(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】電動機のための回転子
(51)【国際特許分類】
H02K 1/32 20060101AFI20221216BHJP
H02K 1/276 20220101ALI20221216BHJP
H02K 1/22 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
H02K1/32 Z
H02K1/276
H02K1/22 A
(21)【出願番号】P 2019564931
(86)(22)【出願日】2018-05-22
(86)【国際出願番号】 GB2018051382
(87)【国際公開番号】W WO2018215753
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-04-28
(32)【優先日】2017-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516017189
【氏名又は名称】イクイップメイク・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EQUIPMAKE LTD
(73)【特許権者】
【識別番号】516015347
【氏名又は名称】エイム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォーリー,イアン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムソン,ロブ
(72)【発明者】
【氏名】アソレイ・ブラスケス,アンヘル
【審査官】一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/086228(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0289386(US,A1)
【文献】実公第031863(大正15年)(JP,Y1T)
【文献】特表2015-534803(JP,A)
【文献】特開昭59-113754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/32
H02K 1/276
H02K 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石電動機の回転子(2)のためのハブであって、
複数の永久磁石(16,18)を支持するためのハブ本体(4)であって、
回転中心軸(32)と、
流体冷却剤を受け入れるための流体入口と、
前記流体冷却剤を出力する流体出口と、
前記入口及び出口に連結される流体導管(40,44)と
を有する前記ハブ本体
を含み、前記流体導管は、別個の流体経路の組を画定し、前記組の各流体経路は、それぞれの磁石の径方向に下の領域まで径方向外向きに延在し、且つその後、径方向内向きに延在し、
前記ハブ本体(4)は、前記入口から流体冷却剤を受け入れるための中央室(38)を含み、及び各流体経路は、前記中央室に直接接続されたそれぞれの別個のチャネルに沿って延在し、
前記中央室は、流体冷却材が前記中央室から前記チャネルに移行する前に前記中央室を通って流れる流体冷却剤に回転速度をもたらすための複数のベーン(52)を含む、ハブ。
【請求項2】
前記組の各流体経路は、径方向外向きに延在し、その後、それぞれの磁石(16,18)の径方向に下の領域で軸方向に延在し、且つその後、径方向内向きに延在する、請求項1に記載のハブ。
【請求項3】
前記ハブ本体(4)は、室(42)の組を含み、前記組の各室は、それぞれの磁石(16,18)の径方向の下に配置され、及び前記流体経路の組のそれぞれの1つは、前記室の組のそれぞれの1つを通過する、請求項1又は2に記載のハブ。
【請求項4】
前記組の各室(42)は、軸方向に細長い、請求項3に記載のハブ。
【請求項5】
前記中央室(38)の周壁は、前記チャネルを画定する壁に滑らかに一体となる、請求項1に記載のハブ。
【請求項6】
前記ベーン(52)は、前記回転中心軸(32)を横切る方向に延在する前記中央室(38)の壁上に配置される、請求項1に記載のハブ。
【請求項7】
前記ハブ本体は、実質的にアルミニウム合金から形成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のハブ。
【請求項8】
永久磁石電動機のための回転子(2)であって、請求項1~7のいずれか一項に記載のハブと、前記ハブによって支持された複数の永久磁石(16,18)とを含む回転子。
【請求項9】
各磁石(16,18)は、軸方向に細長い、請求項8に記載の回転子。
【請求項10】
請求項8または9に記載の回転子であって、前記ハブ本体(4)は、
前記ハブ本体の外周面上に設けられた複数のラグ(6)であって、各ラグは、先細ベース部(70)とヘッド部(74)とから実質的になり、前記ベース部は、最大幅から、前記ベース部が前記ヘッド部に交わるところまで径方向外方方向に略連続的に減少する周方向の幅を有し、及び前記ヘッド部は、内部領域であって、その周方向の幅は、径方向外方方向に増加する、内部領域と、外部領域であって、その周方向幅は、径方向外方方向にゼロまで減少する、外部領域とから実質的になる、複数のラグと、
それぞれのラグに係合された複数の回転子セグメント(8)と、
隣接する回転子セグメント間に配置された複数の永久磁石(16,18)とを含み、各ラグの前記ベース部の周方向における前記最大幅は、前記隣接する永久磁石間の周方向距離に実質的に対応する、回転子。
【請求項11】
(a)前記それぞれのラグ(6)の前記ヘッド部(74)の最広部に隣接する各回転子セグメント(8)の周方向の厚さの、(b)前記それぞれのラグのネック部(72)の最狭部の厚さの半分に対する比は、1.35~1.65の範囲である、請求項10に記載の回転子。
【請求項12】
各ラグ(6)が前記それぞれの回転子セグメント(8)内に延在する半径方向距離は、前記回転子セグメントの径方向高さの40%より大きい、請求項10又は11に記載の回転子。
【請求項13】
請求項8から12のいずれか1項に記載の回転子であって、前記回転子(2)は前記ハブ本体(4)の周囲に配置された複数の回転子セグメント(8)と、
隣接する回転子セグメント間に配置された複数の永久磁石(16,18)と、
径方向外向きの力に対して前記磁石を拘束するために、隣接する磁石の上に少なくとも部分的に周方向に延在し、及び軸方向に延在する溝(84)は、その周方向に延在する部分に隣接する各回転子セグメントの径方向に延在する側壁内に画定される各回転子セグメントの一部(80)とを有する、回転子。
【請求項14】
前記溝は、前記回転中心軸を横切る方向に延在する横断面において略半円形である、請求項13に記載の回転子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動機での使用に適した回転子に関する。より詳細には、本開示は、永久磁石電動機のための回転子に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石電動機のための回転子は、一般に、永久磁石の組と、その周囲に配置された回転子セグメントの組とを有する中央ハブを含む。一方の組は、他方の組の間に置かれる。このような回転子は、非常に高い回転速度で動作し得、そのため、回転子は、高遠心力に対して磁石及びセグメントを所定の位置に保持するように設計する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、永久磁石電動機の回転子のためのハブを提供し、このハブは、複数の永久磁石を支持するためのハブ本体であって、回転中心軸と、流体冷却剤を受け入れるための流体入口と、流体冷却剤を出力する流体出口と、入口及び出口に連結される流体導管とを有するハブ本体を含み、流体導管は、別個の流体経路の組を画定し、その組の各流体経路は、それぞれの磁石の径方向に下の領域まで径方向外向きに延在し、且つその後、径方向内向きに延在する。
【0004】
回転子の特性は、内部冷却装置を使用してその温度を制御することによって改善され得る。本開示によると、冷却剤を各磁石の径方向に下の領域の方に導き、且つ各磁石の径方向に下の領域から離れるように導くように配置された流体導管のネットワークがハブ本体内に設けられる。これは、それが隣接する磁石から熱を抽出することを可能にするため、特に効果的であると分かった。これにより、通常、より低い温度で動作するより高い磁束密度の材料の使用が可能になる。また、ハブ本体を形成するためにより軽い材料を使用することが望ましいが、そのような材料の強度は、より高い温度で大きく低下することがある。ハブ本体内の内部流路で流体を循環させる、回転子のための能動冷却システムを含むことにより、回転子は、いくつかの材料で他の場合に可能であるよりも高速で回転することができる。
【0005】
ハブ本体は、別個の構成要素の組立体の形態であり得る。流体入口は、流体導管の組に流体的に連結され、その後、流体出口に流体的に連結される。それぞれの磁石の径方向に下の領域を通過する流体経路の部分は、それぞれの磁石の径方向に下の本体の一部に周方向に閉じ込められ得る。
【0006】
好ましい例において、組になっている各流体経路は、径方向外向きに延在し、その後、それぞれの磁石の径方向に下の領域で軸方向に延在し、且つその後、径方向内向きに延在する。このようにして、磁石に近接する流体経路の長さを増加させ得る。
【0007】
ハブ本体は、室の組を含み得、その組の各室は、それぞれの磁石の径方向の下に配置され、及び流体経路の組のそれぞれ1つは、室の組のそれぞれの1つを通過する。流体流れの方向を横切る平面内での各室の断面積は、室に至り、室から離れる流体チャネルの断面積より大きいことができる。こうして、各磁石に隣接する領域における流体冷却剤の容積を増加させて冷却効果を高め得る。
【0008】
好ましくは、各室は、軸方向に細長い。これにより、ハブ本体の周囲に隣接する室の長さを軸方向に増加させ得る。
【0009】
ハブ本体は、好ましくは、入口から流体冷却剤を受け入れるための中央室を含み、及び各流体経路は、中央室に直接接続されたそれぞれの別個のチャネルに沿って延在する。これにより、流体入口からハブ本体に流れ込む流体冷却剤を別個の流体経路に分配させることができる。好ましくは、室の周壁は、チャネルを画定する壁に滑らかに融合する。このような滑らかな移行部がない場合、室及び回転子の流体の回転速度の差のため、分離された再循環する流れの領域は、室に隣接するチャネルの端部に生じる傾向があることが分かった。これは、かなりの圧力低下につながる。好ましい構成では、より滑らかな移行部を流体流れに提供するために、丸みをつけられた曲面が室と径方向チャネルとの間の境界面に画定される。
【0010】
中央室は、その回転速度を増加させるため、室内の流体に回転力を及ぼすための構造を含み得る。構造は、複数の径方向に延在する部材を含み得る。これらの部材は、径方向に細長いことができる。これは、径方向チャネルに流れる流体の回転速度に対する室内の流体の回転速度の差を減少させるのに役立ち得、それにより流体が室からチャネルに流れるときに遭遇する圧力低下を減少させ得る。
【0011】
中央室は、室を通って流れる冷却剤に回転速度をもたらすための複数のベーンを含み得る。ベーンは、流体冷却剤が室に送り込まれるポートに面する、中央室の横方向に延在する壁上に配置され得る。
【0012】
好ましい例において、ハブ本体は、実質的にアルミニウム合金から形成される。本明細書で説明されるような回転子内の冷却システムの提供により、そのような材料から形成されたハブ本体は、他の場合の事例よりも高い回転速度で確実に動作することができ得る。それは、他の場合に高温で生じるハブ本体の変形を最小化する。
【0013】
本開示は、永久磁石電動機のための回転子も提供し、この電動機は、本明細書で説明されるハブと、ハブによって支持された複数の永久磁石とを含む。好ましくは、磁石は、ハブ本体と直接接触して取り付けられる。これは、磁石からハブ本体への熱伝達の改善に役立ち得、熱は、その後、冷却システムによって離れて伝達され得る。好ましい構成において、各磁石は、軸方向に細長い。冷却装置の隣接する流体経路も軸方向に長くすることにより、磁石からの熱エネルギの効率的な除去を容易にし得る。
【0014】
さらに、本開示は、永久磁石電動機の回転子を提供し、この回転子は、回転中心軸と、ハブ本体の外周面上に設けられた複数のラグであって、各ラグは、先細ベース部とヘッド部とから実質的になり、ベース部は、最大幅から、ベース部がヘッド部に交わるところまで径方向外方方向に略連続的に減少する周方向の幅を有し、及びヘッド部は、内部領域であって、その周方向の幅は、径方向外方方向に増加する、内部領域と、外部領域であって、その周方向幅は、径方向外方方向にゼロまで減少する、外部領域とから実質的になる、複数のラグと、それぞれのラグに係合された複数の回転子セグメントと、隣接する回転子セグメント間に配置された複数の永久磁石とを有するハブ本体を含み、各ラグのベース部の周方向における最大幅は、隣接する永久磁石間の周方向距離に実質的に対応する。
【0015】
このハブ本体構成により、機械的応力を許容範囲内に維持することができ得る。各ラグに広い基部を提供することにより、遠心負荷及び回転負荷の両方に対する耐性が改善されることが分かった。磁束密度は、各回転子セグメントの基部で比較的低いため、広い基部を提供することにより、回転子の磁気性能に対する影響が最小限になることが判定された。また、より広いラグの基部に適合するように回転子セグメントからさらに材料を除去することにより、回転子セグメントの重量が減少し、したがってそれがラグ上に及ぼす遠心負荷が減少する。
【0016】
好ましくは、各ラグのベース部は、径方向外方方向にその最大幅から内向きに先細りする。ラグ上に及ぼされる応力は、その基部に近いほど大きくなり、そのため、ラグが、径方向外方方向において、内向きに先細りするベース部での最大幅を提供することにより、その応力により適切に適合することが判定された。
【0017】
好ましい例において、(ひと続きの拡大部分ではなく)広いラグ基部とラグの単一の拡大ヘッド部との組合せは、より強い機械的連結を提供することが分かった。
【0018】
さらなる好ましい例において、(a)それぞれのラグのヘッド部の最広部に隣接する各回転子セグメントの周方向の厚さの、(b)それぞれのラグのネック部の最狭部の厚さの半分に対する比は、1.35~1.65である。これは、回転子セグメント及びラグが、類似の強度を有する材料(積層鋼及び高力アルミニウム合金など)上に形成される場合に特に有利であることが分かった。
【0019】
好ましくは、各ラグがそれぞれの回転子セグメント内に延在する半径方向距離は、回転子セグメントの径方向高さの40%より大きい。これにより、ラグと回転子セグメントとの間により確実な連結を提供し、磁束によって結合されるラグの上に回転子セグメントの十分な深さを残したままとし得る。
【0020】
さらに、本開示は、永久磁石電動機の回転子を提供し、この回転子は、回転中心軸を有するハブ本体と、ハブ本体の周囲に配置された複数の回転子セグメントと、隣接する回転子セグメント間に配置された複数の永久磁石とを含み、各回転子セグメントの一部は、径方向外向きの力に対して磁石を拘束するために、隣接する磁石の上に少なくとも部分的に周方向に延在し、及び軸方向に延在する溝は、その周方向に延在する部分に隣接する各回転子セグメントの径方向に延在する側壁内に画定される。この溝は、周方向に延在する部分が遠心力に対して隣接する磁石を拘束するとき、周方向に延在する部分に隣接する回転子セグメントの材料上に及ぼされる機械的応力を低下させるのに役立ち得る。
【0021】
好ましい例において、溝は、回転軸に対して横方向に延在する横断面において略半円形である。この形状は、回転子セグメントから除去される材料の体積と、回転子セグメントが抵抗することができる応力との間の良好な妥協を提供することが分かった。
【0022】
添付の概略図面を参照しながら、例示として本開示の例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本開示による電動機回転子の分解斜視図である。
【
図4】
図1の回転子内に画定された流体導管の斜視図である。
【
図5】それぞれ線A-A及びB-Bに沿った
図3の電動機回転子の横断面図である。
【
図6】それぞれ線A-A及びB-Bに沿った
図3の電動機回転子の横断面図である。
【
図7】
図1の回転子内に画定された中央室の拡大断面図である。
【
図8】
図1の回転子の中央室の拡大側断面図である。
【
図9】中央室にベーンを設ける構成要素の斜視図である。
【
図10】回転子の周囲の部分の拡大横断面図である。
【
図11】隣接する電動機固定子と組み合わされた、異なる相対回転位置の
図10の回転子部分を示す。
【
図12】隣接する電動機固定子と組み合わされた、異なる相対回転位置の
図10の回転子部分を示す。
【
図13】回転子ハブ本体上に形成された個別のラグの拡大断面図である。
【
図14】回転子ハブ本体上に形成された個別のラグの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示による電動機回転子2が
図1に示される。電動機回転子2は、中央ハブ本体4を有する。ラグ6の組は、ハブ本体の外周面から径方向外向きに突出し、その円周で均等に間隔をあけている。各ラグ6は、軸方向に細長く、一定の横断面を有する。回転子セグメント8及び10の2つの組が設けられる。各回転子セグメントは、その径方向内側において、ラグの形状を補完する切り抜き形状を有する。したがって、回転子セグメントは、組8を軸方向12に、組10を反対の軸方向14に移動させることにより、ラグ上に摺動することができる。
【0025】
回転子セグメントは、各回転子セグメントと、その直接隣の回転子セグメントとの間に2つの組16及び18の一方の磁石を保持することができるように成形される。隣接する回転子セグメントの各対は、ハブ本体とともに磁石をスロット内に軸方向に摺動させることにより、磁石の1つを受けるように成形されたスロットを画定する。回転子セグメント及び磁石は、ハブ本体4上に組み立てられると、その後、ハブ本体の軸方向の両側に固定される環状体20の対によって適切な位置に留められる。
【0026】
チャネルのネットワークは、ハブ本体4内に画定され、流体冷却剤を本体内で循環させることができる。これは、
図2~9を参照してさらに詳細に説明される。
【0027】
流体は、
図2で「In」と記された入口を介してハブ本体に流れ込み、
図2で「Out」と記された出口を通って流れ出る。
図3から分かるように、回転子は、その回転軸32と同軸である中央シャフト30を有する。流体入口管34は、シャフト内に同軸状に取り付けられる。管34に沿って流れる流体は、ポート36で管を出て、中央室38に流れ込む。径方向に延在するチャネル40の組は、中央室に流体的に連結される。これらのチャネルは、中央室からそれぞれの周囲室42の組まで流体を運ぶように配置される。各室42は、対応する磁石16、18の対の径方向内側に配置される。
【0028】
各周囲室は、軸方向に細長い。径方向に延在するチャネル44の第2の組は、第1の組40から軸方向に間隔をあけられ、周囲室の組からシャフト30まで流体を内向きに戻すように配置される。その後、流体は、管34の外部の周りでハブ本体の流体出口までシャフトに沿って流れる。
【0029】
図4は、ハブ本体内の流体経路を表す3次元モデルを示す。
図5及び6は、ハブ本体内の横断面を示す。これらの図により、各流体経路が流体冷却剤を直接、各磁石の径方向に下の室まで半径方向外方にどのように導き、その後、流体が別の径方向経路に沿ってハブ本体の中心までどのように戻るかが分かる。別個の流体経路は、各磁石位置に関連して設けられる。
【0030】
図3から分かるように、示される例において、ハブ本体は、2つのハブ部分46及び48を含む。径方向チャネル40の組は、ハブ部分46内で延在し、他の組44は、部分48内で延在する。各ハブ部分は、シャフト30上に取り付けられる。
【0031】
この回転子構成は、特定の性能要件に適合するように拡大又は縮小させ得ることが理解されるであろう。
【0032】
ハブ部分46及び48は、非磁性材料から形成される。この材料は、オーステナイトステンレス鋼又はチタン合金であり得る。好ましい例において、軽量の回転子を可能にする高力アルミニウム合金が使用される(例えば、7075-T6)。本明細書に記載される方法での能動的な冷却により、他の場合に回転子材料を許容できない範囲まで弱める高温に到達しないように回転子の温度を制御することが可能である。
【0033】
室は、磁石16、18に近接する室の長さを増加させるために、径方向チャネルの一方又は両方の組を越えて軸方向外向きに延在し得る。
【0034】
出口は、流体冷却剤の外向きの流れが必要以上に妨げられないような広い開口を有する。
【0035】
図7に示されるように、好ましくは、組40の各径方向チャネルと回転子の中央領域との間の接合部に半径が形成される。この半径「R」は、中央室38と径方向チャネル40との間により滑らかな移行部を提供する。この特徴は、回転子の開発中に行われたシミュレーションの結果として考案され、そのシミュレーションでは、中央室38内の流体の回転速度と回転子本体の回転速度との差異による、分離された再循環する流れの大きい領域が径方向チャネルへの入口で見出された。これは、回転子内の流体システム全体での圧力低下を回転速度とともに急激に増加させた。丸みをつけられた接合部は、中央室から径方向チャネルへの流れを滑らかにすることにより、この影響を打ち消すのに役立つ。
【0036】
回転子内の流体循環は、中央室38に成型された構成要素50を含むことによってさらに高められた。それは、管34の内部ポート36の反対側に配置される。径方向に延在する隆起したリブ又はベーン52の組は、ポート36に面する構成要素50の表面上に形成される。ベーンは、構成要素の中央ハブ54から外向きに延在する。構成要素50は、ハブ本体とともに回転する。構成要素50がハブ本体とともに回転すると、構成要素50は、流体が室から径方向チャネル40に移行する前に中央室30の流体の回転速度を増加させるように作用する。示される例において、ベーンは、それぞれの直線に沿って径方向に延在する。
【0037】
ラグ6、回転子セグメント8、10及び磁石16、18の構成は、
図10~15を参照してさらに説明される。
【0038】
上記のように、一連のラグ6は、ハブ本体上に形成され、回転子セグメントは、ラグに係合するように成形される。この相互係合は、回転子の高速回転中、ラグ及びセグメントが遭遇する軸方向力及び周方向力に抵抗するように成形される。磁石16は、回転子セグメントによってハブ本体の周りで保持される。
【0039】
図11及び12によって示されるように、これらの機械的特性に加えて、ラグ、回転子セグメント及び磁石は、かなり多くの磁束が、回転子セグメント及び電動機の隣接する固定子60との結合部を通り抜けることができるようにも配置されて割り当てられる。
図11は、各回転子セグメントが2つの隣接する固定子歯62間に配置されたときの磁束経路を示し、
図12は、各回転子セグメントが固定子歯62と一直線に並べられたときの磁束経路を示す。好ましくは、各回転子セグメントは、周方向の固定子歯厚さの半分と同程度の径方向幅である磁束のための経路を提供する。
【0040】
回転子セグメントが、
図12に示されるように固定子歯と一直線に並べられたとき、回転子セグメント及びラグは、好ましくは、回転子セグメントの外周面から隣接する磁石までの適切な磁束経路幅を提供するように割り当てられる。好ましくは、回転子セグメントの径方向中心線と、この中心線が回転子セグメントの外周と交わるところから、ラグのヘッド部に隣接する回転子セグメントの切り抜き形状との接線方向の交差まで延在する線との間に画定される角度は、27.5°以下である。これにより、磁石長さの大部分を効果的に利用することができる。
【0041】
好ましくは、小さい隙間64は、各回転子セグメントの径方向最内部と回転子ハブとの間に画定される。これは、回転子セグメント間の磁束漏れを最小化するのに役立つ。セグメントは、例えば、磁石の径方向高さの約7%短くし得る。
【0042】
各ラグの強度を改善するために、各ラグは、
図13に示されるような広いベース部70で形成される。ベース部は、ラグの周方向幅が最小限に到達するところまで径方向外方方向に狭くなる。その後、幅は、再び増加した後、ラグの遠位端の方へ最終的に減少して、ヘッド部74を画定する。ベース部70は、その幅が径方向外方方向で連続的に減少するように先細りする。その最大幅「c」が
図13に示されている。その最大幅「c」は、隣接する磁石16間で利用可能な幅に実質的に対応する。この構成は、電磁的な視点から許容可能であることが判定され、なぜなら、それらの特性は、回転子セグメントのこの部分から材料を取り除くことにより、物質的に影響を受けないためである。ラグの耐強度は、横断面におけるラグの先細りする側部間に画定される角度「α」を増加させることによっても増加した。示される例において、この角度は、約90°である。
【0043】
図14において、寸法「a」が表示され、この寸法「a」は、ラグの最狭部72の周方向の幅の半分に対応する。寸法「b」は、ラグのヘッド部に隣接する表面と、近接した磁石との間で測定された、周方向における回転子セグメントの最小幅である。ラグ及び回転子セグメントを形成する材料が類似の機械的特性及び強度を有する例において、b/aの比は、好ましくは、約1.5である。
【0044】
図15の拡大図に示されるように、各回転子セグメント8の部分80は、径方向外向きの力に対して磁石を拘束するために、隣接する磁石16の径方向最外面の上に少なくとも部分的に周方向に延在する。部分80は、磁石に係合する、径方向内向きに面する表面82を画定する。
【0045】
軸方向に延在する溝84は、回転子セグメントによって画定される。溝84は、磁石の径方向に延在する側面に係合する回転子セグメントの側壁86内に形成される。溝は、部分80の径方向の直接内側に配置される。回転子セグメントが、磁石の隅部に係合する直角形状を有することと比較すると、この溝は、より大きい半径を提供し、回転子の回転中、この位置での機械的応力の集中を減少させる。示される例において、溝は、横断面において半円状断面を有する。これは、他の場合にその電磁性能を損なう回転子セグメントの過剰な量の除去を必要とすることなく、良好な応力耐性を与え、同時に製造が比較的簡単であることが分かった。