランジャロッド139とを含む駆動アセンブリ101と一体形成された第1、第2、及び第3の制動機構210、220及び230が示される。図1図3に示される例示的な衝撃吸収機構160、170及び190のいずれか1つ以上を図4図6に示される制動機構210、220及び230のいずれか1つ以上と組み合わせてもよい。制動機構210、220及び230は、薬物送達デバイス100が起動された後にプランジャロッド139の速度を低下させるために、プランジャロッド139、パワーパックハウジング148、又は両方の構成要素に組み込まれてもよい。図4図6に示される例は、薬物送達デバイス100が起動された後、プランジャロッド139が約5mm移動するとプランジャロッド139とハウジング148の係合面が係合する、プランジャロッド139に対する制動機構を提供する。
【0052】
図4及び図5は、プランジャロッド139がパワーパックハウジング148内を遠位方向に移動するときのプランジャロッド139の線速度を低減するために、移動するプランジャロッド139に各機構が摩擦力Ffを与える第1及び第2の例示的な制動機構210及び220を示す。両方の例において、パワーパックハウジング148とプランジャロッド139との間の係合により、駆動機構124のエネルギー源157によって提供される駆動力Fに反する摩擦力Ffを発生させるように、プランジャロッド139はパワーパックハウジング148の部分212に係合する。一例では、ハウジング148の部分212は、プランジャロッド139の第1端部140を少なくとも部分的に包囲する内部環状壁214を含んでもよい。図4の例示的な制動機構210では、内部環状壁214は、プランジャロッド139の第1端部140を締まり嵌め又は摩擦嵌合によって受け入れるような大きさにされた空洞216を有する。プランジャロッド139とハウジング148が係合すると環状壁214がプランジャロッド139の外部表面205の一部分を圧迫するように、内部環状壁214は、プランジャロッド139の第1端部140を完全に又は部分的に包囲してもよい。図4において、内部環状壁214は円筒状であり、プランジャロッド139の第1端部140においてプランジャロッド139の外部表面205を包囲する。別の例では、プランジャロッド139に係合するハウジング148の部分212は、ハウジング148の基端部208から延びて、第1端部140を完全に包囲することなくプランジャロッド139の第1端部140の外部表面205を把持する、1つ以上の変形可能なアームを含んでもよい。
【0053】
図5において、第2の制動機構220は、プランジャロッド139に結合され、プランジャロッド139の外部表面205から外側に延び、ハウジング148の内部環状壁214と係合する突出部材218を含む。突出部材218は、プランジャロッドの第1端部140に配置され、プランジャロッド139と一体形成されてもよい、又は別々に形成され、後にプランジャロッド139に取り付けられてもよい。突出部材218は、プランジャロッド139の第1端部140の先端222の近傍に、ハウジング148の基端部208に隣接して配置されている。プランジャロッド139の第1端部140に形成された溝224は、突出部材218を受け入れるような大きさにされており、突出部材218は、円形又は半円形シール(例えば、Oリング)又は他の柔軟部材であってもよい。溝224は、プランジャロッド139の最遠先端222とハウジング148の基端部208との間に配置されていてもよい。別の例では、溝224は、パワーパックハウジング148内に配置されたプランジャロッド139の一部分に形成されてもよい。突出部材218の厚さ及び溝224の深さの寸法は、起動時に薬物送達デバイス100を詰まらせることなく突出部材218がプランジャロッド139の第1端部140の外部表面205を越えて延びるような大きさにされている。突出部材218は、プランジャロッド139をはるかに十分に越えて延び、起動部材150が駆動機構124を起動する際又はその前に、パワーパックハウジング148の内部環状壁214及び/又は他の部分212に係合するように適合されている。突出部材218とハウジング148との間の係合により構成要素の表面間に摩擦力Ffを発生させ、プランジャロッド139がパワーパックハウジング148内を移動するときのプランジャロッド139の線速度を低減する。
【0054】
図6において、第3の例示的な制動デバイス230は、プランジャロッド139とハウジング148との間に、プランジャロッド139の線速度を回転速度に変換するねじ式接続を含む。この例では、プランジャロッド139上の雄ねじ232はハウジング148の内部環状壁214に形成された雌ねじ234にねじ式に結合されている。雄ねじ232と雌ねじ234との間のねじ式係合によって、プランジャロッド139が長手方向軸線Bを中心にスピンする。プランジャロッド139は、環状壁214の端部236においてプランジャロッド139の雄ねじ232が雌ねじ234から係脱するまで容器114の長手方向軸線Bを中心に回転する又はスピンする。このように構成されることで、解放されたプランジャロッド139の駆動力Fの初期衝撃を、容器114のストッパ134及び/又はバレル138の代わりにハウジング148の雌ねじ234が支持する。
【0055】
本明細書中に開示される薬物送達デバイスは、容器114のストッパ134との衝突前にプランジャロッド139の速度を低減しつつも、ばね力(spring force load)などの所期の駆動力を維持することができる。高い速度の衝撃を低減することによって、本明細書中に記載される薬物送達デバイスはより快適になり、使用がより安全になり、より広い範囲の薬物に適用可能であり得る。減衰機構によって提供される速度の低減は、明らかな「叩きつけ」を防ぐことにより患者の物理的障害及び/若しくは不快感を阻止する、及び/又は薬物容器の破損を低減する、及び/又はせん断荷重による薬物製品の損傷を低減する、及び/又は注入デバイスをより高粘度の薬物の注入に使用することを可能にするように選択され得る。
【0056】
図7は、患者に薬物を皮下送達するように動作され得る薬物送達デバイス10の一実施形態を示す。薬物送達デバイス10は、一定の又は患者/オペレータが設定可能な用量の薬物を制御された又は選択された時間にわたって自動的に送達するように構成されていてもよい。概して、薬物送達デバイス10は、挿入機構12と、容器14と、流体経路アセンブリ22と、駆動機構24と、コントローラ26と、を含んでもよく、これらはそれぞれ、主要ハウジング29の内部空間内に配置されてもよい。アクチュエータ28(例えば、ユーザが押すことができるボタン、タッチスクリーン、マイクロフォン等)はハウジング29の外部表面から突き出ていてもよく、機械的及び/又は電気的手段(図7に破線で示す)により、挿入機構12、流体経路アセンブリ22、駆動機構24、コントローラ26、並びに/又は他の機構及び/若しくは電子機器を起動することによって薬物送達デバイス10の動作を開始するように構成されていてもよい。アクチュエータ28がユーザ又は患者によって押される又は別の手法で物理的に動作されるボタンである実施形態において、アクチュエータ28は、挿入機構12、流体経路アセンブリ22、駆動アセンブリ24、コントローラ26、及び/又は他の機構を起動するのに必要な原動力を作用させるように構成されていてもよい。そのような実施形態においては、アクチュエータ28を手で押すこと又はこれと他の手法で相互作用することで、挿入機構12、駆動機構24、流体経路アセンブリ22、及び/又は他の機構を起動するのに必要な原動力を供給するように、アクチュエータ28は、直接的に又は機械的リンク機構を介して間接的に、のいずれかにおいて、挿入機構12、駆動機構24、流体経路アセンブリ22、及び/又他の機構に物理的に接続されていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ28を手で押すことにより、流体経路アセンブリ22を固定容器14に向かって移動させ、又は容器14を固定流体経路アセンブリ22に向かって移動させ、それにより、容器アクセス針をシール部材に貫通させて容器14のリザーバ又は内容積に入れてもよい。付加的に又は代替的に、アクチュエータ28は電気的及び/又は機械的信号をコントローラ26に送信する入力デバイスとして動作してもよく、コントローラ26は更に、挿入機構12、駆動機構24、流体経路アセンブリ22、及び/又は他の機構の動作を制御するためのプログラム可能命令を実行してもよい。そのような実施形態では、コントローラ26は、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、及びプロセッサによって実行されるプログラム可能命令を記憶するための非一時的なメモリを含んでもよい。更に、そのような実施形態では、薬物送達デバイス10は、アクチュエータ28とは別個の、コントローラ26から受信された電気的制御信号に応答して、挿入機構12、駆動機構24、流体経路アセンブリ22、及び/又は他の機構を起動するのに必要な原動力を作用させる内部アクチュエータ(例えば、電気モータ、空気圧式若しくは油圧式ポンプ、及び/又は加圧ガス若しくは液体源)を含んでもよい。
【0057】
更に図7を参照すると、ハウジング29は、患者の組織11に解放可能に取り付けられる(例えば、接着剤によって接着される)ように構成された底壁25と、1つ以上の視覚インジケータ42(例えば、光、グラフィカルディスプレイ等)並びに/又は容器14及びその中に収容された薬物32を観察するための窓35を含む頂壁27と、を含んでもよい。1つ以上の視覚インジケータ42は、薬物送達デバイス10の動作状態及び/又は薬物32の状態に関する情報をユーザに伝えるために使用されてもよい。開口部31が底壁25に形成されてもよく、任意選択的に、突き通し可能な滅菌バリア33が開口部31にわたって延び、使用前にハウジング29の内部を密封していてもよい。いくつかの実施形態では、突き通し可能な滅菌バリア33は省略されてもよく、その代わりに、取り外し可能なシーリング部材(図示しない)が開口部31を覆い、密封閉鎖(seal close)してもよい。
【0058】
より具体的には、窓35に関して、この要素は透明又は半透明材料から構築されてもよく、薬物送達デバイス10の患者又はユーザが容器14内の薬物32を確かめること及び/又は投与の完了を確認することを可能にするために、容器14と概ね位置合わせされていてもよい。窓35を構築するために好適な材料としては、ガラス及び/又はプラスチックが挙げられるが、これらに限定されない。窓35は薬物送達デバイス10の外側に位置するため、窓35は薬物32を日光などの周囲光に曝す場合がある。いくつかの薬物は特定の波長の光に敏感な場合があり、光に曝されると望ましくない分子の変化を経ることがある。例えば、いくつかの薬物は、紫外(UV)域、可視域及び/又は赤外域の波長の光に敏感な場合がある。主にUV域及び/又は赤外域の光に敏感な薬物を保護するために、窓35に暗い色調を付加してもよい及び/又は窓35は、ハウジング29の比較的小さな表面積を覆うような寸法にされてもよい。主に可視域の光に敏感な薬物においては、窓35に暗い色調を付加する及び/又は窓35のサイズを収縮する必要はない場合がある。その代わり、窓35を偏光フィルタによって構築してもよい。いくつかの実施形態では、偏光フィルタは、窓35に適用されるフィルム又は他のコーティングであってもよい。他の実施形態では、偏光フィルタは、窓35の材料に直接組み込まれてもよい。偏光フィルタは、容器14内の薬物32の観察及び確認を可能にし得る一方で、可視域の光の約(例えば、±10%)50%以下(up to and including)を遮る。いくつかの実施形態では、窓35の偏光フィルタによって遮られる可視光線の一部は、考慮すべき事項の中でもとりわけ薬物32の光感受性及び/又は薬物32の患者集団の典型的な眼の強度に応じて、約(例えば、±10%)0~50%、又は10~50%、又は20~50%、又は25~50%、又は0~40%、又は0~30%、又は0~25%の範囲内にあり得る。窓35に暗い色調を付加すること及び/又は窓35のサイズを縮小することの代わりに偏光フィルタを窓35に付加することで、薬物送達デバイス10の患者又はユーザが注入前及び/又は注入中に薬物32を確認する能力を実質的に損なうことなく薬物35を可視域の光から有利に保護する。
【0059】
ハウジング29の底壁25が患者の組織11に取り付けられた後、挿入機構12を起動して、ハウジング29内の後退位置からハウジング29の外に延びる展開位置に送達部材を移動させてもよい。本実施形態では、これには、図7に示されるように、挿入機構12がトロカール21とトロカール21を包囲する中空カニューレ23とを、突き通し可能な滅菌バリア33を通して患者の組織11に挿入することを含む。その直後又はその後間もなく、挿入機構12はトロカール21を自動的に後退させ、カニューレ23の遠位開端部を薬物32の皮下送達のために患者の内部に残してもよい。トロカール21は中実であり、患者の皮膚11に穿孔するために鋭利な端部を有してもよい。更に、トロカール21はカニューレ23よりも剛性の高い材料で作製されていてもよい。いくつかの実施形態では、トロカール21は金属製であってもよく、その一方で、カニューレ23はプラスチック又は別のポリマー製であってもよい。カニューレ23の相対的な可撓性によって、カニューレ23を患者に痛み又は顕著な不快感を生じさせることなくある期間にわたって患者の組織11内に皮下配置することを可能にしてもよい。他の実施形態(図示しない)では、トロカール21及びカニューレ23は省略されてもよく、その代わりに、挿入機構12は薬物32の皮下送達のために剛性の高い中空針のみを患者に挿入してもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、挿入機構12は、初めに付勢された状態に保持され、アクチュエータ28を押すとトロカール21及びカニューレ23又は中空針を患者に挿入するために解放される1つ以上のばね(例えば、コイルばね、ねじりばね等)を含んでもよい。更に、トロカール21の後退は、トロカール21及びカニューレ23が患者に挿入された後に、別のばねの自動解放によって達成されてもよい。例えば、電気モータ、油圧式若しくは空気圧式ポンプ、又は加圧ガス若しくは加圧液体を放出して作動エネルギーを提供するキャニスタを含む、挿入及び/又は後退用の他の動力源も考えられる。
【0061】
引き続き図7を参照すると、一部の文脈では一次容器と呼ばれることのある容器14は、薬物32を収容する内容積30又は空間を画定する壁38を含んでもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイス10に容器14を取り付ける前に、内容積30に薬物製造業者によって薬物32が予め充填されてもよい。いくつかの実施形態では、容器14をハウジングに対して動かすことができないように容器14はハウジング29に強固に接続されてもよく、その一方で、他の実施形態では、薬物送達デバイス10の動作中に容器14をハウジング29に対して動かすことができるように容器14はハウジング29に摺動可能に接続されてもよい。容器14は、長手方向軸線Aに沿って延びる細長いバレル状の又は円筒状の形状を有してもよい。薬物送達デバイス10がオンボディ型インジェクタとして構成される実施形態では、容器14の長手方向軸線Aは、挿入機構12がカニューレ23などの送達部材を患者に挿入する方向に垂直、又は実質的に垂直、或いは非平行であってもよい。この構成は、患者の動きを妨げることなく患者が装着することができるオンボディ型インジェクタが略平坦な薄型形状を有することを可能にし得る。まず、ストッパ34又は他のピストン部材が容器14の基端部36において内容積30内に配置されてもよい。ストッパ34は容器14の壁38の内側表面43に密封的に且つ摺動可能に係合してもよく、容器14の壁38に対して移動可能であってもよい。
【0062】
送達前にリザーバ30内に収容される薬物32の量は、約(例えば、±10%)0.5~20mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)0.5~10mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)1~10mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)1~8mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)1~5mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)1~3.5mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)1~3mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)1~2.5mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)1~2mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)4mL以下の任意の量、又は約(例えば、±10%)3.5mL以下の任意の量、又は約(例えば、±10%)3mL以下の任意の量、又は約(例えば、±10%)2.5mL以下の任意の量、又は約(例えば、±10%)2mL以下の任意の量、又は約(例えば、±10%)1.5mL以下の任意の量、又は約(例えば、±10%)1mL以下の任意の量であってもよい。リザーバ30には薬物32が完全に又は一部充填されてもよい。薬物32は、例えば、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、PCSK9(ヒトプロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)特異抗体、スクレロスチン抗体、又はカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体など、以下に記載する薬物のうちの1つ以上であってもよい。
【0063】
薬物送達デバイス10の動作中、駆動機構24は、容器14から薬物32を排出するためにストッパ34をプランジャロッド39により長手方向軸線Aに沿って容器14の基端部36から容器14の先端部37まで押してもよい。いくつかの実施形態では、駆動機構24は、初めに付勢された状態に保持され、アクチュエータ28を押すと解放される1つ以上のばね(例えば、コイルばね、ねじりばね等)を含んでもよい。ばねはその解放後に伸張し、プランジャロッド39、したがってストッパ34を内容積30内において長手方向軸線Aに沿って容器14の基端部36から先端部37まで移動させてもよい。他の実施形態では、駆動機構24は、例えば1つ以上のスプロケットギアを含むギア機構を回転させて内容積30内におけるプランジャロッド39及びストッパ34の軸方向運動を生じさせる電気モータ(図示しない)を含んでもよい。更に別の実施形態では、駆動機構24は電気モータ及びばねの両方を含んでもよく、電気モータは、ばねの伸張をテザー又はプーリシステムを介して調整する。更に別の実施形態では、駆動機構24は、加圧ガス又は加圧液体を放出して作動エネルギーを提供するキャニスタを含んでもよい。
【0064】
図7を更に参照すると、流体経路アセンブリ22は、薬物送達デバイス10の動作中に滅菌流体路を介して容器14と挿入機構12との間に流体連通を確立するように構成されていてもよい。薬物送達デバイス10の使用前、流体経路アセンブリ22は容器14と流体連通していなくてもよい。薬物送達デバイス10のセットアップ中、又は薬物送達前の薬物送達デバイス10の動作の初期段階の間、必要な接続をユーザが手動で、又は薬物送達デバイス10が自動的に、有効にし、接続し、又は開放し、容器14と流体経路アセンブリ22との間に流体連通を確立してもよい。その後、駆動機構24はプランジャロッド39及びストッパ34を遠位方向に移動させ、容器14に入れられた薬物32を、患者への皮下送達のために流体経路アセンブリ22の滅菌流体路を通して挿入機構12のカニューレ23又は針に押しやってもよい。
【0065】
薬物情報
上記の記載では、薬物送達デバイスで使用するための様々なシステム及び方法について説明している。システム、薬物送達デバイス、駆動減衰機構、又は方法は、以下に記載される薬剤の使用を更に含むことができることは明確とすべきであり、以下のリストは全て包含的又は限定的のいずれでもないと考えるべきであると予告する。薬剤はリザーバ内に入れられる。場合によっては、リザーバは、治療のために薬物製品又は薬剤が充填される又は予め充填済みのいずれかである一次容器である。一次容器は、カートリッジ又は予め充填済みのシリンジであり得る。
【0066】
例えば、薬物送達デバイス、又はより具体的には、デバイスのリザーバには、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのコロニー刺激因子が充填されていてもよい。このようなG-CSF剤としては、Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム)及びNeulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム)が挙げられるが、これらに限定されない。他の様々な実施形態では、薬物送達デバイスは、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)などの様々な医薬品と共に使用してもよく、これらは液体又は凍結乾燥形態であってもよい。ESAは、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Mircera(登録商標)(メチオキシ(methyoxy)ポリエチレングリコールエポエチンベータ)、Hematide(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)、(エポエチンゼータ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Silapo(登録商標)(エポエチンゼータ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、エポエチンアルファHexal、Abseamed(登録商標)(エポエチンアルファ)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンシータ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンシータ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンシータ)、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンゼータ、エポエチンシータ、及びエポエチンデルタなどの赤血球生成を刺激する任意の分子、並びにその各々の全体を参照により本明細書に組み込む以下の特許又は特許出願、米国特許第4,703,008号明細書、米国特許第5,441,868号明細書、米国特許第5,547,933号明細書、米国特許第5,618,698号明細書、米国特許第5,621,080号明細書、米国特許第5,756,349号明細書、米国特許第5,767,078号明細書、米国特許第5,773,569号明細書、米国特許第5,955,422号明細書、米国特許第5,986,047号明細書、米国特許第6,583,272号明細書、米国特許第7,084,245号明細書、及び米国特許第7,271,689号明細書、及びPCT国際公開第91/05867号パンフレット、国際公開第95/05465号パンフレット、国際公開第96/40772号パンフレット、国際公開第00/24893号パンフレット、国際公開第01/81405号パンフレット、及び国際公開第2007/136752号パンフレットに開示される分子又はその変異体若しくは類似体である。
【0067】
ESAは、赤血球産生刺激タンパク質であり得る。本発明で使用する場合、「赤血球産生刺激タンパク質」とは、例えば、受容体に結合し、受容体の二量化を引き起こすことによってエリスロポエチン受容体の活性化を直接的又は間接的に引き起こす任意のタンパク質を意味する。赤血球産生刺激タンパク質としては、エリスロポエチン受容体に結合し、これを活性化させるエリスロポエチン及びその変異体、類似体、又は誘導体;エリスロポエチン受容体に結合し、この受容体を活性化させる抗体;又はエリスロポエチン受容体に結合し、活性化させるペプチドが挙げられる。赤血球産生刺激タンパク質としては、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンデルタ、エポエチンオメガ、エポエチンイオタ、エポエチンゼータ、及びそれらの類似体、PEG化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン、模倣ペプチド(EMP1/hematideを含む)、及び模倣抗体が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な赤血球産生刺激タンパク質としては、エリスロポエチン受容体に結合し、これを活性化させるエリスロポエチン、ダルベポエチン、エリスロポエチン作動薬変異体、及びペプチド又は抗体(並びに各開示の内容全体を参照により本明細書に組み込む米国特許出願公開第2003/0215444号明細書及び米国特許出願公開第2006/0040858号明細書に報告されている化合物が挙げられる)、並びに各開示の内容全体を参照により本明細書に組み込む以下の特許又は特許出願、米国特許第4,703,008号明細書、米国特許第5,441,868号明細書、米国特許第5,547,933号明細書、米国特許第5,618,698号明細書、米国特許第5,621,080号明細書、米国特許第5,756,349号明細書、米国特許第5,767,078号明細書、米国特許第5,773,569号明細書、米国特許第5,955,422号明細書、米国特許第5,830,851号明細書、米国特許第5,856,298号明細書、米国特許第5,986,047号明細書、米国特許第6,030,086号明細書、米国特許第6,310,078号明細書、米国特許第6,391,633号明細書、米国特許第6,583,272号明細書、米国特許第6,586,398号明細書、米国特許第6,900,292号明細書、米国特許第6,750,369号明細書、米国特許第7,030,226号明細書、米国特許第7,084,245号明細書、及び米国特許第7,217,689号明細書、米国特許出願公開第2002/0155998号明細書、米国特許出願公開第2003/0077753号明細書、米国特許出願公開第2003/0082749号明細書、米国特許出願公開第2003/0143202号明細書、米国特許出願公開第2004/0009902号明細書、米国特許出願公開第2004/0071694号明細書、米国特許出願公開第2004/0091961号明細書、米国特許出願公開第2004/0143857号明細書、米国特許出願公開第2004/0157293号明細書、米国特許出願公開第2004/0175379号明細書、米国特許出願公開第2004/0175824号明細書、米国特許出願公開第2004/0229318号明細書、米国特許出願公開第2004/0248815号明細書、米国特許出願公開第2004/0266690号明細書、米国特許出願公開第2005/0019914号明細書、米国特許出願公開第2005/0026834号明細書、米国特許出願公開第2005/0096461号明細書、米国特許出願公開第2005/0107297号明細書、米国特許出願公開第2005/0107591号明細書、米国特許出願公開第2005/0124045号明細書、米国特許出願公開第2005/0124564号明細書、米国特許出願公開第2005/0137329号明細書、米国特許出願公開第2005/0142642号明細書、米国特許出願公開第2005/0143292号明細書、米国特許出願公開第2005/0153879号明細書、米国特許出願公開第2005/0158822号明細書、米国特許出願公開第2005/0158832号明細書、米国特許出願公開第2005/0170457号明細書、米国特許出願公開第2005/0181359号明細書、米国特許出願公開第2005/0181482号明細書、米国特許出願公開第2005/0192211号明細書、米国特許出願公開第2005/0202538号明細書、米国特許出願公開第2005/0227289号明細書、米国特許出願公開第2005/0244409号明細書、米国特許出願公開第2006/0088906号明細書、及び米国特許出願公開第2006/0111279号明細書、並びにPCT国際公開第91/05867号パンフレット、国際公開第95/05465号パンフレット、国際公開第99/66054号パンフレット、国際公開第00/24893号パンフレット、国際公開第01/81405号パンフレット、国際公開第00/61637号パンフレット、国際公開第01/36489号パンフレット、国際公開第02/014356号パンフレット、国際公開第02/19963号パンフレット、国際公開第02/20034号パンフレット、国際公開第02/49673号パンフレット、国際公開第02/085940号パンフレット、国際公開第03/029291号パンフレット、国際公開第2003/055526号パンフレット、国際公開第2003/084477号パンフレット、国際公開第2003/094858号パンフレット、国際公開第2004/002417号パンフレット、国際公開第2004/002424号パンフレット、国際公開第2004/009627号パンフレット、国際公開第2004/024761号パンフレット、国際公開第2004/033651号パンフレット、国際公開第2004/035603号パンフレット、国際公開第2004/043382号パンフレット、国際公開第2004/101600号パンフレット、国際公開第2004/101606号パンフレット、国際公開第2004/101611号パンフレット、国際公開第2004/106373号パンフレット、国際公開第2004/018667号パンフレット、国際公開第2005/001025号パンフレット、国際公開第2005/001136号パンフレット、国際公開第2005/021579号パンフレット、国際公開第2005/025606号パンフレット、国際公開第2005/032460号パンフレット、国際公開第2005/051327号パンフレット、国際公開第2005/063808号パンフレット、国際公開第2005/063809号パンフレット、国際公開第2005/070451号パンフレット、国際公開第2005/081687号パンフレット、国際公開第2005/084711号パンフレット、国際公開第2005/103076号パンフレット、国際公開第2005/100403号パンフレット、国際公開第2005/092369号パンフレット、国際公開第2006/50959号パンフレット、国際公開第2006/02646号パンフレット、及び国際公開第2006/29094号パンフレットに開示されるエリスロポエチン分子又はその変異体若しくは類似体が挙げられる。
【0068】
本デバイスと共に使用するための他の医薬品の例としては、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(商標)(デノスマブ)及びProlia(商標)(デノサマブ)などの抗体;Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム、PEG化フィルガストリム、PEG化G-CSF、PEG化hu-Met-G-CSF)、Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)、及びNplate(登録商標)(ロミプロスチム)などの他の生物学的製剤;Sensipar(登録商標)(シナカルセト)などの小分子薬物が挙げられ得るが、これらに限定されない。本デバイスは、治療用抗体、ポリペプチド、タンパク質、又は鉄、例えば、フェルモキシトール、鉄デキストラン、グルコン酸第二鉄、及び含糖酸化鉄などの他の化学物質と共に使用してもよい。医薬品は、液体形態であってもよく、又は凍結乾燥形態から水で戻されてもよい。
【0069】
特定の例示的なタンパク質の中には、その融合物、断片、類似体、変異体、又は誘導体を含む、以下で説明する特定のタンパク質がある。
【0070】
以下の公報に開示されるように各々の全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれる、配列番号2の軽鎖及び/又は配列番号4の重鎖のいずれかを有するOPGL特異抗体を含み、OPGL特異抗体及び抗体関連タンパク質に関して、特に、以下の公報の中に記載される配列を有するもので、具体的に、以下の公報の中に示されるもの(9H7、18B2、2D8、2E11、16E1、及び22B3)であるが、それらに限定されず、本明細書にその全体が組み込まれるPCT国際公開第03/002713号パンフレットに記載される抗体を含むが、それに限定されず、完全ヒト化及びヒトOPGL特異抗体、特に、完全ヒト化モノクローナル抗体を含む、(RANKL特異抗体、ペプチボディ等とも称される)OPGL特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。
【0071】
以下の公報に開示されるように各々の全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれる、TN8-19-1~TN8-19-40、TN8-19 con1、及びTN8-19 con2を含む、配列番号305~351のものを含む、mTN8-19ファミリーのペプチボディ;配列番号357~383のmL2ファミリー、配列番号384~409のmL15ファミリー、配列番号410~438のmL17ファミリー、配列番号439~446のmL20ファミリー、配列番号447~452のmL21ファミリー、配列番号453~454のmL24ファミリー、及び配列番号615~631ペプチボディを含むがそれに限定されない、特に、ミオスタチン特異的ペプチボディに特に部分的に関連して参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2004/0181033号明細書及びPCT国際公開第2004/058988号パンフレットに記載されている、ミオスタチン特異的ペプチボディを含む、ミオスタチン結合タンパク質、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。
【0072】
以下の公報に開示されるように各々の全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれる、L1H1、L1H2、L1H3、L1H4、L1H5、L1H6、L1H7、L1H8、L1H9、L1H10、L1H11、L2H1、L2H2、L2H3、L2H4、L2H5、L2H6、L2H7、L2H8、L2H9、L2H10、L2H11、L2H12、L2H13、L2H14、L3H1、L4H1、L5H1、L6H1であるが、これらに限定されず、IL-4受容体特異抗体、特に以下の公報に記載されるような抗体等、特に、以下の公報に示されるものに特に部分的に関連して、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT国際公開第2005/047331号パンフレット又は国際出願PCT/US2004/37242号明細書及び米国特許出願公開第2005/112694号明細書に記載されているものを含む、特にIL-4及び/又はIL-13の受容体への結合によって媒介される活動を抑制するもので、IL-4受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。
【0073】
以下の公報に開示されるように各々の全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれる、以下の公報に示されているもの、即ち、15CA、26F5、27F2、24E12、及び10H7であるが、これに限定されない、部分的にIL1-R1特異結合タンパク質、特にとりわけモノクローナル抗体に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2004/097712号明細書に記載されているものを含むが、これに限定されない、インターロイキン1-受容体1(「IL1-R1」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。
【0074】
以下の公報に開示されるように各々の全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれる、特に以下の公報に記載される配列のもので、L1(N)、L1(N)WT、L1(N)1K WT、2xL1(N)、2xL1(N)WT、Con4(N)、Con4(N)1K WT、2xCon4(N)1K、L1C、L1C 1K、2xL1C、Con4C、Con4C 1K、2xCon4C 1K、Con4-L1(N)、Con4-L1C、TN-12-9(N)、C17(N)、TN8-8(N)、TN8-14(N)、Con1(N)を含むがこれらに限定されない、Ang2特異抗体及びペプチボディ等に特に部分的に関連して参照によりその各々の全体が本明細書に組み込まれるPCT国際公開第03/057134号パンフレット及び米国特許出願公開第2003/0229023号明細書に記載されているものを含むがこれに限定されず、また、抗Ang2抗体及び製剤に関して、特に、以下の公報に記載される様々な順列のAb526、Ab528、Ab531、Ab533、Ab535、Ab536、Ab537、Ab540、Ab543、Ab544、Ab545、Ab546、A551、Ab553、Ab555、Ab558、Ab559、Ab565、AbF1AbFD、AbFE、AbFJ、AbFK、AbG1D4、AbGC1E8、AbH1C12、AblA1、AblF、AblK、AblP、及びAblPに関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT国際公開第2003/030833号パンフレットに記載されているもの等の抗Ang2抗体及び製剤を含む、Ang2特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。
【0075】
以下の公報に開示されるように各々の全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれる、具体的に、以下の公報に示されるNGF-特異抗体である4D4、4G6、6H9、7H2、14D10及び14D11を含むがそれに限定されない、NGF-特異抗体及びこれに関連するタンパク質に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0074821号明細書及び米国特許第6,919,426号明細書に記載されているものを特に含むが、それに限定されない、NGF特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。
【0076】
例えば、エプラツズマブ(CAS登録番号501423-23-0)のヒトCD22特異完全ヒト化抗体を含むがそれに限定されない、例えば、ヒト-マウスモノクローナルhLL2κ鎖に結合したヒト-マウスモノクローナルhLL2γ鎖二硫化物の二量体等の、特にヒトCD22特異IgG抗体を含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒトモノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒト抗体等であるが、それに限定されず、具体的には、ヒトCD22特異抗体である、CD22特異抗体及び関連タンパク質に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,789,554号明細書に記載されているものなどの、CD22特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。
【0077】
以下の公報に開示される各々の全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれる、以下の公報に示されるIGF-1特異抗体であるL1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、L7H7、L8H8、L9H9、L10H10、L11H11、L12H12、L13H13、L14H14、L15H15、L16H16、L17H17、L18H18、L19H19、L20H20、L21H21、L22H22、L23H23、L24H24、L25H25、L26H26、L27H27、L28H28、L29H29、L30H30、L31H31、L32H32、L33H33、L34H34、L35H35、L36H36、L37H37、L38H38、L39H39、L40H40、L41H41、L42H42、L43H43、L44H44、L45H45、L46H46、L47H47、L48H48、L49H49、L50H50、L51H51、L52H52、及びIGF-1R-結合フラグメント及びその誘導体を含むがそれに限定されず、IGF-1受容体特異抗体及び関連タンパク質に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT国際公開第06/069202号パンフレットに記載されているものなどの、IGF-1受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。
【0078】
また、本発明の方法及び組成物で使用するための抗IGF-1R抗体の非限定的例の中には、以下に記載されているものの各々がある。
(i)米国特許出願公開第2006/0040358号明細書(2006年2月23日公開)、米国特許出願公開第2005/0008642号明細書(2005年1月13日公開)、米国特許出願公開第第2004/0228859号明細書(2004年11月18日公開)に記載されている、例えば、抗体1A(DSMZ受託番号DSM ACC 2586)、抗体8(DSMZ受託番号DSM ACC 2589)、抗体23(DSMZ受託番号DSM ACC 2588)、及び抗体18を含むがこれらに限定されない、
(ii)PCT国際公開第06/138729号パンフレット(2006年12月28日公開)及びPCT国際公開第05/016970号パンフレット(2005年2月24日公開)、及びLu et al.(2004),J.Biol.Chem.279:2856-2865に記載されている抗体2F8、A12、及びIMC-A12を含むがこれらに限定されない、
(iii)PCT国際公開第07/012614号パンフレット(2007年2月1日公開)、PCT国際公開第07/000328号パンフレット(2007年1月4日公開)、PCT国際公開第06/013472号パンフレット(2006年2月9日公開)、PCT国際公開第05/058967号パンフレット(2005年6月30日公開)、及びPCT国際公開第03/059951号パンフレット(2003年7月24日公開)、
(iv)米国特許出願公開第2005/0084906号明細書(2005年4月21日公開)に記載される抗体7C10、キメラ抗体C7C10、抗体h7C10、抗体7H2M、キメラ抗体7C10、抗体GM607、ヒト化抗体7C10バージョン1、ヒト化抗体7C10バージョン2、ヒト化抗体7C10バージョン3、及び抗体7H2HMを含むがこれらに限定されない、
(v)米国特許出願公開第2005/0249728号明細書(2005年11月10日公開)、米国特許出願公開第2005/0186203号明細書(2005年8月25日公開)、米国特許出願公開第2004/0265307号明細書(2004年12月30日公開)、及び米国特許出願公開第2003/0235582号明細書(2003年12月25日公開)、並びにMaloney et al.(2003),Cancer Res.63:5073-5083に記載されている抗体EM164、再表面形成(resurfaced)EM164、ヒト化EM164、huEM164 v1.0、huEM164 v1.1、huEM164 v1.2、及びhuEM164 v1.3を含むがこれらに限定されない、
(vi)米国特許第7,037,498号明細書(2006年5月2日発行)、米国特許出願公開第2005/0244408号明細書(2005年11月30日公開)及び米国特許出願公開第2004/0086503号(2004年5月6日公開)、並びにCohen,et al.(2005),Clinical Cancer Res.11:2063-2073に記載されている、ATCC受託番号PTA-2792、PTA-2788、PTA-2790、PTA-2791、PTA-2789、PTA-2793、及び抗体2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、及び4.17.3を有するハイブリドーマによって産生された抗体の各々を含むがこれらに限定されない、例えば、抗体CP-751,871、
(vii)米国特許出願公開第2005/0136063号明細書(2005年6月23日公開)及び米国特許出願公開第2004/0018191号明細書(2004年1月29日公開)に記載されている抗体19D12と、ATCCに受託番号PTA-5214で受託されているプラスミド15H12/19D12 HCA(γ4)のポリヌクレオチドによってコードされる重鎖、及びATCCに受託番号PTA-5220で受託されているプラスミド15H12/19D12 LCF(κ)のポリヌクレオチドによってコードされる軽鎖を含む抗体と、を含むがこれらに限定されない、並びに
(viii)特にIGF-1受容体を標的とする前述の抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等に関して参照により各々の全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2004/0202655号明細書(2004年10月14日公開)に記載されている抗体PINT-6A1、PINT-7A2、PINT-7A4、PINT-7A5、PINT-7A6、PINT-8A1、PINT-9A2、PINT-11A1、PINT-11A2、PINT-11A3、PINT-11A4、PINT-11A5、PINT-11A7、PINT-11A12、PINT-12A1、PINT-12A2、PINT-12A3、PINT-12A4、及びPINT-12A5を含むがこれらに限定されない。
【0079】
B-7関連タンパク質1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等(文献中でB7H2、ICOSL、B7h、及びCD275とも称される「B7RP-1」)、特にB7RP特異完全ヒトモノクローナルIgG2抗体、特にB7RP-1の最初の免疫グロブリン様ドメインのエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体、特にB7RP-1と特に活性化T細胞上のB7RP-1の自然受容体であるICOSとの相互作用を抑制するもの、特に、以下の公報に開示されているように各々の全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれる、16H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号1及び配列番号7を有する)、5D(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号2及び配列番号9を有する)、2H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号3及び配列番号10を有する)、43H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号6及び配列番号14を有する)、41H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号5及び配列番号13を有する)、並びに15H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号4及び配列番号12を有する)以下の公報に示される抗体を含むがそれらに限定されない、このような抗体及び関連タンパク質に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2008/0166352号明細書及びPCT国際公開第07/011941号パンフレットに開示されているもの。
【0080】
例えば、146B7などの、とりわけ、例えば、HuMax IL-15抗体及び関連タンパク質を含むがそれらに限定されないペプチボディを含む、IL-15特異抗体及び関連タンパク質に関して参照により各々の全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2003/0138421号明細書、米国特許出願公開第2003/023586号明細書、及び米国特許出願公開第2004/0071702号明細書、並びに米国特許第7,153,507号明細書に開示されるもの等の、特に抗体、具体的にはヒト化モノクローナル抗体などの、IL-15特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。
【0081】
IFNγ特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、特にヒトIFNγ特異抗体、特に、例えば、IFNγ特異抗体、特に、例えば、次の特許公開において1118、1118*、1119、1121、及び1121*と示されている抗体に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0004353号明細書に記載されているもの等の完全ヒト抗IFNγ抗体。これら抗体の各々の重鎖及び軽鎖の配列全体と、これらの重鎖及び軽鎖可変領域並びに相補性決定領域の配列は各々、前述の公開及びThakur et al.(1999),Mol.Immunol.36:1107-1115に開示されるようにその全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれる。加えて、前述の公開に記載されているこれらの抗体の特性の説明もまた、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特異抗体には、前述の公開で開示されているように、配列番号17の重鎖及び配列番号18の軽鎖を有するもの、配列番号6の重鎖可変領域及び配列番号8の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号19の重鎖及び配列番号20の軽鎖を有するもの、配列番号10の重鎖可変領域及び配列番号12の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号32の重鎖及び配列番号20の軽鎖を有するもの、配列番号30の重鎖可変領域及び配列番号12の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号21の重鎖配列及び配列番号22の軽鎖配列を有するもの、配列番号14の重鎖可変領域及び配列番号16の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号21の重鎖及び配列番号33の軽鎖を有するもの、並びに配列番号14の重鎖可変領域及び配列番号31の軽鎖可変領域を有するものが含まれる。企図される特異抗体は、前述の米国特許出願公開に開示されている配列番号17の完全重鎖を有し、前述の米国特許出願公開に開示されている配列番号18の完全軽鎖を有する、前述の米国特許出願公開に開示されている抗体1119である。
【0082】
以下の公報に開示されているように各々の全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれ、TALL-1結合タンパク質、特に表4及び表5Bの分子に関して参照により各々の全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2003/0195156号明細書及び米国特許出願公開第2006/0135431号明細書に記載されているもの等の、TALL-1特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、並びに他のTALL特異結合タンパク質。
【0083】
PTHと結合するタンパク質に特に部分的に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,756,480号明細書に記載されているもの等の、副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。
【0084】
TPO-Rと結合するタンパク質に特に部分的に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,835,809号明細書に記載されているもの等の、トロンボポチエン受容体(「TPO-R」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。
【0085】
HGFと結合するタンパク質に特に部分的に関連して参照により各々の全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2005/0118643号明細書及びPCT国際公開第2005/017107号パンフレットに記載されている肝細胞増殖因子/分散(HGF/SF)と、米国特許第7,220,410号明細書に記載されているhuL2G7と、米国特許第5,686,292号明細書及び米国特許第6,468,529号明細書並びにPCT国際公開第96/38557号パンフレットに記載されているOA-5d5と、を中和する完全ヒトモノクローナル抗体等のHGF/SF:cMet軸(HGF/SF:c-Met)を標的にするものを含む、肝細胞増殖因子(「HGF」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。
【0086】
TRAIL-R2と結合するタンパク質に特に部分的に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,521,048号明細書に記載されているもの等の、TRAIL-R2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等。
【0087】
アクチビンAと結合するタンパク質に特に部分的に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2009/0234106号明細書に記載されているものを含むが、それらに限定されない、アクチビンA特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等。
【0088】
TGF-βと結合するタンパク質に特に部分的に関連して参照により各々の全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,803,453号明細書及び米国特許出願公開第2007/0110747号明細書に記載されているものを含むが、それらに限定されない、TGF-β特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等。
【0089】
アミロイドβタンパク質と結合するタンパク質に特に部分的に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT国際公開第2006/081171号パンフレットに記載されているものを含むが、それらに限定されない、アミロイドβタンパク質特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等。企図される1つの抗体は、前述の公報に開示されているような、配列番号8を含む重鎖可変領域及び配列番号6を有する軽鎖可変領域を有する抗体である。
【0090】
c-Kit及び/又は他の幹細胞因子受容体と結合するタンパク質に特に部分的に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2007/0253951号明細書に記載されているものを含むが、それらに限定されない、c-Kit特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等。
【0091】
OX40L及び/又はOX40受容体の他のリガンドと結合するタンパク質に特に部分的に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2006/0002929号明細書に記載されているものを含むが、それらに限定されない、OX40L特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等。
【0092】
Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ、又はエリスロポエチン)、GLP-1、Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体)、Betaseron(登録商標)(インターフェロン-β)、Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、MLN0002(抗α4β7 mAb)、MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ)、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1)、Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb)、Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、溶液中のインスリン、Infergen(登録商標)(インターフェロンalfacon-1)、Natrecor(登録商標)(ネシリチド、遺伝子組換え型ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)、Kineret(登録商標)(アナキンラ)、Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF)、LymphoCide(登録商標)(エピラツズマブ、抗CD22mAb)、Benlysta(商標)(リンフォスタットB、ベリムマブ、抗BlySmAb)、Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン)、Raptiva(登録商標)(エファリズマブ)、Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP870)、Soliris(商標)(エクリズマブ)、pexelizumab(抗補体C5)、Numax(登録商標)(MEDI-524)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)、Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ)、Trabio(登録商標)(レルデリムマブ)、TheraCim hR3(ニモツズマブ)、Omnitarg(ペルツズマブ、2C4)、Osidem(登録商標)(IDM-1)、OvaRex(登録商標)(B43.13)、Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ)、カンツズマブメルタンシン(huC242-DM1)、NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインターロイキン-11)、Neulasta(登録商標)(PEG化フィルガストリム、PEG化G-CSF、PEG化hu-Met-G-CSF)、Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)、Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体)、Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体)、Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP lIb/Ilia受容体モノクローナル抗体)、Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20mAb)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Roferon-A(登録商標)(インターフェロンalfa-2a)、Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)、Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ)、Synagis(登録商標)(パリビズマブ、146B7-CHO(抗IL15抗体、米国特許第7,153,507号を参照)、Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4インテグリンmAb)、Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗炭疽菌防御抗原mAb)、ABthrax(商標)、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xolair(登録商標)(オマリズマブ)、ETI211(抗MRSAmAb)、IL-1 trap(ヒトIgG1のFc部分及び両IL-1受容体成分(I型受容体及び受容体補助タンパク質)の細胞外ドメイン))、VEGF trap(IgG1 Fcと融合したVEGFR1のIgドメイン)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2Rα mAb)、Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン)、Zetia(登録商標)(エゼチマイブ)、Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig)、抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ)、抗CD23mAb(ルミリキシマブ)、BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF拮抗薬)、CNTO148(ゴリムマブ、抗TNFαmAb)、HGS-ETR1(マパツズマブ、ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb)、HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb)、HuMax-EGFR(ザルツムマブ)、M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb)、MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb、及びVEGFR-1(IMC-18F1)、抗BR3mAb、抗C.クロストリジウム・ディフィシル毒素A並びに毒素B CmAbs MDX-066(CDA-1)及びMDX-1388)、抗CD22 dsFv-PE38抱合体(CAT-3888及びCAT-8015)、抗CD25mAb(HuMax-TAC)、抗CD3mAb(NI-0401)、アデカツムマブ、抗CD30mAb(MDX-060)、MDX-1333(抗IFNAR)、抗CD38mAb(HuMaxCD38)、抗CD40LmAb、抗Cripto mAb、抗CTGF特発性肺線維症第1期フィブロゲン(FG-3019)、抗CTLA4 mAb、抗エオタキシン1 mAb、(CAT-213)、抗FGF8mAb、抗ガングリオシドGD2 mAb、抗ガングリオシドGM2 mAb、抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029)、抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001)、抗HepC mAb(HuMax HepC)、抗IFNα mAb(MEDI-545、MDX-1103)、抗IGF1R mAb、抗IGF-1R mAb(HuMax-Inflam)、抗IL12mAb(ABT-874)、抗IL12/IL23mAb(CNTO1275)、抗IL13mAb(CAT-354)、抗IL2RamAb(HuMax-TAC)、抗IL5受容体mAb、抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO95)、抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100)、抗LLY抗体、BMS-66513、抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307)、抗メソテリンdsFv-PE38抱合体(CAT-5001)、抗PD1mAb(MDX-1106(ONO-4538))、抗PDGFRα抗体(IMC-3G3)、抗TGFβ mAb(GC-1008)、抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2)、抗TWEAK mAb、抗VEGFR/Flt-1 mAb、抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3)、NVS抗体第1番、及びNVS抗体第2番を含む、他の例示的なタンパク質。
【0093】
ロモソズマブ、ブロソズマブ、又はBPS804(Novartis)などであるがこれらに限定されないスクレロスチン抗体もまた、含まれ得る。リロツムマブ、ビキサロマー、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、モテサニブ二リン酸塩、ブロダルマブ、ヴィデュピプラント、パニツムマブ、デノスマブ、NPLATE、PROLIA、VECTIBIX、又はXGEVAなどの治療薬が更に含まれ得る。加えて、ヒトプロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に結合するモノクローナル抗体(IgG)をデバイスに含めることができ、例えば、米国特許第8,030,547号明細書、米国特許出願公開第2013/0064825号明細書、国際公開第2008/057457号パンフレット、国際公開第2008/057458号パンフレット、国際公開第2008/057459号パンフレット、国際公開第2008/063382号パンフレット、国際公開第2008/133647号パンフレット、国際公開第2009/100297号パンフレット、国際公開第2009/100318号パンフレット、国際公開第2011/037791号パンフレット、国際公開第2011/053759号パンフレット、国際公開第2011/053783号パンフレット、国際公開第2008/125623号パンフレット、国際公開第2011/072263号パンフレット、国際公開第2009/055783号パンフレット、国際公開第2012/0544438号パンフレット、国際公開第2010/029513号パンフレット、国際公開第2011/111007号パンフレット、国際公開第2010/077854号パンフレット、国際公開第2012/088313号パンフレット、国際公開第2012/101251号パンフレット、国際公開第2012/101252号パンフレット、国際公開第2012/101253号パンフレット、国際公開第2012/109530号パンフレット、及び国際公開第2001/031007号パンフレットである。
【0094】
黒色腫又は他の癌の治療用のタリモジーンラハーパレプベック又は別の腫瘍溶解性HSVもまた含めることができる。腫瘍溶解性HSVの例としては、タリモジーンラハーパレプベック(米国特許第7,223,593号明細書及び米国特許第7,537,924号明細書)、OncoVEXGALV/CD(米国特許第7,981,669号明細書)、OrienX010(Lei et al.(2013),World J. Gastroenterol.,19:5138-5143)、G207、1716、NV1020、NV12023、NV1034、及びNV1042(Vargehes et al.(2002),CancerGene Ther.,9(12):967-978)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
TIMPもまた含まれる。TIMPは、メタロプロテイナーゼの内在性組織阻害剤(TIMP)であり、多くの自然過程において重要である。TIMP-3は、様々な細胞により発現される、又は及び細胞外基質内に存在し、主要なあらゆる軟骨分解メタロプロテアーゼを抑制し、リウマチ様関節炎及び変形性関節症を含む結合組織の多くの分解疾患における役割、並びに癌及び心臓血管状態において役割を果たし得る。TIMP-3のアミノ酸配列、及びTIMP-3をコードするDNAの核酸配列は、2003年5月13日発行の米国特許第6,562,596号明細書に開示されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。TIMP変異の説明は、米国特許出願公開第2014/0274874号明細書及びPCT国際公開第2014/152012号パンフレットに見ることができる。
【0096】
ヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体の拮抗的抗体並びにCGRP受容体及び他の頭痛標的を標的とする二重特異性抗体分子もまた含まれる。これら分子に関する更なる情報は、国際公開第2010/075238号パンフレットに見ることができる。
【0097】
加えて、二重特異性T細胞誘導抗体(BiTe)、例えば、ブリナツモマブを、デバイスにおいて使用することができる。或いは、APJ巨大分子作動薬、例えば、アペリン又はその類似体をデバイスに含めることができる。このような分子に関する情報は、PCT国際公開第2014/099984号パンフレットに見ることができる。
【0098】
ある特定の実施形態において、薬剤は、治療上有効な量の抗胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)又はTSLP受容体抗体を含む。このような実施形態に使用してもよい抗TSLP抗体の例としては、米国特許第7,982,016号明細書及び米国特許第8,232,372号明細書、並びに米国特許出願公開第2009/0186022号明細書に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。抗TSLP受容体抗体の例としては、米国特許第8,101,182号明細書に記載されているものが挙げられるが、これに限定されない。特に好適な実施形態において、薬剤は、米国特許第7,982,016号明細書内にA5として示されている治療上有効な量の抗TSLP抗体を含む。
【0099】
薬物注入デバイス、駆動減衰機構、システム、方法、及びその要素を、例示的実施形態の点から説明してきたが、これらに限定されるものではない。可能なあらゆる実施形態を説明することは不可能ではないにしても実用的ではないため、詳細な説明は単なる例示であり、本発明の可能なあらゆる実施形態を説明するものではないと解釈すべきである。現在の技術又は本特許の申請日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多くの代替的な実施形態を実施することができるが、このような実施形態はなお、本発明を定義する請求項の範囲内に含まれることになる。
【0100】
本発明の法的範囲は、本特許の最後に記載されている特許請求の範囲における語によって定義されることは理解すべきである。添付の特許請求の範囲は、デバイス、駆動減衰機構、システム、方法、及びそれらの要素の均等物の範囲を逸脱することなく当業者によって作製され得る他の変形形態及びその実施形態を含むように広く解釈されるべきである。
図1
図2
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図7